TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1125/07-May-2012

あなたの Apple ID で裏打ちされたアカウントに突然アクセスできなくなったら、あなたならどうするだろうか? Chris Owen がまさにその事態に直面したのは、どうやら Apple が彼のアカウントを破損させてしまったからのようだ。彼の体験談を読んで、あなたならそういう問題にどう対処するかを考えてみて頂きたい。また今週号では Jeff Carlson が iOS 5.1.1 における修正点を手早く紹介し、Glenn Fleishman は Amazon の頼りない Cloud Drive デスクトップアプリを紹介するとともに Tweetbot と Storify の新たな繋がりについて物語る。それから、Adam は誰もが写真を投稿できる新しい世界的な写真プロジェクトを紹介し、また Mac OS X のアプリケーション間コミュニケーションのお陰で可能となった TidBITS の内部的ツールについて語る。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Alfred 1.2、Transmit 4.1.9、SpamSieve 2.9.1、それに Hazel 3.0.5 だ。

記事:

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iOS 5.1.1、バグを修正

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は、今日 iOS 5.1.1 をリリースした。これはバグ修正アップデートで、全ての iOS 5 が使える機器に対するかなり多くの公開されている問題に対処している。Apple のテックノートによると、iOS 5.1.1 は:

Apple は、このアップデートのセキュリティの内容についての情報をその Web 上にはまだ載せていないが、Apple Product Security メーリングリストが報じていることによると、このセキュリティ修正では、ロケーションバーにあるアドレスを悪意の Web サイトが成りすます可能性のあった Safari 脆弱性、WebKit における複数のサイト間スクリプティング脆弱性、そして WebKit におけるメモリ破損脆弱性に対応しているという。

iOS 5.1.1 を入手するには、次のどちらかを行う:

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5 月 15 日から Aday.org に写真を寄稿しよう

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

15 May 2012 に、スウェーデンの非営利財団 Expressions of Humankind はインターネットの時代だからこそ意味を成すイベントの一つ -aday.org - を開催する。彼らは参加希望する人なら誰でも、この日にカメラを手に取り自分の日常生活のデジタル写真を撮るように望んでいる。写真がアップロードされた後 - 一人 10 枚まで - このグループはあなたの画像を世界中の他の人からのものと結び付け、そして誰でもが探索できるようこれら全部をオンラインで表示する。写真は保存のため世界中の歴史機関に寄贈され、そしてもし選定されかつ個々の写真家が同意すれば、"A Day in the World" という本とデジタル展覧会に掲載される。如何なる写真も商業目的に使用されることはない。

このプロジェクトに対する関心の度合いを深めるのは、参加者が自分の写真に付与する カテゴリとキーワード である。主カテゴリは三つあり - Home, Work, そして Connections (我々をお互いに結び付けるものなら何でも) - そしてそれぞれのカテゴリが数多くのサブカテゴリを持っている。また、aday.org はサブカテゴリの多くに前もって定めた幾つかのキーワードを用意しているが、あなた自身のキーワードも勿論追加できる - あなたのキーワードが具体的であればあるほど、似た様に定義された他の写真とグループ化されやすくなる。

Aday.org は、 多くの有名人の支援 を受けている - 例を挙げると Archbishop Desmond Tutu そして Sir Richard Branson、更に多くの科学者やヨーロッパ各国の前首脳たち - そして有名なスウェーデンの写真家 Jeppe Wikstrom が共同設立者として名を連ねている。彼は同様の写真プロジェクト "A Day in the Life of Sweden" を始めた (どうも、数多くの巨大写真プロジェクトを取りまとめてきた Rick Smolan のスウェーデン版という感じである)。資金と技術支援のため名を連ねている大企業も数多くあり、そこには Ericsson, Snapfish, PricewaterhouseCoopers 等々が含まれる。5月15日のアップロードに対して技術インフラが持ちこたえてくれる事を願っているが、aday.org はその日に撮られた写真であればその後数日間は受け入れる。アップロードのためのツールは当日まで入手できないが、進行を早めるため申し込みは今からでもできる。そして私が得た情報では、早期申込者は何を撮るべきか、フィードバック、そしてその他の情報を受け取ることが出来る。

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Amazon、Cloud Drive デスクトップアプリをリリース

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

遅れを取り戻そうとしているが、未だ後れを取っている Amazon が、 Amazon Cloud Drive デスクトップアプリ を Mac OS X 10.7 Lion 及び 10.6 Snow Leopard (そして Windows Vista 及び 7) 用にリリースした。このソフトウェアは、同社の Cloud Drive サービスに対する Finder ベースのアップロードを提供するが、同期や真のフォルダ或いはドライブとしての Desktop 統合は提供していない。また、このアプリを使ってファイルをダウンロードすることも出来ない。

Amazon の Cloud Drive サービスは、音楽蓄積ロッカーとファイル保存を混ぜ合わせたものであるが、これまではデスクトップ要素を欠いていた。いや、今でも欠いたままである - このデスクトップアプリは中途半端で、Dropbox, Google, そして Microsoft と言った競合社からのファイル同期と蓄積サービスの最悪のものにも及ばない ("Google Drive と SkyDrive、Dropbox に狙いを定める" 24 April 2012 参照)。Apple は、較べるものがない唯一の会社である、何故ならば 30 June 2012 に iDisk が海底の藻くずと消えた後は、Apple にはデスクトップファイル同期と言えるものは何も残らなくなる。

