TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1031/14-Jun-2010

Steve Jobs による先週の WWDC キーノートの場で表に出なかった大ニュースは、Safari 5 のリリースだった。Adam がこのウェブブラウザの新機能についてじっくり検討する。Steve Jobs の口から出た情報をもっと知りたいという方は、WWDC の少し前に D8 カンファレンスの会場で Walt Mossberg と Kara Swisher とともに台本なしの対談をした Jobs の発言を、Doug McLean がまとめたのでお読み頂きたい。その他のニュースとしては、AT&T が iPhone 4 への移行の際に従来のファミリープランでの資格が持ち越せることを認め、Adobe が Flash Player に重要なアップデートをリリースしたほか、近日登場予定の iPhone 用 iMovie について詳細情報のスクープがあり、それから Retrospect が Sonic Solutions に買収されたこともお伝えする。今週の抽選では Drobo が賞品となるのでぜひ応募して頂きたいし、また先週の抽選で Boinx の iStopMotion に当選しなかった人も新規注文で 20 パーセント割引が受けられる。今週注目すべきソフトウェアリリースは、PasswordWallet 4.5.3、MacSpeech Scribe 1.1、1Password 3.2.1、Microsoft Office 2008 for Mac 12.2.5 Update、Microsoft Office 2004 for Mac 11.5.9 Update、Cyberduck 3.5、それに Photoshop Lightroom 3.0 だ。

記事:

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AT&T、Family Plan 内での資格委譲を認める

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は、妻の Lynn を "初物嫌い" と呼んでいる。しかし悪い意味では全く無い。彼女は何らかの製品を持つ時は 2.0 とか 3.0 バージョンを好み、私がアップグレードや新しいハードウェアに飛びついて苦しんでいるのを見ては笑っている。

勿論、我々の AT&T Family Plan の中で低価の iPhone 4 アップグレードの資格があるのは彼女の方で、$199 (16 GB) と $299 (32 GB) の値段が適用になる。私の資格についてのレポートを見ると私は February 2011 まで待たなければならない、さもなくば、今 iPhone 4 を手にするには、追加の $200 (トータルでは $399 か $499) を払わなければならない。

幸いにして、AT&T のスポークスマンが、この資格は Family Plan のメンバー間では委譲出来る事を私のために確認してくれた。しかし、これをオンラインでやるのはどうも不可能であるらしい。このスポークスマンは、15 June 2010 に予約注文の受付が始まったら、AT&T に電話をして詳細を詰めて注文をするよう薦めてくれた。

あなたの資格を調べるには、att.com/iphone に行きあなたのアカウントにログインするか、或いはアップグレードしたい電話から *639# に電話をして日付やその他の詳細を無料のテキストメッセージとして受取る。AT&T があなたを早期トレードアップにしてくれるかどうかは、あなたの契約日だけで決まる訳ではなく、サービスプランそしてあなたがこれまでにどれ程支払ってきたかの様な要素が加味される。私と同じ日に iPhone 3GS を購入した私の友人の中にはもう最低価格が適用されるという人もいる。

これまでだったら、電話機の間で SIM カードを交換して同じアカウント内で電話番号を移したりとか、或いはその他の手立てをしてこの手が使える様にすることも可能であった。しかし、iPhone 4 は micro-SIM を使うので、丁度 3G iPad と同じ様に、これまでの iPhone のフルサイズの SIM を iPhone 4 に入れ替える事は出来ない (one of these SIM cuttersを購入しない限りは)。

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Adobe Flash Player 10.1.53.64 が 32 個のセキュリティホールを塞ぐ

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Rich Mogull が記事“セキュリティのニュース: Flash 攻撃、iPhone 漏洩、スパイウェア発見”(2010 年 6 月 7 日) で説明したように、Adobe Flash には深刻なセキュリティ脆弱性があって、実際に攻撃された悪用事例も存在していた。当初、自分自身を守るためにできる唯一の方法は Flash 10.1 Release Candidate をダウンロードすることであったが、今回 Adobe は公式に Flash Player 10.1.53.64 をリリースして、32 個の異なったセキュリティホールを塞いだ。Adobe はまた同じ問題に対処した Adobe AIR 2.0.2.12610 もリリースした。これらのアップデートについて詳しい情報は Adobe のセキュリティ情報ページで読めるが、私たちとしては皆さんに即座のアップグレードをお勧めする、と言えば十分だろう。

あなたが現在どのバージョンの Flash Player を走らせているかを知るには、まず About Flash Player ページを訪れる。(ただし実際上はあなたが最新版を持っている可能性は低いだろう。)その後で Adobe Flash Player Download Center に進み、最新版をダウンロードすればよい。ディスクイメージにインストーラがあるので、それを走らせる。Install ボタンをクリックする前に、現在走っているすべてのウェブブラウザを終了させなければならない。

あなたのシステムにどのバージョンの Adobe AIR がインストールされているかを知るのは難しく、とても煩わしい。(TweetDeck や、その他 Adobe AIR ベースのプログラムを使っているのならば Adobe AIR がインストールされているはずだ。)そのためには、下記の場所にある Info.plist ファイルの内部にある CFBundleVersion 項目を調べなければならない。

/Library/Frameworks/Adobe AIR.framework/Versions/1.0/Resources/

もちろん、そんなことは狂気の沙汰だ。だから、仮にもあなたが Adobe AIR を使っているのなら、とにかく新しいバージョンを Adobe AIR Download Center からダウンロードすることをお勧めする。

iOS から Flash を締め出すという Apple の決断を巡って Apple と Adobe の間で大きな騒ぎとなっているが、Flash を追加することでプラットフォーム全体としてのセキュリティ脆弱性が増すのかどうかという点について具体的なことはあまり言われてこなかった。けれども今回の状況、すなわち Flash Player に重大な脆弱性があり、修正が入手可能になる以前相当の期間にわたって実際に悪用事例も存在していたという事実は、明らかに Apple の側に有利な材料と言えるだろう。

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iMovie for iPhone の詳細、浮び上がる

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

iPhone 4 を紹介した先週の WWDC キーノートの最中に、Apple は iMovie for iPhone を公開したが、これはビデオクリップや静止画像を編集して映画に出来るアプリである。このアプリでは、iPhone 3GS にあったオプションである個々のクリップを切り張りするだけを通り越して、テーマ、トランジション、タイトル、そしてその他の機能を使って映画を制作できる。デモは印象深かったが (キーノートビデオの 57:00 の所から始まる)、幾つかの疑問が答えのないまま残っていた。

