TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1015/22-Feb-2010

これはなかなか仕上がらなかった記事だが、やっと私たちはこの 2010 年内に Apple が成し遂げて欲しい現実的なことをまとめた記事を書き上げた。今週号ではまた Rich Mogull が iPad に備えるために企業たちが何をすべきか検討し、Doug McLean はなぜ Greenpeace が Apple を標的にし続けるのか考える。それから Glenn Fleishman が Verizon スマートフォン上の Skype クライアント、Microsoft の新しい Windows Phone 7 Series オペレーティングシステム、MobileMe ウェブサイトにおける改善、といったニュースを伝える。また、私たちが Macworld Expo に登場している様子を映したビデオが3つある! 今週注目すべきソフトウェアリリースは Firefox 3.5.8、TweetDeck 0.33.2、VMware Fusion 3.0.2、それに iStumbler 99 だ。

記事:

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MobileMe ウェブサイト、若干の Mobile Safari サポートを追加

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mobile Safari から MobileMe にアクセスできなかったというのは皮肉なことだ。MobileMe の me.com ウェブサイトは、従来は Mobile Safari から開こうとするとエラーページを開き、そこには同期のために iPhone や iPod touch をどのように設定すればよいかの情報へのリンクが示されるだけだった。今回 Apple はモバイル機器用の初期画面を変更するとともに、Knowledge Base の記事によってそのことを世界に知らせた。(この情報ページを私たちは Macworld の記事で知った。)

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電子メール、コンタクト、カレンダーについて同期を必要とすることは、許容範囲内だろう。(ただ、私としては誰か別の人の iPhone や iPod touch を使って MobileMe のウェブアプリを使えるという選択肢があった方が望ましいと思うが。)けれども、Find My iPhone/iPod touch 機能が Mobile Safari から使えなかった。つまり、もしも自分の iPod touch か iPhone をなくしたり盗まれたりすれば、誰か他の人の iPhone を使ってそれを探すことができなかったのだ!(Adam Engst が 2009 年 9 月 30 日の記事“iPhone から Find My iPhone を使う”の中で一つの回避方法を説明している。)ひょっとしたら、Apple の重役の誰かが自分のをなくして、この欠陥に気付いたか何かなのではないだろうか。

今回改訂された Mobile Safari 用の me.com 初期画面は、以前のものよりうまく整理されている。同期のための設定方法の説明へのリンクは以前と同じくそこにあるが、それに加えてあと3つボタンが増えた。Use Find My iPhone、Install Gallery App (MobileMe Gallery へのアクセス)、Install iDisk App (ファイルアクセス) の3つだ。

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Use Find My iPhone ボタンをタップすれば、ブラウザが me.com の標準的なフルスクリーンのデスクトップ用ログインウィンドウを開く。これは Mobile Safari 用にデザインされたものではないので、具合が悪い。(この機能について詳しくは、2009 年 6 月 17 日の記事“紛失した iPhone や iPod touch を iPhone OS 3.0 で探す”参照。)

ログインすると、いったんフルのメインインターフェイスが見えてから、リダイレクトによって Find My iPhone/iPod touch ページに移る。このページもやはり Mobile Safari 用には最適化されていないので、いろいろとズームしたり拡張したりしなければ、ページの内容も読めないし、また遠隔操作で電話機のデータを消去したり、4桁の PIN によって電話機をロックしたりといった機能を使うこともできない。

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Apple は、まだまださらにこの手順を改善すべきだ。ただ、今回 Find My iPhone/iPod touch が Mobile Safari からも使えるようになったことは、少なくとも正しい方向への第一歩ではある。

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Microsoft、携帯電話用 OS を改訂・改名

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Windows Mobile はスマートフォンなどハンドヘルド機のための Microsoft による一つの Windows バージョンだが、今後この名前はなくなる。新しい名前は "Windows Phone 7 Series" という、何ともエレガントとは言い難いもので、その内容はどうやら以前とは非常に異なった Microsoft 製オペレーティングシステムのようだ。名前のことはさておき、改訂されたこの Microsoft のモバイルオペレーティングシステム は同時に複数のタスクを遂行できる点を強調しており、この点が iPhone とはっきり対照的だ。

iPhone や iPod touch は現在のところ一つのプログラムのみしか前面で走ることを認めていないが、電子メールの送受信、通知の受領と表示、音楽の再生などバックグラウンドのタスクを実行するために Apple のコントロールするさまざまのプロセスも同時に走っている。

けれども、競合相手たちは複数のアクティブなプログラムが走れればスマートフォンにできることがもっと増えるという考え方をますます推し進めており、またいちいちプログラムを終了させたり起動させたりするのはコンテクスト変更(つまり動作中の複数のプログラムの間で切り替えること)に比べユーザー体験として良くないことだと主張している。(この話題については Adam Engst の 2010 年 2 月 8 日の記事“Does the iPhone OS Need Multitasking??”に対するコメントで活発な議論が続いているのでどうぞ参加して頂きたい。)

この「問題」に対する Microsoft のアプローチは、同社が「ハブ」と呼ぶものを作るという方法だ。個々のハブが、特定のいくつかの種類のタスクやアプリケーションを組織する。あるデモの中では、Start 画面がいくつかの正方形や長方形に分割され、その一つ一つがそれぞれのハブに関するライブな情報を表示する。例えば Facebook のようなソーシャルネットワーキングサイトからのアップデートを示したり、写真サイトからの新しい写真を表示したりといった具合だ。

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このデモは、かなり美しくて流麗なやり方で Microsoft の提供するいくつかのアプリケーションの間をナビゲートする様を見せている。それらのアプリケーションが、Microsoft 自身の、あるいはサードパーティの、いろいろなサービスから集められたデータを表示しアップデートする。

私は去年、数週間にわたり Zune HD を使ったことがあるが、Zune のユーザーインターフェイスが実際に新しくて魅力的なものを持ち込んでいることに感銘を受けた。つまずきも何度かあったが、Zune HD は使っていて抵抗がなく直観的だった。iPhone OS と比べれば見栄えも動作方法も少しも似たところがなかったが、流れとしては共通するところがたくさんあった。それに、ありがたいことに、Microsoft によるはるかに不格好なモバイル製品とは全然違っていた。私は Zune HD の使用感が気に入った。

さて、今回の Windows Phone はどうやらこの Zune の考え方をより広い、インターネットと繋がった世界に持ち込んだもののようだ。これは素晴らしいものが出来るかもしれない。Windows Mobile はもう引退する必要がある。そして、Apple、Google、Nokia、Research in Motion の各社は本格的な競合相手を利用できるかもしれない。ことに、相手がインストール基盤の大きさを頼りに製品の改善を見送ろうとするようならば。

そうは言っても、この Windows Phone のデモやそれをめぐる詳細情報のどこを見ても、サードパーティのアプリケーションがどのようにこのプラットフォームに組み入れられるのかが見えてこない。他のことでもごく表面的なこと以外は何も分からない。Windows Vista における一つの問題は、これがさまざまの意味で Windows XP を改善してはいるものの、表面をちょっと引っ掻けばすぐに XP のダイアログボックスが(さらにはもっと古いお粗末なものさえも)見え、ごく薄っぺらな UI レイヤーの下にそうしたものがそのまま残っていて自己主張しているのが分かることだった。

