TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1108/09-Jan-2012

今週は実質的なニュースという形になる出来事がほとんどなかったので、実用的な話題に焦点を絞りたい。まず Adam が Lumin を調べてみる。これはシンプルな iOS アプリだが、あなたの iPhone を照明付き拡大鏡に変えてくれる。次に Michael Cohen が Snapseed に注目する。これは写真に処理を施すためのアプリだが、いくつか革新的なインターフェイステクニックを示している。Mac やネットワーキングの世界の話題では、ゲスト寄稿者の Marshall Clow が Markdown や Dropbox で動くサービスの Calepin で簡単なブログをセットアップする方法を説明し、また Matt Neuburg が iTunes Match を使って彼の音楽の一部のみを彼の全デバイスでアクセスできるようにした体験談を語る。

記事:

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Lumin、iPhone を照明付き拡大鏡に変える

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私の眼はそれ程ひどいものではない、少なくとも私の極度の近眼を矯正するレンズを身につけている限りは。しかし、その場にある照明の下では良く見えない程小さいものを読み取らなければならない場合は沢山ある - 機器の裏側にあるシリアル番号、薄暗いレストランでのメニュー、車のダッシュボード下にある物の詳細部分とかである。私は私の作業をしている対象物に明るい光を当てるために使う Petzl Tikka 2 ヘッドランプ を好むようになってきたが、私の額から LED がギラギラ光ったまま公の場に行くことは出来ないし、たとえそうしたとしても、対象物が小さすぎたら良くは見えないことに変わりはない。

この様な状況に対する見掛けによらず簡単な解は Mahboud Zabetian の $1.99 の iOS アプリ Lumin である。これは二つの基本的な動作をする:拡大と照明であるが、これらを iPhone 上に統合すると、自分の眼はもう昔の様ではないという人達に役立つ一つの機器となる。

Lumin はあなたの iOS 機器のカメラを使いあなたが向けた対象物の拡大画像を表示する。多くの場合、より高い解像度の背面カメラを使いたいと思うであろうが、前面向きのカメラに切り替えることも出来る (歯の間にレタスが挟まっていないのを確認するため)。Lumin の倍率は Camera アプリが許す限度を超えていけるが、これは多分 Lumin の目的は読めるようにすることであり、写真として良いかどうかを強調するのではないからであろう。更にもっと倍率を上げたいという場合は、通常の iPhone のピンチしてズームの機能も使える。

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もし iPhone 4 か 4S を使っているのであれば、スクリーン上のボタンをタップするとフラッシュが小さな LED 懐中電灯と化し、あなたが見ているものを明るく照らしてくれる。これは別に新しいアイディアではないが - Apple は懐中電灯アップスをもう受け入れていない、というのも App Store にはもう多すぎる程存在するからである - 暗い所で小さな字の上に一定の光を当てることが出来るというのは、フラッシュを通常の様に使うよりはずっと良い、というのもフラッシュは写真が撮られる瞬間しか光らないからである。

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多くの場合、Lumin を使うのは生きた拡大鏡として実時間で使うやり方であろう。しかしシリアル番号を転写したいとか何かを注意深く見たいという場合は、Lumin のロックボタンをタップすることでその画像をフリーズ出来る。もしその固定画像の倍率がまだ足りないという場合は、更にズームするためピンチを使うことも出来る。その画像はロックボタンをもう一度タップするまではそのままでいるが、共有ボタンを使って Camera Roll に保存したり、メールで共有したり、或いは Twitter に投稿したりも出来る。そしてもし Camera Roll に保存する場合は、Lumin にはオプションがありその拡大画像か、元々の非拡大の写真か、或いは両方を保存するかの選択が出来る。

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Lumin に関して経験した唯一の問題は、カメラの極度に高い倍率のせいで Lumin が焦点を合わせられるだけ長く iPhone を安定に持つのは結構難しいことであった。例えば、これを使って新聞で幾つもの株価を見よう等とは思わない方が良い、どうしてもというなら、新聞から正しい距離を保って動かないように固定出来る小さなスタンドか何かを作る必要がある。状況によっては、ロックボタンをタップしなければならないというのが難しい場合もある;Camera アプリが iOS 5 でやれる様に、横にあるボリューム上げボタンを押せば画像がフリース出来るという事を Lumin が出来れば大変ありがたい、

普通の照明付きの拡大鏡を $5 以下で探すのは並大抵ではないであろう (私が探した範囲では $20 かそれ以上が多かった)、まして写真が撮れていつもポケットか財布の中に入れておけるものとなったら尚更であろう。ということで、あなたが小さいものを見るのが辛くなってきているのであれば、Lumin を試されたい。

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Snapseed、革新的なタッチ技法を採用

  文: Michael E. Cohen <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は年齢からして、最初の Macintosh キーボードとそしてそこにはカーソルキーが無いという今では忘れ去られた多くの人を恐れさせた出来事を憶えている。当時、批評家も開発者もこのカーソルキーの欠如は、Mac の奇妙な角ばったマウスとビットマップスクリーンと並んで、過去との決別でありそして我々が知っているプログラミングに対しては障害物であるとみなした。

