TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1008/04-Jan-2010

2010 年の手始めとして、外出中に TidBITS を読める新しい方法を一つ、いや二つお届けしたい。特に喜んで頂けると思うのが iPhone および iPod touch 用の無料のアプリ、TidBITS News だ。そして、Kindle の方が好みだとおっしゃる方のために、そのプラットフォームでも TidBITS を購読できるようにした。さて、肝心のその内容だが、Jeff Carlson がバンド幅の制限を克服して必要なプリンタドライバを Gutenprint コレクションから入手しインストールする。Glenn Fleishman は 5 GHz バンドで Wi-Fi パフォーマンスを改善するために役立つヒントを語り、Joe Kissell は Mac における右クリック(いや、これは Control-クリックと言うべきか)の過去と現在について探究する。先月の最終号以後にリリースされた注目すべきソフトウェアとしては、Things 1.2.8、WireTap Anywhere 1.0.6、27-inch iMac Graphics Firmware Update 1.0、Keyboard Maestro 4.0.1、Mail Services Update 1.0、Firefox 3.5.6、Pro Tools 8.0.3、Hazel 2.3.5、Epson Printer Drivers 2.2 for Mac OS X 10.6.1、それに Lexmark Printer Drivers 2.2 for Mac OS X 10.6 がある。

記事:

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無料の TidBITS News iPhone アプリ

  文: Adam C. Engst <[email protected]>, Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

新年にあたり、iPhone と iPod touch 用の無料のアプリ、TidBITS News をご紹介させて頂きたい。iPhone OS ソフトウェア開発という素晴らしき新世界に私たちが初めて公式に進出することとなるこのアプリは、真の意味でのチーム協力の産物だった。(料理人が多過ぎると単純なアプリでさえもいつまで経っても出来上がらないという格言があるが、今回はまさにその裏返しだった。)Matt Neuburg が Cocoa コードを一手に引き受け、Glenn Fleishman が特製の舞台裏専用 RSS フィードを作り上げ、Jeff Carlson がアイコンを担当し、他のスタッフたちが援助と情報とを提供した。(「口うるさくガヤガヤ言う」の裏返しだった。)そして 出来上がったアプリが今、App Store からダウンロードできるようになっている。さっき言ったように、無料だ。

TidBITS News アプリの初めてのバージョンで今回私たちが目指したのは、最新の TidBITS 記事のフルテキストにアクセスできるシンプルかつエレガントなアプリを作る一方で、iPhone OS プラットフォームにおけるエレガントな使用法の利点をフルに引き出したいということだった。

その目標のために、TidBITS News アプリにはたった2つのスクリーンしかない。最初のスクリーンで、最も新しい記事 60 個の見出しと要約が表示される。この見出しスクリーンでどれかの項目をタップすれば、第2のスクリーンが現われ、そこでその記事のテキストすべてが読める。

TidBITS-News

記事表示スクリーンの上で、記事の中に含まれているリンクをタップすれば、それに対応するウェブページが Safari で開く。記事のタイトルをタップすれば、対応する TidBITS ウェブページがロードされる。ただし、もしもその項目が外部リンク記事だった場合には、その外部リンク参照先の元記事がロードされる。もしも記事の中に YouTube ビデオが埋め込まれていれば、タップしてムービーを観ることができるし、Done をクリックすれば元の記事に戻る。私たちがポッドキャストとして録音済みの記事については、上の方にある Listen ボタンをタップすれば私たちのウェブサイトからストリーミングオーディオとしてその録音が聴ける。

今の段落で説明したことはすべて、当然ながらアクティブなインターネット接続を必要とする。けれどもこの TidBITS News アプリはインターネット接続なしの状態でも使える。なぜなら、記事自体はあなたの iPhone や iPod touch の中にキャッシュされるからだ。だから、例えばあなたが朝起きてこのアプリを起動させれば、自動的に最新の記事がキャッシュ保存されるので、その後アプリを終了させてよい。それから後になってまたアプリを起動させれば、たとえその時オフラインであっても通勤中の地下鉄の中で面白そうな記事を読むことができるし、iPod touch が Wi-Fi ネットワークの外にあっても問題ない。

このアプリにはボタンが3つしかない。1つは最初のスクリーンにある Refresh ボタンだ。これを押せばアプリがインターネットに出て行って記事のキャッシュをアップデートする。キャッシュはアプリを起動した際に自動的にアップデートされるが、あなたがアプリを終了した際には見出しスクリーンが開いていた場合のみキャッシュがアップデートされる。何か記事を読んでいる最中にアプリを終了した場合は、次にアプリを起動した時に、もちろんその同じスクリーンが開いたままの状態に戻って同じ記事を読み続けられるだけでなく、キャッシュの自動アップデートは行なわれない。そこで、手動でキャッシュをアップデートする方法が必要となる。そのためにあるのが Refresh ボタンだ。このボタンをタップすれば、まずボタンが無効化される。必要以上にユーザーが RSS フィードを連打することを避けたいからだ。アプリのラン1回につきリフレッシュは1回で十分だろう。

第2のボタンは記事表示スクリーンにあり、記事のフォントサイズを指定する。これをタップすれば5種類のフォントサイズが循環して切り替わる。一番大きなサイズの後でもう1回タップすれば一番小さなサイズに戻る。こうして、あなたの目に一番合ったサイズのところで止まればよい。第3のボタンも記事表示スクリーンにあり、上と下の矢印を示している。これをタップすれば、前の記事や次の記事が表示される。いちいち見出しスクリーンに戻る必要はない。

このアプリにはそれ以外にボタンはなく、それ以外にオプションはない。意図的にそういう風にデザインしてあるのだ。私たちは、できるだけ物事をシンプルにしておきたいと思ったし、iPhone の小さな画面上の貴重なスペースを無駄に使いたくないと考えた。結局のところ、これはテキストを読むためのアプリなので、画面の中にできるだけたくさんのテキストが収まるようにしたかった。それぞれのスクリーンでボタンの数を1つか2つだけに抑えることによって、ボタンを上部のナビゲーションバーの中に置くことができ、スクリーンのそれ以外の部分をコンテンツを読むことに振り向けるようにできた。

というわけで、もしもあなたが iPhone か iPod touch をお持ちなら、どうぞ TidBITS News アプリを使ってみていただきたい。無料で、使いやすく、私たちが TidBITS で出版する最新のものをあなたの都合に合わせて読める最適の方法となるだろう。私たち TidBITS チームの面々もこのアプリをしばらくの間使ってきて、既にこれが TidBITS を読む良い方法だと納得するようになっている(これが一番お気に入りの方法となった人もいる!)ので、皆さんにも気に入って頂ければと願っている。もしも気に入って頂けたら、App Store のランク付けやレビューに反映して頂ければ非常に嬉しい。私たちは TidBITS News アプリが TidBITS に新しい読者を開拓する道を開いてくれればと思っているし、App Store に良いランク付けやレビューが集まれば、アプリの発見可能度も大きく高まるだろう。

最後にもう一言。これがバージョン 1.0 リリースに過ぎないことをお忘れなく。私たちはいつでもアップデートを作る用意ができているし、App Store の配布システムで優れている点の一つはアプリをダウンロードしたことのある人に自動的にアップデートの通知が届くことだ。だから、ぜひ皆さんにはこのアプリが将来のバージョンでどのように改良され拡張されて欲しいかのアイデアを寄せて頂きたい。もちろん私たちも自分たちのアイデアのリストを作っているが、読者の皆さんが興味を寄せて下さることこそ私たちが時間と努力を注ぎ込む原動力なのだから。私たちが温めているアイデアとしては、個々の記事の既読・未読ステータス表示、コメントへのアクセスの提供、Safari に切り替えずにアプリの中でリンク先の記事を表示する方法、私たちのサイト上のフルテキスト検索エンジンへの連携、などがある。皆さんがどんなことを希望されるか、ぜひコメントでお聞かせ願いたい!

