TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1010/18-Jan-2010

先週 Google が中国での検索結果に検閲を加えないと決定したことについては何も新しいニュースがなかったが、今週号には Google を利用する際の実用的側面にかかわるニュースがある。Gmail が暗号化されたセッションをデフォルトとするようになり、また Google Docs が任意のファイルタイプを保存できる機能を追加したことが発表されたのだ。Glenn Fleishman は遠隔操作ソフトウェア GoToMyPC の Mac 用バージョンが Citrix から出たことを伝え、"Take Control of Running Windows on a Mac, Fourth Edition" が刊行され、Adam は来たるべき Apple のメディアイベントのニュース(Tablet って? どんなタブレット機だ?)を伝えるとともに、iPod touch を Mac に繋ぐとなぜ iPhoto が勝手に起動するのかというミステリーを解明する。Doug McLean はハイチの壊滅的地震の後の救援活動にテクノロジー世界がどのように援助の手を差し伸べているかをまとめ、ゲスト寄稿者の Steve McCabe が無制限のインターネットアクセスは必ずしも基本的権利とは言えない、ことにニュージーランドでは、という楽しく読める検討記事で TidBITS にデビューする。今週の注目すべきソフトウェアリリースは、Logic Pro 9.1、Main Stage 2.1、Radioshift 1.5.2、Apple Remote Desktop 3.3.2、それに Typinator 3.7 だ。

記事:

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Apple、1 月 27 日のメディアイベント開催を確認

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

噂されていたメディアイベントを 2010 年 1 月 27 日の水曜日にサンフランシスコの Yerba Buena Center for the Arts で開催することを、Apple がメディア各社に電子メールの招待状を送ることにより正式に発表した。TidBITS にもこの招待状が届いた。いつもと同様、招待状はそこで何が発表されるかには全く触れておらず、ただ開催日時と場所、道順だけが「どうぞ私たちの最新の創作物を見においでください」という言葉とともに、絵の具をはね飛ばしたような絵の下に書かれていただけだった。

Apple-invite

これまで私たちが話をした人たちのほとんどが、Apple が何らかのタブレットサイズの機器を発表するだろうと予想していた。ただ、さまざまの臆測が入り乱れていて、それ以上のことを自信を持って断言するのは不可能だ。けれども Apple が完全に予想外のものを出してきて人々を驚かせるのは過去にもあったことだし、ひょっとしたら今回も起こるかもしれない。

言うまでもなく、この発表のタイミングは従来 Macworld Expo が開かれていた 1 月初めと新たに開催されるようになった 2 月中旬との間という意味で、ある意味皮肉だ。それともこれは、Apple が大規模なトレードショウに便乗せずとも独自の力で十分なレベルのメディア注目を集められるということを強調するために意図的にこのようなスケジュールにしたのだろうか。

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ハイチへのテックベースの援助

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

ハイチの最近の地震で発生したとてつもない災害を自分の事として理解するのはたやすい事ではないし、そして我々の多くは数千マイル離れた所の破壊のニュースを、我々の家や職場の安らぎと安全の中で消化すると言う事で更に難しくなった挑戦でもある。しかし距離が離れているからと言って我々が受身であったり或いは知らん顔でいたりする必要は無い。このネットワーク化が進んだ社会にあっては救助活動を援助するのに積極的に参加するのは以前にも増して容易になっている。

AT&T -- AT&T 携帯電話のユーザーは - 殆ど全ての米国の iPhone ユーザーを含めて - テキストメッセージを一つ送るだけで Red Cross International Relief Fund に $10 の寄付をすることが出来る。寄付をするには、90999 の番号に "HAITI" と言う単語をテキストする、そして確認のメッセージに "Yes" という単語を送り返せばあなたの寄付は完了する。

この記事を書いている時点で、この方法はもう既に $10 million 以上を集めた。mGive Foundation (寄付を現地に送るため Red Cross と AT&T と一緒に働いている会社) のディレクターである Jenifer Snyder は言う、"今までこれ程大きいモバイル寄付は経験がありません。" そして、そう、mGive は手数料を取っていない:寄付の全てが Red Cross に渡されている。もし iPhone ユーザー全てが参加したら、救援基金にどれ程の金額が集められるか考えてみて欲しい。

Sprint, T-Mobile, そして Verizon もまたこのテキスト寄付運動に参加しているので (この $10 million の数字にはこれらの携帯の顧客からの寄付も含まれている)、あなたが AT&T の顧客ではなくともこの運動に参加できる (やり方は同じで 90999 に "HAITI" を送る)。

Yele Haiti Foundation -- 2005年に、ハイチ生まれの音楽家 Wyclef Jean は学生奨学金を提供するYele Haiti Foundation を創設した。この地震に対応するため、この基金も Red Cross がやっているのと同様のテキストメッセージ寄付プログラムを立ち上げた。$5 の寄付をするには、501501 に "Yele" という単語をテキストする。Yele Haiti では更により高額の寄付をしたい人のためにオンラインの寄付ページも提供している。

Doctors Without Borders -- "ハイチ地震で被災した男、女、子供のための救急医療活動をサポートする" ことに対する寄付をしたい人に対しては、Doctors Without Borders(国境なき医師団)が $35 から $10,000 の寄付を受け付ける容易なオンラインの寄付ページを作成している。

Amazon -- Amazon は Mercy Corps と協力して、自身のサイトに容易な寄付ページを設定している。 寄付は今現地で必要とされている多くの基礎的な必需品を供給する手助けとなる: "Mercy Corps とその人道主義パートナーの最大のプライオリティは生存者に食料、シェルターそしてその他の日用品を提供することである。" $250 を超える寄付に対しては税金の控除のための領収書が発行される。