時が経つにつれて、最初は Apple が示した幾つかの例に (そしてその後、実際にガイドラインとして出版された)、そしてサードパーティ開発者からの限りのない発想力にも助けられて、このポイント&クリックインターフェースは我々の知っているプログラミングの新しいパラダイムとして受け入れられる様になった。(勿論、カーソルキーは間もなく Mac のキーボードにも登場することになるが、それは別の話である。)

我々は今や、初代の iPhone によって引き起こされたタッチインターフェース革命に取り込まれて数年経ったという所にいる。ここでも、我々は再びプログラマーの中にはこのタッチインターフェースによって提起された限界と機会の両方に適応出来なかった人達を見ることとなったが、他方で Apple の概念を潔く取り入れたばかりか、それを面白いそして有用な方法で拡大した人達もいる。

数日前、私の Twitter ストリームの中でちらっと目に留まったお勧めに従って、写真処理の iOS アプリ、Nik Software の Snapseed、を買った時、私はこのことを思い出した。Snapseed は衝動買いであった、というのも私は iPhone や iPad 上での写真処理はめったにやらないからである;ちょっとした修正のためなら、私の Mac 上の iPhoto で十分だし、それにそうではない場合は、私にはもっと強力な画像編集アプリケーションがある。それに、私の Mac 上のマウスとキーボードの方が、私の変更したい画像の部位に行き、そしてアプリケーションの種々の画像調整制御をより精密にやらせてくれる。しかし、Snapseed はたったの $4. 99 だったし、それにこの賞賛のつぶやきは私の信頼を置く人から来たものでもあったのである、買ってみよう!

多くの他の写真処理 iOS アップスの様に (これには TidBITS スポンサーである Global Delight からの素敵な Camera Plus Pro も含まれる)、Snapseed はグループ別にまとめられた各種の個別処理機能を提供している。例えば、Snapseed の Details グループは (エッジの) 鮮明化と (質感の) 構造処理のためのフィルタを提供し、Black & White グループは画像の色彩を取り除くだけでなくコントラスト、明るさ、粒子の粗さ、そしてその他の画像特性を調整する手段を提供している。Snapseed を他から際立たせているのはその革新的なインターフェース技法である。

ユニバーサル iOS アプリとして、Snapseed は iPhone/iPod touch と iPad に対して別個のインターフェースを持っているが、どちらも、ヘルプ、ツールの選択、そしてこれらのツールの操作のために似た様な技法を使っている。私がとりわけ革新的であると思った Snapseed に使われているインターフェース技法を以下に挙げてみる。

最初に、多くのアップスは一般にオプションやツールを提供するためにポップオーバーとして知られているインターフェース要素を使う:アイコンをタップするとオプションのリストを表示するパネルが現れる;オプションをタップすると、そのオプションが実行され、そしてそのポップオーバーは消える。このやり方はおなじみであり (Mac 上のドロップダウンメニューに似ている) そして使い易い。しかしながら、これにはスクリーンスペースが限られている時には一つの大きな弱点がある:ポップオーバーにはユーザーがタップするための目に見えるアイコンが必要である。

Snapseed は、スワイプするというジェスチャーを通してツール選択を提供するというやり方でこの必要条件を回避している:スワイプアップ或いはダウンすることで一時的なオプション選択のウィジェットが現れ、そこにあなたの指を滑らせることでオプションを選択することが出来る。あなたの指を持ち上げればそのウィジェットは消え去る。引き金となるアイコンは必要でない;ウィジェットはあなたがそれを求めてジェスチャーをした時にしか現れない。

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次に、コントラスト、明るさ、或いは色かぶりの様な、強度とか特性を直線的に変化させるためのツール用には、単に左或いは右にスワイプするジェスチャーだけが、変更するために必要なこととなる。

どうやって色々なツールにアクセスしたり操作したりするのか覚えていない場合に備えて、Snapseed は、あなたが新しいツールグループを選択すると現れる Help オーバーレイをデフォルトで提供している。このオーバーレイはあなたがスクリーンに手を触れるや否や消え去るし、そして Snapseed 流のやり方に一旦慣れてしまえば、これをオフにも出来る。

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最後に、Snapseed が画像の部位を調整するために取り入れた三番目の技法がある:移動出来る "制御点" であり、一つの画像内でこれをコピペ出来る。例えば、画像の一部を明るくするためには、画像の必要部分に制御点を置き気に入る所まで調整し、それからそれを押さえたままにしてコピーオプションを示すポップオーバーが現れるのを待つ。それから、画像のそれ以外の部分をタップしポップオーバーから Paste オプションを選択、その場所に前の点のコピーを設定と共に置く。

