TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1027/10-May-2010

本と、電子メールと、iPad! おやおや、今週号にはありとあらゆる種類の内容が揃った。まず、Apple がさまざまの国における iPad の発売日と販売価格を発表した。それから、電子ブックの新刊書3冊、Mac 上の Apple Mail と、Apple Mail でのスパム対処法、それから iPad、iPhone、iPod touch における Mail アプリについてのものが出たことをお知らせする。Glenn Fleishman は iPad で本を読むことについて深く掘り下げた記事を書き、また新発売の Eye-Fi Geo X2 Wi-Fi SD カードを紹介する。Mark Anbinder は iPad 用の Bento について語り、Adam は Gmail 用の新しいプラグインが電子メールの相手についての詳しいソーシャルネットワーキング情報を提供することを報告する。それから、過去の情報を調べたい人のために、古き昔の Info-Mac Digest のほとんどすべてが新たな形で再登場したことをお伝えする。今週注目すべきソフトウェアリリースは MarsEdit 3.0、Aperture 3.0.3、Typinator 4.0、Mac Pro Audio Update 1.1、Epson Printer Drivers 2.3.1 for Mac OS X 10.6、それに Phone Amego 1.1.20 だ。

記事:

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旧 Info-Mac Digest がオンラインに返り咲く

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

5年近くも前に初代の Info-Mac の活動を終了させたのは私だった(2005 年 12 月 19 日の記事“ Info-Mac ネットワークが引退”参照)が、その際に Info-Mac の名前とドメインとを引き継いだ Dan Palka が、今回私に知らせてくれたニュースがある。彼と、多くの貢献者たちが力を合わせて、旧 Info-Mac Digests のほとんどすべてを取り揃えたコレクションを、今度は現代的なシステムの形でオンラインに復活させたのだ。さまざまの出所から探しに探して集められたその結果、出来上がったのは 1984 年から 2002 年までに投稿されたものをほぼ完璧に集めたアーカイブだ。抜けた個所が主に 1992 年と 1995 年にあるので、もしもこれらの年の Info-Mac Digest をお持ちならば、ぜひ現在の Info-Mac を運営している人たちに知らせてあげて欲しい。あるいは私に言って頂ければ喜んで取り次がせて頂く。

私は、古い情報も利用できるようにしておくべきだと固く信じている。それは最新の情報と同じ形で有用だからという訳ではない。そうではなくて、古い情報がどんな形で必要となるか、誰にも予想がつかないからだ。例えば、私たちはあるソフトウェアが出たのがいつだったかと尋ねられたことが何度もある。それは、もしもそれが特定の日付よりも以前であったならば、そちらの方が先行技術であるということで、何らかの特許を無効にすることができるからだ。(そして、この種の問題を起こす特許は、ほぼ間違いなく誰の目にも痛いほど明らかな類いのものだ。)あなたがもしも Mac の過去について何か疑問に思ったことがあったならば、今回開設されたサイトの上で旧 Info-Mac Digest のすべてを検索することができる。

このようにして新たに歴史的な情報が一挙に復帰した(さらにはソフトウェアを収蔵した Info-Mac Archive も、2005 年の時点で揃っていたファイルがすべてオンラインに復帰し、検索も可能だ)のに加え、この現代の Info-Mac には 新しい討論フォーラムや、ブログ、業界ニュース見出しリスト、広告・告知セクション、さらには買い物案内まである。

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新刊 Take Control 電子ブックが Mac、iPad、iPhone で Mail の助言

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Joe Kissell の著した新刊の Take Control 電子ブックを一冊、いや二冊、いやいや三冊まとめてご紹介できるのを嬉しく思う。三冊ともすべて Apple Mail をより効率的に使えるように手助けするとともに、電子メールに関係した厄介な問題を解決することを目指している。うち二冊は、Take Control シリーズに既存の屈強の二冊をそれぞれアップデートしたもので、もう一冊はあなたの iPad、iPhone、あるいは iPod touch で Mail アプリを使いこなすというタイムリーな話題に踏み入ったものだ。それぞれ単独に読むこともできるし、また組み合わせて読めばさらに広範囲の手引きが得られる。下にリンクを記したそれぞれの本のページで、いろいろな 30 パーセント割引のバンドル販売が利用できる。

それぞれの新刊電子ブックを具体的に紹介しよう:

これらの、また他のいろいろな Take Control 電子ブックを iPad でどのようにして読めばよいか知りたい人は、Tonya がその話題で書いた記事(2010 年 4 月 7 日の記事“Reading Take Control Ebooks on an iPad (or iPhone or iPod touch))”)をご覧頂きたい。その記事では、まだベータ版段階にある私たちの新しいアカウント管理システムも紹介している。これらの電子ブックはまだあと一週間くらい経たないと EPUB フォーマットでは出ないが、変換の作業が終わり次第 EPUB フォーマットのものも出すつもりでいる。

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国際版 iPad 出荷日と価格、発表される

  文: Doug McLean <doug_mclean@tidbits.com>, Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は iPad が公式に オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリー、日本、スペイン、スイス、そして英国で 28 May 2010 に入手出来るようになると発表した。オンラインの Apple Store, Apple の販売店、そして限定された Apple Authorized Reseller で買う事が出来る;オンラインでの予約注文は 10 May 2010 から受付ける。

Apple はまた iPad は オーストリア、ベルギー、香港、アイルランド、ルクセンブルグ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、そしてシンガポールでも July 2010 に入手出来るようになるとも言った。

Apple は米国の価格に較べてその上乗せ分を低く抑えている様に見えるが、これは稀なことである。しかし iPad は世界中で使えること、そして 3G 版はロックされずどのキャリアとでも使える可能性を持つことを考えると、Apple は軽量の iPad が米国で大量に購入され海外で再販されるのを防ごうと思っているのかもしれない。殆どの場合、国々の間での価格差は船便での配送コストよりも小さい。

機器の価格 -- Apple は幾つかの国での iPad の価格をそのプレスリリースで明らかにした。我々は他の国では報道されたものから価格情報を集め一緒にしてみた。下記の価格は Wi-Fi iPad の 16, 32, そして 64 GB 版、続いて 3G iPad の同じ容量のものの順である。

これらの価格は米国における iPad の価格帯である $499 から $829 に較べると極めて高い上乗せがされている様に見えるかもしれないが、米国価格には必須の国税が含まれていない。幾つかの米国州では消費税が 10% 近くなる所もあり、そして Apple は税が徴収される州全てで消費税を課している。米国外での iPad 価格は、価格から税金を取り除くと、米国での市場価格に 5 から 8% の上乗せがある様に見える。

サービスプラン -- 米国外の殆どのキャリアが発表したプランを見たら、アメリカ人は AT&T が議論の対象であることを喜ぶべきであろう、少なくとも今回だけは。無制限の月次サービスの様なものを提供しているキャリアは殆ど無い;データの上限を設けそれを超えると速度を 64 Kbps に制限してしまうが追加料金は発生しないという所が幾つかある。

オーストラリアとスイスを除く全ての国では、一つかそれ以上のキャリアが詳細プランを明らかにしている。O2, Orange, それに Vodafone といった幾つかの多国籍キャリアは、サービスを提供している国々に応じた異なったものを出している。

日本のソフトバンクだけが、オプションとして契約ベースのサービスを提供している;それ以外の全てのプランは一回限りか (一般的に、日或いは週単位)、或いはキャンセルされるまで(ペナルティなし)請求が繰り返されるかである。

英国では、三つのキャリアが iPad プランを提供し、全てが多くのオプションを多くの条件付きで出している。

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Eye-Fi、Apple 用 Geo カードをアップデート、ホットスポットを追加

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Eye-Fi が、Apple Store 経由のみで販売している Wi-Fi SD カメラカードを、メモリ量を倍増するとともに多数の他の機能も追加してアップデートした。新発売の Geo X2 カードは 4 GB のストレージ容量を持ち、2010 年 5 月中に $69.99 で発売される。この Eye-Fi Geo X2 は、Mac OS X 用ソフトウェアを使って写真を直接 iPhoto に転送する。