Google -- 災害の後を追って多くのニュース組織が探し人システムを開発した。それはハイチに愛する人達がいる人達に情報を探すことを可能にし、そして個々の人達の情報を持っている人達にそれを伝達する手段を与えることを可能にする。しかしこれらの組織側の意図は尊いものではあるが、これらのサイトが広がるにつれて実際の所情報を探しそして伝達することが余計難しくなっている。これらのサイトは元々つながっていないので、もしハイチでの連絡先を探しているとしたら、猛烈な数のシステムを調べてみなければならない - そしてそうしたとしても全ての可能性を試したかどうかは保証の限りではない。

Google Crisis Response という名前のプロジェクトに取り組んでいる Google のエンジニアチームは、組み込まれた Web アプリの中でハイチにいる人々の入手可能な情報全てを収集し結合することでこの問題に対処しようとしている。良く整理されたページから、ある特定の個人に関する情報を提供するか或いは問い合わせをすることが出来る。望むらくは、他の IT グループや組織がデータを追加して行くのにつれて、この Google アプリが情報に対する中央交換所となり、そして捜索と救助のプロセスのとりわけ難しい所を単純化してくれることを願うものである。

Google もまた地震救援活動を支援することに興味を持つ人達のためにワンストップの寄付と情報のページを作っている。このページからユーザーはUNICEFCare への寄付 (Google Checkout 経由で) を簡単に行うことが出来、そしてテキストメッセージ寄付プランに関する情報、更に寄付を受付けている数々のその他の援助組織へのリンクも提供されている。

iTunes -- 私の知る限り、Apple は未だハイチでの救援活動に対する寄付をしていないが、 同社は iTunes Store にページを作りユーザーが American Red Cross に寄付を出来るように ($5 から $200 の範囲で) することで関与している。当然のことだとは思うが、Apple は寄付から手数料は一切取らないので全額が救援活動に直接回される。

Mac デベロッパ -- 2010年1月末日まで、Gaucho Software の背後にいる開発者 Mike Piatek-Jimenez は、ハイチの救援活動に対して Seasonality (素晴らしい天気アプリケーション) の売上げの 100% を寄付している。このプログラムのコピーを購入することは、あなたが援助組織 Partners In Health に寄付をしていることと基本的には同じことを意味している。

この様な Gaucho Software の行動に刺激を受けて、Second Gear Software の Justin Williams も救援活動を支援するために一日を捧げるインディ Mac デベロッパセールを企画している。取りあえず 20 January 2010 をセールの日に設定して、参加企業は自分が経済的に出来るやり方でセール寄付に参加し、そして Mac 消費者にはこのイベントを通して寄付を意識しなくとも出来るようにしたいと Williams は望んでいる。もし興味があるのであれば、どうすれば参加できるかについての情報は Williams のブログにある。参加企業や日にちが確定するまで、中身は未だない Web サイトが設定されている。

ありがとう、そしてご注意を -- 我々もこの悲惨な自然災害により影響を受けた数百万人の人に思いを寄せているが、我々は皆さんにもこれらの救済基金の一つに寄付をすることを考えてみるよう、そして他の人にもどうやったら援助の手を差し伸べられるのかについても話の輪を広げられるようお勧めしたい。そして、悲しいことではあるが、詐欺師達もこの様なチャリティの波を利用しようとしているので、メールで受取った寄付のリンクを辿るのは避け、URL は注意深く読み、そしてあまり馴染みのない組織経由の寄付には十分注意して欲しい。

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Google の Gmail、暗号化セッションをデフォルトに

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Google が、今後すべての Gmailセッションにデフォルトで SSL/TLS の使用によるセキュア化が施されると発表した。従来、これは個々のユーザーが自分で設定画面を使って指定すべき選択項目だった。これまでのデフォルト設定は、ユーザーが Gmail にログインする際には暗号化がなされる(Google はすべてのログインをセキュア化しているからだ)けれどもセッションの内容には暗号化を加えないというものだった。今回デフォルトとなった暗号化設定は手動でオフにすることもできる。

ウェブメールのセッションを暗号化せずに提供することの問題点は何年も前から明らかとなっていた。あなたのメッセージが公共のネットワークで、例えば Wi-Fi などで傍受されてしまうかもしれないからだ。けれども 2007 年に問題はさらに深刻化した。あるセキュリティ研究者が、ログイン後もユーザーを識別できるように Google がブラウザのクッキーに置いているトークンが「サイドジャック」される、つまり近くにいるユーザーに傍受されて Gmail セッションを乗っ取るために使われる可能性があることを示したのだ。(2007 年 8 月 27 日の記事“開いた Gmail、その他サービスを Sidejack 攻撃がこじ開ける”参照。)

その当時にも SSL を使った回避策はあったが、そのためには別の URL を入力しなければならず、Google はこのオプションを表に出していなかったので、平均的なユーザーには気付く由もなかった。その後 2008 年中ごろになって、Google は SSL/TLS をデフォルトで使うというオプションを追加した。ただ、これを有効にするには個々のユーザーが自分で設定の変更をしなければならなかった。(2008 年 7 月 28 日の記事“Google Gmail がセキュアなセッションのオプションを追加”参照。)

そしてついに、2009 年中ごろに至り、多くの著名なセキュリティ専門家たちが Google に公開書簡を送って、ウェブアプリケーションのすべてのセッションをセキュア化することによってサイドジャッキングや傍受など、なりすましを通じて個人情報へのアクセスを許してしまう問題を防ぐようにと勧告した。(2009 年 6 月 19 日の記事“セキュリティ専門家、Google に全セッションのセキュア化を勧告”参照。)

その当時 Google はレイテンシーの問題(データが実際に送られる前にハンドシェーキングの処理が必要なために起こる待ち時間)や、ブロードバンドを持たない人たちに課される追加のオーバーヘッドの問題が心配だと述べていたが、どうやら今に至って Google は一部のユーザーのための速度の必要とすべてのユーザーのためのセキュリティの必要とのバランスを取るためのシステム調整を済ませたということらしい。