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制御点の効果が及ぶ範囲は、その点をタップして選択しそしてピンチすることで範囲を調整する。大抵の場合、制御点はその効果をその点が置かれたエリアに似た画像部位だけに限定する賢さを持っている。例えば、一つの制御点で画像の逆光になった部分を周りの明るい背景に影響を及ぼすことなく明るくすることが出来る:ピンチしていくと、赤いオーバーレイが画像のどの部分は影響を受け、どの部分は影響を受けないかを示す。

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Snapseed 開発者達が採用したこのインターフェース技法は、iOS ジェスチャーインターフェースの賢い変形と拡張である。これによりゴタゴタさせることなしに発見可能性が容易に得られ、そしてほんのちょっと使っただけで自然で明白に見える程このアプリの各種のツールグループ間での統一性も得られている。

Mac OS の初期の頃の様に、iOS はサードパーティ開発者達が先導となったインターフェースの探求と拡大の創造的期間を迎えている様に見える。勿論、これら実験の全てが生き残り他の人達にも採用される様になることは無いであろう。しかし Nik Software のインターフェース設計者達は残すに値する様に思えるものを幾つか作り出した。

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Calepin: シンプルで最小主義のブログ制作に一捻り

  文: Marshall Clow <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

時々、私は短い文章を書いてそれを他の人たちと共有したくなる。ブログはそれを簡単にできるようにしてくれるけれども、私が書く類いの文章には例えば Blogger とか WordPress とかいったフル機能のプラットフォームは大袈裟すぎる。私は決して本格的にウェブに登場したいなどと思っている訳ではなくて、ただ自分がごくたまに書く文章を、ソフトウェアを設定したりテーマをいじったりするといった手間をかけずに公開できればよいと思っているだけだ。

それに、私はデータを失うのが恐い。わが不滅の散文(のたった一つのコピー)を誰か他の人のサーバに保存して、システム管理者がちょっとミスをしただけで消え去ってしまう危険と隣り合わせなんて、私の考え方には合わない。

そこで登場するのが Calepin.co だ。これは、MarkdownDropbox という二つの既存のテクノロジーを巧みに組み合わせている。Markdown はシンプルなフォーマッティング言語であって、読みやすくかつ書きやすいフォーマットを使ってマークアップを指定することができ、Markdown 対応の構文解析ツールを使えば HTML にも変換可能だ。 Dropbox はウェブサービスであって、あなたのハードディスク上のフォルダをインターネット経由で他の人たちと共有できるようにする。(2009 年 2 月 3 日の記事“Dropbox:ある共同編集者の夢”参照。)これら二つを組み合わせれば、シンプルなブログ作成のレシピとなる。

Calepin の背後にあるアイデアは単純だ。文章を Markdown 言語で、ストレートなテキストファイルとして書いて、あなたの Dropbox フォルダ内部にある特別のフォルダの中に保存する。あなたのファイルはすべて、あなたのローカルなマシンの上に留まる。普通のファイルと全く同様に、Spotlight で索引付けもできるし、Time Machine、CrashPlan,その他あなたのお好きなバックアップ体制の下でバックアップもできる。

Calepin を使い始めるための最初の手順は、 Calepin ウェブサイトでサインアップすることだ。ここで、あなたは相応しいユーザ名(これがあなたのブログの URL の一部となる)を指定し、サイトのタイトルを設定する。ブログへのコメントを有効にしたい場合はあなたのDisqus サイト名を入力でき、アバターを表示したり Follow ボタンを付けたりしたい場合はあなたの Twitter ユーザ名を入力できる。Calepin はあなたの Dropbox アカウントに接続する許可を求めてくるが、いったんそれが認められれば、Dropbox/Apps/Calepin という特別のフォルダが作成され、このフォルダがあなたのブログ投稿のために使われる。(Calepin がアクセス権を得るのはこのフォルダのみなので、他のフォルダが人目に晒される心配はない。)

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いったん Markdown で文章を書き、それをあなたのローカルな Calepin フォルダに保存すれば、あとは Calepin ウェブサイトを訪れて Publish ボタンをクリックするだけでよい。すると Calepin があなたの Calepin フォルダの内容を読み込み、そこにあるファイルの中に新しいもの(または変更されたもの)があるかどうかを判定し、Markdown フォーマットを HTML フォーマットに変換し、個々のファイルごとに一つずつの投稿記事を作成し、あなたの投稿記事のトップレベルリストを更新する。

Markdown ファイルは単なるプレインテキストなので、どんなテキストエディタでも、あなたの好みのものを使って作成できる。私の場合は BBEdit,が好みだが、それは「うんざりしない」ことと、Markdown ファイルのプレビューができるので投稿記事が最終的にどのように見えるか分かることが理由だ。でも、BBEdit を使わなければならない理由は何もないし、一つのツールのみに縛られる必要もない。まず仕事場で BBEdit を使って記事を書き始めてから、家路につき、途中電車の中でも iPhone や iPad 上で、例えば Elements のような Markdown と Dropbox に対応したエディタを使って書き進めることもできる。あなたの投稿記事は Dropbox の中に保存されているので、Dropbox がインストールされたものならばどこでもファイルがあなたの執筆を待っている。