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Eye-Fi は、ごく小さな SD のフォームファクターの中に、プロセッサ、Wi-Fi ラジオ、ストレージをすべて埋め込んでいる。このカードはそれが挿入されているカメラとは独立に動作し、Wi-Fi を使って画像やビデオを転送する。転送先はローカルネットワーク上にあって Eye-Fi ソフトウェアの走るコンピュータでもよいし、あるいは直接オンラインのストレージや共有サイトへアップロードすることもできる。また、FTP や SFTP を使ってのファイル転送もできる。

今回の最新の Apple 用 Geo 機種は、速度、容量、機能のいずれにも改訂を加えて同社が主として 2010 年 3 月にリリースした一連の新しい X2 シリーズ機種の一部となる。Connect X2 ($49.99, 4 GB)、Explore X2 ($99.99, 8 GB)、Pro X2 ($149.99, 8 GB) の各機種は、それぞれ少しずつ異なった機能セットを備えている。

すべての X2 カードは高速データ転送のために 802.11n ネットワーキングを装備し、Eye-Fi 社が "Endless Memory" と銘打った機能も備えている。このオプションを有効にしておくと、カードの容量が一杯に近くなればコンピュータやウェブサイトへの転送が成功したものの中から最も古くから保存されている画像やビデオをカードが自動的に削除する。

(X2 カードも従来の機種も、たいていのカメラにあるロックあるいは保護の機能を利用できる Selective Share機能を備えている。通常これは誤って画像を削除してしまうのを予防するためのものだが、その代わりにどの写真をアップロードするかを選ぶためにも使える。この機能で、コンピュータに転送するか、オンライン共有にアップロードするか、あるいはその両方をするかを選択的に指定することができる。)

X2 機種はすべて、JPEG 画像だけでなく、MPEG-4、AVI、QuickTime などいくつかのフォーマットのムービーも転送できる。Pro X2 では raw ファイルのアップロードもできる。

Geo、Explore、Pro の各 X2 機種はすべて Skyhook Wireless の Wi-Fi 位置決めシステムを利用したジオタグ機能を持つ。写真を撮影すれば、Eye-Fi カードが近所にある Wi-Fi ネットワークのスキャンをして、その後写真が Wi-Fi 経由で(つまりカードリーダー経由のロードでなく)転送された際に Eye-Fi が画像のメタデータの中から位置座標を探し出してその情報を添付する。この位置データは iPhoto '09 と Aperture 3 が自動的に Places (撮影地) 機能のために利用する。(もちろん、近所に Wi-Fi ゲートウェイがない場合や、Skyhook がカバーしている家屋密集地域にあなたがいない場合などには、この機能は使えない。)

Explore と Pro では一年間のホットスポット無料アップロードができる。米国内では最近これが AT&T の運営する 21,000 ヵ所のホットスポットで使えるようにアップデートされ、今後二ヵ月間にさらに拡張される予定だ。ホットスポットの中へ歩いて行って、Eye-Fi カードを装着したカメラの電源を入れれば、それだけであなたの指定したサービスに自動的にログインして画像をアップロードしてくれる。

ホットスポットのアップグレードに伴って、有料および無料のホットスポットでログイン画面を開かずに済ませられる Devicescape のシステムのサポートが追加された。Devicescape で、ネットワークアクセスのためのどんな証明書でも、例えば Boingo Wireless のものでも、 Devicescape のウェブサイトにあなたが作ったアカウントの中へ入力できる。あなたがホットスポットを訪れると、舞台裏でこのソフトウェアがホットスポットのウェブサーバと交信してそれらの証明書を渡してくれる。ウェブブラウザを開く必要はもうない。

また、Devicescape は何万もの無料かつオープンなネットワークにおいて、普通ならばユーザーが何らかのメカニズムを使わなければ接続が開かれないところを、それを必要としない自動ログインができる。このソフトウェアは、例えば Eye-Fi カードのような「インターフェイスなし」の機器で素晴らしくうまく働く。

Eye-Fi はまた、Eye-Fi カードがカードリーダー経由で接続されている際にも、Mac あるいは Windows のソフトウェアを使ってネットワークパスワードやその他の設定情報を入力することができる。Devicescape は自宅と仕事場のネットワークパスワードを区別して管理することもできる。

2010 年 6 月 1 日以降、Eye-Fi はホットスポットアクセスに年額 $29.99 を課金するようになる。Connect および Geo X2 のオーナーにはアドオンとして、Explore と Pro のオーナーには最初の一年間が終わった段階での更新の形で適用される。2010 年 5 月 31 日までの間は、Connect と Geo のオーナーは販売促進価格の $14.99 で一年間のアクセスを購入できる。

思うに、今回のこの最新リリースをもって、Adam Engst が 2008 年に書いた意見記事“私が Eye-Fi Share ワイヤレス SD カードを嫌う理由”(2008 年 8 月 18 日) に述べられた問題がすべて対処済みとなったようだ。Adam はその記事で多数の不満を述べていた。iPhoto 読み込みの挙動が正しくない、ムービーの読み込みが処理できない、どの画像を転送するかが選べない、といった点だった。そればかりでなく、新機種のカードでは速度が向上しているので、メディアファイルの転送はカメラの電源が自動的に切れるよりも前に終わっていることが多い。[はてさて... 私は初代の 2 GB Eye-Fi カードとそののソフトウェアアップデートのテストに $100 もの大金と多くの時間を空費させられたので、後継機種が出ても購入したいという気は起こらないし、実際に自分で手を触れてテストしてみなければその機能改善が額面通り働くことを信用することもできない。第一、この Eye-Fi カードは通常の同等サイズの SD カードに比べて五倍から七倍もの値段がすることを忘れてはならない。-Adam]

当時、私はもっと好意的な意見を記事“私が Eye-Fi Explore ワイヤレス SD カードを好きな理由”(2008 年 8 月 18 日) に書いた。そして今回、しっかりした機能改善、メモリ量増加、高速化されたファイル転送が加わって、この現行の Eye-Fi 各機種は以前よりさらに楽しめるものになったと思う。

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Rapportive プラグインが Gmail の広告を送信者情報で置換え

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Gmail をウェブのインターフェイスでお使いの方々にニュースがある。新しく出た Rapportive という名の Firefox、Chrome、 Mailplane 用プラグインが、Gmail の右側にある広告サイドバーを、現在表示されている電子メールメッセージの送信者に関する情報を表示するウィジェットで置き換えてくれるのだ。

広告を別のもので置き換えてしまうのだから、Google がこれに対してどう考えるかは見ものだが、まだそうした発表を私は何も目にしていない。けれどもユーザー側の立場からは、一般的に言って大歓迎だと言えるだろう。あなたは今までに Gmail のメッセージの中で、広告をクリックしたことが何回あるだろうか? 私の場合は全部合わせても片手で数えられるし、そういうクリックのほとんどはこれは何の広告だろうかという純粋な好奇心からのものであって、私がその製品に興味を持ったからではなかった。Gmail の中の広告はもともと Google としてもちょっと変わったものだった。なぜなら、Gmail というのは基本的にプライベートなスペースである(Google の検索結果のような公共のスペースとは異なる)し、Google はクライアント内で電子メールを読むために POP または IMAP を使うことで広告を出さずに済むオプションを Gmail ユーザーすべてに提供しているのだし、また Google の提供する他のプライベートスペースのサービス (Docs、Reader、Calendar、Wave、iGoogle、その他) で広告を組み込んだものはないからだ。

広告を有益な情報で置き換えることは大歓迎だが、ただ Rapportive をインストールすると少しだけ機能が失われる点がある。それは Gmail の右側カラムの全体が置き換えられてしまうからだ、ここにはもともと広告の他に会話のコントロールのためのツール、例えば別のウィンドウで開いたり、電子メールを印刷したり、新規の Google Docs 書類を作ったり、会話の中のメッセージすべてを折り畳んだり展開したり、会話を転送したり、といったものが含まれている。Rapportive はこれらのリンクをメッセージ部分右端のすぐ上の個所に移動させ、リンクのテキストラベルを全部消してしまう。これだけはちょっと残念だ。

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おそらく一部の人にとってもっと問題なのは、マッピング用の住所やイベント作成用の待ち合わせ時刻などを Gmail が自動探知する機能が失われることだろう。Gmail がそういう情報を探知すると、その項目が右側カラムの中で、会話コマンドと広告との間に現われるからだ。Rapportive は、これらのショートカットを単純に使えなくしてしまう。私個人としては、別に気にならない。これらがクールな機能であることは認めるが、実際に私が使ったことは一度もないからだ。