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TidBITS を Kindle で購読

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TidBITS 読者たちの中で、iPhone や iPod touch で TidBITS を読む人たちはきっと増えるだろう。私たちがリリースしたばかりの無料アプリもあるのだから。(2010 年 1 月 4 日の記事“無料の TidBITS News iPhone アプリ”参照)でも、Kindle ユーザーの方々にも良いニュースがある。TidBITS が、Kindle でも購読できるようになったのだ。

iPhone 用の TidBITS News アプリと同じように、Kindle で TidBITS を読むにも RSS フィードを利用する。つまり、新しい記事が利用できるようになり次第ダウンロードされ、オフラインでも読めるようにキャッシュ保存される。基本的なテキストスタイル(ボールドとイタリック)をサポートし、画像の表示もできる。外部のウェブサイトへのリンクを辿ることさえも可能だが、ただしこれは Whispernet がオンになっていて利用可能な場合に限られる。それに、利用可能な場合であっても Kindle の実験的ウェブブラウザはどうひいき目に見ても並以下だ。

Articles List から、好きな記事にジャンプできる。読んでいる最中に次の記事や前の記事にナビゲートできる。(私は Kindle DX の小さなジョイスティックを使っている。)ちょっと奇妙なことに、Kindle は記事と記事を次々にぴったりと繋げて示すので、フィードを次々と見て行くために Next Page ボタンを使っても記事と記事の間に全く空白が見えない。

TidBITS-on-Kindle

Kindle プラットフォームの限界により、埋め込まれたムービーは画面に登場しないし、私たちがポッドキャストに録音したものを聴く方法はない。(ただし Kindle の機種によって独自のテキスト読み上げ機能を持つものはある。)これら二つの機能は将来も実現は難しいと思うが、全体的に見ればいずれもごくマイナーなことだろう。

14 日間の試用期間を過ぎた後は、Kindle で TidBITS を読むのは無料ではない。Amazon は月額 $0.99 の料金を課しているが、これは主に Whispernet の無料ワイヤレスサービスに料金を払うためのもので、フィードのアップデートがこのサービスを経由してなされるのだ。私たちはすべての購読料金の 30 パーセントを受け取ることになっているので、これを皆さんが小銭で TidBITS をサポートする方法と考えて頂ければと思う。

私たちは常日頃からさまざまの一般的フォーマットで、できるだけ多くのプラットフォームで TidBITS を提供しようと努めているので、今回それに Kindle を加えることができて嬉しい。同時に、Kindle による読書体験が今後さらに改善されることを望みたい。

もしもあなたが TidBITS を読むことがお好きで、しかも Kindle での読書がお気に入りなら、ぜひその両者を合体させてみて頂きたい。少なくとも、無料の試用期間が 14 日間利用できる。合体させてみたらピーナツバターとチョコレートみたいに意外と美味しい組み合わせだったということになるかもしれない。皆さんの感想を、ぜひコメントでお寄せ頂きたい。

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Gutenprint で大量バンド幅を使わずプリンタドライバのアップデート

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

技術系ライターであることが意味するものの一つに、メジャーなオペレーティングシステムのアップデートがある度に、親戚たちの家を一軒一軒訪問して、彼らの Mac をアップデートして回らなければならないというのがある。最近私の母の家に滞在していた時、私は彼女の iMac を Snow Leopard にアップグレードした(そして私の著書“Mac OS X Snow Leopard Pocket Guide”もあげた)だけでなく、彼女のバックアップがすべてうまく行っているかも確かめた。

Snow Leopard へのアップグレード自体は問題なく済んだのだが、彼女のセットアップ特有の問題が一つあることに気が付いた。彼女の持っている HP Photosmart P1000 プリンタのために、新しいプリンタドライバが必要だったのだ。もちろんソフトウェア・アップデートにアップデートをダウンロードさせることもできたが、必要なドライバは HP Printer Drivers for Mac OS X v10.6 update の中に含まれていて、これが何と 387.44 MB もある代物だった。

問題は、母がカリフォルニアの田舎の農場に住んでいることだった。彼女にとって唯一のブロードバンドインターネットアクセスは衛星通信によるものだった。そして彼女の場合、HughesNet がバンド幅の使用を一日 200 MB までに制限していた。これは(私の推測では)人々が大サイズのダウンロードによって接続を飽和状態に追い込むのを予防するためなのだろう。(遠回しに Fair Access Policy (公正アクセス指針) と称している。)もしもこの制限を超えれば、自動的に Hughes はあなたの接続を 24 時間にわたり「回復期間」と称して超低速状態に抑え込んでしまう。

けれども、システムやアプリケーションのアップデートはますます大サイズのものになりつつあって、200 MB という上限を簡単に超えてしまうこともある。一つの方法は、夜の 11 時(太平洋岸標準時)まで待つことで、HughesNet はこの場合五時間の枠内に限り上限を撤廃してくれる。残念ながら Apple はアップデートのスケジュール予約をする機能を提供していないので、やむなく私はシステム環境設定のソフトウェア・アップデートパネルでアップデートを自動ダウンロードするオプションをオフにしておかなければならなかった。

私は、長い時間のかかるダウンロードの世話をするために夜遅くまで起きていたくはなかったし、母にそれをさせるのも嫌だったので、別の方法を探すことにした。幸い、Apple が正しい道に手引きしてくれた。HP Printer Drivers アップデートページに、Mac OS X 10.6 用のプリンタおよびスキャナ用ソフトウェアの膨大なリストへのリンクがあったのだ。

そのリストのページで、"HP Photosmart P1000" を Safari に検索させた(その方が長大なリストを手でスクロールするよりずっと速い)結果、HP がそのプリンタの(また多数の他のプリンタも)ドライバとして Gutenprint v5.2.3 を使用していることが判明した。

Gutenprintというのは(以前は Gimp-Print と呼ばれていたが)広範囲に及ぶ多数のプリンタのためのドライバを集めたオープンソースのコレクションだ。私は既に Apple のサイトにいたので、"Gutenprint" を検索してみたところ、Gutenprint Printer Drivers for Mac OS X 10.6 インストーラが見つかった。こちらは、たったの 16.1 MB だ!

このアップデートをダウンロードしてインストールした後で、システム環境設定のプリントとファクスパネルを使ってもう一度母のプリンタを設定し直さなければならなかった。それを済ませると、Snow Leopard をインストールする前と全く同じように正常に印刷できるようになった。

Apple の提供している Gutenprint ドライバのバージョンは 5.2.3 だが、インストーラの文章はこれがバージョン 5.0 だと称している。一方 Gutenprint サイトで提供されている最新の Mac OS X 用バージョンは Gutenprint v5.2.4 だ。けれども最近の変更点はどれも彼女のプリンタには関係ないものだったので、私はあえて最新バージョンに入れ替えることはしなかった。

私の自宅のように高速のケーブルによるインターネット接続があれば、大サイズのアップデートをダウンロードするのは別に問題ではない。けれどもそれがどんな場所でも言えることではないことを、私は直接体験によって知っている。田舎に住んでいる人たちは、今もまだ高速アクセスを得られないことが多いのだ。何百メガバイトものサイズのアップデートが、多くの人たちにとって不便なものである(あるいは入手不可能でさえある)という事実を、Apple も、他の会社も、もっときちんと認識して欲しいと思う。巨大サイズのファイルの代わりに、よく探してみればより良い選択肢が見つかることもあるというのは嬉しいことだ。そして、それも駄目だった場合は、高速接続を持つ友人か親戚を探して、)Apple サポートダウンロードサイトからダウンロードしたものを CD か DVD に焼いてもらうしかないかもしれない。

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5 GHz 帯での Wi-Fi 動作を改善する

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

一年かそこら前には、TidBITS の読者或いは Wi-Fi ネットワークを 5 GHz 帯で使うことに関する詳細な問題を扱った私の "Take Control of Your 802.11n AirPort Network" を読んだ人からメールを貰うことは殆どなかった。このより高い無線帯域は米国や世界中の他の国でも使用可となっており、Wi-Fi の元々の帯域と見られていた 2.4 GHz 帯よりも混雑の少ない代替と長いこと見做されていた。

ところが今では 5 GHz でのチャネル選択に関する謎めいた事に関するメッセージを週に数通受けるようになった - 通常は大抵の人が敢えて遭遇する必要の無い目立たない選択肢であったのに。これがどんなものなのか説明した後で、幾つかのヒントを提供したいと思う。

