TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1086/25-Jul-2011

Mac OS X 10.7 Lion が登場した。そして、Apple はこの機会を利用して新型の MacBook Air および Mac mini 各機種をリリースするとともに、新しい Thunderbolt Display と、多数のソフトウェアアップデートもリリースした。今週号の大部分は Lion と、Apple の新しいハードウェアに関する記事だが、Apple の記録破りの 2011 年第3四半期業績を紹介した Michael Cohen の記事と、iOS セキュリティアップデートについての短いお知らせもある。以上の基本を踏まえてさらに踏み込んだ記事もあり、まずは Glenn Fleishman がどの Mac 機種で AirDrop が動作するかを報告し、続いて Adam が Lion で隠されてしまった Library フォルダにどう対処すべきか説明し、最後にスタッフ全員の協力で Lion のお薦め隠し機能を紹介する。もちろん、Lion についてさらにもっと詳しいことは、"Take Control of Upgrading to Lion" および "Take Control of Using Lion" の二冊の電子ブックに、合わせて 300 ページ以上にも及ぶ必須のヒント、トリック、アドバイスが満載されている。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Safari 5.1 と 5.0.6、Windows Migration Assistant for OS X Lion 1.0、Server Admin Tools 10.7、iTunes 10.4、Java for OS X Lion、iWork 9.1、Apple Remote Desktop 3.5 Admin、SuperDuper 2.6.4、Things 1.5.0、MenuMeters 1.5、Cyberduck 4.1、Sparrow 1.3.1、Fantastical 1.0.3、それに SpamSieve 2.8.6 だ。

記事:

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Mac OS X Lion が Mac App Store から入手可能

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちメディアにいる者にとって、特にこれと関係した本 ("Take Control of Upgrading to Lion" と "Take Control of Using Lion") を出している者にとって、先週 Mac OS X 10.7 Lion がリリースされたことは、Apple がいつ新しいオペレーティングシステムを公にリリースするのか、と議論し、推測し合った何ヵ月もの期間の終わりを意味していた。

さて、その日はやって来た。 今や、Lion が Mac App Store のメインスクリーンに鎮座している。現在のところ、Lion の入手はこの Mac App Store が唯一の道で、価格は $29.99 だ。ブロードバンドのアクセスのない人たち、あるいはブロードバンドに上限があって 3.76 GB のファイルがダウンロードできない人たちは、Apple リテール店の店頭で Lion をダウンロードできる。(他に高速のインターネットアクセスが得られる場所があれば、そこからでもできる。2011 年 7 月 5 日の記事“Lion はダウンロードにどれぐらいかかる?”参照。)他の国々のユーザーからも、Lion がその国の Mac App Store に登場しているという報告が届いている。

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もしあなたにダウンロードの選択肢がどれも使えないとしても、それでも方法はある。ただ、その場合はあと数週間待たなければならない。8 月に、Apple は USB サムドライブに載せた Lion を Apple Store 経由で $69 で販売し始めるという。Apple がこの選択肢をもっと早く発表できなかったのは残念なことだ。もしこれがもっと早く発表されていれば、多くの Mac ユーザーたちがこれほど気を揉まずに済んだであろうに。

Lion を Mac OS X 10.6 Snow Leopard の上にインストールするのは簡単なようだが、それでも私たちとしてはアップグレードの際に用心深く行動することをお勧めしたい。電子ブック "Take Control of Upgrading to Lion" の中で、Joe Kissell はまず最初にソフトウェア・アップデートを走らせて最新のアップデートがすべてインストール済みであるようにして(2011 年 7 月 19 日の記事“Lion アップグレードの前に移行アシスタントをアップデートしよう”参照)から、アップグレードの前に複製を作成してインストールの最中に何かひどくおかしなことが起こった場合に備え、それから Rosetta に依存するソフトウェアについてはそれらがまだ Snow Leopard 下で動作するうちにきちんと変換その他の対処をしておく、といった準備を強く勧めている。例えば、Quicken に保存してある財務資料や、Eudora に保存してある電子メールなどはすべて変換する必要があるが、変換ツールの中にはそれ自身 Rosetta に依存して動くものもあるので、Lion にアップグレードした後ではもう機能しないからだ。

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新刊 Take Control 本で Lion にアップデートして Lion を学ぼう

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

何だかはるか昔のような気がするが(実際にはおよそ三週間前)私たちは Joe Kissell の "Take Control of Upgrading to Lion" を、その内容のうち守秘義務契約に触れない部分だけリリースすると発表した。(2011 年 6 月 30 日の記事“新刊 Take Control 電子ブックで Lion に備えよう”参照。)それと同時に、私たちは Matt Neuburg の "Take Control of Using Lion" についても予約注文の受付を開始した。(その後今までの間に購入して下さった方々には、無料アップデートを入手する方法を説明した電子メールが私たちから届いているはずだ。届いていなければ、あなたの Take Control Library ページで確認して頂きたい。)

さて、この大型の猫科動物が(諺に言う通り)袋から飛び出した今、その二冊の電子ブックがともにフル版でリリースされたことを、お知らせできるのが嬉しい。二冊とも既に入手可能で、合計すれば 300 ページ以上にもわたり Lion を手なずけるための情報が満載だ! いずれの本も独立に一冊 $15 で購入できるが、これらは合わせて読むことでアップグレードを成功させ Lion の新機能を使い始められるよう考えられているので、両方合わせて購入すれば 20 パーセント割引とさせて頂く。(定価の $30 が、$24 になる。)もう少し詳しく内容を見ていこう。

Take Control of Upgrading to Lion -- 先に進むことのできる正しいソフトウェアとハードウェアがあるのか、またもしうまく行かなかった場合に備えていつでもそこに戻れるようバックアップが作ってあるか、そういったことをきちんと確認せずにメジャーな OS アップグレードに飛び込むのは無謀以外の何ものでもない。ここはベストセラーの著者 Joe Kissell と一緒に、アップグレード前に必要なチェックをしたり、バックアップについて熟練者のアドバイスを聞いたりし、また使い道のないガラクタを片付けてフレッシュな状態で Lion を使い始められるようにする方法の提案も聞こう。"Take Control of Upgrading to Lion" で特に扱われる内容としては、次のようなものがある:

Take Control of Using Lion -- 著者の Matt Neuburg は "Take Control of Using Lion" で、Lion の重要な新機能に深く踏み込むとともに、従来からの機能やサードパーティの選択肢で以前よりうまく働くようになるかもしれないものについても解説する。いずれも、読者の皆さんが Lion の利点を理解し、新しい操作習慣を学び、アップグレード後はスムーズに仕事に戻れるように手助けしたいという目標のために書かれたものだ。扱われる主な話題としては次のようなものがある:

"Take Control of Using Lion" はその他にも Lion についてたくさんの重要な疑問に答える。例えば:

とりあえず今はこのくらいだ。でも、私たちはまだまだ Lion についての新たな本を準備中なのでご安心を。新刊書もあるし、既存のタイトルのアップデート版もある。どうぞお楽しみに!