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Apple 社内の情報源のお陰で、幾つかの詳細を聞き出す事が出来た:

これまで発表されている様に、このアプリは $4.99 で App Store から入手出来る。

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Anti-Social ソフトウェアがあなたの Tweet をカット

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

あの物凄い吸い込むような音は何だ? あれは、あなたの持つ生産性が排水口に吸い込まれて消えて行く音だ。あなたが仕事で成果を出したり、締め切りの迫った文章を仕上げたり、あるいは実生活上の問題に取り組んだりする代わりに、Twitter、Facebook、Foursquare やその他、何百もあるソーシャルネットワーキングサイトのどれかをチェックして時間をつぶしているからだ。そんなあなたに助けとなるソフトウェア、それが Fred Stutzman の Anti-Socialだ。

Anti-Social は、あなたが指定した時間内(最大 480 分、つまり 8 時間まで)のみ、150 以上のソーシャルネットワーキングサイトへのアクセスを無効にする。ブロックされるドメインのリストはこのソフトウェアのウェブサイトで読める。そこには api.twitter.com が含まれているが、これこそサードパーティの Twitter クライアントが Twitter メッセージやアカウント情報にアクセスするために使う URL だ。あなたの指定した期限が過ぎるよりも前にこれらのサイトへのアクセスを有効に戻すためには、再起動が必要となる。

Anti-Social は、Stutzman が以前に作ったユーティリティ Freedom を特化したバージョンだ。Freedom は、最大 480 分間にわたってすべてのネットワークアクセスを無効にし、オプションとしてローカルネットワークアクセスのみ有効にしておくこともできる。Freedom はもともと Mac 用に書かれたが、最近になって Windows XP、Vista、Windows 7 用にもリリースされた。

Stutzman はノースカロライナ大学 Chapel Hill 校の大学院生で、ソーシャルネットワーキングが人々の生活の様相にどのような影響を及ぼすか、という彼の研究テーマが彼の作ったソフトウェアにも反映されている。

私は最近 Economist の記事“Stay on Target”のために Stutzman にインタビューした。この記事では、自分自身が何かをしてしまうことを防ぐためにソフトウェアを利用する、という考え方を取り上げている。

Anti-Social の価格は $15、Freedom は $10 だ。それぞれのアプリケーションに試用版もあるが、試用版はたった5日間が過ぎれば無効となる。

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DealBITS 抽選:Drobo を当てよう!

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

ちょっと昔になるが高価なメガバイト級のハードディスクを覚えている我々のような者にとっては、今日のテラバイト級のドライブの値段と容量には驚嘆され続けられる。その一方で、我々のデータに対する必要性は我々の蓄積容量の先をいつも行っている様に思えるし、また現代のドライブでも昔のものより信頼性が格段に向上した様にも思えない。この二つの問題に対する一つの解が創意工夫から生まれている - それは複数のドライブを結合して蓄積容量を増やすと同時に信頼性も向上させるという機器である。このやり方は RAID と呼ばれ、redundant array of inexpensive disks(冗長性を持った安価なディスクのアレイ)の意味であるが、複数のドライブの間でデータを分割しそして複製することでドライブのどの一つが落ちてもデータを失う事がないようにするものである。

しかし RAID を実現するのは多くの場合高価でそして曖昧であり、同じ様に設定されたディスクと複雑な管理ソフトウェアを必要とする。この様な問題に対処するため、Data Robotics は BeyondRAID 技術を開発した。これは RAID の伝統的な形態から来る制限を取り除き、そしてそれを Drobo 蓄積装置に実装したものである。Drobo だと、複数の (2 から始まって、モデルによって最大 4, 5, 或いは 8 まで拡張できる) 如何なるサイズ或いは速度、或いは如何なるメーカーのドライブでもインストール出来る。Drobo はこれらを自動的に結合して一つのボリュームを形成する (最大 16 TB)。そのボリュームの容量は大体インストールした全てのドライブの合計から、最大のドライブ容量とある程度オーバーヘッドを差し引いたものとなる (Data Robotics は容量算出機を用意していて、異なるドライブの構成に対して実際にどれだけの使用可能空間が得られるかを示してくれる)。しかし魔法はここにある。全体容量を減らす代償として、どのドライブでも - そして何時でも - 抜いて他のものを挿入することが、データのロスも全くなしでそしてサービスの中断もなしで可能になる。

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これをやりたいと思うかもしれない二つの基本的な理由がある - ドライブの故障と容量のアップグレードである。我々皆が知っている様に、ハードドライブは死ぬ、それも最も不都合な時に。でも同じ事が Drobo で起こった場合は、問題解決法は単に死んだドライブを外し新しいものに入れ替えるだけである。同様に、ドライブは大きくなり続ける事も良く知られている。そして最初は自分の周りに転がっていた古い 250 GB や 500 GB ドライブを Drobo に装着していた場合、これらのドライブが死んだり或いは空きが足らなくなってしまったら、数個の 1 TB か 2 TB のドライブを放り込んでやることで、ドライブの故障に対する保護を保ったまま、蓄積容量を劇的に増やす事が出来る。(念のため言っておくが、ドライブに対する RAID の様な保護はバックアップと同じ意味は持たない;Drobo は、火事、盗難、或いは消去されてしまったファイルに対する保護とはならない。)

Drobo については、もっともっと多くのことを書けるが、Drobo のメーカーである Data Robotics の人達が Macworld 2010 での Drobo ユーザーのビデオを取りまとめた。そこでは、何故彼らは彼らの Drobo を好きなのか、どの様に使っているのか、そして何を蓄えているのかについて語っている。TidBITS スタッフの何人かも、そこには Jeff Carlson と Rich Mogull も含まれるが、信任を寄せている。

もし自分自身の 4 ベイ Drobo、$399 相当、を当てたいのであれば、 DealBITS のページで応募を。(我々の多くの抽選とは違って、今回はしっかりしたハードウェアを提供しているので、紹介応募は行わない。) 寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PDT, 20 June 2010 まで、つまり日本時間で 6 月 21 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]

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DealBITS 割引: iStopMotion 2 が 20% 割引

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 柳下 知昭 <tyagishi@gmail.com>

前回の DealBITS 抽選で当選し、$49 相当の iStopMotion Home 2 をゲットしたのは、me.com の Ken Blakely さん、neb.rr.com の John Sweeney さんの2人。おめでとう!残念ながら当選しなかった TidBITS 読者のみなさんには、Boinx Software から iStopMotion Home 2どのエディションでも2010年6月30日まで 20% 割引の価格で提供される。Boinx Software のオンラインストアで、2番目の画面の Coupon/Promo Code フィールドに "ismDeal"と入力すれば割引が受けられる。今回の DealBITS 抽選に応募して下さった 387 人の皆さん、どうもありがとう。今後の DealBITS 抽選もお楽しみに!

