TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1061/31-Jan-2011

私たちはサンフランシスコの Macworld 2011 から戻ったばかりなので、やはり今週号はこれについて語りたい。まずは、私たちスタッフがショウの会場で見つけた最も興味深い製品の数々について取り上げて紹介する。(良いものも、悪いものも、必要以上に綺麗なものもあった。)それから、Adam がショウ全体について、また IDG World Expo が将来に向けてどこを改善すべきかについて、掘り下げて検討する。これだけでも相当に読み応えがあるだろうが、その他にもいつも通りの ExtraBITS に加えて、先週中に登場したたくさんの注目すべきソフトウェアリリース、GraphicConverter 7.1、Skype 5.0、Dropbox 1.0.20、Airfoil 4.0.1、Transmit 4.1.5、Opera 11.0.1、iTunes 10.1.2、Drive Genius 3.1、Mellel 2.8、BBEdit 9.6.3/TextWrangler 3.5.3 の紹介もある。

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Macworld 2011 でのクールなプロダクト

  文: TidBITS Staff <editorsattidbits.com>
  訳: 柳下 知昭 <tyagishi@gmail.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

正直に言いましょう、教育やビジネスネットワークの観点からMacworld 2011 が如何に有意義かを語ることもできますし、正しいとも思いますが、Macworld Expo の楽しみの主な部分は、クールで新しい製品を見ることです。さもなければ、本当に風変わりな製品でしょう。どちらにしても、以下のものが、最良の製品や最悪の製品、ばかばかしい製品、いろいろな点で我々の想像力を面白がらせたものをピックアップしたものです。

自宅からファイルを取得する最良の方法 -- ローカルネットワークに接続するデバイスは、素晴しいアイデアに見えますが、旅行中には、ストレスの元となります。Dane-Elec は、myDitto を用いることで、ローカルにもリモートにもアクセスできるような素晴しいソリューションになることを見つけた。myDitto は、プラグアンドプレイのネットワークドライブでUSB のキーを使って、ローカルやリモートのアクセスを承認された人だけに制限できる。ホームユーザやスモールビジネスユーザーを対象に、500GB のストレージが導入しやすいようにたった $139.99 の価格となっており、myDitto は、家族内で共有したいどんな種類のファイルについても保持できる - 音楽、文章、写真、など - 。コンピュータが、ローカルであろうとインターネット上であろうと USB キーを接続することで、ファイルにアクセスするための安全な接続を確立することができる。iPhone や iPad, iPod Touch を用いて myDitto へ接続することができる iOS アプリも用意されている。2 台のドライブを背面に増設することで、デバイス容量を、4TB まで増加させることができる。[JLC]

最良の有袋類の模倣 -- もし、Teletubby の容姿がすてきだと思うならば、Alphyn Induries が、前部に iPad 用のカンガルーポケットがある 頭からかぶるフリースを用意してくれている。ジッパーを閉めると、しっかり固定され、内部の iPad は、胃袋へのパンチをガードしてくれるだろう。ジッパーを開けると、iPad 用の小さな棚が現れる。この PADX-1 LEDGE Wearcom は、$285 である。本当のことだ。歩きながら(もしくは、iPad 次期モデルのための列に並んで)読書するのに最適である。ただし、車には注意して欲しい。[GF]

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もっともおしゃれな iPhone のカーマウント -- 大抵のiPhone のカーマウントはあまり良いと思えないものだった; それらは、見苦しく、使いにくいものだった。最後に試用した iPhone 3GS 用のものはうまく機能していたが、iPhone 4 を保持できなかった。$34.99 のTetrax XWAY は、エアコン吹き出し口に装着するねじ止めされているクランプと、小さな X 型の 4 つの磁石が中央についたマウントで、うまく解決する。(接着テープによってどこにでも取り付けられる FIXWAY 版もある。)別の小さな希少金属磁石を iPhone もしくはそのケースに付けると、- 独立型 GPS ナビのようなガジェットでもよい -iPhone を装着するには、単に磁石が相互に吸着させるだけでできる。Tetrax はイタリアの会社で、ウェブサイトは英語の説明があまりうまいとは言えないが(代わりに Applications ページの写真をみればわかりやすい) わたしは、自分の車向けに 2 つ購入するつもりだ。より小さい FIX, GEO, EGO モデルは、技術的には、iPhone に使用できるが、XWAY ほど安定はしない。(小さい子供がそばにいる人は、磁石をなくしたり飲みこんだりしないように注意してほしい; それらは体内に入ると危険である。)[ACE]

最もわかりにくいスペースの活用 -- ニューヨークタイムズは、1 つではなく 2 つのブースを構え、そのどちらにも特に興味深い物は無かった。小さい方のブースは、印刷物の定期購読を受け付けており、中央にある大きい方のブースでは、無料の iPad と iPhone/iPod touch アプリをデモすることに充てられているようだった。ニューヨークタイムズは、近々オンラインやモバイルアプリによるフルアクセスへの課金に切り替わるようだ。おそらく、それが展示会前に起こると見越してブースを予約したのだろう。[GF]

iPhone のムービーを安定させる最良の方法 -- iPhone 4 は、驚くほど良いビデオレコーダーであるが、全ての小さなビデオカメラと同様に手で持って録画すると震えがちになる。Mac の iMovie は、カメラのブレを補正することができるが、iOS の iMovie アプリには、そのような機能はない。Creaceed の Movie Stiller アプリ ($2.99) は、すでに録画して、ライブラリに保存してあるビデオについてイメージを安定化させることができる。クリップを解析したあとで、Movie Stiller は、どのくらいの安定化を適用するか聞いてきて、処理したビデオを新しいムービーとしてライブラリに出力することができる。Movie Stiller は、iPhone 3GS と 第 4 世代の iPod Touch で動作する。[JLC]