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Lion アップグレードの前に移行アシスタントをアップデートしよう

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

皆さんお静かに!(Stop the presses!) いやちょっと待て! 我々は印刷機 (press) なんか持っていないぞ! それは良かった。なぜなら、Apple はつい先日、Snow Leopard 用に移行アシスタントをリリースしたからだ。リリースノートの説明は素っ気ないが、このアップデートが無かった場合は相当に不愉快なことになったであろうことを考えれば背筋が寒くなる:

このアップデートにより、Mac OS X Snow Leopard の“移行アシスタント”アプリケーションの問題が修正されます。Mac OS X Snow Leopard を実行している Mac から、Mac OS X Lion を実行している新しい Mac に、個人データ、設定、および互換性のあるアプリケーションを転送できるようになります。

そのバグがどの程度広く行き渡っていたのかははっきりしない(Joe Kissell の電子ブック "Take Control of Upgrading to Lion" のためにテストをしている最中私たちは移行での問題に遭遇しなかった)し、Apple の発表からはそのバグが現われるのは 新しい Mac が Lion を走らせている場合のみだとも読み取れるが、いずれにしても Lion にアップデートするより 前に ソフトウェア・アップデート経由または Apple Support Downloads ページから(そこでのダウンロードサイズは 714 KB となっている)このアップデートを入手しておくことをお勧めする。そして、もしあなたが Lion のプリインストールされた新しい Mac を購入してそこに Snow Leopard の走るあなたの Mac からデータを移行させるつもりなら、まず最初に、この移行アシスタントのアップデートを絶対にダウンロードしておくべきだ。

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Mac Mini に高速な CPU と Thunderbolt を追加し、光学ドライブを省略

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 柳下 知昭 <tyagishi@gmail.com>

Mac OS X 10.7 Lion のリリースにあわせて、アップルは、Mac mini もアップデートし、小さなデスクトップ Mac に新しいプロセッサ、個別のグラフィックプロセッサ、Thunderbolt ポート等を与え、同時に、以前のモデルにはあった光学ドライブを外した。新しい Mac mini の筐体デザインは、以前と同じであり、Lion がプリインストールされて出荷される。

最近の他の Mac よりも多く、 Mac mini は、3 つのずいぶん異なるコンフィグレーションで提供され、これまでよりも何を選択するかの判断がさらに混乱したものとなる。コンフィグレーションは、以下の通り:

ビデオ性能について言うと、新しい Mac mini は、2500x1600 解像度までサポートする Thunderbolt ポートを 1 つと、1920x1200 解像度までサポートする HDMI ポートを 1 つ、HDMI-to-DVI アダプタ経由でのDVI 出力をサポートしている。オーディオについては、Mac mini は、オーディオライン入力ミニジャックとオーディオライン出力/ヘッドフォンミニジャックを備え、Apple iPhone マイク付きステレオヘッドフォンに対応し、内蔵スピーカーも備えている。

標準の拡張ポートとして、1 つの Thunderbolt ポートと HDMI ポート以外にFireWire 800 ポート、4 つの USB 2.0 ポート、1 つの SDXC ポート、ギガビット Ethernet ポートがある。通信機能については、Mac mini は、802.11n Wi-Fi をサポートし、Bluetooth 4.0 をサポートする。Thunderbolt 経由での高速ストレージを必要とする方向けに、アップルは、Promise 社の Pegasus RAID systems と Thunderbolt のケーブルを販売している; 我々が知る限りでは、アップルの新しい Thunderbolt Display を除くとこれまでのところ彼らだけから Thunderbolt 周辺機器が提供される。

Mac mini のコンフィグレーションで光学ドライブを内蔵するものは無いが、USB の MacBook Air SuperDrive を $79 で追加することができる。キーボードとポインティングデバイスも含まれていないため;すでに持っているデバイスを使用することもできるし、新たに購入することもできる。

最近のアップルのハードウェア製品の更新と同様に、新しい Mac mini では、これらの歓迎すべき変更が以前のモデルと同じ価格で提供される、ただ、何人かの人達にとっては、光学ドライブが省かれたことで、苦しまされることがあるかもしれない。アップルが 1 つコンフィグレーションをベースにして様々なオプションを選ばせるのではなく、全く異なるコンフィグレーションを用意したことに、すこし驚いている。

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MacBook Air、より速い CPU、Thunderbolt、バックライトキーボードを得る

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

一連のリリースの一環として、Apple は MacBook Air の次期モデルを出した。これにはより高速のプロセッサ、Thunderbolt ポート、そしてバックライトキーボードが加えられ、そして Mac OS X 10.7 Lion がプリインストールされている。工業デザインの点では、MacBook Air は何も変わっておらず、11-inch と 13-inch モデルがある。唯一のマイナスは、この新しい MacBook Air のお蔭で白のポリカーボネート製の MacBook が製品ラインから消えてしまいこの 11-inch MacBook Air が Apple の低価格ラップトップオプションとなってしまうことである。

11-inch MacBook Air には二つの設定がある。一つは $999 のもので 1.6 GHz デュアルコア Intel Core i5 プロセッサ、2 GB の RAM (Apple によって $100 で 4 GB にアップグレード可、そしてこれは選んでおいた方が良い) そして 64 GB のフラッシュストレージが付いてくる;この他にはカスタマイズ可能なオプションは無い。付属の Intel HD Graphics 3000 プロセッサは RAM を主メモリとわずかに 256 MB のみ共有する。このモデルは、可能な限り安い MacBook Air が欲しいという場合のみ意味を成すであろう。

