TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1104/28-Nov-2011

2012 年 6 月になったら MobileMe Gallery にある写真がどうなるのかと心配な方々のために、写真を移行する新しい方法がある。Adam がよく使っている写真共有サイト ZangZing を利用する方法だ。また今週号は Matt Neuburg が Appalicious の生まれ変わりの Appcuity が登場してホリデーショッピング用に Mac App Store で安売りを探すために好都合だと説明し、Glenn Fleishman は Amazon の Kindle Fire が購入済みのメディアを見つけたり再生したりするために Apple の iOS アプリよりも一貫した分かりやすいインターフェイスを提供すると分析する。最後に Adam が、1998 年に制定された Children's Online Privacy Protection Act (児童オンラインプライバシー保護法) により子供たちがオンラインで自分の年齢を偽るよう教えられている(しばしば親たちが嘘をつく手引きをしている)と語る。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Nisus Writer Pro 2.0.2 と Nisus Writer Express 3.4.1、VMware Fusion 4.1.1、SpamSieve 2.8.8、MacBook Pro Video Update 1.0 (Snow Leopard) だ。

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ZangZing、MobileMe Gallery 移行を容易に

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

June 2012 に MobileMe がその最後の息をひきとる時、Apple が歴史のガラクタの山に投じるであろうデータの中にはあなたが MobileMe Gallery の中に蓄積してきた写真全ても含まれる。手軽な置き換え手段も沢山ある - Flickr や Facebook には iPhoto の中で比較的容易に写真を移動出来るし、その他にも数多くの写真共有サイトがあることは言うまでもない。

そこに、もう一つの選択肢が出現した - グループ写真共有サイトの ZangZing である。これは私がここ数カ月ほどの間 Tristan の Ithaca クロスカントリーのチームメートの親達が全てのレースの写真をアップロード出来る様にしたりして、極めて重宝に使ってきたものである ("ZangZing でグループの写真共有が成長長" 3 October 2011 参照)。ZangZing の特長は同じ行事の写真を複数の人の間で共有するのを可能にしているそのやり方にあるのだが、その HTML5 基盤、近代的なデザイン感性、そして多様な写真源との統合により個人の写真共有にも適したものとなっている。

そして ZangZing は、自分の写真の新たな拠点を探している MobileMe Gallery ユーザーを助けるべく自ら立ち上がったのである。ZangZing について私が最初に書いた時に述べた様に、他の写真共有サービス、例えば Picasa, Facebook, Flickr, Shutterfly 等々、から写真を読み取ることが出来るというのはあまり一般的ではないのである。これらに加えられた最新のものが MobileMe であり、あなたの写真全てを MobileMe Gallery から直接 ZangZing へ移行させてくれる。しかもこれはそれらが iPhoto に入っていなくとも可能である (あなたの MobileMe Gallery アルバムに他の人がアップロードするのは可能であった、もっともこの機能を利用した人はそう多くなかったのではとは思うが)。

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あなたがしなければならないことは、新しいアルバムを作る時に MobileMe をクリック、MobileMe にあなたが接続したいことを確認、あなたの MobileMe ログイン情報を入力し ZangZing があなたのアカウントにログイン出来るようにし、そしてインポートするための MobileMe アルバムを選択するだけである。

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私のテストでは、このインポート過程は完璧に動いた、そして写真が一旦 ZangZing に収まれば、そのアルバムに対するリンクは ZangZing にある他のものと同様に共有出来て、その際他の人からのアップロードを許すのも読み取り専用にするのもあなたのお好み次第である。それ以降、将来の写真アルバムを iPhoto から共有するのも ZangZing とでは極めて簡単で、多分 iPhoto のインターフェース経由で Flickr や Facebook とやるよりも簡単であろう、何故ならばあなたは全てのプロセスを ZangZing の Web サイトから管理するからである。ここは最終的にアルバムが辿りつく所でもある。

ZangZing は今の所無料のままだが、将来は有料アカウントオプションで追加の蓄積スペース或いは他の機能を付けて提供されるようになるのではなかろうか。同社は、ユーザーに写真のプリントを各種の仕上げとフォーマットで購入して貰えるようにして、財務状態の安定に向かった道をとり始めた。

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ZangZing はプリント製品を始めたところで、他の強化策も出し始めた。例えば、私はアルバム全部の写真を一発でダウンロード出来るようにして欲しいと前に頼んだことがあった、そうすればクロスカントリーシーズン全部の写真をコーチや学校の図書館のためにアーカイブすることが可能となる。この機能は ZangZing の実施計画には載っていたが、プリント製品が出現した後間もなく、彼らは私にコンタクトして来てアルバムダウンロードはもう使える様になっていると言ってくれた。ということで、もし ZangZing にこうして欲しいと思うことがあるならば、是非フィードバックを提出すると良い、何故ならば彼らは耳を傾けそして行動に移しているからである。

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FileVault 2、誰からも見えるところにデータを隠す

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple は Mac OS X 10.7 Lion において、あなたの Mac の極めて重要なデータを保護できる方法を大幅に改善した。従来はユーザーディレクトリのみを対象としていた FileVault 暗号化システムにおいて、そのスコープを拡張してフルディスク暗号化としたのだ。FileVault 2 は、起動ディスクの全てのコンテンツ(ただしブート用パーティションのみ)を暗号化する。FileVault 2 が有効となっている Mac を起動するとき、実際には Lion における復元用 HD (Recovery HD) パーティションからブートすることになる。一つのアカウントのログイン名とパスワード(あらかじめ FileVault ログインでアクセスできるよう設定しておいたもの)を入力すれば、ブートのプロセスがその起動パーティションを保護するために使われる暗号化キーを有効化して、あとは普通に物事が進む。

