TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1076/09-May-2011

今週のビッグニュースは、Apple が新型 iMac 各機種をリリースしたことだ。Adam が詳しくその内容を伝える。Adam はまた、テキストメッセージが無料で送信できる無料の Textie iOS アプリおよびサービスをレビューし、これと比較して SMS テキストメッセージが高くつくことに対する不満を述べる。それから、「この夏」と言われる Mac OS X Lion のリリース日が近づくのを受け、Rosetta が廃止になるという推測がもし正しければ Lion でサポートされなくなるかもしれない PowerPC アプリケーションに、あなたがどの程度依存しているのかを確かめる方法を Matt Neuburg が説明する。今週注目すべきソフトウェアリリースは Skype 5.1.60.947、MacBook Pro Software Update 1.4 と MacBook Pro EFI Update 2.1、Mac OS X 10.6.7 for iMac (Early 2011) と iMac EFI Update 1.6、Neat Image 7.0、Photoshop CS5 12.0.4、Dreamweaver CS5 11.0.4、そして iOS 4.3.3 と 4.2.8 だ。

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新 iMac に Thunderbolt、FaceTime HD、クアッドコア CPU を装備

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 柳下 知昭 <tyagishi@gmail.com>

Mac 製品群への Thunderbolt I/O テクノロジーの導入が続いている、アップルのリリースした新しい iMac のモデルには、 Thunderbolt、インテルの Core i5, i7 プロセッサ、高速な AMD グラフィックプロセッサ、新しい FaceTime HD カメラが装備された。どちらのモデルも意匠デザインには変更が加えられていない。

これまでは、クアッドコアプロセッサの iMac を入手する方法は、Core i5 か i7 を選択できる 27 インチ iMac を購入するしかなかった。今では、製品ラインナップすべてにクアッドコアプロセッサが行き渡ったことになる、21.5 インチモデルでは、2.5 GHz か 2.7 GHz の i5 クアッドコアプロセッサか、2.8 GHz の i7 クアッドコアプロセッサ ($200 追加となる) をオプションとして、新しい 27 インチモデルでは 2.7 GHz か 3.1 GHz の クアッドコア i5 か3.4 GHz のクアッドコア i7 ($200 追加となる)からの選択となる。

アップルの言うところでは、新しい iMac は、新規の AMD Radeon HD グラフィックプロセッサにより最大 70% 速くなっている。CPU と同様にモデルによって詳細はかわるが、21.5 インチの iMac では、どの CPU を選んだかによりGDDR5 512 MB メモリ付きの AMD Radeon HD 6750M もしくは、同様のメモリの付いた AMD Radeon HD 6770M が用意されている。27 インチ iMac では、GDDR5 512 MB メモリ付き 6770M から始まり、高速な CPU を選択するといきなり GDDR5 1 GB メモリ付きの AMD Radeon HD 6970M になり、カスタマイズオプションを指定することで、$100 の追加で倍の GDDR5 2 GB に変更することもできる。

最近の MacBook Pro モデルと同様に(詳細は、2011 年 2 月 24 日の"Apple、MacBook Pro に Thunderbolt を装備してアップデート"を参照のこと)Thunderbolt ポートが新しい iMac にも装備され、数少ない Thunderbolt 周辺装置との接続とMini DisplayPort 出力として外部ディスプレーへの接続の両方への互換性がある。21.5 インチ iMac は、1 つの Thunderbolt ポートを装備し、27 インチモデルは、2 つ装備している。その他のポートは変更されていない、両方のモデルに 1 つの FireWire 800 ポート、4 つの USB 2.0 ポート、SDXC カードスロット、オーディオ入出力、ギガビットイーサネットが装備されている。iMac が 802.11n Wi-Fi と Bluetooth 2.1+EDR の無線接続をサポートすることも変更されていない。

アップルは、以前の 27 インチモデルで可能であったDisplayPort を入力とした外部モニタとしての使用について言及していないが、MacRumors は、Target Display Mode は、新規モデルでも動作すると書いている、Macworld の Dan Moren によれば、その機能は残るけれども、Thunderbolt を装備した Mac から、Thunderbolt ケーブル経由で接続した場合にのみサポートされるとアップルが認めたとのことだ。 さらに、GigaOM は 、27 インチ iMac は、各 Thunderbolt ポートに 1 つ接続することで、2 つの外部モニタを使用できるとしている。