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Retrospect バックアップソフトウェアを Sonic Solutions が買収

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

極めてひっそりと行なわれたが、EMC が同社の Retrospect ソフトウェアを Roxio の親会社である Sonic Solutions に売却した。理由は今も不明だが、EMC も Sonic Solutions もこの買収に関してプレスリリースを一切出しておらず、詳細情報はほとんど何も分かっていない。買収価格は明らかにされていないが、製品開発チームのほぼ全員が Sonic Solutions に移籍するという話は伝わっている。

Retrospect は Macintosh 初期の時代に Dantz Development によって作られ、1990 年代後半には主要な Mac 用バックアッププログラムとなるまでに成長した。けれども、その長い歴史(と、バックアッププログラムというものがデータの処理に最高度の注意を払わなければならないという事実)があったため、Mac OS X への移行に際してはいささかの遅れと不安定な状態が生まれた。

2004 年に EMC が Dantz を買収したが、Retrospect はそれから数年間 EMC 社の中で静かにうちしおれてゆき、以前の評判の惰性のみで時を過ごすこととなった。2008 年に至ってやっと EMC は Retrospect の開発に再び人員を割くようになり、当初の開発者たちやテスターたちの一部が呼び戻された。それからおよそ一年後、EMC は Retrospect 8 を出荷した。(2009 年 3 月 23 日の記事“EMC 近代化された Retrospect 8 を出荷”参照。)けれどもこのリリースは時期尚早で、PowerPC のサポートがなく (多くの小規模企業ではバックアップサーバとして古い Power Mac を使っている)、マニュアルも、FTP のサポートも、スムーズなアップグレードの道も用意されていなかった。その後何度か追加の Retrospect マイナーリリースは出されたが、このプログラムは依然として生煮えの状態で、MacEnterprise メーリングリストのアーカイブをさっと検索してみただけでも、Retrospect の進歩の現状に対する不満の声は多数見つかる。

EMC で Retrospect を担当する製品管理責任者の Eric Ullman (彼は Dantz でも Retrospect を担当していた) は、Retrospect チームは自分たちが EMC に戻って来た目的であるその仕事を完成させることを目指している、と述べた。つまり、Macintosh 用の Retrospect を、ネットワーク管理者たちの信頼を取り戻せる製品として再構築するという仕事だ。

残念ながら、その信頼を再び勝ち取るまでには時間がかかる。そして、バックアップの世界は Retrospect が市場を支配していた時代以後、大きく進化してきた。当時、Retrospect Express が個人ユーザーに多く使われ、それを通じてその人たちに Retrospect の機能を紹介する役割を果たしていた。そのようなユーザーたちがもしもその後ネットワーク管理者になれば、機能充実版の Retrospect に頼るようになることが多かったわけだ。けれども今は、個人用バックアップの市場は大部分が Apple の Time Machine に占められ、追加機能が欲しい人たちには CrashPlanSuperDuperCarbon Copy Cloner といったプログラムがそれを提供している。その上、他にもまだまだたくさんのものが存在している。Joe Kissell は彼の電子ブック "Take Control of Mac OS X Backups" 用のオンライン付録の中で、100 以上のバックアッププログラムをリストしている。

また、Time Machine、CrashPlan、その他のプログラムは、常時稼動ではなくその代わりにスケジュール稼動のバックアップをする。15 分ごと、あるいは 60 分ごとに、変更されたファイルをバックアップするわけだ。それから、CrashPlan CentralBackblazeMozy (これも今は EMC の所有する製品だ) などインターネットバックアップのサービスは、オフサイトのバックアップが手軽にできる環境を提供している。インターネット経由で集中型のサービスにバックアップしたり、あるいは CrashPlan の場合、あなたが、またはあなたが信用する第三者が管理する別マシン上の同じプログラムにバックアップをしたりする。

個人ユーザー用のバックアップ手段として支配的な地位を占める時代が再び来ることはありそうにもないが、Retrospect は現在中小規模のビジネスの世界で競合している。こちらではかなり違った顔ぶれが登場していて、両方の市場ともにいるのは主として CrashPlan PROMozyPro のみだ。常時稼動、ファイルの差分のみのバックアップ、オフサイトのバックアップなどの追加機能はもちろん歓迎すべきものであろうが、Retrospect が今も際立っているのはテープドライブや光学メディアをしっかりとサポートしているからだ。これらは、ビジネスの世界では重要な点だ。

そして次のステップが大企業だ。ここではさまざまのバージョンのバックアップを作るためにテープのサポートが不可欠であり、また管理者とユーザーの間で必要な機能に大きな差がある。このような大企業の世界において Retrospect がネットワーク管理者たちの信用を得るためには、パフォーマンスと信頼性に焦点を絞ることが必要になるだろう。大企業レベルの Macintosh 用バックアップソフトウェアの他の例については、District13 Computing が PDF 形式で出している白書 Enterprise Backup Solutions を参照されたい。

過去の栄光の時代に匹敵する Retrospect ブランドを再構築するのが簡単なことでないのは言うまでもないが、その昔の Retrospect に懐かしい思い出をたくさん持っている者たちの一人として、私はその開発チームが Sonic Solutions の下で再びトライするチャンスを得たことをとても嬉しく思う。

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Steve Jobs、D8 にて(ほとんど)すべてを明かす

  文: Doug McLean <doug_mclean@tidbits.com>
  訳: 大石哲伸<tedz2000@gmail.com>

今月の初め、Wall Street Journal の Walt Mossberg と Kara Swisher は8年目の「D」を開催した:「すべてがデジタル カンファレンス」は、一番最近の開催が D8と呼ばれている。このカンファレンスでは市場をリードする人物を呼んで討論を行い、デモを見せ、インタビューを行う。2003年から開催されており、 今年の出演者としては前述の条件を満たしている Microsoft 社の Steve Ballmer , Avatar の監督 James Cameron そして Facebook の Mark Zuckerberg が参加する。

