TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1116/05-Mar-2012

水曜日に迫った Apple の iPad 発表に備えるために私たちは忙しかったが、その間にもいくつか素晴らしい記事が集まった。まず Adam は、無制限プランのユーザーの使用量が 3 GB を超えると AT&T が抑制をかける(個人をでなくバンド幅を抑制する)ようになったことについて概観し、対象となったユーザーがどうすればよいかについても論じる。次に Jeff Carlson が Reflection をレビューする。これは AirPlay レシーバとして働く Mac OS X アプリケーションなので、あなたの iPad 2 や iPhone 4S のディスプレイを Mac 上に映し出すことができる。講演者や教育者、あるいは iOS アプリを大勢の人の前でデモする人たちも重宝するだろう。最後に、Mac App Store にあるアプリはサンドボックス化されていなければならないという Apple の(実施が二度も延期された)要件について検討し、開発者たちとユーザーたちそれぞれにこれがどのように影響するかを考える。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Mac OS X 10.7.3 追加アップデート、Hazel 3.0、GraphicConverter 7.6.2、DEVONthink Personal, Pro と Pro Office 2.3.3、MacBook Pro (15 インチ、Late 2008 機種) ファームウェア・アップデート、HandBrake 0.9.6、Fetch 5.7.1、TextExpander 3.4.1、それに iMac Wi-Fi アップデート 1.0 だ。

記事:

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3 月 7 日の Apple イベントで iPad 3 登場か

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

噂が本当になることもある。今週、私たちはどれが本当であったかを知ることとなる。2012 年 3 月 7 日は、メディアイベントが開かれて第三世代の iPad が発表されるとオンラインで言われていた日であったが、Apple は先週、メディア各社に招待状を送って、サンフランシスコの Yerba Buena Center for the Arts に招いたのだった。

Apple の招待状には通常、何を期待すべきかのヒントがある。今回は具体的に iPad の名前には触れていないけれど、iPad 3 が (あるいはひょっとしたら iPad 2S かもしれないが) ショウの主役となることは明らかだろう。iPad のスクリーンを指がタップしている写真に、「あなたがどうしても見てみたい、そしてタッチしてみたい、と思うものをご用意しています」と書かれているのだから。(Apple は楽しげに、カレンダーのアイコンに 7 日の水曜日と表示させたものと、Keynote つまりプレゼンテーション、そして Maps つまり場所を示すアイコンとをその写真の中に埋め込んでみせた。ただ、Maps のアイコンは Cupertino にある Apple 本社の場所を示したデフォルトのままだ。)

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新しく登場する iPad の機能についていろいろと臆測することはできるけれども、もうすぐ詳しく分かるものについて臆測しても仕方がない。私はこのイベントに参加するし、他の TidBITS スタッフもそれぞれライブの報道を担当することになっているので、詳しい情報をお届けできることと思う。(Apple のメディアイベントがどんな雰囲気のものか知りたいと思う方は、私が初代の iPad の発表をレポートした 2010 年 1 月 29 日の記事“Apple の iPad 発表イベントを写真で綴る”をお読み頂きたい。)

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Doxie が TidBITS スポンサーに

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちの最新の TidBITS 長期スポンサーとなった Apparent Corporation を心から歓迎したい。同社の製品、USB から電源を得て動くモバイルスキャナ Doxie は、2010 年の Macworld Expo においてデビューしたが、今やバッテリから電源を得る Doxie Go も登場している。こちらは、何百枚ものスキャンを内蔵メモリまたは USB フラッシュドライブあるいは SD カードに貯えることができ、もはやコンピュータに接続する必要がない。初代の Doxie で際立っていた特色は、スキャンを直接クラウドベースのサービスへ、例えば Google Docs、Dropbox、Evernote、Flickr といったところへアップロードできる機能だ。Doxie Go はその点をさらに押し広げ、Wi-Fi オプションを使ってスキャンをあなたのコンピュータへ、対応しているクラウドサービスへ、あるいは iPad や iPhone へさえも送れるようにしている。

Apparent は Mac 世界の新参者ではない。私たちは過去にも同社の製品 IntelliScanner Wine Collector を記事にしたことがある。これは持ち運びできる小型のバーコードリーダーとワインのデータベースソフトウェアとを組み合わせることによって、ワインセラーに並ぶ埃をかぶったボトルを追跡するのみならず、あなたが実際に飲むワインのボトルをも追跡できるというものだ。(2005 年 1 月 17 日の記事“Macworld Expo San Francisco 2005 で見つけた珠玉たち”参照。)

でも、彼らが現在焦点を当てているのが Doxie であることは明らかだ。しかも彼らは、Doxie のハードウェアとソフトウェア双方に注意を払っている。Doxie のエレガントでモダンなソフトウェアは、接続を差し込むだけで、ちょうどデジタルカメラでするのと同じように、自動的に Doxie Go からスキャンを取り込む。そして、自動的に切り取り・回転・コントラスト調整を施して、スキャンの品質を改善する。スキャンされた書類は内蔵の ABBYY OCR テクノロジーによって文章が認識され、検索可能な PDF 書類が作成される。smart stapler ツールを使えば複数枚のスキャンを一つの複数ページ PDF 書類にまとめられるし、スキャンをコンピュータ上の好きなアプリに送ったり、クラウドサービスにアップロードしたりもできる。

TidBITS と、Apple コミュニティーへの貢献に対して、感謝の気持ちを Apparent に捧げたい!

