TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1050/25-Oct-2010

ついに公式発表が出た。次の大型ネコ科動物は Mac OS X Lion で、2011 年の中頃に出される予定だ。Apple が iOS で学んだ教訓を生かして Mac OS X をどのようにアップデートしようとしているのか、Adam が説明する。これを気に入る人もいれば、気に入らない人もいるだろう。先週の Apple メディアイベントでの大きなニュースは他にもある。iLife '11 がリリースされ、新型モデルの MacBook Air が登場し(15 インチと 17 インチの MacBook Pro にも高速化したモデルが出たが、これは Apple のイベントでは触れられなかった)Mac 用の FaceTime ベータ版リリースもあった。今週号ではこれらすべてを紹介するが、その他にも Jeff Carlson と Michael が Apple の記録破りの第4四半期決算発表について報告し、Jeff が iMovie '11 でタイムラインを復活させる方法を明かし、Glenn Fleishman が Yojimbo 3.0 と付属の iPad アプリを概観する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Cyberduck 3.7、Firefox 3.6.11、Aperture 3.1 と ProKit Update 6.0、それから Java for Mac OS X 10.6 Update 3 と 10.5 Update 8 だ。

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MacBook Air からハードドライブが消え $999 でデビュー

  文: TidBITS Staff <[email protected]>   訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple の最小のラップトップモデルである MacBook Air はもうずっと前にアップデートされていなければならない状況だったし、先週のメディアイベントでの "もう一つ" の対象としても、この新しいモデル達は失望させなかった。そう、"モデル達"、複数形である、MacBook Air は今や二つのサイズから成る:一つは伝統の 13.3-inch スクリーンを持ち、もう一つは更に小さくそして軽いユニットで 11.6-inch スクリーンを搭載している。(Jeff Carlson はこの Apple イベントに参加していた - 彼は California から戻る機中でこの記事をインフライト Wi-Fi 経由で新しい 11-inch MacBook Air を使って編集した - そして彼からの実際に手にしてみての詳細記事も間もなく出るであろう。)

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13-inch MacBook Air はアルミユニボディ構成で極めて薄く、スクリーンヒンジのそばの一番厚いところで 0.68 inch (1.72 cm) で、そこからテーパーで薄くなって 0.11 inch (0.28 cm) まで来る。目方も軽くなり、0.1 pound (45 g) 減らして 2.9 pound (1.31 kg) となった。それは 1.86 GHz Intel Core 2 Duo プロセッサで駆動され 6 MB のオンチップ共有 L2 キャッシュ、そして 1066 MHz フロントサイドバスを有している;同じキャッシュを持った 2.13 GHz Intel Core 2 Duo もオプションとして購入できる。13.3-inch スクリーンの解像度は 1440 x 900 ピクセルである。Apple によれば、7 時間の "ワイヤレスと作業" の電池寿命があり、そして最大 30 日のスタンバイ時間あると言う、まるで、このきらびやかな新しい Mac をそれ程長くあなたがほったらかしにするかのように。

11-inch MacBook Air は更に軽量で 2.3 pound (1.06 kg) にまで落ち、そして幅で優に 1 inch そして奥行きで 1.38 inch 小さくなって、11.8 inch (29.95 cm) 幅、 7.56 inch (19.2 cm) 奥行きで収まっている。プロセッサ側では、3 MB の L2 キャッシュと 800 MHz のフロントサイドバス付きの 1.4 GHz か 1.6 GHz Intel Core 2 Duo のどちらかを選択できる。11.6-inch のスクリーンは、明らかに小さいが、1366 x 768 ピクセルと驚異の解像度を有している。11-inch モデルのより小さな電池は、それでも印象的な 5 時間のワイヤレスと作業の寿命とそして同じ 30 日間のスタンバイ時間を有している。

四つの全てのモデルが永続記憶のために固体記憶装置のみを提供している - ハードドライブはないし、その為のスペースも無い。11-inch モデルは 64 GB と 128 GB の二種類、13-inch Air の方は 128 GB と 256 GB の二種類がある。このフラッシュメモリは多くの固体記憶装置 solid-state drive (SSD) の様に、入替え型ハードドライブの入替え品として組み込まれているわけではない。通常 SSD の方は形も組み込み方も標準のラップトップの様に見える。そうではなく、こちらのメモリは外せないように組み込まれたカードの上に並べられている。従ってアップグレードは出来ない - 尤もうまい解決策を見つけ出すサードパーティが将来出現しないとは勿論言えないが。(iFixit の人達は MacBook Air を分解しており、その中には SSD コントローラがあることを発見している、つまりコンピュータ側はそのお陰で自分が話をしている相手はハードドライブだと思っている。)

どちらのサイズでも、2 GB の RAM が標準であるが、オーダーする時であれば $100 で 4 GB に上げる事が出来る;注意すべきは、購入後は RAM をインストールする事は出来ないことである。他の標準機能には、FaceTime ビデオカメラ、二つの USB 2.0 ポート (端面は側面と面一であり、前の世代の様に小さな開け閉めのドアは付いていない)、Mini DisplayPort、ヘッドフォンジャック、内蔵のマイク、ステレオスピーカ、そして MagSafe アダプタが含まれる。両方共 Nvidia GeForce 320M グラフィックスアダプタを持ち、主メモリと共有する 256 MB の DDR3 SDRAM を持っている。ネットワーク側では、両方共 802.11n AirPort Extreme ワイヤレスネットワーキングと Bluetooth 2.1 + EDR を搭載している;Apple USB Ethernet アダプタは別売となっている。13-inch モデルには SD カードスロット一つが付いている。とりわけ嬉しいこととして、Apple は今や USB Software Reinstall Drive を一緒に出荷しているので、Mac OS X を再インストールする必要が出た時に助けとなる。こちらの方が DVD よりも、扱いやすいし、より小型だし、そして長持ちする - そして再インストールする時ももう二台目のコンピュータは必要でない。

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価格も印象的で、あの白いポリカーボネート製の MacBook は何時まで商品ラインアップに残れるのだろうかと思わせられてしまう。11-inch MacBook Air で 1.4 GHz CPU, 64 GB 蓄積容量、そして 2 GB の RAM 付きのものは $999 である。蓄積容量を 128 GB に上げると、価格は $1,199 となる。1.6 GHz CPU に換えると $100 の追加となり、そしてRAM を 4 GB に上げても同じだけかかる。

13-inch モデルの方は $1,299 から始まり、この場合 1.86 GHz CPU, 128 GB の蓄積容量、2 GB の RAM の仕様となる。$1,599 出すと、蓄積容量を 256 GB に増やせるし、そして再度 CPU の速度を 2.13 GHz に上げるには $100 の追加が必要で、同じ事が 4 GB の RAM にも当てはまる。(そして 4 GB の RAM は絶対に、絶対に選んでおいた方が良い、とりわけ後からアップグレード出来ないマシンでは尚更である。これだけは我々を信じた方が良い。)

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MacBook Pro が高速 CPU オプションを追加

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の Apple のメディアイベントの場では触れられなかった事実が一つある。15 インチ 17 インチの MacBook Pro 各モデルに、より高速の CPU オプションとして 2.8 GHz Intel Core i7 を選ぶことができるようになった。いずれのモデルも、2.8 GHz CPU を選んだ場合は従来のハイエンドであった 2.66 GHz チップの構成に比べて価格が $200 増える。[訳者注: 日本では 18,900 円増えます。]従来の CPU 各構成は、すべてそのまま残される。

それ以外にあまり言うべきことはない。ただ、もしもあなたが MacBook Pro を買おうと思う理由が、MacBook や MacBook Air、あるいは 13 インチ の MacBook Pro に比べて高いパフォーマンスが期待できるからならば、何百ドルか余分に出して最速のプロセッサを手に入れておくのも、価値のあることかもしれないと思うだけだ。