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Google Docs がすべてのファイルタイプを保存

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Google が、今後 Google Docs はあなたがコンピュータからアップロードできるものならば どんなタイプのファイルでも保存できる機能を持つようになると発表した。従来 Google Docs は独自のワードプロセッシング、スプレッドシート、あるいはプレゼンテーション書類のオンライン版のみしか保存することができなかった。Google は今後数週間以内にこれらの機能を組み込んで行くという。あなたのアカウントで利用できるようになった際には、Google Docs のヘッダの中に通知が出るはずだ。

ファイルは最大 250 MB まで可能で、Google は 1 GB のストレージ容量を無料で提供する。この 1 GB のストレージは、ネイティブな Google Docs ファイルに変換されていないファイル専用に使われるものだ。さらに大きな Google ストレージが欲しい場合は 1 GB あたり年額 $0.25 で購入できるが、購入できる最低量は 20 GB で年額 $5 だ。この追加ストレージは Google Docs、Gmail、Picasa すべてで共用となる。

これを Google Docs の比較的新しい機能である共有フォルダ(2009 年 10 月 13 日の記事“Google Docs、共有フォルダを追加して共同作業をより手軽に”参照)と組み合わせて使えば、アップロードしたファイルを共同作業をしている人たちと共有することができる。まだ私のアカウントではこの機能をオンにしていないので、私にはまだこの共有がただグループ間でダウンロードし合うだけに過ぎないのか、それともファイルが一般の人にも利用できるものになるのか判断がつかない。

Google は、もしも使用されるバンド幅が過大となれば、期間を限定してアクセスを制限するかもしれないと述べている。Dropbox がしているのと同様だ。

Dropbox について言えば、今回の Google Docs の新機能は歓迎すべきことだ。もちろんこれは Dropbox ほど興味深くはない。Dropbox ではコンピュータ同士でファイルの同期をさほど時間差なく行なえるし、オンラインのバックアップとバージョン管理や、iPhone クライアントまで提供しているし、大サイズのファイルには電子メールリンクも手軽に作れるのだから。ただ、Dropbox がどんなフォルダでも共有できる機能を追加してくれればよいのにと思う。現状では、特別の Dropbox フォルダの内部にあるフォルダしか共有できない。

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Citrix、遠隔操作ソフトウェア GoToMyPC の Mac 版を出荷

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Citrix が同社の GoToMyPC ソフトウェア を拡張して Mac OS X のサポートを提供した。これで、サポートされるオペレーティングシステム(さまざまの種類の Windows、Unix、Linux を含む)の走る他のコンピュータを Mac から遠隔操作できるようになり、またそれらのプラットフォームが Mac にアクセスすることもできるようになった。このソフトウェアの価格はインストールされたコンピュータ1台あたり月額 $19.95 または年額 $179.40 で、同一のライセンスで2台以上のコンピュータに使えば割引価格が適用される。遠隔アクセスにはウェブブラウザと、ダウンロードして使うプラグインが必要だ。

GoToMyPC 以外にも、遠隔スクリーン操作を提供するサービスやソフトウェアは既にいくつかある。GoToMyPC はプライベートなネットワークアドレス(通常はネットワークアドレス変換により割り当てられるもの)を持つコンピュータにインターネット上の他の場所から手が届くようにできる。遠隔操作機能以外にも、GoToMyPC を使えば操作中のコンピュータで遠隔のコンピュータからのオーディオを聴くこともできるし、遠隔のコンピュータから手元のプリンタに印刷することもできる。

最も近い競合相手は LogMeIn だ。こちらはスクリーン共有のみを提供する Mac ユーザー向け無料版も出している。月額料金を要する Pro 版は長らく Windows 版が存在しており、Mac 版は現在ベータテスト中だ。(2007 年 12 月 4 日の記事“LogMeIn for Mac リリースされる”参照。)GoToMyPC の方はモバイルソフトウェアを持っているものの、まだ iPhone クライアントは出していない。その点 LogMeIn は Ignition を提供している。(2008 年 12 月 29 日の記事“LogMeIn の Ignition for iPhone が快適なリモートアクセスを提供”参照。)

LogMeIn と違い、GoToMyPC は無料版を提供していないが、30 日間有効の試用版はある。GoToMyPC にはファイル転送と同期の機能があるが、LogMeIn の無料版にはそうした機能はない。いずれのプログラムも、遠隔操作セッションの管理には独立のアプリケーションでなくウェブブラウザを利用する。

GoToMyPC はまた Back to My Mac (どこでも My Mac) とも競合する。これは Mac OS X 10.5 Leopard で導入された Mac OS X 機能で、有料の MobileMe アカウントを使って遠隔ファイル転送やスクリーン共有を可能にするものだ。ネットワークで結ばれた状況下の作業で Back to My Mac は予期せぬ挙動をすることがあり、この点で私は LogMeIn の方が完璧な動作をすると思う。実はそれこそが、私が“Take Control of Back to My Mac”を執筆した動機の一つだった。GoToMyPC については、私はまだテストする機会を得ずにいる。

Timbuktu Pro も機能を一覧すれば GoToMyPC と似ているが、Timbuktu Pro の方はファイヤウォールやゲートウェイをあまりうまく通り抜けることができず、その点では Skype のアプリケーションサービスによるトンネリングに依存している。

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Mac 上で Windows を走らせることに関する最新の詳細が満載の新しい電子本