Cloud Drive デスクトップアプリをインストールした後、特徴のないクラウドアイコン (これは良い選択だと思う) がシステムメニューバーに現れる。ファイルをアップロードするには、項目をこのクラウドアイコンに丸の中に緑のプラスサインが現れるまでドラッグする。または Finder でファイル又はフォルダを Control クリックして、そのコンテクストメニューから Upload to Cloud Drive を選択することでもできる。(このメニューを見るにはあなたのコンピュータを再起動しないといけないかもしれない。最初私の Mac 上には現れず、Finder を再立ち上げするだけでも不十分であった。)

この Cloud Drive アプリのページではダウンロードも勧められている:"Cloud Drive からファイルやフォルダをダウンロードするのは簡単。" しかし、残念ながらそうとは言えない。このプログラムのツアーでは、これはインストールの後か Help メニューから見られるが、ファイルをダウンロードするには Web を使わなければならないと言っている。私の本では、これを "簡単" とは言わない。

Amazon は無料アカウントに対して 5 GB の蓄積容量を提供しているが、Amazon から購入した音楽の蓄積はこの数字には算入されない。有料蓄積は 20 GB の蓄積容量に対して年額 $20 から始まり、有料アカウントは Amazon 購入又はアップロードされた音楽はこの蓄積容量限度に対して算入しない。(Amazon の極めてまともな Web ベースのメディアサービスの更なる詳細については "Amazon、メディアアクセスの容易さで Apple に勝つ" 17 November 2011 を参照。)

私は数日前、Google が Google Drive を立ち上げそして Microsoft が SkyDrive をオーバーホールした後、Amazon は何処に位置するか聞かれた。その答えは? 遅れていて、未だその姿すら見えない。

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Tweetbot と Storify で Twitter の会話を記録する

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私をよく知っている人なら、私が Twitter に依存して生活していると聞いても驚かないだろう。Twitter で私は、非常に活発なものからとてもゆったりしたものまで、たくさんの興味深い会話を交わしている。Twitter には会話のスレッド化の機能が内蔵されていて、良く出来た Twitter クライアントならば会話を正しく一覧させてくれる。

公開されて利用できるさまざまの場所、例えば Twitter、Facebook、Flickr といったところから会話を取り込んで、それをもとにストレートな文章のみの、あるいは注釈付きの物語を築き上げることのできるサービスはいくつかあるが、Storify もそのうちの一つだ。このサイトではインタラクティブなドラッグ&ドロップのやり方を使って、メッセージや投稿を見つけてはそれらを物語の構造の中へ入れて行くことができる。数週間前、Twitter 上の友だちと私は即興の会話で "2001: A Space Odyssey" の Apple 主題による馬鹿げたパロディーを生み出し、私はそれを Storify に取り込んでみた. 。もしも Storify がなければ、このナンセンスな会話は永遠に失われていただろう。(その方が良かったという声も聞こえてきそうだが。)

いや、これは別にナンセンスなことだけのためのものではない。Storify は、つかの間のはかないものでさえ、もしもそこに価値があれば取り込んで保存しておけるのだ。Twitter はつまらないものの寄せ集めのように見えるかもしれない。Facebook は赤ちゃんの話と政治的な暴言のやり取りだけに特化した個人的なお喋りの場に見えるかもしれない。それでも、そこには膨大な量のコミュニケーションが起こっている。そのほとんどすべてはゴミ箱に直行すべきものかもしれない。

でも、単なる無駄話を超えた何かが持ち上がった場合には、Storify を使って会話の構造を保ったまま保存することができる。あなたはそこに連結的な説明を書き加えて、ここに表示された会話がどのようにしてまとめられ、誰でも読める形で共有され、コメントを書き込むこともできるようになっていると説明することもできる。私にとってそれは、何か有益な議論をしていて、その議論を行きつ戻りつして読み返せば新しい知見に繋がるというような場合に役に立つものとなる。また別の人ならば、何かの問題点について数名の参加者たちが会話をしていた場合、記者たちが事件について議論していたにせよ、著名人たちが論争を繰り広げていたにせよ、あるいは活動家たちが次の一手を練っていたにせよ、会話を取り込んでおけばその瞬間を保存してあとで見直したり引用したりできるだろう。

私が iOS 上で頼りにしている Twitter クライアントは Tweetbot ($2.99、iPhone/iPod touch 版iPad 版は別売) だが、Twitter の会話の流れに対する Tweetbot の扱い方は、私が頭に描くその種のやり取りの概念と合致している。どの tweet の上でも右へスワイプすれば、Tweetbot はそれに付随した議論のスレッドを開いてくれる。(どうやら Tweetbot の Mac OS X 用バージョンも登場予定のようだが、まだ公開ベータ版さえ出ていない。)