けれども、Rapportive が提供してくれる情報の方は、非常に有益となることがある。そこにはその人の名前、写真、電子メールアドレス、所在地 (クリックすればマッピングできる)、職業、Twitter フィード、それから LinkedIn、Facebook、Flickr、その他多数の他のソーシャルネットワーキングサイトにおけるその人のページへのリンクもある。私はこれまで使ってみて、相手の人の写真や最近の tweet が見られるのがとても楽しかったし、時には、一度も会ったことのない相手の職業上の地位が分かって役に立ったこともある。この職業の情報はきっと LinkedIn から来ているのだろうと思う。LinkedIn での情報が最新のものに保たれていない場合には、少しばかり変な結果になってしまうこともある。

Rapportive はこうした情報のすべてをその人の電子メールアドレスをもとに取り寄せる。だから、少なくとも理論的には、プライバシーの侵害にはあたらないはずだ。私の見るところ一番心配なのは、電子メールは職業上の立場で通信しているけれども Twitter には個人的な立場で、しかし職業上の電子メールアドレスに対応付けられたアカウントを使って投稿している、そういう人の場合だ。ビジネス上の顧客になりそうな人や、仕事上の同僚にあてた電子メールのメッセージのすぐ横に、自分がパーティー会場で酔っぱらって書き散らした tweet が表示されてしまったら、非常に困るのではないか。しかしここでもやはり、公開された Twitter アカウントで何かを書いている限り、あなたの言ったことは、違った状況の下でもあなたと結び付けられることが十分あり得るのだということを認識しておかねばならない。

Rapportive プラグインによる表示の一番下には、あなたが書いてあなた自身だけが読めるメモを追加できるフィールドがある。これは、ほんのたまにしかやり取りをしない相手について「この人はいったい誰だっけ?」という疑問に答えるために結構役立つかもしれない。

Gmail で複数の送信者たちとの会話を読んでいる際には、右のサイドバーにどの人が登場するのかはちょっと気まぐれなところがある。たいていはそのスレッドに最後にメッセージを出した人だが、時々、そのスレッドの中途にいる人が Rapportive に顔を出してしまうことがある。Rapportive に特定の人の情報を表示するようにさせるには、メッセージの一番上の行でその人の名前の上にマウスをかざせばよい。(この技は、送信者として色付けて表示されている名前だけでなく、受信者たちの中にプレインテキストとして表示されている名前にも使える。)

Rapportive は、UserVoice フォーラムで、ユーザーからの提案を受け付けている。他のユーザーたちがどんなことを願っているのかを知るためにも、このフォーラムは一読の価値がある。私が真っ先に思い付いた要望は、現在表示されている人との間の Gmail でのやり取りすべてを表示するリンクだ。この要望は既にフォーラムに出ている。また、この UserVoice システムでは他の人たちが何を提案したかが読めるだけでなく、重複した提案を出す代わりに他の人の提案に投票をすることもできるようになっている。(余談だが、私はそれまで UserVoice システムを使ったことがなかったけれど、これは相当に良く出来たシステムだと思った。)

Rapportive を Firefox や Chrome にインストールするのは簡単で、他の機能拡張プラグインと全く同じことだ。Mailplane で Rapportive をオンにするのはもっと易しい。Mailplane の環境設定で、あなたが設定したアカウント一つごとに Advanced 表示の中にあるチェックボックスをチェックするだけで済む。悲しいかな、Rapportive は、今はまだ Safari の中では動作しない。ただ、この会社はより多くのブラウザをサポートすべく開発作業中だ。次に追加されるのは Internet Explorer 8 だという。ユーザーからの後押しさえあれば、きっと Safari もその後間もなく続くだろう。

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今のところ、Rapportive は私がかなり以前からこれまでに Gmail で見た中で(さらには電子メール全般の中で)最も興味深い追加機能の一つだ。Gmail のウェブインターフェイスを使っている人ならば、間違いなく一見の価値がある。

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Bento for iPad はただのでかい箱ではない

  文: Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
  訳: 大石哲伸<tedz2000@gmail.com>

Apple社 iPad 用最初期の App には、単に iPhone 用の Appを大きくなったスクリーンに合わせて手直ししただけに近いようなものもある。いくつかのものは避けるべくもなく、 Star Trek の PADDをまねたものになってしまったが、他のいくつかは iPad の本来の実力を見せるものだった。パーソナルデータベース、Bento for iPadは FileMaker 社から 4.99 ドルと Bento For iPhone と同じ値段で売り出され、これは、iPadを深く理解した App の例となるものである。

Bento って何? Bento は最初、単体で動作する Macintosh 用のデータベースアプリケーションとして登場した。個人利用に特化しており、リレーショナルデータベース機能を必要とせず、ネットワーク経由での利用もしない場合を想定して、FileMaker Proと差別化していた。たくさんのテンプレートが付いてくるし、 テンプレートギャラリを通じて他のユーザーと共有をする事もでき、単純な情報管理作業のためのソフトウエアとして手早く使い始められる。

2009年5月に、この会社は Bento の新しいバージョンをiPhone と iPod touch 用に追加した。この 4.99ドルのapp は携帯機器上でデータベースを扱えるようにしただけではなく、 Mac 上の Banto と同期できるようになっていた。("FileMaker、iPhone にも 4.99 ドルで Bento App を届ける" を参照)。 iPhoneはデータ入力に理想的な機器ではなく、特に文章入力は苦手だ。しかし情報を取り出す事にかけては、特に自分の Macがそばにない場合には、最適なのである。しかも、比較的小さなデータの更新と入力をするのに素晴らしく便利だ。

Bento for iPad では FileMaker 利用者はより大きな仮想キーボードを使う事ができる。 iPhoneからの大きな前進として、さらに本格的な文章入力を行える。iPad Keyboard Dock や Bluetoothキーボードが使えばさらに便利なのは云うまでもない。

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FileMaker 社はここで立ち止まってはいない。Bento は iPadの大きな画面サイズや画面回転機能をフルに活かし、レコードのリストを左側に、現在のレコードを右側になるように横置きの状態で表示する。これはMail for iPad がメールボックスのリストと一緒に開いたメールを表示するやり方で、水平に持った時に作動する。 Bentoはまた、動画や Web サイトを app の中で表示し、 Safari を起動してそちらに画面が移行してしまうような事がない。同様にMail を起動しないで電子メールを送る事も出来る。

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私が特に気に入ったのはテキストフィールドの拡大のやり方で、これはBento の開発者が iPad appのユーザーインターフェースのために特に追加したものだ。このフィールドはレコードの要約のページにプレビューが表示されるが、これをタップすると表示を拡大でき、フィールドの中身全体を編集できる。Apple 社はこのユーザーインターフェースを開発ツールに含め、他の app もこの機能を簡単に利用できるようにするべきだ。

何が足りないか? -- iPad が病院等の場所で役立つ情報収集機器である事は明らかであるが、もし、 Bento for iPadが Bento for Mac 以外とも通信できれば、と思う。 FileMaker Proと接続する機能だけでもサポートすれば、この携帯可能な Bento データベース ユーティリティプログラムをフロントエンドとして機能させる事で本格的な用途を考えているユーザーを満足させるだろう。この事は Bentoを魅力的にし、FileMakerの位置づけを「若いホッケーコーチ」あるいは「素人料理人」から、プロの人たちまでを購買層に考えたものとするだろう。ただし、現時点であり得る一つのやり方として、FileMaker Pro 11 の「定期的なインポート」機能を利用する事がある。この機能は FileMaker データベース(あるいはSQL, ODBCバックエンド データベース)に Bento での変更を反映させる事ができる。(2010年3月18日の"FileMaker Pro 11、歓迎すべき拡張を約束"を参照)。しかし、我々はこの機能が実際に Bento をサポートしたのかどうか試せてはいない。