Windows Phone 7 Series は、Zune とは異なり、Microsoft によるハードウェアに向かうことはない。だから、従来何世代もの Windows Mobile PDA や携帯電話を作ってきたメーカー各社がこの新しいオペレーティングシステムをどう扱うようになるのか、私たちとしてはこれから見守るしかない。これは、通常の Microsoft の方針にずっと近い。でもそこで思い出されるのが、Mac と Windows PC との違いだ。Mac では Apple がハードウェアとオペレーティングシステムに厳重なコントロールを行使するが、Windows PC では個々のメーカーがそれぞれに異なった設計上の決断をハードウェアに施すために全体的な使い勝手が損なわれることが多い。

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Verizon、Skype にダイヤルする

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

長いこと噂されていた Verizon 向けの Skype クライアントが同社のスマートフォン用に March 2010 に出されると言う。しかしそれは我々が知っている Skype そのものではない:このクライアントは 3G でのみ働き Wi-Fi では働かない - 丁度 Skype for iPhone とは反対で、こちらは現在では Wi-Fi 上でしか働かない。この Verizon クライアントはまた米国内の通常の電話番号にもかける事は出来ず、 Skype ユーザーから他の Skype ユーザーへ接続するだけである。 Skype は全世界で 5 億以上のユーザーを有しており、そして Verizon は 9 千万を超える加入者を有している。Skype クライアントはスマートフォンアドレスブックと統合され電話するのを簡単にしている。

この無料のソフトウェアは 世界中の Skype-to-Skype の電話を 3G 経由で許すが、公衆交換電話網への Skype Out 電話は米国以外の番号に対してのみ可能となる。これでも Verizon や他のキャリアが国際電話に課してきたべらぼうに高い料金に切り込むことになるが、あなたの国内プランの中から費やさなければならない時間をデータコールで置き換えさせてはくれない。

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この原稿を書いている時点では、Skype In 番号、Skype アカウントにリンクした通常の電話番号、がこのクライアントを持った Verizon スマートフォンに回されるのかどうかは不明である。

またこのクライアントを使ってインスタントメッセージを送受信する、そして他の Skype ユーザーであなたにステータスを見ることを許可している人の Skype ステータスを見ることが出来る。

無料の Skype for iPhone ソフトウェアは Wi-Fi 上での電話しか提供していないが、どの番号へも、単に他の Skype ユーザーに対してだけでなく、電話することが出来る。この iPhone アプリはまた SMS メッセージ、そして Skype メッセージも許している。Apple と AT&T は 2009 年に 3G 上での音声通話を許すことに同意し、両社ともこれを許可するよう同意書を改新した。

しかしながら、今後予定されている iPhone OS 3.2 では VoIP over 3G を可能にするよう要求されていると言う。Skype は最近 3.2 アップデートがリリースされた後でその iPhone アプリの改訂版を計画しているが、その音声品質に満足した時にしか出荷しないと説明している。

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TidBITS スタッフ、Macworld Expo でビデオに撮られる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

以前にも増して、たとえあなたが Macworld Expo に行けなかった場合でも、見逃したことの一部をオンラインビデオで見ることができるようになってきた。Macworld や、MacVoices TV などがビデオをオンラインで提供してくれるお陰だ。私たちスタッフもいろいろな作品の中に登場したようだが、正直言って、ビデオの中で交わされている会話は、ショウの会場で多くの人たちがしていた会話とそれほど違うところがなかった。そういうわけで、どうぞあなたも、ご自分のデスクにいながらにして、ちょっぴり Macworld Expo の体験をしてみて頂きたい。ただ、これらのビデオが存在しているのは、そもそも Macworld Expo が開催されて、大勢の人たちが同じ場所に集まり顔突き合わせて会話できるようになったからこそのことだということを、どうぞ忘れないで頂きたい。

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Greenpeace、自らを Apple のスターにしたがる?

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

数週間前、環境擁護団体 Greenpeace が "Guide to Greener Electronics, 14th Edition" (優良環境企業ランキング、第 14 版) をリリースし、コンシューマ向け電子機器のメーカー 18 社をランク付けした。このリストには Apple、Microsoft、Samsung、Panasonic、Lenovo、Dell、HP、Sony、Nokia などの主だった電子機器メーカーが並び、それぞれが製品から有害な化学物質を取り除いているかどうか、リサイクルのプログラムを提供しているかどうか、自社が環境に優しい姿勢と目標を公に言明しているかどうか、など環境に関する目標をどれだけ達成しているかが評価されている。当初このレポートはいつもの Greenpeace 流の宣伝に過ぎないように思えたが、時間をかけて考えてみると、私にはこれが必ずしも Greenpeace の長期的目標のために役立っていないような気もしてきた。

今年は、Apple は Guide to Greener Electronics 順位を 去年より4つ上げて第5位にリストされた。順位は上がったものの、総合スコアの点数ではたった 0.2 ポイント上がった (4.9 から 5.1 になった) だけだ。Samsung その他の会社が従来立てられていた目標を満たせなかったために順位を下げたことも影響している。Apple が PVC (ポリ塩化ビニル) や BFR (臭素化難燃剤) を事実上すべての製品から取り除いていること(ただし PVC を含まない電源コードが安全上の理由からまだ認可されていないいくつかの国は例外とする)を、Greenpeace は以前に続き高く評価している。ただ、公的な約束や声明がないことについては引き続き Apple に苦言を呈している。(まるで Apple にしては驚きだと言わんばかりに!)Apple はまた、供給プロセスに関する情報を提供しないこと、将来どのように化学物質を段階的縮減するかについて最小限の情報しか提供していないこと、ウェブサイトに発表する情報量を減らしていることなどでも点数を下げた。

このようにランキングが乱高下するのは、各社が実際に何をしたかよりも、各社が発表する声明や約束、公的立場などを Greenpeace が重視していることが大きく影響している。Greenpeace がその方法論で批判を受けるのは今に始まったことではない。Steve Jobs 自身も 2007 年の株主総会で似たようなことを述べている。(2007 年 5 月 14 日の記事“Steve Jobs、株主総会で Greenpeace に物申す”参照。)

けれども、今年初めて導入された新しいランキングチャート "Which companies really sell greener electronics" (どの会社が本当にグリーンな電子機器を販売しているか) を見れば、Greenpeace が会社のランク付けに用いている方法を疑問視すべき新たな理由が浮かび上がる。この新しいリストでは、Apple が断然他を引き離して1位の座に輝いているのだ。Apple は、すべての製品から有害化学物質を取り除いたことでゴールドスター4個(最高点)を得た。このページで Apple にブルーリボンを与えているにもかかわらず、Greenpeace は、他のところでははっきりと全体的評価として Apple が実際中位の集団にいるとしているのだ。

では、製造過程から有害化学物質を取り除くことが全体の中でほんの一要因に過ぎないのだとしたら、いったいなぜ、グリーンであることの中のこの特定の要因だけを取り出して単独のチャートを作る意味があるのだろうか? もしも Greenpeace がちょいとものごとを細かく切り分けて、どの会社が個別の分野でよくやっているのかを示そうという気になったのだとしたら、なぜ他にも別のゴールドスターチャートを作らなかったのか? 例えば、その会社の製品がどれだけエネルギー効率が良いかを評価したり、その会社自体がどれだけ再生可能エネルギーを利用しているかを調べたりすることもできたでのはないか。私が思うに、これはまさに Greenpeace が、リストにあるたくさんの会社の中から Apple だけにスポットライトを当てることを目的として作ったものではないのか。