さて、ここで二つの素晴らしい体験が融合を果たした。Tweetbot の最新のアップデート、バージョン 2.3 で、Storify への出版が直接サポートされたのだ。どんな会話が表示されている状態でも、スクリーン右上隅にあるアクションボタン (箱から矢印が出ている) をタップして、リンクを email または tweet するアクションを選ぶ。すると、その会話がまず Storify に保存される。その後で結局電子メールも tweet 投稿もしなくても構わない。その後で、あなたの Twitter アカウントで Storify にログインして、その会話を編集あるいは構成すればよい。もしもあなたが既存の Storify アカウントを持っていて、それがあなたの Twitter アカウントにリンクされているならば、その投稿はあなたの物語コレクションにもリンクされる。

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Twitter にメッセージを投稿するとき、あなたはそのメッセージがビットの海の底深く永遠に沈んでいる方がいいと思っているかもしれない。けれども私は、その場その場の気楽な会話の中にも賢いアイデアが埋もれているものだ、と近年ますます思うようになった。Tweetbot が Storify と結び付いたことによって、議論をアーカイブ保存してあとでいつでも切り分けられるようにしておくことが、手軽にできるようになったはずだ。

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PodBOT でオーディオ版 TidBITS が改善

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちが出版している TidBITS 記事はすべて、オーディオ版でも聴けることをご存じだろうか?[訳者注: 残念ながらオーディオ版は英語版のみです。]私が MacTech Boot Camp の会場で出会った古くからの TidBITS 読者の一人が、TidBITS スタッフたちが MacBreak Weekly、MacVoices、Tech Night Owl Live などのポッドキャストに出演するのをとても楽しみにしていると話してくれたが、私が彼に TidBITS 記事のオーディオ版は聴いていますかと尋ねたところ、彼はそれは知らなかったと答えた。

というわけで、念のために言っておくと、TidBITS 記事をあなたの iPhone、iPod、iPad、または Mac で音声で聴きたいと思えば、いつでもできる。一つの記事だけを聴く場合は、見出しページならば各記事のメタデータ行に、個々の記事ページならば記事の一番上のところにある、Listen リンクを使えばよい。それから、あなたのお好きなリスニング用デバイスに自動的に同期されるポッドキャストとして聴きたい場合は、i Tunes 経由で購読するのが最も手軽な方法だ。(TidBITS サイトでページ左上の "Get TidBITS via..." ボックスに Podcast リンクがある。)私たちはたいてい毎週月曜日、電子メール号を出す直前に朗読を録音しているので、このオーディオ版は毎日必ず最新の記事を知りたいという気持ちではない人に向いている。

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さて、今回書きたかったのは単にオーディオ版があるという事実ではなくて、つい最近、ある友人の助けのお陰で、私たちがオーディオ版の音質を改善することができたやり方についてだ。これまで私たちが抱えていた問題点の一つは、個々の記事をそれぞれ別々に録音することが多かったために、入力の音量設定を均一にすることがほぼ不可能だった点だ。そのため、ある記事は相当に音量が大きいのに、その次の記事はかなり静かということもあって、聞く際にいちいち音量調整が必要になってしまっていた。運転中など、とても困る!

この問題に解決を与えてくれたのが、 The Levelator だった。カリフォルニア州にある非営利団体 The Conversations Network が開発した無料のソフトウェアだ。 いくつか高度な魔法を用いることで、The Levelator は複数のオーディオファイルが終始一貫したラウドネスを使うようにする。このソフトウェアは、一つのインタビューの中で複数の人たちの音声が同じくらいの音量になるようにしたり、複数のポッドキャストでラウドネスがバラバラにならないようにしたりするための録音後編集作業を自動化できるようデザインされている。

この The Levelator は Mac OS X の上で動作するけれども、これを Mac 用プログラムと呼ぶには無理がある。環境設定は一切無く、インターフェイスも無いに等しい。(ただ単に、WAV または AIFF ファイルをその上にドロップするだけだ。)さらにスクリプト化にも対応していないので、自動化されたワークフローに組み込むのが難しい。私たちにとっては、ワークフローが極めて重要なのだ。なぜなら、あまり知られたくない秘密を明かしてしまうと、私たちがこれらのオーディオ版を録音しているのは最高のポッドキャストを作りたいという強い欲求があるからではなくて、私たちがもともと最終校正の段階で記事を声に出して読んで確認するようにしていたからだ。(微妙なタイプミスや、その他適切でない表現などを見つけるには、声に出して読むのが効果的な方法だからだ。)

だから、私たちはできる限り作業の手順をシンプルかつ能率的なものにしておく必要がある。その中にただ The Levelator を追加しただけでは、頭痛の種が増えるというものだ。従来の標準のワークフローでは、直接 Rogue Amoeba の Audio Hijack Pro に録音していた。それならば、録音、エンコード、ファイルの名前付け、メタデータの割り当てがすべて一つの手順で実行できるからだ。The Levelator は圧縮されていない WAV および AIFF ファイルを受け付けて処理後に新たにファイルを作成するので、ファイルの名前付けとメタデータの割り当てを別途事後に施さなければならない。それをするのは難しくはないが、同じ作業を何度も繰り返すのは面倒だ。早く晩ご飯にしなくちゃという考えで頭を一杯にしつつ月曜の夜遅く作業を急いでいるのならなおさらだ。