もっと悪い事に、我々が Bento for iPhone のネットワーク機能の制限を指摘してから1年たっても、まだ、 FileMaker社はこれを解決していないし、 Banto for iPadも同じ問題を持っている事を認めてさえいる。特に問題なのは、ネットワーク上での同期機能が動作するのが iPad と Mac が同じWifiネットワークのサブネット上にいる場合のみである事だ。この事が意味するのは、もしあなたの Macが有線ネットワーク上にいるか、あるいは、数多い互換性のない無線ネットワークのどれかを使っていれば、たとえ同じアクセスポイントを使っていても論理的に違うサブネットに属していることになり、うまく通信できないと言う事だ。コンピューター -コンピューターの無線ネットワークを作成する事(AirMacメニュー > ネットワーク作成)が助けになる事もあるが、企業内やキャンパス環境等、この問題が発生すると思われる多くの場所で、これを使う事が禁止されている。

FileMaker がこの問題を解決していないので、 Bento for iPad は その iPhone版と同じ境遇に落とし込まれたまま、外の広大な世界と通信が出来ない。つまり、私の MacBook Proと通信させたくても、仕事に出かけてしまえば、単純な我が家の家庭内LANから出てしまえば、通信させられない。 Bentoが家庭内での使用だけを考えているものだとは承知している。しかし、 Mac のラップトップと iPadが素晴らしいのは、家庭内の仕事を家の外でも出来ることである。そして、そう、人々は間違いなく家の外に出歩くようになるのだから。

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iPad で読書: iBooks、Kindle、GoodReader を使ってみる

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iBooks アプリは、私の新しい iPad にダウンロードできる初めてのアプリとして特に最高に魅力的というほどのものでもなかったが、物書きたる私としても、また Take Control 電子ブックの信頼できるわが出版者たちのために働く屈強なるアシスタントとしても、やはり注目していたアプリではあった。私はまた、iPad のサポートを加えてアップデートされた Kindle アプリもインストールした。これは Amazon が 3 月に公式に発表していたものだ。(2010 年 3 月 22 日の記事“Amazon、Kindle for Mac をリリースそして iPad 計画も明らかに”参照。)

いずれのアプリも無料でダウンロードできる。iBooks は iPad にバンドル組み込みされておらず、iPad が他の 9 ヵ国で出荷となる 2010 年 5 月 28 日までの間は米国内のみでダウンロード可能だ。Kindle アプリは多くの国で入手可能だ(Amazon はどの国で入手可能かの具体的情報を出していない)が、 どれだけの書籍タイトルが入手可能かは国によって異なる

これら二つの電子ブック専用リーダーに加えて、私は iPad 用 GoodReader も試してみることにした。こちらは多目的ファイルビューワで、従来は iPhone と iPod touch 用に出ていたものが、iPad 用に最適化されたものだ。これは $0.99 で販売されている。GoodReader は、PDF やテキスト書類を保存したり読んだりするための素晴らしいツールとなるが、それ以外にも iPhone OS のサポートする書類タイプすべて、写真やビデオなども保存し処理することができる。iBooks や、iPad 用 Kindle とは異なり、GoodReader 内部からコンテンツを購入する方法はない。

それからまた Stanza もある。こちらは Amazon の子会社 Lexcycle から出ている無料の読書アプリで、これもまた独自のストアを持っていてそこから本を購入できるが、これにはまだ iPad サポートを加えたアップデートが出ていない。(もちろん現行の Stanza アプリも iPad 上で動くことは動くが、iPhone アプリ用のピクセル忠実な小型サイズの画面か、またはサイズは大きいが文字がぼやけて読みにくいピクセル2倍画面か、どちらかになる。)これも、またひょっとしたら B&N eReader など他のアプリも、iPad 対応バージョンが出た後でまた記事にしたいと思う。

さて、最初に挙げた三つのアプリについて、私がそのデモ実演を録画したビデオを作ったので、YouTube でご覧頂きたい。(長いので2部に分割してある。) 第1部が iBooks と Kindle アプリを、第2部が GoodReader を紹介している。

私は Kindle も Kindle 2 も使ったことがある(ただし iPad とほぼ同じ大きさの大判 Kindle DX は使ったことがない)し、さまざなタイプのモバイルあるいはポータブル機器で電子ブックを読んでみたことがある。私は iPhone 上で動く Kindle アプリが大いに気に入って、旅行中や、暇な時間など、それを使ってたくさんの本を読んだ。

iPad は、私が今までに使ったことのあるどんなものよりも、断然優れている。その事実は私が試したどんなブックビューワあるいはファイルビューワを使っても変わらない。大きさも形もちょうど良いし、画面の解像度も十分な上に、素晴らしく豊かなカラーが加わって本の内容をフルに体感できる。iPad を両手で支えたとしても読書をするには短時間でさえ重過ぎるが、スタンドや、膝の上、サイドテーブルやその他の台の上でならば、何の問題もなく使える。

Kindle を持っている友人や同僚たちの何人かは、iPad のディスプレイがどれほど素晴らしいか知らないが、伝統的なバックライト付きディスプレイなんかよりも Amazon の機器のディスプレイの方が目に優しいから好きだと言っていた。私の場合、はるかに窮屈な使用感であるはずの LED バックライト付きの iPhone で何ヵ月も読書をしてきた経験からそれは何も問題でないとは思うが、判断材料として覚えておくべき点ではあるだろう。

では、三つのアプリを順に見て行こう。

iBooks にブック (本) を入手する -- iPad に iBooks アプリが登場すること、また付随する iBookstore についてさまざまのつぶやき声 (Twitter) が飛び交っている。その理由の多くは、そこでの価格設定が Amazon の築いてきた価格構造を根底から揺るがそうとしているからだ。それはそれとして、この記事ではどんな本が入手可能か、それから読書体験はどんな感じか、ということに関心を絞っておきたい。価格が公正なものかどうかという議論については、また別の機会に譲ることにしよう。

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まず、本の入手可能性の話題から始めよう。次のセクションでは、iBooks で本を読むのがどんな感じかを論じることにしよう。

Apple がまだ iBookstore に本を積み込む作業中であることは明らかだ。いくつかの New York Times のベストセラー本や、数多くのお馴染みのタイトルは既に書棚に並んでいるけれども、現在や過去の人気ある小説やノンフィクションの作家の名前を検索してみたところ、マッチが出た作者の数はそれほど多くなかった。

例えば、Philip K. Dick[訳者注: 20 世紀アメリカのSF作家で、代表作は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(映画「ブレードランナー」の原作)]の作品は近所の公共図書館で棚一杯にずらりと本が並んでいるし、Amazon の Kindle リストには彼の著書あるいは彼の作品を含んだ本が 36 冊ある。それなのに iBookstore にはたった2冊(それも私が聞いたことのないタイトルが2冊)しかなかった。

iBookstore 内部の検索機能はシンプルであると同時にイライラさせられる。右上にある検索フィールドに著者名かタイトル名をタイプし始めると、候補の提案が並び始める。ただし、私の使う高速ケーブル接続と 802.11n Wi-Fi をもってしてさえ、即座には候補が出てこない。私が "Philip K. Dick" とタップし終えたころには、自動補完検索が勝手に続いていて別の著者名が彼の名前をスクロールして押し出してしまっているのだ。ジャンル機能もブラウズ機能もまだないし、お気に入りの著者名をマークしたり特定のシリーズを追跡したりする機能もない。

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私が見つけた本のいずれにも、ダウンロード可能なサンプル(一つの章か、本によってはそれ以上)があった。いずれのサンプルも気前の良い印象を与え、各ページの一番上にある小さな Buy ボタンと、最後のページ一杯に描かれている本のアイコンと購入ボタンとによって、本全体が購入可能なことを思い出させてくれる。メインの Library 表示の中でも、サンプルは Sample バナーの縞模様表示が付いて登場する。

結局私は人気のノンフィクション本 "This Book Is Overdue!" を購入した。とにかくこの購入機能をテストしてみようと思ったからだ。本の購入も、楽曲やアプリ、ビデオと同様に iTunes Store アカウントを使ってする。購入の際、ダウンロードの進行状況がその本のアイコンの上に重なって見える進行バーで表示される。iPhone OS でアプリをダウンロードする場合と同じだ。

Apple は本のレビューについてはライセンスもアグリゲートもしない道を選択した。だから、個々のタイトルに関する情報はここではあまり得られない。各タイトルごとの説明には、初版本の出版年月日やページ数などいくらかの書誌情報の他に、若干の説明があるだけだ。Apple が唯一の調達者たるアプリならばそれでも良いだろうが、本については情報は多くあればあるほど良い。既に出されている情報源はたくさんあるので、Apple はそれを利用するだけでも十分ちゃんとしたデータを提供することができただろうに。会社としてその分野まで他社と張り合う必要はないと考えたのだろうとは思うが、iBookstore が猛烈な人気を博する事態にでもならない限り、私たちとしてはまず Amazon でレビューを読んでからにする方が賢明だろう。