周波数帯、計画、チャネル:新たな混雑 -- この 5 GHz 帯は米国では一世代以上も前に割当てられていたが、これがコードレス電話に搭載されるぐらい安価になりそして 802.11n が出現するまでは、その利用は限られたものであった。5 GHz が安価に使える様になるまでは、コードレス電話、Wi-Fi, Bluetooth, そしてその他多くの競合する利用法は 2.4 GHz 付近の限られた帯域に詰め込まれていた。競合する利用により干渉と信号トラブルに発展した。

これらの 5 GHz チャネルは、802.11a 標準のみが - 1999 年に 802.11b と同時に導入された - 5 GHz を利用していたので、極端に利用率が低かった。しかし 802.11a は発展しなかった、なぜならば 802.11a ギアは当初高価だったしそれに 2.4 GHz 帯を利用する 802.11b に対しても後方コンパチ性を有していなかったからである。

信頼性のある voice-over-Wi-Fi 通信だけのために 5 GHz をしばしば志向した企業ネットワーク以外では、5 GHz が実際に使われる様になるのは、2.4 か 5 GHz 帯のどちらでも動作できる 802.11n の導入までなかった。

その後、2009年の初期に導入された Apple の AirPort Extreme や Time Capsule改訂版の様な、同時デュアルバンドの 802.11n ベースステーションが一般的になり値段も手が届くようになった。これらの機器は 2.4 と 5 GHz の波を同時に送出することでユーザーが伝統的な 2.4 GHz 802.11b や 802.11g ハードウェアをそのまま使うことを可能にした。

この能力のお陰で、デュアルバンド 802.11n 無線はコンピュータや他の機器が近距離では 5 GHz でより高速で、そして距離が遠くなれば 2.4 GHz でより低速で動作し、一方でより旧式の Wi-Fi アダプタとのコンパチ性も保持するようにするのが徐々に一般的になってきた。(802.11n アダプタはは単一バンドでしか動作しないようにも設計できるが、その場合でも大抵のクライアントハードウェアはどちらかのバンドを選択できるようになっている。)

5 GHz が一般的になるにつれて、過密の危険が増大した。米国では 5 GHz の使用に対して 23 の異なった (或いは _重なり合わない_) チャネルがありうるが、Apple 及び多くの消費者機器メーカーは、そのベースステーションでそのうちの 8 つしかサポートしていない。(国にもよるが、2.4 GHz 帯は通常 11 か 14 チャネルに分けられている中で、かろうじて重なり合わないたったの 3 か 4 のチャネルしか持っていない。)

製造者側は 23 チャネルのうちの 15 を、軍と共用となることからユーザーが苛立たしくなる可能性のあるという限界を回避するため無視している。これらの 15 チャネルでは軍用レーダーと重なる可能性があるが、現実問題として起こる可能性は稀であり、起こるとしても特定の地域でしか起こらない。しかしながら、この規則はどこででも有効であり、そして理論的にはそのお陰で使用体験も良くないものとなり得るので、消費者用企業はそのベースステーションにこれらのチャネルを入れるのを避けたのである。(しかしながら、もしこれらのチャネルがベースステーションによって既に使われている場合、Apple 及び大抵の企業はアダプタが、例えば Macintosh コンピュータに組み込まれている、これらのチャネルにアクセスするのは許している。)

一方で、これらの 8 つの広く使われているチャネルは二つに分離されている:UNII-1 と呼ばれる Unlicensed National Information Infrastructure 域の最低の周波数帯である低バンド、そして高バンド UNII-3 である。他の 15 チャネルは UNII-2 域にあり、一般的に低 UNII-2 と呼ばれる所、ここには 4 チャネルある、そして高 UNII-2 と呼ばれる所、ここには 11 チャネルある、とに分けられている。

低域の 4 チャネルは順番に 36, 40, 44, そして 48 と番号が振られている。広域の 4 チャネルも同じ様に 149, 153, 157, そして 161 と番号付けされている。(4 番飛びになっている理由はチャネルは 20 MHz 幅であるがチャネル番号は 5 MHz 単位で付与されているからである。)

私は数ヶ月前 Apple のプロダクトマネジャーと AirPort 問題について話している時、低バンドは高バンドの出力の 1/20 しか使っていないことを念押しされた。そうなのである:例えばチャネル 149 を選択すると、あなたのベースステーションはチャネル 36 の 20 倍の強さの信号を送り出すのである!(5 GHz 帯は、その波長が短いがゆえ、2.4 GHz 機器に較べると同じ距離を同じ品質のデータを送るにはより大きな出力を要する。)

しかしながら、力は崩壊する。信号を送出するのに使用する力が大きければ大きいほど、その信号が他のネットワークと干渉し、そして逆に干渉を受ける可能性も大きくなる。

高バンドについては二つ目の問題もある:それは 5 GHz のコードレス DECT 電話にも使われていることである。これらの電話は全く違う技術を使用しており如何なる FCC 規則にも違反することなく Wi-Fi の動作を阻害することが出来る。

最後に、もしあなたがいわゆるワイドチャネルを使うのならば、これは 802.11n のスループットを二倍にするため 40 MHz の帯域を使うのだが、これだと使用可能なチャネル数は 4つに戻ってしまう (低バンドでは 36 か 44, 或いは高バンドでの 149 か 157)。

ではどうすれば良いのか?読み続けて下さい。

5 GHz の動作を改善する -- 原因が何であるかにもよるが、5 GHz の問題は色々な方法で改善或いはひょっとすると解決出来る。

あなたの 5.8 GHz DECT 電話を取り替える。 いわゆる 5.8 GHz 或いは時として不正確な "6.0 GHz" と呼ばれる DECT コードレス電話の問題は過小評価してはいけない、と言うのもそれらはその信号パターンのせいで最善の 5 GHz Wi-Fi チャネルのいたる所に影響を及ぼすからである。

解決策は 1900 MHz DECT に切替えることである。これは比較的最近出てきたものであるが、より低い周波数が使われているので家庭内での受信範囲もより良くなる。一般的により低い周波数の方がその波長が長いため物体を通り抜けやすい。これは外観上固体の物体により吸収されそして反射される率が低いからである。(これが何故 VHF TV が 40 から 200 MHz で流されているかの理由である。覚えておられると思うが、より高い周波数の UHF チャネル - 約 500 から 700 MHz - は受信し難くそして別の異なったアンテナを必要とする。)

私は私の親戚が Panasonic DECT 6.0 Series を設置するのを手伝ったが、これはデジタル留守電システムに組み込まれたもので 5 台までの子機をサポートし、大体においてその性能に満足している。Amazon ではベースステーションに子機 2 台をつけて $60 以下で売っている。

より番号の低いチャネルに変更する。 勿論コードレス電話一式を新しく買うのは費用がかかるので、もう一つの方法はあなたのベースステーションを 36 から 48 の低バンド 5 GHz チャネルを使うよう設定することである (もしワイドチャネルを使いたいならば 36 か 44 のどちらかになる)。この方法は近所の人が使っている DECT コードレス電話からの干渉が原因の場合は有効である。

チャネルを変えるにはマニュアルで行う、まず Applications > Utilities > AirPort Utility を起動し、自分のベースステーションを選択、そして Manual Setup ボタンをクリックする。Wireless タブをクリック。同時デュアルバンドのベースステーションであれば、Radio Channel Selection ポップアップメニューの中に Manual と Automatic のオプションが見える。Manual を選択。Edit メニューをクリック。2.4 GHz 帯は Automatic に設定できる、そして次に 5 GHz に対して 4 つの低バンド (或いは 4 つの高バンド) チャネルの中から選択する。Done をクリック、そして Update、そうするとベースステーションが再起動される。(手順については、私のビデオを見て欲しい。)

これらの低いチャネルは、前述した様に、干渉にあい難い、と言うのも Apple 及びその他全てのベースステーションは 5 GHz 帯のこのセグメントに対してはより低い出力を出し、そして DECT 及びその他のコードレス電話もこの低バンドでは動作しないからである。

低バンドを使うことは信号が到達出来る距離をかなり短くするので、5 GHz 帯のより高速な使用を - 他の機器が使われていなければスループットで 100 Mbps を越すことも可能である - アクセスポイントとしては恐らく同じ部屋内にまで制限することとなる。