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

今や Intel-based Mac 上で Windows を走らせるのは当たり前のこととなってきたし、また易しくもなってきたとも思われるかもしれない。しかし、技術の神達は未だやる事があり、Windows をスムーズに走らせようとするのは時折自分の髪をかきむしりたくさせられることもある。この事実が Joe Kissell の様な Mac 記者を忙しくし続けている、そして Joe の仮想化に関連した全てのことに対する止むことなき好奇心のお陰で、我々は彼の最新の電子本 "Take Control of Running Windows on a Mac, Fourth Edition" をリリースすることが出来た。扱っているのは、最新バージョンの VMware Fusion, Parallels Desktop, VirtualBox, そして Boot Camp, そして更に Windows XP と Vista の詳細と最近リリースされた Windows 7 のアップデートされた情報も追加されている。

この 178 頁の電子本は、あなたにはどの仮想化ソフトウェアが良いのか、必要なハードウェアとソフトウェアを纏め上げ、やらねばならない準備をし (適切なフォーマットでパーティションを切る - FAT32, 他にもある?)、そしてハードウェアドライバがちゃんと働いているか、プリンタは印刷できているか、抗ウィルスソフトウェアはきちんと周辺をパトロールしているか等々が正しくなされるようにする手伝いをする。Joe は更に Mac と Windows インスタレーションの間でファイルを共有する、最新版の Parallels Desktop や VMware Fusion での気の利いた新機能を最大限活用する、あなたの Windows インスタレーションの機能的なバックアップを作成する、そして Windows を使いながら一般的に生活していくことの詳細にも立ち入る。$10 の電子本を更に価値のあるものとするため、VMware Fusion 用の $10 引き、そして Parallels Desktop 用の 10% 引きのクーポンもついて来る。

Mac 上で Windows を走らせる話をしているのに、Joe の "Take Control of VMware Fusion 3" が無料で入手出来る話をしなければ我々の怠慢と言わざるを得まい。これは VMware からの資金援助のお陰である。もし Fusion を絶対使いたいというのであれば、まず "Take Control of VMware Fusion 3" をダウンロードすべきであるが、無料の VMware Fusion 本が提供している以上の助けが必要な場合は "Take Control of Running Windows on a Mac" も有用であろう:例えば、Windows のどのバージョンをインストールすべきか決める、Boot Camp を VMware Fusion と共に働くよう設定する、或いは Boot Camp の問題を解決するなどである。"Take Control of VMware Fusion 3" は Take Control Web サイトからダウンロード出来るが、iPhone アプリバージョン (少々実験的である) のコピーも iTunes App Store から無料でダウンロード出来る。

もし既に以前のバージョンの "Take Control of Running Windows on a Mac," をお持ちなら、割引アップデートの案内がメールで行っているはずであるが、電子本を開いて最初の頁にある Check for Updates ボタンをクリックすることでもこの案内に到達できる。

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iPod touch が iPhoto を起動してしまうのを阻止する

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

読者の Warren Newman が私に奇妙な問題について便りをくれた。彼の iPod touch を彼の Mac に接続する度に、iPhoto が起動され iPod touch の Settings アプリが表示されるというのである。

Warren の問題の原因については iPhone で写真を撮ったことのある人には当たり前と思えるかもしれないが、iPod touch にはカメラは付いていないことを考えると、彼の問題はそれ程当たり前とは言えなくなる。何が起こったかと言うと、Warren は Settings アプリにいる間にうっかり iPod touch の Sleep/Wake と Home ボタンを同時に押したのである。こうするとスクリーン上にあるものが何であれそのスクリーンショットをとる事になる。

iPhone 上の写真の様に、iPod touch 上のスクリーンショットは Photos アプリの中に保存される。もっともこれらは Saved Photos (iPhone 上の Camera Roll ではなく) と呼ばれるアルバムに収められる。Saved Photos に一つでもアイテムが存在すれば、iPod touch を Mac に接続した時 iPhoto が起動される、何故ならば画像をあなたの Mac に安全保管のためコピーしたいであろうと思うからである。

解決策は簡単である。iPod touch 上で Photos アプリを開く、Saved Photos アルバムをタップ、スクリーンショットをタップ、右下の隅にあるゴミ箱ボタンをタップ、そして出てきた大きな赤い Delete Photo ボタンをタップする。代わりのやり方は、そのスクリーンショットを保存したいのであれば、聞かれた時に iPhoto にインポートし、そして iPhoto にインポートの後その写真を削除するのを許してやる。

何人かが既に指摘した様に、この問題に対する考え方には他のアプローチもある。場合によっては、iPhoto を全く立ち上げることなく、スクリーンショットをあなたの iPod touch 上に残したいということもあるであろう。これを実現するには、あなたの iPod touch を Mac につなぐ、Applications フォルダから Image Capture アプリケーションを起動する、そして Devices の下であなたの iPod touch を選択する。それから、スクリーンの左下で、"Connecting this iPod opens" ポップアップメニューから No Application を選択する。Image Capture を終了すれば将来あなたの iPod touch を接続した時も写真に関係したプログラムが開くことはないであろう。(ご推察のように、このやり方は iPhone でも働くが、あなたの iPhone の写真は何らかのアプリケーションを使って定常的にインポートしたいと思うであろう。)

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確かに、これは小さな謎に過ぎないが、あなたの iPod touch を写真の一つの出所として全く考えても見なかったとしたら、極めて不可解な謎であり得る。

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ビットに支払う: ニュージーランドでのインターネットアクセス

  文: Steve McCabe <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

説明すると長くなってしまうので理由は省くが、私は六ヵ月ほど前にニュージーランドに引っ越した。生活の拠点を移すことにしたので、意外なほど幅広くさまざまの家財道具その他を移したが、その中には信頼するわが相棒の Mac mini も含まれていた。こいつはかれこれもう一年以上にわたりウェブとメール双方のサーバとしてしっかりと働いてくれている。それから、私が生活を共にしている妻と娘もいるので、言うまでもなく、彼女たちも私と一緒に来た。

