TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1046/27-Sep-2010

別に予定していたわけではなかったが、先週遅くに iTunes 10.0.1 の意外なリリースがあったことと、iTunes を肥大化したソフトウェアと呼ぶべきかどうかという論説記事を Kirk McElhearn が書いてくれたことによって、今週号では iTunes が大きな位置を占めるようになった。その他のニュースとしては、Dropbox iOS アプリのバージョン 1.3 が便利な機能をいくつか追加したことを Glenn Fleishman が紹介し、Adam が AppTamer を詳しく解説する。St. Clair Software から新しく出たユーティリティ AppTamer は、バックグラウンドで不必要に実行中のアプリケーションの動作を止めることによって、全体的なパフォーマンスを向上させ、ラップトップ機のファンを静かにし、バッテリ寿命を延ばすという。最後にもう一つ、もしもあなたが PDFpen のユーザーなら、あるいは PDF を扱うソフトウェアを探しているなら、私たちの最新の電子ブック、Michael E. Cohen の "Take Control of PDFpen 5" をお薦めしたい。今週の注目すべきソフトウェアリリースは、NoMoreiTunes 1.51、Adobe Flash Player 10.1.85.3、DEVONthink と DEVONnote 2.0.4、Security Update 2010-006、TinkerTool 4.2、Mailplane 2.2、それに Pro Applications Update 2010-02 だ。

記事:

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Dropbox アプリに、HD アップロード機能とローカルキャッシュ機能が追加

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 柳下 知昭 <tyagishi@gmail.com>

iOS 向け Dropbox アプリ は、バージョン 1.3 でクラウドベースのストレージシステムである Dropbox との保存や取得について、目覚しい拡張が行なわれた。Dropbox を使用するためには、フォルダを置いておく必要があり、Dropbox の中央サーバーや同様の設定をされたコンピュータと自動的に同期される。他の人と複数のフォルダを共有することも可能であり、それらを同期させることができる。(Dropbox の詳細については、"Dropbox:ある共同編集者の夢" 2009 年 2 月 3 日を参照のこと)

無料の Dropbox アプリは、iPhone と iPod touch 向けの地味なアプリとして始まった。("Dropbox がファイル表示・共有用の iPhone アプリをリリース" 2009 年 9 月 29 日を参照のこと)その後、iPad 向けにアップグレードされた。しかし、お気に入りとしてマークされたファイルのみを保持するというアプリであったために、すこし扱いづらいアプリだった。

新しいバージョンの Dropbox アプリは、取得したファイルをあなたが設定した制限量までキャッシュする。お気に入りであれば、変更を追跡しているため、既にキャッシュされていても変更されていれば、リロードすることができる。

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品質について設定することも可能で、ビデオや写真をアップロードする際の圧縮量をコントロールすることができる。特に、iPhone 4 上でビデオや写真をフルサイズで保持するためのHD 設定がある。

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バージョンアップされたアプリには、ホームページ画面が用意され、簡単に設定やヘルプ、お気に入りに登録した項目へアクセスすることができる。(このことで、全てのコレクションをながめることなく特定のファイルに直接ジャンプできるようになった。)

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iOS 4 のバックグラウンドタスク (Task completion) を有効に活用することで、Dropbox 1.3 は、別アプリに切り替えられてからも、アップロードやダウンロードを継続するようになった。(その転送タスクは、数分以内に終了しなければならない。)アプリの中でフォルダを作成することもできるようになった。

今年の始め、Dropbox は、彼等のシステムを外部開発者向けにオープンにし、Dropbox のファイルへ安全にアクセスできるアプリケーションを開発することを可能にした。私は、いつも沢山のソフトウェアを使用していて、それらには、GoodReaderも含まれており、Dropbox からファイルをダウンロードすることができるし、Dropbox へアップロードすることもできる、さらには(読んでから書くとすることで)Dropbox のファイルを直接編集することもできる。Dropbox をサポートする機能を持つソフトウェアへの注目を集めるためにDropbox は、Web サイト上にアプリの一覧 を用意している。

Dropbox は、2GB までを無料で、50 GB ならば $9.99/ 月、500GB ならば、$19.99/ 月 でそれぞれ提供している。

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iTunes 10.0.1、Ping を統合

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は静かに iTunes 10.0.1 をリリースした。これはマイナーアップデートで幾つかのバグを修正し、そして Ping 音楽ソーシャルネットワーキングサービスをより良く統合している。バグ側では iTunes 10.0.1 で、オンスクリーンコントロールが見えているかどうかによって発生してくるビデオの品質問題を修正、別のウィンドウでアルバムアートワークとやり取りしている時に起こり得るクラッシュを修正、一部のサードパーティのビジュアライザの性能を改善、iTunes ライブラリとプレイリストが空っぽに見える原因となるバグを修正、そして一部のサードパーティ共有ライブラリとの互換性を解決している。

より興味深いのは、Ping にまつわる変更である。最も目に付くのは、View > Show Genius Sidebar を選択するか或いは iTunes ウィンドウの右底にある小さなボタンをクリックすることで表示出来た Genius サイドバーが Ping で置き換えられたことである。Genius サイドバーは何も選択されていなければあなたに対する一般的なお勧めを表示し、もしあるトラックを選択していると、関連する曲やアルバムを勧めてきた。今や、何も選択されていなければ、新しい Ping サイドバーはあなたの Ping 友達からのアクティビティを示す。もしトラックを選択していると、Ping サイドバーの中のボタンから現在のトラックに対して "いいね!" と言ったりコメントを投稿出来る。これらのボタンの下では、もしそのアーティストが Ping プロファイルを持っていれば、そのアーティストをフォローでき、そしてそのアーティストに関連した Ping コメントが見られる。そしてその下に、あなたの友達のアクティビティが現れる。

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Genius サイドバーは現在のトラックについてのお勧めを反映して変化したのに対して、この Ping サイドバーは選択されたトラックにのみ反応し、これはそれが演奏されているトラックでなくともそうである。加えて、全ての Genius のお勧めは消えてしまった;たぶん Apple はユーザーは Genius のアルゴリズムからよりも友達からのお勧めの方に良く反応するであろうと想定したのであろう。個人的には、これは間違いだと思う;私は、行き当たりばったりの友人やどんな音楽が好きなのか殆ど知らない見ず知らずの人を信用するよりは、私の聞きたいものを知っているアルゴリズムの方を信用する。Genius のお勧めを Ping のお勧めに置き換えてしまうというのは一歩後退の様に見える、少なくとも横道にそれたのではなかろうか。Apple は、友達からの最新のアクティビティとそして Genius のお勧めの間で必要に応じて切替えて見られるようにしようと思えば出来たはずである。