私がこんなことを言う理由は、$1199 のものには同じ 1.6 GHz デュアルコア Intel Core i5 プロセッサが使われているが、4 GB の RAM と 128 GB のフラッシュストレージが含まれる。主メモリと共有する RAM は 384 MB である。と言うわけで、$200 余分に払うだけで、RAM は二倍、フラッシュストレージも二倍、そしてより多くの RAM がグラフィックス処理に供される、これらのどれもが疑いなく歓迎出来るものである。この $1199 の構成には 1.8 GHz デュアルコア Intel Core i5 ($150 追加) そして 256 GB のフラッシュストレージ ($300 追加) のオプションがある。スクリーンの大きさと解像度は前のモデルと同じで、11.6 インチと 1366 x 768 ピクセルである。

同様に、13-inch MacBook Air にも二つの設定がある。$1299 のものには 1.7 GHz デュアルコア Intel Core i5, 4 GB の RAM, そして 128 GB のフラッシュストレージが提供される;カスタム化のオプションは全く無い。もし $1599 の方を選択すれば、256 GB のフラッシュストレージだけでなく、1.8 GHz デュアルコア Intel Core i7 ($100 追加) にするオプションも得られる。どちらの構成も Intel HD Graphics 3000 に依存し、主メモリと 384 MB の RAM を共有する。繰り返しになるが、スクリーンサイズと解像度は前のモデルと同じのままで、13.3 インチと 1440 x 900 ピクセルである。

プロセッサ、RAM、そしてストレージでの小さな違いを除けば、MacBook Air モデルはお互いに極めて良く似ている。全てが一個の Thunderbolt ポートそして一対の USB 2.0 ポートを持つ;13-inch モデルには SD カードスロットも付いている。バックライトキーボード (MacBook Air ラインへ新たに加わった)、FaceTime カメラ、2560 x 1600 解像度までの外部ディスプレイへのサポート、ステレオスピーカ、無指向性のマイク、そしてヘッドフォンポート (Remote と Mic の付いた Apple Earphone をサポートする) が全てに付いている。802.11n Wi-Fi と Bluetooth 4.0 の両方が標準装備されている;Ethernet ポートは無いが、Apple USB Ethernet Adapter が $29 で入手出来る。更に、USB ベースの MacBook Air SuperDrive が $79 で手に入る。

これらの新しいモデルには悪い所は何もないが、現実には Thunderbolt の周辺機器は Apple の新しい Thunderbolt Display (これが出てくるまでにはあと 6 から 8 週間かかる) そして Promise Pegasus RAID システム以外には何もない。後者について言えば、我々は船の錨みたいなものを細身の MacBook Air につないだ姿を想像したいと言っているわけではない。Apple によれば、Intel Core i5 及び i7 プロセッサは MacBook Air の前の世代のプロセッサよりも最大 2.5 倍速いというし、前のモデルでは処理性能が一番の弱点であったので、この変更は極めて喜ばしい。プロセッサはより速くなったが、Apple は前と同じ電池寿命が得られているとしている - 11-inch モデルでは最大 5 時間、そして 13-inch モデルでは最大 7 時間である。

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Apple Thunderbolt Display 発表される

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

新しいバージョンの MacBook Air と Mac mini ("MacBook Air、より速い CPU、Thunderbolt、バックライトキーボードを得る" 20 July 2011, そして "Mac Mini に高速な CPU と Thunderbolt を追加し、光学ドライブを省略" 20 July 2011 参照) のリリースに加えて、Apple はまたこれらのスクリーンを表示する新しい方法を提供した。それはApple Thunderbolt Display を経由するのである。ご想像の様に、この 27-inch LED バックライトのディスプレイは最近の Mac に付いた Thunderbolt ポートにつながるのだが、より興味を惹かれるのはこのディスプレイそのものに付属する追加のポートである。

これまでの Apple Cinema Display と同じ様に、このモニタはビデオとデータを含んだ一本のケーブルで Mac に接続され、そしてラップトップに電源を供給するための MagSafe コネクタが枝分かれしている。この接続に関して面白いのは、Thunderbolt Display をハブにしてしまい、三つの USB 2.0 ポート、一つの FireWire 800 ポート、一つの Thunderbolt ポート、そして一つの Ethernet ポート (Gigabit Ethernet が新しい MacBook Air に別な USB ケーブルなしで使える) を提供する。

もし Thunderbolt が付いた 15-inch 又は 17-inch MacBook Pro を走らせている場合なら、デスクトップのサイズを広げるため二つの Thunderbolt Display を続けてつなぐことが出来る。この Thunderbolt 経由の縦列接続には最高六台までの機器 (ディスクドライブの様な) をつなぐことが出来る;このディスプレイは二台までという制限は MacBook Pro のビデオプロセッサの能力から来ている。

Thunderbolt Display は Thunderbolt が付いた Mac と しか 働かない。従って、Apple の LED Cinema Display は、これは Mini DisplayPort を使う、Thunderbolt Display と共に引き続き販売されるであろう。

この 27-inch ディスプレイは光沢仕上げで、16:9 の縦横比を持ち、2560 x 1440 ピクセルの解像度、そして in-plane switching (IPS) 技術を使った 178 度の視野角を持つ。内蔵の FaceTime HD カメラは HD 品質の録画とビデオチャットをサポートする。周囲の明かりセンサが環境に合わせてスクリーンの明るさを調整する。Thunderbolt Display は LED Cinema Display の角度のついたスタンドをそのまま使っているので、スクリーンの対面の角度は調整できるが、その高さを調整する機能は無い。

Apple Thunderbolt Display は $999 で現在購入することが出来るが、出荷は Apple によれば、6 から 8 週間後になるという。

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iOS 4.3.5 と 4.2.10 が SSL 脆弱性を修正

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が、GSM iPhone 4 および 3GS、iPad および iPad 2、それから第3世代および第4世代の iPod touch 向けに iOS 4.3.5 を、CDMA iPhone 4 向けに iOS 4.2.10 を、それぞれリリースした。どちらのアップデートも X.509 証明書の処理に関係したセキュリティ脆弱性に対処しており、これまでネットワーク上で特権を持つ立場にあるアタッカーが、SSL/TLS 保護付きのセッションにおいてデータを獲得したり、さらには変更を加えたりできてしまう危険があった。