さらに最近の MacBook Pro と同様に、新しい iMac では iSight カメラが720p までのテレビ電話をサポートする新しい FaceTime カメラに変更されている。私は、この新しいカメラを用いた FaceTime 通話を使用したことはないが、iChat や Skype で使用したとして、通話帯域の制限による品質劣化がどれくらいになるだろうかと思っている。

どちらのモデルも 4 GB のメモリで出荷され、16 GB まで拡張できるが、21.5 インチモデルについては、アップルストアでは、8 GB を(他の場所での支払額のおおよそ倍の) $200 で 拡張するオプションだけを提供している。アップルストアは、27 インチモデルについては、8 GB と 16 GB への拡張をオプションとして提供しているが、後者では、他のメモリベンダのおおよそ4 倍である $600 まではねあがる。

廉価版の 21.5 インチモデルは、500GB のハードディスクが標準で装備されて出荷され、注文の際にアップグレードすることができない。もう少し高額な 21.5 インチモデルと 27 インチモデルには、1TB ハードディスクを始めとする様々な代替ストレージを選択することができる、詳細は、以下を参照のこと。どのモデルでも 8 倍速( 2 層記録時は 4 倍速)のスーパードライブが装備されている。

アップルが登場予定の Mac OS X Lion でマルチタッチジェスチャーに重点を置いているおかげで、iMac と同時に、有線の Apple Mouse や、ワイヤレスの Magic Mouse、ワイヤレスの Magic Trackpad を購入することができる。$69 を追加することで、Magic Mouse と Magic Trackpad の両方を購入し、人生の中でたくさんの Magic に触れることができようになる。デフォルトの Apple Wireless Keyboard についても、テンキーが欲しかったりバッテリーと関わりたくないならば、有線の Apple Keyboard を代わりに選択することもできる。

廉価である 21.5 インチ iMac の価格は、$1,199 からスタートし、上級機である 27 インチ iMac では、基本構成で $1,999 からの価格帯に上昇するが、全てを装備した 27 インチ iMac の価格は、$3,700 を越える。アップルは、新しい iMac は、すでに発売中としている。

通常のアップルのパフォーマンスに関連したモデルのアップデートと同様に新しい iMac では、より速くなり、多くの機能が装備されたものが基本的に以前と同様の価格となっている。27 インチモデルが Thunderbolt 以外で 外部ディスプレーとして動作しなくなったことは少し残念であり、アップルストアで 21.5 インチモデルについて 8 GB のアップグレードしか用意されていないことは少し奇妙であるが、それらのどちらも重要な問題ではない。

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Lion に備える: お持ちの PowerPC アプリケーションを見つけよう

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac の開発の歴史は、植物が育って枝を伸ばして花や葉をつける様子に例えることができない。むしろ、いくつかの輪ゴムが次々に引き伸ばされて限界まで広げられ、ついにパチンと切れてしまう様子に似ている。まず 68000 プロセッサが見捨てられ、すべての 68K プロセッサファミリーが PowerPC を搭載した Mac に取って代わられた。パチン! それから Mac OS X が登場し、そのため Classic エミュレータ内部で正しく動作できた幸運なものを除くすべてのアプリケーションが書き換えを余儀なくされた。パチン! その後 Mac が Intel プロセッサに依存するようになるにつれて、Classic のサポートも見捨てられた。パチン!

そして今や、PowerPC が Rosetta を使ってエミュレートされている。初めての Intel 専用版の Mac OS X である Snow Leopard においては、Rosetta はもはやデフォルトでインストールされていない。PowerPC アプリケーションが初めて起動された際には自動的にダウンロードされてインストールされるのであるが、不吉な知らせは既にはっきりと壁に書かれていた。今や猛獣の吠え声のごとく響き渡っている噂によれば、来たるべき Mac OS X Lion は Rosetta をサポートしないという。パチン!

Lion が最終形に達する日がやって来ても、あなたの Mac に何も悪いことは訪れない。あなたが現在持っているハードウェアが突然起動しなくなることもなければ、あなたが現在持っているシステムが動作を止めることもない。あなたがお気に入りのアプリケーションは、まだまだあなたのお気に入りであり続ける。でも仮に、これは単なる議論のために言うに過ぎないのだけれど、もしもあなたが Lion にアップグレードしたいと思ったとすればどうなるだろうか? そしてまた、これも議論のためのさらなる前提だけれど、Lion に Rosetta がなかったとすればどうなるだろうか? あなたにとって、Rosetta がなくなることは、何を意味するのだろう?