Ping に関係した変更で大成功と言えるのは、トラックを演奏中に iTunes を離れることなくそのトラックに "いいね!" と言ったりコメントを載せたり出来ることである。これらは Ping のサイドバーの中のボタンから、或いは選択した或いは演奏中のトラックの名前の隣に現れる Ping ボタンをクリックすることで出来る。以前には、Ping でトラックにコメントするにはいっぺん iTunes Store に行かねばならなかったが、これは何処から見ても馬鹿馬鹿しい話である。演奏中にそのトラックについてコメントしようと思う事はあると思うが、そうするために幾つもの輪をくぐって行かねばならないとなると、実際にそうする可能性は減っていくと思う。それが今では、通常の Mac ウィンドウの中にタイプするだけで出来る。

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これには別のやり方もあり、どのトラックでも Control-クリックし、現れるコンテクストメニューから Like, Post, 或いは Show Artist Profile を選択できるので、リストの中の Ping ボタンは好かないという場合でも Ping を使う事が出来る。これはアルバムに "いいね!" と言ったりコメントを載せたりしたい場合に必要なトリックである;もし Grid ビューにいる場合は、アルバムアイコンを Control-クリックするとアルバム全体として動作する。しかし List, Album List, そして Cover View モードでは、Control-クリックが働くのは選択されたトラックに対してのみである。

私が知る限り、あの Genius サイドバーを取り戻す術はなさそうであるが、もし Ping など意味がないとお思いなら、View > Hide Ping Sidebar を選択することで Ping サイドバーは簡単に隠せる。Store で左側の iTunes サイドバーから Ping を取り除く事は出来ないが、ボタンを取り除く事は可能である。これは Ping サイドバーを隠すよりは難しいが、次のコマンドを Terminal で実行すれば可能である。

defaults write com.apple.itunes hide-ping-dropdown -bool YES

Ping ボタンに関するもう一つの問題は、トラック、アーティスト、或いはアルバムの隣に現れたストアリンクの矢印を置き換えてしまうことである。Ping はその機能は置き換えているが、無くなっているのはそのボタンを Option-クリックする能力で、これであなたのライブラリの中の項目のカテゴリを見る事が出来ていた - 例えば、あるアルバム全体だけ或いは一人のアーティストによる全ての曲と言ったものである。これらを戻すには Terminal から次を実行する。

defaults write com.apple.iTunes show-store-link-arrows 1

もし Terminal を使うのは苦手と言うのであれば、代わりに Doug Adams が書いた Toggle Ping Buttons AppleScript を使うことも出来る。このスクリプトを使って Ping ボタンをオフにすると、リンクボタンは再度戻ってくる。

正直に言えば、私はまだ Ping をオフにしてみた事が無いが、それを本当に使う理由も見当たらない。私の好みの音楽を 30秒プレビューを通じて "シェア" するのはどう見ても友達にふさわしいやり方とは思えない。友人側は全トラックを聞くのにはお金を払わねばならないはめにおちいる。そして新しい音楽について知ることに関しては、私のオンラインの友達と我々の音楽の好みの間には必要な重なり合いが見えない様に思える。しかし、iTunes 10.0.1 での変更で Ping が十分に使われる様になれば、Apple が我々から集めているデータ全てから面白いパターンが見え始めてくるのかも知れない。

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"Take Control of PDFpen 5" を読んで PDF をプロの流儀で扱おう

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

PDF ベースのフォームに書き込んで署名を入れる必要に迫られたことは? あるいは、PDF ベースのチラシで日付を変更しなければならなくなったことは? 職場で PDF ファイルとして回覧された書類にコメントを書き込んだことは? 書類を PDF にスキャンしてテキストを OCR したことは? そういった作業をする場合、私は普通 Smile の PDFpen に任せる。これは、多くの PDF 操作を Adobe Acrobat よりも簡単にこなすことができ、価格もそれよりずっと安い。

だからこそ、電子ブック "Take Control of PDFpen 5" をお届けできることが嬉しいのだ。PDFpen を使って実行できるたくさんの種類の PDF 処理を、分かりやすく説明している。著者は Michael E. Cohen、彼は PDF が誕生するより以前から既に電子出版の仕事に手を染めてきた。(彼は、1990 年代初期に、Voyager の Expanded Books 創設に力を貸した。)132 ページのこの電子ブックは、 PDFpen を使って、またその兄貴分の製品である PDFpenPro を使って、PDF に何ができるかを的確に解説している。この電子ブックの価格は $10 だ。

PDF フォーマットの波乱に満ちた歴史や、そのフォーマットの概観を述べてから、Michael は PDFpen のツールやナビゲーションを一つ一つ見て行く。基礎的な説明が済んだ後は、以下のようなことが学べる:

また、PDFpen に同梱される多数の便利な AppleScript スクリプトを説明した付録も付いている。

この電子ブックは Smile 社の協力を得て作られた。Michael は PDFpen 5 の開発の各段階にわたってフィードバックを提供し、PDFpen の開発者たちはこの本の技術編集を通じてその内容が完璧に正確であるよう援助した。

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AppTamer が CPU 食いのバックグラウンドアプリを静める

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS 9 から Mac OS X に移行した際の最も大きなアーキテクチャ上の変更は、協同 (cooperative) マルチタスキングから割り込み型 (preemptive) マルチタスキングへと切り替わったことだった。平たく言えば、Mac OS 9 のような協同マルチタスキングのシステムでは、最前面にあるアプリケーションが処理時間の大部分を得て、そのうちどれだけをバックグラウンドのアプリケーションに分け与えるかを選ぶことができる。これとは対照的に、Mac OS X のような割り込み型マルチタスキングのシステムでは、オペレーティングシステム自体が CPU へのアクセスを切り分けて、どのアプリケーションが前面にあるか、対処を要する外部イベントがないか、個々のバックグラウンドアプリケーションからリクエストが届いていないか、といったことに基づいて割り当ての仕方を判断するようになっている。