今回のものが最近 10 日間で Apple が iOS 用にリリースした二度目の小さなセキュリティアップデートとなることは興味深い。(2011 年 7 月 15 日の記事“PDF の脆弱性を修正する iOS 4.3.4 と 4.2.9”参照。)その意味するところは、これらの脆弱性が相当に深刻なものであったか、あるいは少なくともよく知られたものであったということなのだろう。

これらのアップデートは iTunes 経由のみで入手可能で、小さな変更であるにもかかわらずアップデートファイルのサイズは大きい。だから、ダウンロードとインストールには十分な時間をみておきたい。アップデートを入手するには、iOS 機器を接続した状態で iTunes の Summary パネルの Version セクションにある Check for Updates ボタンをクリックする必要があるかもしれない。新しいアップデートの存在に iTunes が気付くまでに最大一週間もかかることがあり得るからだ。(通常、iOS のアップデートはそれほど頻繁に現われないので、Apple としても常時チェックする必要を感じなかったのだろう。)

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Apple、史上最高となる Q3 2011 業績を発表

  文: Michael E. Cohen <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple の先週のアナリストとの Q3 業績電話会見で、Apple は同社の史上最高となる四半期売上 $28.6 billion と、こちらもまた史上最高となる純利益 $7.3 billion を発表した。iPhone と iPad の販売は史上最高となり、更に Mac の販売も 6月四半期としては最高記録で、どちらも業績に貢献した。

売上は前年同期比で 82% 増加し、金額では $13 billion 以上の増収となった。営業利益も記録となる $9.4 billion (売り上げの 32.8%) であった。純利益もこれまでの記録である 12月四半期の数字を $1.3 billion も上回り、そして前年同期対比では収入の伸び率をも上回った:前年対比で 125% の増益である。一株当り利益は $7.79 であった。

Apple が言うには 3.95 百万台の Mac が売れ、これは前年同期対比で 14% 増に当たる。比較のために言うと、全 PC の伸びは前四半期に 3% にすぎないと IDC は言っている。Asia-Pacific 市場が Apple の Mac 売上数字に対する鍵であり、前年対比で 57% の増加であった。Apple の CFO である Peter Oppenheimer によると、Mac のデスクトップとポータブルのどちらもが "順調な" 売り上げを示したという。Apple が最近出した新しい iMac モデルがデスクトップ出荷に拍車をかける手助けとなった ("新 iMac に Thunderbolt、FaceTime HD、クアッドコア CPU を装備" 3 May 2011 参照)。

予想された様に、iPod の売上は飽和した音楽プレーヤー市場の中で減少した:Apple は 7.5 百万台を前四半期で売ったが、前年同四半期にはこれは 9.4 百万台であった。しかしながら、これは Apple が予想したよりも良い数字であり、Oppenheimer は、販売された iPod の半分以上が iPod touch モデルであったことを示唆した。iPod はこれでも米国の MP3 プレーヤー市場の 70% 以上を占めている。

iTunes Store も順調な結果を残した:売上はほぼ $1.4 billion で前年対比で 36% の増収である。音楽、アップス、そしてビデオ全てが好調でこの好結果に寄与した。Apple によれば全世界では iTunes Store が現在保持するアカウント数は 225 百万を超えるという。

そして iPhone はどうであったか? 20.3 百万台が前四半期に売られた;前年の 6月四半期には 8.3 百万台の iPhone が売られていたので、iPhone の売上は前年対比で 142% 伸びたことになり、これは IDC によるスマートフォン売上の伸び予想の 2 倍を超す。iPhone は今や 105 の国で 228 のキャリア経由で入手可となっている。Oppenheimer はまた iPhone に対する企業からの関心の高まりにも触れ、Fortune 500 企業のうち 91% がこの機器を展開中かテスト中であるという。

iPad はその "驚くべき勢い" を保持した:9.2 百万台の iPad が前四半期に売られたが、前年の四半期には 3.3 百万台であった。生産台数が伸びたにも拘らず - 前四半期にはその前の四半期よりも 4.5 百万台も多くの iPad が生産された - Apple は作れるだけの iPad を全て売り切るのにそう苦労はなかった模様である。iPad とそのアクセサリから計上された売り上げで業績に $6 billion を貢献した。そして再度、企業への影響度は大きく、Fortune 500 企業のうち 86% がこの機器を展開中かテスト中であるという。

Apple は、iPad の販売に伴う Mac 販売に対する共食い現象を確かに見ており、Mac のおよそ二倍の iPad が売れたとしている。しかしながら、Apple の COO である Tim Cook によると、iPad の販売によってより大きく影響を受けたのは Mac 市場よりも Windows PC 市場であるという。

全ての iPad, iPhone, そして iPod touch 機器を合わせて、Apple はこれまでに販売された iOS 機器の累計は 6月末で 222 百万台に達したと報じた。

Apple の小売店もまた記録となる 6月四半期の業績をあげた:売上高 $3.5 billion で、前年から 36% の伸びである。同店は 768,000 台の Mac を販売したが、前年は 677,000 台であった。前年対比でも変わらなかった数字が一つある:前四半期、同店での Mac 顧客の約半分は Mac は初めてであった。Apple によると、前四半期での一店当りの売り上げは平均 $10.8 million で、同四半期中の全店での訪問者数は 73.7 百万人にのぼった。Apple は全世界でこの四半期に更に 30 の店を開く予定で、ここには Hong Kong で最初となる店も含まれる。

Apple の手持ち現金と有価証券は、この四半期末で $76.2 billion であった。

発表の締めくくりとして、Oppenheimer は年内に予定されている "製品移行" について触れたが、それ以上のことを言うことは拒否した。彼はまた Lion やその他のサービスをオンラインで販売することが Apple の将来の売上を報告する方法に影響を与えることにも言及した。

具体的に言うと、Lion の販売、ところでこれは "明日" (20 July 2011) から始まると Oppenheimer は宣言したが、そして iLife アプリケーションの販売には、顧客に将来の特定しないマイナーソフトウェアアップグレードと機能を提供することが含まれるので、売上は "販売時点では全額繰り延べられ" そして三年間の期間にわたって認識される。更にまた、Mac OS の顧客は間もなくリリースされる iCloud サービスを受ける権利を有するので、Apple は iCloud サービスとソフトウェアアップグレードの権利を合わせると一顧客当り $22 の価値があるとみている。Apple は新たに売れた Mac 一台からこの額を繰り延べし、そしてこの額を四年間にわたって認識していく。同様に、iOS 機器の販売からも一部分が売上から繰り延べさる:販売された iPhone と iPad に対しては $16、iPod touch からは $11 が繰り延べされる;この分の売り上げは二年間にわたって認識される。