最近、私は FileVault 2 の使い方について Macworld に長い記事を書いた。そこに内在するリスクや、暗号化をオンにする前に準備しておくべき事柄についても詳しく解説した。また、ブート用以外のパーティションやドライブを Disk Utility と Terminal コマンドラインを用いて暗号化する方法についても説明しておいた。

その Macworld 記事を私が書いた後に、Apple が Mac OS X 10.7.2 をリリースしたが、ここで iCloud への対応と、Find My Mac サービスが追加された。コメントを寄せてくれたある読者の助けを得て、私はある事実を発見し、そのことを新たな Macworld 記事に記した。その事実とは、起動時の新しい Guest User アカウントオプションと組み合わせて FileVault 2 を使うことで、ラップトップ機を盗んだ者を欺いて、その者が Wi-Fi ネットワークに接続しその Mac の位置情報を明かすように仕向けることができる、というものだ。実際、単にシステムの電源を入れるだけでそのトリックが働くようになる。要するに、Apple は盗人たちを Find My Mac の網に誘い込むためのハニーポットをこしらえた、ということだ。

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Appcuity は Appalicious の新しい改良版

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

"Appalicious があれば Mac App Store は使える" 1 September 2011 で、私は ProVUE の賢いアプリケーション Appalicious を紹介した。これは Mac App Store からの情報を、Apple 自身の App Store アプリケーションよりもより有益に、綺麗に、そして全体的に提供する。今や訴訟警告に対応する形で Appalicious はその名前を変えて Appcuity となり、そしてその Web サイトも名前が変更された (そして良い形に再整理された)。加えて、ProVUE はこの機会を捉えて幾つかの機能改善も行った。

Appcuity は今では Apple の Top Charts 順位も追いかける。この順位は、無料アプリはダウンロード数、有料アプリは総売り上げに基づいている。アプリ順位は Appcuity のメインウィンドウに数字のコラムとして表示されるが、そのアプリがこれまで到達し得た最高順位の様な歴史的情報も表示され、そして更なる詳細歴史情報はそのアプリの詳細ウィンドウにあるので、順位が時系列的にどう変わってきたかも見ることが可能である。

同じ様に興味深いのは Appcuity の価格モデルに対する変更である。(免責:これらの変更の幾つかは私の進言に対する反応であったかもしれない。)

ProVUE は、既存の Appalicious ユーザーは Appcuity を直ちにダウンロードするよう望んでいる、というのもそのオンラインデータベースは間もなく Appalicious からのデータアップデート要求を受け付けなくなるからである。Appcuity への移行は完全に透過的である;Appalicious 購読は舞台裏で自動的に Appcuity 購読に移行される。私は Appcuity をダウンロードしそして起動したら、直ちに私の既存の Appalicious データを表示、それからそのデータを私の現在の購読に基づいてアップデートした。これはあたかも Appcuity と Appalicious は同じアプリケーションであるかの様であった;私のマシンは同じものだったので、私のライセンス情報を再入力させられることもなかった。

Appcuity は 27.6 MB のダウンロードである。Mac App Store にアクセス出来る Mac が必要である (Mac OS X 10.6.6 かそれ以降を意味する)。新しいユーザーは Appcuity を自動的に Appcuity Pro として一週間だけ経験することになる;その後は、Pro 購読を申し込むか又は友人に Appcuity を試す様にしない限りは、Appcuity Lite となる。

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Amazon、メディアアクセスの容易さで Apple に勝つ

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Amazon の Kindle Fire は、決して iPad キラーでもなければ、はっきり言って iPad の競争相手でさえもない。スペックから見ても、全体的な機能の面でも、iPad の方が断然優れている。それでも、もしも Fire が成功を収めれば(触ってみた最初の感触から言えば私はきっと成功すると思うが)これは新たな中間的市場を生み出すものとなるだろう。スマートフォンよりは大きなスクリーンを備えていて、読書やゲーム、ビデオ視聴などに使えるけれども、iPad ほどにはかさばりもしないし値段も高くないからだ。(The Economist に私の簡潔なレビュー記事が載っている。)

けれども、Amazon が Apple と競合できるのはそういう側面ではなくて、あなたが購入したり手動で持ち込んだりしたメディアに手が届くようにするインターフェイスに関してだ。何が利用できるかを探したい場合、Kindle Fire は iOS よりも断然使いやすい。あなたがどこにいても、手軽に再生したり、読書したり、鑑賞したりできる。Apple がリリースしたばかりの iTunes Match をあなたが別途購入していたとしても、いろいろな意味で Fire の方が iOS を凌いでいる。Apple の方がまだはっきりと優っているのは、あなた自身のコンテンツをモバイル機器へ同期する点と、ローカルネットワーク上で豊かなアクセスを提供している点だ。

これら二つのデバイスの違いは、これは決して Fire をおとしめているのではなく、Amazon が「賢くない」メディアブラウザに近いものを作ったところにある。Fire のストレージ容量は 8 GB で、そのうち利用に供することができるのはおよそ 6 GB のみ、そのためクラウド(すなわちインターネットでアクセスできるデータの集合体)に依存して、ローカルに保存した購入済み項目やあなたがアップロードした音楽と互いに取り替え可能なものとしてそれを扱う必要がある。Fire はアプリを走らせることもできる(メインインターフェイスの中にあるそのアプリ独自のタブから起動し管理する)けれども、一般的に言ってこれはメディアのための「賢くない」エンドポイントに過ぎない。