割り込み型マルチタスキングには問題が一つある。Mac OS X の初期の時代、特にパワー不足気味の当時の Mac ではっきりと起こったことだったが、オペレーティングシステムがバックグラウンドアプリケーションにあまりにも多く処理時間を与え過ぎた場合、最前面のアプリケーションの挙動が鈍く感じられて、ユーザーを苛立たせてしまうことになる。そもそも、オペレーティングシステムのプログラマーたちが往々にして忘れがちなのではないかと思えるのだが、すべてはユーザー次第のことなのだ。

Mac OS X における優先割り当てのポリシーは、年を経るにつれてより精緻なものとなってきたが、それでもバックグラウンドアプリケーションが大して役に立つことをしていないにもかかわらずかなりの CPU 時間を割り当てられてしまうことは今でも起こり得る。これは、Time Machine がバックグラウンドでハードディスクをバックアップしているという話ではない。ここで言っているのは、例えばあなたが別のアプリケーションを使っている間も Safari が Flash アニメーションを走らせ続けるといったようなことだ。また、あなたが Safari でたくさんのタブを開いていたとして、それぞれのタブが独自に JavaScript や Flash のコードを(あなたがそのプログラムを使っていないにもかかわらず)実行し続けていれば、Mac の動きが鈍くなってしまうこともある。さらに悪いことに、MacBook や MacBook Pro を使っていた場合、あなたの CPU 利用度が増せば、熱の発生も増え、ファンが回り始めることになる。すると、あなたの Mac はただ遅いだけでなく、やかましくなる! それだけではない。バッテリ寿命も、あっという間に落ちてしまうのだ。

そこで登場するのが、一見とてもシンプルに見える AppTamer だ。作者は St. Clair Software の Jon Gotow だ。簡単に言えば、これはバックグラウンドで大量の CPU 時間を使っているけれども別に役立つ仕事はしていない、そういうアプリケーションを、止める。(一時停止させるだけで、終了させる訳ではない。)その典型的な例が、多数のタブを開いているウェブブラウザだ。また、聞くところによれば Adobe のアプリケーションもバックグラウンドで CPU 食いになりがちだという。けれども、バックグラウンドにいながら正当な理由で CPU 時間を必要とするアプリケーションもたくさんある。常にバックグラウンドアプリケーションとして動作する Time Machine は当然だが、それ以外にもバックグラウンドで音楽を再生する必要のある iTunes とか、あなたが前面で別のことをしている間も音声チャットを続ける必要のある iChat などを考えてみるとよい。また、バックグラウンドにある間は自分で眠りに落ちるように書かれているプログラムもたくさんある。

だから、AppTamer は単純にすべてのバックグラウンドアプリケーションに処理を止めるよう命ずる訳には行かず、もっと個々のレベルでの動作が必要になる。それゆえ、バックグラウンドにいるアプリケーションのうちのどれを AppTamer が止めるべきかはあなたが選択できるべきであるけれども、かと言ってすべての作業をあなたがしなければならないようでは困る。その結果として、AppTamer のインターフェイスの大部分は情報を示すためのものとなっている。どのアプリケーションが止められているかを伝え、あなたがどれだけの CPU を使っているかをグラフで示し、アクティブなプロセスのリストを Activity Monitor 風に表示し、選択されたプロセスについては詳細な情報を提供する。

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Jon Gotow が私に語ってくれたところによれば、AppTamer は多数のリストを保持しているという。まず、止めるべきではないシステムプロセスから成るブラックリスト(これらには AppTamer のインターフェイスでチェックボックスさえ付かない)がある。AppTamer に止めさせようとすればカスタム警告メッセージが出る iChat や iTunes のようなプログラムのリストもある。また、親アプリケーションに合わせて止めたり動かしたりすべきヘルパーアプリケーションのリストもある。例えば、Google Chrome が開いたタブの一つ一つごとに産み出す Chrome Helper プロセスのようなものだ。さらに、バックグラウンド専用アプリケーションを管理させようとすると、AppTamer は警告を出す。なぜなら、そういうアプリケーションは常時稼動する必要のあることが多いからだ。

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さて、AppTamer の設定はどうやってするのか? 最も簡単にできるのは、単純にこのプログラムを走らせて、しばらくの間普通通りにコンピュータを使ってみてから、AppTamer のウィンドウか、あるいはメニューバー上でシステム全体に有効な AppTamer メニュー(ここには動作中と停止中のアプリケーションやバックグラウンドのプロセスもリストされる)を使ってどの程度 CPU が節約できたかを調べることだ。AppTamer のデフォルト設定のお陰で、それだけでもいくらか CPU 時間が節約できる可能性が高い。さらにもっと CPU 時間を節約できるかどうかを見るには、AppTamer の Details タブをクリックしてプロセスのリストを表示させ、My Windowed Processes を選んでから、何が走っているかのリストをざっと眺めてみよう。もしも、バックグラウンドで動作している必要がないと分かっているアプリケーションがあれば、その横にある AutoStop チェックボックスをチェックする。その設定でしばらく使ってみて、AppTamer の働きであなたの Mac の反応性にそれと分かる違いがあるかどうか観察しよう。(技術的に言えば、ウィンドウ無しのプロセスや、他のユーザーがオーナーであるプロセスも、AppTamer に止めさせることが可能だが、そういったプロセスはバックグラウンドで走らせておく必要のあることが多い。)

どのアプリケーションがバックグラウンドで動作している必要がないのかを見出すのはちょっと厄介な作業だ。例えば、AppTamer は iChat がバックグラウンドサイクルを必要としているのを知っているが、Skype も同じくそうであることは知らない。また、iTunes がバックグラウンドにいても音楽の再生を続ける必要があることは明白だが、Twitter アプリケーションたちもバックグラウンドで定期的に自身をアップデートしなければならないことは明白でないかもしれない。さらに、既にバックグラウンドで良い挙動をしているアプリケーション、例えば BBEdit などは止める必要がない。結果として、私がどのアプリケーションを止めるべきか判断するのに使っているのは、もう一つのこんなテクニックだ。AppTamer のプロセスリストを %Avg カラムの値の順番に並べ直す。このカラムは 15 秒間で平均した CPU 使用量を示している。この並び順で上位に来るプロセス、例えば Firefox や Safari などが、止めるべき最有力候補となる。

また AppTamer には Gaming Mode というチェックボックスもあって、これをチェックしておくと、ウィンドウを持つアプリケーションを最前面にあるものを除いてすべて止めることで、最前面のアプリケーションができる限り多くの CPU 時間を得られるようにする。これはゲームをプレイする人たち専用のようなもので、ゲームが多くのプロセッサパワーを要する一方、プレイ中はその人にとって他のことは何も興味がないからだ。