おそらく Greenpeace は単に Apple びいきの報道やファンたちをなだめようとしただけかもしれない。これまで Greenpeace は Apple が有毒化学物質を実際に除去したことに対して十分な評価を与えていないという(筋の通った)非難を浴びてきた。だから、今回のこのチャートは Apple によるその業績を評価するためのものなのかもしれない。けれどももしそれが本当なら、Greenpeace は製造工程を変更することが全体像の中の一部分に過ぎないという自身の主要な論拠を誤りだったと認めたことになるのではないだろうか。

もう一つの理由は、さらにげんなりさせられる類いのものかもしれない。これは、理念を売り込むにはどうするのがベストかということに関係がある。Apple の成功は、その対外イメージによるところが大きい。ただ Apple の名前を聞いただけで、それをめぐる文化(若々しく、先端的なクリエイティブなもの)や、そのブランドを具現化する人々 (Steve Jobs や Justin Long)、それから製品自体 (iPhone や iPad) が、自然と思い起こされる。Greenpeace のリストに載っている他の会社で、同じことが言えるところは一つもない。試しに、iPad のリリースを期待した最近の大騒ぎを考えてみるとよい。他に世界のどの会社で、同じことが起こると想像できるだろうか?

だから、Greenpeace にとって、自身のメッセージを付随させる相手として Apple ほど望ましい相手はいないのではないか。従来のように Apple を叱ることによって、Greenpeace はその目標も、組織としての自分自身も、ともに世間に知らしめることができた。けれども Apple を糾弾することは、効果的に報道の注目を引くことはできてもそれはほんの一時的、すぐに誰も気に留めなくなってしまう。ところが Apple をリストの一番上に据えて、輝くゴールドスターまで添えることによって、Greenpeace は再び報道や世間の注目を引くことができたわけだ。さらに今回は、一時的にスポットライトを浴びることができただけでなく、Greenpeace は自身の過去のアクションのお陰で現在の新しく改善された Apple が生まれることができたと主張することもできる。(別に私はそれが本当らしいと言っているわけではない。)こうして見ると、今回の最新ランキングは Apple が善き環境市民であるかどうかというよりも、むしろ Greenpeace の駆け引き、その報道に対する巧みな操作といったことを語っているように思える。

そうは言っても、Greenpeace の目標が悪いものだというわけではない。私たちは皆、人に優しい地球の未来を確保するために役立つことをする、というのを良き理念のリストの中に掲げているだろう。けれどもそうした理念は、やたらに口で褒めそやすことや、くるくる変わるポリシーなどに基づくものでなく、検証可能なアクションによって提示されるべきものではないだろうか。

いとも読みやすい Greenpeace のランキングリストの背後には、おそらく、電子機器のメーカー各社が環境や政策決断に対して持つ影響力を判断しようと試みるたくさんの研究があるのだろう。巧みな言葉のやり取りが最も重要視されるこの時代、Greenpeace がこれらの情報をちょいとドレスアップして読者たちを引き寄せたい、そうすればきっと読者たちも細かい情報まで読んでくれるだろう、と考えたのも無理からぬことかもしれない。私としても、Greenpeace が注目を集めたいと思った気持ちは分からないでもない。でも、ここまで怪しげなやり方でやられると、かえってその長期的な目標にまでダメージを及ぼすような気もする。もしも Greenpeace の宣伝広報活動のテクニックが、グリーンな電子機器の発信源としてこれまで築き上げてきた高潔感や信頼感に悪影響を与えるのだとしたら、もはや目標が手段を正当化するなどとは言っていられないだろう。

Apple が現在の名声を獲得したのは、激しい独立への意思と、未来を描くことへの傾倒とが原動力となった。Greenpeace も、それを見習うべきだ。そして、自ら汗した仕事の結果のみを、その理念の代弁者とするよう努めるべきだ。

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2010年に Apple にして欲しい四つの変更

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

今や Apple からの iPad の発表も済んだので (何ヶ月にも及ぶ噂と期待の高まりの後で、我々もほっと一息ついている)、我々の頭の中にも Apple が 2010年にその他どんなことをやるのかを考える余裕が出来た。

Mac の製品群では速度アップが見られるというのはまず間違いないところだと思うが、大きな工業デザインの変更を伴うと言うのは 2010年ではありそうもないと思う。iPhone OS 3.2 と言うのも間違いないし、ひょっとするとバージョン 4.0 もあるかもしれない、そして年半ばでの iPhone と iPod touch のハードウェアのアップデートというのも可能性がある。iLife も多分バージョン変更を受けるであろうが、年内の何時頃というのはまるで分からない。Mac OS X に対する小さなアップデートを予見するのは易しいと思うし、幸運なら年半ばの Worldwide Developers Conference では次の大猫の機能を垣間見ることがあるかもしれないが、しかし本体は 2011年にならないと出て来ないだろう。

そんなことは誰にでも分かるって?大概の業界予想はそんなものである、と言うのもそれらは大体過去の実績に基づいているからである。従って、Apple が何をするかを予見する代わりに、我々が今年 Apple にして欲しいことに関する進言を皆さんと共有したいと思う。そして一方的に我々の欲しいものを並べる代わりにそれを現実に近いものにする最大限の努力をするつもりである - これらのアイディアは全て Apple の能力の範囲内にあるし、そして Apple の事業方針内にも沿っていると確信している。

(欲しいものを挙げればきりがないが - Apple の App Store 規定の見直しから Cocoa フレームワークのオープンソース化まで - ここで扱うにはちょっと夢の領域にはみ出しすぎると思う。)

家庭メディアの共有 -- 計算と通信の機器は、共有して使うから個人で使うへ動き始めてかなりになる。我々は自分の Mac、自分の iPhone、そして自分の iPod を持っている。そして勿論 Apple もこれを歓迎しているであろう、と言うのも新しい顧客を一人確保するより一人のひいきの顧客に複数の製品を売る方が容易だからである。

しかし Apple が大失敗しているのはある種の _データ_ は共有財産であるとの認識であり、一方ではネットワークとデータ共有の概念を声高に叫んでいるにも関わらずである。iCal や Address Book から iTunes や iPhoto まで、家族内でデータを共有するのは、良く言っても面倒で、しばしば読み取り専用ということすらある。BusyMac の BusySync を使えば iCal の問題は解決し、そして Address Book では MobileMe ユーザーに対して Snow Leopard である種の共有能力を提供しているが、iTunes と iPhoto は依然として問題のままである、一方で iTunes に加えられたかなり分かり難い Home Sharing 機能はあるが、事情は変わらない。

実際の所、音楽と写真は間違いなく家庭内の共有財産である。何ものも - 法的であれ物理的であれ - 我々のうちの一人が我々が買った CD の一枚を再生するのを阻止できないし、デジタル写真が生まれる前からある物理的な写真アルバムを我々の誰もが見たりいじったりするのを阻止出来るものは何もない。それなのに、デジタル化した音楽や写真になるとこの様なことをするのに余計な手間をかけねばならなくなるのか?Apple は単にレコード業界に媚を売っているだけなのか、もしそうだとしても、どうしてそれが iPhoto にまで影響を及ぼすのか?