最も印象的な卓上電話 -- AltiGen の $149 の iFusion は、説明し難いものだった。どのような時に、iPhone をデスク上の線で継がれた受話器に接続したくなるだろうか?自宅ではほとんど意味がないが、オフィスにおいては、スピーカーがあり快適な受話器を装備している充電ドックとなる。iFusion は、内蔵されたスピーカーやオーディオジャック経由での出力を使用して音楽を再生できる。受話器は、ブルートゥース経由でペアリングできるので受話器を使うために、iPhone を ドックにセットする必要はない。AltiGen では、黒と白の予約を受け付けている。[GF]

最も(使用中は)ホットな製品 -- ブースには実際に稼動するグリルもオーブンも一切無く本物のデモを実演することはできなかった(ただし熱くなっていないグリルは展示されていた)が、Macworld Expo の観衆の多くはそれでも iGrill のブースにどっと押し寄せて、これはいったい何なのかと興味津々の様子だった。$99.99 の iGrillには、肉の中に差し込む温度センサーと、温度センサーをディスプレイユニットに繋ぐケーブルが付き、このユニットにはワイヤレス送信機が内蔵されていてリモコン機器を使って温度や時間のアラームを設定することができる。この種の機能の付いたデジタル温度計は普通にいろいろあるし、ワイヤレス接続を使ったものも珍しくないが、この iGrill が他と違うのは、その「リモコン機器」としてあなたの iPhone、iPod touch、または iPad を使って無料の iGrill アプリを走らせるところだ。Bluetooth 接続を利用して、このアプリの魅力的なインターフェイスを使えば、あなたがローストしている肉の温度を華氏でも摂氏でもモニター表示でき、時間や温度に基づいてアラームを設定したり、調理にあとどのくらい時間がかかるかの予測をしたりもできる。このアプリにはいろいろなレシピや調理のヒントも付いている。[TJE]

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最も(適切に使えば)美味しいアプリ -- その昔、コンピュータメーカー各社がマーケティング戦略で、料理のレシピを保管したり思い出したりするためのものとしてパソコンを宣伝していたのを覚えておられるだろうか。(そうした広告は主に女性をターゲットとしていて、女性にはキッチン以外ではテクノロジーの必要なんかないという考え方を反映してのものだったようだ。ため息ものだが。)「キッチン用コンピュータ」として、ラップトップ機がよりふさわしいものとなってきたが、今や iPad こそ、その目的で理想的に使いこなせるものとなるだろう。場所塞ぎになったり食べ物の欠片がこびり付いたりする心配のあるキーボードなどもなく、垂直な平面上に(たとえば ModulR ケースに取り付け金具を付ければ冷蔵庫にも)マウントしておけるし、あるいはスタンドを使って立てておいてもよい。私はショウのフロアのモバイルアプリケーション区域を見て回っていたが、近日発売予定という Appetites アプリが私の目を引いた。ただレシピのデータベースを表示するというのではなく、この Appetites アプリは、食べ物関係のブログを書いているブロガーたちの作ったビデオを利用して、見ている人の観点に立って料理のしかたを説明してくれる。だから、ただ単にザクロを何グラム使うというだけでなく、どんな風にザクロを刻めばよいかまでわかる。(ビデオなしでレシピを読むこともできる。)残念ながら、Appetites を作っている会社、Clear Media は、まだこのアプリについて何もウェブサイトに発表していない。(マーケティングの立場から言えば到底あり得ないことだ - 2マス戻る、といったところか。)だから、これが Apple に認可されて App Store に登場する日まで、これがどんなに美しくデザインされたアプリであるかを皆さんに実感して頂くことはできない。早く登場することを期待したい。[JLC]

iPad ゲームプレイに最大限のコントロール -- Apple はまだ、触覚によるフィードバックを同社の機器で提供していない。例えばキーボード上の仮想キーを押すとクリック感が返ってくるといったような、デジタルなアクションに対しての物理的な反応が実現されていないのだ。このように触覚は未来に属するものかもしれないが、実は複雑なエレクトロニクスなど使わなくても、吸盤の付いた単純なプラスチック製の一対の器具を使うだけで、フィードバックの感触を得ることができる。Ten One Design 製の Fling は、iPad 用のジョイスティック風コントローラ (1個 $19.95、2個一組で $29.95) だ。吸盤の付いた螺旋状のプラスチックの上に、ゴム製のボタンが乗っている。iPad 画面をタッチしてジョイスティックのコントロールをさせるゲームは多い。同社によればそのようなゲームはおよそ 100 個あるといい、同社のウェブサイトにリストがある。Fling の中心を画面上のジョイスティックコントローラの真上に合わせれば、それだけですぐに使える。私も最初は馬鹿馬鹿しいと思ったが、Asteroids 風のゲームをプレイし始めてみた途端、私の視界からコンベンションセンター全体が消え去った。Fling を使うだけでより完全にゲームに没頭することができ、その効果発生の素早さたるや、想像を遥かに超えていた。プラスチックなのに! もしも今後 Fling が(また間違いなく登場するいろいろな類似品たちが)人気を博することになれば、ゲームをデザインする人たちもいろいろなコントローラをテストしてユーザー体験を改善してくれるようになるだろう。[GF]