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Apple イベントで Mac OS X が FaceTime を獲得

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhone 4 で FaceTime を初めて目にした人は、誰もが「Mac 上の iChat でこれが使えるようになるのはいつごろだろうか」と考えたものだ。先週のメディアイベントで、その疑問への答が明らかになった。そうはならない (少なくとも今のところは)、というのが答だ。その代わりに、Apple CEO の Steve Jobs は、Mac OS X 用の独立した FaceTime プログラムで、iPhone 4 や第四世代の iPod touch との間で使えるものをデモ実演してみせた。Steve Jobs によれば、FaceTime に対応している iOS 機器は既に 1900 万台以上販売されているという。Mac 用 FaceTime ソフトウェアのベータ版がテスト用として既に入手可能となっており、インストールすれば再起動の必要なしに使える。Mac OS X 10.6.4 と、当然ながらカメラを搭載した Mac が必要だ。

FaceTime をインストールして起動すると、Apple ID でログインするよう促される。これは、Apple Store や iTunes Store で買い物をする際に使うものと同じ ID だ。そのようなアカウントを持っていない人は、このプログラムの中だけで ID を作成することができる。アカウントが出来たら、認証情報を入力して Sign In をクリックする。(最初のリリース時点で、このベータ版には非常にはっきりしたセキュリティホールがある、と Macnotes が伝えた。ログインさえ済めば、たまたまあなたのコンピュータの前に通りかかった人の目にもあなたの Apple ID アカウント設定、例えば、あなたの誕生年月日や秘密の質問と答などが、見えてしまっていたからだ。その数日後、Apple はサーバ側でこの問題を修正した。)

他の人たちからあなたが見つけられるようにするために、FaceTime for Mac はあなたの FaceTime アクセスに付随させるべき電子メールアドレスを尋ねてくる。iOS においては、どうやらこれは暗黙のうちに済んでいるようだ。あなたの iPhone や iPod touch に何を付随させるかを選択できる方法はないからだ。FaceTime > Preferences > Add Another Email を使えば、あとからいつでも新たな電子メールアドレスを追加することができる。

FaceTime による通話はこのアプリが動作中でなくても受けることができるが、環境設定でそれを無効にしておくこともできる。それには FaceTime On/Off スイッチを Off にしておくだけでよい。もちろん、個々の通話を受けたり受けなかったりすることも可能だ。

アドレスを承認あるいは入力してから、Next をクリックすると、あなたの連絡先リストが表示される。スクリーンの右下にある三つのボタンで、このプログラムの中でのお気に入りリストと、最近接続した相手のリスト、それからデフォルトである連絡先リスト全体とが選べる。

内蔵の iSight カメラ、または(私の場合のように)外付け FireWire iSight カメラがあれば、iPhone や iPod touch を縦向きに置いた場合と同じ縦横比の大きなプレビューウィンドウが開いて、あなたの顔が映し出される。(ひげを剃っていない顔で失礼します。)通話相手をリストから選び、それからその人の電子メールアドレスか、またはその人の iPhone 4 のものと思われる携帯電話番号のいずれかをクリックすると、このプログラムが接続を試みる。(このプログラムでは1対1の会話しかできない。iChat のように複数の人たちを相手にオーディオとビデオのチャットをすることはできない。)

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相手との間に接続が繋がれば、FaceTime for Mac はあなたの顔をスクリーンの隅に小さく縮めて表示する。この点は iOS 版と同じだ。iOS では、機器を回転させて送信するビデオの向きを変えるようになっているが、Mac 上では、画像の上にポインタを持って来て、回転ボタンをクリックする。これで、横長のフォーマットに iSight からの画像がフレームし直される。もしも相手方が同じことを Mac でするか、iOS 機器を回転するかしたならば、FaceTime ウィンドウ全体が横長に変わる。これとは対照的に、iOS での FaceTime はあなたが選んだ向きをそのまま相手方に表示する。

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iOS 機器のユーザーは、前面と背面のカメラを切り替えて、例えば彼らの素晴らしい庭の景色を自慢したりするために使える。FaceTime for Mac ではオーディオをミュートすることしかできない。iOS ユーザーは Home ボタンを押したり、二度押しして他のアプリに切り替えたりできるが、その場合ビデオのみ一時停止の状態になり、オーディオは引き続き働き続ける。

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これはベータ版なので、いくつかおかしな挙動があっても私は驚かなかった。まず、私はフルスクリーンモードで動かすことができなかった。それから、Adam Engst と話している最中、彼のビデオ送信が、彼が電話機を持っている向きとは違う 90 度横向きに固定されてしまうことがあった。

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この FaceTime は iChat を置き換えるものとなるのだろうか? 今回の最初のバージョンでそうならないことは明らかだ。iChat では、複数の人たちの間でチャットができ、独自のメンバーリストを保持し、あなたがログインしている間のみアクセスが許され、テキストチャットやスクリーン共有もできるなど、いろいろの機能がある。それに対して、FaceTime は Apple ID でログインした後は何の設定も要らず、既存の連絡先のみに依存し、接続の際には電話番号や電子メールアドレスを利用する。こちらは、インスタントメッセージングのネットワークで要求されるようなメンバーとかアカウント状況とかその他のくだらないゴタゴタに煩わされたくない人たちにとって魅力的だろう。

けれども、私には Apple が今後時間をかけて FaceTime for Mac にさらなる機能を追加することにより、iChat を捨て去る方向に進もうとしているような気がする。Apple は MobileMe で、iChat の基盤となるメンバーおよび接続のコンポーネントに関しては AOL Instant Messenger (AIM) に依存している。また、iChat は Google Talk や Jabber サーバでも動作し、これには Mac OS X Server 版の Jabber も含まれる。でも、そういったものはすべて、Apple のコントロールの手から少し離れたところにある。私たちは皆、Apple が他の会社に依存することをどれだけ嫌うか、よく知っているではないか。

この移行の具体的事例の一つと言えるのが、今回 MacBook Air に「FaceTime カメラ」が標準装備されたことだ。iSight という名前はもはや旧モデルにしか登場しない。今後時が経てば、Apple が iChat と FaceTime とをそれぞれ別個の、同等でないコミュニケーションモデルとしてともにサポートし続けるとは思い難い。Mac OS X Lion が吠え声を轟かせる日までには、FaceTime と iChat がキメラのごとく一つに合体しているのかもしれない。

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iLife '11 がアプリを3つアップデート

  文: Michael E. Cohen <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

次期バージョンの iLife はきっと従来とは違ったアプリケーションのラインアップとなるだろうと思っていた人たちは驚いただろう。iLife '11 は、5つのお馴染みの顔、iPhoto、iMovie、GarageBand、iWeb、それに iDVD を、もう一度取り揃えている。これらのうち、メジャーな機能拡張を得たのは iPhoto、iMovie、GarageBand の3つで、iWeb と iDVD は iLife '11 スイートの他のプログラムとの互換性を保つためにアップデートされたのみだ。

iPhoto '11 -- 本当の意味で iPhoto 機能だと言えるのは、いつでもフルスクリーンにできるようになったことだけだ。けれども、既存の機能の多くが品質ならびに機能性についてのメジャーな拡張を受けている。

iPhoto のすべてのインターフェイスが、クリック一つでフルスクリーンモードに切り替わるようになった。従来のウィンドウモードから脱しても、機能性は何一つ失われない。イベント、撮影地、人々、アルバム(Facebook 投稿も含む)によってコレクションを一覧することができ、フォトブック、カード、スライドショーが作れ、電子メールを作成して送信することもできる。電子メールでは、iPhoto 内でメールのメッセージを書き込むことができ、電子メールプログラムに寄り道する必要がない。フルスクリーンモードにある iPhoto は、iPhoto ライブラリでどの写真がどのコレクション、アルバム、その他に使われているかを表現した情報カラムを出すこともできる。