我々の理想の 2010年では、iTunes と iPhoto に対するアップデートで集中化されたデータ格納所を作成するインターフェースが与えられ、プレイリスト、レーティング、アルバム、ブック、カードと言ったユーザーが作成した集合体を共有するか、或いは分けたままにしておくかのオプションが与えられる。いずれにしても、どのユーザーも集中化されたデータ格納所に好きなように情報を追加しそしてそれを全てのユーザーに対してアクセス出来るようにすべきである。

しかし我々はもう一歩先に進み、そして Apple がこの差し迫ったニーズを金儲けの手段とする所まで立ち入って進言したい。それは Media Capsule をリリースすることである、これは Apple TV と Time Capsule を一緒にしたもので、Wi-Fi と Ethernet ルーティング、ネットワーク付属記憶装置、ネットワークバックアップ、そして共有メディアライブラリを統合し、写真やビデオを TV セットに写しそしてステレオで音楽を演奏する能力を有する。この様な機器でも、Apple の現在の Time Capsule や Apple TV の値段からすると 1 テラバイトの記憶装置を付けても $400 以下で出せるはずである。

この方向に沿ったもので Apple が取れる他の動きとしては iTunes Store のアカウントを纏めて一つの "家族アカウント" にすることを許すことであろう。これは一つのマスター MobileMe アカウントと種々のサブアカウントから成る構成の様なものである。こうすれば、共有することに絡む法的な懸念を抹消出来る可能性も見えてくる、と言うのもユーザーは共有するのは純粋に私的利用のためであることに同意するであろうからである。

MobileMe での家族サポート -- 話を続けると、MobileMe では家族プランを提供しているが、それは単に一つの個人アカウントと更に四つの家族アカウント (保存容量は減らされる) がより低価格で提供されるだけのものである。MobileMe は過去数年間で大幅に改善されたが、Apple はオンラインでつながれた家族というニーズに応える良い機会を逃している。

家族間での調整は何時の時代でも手ごわい課題であるが、このデジタル時代になって事態は一層難しくなってきている。幾つもの予定表が常に同期されていなければならなし、共有する写真もある、遠くに住む祖父母に近況を知らせておかなけばならなし、それに現在場所を知っておきたい人もいる。MobileMe には家族にとりわけアピールするサービスの核となる全ての要素は備わっている。

カレンダーの共有は恐らく一番重要な要素であろうし、現時点ではそれは殆ど実在しないに等しい。MobileMe を使えば、カレンダーを公開し他の人に見てもらうことは出来るが、カレンダーを共有し他の人にそれを変更するのを許すというは出来ない。グループカレンダーで家族の一人一人が共通の予定を共有するのを許すと言うのもない。

カレンダーの共有と家族のグループカレンダー (家族それぞれの予定と、共通の予定を示す) を追加してくれれば、皆の医者の予約や放課後の活動を調整するのに大きな助けとなるであろう。Apple が更に to-do 項目も追加してくれれば、家事を割り振ったり、完了の印も電子的に行えるようになる。

現行のカレンダー公開とは違って、Apple は共有カレンダーをセキュアでそして招かれた人だけがアクセス出来る様にし、そして人々には自分自身の予定は私的なものとしてマークすることを引き続き許すべきである、と言うのも我々全ては家族からも少しは息抜きをする必要があるからである。

カレンダーはさておいても、必要な努力は様々かもしれないが Apple が MobileMe に追加できる家族に優しい機能は他にもいろいろある。家族メーリングリストは冷蔵庫に貼り付けたり或いは弁当と一緒に包んだりしているメモにうまく取って代われると思う。Find My iPhone に対する機能強化で親があちこちに散らばった家族の居場所を知っておくことが可能になる (そして iPhone をもう何台か売る手助けにもなる);携帯電話キャリアは同様の家族の居場所探しサービスをより興味を引かない電話のために既に提供している。共有の住所録もカードや誕生会の招待状を送るのをやり易くしてくれるであろう。Apple は更に家族プランに登録された全ての iPhone や Mac 用の Parental Controls 管理を集中化することも可能である。wiki の様なサービスがあれば、家族の範囲を広げてホリデーの欲しいものリストを共有することでダブってしまうのを心配する必要もなくすることも可能になる。

そして、最後に、上記で我々が提案したメディアの共有もこのモデルだとぴったり当てはまる、とりわけ MobileMe 経由で範囲を拡大した家族と共に共有する写真のギャラリーを維持すると言うのはそうである。

モバイル機器のための MobileMe -- MobileMe の話題を離れる前にもう一つ言っておくと、iPhone OS の一部である Safari のモバイルバージョンが MobileMe をサポートしていないと言うのは何とも情けない話である。Mobile Safari から me.com を訪れると、限られたオプションしか与えられない:Mail, Contacts, Calendar を設定する (これは一つのスクリーンに移って、iPhone や iPod touch 上で内蔵のアップスを使って同期をどの様に設定するかのやり方を表示する);Find My iPhone を使う (最近追加された - ようやく! - 詳細は "MobileMe ウェブサイト、若干の Mobile Safari サポートを追加" 18 February 2010);或いは MobileMe ギャラリーを見るためには MobileMe Gallery アプリ をそしてファイルアクセスのためには iDisk アプリをインストールするオプションに行く。

Google 及び他の多くの会社が元々はデスクトップブラウザ用に意図されたサイトに対すて結構使える Web フロントエンドを構築しており、そして Apple もまたかなり素晴らしい Web アップスを持っている。では何故メール、カレンダー、そして他の拡張 MobileMe 機能にアクセスしたいという人に、同期するのではなく Mobile Safari からアクセスさせないのか?

時として友達や同僚の iPhone や iPod touch から MobileMe のデータに到達したい、或いはアカウントは持っているが同期するのではなく単にチェックしたいというような場合は、アクセスが必要になる。これは仕事の情報は同期するが、自分の個人データに対しては Web サイトからアクセスする必要があるという様なビジネスユーザーにとりわけ当てはまる。そして Apple がようやく iPhone から Find My iPhone へのアクセスを許す様にはなったが (事実は、我々がこの記事を最初に書き上げた後で)、現在のやり方は単なる応急処置で、真のサポートではない。

iPhone/iPod touch のための Bluetooth キーボードサポート -- 我々がいずれは iPhone にも言及することは、もうご推察済みでした?iPhone や iPod touch が長いドキュメントを書くのに理想的なデバイスだなどと言う人は誰もいないと思うし、そして我々も iPhone OS でデータの入力のために現れる "ガラスキーボード" にすっかり慣れてきた。

しかし Steve Jobs のハードウェアキーボードに対する蔑視にも拘らず、Apple は iPad の紹介の時に、他のどのスマートフォンメーカーの代表的なモデルにも見られる様な、iPad Keyboard Dock や Bluetooth 接続のキーボードを一緒に使うと言う痛みを敢えて選択した。

iPad 紹介の時、我々は Apple の従業員に同じ Bluetooth キーボードサポートが iPhone や iPod touch のアップデートに現れるかどうか聞いたが、これらの機器には計画されていないというのが答えだった。どうして?iPad を iPhone や iPod touch から差別化するだけのため?