それを知るために、あなたが現在どんな PowerPC 専用アプリケーションに依存しているかを調べる必要がある。そのための最も簡単な方法が、システムプロファイラだ。このアプリケーションは、あなたの /Application/Utilities フォルダの中に置かれているけれど、ショートカットがある: Apple メニューから「この Mac について」を選び、システムとハードウェアを説明したダイアログが出たら「詳しい情報」ボタンをクリックすればシステムプロファイラが走る。さらに手早く、Apple メニューを Option-クリックして直接「システムプロファイラ」項目を選ぶこともできる。

システムプロファイラは情報を三つのカテゴリーに分けてウィンドウ右側のパネルに表示する。カテゴリーはハードウェア、ネットワーク、ソフトウェアの三つで、それぞれ下に項目がリストされている。最も詳しいカテゴリー内容の表示をさせるためには、表示 > 詳細プロファイル を選んでおく。そこで、ソフトウェアのカテゴリー(必要ならば三角形をクリックしてその内容を展開させておく)の中にある項目「アプリケーション」をクリックする。

さて、ここであの素晴らしく便利なエスプレッソメーカー Pavoni Napolitana で、美味しいコーヒーを一杯作るとしよう。なぜなら、ウィンドウに何か現われるまでしばらく時間がかかるからだ。システムプロファイラは今、マウントされたすべてのハードディスクを隅から隅まで調べて、アプリケーションをすべて探し出そうとしているからだ。もしもあなたが私と同じタイプの人なら、(巨大サイズのディスクに多数のアプリケーションがあって)長い時間がかかるだろう。システムプロファイラがようやく仕事を終えれば、あなたの持っているアプリケーションが、それぞれの情報を示したいくつかのカラムとともに、リストされているだろう。今あなたが最も関心を持っているカラムは「種類」だ。(結果を見やすくしたいと思えば、この「種類」カラムを「アプリケーション名」カラムの左側へドラッグして動かすこともできる。)ここには、四つの種類のどれかが示されている:

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システムプロファイラの表示するアプリケーションのリストは非常に長くて扱いにくいかもしれない。もう少し扱いやすくする一つの方法は、リストを並べ替えることだ。カラムの一番上にある「種類」というヘッダ部分をクリックしてみよう。これで、PowerPC アプリケーションが一まとまりに、アルファベット順で並ぶようになる。もしこの情報をあとで手軽に検索できるようにしたいと思えば、このリストの一部をコピーしてテキストファイルとして取り出せばよい。リストを「種類」の順に並べ替えておき、最初の PowerPC アプリケーションをクリックして選択してから、下へスクロールして最後のものを Shift-クリックすれば、両者の間にあるすべての PowerPC アプリケーションが選択される。そこで、システムプロファイラウィンドウの一番下にある説明パネルの部分をクリックしてから Command-A を押してそのパネルにあるテキストすべてを選択し、それをコピーして、あなたのお好きなテキストエディタに移り、そちらにペーストする。

もしもあなたが私と同じタイプの人なら、先に進む道が思ったほど暗くはないことに気付かれるだろう。私は PowerPC アプリケーションをとてもたくさん持っているけれど、その大多数はもう何年も私が一度も使ったことのないものばかりだ。ここで、私の状況をごく簡単にまとめてみよう:

私のマシン上では、深刻な問題は今挙げたもので全部だ。私のマシンにあるそれ以外の PowerPC アプリケーションは、大多数が名前に見覚えもないようなものばかりだ。その昔に私が一時期楽しんで遊んでいたゲームもいくつかあるが、まあそういうものはなくてもそれほど困らないと思う。いずれにしても、その類いのゲームは iPad で遊んだ方がずっと楽しい。

当然のことだが、人によって状況はそれぞれさまざまだろう。Microsoft Office 2004 が深刻な障害となるという人はきっと多いに違いない。そういう人たちにとって、Office 2008 に切り替えるのは Visual Basic を手放すことを意味するし、Office 2011 に切り替えるのは古き良き使い勝手をすべて失うことを意味するからだ。(私がメールプログラムとしての Office から抜け出た顛末については、2010 年 10 月 26 日の記事“Outlook 2011 から脱出する!”を参照。)

きっとこの記事は、一連のシリーズ記事の中の一つに過ぎなくなるだろう。多くの TidBITS 編集者たちが、それぞれの流儀で Lion 互換性への準備を語り始めることになるだろうからだ。その、運命の日を待ちながら、私はこんなことを考えて自らを慰めている。もしも本当に必要となれば、私は Snow Leopard で起動できる Intel ベース Mac を持っているのだし、Leopard で起動して Classic 環境を使うことのできる PowerPC ベース Mac も持っている。その上、もっと古いマシンで Mac OS 9 で起動できるものさえ二台もある(し、いざとなれば SheepShaver もある。)Lion の吠え声なんか、怖くないさ!