Apple は Facebook との連携機能を拡張し、他の方法で Facebook に投稿した写真を (写真に対するコメントも含めて) iPhoto Facebook コレクションに同期して戻せるようになった。また、iPhoto 内から直接 Facebook プロフィールの写真を設定することもできる。Flickr との連携も同様に改善された。直接フォトストリームに投稿できる(フォトセットを選んだり作成したりする必要はない)し、またフォトストリームに既存の写真を同期して iPhoto へ戻すこともできる。

フォトブックやカードにデザイン上のアップグレードが施されたことについてはさかんに宣伝された。作成のインターフェイスは Apple が「回転トレイ」と呼ぶものになり、これを回すことで、あなたが作成中のカードやブックの異なったコンポーネントにアクセスできる。印刷カードのテンプレートとしては活版印刷カードのテンプレートも含まれ、これを使ったものを高品質の機械プレスで印刷すれば刷り込み印刷のカードが出来上がる。ブックやカードのプロジェクトはすべてプロジェクト本棚のインターフェイスに集められ、多くのプロジェクトの中から素早くブラウズして作業したいものが見つけられる。

欠点を言えば、iPhoto '11 の最初のリリースではカレンダーをサポートしておらず、Apple は (サポートノートの中で)「もうすぐ」サポートすると述べているだけだ。だから、今年末のホリデーシーズン用にカレンダーを作りたいと思っているなら、Apple がマイナーアップデートでその機能を復活させるか、あるいはカレンダーを作って注文しても間に合うようなタイミングで復活させると約束してくれるまでは、iPhoto '11 にアップグレードすべきでない。iPhoto '09 と iPhoto 11 の間で切り替えて行き来することはできない。

アップグレードといえば、ちょっと待った方が良い理由がもう一つある。 何人かのユーザー (TidBITS の友人である Liz Castro もそうだ) が、iPhoto '11 が iPhoto Library のアップグレードを試みる際に大規模なデータ喪失を引き起こしてしまったと報告しているのだ。もちろんこれはすべての人に起こっていることではないが、やはり私たちとしては Apple がアップデートをリリースするまでアップグレードせず待つか、またはあなたの iPhoto Library パッケージ全体を(それにもちろんあなたの Mac の他のすべてのデータも)バックアップしてそれを簡単にリストアできるようにしておくか、どちらかをお勧めする。iPhoto '09 へのダウングレードも、やはり難しいことになるだろう。

iMovie '11 -- iMovie の機能拡張で最も重要なのは、予告編機能と、大幅に改善されたオーディオ編集機能だ。完璧主義者でさえ、波形表示付きのオーディオレベルエディタを使ってオーディオトラックの微調整ができる。このエディタは、個々のクリップごとにも、あるいはクリップの一部でも、オーディオレベルの調整ができる。

新たに装備された Movie Trailers (予告編) 機能は、クリップを集めて本物の映画の予告編そっくりのものを作るためのインターフェイスを提供する。アウトライン、ストーリーボード、撮影リストのタブがあり、その中でタイトルを付けたり、出演者の名前を入れたり、またその予告編の各部分を構成する映像や、それぞれの映像の種類などを指定できる。あなたが予告編を作っている最中、iMovie はその予告編のストーリーボードであなたが定義した予告編の各部分ごとにクリップを適切に選り分けトリミングしてくれる。

Apple は iPhoto から Faces (人々) 顔認識テクノロジーの一部を借用して、iMovie があなたのクリップを分析し、人物あるいは一団の人々が映っているクリップだけを選び出すことができるようにした。(iMovie が使用するのは 顔検出 テクノロジーであって、顔認識 テクノロジーではない。つまり、映像に人物が映っているかどうか判別するだけであって、その人物が誰なのかを特定することはできない。)

予告編機能なんてただの仕掛けに過ぎないじゃないかと思う人もいるかもしれないが、それでもこれは楽しい。特に子供たちは、生真面目なテクノロジー観察者には想像もつかないような利用法を思い付くかもしれない。あとは、予告編が約束する本編の映画を iMovie が自動的に作ってくれるようになりさえすれば!(私はこれを冗談で言ったのだが、実際に、iMovie に新設されたストーリーボードのインターフェイスを拡張することで、独立の映画制作者の手でも、より長い映画の制作が可能になるかもしれない。予告編で用いられているアニマティックスは、Maps、Backgrounds、Animatics の各パネルにもあり、プレースホルダーとしてプロジェクトの中にドラッグすることができる。)

GarageBand '11 -- iLife '11 で、GarageBand はより賢くなり、録音された演奏を分析してその結果を提供することによりあなたの演奏力の向上に役立たせることのできる機能も付いた。

グルーブマッチング (Groove Matching) 機能は、一つのオーディオトラックを基準として他のトラックのリズムを分析する。それをもとに、高度なオーディオ変換を用いて個々のトラックの再生を調整し、ピッチを変えることなくすべてのトラックのリズムを合わせることができる。また、Flex Time 機能は、録音された波形の一部、例えば特定の音符やフレーズの部分だけを取り出して、その音を伸ばしたり短くしたりしてタイミングを調整することができる。

GarageBand のその他の機能としては、7つの新しいギターアンプと5つの新しいストンプボックスエフェクト、新しいピアノとギターのレッスン、それから How Did I Play (自分の演奏結果) 機能がある。この「自分の演奏結果」機能は指定された楽曲(ギターまたはピアノ)であなたの演奏をモニターし、音符やタイミングの間違いを判定する。同じ楽曲での複数の演奏を追跡して、あなたの上達の度合いを(あるいは上達したかどうかを)表示する。要するに、これはピアノ(またはギター)楽曲の練習をゲームへと変貌させて、あなたが繰り返し演奏できるようにしてくれる。練習する気が起こらないで困っている子供たちに大当たりするかもしれない。

価格と入手方法 -- 安いし、今すぐ手に入る。iLife '11 は、従来のバージョンと同じく、すべての新しい Mac に無料で付属しており、販売価格はたったの $49 だ。(Apple はこれを「アップグレード」と称しているが、価格設定はこの $49 のみだ。もしもあなたが iLife アプリケーションを走らせることのできる Mac を既に買っているのなら、あなたが持っている iLife は旧バージョンだ。でも価格を安くするために入力すべきシリアル番号なんかない。iLife を走らせるためには Mac が必要だからだ。)2010 年 10 月 1 日から 2010 年 10 月 19 日までの間に Mac を購入した人は、送料のみの負担でアップグレードできる。Apple はこの送料を $6.99 としている。iLife '11 は オンラインの Apple Store から、あるいは Apple リテール店や、その他の再販業者からも入手できる。

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iMovie '11 にタイムラインを復活させる

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が iMovie の '06 リリースと '08 リリースの間で抜本的な変更を加えたとき、最も多く批判が集まった点の一つは伝統的な編集タイムラインが捨て去られたことだった。スクリーンの下の方に水平に一連のクリップを並べるのをやめて、iMovie '08 ではスクリーンの左上部分に編集領域を新設して、その中に映画をまるで文章の段落のように折り返して表示するようにした。

はてさて、もしもあなたが「本物の」タイムラインに恋い焦がれているのなら、iMovie '11 を再評価する潮時と言えよう。たった二回クリックするだけで、あなたもタイムラインを取り戻すことができる。次のようにすればよい。

iMovie '11 で、プロジェクトを開き、右上隅に新設された Single-Row View ボタンをクリックする。

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すると、折り返し表示されていたプロジェクトが、ブラウザの左右の端を突き抜けて一行に広がる。

