TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1089/15-Aug-2011

Lion に関する記事が今週も続く。まず Adam が Apple の Lion 復元ディスクアシスタントを使って外付けの Lion 復元用ドライブを作成する方法を調べる。次に Michael Cohen が、Lion の下で Quicken の代わりとなるべきものを見つける際に必要ないくつかの質問を提示して読者たちを導く。(Rich Mogull も Lion のセキュリティに関する素晴らしい記事を私たちのウェブサイトに書いてくれたが、今週号には掲載できるスペースが足りなかった。)その他の大きなニュースとしては、Google による Motorola Mobility の買収がある。これが Apple にとって、また他のスマートフォンのメーカーにとって何を意味するのか、Glenn Fleishman が考察する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Voila Screen Capture 3.1、Mactracker 6.1、移行アシスタントアップデート for Mac OS X Leopard、DEVONthink と DEVONnote 2.2.1、TextExpander 3.3.2、BBEdit 10.0.1、Skype 5.3 だ。

記事:

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Lion 復元ディスクアシスタントが外付けの復元用ドライブを作成

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X 10.7 Lion に当初寄せられた批判の一つは、現在これが Mac App Store からしか入手できないので(今月中には USB ドライブ版が $69 で発売される予定)もし起動用のハードディスクまたはソリッドステートドライブが故障した場合はどうやって問題からの回復を図ればよいのかがはっきりしない、という点だった。ほとんどの状況下では、つまりもしも起動ドライブがある程度機能するのならば、そのドライブの中に「復元用 HD」という名前の特殊なパーティションが隠されているお陰で、回復のためのいろいろなアクションを試みることが可能だ。トラブルが起きた場合、起動時に Command-R を押さえているか、または Option キーを押さえながら起動してその特殊パーティションを選ぶかすればよい。この「復元用 HD」パーティションは読み出し専用で、サイズも非常に小さい(たった 650 MB ほどだ)けれども、その中に備えられているツールは極めて有用になり得る。(詳しくは Joe Kissell の "Take Control of Upgrading to Lion" を参照して頂きたい。)

いったんあなたの Mac が復元モードで起動すれば、可能なアクションが七つある。最初の四つは「Mac OS X ユーティリティ」ウィンドウに現われ、残りの三つは「ユーティリティ」メニューから利用できる。

(Lion 復元については、Apple の技術記事“OS X Lion:Lion 復元について”に興味深い情報がたくさん記されている。)

でも、ここで最初の問題に立ち戻ろう。もしも起動ドライブが相当程度以上に壊れていて、あるいはその他何らかの理由で機能せず、復元モードで起動することができなかった場合は、いったいどうすればよいのか? Apple は今回、Lion 復元ディスクアシスタントをリリースした。これは独立に動作するアプリケーションで、あなたの既存の「復元用 HD」パーティションの内容を使って、外付けの「Lion 復元」ドライブを作成することができる。この作業は、Lion の走る Mac の上でしなければならず、もしもあなたの Mac が Lion を搭載して出荷されたものであった場合は、その外付け「Lion 復元」ドライブはその Mac モデルのみでしか起動できない。10.6 Snow Leopard からアップグレードされたシステムの場合は、Snow Leopard からアップグレードされた他の Mac でもその外付け「Lion 復元」ドライブが起動できる。幸いにも、この「復元用 HD」パーティションは非常に小さいので、少なくとも 1 GB 以上のサイズを持つどんな外付けドライブでも使える。つまり、そこいらに転がっている古い USB サムドライブに、理想的な用途ができたということだ。使う際には、そこに何か有用なデータが含まれていないことを必ず確認しておこう。なぜなら、復元用ドライブ作成の際にその外付けドライブ上のすべてのデータは消去されるからだ。

外付け「Lion 復元」ドライブを作成するには、次の手順を踏めばよい:

  1. Apple のサポートダウンロードサイトから、Lion 復元ディスクアシスタント (1.07 MB) をダウンロードする。(ソフトウェア・ダウンロードには現われないし、私の予想では今後も現われないと思う。)

  2. 外付けドライブを接続して、Lion 復元ディスクアシスタントを起動する。

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  3. ドライブを選択し、Continue をクリックすれば「復元用 HD」パーティションからのデータのコピーが始まる。これには数分間かかる。

    image

  4. 作業が終わると、インストーラはこの外付け「Lion 復元」ドライブの使用法の説明を表示する。(起動時に Option キーを押しておき、それからこのドライブを選択すればよい。)このドライブには何もないように見えることに注意しておこう。ディスクユーティリティの中でさえ、このパーティションは表示されない。

    image

作業の手順はシンプルで、簡単に最後まで実行できる。私は自分の作った外付け「Lion 復元」ドライブをテストしてみたが、動作は完璧だった。この種のツールの有用性を大多数の Mac ユーザーはきちんと理解していないだろうとは思うが、Lion を走らせている TidBITS 読者の皆さんには、Snow Leopard からアップグレードした Mac すべてで使える外付け「Lion 復元」ドライブを必ず一つ作っておくよう、強くお勧めしたい。それから、Lion をあらかじめ搭載して出荷された新しい Mac をお持ちの方は、その Mac 専用にももう一つ作っておいて頂きたい。いつどこでどんなことが起こるか全く予想できないという、純然たる事実があるのだから。そして、マーフィーの法則がここにも当てはまるのだとすれば、何か良くないことが最初に起こったときには、きっとそれは非常に深刻であなたの起動ドライブに備え付けの「復元用 HD」パーティションを使うこともできなくなっている、と見るべきではないだろうか。

最後に一つ注意を。Lion 復元用のブート可能ボリュームを作る別の方法として、Lion インストーラの内部に隠されたディスクイメージのクローンを DVD かサムドライブ、あるいはその他のボリュームに作成しておくこともできる。(これについては Joe が "Take Control of Upgrading to Lion" の中で議論している。)こちらの方法は Lion 復元ディスクアシスタントを使う方法に比べて少々扱いにくく、大きな容量 (4 GB かそれ以上) も必要となる。けれどもこちらの方法で作成した起動可能ボリュームは、「Lion 復元」ドライブの持つすべての機能を備えているばかりでなく、その上に Lion インストーラ本体を丸ごと含んでいる。つまり、Lion を再インストールする必要が生じた際に再度 Lion インストーラをダウンロードする必要がない。

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DealBITS 値引き: DiscLabel 6.3 が 25% 安くなる

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の DealBITS 抽選 で当選し、DiscLabel 6.3 ($35.95 相当) を受け取ることになったのは verizon.net の Donald Haupt、cox.net の John F. Richter、cox.net の Paul Hayden の3名だ。おめでとう! 残念ながら当選しなかった皆さんもがっかりすることはない。Smile ではすべての TidBITS の皆さんを対象に 2011 年 8 月 29 日まで DiscLabel 6.3 を 25 パーセント引きの割引価格で提供している。この割引を受けるには、 特別の DiscLabel ページを訪れて、赤い Purchase Link をクリックすればよい。今回 DealBITS 抽選に応募して下さった 434 名の皆さんに感謝したい。また今後の DealBITS 抽選もお楽しみに!

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Google が Motorola を特許と製造能力のため買収

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Google による $12.5 billion の現金での Motorola Mobility 買収 は、ハードウェアに関して納得のいくストーリーを持たなかった最後の大手のオペレーティングシステムメーカーとその最も熱心なハンドセットパートナーとを結び付け、Apple, Microsoft/Nokia, そして RIM と特許訴訟と市場の両方で競争することを狙った一つの統合巨大企業を作り出す。

(2011年 1月に、以前は Motorola として知られていた企業が二つに分割され、携帯電話事業を受け持つ Motorola Mobility と、テレコム製品 - WiMax の様な - と企業と政府向けのサービスを提供する Motorola Solutions となった。)

Google は、その Android スマートフォンオペレーティングシステムは引き続き "オープン" で他の企業にもライセンスされ、そして Motorola は別個の事業として運営されると語った。ではどうして他のハンドセットメーカーを苛立たせそしてこれ程の大金が動くのか? 理由は二つ:特許とフルコースのスマートフォン統合である。

特許が看板事項である。Nortel の巨大な特許ポートフォリオの買収をめぐる争いに Google が敗れた時 - 結果的には $4.5 billion で Apple, Microsoft, そして Research in Motion を含むコンソーシアムに買われた - Google の首席弁護士はその不公平さに 赤ん坊の様に駄々をこねた という。

競合企業達は Android を狙い撃ちしてきたのは事実である。Android は、その Android という名前を使わなければライセンスは必要とせず、そして Android の名前、ソフトウェア、そしてその関連したサービスを使うのにロイヤルティが認証される必要もない。これに対して、競合社はハンドセットメーカーに特許訴訟を仕掛け、場合によっては一台当たりのライセンス料を課すことで和解に持ち込んだ例も既にあり、Android フォンの値段を上げざるを得なくし、消費者にはより魅力的でなくし、そして製造業者には利益幅を圧縮することを狙ってきた。