あなたの Calepin 投稿記事に画像やビデオを追加するのも簡単だ。画像への参照情報を挿入するだけで、Calepin がその参照のために必要な HTML を生成してくれる。Calepin はあなたの画像をホストするのではなくて、ここでもやはり Dropbox に依存する。つまり、画像をあなたの Dropbox Public フォルダの中に置いてから、その "public link" (ファイルを Control-クリックして、コンテクストメニューから Copy Public Link を選ぶ) を埋め込む必要がある。幸いにも、Calepin Guide ma の "Adding a Photo to Posts" セクションに、やり方の明快な説明がある。他の種類の公開ファイルと区別するため、Dropbox/Public の内部に Images フォルダを作って、画像はすべてその中に保存するようにしてもよい。

Calepin がブログ記事をビジュアルに表示するやり方は質実剛健だ。すべての記事に、たった一つのスタイルが用いられる。例としてこちらをご覧頂きたい。テーマその他を追加する予定はないという。彼らのポリシーはこうだ:「新聞に短編小説を投稿するのと同じだと思って欲しい。記事のルック&フィールに著者の個性が反映されることはない。著者の個性は、文章そのものを通じて映し出される。」

Calepin は無料のホスティングを提供するが、著作権に関する彼らのポリシーは愉快なまでに率直なものだ:

「あなたが Calepin で公開したもののすべてについて、あなたが著作権を保持し、将来にわたって保持します。わが社がそれを再利用したり、販売したり、あなたから権利を取り上げようと試みたりすることはありません。あなたが作ったものをわが社が宣伝資料として使いたい場合、わが社はあらかじめあなたに許諾を求めます。」

確かに、Calepin はすべての人の気に入るようなものではない。WYSIWYG の編集を好む人は不満だろうし、意匠を凝らしたブログテーマが欲しい人はがっかりするだろうし、また記事がどのように現われるかについて厳密なコントロールをしたいブロガーならば他のツールを探すべきだろう。Markdown がごくシンプルな言語に過ぎず、主としてテキストのみの記事に少しだけ構造が入ったものを、手軽に作れるようにするためにデザインされているからだ。けれども、シンプルなレイアウトで表示されるブログ記事を、テキストベースのツールを使って作成したい人たちにとっては、Calepin は無料であり、ブログの世界に手を染めてみるための手軽な方法となってくれるだろう。

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私がなぜあえて iTunes Match を試し、実際気に入ったか

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iTunes Match が初めて一般にお披露目されて以来、(Adam Engst の 2011 年 11 月 14 日の記事“iTunes 10.5.1 が iTunes Match をお披露目”参照)私は自らの六段階にわたる拒絶の感情に直面した。いったいこれは何だろうかという混乱の気持ち、自分なら絶対そんなものは試してみないだろうという直感、といった感情だ。私にとっての一番の障壁は、見たところたくさんのことが自動的に起こるように思えて、直観的に恐いと感じてしまったことだった。この iTunes Match というものは何だか知らないが、とにかく私の持っている音楽に関係している。でも、長年かけて私はたくさんの音楽を収集しタグ付けもしているのだ。そこに何か悪いことが起こったらと想像するだけでも恐ろしい。とにかく私は自分自身でこれを掌握していたい。そこで、私は iTunes Match を無視することにした。

その後しばらく経ってから、私はその不安を克服し、宿題に手を付け始めた。そのきっかけは、Macworld で本当に素晴らしい記事を読んだからであった。当初、私はそこに書いてあることが理解できなかった。それから私はもう一度記事を読んだ。それからまたもう一度。時が経つうちに、私はその要点を理解し始めた。

理解できた一番の要点は次のことだった:iTunes Match の中心的な利点とは、まさに Adam が上記の 彼の 記事に書いている通り、「自分の音楽ライブラリの内容すべてをクラウドの中に保存して自分の持っているすべてのコンピュータや iOS デバイスで再生できるようになる」ことだ。だから、例えばクラウドの中に 50 GB 分の音楽を保存しておいて、16 GB の iPhone でその音楽を聴くことができる。たとえその iPhone 上にすべてを保存できる容量がなかったとしても。実際、iPhone 上ではほとんど容量が必要 ない。音楽はクラウド上にあるのだ。その点は私が望んでいたことでもあった。少なくとも、試してみるのも悪くない、と私は思った。

けれども、試すにしても少しずつにしたかった。いきなり私の音楽ライブラリをすべて iTunes Match に渡して「さあ、iTunes Match よ、こいつをクラウドに入れてくれ」と言うようなことはしたくなかった。一つには、私の持っている音楽は 200 GB もあって、私のインターネット接続は何とものろのろした DSL 接続だった。もう一つ、トラック数に 25,000 までという制限があり、私のライブラリはその制限をはるかに超えていた。それからもう一つ、私の持っている 実際の 音楽ファイルを iTunes Match に手渡してしまうのは嫌だった。思いがけない不都合が起こったりしては困るからだ。