他の高バンドチャネルも試してみる。 もしあなたのネットワークを働くようにするのが難しく、そして AirPort Menu を選択する時 Option キーも押し込んで得られる速度情報も極めて低い (数十 Mbps 以下) 場合は、あなたのベースステーション上でマニュアルにチャネルを変えながら実験してみる必要があるかもしれない。(Snow Leopard で AirPort メニューの値をどう読むかについての更なる詳細については "AirPort メニュー Snow Leopard で改善" 27 August 2009 を参照。)

数え切れないほどの会話の中で、Apple のプロダクトマネジャーはベースステーションには自動チャネル選択を使わせるべきであると進言している。しかし彼らは干渉のための選択スキャンはその機器が立ち上げられた時にしか行わないことも認めている、これでは勝手気ままに使われる DECT 電話には役に立たない。

ヨーロッパやその他のある規制域内では、番号 48 を超えたチャネルを選択することは出来ないであろう、何故ならばこれらの高い番号のチャネルは他の隣接するユーザーとの干渉を避けるためのプロセスを用いなければならないからである。しかしながら、ベースステーションは、パワーオン或いは再起動された時にこれらのチャネルの一つを選んでしまうかもしれない。

新しいベースステーションを入手する。 5 GHz の干渉を改善するのに役立つ一つの動きに Apple は 2009年10月にカバー範囲を改善するためそのベースステーションを静かにアップデートしている。新しい AirPort Extreme Base Station 又は Time Capsule ベースステーションは今や二本アンテナ 2 組の代わりに三本アンテナ 2 組を備えている。これらの追加のアンテナお陰で 5 GHz チャネルの低バンドを使った場合でもより大きな範囲とより速い速度が得られ、加えてその他の改良もなされている。

チャネルを切替える -- 万が一干渉が検知された場合、全てのアダプターとベースステーションが別のチャネルへと移ることを合意するのを許すという Wi-Fi 仕様は通常の利用に対しては未だ存在しない。(この様なものは IEEE からの標準にはあるが、それは消費者用機器には組み込まれておらず、実際の効果をもたらすにはほぼ全面的な採用が必要となる。)

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「右の」ボタンを、さあクリックしよう

  文: Joe Kissell <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

小さなことだが、私のちょっとした個人的フラストレーションのお話をしよう。そうすることで、いずれこれが消滅することになれば嬉しい、と心ひそかに私は願っている。そのフラストレーションとは、私が Mac 関係の本や記事を書く際にほとんどいつも、マウスの(あるいはトラックボールやトラックパッドの)ボタンのうちある一つをクリックすることを説明する度に、何度も何度も繰り返し、いちいち面倒な付け足しの言葉を書き加えるようにと「お上からのお達し」が下るという事実だ。

私がそこで説明したいのは「右クリック」だ。(どこを右クリックするか、右クリックしてから何をすべきか、といったことを書きたいわけだ。)けれども、担当の編集者たちが毎回言ってくるのは、それを「Control-クリック(または右クリック)」と書き直しなさい、という要求だ。つまり、Control キーを押しながらクリックするか、あるいは それに代わる方法として右側のマウスボタンを押してもよい、という言い方をしなさいというのだ。彼らがそういうことを言う理由はおそらく、大多数の Mac ユーザーたちは右クリックとは何か知らないか、または右クリックのできる入力デバイスを持っていないか、あるいは持っていても意図的にその機能をオフにしているかするので、望む結果を得られることが保証されている唯一の方法は Control-クリックしかない、と彼らが信じているからなのだろう。つまるところ、長年の間 Mac には1ボタンマウスしかなく、今日に至ってもまだ2ボタンマウスは 必須 ではない。だからこそ(推測を続ければ)誰かに向かって右クリックせよと言えば、それはその人にちんぷんかんぷんのことかもしれないし、実行不可能なことである可能性さえある、と言いたいのだろう。

ただ、私はそうは思わない。もちろん、十年前にはその通りだった。けれども今では、それは大きく事実に反している。私が Mac について書く文章を読んでくださる方々の大多数は現代的なやり方に十分馴染んでいて、私が右クリックと書いただけもその意味をきちんと理解してくださるだろうし、たとえその人のマウスに物理的な第二ボタンが無かったとしてもそれ以上の説明は不必要に違いないと思う。でも、右クリックと言われてまだ頭を掻いている少数派の方々に対しては、今ここでこの問題を一挙にはっきりと解決させた上で、実はマウスの第二ボタン(あるいはトラックパッドでそれにあたるもの)が皆さんの真の友人であって、いったんそれにきちんと慣れ親しめば皆さんのその後の人生を喜びで満たしてくれるに違いない、ということを納得して頂きたいと思うのだ。それから、既にマルチボタンのマウスに馴染んでいる方々にもきっと興味を持って頂ける、この追加のボタンを巡るいくつかのことがらについてもお話ししたい。

ホットなボタンの問題 -- 情報公開と背景説明のために述べておくと、私は Mac および Windows 用の Kensington MouseWorks ソフトウェアの開発管理の仕事を5年間 (1997-2002) にわたって続けていた。このソフトウェアの(多数の)機能の中には、特定の Kensington 入力デバイスにおいてすべてのボタンごとにそれぞれの働きを設定できる機能が含まれていた。私が同社に在任していたその期間中、11 個のボタンを持ったトラックボールや、さらには何と 22 個ものボタンを持った WebRacer というタッチパッド機器までリリースされた! 近年はこのソフトウェアも影が薄くなってしまったようだが(それについては何も知らないので私に聞かれても困る!)ただ私が言いたいのはずっと以前から私がマルチボタンの入力デバイスと仕事上のかかわりがあり、そのため私の意見に偏りがあるのは避けられないということだ。

まず初めに、もう一つ私が偏っている点をここで述べておかなければならない。私は、右利きだ。私の妻は左利きなのだが、彼女は「右クリック」という用語自体にちょっとした差別が含まれていることを鋭く指摘した。なぜなら、左利きの人は一般的に左手の人さし指でマウスの第1ボタン(マウスの右側にあるボタン)をクリックし、中指で第2ボタン(マウスの左側にある)をクリックすることが多いからだ。つまり、えこひいきしない用語にするならば(そしてこれが Apple の使っている用語なのだが)「副クリック (secondary click)」と言わなければならない。けれども英語という言語の持つ自然な性質により、この表現は名詞としては問題ないが、動詞としては使いにくい。何かを「右クリック (right-click) する」という言い方は自然だが、何かを「副クリック (secondary-click) する」と言うのは変だ。("secondary" という形容詞が動詞にかかることはできないからだ。)そこで、左利きの方たちには大変申し訳ないが、ここでは(Windows の世界で長い伝統のある)慣習に従うことにして、「右クリック」という用語を「副ボタンをクリックする」という意味で使わせて頂きたい。つまり、たとえそれがあなたのお使いの入力デバイスの上で左側に(あるいは上側に、下側に、または他の場所に)あったとしても、ここでは 論理的な 意味での右ボタンをクリックすることを、「右クリック」と呼ばせて頂く。

記憶の細道をスクロール・ダウン -- 時を遡って 1984 年のこと、Mac はデビューしたての新製品で、そして気の利いた画期的なものの一つが(実際は Apple が発明したものではなかったが)マウスと呼ばれる小さな箱だった。このマウスのお陰で Mac のユニークなグラフィカルインターフェイスが可能となり、人々が全く新たな方法でコンピュータとやり取りできる道を開いた。キーボードでタイプする必要のあるコマンドをたくさん記憶しなければならないやり方に取って代わり、スクリーン上の単語や絵などにポインタを合わせてから、マウスの上部にある大きなボタンをクリックすれば、コンピュータに何かのアクションをさせることができる。その一方で、こんなマウスなど不必要でただ混乱するだけだと考える人たちもいた。キーボードなら既に誰でもよく知っているし、キーボードを使えばちゃんとできるじゃないかというわけだ。それでもマウスはあっという間に人気を博し、たちまちコンピュータを操作する普通の方法という座を獲得した。

初代の Mac のマウスには一つしかボタンがなかった。オペレーティングシステムが、一つのボタンで済むようにデザインされていたからだ。Apple はコンピュータの操作をできる限りシンプルで一目で分かるものとすることを望み、デザイン上の重要な原則の一つはユーザーインターフェイスを「発見可能な」ものとすることだった。つまり、いろいろなものが何をするのか、いろいろな操作をどうすれば実行できるのかといったことが、できる限り簡単に見極められることを目指した。説明書とか、ラベルとか、その他外部的な手掛かりに頼ることを最小限にしようと考えたのだ。歴史が示した通り、このアプローチは驚くほどうまくいった。そして、具体的には Mac の、全般的に言えばグラフィカルインターフェイスというものの成功の陰には、シングルボタンのマウスが重要な要因となっていた。