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AT&T、無制限プランのユーザーを 3 GB で抑制

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

どう考えればよいのかよく分からない。AT&T は(おそらく Apple から強く急かされたのであろうが)当初 iPhone に $30 の無制限データプランを提供していた。ところが、2010 年 6 月になって、AT&T はその無制限プランを取り止めにして、代わりに 200 MB ($15) と 2 GB ($25) という二種類の段階的プランを提供するようになった。(2010 年 6 月 2 日の記事“AT&T、iPhone と iPad の無制限データプランを廃止”参照。)これらの段階的プランは多くの iPhone ユーザーたちについて合法的にコストを減らしたけれども、無制限プランを使い続けたいと希望する人たちには、少なくともプランを一切変更しないという条件のもとで従来通りのプランを継続することを許した。今年の初めになって、AT&T はこれらのプランにも調整を施して、価格を値上げする一方でデータ量上限を 300 MB ($20) と 3 GB ($30) に増やすとともに(2012 年 1 月 18 日の記事“AT&T、新顧客に対してデータプラン料金を値上げ”参照)無制限プランあるいは従来の段階的プランを持つ人にはもう一度プランの継続を許した。

(同じように、iPhone が Verizon Wireless の顧客にも入手可能となった際に、Verizon は当初顧客たちに AT&T からの切り替えを促そうと無制限データプランを提供した。こちらもまた短命で、2011 年 2 月から 2011 年 7 月までしか続かなかった。)

これらの動きが良いことか悪いことかの判断は皆さんにお任せするとして、本当の問題は AT&T が既得の無制限データプランの継続措置から手を引いたという点だ。まず手始めに、AT&T は無制限プランの契約者の中でバンド幅を最も多く消費している 5 パーセントのユーザーに対し通信速度を抑制する(伝えられたところによれば EDGE 速度、つまり 200-300 Kbps 程度かそれ以下に絞るという)計画を発表した。2011 年中頃の段階でまだ 2 千万人ほどのユーザーが無制限プランを使っていたことを考えれば、これはつまり百万人規模の人数のユーザーたちが毎月速度の抑制を受けるということになる。

でも、最上位の 5 パーセント、つまり AT&T が「ごく少数」と考えているユーザーというのは、どういう人たちなのだろうか? 実は、データ使用量が 2 GB を超えただけで抑制を受けてしまった人たちもいるのだ。これは極めて不快なことだ。なぜなら AT&T は今年になってトップレベルの段階的プランを 2 GB で $25、3 GB で $30 に変更したからだ。$30 というのは当初の無制限データプランと同じ価格だ。基本的に、無制限データプランのユーザーたちは 3 GB の段階的プランのユーザーたちと同額の料金を支払いながら、たった 2 GB を超えただけで速度抑制を受けてしまうのだから。

ある無制限データプランの契約者が、速度抑制をされたのを受けて、反撃に転ずることを決断した。Matt Spaccarelli は失業中のトラック運転手であり学生でもあるが、 t少額裁判所に AT&T に対する訴えを起こし 、$850 の賠償金を勝ち取るとともに、AT&T が Spaccarelli に「無制限」データプランを販売しながら彼のスループットに抑制をかけたのは公正でないという判事からの言葉も得た。(問題を多少ややこしくしていたのは、Spaccarelli が彼の無制限データプランを使って超過料金を払わずにテザリングをしていたことだった。それでも、彼は毎月のトータルで 5 GB ほどしか使っていなかったと述べた。)

この Spaccarelli の裁判に促されて、MacTech は 弁護士 Bradley Sniderman による記事 を掲載し、AT&T に対して同様の訴訟を少額裁判所に起こすために何が必要かを説明している。

AT&T は、もう一度そのポリシーを改訂した。サポートページに新しいやり方を掲載 したのだが、それは、最終的にはやはり無制限データではないものの、これまでよりもずっと気前良くずっと透明性の高いものとなった。基本的に、既得の無制限データプランの継続措置を受けているユーザーは、3 GB までのデータを通常速度で(それがどんな速度かはさておき)得られ、それを超えた分のデータはその支払請求サイクルの終わりまで速度抑制を受ける。それが初めて起こった際には、AT&T があなたに警告のテキストメッセージを送るけれど、その後の月にあなたが 3 GB を超えても警告メッセージは送られない。

AT&T のページはこの声明とともに次第に曖昧な逃げ口上に変わって行く。その説明は、もしもスループットが抑制を受ければ望むだけの量のデータを受け取ることがほぼ間違いなくできなくなるという事実を故意に無視している。

それでもあなたは欲しいだけのデータを使うことができます。その点は変わりません。ただ、あなたが 3G または 4G スマートフォンの一つの支払請求サイクルの中で 3 GB かそれ以上を使った場合に、あなたのデータスループット速度が変更を受けるだけです。

私はこの記事の初めに、どう考えればよいのかよく分からないと書いた。一方では、AT&T はワイヤレスのデータトラフィックが急増して、過去五年の間に 200 倍にもなったと述べている。同社がサービスするスマートフォンユーザーの数も 700 万人から 3,940 万人にまで増えた。この会社が必死になって上流に向かって櫂を漕ぎ続け、大多数の顧客のために良いモバイルブロードバンド体験を保とうと努めているという点に疑問の余地はないし、無制限データプランのユーザーに速度抑制をかけることはそのために最も弊害の少ない方法だと考えられているのであろう。

他方、AT&T が無制限データプランの契約から手を引こうとしていることは、非難に値する。私の周囲でそういう契約をしている人はいないので具体的にその契約の条項が AT&T にいつでも手を引く権利を与えているのかどうか私は知らないが、いずれにしても、継続的な購読サービスを提供しておいてから条件を大幅に変更するのは良いビジネス慣行とは言えない。そのような挙動の結果としてこの会社が個々人から少額裁判所で手痛い目にあうとしても、それはそれで仕方がない。

その上、データ量が 3 GB を超えた無制限データプランユーザーに速度抑制をかけるのはとりわけ間違ったことに思える。AT&T は、段階的プランのユーザーには喜んで追加のデータ量をギガバイトあたり $10 で販売しているのだから。つまり、3 GB を超えて使ってもネットワークには問題でないのだ。少額裁判所で AT&T から損害賠償を勝ち得た彼にしても、彼が使った 5 GB に毎月たった $20 ずつ払えば済んだ計算になる。もちろん失業中のトラック運転手にとってそれは大金だったかもしれないけれど、AT&T にとって忠実な顧客を引き留めるために大きな問題が生じるとも思えない。もしも AT&T がそれらのユーザーたちを例えば 10 GB で速度抑制をかけるようにしたとすれば、抗議の声はずっと少なくなっていたことだろう。なぜなら、そういう人たちは $30 定額のプランを使って今日のサービスでは $100 相当にもあたるものを得ることになるだろうからだ。一方現状では、彼らは今日のサービスでも同じ $30 相当のものしか得ていない。