Steve Jobs は開催当夜のゲストとして登場し、Mossberg と Swisher と共に座って90分を過ごした( D8 Web サイトにて インタビューのすべてが動画として公開されている)。見識を与えてくれる話題として Microsoft に詰め寄ってきたマーケッティング戦略から Jobs がどのように平均的な平日を過ごすのかといった事柄が取り上げられた。

今年の WWDC キーノートスピーチが Apple ファンに、この会社の CEO の現状を知る機会を与えていたのに対し、D8のインタビューは Jobs が他人の設定する話題にどのように反応するのかを知る良い機会になった。彼の返事は Apple 社の方針を反映したものになるが、例えそれに反した内容でも、Mossberg と Swisher が質問すればそれに答えなければならない。もっと言えば、Walt Mossberg が行う厳しい質問(彼は世界で一番パワフルな技術系ジャーナリストだ)は、対等なもの同士の会話のようであり、Jobs は、かの有名なそっけない電子メールでの応答とはまた違い、面白くもっと詳細に触れた答え方をしていた。

インタビューでは多くの事に触れられたが、特筆すべき瞬間は、Flash や Google 等、最近、Apple をうるさい論争に巻き込んだいくつかの議論をした時だった。

Flash -- この会話での初めの話題の一つは、Apple と Adobe の関係について、そして Flash の事。Mossberg は Jobs の「Flash についての考え」と言うエッセイを引き合いに出して、当たり前に使われているような技術を使えなくしてしまうのは顧客に対して公正とは言えないのではないか、と切り出した。Jobs の返事は、Apple には革新的な技術(この場合は HTML5)を取り入れる一方でそうでない技術は捨て去ってきた歴史がある、というものだった。彼は iMac がフロッピードライブの搭載と古い規格のポートを取りやめた事に言及し、この決断に対する世間の最初の反応が怒りであったと話し、この事は Apple が過去には重要であった技術を切り捨てる事に前向きである事を示す例であるとした。 Jobs によれば Flash のサポートを iOS と云う製品で行わない事は純粋に技術的な結論であり、Apple 社の見方では Flash は峠を越した技術であると言う事になる。(つまり、Joy of Tech と云う漫画で取り上げられたように、「 Apple に見捨てられたおもちゃの島へ送られた」と言う事だ)

Jobs はさらに事の詳細に触れ、こう説明した。挑発されたわけでもないのに、Adobe は媒体へのキャンペーンをはり、Apple の Flash サポート放棄に抵抗した。Apple と Adobe には多くの共通の顧客があり、Adobe Creative Suite と云う製品はこれを支えるものである。Apple が Adobe の製品の一つでもサポートしなくなる事はありそうもない事であり、Adobe の攻撃を信じられないと表現した。彼はさらに言葉を加え、Apple は Adobe に連絡して、Flash がもっと速くなり、安定して iOS 上で動作すれば、と奨励したがこの呼びかけにはいまだに応じられていないとした。

最後に Jobs はこう語った。顧客は Apple 製品を買うか、あるいは、もしこの会社が間違った技術を選択していれば、買わないか。いずれかなのだ。しかし、と、笑顔をほころばせ、彼はコメントを加えた。今のところ iPad は好かれているようだ。

Google -- Jobs が寡黙になったように見えたのは話題が競合としての Google に及んだ時である。何回も Mossberg と Swisher は彼をつっついて、もっと踏み込んだ考えを聞こうとした。Apple と検索エンジンの巨人との関係、Google が競合相手となり、個人的に裏切られたと感じてないか、特に Google の CEO Eric Schmidt は一度は Apple 経営陣のメンバーであったのだ。しかし、Jobs は手のうちを明かさなかった。一点だけ、Mossberg が関係に関して聞いた時に Jobs は答えた。「私の性生活は最近充実しているよ。君はどう?」Mossberg が「関係は?」と迫るのをからかってはいるが、暗にこのような質問は深く突っ込みすぎていると示し、Jobs は明らかにジャーナリストを退けようとしていた。

Jobs は、彼自身も Apple も、Google と競合しているとは考えていない、Apple がやっている事は単純に可能な限り最高の製品を作り出そうとしているだけだ、と繰り返し云った。そして、Google が Apple と競合する道を選んだのだ。、と語った。この説得力のない言い換えでは相手を納得させる事はできなかった。Jobs はついに、何度もいい寄られた後に、2つの会社が競合していると認めた。彼の返答は、できうる最高の製品を作ろうとする過程で、Apple は Google よりも良い製品を作ろうと務めたのだ、と言う事だった。しかし、と、Jobs が続けたのは、2つの会社が競合しているにしろ、無礼になる必要はないと云う事だ。最後に彼が指摘したのは Google と Apple はいくつかの財産を共有しているのだと云う事だ:それは Android が iTunes の曲をサポートしている事、そして、Apple は Google の地図を利用できるのだと云う事。

Jobs が自分のマントラを唱える事を楽しんでいる事は明らかで、そのマントラというのは、彼は自分の製品にただ集中しているだけだ、と云うものである- そしてこれは実に多くの真実が含まれているイメージである。つまり、彼は非常に集中力を発揮している -明らかなのは、この、世界で一番野心のある会社の一つに CEO として在籍しているものとして、競合の存在が彼の心を占めた時間があったに違いないのだ。

論争 -- 最後に Mossberg と Swisher は Jobs に対し、最近起こった iPhone プロトタイプに関する失態と これも最近、自殺騒動が Apple の電子機器供給元 Foxconn で起こった事に触れた。

iPhone 4 が既に発表されたのでプロトタイプの話は既に旧聞となったが、この事に対して Jobs が何を言うかは興味深い。彼が云うには、議論となったのが、あのプロトタイプが誤ってバーに忘れてしまったものなのか、エンジニアのバッグから盗まれたのかと云う事だ(このエンジニアが首になっていないと云う事実は後者が正しいと言う事を示しているのだと思われる)。彼は続けて、素晴らしくいろいろな話が出て来て、すごい映画が作れそうな程であり、その中には盗みあり、盗まれた財産があり、強奪あり、-たぶん、何処かでセックスも出てくるんじゃないか、と云った。(さらに話は続き、Jobs は 1980年代に Apple の重役であった Jean-Louis Gassee のような語り口になった。) Jobs がこの件を深く知っているとは認めていないものの、Apple 側の話が Gizmodo の話と食い違う事には疑いがない。