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iBookstore には無料の本も多数リストされている。これらは検索でも出てくるし、ストア内でスクリーンの一番下にあるボタンを使って出る Top Charts セクションにも登場する。そこに、Top Free Books と Top Paid Books が並んで表示される。

これらの無料の本は、すべて Project Gutenberg から来たもののようだ。Project Gutenberg は、パブリックドメインの書籍を正確さを重視しつつデジタルなテキストに変換しようという長年続いたプロジェクトで、現在 30,000 タイトル以上を提供している。 Google Books から来たと思われる無料の本は見当たらない。Google Books の方は、テキストの完璧性よりもスキャンする書籍の量を重んじていて、Google の主張によれば百万冊以上のタイトルがあるという。(Google がパブリックドメインの書籍をスキャンしている活動は、問題とはなっていない。係争中なのは著作権で保護された作品をスキャンすることについてのみだ。)

けれども iBooks で素敵なのは、確かにワイヤレス通信によるダウンロードは iBookstore から入手した本についてしかできないけれど、iTunes 9.1 で新たに改名された Books サイドバー項目の中へドラッグすることで、EPUB フォーマットのどんな本でも iPad にコピーできることだ。これらの本は iTunes によって管理され、iPad へと同期される。

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EPUB はなかなか豊かなフォーマットであって、グラフィックスも、ある程度のフォーマッティングも、組み込むことができる。厳密なレイアウトとかフォントの埋め込みとかいう点で PDF に太刀打ちすることはできないが、実用的にはかなり良く出来ていて、手頃なツールやリーダーのサポートも備わっている。EPUB をデジタル著作権管理で包み込むことも可能で、実際 Apple は iBookstore で販売する本についてこれを利用している。ただ、基本的なフォーマットそのものは何の保護もなしに多くの異なったリーダー機器やリーダーソフトウェアの間で転送できる。

あなたが自分で持って来た本を Kindle にロードさせることもできるが、そのためには Kindle をディスクとしてデスクトップコンピュータ上にマウントしてから本を Kindle のストレージスペース上にコピーして管理しなければならない。また、EPUB を Kindle フォーマットまたは代用となるフォーマットに変換する手間もかかる。Kindle DX ならば PDF をネイティブに読むことができ、これは iBooks ができない点であって、この点こそが私がこの記事の後半で GoodReader を扱う理由となる。

例として、Flatland を読んでみよう。この本は Edwin Abbott Abbott(ただしペンネーム "A Square")の書いた古典だ。Google Books には この本のデジタル化バージョンがあるので、私は普段 iPad と同期するのに使っているコンピュータの上で、そのページをブラウザで開き、Download メニューをクリックし、EPUB を選ぶ。そのファイルフォーマットを開くためのアプリケーションとして iTunes を選べば、本が iTunes の Books セクションに現われる。(これらの本には表紙が付いていないようだ、そこで私は iTunes の中でその本を選び、Command-I を押して、Artwork ボタンをクリックする。それから Google Books ウェブサイトに戻り、Command-Shift-4 を使って本の表紙の画像をコピーし、それをデスクトップから iTunes の Artwork ウィンドウの中へとドラッグする。もちろん、画像をウェブで探して取って来ることもできるだろう。)

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本の電子版を無料で入手可能にすることによって、有料の印刷版あるいは電子版の作品を購入してもらえる、あるいはその他の方法で収入を得るきっかけとすることができるという考え方を支持する作家たちも多い。Cory Doctorow はそういう人たちの代表格だ。彼はこのやり方で自身の小説家としてのキャリアを大成功に導いてきた。さまざまの彼の本が多くのフォーマットで無料ダウンロード可能となっていて、EPUB フォーマットのものもある。例えば Eastern Standard Tribe がそうだ。(Cory 自身が BoingBoing に「なぜ私は iPad を買わないか、そして他の人たちも買うべきでないと思うか」という長談義を書いているが、これは別に皮肉でも何でもない。それよりも皮肉なのは、私が iBookstore で Cory の名前を検索してみた結果だ。マッチするタイトルはたくさんあったが、その多くが Project Gutenberg 経由の無料本だった!)

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出版社によっては、保護なしの EPUB フォーマットで本をリリースする道を選んだところもある。読者たちがその本を持ち続けることによって、EPUB が共通言語として根を下ろすにつれてより多くの支持者層を広げることを狙っているのだ。(Take Control 電子ブックは保護なしの PDF ファイルとして販売されているが、私たちがその普及に際して直面したトラブルは驚くほど少なかった。私たちも EPUB のテストをしていて、これもなかなかうまく行っている。)

Apple は EPUB をプロプライエタリな DRM (デジタル著作権管理) に包み込んでいるので、あなたが iBookstore で購入した本は iPad の上でしか読めない。これは相当に制限的だ。Apple は、あなたがデスクトップ機、ラップトップ機、iPhone、iPad の間で動き回ることを見越しているはずなのに。2010 年の中ごろに出るはずの iPhone OS 4 では iPhone と iPod touch で使える iBooks アプリが登場することになり、また Mac OS X の Preview にも EPUB サポートが加わることさえ期待できるかもしれない。

さて、読むべき本があることは分かったので、次にその本をどうやって iBooks で読むかを考えよう。

iBooks で本を読む -- iBooks のナビゲーションや概観について詳しく調べる話に入る前に、とにかくまず一言。iBooks を使って、それも iPad の上で、読書をするのは純粋に楽しい。数ヵ月経っても同じ気持ちでいられるかどうかは分からないが、それはその時になってから考えることとして、何しろ使い始めの今の段階では,間違いなくそう言える。

iBooks は、Library を中心にして整理をする。Library は本棚のメタファーを使っていて、縦置きの状態では見えている一ページあたり五列、一列にそれぞれ五冊ずつの本を表示する。右上の隅にある Edit をタップすれば、本棚がちょっとアプリのレイアウトスクリーンのようなものに変わる。そこで本をドラッグして並べる順序を替えたり、あるいは左上の隅にある X をタップして消去したりできる。少なくとも、アプリの並べ替えの時のようにブルブル震えたりはしない。

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iPad の中へ非常にたくさんの本を詰め込むようになれば、この本棚の比喩では扱いにくいものになってしまうかもしれない。そのため、リスト表示もある。List の表示にすれば、タイトル名で本を検索したり、「本棚」順序(つまりあなたがドラッグ&ドロップでカスタマイズした順序)またはタイトル名順、著者名順、カテゴリー順で並べ替えたりもできる。ここでの Edit オプションは本の削除のみだ。

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本をタップすればそれが開く。すると iBooks は表紙を表示するか、それともあなたが前回読み終えた個所を表示するかする。一番上と一番下に、ちょっとしたインターフェイス要素がある。一番上には、Library に戻る、目次を見る、輝度の調整、フォントサイズと書体の設定、それから検索の各ボタンがある。一番下では現在のページ番号(選択されたフォントを使って表示)と全ページ数を表示し、本の中で素早く移動できるスライダを提供し、現在の章または節に残っているページ数も示される。

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本をロードする際には、正方形のスライダの上で左から右へと点の列が進む。iBooks は本のページ分け作業をバックグラウンドで実行する。その作業が終わればスライダが現われる。

スクリーンの真ん中をタップすると、インターフェイス要素の大部分が消えてページの見栄えのごちゃごちゃした感じが減る。残っているのは、一番上の欄外見出しと、一番下の現在のページ番号と全ページ数の表示、それだけだ。

ページからページへと移るには、左か右の隅でタップして前後に進むか、あるいは右か左のどちらかにスワイプ動作をする。ゆっくりとスワイプすれば、ページめくりのアニメーションでめくられて行くページに、見事にレンダリングされてにじんだ感じが見える。まるで、ページがちょっとだけ透けて見えるような感覚さえある。