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最も派手な衣装、全く不必要なタイプ -- 今年のショウで一番驚かされたのは、ブランドものの化粧で飾り立てたスタイル美人たちが雇われて展示されていたことだった。まさにその通り。これまで長年にわたり、出展する各社とも、人間のさもしい本能に訴えかけることなくショウの観衆を自社のブースに引き付けることに何とか成功してきた。ところが今年は、美しい女性たちを集めて、肌にぴったり密着したチューブドレスでひっきりなしに引っ張って直さなければならないようなものを着せていた出展者が多数見られた。ある出展者など、製品名を胸のところに大きく書いて、ブース番号を背中の巧みな場所に記した上で、女性たちを人間広告看板として歩き回らせてさえいた。彼女たちがどこにいても否応無しに気付かされたが、私たちが一番気になったのは「彼女たち、寒そうだね」という心配の気持ちだった。(その心配は正しかったようで、彼女たちの一人は二日目以後ピンク色の iPhone 互換手袋を手に着けていた。)おい、出展者たち、冗談じゃないぜ! ここはプロフェッショナルを相手にしたショウじゃないか。女性のプロフェッショナルであれを見て憤慨していた人たちもいたし、男性たちからも自分の娘があんなことをやらされたらと思うとゾッとするという声が挙がっていたよ。[ACE]

最も派手な衣装、最高にナイスなタイプ -- Codeweavers 社は、美人に頼ることはせずに、物まね芸人でブースを盛り上げていた。仮想化 Windows のフル版を走らせずに Windows アプリケーションをエミュレーションで動作させることのできる同社の CrossOver Mac ソフトウェア (standard 版 $39.95、professional 版 $69.95) を宣伝するためだ。さあさあ皆さんいらっしゃい、Elvis がブースを出たところですよ。[GF]

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共感まで最短時間で -- Glif の裏にいる男達 Tom Gerhardt と Dan Provost は小さなブースで、彼らの iPhone 三脚マウントアダプタを展示即売ををしていた。この $20 のアダプタは iPhone 4 にピタッとはまり、そして標準のねじ込みプッシングを備えているので、どんな三脚にもこの電話を取り付けることが出来る。さらにこのアダプタは、いわば一種のスタンドとして単独でも機能する。Glif は、発想から現実化まで数か月という空間でやってのけた - クラウドファンディング(インターネットを使って大勢の人に資金援助してもらう)で $135,000 を超える資金を集め、そしてこれらの若きデザイナー達の人生もすっかり変わってしまった。私は、彼らについて Economist の Babbage ブログで彼らの創造性に富んだ冒険について数回書いたことがあるが、彼らの話は世界中で報道された。彼らを Macworld ショーのフロアで見ることが出来たのは喜ばしい限りである。[GF]

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新聞紙なしで iPad スクリーンを綺麗にする最善の方法 -- 種々のスクリーン、レンズ清掃製品を作っている LensPen の人達は、休む間もなく SideKick のデモを行っていた。これはタッチスクリーンの新しい清掃具である。SideKick は見た目も感じも丁度小さくてつるつるしたチョコバーのようである。これを半分に割ると、短いハンドルについたカーボンを含んだ清掃パッドが出てくる。このパッドを iPad スクリーン上に走らせるとカーボンが指紋の油を吸い取ってくれる。終わったらパッドを元のケースに戻すのだが、そうすることでどういうわけか再生されるらしい。パッド当たり 150 回は使えると報じられている。私も SideKick を私の iPad に使ってみたが、うまく働いた。LensPen ブースにいた係員は SideKick は、くしゃくしゃに丸めた新聞紙でガラス窓を拭くのと同じ理屈で働くのだと言っていたが、私の経験では新聞紙はずっと使いづらいし時間もかかる。この新しい SideKick についてのいかなる記述も LensPen Web サイト上のどこにも見当たらないが、彼らの Facebook ページでは触れている。もし SideKick を一つ欲しいのだが Macworld Expo では買い損なってしまったと言うのであれば、もう少し時間がたってから流通業者経由で探してみる必要があると思われる。値段は、本体に替えパッドが一つついて $20 前後であろう。[TJE]

Apple に関する歌の最高のライブ -- 土曜日のお昼時に、私はたまたま Moscone West の二階のロビーで演奏していた Jonathan Mann がリーダーするバンド Rock Cookie Bottom に出くわした。一見して、人集めの催しかと思った、と言うのも彼らは Steve Wozniak (つながりは音楽ビデオ版) について歌っていたからである。しかし少したったら、私は偉大なユーモアと才能の存在に気付かされた。バンドはロックし、そして彼らの歌詞はとてもおかしかった。Mann はここ三年近くの間毎日一曲を書いてきたのだという、そして彼は疑いもなく人の心を掴む、愉快な歌詞に対する才能を失ってはいなかった。[GF]