これとは対照的に、iPad などの iOS 機器は「賢い」ブラウザだ。こちらはあまりにも多くのことができるので、通常ならばレーザーのごとく焦点の絞れたシンプルさを披露して他の会社が真似するほどの Apple をもってしても、ここにその種のシンプルさを実現するのは難しいようだ。Apple のメディア宇宙は、ユーザーによるアクセスのためにより多くの管理を必要とする。なぜなら iOS デバイスはその種のコンテンツを同期し、再生し、取り寄せるためにますます多くの機能を備えるからだ。Apple としては、何とかしてものごとを統合し、身軽にし、単純化を図らなければならないのかもしれない。

では、まず Kindle Fire の強みから話を始めよう。

「いたる所シンプル」対「ローカルな豊かさ」 -- Fire においては、ホームスクリーン上にタブがずらりと一列に並んでいる。四つのタイプのメディア (Newsstand、Books、Music、Video) と、Docs、Apps、それから Web のタブだ。Docs と Web 以外のどのカテゴリーをタップしても、二つのボタンが一番上に横に並んで現われる: Cloud と Device だ。Cloud ボタンをタップすれば、あなたが過去に Amazon から購入したことのあるすべてのデジタルメディアが現われて、ダウンロード (全メディアタイプ) またはストリーミング (音楽とビデオのみ) ができる。Device ボタンをタップすれば、その Fire 上に保存されているものを何でも再生、読書、または開くことができる。(音楽の場合は但し書きが必要になるので、これについては後で議論する。)

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この、首尾一貫しているところに、私はたちまち強い印象を受けた。これなら、機器に疎いおばあちゃんでも使える。私は義理の母が大好きだが、彼女はコンピュータ向きの人ではない。この Kindle Fire はまさに彼女のような人のために作られている。Apple が iOS でしたよりも、さらにもっと多くのインターフェイスを取り去っているからだ。いくらかのコンテンツが Fire 上にあってまたいくらかがクラウド上にある状態で彼女に Fire を手渡せば、彼女もほんの一つ二つ突つき回るだけですべてをこなせるだろう。メディアを消費する側から、学ばねばならないことは非常に少ない。以前に Amazon から何かのコンテンツを購入したことのある人にとって、Wi-Fi ネットワークが使える限り、トップレベルのセットアップとか同期の作業とかいったものは一切必要ない。すべては目の前に、一目で明らかな状態である。

これを iOS 5 と比べてみよう。iOS 5 は、長い間に Apple がそのアプローチがどのように働くか(それとも働かないか)を考えもせずにさまざまの新しい種類のメディアを追加し続けてきたことの悪弊に苦しんでいる。悲しいことだが、この点が Apple に最も Microsoft 臭のするところだ。機能を新たに考案する代わりに、ただ増大させ続けている。デスクトップ機に移れば iTunes は膨れ上がった袋となり、互いにほとんど無関係な多数のものがその縫い目から顔を出して今にもはち切れんばかりとなっている。一方 iOS も、iOS 5 になってさまざまの異なった形のメディアを Music、Video、iBooks、Newsstand の各アプリに切り分けただけで、大して改善されていない。

こんな状況を考えてみよう。私は Mac のラップトップ機で映画を一つ購入したが、それは特定の一つのエコシステム、例えば Amazon または Apple の囲いの中でしか再生できない。つまり、DRM による足枷をかけられている。私がそれをモバイルデバイスで観たいと思ったとする。Amazon で購入した映画を Kindle Fire で観るのならば、何もないところからその映画を観始めるまでの手順は以下の通りだ。ただし、Wi-Fi ネットワークがアクティブであってそこに接続されているとする:

  1. Video タブをタップする。
  2. ライブラリ一覧が出ていなければ。Library をタップする。
  3. まだ選択されていなければ、Cloud をタップする。数秒で、あなたの個人用ライブラリがロードあるいはキャッシュされ、画面に現われる。
  4. その映画をタップする。
  5. Play または Download をタップする。

Download をタップした場合は、映像が一定量バッファに格納されるのを待ってから再生が始まる。Play をタップした場合はストリーミングモードを使うので再生が始まるのが早い。ただし、その引き換えとして画質が多少落ちるようだ。ストリーミングにより最終的に転送されるデータ量は、同じビデオファイルをダウンロードで入手した場合よりも少ないのが普通だ。

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iTunes で購入した映画を iOS デバイスで観るのならば、搭載されているアプリで映画を転送することはできない。ここでは三つ選択肢がある:

まず第一に、ホームシェアリング経由でメディアをストリーミングできるが、あらかじめ該当する iTunes の中でホームシェアリングを設定しておかなければならない。また、iTunes の走っているコンピュータと同じローカルネットワーク上にあなたがいる必要もある。手順は以下の通りだ。ただし、その映画のある iTunes と同じアカウントを使ってホームシェアリングをあらかじめ設定 (Settings > Video > Home Sharing) しておく:

  1. Videos アプリをタップする。
  2. 一番上に Shared 項目が出るまで待って、Shared をタップする。
  3. ネットワークから、Shared システムを名前で選ぶ。
  4. 遠隔ライブラリがロードするまで待つ。(私のライブラリとネットワークの場合、これには数秒以上、1分以下程度かかる。)
  5. 映画のリストをスクロールして、一つをタップすれば再生が始まる。その際メディアはダウンロードされるのではなく、ローカルネットワーク上で(フル画質とフルのバンド幅で)ストリーミングされる。