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Textie、iOS で SMS テキストメッセージに代わるものを無料提供

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は、比較的少額の出費であるにもかかわらずそれが割に合わないとやたらに気にする人が多い(私自身もその傾向がある)類いのことに、いつも非常な興味をかき立てられる。中でも苛立たしい気持ちになる実例の一つが、SMS テキストメッセージだ。160 文字までと決まっているこのメッセージは、キャリアにとって文字通りほとんどゼロのコストしかかからないにもかかわらず、途方もなく高い料金が課されているので、"nickeled and dimed" (少しずつ出費させて搾り取られる) という慣用句の新しい意味なんじゃないかと思えるほどだ。ある研究者に至ってはハッブル宇宙望遠鏡 (Hubble Space Telescope) との通信の方がずっと安いことを計算ではじき出したし、また 4 MB の MP3 を SMS 経由で送信すると $6000 近くかかると 計算で出した記事もある

もちろん、あなたが何百何千というテキストメッセージを打って親指にたこを作っているような人なら、おそらくコストは問題にならないだろう。そういう人たちは無制限テキストメッセージプランの定額料金を喜んで毎月払っているだろうからだ。(セルラーキャリアは、それでも結構な量の収益を上げているのだろう。)

いや、iPhone が鳴って新着テキストメッセージを知らせる度に震え上がる思いをしている人たちとは、私のように、ごくたまにしかテキストメッセージングを利用せず、そのためテキストメッセージの最も少量のバンドル契約でさえ料金的に割に合わないようなタイプの人たちだ。

(AT&T では、SMS または MMS メッセージ 1000 件までで月額 $10、無制限で月額 $20、家族全体が無制限で月額 $30 というバンドル価格になっている。Verizon Wireless では SMS または MMS メッセージ 250 件までで月額 $5、500 件までで月額 $10、5000 件までで月額 $20 となっている。これらのプランを選択しなければ、AT&T では SMS テキストメッセージ一件ごとに $0.20、MMS マルチメディアメッセージ一件ごとに $0.30 が課金され、Verizon では同様にそれぞれ $0.20 と $0.25 となっている。そして忘れてならないのは、課金が送信と受信の _双方_ に対してなされることだ。海外の iPhone ユーザーたちはこれを見て、可哀想なアメリカ人たちよと笑ってしまうことだろう。)

だから、私たちのように、はるかに役に立つ 3G データ通信とほとんど同額の料金をテキストメッセージに毎月支払うなんて我慢できないと思う人たちは、結局みんなメッセージ一件ごとに $0.20 から $0.30 を払わされる羽目になる。支払いの度に、私たちはその一セント一セントごとに出し渋りたい気持ちを抑え切れない。だって、同時に払っている音声通話やデータ通信のメガバイト量はいつも全部使い切るには程遠いところまでしか使っていないのだから。確かに4分の1ドルは大金とは言えないが、キャリアが消費したコストが限りなくゼロに近いことがわかっている上に、私たちが受けた恩恵も同じくらい些細なものだと知っているからこそ、その料金が腹に据えかねる思いがするのだ。

私の計算が正しければ、160 文字 (SMS の使う 7-bit エンコーディングにより 140 バイトとなる) を送信するためにかかるコストは、AT&T の DataPlus プラン (200 MB で $15) に換算すれば $0.00001 となる。(1500 セントを 209715200 バイトで割り、それに 140 バイトを掛け算した後で 100 で割ってドルに換算した結果だ。) つまり、1セントの千分の1となる計算だ! ということは、私たちが SMS メッセージに払っている料金は同じキャリアによるデータ通信に換算したものより 20,000 倍も高いということだ。