最後に、Apple は次の四半期での売上は $25 billion 近辺と予想したが、これはこの四半期の売上よりも低く、さらに言えば次の四半期には教育市場への販売の多くの部分が行われるにも拘わらずである。Oppenheimer は、Mac と iOS 機器の販売は増加するであろうが、"この秋には色々なことが計画されている" ので売り上げはより低く見ていると説明したが、ここには iOS 5 の導入と詳細説明の無かった製品移行が含まれているのであろう。勿論、歴史的に見れば、Apple はいつも業績予想では控えめな見方を示してきた;実際の数字は大きく異なるかもしれない。3か月後の我々の報告を楽しみに。

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AirDrop は特定の Mac のみで動作

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X 10.7 Lion の新機能である AirDrop を使えば、アクティブな Wi-Fi ネットワークを必要とせず、また双方のマシンが同じネットワーク上にある必要もなしに二台の Mac の間でファイルをコピーできる。素早く、セキュアで、とても便利だ。ただし、双方の人が両方とも十分に新しい Mac を持っている、というのが必要条件だ。Lion をベータテストしていた期間中に、Lion に対応している Mac であっても、AirDrop を使用するために必要な魔法の呪文を呼び出せないものがあるということが明らかとなった。その呪文を呼び出すためには、比較的最近の Wi-Fi チップが必要なのだ。

Apple の Lion 技術仕様ページを見ると、どのマシンで AirDrop を有効にできるかについて初めての正式データが載っている。そこに書かれている通りだが、ここに書き写してみると次の機種だ:

他に、AirDrop が使えるかどうか知る方法があるかって? Finder ウィンドウのサイドバーを見て、お気に入りリストの下に AirDrop がオプションとして出て来るかどうか見ればよい。

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Lion の隠れた Library に対処

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

その歴史を通じて、Apple は新規のユーザーや、内部の動作にアクセスしたいという気持ちを少しも持たない人たちに、焦点を合わせる傾向を強めてきた。実際のところ、Mac OS X の一番最初のリリースも、数多くの重要なシステムレベルのディレクトリを隠していた。けれども Mac OS X 10.7 Lion で Apple はさらにその歩みを進め、おそらく複雑さを減らすことにはなるだろうけれども長年の Mac ユーザーたちを苛つかせるであろう行動に出た。Lion は、従来見えていたユーザーレベルのディレクトリを隠したのだ。それは、ユーザーの Library フォルダだ。

これを少し奇妙だと感じる理由は、自分の ~/Library フォルダの内容に対して、従来から立派な理由があって作業をしてきたユーザーたちが多かったにもかかわらず、一般的にユーザーたちが触るべきでない他の Library フォルダ、つまりトップレベルの /Library/System/Library フォルダは、Lion でも見えるままであるからだ。(ただしそこに変更を加えるには管理者アクセス権が必要だ。)

幸いにも、自分のユーザー Library フォルダにアクセスしたい私たちにとって、それを可能にする方法がいくつもある。この記事ではそれを説明したいが、その前に少しだけ話が逸れる。

開発者たちよ、Documents フォルダは避けよう -- さらに懸念される問題として、最近開発者たち(具体的な名前を挙げることはしないでおこう - 私たちは、彼らにその決断を翻して欲しいからだ)の間で、アプリケーションをサポートするための特定のフォルダのいくつかを、その本来あるべき場所である~/Library/Application Support の代わりに、 ~/Documents の中に置くという傾向が見受けられる。その根拠となる理論は、ユーザーたちがそのフォルダにアクセスする必要があるけれども、隠されてしまった ~/Library フォルダの中ではユーザーたちが見つけることができないから、というものだ。

一見したところでは、それは理に適った判断かもしれない。例えば、BBEdit はそのスクリプトを~/Library/Application Support/BBEdit/Scripts に保存している。もしもユーザーたちが Lion 下でそのフォルダを見つけられなくなるのを Bare Bones が恐れれば、BBEdit のアプリケーションサポートフォルダを丸ごと、ユーザーたちが容易く見つけられる場所に移動させよう、という気になるかもしれない。そうなれば、明らかな候補地は ~/Documents. だ。

もしもほんの一つか二つのアプリケーションのみがそれをしたのならば、大した問題ではない。けれどももしこれがごく一般的な慣習となってしまったら、ユーザーの ~/Documents フォルダの中にはあっという間にたくさんのアプリケーションサポートフォルダが取り散らかることになってしまうだろう。その結果、使い勝手が悪くなり、ユーザーたちの側では ~/Documentsの中にあるものは自分がコントロールすべきものと考える人にとって(それが正しい判断だが)ますます頭痛の種が増えるのみということになる。Apple もこの点に関しては同意見で、Mac OS X Developer Libraryの中のアプリケーションがファイルをどこに置くべきかというセクションで、Apple はこう述べている:

ユーザー空間を汚染してはならない

念頭に置くべき重要なことは、ユーザードメイン (/Users) はユーザーが作成したファイルを置くための場所として作られていることだ。~/Library のみを例外として、あなたのアプリケーションは決してファイルをユーザーのホームディレクトリの中にインストールしてはならない。特に、ユーザーの Documents ディレクトリや、/Users/Shared ディレクトリの中に決してファイルをインストールしてはならない。これらのディレクトリにはユーザーのみが手を加えることができるべきだ。

たとえあなたのアプリケーションがクリップアートやその他のサンプルファイルを提供していて、それがユーザーが日常的に扱うべきものであったとしても、それらのファイルはデフォルトでローカルに置くか、あるいはユーザーの Library/Application Support ディレクトリに置くかにすべきだ。ユーザーはそう欲すれば、そのディレクトリからファイルを移動あるいはコピーすることができる。もしもあなたがそれらのファイルをユーザーが見つけられるかどうか心配ならば、あなたのアプリケーションのユーザーインターフェイスの中に、そこからユーザーが直接ブラウズしたりアクセスしたりできる方法を提供すべきだ。

