TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1137/06-Aug-2012

今週も Mountain Lion の記事が号を独占する。まず、生放送の感覚をお届けする私たちの TidBITS Presents ビデオ "Upgrading to and Using Mountain Lion" をぜひともご覧頂きたい。それ以外の記事はすべて、Mountain Lion の生息地域をそれぞれに深く掘り下げて探究する。Kirk McElhearn はディクテーション (音声入力) をうまく使うコツをいくつか紹介する。Shane Stanley は Mountain Lion が微妙だが重要な変更を施したことで AppleScript のスクリプトを書いている人たちが注意すべき点を説明する。Matt Neuburg は Lion の Automatic Termination (自動終了) に関する芳しくないインターフェイスが Mountain Lion になっても直っていないことを指摘する。Adam Engst は Mountain Lion でウェブ共有を復活させる方法を検討する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、MacBook Pro Retina SMC Update 1.0、Coda 2.0.2、Airfoil 4.7.2、Audio Hijack Pro 2.10.5、TinkerTool 4.9、PDFpen と PDFpenPro 5.8.5、それに Voila 3.2 と Boom 1.5 だ。

記事:

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TidBITS Presents "Upgrading to and Using Mountain Lion" を見よう

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

我々の二つ目となる 1 August 2012 のTidBITS Presentsイベントは成功裏に終わった。200 人を超す TidBITS メンバーと "Take Control of Upgrading to Mountain Lion" と "Take Control of Using Mountain Lion" の所有者が Google Hangouts On Air 経由でライブで参加してくれた。Joe と Matt が彼らの本からのカギとなる細部を共有し、そして聴衆からの数多くの質問に 2 時間以上にわたって答えた。

我々はこのライブイベントへの参加を TidBITS メンバーと Joe と Matt の本を買ってくれた人たちだけに限定したが、これは彼らの支援に感謝の意を表するためであった。しかし、録画したバージョンは TidBITS Presents ページ又は YouTube 上で誰にでも見て貰える。これまでにもう 1300 人以上の人達が見てくれている。

今回我々は iOS 側で二重の失望を経験した。と言うのも、Google+ iOS アプリへのアップデートは Hangout へのコンパチ性を約束していたのだが、結果的にはこのコンパチ性は公共の Hangouts On Air までは手を伸ばしていないことが分かった。それから iOS 上の Safari でライブの YouTube ストリームを見るに必要なトリックを我々は考え出しそして予行演習ではうまくいったのだが、実際のプレゼンの時には単純にこれは提供されていなかった。我々としても iOS と何が関係していたのかの調査は続ける積りである。いずれにしても、今や iOS 経由でも YouTube 版 を見ることができるし、それを Apple TV 経由であなたの大画面にストリームすることもできる。

どうかこのプレゼンテーションについてのコメントを寄せてほしい (この記事の最後でか、Google+ ポストでか、或いは YouTube 上で)。内容、プレゼンのスタイル、長さ、技術経験、等々の観点からお願いしたい。我々はもっとライブのオンラインイベントをやることについて話をしているので、我々からどんなものを見たいと思っておられるのか知りたいと思っている。

見て頂いてありがとう、そして内容も有益であったと思って頂いたことを願っている。

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Web Sharing を Mountain Lion に取り戻すには

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は Mac OS X のリリースの度に新機能を高らかにうたうのを得意としており、OS X 10.8 Mountain Lion の場合も例外ではなかった。しかし、新機能の売り込み文句と実際に何が変わったのかを説明するリリースノートを区別してみるのは大事であり、ひょっとすると一つの変更があなた目につかないままでいるかもしれない:System Preferences の Sharing ペインにあった Web Sharing オプションの削除である。このオープンソースの Apache Web ソフトウェアは未だ存在はしているのだが、コマンドラインに訴えることなしにこれをオンオフする方法はもはや内蔵されていない。

Apple はサポート記事でこの動きを認めており、要はもし Web サイトを走らせたいのであれば、OS X Server を入手してほしいと言っているのだが、これは Mac App Store で更に $19.99 を払う話でもある。お金の話だけをすれば、OS X Server はどうにも手の届かないというものではないが、だからと言って Web Sharing が取り除かれたことについて文句はないという話にはならない。

私は OS X Server について、ハイエンドでの Web サービスのニーズに適しているかどうかのコメントは差し控えたいと思うが、我々は数年前に TidBITS と Take Control Web サイトのためにこれを放棄したということだけは言える。我々は Apache の構成と他の Web コンポーネントに対して Apple が提供しているもの以上のコントロールが必要であった。そして Apple のインターフェースと標準のコマンドラインの間で行ったり来たりを繰り返すことも、そして物事をコントロールする環境設定ファイルの方法も厄介であった。