そこで、私は手始めにシンプルな目標を設定しておこうと思った。一つの実験として、モーツァルトの作品だけを全部集めて、それをできるだけ安全に、クラウドに入れてみることにした。以下に、私が辿った手順を順々に説明しよう。

音楽をコピーする -- すべては私のコンピュータ上、iTunes で始まる。ここで重要なのは音楽 ファイル だ。私の通常の音楽ファイルを iTunes Match に引き渡したくはなかったので、コピー を作ってそれを渡すことにした。

そこで、Finder の中で、デスクトップに、Mozart という名前のフォルダを作成した。iTunes で、私の持っているモーツァルトをすべて含んだプレイリストを開き、モーツァルトのトラックをすべて選択して、それらを iTunes からデスクトップ上の Mozart フォルダの中へドラッグした。その結果、私のすべてのモーツァルトのトラックが Mozart フォルダの中へコピーされた。こうして作ったコピーを iTunes Match へ渡すのだ。

別途にライブラリを作成する -- あまり知られていないけれども極めて重要な事実がある。iTunes ライブラリを複数持つことは可能なのだ。同時に複数のライブラリをアクティブにしさえしなければ何の問題もない。Option キーを押さえながら iTunes を起動すると、iTunes ライブラリを含むフォルダはどこかと尋ねてくるとともに、完全に新たな iTunes ライブラリのフォルダを作成することもできる。そこで私は新規にこれを作った。私は iTunes に命じて、私の Music フォルダの中、iTunes という名前の通常の iTunes ライブラリのフォルダの隣に、iTunes Match という名前の新しいフォルダを作らせた。

この時点で、私の目の前には iTunes が走っていたが、音楽は何も見えなかった。なぜなら、この iTunes Match ライブラリは全く新しかったからだ。この新しいライブラリフォルダには完全な iTunes ライブラリを構成すべきさまざまのファイルやフォルダが含まれており、独自の環境設定ファイルもそこにある。そこで、Advanced (詳細) 環境設定で、「ライブラリへの追加時にファイルを "iTunes Media" フォルダにコピーする」というオプションをオフにした。私の目標は iTunes にいくつかの音楽ファイルを見せて、その分だけをクラウドに置かせることであって、それ以上ではなかったからだ。私の音楽で必要以上にコピーを作りたくはなかった。

一時的な音楽ストレージを作る -- Finder の中で、私の Music フォルダの内部に Music Temporary という名前の新規フォルダを作成した。この Music Temporary フォルダの中に、さきほどデスクトップ上に作成した Mozart フォルダをドラッグして入れた。それから、その Mozart フォルダを iTunes のサイドバーの上へドラッグした。

その結果、新しい iTunes ライブラリである iTunes Match が、私のモーツァルトのトラックを、かつそれのみを、認識するようになった。その上、認識されているのは元のファイルのコピーであって、そのコピー専用の場所(つまり Music Temporary フォルダ内部の Mozart フォルダ)に置かれているものだ。この点が、あとになって重要な意味を持つようになる。

iTunes Match をオンにする -- 引き続き iTunes Match ライブラリで作業を続けるが、このライブラリを iTunes Match にサインアップした。その手順は簡単だ。サイドバーの Store 部分の下にある iTunes Match リスト項目をクリックして、Apple ID とパスワードを入力すればよい。その瞬間、あなたの iTunes アカウントから料金 ($25) が徴収され、たちまち iTunes Match が走り出す。

(その後気付いたことだが、私はアカウントから料金が引き落とされたことを知らせる丁寧な電子メールも受け取っていた。)

ベッドに入る、それも二度 -- 次の手順の具体的な詳細は人それぞれだが、ここは相当に時間のかかる作業となる。なぜなら、iTunes があなたの音楽ファイルをすべて分析して、クラウドへのアップロードを開始するからだ。私のモーツァルトのコレクションが大きいことと、アップロードのためのバンド幅が細いことから、私は十分に覚悟していた。丸々一晩以上かかるかもしれない、と。そこで私はベッドに入った。朝起きてみると、予想が正しかったことが分かった。実際、iTunes は私のモーツァルトをまだ半分もアップロードし終えていなかった。

昼間のうちはインターネット接続が滞るようでは困るので、日中に音楽ファイルのアップロードをさせないよう、私は iTunes を終了させた。そして、また夜になって、ベッドに入る前、もう一度 iTunes を起動して Store > Update iTunes Match を選んだ。すると iTunes は中断していた続きから作業を再開し、二晩目も私のモーツァルトのアップロードを続けた。

iOS デバイスでびっくり仰天する -- 次の朝、まるでクリスマスの朝のような気持ちで私は目覚めた。いや、確かにその日は本当にクリスマスだったのだけれど。でも、それとともに iTunes は私のモーツァルトのアップロード作業を終えていた。はてさて、いかなるものを iTunes Match は汝にもたらしたるか、これで分かるというものだ。

震える指先で、私は iPhone を取り上げ、Settings アプリを起動した。Music のところには二つスイッチがある。iTunes Match と Show All Music だ。私はその二つとも ON にした。iTunes は即座に、デバイス上の既存の音楽はすべて消去されると警告してきたが、私はただ悪魔のごとく笑っただけだった。その点こそが、私の狡猾なるプランの要点であったからだ。このデバイスは既に iCloud にサインアップ済みで、私の Mac で iTunes Match にサインアップしたものと同じ Apple ID で登録されていた。だから、これで私の iPhone は魔法のようにあのモーツァルトをすべて見ることができるはずだ。はてさて、首尾はどうかな?