この件はある側面、Apple ではなく、地方検事の手の中にあるものではあるが、Jobs が Apple の反応に関してコメントをした点は興味深い。何人かの人たちが彼に状況をそのまま推移させる事を進言したと、Jobs は云う。彼はこの事を長く真剣に考えた。どのようにこの件を追跡するか。そして、ついに10年前に店じまいの危機に瀕した時と同じ行動原理に従うことにした。彼が具体的にそう語ったわけではないが、彼が言おうとしているのは、Apple の成功の原因は Apple が小さく細かい部分にこだわるところにある、という事なのだ。10年前には製品のデザインについて、今回は製品の秘密を守る事について。明らかに Jobs は彼が Apple に戻った時と同じこだわりと勤勉さを持っていると自負しているし、それこそがこの会社のこれからの10年に対する幸運の兆しともなっているのだ。

Foxconn の状況に関しての Jobs の語りは、Apple はこの自殺を真摯に受け止めている。彼が信ずるに Apple が真面目に対応している事はおそらく技術業界で一番、いや、どの業界でも一番で、サプライヤーに対してもその労働条件の評価が及んでいる。Apple はサプライヤーに関する責務報告書を年次で発行し労働条件を詳述し従業員の待遇や環境整備に対する責務について、元請け、下請け、孫請けのサプライヤーに対してまで報告をまとめている。彼はこれに続けて Foxconn は搾取工場ではないと強調した。 -事実、ここでは労働者にレストラン、映画館、プール、病院が用意(悪くない工場だ!)されている - それでも Apple は事の経緯を気にかけている。

この状況に対する洞察としてありうるものが Jobs によって示された。Foxconn で働く多くの従業員が10代後半にすぎなくて、彼らが住む田舎の貧困地域から初めて抜け出して来たところであったたと云う事だ。彼の説明では、このような急激な変化と家庭からの別離はおそらく一部の若者に取っては対処が難しい困難さを生むだろう。彼はさらに言葉を付け加え Apple 社内と外部から招集された専門家の両方がこの問題を理解しようと努力している。(最近の Foxconn の発表では、労働者の給与をあげて超過勤務のプレッシャーを緩和する、としている)

推奨インタビュー -- これらの話題はインタビューの中でも最も派手な部分を選んだものであるが、いずれにしろ Steve Jobs を観察するのはいつでも楽しい。特に彼が文章を用意せずにいて、相手のジャーナリストが答えを強いるのを恐れない場合には。もし、あなたに暇があれば、D8の動画がこの文章の最初にリンクされているので見てみる事を強くお勧めする。

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Apple、Safari 5 で Reader、HTML5、パフォーマンスを拡張

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

WWDC キーノートの話題は iPhone 4 と iOS 4 にすっかり占められた形となって、Steve Jobs はその日のもう一つの Apple のメジャーリリース、Mac 用と Windows 用双方の Safari 5 についてはあまり触れなかった。新しいバージョン番号に合わせるかのように、Apple は 5 つの新機能を Safari 5 の重点機能として掲げている。それは、Safari Reader、増強された HTML5 サポート、パフォーマンスの向上、検索バーでの Bing サポート、それから開発者たちが拡張機能を作成できる Safari Developer Program だ。

Safari Reader -- Safari 5 でユーザー向けに焦点を絞った機能の第一は、Reader だ。これは、認識した記事からテキストだけを抽出して、広告やサイトのグラフィックス、その他視覚的に邪魔なものなしに表示するというものだ。さらに、例えば New York Times など長い記事を複数のページに分割しているようなサイトでは、Safari Reader が自動的に必要なリンクを辿って記事全体を一つの長いページに表示し、そこをスクロールして連続的に読むことができる。スクリーンの下の方に出る半透明のポップアップで、テキストのサイズを変更したり、そのページを電子メールでウェブアーカイブとして送信したり、ページを印刷したり、といったコントロールができる。

Safari Reader を使うには、アドレスバーに出る Reader ボタンをクリックする。(または Edit > Enter Reader [Command-Shift-R] を使ってもよい。)すると、JavaScript によって開くライトボックスに似たものの中にページが表示される。つまりこれは一種のウェブベースのダイアログで、ページの残りは暗くなり、Reader 表示のみがそのボックスの中にはめ込まれる。テキストサイズ変更と電子メール送信、印刷をコントロールする部分は特に新しい機能ではない。それらは標準的なメニューコマンドとそれぞれに対応するキーボードショートカットの形でずっと以前から存在していた。(それぞれ、表示 > 拡大 [Command-+]、表示 > 縮小 [Command--]、ファイル > このページの内容をメールで送信 [Command-I]、ファイル > 印刷 [Command-P] だ。)

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Safari Reader に関係する興味深い問題点がいくつかある。最も重要なのは、これがどのサイトをサポートしているのか知る方法がないこと、より端的に言えば、サイト内部で記事を特定するためにどの HTML タグを用いているのかが分からないことだ。例えば、Safari Reader は TidBITS ホームページでは働かないが、TidBITS の個々の記事のページでは働く。それから、Take Control ホームページでは働くが、Take Control News の記事では働かない。私が試したすべてのサイトで(TidBITS でもそうだった)Safari Reader は読者からのコメントを「視覚的に邪魔なもの」と認識し、表示対象から外してしまう。

また、アドレスバーの Reader ボタンが従来の RSS ボタンの代わりに置かれるので、Safari Reader がアクティブな場合、そのサイトの RSS フィードを購読するにはどうすればいいのだろうかと思ってしまう。その答は、Reader ボタンをクリックしてそのまま押し続けるのだ。すると、通常の RSS メニューが出てさまざまのフィードにアクセスできる。

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残念なことに、ポップアップのコントロールを使ってページを電子メールで送信した場合「このページの内容をメールで送信」コマンドが使われる。「このページへのリンクをメールで送信」(Command-Shift-I) コマンドではない。後者のコマンドを使いたい場合は、ファイル メニューを使うかキーボードショートカットを使うかして手で呼び出さなければならない。でも、嬉しいことに、Safari Reader が表示されている状態で印刷コマンドを(どんな方法でも)呼び出すと、印刷される結果は通常のウェブサイトのレイアウトではなく、それよりもずっとクリーンな Reader 表示を反映したものとなる。