小さなサイトに対してすらも、OS X Server は必ずしも適切であるとは言えない、何故ならばそれには沢山のものが詰め込まれているので時として過剰であるからである。例えば、やりたいことは静的なページ (PHP, AJAX, Perl, 等々) からではロードできないコードを試験するために Web サーバーソフトウェアを走らせたい、モバイル機器のための Web ベースのソフトウェアを開発するため、或いは Mac OS X に内蔵の Web サービス能力に依存するユーティリティを使うためだけという様な場合である。

もっと厄介なのは、Apple は Web Sharing オプションを取り除くことで、 10.7 Lion 下で Web Sharing を走らせている人達を気まずい状況に追い込んでしまったことである。Chuck Shotton によれば、彼は Mac のための最初の Web サーバーを書いた - MacHTTP, これは後には WebSTAR となった - Lion 下での Web Sharing 設定は Mountain Lion にアップグレードする時に保存されるという。これが意味する所は、前のバージョンの Mac OS X 下では出来ていたようには最早コントロール出来ない生きた Web サーバーを持つこととなる。もしあなたが十分に技術に堪能であれば、Brett TerpstraNeil Gee の両者がこの問題及びコマンドラインにおける関連した Apache 問題に対応するやり方を載せている。

Mountain Lion で Apache Web サーバーへのアクセスを維持したいと思う人のためのより単純な解は Tyler Hall の Web Sharing ペインである。System Preferences にインストールするためこれをダブルクリックしそしてそれを使って Apache を有効にするそして無効にするのである。まさに Mountain Lion 以前のバージョンの Mac OS X でやっていた様にである。Hall はこの単純な Web Sharing ペインを、彼の $39.95 のVirtualHostX のお蔭で作成することができた。VirtualHostX は Mac 上で複数の Web サイトを走らせることから複雑性を大幅に軽減するユーティリティである;これを無償で提供してくれた彼に感謝!

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Apple が Mac OS X をこの様な形で単純化するのを目にするのは悲しい。それは何もこの機能を取り戻すのが難しいからではなく、Web Sharing の様な機能は長いこと Mac OS X の大黒柱の一つであったからである。それらをこの様な形で廃止予定とするのは、このプラットフォームの将来に対する Apple のビジョンが、Apple が長いこと大切にして来たものからどの様に離れて進化していくかを示す更なる証拠でもある。我々としては - もし我々が実際に多くの能力がオペレーティングシステムに組み込まれる前の時代に少しずつ戻されているのであれば - Apple は独立の開発者達が、この様な機能を維持し拡張するために代理を務めることを阻止しないであろうことを願うだけである。

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Mountain Lion は (依然として) Quitter

  文: Matt Neuburg: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ちょうど一年くらい前に、私は Mac OS X 10.7 Lion がアプリケーションをあなたが使っている間にも勝手に終了させる習性があると指摘した。(2012 年 8 月 5 日の記事“Lion は Quitter”参照。)その習性は、私がその記事に書いたように、Automatic Termination (自動終了) という名前を持つ。私は息を詰める思いで、最近リリースされた Lion の後継者 10.8 Mountain Lion がこの下品な習性を止めたのかどうかと待っていた。いや、止めてはいなかった。

アプリケーションを終了したがる Lion の挙動が Mountain Lion にも残っていることを実地に示した スクリーンキャストのビデオを投稿しておいた。ごく単純なスクリーンキャストだが、Mountain Lion が依然として quitter (終了者) であることを一目瞭然に示している。最初に、私は Command-Tab のアプリケーション切替をパラパラと切り替えて、動作中のアプリケーションを示した。 LaunchBarScreenFlow と Finder だけだ。次に、LaunchBar を使って、私は TextEdit を起動した。それから新規の書類を開いた。次に TextEdit の書類を閉じてから、デスクトップをクリックして Finder に切り替えた。私が TextEdit に終了するよう命じなかったことに注意! 私は、ただ Finder を前面に持って来ただけだった。それなのに、その瞬間、TextEdit は勝手に終了した。よく見て頂けば、TextEdit が Dock の右端から消え去るのがご覧になれるだろう。それから Command-Tab のアプリケーション切替で TextEdit を探しても、見つからない。(実際、 本当に よく見て頂けば、ScreenFlow もやはりずっと早い時点で Dock から消えていて、Command-Tab のアプリケーション切替にも出てこなくなったことにお気付きだろう。幸いにも、スクリーンを録画する ScreenFlow サブプロセスは終了しなかった!)