文章の各行は「フルに左右両端を揃えた」見栄え(この場合、行の左右の端がきちんと縦に揃い、引き延ばされた行の中途に空白が適宜挿入される)か、それとも「左端を揃えて右端がでこぼこした」見栄え(この場合は単語と単語の間の空白がすべて同じになり、その分右端は滑らかに揃わない)か、どちらかになる。Kindle の機器やアプリでもそうだが、どちらの揃え方にするかをあなたが選ぶことはできない。どうやら、善かれ悪しかれ、選択は出版者に任されているようだ。

私は植字も一度したことがあり、本のデザインには長年の経験を積んでいるので、行揃えについては言いたいことがたくさんある。私の希望を言わせてもらえば、不格好なやり方で両端を揃えるくらいなら、単純に左端だけを揃えるようにして欲しい。

また、提供されているフォントの書体も、あまり感心しない。Apple はユーザーが五つの選択肢の中から選べるようにしているが、伝統的に本の中で使われているものはその中でたった一つだ。選択肢は Baskerville、Cochin、Palatino、Times New Roman、Verdana の五つだが、本で普通に使われるのは最初のものだけだ。Cochin は、とても美しいけれど、やはり特殊な書体だ。確かに私はこれが好きだ。例えば小文字の h の曲線は魅力的だ。でも、イタリック体が何行も続くと目がしょぼしょぼしてくる。

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Times New Roman は、粗い紙に小さな文字で印刷したものを読むことを念頭にしたものだ。また Verdana は、読みやすいけれど、私に言わせれば本で使う文字としては魅力に欠けるし、まるでウェブページを読んでいるような感じがする。とにかくこれではあまりにも本らしさがなさすぎる。

Palatino は、私の使っているディスプレイ上では一番目に優しい。どの書体が選択されていても、小さい A や大きい A をタップすることで九種類のフォントサイズを切り替えることができる。長い文章がずっとイタリック体になっていても十分読みやすい。

iBooks は本の中に埋め込まれた絵を文章の中に配置しつつ、あなたが選んだフォントやフォントサイズに応じて自動的にページの再配置や行の再折り返しをする。Apple は無料ダウンロード本の中に Winnie-the-Pooh (クマのプーさん) を含めているが、この本には Ernest H. Shepard による魅力的な挿絵が高解像度・フルカラーの美しさでたくさん入って、良い実例となっている。

読んでいる最中、現在読んでいる位置の情報を失うことなく目次に切り替えることができる。なかなか気の利いた Resume (再開) ブックマークが本の右上のところから垂れてくるので、それを使えば手軽に元の場所に戻れる。

読んでいる最中、単語をいくつかタップして項目を選べばそこをブックマークでき、iBooks は親切にもその部分に(おそらくあまりにもキュート過ぎる)手書き風の蛍光ペンの線によるマークを施してくれる。この蛍光ペンの線を引いてあるところをもう一度タップすれば、いくつかの選択肢から選んでカラーを変更したり、あるいはそのマークを除去(unbookmark というのは不適切な用語だと思う)したりできる。画像をブックマークした場合は、何と、その画像部分のまわりがやはり手書き風の蛍光ペンの線で囲まれる。まあ、きっと、チャーミングなんだろう。

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また、選択した単語を検索したり、その単語を辞書で引いたりすることもできる。辞書で引いた結果は、私たちがもうじき慣れ親しむことになるであろう iPad 流ポップアップの中に表示される。残念なことに、Winnie-the-Pooh (クマのプーさん) の本を含めてくれたのはいいが、Apple 社内の誰も、辞書で "pooh" という単語を引くとどうなるか試してみなかったようだ。おやおや、何てこった。

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本の内部で検索をするには、右上にある虫眼鏡をタップして、ポップオーバーするウィンドウに検索語を入力する。検索結果をタップすれば、そのページが開く。もう一度虫眼鏡をタップすれば、前回の検索結果が出る。一番下にある Search Google と Search Wikipedia のリンクは、アプリ内にブラウザウィンドウを開くのではなく、iBooks から出て Safari に移ってしまう。

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iBooks でとても素敵だと思える機能の一つは、iPad を縦向きにして見ているか横向きにして見ているか、それぞれの場合に私たちがどのように読書をしたいと思っているかを Apple が考え抜いてくれたことだ。縦向きの表示では、iPad は1つのページだけを示す。横向きの表示では、2ページが横に並ぶ。これはディスプレイの広さが十分にあるからこそできることだ。(Amazon の Kindle アプリは、次のセクションで説明する通り、どちらの向きでもいつも1つのページだけしか表示しない。iPad の上で走らせてもそれは変わらない。だから、iPad を横向きにして使うと行があまりにも長くなって読みづらくなる。あるいは、そうならないようにするには、フォントサイズをものすごく大きなものにしなければならない。)

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iPad には、音量調整ボタンの上のところにスクリーン回転ロックのスイッチがある。だから、どちらかの表示を選んで、その方向で回転ロックをかけておけば、不意に切り替わってしまうのが防げる。iPad は iPhone に比べて方向センサーの感度が高いようだ。これはおそらく、重量があるために方向の変化を測定する加速度計により素早くデータが届くためではないかと思う。

iPad のディスプレイが読書に適しているのは、Apple が IPS (in-plane switching) LCD ディスプレイを使用しているからだ。これにより、はるかに広い範囲の視野角から見ても鮮明な画像が楽しめるようになった。その代わり、輝度は若干減少したのだが。だからこそ、iBooks の内部に輝度調整ボタンがあってアプリを離れずにスクリーンの明度を調整できるのが尚更ありがたい。

欠けているピースで大きいのは、注釈機能とコピー機能だ。将来のリリースで、ぜひ注釈機能は付けて欲しいと思う。多くの人々は、本の中に自由な書き込みでマークアップしたいと思うものだ。それをできるようにする機能を提供できない理由などないではないか。書き込みができなかったとしたら、いったいどうやってフェルマーの最終定理が生まれ得たというのか?

コピー機能の方はもっと厄介だ。DRM なしの EPUB 本では、私が試してみたところテキストを選択してコピーすることができた。けれども Apple が販売した本については、そうは行かなかった。これは、間違いなく Apple が出版者と結んだ契約の一部なのだろう。けれども、ただの語句や短い文章だけでさえコピーできないというのはどう見てもひどすぎる。もちろん、ただ iPad の画面を見るだけで、またはスクリーンショットを見ながら、テキストを手でタイプし直すことはできるのだから、これが有効なコピー防止メカニズムとは到底言えない。

iBooks は、選択肢のシンプルさと賢いオプションの組み合わせが、高得点をたたき出している。これは、ただ単に見栄えがきれいに作ってあるのではない。ここでは、読書することそのものが焦点なのだ。

Amazon の Kindle アプリ -- Amazon は、個々の iPhone OS 機器ごとにそれぞれの利点を生かして働くように改訂された Kindle アプリを出している。iPad 版での変更点はよく考え抜かれたもので、スクリーン面積が広がったことをうまく利用している。

メインの Kindle スクリーンは、Home 画面すなわち iPad 上にダウンロードされている本を表示するものか、または Archived Items 画面すなわちあなたがこれまでに Amazon のウェブサイトか Kindle 機器かを使って購入したことのある本すべてを何となく奇妙な方法で表現するものか、いずれかを示す。そのようにして購入したことのある本はいつでも iPad 上に取り込むことができる。定期刊行物やブログの購読は、現時点では Kindle 機器の上でしか表示やダウンロードができず、このアプリでは利用できない。Archived Items にある本の項目をタップすれば、それが Home にダウンロードされる。

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Amazon が Apple より優れている点はここだ。移植性、すなわち同じ本が Kindle、Windows、iPhone、それに Mac OS X ハードウェア(新登場の、しかしまだ未発達の、リーダーを使う - 2010 年 3 月 22 日の記事“Amazon、Kindle for Mac をリリースそして iPad 計画も明らかに”参照)のいずれでも読めることだ。Amazon のロッカー戦略も好感が持てる。すなわち、購入した本を別のシステムで読むためにデスクトップ機上の特定のメディアライブラリに同期させなければならないということがない。Amazon の Whispersync システムも、メモや、ハイライト表示個所、ブックマーク、最後に読んだ個所などの情報をすべてあなたのアカウントに登録された順番で保管してくれる。