この問題の解決法を探しつつ、私は Doug's AppleScripts for iTunes という素晴らしいサイトでいくつか関係ありそうなスクリプトを見つけた。このサイトには、iTunes をコントロールしたり、音楽を管理したり、ファイルを変換したりなど、さまざまの作業のための膨大な数のユーティリティスクリプトが揃っている。けれども、私の必要にぴったりのものは一つもなかったし、私の AppleScript 技能は極めて低かったので、私は Doug Adams 本人に頼んで助けてくれないかと尋ねてみることにした。彼も長年の TidBITS 読者であって、TidBITS のオーディオ版のために能率的なインターフェイスを実現するツールを構築するためなら喜んで手伝いたいと言ってくれた。

その結果生まれた私たちのツールは、その後 PodBOT という名前で知られるようになったが、基本的に四つのことを、次の順番に、必要とした:

  1. WAV または AIFF ファイル(Audio Hijack Pro か GarageBand で録音されたもの)を The Levelator で開いて、望み通り終始一貫したラウドネスを得る。

  2. The Levelator の出力ファイル(ファイル名と場所は予想可能だ)を、サイズのずっと小さな 48 Kbps AAC ファイルに変換する。PodBOT は、これをコマンドラインプログラム afconvert を使ってする。

  3. そのオーディオファイルのメタデータ(ファイル名、タイトル、著者、号番号、記事テキスト、その他)を集めて、それらをそのオーディオファイルの中に埋め込み、iTunes の中で正しく表示されるようにする。(例えば、iTunes の Lyrics (歌詞) フィールドには記事のテキストが表示される。)そのために、PodBOT は iTunes に頼る。Doug は、余計なファイルがライブラリに散らかることなく iTunes にそのようなメタデータを割り当てさせる方法を熟知しているのだ。

  4. オプションとして、SFTP 経由でファイルを私たちのサーバにアップロードして、TidBITS Publishing System に命じてそのファイルを対応する記事とリンクさせるようにする。私たちはそのために Transmit または Transmit or Fetch を使うようにした。いずれも簡単にスクリプト化可能で、PodBOT はそのために必要な認証情報を含んだ既存のブックマークに依存することができる。

Doug は結局、大量の AppleScript を一つのシンプルな Cocoa アプリケーションの中に埋め込んだものとして PodBOT を書いた。そして、それはまさに私たちの必要をぴったりと満たしてくれた。可能になればいつでも自動的に、個々の録音に対応するデータを TidBITS Publishing System の中から探し集めてくれる。割り当てるべきメタデータの中でそれ以外のもののほどんどは、いつも変わらないものであるか、あるいは(日付など)プログラミング可能なものであったので、PodBOT はそれらの項目に対してフィールドを提供する必要すらなかった。個別に入力の必要な少数のフィールド、例えば Voiced By フィールドについては、PodBOT が前回の設定を覚えているので、毎回入力する必要はない。それから、元のファイルをゴミ箱に入れるかどうか、アップロードが成功した後に最終ファイルをゴミ箱に入れるかどうか、といったシンプルなオプションについては、個々の編集者が自分のコンピュータにどれくらいの量のデータを保存しておきたいかに応じて個々に選択できるようにしてある。

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さらに素晴らしいことに、PodBOT は最後的なファイルを作成してそれをアップロードせずにいることも問題なくできるので、外部の筆者たちで自分の記事を録音しておきたい人たちにも、そのファイルと簡単な説明書とを送るだけで、その人たちのオーディオ設定が私たちのものとマッチするかどうか心配したり、フォーマットやメタデータなどの見つけ方の詳しい説明をしたりする必要もない。なぜなら、それらのデータはすべて自動的に処理されるからだ。

私はこの記事を書きながらちょっと変な気分だった。なぜなら、PodBOT は私たちだけの内部的ツールであって、TidBITS 以外の人たちの役に立つものではないからだ。けれども、PodBOT を開発することによって得られたより一般的な教訓は、iOS より Mac OS X が優れている重要な利点の一つが、ただ一つのアプリが何もかもこなさなければならないのでなく、複数のアプリケーションを一つに結び付けることができる点だ、ということだ。私は iOS をその能力の範囲内においてはとても気に入っているが、iOS は必ずしも Mac OS X がこなせることをいつもできるとは限らない。同様に考えれば、Mac OS X におけるサンドボックス化は、確かにいくらかのセキュリティと信頼性の利点があることに疑問の余地はないけれども、複数のアプリケーションを一つのワークフローに統合することができなくなるという点は、多くの業界に壊滅的な影響をもたらすだろう。(2012 年 2 月 28 日の記事“Sandbox の難問: セキュリティ対革新”参照。)AppleScript 自体、Steve Jobs が最初に Apple に帰還した際に切り捨てられる運命から救われたのは、AppleScript が出版業界において欠くことのできないコンポーネントであったからだった。現在の Apple は当時と大きく異なる会社となったかもしれないが、だからと言って Mac でできる仕事が減ることを意味してはならない。