Google CEO Larry Page は、 Motorola 買収の事後説明でその技術と経験を強調したが、"非競争的な特許攻撃" についても触れるのは忘れなかった。しかし、このこと自体は多くの企業が事業を継続する上で必要なコストであり避けられない事と自覚しているであろう。

(これは現在の米国特許システムがどうしようもなくダメになっているという問題とは別問題である。20 年前であれば、ここで問題となっている特許の大部分は認可されていなかったであろう。Apple のタッチスクリーンハードウェアの幾つかの要素は保護されていたであろうし、App Store からアップスを買う買い方などはそうではなかったであろう。しかしながら、これが全てのソフトウェアとハードウェア企業が直面しなければならない一つの市場現実なのである。望むらくは、これらの巨額の特許ポートフォリオ買収劇が、現在の特許システムが如何に革新を阻害しているかに光を当てて欲しい。)

Motorola は山の様な特許を保有していて、このモバイル会社の株式の現在の価値に更に 60% を超えるプレミアムをつけた Google の価格はこのポートフォリオを手にするための積極的な意図を示している。これで条件は同じになり、全ての利害関係者はお互いクロスライセンスする結果となり、電話機の販売を阻止したり或いは過大なアドオン料金を課したりと言う様な話そのものが無くなるのかもしれない。同様のことは他の競争的なハードウェア業界でも前にあったことではあるが、問題となる特許がこれ程膨大であったり、これ程多額のお金が関係したことは無かった。

私の目には、この買収に関わるもっと重要な部分は Google が今や Android 電話を作る全ての垂直的プロセスを手にする事であるように見える、つまり、ソフトウェアからハードウェア設計そして製造してキャリアに直接売るという所までである。長年にわたって、ハンドセットの最初から最後までをコントロールしていたのは、Symbian や他のプラットフォームを有していた Nokia と、BlackBerry OS を持った RIM だけであった、勿論 Palm も昔はここに属していた。Motorola, Samsung, HTC, そしてその他のメーカーは、スマートフォン用の Windows Mobile をライセンスしたが、フィーチャーフォン - かっては殆どの携帯ハードウェア販売を占めていた単純電話 - 用にはあまりに多くの独自のオペレーティングシステムを作り出した。一方で、飾り気のない汎用の Linux ベースのハンドセットも国際的なスマートフォン市場で存在感を示した。

2007年に Apple はこのクラブに割り込もうとしているとして冷笑をかった。評論家達も、国際的なスマートフォンとフィーチャーフォンの市場での Nokia の寡占、そしてビジネス市場での BlackBerry と Windows Mobile の人気に対抗するのに必要なオペレーティングシステム、ハードウェア生産チェーン、そしてキャリア関係を Apple がどうやってまとめられるのか想像出来なかった。そして今日では、iPhone は世界で最も人気のあるスマートフォンである。

でも話は急速に変化し、Apple は当時の他のモバイルオペレーティングシステムと比較すると閉じたオペレーティングシステムを作り出しているとして非難されることとなった。これらはサードパーティアプリケーションを追加するのも、かつキャリアによる機能追加 (それに余計な機能だらけのブロートウェアやクランプウェア) のためのカスタマイズも比較的容易に可能にしていた。しかし、iOS の最初のバージョンですら既存のモバイルオペレーティングシステムよりもずっと能力があったことに疑問の余地はなかった。

Google の 2007 年後半の Android の発表は、Apple が出来ることを現代のオペレーティングシステムで実現するものとして歓迎された。ここでは、ユーザーは自分が望むどんなソフトウェアでもインストール出来、そして自分の好みに合うようオペレーティングシステムを変更出来るはずであるという意味で "オープン" だとされた。Google は電話そのものは作らない積りであるということで Android フォンを作る数多くのハードウェアパートナーの参加を得た。キャリア達は最初抵抗したが、それも Google が彼らを、電話ユーザーをではなく、Android の顧客として見るようになり、そしてハードウェアメーカーがキャリア固有の Android フォンを製造するのを認めることで変わった。これらの電話は、サードパーティソフトウェアのインストールを制限し、テザリングやモバイルホットスポットの使用の様な鍵となる機能を不能にすることを含むロックダウン能力を持っていた。