(公正を期せば、iPhone OS 3.2 アップデートは、iPad でデモされたバージョンだが、未だ出荷されていないので、このソフトウェアがリリースされた時、全ての iPhone OS 機器のために、Apple が Bluetooth キーボードサポートを単に入れるというのは可能性としては十分にあり得る。)

極めて技術に長けたオーストラリアの友人が最近四週間に及ぶ多大陸にまたがる業務出張で、iPhone だけで会社とのメール、情報を探すための Web アクセス、家との電話のための Skype、そして旅行中の写真撮影をまかなった。彼は意識的に彼のラップトップを置いて行ったのだが、小さな Bluetooth キーボードがあったなら、テキスト主体の仕事ももっと楽に、人間工学的な側面も改善され、過度の iPhone 使用から来る首と肩の痛みも防げたのではないかと言っていた。民間の空の旅に対する新しい規制と検査方法の変更で、可能な限りラップトップを持たないのが望ましいという方向なのではなかろうか。

Apple がこのサポートを可能にしてこなかったことを説明できる真っ当な技術的な理由は見当たらない、電力消費だって Bluetooth を使った電話や Bluetooth ステレオ音声に較べれば極めて少ない。どうも何でもコントロールしたいという決定であって、技術的な原因に基づいたり或いはユーザーに最善の経験を提供したいという根拠はどこかに行ってしまっている様に思える。極めて単純なアップグレードでスイッチを切替えてこの機能をオンにすることは可能であると思える。

これらの変化は起こるであろうか? それは大きな問題である。我々は我々の望みを Apple の全体的な方向と考え方から外れない様なそしてそれを実現する技術の塊を持っているものを選ぼうとした積もりだが、それが果たして Apple の企業目標と合っているであろうか?

間違いなく顧客フィードバックが邪魔になることはないので、我々も皆さんに Apple の Feedback ページを使って皆さんの考えを投稿されることをお勧めしたい。しかし、同社は自分で方向を決めることで有名だ。ならば、その様な変化の原動力は、Steve Jobs 自身からでないとすれば、内部からの力として出てこなければならないのであろう。Apple の自前のプロダクトマネジャー、プログラマー、テスター、テックサポートの人達がこぞって声を挙げること、我々がここに概要を書いたような線で、彼らが Apple の製品から自分自身もっと多くを引き出したいと望むことこそが、変化を生み出すのであろう。

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あなたの会社も iPad への準備を

  文: Rich Mogull <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPad のリリースに対して多くの業界アナリストたちが示した当初の反応は、予想できるものだったとはいえ、失望を感じずにはいられないものだった。予想された通り、彼らは一様にこの Apple による最新の創作物が企業環境には全く不向きである理由を延々と述べ立て、iPad はコンシューマ向けのオモチャに過ぎないと決めつけたのだった。彼らが持ち出した不満点はいつも通り、セキュリティの心配、管理の困難さ、既存の企業向けアプリケーションへのサポートが欠けている点、といったものだ。これらの批判の言葉が、彼らのキーボードから、彼らの舌から、リハーサルを積み重ねた台詞のごとくに流れ出した。

でも彼らは間違っている。

iPad は基本的に変形の可能性を秘めたコンピューティング体験なのであって、多くのビジネスユーザーにとって、現在使っている Mac や PC よりもはるかに効率的に彼らの必要に応えるものなのだ。最初のうちは Apple のいくつかのデザイン選択の結果としてビジネス界での採択は遅いペースで進むだろうが、時間が経てば採択率も上向くだろうし、従業員からの需要やビジネス上の必要に対処するために、ビジネス界では iPad に対するサポートも、利用度も、増えて行くだろう。

iPad が企業における現存のラップトップ機やデスクトップ機をすべて置き換えてしまうとは思わないが、iPad(と、将来それから派生して出てくる製品)は特定のビジネス向け用途を満たすことをも十分考慮してデザインされており、そこには既存の方法では十分達成されなかった用途も含まれている。

テクノロジーのギャップを埋める -- 企業においては社員ユーザーのために何らかのミッドサイズの機器を必要とすることが多いが、その必要に本当の意味で適した製品はこれまでなかった。既存のタブレット機は、デスクトップのオペレーティングシステムにタブレットのインターフェイスを継ぎ合わせたものか、それとも PDA ベースのユーザーインターフェイスをより大きなディスプレイに拡大したものばかりだった。デスクトップのオペレーティングシステムを使うタブレット機は依然としてバッテリ寿命の問題やデスクトップにおける使い勝手の問題を抱えていたし、PDA ベースの機器の方は確かに起動も速くて長時間使え値段も安いという利点があるものの、ディスプレイやアプリケーションのパフォーマンスの面で重大な限界を抱えていた。それに、どちらのタイプを選ぶにしても、それらは決して本来それ自体のフォームファクターや使用目的に合わせてデザインされたものではなかった。

多くの企業、特に大企業では、モバイルコンピューティングにおける最適のバランスを見つけようと苦闘している。ユーザーのタイプによって、例えばヘルスケア、サービスエンジニア、その他動き回って仕事をするタイプの職業では、出先の仕事場できちんと仕事をサポートできるポータブル機器をずっと昔から強く求めていた。私も IT の仕事の中でその種の人たちをサポートし、さらにはその種の環境構築のデザインもしてきた経験から、正直言って現在ある機器の圧倒的大多数はフィールドワークにあまり適していないと思う。どの機器も出来が悪く、直観的に使えず、多くの場合速度も遅くて信頼性が低い。

また、頻繁に旅行をするけれども外出先ではデスクトップコンピューティングのフル環境は不要だというビジネスユーザーも多い。私自身も航空マイレージが毎年 50,000 から 100,000 マイルも溜まるが、旅先では電子メールとウェブ、自分のカレンダー、それにいくつかの生産性アプリケーション (Microsoft Office スイート) にアクセスできれば十分だ。それと、ホテルで夜遅くのんびりするためにビデオで娯楽作品が鑑賞できたりゲームも一つ二つ遊べればなお素敵だろう。納得がいかないと思われる方は、こんど飛行機の中で、空港で、ホテルで、あるいはカンファレンスの会場で、まわりにいる人たちのスクリーンをさっと見渡してみれば分かるだろう。おそらくあなたの目にしたもののうち 95 パーセントは、電子メール、映画あるいはゲーム、スプレッドシート、PowerPoint プレゼンテーション、Microsoft Word 書類、ウェブブラウザ、さもなくば PDF ファイル、これらのうちのどれかに違いない。

けれども我ら旅する戦士たちは、フルサイズのラップトップ機以外にこの目的に適った選択肢を持ち合わせていなかった。モバイルコンピューティングがいくら進歩しても、フルデスクトップのユーザーインターフェイスをネットブックのちっぽけなスクリーンと窮屈なキーボードに押し込むか、または大型で重い機器を持ち歩いて(少なくとも米国では)メジャーな航空会社の窮屈なシートの上で開くのも使うのも楽でない(あるいは機器にとって安全でない)思いをするか、二つに一つしかないのだ。それに、ラップトップもネットブックも、丸一日使い続けるわけにはいかない。あなたが、エコノミークラスの座席にも電源が供給してくれる数少ない航空会社を使っていなければの話だが。

まだリリースされていない機器について臆測を述べるのは危険なことに違いないが、どうやら iPad は現場のユーザーにもビジネス旅行者にも双方の必要を(少なくとも将来には)満たすことのできるようにうまく位置付けられているようだ。そのサイズ、シンプルさ、柔軟なユーザーインターフェイス、さらには信頼性もありそうなこと、これらはさまざまな場面で目的にぴったりマッチし、その重量、バッテリ寿命、そしてアプリケーションのサポートは特定の層のビジネス旅行者に向いている。これこそタブレットとして _デザインされた_ 初めてのタブレットだ。