それでもやはり、もしもあなたがこのような状況に陥ったとしたら、あなたにとっての選択肢は速度抑制を我慢するか、あるいは段階的プランに切り替えて、3 GB まで $30、それ以上は追加のギガバイトあたり $10、という料金を支払うかだ。前者は、おそらく予算が限られている場合に選ぶべき方法だろう。使用量が 3 GB あたりをうろうろしても、スループットの速度などあまり気にしなければよいだけだ。一方後者は、高速のスループットが必要で追加料金を支払うことができる場合に選ぶべき方法だ。

残念なことに、キャリアを切り替えても得るところはないかもしれない。Verizon はもはや無制限データプランを提供していないし、Sprint はプランの一部として無制限データを提供 しているものの、そういうプランの料金は最低でも $79.99 であって、しかも無制限であるのは Sprint のネットワーク上のみ、その上 Sprint はあなたがネットワーク外で 300 MB を超えた場合にいつでもスループットを抑制する権利と「サービスを拒絶、終了、変更、切断あるいは一時停止」する権利を留保することになっているのだから。最後に一言付け加えておくと、もしもあなたが毎月 3 GB を大幅に越える量を使っているのなら、おそらくそのトラフィックの一部を Wi-Fi に移行できないか考えてみるのが賢明だと思う。

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Reflection、iOS 機器を Mac 上にミラーする

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple が最初に Keynote を iPad 用に出した時、私はこれは開発コンセプトの巧みな証明だと思った。しかしハンドヘルドタブレットをプレゼンテーション機器として使う場合の違和感を、隣にいる二人に対して行う時を除いて、扱いかねていた。

二年早送りする。(そうです、iPad が出てからまだ二年しか経っていない。) 1月の Macworld | iWorld 期間中 San Francisco Apple Store で私が iMovie for iOS について話をした時、私は全てを私の iPad 2 から Keynote と iMovie アップスを使って行った;iPad はその店の AV システムにケーブルと VGA Adapterを使って接続した。(実際には、これが全てではなかった:私の 15-inch MacBook Pro も メモ書きを読むためだけに 演台に設定しなければならなかった、と言うのもこのプレゼンテーションに先立って印刷しておくのを忘れてしまったからである。)

iOS 5 で iPad 2 及び iPhone 4S に導入された Apple の AirPlay 技術を使って画面を Apple TV にミラーするという能力に較べれば、このイベントは、VGA 接続は昔の歴史だという意味で、かなりローテックであった。この VGA ケーブルは Apple Store の人が設定するには一番簡単なものであったが、Apple TV が使えさえすれば、私は何にもつながれていない iPad を自由に持ち歩いて出来たはずであった;少なくともこれが私が家で練習したやり方であった。

しかし一旦居間を離れてしまうと、想像するに、殆どの場所で Apple TV にはお目にかからないであろう (教室では iPad と Apple TV の組み合わせが使われ始めているという報告を読んだことはある)。この一連の流れの中でこれまで無かったものが iPad (或いは iPhone 4S) 画面を Mac 上で共有する能力であった。

しかし今やこの限界は Reflection のリリースで消え去った。この Reflection は $14.99 の Mac OS X アプリで、iPad 2 - そしておそらく今週紹介される次期の iPad モデルも - 或いは iPhone 4S が AirPlay の届け先として Mac を見ることを可能にする。これ以前の iOS 機器はミラーリングのために必要なハードウェアを持っていない。(別のアプリケーションである AirServer 4.0 もまた iOS 機器の表示を Mac 上にミラー出来ると報じられているが、私はまだそれを試していない。)

プレゼンテーション用のコンテンツを制作するものの観点からすると、iPad の画面を Mac 上に持てるということには幾つかの利点がある:

どの様に働くのか -- Reflection は Mac OS X 下で通常のアプリとして走り、いったん起動してしまえば、それがそこにいることすら忘れてしまう程である。残りの設定も同様に簡単である。

iPad 2 又は iPhone 4S 上で AirPlay ミラーリングをオンにする:Home ボタンを二回押し最近のアップスを表示させ、左から右へスワイプし再生制御盤を表示させる (iPhone 4S では二回スワイプしなければならない)、そこで AirPlay ボタンをタップする。あなたのコンピュータが AirPlay 可能な受信者として出てくるはずである。それを選択、そして Mirroring スイッチをタップして On にする。

あなたの Mac 上では、Reflection はその iOS 機器の画面を機器専用のフレームとして表示する。私の様にこのフレームが気になるのであれば、Device > Show Frame (Command-B) を選択することでこのフレームは取り除ける。

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その他のオプションには、横位置又は縦位置に固定する、Full Screen モードへ切り替える (ここでは Reflection は独自のデスクトップ空間で走る)、そして接続を許す様にするためのパスワードの設定 (あなたの Mac 上に、誰でも自分の機器を表示出来ないようにする) が含まれる。

Reflection にはまた解像度を "最適化する" オプションが含まれている。これは Reflection が入力画面を全画面サイズにズームするのではなく設定されている画像サイズに合わせることを意味する。しかしながら、これは次の様な仕様に対してはその言葉通りではない:私の iPhone 4S を "Retina iPhone (640x960)" に対して最適化するオプションで接続すると、685 x 1027 ピクセルサイズのウィンドウを返してきた。iPad 2 は、"iPad (1024x768)" に対して設定された時、それよりほんのちょっぴり大きい 1052 x 790 ピクセルの画面で出てきた。