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最小のプロジェクタ -- 二つの会社が iPad-, iPhone-, そして iPod touch- コンパチのピコプロジェクタを展示していたが、これはディスプレイとしては比較的新しい範疇である。ピコプロジェクタは、標準の映写バルブの代わりにいくつかの代替技術の一つを利用していて、熱くならない。ピコプロジェクタは、通常会議室で見る類のものよりずっと小さくなるよう設計されているが、暗い部屋でなら結構大きな画像を、明るい部屋でも良好な小さい画像を映写できる。照明の明るいショーのフロアではこの種の映写を見るにはあまり適していない環境なのだが、どちらの機器もこのような条件下にも拘らず印象的であった。Microvision はその $399.99 の Showwx+ を展示しており、これはドックケーブル経由で接続する。 $479 のNeo-iは Optoma からのもので、形はより大きくドッキングステーションとして働き、スピーカも内蔵しており音楽も演奏でき、或いは内蔵のピコシステムから映写も出来るし、更に VGA と HDMI のビデオ出力も備えている。Macworld での Neo-i のデモを見ることが出来る。どちらも iOS 内蔵のビデオ出力に頼っている;アプリとか設定をいじるとかは一切必要ない。[GF]

パロディとしか見えない実用品 -- あなたはきっと、薄切りも、さいの目切りも試したことがあると思うが、テレビを頭にくっつけるのを試したことは無いのでは!今ややろうと思えばこれも出来る!この $29.95 のTV ハット はこのショーで我々が見た中で最も馬鹿げて見えるものであった。これは帽子を土台とする iPod touch 或いは iPhone 用のマウントで、スクリーンを光から遮断し、それでいて特殊なレンズを通して目がちゃんと焦点を合わせられる距離を保つよう設計されている。我々仲間の中では敢えてこれを試してみようとする人間は誰もいなかったが、これは "テレビでも放映された様に" という看板のせいかもしれないが、もし我々が試している所を誰かに写真でも撮られてしまうのを恐れたためかも知れない。これはそれ程馬鹿げて見えるものであった。[GF]

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Macworld 2011 は成功裏に終了したが、今後も進化の必要あり

  文: Adam C. Engst <aceattidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今から十年前、 Macworld Expo は Macintosh 業界の健康度のバロメーターであり、それはつまり、Apple Computer という会社にとってのバロメーターでもあった。けれども Apple はその社名から "Computer" という単語を削り取り、Macintosh は同社の核心的焦点から外れ、ついにはこのショウ自体も同社の予定表から消え去った結果、今や Macworld Expo を分析することは、このショウ自体の健康度と、そもそもインターネットで動いているこの世界においてトレードショウというものがどの程度の健康度を持てるのかを示す意味しか持たないという事態に至っている。

結局のところ、Apple の方は見方によっては世界の頂点にいると言ってもよいくらいなのに、サンフランシスコで開催される Macworld 2011 の方は(依然として "Macworld Expo" と呼ばれることが多いものの)ショウの全盛期に比べれば際立って縮小してしまった。Moscone 南館と Moscone 北館にわたり合計で 440,000 平方フィートを Macworld Expo が占めていた日々は遠く過ぎ去り、今年の展示に使われた面積は Moscone 西館の 100,000 平方フィート以下、一方カンファレンスセッションは二階と三階の一部を占めていた。

でも、そんな数字に惑わされてはいけない。フロアの展示に参加した会社の数は去年より増え、およそ 260 社となった。ただ、大多数は小さなブースでの展示だったが。観衆の側について言えば、正式の入場者数はもう少し後にならないと発表されないけれど、IDG World Expo の Paul Kent は「去年よりも入場者数が増え、Macworld が明らかに成長している手応えが感じられて嬉しい」と言っていた。 去年の入場者数は「20,000 人以上」と発表されたが、IDG World Expoによれば今年の入場者数は「およそ 25,000 人くらい」とのことだった。

トレードショウの伝統的な目的の多くの部分がインターネットに取って代わられつつあるこの時代、これは良いニュースだと言えるだろう。でも、インターネットというものは、トレードショウの会場で実現されるような類いの人と人との交流を提供することができない。それは一つには技術的な観点から(ホログラフを使ったビデオ電話会議?)また一つにはそうした交流を促進するために必要なしっかりした後方支援設備のためだ。

言い替えれば、人々が Macworld Expo に行く理由は、他では決して手に入らないものごとが、ショウの会場では手に入るからだ。Glenn Fleishman は今回のショウでカンファレンスの側がますます注目を得ているのを見て、カンファレンスの付属するトレードショウであった Macworld は、今やトレードショウの付属するカンファレンスとなってしまった、と冗談を飛ばしていた。それは少し言い過ぎだと思うが、私は彼が間違ってはいないと思う。

フロアの展示者たち -- ショウのフロアが小さかったということは、全部を回るのに三日間を要するのは我々インクの染みだらけの記者連中だけ、ということを意味していたが、数多くのカンファレンスセッションの付属物と見るならば十分以上に大きかった。おそらく、それはつまり、ショウのフロアを見るためだけに遠くから旅行して参加した人たちは以前よりもずっと少なかったことを意味しているのだろう。けれども、近くに住む人たちが、仕事を一日だけ休んで、あるいはショウ最終日の土曜日だけ来て、見て回るには十分だったということではないだろうか。

展示者たちの方も、年月を経てだいぶ様変わりした。それは Apple の製品ラインが様変わりしたことにもよる。iPod が隆盛するにつれて、iPod ケースを販売するベンダーが溢れかえる様はほとんど笑えるほどだった。そして近年は、iPhone ケースやその他のアクセサリに加え、iPhone アプリを販売する小さな会社が林立するようになり、徐々に消え行く iPod アクセサリの市場に取って代わった。だから、今年の会場に iPad ケースを展示する出展者が数多く見られたのも意外なことではなかった。そして、iPad ケースの市場では iPhone アクセサリの市場で実現できたものを遥かに超える豊かな工業デザインと機能性が提供できる。だから、もしもあなたがそうしたケースの市場にいるのならば、この会場に足を運べば、市場で入手可能なほとんどあらゆる製品に実際に手を触れて比較することができ、さらには気に入ったものを値引き価格で手に入れて持ち帰ることもできるのだ。(オンラインの販売でそんなことができるだろうか?)