CPU 使用量の数字に関して、ただ一つ AppTamer で混乱させられることがある。AppTamer は、個々のアプリケーションの CPU 使用量をシングルプロセッサに標準化した値として報告するのだ。その理由は、Apple の Activity Monitor がその方法を採っているからだ。そのため、デュアルコアの Mac で一つのアプリケーションが 107 パーセントの CPU を使用しているという表示が出ることがある。実際には、それぞれのコアからいくらかずつの部分を使用していて、両者を合わせて 200 パーセント中の 107 パーセントを使用しているというだけのことなのだ。

けれども、非常に奇妙なことになるのは AppTamer がトータルの CPU 節約量の見積もりを計算するところだ。ここでは、止められている個々のアプリケーションごとの最新の平均 CPU 使用量の値を合計して、それをすべてのプロセッサで割っている。だから、デュアルコアの Mac で Safari がそれ自体で CPU の 10 パーセントを使っていると表示されている場合、それによる全体的な節約はたった 5 パーセントと表示され、まるで AppTamer があまり役立っていないかのようにも見える。Jon Gotow は、このデータを表示するためのもっと良い方法を考え続けていきたいと言っていた。

数字がどう表示されようとも、私の経験ではバックグラウンドにある Firefox、Safari、あるいは Chrome に多数のタブが開いていれば前面にある他のアプリケーションの反応性が遅くなるのは明らかだと思う。私の 13-インチユニボディのアルミニウム製 MacBook では、AppTamer によってはっきりと CPU 使用量が減り、その結果として動作がよりクールかつ静かになっている。(私は壁の電源を使っているけれど、バッテリ寿命もきっと改善されているのだろう。)私の 8-コア Mac Pro では、AppTamer による全体的なパフォーマンスの改善はそれほどはっきりとは感じられない。このマシンの方がはるかに強大なプロセッサパワーを持っているからだ。

AppTamer を使うことにより、少しばかり不快な副作用が二つ伴う。止められたアプリケーションが Mac OS X からはクラッシュしたかのように見えるため、場合によってそれらのアプリケーションのウィンドウの上にマウスポインタを持って来ると「死の回転ピッツァ」カーソルが出ることがある。同様に、止められたアプリケーションは Activity Monitor で "Not Responding" (反応がありません) と表示される。いずれも、そのアプリケーションが止められていることを示しているのであって、クラッシュしたことを示しているのではない。そして、止められたアプリケーションのウィンドウをあなたがクリックするか、あるいは Dock アイコンをクリックするかすれば、即座にそのアプリケーションが目を覚ます。当然ながら、本当にクラッシュしたアプリケーションも、クリックに反応しないことであなたがそうと気付くまでの間は止められたアプリケーションと同じ挙動をするので、ちょっとの間混乱させられるかもしれない。

結局のところ、あなたの使うアプリケーションや、あなたの使用パターンに対して、AppTamer が CPU サイクルを節約する助けになるかどうかは、あなたにしか判断できない。例えば私の場合、Firefox でたくさんのタブを開いたままにしておくのを止めれば、そのプロセッサ使用度を減らすことができるだろう。でも、どうやら私にはそれができないことが多いようなので、そんな私にとっては AppTamer が大いに役に立つ。AppTamer は 15 日間無料で試用できる。試してみて役に立つと分かれば、シングルユーザライセンスが $14.95 で購入できる。

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iTunes は肥大化しているか?

  文: Kirk McElhearn <kirk@mcelhearn.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp> 訳:

互いの連語性が強まりつつある二つの単語がある。"iTunes" という単語と、"bloated" (肥大化) という単語だ。これら二つを合わせて Google で検索すると、およそ 220,000 件の結果が得られる。[訳者注: "iTunes 肥大化" の検索ならば結果はおよそ 13,000 件です。]iTunes を解説することを専門にしている著者として、私はこの二つの単語の組み合わせをよく聞くが、それでも私に聞こえてくる苦情の多くは単にこのプログラムを口汚く罵るだけでしかないようだ。このプログラムが肥大化していると感じる 理由 を実際に説明している人たちの数は少ないし、そういう人たちの説明も、私には同意し難いものが多い。そこで、私は自分でこの質問と、それに対してよく言われる答に取り組んで、はたして iTunes は肥大化したと呼ばれるに相応しいものなのかどうか、きっぱりと答を出してみようと試みることにした。

まず第一に、「肥大化」という言葉はどう定義されるのだろうか? Wikipedia (英語版) には、記事のはじめのところでソフトウェアの肥大化について次のように書いている:

 ソフトウェアの肥大化とは、コンピュータソフトウェア製品が新しいものほどインストール時に大きな容量を占めるようになったり、あるいはエンドユーザーが使い切れないほどに数多くの不必要な機能を持ったり、または一般的にユーザーにほとんど恩恵を提供しないにもかかわらずシステムリソースを必要以上に多く使うようになったりする傾向をいう。

この定義を念頭に置いて、私は 2010 年 6 月に 自分のウェブサイトで「あなたは iTunes が肥大化していると思いますか?」という質問を問いかけ、さらに私がよく使ういくつかのフォーラムでも同じ質問をしてみた。そこで寄せられた回答の多くを考慮に入れつつ、この質問に取り組もうと試みたのが以下の記事だ。

iTunes はどの程度大きい? -- Wikipedia によるソフトウェアの肥大化の定義は部分的には妥当なものだが、私の考えではまず「インストール時に大きな容量を占める」という部分をあまり重視しない方がよいと思う。iTunes 10.0 アプリケーションは Mac OS X 上で 146.6 MB を占める。テラバイトのハードディスクが一般的なこの時代、あるいは少し古い Mac でさえ数百ギガバイトのディスクを備えているのだから、この程度では全然大きなアプリケーションとは見えない。大規模なアプリケーションスイート、例えば Microsoft Office や Adobe Creative Suite などを別にしても、私の Mac には iTunes よりも大きなアプリケーションがいくつもある。Adobe Reader は 219 MB を占めるし、Bento は 188 MB、それから iWork プログラムのうち二つ,Pages と Keynote はどちらも 290 MB を超える大きさだ。