(私の記憶では、この時点の前後あたりで一度 iPhone が私の Apple ID に伴うパスワードを求めてきたと思う。残念ながら、それが正確にどの時点だったか思い出せない。いずれにしても、要求に応じて私はパスワードを入力した。)

私は Settings をアプリを終了して、Music アプリを起動し、Albums に切り替えた。ステータスバー上のアクティビティ表示を見て、この Music アプリがインターネットを通じて通信しているのが分かった。私は待った。そして、しばらくすると... おお、出てきた! 私のモーツァルトのトラックが、注意深くタグ付けされて、アルバム単位で整理されていた。そう、あるべきアルバムが全部そこにあり、どうやらちゃんと私の Music アプリの中に揃ったようだった。ただ、リストの中の個々のアルバム項目に、それぞれ小さなクラウドアイコンが付いていた。アルバムを一つタップすると、そのアルバムの中のトラックがリストされ、個々のトラックごとにやはり小さなクラウドアイコンが付いていた。それから私が楽曲を一つタップすると、心臓が止まるかと思うような小休止の後、再生が始まった。

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さらに良いことに、再生はその後も続いた。私はアルバムの中で再生を始めたので、Music アプリは普段アルバムの中で楽曲を再生する際と同じ挙動をした。つまり、そのアルバムの中の次のトラックをシームレスに続けて再生した。

私が心底びっくりしたのは、同じことが iTunes Match の登場より以前に書かれたアプリ、つまり iTunes Match の存在について何も知らないアプリでさえ、うまく働いたことだ。例えば、私自身が書いた Albumen アプリ もそうだ。このアプリの目的は、Apple の Music アプリのインターフェイスに見られる、長い名前が途中で切られてしまうという欠点を克服することだ。このアプリには私のすべてのアルバム名がフルに表示され、それぞれの内容のトラックもすべてフルタイトル、フルのアーティスト名が表示される。もちろんトラックを再生したり再生を一時停止したりもできる。信じられないようなことだが、私が Music アプリを一度走らせてこのデバイスのライブラリをアップデートした後は、Albumen アプリも私のモーツァルトのすべてのアルバムとすべてのトラックを表示した。どのアルバムもどのトラックも、このデバイス上には一つも存在していないというのに。そして、トラック項目をタップすると、きちんと再生が始まった。

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ただ一つ、Albumen アプリが正しく動作しなかったことがある。舞台裏で、こうしたクラウドベースの再生を iOS デバイス上で実行する方式は、アルバムからトラックを一つ選んで再生を始めさせると、iTunes がまずそのトラックのダウンロードを開始して(それを再生できるようにし)それから次のトラックも(現在のトラックの再生が終わり次第、シームレスに次の再生を続けられるように)ダウンロードする。これら二つのトラック、つまり現在のトラックとその次のトラックとが、Albumen アプリではいつも表示から抜け落ちてしまうのだ。おそらく、いずれ Apple がアプリ開発者たちに新たな手段を提供して、それぞれのアプリが Music ライブラリをチェックする際この新しいクラウドベースの挙動を考慮に入れることができるようにしてくれるのだろうとは思うが。

音楽ファイルを投げ捨てる -- さて、今や私のモーツァルトはクラウドにある。そこが、置きたかった場所だ。だから、ただ iTunes Match に渡すためだけの目的で作った私のモーツァルトの楽曲のコピーはすべて、もう要らない。

そこで、私はここで非常に大胆なことをした。コンピュータ上の iTunes に戻り、それが私のモーツァルトすべてを含んだ特別の iTunes Match ライブラリを表示したままになっているのを確認してから、そのモーツァルトすべてを選択し、Option-Delete を押してそれらの楽曲をすべて私の iTunes Match ライブラリから削除したのだ! iTunes は確認のダイアログを表示したが、そのダイアログにはクラウド上にあるそれらのトラックも 同時に 削除したいかどうかを選べるチェックボックスもあった。でも、もちろん私はそんなことはしたく なかった ので、そのチェックボックスをチェックしなかった。