去年と同様、iOS アプリの開発者たちも多かった。その大多数は、より一般的な 10 フィート× 10 フィートのブースよりも使用料の安い、ごく狭い展示を出していた。もちろん、iOS アプリ開発者たちは全部集めても App Store に製品を出している会社たちに比べればごく小さな一部分に過ぎず、基本的にごたまぜの集まりでもあったので、フロアのその部分は何となく無計画な感じが漂っていた。その感じをさらに深めたのが、多くの展示がメインの廊下と廊下の間に何重にも重なって位置していたので、それらの間を人ごみをかき分けて開発者と話をしに行くのがかなり厄介だったという事実だ。

Macintosh に焦点を絞った展示者たちもまだ残っていたが、彼らもまた様変わりしていた。プリンタ、スキャナ、カメラ、ストレージ機器、その他の周辺機器を展示する会社は比較的少数だった。(目立ったのは HP、Fujitsu、SMART Technologies、Data Robotics くらいだった。)これは残念でもあり、意外なことでもあった。私から見れば、自社のハードウェア機器を何千人もの人たちに実際に手で触れてもらえることは、売上げを好転させることのできる絶好の機会だと思えるからだ。

Macintosh 用ソフトウェアの会社は、主としてエンドユーザー用のソフトウェアを作る小規模・中規模の会社、例えば Smile、The Omni Group、Nuance、BusyMac といったところが多かったが、興味深いことに、大企業をターゲットとしたメーカーで、多数の Mac のインストールを管理したり、顧客への対応管理、経理、その他を扱うソフトウェアを作っているところも目立った。Enterprise Desktop Alliance に加盟している各社は共同で一つのブースを占めていた。彼らは、別々のブースを使って会場に散らばれば企業のマネージャーたちに見つけてもらうのが困難になるので、一つのブースで力を合わせる方が効果的だと判断したのだ。

目標は何なのか? -- そこにいないことが目立っていたのは Microsoft と Adobe だった。もちろん、彼らにとって人目を集める必要がないことは事実だ。Macworld に出席した人で、Photoshop や Excel を知らない人なんているだろうか? ただ、彼らが Macworld Expo を既存の顧客に対して直接面と向かってサポートを提供する機会と捉えなかったことはとても残念だ。Adobe は二年前の 2009 年以来欠席している。そのため、一般的傾向としてグラフィックデザイン用のソフトウェアや各種製品に以前ほど重きが置かれないようになり、その結果、Mac の世界の中で伝統的に強かったこの市場が縮小してきた。一方、Microsoft は去年までずっと毎年参加していた。思うに、Microsoft の MacBU としては新しい Office 2011 を実際に手で触って体験する機会を望んでいたのではなかろうか。ことに、今は 試用版が出たばかりなのだから。

おそらく今回のショウにおける最も厄介な側面は、出展者たちの出展内容に、私たちの多くが現に使用し他の人たちに推薦したいと思うような Mac 製品を反映する度合いが非常に低かったという点ではないだろうか。もちろんこれは IDG World Expo が悪いのではない。出展する会社に彼らが展示内容を強制することはできないからだ。けれども、いったいどうして、私たちが期待するような会社でここにいなかったものがこんなに多かったのだろうか? ちょっと思い付いただけでもそういった会社の名前が次々と出てくる: Microsoft, Adobe, Google, Canon, Epson, Brother, VMware, Parallels, Intuit, Skype, Dropbox, CrashPlan, Smith Micro, Agile Web Solutions, Roxio, Prosoft Engineering, Parliant, Panic, Rogue Amoeba, Bare Bones Software, DEVONtechnologies, Circus Ponies, Fetch Softworks, Cultured Code, Sustainable Softworks, the Pixelmator Team, Realmac Software...

ショウの終盤近くにいろいろの出展者たちと話をしてみたところ、ほぼ全員がショウに満足していると答えてくれた。でも私は考え込まざるを得ない。年々落ち込んできた近年の Macworld Expo だが、この答は毎年いつも同じだった。それなのに、次の年に必ずしも全員がまた戻って来てくれるとは限らない。

おそらく、ショウの価値について十分に考え抜くためには、フロアの大騒ぎからしばらく時間をおく必要があるのかもしれない。結局のところ、何千人もの観衆とメディアの一団との前に自分の製品を披露するのは、理論的には素晴らしいことだ。けれども、実際的にそれがどれだけ利益となるかは、しばらく時間が経ってからでなければ分からない。フロアで直接の販売をしていない会社ならばなおさらだ。

それに、本当のところ目標が何なのかという問題もある。ここで比較せざるを得ないのが Consumer Electronics Show だ。こちらは Macworld Expo よりも遥かに規模が大きく、2010 年には 120,000 人の観衆と 2,800 の出展者を集めた。