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次に、真ん中のツールバーにある Swap Events and Projects ボタンをクリックすれば、Project ブラウザがスクリーンの下の部分に置かれる。(スクリーンショットではオーディオトラックも見えるようにしておいた。)

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Project ブラウザと Event ブラウザとを入れ替えることは iMovie '08 から既に可能となっていたが、iMovie ユーザーが伝統的なタイムラインを復活させられるようになったのは今回の iMovie '11 が初めてだ。

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Apple、Q4 2010 に $4.31 Billion の利益を計上

  文: Jeff Carlson <[email protected]>, Michael E. Cohen <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple の次から次へと続く印象的な四半期業績報告も少々同じことの繰り返しになってきた感がある。同社はまたもや史上最高の売上げと利益を記録し、9月 30日に終了した 2010年第4四半期にこれまでのどの期よりも多い Mac、iPhone、そして iPad を販売した。しかしながら、先週のアナリストとの業績発表の場での最もワクワクさせられたのは、一株当たり利益でも iPhone が Mac の販売を上回ったことでもなく、CEO Steve Jobs が出席して RIM、Google そして発生期にあるタブレット業界の将来について熱のこもった意見を述べたことであった。

Jobs はめったに業績報告の場には出てこないが (直近は 2008年で、Apple が iPhone 3G で印象的な売上げを記録した時である;“iPhone, Mac のお陰で Apple の Q4 2008 は好調” 21 October 2008 参照)、今回は自ら出席して Apple の最初の $20 billion 四半期を祝いたかったと言う。

同社が計上したのは、売上げ $20.34 billion そして利益 $4.31 billion、或いは希薄化後一株当たり $4.64 である。これに対して前四半期は、売上げ $15.7 billion そして利益 $3.25 billion であった ("Apple、Q3 2010 に $3.25 Billion の利益計上" 20 July 2010 参照);前年同期は、売上げ $9.87 billion そして利益 $1.67 billion であった("Apple、Q4 2009 で $1.67 Billion の利益を計上" 19 October 2009 参照)。そしてどちらの四半期もそれまでの記録を更新していた。

iPhone とその競合 -- Apple は、同四半期中に 14.1 百万台の iPhone を販売し、7月の“Antennagate”失態で売上げに大きく影響するであろうとの推測を見事に踏み潰してしまった;我々も"Apple、iPhone 4 アンテナ問題に答える" (16 July 2010) で報じたように、Apple が直面したこの問題は技術的なものと言うよりは、むしろ認識と人気商品にまつわる暴走する思惑の話であった。販売台数で比較すると前四半期には 8.4 百万台の iPhone が売られたのだが、この中には iPhone 4 の販売はたったの二日分しか含まれていない。iPhone は、売上げで言うと $8.82 billion であった。

スマートフォン市場がどれだけ競争的であるかを示すものとして、Jobs の説明は最初 Research in Motion (RIM) に対する Apple の勝利に焦点を当てた。同社は BlackBerry ハンドセットのメーカーであり業界のリーダーでもあった。彼曰く、"我々は今や RIM を抜き去った、そして当面の間彼らが我々に追いつけるとは到底思えない。" RIM は、同じ四半期に 12.1 百万台の BlackBerry の販売を計上した。

Jobs は続けた、"彼らが競争力のあるプラットフォームを築き、そして開発者達に三番目のプラットフォームのためのアップスを開発して貰うのは結構大変なのでは? iTunes App Store には 300,000 のアップスがあるので、RIM が登らなければならない山はかなり高いと思う。"

しかしこの CEO の攻撃の矛先は Google に向けられていた、いやもっと正確に言えば、Google の Android オペレーティングシステムを信奉している開発者達、機器製造者、そしてセルラーサービス提供者にである。

Google は一日に 200,000 の Android ハンドセットをアクティベートしているが、Apple は過去 30日間では一日平均 275,000 の iOS 機器 (ここには iPod touch も含まれる) をアクティベートしてきている、と Jobs は指摘した。彼はまた Android が“オープン”だと言う表現を採りあげて、そうではなくて“バラバラ”なだけだ、何故ならばバージョンも違うしそしてキャリアインターフェースも違うではないか ("統合された" iPhone エコシステムの対極にある)。Jobs は、TweetDeck の開発者は気が付いてみたら 244 の異なるハンドセットと 100 以上のバージョンの Android に対して開発していたと言及した。

Mac と iPod -- Mac の販売もまた極めて好調で、一番は iMac で 3.89 百万台を販売、これも史上最高である。Apple CFO Peter Oppenheimer が言及したのは、Mac の販売は IDC のパーソナルコンピュータ市場全般の成長予想を二倍以上上回るものだと言うことであった。

更に目に付くものとしては、Apple 小売店で新しく Mac を買ったほぼ半分の人が Mac は初めてという言うことで、これは Apple が独自の店を開いて以来殆ど変わっていない特徴である。この小売販売店の数は全世界で 317 に達する - 84 が米国以外 - そしてこの四半期中に開いていた 301 の店の平均の売上げは $11.8 million であった。おおよそ 75 百万人が全世界で Apple ストアに足を運んだ、これは前年に比べ 62% の増加である。北京と上海に開いた新しい店は他の場所の店に較べて最高の売上げを記録した。

最近の傾向を反映して iPod の販売は減り続けている。 Apple は 9.1 百万台を売ったが一年前は 10.2 百万台であった;いつもの通り Apple は iPod モデル毎の内訳は公表していない。

iPad の販売と市場の大きさ -- 一方で iPad は好調を継続し、この四半期中に 4.19 百万台を売りそしてその売上げは $2.7 billion に達する。前四半期には 3.3 百万台の iPad が売れた。

Apple の経営陣が示唆したことから推察すると、今四半期の数字はもし同社が需要を満たす事が出来ていたならばもっと高くなっていたことであろう。COO Tim Cook は Apple が初期の受注残をこなせたのは 9月になってからであり、今は来るべきホリデーシーズンと海外での拡大に備えて生産を拡大しているところであることを認めた。彼らはまた、Fortune 100 の会社の 65% 以上が現在 iPad を "展開中か或いは試験中" であるとしている。前四半期と同様に、平均の iPad 販売価格は $645 で、購入者は必ずしも初歩レベルの $499 モデルを圧倒的に選択しているわけではないことを示している。

Jobs アナリストの質問に答える -- アナリスト達との Q&A の場で、Jobs は iPad の販売がコンピュータ市場に与える影響についても論じ、この機器は明らかにノートブックの販売に影響を及ぼすであろうと言った。彼曰く、"それは、かも知れないの話ではなく、何時そうなるかの話である"。

企業による iPad の採用についての話の中で、彼曰く、"我々はビジネスの世界での売込みを本当に一生懸命やったわけではない、それは我々の手からもぎ取られていったのだ。[...] 我々はトラを尻尾で捕まえているだけだ。" 彼は、Fortune 100 の三分の二が iPad を展開中か或いは試行中であることを再度繰り返し、そして Apple は iPad が K-12 教育市場(幼稚園から高校)でも興味を惹きつつあるのを見始めているとも付け加えた。更に彼は、Fortune 500 ではその比率は更に大きくなって約 85% が iPhone を展開中か或いは試行中であると続けた。

Apple TV について問われると、Jobs は新しいバージョンが市場に出回るようになってからまだいくらも時間が経っていないが、同社は既に 250,000 台以上を売ったと言った。

では企業市場部門での Mac についてはどうか?Jobs 曰く、Apple は "先頭は消費者である" と信じており、Mac を企業市場に持込むのも消費者であり Apple 側での特別の企業市場向けの努力ではない。しかしながら、企業市場での Mac 採用が加速していけば、Apple 側でも "それに応じて" 企業向けマーケティングを強化していくことになると Jobs は語った。