当然ながら、Mac のインターフェイスがユニークであった時代はそれほど長く続かなかった。1985 年にリリースされた Microsoft Windows 1.0 でマウスがサポートされた(ただし必要要件ではなかった)し、さまざまのバージョンの Unix にもグラフィカルなシェルが開発された。その他にも、今はもう見かけることのない数多くの他のオペレーティングシステムがあった。けれども、Windows のアプローチではマウスが(少なくとも)2つのボタンを持っていることを前提としたことが違っていた。(Unix 世界の大部分では3ボタンのマウスが標準となったのだが、この記事ではそのことには触れないでおこう。)

では、ボタンの数を増やした理由は何か? Microsoft は、ユーザーにも開発者にもより多くの柔軟性を与えようとしたのだ。左側のマウスボタンはクリックしたものを選択したり有効化したりする。(こちらは Mac でのものと同じだ。)一方右側のボタンは、開発者が適当と思う方法で使うために供された。実際 Windows の初期の時代には、このボタンの用途がかなり多岐にわたっていた。その後(1995 年にリリースされた)Windows 95 に至り、その時クリックしたものの内容に関連するコマンドのリストを示したポップアップメニューをポインタ個所に表示する、というのが Windows における右のマウスボタンの標準的挙動となった。それ以来、たいていの人にとってそれが「右クリック」の意味するものとなった。少なくとも PC の上では。

1997 年の末ごろまでに、Apple は明らかにこうしたコンテクスト対応のポップアップメニューの価値に気付いていた。これを使えば、コピーやペーストも簡単にできるし、テキストやアイコン、その他何でもマウスポインタの下にあるものに修正を加える作業も単純化されるからだ。そして Mac OS 8 のリリースにおいて、Mac ユーザーたちもついに、Windows では既に二年間ほど標準であった機能を手に入れた。けれども Mac のマウスにはまだボタンが一つしかなかったので、機能にアクセスする方法はその一つのボタンをクリックする際に Control キーを押さえておくというものになった。これが Control-クリックの起源だ。

正しいボタンを指にあてがう -- Mac ユーザーたちは、この日常的な操作をするために 両手 が必要だという事実にすぐ気付いて不満の声を挙げた。Windows ユーザーたちは 指一本 だけでできるというのに。けれども Apple の立場は変わらず「マウスにはボタン一つ」のままだった。この会社は、混乱を起こす可能性のある余分のボタンを追加することでエレガントな Mac のデザインを複雑化することを断固として拒否したのだ。所詮、その第二のボタンには、その使用法を示唆するものが何かあるだろうか? それを何に使うのか、どうやって知ることができるというのか? うっかりと間違ったボタンをクリックして予想外の結果が出てしまったらどうするのか? ダメだ。そんな類いのことは、洗練された、美しく整った Mac のデザインと首尾一貫しない。Apple は、ただ単に Mac のマウスに複数個のボタンを付けるべきでないと言っているだけではなかった。Apple が言いたかったのは、Mac ユーザーがそんなものを望むのは間違っているということだ。それは Macintosh のやり方ではない、というのだ。

もちろん、Mac で使えるマウスやその他のポインティングデバイスを製造していたのは Apple だけではなかった。他の開発者たち、例えば Kensington、Logitech、それから Microsoft さえも、大いに喜んでユーザーの需要に応えるために複数ボタンの Mac 用マウスを販売した。これらのマウスには例外なく、余分のボタンに何らかの動作を結び付けるための、特別のドライバソフトウェアが必要だった。また、右のマウスボタンが Windows の右ボタンと同様のコンテクストメニューを出せるようにするため、そのソフトウェアは単純に Control-クリックをエミュレートした。三個以上のボタンを持ったマウスについては、それぞれのボタンごとに他の動作(例えばダブルクリックや、メニューコマンドのエミュレーション、テキストの入力など)が割り当てられた。

Apple が複数ボタンのマウスをようやくオペレーティングシステムの中で直接サポートし始めたのは、2001 年に Mac OS X がリリースされた時のことだった。Mac OS X 10.0 の走る Mac に好きな2ボタン USB マウスを差し込めば、右ボタンのクリックでコンテクストメニューが魔法のようにポップアップするようになった。余分のソフトウェアも、Control-クリックのエミュレーションも、一切不要だ! そして、もしそのマウスに三個以上のボタンがあれば、Mac OS X がそれを理解して、それぞれを現在アクティブなアプリケーションに渡し、そのアプリケーションがそれを好きなように解釈して使えるようにした。

この進展は、ユーザーにとってはありがたいことであり、マルチボタンのマウスのメーカー各社にとっても利便性の増すことであった。けれども Apple 自身は依然としてやり方を変えなかった。Apple はシングルボタンのマウスしか販売しなかったのだ。この期に及んで、これはむしろ過激な姿勢に思えた。

それでも、あなたはこう思うかもしれない。やっぱり Apple にも一理ある、ボタン1個よりも確かにボタン2個の方が複雑じゃないか、と。そういうあなた方に、実際には2個のボタンが複雑度を 増やす のでなく 減らして くれるということを納得して頂くために、例としてデジタル時計を思い描いてみよう。時計の時刻設定を、ボタン1つでやってみたことがおありだろうか? ボタンを押さえたままで時刻表示が合わせたい数字になるまで待ち、そして、もしちょっとでも行き過ぎれば、もう一回りしてその数字が巡ってくるまで待たなければならない。なんて面倒な! でもボタンが2つあれば、その時計のデザインにもよるが、異なる速度で動かしたり、前進・後退ができたりなど、より素早く合わせられる。ボタンが3つあれば、AM/PM の切り替えが一発でできて、24 時間を一周する必要がなくなる。さらにもしその時計にテンキーパッドが付いていればもっと簡単だ。ただ望みの時刻を手でタイプするだけで終わりだ。そういうわけで、一見ボタンが複数あれば複雑化するように見えるとしても、実際上はそのことによってユーザーインターフェイスが単純化することもある。同じことを得るために実行しなければならない操作の複雑度が減るからだ。マルチボタンのマウスでも、まさに同じことが言える。

(その一方で、Mac よりずっと前から Windows は右クリックを採用していたにもかかわらず、Microsoft は私に言わせればお粗末なデザイン上の選択をした。彼らは、いくつかのアクションを右クリック 以外 の方法ではアクセスできないようにしたのだ。これでは、それらのアクションを見つけるのが難しくなる。それとは対照的に、Apple の Human Interface Guidelines にははっきりとこう規定してある:「コンテクストメニューの項目は、すべてメニューコマンドとしても利用できるようにしておかなければならない。コンテクストメニューはデフォルトで隠れているので、ユーザーはその存在に気付かないかもしれない。ゆえに、あるコマンドへのアクセス方法がコンテクストメニューのみ、ということがあってはならない。特に、高度な、あるいはパワーユーザー専用の機能のためにコンテクストメニューを唯一のアクセス方法として使うべきではない。」残念ながら、Apple は時として自分自身の定めたこの原則を無視することがある。例えば、iPhoto の Detect Missing Faces コマンドと Rescan for Location コマンドがそれに該当する。それでも少なくとも原則としては理にかなったものだ。もう一つ注意すべきことがある。良いことか悪いことかは分からないが、Windows と違い、Mac OS X に「右クリックしてドラッグ」という概念が存在したことは一度もない。例えばそうやってショートカットを作成するようにしてもよいとは思うのだが。)

Apple はきちんとやってのけた、ある意味で -- 世界がひっくり返ったのは、2005 年 8 月に Apple が Mighty Mouse を導入した時だった。(現在このマウスは名前の使用権を巡る法律的なトラブルの結果 Apple Mouse と呼ばれている。)この新種のネズミには上部の左右両側に物理的センサーがあり、さらにマウスを挟んで握ることで使えるスイッチと、(スクロール用の)ごく小さなトラックボールを押し下げたことを感知するセンサーとが付いていた。これで合計4個の論理的ボタンを持つのだが、ケースを外から見ただけでは物理的ボタンに見えるものは一つもなかった。(ケースの上面全体を押し下げればクリックとなり、ケースの右側と左側のどちらに指が接しているかで左右の「ボタン」が区別される。)ついに、正真正銘の Apple 製マウスを使って、きちんと右クリックができるようになったのだ - またそれ以上のことも!