引っ越しは、ほとんど完璧に無条件の成功と言ってもよかった。ニュージーランドの人たちは親切だし、食べ物は驚くほど素晴らしいし、ワインも見事なものだ。でも、この神の恵みの国でさえも、すべてが完全という訳には行かない。ニュージーランドは、多くの面において、実際ほとんどすべての面において、本当に住みやすいところだ。けれども技術屋にとっては、そして私は恥ずかしがらず臆面もなく自分はその一員だと言いたいが、はっきりと文句を言いたいことがいくつかある。そして、その中で断然突出している不満が、バンド幅だ。と言うより、バンド幅が足りないことだ。

アメリカに住んでいたとき、私が甘やかされていたことは否定できない。たいていのアメリカ人がそうだろう。フロリダに住んでいると生活上困ったことはいろいろあったとしても、接続性の面では間違いなく恵まれていた。私の仕事部屋にはブロードバンド接続が来ていて、生まれながらの権利のごとく当然のことと思っていたが、データ量は無制限だった。私は、欲しいだけたくさんのデータを、飲み込み、吐き出すことができた。いつでも、休みなしに、インターネットは私のものだった。

けれども、ニュージーランドに来てこちらで接続の契約をしようという時になって、私たちは愕然とした。文字通り、呆然としてしまったのだ! ニュージーランドでは、インターネットは非常に限定的で、限られた情報源に過ぎなかった。これまでの「ダウンロードし放題」から「毎月最大 20 GB まで、これで月額 $100 ならありがたいと思え」へと、ロサンジェルスからオークランドへの飛行時間のうちに切り替わってしまった。(そう思うと、これはすさまじく長い飛行時間だったのだ。)妻や娘のようなインターネット中毒患者にしてみれば、これほど残忍な仕打ちはない。(もちろん私は中毒患者なんかじゃない。私は彼女たちよりはるかに高潔で、自制力に満ちている。)ニュージーランドで手に入るものすべてを考えても、このインターネットのパイプの細さだけは我慢できるものではなかった。

私たちは「倍量データ」オプションを選んだ(その場合、月額 $30 の追加料金はオプションでなく必須だった)が、毎月 40 GB でも私たちには足りなかった。数日に一度私はオンライン使用量メーターをチェックしていて(そのために貴重な数バイトがまた消費される、おお、何と残酷な、たちの悪い、むごたらしい皮肉であることよ!)その度に妻と娘にしつこくお説教をしている。Facebook は贅沢品だよ、絶対必要なものじゃないだろ、と言ってみても、中毒患者の常として、長々とステータスチェックを続けるのは普通のことでしょ、しなかったら困るのよ、と言われるのが落ちだ。私は Skype と YouTube のバンド幅使用量を計算してみる。娘がまたまた Mary-Kate と Ashley の映画を iTunes からダウンロードしたのを見て私は冷や汗を流す。(これは実際バンド幅の問題でなく、一般原則の問題だ。たとえ私たちが太平洋横断バックボーン回線に直接の無制限 T3 接続を持っていて、それが無料だったとしても、娘がそんなことをすれば私はゾッとするだろう。)自分では、私は新しく注意深いインターネットの使用習慣を身に付けた。同じページから第二のリンクを開く可能性のある場合は必ず「リンクを新規ウィンドウで開く」オプションを使う。元のページをもう一度ロードしなければならないのを避けるためだ。また、Apple Mail に毎分一回自動チェックをさせるのは止めた。チェックの度に数十バイトが消費されるからだ。塵も積もれば山となるのだ。日本語や中国語のサイトは、訪れないようにしている。2バイト文字セットが応分以上のバンド幅を占めることを知っているからだ。

私は自分の Google Analytics の数字を複雑な気持ちで眺める。一方では、私たちのいろいろのブログやオンラインでの発言を人々がページを開いて見てくれるのは、祝うべきことだ。より多くの訪問があれば、より収益が上がり、インターネットでの名声と栄光が高まる。けれども他方、ページ閲覧があればあるほど私は気をもむことになる。なぜなら、それらのページはすべて私の Mac mini がサーバとなっていて、このどうしようもない、情け容赦なく制限の課されたインターネット接続を使っているからだ。今や私の母国となったこの美しい国の写真をポストしても、サイトに訪問者がある度に私はびくびくしなければならない。Google Analytics のウェブサイトを訪れるその行為自体でさえ、貴重な貴重な数キロバイトを消費してしまうのだ。そして、この記事の文章を書くこともまた、痛みを伴う体験だ。この国での接続性が前時代的だと不満を書き連ねることによるカタルシスは疑いもなく癒しの効果があるけれども、私たちがいかに惨めに困窮しているかを世界に知らしめるために書く、その形容の一言一言が、非難に満ちた罵詈雑言の一つ一つが、それらすべての一文字一文字が、それぞれに私が他で使用できるバイト数の上限を減らすのだから。

こんなに用心しなければならない理由は単純だ。割り当ての 40 GB に達するやいなや(ちょっと考えてもみてほしい、一日当たりにするとたったの1ギガと3分の1だ。そして、愛らしく才気あふれる McCabe 夫人(彼女と私はすべてを分け合っている、私のバンド幅も含めて)はウェブデザイナーなのだ)たちまち Gollum のごとき指が、オークランドの最も暗い奥に潜むダンジョンの闇の中から伸びてきて,パチリとスイッチを切り、こう言うのだ:「お前はこれからダイヤルアップ接続だ。お前のバンド幅は俺のものだ。俺様の、大事な大事な...」[訳者注: Gollum (ゴクリ) はトールキンの指輪物語に登場するホビットの一人。]そして、それっきりだ。私たちの接続速度はアーミッシュ級のものとなり、あまりにも遅いのでパケットのデータを手で紙に書いて伝書鳩の足に結び付けた方が効率的と思えるくらいだ。ウェブページのロードには(運良くロードできればの話だが)数秒というより数分ずつかかる。YouTube なんて夢のまた夢だ。ダウンロードは... いやいやダウンロードなんて無理だ。先月、21 世紀の最初の十年紀はいつ終わるのかという問題がブログ世界を賑わせたが、ここニュージーランドではそんな議論は白い巨塔の向こうの話だ。我々はまだ、少なくともインターネットに関する限りは、まだ 1990 年代にいる。今日私の手に入る接続はあまりにも遅くて、接続を試みながら実際にモデムから出るイルカの金切り声を私の Vodafone で通話させてやりたいという気がするくらいだし、とにかくこの記事を仕上げる締め切りがないことに感謝しなければならない。ラスコー洞窟の壁画をじっと眺める方が、私が現在足かせをはめられているデータ転送よりも高速だろう。