アプリケーションが大きくなればロードするのに要する時間も長くなると言う人もいる。けれどもそれは必ずしも正しくない。iTunes の覆いの中を覗いて見れば、興味深い数字が判明する。このプログラムの実際の実行ファイル部分とライブラリを合わせれば、およそ 33 MB であって、どう見ても巨大とは言い難い。iTunes アプリケーションの大部分は、実際のところ、言語リソースで占められている。これらは、このプログラムがサポートするいくつもの異なった言語で書かれたメニューや警告メッセージ、さらにはヘルプなどのテキストを含んでいるファイルの集まりだ。もしもあなたが英語を使う人で、英語以外の言語部分をすべて削除したならば、プログラムの大きさはたったの 65 MB になる。

iCleanLanguage という無料のユーティリティを使えば、iTunes やその他のアプリケーションから言語ファイル部分を削除することができる。あなたがどれほど多数のアプリケーションをインストールしているかにもよるが、こうすることで全体で 2 ギガバイトほど節約できることもあり得る。)

ところで、私がここで議論しているのは Mac 版の iTunes だ。Windows でもおそらく同じような状況と思われるが、私は Windows 上で実際のファイルサイズをチェックしたことがない。ジャーナリストの Ed Bott は、どうやらあちらの世界で iTunes を非難することで身を立てているらしく、新バージョンが出る度に彼の "Unofficial guide to installing iTunes without bloatware" (余計な肥大物なしに iTunes をインストールする非公式ガイド) をアップデートしている。

Bott のやり方は少しばかりやり過ぎの感もあるが、Windows ユーザーが Mac ユーザーの必要としないソフトウェア要素もダウンロードしなければならないのは事実だ。例えば QuickTime、Bonjour、Software Update といったものは Mac OS X では欠くことのできない部分だが、Windows 版の iTunes ではこれらすべてをインストールしないと基本的な iTunes 機能さえ動作しない。けれども、たっぷりと容量のある現代のハードディスクにインストールしたソフトウェアからたかが数十メガバイトを減らすかどうか心配するのは、私にはやり過ぎに思える。わざわざ彼の助言に従う意味があるとすれば、それはディスク容量の限られたネットブックで iTunes を走らせようと思って、そのためにできる限り容量を節約したいような場合だけだろう。

RAM の使用量は、もっと複雑な問題だ。Mac OS X では、アプリケーションが実際には使わないにもかかわらず大量の RAM を要求するということがしばしばある。その上、それらのアプリケーションが要求する RAM の量はその Mac がどれだけのメモリを装備しているかに依存する。例えば、8 GB の RAM があれば、どんなプログラムでも 2 GB の Mac で要求するより多くの RAM を要求する。私の 4 GB の Mac mini では、Finder が現在 140 MB の RAM を使用中だ。一方私の 2 GB の MacBook Air では、それが 84 MB となっている。また、iTunes は、私の Mac mini ではいつも 200 MB かそれ以上を要求するが、全体で 4 GB ならばそれも容認できる。けれどもこのプログラムを私の MacBook Air で、ずっと小さなライブラリで起動させれば、たった 63 MB しか要求しない。そういう訳で、目に見えているものが必ずしも得られているものとは限らない。iTunes が大量の RAM を使用中と主張しているように見えるかもしれないが、いったん他のアプリケーションがその RAM を必要とするようになれば、iTunes はその一部を返すのだ。

iTunes はどの程度速い? -- 考慮すべき第二の要因は速度だ。これは二つの面から見ることができる。プログラムを起動するのに要する時間と、一般的な動作を実行するためにかかる時間だ。私の Mac mini では、60,000 個近くの項目を持つライブラリで、iTunes が起動するのに 7 秒かかる。ライブラリがそれよりずっと小さい私の MacBook Air では、たった 4 秒だ。私の意見としては、いずれも問題にならない。1990 年代の末ごろ、私はとあるワードプロセッサを使っていて、プログラムが開くまでに 45 秒ほどもかかっていたのを今でも覚えている。プログラムが開くまでの 7 秒間を待てないという人たちは、ものごとの優先度というものを考え直す方がよいのではなかろうか。

特定の動作の速度の方はより重要な点だ。今日のマルチコアのプロセッサとたっぷりある RAM のお陰で、ソフトウェアはさまざまのことを素早くこなせるはずだが、すべての作業がそうとはならない。非常に複雑な作業もあるからだ。けれども、基本的な作業に関しては時間がかかり過ぎてはいけない。ただし、どの程度を「かかり過ぎる」と言うかは主観的なものだ。

iTunes で CD をリッピングする速度や、iPod や iPhone と同期するのにかかる時間などに苦情を述べ立てる人たちを見たことがある。残念ながら、それらの作業はいずれも、iTunes 自体のみに依存するものではない。CD をリッピングする際の iTunes のパフォーマンスには確かに訳の分からないところがある。時には非常にゆっくりと作業が進み、時にはずっと速く進むこともあって、そこにはっきりとした理由が見当たらないのだ。CD リッピングに影響する主な要因の二つは、光学ドライブの速度とあなたのプロセッサの速度だ。Mac Pro を持っていたころ、私はたくさん CD を買い込んではリッピングしていたので、そのためにディスクを 52 倍速で読める CD 専用ドライブを買った。これを使ってリッピングすると、Mac Pro 内蔵の 24 倍速 CD/DVD ドライブを使った場合に比べてほぼ二倍の速度で作業ができた。現在使っている Mac は Mac mini だが、これにも同じ理由で外付け CD ドライブを買った。

iOS 機器との同期は、iTunes があなたのライブラリをスキャンするためにどのくらい長く時間がかかるかにもある程度依存する(ライブラリが大きければそれだけ長い時間がかかるのが普通だ)が、ファイル転送の速度は USB 2.0 の提供するスループットによって制限を受ける。同期をもっと高速にするための唯一の方法は、Apple が、もうじき利用可能となる USB 3.0 か、あるいはそれと似たデータ転送規格へと移行することだろう。

人によっては、大きなライブラリで iTunes がかなり遅くなるのを経験することもあるだろう。これはその昔の iTunes 7 で大きな問題となっていて、私はそれについてブログで論じたこともある。けれども iTunes 8 が登場した際、 Apple は iTunes Library のファイルを書き込む方法を変更して、そのサイズを 75 パーセントほど小さくするとともに、iTunes がライブラリファイルを扱う方法も変えた。こうして、2007 年や 2008 年にはのろのろしていた動作も、今日ではきびきび動くようになっている。(しかも私は比較的低速の Mac を使っているのだ。)ただ、ライブラリが大きければ今でもスローダウンが起きることはある。