誤解しないで欲しい。私は決して技術革新反対論を展開しようとしているわけではない。私はテキストメッセージを送信したり受信したりする _方法_ は十分熟知しているし、Tonya と私はそれぞれの両親を説き伏せて、テキスト通信こそ必須の 21 世紀技術であって、携帯電話の電波が届きにくい地域でさえもテキスト通信ならばうまく届くし、何らかの原因でセルラーネットワークが働かなくなった緊急の場合(2008 年 10 月 6 日の記事“携帯電話ネットワークの内側を見る”参照)にも使える可能性があるのだから、と説明したことさえある。

それでもなお、私が普段からテキストメッセージでやり取りをしている相手は非常に少ない。だから、私は Textie という名前のサービスと iOS アプリの組み合わせを使ってみた。これは、インターネット接続を利用してメッセージを送るというものだ。Textie は無料で、メッセージの間に時折挟み込まれる広告による収入と、それから広告を無くすために $1.99 を支払おうという人たちからの直接収入によって成立している。私は主に Textie を iPhone 上で使っているけれど、これは iPad でも(完全にネイティブなインターフェイスで)動作するし、iPod touch でも動作する。通常、iPad や iPod touch では SMS メッセージングは使えない。

いったん Textie アプリのダウンロードとインストールが済めば、あとセットアップで必要なのはあなたの電子メールアドレスと電話番号を指定することのみだ。Textie は、この情報を使って到着したメッセージをあなたが持っているアプリに転送し、push 通知により(SMS テキストメッセージの場合と同様)あなたにそれを知らせる。(ヒント: 新しい iPhone に買い替えた場合は、もう一度 Textie にサインインし直す必要がある。そうしないと push 通知が受けられない。)誰か別の Textie ユーザーが知らない電話番号ないし電子メールアドレス経由であなたにメッセージを送ってきた場合、Textie はそれでもあなたにメッセージを届けはするが、それは通常の SMS または電子メールによるものとなる。

それが済めば、Textie の使い方は薄気味悪いほど Apple の Messages アプリと似ている。既存の会話をリストするメインのスクリーンはほぼ同一で、違いといえば Textie の方では画面の一番下に Settings ボタンと再読み込みボタンがあることくらいだ。Edit ボタンを使えば不要な会話を削除することができ、作成ボタンを使えば新規の会話を始めることができる。メッセージにはテキストを含めることも、そこに画像を添付することもできる。

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会話の中に入れば、両者の見かけは少し違ってくる。Textie の方は Messages と違い、三種類の異なった文字サイズや吹き出しの背景色が選べ、Textie の Appearance 設定で選ぶようになっている。それにもちろん、Textie の方は広告もあるが、広告はメッセージの間にカスタムデザインで混ぜ込まれるようになっているので私は別に邪魔に感じない。これが邪魔だと感じたなら、アプリ内支払いで $1.99 を払えば広告がなくなる。Textie は Messages アプリと同様の働きをする Call および Contact Info のボタンを画面の上部に持ち、さらに Load Older Messages ボタンもあってこれを使えば Textie のローカルデータベースの中から古いメッセージを呼び出すことができる。ワイドスクリーンの iPad インターフェイスでも小さな iPhone でも、個々のメッセージの上でスワイプすればそのメッセージが削除される。その様子を iPad のスクリーンショットで示しておいた。

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Textie の設定では、push 通知の画面でメッセージをプレビューする機能をオフにすることもできる。(そうすれば電話機のロックを外さずに他の人がメッセージを読むことができなくなる。)また、追加情報として送信者の認証アドレスを表示するように設定することもできる。たいていの人はメッセージの中で自己紹介などしないので、知らない電話番号からの SMS メッセージを受け取りたくないと私は思う。また、メッセージサウンドのオン・オフを切り替えることもできる。

Textie の Social Networking 設定には、一つ素敵な機能がある。あなたの友人のうち誰が既に Textie を使っているかを見分けることができるのだ。この機能の動作方法は非常に巧妙で、他の多くのサービスがあなたのアドレスブックを丸ごと読み込んでいるのに比べてずっとうまく動作する。まず第一に、Textie は Contacts からすべての電子メールアドレスを読み込んで暗号化する。これは一方向ハッシュなので逆進はできない。(プライバシー保護のためだ。)それから、その暗号化されたアドレスを Textie サーバ上にあるすべてのユーザーの同様に暗号化されたアドレスと比較し、Textie ユーザーのアドレスとマッチするアドレスのみのリストを Contacts から呼び出して表示する。