けれども私が「将来には」と言ったことに注意して頂きたい。Apple ではよくあることだが、この iPad も、幅広いビジネス用途に対して公式なサポートが実現するまでには何度かの調整を経なければならないだろう。

Apple の採用サイクル -- Apple と企業との関係は、常に熱気に欠けるものであった。Apple は、何よりもまず家庭用電化製品の会社であり、それは Microsoft や、あるいは Dell などメジャーな PC メーカー各社とは違って、企業向けに販売するために必要な要件の多くを意図的に避けてきた。販売やサポートのためのオーバーヘッドに取り組む代わりに、Apple は自社の製品が企業の中でも動けるに足る機能を追加するだけにとどめて、企業向けに特化したソリューションを構築することはしなかった。

企業の資材調達担当オフィスの求める要件を目指す代わりに、大部分の機能で Apple は日常的なユーザーの必要に焦点を合わせてきた。その一方で、特定の企業クラス機能、例えば Microsoft Exchange や Active Directory のサポートなどについて、それらがコンシューマが自分の職場でも機器を使えるために基本的に重要なものだ、ということはきちんと理解してきたのだ。Apple の企業向け戦略は入門のためのバリアを下げることで直接ユーザーたちにアピールできるようにすることで、それによって予算制限のきつい IT 部局に直接販売するために必要な途方もないオーバーヘッドを避けてきたのだった。

こうして、Apple テクノロジーのほとんどすべては、次のような採用サイクルを辿ることとなった。まずハイエンドのコンシューマから始まり、その次に来るのがビジネス旅行者たちや特定の垂直市場(教育関係や、クリエイティブなプロたちなど)で、最後により広い範囲のいろいろな垂直市場(ヘルスケア、金融サービスなど)に浸透して行く。当初 IT 部局は Apple テクノロジーの採用を禁止したり抵抗したりするが、その後試験的なサポートを経て、結局は広範囲のサポートを提供するようになる。

企業でも iPad をサポートして欲しいという要求が出ることは避け難い。個々のユーザーからも、また特定の必要を持ったビジネスユニットからもそれは起こるだろう。また、たとえサポートされずともユーザーたちが職場に iPad を持ち込むようになることも避け難い。あなたが iPad をサポートするかどうか、私は指示する立場にいないが、もしもあなたが IT 部局で働いているのならば、そうした要求が _必ず_ 出てくることを、あなたが理解しておくことは重要だ。だから、あなたはそれをどのように処理するかのプランをしっかり立てておくべきだ。特に、あなたの会社の CEO が次の重役会議で iPad に触れるようなことが起こる前に準備しておくべきだろう。

iPhone のときと同じく、その圧力が起こり始めるのはゆっくりとだが、それは時間とともに確実に増して行く。iPad は新しいカテゴリーの製品であって、通常 18 から 24 ヵ月と言われる携帯電話のリフレッシュ・サイクルとは無関係なので、採用が浸透し始めるのはおそらく最初の一年くらいかけてゆっくりと動き出すくらいだろう。そして、iPad プラットフォームに第2、第3の改訂が施されるにつれて、徐々に高まってくるだろう。実際のタイミングは違うかもしれないし、もっとずっと遅いかもしれないが、いずれ他の Apple テクノロジーと同じサイクルを辿ることだけは間違いない。ユーザーたちが iPad のサポートを求め始めることは、それがいつ起こるか、どの程度声高なものになるかの点では未知の問題だが、起こるか起こらないかはもはや問題ではないのだ。

セキュリティと管理 -- 仮に iPad が iPhone と同じ基本機能を含んでいたとすれば(まだ Apple が詳細をリリースしていないので、これはあくまでも仮定の話に過ぎない)セキュリティの問題点も基本的に iPhone と類似のものになるだろう。iPhone OS は比較的セキュアなものであり、どんなデスクトップのオペレーティングシステムと比較してもはるかにセキュアだ。強力なパスワード、コード署名、VPN、リモート消去、基本的暗号化、パスワード不一致による消去などをサポートしている。理論的な攻撃方法はいくつも存在しているけれども、iPad は出荷そのままの状態でどんな既存のラップトップ機よりもセキュアだと見てよいだろう。

より困難な問題だと言えるのは、iPhone がセキュリティおよび管理用のソフトウェアをサポートしていない点だ。既存の iPhone ウイルスというものはないが、企業の順守要件の中にはアンチウイルス、真のデバイス暗号化 (iPhone の暗号化を回避するのは容易だ)、ユーザー監視など追加のセキュリティ制御を義務付けているものもあるだろう。iPhone の場合、これが問題にならないことも多い。なぜなら、良くも悪くもコンプライアンス方針では電話機とラップトップ機が同じ扱いを受けることがないからだ。けれども、iPad は新しい分類に属する機器であって、そのためさらに厳格な要件が課されることも考えられる。これはまだ答の出ていない問題であり、あなたの会社の IT、セキュリティ、コンプライアンス、リスク管理などの部局がこれから解決しなければならない問題だ。それには監査員たちの協力も必要となるかもしれない。

このような懸念のいくつかを軽減するために、iPad 用のサポートを管理することが役立つかもしれない。具体的には、特定のアプリケーションやサービスのみにしかアクセスを許さないようにするのだ。例えば、接続をサポートする対象を Microsoft Exchange (もちろんすべての電子メールが引き続きウイルスのスキャンを受けられる状態で) と、限られた数の企業用ウェブアプリケーションのみに限定することもできる。(ここでも、iPad が iPhone と同様の Exchange サポートを持つと仮定しているが、実際にはそうならない可能性もある。)

何か新しいアタックが出現するまでの間、最も大きなセキュリティ上のリスクは機器を紛失することだろう。すべての iPad で 3G 接続性を購入しかつ有効にしていない限り、リモート消去は iPhone に比べてはるかに信頼性の低いものとなる。iPad はハードウェアを用いて暗号化されるだろうと思われるが、もしもそれが iPhone 3GS と同じテクニックを使うのだとしたら、中程度の技術を持ったアタッカーでさえもその機器に物理的に触れることができさえすれば破ってしまうおそれが非常に高い。ぜひとも Apple にはこのセキュリティホールを塞いでもらいたいと思うが、もしもそうならないのならば、iPad は暗号化無しのスマートフォンよりもさらにもう少し高いレベルのリスクを持つことになるだろう。iPad がリリースされたら、私たちはこの脆弱性について詳しく調べてみなければならないと思う。

管理に関して言えば、選択肢はあまり多くない。その点では iPhone と同様だ。Apple は無線の、あるいは繋留タイプ (iTunes 経由) の展開方式によって、セキュリティやその他の設定(アプリケーションの制限も含む)に関する設定プロファイルの配備をサポートしているが、同じことが iPad にも期待できるだろう。ここで最大の問題はすべてのシステムアップデートに iTunes が必要となることだ。ただし、Apple は制限付きの iTunes 展開方式もサポートしているので、メディア管理ソフトウェアとしてはユーザーがこれを使えないようにすることはできる。

iPad の人気が高まるにつれて、別の管理ツールが登場し、企業の他のエンドポイントから iPad を管理することがサポートされるようになるかもしれない。特に、現在 iPhone のサポートを提供しているところではそれが考えられる。そうしたツールの大多数は Apple がサポートするものと同じ設定プロファイルを活用しているが、それでも Apple が別方法でのアップデートメカニズムを認めるようにならない限り、私たちは iTunes に縛られ続けなければならないだろう。この、本来コンシューマ向けメディア管理用であるツールを不細工に再目的化したツールに。