Apple の持つ巨大な手持ち資金 - 今や $51 billion - について、そしてそれを株主に配当の形で返すつもりはあるかを聞かれた時、Apple は、単にそのお金を株主に返すよりも、"一つかそれ以上の戦略的機会が来た時に" Apple が蓄えた現金の力を利用する方が株主のためになると信じていると Jobs は語った:"我々はその現金のお陰で特異な立場にいる。" 我々はこれからの数週間は Apple が誰を買収するのかについての限りの無い噂話を聞くことになるであろう。

7-inch iPad にノー? -- Jobs は会見中により小型のフォームファクターのタブレット機器を開発している競合社も槍玉に挙げた。彼は 7-inch の機器を "ポテンヒット" だとして退けて、次のように言った、このサイズはユーザー経験を満足させるにはただ小さすぎるし開発者達も彼らの iPad アップスをスケールダウンしより小さなディスプレイ空間に合うよう機能を削るだけなのではないかと。会見での予期しなかったスライドの一つの中で、Jobs は解像度をこれ以上上げても意味が無いであろう、ユーザーが自分の指を四分の一の大きさに削り落としでもしない限りはと言い放った。

Jobs のこのフォームファクターに対する冷笑で、新しい 7-inch iPad についての噂には終止符が打たれるかもしれないが、過去にも、他の製品間隙について彼は同じ様な冷ややかなコメントをしたにも拘らず、その後 Apple はそこを乗っ取るため進出した例はある (これには携帯機器でビデオを見る、電子本、そして、そうタブレットコンピュータも含まれる)。

一方 Redmond では -- Apple が過去最高の四半期とその最新の機器の成功を発表したのとほぼ同じ瞬間に、Microsoft がその最高ソフトウェア設計者である Ray Ozzie がその役割から身を引くことを発表したのは、Apple と Microsoft の将来について何かを示唆しているのかもしれない;Microsoft CEO Steve Ballmer は、Ozzie が去った後は、その最高ソフトウェア設計者の "職に誰かを当てる事はしないであろう" と語っている。2006年に同社で Ozzie が Bill Gates の最高ソフトウェア設計者の跡を継いだ時、彼は Microsoft の社外の人間であり、Microsoft の将来を担う一人と表現されていた。一方 Apple では、Steve Jobs がしっかりと居座り、そして Apple は自らを一時代前の会社とは似た所は殆ど無い異なったものへと転換し続けている。それに対して、Microsoft は琥珀の中に殆ど閉じ込められたままになっていたように見える。

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Yojimbo 3.0 がスキャン機能と iPad アプリを追加

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Bare Bones Software が同社の 情報オーガナイザ Yojimbo のバージョン 3.0 をリリースし、別売の iPad アプリである Yojimbo for iPad に同期する機能と、TWAIN プラグインを用いて直接スキャンができる機能を装備した。それ以外ではバージョン 3.0 は若干のバグ修正を除き前回のバージョンと同等だ。

Yojimbo は私があらゆる種類のものを詰め込んで使っている必須のアプリケーションだ。メモ、パスワード、シリアル番号、PDF、画像、ウェブアーカイブ、リンクなど何でもここに入れている。私は Yojimbo のタグを使って似たものをマークし、それをもとにコレクションを作ってデータをセットの中に集めている。このプログラムは MobileMe を利用して私のデータを複数のコンピュータにわたり同期する。

新装備のスキャン機能は、意図的に単純なものとなっている。Scan ボタンを押せば、接続されたスキャナからの画像が Yojimbo ライブラリの中に置かれる。スキャンを調整できる設定もなければ、スキャンに光学文字認識を実行するオプションもない。

つい最近まで、Yojimbo には大きな弱点があった。それは、iOS 上で同じデータに手軽にアクセスできる方法がなかったことだ。その問題を、新発売のアプリが解決する。iPad の上で項目に変更を加えることはできないが、デスクトップ版の中に保存されたデータを、暗号化されているものも含め、すべて見ることができる。暗号化されたデータは iPad 上でも暗号化されたままで残る。

まず Mac OS X 上で Yojimbo 3.0 にアップグレードしてから、Yojimbo for iPad をセットアップする。Yojimbo 3.0 で、新しい環境設定パネルを使って iPad アプリに対する Wi-Fi 経由のペアリングを設定できる。Pair ボタンをクリックすれば、4桁のコードが出る。それから iPad アプリを起動して、Start Pairing ボタンをタップし、同じコードを入力する。すると同期が始まる。私の場合、最初の同期作業は長い時間がかかった。私の Yojimbo ライブラリのサイズが 180 MB もあったからだ。この同期は1対1の関係だ。つまり、Mac 上の Yojimbo は一台の iPad としか同期できず、Yojimbo for iPad は一台の Mac としか同期できない。

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同期のためには、その Mac と iPad が同じローカルネットワークに接続されている必要がある。3G での同期はできない。アプリが動作中に iPad を目覚めさせたり、iPad でアプリを起動したりした際に、自動的に同期が開始される。私の希望としては Dropbox 経由の同期があればもっといいのにと思う。 Agile Web Solutions が iOS 下の 1Password で、それを実現しているからだ。でも、どうやらそれは無理のようだ。Bare Bones の代表者 Rich Siegel は発表会見の中で、Yojimbo が依存するデータベースのアーキテクチャは(少なくとも今はまだ)Dropbox 経由で同期できるものではないと説明した。Siegel はまた、同社としてはサードパーティに依存することは避けたいし、Yojimbo の顧客が Dropbox 関係の問題点に遭遇してもサポートすることができないからとも述べた。

Yojimbo iPad アプリの中へデータを同期すれば、Yojimbo ビューを用いて項目の検索ができる。この表示は、デスクトップ版で左側にあるタブの見栄えをそのまま正確に反映したものとなっている。

Library、項目タイプ (Images、Recent など)、あるいはコレクションをタップして、掘り下げて個々の項目を見ることができる。また、Search フィールドをタップして、タイトルや、個々の Yojimbo 項目に付随したタグを検索することもできる。ファイル内容を検索することはできない。

項目をタップすればその内容が見られる。縦置きモードではこの内容がスクリーン全体を占め、横置きモードでは右側3分の2を占める。ブックマークは、埋め込みのブラウザの中にウェブページを表示する。暗号化された項目では錠前が表示され、それをタップするとデスクトップ版 Yojimbo でのパスワードを入力するよう要求されて入力すれば内容が見られる。暗号化されていない項目は、電子メールで転送することができる。リンクは、コピーしたり、Safari アプリで開いたりできる。また、画像をコピーしたり、画像を写真ライブラリの中に保存したりもできる。"i" で示された情報ボタンは、作成日と変更日、その項目が属するコレクション名、割り当てられたタグなどを表示する。

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Yojimbo 3.0 は Yojimbo 2.x のオーナーには無料アップデート、Yojimbo 1 ライセンスのオーナーには(教育、家族、個人用いずれのライセンスも)$20 のアップグレードとなる。Yojimbo を新規購入する場合は、シングルユーザーライセンスが $39、ファミリーライセンス(家族内で 5 人まで)が $69、教育関係ユーザーには $29 という価格だ。同じ人が複数のコンピュータで使うことはできる。Yojimbo for iPad の価格は $9.99 だ。