これだけは強調しておかなければならない。私は、自分たちの貴重なデータがどこへ行っているのかについて、苦心に苦心を重ねて調べ上げてきたのだ。私が最初に注目したのは Skype だった。娘が、北半球にいる友人たちと、四六時中ビデオチャットを続けているからだ。私は iStat Menus をインストールしてみた。私に分かった範囲では、双方向ビデオ会議はたった 120 KBps ほどしか使用していなかった。でも、Vodafone の(ここが現在私たちのインターネットプロバイダだ)"check your usage" オンラインツールによれば、たった一日で私たちが 6.5 GB も使った日もあった。この数字が出た日(ちなみにこれが現時点での私たちの最高記録だ)は学校のある日だったので、それなら娘の Skype 使用が原因とは考えにくい。(そのためには娘が 15 時間ノンストップでチャットを続けなければならないだろう。彼女はやり手だが、そこまでやり手じゃない。)

ならばサーバかもしれないと私は思った。でも、こうしてニュージーランドに引っ越したことで自分で運営するサーバをあきらめるのは気が進まなかった。私は既に、自分のドメインのいくつか、mccabe.net.nz、threelions.co.nz、astralgraphics.co.nz をローカライズし終えていたからだ。それに、米国ベースのホスティングサービスで .nz ドメインを扱ってくれるところを探すのも簡単なことではない。私は自分の個人サイト stevemccabe.net をホストするだけでなく、ヨーロッパのホスティング兼再販サービスを通じてクライアントたちのサイトもホストしているのだが、このサービスはこちらの国 (Kiwi) のドメイン空間の提供は一切していない。そこで仕方なく私は GoDaddy を通じて自分のドメインを購入したのだった。それ以来私は GoDaddy の DNS 設定システムに馴染んでいるので、正直言ってここで登録して自分でホストするのが一番便利に思えるようになった。そうは言っても、GoDaddy のホスティング価格体系は信じられないほど複雑怪奇だ(以前あるクライアントに頼まれて彼らのサイトを GoDaddy で設定したことがある - おお、広告の威力よ、あの肌もあらわな胸の大きい女性の出ている広告のせいだ - それに懲りた私は以後私が自分でデザインだけでなくホスティングもすることをサービスの条件に組み入れた)し、自分で好きなようにすべてのインターネット接続を管理できる方がずっと気楽だった。

そういう訳で、私は自分のサーバのトラフィック統計を眺めてみた。その結果、ほろ苦い気持ちにさせられた。一方では、そのデータはじっくり解析する手間をかけるほどでもなかった。それは良いことだったが、他方、それは私のサイトが期待したほど訪問者のトラフィックを受けていないことも意味していた。まあとにかく、少なくとも、これで問題の原因の候補リストからまた一つ容疑者が消えた。

私はわが家の女性たちに厳しくお説教を垂れた。そして、とにかく何が何でもインターもネットも使用は禁止だと言い渡した。けれども、私たちがどんなに使用を控えても、相変わらず私たちは毎日少なくとも数百メガバイトずつを使っていた。いや、少なくとも、それだけ使っているという報告が返ってきた。

ならば、Vodafone と話をしなければなるまい。彼らとは何度か連絡が取れ、何種類かその度に異なった偽の説明が返ってきた。私がウイルスに感染しているとか (エヘン、わが家のネットワークは Apple だけだぞ)、たかり屋に侵入されているとか (WPA2 パスワードにレンガ作りの家、広い庭もある)、基本的に、彼らは何とかして私の側の問題が原因だと決めつけようとしていた。これは Vodafone 側の問題ではあり得ない、というのだ。私はもう少し押してみた。すると、彼らは私にデータ追跡装置を取り付けるようにと言い出した。さらには Vodafone の推奨するモニタ、SurplusMeterも送ってくれた。そこで私がそれをわが家のネットワークに取り付けると、やはり私が膨大な量のデータを使っているという報告が出た。その理由は単純だった。これは広域のデータのみでなく、ローカルエリアのネットワークトラフィックも一緒に計測していたのだ。例えば私の iMac は、私が何のアプリケーションを開いていない時でも、メガバイト単位でどんどんデータを流し続けていた。でも、それは一切インターネットは利用していないのだ。

ただし iTunes は別だ。けれども私は何もダウンロードしていなかった。私は、自分の AirPort Express に向けて音楽をストリームしていただけだ。ところが SurplusMeter は、モニターするように命じられたデータポート(この場合には私の AirPort カード)を出て行くすべてのパケットを記録していた。そこで私はもう一度 Vodafone に電話をかけて、SurplusMeter が報告している数字は無意味だと説明した。彼らは、まず私のローカルネットワークを丸一日停止して数字がどうなるか調べるようにと言った。やってみると、その日妻の iMac からは何と1ビットの出入りさえなかった。フム、ニュージーランドとフロリダで在宅通信勤務をするウェブデザイナーとしてはなかなかのものだ。