Amazon は、無料のものも含めて 450,000 冊の本が利用可能だと述べているが、見たところその数字は同社のカタログの分厚さと釣合いがとれていないようだ。(Barnes and Noble の Nook リーダーはそれよりはるかに大きな数を主張しているが、こちらには Google Books から取り寄せた何十万冊ものパブリックドメインのタイトルが含まれている。)

Kindle アプリで読書する感じは、十分 iBooks に競合できるくらい良好なものだ。ただし、Kindle では見栄えに関するコントロールがあまり多く提供されていない。Home ページで本をタップすれば、その本がブック表示で開く。ページの中央をタップすれば、左上に Home ボタンが、上辺の中央に欄外見出しが、右上にブックマーク位置が、それぞれ現われる。ブックマークをタップすれば設定または設定解除ができる。

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一番下では、Return ボタンを使って前回の位置にジャンプして戻ったり、プラスやマイナスをタップしてブックマークを設定・設定解除したりできる。Go To link からは、表紙、目次、本の冒頭、それから Amazon が "location" と呼ぶ場所へのジャンプができる。Amazon は本の中での位置の追跡に際して、段落に近い単位を使って行なう。その点、勝手にページ番号を作ってしまう iBooks とは異なる。また、ハイライト個所やメモを一覧してナビゲートすることもできる。

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"Aa" ボタンは見栄えに関する設定をする。文字の書体を選べるオプションはない。Amazon は Georgia フォントを選択した。これは良く出来たフォントで読みやすく、ウェブページを連想させる感じもあまり多くはない。(Verdana にしろ Georgia にしろ、決してその実際のデザインを批判しているのではない。これらはいずれも、世界的に秀でた活字デザイナー、 Matthew Carterの作品だ。)

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文字サイズは四種類から選ぶことができ、文字と背景のカラー(白背景に黒字、黒背景に白字、セピア色背景に黒字)と輝度とが設定できる。

最後に、右端にある同期ボタンを使えば、しばらくオフラインでいた後でインターネットに戻った際に最新の位置情報を取り寄せたい場合、あるいはメモを確実に保存させたい場合などに、すべての変更を強制的にやり取りさせることができる。

いずれの iPhone OS 機器でも、Kindle のページは向きを反映して回転する。iPhone 版と iPod touch 版ではオンスクリーンの回転ロックボタンがあるが、iPad 版ではハードウェアの回転ロックスイッチがあるのでそれは不要だ。

iPhone や iPod touch を横長に置けば、行が長く見えるので嬉しい。けれども iPad においては、横長にすると行方向の長さがあまりにも長過ぎてかえって読みにくくなる。Amazon は、iPad 版でこの点を修正すべきだろう。iTunes で読めるリリースノートには、この iPad 版は実際のハードウェアを手にする前にリリースしなければならなかったとはっきりと書いてある。二つの会社が互いに競合しているのに、片方の会社にいる iPad 開発者たちのほとんど誰も実際の機器でテストする機会を与えられなかったという事実を考えれば、この事態もさほど驚くべきこととは思えない。(そうは言っても、行の長さが長過ぎることくらいは iPad シミュレータでも間違いなく示されていただろうとは思うが。)

フォントのことと、横長に置いたときの問題を別にすれば、Amazon は結構強い切り札を取り揃えていると言える。Kindle アプリに欠陥はないのかって? それは、Amazon が販売する本以外は一切読めないことだ。そしてそここそが、GoodReader の強みだ。

GoodReader は PDF とテキスト用 -- GoodReader は、これまで iPhone と iPod touch にしか出ていなかったが、新たに別途 iPad 専用版 (GoodReader for iPad) が出た。現在、$0.99 で販売されている。これを作った開発者たちは、iPad におけるスペースの余裕を見事に使いこなしている。

GoodReader はデータの集積拠点と書類リーダーの機能とを組み合わせたものだが、特に PDF とテキストに合わせて最適化が図られている。PDF とテキスト以外にも、GoodReader は iPhone OS がサポートするすべてのファイルフォーマット、例えば iWork '08 および '09 ファイルなども扱え、また写真を表示したりビデオを再生したりもできる。

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ファイルを GoodReader に取り込むために、ウェブをブラウズしてファイルをダウンロードしたり、MobileMe の iDisk や、Dropbox サービス、あるいはローカルまたはリモートの WebDAV サーバなどに接続したり、メールサーバを設定してそこに接続し PDF やその他の添付ファイルを取り出したり、といったことができる。また、共有モードをオンにすれば、GoodReader に保存したデータを Wi-Fi 経由の WebDAV サーバとして外から利用するようにもできる。

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さらに、iTunes 9.1 の新機能を使って iPad 上の GoodReader の中にファイルをロードすることもできる。iPad がコンピュータに接続されて、iTunes が動いている状態で、Devices リストから iPad を選び、Apps タブを選び、アプリ同期とレイアウトの部分の下へとスクロールする。File Sharing セクションに、ファイルと結び付ける方法を持つアプリすべてが表示されているので、そのリストで項目を追加したり削除したりできる。(また、Finder からこのリストの中へファイルをドラッグすることもできる。)

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これだけたくさんのオプションが自由に使えるとなるとちょっと圧倒されてしまう気がするかもしれないが、読みたいファイルをどこへ保存すればいいのかと思い迷う心配がないというのは素敵だ。私はカメラのマニュアルや、その他の参照用の文献いろいろを GoodReader にロードしている。

iPad 上の GoodReader で PDF を読むのは素晴らしい。GoodReader では、検索、表示、ページ移動などに必要なツールがすべて提供されている上に、実験的なオプションとして PDF からテキストを抽出してそれだけを余分なもののない読み物として読むことができる。iPad のスクリーンサイズが十分大きいので、多くの PDF はズームインなしで読める。けれども、これが最も重要なことだが、Take Control 著者としての立場から見て、GoodReader は私たちの電子ブックの中にある多数のナビゲーションリンクも、ブックマークも、すべてサポートしてくれる。その結果、しっかりとデザインされた PDF が、ごく基本的な機能しかない Safari などの PDF 読書環境と比べて、はるかに楽に読めるようになるのだ。Safari などでは、豊かな PDF 電子ブックを作るために注ぎ込まれた多くの努力が無視されてしまうのだから。

これは GoodReader が悪いのではないが、フォーマットの不一致の問題が一つある。GoodReader 内蔵のブラウザを使って Google Books サイトにナビゲートできて、そこから PDF または EPUB フォーマットでのパブリックドメイン本にアクセスできる。問題は、EPUB ファイルが iPhone OS でネイティブにサポートされておらず、iBooks 内のみでしかサポートされない点だ。Google Books の EPUB ファイルを iPad で読めるようにするには、それらのファイルをまず iTunes にコピーしてから、その後で USB 経由の同期をしなければならない。Google Books の提供する PDF を直接ダウンロードしてみると、それはテキストが何もない、ただ本を画像スキャンしただけのものになってしまう。歴史的興味の対象としては、元の本のページがどんなものかを見られるのは非常に魅惑的だが、検索もできなければページをめくるのも遅く、そもそも読みにくいことが多い。

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まだ始まったばかり -- こうして、iPad の上でさまざまのアプリを使って読書をしてみた初めての体験を思い返してみると、一番目立ってはっきりしているのは、まだあまりにも初期の段階だということだ。確かに、Kindle アプリや GoodReader は、より画面スペースの窮屈な iPhone や iPod touch の上で既に何ヵ月もかけて成熟してきたが、この iPad の上でも良いところ、素晴らしいところのある使用体験ができたことを考えれば、今後さらに大きな改善が見られるだろうという期待が膨らむというものだ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 5 月 10 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

MarsEdit 3.0 -- Red Sweater Software が、同社の人気のブログ投稿用ソフトウェア MarsEdit のメジャーなアップデートをリリースした。その新機能はこのプログラムが一般のユーザーにも使いやすいものとなることを目指している。最も大きな変更点はリッチテキストエディタが組み込まれたことで、ユーザーが HTML タグを使わずにスタイル付きのテキストを(画像やリスト、その他も含めて)ブログ記事に入れられるようになった。その他の変更点としては、HTML で書きたい人のために新設された HTML シンタックスハイライト表示機能、オフラインにいる際にメディア添付ファイルの付いた記事の投稿を予約してあとで投稿できる機能、WordPress API をサポートするサイトにおいての WordPress ページやカスタマイズされたフィールドのサポート、iPhoto、Aperture、Lightroom などの写真管理プログラムとのメディア統合などがある。(新規購入 $39.95、アップグレード $14.95、4.9 MB)