更に "Any Device (1280x720)" 或いは "Hi-Res (1920x1080)" に対しての最適化も出来るが、これらもその通り守られる訳ではない;Reflection は、実際には画面をあなたの Mac のモニタが許す最大限の大きさにズームしたがっている。これは、ある点まではそれでも良い - プレゼンテーションをしているならば、聴衆のために恐らく可能な限り大きいバージョンが欲しいであろう。しかし、作家でありビデオ制作者としては、ピクセル通りの解像度を強制するオプションが欲しい。リサイズするとアンチエイリアスのお蔭で全てがぼやけてしまう。

だからと言って、これで私の主たる興味が失われてしまう話ではない:画面を捕捉すること。Reflection にあなたの iPad や iPhone のライブのコンテンツを表示させておいて、QuickTime Player, Snapz Pro X 或いは ScreenFlow の様な画面記録のアプリケーションを使うのである。iMovie for iOS で作業をしながら Snapz Pro X でビデオを撮った短い例を作ってみた。

概してレスポンスは悪くない。機器上で行うことと Mac 上に現れることの間には多少の遅延は見られるが、通常の使用ではフレーム落ちや性能劣化には気付かなかった。

私は時折ビデオコンテンツを再生している時、例えば Videos アプリから、動きの悪さに遭遇した。この様な状況では、ミラーリングは止まってしまい、そして Reflection はビデオを QuickTime Player に手渡すが、そうすると時折ビデオのバッファーが間に合わない事態があった。しかしながら、全く問題ない時も有ったので、私のネットワーク上の他のトラフィックが、階下にある私の妻のラップトップの CrashPlan バックアップの様な、悪さをしていなかったと除外することは出来ない。(奇妙なのは、Apple の Trailers アプリを使って映画の予告編を見ている時、ビデオは QuickTime Player には手渡されなかった。映画の予告編はいつもと同じビデオ再生制御盤を示したが、Reflection はミラーされた状態に保たれた。)

AirPlay を出力として使えるゲームは、Real Racing 2 HD の様な、正しい縦横比を表示しなかった。(もし HDTV をお持ちでないなら、iPad をゲームコントローラにしてこの様なゲームを 27-inch iMac 上で遊べれば、面白さは格別であろう。) また、iPad のボリュームを変えても Mac 上の Reflection から出てくる音量は影響がないことにも気付いたが、これは音量レベルの食い違いが起こらないように元々意図されているものなのかもしれない。そうではあっても、機器を既に制御出来ていて、そして GarageBand の様なものを走らせているのであれば、音量も Mac に戻って操作するのではなく、そのアプリ内で調整できる方が良い。

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私は鍵となる一つの機能追加を望みたい:ジェスチャー表示である。これは iPad のユーザーの指が画面と接している場所を見える様にするものである。私が iMovie プレゼンテーションをしている時、聴衆は私が何をタップしているのか見ることが出来ない:私は、皆の注意が正しいものに注がれるよう自分のやることを声に出して言わなけばならなかった ("これから Project Settings ボタンをタップします、それは右上の角にあるギアの形をしたアイコンです")。例えば、話者の指タッチを輪で表示することで示せれば、やっていることはその場で目に見えるものとなる。

全体的に言えば、Reflection は良く出来た 1.x リリースであり、私にとっては AirPlay がより有用なものとなる。前にも言った様に、値段は $14.99、又は 5 ライセンスで $49.99 である。試行版も無料ダウンロードとして入手可であるが、10分で閉じてしまう。

しかし、また新しい問題を発見してしまった:私の Mac の画面を見ているのだが、私のマウスははなぜ iPad を制御していないのだろうと思ってしまう。ひょっとすると、これも間もなく実現されるのかもしれない。

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Sandbox の難問: セキュリティ対革新

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

すべての登録済み開発者たちにあてた電子メールの中で、Apple は先週、開発者が自分のアプリを Mac App Store において出版するために準拠しなければならないセキュリティの要件を満たすべき期日を、同社が再び延期したと発表した。今回は、その期日が 2012 年 6 月 1 日と定められた。

同社は当初、開発者たちが 2012 年 3 月 1 日までに自分のアプリに“サンドボックス”モデルを導入しなければ Mac App Store から締め出されるリスクを負うことになると要求していた。サンドボックス化により、Mac OS X がアプリケーションによるシステムリソースへのアクセス、例えばそのアプリのサンドボックスの外にあるファイルへのアクセスや、ネットワークへのアクセスを制限することで、マルウェアがユーザーのコンピュータに入り込む可能性を制限しようと試みるためであった。(2011 年 8 月 12 日の記事“Lion のセキュリティ: iOS 基盤の上に築かれる”参照。)

この期日の延期は、OS X 10.8 Mountain Lion の発表のすぐ後に続いて出た。それは、ユーザーたちのために高度にセキュアな環境を提供したいという欲求と、自分のソフトウェアにユーザーたちが望む機能を与えるためにオペレーティングシステムのあらゆる機能にアクセスできて欲しいと思う開発者たちの欲求との間を橋渡しするために Apple がいかに苦闘しているかを明らかにするものとなった。

サンドボックス化の長所と短所 -- サンドボックス化の背後にある基本的なアイデアはシンプルだ。つまり、サンドボックス化された環境におけるアプリは、機密情報(例えばファイルシステムやクリップボードなど)の漏洩に繋がる可能性のある、あるいは邪悪な目的のために利用される可能性のあるようなシステムリソースへのアクセスができない。開発者たちが個々のリソースにアクセスするためには明示的に Apple に許可を求めなければならず、Mac App Store に提出するための手続きの一環としてそのリクエストの正当性を説明できる用意をしておかなければならない。それを受けて Apple は "entitlements" (資格付与) と呼ばれる例外を認めることができ、これを得たアプリは制限された状況の下でサンドボックス外の動作をすることができるようになる。

理論的には、その結果として生まれるのは、すべてのアプリがサンドボックスに参加していて、かつオペレーティングシステムの中にセキュリティの問題がない限りにおいて、エンドユーザーにとって完璧に安全な環境だ。だからと言って「マルウェアが存在しない」わけではない。そうではないけれども(より重要な要因としては圧倒的大多数のアプリが誠実な開発者たちによって書かれているお陰で)アプリたちが互いに他の領分を侵し合うことで起こるクラッシュが生じないコンピュータになるということも意味している。