Vodafone は次に、わが家の回線に問題があると言い出した。それはあり得ることだ。これは相当に古い家で(たぶん戦前からの家だと思うが、どの戦争の前かは自信がない、ひょっとしたらボーア戦争かも)電話の向こうのコールセンターの人も、DSL モデムは一日四・五回程度再接続するのが普通だが、私のモデムが(私がまだ一杯目のコーヒーを飲み終えていないというのに)もう既に数十回も再接続していることに気付いていた。彼らは、問題を調査すると言ってくれたが、そのためにまず、DSL フィルタに問題がないか調べるため、私の電話回線を丸一日切らなければならない(私がお金を払っているサービスをだ)と言い出した。これは問題の原因かもしれないし、そうでないかもしれない。私には知る由もない。たぶん、彼らは今もまだテストを走らせている最中なのだろう。何はともあれ、彼らからはまだ何も返事がない。

とうとう私は先月末、Vodafone NZ の CEO である Russell Stanners に手紙を書いた。それから一週間ほど経って、Vodafone から電話があった。長いこと話したあげく、私に電話をかけてきた担当者(彼も Russell と名乗ったが、フム...)は、結局 2010 年 6 月まで契約義務のある私の一年契約を $199 の期限前解約料金なしに解約させてくれることに同意した。

私たちは TelstraClear に乗り換えるつもりだ。こちらの方が特に素晴らしいサービスだからという訳ではない。ただ、一つだけ Vodafone と違うことをしてくれる。上限を超えたとたんに「モールス信号みたいに1ビットずつ小出しにする」ような速度に落とすのでなくて、TelstraClear はギガバイト単位で料金を取って提供を続けるのだ。(私が実際に受けるサービスについてならば)追加サービスに料金を払うことはやぶさかでない。でも、もしもまた毎日 40 ギガバイトということになるのなら、原因がどこに、誰にあるにせよ、それはアウトだ。いたずらをした生徒みたいに、ピシャリと締め出しだ。まったく、もうこりごりだ。

そういう訳で、私たちは今待っている。わが家のインターネット接続は、また今月もたった二週間で前世紀的な速度に落ちてしまった。だから、私たちは皆苦闘中だ。ある夜など、これはオフラインになったのか、それとも _本当に_ 遅いだけなのか、見分けがつかなかった。それに、TelstraClear との契約はもう一週間以上前に済ませたというのに、ついさっき電話があって、クリスマスに続く真夏のホリデー期間の真っ最中でバックログが嵩んでいるため、まだ切り替えるまでにあと一週間ほどかかるとのことだった。

もうすぐ私はこの原稿を TidBITS の全世界本部にあてて電子メールで送るつもりだ。届くのがいつになるのか、私には想像もつかない。この記事は Word 書類でサイズは 41 KB、現在の私のインターネット速度を考えれば、送信が終わる頃には3月になっているかもしれない。ひょっとしたら、まずこれを CD に焼いて、ディスクを口にくわえたままカリフォルニアまで泳いで行き、アメリカ大陸を歩いて横断して Adam に手渡しした方が早いのかもしれない。

[略歴: Steve McCabe は Mac コンサルタントで技術ライター、教師でもある。この記事の内容とは全然接続点のない理由で、2009 年 4 月にニュージーランドに引っ越した。彼はニュージーランドでの冒険について語りテクノロジーを題材にしたブログを綴り、 個人ブログも再構築中だ。]

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ExtraBITS、2010 年 1 月 18 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週私たちは忙しくてあまりニュースを読まなかったので、お伝えできるのは iPhone の音声・データ無制限プランを AT&T が値下げするという Macworld の記事だけだ。そうそう、もしも電子ブックのテクノロジーと出版に興味がおありなら、Tonya の MacNotables ポッドキャストもぜひお聴きあれ。

AT&T、iPhone の無制限プランを値下げ -- Macworld の記事によれば、AT&T が iPhone の音声・データ無制限プランの価格を、音声 $100 とデータ $30 (合計 $130) から音声・データ合わせて $100 へと値下げしたという。また、無制限 Family Talk プランの価格 (現在2台の電話で $180) も下げられたが、テキストメッセージングプランの料金は変わらない。

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Tonya、MacNotables で電子ブックのテクノロジーを語る -- 今回の MacNotables ポッドキャストでは、Tonya がホストの Chuck Joiner と、CES に登場した機器について、電子ブックリーダーハードウェアが大繁殖している現状について、また電子ブックの将来についての彼女の意見をめぐって語り合う。さらに彼女は謎に満ちた Apple タブレット機についても予想する。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 1 月 18 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Logic Pro 9.1 -- Apple が同社の旗艦レベルのオーディオ録音プログラム Logic Pro の最新バージョンをリリースし、バージョン番号を 9.0.2 から 9.1 へとジャンプさせた。修正点や改善点が多数あることからも、このジャンプはうなずける。このアップデートでの主な新機能は、64-bit モードでの作業のサポート追加と 64-bit Audio Unit プラグインとの互換性追加だ。その他の大きな変更点としては、32 文字より長いファイル名を作成できる機能、EXS エディタの Contiguous Zones オプションを使ってサンプルのマッピングをする際の挙動改善、Sonnox Oxford プラグインでパラメータを調整することに関係したクラッシュのバグの解決などがある。Apple のウェブサイトにある変更点のフルリストは非常に長いが、多くの項目はマイナーな調整だ。このプログラムを 32-bit モードで走らせるには OS X 10.5.7 かそれ以降が必要、64-bit モードは Mac OS X 10.6.2 かそれ以降を要する。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、または Apple のサポートダウンロードページから入手できる。(新規購入 $499、アップデート無料、191.14 MB)