第二に、もしもその映画のコピーをデバイス上に取り込みたいならば、iTunes を使って作業して、その iOS デバイスのローカルストレージをアップデートする必要がある:

  1. その iOS デバイスのためにメディアの購入を管理しているコンピュータ上の iTunes を起動する。
  2. サイドバーの Devices リストでその iOS デバイスを選択する。(Wi-Fi Sync をオンにしていない場合は、USB 経由で接続しておく。)
  3. Movies タブをクリックする。
  4. Movies リストをスクロールしてあなたが購入した項目を探し、その項目の横にあるボックスをチェックする。
  5. Sync をクリックして、同期が終了するまで待つ。
  6. iOS デバイスに戻り、Videos アプリをタップする。
  7. リストで映画を探し、タップして再生を始める。

最後に、第三の方法として、iTunes で自動同期機能を有効にしておくこともできる。こうすれば、最近の、あるいはまだ観ていない映画、またその他のメディアが自動的にコピーされる。単に、あなたのデバイスを電源に接続(自動 Wi-Fi Sync の場合)または USB に接続(これは USB 同期の場合も、またデバイスに電源が供給されるので Wi-Fi Sync の場合も働く)した状態で、同期が始まるのを待てばよい。あるいは、Wi-Fi Sync を使って、iOS デバイスの側から Settings > General > iTunes Wi-Fi Sync を選んで Sync Now をタップすることで強制的に同期させることもできる。

最初の二つの選択肢は、おそらく私が感じるほどには面倒な手順だと思わない人もいるかもしれない。第三の、iTunes からの自動同期の方法がベストだが、手作業の介入なしにこれが使えるためには十分なストレージ容量があり、まだ観ていない映画が十分少ないことが必要だろう。(iPhone や iPod touch は機種によってはたった 8 GB しかストレージ容量がないけれども、大多数の iPhone とすべての iPad は 16 GB から 64 GB の容量を持っている。一方、Fire で購入済みのメディアを保管しておける容量はたった 8 GB だ。)さらにもう一歩深めて考えてみると、Amazon はあなたがどんな Wi-Fi ネットワークに接続していてもそこから再生操作ができるようにしている。これに対して Apple が映画を扱うやり方はすべて、その iOS デバイスのホストとなっている iTunes に USB またはローカル Wi-Fi でアクセスできることが条件となる。(購入済みの項目をどこからでも iOS デバイスに同期できる選択肢がもう一つあるが、これについては後で触れる。)

もちろん、ロックされていない映画(つまり、あなたが DVD からリッピングしたものや、あるいはどこか他のところから入手したもの)は、Amazon の方では Wi-Fi 経由で扱うことが一切できないけれども、Apple の方は iTunes と iOS が再生できるものならば何でも同期やホームシェアリングのストリーミングの対象として扱える。(Kindle の中へ項目をコピーすることについてはすぐ後でまた述べる。)

さきほど触れたように、Amazon での音楽の設定については但し書きが必要だ。iTunes Match における Apple のやり方は、音楽のカテゴリーについてははっきりと優っている。ただし、再生の際にダウンロードせずストリーミングのみにすることができない点を別にすればではあるが。Amazon は、Amazon アカウントと組み合わされた Cloud Drive サービスに 5 GB の無料ストレージ容量を提供しており、現時点では音楽ファイルはその総量に勘定されない。つまり、音楽は無料で無制限に保存でき、ウェブ経由(デスクトップまたはモバイルのブラウザ上)で、Android アプリを使って、または Kindle Fire 上で、再生できるわけだ。

あなたが音楽を Amazon から購入すれば、購入された項目が自動的にあなたの Cloud Drive に追加されるよう設定しておける。けれども、購入しない音楽や、その方法で追加するよう設定しなかったものは、手動でアップロードしなければならない。マッチ機能は一切ないし、Amazon 以外の出所からローカルな音楽コレクションへ項目を追加するに際しての同期機能のようなものもない。

一つの目的ごとに一つずつのアプリ -- iOS における映画の扱いは、とりわけ Apple のやり方の悪い面を示している。他のほとんどすべての種類の購入済みメディアが iCloud から直接リストア可能であるのに対して、映画のみが違った方法で処理されるからだ。そうは言っても、他のタイプのメディアにコピーまたはストリーミングでアクセスする際にも、まだまだインターフェイス上のハードルが横たわっている。ほとんどすべての種類のメディアが iOS 5 ではタイプごとにばらばらのアプリに分割されてしまっているが、この点をぜひともいつかは Apple に是正してもらいたいものだと思う。iOS 上に保存された音楽(それとポッドキャストやオーディオブック)は Music アプリが管理し、テレビ番組や映画は Videos アプリの中にある。それなのに,iTunes から購入した音楽でまだそのデバイス上にないものをダウンロードするためには、iTunes アプリを起動しなければならない。テレビ番組もまた、iTunes アプリでダウンロードできる。(さきほど述べた通り、購入済みの映画をこの方法でダウンロードすることはできない。)