実際、iOS ではそういう風になっている。アプリはデフォルトでサンドボックス化されており、開発者たちにとって配布のための経路は App Store のみだ。(ただし jailbreak がなければの話だが、Apple は jailbreak をサポートもしていなければ容認もしていない。ただ、jailbreak された iPhone でしか走らないアプリのいくつかはとても魅力的な機能を提供していて、その中にはその後 Apple が iOS に追加したものさえある。)いくつかちょっとした問題はあったけれども、それらを別にすれば Apple のこのモバイルオペレーティングシステムが高度に信頼できるシステムを提供すると同時にユーザーのためにセキュリティを保つことに成功してきたのは否定できないだろう。

しかしながら、実際問題として、サンドボックス化はアプリケーションがオペレーティングシステムとも、他のアプリケーションとも、相互にやり取りすることをできなくする。人気ある Mac OS X アプリの多くは、オペレーティングシステムに広範囲のアクセスができなければそもそも機能することさえできない。その顕著な例を挙げれば Audio Hijack Pro、LaunchBar、FastScripts、Default Folder X、Keyboard Maestro など、極めて広く使われているものがたくさんある。これらのアプリは害を及ぼすようなことは何もしないし、実際ユーザーたちが強く望む機能性を提供している。それでも、これらのアプリは基本的に Apple が実装しようとしている「セキュアな」環境とは相容れないものたちだ。

Apple は開発者たちのコミュニティーと共に良い妥協点を見出そうと働き続けてきた。サンドボックス化を巡る批判に応えるためにより多くの entitlements を開発者たちに提供し(それによってサンドボックス化されたアプリがより多くのことをできるようにし)Mac App Store に受け入れるためにアプリがサンドボックス化されていなければならないという要件を実施に移す期日を二度も延期してきた。

では、何が問題なのか?

金に従って動く -- 残念ながら、確かにサンドボックス化はセキュリティと信頼性の問題に対する実行可能な技術的解決策であるけれども、Apple はそれを Mac App Store への入場料とすることによって問題を複雑にしてしまった。

一方では、これは妥当なことに見える。Apple は開発者たちに彼らのアプリをサンドボックス化させる見返りに、Mac App Store での配布というニンジンをぶら下げているのだ。これは App Store が唯一のソフトウェア配布源である iOS 世界とは違うので、比較的単純な方程式だと思えるかもしれない。しかし残念なことに問題はそれほど型通りには行かない。それには二つの理由がある。

まず第一に、Mac App Store でサンドボックス化を要求するのは新しいことであって、既に Mac App Store で成功しているアプリの多くは機能性を大きく失うことなくサンドボックス化することが不可能だ。Apple はそのようなアプリについては期日が過ぎた後も Mac App Store に残してよいと発表していて、しかもバグ修正のアップデートも認めるとしている。事実を明確にしておこう。Apple は次のように述べている:

6 月 1 日以降、あなたが Mac App Store に持っている既存のアプリがサンドボックス化されていなくても、あなたはそのアプリをサンドボックス化しないままでバグ修正のアップデートを提出してもかまいません。また、もしもあなたのアプリを 6 月 1 日までにサンドボックス化できない技術的理由があれば、どうぞ私たちにお知らせ下さい。

まだ答の出ていない問題は、サンドボックス化できない Mac App Store アプリを持っている開発者が新機能を盛り込んだアップデートを出そうと思った場合にどうなるかだ。Apple はそのようなアップデートも承認するだろうか? それとも、サンドボックス化の要件を満たさないとして却下するのだろうか?

私たちの意見では、Apple はそういうアップデートも受け入れるべきだと思う。たとえそれが首尾一貫しない結果になったとしても。そう思う理由は単純だ。もしもそれを却下すれば、Apple がこれまで顧客たちと結んでいた暗黙の了解、すなわち Mac App Store から入手したアプリのアップデートは Mac App Store を通じて無料で入手できるという了解が崩れてしまうからだ。忘れないで頂きたいのは、あなたが何かを Mac App Store を通じて購入した場合、あなたは Apple の顧客となるのであって、開発者の顧客になるのではない。さらに、Apple は顧客の連絡先情報を一切開発者たちに知らせていない。だから、現時点ではそのようにして Mac App Store の孤児となったものたちのサポートを開発者たちが引き継げる方法は存在しない。その結果、誰もが損害を被ることとなる。開発者たちは顧客を失い、Apple と Mac App Store は評判を落とし、ユーザーたちは購入したはずのソフトウェアのアップデートへのアクセスを失うことになってしまう。

Mac App Store での配布にサンドボックス化を要求する方程式が単純ではない第二の理由は、多くのユーザーたちが、特にこのプラットフォームにまだ馴染んでいないユーザーたちが、Mac のソフトウェア入手源が Mac App Store のみだと了解して、開発者たちから直接買おうとしなくなるのにそれほど時間がかからないだろうと思える点だ。基本的に、Apple は iOS とほぼ同じレベルに達する市場コントロールを手にしつつ、その一方で Mac のソフトウェア市場がどんな人にも開かれていると主張し続けることができる。

そしてそれこそが、私たちが萎縮効果に直面すると思える点だ。既存の開発者たちなら、既に十分大きな顧客層とマーケティングの手段を Mac App Store の外に持ち合わせているかもしれない。けれども新参の開発者たちにとってみれば、それを達成するためにかかるコストと努力はあまりにも大きく、可能な収入の範囲を超えてしまうだろう。Mac App Store がある程度以上に支配的となって開発者たちがその外では成功できないと考えるようになる時、私たちすべてが本来あるべきであったソフトウェアが存在しないという事実に苦しむようになるだろう。