けれども興味深いことに、この Mighty Mouse が4個のボタンに相当するものを持ったという事実さえも、Apple の公式スタンスを少しも変えたようには見えなかった。一つには、このマウスの物理的デザインを見る限り、Apple は今でもマルチボタンのマウスを販売していないかのような幻想を保とうとしているようだった。(実際むしろボタンの全く無いマウスのように見せていた。)さらにもう一つには、Mac OS X のデフォルトの挙動がこのマウス上部の左右のセンサーを同じに扱うという状態になっていた。つまり、両方とも標準のクリックに設定されていた。出荷されたままの状態では、Mighty Mouse は依然として1ボタンのマウスだったのだ! 右の「ボタン」に右クリックをさせようと思えば、ユーザーが自分でシステム環境設定を開いて設定を変えなければならなかった。

Apple が最近リリースした Magic Mouse も、この流れを引き継いでいる。今回は、単にボタンが消えたばかりでなく、スクロール用のメカニズムも消えてしまった。その代わりに、より高度な能力を持つ、けれども全く目には見えない、マルチタッチセンサーが装備された。残念なことに、これまで4個あった論理的ボタンが Magic Mouse ではたった2個になってしまった。この点は、機能性の面で大きな後退と言える。

パワーの内奥にタップ -- ラップトップ機においては、右クリックを巡る物語がもう少し複雑なものになる。これまでに作られた Apple 製ラップトップ機で物理的なトラックパッドボタンを2個以上持つものはなかったし、現行の機種には目に見えるボタンが全くない。トラックパッド全体がボタンとなっていて、パッドに触れている指の本数と位置と動きによってその挙動が変わる。

長らくの間、Mac ラップトップでコンテクストメニューを出す唯一の方法は Control キーを押しながら(ただ一つの)トラックパッドボタンを押すことだった。2005 年 1 月以降に作られた Mac ラップトップのトラックパッドでは、オプションを設定することで(一部の機種では)2本の指でトラックパッドを押さえながらボタンをクリックするか(それ以外の機種では)2本の指で同時にトラックパッドをタップすることによって右クリックとすることができるようになった。それ以前の機種であっても、Raging Menace の $15 のソフトウェア Sidetrack を使えばトラックパッド上のタップを「右クリック」とすることができた。そして、2008 年 2 月にデビューした MacBook Air 以降、Mac ラップトップはマルチタッチのトラックパッドを装備するようになり、トラックパッド上の指定した隅(左下または右下)をタップすれば右クリックとなるよう設定できるようになった。つまり設定によっては文字通り 右側 クリックとすることもできたわけだが、いずれにしても、ここ数年間、ラップトップユーザーたちはコンテクストメニューを出すのにもはや両手を要しなくなった。

まさしく要点に触れる -- 私の知る限り、Apple はもはやシングルボタンのマウスを一切販売していない。現在の選択肢は Apple Mouse(論理的ボタン4個、ワイヤード)と Magic Mouse(論理的ボタン2個、ワイヤレス)のみだ。2005 年 10 月より以降に出たデスクトップ Mac 機種でマウスが付属しているものにはすべてマルチボタンのマウスが付き、2005 年 1 月から以降に出たラップトップ Mac 機種にはすべて片手で副クリックできるようにすることが可能なトラックパッドが付いている。だから、デビュー後4年かそれよりも新しい Mac を持っている人は全員、それがシステム環境設定で有効と設定されているかどうかを別にすれば、右クリックができるわけだ。またどんなバージョンの Mac OS X を走らせている人であっても、サードパーティのマルチボタンマウスかトラックボールあるいはトラックパッドを持っていればやはり右クリックができる。その上、たとえそのユーザーの Mac が System 7 を走らせていたとしても、サードパーティの入力デバイスとそれに付属のソフトウェアを使いさえすれば、右クリックができるのだ。

要するに、右クリックが可能なハードウェアを備えていない Mac ユーザーの数はますます少なく、ごくまれな存在となりつつあり、それができない人たちの圧倒的大多数も、もしそうしようと思えば、その方法は $5 ほど出して2ボタンマウスを買ってくるだけの話だ。

もしもあなたが右クリックのできる入力デバイスを持たない人たちの一人なら、あるいは持っていてもその機能を有効にしていないのなら、ぜひ一日も早く、マルチクリッカーの仲間入りをされることを、あなたにお勧めしたい。繰り返しになるが、そうすることの一番の利点は、両手でなく片手でコンテクストメニューを表示できるようになることだ。たとえあなたがいつも両手をキーボードの上に置いていたとしても、一日か二日練習しさえすれば、きっとあなたも右クリックする方が Control-クリックするよりも労力や注意力が少なくて済むことに気付かれるだろう。そして知らず知らずのうちにそちらの方が自然な習性となるだろう。

それから、コンテクストメニューなんて全然使ったことがないというあなた、あなたは、それがどんなに良いものかご存じないのだ。このメニューはぴったりとあなたのポインタ位置にポップアップするので、ペースト、複製、ラベル、その他のよく使うメニューコマンドにアクセスする際に(たぶん広々とした)スクリーンのずっと離れた所までポインタを動かす必要がなくなる。もちろん、コマンドは現在のコンテクストに対応したもののみがリストされる。たとえあなたがメニューコマンドの実行にキーボードショートカットを使う方が好みでも(実際たいていの場合私もそうだが)コマンドの実行に先立って何かを(マウスで)選択しなければならないことが多い。ならば、まず選択してから、手をキーボードに戻し、それからキーを押すよりも、選択してから そのまま クリック一つでコマンドが実行できる方がずっと少ない労力で済むではないか。

もしも私の説得を受け入れてくださって、右クリックを試してみようと思ってくださり、しかもそれをサポートするポインティングデバイスをお持ちの方は(この記事をお読みの方の事実上全員がお持ちのはずだと思う)システム環境設定のどこかを使ってその機能をオンに切り替えることができる。具体的な手順はお使いの Mac OS X のバージョンと、お持ちのポインティングデバイスがワイヤードか Bluetooth か、トラックパッドか、あるいはそれらの何らかの組み合わせか、さらにはあなたのデバイスが Apple 製かそうでないかによって異なる。けれども一般的に言えば、次のうちどれかを実行すればよい:

これで設定は終わりだ。ポインタを何かの上に持って来て、副ボタンを(普通は中指で)クリックし、何が起こるか見てみよう。他にもいろいろなタイプのもので試してみよう。例えば、さまざまなプログラムの中のテキストを選択したもので、Finder のアイコンで、ドローアプリケーションの中のグラフィックスで、などとやってみよう。それぞれの場合で、コマンドがどう変わるかに注目しよう。よく使うアクションの実行にこの方法を使うことに慣れてしまえば、きっとあなたもシングルボタンのマウスにはもう戻れないと感じることだろう。そして、右クリックをお薦めする私の気持ちも、分かって頂けるだろう。

[訳者注: 微力のため訳し切れませんでしたが、英語で「右の」を意味する単語 "right" は、「正しい」「きちんと」「まさしく」といった意味も持っています。記事のタイトルや文中のセクション見出しに、もったいぶった表現が見られますが、原文ではすべて "right" という単語を使っています。特に、記事タイトルは本当は「正しいボタンをクリックする」という意味です。]

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TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、2010 年 1 月 4 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Things 1.2.8 -- Cultured Code が、人気のタスクマネージャ Things に、5個のバグを修正したマイナーなアップデートをリリースした。修正されたバグは、Things が空のウィンドウを開いてその後反応しなくなっていたもの、ユーザーが削除した Quick Entry ダイアログのショートカットが再作成されていたもの、関係した to-do 項目を開いた際にファイルリンクの複製が作られてしまうことのあったものと、バージョン 1.2.5 を1.2.6 のデータベースで走らせた場合のクラッシュだ。また、同期が Today リストと衝突することに関係したバグも今回のアップデートで修正されたが、この修正には最新の iPhone 版 Things (1.3.12) がインストールしてあることが必要だ。それから、ローカライズに関するマイナーな問題点もいくつか解決している。(新規購入 $49.95、アップデート無料、8.3 MB)