結びに、非常に有能かつ熱心な開発の努力に対して Doug Adams に感謝したいし、The Levelator に対して The Conversations Network に感謝したいし、複数のアプリケーションを一緒に働かせることによって個々の構成部分を個別に使うよりもはるかに扱いやすい方法で何かを作り出せる、そういうオペレーティングシステムを作り続けてくれていることに対して Apple に感謝したい。どうか、将来のバージョンの Mac OS X が、ほとんどすべてのアプリをサンドボックスに閉じ込めて、アプリケーション間コミュニケーションのテクノロジーへの対応を減らすことで、PodBOT のように高度に個別的なユーティリティの作成を不可能にしてしまわないようにと、願わずにはいられない。

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Apple ID の恐怖体験

  文: Chris Owen <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

[Adam です。Chris Owen はこの災難の物語を、私が最近記事にした iTunes アカウントのセキュリティ変更に問題があること(2012 年 4 月 26 日の記事“Apple が iTunes アカウントのセキュリティを拡張、ユーザーは混乱”参照)の証拠として私に送ってくれた。でも、私がもっと心配だと思うのは、Apple ID が従来よりもはるかに重要なものとなってしまった点だ。それは、iCloud が電子メール、イベント、連絡先情報などの重要なデータのために Mac OS X と深く統合されるようになったからだ。当然ながら、Apple は iCloud の各種サービスが間違いなく正しく働くことに常に強い関心を持っている。けれども、そういったサービスは概して無料で(料金の支払いが伴うのは iTunes Match と、追加ストレージに対するもののみ)提供されているので、Apple は技術サポートを手軽に利用できるような形では提供していない。皆さんも Chris の物語を読み終えてから、もしもご自分の iCloud アカウント情報が壊れたり削除されたりしてしまった場合にあなたにどんな影響があり得るか、考えてみて頂きたい。]

Appleが最近 iTunes アカウントのセキュリティアップグレードをした際に何人かの人たちが問題に遭遇したという話を、私も人づてに聞いたことはあったけれど、やはりこの種の話は自分で問題を経験した人でないとどう受け取ってよいのか分からないものだ。そして、悲しいことに、その人たちがどんな気持ちでどんな経験をしたかを、今の私ははっきりと理解することができる。

先週のある朝、私は自分の Mac の前に行って、2通の電子メールメッセージが届いていることに気付いた。2通とも 2:00 AM に送信されたもので、両方とも私の Apple ID に変更があったことを知らせるものだった。私にとって完全に寝耳に水の出来事であったことに注意して頂きたい。私は新しいセキュリティ質問について問われたわけでも、二つ目の電子メールアドレスを提供しなければならなかったわけでもなかった。片方のメッセージには、私のクレジットカードと請求先住所が変更されたと書いてあった。もう片方のメッセージには、私の Apple ID と電子メールアドレスが変更されたと書いてあった。言うまでもなく(そうでなければこの記事を書いていなかっただろう)私は請求先住所もクレジットカード情報も、最初のメッセージに書いてあるようなことは一切変更した覚えはなかった。もっと訳が分からないのが後の方のメッセージで、私の知る限り、Apple ID を変更するのは不可能なはずだった。複数の ID を統合することを Apple が許してくれればいいとは思うのに。

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私がこれらのメッセージを見たのは 8:00 AM だった。つまり、これらのメッセージが発せられた時から、私が自分の Mac の前に座るまでに、少なくとも 6 時間が経過していたということだ。自分のアカウントが侵入を受けたのかもしれないという恐れを頭に浮かべつつ、急いで私は自分の iTunes アカウントにログインしようとしたが、ログインすることはできなかった。それから自分のパスワードをリセットして、ようやく私はログインすることができた。自分のアカウントが侵入されているのではないかという点がやはり心配だったけれども、とにかくパスワードは変えたのだから、もう問題は起こらないだろうと思った。私は知る由もなかったのだ...

その同じ日の夜、8:00 PM に、私はまた別の電子メールメッセージを、こんどは iTunes Store から受け取った。それは私が購入したという $40 の iTunes ギフト券の領収書だった。ここでもやはり、私はそんなものを購入した覚えはなかった。それに、奇妙なことに、領収書に書かれている住所(私の住所)は San Diego の住所だった。私はカンザス州 Wichita に済んでいて、請求先住所をカンザス州 Garden City にしているというのに。でも、これは何者かが私のクレジットカードを使って iTunes ギフト券を購入しようとしているというような、単純な話ではなかった。なぜなら、領収書によればその注文は私の American Express カードに課金されることになっていたからだ。でも私はもう何年間も American Express カードを持っていない。何より一番奇妙だったのはそのギフト券自体の内容説明で、そこには「***様のためのギフト券」(ただし「***」は私の従来の Apple ID パスワード)と書かれていた。その通り、Apple は、私が今日パスワードを変更した際の旧パスワードを、そのまま Description フィールドの中へ挿入したのだ。これは Twilight Zone のテーマ曲が流れ出すべきところだろう。