さて、iTunes の中で私の iTunes Match ライブラリは再び空になった。でも、あのモーツァルトのファイルのコピーはすべてまだ Music Temporary フォルダ内部の Mozart フォルダの中に依然として残っていて、たくさんのディスク容量を占領していた。そこで、私は慎重さを振り捨てて、その Mozart フォルダをずばりとゴミ箱に放り込み、すぐにゴミ箱を空にした。(確かにこれらは私の実際の音楽ファイルのコピーに過ぎないけれど、私の音楽ファイルはあちこちに散らばっているものすべて毎週火曜日にバックアップされるのだ。)

一方、私の特別の iTunes Match ライブラリに戻ってみると、もう一つ驚いたことがあった。それも、非常に嬉しい驚きであった。私がたった今削除したばかりのモーツァルトのトラックがすべて、依然として Music 部分の下にリストされていたのだ。iPhone 上でトラックが表示されていたのと同じように、クラウドアイコンを付けて。それらはもはや(iTunes ライブラリが認知する範囲では)コンピュータ上に存在していないにもかかわらず、それらのトラックがクラウド上にあることを示しつつ、ちゃんとそこに残っていた! 実際、もしも私が望めば、クラウドからそれらを再生することもできたし、さらにはクラウドアイコンをクリックしてコンピュータ上にダウンロードし直すことさえできた。

最後に,私は iTunes を終了し、それから Option キーを押しながら起動し直して、再び私のいつもの iTunes ライブラリを開くように指定した。

これですべてやり遂げた! 私のコンピュータ上のすべてが以前と同じに戻った。iTunes は、以前と全く同じに見えた。念のために言うが、この iTunes ライブラリは iTunes Match のことを一切知らない。私のハードディスクの容量は、以前と比べて減っていない。私はモーツァルトすべてのコピーを作ったけれど、それらのコピーはすべて削除済みだ。でも、私のモーツァルトは今やクラウド上にあって、好きな iOS デバイスからも、あるいは他の Mac からも、いつでも再生することができる。

洗って、すすいで、繰り返す -- その後数日間かけて、私は同じ手順をまた繰り返した。ただし、今回は新たな iTunes Match 対応のライブラリを作成する必要は(既に作成済みなので)なく、また iTunes Match にあらためてサインアップする必要も(既に一年間有効なので)なかった。iTunes を終了して Option キーを押しながら起動し直し、特別の iTunes Match ライブラリを開く。そこに、誰か他の作曲家の音楽のコピーを作って入れる。Store > Update iTunes Match を選んで、ベッドに入る、という具合だ。

その結果、私の持っているベートーヴェン、モーツァルト、ブラームス、ドヴォルザークの楽曲が、今やすべてクラウドに入った。今後も、私の好きな作曲家の作品を、夜ごとにアップロードしてみたいと思う。

デバイス上で音楽を管理する -- さて、ここで問題がある。iOS デバイス上で音楽を管理するための Apple のインターフェイスは、その音楽がクラウドベースの音楽である場合、あまり良いものではない。トラックを一つ再生する度に、それはただ単にストリーミングされるだけでなく、ダウンロードされてそのデバイス上に保存される。(これは Mac 上で起こることとは違っている。Mac 上では、クラウドからストリーミングして聴くだけだ。)これこそ、まさに私たちが 避けよう としていることに他ならない。なぜなら、クラウドからの音楽を聴くうちに、次第にその iPhone には実際のトラックのファイルが溜まり続けて、十分な容量がなくなってくるからだ。

そこで、時々は iPhone に実際に存在しているトラックを見つけて削除してやらなければならない。それが,簡単なことではないのだ。なぜなら、Apple はそれらを見つけるための良い方法を提供してくれていないからだ。ちょっと面倒なのは認めるが、私が採用している解決法は次のようなものだ: Settings アプリに戻り、Music の下で、iTunes Match をオフにする。次に、もう一度 Music アプリを開くと、Songs の下にはこのデバイス上に物理的に存在しているトラックのみが表示される。スワイプして、それらを一つ一つ削除する。トラックの項目はすべて残るが、それらにクラウドアイコンが付いて、このデバイス上に実際に存在している訳ではないことを示すようになる。そして最後に、Settings アプリで、再び iTunes Match をオンに戻す。

おいおい、「マッチ」はどうなった? -- これまで、iTunes Match における "match" 機能について私が何も触れなかったことにお気付きかもしれない。このマッチ(照合)機能とは、あなたの音楽を すべて クラウドへアップロードする代わりに、あなたのトラックのうち少なくとも一部は Apple が保有している膨大な音楽の中に全く同じトラックがあるだろうし、そういうトラックは Apple がそれを供給できるだろうという考えに基づいている。そうすれば時間もバンド幅も節約できるからだ。

けれども、iTunes Match の持つこの側面に、私はあまり興味をそそられない。人によっては、マッチしたコピーが 256 Kbps AAC であって自分のコンピュータにあるものより音質が良いかもしれないことを嬉しいと思うかもしれない。でも、私の音楽は既にそのビットレートでリッピングされている。(圧縮率を高めた場合、私はその違いを聴き分けることができる。)