私たちはどこへ向かうのか -- 現実的になろうではないか。セキュリティと信頼性が重要だということに疑問の余地はない。また、Apple は何も、Apple 社の方針に従わない厄介な開発者たちを排除して世界を制覇しようとなどというオーウェル風のプランを立てているわけではない。[訳者注: ジョージ・オーウェルの小説“1984”(1948 年の作品)は未来の全体主義社会の恐怖を描いています。]

その代わりに、どうやら Apple は iOS の成功の理由の一つが Apple の意図した通りの方法でオペレーティングシステムを利用し自らのサンドボックスの外へは決して出ることのできないアプリにあると信じているように見える。

それは、あらゆる細々とした部分に気まぐれなコントロールの力を及ぼすといったようなことではない。(今もまだ膨大な数のとてつもなく酷い iOS アプリが存在しているのは誰でも分かるし、Apple 自身のアプリの中にもかなり貧弱なものがいくつかある。)Apple のエンジニアたちが特定の使用目的を念頭に置いて開発ツールをビルドする際には、彼らはオペレーティングシステムとそのアプリが(少なくともその使用目的に適った使い方をする限りにおいては)調和して動作し、ユーザーたちに可能な限り最良の体験を提供できるように、あるいは少なくとも最も予測可能な体験を提供できるようにという点を最優先に考えてすることができる。

その一方で、もしも開発者たちが勝手気ままに、それぞれ好きな方法でオペレーティングシステムとやり取りできる自由を与えられれば、おそらく彼らは大抵においてうまく働ける道を見つけるではあろうが、その結果としてオペレーティングシステムは時折不安定な挙動をするようになるであろう。

これは何も今に始まった問題ではない。Mac App Store の発足当時から、アプリはすべて Apple の公開 API ポリシー(そこには開発者たちが Apple が公開した方法のみを使ってオペレーティングシステムとやり取りするようにと定められている)に従わなければ参加を許されなかった。サンドボックス化は、単にその考え方を拡張して、アプリが“良き市民”として定められたやり方でシステムリソースにアクセスし、セキュリティの危険を生む可能性を生まないようにできるテクニックと手段を定めようとしただけだ。

その結果として、サンドボックス化は今後もそこにあり続けると私たちは思う。開発者たちは今後も腹を立て続けるだろうけれども、Apple は、iOS の経験をもとに、サンドボックスのモデルを使うことで Mac のアプリがユーザーたちの必要とより良く協調できると考えているようだ。Apple が開発者たちにさらなる entitlements を提供しようとする歩みは鈍いものになるだろうけれど、いずれは期日の延長も終わりを迎え、Mac App Store へのアクセスは新しいルールに従う者たちのみに許されるようになるのだろう。

実現可能な別手段は? -- 開発者たちの革新力を抑圧しユーザーたちにもたらされる利点を失わせることなく、同程度のレベルのセキュリティを提供できるような、そんな別手段を Apple が採ることは可能だろうか?

未知の大きな要因は、いったいなぜ Apple がこれほどまでの頭痛を開発者コミュニティーの大きな範囲に起こさせてまで実施するほどにサンドボックス化が重要だと考えているのか、その理由だ。来たるべき Mountain Lion にある Gatekeeper テクノロジーがアプリケーションを三つのクラスに分けることを思い出せば、これはことさら興味深い疑問となる。十分信用できて Mac App Store からダウンロードできるアプリケーションと、Mac App Store の外部で配布されるけれども開発者のデジタル署名が入っているので信用できるアプリケーション、それとそれ以外すべてに分けられるのだ。(2012 年 2 月 16 日の記事“Gatekeeper が Mac のマルウェア流行にピシャリとドアを閉める”参照。)たとえサンドボックス化がなくとも、Apple の Mac App Store における承認だけで、アプリは最高レベルの信用のクラスに放り込まれる。(それだけでは十分でないというのなら、この Apple の承認プロセスがそのアプリに与える価値があまりないということにならないだろうか?)

Mac App Store に参加するためにサンドボックス化が必須となった世界においては、Gatekeeper は開発者たちにとって何の変化も意味しないことになる。サンドボックス化されていないアプリはデジタル署名が付いていようといまいと常に Mac App Store 以外で配布しなければならず、ビジネス上と革新性との懸念がやはり付きまとう。

けれども、もしも Apple がサンドボックス化のニンジンを少し変更して、サンドボックス化されたアプリのみにより早期の承認プロセスを提供するようになったとすればどうだろう? 結局のところ、サンドボックス化されたアプリは必然的に良き市民なのだから、その承認のために要する調査も少なくて済むだろう。それに、サンドボックス化されたアプリ用のプロセスを能率化して時間を稼ぐことによって、Apple としてもサンドボックス化されていないアプリが何をしているのかの調査により多くの時間を割くことができるようになる。ユーザーたちも Apple の承認プロセスによって生まれた信用の恩恵を受けることができ、万一何か悪いものがすり抜けてしまったとしても、Apple としてはその App Store アプリに取り消し機能を組み込むことさえできるだろう。

現時点では、開発者たちは Apple の承認プロセスに対して、イライラする、結果が予測できない、不透明なものだという印象を強めている。それを改善することができるのならば、彼らは技術的に可能でさえあればどんなことでもするだろう。サンドボックスの範囲内で動作することができない人たちは、承認プロセスに時間がかかって長々と待たされることを覚悟できるだろう。それでも、彼らはサンドボックス化されたアプリでは不可能な機能をユーザーたちに提供したいと願っただけの理由で Mac App Store から締め出されることにはならないのではないか。

このような状況において、非常に大きな要因の一つは Apple の開発者たちとのコミュニケーションがとても貧弱なものであるという点だ。私たちが意見を聞いた開発者たちの多くが、サンドボックス化をどのように動作するのかという質問に関しては Apple が比較的コミュニケーションの意思を見せ役立とうとしてくれたと話していた。けれども、サンドボックスモデルの外に答があるような種類の質問に対しては、開発者たちは単にバグを申し立てよと言われるのみで、その後はただ無視され、対応を打ち切られ、または「内部で追跡中」の状態に移行するのだという。