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iTunes アカウントにログインする前に、私は他のいくつかの Apple サービスをチェックしてみようとしたけれども、どれにもログインできなかった。そこで私はもう一度パスワードをリセットしてから、iTunes にログインした。今回は、私が完全に新規のアカウントを持っているかのように見えた。私の電子メールアドレスが [email protected] であることは知っているようだったが、それ以外のすべてのものは、私がこれまで一度もログインしたことがなかったかのように挙動した。私の iTunes Store 履歴は空だった。iTunes は利用できる iOS アプリのアップデートがあると表示したが、私がそれらを入手しようとすると「あなたはこのアプリを一度も購入したことがないのでアップデートできません」という表示が出るだけだった。iPhone 上の App Store アプリを使ってアップデートをダウンロードしようとしても同じだった。そこで私はウェブに移って、自分の Apple 開発者アカウントにログインしようとしたが、そこでもやはり開発者向け iOS リソースのいずれにもアクセスできなかった。さらに悪いことに、私の iOS アプリに関するプロビジョニングデータがすべてなくなっていた。それにもう一つ、私が Mac App Store で購入したいろいろのアプリのアップデートをチェックしてみると、やはり iOS の App Store と同じエラーが返ってきた。ただしその際に、「これらのアプリはあなたの [email protected] アカウントに属しています。そちらのアカウントにログインしてからアップデートしてください」といった趣旨の表示も出た。私はそんな名前のアカウントを Apple で持っていたことは一度もないし、そもそも [email protected] というのは有効な電子メールアドレスですらない。

これら連鎖的な不具合が次々と起こったにもかかわらず、以前と変わらず動作し続けていたものが一つあった。私の iPhone 上の iCloud だ。それがなぜかを調べようとして、私は自分の iCloud 設定がなぜだか知らないがあの幽霊のようなアドレス [email protected] を使う設定に変わってしまっているのに気付いた。私は iPhone 上で iCloud 設定を更新したことなど一度もないし、その [email protected] というものをどこかに入力したこともない。また、iPhone 上で iCloud 用に新しいパスワードを入力してもいない。Apple ID パスワードを、私は過去 12 時間以内に二度も変更したというのに。今になっても、私は Apple がどうやって私の iPhone 上の iCloud 設定を遠隔から変更できたのかさっぱり分からないでいる。幸いにも、私はカレンダー管理や電子メールで iCloud には依存していない。もしも私のイベント管理や電子メールが混乱してしまったら、私の日々の生活にどれほどの大損害が起こっていたか、想像することすらできない。

明らかに、これは援助の手を必要とする事態であったが、それは口で言うほど簡単なことではなかった。私の知る限り、Apple ID の問題について Apple に問い合わせる方法はない。数時間悪戦苦闘したあげく、Apple の Express Lane サービスを使って iTunes Store 関係のトラブルチケットを開けばよいのではないかと思い付いた。残念ながら、結局それで辿り着いたのは空白のページのみだったが、何度も何度も試みては失敗するうちに、ようやく私は Safari 以外のウェブブラウザを使ってみるというアイデアに遭遇した。皮肉なことに、それを実行したとたんに、私は無事トラブルの報告を提出することができた。9:30 PM ごろのことだった。

その次の日の 2:00 PM に、ついに私は Apple から電子メールで返事をもらった。でも何たることか、それは単なる出来合いの定型文メッセージで、フィッシング詐欺に騙されないようにするためのさまざまの方法を羅列したものに過ぎなかった。私が遭遇したのはその種の問題ではなかったので、私はそのメッセージに返信して、問題を説明してその点を指摘した。でもそれから一時間ほど経って、Apple はまたもう一通のメッセージを私に送って、すべては元通りに復旧されたと言ってきた。そこで iTunes Store と、Mac App Store、それから私の開発者アカウントにログインしてみると、実際、元通りに私のデータのすべてにアクセスできた。今回の問題について Apple は何も説明してくれなかったけれども、少なくともすべてが元通りに動作するようになった。

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いや、一つのことを除いてすべてだ。iPhone 上で私の iCloud アカウントがどういうわけか [email protected] という実在しないアドレスに変わってしまったとさきほど書いたのを覚えておられるだろうか? Apple が私のアカウントデータを復旧してくれた後も、iPhone 上の iCloud は依然としてこの正しくないアドレスに設定されたままで、まるきり動作しないままだった。どうやら iPhone 上の iCloud に付随した Apple ID を変更するのは不可能なようなので、私はやむなく自分の iCloud アカウントをまるごと削除し、正しいアドレスの [email protected] を使って新規にアカウントをセットアップするほかなかった。いったんそれを済ませた後は、私の Apple 世界の中のすべてのものが再び正しくなった。

もしもこの物語に教訓があるとすればこうだ。Apple は、すべての卵をたった一つの Apple ID のバスケットの中に入れた。私たちとしては好きなだけそのバスケットを注意深く見守ることはできるけれども、もしも Apple が舞台裏で何かをしくじれば、生卵を顔一杯に浴びたまま助けを求める方法もすぐには分からず放り出されるのは私たちなのだ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2012 年 5 月 7 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Alfred 1.2 -- Running with Crayons 社が、同社の無料のキーボード駆動ランチャーAlfred をバージョン 1.2 にアップデートし、多数の新機能を追加した。Alfred のウェブサイトからも Mac App Storeからも入手できる今回のリリースには二つの新しいテーマと、テキスト表示や計算における大サイズ文字への対応、Alfred 検索結果からファイルを Finder、Apple Mail、その他のアプリへドラッグできる機能などが追加された。検索マッチングのアルゴリズムも書き直されて、非連続的な単語ベースのマッチングによって検索結果を改善することができるようになった。