Yojimbo for iPad は、初めの一手としては良い出来だ。けれどもこれは当然ながら始まりに過ぎない。デスクトップにあるデータのコピーを読み出し専用で扱うところが、その単純な理由だ。熱心な Yojimbo ユーザーであっていつどこでも自分の Yojimbo データを見たいと思う私も、今のところは問題なく使えている。でもまだ理想的とはいかない。Rich Siegel も、今後は Yojimbo アプリが新たな情報を取り込める機能を備えるよう拡張すべく Bare Bones が計画していると、率直に語ってくれた。現時点では、iOS アプリ同士の間でデータを共有するのは極めて面倒だが、今後は Apple がアプリによるデータ共有方法をもっと作り出して行くに従い、Yojimbo for iPad が Mac 上の Yojimbo と対等となる日が来ることを願いたいものだ。

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Apple、Mac OS X Lion をチラッと見せる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

"Back to the Mac" と銘打って配布された招待状に描かれた、つや消しアルミニウムの林檎の陰からライオンが覗く図柄の通りに、Apple CEO の Steve Jobs は先週、次の大型ネコ科動物となるMac OS X Lion において私たちが期待すべき機能いくつかのプレビューを披露した。(Apple はバージョン番号を一切使わなかったが、私たちは 10.7 になると予想している。)登場予定が (北半球の季節で)「2011 年夏」という Mac OS X Lion は、Apple にとって非常な成功を収めると同時にデスクトップやラップトップのコンピュータにも適用可能なことが判明してきた iOS の、いくつかの側面からアイデアを引き継いでいる。具体的には App Store、マルチタッチのジェスチャー、アプリのホームスクリーン、フルスクリーンのアプリ、その他だ。

Mac App Store -- App Store は現時点でダウンロード数が 70 億件を超え、非常な成功を収めた。そして今、私たちがエイプリルフール記事“Apple、フランチャイズと Mac アプリケーションで App Store 大変革を計画”(2010 年 4 月 1 日) で冗談の種にしたのとまさに同じく、Apple は Mac 用アプリケーションのみを扱う App Store を作ろうとしている。この Mac App Store は、Mac OS X Lion に統合されるが、実は 2011 年中頃を待たずとも使うことができる。Jobs によれば、Apple は今から 90 日以内に Mac App Store を開店する予定で、開発者たちは来月にも自分のアプリを投稿できるようになるという。この Mac App Store は、無料のプログラムも商用のプログラムも、手でインストールする方法を無くしてしまう訳ではなく、それを補完する新たな方法を提供するものとなる。

iPad の上で App Store を使ったことのある人ならば、基本的に App Store アプリケーションに馴染みがあるだろう。Apple は App Store を iTunes の中に詰め込むことはしない。App Store アプリケーションの上の方には Featured、Top Charts、Categories、Updates などのボタンが並び、検索フィールドもある。購入ボタンをクリックすれば、もうあなたはそのアプリを購入している。そのアプリは App Store を飛び出してあなたの Dock に収まり、iOS でお馴染みの、アイコンが埋まっていく進行バーがダウンロードの状況を示す。インストールも、アップデートも、完璧に自動化されている。

無料のアプリも有料のアプリも、どちらも利用できる。平均的な価格が iOS の App Store でよりも高くなるのは疑いないところだろうが、収益の分配率は同じだ。つまり、開発者が 70 パーセントを受け取り、Apple が残りの 30 パーセントを取る。Jobs は、あなたが持つ個人用 Mac のすべてで使えるようにアプリのライセンスが設定されると述べた。これが実際に何を意味しているか、どのようにして実施されるのかは見てみなければ分からない。今日、Mac 用プログラムの多くは一人の個人が複数のコンピュータの上で使うことをはっきりと許したライセンスを伴って販売されている。また、ファミリーあるいは家庭用のライセンスでは、そのソフトウェアが一緒に住んでいる人たちが所有するすべてのコンピュータで使えるようになっている。それ以外の場合、とりわけ Microsoft や Adobe のスイートにおいては、シリアル番号が中央サーバによるチェックとローカルネットワークに関する制限を受けてその使用が規制されている。iOS のアプリは、同じ iTunes Store アカウントに登録された複数の機器にインストールすることができるが、それと同時にアプリがそれぞれにアカウントやシリアル番号を使って使用制限を課すことも許されている。多くの GPS ナビゲーションプログラムは、価格が $30 から $80 もすることがあるが、この方法で使用をロックダウンしている。

その他にも疑問は多数残る。例えば、デモ版はどうなるのか? Jobs が Mac App Store を発表したと同時に交わされていた Twitter 上の会話は、現時点の iOS App Store で有料のアプリに機能制限を付けたデモ版を提供して購入者が試してみるようにすることができない、という話題で即座に盛り上がった。この点は、Mac 用プログラムについては大きな懸念だ。Mac 用のプログラムは価格が数百ドルもすることがあり、試用版モードを提供したり 30 日間の試用期間を設けたりしているものが多いのが現状だからだ。Apple はもちろん Mac App Store でデモ版の提供を許すようにすることは可能だろう。開発者たちがそれぞれ独自のウェブサイトで試用版の提供をするようにもできるが、それではこの Mac App Store の市場可能性を損ねることになってしまうだろう。

同じように、iOS アプリの開発者たちはアプリの有料アップグレードを販売することができない点についてますます不満の声を挙げるようになってきている。開発者たちの中には、後に続くバージョンを新しいアプリとしてリリースし、過去のリリースのオーナーも新たに購入しなければならないようにしてこの問題を回避してきた者たちもいる。Apple は、これら二つの問題にきちんと対処する必要がある。

こちらはそれほど大きな問題ではないのかもしれないが、開発者たちは収益の分配率に懸念を感じている。Mac のソフトウェア開発者たちはこれまで、料金支払の手数料として 5 から 15 パーセントを払うのが普通だった。また、彼らは Mac App Store が提供するマーケティング経路の価値をすぐには認めない(あるいは価値を手にすることができない)かもしれない。iOS App Store においては、マーケティングは基本的に不可能だ。もしもあなたのアプリがスタッフのピックアップに選ばれれば、売上げは増えるかもしれない。けれども iOS 開発者たちはここ以外に機器のオーナーたちに販売する経路を持ち合わせていない。けれども Mac 開発者たちは、既存の流通経路を持っているので、この Mac App Store が顧客に手を届かせるための新たな方法として 30 パーセントの取引手数料に見合うだけの価値があるかどうか、よく考えて判断する必要があるだろう。

マルチタッチのジェスチャー -- 興味深いことに、Jobs は Macintosh ハードウェアが持つようにはならない機能、つまりタッチパネルのディスプレイについて強調して語った。彼は、Apple が広範囲のユーザーテストを実施した結果、垂直面のタッチスクリーンは見栄えは良いが、実際の使用上はほんのちょっとの時間使ってもすぐに疲れてしまうものだと述べた。そこで、Mac OS X Lion は基本的機能にジェスチャーを使うことをさらに重視するけれども、そのためのハードウェアとしては以前通り水平面を使うという。具体的には MacBook のトラックパッドや、Magic Mouse、あるいは Magic Trackpad といったものだ。これらの機器をまだ使っていない人にとっては、Lion がそれらを購入する動機となるかもしれない。

アプリのホームスクリーン -- iOS のホームスクリーンこそ iOS で大々的に成功を収めた機能だと主張する Jobs に、私としてはあまり同意できる気はしないが(今までどんな風に整理してみても満足のいくものにはならなかった)Apple はこのホームスクリーンの概念を Mac OS X Lion にも持ち込もうとしている。それが、Launchpad と呼ばれる機能だ。マルチタッチのジェスチャーで呼び出す Launchpad は、あなたのデスクトップに表示されているものすべてを隠した上に、アプリを整列させて表示する。

複数のページを使うことができ、個々のページの中でアイコンを並べ替えることもでき、iOS 4 と同様にアイコンをアイコンの上にドラッグすることでフォルダを作成することもできる。それからもちろん、アイコンをどれでもクリックすればそれに対応したアプリが起動される。(たぶんシングルクリックで起動するのだとは思うが、この点は出荷されるまで確かなことは分からない。)そうそう、最も左にあるホームスクリーンのページが表示されている状態でさらに右へスワイプすれば、Launchpad はあなたの Dashboard ウィジェットを表示する。でも、Dashboard ウィジェットなんて、誰か使っている人がいるんだろうか?