その昔、Apple にはエバンジェリスト (伝道者) たちがいて、新しい Apple テクノロジーを採用するように開発者たちを説得するのを仕事とし、その結果として開発者たちが Apple に向かって反応を返すことのできるコミュニケーションの媒介者となって働いていたけれど、そんな時代はとうに過ぎ去った。今の時代、Apple のエンジニアたちと直接話をするためには、毎年一度の Worldwide Developer Conference の場でするのがほとんど唯一の方法となってしまった。そしてそれでさえも、コミュニケーションの大部分は Apple から開発者たちへ向けた一方向に流れるのみだ。

おそらく、もしも Apple がそれらのコミュニケーション経路をもう一度開くようになったとすれば、誰のためにもうまく働く解決法を見出すのも可能となるのではなかろうか。現時点では、どうやらサンドボックス化が Mac をより安全な、より信頼できる環境にするその一方で、その代償として、今までにない方法でオペレーティングシステムや他のアプリとやり取りできる革新を死産へと追い込もうとしている。それは、とても残念なことではないだろうか。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2012 年 3 月 5 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X 10.7.3 追加アップデート -- Apple が Mac OS X 10.7.3 追加アップデートをリリースした。これは Lion に対するごく小さなアップデートで、「Time Machine バックアップから Mac を復元する際の問題を解決」するという。分かっているのはそれだけで、Apple はそれ以上の情報を何も発表していない。将来のシステムアップデートに含めることはせずこの件のみのリリースを今しなければならなかったということは、おそらくその問題点が非常に重要なものであったからなのだろうと私たちは推測している。このアップデートのサイズは小さい。私の MacBook Pro ではたったの 38 KB であった。ただし、独立ダウンロードは 24.55 MB だ。(無料、24.55 MB)

Mac OS X 10.7.3 追加アップデート へのコメントリンク:

Hazel 3.0.1 -- Noodlesoft が Hazel 3.0 をリリースした。同社のファイル・クリーンアップユーティリティに、改訂されたルールエンジンを装備した有料アップグレードだ。その核心に位置する新しいルールエンジンは予測エンジンを用いているので、必要とされる時にのみ Hazel が動き出すようになり、また(いくつかの例外を除いて)ディスクのポーリングをしなくなったためにシステムリソースの使用量が減った。この新バージョンではまた外付けドライブでの動作も改善した。ドライブが利用できない場合にも常時ルールが走り続けることがなくなったからだ。多数ある Hazel の新機能の主なものを挙げれば、新設の Current Time 属性を使ったルールのスケジュール化対応、新しい Sync アクションによるファイルやフォルダの別の場所への(一方向)同期、最も新しい/古いもので並べ替える際にファイルをマッチさせる条件、フォルダへのルール処理を一時中断できる機能、カスタムトークンを AppleScript 経由で書き出してその後のアクションでパターンとして利用できる機能などがある。さらに、新しいユーザーインターフェイスを使って条件やアクションをドラッグして並べ替えたり、ポップオーバーで手軽にルールを編集したりもできる。その他の修正や調整も「どっさりと」盛り込まれている。その後すぐに出された 3.0.1 リリースは、いくつかのクラッシュのバグとユーザーインターフェイスの問題点に対処した。(新規購入 $25、アップグレード $10、4.7 MB、リリースノート)

Hazel 3.0 へのコメントリンク:

GraphicConverter 7.6.2 -- Lemkesoft が GraphicConverter 7.6.2 をリリースした。評判の良いこのグラフィックスソフトウェアに数多くの新機能を追加したアップデートだ。主なものとしては、(説明のない) Equalizer、IptcCore の連絡先データへの対応、Xe847 フィルタへのショートカット、フォントポップアップでのフォントプレビュー、適用されない XMP 変更 (Adobe Lightroom が利用する) を持つ画像の表示に対するインジケータ、スライドショーの最中のトラックパッドによるズーム、などがある。このアップデートではまた Mac OS X 10.7 Lion においてクリップボードで起こる可能性のあったバグを修正するとともに、スライドショーをムービーとして書き出す際のクラッシュや、その他多数の細かなバグも修正している。(Lemkesoft からもMac App Store からも新規購入 $39.95、無料アップデート、124 MB、 リリースノート)

GraphicConverter 7.6.2 へのコメントリンク:

DEVONthink Personal, Pro と Pro Office 2.3.3 -- DEVONtechnologies が三種類の DEVONthink (Personal, Pro, Pro Office) のすべてをバージョン 2.3.3 にアップデートした。これらの「スマート情報アシスタント」ソフトウェアは三つとも、Adium のチャットログファイルと Google Chrome ブックマークに対応し、OmniOutliner 3 ファイルの索引付けを改善し、保存されたブックマークを更新するコマンドをコンテクストメニューに追加し、Safari 5.1.x 以降の作成したウェブアーカイブの索引付けの信頼性を改善している。Pro および Pro Office リリースでは、データベースをゴミ箱へ移動するオプション Delete Database をコンテクストメニューに追加し、ニュースフィードにおける未読の項目の表示がグループ内に数字を表示するオプションがオフになっている場合に改善され、保存されていない書類を別のデータベースへ移動する際に保存されない場合があったのを修正している。追加機能、修正、および改善点のすべては、 Pro Office 版のリリースノート(三つの版すべてをカバーする)にリストされている。(新規購入 $49.95/$79.95/$149.95、無料アップデート、17.7 MB から 28.6 MB)

DEVONthink Personal, Pro と Pro Office 2.3.3 へのコメントリンク:

MacBook Pro (15 インチ、Late 2008 機種) ファーウェア・アップデート -- Apple が MacBook Pro EFI ファームウェア・アップデート 2.8 をリリースした。これは 2008 年後半にリリースされた 15 インチ機種の MacBook Pro のみに対象を絞っている。このアップデートでは内蔵ディスプレイのちらつきの原因になる可能性のあるグラフィックスの問題が解決される。必要な場合にのみアップデートを入手できるよう、ソフトウェア・アップデートに入手を任せることをお勧めする。もしもこのアップデートが現われなければ、これはあなたの Mac のためのものではない。(無料、1.8 MB)