しかしながら、今回のリリースにおけるすべての改善点を利用できるためには、このアプリを Alfred ウェブサイトからダウンロードする必要がある。(Mac App Store 版では Apple のサンドボックス化ルールのために機能に限界がある。)その上、すべての機能のロックを外すには、15 ポンドを払って Alfred Powerpackを購入する必要がある。Powerpack で拡張された Alfred 1.2 では、1Password の 1Click ブックマーク統合が得られ、パスワードのリストに手早くアクセスしたり、選択したブックマークをデフォルトのウェブブラウザで開いたりできる。また、現在選択されているテキストをクリップボード履歴の前回の項目と結合させることもできる。最後にもう一つ、グローバルなホットキーも拡張されて、最初に Alfred を開くことなく最も新しいクリップボード項目をプレインテキストとしてペーストしたり、スニペットにホットキーを割り当てて手早くペーストしたりできるようになった。(無料、Powerpack は 15 ポンド、2.5 MB、リリースノート)

Alfred 1.2 へのコメントリンク:

Transmit 4.1.9 -- その前のアップデートからしばらく時間が経ったが、今回 Panic は Transmit 4.1.8 をリリースして、このファイル転送ソフトウェアに少数の修正や改善を加えた。このアップデートでは OS X 10.8 Mountain Lion を使っている際に Transmit Disk で起こったカーネルパニックを修正するとともに、ドライブをアンマウントした後でマウントポイントのフォルダを見た場合に起こることのあったクラッシュも直している。さらに、Growl 1.3 に対応するとともに、AS/400 や Personal FTP Server Pro との互換性を改善し、リスト表示のファイルブラウザでフィルター付けをした際の項目カウントをアップデートしている。その他の修正としては、コンテクストメニューが重複する問題や、いろいろの表示上の問題点などがある。その後素早く出された 4.1.9 アップデートは、Transmit Disk メニュー追加項目で起こる可能性のあった問題を修正し、10.6 Snow Leopard におけるキーチェーンの問題点に対処し、もう一度 Growl との互換性を改善した。(新規購入 $34、無料アップデート、22.4 MB、リリースノート)

Transmit 4.1.8 へのコメントリンク:

SpamSieve 2.9.1 -- C-Command Software が SpamSieve 2.9.1 をリリースした。今回は主として、Microsoft Outlook 2011 SP2 の最近のリリースに対応することが主眼だ。(最新のアップデートについては 2012 年 4 月 26 日の記事“Microsoft Office for Mac 2011 14.2.1”参照。)もしもあなたがこれまで Outlook 2011 を使っていたのなら、このスパムフィルタリングソフトウェアが自動的にそのスクリプトをアップデートする。けれども、あなたが新たに Outlook 2011 をインストールした場合は、あなたのルールを走らせるためには SpamSieve メニューから Install Outlook Scripts を選ぶ。さらに、SpamSieve 2.9.1 では Apple Mail プラグインにおけるいくつかの問題に対処するとともに、インストールされたプラグインに破損があれば探知して自動修復を試み、同時にあなたに新たにダウンロードしてインストールし直すよう警告を出すようになった。今回のリリースではまた Mac OS X のファイヤウォールから "accept incoming network connections" ダイアログが出る問題を解消するとともに、Growl SDK のバグを回避するためいくつか例外ガードを追加した。(新規購入 $30、無料アップデート、9.1 MB、リリースノート)

SpamSieve 2.9.1 へのコメントリンク:

Hazel 3.0.5 -- Noodlesoft が Hazel 3.0.5 をリリースし、このファイル・クリーンアップユーティリティにたくさんの修正を施した。今回のアップデートでは、移動・コピーの操作の行き先として「それを含むフォルダ」という選択肢が意図せず削除されてしまっていたのを復活させるとともに、明瞭さを増すため条件のターゲットの文言を変えた。Growl への対応も改善して、Growl メッセージパターンに(コメントにも)コロン文字が使えるようにした。さらに Growl オプションをパターンのインターフェイスから切り離して独自のポップオーバーに入れ、Growl パターンでも他のパターンと同じようなフォーマットが使えるようにした。今回のリリースではまた、ある種のルール、主としてフォルダのサイズや含まれる項目の個数に依存して働くルールが、Hazel で動かなかった問題を修正している。Noodlesoft はルールのフォーマッティングと内部のデータベースが変更されたためいくつかのルールが「二度点火する」かもしれないと注意しているが、これは起こってもたった一回限りのことだ。(新規購入 $25、アップグレード $10、5.0 MB、リリースノート)