Safari Reader は、間違いなくあちこちで物議を醸すことになるだろう。なぜなら、これによって広告のクリックスルー率がますます減るからだ。ことに、長い記事を複数のページに切り分けているサイトではそれぞれのページに別々の広告を付けているのだから。広告の問題以外にも、出版に際してどのコンテンツに意味があってどのコンテンツはそうでないかを Apple が勝手に判断するというのは、何となく気の滅入る話だ。例えば TidBITS サイトでは、私たちは読者からのコメントを非常に大きな意味があると考えているし、またその記事に関係した記事へのリンクも意味あるものと見なしている。ところが、Safari Reader はそういうものすべてを隠し、他にもいろいろ隠してしまう。願わくは、Apple が Safari Reader がどのように機能しているのかを公開して、出版者たちが自分たちのコンテンツのうちどの部分が認められるかを選択でき、どのようにすればそうできるか分かるようにして欲しいものだ。

そうは言っても、メインとなるブラウザの一つの中に Safari Reader がデフォルトで組み込まれたというのは、注目すべきことだ。長年の間、ウェブページ上の記事のテキストのみに集中できるようにするためのさまざまな方法が考案されてきた。私がこれまで見た中で最も印象的だったのは Readability (これをもとに Safari Reader は作られている) と Readable で、これらはいずれも JavaScript ベースのブックマークレット経由で動作する。いずれも、現代のブラウザのいずれでも働くはずだ。

増強された HTML5 サポート -- Apple は現在、iOS が二つのプラットフォーム、つまりネイティブな iOS アプリと HTML5 ベースのウェブアプリの両方をサポートしていることを非常に大きく打ち出している。その結果として、Mac 上の Safari 5 がより大幅に HTML5 サポートを備えたことも驚くには当たらない。例えばフルスクリーンのビデオ、ビデオにおけるクローズドキャプション表示、位置情報サービス、等々が組み込まれた。

HTML5 のサポートは現時点ではまだニワトリが先かタマゴが先かという段階だ。ウェブ開発者たちの側では、大多数のブラウザで十分にサポートされない間は HTML5 に全面的に依存する訳に行かないし、ブラウザのメーカーたちの側では、広く採用されていない段階でそれをサポートするに十分な投資をする気になれないかもしれない。(When Can I Use... サイトに、いろいろの異なったブラウザのバージョンでそれぞれどのタグが安全に使えるかを示した便利な情報が載っている。)だから、Safari 5 がその HTML5 サポートを高らかに宣言したというのは、良いことだ。なぜなら、それをきっかけに他のブラウザメーカーたちも後押しされるだろうからだ。HTML5 Test サイト (ここには若干のバイアスがあるかもしれないが)で確かめてみると、Safari 5 が実際にいろいろなブラウザの中で最も HTML5 に対応していることが分かる。僅差で Google Chrome を凌いでの結果だ。ここでのスコアはすべて 300 点満点だ。

パフォーマンス向上 -- Apple は Safari 5 が三つの面でパフォーマンスが向上したと主張している。Nitro JavaScript エンジンと、DNS プリフェッチ、それからページキャッシュの改善だ。Apple はいくつかチャートを出していて、そのいずれでも Safari が最も高速のブラウザだということになっているが、現実の使用でのパフォーマンスはこのようなベンチマークの結果とは別物だ。

例えば、Apple は Safari 5 の Nitro JavaScript エンジンが Safari 4 のものより 30 パーセント速く、Chrome より 3 パーセント速く、Firefox 3.6 の2倍高速だと言っているが、私が使っている JavaScript ヘビーなサイトで試してみても実感として速くなったとは思えなかった。一つには、そうしたサイトの多くが AJAX を使っていて、確かにユーザーにインターフェイスを提示するためには JavaScript が使われているものの、それと同時にバックエンドの作業も多数進行していて、そちらはいつも高速とは限らないのだろう。

DNS プリフェッチはなかなか素敵だ。開いているページに他のサイトへのリンクが含まれている場合、Safari 5 が自動的にそれらのアドレスを調べておくので、そのどれかをあなたがクリックした際には既に Safari がそのサイトのアドレスを知っていて、ページをロードする時間が短縮される。どうやら、 この機能はしばらく前から Google Chrome に存在していたらしい。そのことをコメントで教えてくれた Glenn Rempe に感謝したい。

Safari 5 での改善点として Apple がもう一つ挙げているのがページキャッシュだ。ただし、Apple はキャッシュに追加できるウェブページの種類が増えたと言っているだけで、それ以上具体的なことは何も発表していない。

Bing 検索 -- Safari 5 での新機能のもう一つは、Safari 5 の「一般」環境設定で検索エンジンの選択肢に Bing が追加されたことだ。それ以外の選択肢としては Google と Yahoo がある。また、Apple は iOS 4 での検索エンジン選択肢にも Bing を追加した。この追加をどう判断すべきか、迷うところだ。

Stat Owl サイトによれば、Google が検索エンジンの世界で市場の 86 パーセントを占めて圧倒している。Bing が第二位で 6 パーセント、Yahoo が三位で 4.92 パーセントだ。だから、Apple が単に競争の場で平均化を図ろうとしているに過ぎないということも考えられる。ことに、Safari ブラウザ用の検索市場の 95 パーセント以上を Google が占めているのを考えれば。最近とみに Apple と Google の間で緊張が高まっていることもあり、Apple が検索のトラフィックをできるだけ平均化させて、検索の場であまりにも Google に依存し過ぎるのを避けたいと思ったとしても不思議ではない。

もちろん、Yahoo 検索を含めたことで既にその手は打ってあるとも言える。けれども 2009 年 7 月以来、Yahoo Search は Bing によって動いている。奇妙なことに、データベースかアルゴリズムかいずれかで少し違ったところがあるに違いない。なぜなら、Yahoo Search と Bing では同じ検索をしても同じ結果は得られていないからだ。

Safari 拡張機能 -- Safari 5 における Apple の看板機能の最後は、長らく望まれ続けてきたもの、Safari 拡張機能だ。従来は、Safari の挙動を変えようと、開発者たちはあらゆる種類の醜いハックを駆使する手段に訴えてきた。今回可能となった新しい拡張機能によって、願わくは開発者たちがルールの範囲内で働きつつ、Safari の機能を興味深いさまざまのやり方で拡張できるようになって欲しいものだ。拡張機能は、Safari の環境設定に新設された 拡張機能 パネルで管理される。そのため、拡張機能の自動アップデートも利用できる。(この拡張機能パネルは、何か拡張機能をインストールした後か、それとも "詳細" パネルで "開発" メニューを有効にしてから 開発 > 拡張機能を有効にする を選ぶかしなければ現われない。