フルスクリーンのアプリ -- スクリーンの小さい iOS 機器では、一つ一つのアプリがスクリーン全体を占める。Jobs はこれが Mac 上ですべてのアプリに当てはまる訳ではないと認めているが、それでもプログラムによってはフルスクリーンで表示させた方が使い勝手の良いものもある。これは、Apple の iLife アプリ、つまり iPhoto、iMovie、GarageBand で特に言えることだ。これらのアプリでは、同時にたくさんのデータやコントロールが示されることが必要となるからだ。現行の Mac アプリケーションの中にもフルスクリーンモードで動作できるものがあるが、これはあくまでも例外的なことだ。なぜなら、Mac OS X では通常の表示に戻るための方法が標準化されていないからだ。

Mac OS X Lion では、フルスクリーンモードが標準機能となる。それをサポートするアプリにおいては、ウィンドウにある緑色のズームボタンを押せば、そのウィンドウが最大ウィンドウサイズにズームする代わりに、スクリーン全体を占めるようになる。Apple のデモを見ると、メニューバーさえも消え去るので、開発者たちはフルスクリーンモードで必要なことがウィンドウ内部にあるコントロールで十分使えるようにしておかなければならない。

フルスクリーンモードを使用中に他のアプリに切り替えるには、もう一つ別のマルチタッチジェスチャーを使う。(少なくともデモではそう見えた。)切り替えをすると、フルスクリーンのアプリは基本的にそれ独自の space (Spaces の space と同種のもの) の中で走り続ける。また他のジェスチャーを使えば、フルスクリーンのアプリに切り替えて戻ったり、他のフルスクリーンアプリ同士の間で切り替えたりもできる。フルスクリーンモードにある特定のアプリをどうすればウィンドウのモードに切り替えて戻すのかは、デモを見た限りではよく分からなかった。

Mission Control -- さて、このフルスクリーンのアプリというのは少々 Spaces の領分を侵しているのではないかとお考えの方もおられるかもしれないが、あなたのその考えは正しい。けれども実際に、Expose、Dashboard、Spaces、そして今回からフルスクリーンアプリと、何らかの方法でスクリーンを管理するためのテクノロジーを Apple は多数取り揃えている。もはや、これらすべてを処理するのはちょっと混乱してしまうという状態に近づきつつある。そこで、Apple はそれらすべてをひとくくりにまとめ上げるための包括的テクノロジー、Mission Control を導入することにした。

お察しの通り、これもまたもう一つのマルチタッチジェスチャーによって呼び出すのだが、この Mission Control はスクリーンの上部に space とフルスクリーンアプリを表示し、スクリーン中段には Expose ウィンドウをアプリごとに集めて整理したものを表示、そしてスクリーン下部には Dock を表示する。要するに、あなたの Mac 上のものすべてを一目で見られるように示すのだ。

それでも私は、これらのインターフェイスの方法によって Apple が解決しようと試みている問題の大半はディスプレイを二台持つだけで完全に解決できることだという気がしてならない。そして、ディスプレイを二台持つことは、現代の Mac ならばどれでも容易なのだ。私から見れば、Spaces は物事をややこしくするだけだ。なぜなら、Spaces を使うためにはいろいろの異なったアプリケーションがそれぞれどこにあるのか、常に心の中で追跡している必要があるからだ。また、私がウィンドウを見つける目的で Expose を全く使わない理由は、ウィンドウがいつも見えているか、あるいはファンクションキーを一つ押すだけで(Keyboard Maestro で割り当てられている)いつでもアクセスできるからだ。他の TidBITS 編集者たちも、皆 Spaces なんか触ったこともないと言っている。それから、私は Dashboard が何の役に立つのか、一度も思い付いたことさえない。けれども、もしもあなたが普段ラップトップ機のスクリーンの限られた広さの中で仕事をしなければならないのならば、ひょっとしたら Mission Control があなたの目的にぴったりということもあり得るかもしれない。

自動保存とアプリ復帰 -- Apple が Mac OS X Lion で導入するものとして Jobs が最後に紹介した二つの iOS 機能は、自動保存の機能と、アプリを再び起動した際その前に止めた時の状態に復帰できる機能だ。推察するに、iOS には基盤となるコードが追加されていて、そのお陰でアプリが自動保存したり終了時に状態保存をしたりするのが楽にできるようになっているのだろう。そしてそれが一歩進み出て、Lion の中にも組み込まれようとしているのだ。現時点でさえも、Mac のプログラムが自動保存をできない理由は何もないのだから。Firefox や BBEdit など、いくつかのアプリケーションでは既に、終了したりクラッシュしたりの後で起動の際に以前通りの状態に戻れるようになっている。

猫はニャーと鳴くか? -- Steve Jobs のあの有名な現実歪曲空間 (Reality Distortion Field) の影響が薄れてきた状態で思い返してみると、Mac OS X Lion のこれらの新機能が私のコンピューティングライフにどれだけの違いをもたらしてくれるのか、あまりよく分からない。確かに、Mac App Store は開発者にもユーザーにも非常に大きな影響を与えるだろうが、これは 90 日以内に Mac OS X 10.6 Snow Leopard 用にリリースされるものだ。

私はアルミニウム製ユニボディの MacBook でトラックパッドを使っていくらか仕事をこなしているが、今ではほとんどの仕事を二台の 24 インチディスプレイの付いた Mac Pro でしている。マウスの作業のためには Contour Designs 製の RollerMouse Pro を使っている。この環境に Magic Trackpad を組み込むために私の作業空間を再編成するのは結構大変なことだろうし、マルチタッチのサポートがないとなれば、ここで紹介してきたような新機能がどのように働くのかについても、よく分からないところがある。(Glenn Fleishman は Magic Trackpad を試してみて、彼の小さな手と問題を抱えた手首ではとても使いづらかったそうだ。)それに、たとえ私が自分の作業空間にトラックパッドを加えることになったとしても、私としてはアプリの起動には Keyboard Maestro のホットキーや LaunchBar の短縮語を使う方が好きだし、また私は Expose や Spaces はウィンドウすべてをデスクトップから一時的に取り除ける目的以外には決して使わない。これらの機能が嫌いだという訳ではない。ただ、私にはこれらの機能の使い道がないというだけだ。

多くの TidBITS 読者の皆さんも、同じようにしっかりと慣れ親しんだ効率的な作業の方法をお持ちだろう。そういう皆さんも、私も、おそらく Apple が Mac OS X Lion でターゲットとしている顧客層ではない。自分を危険な立場に追い込むことを覚悟で、しかし礼儀を失わずに断言すると、Apple は、私たちのことを本気では気にしていないのだ。私たちは忠実な顧客であって、私たちは自分の Mac に独立の開発者たちが作ったさまざまの巧妙なソフトウェアを組み込んで使いこなしている。けれども、Apple が Lion での変更点で狙っているのはそういう私たちではなく、ある特別の種類の移行者たちだ。それは、iOS ユーザーであるけれども、現在自分の機器を Mac には接続していない人たちだ。そういう人たちは、Windows 機を持っているが、おそらくそのマシンについてもあまり詳しくは知らず、ただ iOS が好きだという理由で Mac を買おうかと思っている人たちだ。今日までに Apple がどれだけ膨大な数の iOS 機器を売り上げたかを考えれば、そういう人たちの市場は相当に大きなものに違いない。その上、そういう人たちは既に Apple を好きになる用意が出来ているのだから。