MarsEdit 3.0 へのコメントリンク:

Aperture 3.0.3 -- Apple が Aperture 3.0.3 をリリースした。同社のプロ向け写真管理・編集用アプリケーションの大きなメンテナンス・アップデートだ。このアップデートでの修正は、画像への調整の適用、RAW 微調整プリセットの使用、自動検出された顔での作業、プリント中の出力プリンタ切り替え、スマートアルバムの複製、Aperture ライブラリの修復と再構築、切れた参照ファイルへの再接続、撮影地機能での GPS ファイル処理、キーワード検索の実行、などの際の問題点に対処するものだ。非常に長い変更点リストが Apple のウェブサイトにある。(新規購入 $199、アップデート無料、69.4 MB)

Aperture 3.0.3 へのコメントリンク:

Typinator 4.0 -- Ergonis Software が、自動タイピングおよび自動修正ユーティリティTypinatorのメジャーなアップデートをリリースした。バージョン 4.0 では QuickSearch と呼ばれる新機能が加わった。これはスニペットを対象として Spotlight に類似の方法で(より正確に言えば LaunchBar に類似の方法で)働き、ユーザーが個々の短縮語を記憶していなくてもスニペットにアクセスできるようにする。また、このアップデートでは Snow Leopard との互換性も改善され、パフォーマンス速度が向上し、グローバルにセットを有効・無効に切り替えられるようになり、Dropbox や MobileMe との同期が改善され、また Mellel、Nisus Writer Pro、Tinderbox、Parallels Desktop のようなサードパーティのアプリケーションとの統合も改善された。 変更点のフルリストは Ergonis Software のウェブサイトにある。(新規購入 19.99 ユーロ、アップグレード割引あり、3.1 MB)

Typinator 4.0 へのコメントリンク:

Mac Pro Audio Update 1.1 -- Apple の Mac Pro Audio Update 1.1 は、一部の Mac Pro (early 2009) で FireWire オーディオデバイスを Mac OS X 10.6.3 とともに使用する際にコンピュータの内部から異常な音が聞こえてくることがある問題に対処しているという。その異音の原因、あるいはこのアップデートがどのようにそれを防いでいるかの具体的なことは発表されていない。きっとコンピュータに住み着いた小悪魔の仕業なのだろう。(無料、516 KB)

Mac Pro Audio Update 1.1 へのコメントリンク:

Epson Printer Drivers 2.3.1 for Mac OS X 10.6 -- Snow Leopard 用のこの最新の Epson Printer Drivers アップデートについて Apple のリリースノートはただこのアップデートが「Epson プリンタまたはスキャナ用の最新ソフトウェアをインストール」するとしか言っていない。そこにはサポートされる Epson プリンタのマスターリストへのリンクもあるが、どの機種が新たに加わったのかが明示されていない。それでも、Apple がプリンタのサポートを広げていると分かるのは嬉しいことだ。特定のプリンタがサポートされているかどうかはリストを検索すれば分かる。(無料、688.23 MB)

Epson Printer Drivers 2.3.1 for Mac OS X 10.6 へのコメントリンク:

Phone Amego 1.1.20 -- Bluetooth および Google Voice モバイルフォン用ユーティリティ Phone Amego のバージョン 1.1.20 で、Sustainable Softworks はいくつか厄介な点をクリーンアップした。まずアプリケーションの Finder での名前を "Phone Amego" (空白文字あり) に変更し、アプリケーションのログイン項目を改名した。ただ、残念なことに、この変更によってユーザーが手でしなければならない作業が必要となった。つまり、バージョン 1.1.20 への自動アップデートに先立って現在 Applications フォルダの中にあるアプリケーションファイル PhoneAmego.app の中に空白文字を一つ手で挿入しておかなければならない。そして、アップデートを済ませた後に、Accounts 環境設定パネルの Login Items 表示から com.sustworks.phoneAmego.loginItem.sCID を削除して、それから Phone Amego 自体を開き、Launch at Startup チェックボックスを選択して新しいログイン項目をインストールしなければならない。

その他の変更点で私たちがお伝えした 1.1.14 リリース以後に加わったものとしては次のようなものがある:

最後にもう一つ、Sustainable Softworks は Phone Amego 1.1.20 で多数のバグを修正し、Bluetooth 接続を開く際の信頼性を改善するとともにいくつかのクラッシュの可能性を除去した。($20、アップデート無料、2.7 MB)

Phone Amego 1.1.20 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2010 年 5 月 10 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週私たちがウェブで見つけた興味深い話は、すべて iPad か iPhone に関係したものだった。まあ、別に驚くようなことでもないが。最も興味をそそられたのは Jakob Nielsen による iPad の使い勝手に関するテストの結果だ。また、Bytemobile のテストで iPad が iPhone よりも大量のデータを消費するという結果も出た。それから、Jeff Carlson が MacJury ポッドキャストで iPad 3G について詳しく語り、Apple の Worldwide Developer Conference の予約が、主として iPhone OS の話題のみに焦点を絞っているにもかかわらずたった八日間で売り切れたという話もある。

Jakob Nielsen、初めての iPad 使い勝手テスト結果をリリース -- もちろん iPad は Mac ではない。けれども、こちらは見落としがちなことだが、これはただ iPhone のサイズを大きくしただけのものでもない。ユーザビリティの権威とも言える Jakob Nielsen が、Nielsen Norman Group による初めての iPad ユーザビリティテストの当初の結果を発表した。テスト結果による批判点としては、アプリのインターフェイスが一貫していないこと、インターフェイス要素が見つけにくいこと、プリントのメタファーに依存し過ぎていることが挙げられている。私たちはあまり驚くことでもないと思った。iPad ではマルチタッチのインターフェイスが大サイズのスクリーンと組み合わされているので、従来の機器とは大きく違ったところがあるのに、iPad のソフトウェア開発者たちは当初のデザインをまだ物理的なユニットを触れもしない時点で始めなければならなかったのだから。(今はまだデザインのガイドラインを完璧にまとめ上げるには早過ぎる段階だが、iPad でソフトウェア開発をする人たちは、主要な論点のみを列挙したこのページだけでなく、ぜひとも 93 ページある PDF 報告書にもしっかり目を通しておくべきだろう。

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WWDC 2010 が 8 日間で完売 -- 今年の Worldwide Developers Conference の参加申し込みをぐずぐず遅らせていた人には悪いニュースだが、このイベントの参加券はもう売り切れた! Apple は、たった 8 日間で参加券を完売するという新記録を打ち立てた。今年のカンファレンスでは Mac 関係の話題にあまり焦点が当てられていないことを考えれば、この結果は今や iPhone OS での開発がどれほど人を引き付けるものとなっているかを実証していると言える。

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JJeff Carlson、MacJury で iPad 3G の詳細を語る --最近の MacJury ポッドキャストで、iPad Wi-Fi + 3G 機種の発売後最初の週末をめぐって Jeff Carlson が Chuck Joiner と語り合う。知らない町を歩き回る際に 3G アクセスがあればどれほど iPad の有用性が増すか、250 MB のデータプランは現実的なものなのかどうか、3G ラジオによりバッテリ寿命がどのくらい影響を受けるか、などさまざまの話題が出た。

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iPad はアプリによって iPhone より多くのデータ量を消費 -- Bytemobile が、いくつかのアプリで同じ作業を iPhone (おそらく 3GS) と 3G iPad で走らせて比較テストを実施し、多くのアプリが iPad の方で相当により大量のトラフィックを発生させることが判明したと報告した。その説明としては、iPad のディスプレイの面積が広いために、より大きな、より大量のグラフィックスを表示しなければならないということだ。USA Today のアプリは iPad の方が 6.3 倍のデータを使い、Maps は 2.6 倍のデータを消費した。このことは、人々が 250 MB と無制限のどちらのプランを選ぶか(あるいは 3G プランそのものを選ぶかどうか)に何らかの影響を与えるだろう。Bytemobile は何のためにこのテストをしているのかって? それは、セルラー通信業者たちと協力して、コンテンツの最適化を図ることによりモバイルデータの使用量を減らし回線の混雑を減らすことを目指しているのだ。

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