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新しい「機能拡張ビルダー」アプリケーションが、開発者たちのために Safari 拡張機能の作成を支援する。これを使って、ツールバーにボタンを加えたり、ウェブコンテンツの表示方法を変更したり、ウェブページにコントロールを追加したり、その他のことができる。Safari 拡張機能は HTML5、CSS3、それと JavaScript に依存するので、Xcode での Cocoa プログラミングを必要とする通常の機能拡張モデルよりも、ウェブ開発者たちにとってはアクセスしやすいはずだ。

具体的なことを見極めるのは困難だが、どうやら Apple は何らかの方法で Safari 拡張機能を評価することを予定しているようだ。すべての Safari 拡張機能は Apple の提供するデジタル証明書による署名を必要とする。この証明書は Safari Developer Program の中に無料で付属しており、この証明書によって Safari 拡張機能が改ざんされたものでなく真正の開発者のところから来たものだということが保証される。その点は良いことだ。また、サンドボックスを使ったセキュリティ向上も組み込まれている。さらに、Safari 拡張機能を Safari Extensions Gallery に投稿することもできる。このギャラリーは数ヵ月以内にオープンする予定で、ユーザーたちはここで拡張機能を見つけてダウンロードすることができるようになる。iOS アプリと類似の審査が Safari 拡張機能にも実施されるのかどうかははっきりしない。

その他の機能 -- Safari 5 におけるその他の変更点は比較的小さなものだが、非常に歓迎すべきものもある。いくつか例を挙げよう:

Safari 5 はソフトウェア・アップデートから、あるいは Apple のサポートダウンロードページから 37.46 MB のダウンロード としても入手できる。もちろんこれは無料で、Mac OS X 10.5.8、10.6.2、または 10.6.3 を必要とする。もしもあなたがまだ Mac OS X 10.4 Tiger を使っているならば、Safari 5 の新機能のうち Safari Reader 以外のものを数多く含む Safari 4.1 for Tigerが利用できる。こちらは Apple のサポートダウンロードページから 29.46 MB のダウンロードだ。あるいはソフトウェア・アップデートからも入手できる。Windows 版の Safari 5 は Windows XP、Windows Vista、Windows 7 の下で動作するが、どうやらこれは Mac 版の Safari 5 と同じサポートダウンロードページから入手できるようだ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 6 月 14 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

PasswordWallet 4.5.3 -- Selznick Scientific Software が、長年来のパスワード管理ユーティリティ PasswordWallet にマイナーなアップデートをリリースした。バージョン 4.5.3 では同期の速度が従来のリリースに比べ十倍速くなり、書類のパスワードダイアログで作業する際のキーボードサポートが改善された。また、このアップデートでは Find Duplicates 機能に時折起こっていた問題が修正されるとともに、同期の際の重複のエラーに対処し、プログラムを終了した後もファイルがロックされたままになっていたバグを解消している。同社はまた iPhone 用の Password Wallet 4.5.2 もリリースし、数多くの新機能と使い勝手の調整を加えている。(新規購入 $20、アップデート無料、5.7 MB)

PasswordWallet 4.5.3 へのコメントリンク:

MacSpeech Scribe 1.1 -- MacSpeech が、同社の口述筆記ソフトウェア MacSpeech Scribe にマイナーなメンテナンスアップデートをリリースした。バージョン 1.1 では口述筆記が終わった後に File Open ウィンドウを閉じることができないという厄介なバグが修正された。また、このアップデートからボリュームライセンスのサポートも加わった。MacSpeech Scribe について詳しいことは、最近 Matt Neuburg が書いたレビュー記事、2010 年 5 月 19 日の“MacSpeech Scribe による口述筆記”を参照。(新規購入 $149.99、アップデート無料、8.8 MB)

MacSpeech Scribe 1.1 へのコメントリンク:

1Password 3.2.1 -- Agile Web Solutions が、人気のパスワード管理ユーティリティ 1Password のメンテナンスおよび互換性用アップデートをリリースした。バージョン 3.2.1 ではリリースされたばかりの Safari 5 のサポートが追加され、検索のデフォルト設定が常にすべての項目を探す設定に変更され、ウェブサイトのアイコンやページプレビューをダウンロードする処理が改善された。また、マイナーな問題点にもいくつか対処が施され、その主なものとしては Login パスワード生成での問題、Login リストでのキーボードスクロールが鈍かった問題、日付の選択に関係したバグなどがある。フルのリリースノートは Agile Web Solutions のウェブサイトにある。(新規購入 $39.95、アップデート無料、15.1 MB)

1Password 3.2.1 へのコメントリンク:

Microsoft Office 2008 for Mac 12.2.5 Update -- Microsoft Office 2008 12.2.5 Update14 個のセキュリティ脆弱性に対処している。中でも最も深刻な脆弱性は、悪意を持って作られた Excel ファイルによって攻撃者が任意のコードを実行したり上位のシステム権限を得たりできてしまうというものであった。管理者権限を持つアカウントは、アクセス権の少ないアカウントに比べてより大きなリスクを伴っているからだ。このアップデートでは、ある種の Excel ファイルが解析される方法を変更し、また Mac 用の Open XML File Format Converter のインストールに関する問題を修正することによってこれらの問題に対処した。さらに、カスタム辞書で他の言語の単語が含まれてしまう問題もこのアップデートでで修正された。

このアップデートは Microsoft Office 2008 for Mac 用として Important のランク付けがなされ、Microsoft Office 2008 for Mac 12.2.4 Update が既にインストールされていることを必要とする。このアップデートは Microsoft のウェブサイトから、あるいは Office 2008 版の Microsoft AutoUpdate 経由でも入手できる。(無料、332.8 MB)

Microsoft Office 2008 for Mac 12.2.5 Update へのコメントリンク:

Microsoft Office 2004 for Mac 11.5.9 Update -- Microsoft Office 2004 for Mac 11.5.9 Update14 個のセキュリティ脆弱性に対処している。中でも最も深刻な脆弱性は、悪意を持って作られた Excel ファイルによって攻撃者が任意のコードを実行したり上位のシステム権限を得たりできてしまうというものであった。管理者権限を持つアカウントは、アクセス権の少ないアカウントに比べてより大きなリスクを伴っているからだ。このアップデートでは、ある種の Excel ファイルが解析される方法を変更し、また Mac 用の Open XML File Format Converter のインストールに関する問題を修正することによってこれらの問題に対処した。

このアップデートは Microsoft Office 2004 for Mac 用として Important のランク付けがなされ、Microsoft Office 2004 for Mac 11.5.8 Update が既にインストールされていることを必要とする。このアップデートは Microsoft のウェブサイトから、あるいは Office 2004 版の Microsoft AutoUpdate 経由でも入手できる。(無料、9.7 MB)