電子メールアドレスを持っている人ならば、世界中の誰とでも Textie を使ってメッセージを送信したり受信したりできる。また、Textie を使って米国の多くの携帯電話番号あてにテキストメッセージを送信することができる。(現在のところ、Textie は Sprint や T-Mobile には対応していない。)どうやら、海外の携帯電話キャリアは一般に、Textie が米国内で依存している電子メールゲートウェイを備えていないようだ。

電子メールの場合、Textie はあなたの "sending as" アドレスからメッセージを発送するようだが、その Reply-To ヘッダは返信が Textie を通して返ってくるように設定される。普通の携帯電話あての Textie メッセージも同様で、それに対する返信がどこそこの電話番号から来ているように見えていても、実は Textie を通じて返ってくる。(電話番号にはその人の名前も一緒に表示されるので、受け取った人は誰から届いたメッセージなのかがわかる。)誰かが初めて Textie ユーザーから携帯電話テキストメッセージを受け取る際には、受け取った人が混乱させられることのないように Textie とは何かという説明の文章が付く。同じ番号にあてた二通目以後のメッセージに説明文は付かない。

全体として見れば、Tonya と私は Textie がとても使いやすく、完全に信頼できるという印象を受けた。ただし予想されたことだが、一つだけ問題があった。最近 Boulder に旅行していた際、私は早起きしてあの有名な Magnolia Road を走りに出かけた。iPhone の電波受信状態が良くないことはわかっていたし、15 マイル (24 km) を走る間ずっと身に着けているのも気が進まなかったけれど、私がいつ走り出したかを Tonya に知らせて、万一私が予想される時刻になっても戻らなければ彼女が犬を出動させられるようにしておく必要があった。

正気とは思えないほど急な登りのジグザグ道を登り切って標高 8000 フィート (2400 m) のスタート地点に到着してみると、私の iPhone は必死で受信感度バーを1本に保とうと苦闘しているところだった。Textie を使って Tonya に走り始めるよというメッセージを送ろうと試みたが、うまく行かなかった。Textie は喜んで私にメッセージの再送信をさせてくれたけれど、そもそもこれは SMS ネットワークでなくインターネット接続に依存して動作するものなので、データ信号の届かないこんな場所では使える望みがなかった。

そこで私は Messages アプリに切り替えて、Tonya に SMS テキストメッセージを送った。$0.40 の出費だ。(送信に $0.20、彼女が受信するのに $0.20 かかる。) それから私は走り始めた。走り終えた際にも私はもう一度同じ手順を繰り返した。その後彼女から返事が届いて、私たちの出費は合計で $1.20 となった。送信したバイト数はおそらく 400 バイト以下で、単語数は今書いているこの文よりも少なかったろう。

Textie があれば、これら三度のメッセージ送信・受信の費用は $0.00012 だったかもしれない。(Textie のメッセージは SMS メッセージほど小さくはないが、サーバ側での圧縮や、その他メッセージ関係のコミュニケーションを考えれば、いずれにしてもあまりにも小さくて開発者たちもわざわざチェックしようと思わなかったほどだ。)あるいは、私たちの AT&T ファミリープランでは AT&T ネットワーク内の携帯電話から携帯電話への通話が無料で、あらかじめ設定したリストにある電話番号には無料の無制限通話ができるので、仮に音声通話が可能だったならば、2時間走っていた間ずっと Tonya や他の人と電話で話し続けることさえ可能だったろう。

もちろん、$1.20 は大した金額ではない。ただ、Textie を使った場合の $0.00012 と比べればその差が気になるというだけだ。私たち二人が一月あたりたった 50 通の普通の SMS テキストメッセージを送・受信したとすれば、それだけで AT&T の 1000 メッセージバンドルの月額 $10 に見合ってしまう。二人で毎年 $240 払うというわけだ。私に言わせれば、$240 は相当な金額だ。ことに、同じ 1200 通のテキストメッセージが Textie でならば $0.14 しかかからない(あるいは、その中に 3G データでなく Wi-Fi を使って送るものもあればさらに安くなる)ことと比べてみれば、やはり黙ってはいられない。