問題はどうもハンドセットメーカーが余りにも強い影響力を保有してしまったことのようだが、Google の水面下での支配欲の強い行動、例えば Android の名前を使う基準を設定する、それらを実行する Google アップスとデータ、そして Android Market も示された。Google の厳格なそして変化し続ける要件に沿わない会社は、Android とは呼べない "オープン" フォンで行くしかなく、これだと人々が Android スマートフォンと関連付けるものの大部分を失ってしまうであろう。 Google に対する Skyhook Wireless による訴訟,から、この会社は緯度経度を特定するため GPS, Wi-Fi, そしてセルラー無線をを使うことの出来る位置情報システムソフトウェアをライセンスしている、 いわゆる非競争的な多くの振舞いが明らかにされている。

Android の立役者である Google の上級役員 Andy Rubin は、Motorola Xoom 用に Google の Android 3.0 Honeycomb がリリースされた頃、コンパチ性をもっと要求する必要性を説き始めた。彼は その後その見解を変えたと言っていたが、私は彼が最初は率直だったがその後遠慮しただけと思いたい。一連の基本機能、例えば全てのメジャーリリース (2.x の様な) に対して電話をアップデート出来るようにすると言った要求、を持つことは意味のあることであろう。(Honeycomb はオープンソースコードとしてはこれまでリリースされていない。Google は、Android の電話とタブレットの階層が統合されて 4.0 製品となるまでは、2011年内の予定、そのリリースを保留すると言っている。)

Motorola の買収で、Google は、Android がその希望通りの形で実現される、つまり全てのソフトウェアとハードウェア機能は協調して働き、そしてソフトウェア開発者は構築する際実機の参照プラットフォームを持てるというのが可能になる。Google は実際にその仕様に対して他の社に作らせた幾つかの Nexus モデルの電話をリリースはした。これらを気に入ってくれた所有者は現れたが、これらは何が出来るかを具現化するための実演電話であり、完全に Google のコントロール下にもなかったし、ハンドセットメーカーが得意とするようなやり方で、つまり宣伝、奨励金、そして広範囲に売り出すというような方法も取られなかった。

Google の戦略が成功するかどうかは時間が経てばわかる。ハンドセットメーカーを買収することで、Google は Android 機器で一緒にやった他の企業の全てとの関係を阻害する危険性を背負い込んだ、とりわけ Samsung, HTC, LG, そして Sony Ericsson といった会社である。これらの会社はこの買収について、簡単な、血の気のない、ほぼ同一の声明を出したが、その焦点は特許問題に絞られていた。しかし、これらの製造業者達にスマートフォンのオペレーティングシステムとして他に選択肢があるのかどうかはあまり定かでない。Android の名前のない Android の枝分かれバージョン? 新しいコンソーシアム? Android 階層ではない Linux のより堅固な取り込み? Microsoft Windows Phone 7? HP の webOS?

Google は長いことこの戦略に抵抗してきた、何故ならば元々信じてきたものは多様性の中にある強さだったと思われるからである。異種混交の方が人々の買いたいと思う様な電話をより多く作り出すであろう。しかしながら多様性は断片化にもつながり、これは Google とそのサポーターが常に抵抗してきた嫌疑でもある。世の中には異なる 1.x, 2.x, そして 3.x バージョンの Android ソフトウェアで走る電話やタブレットが出回り、アプリ開発者 - Netflix の様な - からも 700 以上に及ぶ異なるハードウェアプロファイルを持つ個別の機器上で働くソフトウェアを書くことの難しさについても多くの報告がなされている。 Google の一つの部門からのしっかりしたハードウェアラインアップが出るということは、アプリ開発者達にとってはよりやりやすい環境を意味し、その結果 Android 用のアップスが増える事にもなろう - 加えて、他の Android ライセンス取得者達も Motorola と競争するためにハードウェア仕様でも足並みを揃えてくるであろう。

しかし特許問題が Google を強制的にこのゴタゴタに引きずり込んだ。Microsoft はすでに Nokia を、かなりの量の札束も使って、多くのそして旧式のスマートフォンオペレーティングシステムを捨てて Windows Phone 7 に完全に乗り換えさせることに成功している。HP は webOS の背後にある悲運から脱するため Palm を 2 年前に買い、そして最初こそゴタゴタ続きだったが、素晴らしく興味深い結果も見え始めた。RIM は沈みつつある、その電話の売れ行きは鈍り、そしてそのタブレットに対する取り組みは理解し難いほど悪い。一方で、Apple の iOS と iPhone ハードウェアの完璧な所有はお金を印刷するライセンスとなった。