けれども、Macworld Expo の観衆は主としてエンドユーザーであって、一般的に言って一人の人が購入する製品は一個か二個だ。それに対して CES の観衆は基本的に販売業者、再販業者、その他自分たちで商売をする人たちだ。そうでない一般大衆は CES の会場に入ることを許されない。私が話をしたベンダーの一人は、CES では二時間ほど座っていても誰も話しかけてこないことが時々あるが、Macworld Expo では興味津々で積極的な観衆がひっきりなしに押し寄せるのだと言っていた。長い目で見てどちらがより価値の高いものなのかは分からないし、製品が異なればその答も異なるのかもしれない。

改善点、現在と未来 -- こうしたことすべてに関係した疑問は、Macworld Expo をより価値の高いものにするために、また会場にいる人の心の中にどうしても消えず残るあの「何かが足りない」という感覚を埋め合わせするために、IDG World Expo が何をすべきか、ということだ。Macworld Expo の修理工たるこの会社は、日程に土曜日を含めるようにしたこと以外、これまではあまり変更を加えず、今よりずっと大きなショウのフロアを Apple が中心になって支えていた時代と基本的に同じことをしてきた。Apple が離れて行った時には、何か大きな変更が望ましく必要であると皆が感じていたというのに。

公平を期して言えば、IDG World Expo は周辺部分で若干の修理を施してきた。最近数年間はショウのフロアが開幕する前日の夜にメディア向けのレセプションが開催されるようになった。ただ、コストが高いために、参加した出展者の数は少なかったのだが。

でもそれ以外、ショウは基本的に変わらずにきた。それ自体は必ずしも悪いことではないが、いろいろと手を加え実験をしてみる余地はたくさん残っていると思う。そのうちのいくつかを、私は記事“Macworld Expo の過去と未来への考察” (2009 年 1 月 12 日) に記しておいた。

例えば、コミュニティーについての話は出ているにもかかわらず、Macworld Expo の会場で実際に似たような興味を持った参加者同士がやり取りし合える機会はほとんどない。ショウのフロアには長椅子も、ラウンジのような部屋もないし、座れる場所といえばホールの隅の Macworld Cafe の近くにテーブルがいくつかあるだけだ。その昔、Moscone 西館一階の巨大な吹き抜け空間にも、やはり座れる場所はほとんどなかったし、二階や三階の部分にはテーブルや椅子がたくさんあったけれど、エスカレーターで上の階へ行けるのはカンファレンス参加者用またはメディア用のパスを持っている人たちだけだった。

また、特に IDG World Expo がこれまでトレードショウに参加したことのなかった iOS 開発者たちを呼び寄せようと努力してきたことを考えれば、Macworld Expo のモデルそのものを変えて行くことも考えてよいのではないだろうか。従来、基本的にこれは受動的な立場での開催であった。つまり、出展者たちが観衆やメディアと交流できる機会を与えられるというものであった。それを、もっと能動的なものに変えられないだろうか。例えば、IDG World Expo が実際にそうした交流を(観衆には販売促進を、メディアには情報伝達を)仲介するようにすれば、すべての人にとって利益になるのではなかろうか。もちろん、言うは易く、行なうは難いだろう。でも現実的に、これは「素晴らしき未知のこと」であるし、あらゆるメディアを引き付け得るものだ。なぜなら、メディアに携わる人たちは、実際の成果の保証がなくても、広告主と消費者とを結び付け得る場所を提供することで収入を得ているのだから。

将来への展望 -- その昔の Macworld Expo の全盛期を覚えている私たちにとって、Apple が今よりも遥かに小規模で重要度も低い会社であり、Mac ユーザーたちが冷笑の対象たる少数派であった時代に、このショウがどれほど必要不可欠のものであったかを思い出すだけで、頭が混乱しもどかしい思いが沸き立ってくる。当時、Macworld Expo に行けば同じ一族との結び付きを確認できるという感覚があって、そこにいる限りは Windows ユーザーたちから冷たい視線を向けられる心配がなかった。けれど今ではほとんど誰もが Apple 製品を使っているという気さえするし、それらの製品は当時よりも遥かに完成度が高く使い方も容易になっているので、今さら Mac ユーザーたちや iOS ユーザーたちが一堂に会する必要性もあまりないのかもしれない。

だから、それこそが IDG World Expo が今後も挑戦し続けなければならない目標だ。つまり、ユーザーたち、そして会社たちが、一年に一度、同じ Apple 空間に集まりたいと思えるような動機を見つけ出し、それを提供することだ。私は他の人たちについて語ることはできないが、私たち自身に限って言えば、TidBITS で報道するという使命以外にも、Macworld Expo は私たちが将来共に働ける人たち、スポンサーや、記事の著者、サービス提供業者、その他の会社の人たちと、ビジネス上のネットワークを構築できる、大きな大きなチャンスとなっている。もちろん実際に顔突き合わせて話をしなくてもなんとかやって行けるには違いないだろうが、たった数日間のうちに世界中からやって来たパートナーたちと会える機会があるというのは、そのことをとてつもなく効率的にしてくれている。

そういうわけで、Macworld 2012 にも私たちはまた参加する。来年のスケジュールは 1 月 26 日(木)から 1 月 28 日(土)までとなっている。(開幕前日の水曜日にもきっと何かあると思うので、予定を立てる際には心積もりされるとよい。)ではまた、Moscone 西館でお会いしましょう!