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オーディオやビデオよりも首尾一貫しているのが、App Store アプリを使ってアプリを購入、アップデート、ダウンロードする場合と、iBooks アプリを使って電子ブックを新規に購入したり購入済みのタイトルをダウンロードしたりする場合だ。(ヒント: Take Control 電子ブックでよく見られるように、電子ブックがアップデートをされた場合、新バージョンは改めて iBookstore からダウンロードし直して入手するしかない。ここには通知のシステムはない。)iOS 5 で新たに登場した Newsstand アプリは、まだ統合されずに別アプリを必要とするものを除く大多数の定期刊行物を扱う。この点は Kindle Fire でも同じで、一部の定期刊行物は購読の管理や個別の号の購入を Newsstand 表示を使ってするが、例えば The New Yorker のように別アプリを必要とするものもある。

年額 $24.99 の料金を払う iTunes Match を Apple がスタートさせたことで、状況はより手軽な、けれどもより複雑なものとなる。なぜなら、iTunes Match は音楽についてのみ動作し、本やビデオを扱わないからであり、また音楽はあなたの iOS デバイスへダウンロードされるのみであって、デバイス上に保存せずストリーミングすることはできないからだ。(この保存は自動的に起こる。デスクトップ版の iTunes の中で iCloud にある楽曲をクリックすればストリーミングが始まる。iTunes にその楽曲を取り込むには、iCloud ダウンロードアイコンをクリックしなければならない。一方 iOS では、クラウドにある楽曲名をタップすれば、再生が(バッファされた後)始まるとともに、ファイルがその iOS デバイスのメディアストレージ領域の中に少なくとも一時的にせよ取り込まれる。一時的にと言ったのは、後になって場所が必要となれば iOS がそのダウンロードした楽曲を勝手に削除するかもしれないからだ。)

この種の複雑さを単純化する方法が一つある。たいていの iOS デバイスでは Kindle Fire よりストレージ容量に余裕があることを利用するのだ。iOS で、Settings を起動し Store をタップしてから、Music、Apps、Books の中から好きなものについて Automatic Downloads をオンに設定しておく。(これは、デスクトップの側の iTunes で新規のダウンロードや未再生のメディアをその iTunes プログラムによりコントロールされる iOS デバイスへプッシュする設定とは別のものだ。)テレビ番組と映画にはこれは使えない。また、Newsstand で購入したものは iOS 内での管理しかできない。それでも、これが意味するところはあなたが音楽、本、アプリを Apple からどのデバイスあるいはコンピュータで購入してもその度にあなたの持つすべてのコンピュータやデバイスが機会があればすぐ自動的にその購入物をダウンロードしておいてくれるということだ。(映画がここに含まれさえすればいいのにと思う! でも、そうなればあまりにも多くのバンド幅を消費してしまうかもしれず、また Apple の現行のライセンス契約に抵触するかもしれない。)

Apple がこのように複数のアプリに依存しているのとは対照的に、Kindle Fire のインターフェイスはすべて一体となってあらゆるメディアについて展開する。ホームスクリーン上で、あらゆるメディアタイプへのトップレベルのアクセスが提供され、ナビゲートするインターフェイスも首尾一貫している。ある意味、これこそ Fire が iPad にも他の Android タブレット機にも競合するためにデザインされていないことの証とも言える。Fire は、他の何より、メディア消費を第一の目的としているのだ。

Fire は購入していないメディアには口ごもる -- Amazon 以外の出所から入手した本、オーディオ、アプリ、ビデオについては、それらを Kindle Fire 上で管理するのは非常に厄介な手間がかかる。Apple では、ありとあらゆる種類のものを(それがサポート対象のフォーマットであり、DRM で保護されていない限り)iTunes の中へただドラッグするだけでよい。そうすれば、あなたが購入したものと同様にそれらも同期される。

Amazon でもそれは許されるが、管理をするためのプログラムがどこにもない。その代わりに、Kindle Fire を USB 経由であなたの Mac (または Windows システム) に接続しなければならない。するとその Kindle Fire がデスクトップ上に一つのボリュームとして登場するので、サポート対象のフォーマットのファイルをドラッグして Finder の中で適切なフォルダへ出し入れしてやらなければならない。また、どの種類のメディアが処理されるのかはあなたが自分で判断する必要がある。これに対して、iTunes ではサポート対象外のメディアは同期の対象とならない。(Amazon 以外の出所から入手した Android アプリを追加するためには設定を変更する必要があるが、それはただソフトウェアスイッチを一つ切り替えるだけだ。)

これが、Amazon の強みでもあり弱みでもある。Amazon から購入したメディアをどこにいても手軽に使えることを、ウェブ経由でも、アプリを使っても、ビデオデバイス(例えば Roku や、多くのインターネット対応テレビなど)でも、そして自社の Kindle リーダーを使っても簡単に利用できることを宣伝することによって、人々が Amazon のみからメディアを購入する動機付けをしているのだ。いったん Amazon のテントの外に足を踏み出せば、たちまち Fire はその輝きを失ってしまう。そのインターフェイスは引き続き導きの光となってはくれるが、購入済みでないメディアの使用はどうやら意図的に困難にされているように見える。

もちろん、Apple としても目標は同じだ。けれども、顧客たちが Apple からメディアを購入するよう促すために Apple が試みているのは、他のすべてのメーカーを同社の FairPlay のテントから締め出すというやり方だ。例えば、iTunes からレンタルで入手した映画を iOS 以外のデバイスで再生することはできない。けれども Apple の名誉のために言っておくと、他の出所から入手した DRM フリーのメディアは、Apple のデバイスで問題なくアクセスすることができる。それだからこそ、単に項目を iTunes の中へコピーするだけで、そのまま簡単に同期されるのだ。その上、iTunes Match があれば、年額の料金が必要になるとしても、面倒なアップロードの作業が競合するサービスとは比べものにならないほどほとんど不要となり、新たに入手した音楽がすべて、自動的にあなたの iCloud コレクションに同期されるようになる。