アプリケーションのサポート -- 企業環境に Apple の機器を配備する際の最も大きな障害の一つは、アプリケーションのサポートだ。カスタムのデスクトップアプリケーションを無視したとしても、ウェブベースの企業用アプリケーションであって ActiveX コントロール付きの Internet Explorer を要するものはまだまだ非常にたくさんある。さらに悪いことに、そうしたアプリケーションの多くは Internet Explorer 6 を要するため、現バージョンの Microsoft 製品に移行することすら難しくなる。

実際問題としては、それも iPad を配備する妨げにはならないはずだ。なぜなら、私たちは決して従業員たちの PC を置き換えようと言っているのではなく、追加の機器の選択肢としてそこに加えようと言っているだけだからだ。営業チームが現在使っているラップトップ機を没収してすべて iPad に交換しようという会社が近い将来に現われるなどとは到底想像できない。

IT 部局に働いているあなたが iPad を完全に禁止するつもりでいるのでない限り、社内のユーザーたちが勝手に試し始めるよりも前に、あなたが自分でテストを始めてメジャーなアプリケーションのうちどれが動作するのか確かめておく方がよいだろう。たとえあなたが公式なサポートを提供するつもりでなくても、使用可能なアプリケーションのリストを知らせておくだけでもサポートを求める電話の数が減るだろう。肝心なのは、期待感をきちんとコントロールすることだ。iPad には Flash、Java、それに ActiveX のサポートはないので、企業用アプリケーションの多くはいくらあなたがサポートしたいと思ったところでそもそも初めからアクセス不可能だ。

もう一つの大きな問題は、生産性アプリケーションだ。Apple が現在持っている答は、iWork だ。ただ、iPad ウェブサイトにある情報を見る限り、iPad の iWork は Microsoft Office ファイルフォーマットを読むことはできるが、出力できるのは PDF またが iWork ファイルのみだという。明らかに、これでは多くのビジネスユーザーにとって受け入れ難いだろう。

Apple はまたファイル管理についてもあまり詳しい情報をリリースしていない。iWork ファイルを iPad 上に持ち込むために(あるいはさらにファイルの変換を管理する目的でもという可能性もある)iTunes を備えた Mac または PC が必要となるのかもしれない。私は自分の会社で多くのことに iWork を使っている(会社の CEO であることの役得だ)が、基本的な Office ファイルでの作業にはそれほど問題なく使えるものの、やはり複雑な状況ではできることに限界がある。例えば販売担当重役が経費の管理にマクロの有効化された Excel スプレッドシートを使う必要がある場合など、これが致命的な要因となることはあり得る。

アプリケーションの地平を開く -- ここまででは iPad に既存の企業アプリケーション生態系を持ち込むことだけを議論してきた。つまり、完全に新しい、この機器のために書かれたアプリケーションの可能性については、あえて無視して話をしてきた。

何年も前のこと、私が電子的な医療記録アプリケーションをデザインして、医者たちが検査に際してもっと手軽に患者のデータを収集できるようにしようとしていた時、私が最も苦労したのは医者たちのワークフローによく合ったユーザーインターフェイスを作り出すことだった。既存のタッチスクリーンのコンピュータやラップトップ機ではこの目的にあまりぴったりせず、競合するアプリケーションのどれを試してみてもいずれも具合が悪くて直観的でなかった。それとほぼ同じ頃、私はあるメジャーなハードウェアベンダーと共にクライアントのサイトでサービスエンジニアたちを助けるためのモバイルアプリケーションをデザインする仕事をしていたが、ここでも私は上と同じフォームと機能の問題に直面した。いずれの場合も、iPad ならば楽々と既存の選択肢を打ち負かしてしまっていたことだろう。iPad のフォームファクター、バッテリ寿命、マルチタッチのサポート、そしてユーザーインターフェイスがあれば。

SalesForce MobileCisco WebEx Meeting Center のようなアプリが実証している通り、iPhone OS プラットフォームがメジャーな企業向けアプリケーションをサポートすることは可能だ。いくつかのものは、開発の状況に応じて機能の完備性を犠牲にしその代わりに使い勝手を増している。また別のものでは、特に Apple の発表イベントの中で示された医学関係の実例のようなものでは、マルチタッチのインターフェイスのお陰で従来はフルワークステーションのシステムにおいてさえ困難あるいは不可能でさえあったようなアプリケーションのインターフェイスが可能となっている。

最高の企業用 iPad アプリとは、ウェブやデスクトップで既存のクライアントのユーザーインターフェイスを少し小さいスクリーンに合わせて翻訳しただけのものであってはならない。そうではなくて、ユーザーが新たに手にした様式と、この機器の持ち運びのしやすさとの利点をフルに生かし、それを通じて社員たちの生産性を上げるものでなければならない。鍵となる状況としては、顧客関係管理、販売とサービスのサポート、経費と請求の管理、それから私がヘルスケアのアプリケーションに進出したようなタイプの垂直市場のアプリケーションなどがあるだろう。

配備の選択肢 -- 企業の中で iPad を管理するために、あなたにできる方法は4つ考えられる。

あなたがしてはいけないことがたった一つある。それは、iPad の魅力を過小評価して、ユーザーたちが仕事場に持ち込むことはないだろうと思ってしまうことだ。また、iPad を小型の Mac だとか大型の iPhone だとか見なすことも良くない。これは新たな分類に属する機器であって、確かにそのより大きな仲間やより小さな仲間と共通する特性を持ってはいるが、そのデザイン要素や使用状況は(現在のところ)他に似たものが全く無い、そういう存在なのだから。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 2 月 22 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Firefox 3.5.8 -- 既に Firefox 3.6 が出ているという事実はあるけれども、まだそれにアップグレードしていない人はリリースされたばかりの Firefox 3.5.8 を見落としてはいけない。これはいくつかの重要なセキュリティ脆弱性に対処したもので、それらはすべてメモリ破壊と任意のコード実行に結び付く可能性のあるものであった。具体的にはいくつかの JavaScript に関係したクラッシュのバグ、Firefox の Web ワーカー実装でポストメッセージの処理過程における配列データ型の扱いに誤りのあった脆弱性、それから使用中のメモリを HTML パーサが解放する方法に関する問題が解決された。今回のアップデートにおけるセキュリティコンテンツについての詳しい情報は Mozilla のウェブサイトで読める。(無料、19 MB)

Firefox 3.5.8 へのコメントリンク:

TweetDeck 0.33.2 -- Iain Dodsworth による Adobe AIR ベースの Twitter クライアント TweetDeck のバージョン 0.33.2 リリースが、大きなアップデートの後にすぐ続いて出た。バージョン 0.33 で初めて導入された変更点としては、API コール上限の増加、新設の Column Navigator、それに YouTube、Posterous、Flickr、Mobypicture、Twitgoo から来たコンテンツを TweetDeck 内でメディアプレビューできる機能などがある。また、このアップデートでは検索カラムに変更ができる(消去してから作り直す必要がない)ようになり、サポートおよびトラブルシューティング関係の機能を改善した Help セクションが新設され、多数のマイナーな問題点にも対処が施された。バージョン 0.33.10.33.2 ではそれぞれ若干の細かなバグが修正された。(無料、2 MB)