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 1 月 31 日

  文: TidBITS Staff <editorsattidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

GraphicConverter 7.1 -- Lemkesoft が、画像変換なら何でもおまかせの同社のツール、GraphicConverter をバージョン 7.1 にアップデートした。今回の新機能としては、画像を iTunes の Cover サイズにスケールするオプション、.srw ファイル読み込みのサポート、digital lightroom モード、それからブラウザでの 100% プレビューモードなどがある。さらに、スライドショーの操作に関するさまざまな新しいオプションも追加された。また、この新バージョンではアルファチャンネルを含んだ PDF 書き出しのサポートを追加するとともに、raw 画像コンバータもアップデートしている。ドイツ語、デンマーク語、日本語、ポルトガル語のローカライズ版もそれぞれアップデートされた。十件以上のバグ修正も、今回のアップデートに含まれている。フルのリリースノートは Lemkesoft のサイトで読める。(新規購入 $39.95、アップグレード$25.95、無料アップデート、100 MB)

GraphicConverter 7.1 へのコメントリンク:

Skype 5.0 -- ベータテスト段階を脱した "Gold" リリースの Skype 5.0 for Mac では、ビデオチャット(ただしこれは有料)が提供され、ユーザーからのフィードバックに基づいたマイナーなユーザーインターフェイス変更がいくつか施されている。変更点は Skype のブログに詳述されているが、主なものとしてはウィンドウのスリム化、テキストチャットパネルへのアクセス簡略化、フルスクリーンビデオ通話の復活などがある。(無料、19.5 MB)

Skype 5.0 へのコメントリンク:

Dropbox 1.0.20 -- オンラインのファイル同期ツール Dropbox のバージョン 1.0.20 が、Shared Folders でのコマンドラインインターフェイスの問題点を修正するとともに、 リリースノートに言う,ところの「細かな調整」を施した。バージョン 1.0.12 かそれ以降のユーザーならば、次回ファイル同期をする際に自動的にアップデートを受けるはずだ。それより以前のバージョンを使っている人は、ここからアップデートをダウンロードできる。(無料、21.6 MB)

Dropbox 1.0.20 へのコメントリンク:

Airfoil 4.0.1 -- Rogue Amoeba が、オーディオ出力先変更ソフトウェア Airfoil をバージョン 4.0.1 にアップデートした。修正点の主なものとしては、Instant On 追加機能のアップデートにより、Spotify、System Audio その他のソースからのオーディオが壊れる問題を解決するとともにメモリリークの問題も修正したことがある。それ以外にもいくつかメモリリークが塞がれ、また Airfoil Video Player でビデオが裂ける問題も直された。このバージョンでは .dvdmedia パッケージその他 VIDEO_TS フォルダを含むファイルコンテナのサポートも追加された。 修正点や変更点の完全なリストはこちらにある。($25、無料アップデート、11.1 MB)

Airfoil 4.0.1 へのコメントリンク:

Transmit 4.1.5 -- Panic の Transmit を使っていて Amazon S3 サービスから取り込んだファイルを編集するとファイルのアクセス権が変わってしまう問題に気付いた人は、バージョン 4.1.5 リリースを入手すればこのちょっとした間違いが修正されている。今回のアップデートではそれ以外の変更点はほんの少し、Automator との互換性改善、Transmit ディスクでの何らかの問題と、「ある種の SFTP サーバでリストがクラッシュする可能性」の解消などがある。いや、ちょっと待て、実際それだけで全部だ。このアップデートは同社のサイトからも、Mac App Store からも現在ダウンロードできる。(新規購入 $34、アップグレード $19、無料アップデート、22 MB)

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Opera 11.0.1 -- Opera Software の社名を冠したウェブブラウザに バージョン 11.0.1 がリリースされ,多数の(さあ声を揃えて)「セキュリティと安定性の強化」が施された。この言い古された語句は他の開発者にも使われているけれど、Opera は実際にそれら 強化点のリストを具体的に提供している。ただし、それほど興奮するようなものは一つもなく、リリースノートの最初の項目として挙げられているのは「W3C DOM3 DOMStringList Interface における window.DOMStringList オブジェクトのサポート実装」だそうだ。ただ、もしもあなたが Opera で何か特定の問題を経験しているのなら、ひょっとしたら今回のリリースでそれが解決しているかもしれない。(無料、13.2 MB)

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iTunes 10.1.2 -- Apple が iTunes 10.1.2 をリリースした。この 2 月に顧客の手に登場する予定となっている Verizon iPhone (2011 年 1 月 11 日の記事“Verizon Wireless、モバイルホットスポットが付いた iPhone 4 を得る”参照) など、CDMA iPhone に対するサポートを追加している。Apple の伝統に従い、このアップデートは具体的内容を明示せず「重要な安定性とパフォーマンスの改善」があるとだけ発表された。このアップデートは Apple のサイトから、またソフトウェア・アップデートからもダウンロードできる。(無料、93.1 MB)

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Drive Genius 3.1 -- Prosoft Engineering が、同社のディスク修復ユーティリティ Drive Genius のバージョン 3.1 をリリースした。今回のアップデートでは、ディスクの断片化解消ユーティリティを改訂して、DVD や別のハードディスクからブートし直さなくてもシステムボリュームのデフラグ作業ができるようになった。その代わり、ユーザーは単に Drive Genius をアプリケーションとしてインストールしてから走らせるだけでよい。($99、無料アップデート、18 MB)