Motorola Mobility の買収は更なる競争をもたらすものだと Google は宣伝しているし、実際にもそうであるのかもしれない。強力な特許防衛を提供することで、Android を望むような形にし続けることが可能になるのかもしれない。系列のハードウェア子会社を持つことで、Google はより良い電話を作り出し、開発者達が対象にできるより予測可能な統合プラットフォームと出来るかもしれない。Android が強力で防御可能なオペレーティングシステムであり続ける限り、Apple, RIM, Microsoft/Nokia, そして HP は更に全力で努力しなければならず、これは決して悪いことではない。

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Quicken の代わりを探す

  文: Michael E. Cohen <lymond@mac.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

クラシック Mac OS の死の際には Steve Jobs 自身の司式による 本格的な葬儀が執り行われたが、PowerPC アプリケーションが Intel ベースの Mac でも走ることができるようにするための Apple のソフトウェアであった Rosetta の終焉は、それを認める言葉が Apple から一言も発せられないまま現実のものとなった。

多くの人たちにとって、Rosetta の消滅に初めて気付かされたのは、Mac OS X Lion をインストールしたあとで、何か PowerPC アプリケーションを起動しようとして、ちょっと悲しくなる次のダイアログを目にした時であった:

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多くの PowerPC アプリケーションにはより新しい Intel ベースのバージョンができていて Lion の国でも幸せに生きられるようになっているけれども、人気の高いアプリケーションの一つ、Intuit の Quicken 2007 にはそのようなバージョンが作られていない。確かに、Intuit は機能セットを減らした形でそのようなバージョンを出してはいるが、その Quicken Essentials も、Quicken 2007 を直接に置き換えることができるようなものではない。これは単にもう一つ別の財務処理パッケージに過ぎず、Quicken 2007 の代わりとして使えるのかどうかはその人が何を必要とするかに依存する。Intuit 自身、その点をはっきりと述べている。

では、長年 Quicken を使ってきたユーザーで、何年分にもわたる自分の財務記録を Quicken の中に貯えてきた人たちは、いったいどうすればよいのだろうか?

まずは予備的アドバイスを二つ -- 私の一つ目のアドバイスははっきりしている:「あわてる必要はない。」Quicken ユーザーが検討してみることのできる個人用財務処理パッケージはたくさんある。Quicken 難民たちの大多数は、きっとその中から一つか二つ、自分にふさわしいものを見つけることができるだろう。

とは言うものの、私の二つ目のアドバイスは極めて重要だ:「あなたの既存の Quicken データをすべて書き出し、後継となるソフトウェアに読み込ませ、それをテストしてうまく行くことを確かめるまでは、決して Lion にアップグレードしてはならない。」その理由は、当然のことながら、Quicken 2007 の書き出し機能が動作するために Rosetta が必要だからだ。Quicken 代替候補の中には Quicken データを直接読めるものもいくつかあるが、大多数はその情報が Quicken Interchange Format (.qif) ファイルの形で供給されることを必要とする。だから、あなたの財務データが新たな居場所を見つけ、そこにきちんと引越して、荷解きを済ませ、ちょっと時間をかけてくつろげるようになるまで、Quicken をいつでも走らせられるようにしておきたい。それまでの間、Lion には待っていてもらおう。

いくつか候補がある -- そう、問題は、その新たな居場所がどこかということだ。これは、そう簡単に答えられるような問題ではない。まずは、あなたが Quicken の後継として使えるかもしれない候補となる多数のソフトウェアの中からいくつかを、値段の高い方から順に並べてみよう:

これらはもちろん、どんなに想像力をたくましくしてみても Quicken の代替として手に入るものがこれだけしかないという意味ではない。ここに挙げたものは単に、私がちょっと調べて見つけたものと、読者たちから名前の挙がったものを寄せ集めただけだ。

もう一つ注意しておかなければならないことがある。Rosetta を必要とする Quicken 2007 を使い続けたいなら、あなたのハードドライブをパーティションに分けて、Quicken 2007 を使う度にマシンを再起動して Snow Leopard を走らせるということももちろん可能だ。また、Boot Camp を使うか、または Parallels あるいは VMware ベースの仮想マシンを使うかして Windows を走らせる気があるのならば、Quicken for Windows に移行するということも可能だ。私から見ればこれらの方法は当座しのぎのやり方にしか見えないけれど、もしもこの種の方法に興味があるのならば、Joe Kissell の "Take Control of Upgrading to Lion" の中に説明がある。