Things 1.2.8 へのコメントリンク:

WireTap Anywhere 1.0.6 -- Ambrosia Software が、オーディオキャプチャ用スイート WireTap Anywhere のマイナーなメンテナンス・アップデートをリリースした。WireTap Anywhere 1.0.6 にはアップグレードされたバージョンの AmbrosiaAudioSupport カーネル拡張(バージョン 3.2 で、PowerPC-ベースの Mac で Mac OS X 10.4 Tiger を走らせているユーザーにも正しくロードするようになった)を組み込み、入力メーターで描画の問題を修正し、全般的な互換性を改善し、詳細は分からないが多数のバグを修正している。(新規購入 $129、アップデート無料、12.5 MB)

WireTap Anywhere 1.0.6 へのコメントリンク:

27-inch iMac Graphics Firmware Update 1.0 -- Apple が 27-インチ iMac 用に待ちに待ったファームウェアアップデート をリリースした。この機種で広範囲に起こっていたディスプレイの問題点に対処することをねらったものだ。このアップデートは ATI Radeon HD 4670 および 4850 グラフィックカード用のもので、「イメージの損傷および表示のちらつきを起こす可能性のある問題」を修正する。この問題と、出荷されたばかりの iMac のスクリーンに亀裂が入っている問題は、Apple の Support Discussion フォーラムで盛んに議論されてきた(2009 年 12 月 10 日の記事“新しい iMac のスクリーンが壊れそしてちらつく”参照)が、後者の問題についてはまだ何も発表がない。最後にもう一言。Apple のリリースノートにある次の重要な警告はしっかりと頭に入れておこう:「アップデート中は、iMac を操作したり、電源を切ったりしないでください。電源を喪失すると、iMac が起動できなくなる場合があります。」ソフトウェア・アップデートから、あるいは Apple のサポートダウンロードページからも入手できる。(無料、683 KB)

27-inch iMac Graphics Firmware Update 1.0 へのコメントリンク:

Keyboard Maestro 4.0.1 -- Stairways Software が人気のマクロユーティリティ Keyboard Maestro にメンテナンスおよび安定性のためのマイナーなアップデートをリリースした。バージョン 4.0.1 ではキーストロークのシミュレーションの際にタイプの速度が遅くなっていた問題を解消し、複数個のエンジンが同時に走るのを許したバグを修正し、キーのシミュレーションがホットキーを呼び出してしまうのを予防し、Mac OS X 10.5 を走らせているユーザーに起こったクラッシュのバグに対処した。また、Growling マクロ実行のサポートを追加するとともに、Remap Forward Delete マクロをデフォルトでオフにし、トリガー繰り返しの際の 10 秒間緊急タイムアウトを追加している。 (新規購入 $36、3.x からのアップグレード $18、アップデート無料、7.6 MB)

Keyboard Maestro 4.0.1 へのコメントリンク:

Mail Services Update 1.0 -- Apple から Snow Leopard Server 用に出た Mail Services Update 1.0 にはごく簡潔なリリースノートしか付いておらず、ただ「全般的なメールサービスの信頼性および性能に影響する問題」に対処したとだけ書いてある。Apple はこのアップデートを Mac OS X Server 10.6.2 を走らせているすべてのユーザーに推奨するとしているが、これが問題を起こしたという報告もあり、一つの解決方法の案を述べた Apple Discussions スレッドもある。アップデートはソフトウェア・アップデートから、あるいは Apple のサポートダウンロードページからも入手でき、インストール方法の説明は Apple のウェブサイトで読める。(無料、20.59 MB)

Mail Services Update 1.0 へのコメントリンク:

Firefox 3.5.6 -- Mozilla が、人気のウェブブラウザ Firefox に重大なセキュリティアップデートをリリースした。リリースノートはごく簡潔で、このアップデートが「いくつかの安定性とセキュリティの問題」を修正したとしか書いていないが、バグリストを読めば いくつかの重大な脆弱性に対処が施されたことが分かる。そのうち3つは、ブラウザをクラッシュさせて任意のコードを走らせる攻撃を許すものであった。(無料、17.6 MB)

Firefox 3.5.6 へのコメントリンク:

Pro Tools 8.0.3 -- このバージョン 8.0.3 で、Digidesign は Snow Leopard 互換性を同社のプロ用オーディオ編集ソフトウェア Pro Tools に盛り込んだ。また、このバージョンから Intel ベースの Mac を要するようになった。全体的に言って、Pro Tools 8 は一新されたインターフェイスと、以前より3倍も多い個数のオーディオトラックで作業できる機能を提供し、Score Editor と、新しい MIDI エディター、Elastic Pitch 機能、それに新しいトラック合成機能を追加している。(新規購入価格・アップグレード価格は多岐にわたる。)

Pro Tools 8.0.3 へのコメントリンク:

Hazel 2.3.5 -- Noodlesoft が、ファイルのクリーンアップユーティリティ Hazel のメンテナンス・アップデートをリリースした。バージョン 2.3.5 ではファイル名の連番付けができるようになり、ルールでソースフォルダを参照できるようにしてファイルのコピーや移動の際にフォルダ構造の模倣を可能にし、AppleScript バンドルに対応し、Yazsoft の Speed Download との統合によって中断あるいは重複したダウンロードのクリーンアップができるようになった。また、いくつかのマイナーなインターフェイス調整が施され、AppSweep が Growl チケットと /var/folders 下の Caches フォルダを一掃するようになり、多数のバグも修正された。フルのリリースノートは Noodlesoft のウェブサイトにある。($21.95、アップデート無料、3.9 MB)

Hazel 2.3.5 へのコメントリンク:

Epson Printer Drivers 2.2 for Mac OS X 10.6.1 -- Apple が「Snow Leopard のための最新の Epson プリンタおよびスキャナ用ソフトウェアが含まれる」 ドライバアップデートをリリースした。サポートされる Epson についての情報は Apple のウェブサイトで読める。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、あるいは Apple のサポートダウンロードページからも入手できる。(無料、546 MB)

Epson Printer Drivers 2.2 for Mac OS X 10.6.1 へのコメントリンク:

Lexmark Printer Drivers 2.2 for Mac OS X 10.6 -- Apple が「システムで使用されるプリンタの最新のドライバが含まれる」 Lexmark プリンタ用の Snow Leopard ドライバアップデートをリリースした。サポートされる Lexmark プリンタについての情報は Apple のウェブサイトで読める。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、あるいは Apple のサポートダウンロードページからも入手できる。(無料、121 MB)

Lexmark Printer Drivers 2.2 for Mac OS X 10.6 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2010 年 1 月 4 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

年末の休暇中に私たちはあまり記事を書いていなかったが、Apple 業界で何が進行中かに注目することは続けていた。Steve Jobs が世界最高の CEO に選ばれ、Microsoft が Microsoft Word の販売を(少なくとも理論的には)禁止する判決を受け、Apple タブレット機の噂がますます盛り上がった。また、MacTech が Mac をめぐる楽しい話を募集中で、David Pogue は携帯電話キャリアの不当に高い料金を取る商慣習に対する非難の声を挙げ続け、Google は大金を慈善団体に寄付し、Apple は iMac の出荷の遅れに対して謝罪するとともに iTunes ギフトカードを Facebook 経由で購入できるようにした。それから私たちスタッフが登場したポッドキャストもいくつかあり、Glenn は素晴らしいレビュー記事で iPhone 用の GPS ナビゲーションアプリを9つ比較した。

Apple タブレットの噂総まとめ -- Apple は 1 月末にサンフランシスコの Yerba Buena Center for the Arts に会場を予約しているが、これがまたもや Apple タブレット機への臆測を掻き立てることとなった。いろいろな理論や推測、物語などが飛び交っているので、この話題で頭がクラクラしても不思議はない。この大騒動の中で考えを整理する助けになるようにと、Gizmodo がこれまで登場したすべての Apple タブレットの噂をまとめ上げてくれた。もちろん、Apple から発表のある日まで待てば分かることなのだが。