Hazel 3.0.5 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2012 年 5 月 7 日

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週は皆さんに見て頂きたいちょっとした情報がたくさんある。まず、Snow Leopard で FileVault を使っていてその後 Lion へアップグレードした人たちへの警告がある。また、FBI が盗聴機能の強化を検討しているという注意喚起と、iPad 2 に改善が施されたニュース、ビジネス上の観点から DRM に反対する意見を述べた見事な記事、Oracle が Mac OS X 用の Java アップデートを自ら引き受けようとしているという報告記事がある。それから、あの有名な Apple の 1984 年のコマーシャルの愉快なパロディーを、Apple 自身が自社の営業陣のために作った。

FileVault パスワードがプレインテキストでログされる危険性 -- 詳しい情報はまだこれから出て来つつある段階だが、Sophos の出した報告によれば、特定の状況の組み合わせの下で FileVault のパスワードがプレインテキストのログファイルの中で読めてしまう結果になる可能性があるという。その組み合わせの状況が実際に起こる可能性はかなり低い。その Mac が Mac OS X 10.6 Snow Leopard の下で FileVault 1 を使っていて、その後 10.7 Lion にアップグレードされ、その後さらに 10.7.3 にアップグレードされ、その間一度も FileVault 2 に切り替えたことがない、というのが条件だ。とは言うものの、もしもあなたがこの条件に該当するならば、今すぐパスワードを変更しよう!

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FBI が CALEA のウェブサイトへの拡張を検討中 -- CNET の Declan McCullagh によれば、FBI が CALEA (Communications Assistance for Law Enforcement Act, 通信盗聴援助法) を拡張して、盗聴の対象をウェブサイトや iCloud、iChat、FaceTime、Twitter、Facebook、Skype、Gmail、Hotmail などのサービスにまで拡げることを検討しているという。1994 年に通った法律 CALEA は、現在は電気通信会社に対してそのシステムを盗聴に対応できるものにすることを義務付けている。2004 年に、CALEA はブロードバンドのネットワークに拡張された。このような拡張に対してテクノロジー会社は概して不満をつのらせており、Apple も現在この話題についてロビー活動を強めている。バックドアを義務化することは、たとえ裁判所の命令があった場合にのみ使われるとしても概して気味悪い感じがするのみならず、同時にまたセキュリティ上の深刻なリスクを課すことにもなる。

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静かに改訂された iPad 2 がより良いバッテリ寿命を備える -- 2012 年の 4 月に、Apple は iPad 2 に僅かな変更を加えた機種の出荷を開始した。第3世代 iPad がこの製品ラインの主要機種となった今も、この第2世代機種の販売は続けられている。今回の新しいバージョンの iPad 2 は、"iPad 2,4" と社内的には呼ばれるが、従来の iPad 2 機種における 45nm バージョンに代わり 32 nm (ナノメートル) バージョンの Apple の A5 チップを使っている。プロセッサのパフォーマンスは同じだが、AnandTech の記事によれば 32nm 機種の方がはっきりとバッテリ寿命が改善している(また製造コストも下がっている)という。残念ながら、手にした iPad 2 が新しいチップを使っているのかどうかは、内部構成を報告するアプリを走らせなければ知る方法がない。

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DRM のビジネス投資対効果を分析 -- WordPress についての本から抜粋された章の中で、Kirk Biglione が DRM のコストについて見事な分析を展開する。読者にとって、出版社にとって、小売業者にとって、そして世界全体にとってのコストが検討される。2012 年 5 月 4 日が毎年恒例の "Day Against DRM" の第四回目であったことを考えれば、まさにぴったりだ。

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Oracle、Mac OS X 用の Java アップデートを自らの手で -- Ars Technica の記事によれば、Java 開発環境を管理している会社 Oracle が Mac OS X 10.7 Lion 用の Java の配布を自らの手で行なうことにしたという。(Mac OS X の古いバージョンは対象とならない。)これまで Apple は Oracle ほど素早く Java をアップデートしてこなかったので、今回の変更によって Mac ユーザーたちは将来の Java 脆弱性に対してより素早く保護されるようになるだろう。残念ながら、今回の 1.7.0_04 リリースの Java においては Java Plugin と Java Web Start アプリケーションがサポート対象となっていない。つまり、Oracle のコードをインストールした Mac ユーザーは Java アプレットが使えない。だから、それらのものが Oracle 版の Java でも出されるか、あるいは新たなセキュリティ脆弱性が登場して他に選択の余地がなくなるかするまでの間は、そちらに切り替えるのを待った方がよいかもしれない。

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Apple、販売陣向けに 1984 年広告のパロディーを制作 -- Apple が社内向けのパロディー広告を作った。あの有名な "1984" 広告のパロディーは、その名も "1944"、見てみなければ信じられないほどの出来映えだ。ずっと以前に Apple 従業員であった Craig Elliott が、このビデオを Network World の Paul McNamara に提供したという。奇想天外なシーンがいろいろあるが、その一つでは Steve Jobs が FDR の物まねをする。[訳者注: フランクリン D. ルーズベルト大統領のことと思われます。]このビデオは Apple の営業陣の士気を高めるために作られたもので、おそらく 1984 年以来、人の目に触れてこなかったもののようだ。

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