実際、まさにそれが Bare Bones が現在 BBEdit で採用している方法だ。BBEdit の Scripts メニューの一番上の項目は Open Scripts Folder であって、それを選べばまさにその通りのことが起こる。つまり、Finder のウィンドウが開いて、~/Library/Application Support/BBEdit/Scripts の内容を表示する。

そういうわけで、ここに Mac 開発者の皆さんに対して強くお願いしたい。たとえそこが Lion では隠されてしまっているとしても、どうかあなたのアプリケーションのサポートファイルは ~/Library の中に置いて頂きたい。そして、もしもユーザーがそのフォルダにアクセスできることが重要なら、あなたのアプリケーションの内部にそのためのインターフェイスを提供して頂きたい。

Lion で Library フォルダにアクセスする -- 明らかに Apple は大多数のユーザーについては ~/Library フォルダをいじり回すべきでないと考えているけれども、手早くそこにアクセスできる必要のある人が多くいることにも、同社は気付いている。そこで、~/Library を見るための新たな方法は、Option キーを押しながら Finder で 移動 > Library を選ぶことだ。移動 メニューを先に出してから、その後で Option キーを押しても同じことができる。もちろん、移動 > フォルダへ移動 (Command-Shift-G) を選んでから、現われたダイアログに ~/Library と入力することも可能だが、それは無用の労力というものだろう。

いったん~/Library フォルダが見えるようになれば、そのアイコン(あるいは Finder ウィンドウのタイトルバーに現われるそのプロキシアイコン)を、好きな Finder ウィンドウのツールバーまたはサイドバーにドラッグすることができる。いったんそうしておけば、その後は単にアイコンをクリックするだけでいつでもそこにアクセスできる。

もしもあなたの ~/Library が普通に Finder の中で見えるようになって欲しいと思うのならば、そのようにするのも簡単だ。それは、Terminal で以下のコマンドを入力するだけでよい:

chflags nohidden ~/Library

そして、もしもそれを元に戻したいならば、"no" だけ削除してコマンドを繰り返せばよい。つまり次のようにする:

chflags hidden ~/Library

それだけのことだ。Apple が ~/Library フォルダを隠すことにしたその決断に、あなたが賛成するにせよ、しないにせよ、あなたの作業がそのことで邪魔されるようなことはないのだ。

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Mac OS X Lion のお薦め隠し機能

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

オペレーティングシステムのメジャーなアップデートというものは、巨大かつ複雑な獣だ。(そして今回は、吠え声荒々しく、昼食にガゼルを食らう獣だ。)Apple は、Lion の目玉機能として Launchpad、Mission Control、広範囲に及ぶジェスチャー対応などを宣伝しているが、それら以外にも何百もの改善点や変更点がひしめいている。この記事では、私たちが楽しくて便利だと思ったさまざまのヒントを集めてみたので、あなたも Mac OS X 10.7 Lion を手にしたら、最初の数時間はこれらの点を試して楽しんで頂きたい。

さらにもっといろいろの Lion 機能を学ぶには、Matt Neuburg が書いた 167 ページの電子ブック "Take Control of Using Lion" をお薦めする。そこにはこの記事も、他のどんなオンライン記事も比べ物にならないほど詳しい情報が書かれている。$15 で現在発売中だ。

Finder を使いこなす -- Finder は、あなたがコンピュータを使う際に真っ先に目にするものであることが多い。(ただし Lion で新設された「再開」機能を使えば、今言ったことは以前ほど正しくないかもしれないが。)だから、あなたが初めて Lion で Finder を使うとき、あなたはちょっと混乱してしまうかもしれない。以下に紹介するヒントで、使い始めの戸惑いを乗り越えて頂ければと思う。

Mission Control に親しむ -- Mission Control は、単に Expose の別名に過ぎず、ただそこに Spaces が組み込まれている。(もはや独立の Spaces 環境設定パネルもアプリケーションもなく、その代わりに Mission Control スクリーンの上の部分で Spaces を操ることになる。)使い方は簡単だが、少しだけヒントを挙げておこう:

同じ群れにいる他の人たちと接続する -- 近くにあるコンピュータ同士で手軽にファイルを転送できる AirDrop 機能が加わった以外にも、いくつか目立ったネットワーク機能がある:

文脈に沿ったテキスト -- Lion でテキストの作業をし始めれた途端、すぐに気付くことがいろいろあるだろう。例えば:

システム環境設定で近道する -- システム環境設定にも隠れた新機能が二つほどある:

その他さまざまの技 -- その他の雑多なトリックで、あなたがお気付きにならなかったかもしれないものをここに集めてみた:

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 7 月 25 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Safari 5.1 と 5.0.6 -- Apple から新たに Mac OS X 10.6 Snow Leopard 用の Safari 5.1 が出た。同社のこのウェブブラウザが、10.7 Lion にインストールされたバージョンと同等の働きをするようになる。Safari 5.1 にはいくつか新機能があるが、主なものとしては後日読むことができるようにウェブページのリストを作っておける「リーディングリスト」、Safari の起動時に直前のセッションで開いていたウインドウやタブすべてを自動的に開くようにできる「再開」、ブラウズのデータをシステムから簡単に削除できる「プライバシー」パネルなどがある。また、Safari 5.1 は新しいプロセスアーキテクチャに対応しており、ユーザーインターフェイスをレンダリング工程と分離するとともに、より良い応答性と安定性を提供し、特にサードパーティのプラグインを使う際のパフォーマンスが改善される。Apple がその他の改善点として挙げているのは、プライバシーを守る自動入力、より良い検索機能、「ダウンロード」ウィンドウからのドラッグ&ドロップによるファイルの移動、HTML5 や CSS3 など現代のウェブテクノロジーへの対応の改善、拡張機能を開発する人たちのための新しい API などだ。

また、これとは別に同社は Mac OS X 10.5 Leopard 用の Safari 5.0.6 (Leopard) もリリースした。これは特に HTML5 コンテンツのレンダリングに関係した問題点の修正と、いくつかのウェブサイトでのレイアウト、全般的な安定性の改善に焦点を当てている。(無料アップデート、Safari 5.1 は 47.47 MB、Safari 5.0.6 は 52.51 MB)

Safari 5.1 と 5.0.6 へのコメントリンク:

Windows Migration Assistant for OS X Lion 1.0 -- Apple が Windows Migration Assistant for Lion をリリースした。Mac 上の移行アシスタントと同じように、この新しいアプリは Windows XP (Service Pack 3)、Windows Vista、および Windows 7 のユーザーが自分のプロファイルやユーザーデータを PC から Mac OS X 10.7 Lion の走る Mac へ移行させられるようにする。(無料、2.78 MB)

Windows Migration Assistant for OS X Lion 1.0 へのコメントリンク:

Server Admin Tools 10.7 -- Apple が Server Admin Tools 10.7 をリリースし、Mac OS X 10.7 Lion Server との互換性を提供した。ここには Podcast Composer、Server Admin、Server Monitor、System Image Utility、Workgroup Manager、Xgrid Admin のアップデート版が含まれている。(無料、193.25 MB)

Server Admin Tools 10.7 へのコメントリンク:

iTunes 10.4 -- Apple の iTunes がバージョン 10.4 になった。ユーザーレベルの変更点はないが、64-bit の基盤を得て Mac OS X 10.7 Lion で最大級のパフォーマンスを実現するようになる。このアップデートではまたいくつかの重要な安定性およびパフォーマンス改善があるという。Apple によれば、64-bit への移行に伴うアーキテクチャの変更により、サードパーティのプラグインがこのバージョンの iTunes で機能しなくなる場合があるといい、そういうことが起こった場合には個々のプラグイン開発者に問い合わせるようにとのことだ。(無料、90.23 MB、リリースノート)

iTunes 10.4 へのコメントリンク:

Java for OS X Lion -- デフォルトで、Mac OS X 10.7 Lion には Java runtime が付いていないが、だからと言って Java アプリ (例えば人気の CrashPlan) を走らせたいユーザーがどうにもできない訳ではない。Apple は今回、Java SE 6 1.6.0_26 を別途ダウンロードとして入手可能にし、ユーザーが Java アプリを走らせようとした際に自動的にオペレーティングシステムがこれのインストールを試みるようにした。あるいは、同社のサポートウェブサイトからこれを別途ダウンロードすることもできる。Apple は、インストールを開始する前にすべてのウェブブラウザを閉じることを勧めている。(無料、62.53 MB)

Java for OS X Lion へのコメントリンク:

iWork 9.1 -- Apple が iWork 9.1 をリリースした。比較的小さいけれども重要なこのアップデートは、同社のオフィススイートに Lion 互換性をもたらすものだ。すべての iWork アプリがアップデートされ、いくつかのメジャーな Lion 機能に対応した。フルスクリーンモード、再開、オートセーブ、バージョンといったものだ。(2011 年 2 月 24 日の記事“アップルが Mac OS X Lion についてさらに明らかに”参照。)また今回の新リリースには Keynote プレゼンテーションの新しいビルド二つ、このスイートと Microsoft Office との全般的な互換性の強化、それに悪意を持って作られた Excel および Word ファイルを処理するためのセキュリティ修正も含まれている。iWork 9.1 はソフトウェア・アップデートから無料アップデートとして入手できるが、PagesNumbersおよびKeynote へのアップデートは Mac App Store からも入手できる。(無料アップデート、90.2 MB)

Work 9.1 へのコメントリンク:

Apple Remote Desktop 3.5 Admin -- Apple が Apple Remote Desktop 3.5 Admin をリリースした。同社の遠隔デスクトップ管理用ソフトウェアのアップデートで、信頼性、使い勝手、互換性に関していくつかの改善が施されている。少なくともそのいくつかは、同社が最近リリースした Mac OS X 10.7 Lion と Mac OS X 10.7 Lion Server に関係したものと思われる。このアプリと併用する Dashboard ウィジェットにもアップデート版がリリースされた。(新規購入は Mac App Store から $79.99、無料アップデートはソフトウェア・アップデートまたは Mac App Storeから 、25.27 MB)

Apple Remote Desktop 3.5 Admin へのコメントリンク:

SuperDuper 2.6.4 -- Shirt Pocket から SuperDuper 2.6.4が出た。人気あるドライブクローン作成・バックアップ用ソフトウェアのアップデートだ。バージョン 2.6.4 は主として Mac OS X 10.7 Lion との互換性を改善するとともに数多くのバグ修正を施すメンテナンスリリースだ。修正されたバグとしては、活発に活動中のファイルのコピーに失敗する問題や、このアプリに内蔵の AppleScript 辞書が Mac OS X 10.5 Leopard と非互換であった問題などがある。また、SuperDuper はコピー作業の最中に行き先がイジェクトされないようにする対策も施している。(基本的機能は無料、追加機能は $27.95、無料アップデート、2.9 MB)

SuperDuper 2.6.4 へのコメントリンク:

Things 1.5.0 -- Cultured Code がThings 1.5.0 をリリースした。同社のタスク管理アプリへのマイナーなアップデートで、Mac OS X 10.7 Lion との互換性を向上させている。2011 年 3 月にリリースされたバージョン 1.4.5 以後、このアプリには数多くのバグ修正が施されて、クラッシュの問題から、このソフトウェアの iOS 版との間で同期する際の微妙な問題点、バックグラウンドでの動作、いろいろなユーザーインターフェイス要素など、さまざまの問題に対処した。さらに、Cultured Code はこのソフトウェア内部から直接の AppleScript 実行機能にも対応した。(新規購入は Cultured Code からも Mac App Store からも $49.99、無料アップデート、8.0 MB,リリースノート)

Things 1.5.0 へのコメントリンク:

MenuMeters 1.5 -- Alex Harper の Raging Menace が、 MenuMeters 1.5 をリリースした。同社のオープンソースのシステム監視ツールへのアップデートだ。この新バージョンでの大きな変更はただ一つ、Mac OS X 10.7 Lion 対応だ。つまり、今後も引き続き MenuMeters を使ってあなたの Mac の状態における重要な点を監視し続けられるということだ。監視対象はメモリ、ディスク、CPU の使用量、ネットワーク活動、他にも多数の点がある。(無料、883 KB)

MenuMeters 1.5 へのコメントリンク:

Cyberduck 4.1 -- Cyberduck チームが、この Mac OS X 用のファイル転送無料ユーティリティにバージョン 4.1 をリリースした。 Cyberduck 4.1 ではトラックパッドジェスチャーを用いたナビゲーションに対応し、ユーザーがどんなファイルでも Google Docs にアップロードできるようになり、Amazon の S3 および CloudFront サービスとのインターフェイスに(特に異なるデータセンターにデータを保存することに関係したインターフェイスや、ログファイルの管理向上に関して)いくつか改善を施している。また、バグ修正も数多くあり、アップロードしたファイルのタイムスタンプの管理から、ゴミ箱に入れたファイルのみが Google Docs で消去されるようにすることまで、さまざまの問題点を解決している。(無料、22.9 MB、リリースノート)

Cyberduck 4.1 へのコメントリンク:

Sparrow 1.3.1 -- Sparrow が、同社の最小主義指向の Mac OS X 向け電子メールクライアントを Sparrow 1.3.1 にアップデートした。今回のマイナーリリースはバージョン 1.3 に影響を与えていた重大なバグを解決することを目標にした。同社のブログ記事によれば、このバグの修正のためにより大きな変更が多数必要になったということで、その結果として Mac OS X 10.7 Lion との完全な互換性、サイドバーによるラベルやフォルダへのアクセスの改善、統合された「送信してアーカイブ」機能などが実現したという。さらに、今回 Sparrow チームはこのアプリのアニメーションをすべて書き直し、ユーザーインターフェイスをよりスムーズに、よりインタラクティブなものとすることができた。(新規購入は Sparrow からも Mac App Store からも $9.99、無料アップデート、14.8 MB)

Sparrow 1.3.1 へのコメントリンク:

Fantastical 1.0.3 -- Flexibits からの新リリース Fantastical 1.0.3 は評判高い同社のカレンダー管理アプリに Lion 互換性をもたらしている。この新リリースではまた、Lion 専用のトラックパッドジェスチャーと、いくつかのユーザーインターフェイス改善が盛り込まれ、さらに 24 時間フォーマットの時刻や、グレゴリオ暦以外を用いて表現された日付などの処理に関する数多くのバグも修正されている。(新規購入は Flexibits からも Mac App Store からも $19.99、無料アップデート、7.5 MB,リリースノート)

Fantastical 1.0.3 へのコメントリンク:

SpamSieve 2.8.6 -- C-Command からの最新リリースは SpamSieve 2.8.6、人気のスパムフィルタリングソフトウェアへのマイナーなアップデートだ。この新リリースでは SpamSieve の Mac OS X 10.7 Lion との互換性を改善するとともに、Postbox 2.5 への対応を追加し、全般的なフィルタリングの正確度を改善している。さらに、C-Command は SpamSieve を Microsoft Outlook、MailMate、および Postbox と使うためにセットアップする方法を記した説明書をアップデートし、このソフトウェアのマニュアルやヘルプファイルにも改善を施した。(新規購入 $30、無料アップデート、8.3 MB、リリースノート)

SpamSieve 2.8.6 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2011 年 7 月 25 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週私たちの頭の中は Lion で一杯だった。Adam が Tech Night Owl Live にゲスト出演し、Matt looking が MacVoices で Lion の新機能について語り、Glenn が Macworld 記事で Apple Store 店でのアップグレードについて解説した。それから、John Siracusa が Ars Technica に書いた Lion のレビューは必読だ。でも、Lion とは無関係で重要なものもいくつかあって、Gmail 用 Boomerang のリリース、偽の Apple リテール店が中国に出現したニュース、Chris Breen が Spotify 音楽サービスを検討した記事などが目を引いた。

Adam、Tech Night Owl Live で Lion のリリースを語る -- 先週 Mac OS X Lion がリリースされたのを受けて Adam がホストの Gene Steinberg と Lion のさまざまの側面について議論した。名前が本当に "Mac" のない "OS X Lion" となったのか (そうではない)、Apple が従業員に対して、またメディアに対して用語に関する指導をどのようにしているのか、といった話題が出た。

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Apple Store で Lion にアップグレード -- Macworld で、Glenn Fleishman が Apple Store 店内で Lion にアップグレードしてみた体験を物語る。十分なバンド幅を持たない人たちにとって、これは考慮に値する方法だろう。この話の教訓は何かって? あらかじめ iPad か、あるいは本を持参して、終わるまでの数時間を過ごす用意をしておくのがよい。

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Gmail 用 Boomerang 1.0 が価格設定を追加 -- Boomerang は Gmail 用の巧妙なサービスで、指定された時刻にメッセージを送信たり、あなたが送信したメッセージに対して返事が届かなければ警告したりするというものだが、今回ベータ版の段階を脱して価格プランが付いた。Boomerang は毎月 10 通までのメッセージならば引き続き無料で使えるが、個人用アカウント (通常の Gmail 用) は月額 $4.99、プロ用アカウント (Google Apps アカウント用) は月額 $14.99 となる。

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中国に Apple リテール店の丸ごと偽物が出現 -- これはとんでもなく奇怪だ。まるでウイルスのように広まり、世界中で何千何万という人たちに読まれたブログ記事によれば、どうやら Apple リテール店を丸ごと真似た偽物が中国に(そして寄せられたコメントによれば同種のものが他の各国にも)存在するらしい。でも、これは安っぽい偽物ではない。写真を見る限り、素晴らしくよく出来た偽物のようだ。こいつはびっくり仰天だ。

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Siracusa が Lion を評価 - いつものように見事な文章 -- Mac OS X のメジャーな改訂版が出る度に、私たちは John Siracusa が Ars Technica に書く分析記事を心待ちにする。今回もまた例外ではない。説明は完璧で、述べられる意見は正鵠を得ており、技術的情報は魅惑的なほど素晴らしい。

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MacVoices で Matt と Lion に出会う -- Matt Neuburg と Chuck Joiner が、MacVoices ポッドキャストで Lion の新機能を語り合う。覚えておくべきメッセージは、「冷静さを保つこと」だ。

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Chris Breen が Spotify を検討 -- ヨーロッパの人気の音楽購読サービス Spotify が今回米国にも上陸しようとしており、Twitter ではこれに関する議論が大いに盛り上がっているところだ。私たちはまだ大ざっぱに見てみた程度だが(ユーザーが選んだ音楽を毎月限られた数だけ無料で聴く分には問題ないようだ)Macworld で音楽を得意としている Chris Breen が、Spotify のアプリケーションとサービスについて詳しく記事にした。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2011 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2011年 7月 30日 土曜日, S. HOSOKAWA