最高のものから学ぼう -- Kindle Fire には、確かにまだ成長の余地がたくさんある。最初のバージョンとしてはなかなか優れものだと私は思う。けれども私が最も魅力を感じるのは、購入済みのメディアをどこにいても好きな時に手にすることのできる Amazon のシンプルさだ。Apple は同期の際に iOS デバイスが USB ケーブルなしに済むようにしたかもしれないが、たいていの人たちにとってはデスクトップ上の一つの iTunes を巡って四つの別々のアプリを使い分けてメディア管理をしなければならない状態に陥ってしまっている。Fire も決して完璧ではない。けれども Fire は、Apple がどうすれば購入済みメディアへのアクセスをもっと手軽にできるかの道を指し示しているのではないだろうか。そしてそれは、比類なき挑戦でもある。

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嘘をつけと子供たちに教えるのは COPPA

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

去年、私たちが住んでいる Ithaca 市の学区にテクノロジーに詳しい教育長が赴任したため、今は 7 年生[訳者注: 日本の中学一年生に相当]になった私たちの息子 Tristan のクラスでも、先生たちが教えるやり方にいくつか歓迎すべき変化が現われている。テクノロジーの利用をもっと増やすようにという教育長の要請に応えて、先生たちは宿題の多くを電子的に受け付けるようになった。また、クラスの授業内容をまとめたり、宿題をリストしたりするために、クラスのブログも作った。Tristan が勉強の目安のためにブログをチェックしたり、Google Docs で宿題を提出したり、英語の授業の一環として NaNoWriMo に参加したり、教室外での質問を先生たちへの電子メールでしたり、一般的に言って私たちが毎日の仕事で使っているのと同じ種類のツールを使っているのを見て、私たちは全体的に非常に満足している。

ただ、この明るい風景の中に、一点だけ黒い雲の漂う個所がある。Tristan は 1 月までは 13 歳にならないのだが、こうしたテクノロジー構想にフルに参加するために、彼は多数のアカウントをセットアップする必要があった。例えば Google アカウントや、Blogger アカウントといったものだ。けれども米国で 1998 年に制定された法律 Children's Online Privacy Protection Act (COPPA, 児童オンラインプライバシー保護法) に従い、Google や、Apple、その他多くの会社、中でも特に Facebook は、サービス利用規約の中に次のようなあからさまな条項を含めるようになった:

当サービスを利用する人は、少なくとも 13 歳以上でなければなりません。

おや、おや。

従来は、このような文章はたいていぎっしり詰まった法律用語の海の中に隠れていて、正直なところ、誰も読まないと言えるようなものであった。けれども、その後次第に、生年月日の記入がサインアップ用フォームの中で必須の項目となり、ごくシンプルな JavaScript の算術計算によって 13 歳未満が登録することは拒否されるようになってきた。もちろん、回避するのは容易だ。ただ単に、自分の生年月日について嘘を記入すればよいだけだ。この一年間、私たちはまさにそれをするように Tristan を手助けする機会が何度かあった。

(オンライン上で大いなる悲嘆を招いたことだが、既存の Gmail アカウントを持つ子供が別の Google サイト、例えば YouTube のようなところで 13 歳未満の生年月日を入力すると、Google はそのアカウントを無効にするとともに、親がアカウントの所有権を引き継がない限りすべてを削除するぞと脅してくるようになってしまった。)

この COPPA 法の立案者たちは、13 歳未満の子供に特定のオンラインサービスのアカウントを持たせたいと両親たちが思う正当な理由が存在していることは当然認識していた。そこで彼らは「認証可能な親の同意」を通じてそれを可能にする方法を提供している。問題はその内容だ。許されているやり方とは、次のようなものだ:

既にこの時点で、インターネットサービスに慣れた人たちからのクスクス笑いが聞こえてくるようだ。たとえ、両親たちが説得され訓練を受けてそのような試練をくぐることができたとしても、大人たちを主たる対象とするウェブサイトがわさわざ資金を投入してその種の物理的書類の処理を引き受けたり、余計な手続きを工夫したり、デジタル署名に不慣れな初心者たちを助けるためのサポートを提供したりするはずがない。子供たちがメインのターゲットであるサイトなら、それが会社のビジネスである以上、トラブルを引き受ける気にもなるだろうが、一般相手のサービス、例えば Google、Apple、Facebook などは、アカウント所有者を 13 歳かそれ以上のみに制限する方がずっと簡単だと判断するに違いない。興味深いことに、Twitter は現在、とても巧みな表現でこの制限を言葉にしている。(それはサービス利用規約の中でなく、プライバシー規約の中にある。)Twitter がアカウント解除する権利を持つとしつつ、アカウント作成を年齢によって頭から制限したりはしない。以前の同社のサービス利用規約にあった表現を、同社は現在次のように変更している:

当社のサービスは 13 歳未満の人々に向けられたものではありません。もしもあなたがご自分の子供があなたの同意なしに個人情報を当社に提供したことに気付かれれば、どうぞ [email protected] にご連絡下さい。私たちが意図的に 13 歳未満の子供たちから個人情報を収集することはありません。もし 13 歳未満の子供が個人情報を提供したことに気付けば、私たちはそのような情報を削除しその子供のアカウントを解除するための対策を講じます。