MacBook Pro (15 インチ、Late 2008 機種) ファームウェア・アップデート へのコメントリンク:

HandBrake 0.9.6 -- 12 から 14 ヵ月に一度というこれまでの軌跡を保つかのように、オープンソースのビデオ変換プログラム HandBrake のバージョン 0.9.6 がリリースされた。非常に多数のエンコーディングのアップデート、調整、バグ修正が含まれている。今回のリリースで最も注目すべき点としては、オーディオのゲインコントロールを改善、MPEG-2 ビデオエンコーダと AAC および FLAC (MKV のみ) オーディオエンコーダを追加、DVD の字幕の処理を改善、decomb フィルタを改善、などがある。今回のリリースでは最近 VLC 2.0 がリリースされた際に起こった断絶の問題が修正されていない(VLC が必要な DVD 復号ライブラリを提供する) けれども、VLC 2.0 にアップデートした人たちのために必要な libdvdcs ライブラリファイルをダウンロードできるリンクがリリースノートに提供されている。Live Preview ウィンドウウィジェットはアップデートされて Mac OS X 10.7 Lion で動作するようになったが、その代わりに 10.5 Leopard への対応がなくなってしまった。詳しいリリースノートを必ず読んで、アップデートされた点や修正点のフルリストを調べ、必要な VLC ライブラリファイルをダウンロードしておこう。(無料、7.1 MB)

HandBrake 0.9.6 へのコメントリンク:

Fetch 5.7.1 -- Fetch Softworks が Fetch 5.7.1 をリリースした。古参のこのファイル転送クライアントに多数の修正や変更を施したメンテナンス・リリースだ。今回の新バージョンでは SFTP の挙動を変更して、SSH config の設定を尊重するとともに公開鍵認証を使った接続にダミーのパスワードが必要でなくなるようにした。また 3ivx ビデオコーデックにより Mac OS X 10.7 Lion で起こったクラッシュと、Fetch の起動時に 10.4 Tiger で起こったクラッシュ、ある種のダウンロードが失敗しても自動的に再試行されなかった問題、それから 10,000 個以上の項目を持つフォルダでファイルリストの取得が遅くなっていた問題が修正された。ミラーリングの際やサイズの大きな転送作業の際のフィードバックも改善され、転送を開始・終了する際に 30 秒以上かかるサーバとの互換性も改善された。(Fetch Softworks からも Mac App Store からも新規購入は $29、 TidBITS 会員は 20 パーセント割引、教育関係ユーザーには無料、5.5 またはそれ以降からのアップデートは無料、それ以前に購入したものからのアップグレードは $10、11.3 MB、リリースノート)

Fetch 5.7.1 へのコメントリンク:

TextExpander 3.4.1 -- OS X 10.8 Mountain Lion に備えて、Smile が TextExpander 3.4.1 をリリースした。Mountain Lion の Gatekeeper セキュリティ機能で用いられる Smile の開発者 ID を組み込んでアップデートされている。(2012 年 2 月 16 日の記事“Gatekeeper が Mac のマルウェア流行にピシャリとドアを閉める”参照。)このアップデートではまた iWork アプリケーションでの展開の信頼性を改善し、文字の順序が入れ替わってしまうたくさんの事例を修正し、AppleScript サポートのためのプロパティを二つ追加し、新たに Sort by Most Used 機能を追加している。その他、マイナーな修正もいくつか施されている。(新規購入 $34.95、 TidBITS 会員は 20 パーセント割引、無料アップデート、5.9 MB)

TextExpander 3.4.1 へのコメントリンク:

iMac Wi-Fi アップデート 1.0 -- Apple が iMac Wi-Fi アップデート v1.0 をリリースした。Mac OS X 10.7.3 の走る 2009 年後半以降にリリースされたすべての iMac 機種に対して推奨される。このアップデートでは iMac がスリープ解除後に既知の Wi-Fi ネットワークに自動的に接続されないことがある問題が解決される。直接ダウンロードでも入手できるが、ソフトウェア・アップデートを通して入手する方が手軽だ。あなたの iMac に必要である場合にのみこれが現われるからだ。(無料、25.81 MB)

iMac Wi-Fi アップデート 1.0 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2012 年 3 月 5 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週は二つだけ記事を紹介しよう。Apple の App Store が 250 億件のダウンロード数を達成したことと、あなたが位置情報のアクセス権を与えたサードパーティのアプリがあなたの写真ライブラリにもアクセスできてしまうようになることを暴露した New York Times の記事だ。

Apple、App Store で 250 億件のダウンロードを達成 -- この週末に Apple はプレスリリースを出して、ほんの少し前には不可能と思えていた節目を達成したと発表した。250 億件の App Store ダウンロード数だ。(そう、あの Carl Sagan が "Cosmos" の中で 'billion' with a B と述べた数の単位だ。)記念すべき節目を達成したアプリは Disney の Where's My Water? Free であった。ワニの Swampy 君を助けて彼の住む町の水道管を修理し、彼がシャワーを浴びられるようにするというゲームだ。このアプリをダウンロードしたのは中国の Qingdao に住む Chunli Fu で、彼女には $10,000 iTunes のギフトカードが贈られる。

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iOS アプリが位置情報アクセス権を得るとあなたの写真にアクセスできる -- New York Times の Nick Bilton が、iOS のセキュリティ基盤構造の抜け道により、あなたの現在位置を取得する権限をあなたが許可したアプリがあなたのデバイス上にあるすべての写真にアクセスできてしまうという事実を記事にした。(おそらくこれは写真の中にも位置情報が保存されているためなのであろう。)この事実が実際に悪用された実例は今のところ知られていないけれども、New York Times が作らせた概念実証用のアプリは、位置情報のアクセス権さえ与えられれば写真を遠隔サーバにアップロードできてしまうことを示した。たぶん Apple は近日中にこの問題を修正するであろう。とりあえずは、Settings > Location Services で不要なアクセス権をオフにしておくことをお勧めする。

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