SMS では $240、Textie では 14 セント。私ならどう見ても Textie を選ぶ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 5 月 9 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Skype 5.1.60.947 -- Skype が Skype 5.1.60.947 をリリースし、インスタントメッセージ経由で悪意あるファイルを受け取ることに関係した重大な脆弱性一件を塞いだ。また、パケットロスの多いネットワークでビデオがフリーズする問題が解消され、その他にもマイナーなバグがいくつか修正された。残念ながら Skype 5 で導入された酷いデザインはそのまま残されているが、幸いにもまだちゃんと機能する Skype 2.8 では Skype 5 に見られたセキュリティの問題は起こらないので、Skype 5.1.60.947 にアップグレードすることも、また Skype 2.8 を使い続ける(あるいはダウングレードする)こともできる。今回のアップデートについては、手動でダウンロードすることをお勧めする。私が Skype > Check for Updates を選んだ際には自動アップデータがうまく動作しなかった。(無料、20.2 MB)

Skype 5.1.60.947 へのコメントリンク:

MacBook Pro Software Update 1.4 と MacBook Pro EFI Update 2.1 -- Apple が最近の機種の MacBook に対するアップデートを二つリリースした。それぞれ、いくつかの安定性や信頼性の問題点に対処を施している。MacBook Pro ソフトウェア・アップデート 1.4 の施す変更により、グラフィックスレンダリングと外部ディスプレイのサポートでの信頼性が改善され、Thunderbolt デバイスのサポートが向上する。MacBook Pro EFI ファームウェア・アップデート 2.1 も同じような目的を持っているようだが、こちらでは Boot Camp の Turbo Mode に関する問題も解消される。いつものファームウェアアップデートと同じく、インストールの最中には MacBook Pro で別の操作をしたり電源を切ったりしてはいけない。それをすると Mac が機能不能の状態に陥ることがあるからだ。いずれのアップデートも、ソフトウェア・アップデートから、または Apple のウェブサイトにおけるそれぞれのページからもダウンロードしインストールできる。(無料、それぞれ 132.69 MB と 3.06 MB)

MacBook Pro Software Update 1.4 と MacBook Pro EFI Update 2.1 へのコメントリンク:

Mac OS X 10.6.7 for iMac (Early 2011) と iMac EFI Update 1.6 -- 出されたばかりの新機種 iMac (2011 年 5 月 3 日の記事“新 iMac に Thunderbolt、FaceTime HD、クアッドコア CPU を装備”参照) に対し、Apple は二つの iMac 特定のアップデートを出して、いくつかのアプリケーションやインターフェイス、ことに Thunderbolt に関係した安定性の問題点に対処を施した。Mac OS X 10.6.7 アップデート for iMac(Early 2011)1.0 は、Back to My Mac (どこでも My Mac)、App Store、FaceTime における信頼性を改善し、Windows ファイル共有、グラフィックスとビデオ表示、新しい Thunderbolt インターフェイスにおける問題点を修正している。iMac EFI ファームウェア・アップデート 1.6 の方は Thunderbolt を主なターゲットとしているようで、リリースノートはそれ以外の変更点に触れていない。けれども Other World Computing の記事によれば、この EFI アップデートで二基の内蔵ドライブベイが 6 Gbps SATA 3.0 機能をフルに使えるようになっているという。ただし光学ベイは 3 Gbps のままだ。いつものファームウェアアップデートと同じく、インストールの最中には MacBook Pro で別の操作をしたり電源を切ったりしてはいけない。それをすると Mac が機能不能の状態に陥ることがあるからだ。いずれのアップデートも、ソフトウェア・アップデートから、または Apple のウェブサイトにおけるそれぞれのページからもダウンロードしインストールできる。(無料、それぞれ 382.56 MB と 6.1 MB)

Mac OS X 10.6.7 for iMac (Early 2011) と iMac EFI Update 1.6 へのコメントリンク:

Neat Image 7.0 -- ABSoft が Neat Image 7.0 をリリースした。同社のノイズ削減ソフトウェアの新たなメジャーバージョンだ。今回のバージョンでは、あらゆる Mac で内蔵 GPU を利用するようになったことが特筆すべき点であり、 同社によればそのような機能を持つアプリはこれが最初だという。さらに、Pro 版では今回からチャンネルごとに 32 bit をサポートするようになり、これは HDR 写真術において理想的な機能となる。Neat Image は 独立のアプリとしても、また Photoshop や Aperture 用のプラグインとしても入手可能で、それぞれ Home 版と Pro 版がある。Pro 版はより高度な機能を持ち、ピクセルごとにより多くのビットを持つ写真を処理できる。(新規購入 $39.90 - $79.90、v6 からは無料アップデート、10 MB)

Neat Image 7.0 へのコメントリンク:

Photoshop CS5 12.0.4 -- Adobe が、人気の画像編集アプリ Photoshop CS5 へのアップデートをリリースした。 Adobe Photoshop 12.0.4 Update はいくつかのセキュリティの問題の可能性に対処するとともに、Sharpen や Quick Selection などいくつかのフィルタにおけるクラッシュを修正している。けれども今回のビッグニュースは Remote Connections のお目見えだ。これは、外部のモバイルアプリから Photoshop に接続してコミュニケーションできるという新機能で、Adobe 自身も「将来」いくつかの iPad 用アプリを App Store 経由でリリースすることを計画しているという。(無料アップデート、19.7 MB)

Photoshop CS5 12.0.4 へのコメントリンク:

Dreamweaver CS5 11.0.4 -- Adobe が、ウェブ開発ツール Dreamweaver CS5 にマイナーなアップデートをリリースした。 Dreamweaver CS5 11.0.4 Updaterでは、同社のウェブベースのクロス・ブラウザ・テスト用アプリ BrowserLab の最新版で Dreamweaver が動作できるようにするために必要な新しいコードが提供される。また、SFTP プロトコルに関係した深刻なバグ一件の修正と、これまでの 11.0.2 および 11.0.3 アップデートに含まれた拡張機能も今回のパッチには含まれている。(無料アップデート、14.12 MB)

Dreamweaver CS5 11.0.4 へのコメントリンク:

iOS 4.3.3 と 4.2.8 -- モバイル機器が位置情報データを収集し保存する方法を巡る最近の騒動(2011 年 4 月 27 日の記事“Apple、位置情報に関する論争の問題に応える”参照)に応えて、Apple が公約通りに iOS へのアップデートをリリースした。このアップデートにより、オペレーティングシステムが収集しキャッシュする位置情報のデータが制限される。今回の新リリースには二つのバージョンがあり、 iOS 4.2.8 は Verizon Wireless のネットワークで動作する CDMA 版の iPhone 専用であり、iOS 4.3.3 はその他すべての iOS 互換機器用で、ここには GSM 版の iPhone 3GS および iPhone 4、iPad および iPad 2、それに第三世代と第四世代の iPod touch も含まれる。(iOS 3 でしか動作しない古い機器には同じ問題は起こり得ない。)アップデートを施せば、その iOS 機器では従来よりも短い位置情報履歴のみが保存されるようになり、また iTunes を用いて機器を同期させた際にそのデータはコンピュータにバックアップされなくなる。さらに、位置情報サービスが無効になっている場合は機器が位置情報を一切収集しなくなる。今回のアップデートは iTunes 経由でインストールされる。(無料)

iOS 4.3.3 と 4.2.8 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2011 年 5 月 9 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TidBITS にも載った先週のニュース、新型 iMac と、セキュリティ関係の二つの話題について、Adam が二つのオンライン番組に登場した。MacBreak Weekly と Tech Night Owl Live だ。それから、これは録画番組だが、Tonya が Your Mac Podcast Now のビデオ論説に登場した。

Adam、有名人勢揃いの MacBreak Weekly に出演 -- Leo Laporte と Andy Ihnatko が登場する MacBreak Weekly はいつも有益かつ楽しい番組を届けてくれるが、今回は Adam と、Macworld の Chris Breen、それに Daring Fireball の John Gruber まで揃ったパネルディスカッションで、これはまさに録音ブックとなるべきものと言える。議論の内容は素晴らしく、新型 iMac、先週判明したセキュリティのニュース、位置情報のスキャンダル、ホワイト iPhone 4 の厚みの問題、来たるべき Apple のクラウドベースのサービスでどんなことが期待できるか、といったことが語られた。

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Tonya、ギークの世代間ギャップを語る -- Tonya Engst が先週 "Your Mac Podcast Now" ポッドキャスト番組にビデオ論説ゲストとして出演した。番組は最近のニュース概観から始まり、その後 (3:30 あたりで) Tonya が登場する。彼女はギークの世代間ギャップについて、さらに近い将来に重要な変化が起こると考えていることについて語った。

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Adam、Tech Night Owl Live でセキュリティを語る -- Weyland-Yutani "crimekit" と MACDefender「スケアウェア」に関する先週のセキュリティ関係ニュースについてもっと知りたいという人は、この Tech Night Owl Live ポッドキャストで Adam が Gene Steinberg と対談しているのでどうぞ。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2011 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2011年 5月 14日 土曜日, S. HOSOKAWA