Drive Genius 3.1 へのコメントリンク:

Mellel 2.8 -- RedleX はイスラエルに本社を置く開発者で、人気のワードプロセッサ Mellel を開発している。今回のバージョン 2.8 では価格を値下げするとともに、新機能も盛り込んだと発表した。どんな新バージョンにも もたらされる修正はさておき、Mellel 2.8 には二つの新機能が加わった。ソート機能と、変更点の追跡機能だ。ソート機能を使えば単語、段落、セクション、表の中のセル、その他によって並べ替えることができる。また、このプログラムは二次的項目についての並べ替えもでき、冠詞などの一般的な単語や、括弧に囲まれたテキストなどを無視した並べ替えもできる。変更点の追跡機能の方は書類の初期状態と最終状態を表示でき、変更点を表示したり隠したり、また特定の筆者によって施された変更のみを表示したりすることもできる。ちょっと細かい点だが、一人の筆者が一つの書類を複数の名前の下に編集できるというのも面白い。RedleX は、今回のアップグレードをもって「有料」アップグレードの終わりを宣言するとしている。つまり、今後は、このソフトウェアを 2007 年 12 月末よりも後に購入した登録ユーザーは永久に有効なライセンスを持つことになる。それより以前にソフトウェアを購入したユーザーは、アップグレードを購入して永久ライセンスを手に入れなければならない。RedleX はまた価格も下げた。小売定価は $49 から $39 に値下げされ、教育関係者用価格は $35 から $29 に値下げされた。(新規購入 $39、教育関係者用 $29、無料アップデート、39 MB)

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BBEdit 9.6.3/TextWrangler 3.5.3 -- Bare Bones Software が、同社の旗艦ソフトウェアである HTML およびテキスト用エディタ BBEdit をバージョン 9.6.3 にアップデートした。今回のアップデートはバグ修正のみのためのもので、主な修正点としては、プロジェクトファイルリストで管理されたフォルダからファイルを消去した際に起こることのあったクラッシュや、ある種のルール誤動作に会った場合に CSS フォーマッタで起こっていたクラッシュ、Find Differences コマンドでアクセス権の問題が起こった場合のハングなどの解消がある。また、メモリ消費の問題点や、テキストのフォーマットに関係したバグ、シンタックスカラーリングでのさまざまな誤動作などにも対処が施された。フルのリリースノートは Bare Bones のウェブサイトで読める。BBEdit の弟分である無料の TextWrangler も、ほぼ同様に内部の修正を施されて 3.5.3 リリースとなっている。(BBEdit は無料アップデート、新規購入は $99.99、15.9 MB; TextWrangler は無料、13 MB)

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ExtraBITS、2011 年 1 月 31 日

  文: TidBITS Staff <editorsattidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Macworld Expo に行っている間は世界が止まっているかのように感じられるものだが、もちろん実際にはいろいろのことが起こっていた。App Store が「B」のダウンロードで 100 億 (10 billion) の大台に達し、Verizon Wireless が無制限データプランを提供すると発表し、Facebook がセキュア接続を追加し (想像してみよう!)、それから Apple のセキュリティの将来を論じた Rich Mogull の記事が Macalope コラムで好意的なコメントを得た。

Macworld の神話的野獣は Rich がお好き -- Macworld の伝説の獣、かの Macalope は、Rich Mogull が Mac のセキュリティについて論じた TidBITS 記事(2011 年 1 月 27 日の記事 "Apple's Security Past Defines Its Future" 参照)がお気に入りのようだ。これは私たちにとって名誉なことだが、痴話喧嘩は内輪でやって欲しいものだ。

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Facebook がセキュア接続オプションを追加 -- Facebook が、その設定項目として暗号化接続を常時オンにするオプションを追加した。これで、コーヒーショップの店内 Wi-Fi ホットスポットなど公共ネットワーク上でウェブサイトを利用しても、ログイン後に自分のセッションがハイジャックされる心配をせずに済む。ごく簡単なソフトウェアでも Facebook のセッション識別子を抽出できるが、セキュアな接続ならばその攻撃を無効にすることができる。この機能は、今後二週間程度かけて順次すべてのユーザーに行き渡るはずだ。

コメントリンク: 11921

Verizon Wireless、iPhone に $30 の無制限プランを提供 -- Verizon Wireless は、同社版の iPhone を 2011 年 2 月中にスタートさせるに際して月額 $30 の無制限データプランを提供する。同社の重役の語ったところによれば、これは AT&T が 2010 年 6 月から無制限サービスを廃止した際にも既存の無制限サービスを持った AT&T 顧客に対してはそのサービスが継続されたことと均衡を保つためだという。この重役は、今回の措置は期間限定での提供となるとも述べた。

コメントリンク: 11919

App Store のダウンロード数が 100 億に到達 -- Apple が、App Store からダウンロードされたアプリの数が 100 億本を超えたと発表した。スタートからわずか2年半でこの節目に到達し、しかも昨年一年間だけで 70 億本を数えた。現在 350,000 のアプリが提供されており、そのうち 60,000 は iPad 用ネイティブのものだ。私たちの頭に浮かぶのはただ、Carl Sagan が著書 "Cosmos" の中で宇宙にある星の数を形容して言った言葉、"billions upon billions" (幾億万もの) だけだ。

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