TweetDeck 0.33.2 へのコメントリンク:

VMware Fusion 3.0.2 -- VMware が小さいながら重要なメンテナンスアップデートを同社の Mac 用仮想化ソフトウェア VMware Fusion にリリースした。バージョン 3.0.2 では Mac OS X 10.6 Server の走るサーバで VMware Fusion が動作しなくなっていた互換性の問題が修正された。(新規購入 $79.99、3.0 からは無料アップデート、407 MB)

VMware Fusion 3.0.2 へのコメントリンク:

iStumbler 99 -- iStumbler は、あなたのまわりの Wi-Fi 環境について情報をスキャンし、利用可能な Bluetooth 機器があるかどうか調べ、ローカルネットワークでどの Bonjour サービスが利用可能か知るための手軽な方法だ。この最新バージョン、 リリース 99 は Mac OS X 10.6.2 かそれ以降でのみ働き、802.11a と 802.11n で使われる 5 GHz バンドのサポートを追加し、Snow Leopard における位置座標ベースのロケーション機能を利用してアプリケーションがスキャンする際に GPS 風のトラッキングができるようになった。(無料、ドネーションのお願いあり、1.1 MB)

iStumbler 99 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2010 年 2 月 22 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Macworld Expo 2010 に長滞在した後なので、先週の私たちは指をあちこち歩き回らせて、いろいろな記事を読みあさった。Macworld Expo 2011 への無料登録、Apple の秘密主義、初心者への向き合い方、HBO によるストリーミングテレビ、MacBook 修理プログラムの期間延長、Nuance による MacSpeech の買収、電子ブック読者の権利についての EFF によるガイド、SlingPlayer iPhone アプリの認可、出版予定という Steve Jobs の伝記、Google Buzz のテストが不十分であったという Google の告白、などの記事だ。

Macworld Expo 2011 無料登録 -- もしもあなたが今年の Macworld Expo が役に立ったとお思いなら、あるいは行けなかったのを悔やんでおられるなら、今登録すれば来年のショウ(2011 年 1 月 25 日から 29 日まで)の無料パスが手に入る。この提供は 2010 年 3 月 8 日までの限定だ。

コメントリンク: 11008

Reuters、Apple の製造過程秘密主義を調査 -- 私たちは皆、Apple が未発表の製品について語ることをどれだけ厳しく控えているか知っている。けれどもこの Reuters の記事を読めば、Apple が例えば Foxconn のような製造供給業者に対して、どこまで踏み込んで秘密を守るようにしているかが実感できる。この記事の描いた Apple のやり方を見れば、完全に理解できるという気がすると同時に、ちょっと背筋が寒くなる。

コメントリンク: 11023

HBO が GO サービスをスタート -- NBC、ABC、CBS、FOX といったネットワーク各局の仲間に加わるべく、HBO が新たに GO サービスによってウェブテレビの世界に足を突っ込んだ... まあ、ある意味で。そうした大手のネットワーク各局ではインターネットに繋がったコンピュータさえあれば誰でもコンテンツにアクセスできるが、HBO の GO は現在同社の通常ケーブルサービスに契約している顧客のみが利用できるようになっている。そういう人たちは、第一級のテレビ番組や映画など合計 600 時間分以上に無料でウェブアクセスができる。それ以外の人は、料金を払って観る選択肢さえない... 少なくとも現時点では。この一年のうちに、HBO がこのサービスをどう発展させ、どのように利用者を増やしていくのか、注目したい。

コメントリンク: 11021

Apple、MacBook 修理プログラムを期間延長 -- Apple が最近、一部の機種の MacBook (2006 年 5 月から 2007 年 12 月までの間に製造されたもの) について修理プログラムの期間延長を発表した。対象となるマシンは電源を入れた際に画面上に "?" マークが点滅して表示されるもので、そのようなマシンについては無料でハードディスクの交換が受けられる。保証対象となるのは最初の購入日から 3 年間か、または 2010 年 8 月 15 日までのうち、どちらか長い方の期間だ。症状の見られる MacBook を持つ顧客は、Apple 正規サービスプロバイダか、または Apple Store にマシンを持参しなければならない。また、Apple はこのプログラムの対象である問題点を修理するために既に自費で費用を払ったユーザーには返金をするとも述べた。

コメントリンク: 11020

n00bs の大統一理論に向けて -- コンピュータのベテランたちは、よく冗談で「新米」ユーザーたちがコンピューティングのごく基本的な概念を理解できないことを話題にする。けれども、実際に誰か友人を相手に何かオンラインにあるものについて理解してもらおうとする時、あるいはあなたが顧客サポートの仕事をしていて質問に答えなければならない時、それは笑い事ではなくなる。ShoveBox の開発者 Dan Grover が、コンピュータの動作方法と、コンピュータを使う人たちの抱く期待との間にある溝について語り、どうすればその体験を改善できるかについて提案を述べる。

コメントリンク:11019

EFF、電子ブック読者の権利ガイドを提供 -- The Electronic Frontier Foundation (電子フロンティア財団) が、電子ブックのデジタル権利チェックリストと称するものを出版した。これは、電子ブックを購入する際、読者たちがどれだけの権利を持っているべきかについて、広く考察と議論を喚起するために作られたものだ。

コメントリンク: 11013

MacSpeech、Nuance に買収される -- MacSpeech が Nuance に買収された。従来 MacSpeech は、Nuance からライセンスを受けた音声認識エンジンをもとに MacSpeech Dictate を動作させてきた。MacSpeech はそのエンジンのまわりに独自のインターフェイスと処理ラッパーを構築したが、これは Nuance の Dragon NaturallySpeaking とは少し違っていて、Nuance のものほどフル機能とは言い難いものであった。Nuance からは一連の iPhone アプリも出ている。

コメントリンク:11012

Apple、3G サポート付きの SlingPlayer を承認 -- 予想通り SlingPlayer のアップデートが、3G ビデオストリーミング機能を備えて App Store に登場した。SlingPlayer は iPhone OS アプリで、Slingbox デジタルビデオプレイヤーからネットワークまたはインターネット経由でメディアをストリームできる。この新バージョンでは 3G または Wi-Fi経由で接続された際にビデオが観られるようになり、これが AT&T の新ガイドラインの下に 3G ビデオストリーミングを可能にした初めてのアプリとなる。

コメントリンク:11011

Google、Buzz のテストが不十分と認める -- Google の製品マネージャが BBC に語ったところによると、同社は Google Buzz のテストを内部的にしか実施しなかったという。ただ、これは明らかなことだった。なぜなら、週に 80 時間働き続けるエンジニアでもなければ、世の中の人々が自分たちの最もよく使う電子メールやチャットのコンタクト相手全員を世界中に暴露しても何とも思わないだろうなどとは考えないはずだからだ。

コメントリンク: 11010

Jobs の伝記に彼自身が協力 -- New York Times の記事によると、ベストセラーの伝記作家 Walter Isaacson が書く Steve Jobs の伝記に彼本人が協力をするという。記事には匿名の情報源によると書かれているが、元 Time 誌の編集マネージャでもある Isaacson が過去に伝記を書いた Benjamin Franklin や Albert Einstein といった人々の列に加わるのを Jobs が嬉しく思うだろうというのは明らかだろう。

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