でも、いずれにしても、私がこの記事の中でどれかひとつのものを代替としてお薦めするということはしない。その代わりに、この記事ではたくさんの質問を提示して、あなたに それらの質問に答えて頂くことにしたい。それらの質問に答えることによって、入手可能な代替候補のそれぞれをより良く検討することができるようになり、あなたに最もふさわしいものがどれかを見つけ出す助けになるだろうと思うからだ。

Quicken 2007 も、その先代のものたちも、その Windows ベースのものも、すべてさまざなの機能や能力を提供している。それらの機能すべてを必要とする Quicken ユーザーなどまずいないだろう。あなたが見つけ出す必要があるのは、あなたがどのように Quicken を使っているか、その機能のうちどれがあなたにとって重要か、どの機能はあなたにとって必要でないか、といったことだ。

あなたもどうぞ参加を -- でもちょっと待って! ここで、皆さんの助けが必要となる! まず第一に、上記のリストにないもので Quicken の代わりとなれるものをご存じなら、どうかその情報をこの記事へのコメントとして書き込んで頂きたい。そうすれば私たちもそれをリストに追加することができる。第二に、この記事を最後まで読んで、提示された質問について考えて頂いてから、もしもまだ他に多くの人たちに考えてもらうべき質問をお持ちならば、それについてもコメントでお知らせ願いたい。

その理由はこうだ。私たちは、この記事で新たなことを計画している。製品のリストと質問のリストがきちんとまとまったら、私たちはそれぞれの製品の開発者たちと連絡をとって、それぞれの製品があなたの必要にどう応えているのかを説明してもらおうと考えている。そのあとで、開発者たちからの返答を記事の形にまとめて、すべての人たちに読んでもらえるように公表するつもりだ。

では、質問に移ろう!

あなたは主として賢い小切手使用記録簿として Quicken を使っているか?

もしそうなら、Quicken Essentials も含め、入手可能なパッケージの大多数が十分その目的にかなっている可能性がある。このカテゴリーに属する質問としては、以下のようなものが考えられる:

あなたは投資や、ローン、家計、資産の管理に Quicken を使っているか?

ここからはかなり本格的な財務管理のことがらが対象となる。私自身は個人的に扱ったことのないものだ。幸いにも、私の弟が複雑な金融資産を持っていて、彼の助けを得てこの包括的な質問に関係して挙げるべき質問のいくつかを編み出すことができた。

誰か他の人があなたの財務情報にアクセスする必要があるか?

どのような財務処理ソフトウェアを採用する際にも、それを使うかもしれないと考慮しておいた方がよい相手が何人かいる。(当然ながら)あなた自身と、配偶者ないし恋人、ひょっとしたら会計士と、それから米国ではほぼ間違いなく Internal Revenue Service (IRS, 国税庁) だ。(他の国にも同様の政府機関があって、あなたの財務記録を検査すべしという燃えるような熱情を折に触れて発揮しているかもしれない。)

どうやって選ぶか -- さて、あなたは私の質問すべてに答えて下さっただろうか。(そして、願わくは他に思い付いた質問にも答を出して下さったかもしれない。)では、次に何をすればよいのか?

まず第一に、あなたの答に基づいて、あなたが必要とする機能に優先順位を付けて頂きたい。あなたにとって欠くことのできない機能もいくつかあるだろうし、あれば素敵だと思える機能もまたいくつかあって、他のいくつかの機能はほぼ間違いなく不要だと思えることだろう。

次に、私たちが開発者たちに質問を問い合わせて得た回答をもとに記事を出版するまで待って頂くのがよいかもしれない。その中の情報をもとに、代替となるべきものを探し始めることになる。待ったりせずに今すぐ始めたいという方は、あるいは記事を待ってそれを読んだけれどもやはり自分でテストしてから決めたいとお思いの方は、まずは私が上に挙げたリストにある製品から初めるのがよいだろう。あなたの頭に浮かんだ候補のウェブサイトを探訪して、それがあなたの必要とする機能を備えているかどうか調べよう。特に、無料の試用版を提供しているものに注目しよう。Quicken Essentials だけを唯一の例外として、私のリストにある他のものはすべて無料の試用版を提供している。