また、私の音楽は一般的に言って Apple が持っているものとは種類が違う。これまで私が iTunes Match に手渡した 5500 トラックほどのうちで、自動的にマッチされたのはたった 3500 ほどに過ぎず、残りの 2000 は幾夜もかけてアップロードしなければならなかった。大した違いではないと言っている訳ではない。結局のところ、半分以上のものがマッチされたので、六夜かかったものが三夜で済んだという程度の違いはあったろう。けれども一般的に言って、私は手順進行の中でここの部分にはそれほど強い印象を受けないだろうという気が初めからしていた。そして予想通りに、今も大して感銘を受けていない。もちろん、古くから言われている通り、考え方は人それぞれだろう。

私が感銘を受けたのは、さきほども述べた通り、実際には容量が小さ過ぎてそれを保管し切れない iOS デバイスにも、すべての音楽を仮想的に存在させておくことができる点だ。クラウドベースの素材をあたかもそのデバイス上にまさしく存在しているかのようにしてシームレスに表示できるというのは、極めて良く出来たイリュージョンだ。何かの音楽のフレーズについて議論している最中に、やおら iPhone を取り出して「今言っているのはこの曲だよ。ほら、ここ のところを聴いてごらん! え? 何だって? 君は、ベートーヴェンとブラームスとモーツァルトくらい、常に全作品を持ち歩いていないのかい?」と言える日が待ち遠しい。ちょいと軽蔑の交じった哀れみの眼差しを投げ掛ける練習を、密かに繰り返しているくらいだ。もちろん、もしも私の対談相手が Spotify Premium[訳者注: オンライン音楽配信サービス]の購読者だったり、あるいはその人も iTunes Match を使っていたりした場合は、せっかく練習したその眼差しも使わずに終わるかもしれないが。

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ExtraBITS、2012 年 1 月 9 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週は追加の読み物がたくさんある。James Fallows の分析記事は彼の妻の Gmail アカウントがハイジャックされた際の様子を詳しく語り、Amazon からは "Best of 2011" リストが発表され、昔のコンピュータの起動進行の様子を再現したウェブサイトが登場し、EFF が米国国境通過の際にあなたのプライバシーを守るための手引書を出した。また、Tech Night Owl Live のポッドキャストに Adam が出演している。

電子メールアカウントがハイジャックされるとどうなるか -- The Atlantic の 11 月号に載ったこの記事で、James Fallows は妻の Gmail アカウントがどのようにハイジャックされたか、保存してあった何年分ものメッセージを復元するためにどのようなことをしなければならなかったかを語る。これは心揺さぶる物語であると同時に、パスワードをセキュアなものとし、クラウドベースのデータにはオフラインのバックアップを取っておく、そうした予防措置の必要性を訴えるものにもなっているはずだ。

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Amazon の Best of 2011 リスト -- 他の人たちの挙動の統計を参考に自らの世界に対する見方を再調整するのはやはり興味深い。Amazon が最近出した "Best of 2011" リストは、まさにその種の洞察を与えてくれる。ここには、Amazon において 2011 年に最も売れた製品、最も望まれた製品、最も多く贈られた製品、レビューで最もプラスの評価を受けた製品が紹介され、どの製品が複数回リストに登場したかを見るのも楽しい。Apple 製品でここに登場したものはないが、Walter Isaacson による伝記 "Steve Jobs" は登場している。

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The Restart Page でその昔の起動進行を再現 -- Mac の起動時にニコニコ顔の Mac ロゴが出てからスクリーンの下の縁に沿って INIT が列をなして並んだ、そんな昔を懐かしく思いませんか? あるいは、NeXT マシンの起動の際に初期メモりスキャンが走るのを眺めたことを思い出しませんか? もう過去を空しく思い焦がれる必要はない。The Restart Page が、あなたをそこへ連れて行ってくれるからだ。ビンテージ版 Mac OS、Windows、NeXT の OPENSTEP、(Apple IIgs 上の) ProDOS、開発者用ビルドの Rhapsody など、全部で 17 種類の「再起動」ダイアログから好きなものを選べる。起動シーケンスの中には、その昔の起動チャイム音を出してくれるものさえある。

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Adam が Tech Night Owl で SOPA やサンタを議論 -- Tech Night Owl への最近の出演で、Adam はホストの Gene Steinberg とさまざまの話題を語り合った。Freecycle Santa になる方法、Stop Online Piracy Act を巡る問題点、継続する Quicken の話題、それから TidBITS の 2011 年トップ 10 に登場したいくつかの記事について、といったことだ。

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EFF のガイドで米国国境通過の際にプライバシーを守ろう -- 米国の国境を通過する際、政府職員があなたの電子機器を差し押さえて、その内容を検査し、たとえ犯罪に関与した疑いが何もなくとも、さらなる調査のためにその機器をしばらくの間保管し続けることがあり得る。あなたが旅行の際に米国を出入国するなら、ぜひともこの EFF の包括的な手引書を読んで、何が起こり得るか、それに対処するためにあなたに何ができるかを知っておこう。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2011 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

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