Logic Pro 9.1 へのコメントリンク

Main Stage 2.1 -- Logic Pro 9.1 のリリースに合わせ、Apple は Main Stage 2.1 もリリースし、Logic Studio の一部であるこのライブ演奏プログラムに多数の改善を盛り込んでアップデートした。主な変更点としては 64-bit モードのサポート、64-bit Audio Unit プラグインとの互換性追加、グループ化された Multiple Playback プラグインでの同期の信頼性向上、Main Stage 1.x で作成した書類との互換性向上、Loopback プラグインでの録音の改善などがある。また、クラッシュのバグも二つ修正され、その一つは既に読み込まれているコンサートの「保存」ダイアログを開いた状態で新規コンサートを作成するために Command-N を使うと引き起こされたもの、もう一つはプログラムを閉じたり終了したりした際に時々起こることのあったものだ。多くはマイナーなものだが 変更点のフルリストは Apple のウェブサイトにある。このプログラムを 32-bit モードで走らせるには OS X 10.5.7 かそれ以降が必要、64-bit モードは Mac OS X 10.6.2 かそれ以降を要する。このアップデートはソフトウェア・アップデートから、または Apple のサポートダウンロードページから入手できる。(新規購入 $499、アップデート無料、210.91 MB)

Main Stage 2.1 へのコメントリンク

Radioshift 1.5.2 -- Rogue Amoeba の Radioshift は 2009 年の末にそっと登場し、その後二回のバグ修正アップデートが続いた。Radioshift 1.5 での大きな新機能は、従来サポートされていなかった何千ものストリーム(これまでウェブベースのプレイヤーのみで利用できたものも含む)をサポートしたこと、問題のあるストリームのエラー処理を改善したこと、サードパーティのプレイヤーのインストール手順を簡略化したこと、インターフェイスの見直し、外部のオーディオ再生エンジンのクラッシュからの独立化、FileVault で保護されたホームフォルダでの自動復帰サポートなどだ。1.5.1 と 1.5.2 では、ガイドにあるプログラムのライブ聴取での問題を解消し、起動ごとに聴取履歴を正しく保つようになり、多数の見栄え上の問題点に対処した。フルのリリースノートもある。(新規購入 $32、アップデート無料、11.2 MB)

Radioshift 1.5.2 へのコメントリンク

Apple Remote Desktop 3.3.2 -- Apple Remote Desktop が、Apple Remote Desktop Client ソフトウェア(システム環境設定の共有パネルでオンにできる)と Apple Remote Desktop Admin アプリケーション(遠隔の Mac をコントロールし管理するために用いる)の双方でアップデートを受けた。これらの 3.3.2 アップデートでの修正として Apple が説明しているのはかなりマイナーな点がほどんどだが、正しくない報告が出る問題への対処、クライアントを RealVNC ビューアで制御している際の性能向上、NAT ゲートウェイの背後にあるクライアントの処理向上などがある。また、さまざまな状況での信頼性改善もあり、例えば(これまでいつも不安定だった)ドラッグ&ドロップによるコピー、新しいクライアントコンピュータの認証、またデュアル・グラフィックプロセッサ搭載、デュアルディスプレイ、あるいは特定の解像度を使うシステムの制御、などの際の信頼性が向上している。(新規購入 $299、アップデート無料、4.21 MB Client/51.41 MB Admin)

3.3.2 へのコメントリンク

Typinator 3.7 -- Ergonis Software の自動タイピングおよび自動修正ユーティリティ Typinator の最新バージョンには、あなたのワークフローを必ずや高速化できるいくつかのインターフェイス変更が盛り込まれている。中でも注目すべきは、Typinator のテキスト拡張動作を一時停止および再開するためのキーボードショートカットが設定できるようになったこと、テキスト断片にアクセスするためのより高速な方法が加わったこと、全般的にパフォーマンス速度が改善されたことなどだ。またバージョン 3.7 ではインストールの手順を効率化し、Check for Updates 機能を新設、Preferences ウィンドウを再編成している。マイナーな問題点も多数修正するとともに、Snow Leopard、Mail、Safari、Google Chrome、SubEthaEdit、Eudora との互換性も改善している。変更点のフルリストは Ergonis のウェブサイトで読める。(新規購入 19.99 ユーロ、2 年以内に購入した場合は無料アップデート、3 MB)

Typinator 3.7 へのコメントリンク


TidBITS Talk、2010 年 1 月 18 日のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の TidBITS Talk の議論で読者の話題になったのは、Mac 同士の間でのファイル同期、Universal Access 環境設定パネルを用いたカラー表示の問題解決、Internet Explorer のバージョンによって MobileMe が使えないことのある問題、iPhone を赤外線リモコンとして使うことの是非、低視力のユーザーのための情報源、それから、少なくとも一人のユーザーには、新しい MacBook Pro を購入するために外国に旅行した方がお金の節約になる、という話だ。

複数の Mac 間でファイル同期 -- 二台の Mac の間で重要なファイルを同期させておくための数多くの方法を読者たちが提案する。(メッセージ数 34)

Windows の Internet Explorer で MobileMe にアクセス -- Apple は古いバージョンの Internet Explorer では MobileMe のアクセスを制限しているが、そのため公共用のコンピュータを使ってこのサービスにアクセスしようという場合に不便なことがある。(メッセージ数 2)

13 インチ MacBook Pro の箱のサイズは? -- ある読者が、別の国に行って新しい MacBook Pro を買おうと計画している。Apple が彼の国で販売している価格に比べれば、たとえ航空運賃を払ってもその方が安くつくからだ。(メッセージ数 5)

不可解なカラーの問題 -- ある読者の iMac でカラーの表示が奇妙な具合になってしまったが、その理由はシステム環境設定のユニバーサルアクセスパネルにある「コントラストを強調」スライダーのせいだった。(メッセージ数 20)

iPhone リモコン -- iPhone を赤外線リモコンとして使うというが、本当にそんな市場が存在するのか? (メッセージ数 9)

低視力ユーザーのための Mac アクセシビリティ -- 視力に問題のある Mac ユーザーたちのための情報源を読者たちが紹介する。(メッセージ数 3)


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