でも、大多数のサイトで未成年者が頭から拒否されているという現実により、私たちは結局、親として子供たちに「インターネットは嘘をついても構わないし、時には嘘をつくのが必要になることもあるのだよ」と教えざるを得ない状況へと追い込まれている。もちろんそれは COPPA の意図することではなかったけれど、最近 Microsoft Research の danah boyd、Northwestern 大学の Eszter Hargittai、California 大学 Berkeley 校の Jason Schultz、Harvard Law School の John Palfrey が 発表した調査 は、Facebook に焦点をあてつつ、世の親たちが COPPA の年齢制限に関係して何をしているか、何をしていないかについて掘り下げて検討している。

例えば、彼らの調査では次のような結果が出た:

ごまかしが必要になる点に関して、この調査報告の著者たちは、大人たちはオンラインのプロフィールに(例えばデートサイトなどで)不正確な情報を提供しているかもしれないけれども、親たちは自分の子供にオンラインで嘘をつかせることに違和感を感じている、と指摘する。彼らは次のように述べている:

正しくない年齢情報を提供することは、ウェブサイトのサービス利用規約に違反する可能性もあり、リスクを伴うやり取りを発生させるかもしれない。小学生や中学生の親たちは、自分の子供が高校生のふりをして他のティーンエイジャーたちと交流することを望まないかもしれないが、Facebook に嘘の年齢を提供することはまさにその印象を伝達することになってしまう。このことが理由となって、厳しい年齢制限を課すことは親たちを不安な立場に追い込みがちだ。アクセスするために年齢詐称が唯一の手段である限り、親たちは子供たちのアクセスを抑えるか、それとも嘘を大目に見るかの選択を迫られる。多くの親たちにとって、これは簡単な選択ではない。

皮肉なことに、danah boyd は On the Media のインタビュー の中で、警察官が生徒たちにオンラインの安全性について講義する際に、子供たちが自分の居場所について嘘をつくよう勧めることも時にはあると語っている。その結果、現在オンライン上で自分がアフガニスタン人やジンバブエ人だと称している人たちの数がこれらの国の人口より多い事態になっているという。(アルファベット順で最初と最後に来る国名が、それぞれ Afghanistan と Zimbabwe だ。)

結びに、Tonya と私は、両親たちの多数派と完全に同じ意見だ。Tristan が Facebook アカウントを欲しがったことはないけれども、私たちは数年前に彼のために Twitter にサインアップして、私たちが旅行中にも短い文章で彼とやり取りできるようにした。(今では Tristan はテキストメッセージを扱える携帯電話を持っていて、学校でイベントがあった際などで迎えに行く時間の連絡に使っている。)私たちは、COPPA があるからといって学校関係のアカウントを彼が取得するのを妨げようとは思わない。実際、Tristan がオンラインでセットアップするアカウントすべてで、例えば Pandora、Edmodo、Google といったもので、年齢を偽らなければならない場合は必ず私たちの許可を得ること、それからすべてのログイン情報をスティッキーノートに書き留めておくことを彼に約束させている。(スティッキーノートは忘れ物をしないために役立っているし、忘れていた宿題で夜更かしするのを防ぐ働きもしている。)いつの日か、たくさん貼り付けてあるこれらのスティッキーノートをシステムの中へ移行させて、Tristan が自分で管理するようにしたいとは思っているけれど、今の彼はたくさんのコンピュータを使っていてコントロールできない状態なので、パスワード管理ソフトウェアは今のところ現実的な選択肢ではない。

他の多くの親たちと同様、私たちは彼が自分の使うオンラインの場所を処理できる能力がある程度にまで成長したと思っているけれど、彼がオンラインでする活動を私たちは監督しているし、推奨を明確な言葉にすること(加えて親たちがそこに参加し続けること)の方が、COPPA が課しているような年齢制限とそこから来る意図せぬ結果よりもはるかに効果があると私たちは考えている。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 11 月 28 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Nisus Writer Pro 2.0.2 と Nisus Writer Express 3.4.1 -- Nisus Software が、同社のワードプロセッサのアップデートを二つ、 Nisus Writer Pro 2.0.2Nisus Writer Express 3.4.1 をリリースした。いずれも互いによく似た改善が施されている。特に、ブラジル・ポルトガル語ローカリゼーションの追加と、(Nisus Writer Pro において) 目次ナビゲータパネルでアクティブな TOC スタイルを変更できる機能の追加がある。今回は、バグ修正に主たる努力が振り向けられた。さまざまなクラッシュの解消や、数多くの調整的変更のほか、Mac OS X 10.4 Tiger で Nisus Writer Express を使っているユーザーにも Microsoft Word 書類が読み込めるようになり、Nisus Writer Pro における WordPerfect 読み込みの各種ツールが改善された。(無料アップデート、Nisus Writer Pro は 146 MB、リリースノート、Nisus Writer Express は 42 MB、 リリースノート)

Nisus Writer Pro 2.0.2 と Nisus Writer Express 3.4.1 へのコメントリンク:

VMware Fusion 4.1.1 -- VMware が VMware Fusion 4.1.1 をリリースした。今回もたらされたのは、新機能が二つと、それからこの人気ある仮想化パッケージに対するちょっとした論争の盛り上がりだ。最も興味深い変更点は、バージョン 4.1 で導入され、すぐに 4.1.1 で撤回されてしまった機能、すなわちデスクトップ版とサーバ版双方の Mac OS X 10.6 Snow Leopard における仮想化のサポートだった。Apple の End-User License Agreement の規定では、Snow Leopard Server の仮想化は許されているけれども、デスクトップ版の仮想化は許されていない。ただし、Mac OS X 10.7 Lion の仮想コピーを走らせることは合法的だ。当初、この変更点は Rosetta を使うために Snow Leopard を必要とした人たちにとって歓迎すべきニュースであった。Rosetta は、Lion の導入に伴って Apple が切り捨ててしまったからだ。(2011 年 5 月 6 日の記事“Lion に備える: お持ちの PowerPC アプリケーションを見つけよう”参照。)しかしながら、 バージョン 4.1 が世に出た後ほどなく発表した技術ノートの中で、VMware は Fusion 4.1.1 アップデートではバージョンチェックを元通りに復活させ、デスクトップ版の Snow Leopard を使う仮想マシンを起動しないようにすると述べたのであった。バージョン 4.1 におけるその他の変更点としては Lion のフルスクリーンモードに「賢く」対応したことがあり、その他数多くのバグ修正やパフォーマンス改善もある。特にグラフィックス、アニメーション、起動に要する時間などのパフォーマンスに大きな改善がみられる。(新規購入 $79.99、現在 $49.99 でセール中、無料アップデート、181 MB、リリースノート)

VMware Fusion 4.1.1 へのコメントリンク:

SpamSieve 2.8.8 -- C-Command Software が SpamSieve 2.8.8 をリリースした。同社の人気あるスパムフィルタリングソフトウェアに、今回は Postbox 3.0 と Growl 1.3 のサポートが追加された。このアプリはまた、アクセス権のエラーに対するより良い回復力を提供することで Apple Mail との互換性を高めるとともに、付属のフィルタを改善して迷惑な電子メールメッセージの探知能力を向上させている。今回のアップデートではフランス語ローカリゼーションに調整が加えられるとともに、いくつかのバグ修正も施されている。(新規購入 $30、無料アップデート、8.8 MB、リリースノート)

SpamSieve 2.8.8 へのコメントリンク:

MacBook Pro ビデオアップデート 1.0 (Snow Leopard) -- 数週間前、Apple は MacBook Pro ビデオアップデート 1.0 をリリースして、15 インチ MacBook Pro (Mid 2010) がフリーズしたりビデオの表示が中断したりする問題に対処した。(2011 年 10 月 27 日の記事“Apple、幾つかのハードウェア関連のアップデートをリリース”参照。)奇妙なことに、そのアップデートが利用できたのは Mac OS X 10.7.2 Lion を走らせている人たちのみで、10.6 Snow Leopard を走らせている人たちのためにはただ単にサポート記事の中でサービスが必要かもしれないと示唆したのみであった。けれども今、Apple はその時と同じ MacBook Pro ビデオアップデート 1.0 (Snow Leopard) を Snow Leopard ユーザーのためにリリースした。おそらく、ソフトウェア・アップデートを走らせればこれを必要とする Mac に正しいアップデートが提供されるだろう。(無料、51.45 MB)

MacBook Pro Video Update 1.0 (Snow Leopard) へのコメントリンク:


ExtraBITS、2011 年 11 月 28 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ポッドキャストを聴く時間がおありなら、最近 Adam が登場したものが二つある。静かに読書を楽しみたい方のためには、特許荒らしの代償について論じた学術論文へのリンクと、iTunes Match のステータスメッセージの意味を説明した Macworld 記事を紹介しよう。

Adam が二つの MUG に登場しているのを聴こう -- MacNotables ホストの Chuck Joiner は、話題を進めるのがお得意だ。Adam が Bay Area Macintosh Users Group と Hershey Apple Core で Skype による出演をして、Steve Jobs を失ったことについて、Adobe がモバイル機器で Flash 開発を中止したことの意味、Mac ユーザーが FileMaker 以外のデータベースを探すとすれば何か、長年の Mac ユーザーにとって Lion のどんなところが厄介か、などといった話題を語る。

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Adam、Tech Night Owl Live で iTunes Match を語る -- こちらのポッドキャストでは iTunes Match が語られる。他の話題としては Kindle Fire について、Android スマートフォンのメーカー各社はアップデートをどう考えているか、一般的なウェブサイトで COPPA による年齢制限が引き起こしている問題についての再考、なども語られる。

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特許荒らしの本当の代償 (PDF 書類) -- Boston University School of Law から出されたこの学術論文で、特許荒らしたちによる訴訟で被告たち(多くの場合研究開発に多大の資金を投資しているテクノロジー会社)は 1990 年から 2010 年までの間に 5 千億ドルを支出したと著者たちは指摘する。そして最近の 4 年間で、このコストは一年あたりの平均で 8 百億ドルにも達した。その上、これらの資金のうち実際の発明者たちの手元に届いたのはごく僅かに過ぎず、被告たちの失ったお金は他の発明を奨励するためには使われていない。要するに、ソフトウェアの特許は(それに関わるこのような状況の大部分において)革新や真の進歩に対する単なる妨げと化している。

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iTunes Match の iCloud ステータスメッセージを解説 -- Macworld 記事で、Jason Snell が iTunes 10.5.1 に新設された iCloud Status カラムに現われるメッセージ(あなたの iCloud ストレージにおける個々の楽曲の状況を示すもの)の意味を解説する。

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