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Harvard Business Review が Steve Jobs を Top CEO に指名 -- Harvard Business Review 誌が、世界最高の成績を残した CEO として Steve Jobs の名を挙げた。この記事は世界中の 2,000 近くの会社のリーダーたちを対象に、CEO としての在職期間中におけるそれぞれの会社の業績を比較してランク付けした。1997 年に Jobs が Apple に戻って以来、同社の市場価値は 1,500 億ドルも上昇し、業界調整後収益も 3,188 パーセントにのぼった。

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Microsoft が Word 2007 販売禁止の判決を受ける -- The Wall Street Journal の記事によれば、米連邦控訴裁判所が最近出した判決により、Microsoft は 2 億 9 千万ドルの罰金を課され、2010 年 1 月 11 日以降に Word 2007 を販売することを禁止する命令を受けたという。原告は i4i Inc. という名前のカナダのソフトウェア会社で、XML コードの処理を改善するテクノロジーに関する特許侵害で 2007 年に Microsoft を訴えていた。Microsoft は、引き続き法律的手段を検討する一方で、紛争の対象となったコードを今後 Word 2007 および出荷予定の Office 2010 から削除する予定であるという。ただ、同社はプログラム自体の出荷中止は予定していないという。

コメントリンク10871

MacTech、25 周年記念で Mac ベストストーリーを募集中 -- 私たちの友人 MacTech Magazine では、同誌の 25 周年記念企画として Mac コミュニティーによる Mac に関する最高のストーリーを募集している。これから一年間、選ばれたストーリーが MacTech の各号に掲載されることになる。MacTech 創刊号が出たのは 1984 年 12 月で、それから 7 年間は MacTutor という名前で出版され続け、その後 MacTech の名前に戻っている。

コメントリンク10868

Pogue、Verizon のぼったくりを追求 -- New York Times 紙のコラムニスト David Pogue は、Verizon Wireless の価格体系が疑わしいということでこのキャリアを責め立てている。疑わしい利益を揚げているとみられる問題点としては、スマートフォンの初期キャンセル料金を倍額としていること、キーパッド上でうっかり打ってしまいやすい矢印ボタンを一回押す度にユーザーに $2 を課金していること、などがある。FCC も介入していて Verizon に対し公式に回答を求めているが、Verizon は依然として過誤を認めていない。別の言葉で言えば、隣の携帯電話キャリアの芝生は必ずしもいつも青いとは限らない、ということだ。

コメントリンク10863

ホリデーギフトの代わりに、Google は 2 千万ドルを寄付 -- 例年、Google は大口の AdWords 購入者や AdSense 出版者たちにホリデーギフトを送ることを続けてきた。ところが今年はそれをやめて、その代わりにいろいろなチャリティー団体に対して総額 2 千万ドルの寄付をしようとしている。"邪悪になるな (Don't be evil)" をモットーにしている Google が、それを行動で示したこと、ますます増え続ける安っぽい虚構の一員となるのを拒否したことを賞賛したい。

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Apple、Facebook で iTunes ギフトカードを提供 -- ホリデーの買い物シーズンは終わったが、ギフトを贈る機会は他にも年中いろいろある。大急ぎで滑り込みの贈り物をしたい場合、もしもあなたと贈る相手が二人とも Facebook ユーザーだったならば、iTunes Store ギフトカードを贈ってはいかがだろうか。iTunes を一切使わず、Facebook で仮想の iTunes ギフトカードを購入できるようになったからだ。購入のためには、Facebook 上で iTunes のファンになっておかなければならない。それから、iTunes Gifts タブをクリックして、カスタマイズと購入の説明に従えばよい。扱われる券は、$5 (これは通常 iTunes 自身経由では入手できない)、$10、$15、$25 の四種類だ。

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Apple、iMac の出荷遅延を謝罪 -- CNET への声明で、Apple のスポークスパーソンは 27-インチ iMac の出荷がすべて2週間遅れたことでクリスマス前に多くの人々に迷惑をかけたことを謝罪した。遅れの具体的な理由を Apple が明らかにすることはないが、27-インチ機種への人気が非常に高かったために注文を満たすのに困難を生じたことだけを匂わせた。どうやらこの遅れは、最近報告されていた壊れたディスプレイの問題(2009 年 12 月 10 日の記事“新しい iMac のスクリーンが壊れそしてちらつく”参照)に関係があるのではないかと思われる。21-インチ iMac の方は、今も 24 時間以内に出荷されている。

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9つの GPS ナビゲーション iPhone アプリを対決テスト -- TidBITS 編集者の Glenn Fleishman が、Macworld のために何週間もあてもなくドライブしてまわり、iPhone 用の GPS ナビゲーションを概観した記事を Macworld に載せた。記事の中で、9つのアプリと、TomTom カーキットもレビューしている。

コメントリンク10853

MacJury ポッドキャストで電子ブックリーダーのページをめくる -- Chuck Joiner が多数の電子ブック著者たちにインタビューして、Kindle や Nook などの電子ブックリーダーについて話し合った。Chuck が話した相手は Michael Cohen、Glenn Fleishman、Joe Kissell、Kirk McElhearn、Matt Neuburg だが、彼らはすべて Take Control 電子ブックの著者であるとともに、印刷された本についてもそれぞれ強い意見を持っている。

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Adam、Tech Night Owl Live ポッドキャストで 2009 年を回顧 -- 2009 年に起こった Apple 関係のニュースをすべて思い出すのは難しいことだが、Adam とホストの Gene Steinberg は過去一年間のさまざまの重大ニュースを次々と概観し、Apple が何をうまく成し遂げたか、何があまりうまく行かなかったか、話し合う。

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TidBITS Talk、2010 年 1 月 4 日のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の議論は幅広い内容にわたる。Mail と Gmail を話し合わせる方法、自分のコンピュータとして iPhone のみを使うのが可能かどうか、老朽化した Power Mac の入れ替え、Mac と Windows 両環境での OpenType フォント使用、Eudora メールボックスアーカイブの変換、マルチメディアプロジェクト If Monks had Macs の配布、プリンタのインクを不使用時にもフレッシュに保つ方法、ストリーミング音楽の録音、スキャナの購入などが話題になった。

IMAP、Gmail、そして Apple Mail -- Apple Mail が Gmail との同期をしなくなったら、どうすればよいのか? (メッセージ数 3)

G4 の後継機のお薦めは? -- ある読者が古くなった Power Mac を交換したいと思っている。でも、高額の出費をして大パワーの新機種を買う必要が、本当にあるのだろうか? それより、少し速めの PowerPC 機種を買えば彼の必要を十分満たせるのではないか? (メッセージ数 36)

流浪の iPhone 人 - それってあり得るのか? -- 旅行者ならば、旅行中に iPhone 一台だけ持っていれば十分コンピューティングの必要をまかなえるかどうか、一度は考えたことがあるだろう。でも、ある読者は、普段も iPhone を自分の唯一のコンピュータとして使い続けるのが可能かどうかと思案している。(メッセージ数 7)

OpenType .otf フォント -- OpenType フォントの一つのセットを Mac と Windows で使うことは可能だが、それでも問題が起こりがちなのは経験の教えるところだ。(メッセージ数 10)

Eudora アーカイブを他の電子メールプログラムへ -- Eudora のメールボックスを他の電子メールプログラムで使うために変換するユーティリティとして、読者たちが Emailchemy での成功例を報告する。(メッセージ数 2)

販売終了後のソフトウェア配布 - If Monks had Macs を無料配布したい -- あの古典的ソフトウェア If Monks had Macs の著者本人が、この巨大サイズのマルチメディアプロジェクトを無料で配布して、しかも多量のバンド幅に対する料金を支払わずに済む方法はないかと思案している。大多数の意見は、BitTorrent だった。(メッセージ数 19)

インクジェットプリンタを数カ月保管 - インクを乾かさない方法は? -- 数カ月使わない間インクが乾き切らないようにするには、インクカートリッジを別の場所へ運ぶのがベストな方法か? それとも、安いレーザープリンタを買う方が賢明か? (メッセージ数 16)

WireTap で Apogee One をどこかで使っている人は? -- Skype 通話やストリーミング音楽などの入力サウンドを録音するために助言を求めている読者がいる。(メッセージ数 4)

スキャナ購入で助言求む -- スキャナについて、読者たちがいろいろな意見や体験を寄せる。(メッセージ数 7)


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