"Back to the Mac" という言葉は、ただ単に Mac のテクノロジーに焦点を当てようというだけの意味ではない。これは、iOS ユーザーたちを Mac の中に呼び込もうという初めての試みでもあるのだ。Jobs は、Mac が現在 Apple の収益の中で 33 パーセントを占め、220 億ドルのビジネスとなっていると述べた。だから、Apple が iOS やそれに対応するいろいろの機器の方を優先して Mac に対する興味を失いつつあるのではないかという怖れは、今はまだ根拠のないことのようだ。しかしながら、Apple が Mac に焦点を当てようとしているこの新たな視点が、プロフェッショナルなユーザーたちのためにはあまり何もしてくれない方向へと Mac を向けつつある、ということは十分考えられる。(たった二日前の四半期業績発表の席で、Jobs が「先頭は消費者である」と述べたことを思い出そう。2010 年 10 月 18 日の記事“Apple、Q4 2010 に $4.31 Billion の利益を計上”参照。)

ちょっと考えてみて頂きたい。そして、これでは全面的に満足することはできないと思われたなら、Apple がどんな機能を Mac OS X Lion に加えてくれれば嬉しいかを考えて、それをこの記事へのコメントとして書き込んで頂きたい。結局のところ、Apple はまだあと 8 ヵ月か 10 ヵ月の間は、Lion を公共の場に解き放つことはしないのだから。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 10 月 25 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Cyberduck 3.7 -- 無料(ただしドネーションのお願いあり)のファイル転送プログラム Cyberduck のバージョン 3.7 が出た。オープンソースのこのプログラムの変更ログに記されているバグ修正に加えて、今回のバージョンでは Transmit のお気に入りを読み込む機能、ドラッグ&ドロップでブックマークを複製する機能、スナップショットのビルドも含むアップデートチェック機能、プライベートキーフォーマット PuTTY のサポート、アップロードのプロンプトの中に隠れたファイルも表示する機能、ファイルを一時的な名前でアップロードしてから転送後に改名するオプション、ブラウザウィンドウ間でドラッグすることによるサーバ間のコピー、Copy URL コマンドを使用中に同時に複数の URL をコピー、Synchronize プレビューで関係あるファイルのみを表示する機能などが追加された。(無料、19.9 MB)

Cyberduck 3.7 へのコメントリンク:

Firefox 3.6.11 -- Mozilla が Firefox 3.6.11 をリリースした。このオープンソースのウェブブラウザへのマイナーなアップデートだ。今回のアップデートは セキュリティと安定性の問題に対処している。中でも、アタッカーがあなたのコンピュータを乗っ取ってしまう可能性のあるセキュリティの問題点に対策が施された。今回のバージョンでの Mac 特定の修正点としては、ウェブページ上の入力フィールドにフォーカスがある場合にも検索バーやロケーションバーで Return キーが使える機能が復活した。(無料、17.6 MB)

Firefox 3.6.11 へのコメントリンク:

Aperture 3.1 と ProKit Update 6.0 -- Apple が Aperture アップデート 3.1 をリリースした。同社によれば、安定性とパフォーマンスが向上しているという。また、リリースされたばかりの iLife '11 スイートとの互換性にも対処している。具体的な改善点としては、大きいライブラリを開いたり多くの調整がされたイメージを書き出したりした際のパフォーマンスが向上した。また、iPhoto ライブラリや iPhone、iPad からの写真やビデオの読み込み、重複検出、顔検出、サムネールのレンダリング、赤目修正、傾き補正したイメージの画質などの問題点にも対処が施された。Apple はこのアップデートに含まれた修正点をすべてまとめた詳細なリストを提供している。(新規購入 $199、アップデート無料、357.55 MB)

同様に、Apple は Snow Leopard 用の ProKit アップデート 6.0 もリリースし、Aperture 内で iPhoto ライブラリをブラウズする際の信頼性を改善するとともに、Aperture の開閉用三角ボタンの外観の問題を修正し、Logic Pro と MainStage 内での数値パラメータに関する問題を解決した。このアップデートは Final Cut、Motion、Soundtrack Pro、DVD Studio Pro、Aperture、Soundtrack、Logic、MainStage、および WaveBurner のすべてのバージョンのユーザーに推奨される。(無料アップデート、13.5 MB)

Aperture 3.1 と ProKit Update 6.0 へのコメントリンク:

Java for Mac OS X 10.6 Update 3 と 10.5 Update 8 -- Apple が Mac OS X 用の Java フレームワークへのアップデートを、Mac OS X 10.6 Snow Leopard 用Mac OS X 10.5 Leopard 用にそれぞれのバージョンを分けてリリースした。Apple によれば、このアップデートで互換性、セキュリティ、信頼性が向上しているという。Snow Leopard の下では、このアップデートは Java SE 6 をバージョン 1.6.0_22 にアップデートする。Leopard の下では、このアップデートは 64-bit 互換な Intel ベース Mac に対しては Snow Leopard と同じアップデートをし、その他の Mac に対しては J2SE 5.0 を 1.5.0_26 にアップデートする。同社のウェブサイトに、Snow Leopard 版Leopard 版それぞれのこのアップデートが対処したセキュリティホールの説明が提供されている。Apple は、これらのアップデートをインストールする前にすべてのウェブブラウザとすべての Java アプリケーションを終了することを勧めている。(無料、Snow Leopard 用は 74.30 MB、Leopard 用は 119.07 MB)

Java for Mac OS X 10.6 Update 3 と 10.5 Update 8 へのコメントリンク:

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ExtraBITS、2010 年 10 月 25 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhoto '11 のレビュー用コピーはまだ私たちのところに届いていないが、重要なことだと思うので警告しておこう。このプログラムには、写真を消去してしまう可能性を持つバグがあるらしい。必ずバックアップを作っておくこと! また、Apple の発表をまだ分析し切れていないという方は、Tech Night Owl Live ポッドキャストで Adam のインタビューを聴いてみてはいかがだろうか。それからもう一つ、ハロウィーン用に Mac を Mac-O-Lantern に変えてみたい人はこちらへどうぞ!

iPhoto '11 の前に必ずバックアップを! -- 私たちの友人 Liz Castro の報告によれば、新しい iPhoto '11 (私たちのところにはまだ届いていない)が彼女の iPhoto Library をアップグレードしようと試みていた際、アップグレードに失敗したばかりか 230 GB もあった写真をすべて消去してしまったという。この問題に遭遇した人は他にもいるので、皆さんも Apple から修正版が出るまで iPhoto '11 のインストールを見送るか、さもなければインストールの前に複数のバックアップが作ってあることを確かめよう。また、どんな場合でも、アップグレードの処理中には作業を中断しない方が良いだろう。

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古い Mac を Mac-O-Lantern に変える -- ハロウィーンが近づいてきたが、2007 年に投稿された Bad Banana Blog 記事に、クラシック Mac (おそらく Mac Classic) をレトロ風テクノロジーのカボチャのちょうちんに自分の手で作り替える方法の説明が載っている。その古い Mac でソフトウェアを走らせることができて、幽霊風のスクリーン表示とサウンドが出せた人にはボーナスポイント!

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Adam、Tech Night Owl Live で Lion、Mac App Store、MacBook Air を語る -- Mac OS X Lion、Mac App Store、それに新型の MacBook Air モデルについて Adam の考えが知りたければ、Gene Steinberg が出演した先週の Tech Night Owl Live ポッドキャストの後半部分にダイヤルを合わせてみよう。

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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2010年 10月 30日 土曜日, S. HOSOKAWA