ユーザーが望むよりも長い時間がかかる動作は他にもあるかもしれない。けれども、今や人々は何でもかんでもすべて瞬時に起こることを期待しているのだろうか? 確かに多数のファイルでタグを変更すれば時間がかかるが、それはたくさんのファイルがディスクに書き込まれているからだ。ダウンロードしたファイルを保存すれば数秒間のちょっとした遅れが生じるが、それはおそらく私のライブラリの大きさと、私の Mac mini のハードディスクの速度に関係しているのだろう。

でもやっぱり iTunes は間違いなく肥大化して見える -- 私が何度も目にしたコメントが一つある。それは、iTunes はあまりにもたくさんのことをやり過ぎるので肥大化している、という意見だ。いわく、Apple はこれをいくつかの別々のアプリケーションに分割すべきだというのだ。私に言わせれば、これは肥大性についての主観的な感覚に過ぎない。なぜなら、あなたが使わない機能がいくらたくさんあっても、それはパフォーマンスに影響しないからだ。このプログラムは、あなたが必要とする時にあなたが必要とするコードを走らせるだけだ。

けれども、これは正当な苦情ではある。最初はただの音楽プレイヤーであった iTunes は、ビデオ(映画とテレビ番組)やポッドキャストを管理し再生できる機能を付け加えた。さらに後になって、iTunes はアプリや電子ブックもそのライブラリに加えるようになった。プログラムの名前そのものを変更すべきだと言う人たちも多い。iTunes は tune (メロディー) をはるかに超えるものとなったのだから、という訳だ。でも残念ながら、それは決して実現しない。iTunes は ブランド であって、ただのプログラム名ではないのだ。Apple は十年近い年月をかけて iTunes ブランドを開発し、それを iTunes Store にまで広げてきた。少なくとも、Apple はビデオを追加した後に元の "iTunes Music Store" という名前を短くしたし、App Store や iBookstore を生み出した際には iTunes の名前を付けるのを避けた。(このブランド戦略に関しては、2002 年のシリーズ記事 "Branding Apple" を参照されたい。)

(日本語)Apple のブランド戦略:ブランドこそが価値を体現する | Apple のブランド戦略: Apple の無形資産 | Apple のブランド戦略:小売店舗に架ける橋

では、これだけたくさんのタイプのコンテンツや、たくさんの機能があることについてはどうだろうか? それから、iTunes Store 自体については? 確かに、iTunes Store の存在そのものがこのプログラムの肥大性の一部なのではないか? いや、実際、それは違う。iTunes Store は単に iTunes の中にあるウェブブラウザに過ぎない。iTunes Store のページも、それから新しく出来た Ping も、それぞれ単なる HTML ページであって、Safari や Mail,その他多数のアプリケーションで HTML をレンダリングするのに使われるのと同じ Mac OS X の WebKit フレームワークを用いて iTunes の中でレンダリングされたものだ。iTunes Store のページは時としてロードが遅いかもしれないが、これはむしろそのページがグラフィカルに複雑であって、ダウンロードやレンダリングに相当の時間を要することが理由だろう。その点は他のウェブページと同じことだ。

問題は、多くの人たちが 自分が 必要とすることだけをするプログラムを欲しがっていることだ。ポッドキャストは聴かないし映画も購入しない人ならば、iTunes が音楽だけを扱うようになって欲しいと思うかもしれない。もしもあなたが、iTunes のサイドバーにたくさんの異なるライブラリが現われるのが嫌ならば、隠してしまえばよいではないか。iTunes > 環境設定 を選び、一般 環境設定パネルの 表示 セクションで不要なライブラリを選択から外せばよい。iTunes Store を取り除きたいのならば、ペアレンタル 環境設定パネルで iTunes Store を使用停止に設定しておけばよい。これで、iTunes の最小限のインターフェイスが使えるようになる。これで、少しはプログラムがほっそりして見えるようになっただろうか?

同期をするフィーリング -- もう一つよくある iTunes への批判は、多くの異なったタイプのコンテンツを iOS 機器へ同期するというものだ。iTunes がそのライブラリの中にある楽曲やビデオ、アプリ、電子ブックを同期するのならば分かるが、それ以外にもこのプログラムは写真やコンタクト情報、電子メールアカウントなどまで管理する。iTunes の同期機能の部分だけを別のアプリケーション、例えば既存の iSync のようなものに分離した方がよい、と言う人たちもいる。また、楽曲を同期する機能でさえも、機器をマウントしてからドラッグ&ドロップで同期できるようにすべきだと主張する人たちもいる。

前者の意見に対しては、iPod や iPhone に同期するためにいったいなぜ二つのアプリケーションを使わなければならないのかと私は不思議に思う。たとえその同期用アプリケーションがメディアファイルの同期を処理したとしても、一つのプログラムがそれらファイルの管理をし、また別のプログラムがそれを同期することになる。この二つの作業は素早く続けて実行する必要があることが多いのだから、一つの統合されたプログラムを使う方が二つのプログラムを使うより良いのは当然ではないだろうか。

ドラッグ&ドロップの議論は、その昔に MP3 プレイヤーでその種の同期方法に慣れていた人たちの間でよく挙がる声だ。私は以前から、この方法は混乱の元だと思っていた。一つのファイルでタグを変更する度に、あるいはライブラリに新しい楽曲を追加する度に、どのファイルを変更してどのファイルを新たに加えたのかを覚えていてそれを同期しなければならなくなる。でも、そういうことは、コンピュータがすべき仕事じゃないのか?