Microsoft Office 2004 for Mac 11.5.9 Update へのコメントリンク:

Cyberduck 3.5 -- Cyberduck 3.5 は、人気あるオープンソースのファイル転送クライアントの大きなアップデートだ。今回は Google Docs ストレージのサポートが追加された。Google Docs にアップロードされたファイルは Google Docs フォーマットに変換され、ダウンロードされたファイルをどんなフォーマットにするかはあなたが指定できる。さらに、画像を Google Docs にアップロードすると、Cyberduck はそのファイルに対して光学文字認識を実行することができる。また、Amazon S3 での Reduced Redundancy Storage と、S3 および Rackspace Cloud Files でのカスタムメタデータ属性、SecureID を用いたキーボードインタラクティブな認証、CloudFront ストリーミング配布に対するアクセスログの設定機能、それからルーマニア語とスロベニア語のローカライズ版のサポートも今回のアップデートで追加された。変更点や改善点のフルリストは Cyberduck のウェブサイトにある。(無料、19.2 MB)

Cyberduck 3.5 へのコメントリンク:

Photoshop Lightroom 3.0 -- 長く続いた公開ベータ期間を終えて、Adobe が Adobe Photoshop Lightroom 3.0 をリリースした。同社のプロ用写真カタログ・編集用ソフトウェアの、最新のメジャー改訂版だ。高 ISO 画像からノイズを低減する機能が劇的に改善され、ライブラリの中でビデオファイルを整理したり、画像を Flickr にアップロードしたり (さらにはそのサイトで他の人たちが書き残したコメントも表示したり) する機能がサポートされ、またカメラから直接 Lightroom に画像を保存できるテザー撮影機能も追加された。その他にもいくつか、アナログとデジタルの写真の世界を行き来することに関した新機能がある。注目すべきはレンズ補正機能で、これはカメラの機種やレンズの機種、それら両者の組み合わせに基づいて画像を補正できるというもので、特定のセンサーやレンズで起こっていた問題に対処している。遠近補正機能は、好ましくない歪みを取り除く役に立つ。また、それと対極に位置する機能として、フィルム粒子シミュレーション機能は、デジタル写真の中にカスタマイズ可能なアナログフィルム風の見栄えを持ち込むことができる。(新規購入 $299、アップグレード $99、74.9 MB)

Photoshop Lightroom 3.0 へのコメントリンク:

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ExtraBITS、2010 年 6 月 14 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週はニュースの大部分が Apple の Worldwide Developers Conference (WWDC) に関するもので、TidBITS スタッフたちも MacNotables や Tech Night Owl のポッドキャストにゲスト出演した。また、キーノートのビデオ自体もあるし、キーノートの場で Wi-Fi に関係した不具合が起こったことについて可能な理由を Glenn が説明した Ars Technica の記事もある。その他のニュースとしては、AT&T でセキュリティ上の問題が起こって大勢の iPad ユーザーの電子メールアドレスが流出し、Second Life が従業員の 30 パーセントを解雇した。

Adam、Tech Night Owl Live で iPhone 4 と iOS 4 を語る -- これもまた Apple の WWDC での発表に関する話だが、Adam が Tech Night Owl ホストの Gene Steinberg と対談し、iPhone 4 で目玉となる機能について、FaceTime が iChat や Skype とどう統合されるべきかについて、AT&T のデータプラン変更について、その他さまざまの話題について語る様子がこのポッドキャストで聴ける。

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Wi-Fi 混雑状態の WWDC キーノートで iPhone 4 のバグが発生? -- TidBITS 編集者 Glenn Fleishman が、WWDC キーノート会場であれほどの Wi-Fi ネットワーク渋滞状況が発生してしまった理由について、Ars Technica の記事で深く切り込む。Apple の Mac ネットワーキングハードウェアグループで七年間責任者をしていた人物を含む二人の Wi-Fi 専門家と議論した結果、どうやら iPhone 4 には Wi-Fi ドライバのバグがあるらしい。混雑状態の結果として、このバグが表面化したようだ。

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AT&T のセキュリティ問題で iPad ユーザーの電子メールアドレス流出 -- New York Times の記事によれば、Goatse Security という名前のハッカーグループが AT&T のウェブサイトにおけるセキュリティホールを突くことに成功し、114,000 人の iPad 3G ユーザーの電子メールアドレスにアクセスすることができたという。AT&T はその後同社のサイトでこのセキュリティホールをパッチしたが、今回の漏洩は同社にとって重大な汚点であり、Apple がこの問題に直接関係するところがあったという兆候は全く無いにもかかわらず、iPad の評判にも悪影響を及ぼしかねない。

コメントリンク:11340

Adam と Tonya、MacNotables で電子ブック形式と Safari 5 を語る -- MacNotables ホストの Chuck Joiner は、EPUB と PDF がどう違うのか、混乱していた。そこで Adam と Tonya がそれぞれのフォーマットの長所と短所を説明しようと試みたのが、この MacNotables ポッドキャストだ。Adam はまた Safari 5 での新機能も要約し、Chuck は視聴者に対して Adam と Tonya が新しい iPhone 4 を入手すべきかどうかアンケートへの投票を求めた。

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Second Life (第二の人生) 従業員が第二のキャリアを得る -- 仮想世界の Second Life を覚えておられるだろうか? 数年前、新しい時代の波としてもてはやされたのを。いやはや、Second Life (第二の人生) よりも第一の人生の方が大切さ、という冗談が当時流行したが、どうやらあれは笑い話どころじゃなかったようだ。TechCrunch の記事によれば、Second Life のユーザー基盤は縮小し続けており、そのためメーカーの Linden Lab は従業員の 30 パーセントを解雇することになったが、彼ら従業員たちにはすべて第二のキャリアのチャンスが与えられるのだという。

コメントリンク:11304

2010 WWDC キーノートのビデオが視聴可能 -- Steve Jobs が iPhone 4 のお披露目をするのを自分の目で見る楽しみを逃した人たちのために、Apple は同社のウェブサイトで 2010 WWDC キーノートスピーチのビデオを公開した。iPhone 4 の紹介に加えて、Jobs と彼の仲間たちは iOS 4 と、アップデート版の iBooks、新しいビデオ会議アプリ FaceTime をプレビューするとともに、いろいろなアプリのデモもたっぷりと見せている。

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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2011年 1月 8日 土曜日, S. HOSOKAWA