そのあとで、無料の試用版を提供している候補を一つか二つ選んで、それをダウンロードし、あなたが書き出した Quicken のデータを読み込ませてみよう。もしもそれがうまく行けば、二週間くらい使ってみて、その機能のいろいろを試してみよう。もちろんあなたの「本物の」情報はまだ Quicken の中に保持したままにしておくのだ。

いったんあなたに適した代替製品が見つかれば、あなたの Quicken データを最終的に書き出してから、その代替製品を購入して、あなたのデータをその中に持ち込もう。

ほんのちょっとの幸運さえあれば、これであなたは Quicken との縁を切って、ついに Lion に移行することができるはずだ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 8 月 15 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Voila Screen Capture 3.1 -- Global Delight が Voila Screen Capture 3.1 をリリースした。スクリーンショットやビデオによるスクリーンキャプチャを作成し管理するための、ますます機能豊富になりつつあるこのソフトウェアへのマイナーなアップデートだ。今回の新リリースは Mac OS X 10.7 Lion との互換性追加に特化したもので、フルスクリーンモードにも対応した。その他の変更点として、Voila は JPEG や H.264 の圧縮を使ってビデオをエンコードすることができるようになり、またスクリーンショットを PDF で書き出せるようにもなった。(Global Delight からも Mac App Store からも新規購入は $29.99、無料アップデート、21.4 MB、 リリースノート)

Voila Screen Capture 3.1 へのコメントリンク:

Mactracker 6.1 -- カナダ人の開発者 Ian Page が、Mactracker の新しいビルドをリリースした。Apple 製品を網羅した、彼の人気の百科事典だ。Mac OS X 10.7 Lion が Mactracker 6.1 のデータベースにデビューを果たし、また最新の MacBook Air、Mac mini、AirPort Extreme、それに Thunderbolt Display も登場した。また今回のアップデートには印刷やスマートカテゴリーなどの機能に関係したバグ修正も含まれている。(Ian Page のウェブサイトからも Mac App Store からも無料、21.6 MB、 リリースノート)

Mactracker 6.1 へのコメントリンク:

移行アシスタントアップデート for Mac OS X Leopard -- Mac OS X 10.6 Snow Leopard に影響を与えたものは 10.5 Leopard でも問題となるのであろう。Snow Leopard 用の移行アシスタントをアップデートして 10.7 Lion の走る新しい Mac へデータを移行させる際の問題点を修正(2011 年 7 月 19 日の記事“Lion アップグレードの前に移行アシスタントをアップデートしよう”参照)してからまだ一月も経っていないが、Apple は今回 Mac OS X Leopard 用にも移行アシスタントアップデート Mac OS X Leopard 用にも移行アシスタントアップデートをリリースした。リリースノートの説明は前回とほとんど同文だ:

このアップデートによって、Mac OS X Leopard 内の移行アシスタントアプリケーションで、Mac OS X Leopard が動作している Mac から Mac OS X Lion が動作している新しい Mac に個人データ、設定、および互換性のあるアプリケーションが転送されない問題が解決されます。

だから、もしもあなたが現在 Leopard を走らせているのなら、あなたのデータを Lion の走る新しい Mac へ移すよりも前に、必ず前もってこのアップデートを入手しておくべきだ。これがあなたの Mac に適したものであれば、おそらくソフトウェア・アップデートに現われるはずだとは思うが、そうならなければ Apple のサイトからダウンロードすることもできる。(無料、4.98 MB)

Migration Assistant Update for Mac OS X Leopard へのコメントリンク:

DEVONthink と DEVONnote 2.2.1 -- DEVONtechnologies による情報管理アプリケーション DEVONthinkDEVONnote を(どの版でも) Mac OS X 10.7 Lion の下で使っている人は注目して頂きたい。いずれのアプリケーションも、今回バージョン 2.2.1 において Lion に関係した多数のバグが修正されている。またそれ以外にもマイナーな問題をいくつか解決している。(すべてのアップデートは無料。DEVONthink Pro Office は新規購入 $149.95、DEVONthink Professional は新規購入 $79.95、DEVONthink Personal は新規購入 $49.95、 リリースノート。DEVONnote は新規購入 $24.95、リースノート)

DEVONthink と DEVONnote 2.2.1 へのコメントリンク:

TextExpander 3.3.2 -- Safari 5.1 の登場に促されて、Smile が TextExpander 3.3.2 をリリースした。このテキスト展開ユーティリティによる区切り文字、キー操作、カーソルの処理が Apple のこの最新のウェブブラウザの中では Mac OS X 10.7 Lion と 10.6 Snow Leopard 双方の下で正しくできなくなっていた問題を修正している。ただし、Smile は Safari 5.1 の中でパスワードフィールドへの入力の際には未だに展開が正しく挙動しないと注意している。他にもいくつかマイナーな修正点があるのに加え、TextExpander 3.3.2 では Microsoft Word の中で展開する際に正しいフォントサイズが保たれるようになっている。(新規購入 $34.95、無料アップデート、5.7 MB)

TextExpander 3.3.2 へのコメントリンク:

BBEdit 10.0.1 -- メジャーなアップデートの後にクリーンアップを目的としたリリースが素早く出るのはよくあることだ。微妙なバグが、実世界で使用されて初めて明るみに出ることもあるからだ。Bare Bones Software が、そのような理由により BBEdit 10.0.1 をリリースして、このパワフルなテキストエディタの最新バージョンにおけるさまざまのバグを修正した。バグのうちいくつかは、クラッシュを引き起こすことのあるものであった。今回のリリースでのその他の変更点としては、新たな上級環境設定の追加、見栄え上の修正、その他がある。BBEdit 10 の新機能について詳しくは記事“BBEdit 10 が UI、HTML マークアップ、EPUB 編集を改良”(2011 年 7 月 19 日) を参照のこと。また、BBEdit 10 は今回から Mac App Store からも入手できるようになった。ただし、Mac App Store から購入した場合には認証付き保存機能を使うことができず、またコマンドラインツールは別途ダウンロードしなければならない。(Bare Bones からも Mac App Store からも新規購入 $39.99、ただし 2011 年 10 月 19 日以降は $49.99、無料アップデート、14.3 MB、リリースノート)

BBEdit 10.0.1 へのコメントリンク:

Skype 5.3 -- Skype(現在は Microsoft の所有する会社)が Mac OS X 用の Skype 5.3 をリリースし、Mac OS X 10.7 Lion との互換性を追加するとともに、十分に機能のあるウェブカメラを使った場合には HD 画質のビデオ通話にも対応した。他にも多数の変更が Skype のユーザーインターフェイスに施されたと言われているが、変更点のリストが発表されていないので、具体的にどのような変更があったのかを見極めるのは難しい。ただ、コンタクトのリストのデザインが変わったことには私たちも気付いた。Skype のインターフェイスが愚鈍であったことを思い出せば(2011 年 4 月 2 日の記事“Mac 版 Skype 5: 大きく一歩後退”参照)同社の出している「ヒント」ページを読んでおく価値はあるだろう。そのページにはあなたの知らなかったことがきっと何かあると保証してもよい。(無料、23.3 MB)

Skype 5.3 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2011 年 8 月 15 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週はあと二つだけ注目すべきニュースがある。Google が Gmail のウェブインターフェイスにプレビューパネルの付いた新しい表示方法を導入し、Amazon が同社の Kindle ソフトウェアのウェブアプリ版を作った。

Gmail にプレビューパネルのオプションが登場 -- Gmail をウェブインターフェイスを使って読んでいる人たち(Mailplane による場合も含む)のために、Google がプレビューパネルと呼ばれる Gmail Labs 機能をリリースした。これを使えば、Gmail の左側にはラベルを縦にリストしたものが並び、中央にはメッセージ要約が縦にリストされて並び、メインの会話が右側のパネルに表示される。幅の広いスクリーンで使うのに適しているが、非常に縦長のスクリーンの場合は、垂直分割の代わりに水平分割に切り替えることもできる。このやり方は Gmail のタブレット用インターフェイスに似ているが、それはつまり iPad 上の Mail にも似ているということだ。

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Kindle 読書がウェブでもできる -- Amazon が同社の Kindle 読書用ソフトウェアのウェブアプリ版を作った。これは iPad、Mac OS X、および Windows 用の Safari で、まだデスクトップ機の Chrome でも使える。このアプリは、ネイティブに書かれた Kindle アプリの動作を再現するために HTML5 を使っており、かなりよく出来ている。また、Amazon は HTML5 のローカルストレージ機能を利用して Kindle 本をブラウザにダウンロードする。これは iOS アプリでメディア購入に対して Apple が 30 パーセントを取っていることに対する Amazon の回避策と見ることができるだろう。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2011 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2011年 8月 19日 金曜日, S. HOSOKAWA