私の考えでは、iPod が早くからこんなに成功した理由の一つは iTunes がユーザーのためにすべてを処理してくれるからだと思う。楽曲を購入したり、CD をリッピングしたり、その他のコンテンツをメディアライブラリに追加したりしても、実際のファイルを処理する必要はない。どこに保存されているかを知っている必要もなければ、移動させるかどうか心配する必要もない。iTunes が、そういう作業のすべてをあなたのために済ませてくれるからだ。ファイルシステムは抽象的概念と化し、実際それは iTunes データベースの陰に消え失せてしまう。

忍び寄る盛り込み主義 -- iTunes が複雑なプログラムであることは確かに事実だ。私は一番最初のバージョンから iTunes を使ってきたし、長年このプログラムについての文章を書いてきた。とりわけ Macworld では iTunes から最大限のものを引き出すにはどうするかというテーマで記事を何十も書いた。(公正を期して言えば、iTunes の複雑さゆえにこそ私が利益を得てきたという非難もあり得るだろう。)

このプログラムには多数の機能があり、機能リストの長さもしばしば批判の的となる。iTunes はたくさんのことをする。メディアの整理と管理において、他に例を見ない機能をあなたに提供してくれる。それでも、まだ十分でないと感じる人も多い。だからこそ、 Doug's AppleScripts for iTunes ウェブサイトのようなところが、このプログラムの機能を拡張するスクリプトをどっさりと提供して成功しているのだ。

iTunes は、ユーザーが自分のコンテンツとどのように相互作用したいと思うかに応じて、幅広い範囲の機能を提供するタイプのプログラムの一つだ。基本的ユーザーにとっては、ただ単にメディアファイルをライブラリに放り込んで iPod と同期できればそれで十分だろう。そういう人たちのライブラリは十分小さくて、iOS 機器の容量を超える心配もないのかもしれない。それならば、どれとどれを同期させようかと悩む必要も,最初から無い訳だ。

けれども他の人たち、まだ少数だけれども次第に増えつつあるユーザーたちは、非常に大きなライブラリを持っている(私もこちらのグループに属すると自認している)ので、タグを用いて複雑なスマートプレイリストが作れる機能こそが、コンテンツの整理に素晴らしいパワーを発揮すると感じている。

さて、判決は? -- 私が思うに、この質問そのものが、あまり意味がないと言ってもよいのではないだろうか。これは、マニア同士の議論だ。たいていのユーザーにとっては、iTunes はただ平均的なサイズのメディアライブラリといくつかのアプリを管理するために使う一つのプログラムに過ぎない。それよりも複雑な機能に直面するのは、ずっと大きなライブラリを持つ人たち、それからメディアファイルごとに違った方法で扱わなければならない人たちだ。

iTunes を見て、それが数多くのタイプのメディアを管理するという理由で、肥大化に関する主観的感覚を持つ人たちが多くいることは理解できる。けれども、私から見れば、例えばやたらに細々としたレイアウト機能を持ったワードプロセッサに比べて、より肥大化しているとも思えない。上で述べてきたように、年月を経て良い時も悪い時もあったが、Apple はそうした問題点の大部分を解決してきた。

それに、もしもまだあなたが不要な機能ばかりが目について嫌だという気分を振り払えずにいるのならば、上で説明した方法で iTunes のインターフェイスを変更して、あなたが使わないメディアのタイプを見えなくすることができる。それだけでも、このプログラムがよりシンプルに見える役に立つだろう。

誤解しないで頂きたい。私は Apple が長年にわたって新しいタイプのメディアと新しい機能とをこのプログラムに組み込むために素晴らしく良い仕事をしてきたとは思っているけれども、それが完璧だったとはどう見ても言えない。個々の機能やインターフェイス要素に狙いを定めた正当な批判は、大いにすべきだ。iOS アプリのファイル共有が、まず念頭に浮かぶし、それに iTunes 10 でサイドバーからすべてのカラーが消えてくすんだグレイ一色になってしまったのもどうかと思う。

けれども結局のところ、人々が iTunes を肥大化したと非難するのは、それが単純な音楽プレイヤーから出発して、何億人というユーザーたちの必要に応えるためにデザインされた複雑なメディア・機器管理用プログラムへと進化を遂げたからではないかと私は思う。だからこそ、iTunes をもっと心地良く使いこなせるようになるためには、それがどのように動作しているのかをもう少し深く知ることが必要なのであって、そうすれば、毎日使う機能をマスターし、使わない機能はオフにすることもできるようになるだろう。

[Kirk McElhearn は Macworld の Senior Contributor で、時々は TidBITS にも寄稿し、単なる Mac の話題以上のことを彼のブログ Kirkville に書いている。Twitter では @mcelhearn でフォローできる。Kirk の最新刊の本は "Take Control of iTunes 10: The FAQ" だ。]

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 9 月 27 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

NoMoreiTunes 1.51 -- 私たちの記事“絶対欲しい五つの Safari 機能拡張”(2010 年 8 月 11 日) を読んで下さった方は、きっと Florian Pichler の NoMoreiTunes をダウンロードしてインストールしてみたくなったことだろう。この無料の機能拡張は、あなたがウェブ上で iTunes Store のリンクをクリックした時に自動的に iTunes が開くのを防いでくれる。その代わりに、ブラウザから蹴り出されることなくその問題の楽曲、ビデオ、あるいはアプリについての Apple のウェブページが表示され、直接 iTunes Store に連れて行かれることはない。ただし、ランセンス上のエラーにより、この機能拡張の証明書が無効になってしまっていたので、Safari がこれを無効とし、その結果 Safari の Extensions 環境設定画面で最新版へのアップデートの道が提供されなくなっていた。今回の最新版ではこの問題が修正されている。また、ウェブページの一番上にステータスバーを追加して、NoMoreiTunes がリンクをブロックしたことを示すとともにそのまま続けてストアへ行くことのできるボタンも付けた。(無料、59.7 KB)

NoMoreiTunes 1.51 へのコメントリンク:

Adobe Flash Player 10.1.85.3 -- Adobe が、Flash Player (主にあなたのウェブブラウザの中で使われる) をバージョン 10.1.85.3 にアップデートし、現在 Windows 版の Flash Player が実際に攻撃を受けている(この記事を書いている時点で Mac がターゲットとされていることはない)セキュリティ脆弱性に対処した。あなたが現在走らせている Flash のバージョンを知るには、About Flash Player ページ を訪れれば表示される。新バージョンが必要ならば、Adobe Flash Player Download Center を訪れればよい。Google Chrome を使っているならば、バージョン 6.0.472.62 にはこの新バージョンの Flash Player が含まれており、おそらく自動的に自己アップデートを済ませているはずだ。(無料、7.59 MB)

Adobe Flash Player 10.1.85.3 へのコメントリンク:

DEVONthink と DEVONnote 2.0.4 -- DEVONthinkDEVONnote がそれぞれバージョン 2.0.4 となり、登場予定の DEVONthink To Go iOS アプリ、および近日リリース予定の DEVONagent 2.5 ソフトウェアとの互換性が追加された。また、DEVONthink Pro Office には Import, OCR, Delete のフォルダアクションが含まれてスキャナから手早く読み込むことができるようになった。さらに、Pro Office 版と Pro 版で Task Paper および Sente との統合が提供されるようになった。すべての版の DEVONthink で、Finder のコンテクストメニューから手軽にファイルを追加できるサービスが含まれ、このソフトウェア用に Safari 5 と Firefox の機能拡張をインストールするオプションも加わった。フルリリースノートは DEVONtechnologies サイトで読める。(DEVONthink Pro Office は新規購入 $149.95、アップデート無料、23.6 MB; DEVONthink Professional は新規購入 $79.95、アップデート無料、18.6 MB; DEVONthink Personal は新規購入 $49.95、アップデート無料、13.2 MB; DEVONnote は $24.95、アップデート無料、11.6 MB)

DEVONthink と DEVONnote 2.0.4 へのコメントリンク:

Security Update 2010-006 -- Apple が セキュリティアップデート 2010-006 (Snow Leopard) をリリースした。これは Mac OS X 10.6.4 Snow Leopard の走る Mac のみに対するアップデートだ。このアップデートで修正されたのは、ファイル共有を管理する AFP Server における脆弱性だ。状況により、あなたの Mac 上の有効なユーザ名を知っているリモートの攻撃者がパスワードを知る必要なしにログインできて、AFP 共有フォルダにアクセスできる可能性があった。Apple は、10.6.4 (デスクトップ版、サーバ版とも) を走らせているすべてのユーザーに対してこのパッチのインストールを推奨している。直接ダウンロードでも、ソフトウェア・アップデートからでも入手できる。(無料、1.93 MB)

Security Update 2010-006 へのコメントリンク:

TinkerTool 4.2 -- Marcel Bresink が TinkerTool 4.2 をリリースした。Mac OS X の内部にあるあらゆる設定を調整できるようにする、このシステムユーティリティソフトウェアの新機能は、iTunes 10 が水平方向にボタンが並ぶ標準のタイトルバーを使うようにする設定、Apple Mail が可能な限り HTML 電子メールメッセージのプレインテキスト版を優先させる設定、Safari 4 と Safari 5 ですべての RSS 機能を無効にする設定などだ。また、この新バージョンの TinkerTool は小さなスクリーンを持つユーザーにより良く働くようになり、ログイン項目に関する問題点も修正している。 フルリリースノートもある。TinkerTool 4.2 は Mac OS X 10.4 Tiger かそれ以降を要する。(無料、1.4 MB)

TinkerTool 4.2 へのコメントリンク:

Mailplane 2.2 -- Uncomplex が Mailplane をバージョン 2.2 にアップデートした。Gmail ウェブインターフェイス用の、同社の WebKit ラッパーだ。Gmail の新機能 Priority Inbox (優先トレイ) のサポートその他が追加された。優先トレイに関係する機能としては、Mailplane が「重要な」メッセージについてのみ未読数と Growl 通知を表示できるようになった。未読数といえば、Mailplane が TrueNew プラグインをサポートして、未読と未見の双方の数を表示できるようになった。未見とは、あなたが最後に Gmail を使用してから以後に届いたメッセージのことだ。また、Mailplane 2.2 での新機能として、タイトルバーのプロキシアイコンをドラッグすればどんなメッセージや検索についても Mailplane URL が得られるようになった。これは、他のアプリケーションの中で何か具体的なものへのリンクを作るのに便利だ。その他の新機能としては、自動的に「安全な」添付ファイルを開く (Safari と同様の) 機能や、CRM (顧客関係管理) やヘルプデスクシステムにメッセージのコピーを自動的に送るための Bcc アドレスを自動的に挿入するスクリプトのサポートがある。最後にもう一つ、Mailplane 2.2 の Contacts > More Actions > Export コマンドが再び機能するようになり、添付画像の最適化ウィンドウが不必要にリサイズしなくなった。さらに詳しいことは ブログ記事に記されている。(新規購入 $24.95、アップデート無料、21.5 MB)

Mailplane 2.2 へのコメントリンク:

Pro Applications Update 2010-02 -- Apple が プロアプリケーションアップデート 2010-02 をリリースした。「新しいカメラ形式との互換性を追加、全体的な安定性を改善、その他のいくつかの小さな問題を解決」したという。Apple はそれ以上具体的なことを発表しておらず、ただこのアップデートが Final Cut Studio、Final Cut Server、Logic Studio のすべてのユーザーに推奨されるとだけ述べている。このアップデートには Final Cut Pro 7.0.3、Motion 4.0.3、Color 1.5.3、Compressor 3.5.3、それに Apple Qmaster 3.5.3 が含まれる。(無料アップデート、321.1 MB)

Pro Applications Update 2010-02 へのコメントリンク:

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ExtraBITS、2010 年 9 月 27 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ここ一週間私たちはとても忙しかったので、ご紹介できるものは二つだけだ。どんな機器で Facebook が使えるだろうかというとても愉快な Joy of Tech 漫画と、iPhone に開いて使える物理的キーボードが付けられる ThinkGeek 製の iPhone ケースだ。

Joy of Tech が Facebook 機器を提案 -- Joy of Tech を書いているわが友人たちはますます絶好調だ。今回の漫画は、いろいろな機器の上で Facebook を働かせようと提案している。私たちが気に入ったのは: Wi-Fi 対応 Facebook ゴミ箱、これはあなたが捨てたものの写真を自動的にあなたのプロフィールにアップロードする。それから Facebook シャワーヘッド、ここではデフォルトのプライバシー設定で Facebook コミュニティー全体に対し直接に「スチーム (湯気) をストリームする」ようになっている。

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Bluetooth キーボードで二つ折りにする iPhone ケース -- 残念ながらこの 11 月末まで品切れとのことだが、フリップアウトのキーボード付き ThinkGeek TK-421 iPhone Case は確かに興味をそそられる。見栄えにも、厚みが増えることにも多少不満はあるものの、Bluetooth 経由で動作するこのフリップアウトのキーボードは iPhone 3GS でも iPhone 4 でも使え、触ってタイプできる感触の良さは BlackBerry から移行してきてなかなか調子の出なかった人たちには垂涎ものだろう。$49.99 のこのケースは ThinkGeek オリジナルの製品で、内蔵の充電可能バッテリで動作する。これで、いつでもどこでも考えたことをメールできる。

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