さまざまの Apple 弁明者たちが、この驚くべき挙動を正当化しようと楽観的な試みをしてきたが、私の観点からは、弁明に成功した例は一つもない。言えることの中で最もまともなのは、Lion や Mountain Lion にはオートセーブや Resume (再開) の機能があるので(それらの組み合わせにより、アプリケーションの状態が次に起動した際に復元される)アプリケーションが走っているかどうかという状況そのものにはもはやあまり重要性はないという意見だ。それはそう かも しれないが、それは自動的に終了したアプリケーションのアイコンが Dock 上にも Command-Tab アプリケーション切替にも残っていて手軽に起動し直すことが できる 場合に限られる。この点に関し、アイコンが消えてしまうのは単なるマイナーなバグであってそのうち Apple が修正してくれるだろうという声も聞こえる。しかし事実は、Lion のすべてのバージョンを通じて、そして今や Mountain Lion でも、Apple は Automatic Termination の挙動におけるこの側面を一切変更して いない。自動的に終了されたアプリケーションのアイコンは 依然として Dock からも Command-Tab 切替からも消えたままであって、ユーザーが意図的にそのアプリケーションを終了させたり、あるいはそのアプリケーションがクラッシュしたりした場合と同じ結果となっている。だからユーザーとしては、自分がそのアプリケーションを意図的に終了させたのではないので、戸惑い苛立つというのが自然な感情であり、そのアプリケーションを使い続けるために、またもや初めからもう一回、それを探し出して起動し直すという手間をかけなければならない羽目になる。

(Automatic Termination の挙動は、実際私がここに書いたよりももっと悪いものともなり得る。Lion の中で、私は Xcode が 起動された直後に 自動的に自らを終了させるのを目撃した。Finder で Xcode のアイコンをダブルクリックしてから、どのプロジェクトを開くかを選ぶ機会が与えられるよりも前に、勝手に終了してしまったのだ。これは Xcode が、走っていたごく短時間の間、ずっと前面に留まっていた にもかかわらず起こり得ることだ。残念ながら、私はこの現象のスクリーンキャストを撮ることはまだできていないが、これが実際起こり得ることは間違いない。)

幸いにも、コマンドラインの呪文を果敢に発見する者たちが、時間を空費していなかった。自動終了をオフにする方法があったのだ! いったいどこの魔術師が、いつこれを発掘したのか、私は知らないが、少なくとも 2012 年 4 月より以前にインターネットでこれに触れたものはあまり見つからなかった。それは、次のようなものだ:

defaults write -g NSDisableAutomaticTermination -bool yes

(この呪文が効力を発揮するためにはコンピュータを再起動する必要があるだろう。)Terminal のウィンドウに触れるなんて手が出ないという人たちには、さらに良い知らせがある。しばらく前に私が TinkerTool の記事を書いて、隠れたシステムスイッチの数々にユーザーインターフェイスを与える多くの方法の中の一つだと紹介したことを(2012 年 10 月 29 日の記事“Lion でフラストレーション? TinkerTool をお忘れなく”参照)覚えておられるだろうか。そう、最近リリースされた TinkerTool 4.9 には、上に書いたものと同じ設定にアクセスするためのチェックボックスが組み込まれた。Applications パネルの一番下近くに"Application control: Don't allow OS X to automatically quit inactive applications" (アプリケーションコントロール: アクティブでないアプリケーションを OS X が自動的に終了しないようにする) と書かれているのがそれだ。

TinkerTool を(あるいはこうした隠れた設定に手を届かせるための他のどんなユーティリティでもあなたのお好みのものならば)使ってみるついでに、Mountain Lion をもっと快適に使えるための他のいろいろなオプションもぜひ試してみよう。今回 TinkerTool に新設されたもう一つのチェックボックスで私が特に気に入っているのは、General パネルにある "Disable rubber band effect" (輪ゴム効果を無効にする) だ。この rubber band effect (輪ゴム効果) というのは、Lion や Mountain Lion でスクロールのインターフェイスがスクロール可能な限界まで達した際にただそこで止まるのではなく「弾んで」から止まるというものだ。もう一つこれも General パネルにあるものだが、私は "Animate opening windows" (ウィンドウを開く際のアニメーション) のチェックを外しておくのが好みだ。一般的に言って、Mountain Lion に内蔵の多くのアニメーションは私の目障りとなる上に、終わるまで待たされるのも嫌だ。だから私にとって、アニメーションをスピードアップしたりあるいは完全に取り除いたりしてくれるものなら何でも大歓迎だ。こうしたことについて皆さんにも私と同じ風に感じて欲しいなどと言っている訳ではない。私はただ、皆さんが試してみたい気になれば使えるオプションがありますよと指摘しているだけだ。

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Take a Memo: 音声ディクテーションをうまく使う 10 のヒント

  文: Kirk McElhearn: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

完璧な音声認識というものは、コンピューティングにおける至高の目標の一つだ。私たちがしゃぺったことを、私たちのコンピュータがそのまま文字に転記できて、綴りも句読点もすべて正しくしてくれるという、昔からSF小説に描かれてきたことは、そろそろ実現されるべきではないのか? 実際のところ、音声認識ソフトウェアはコンピューティングの世界で特に珍しいものではない。Windows ユーザーたちは、もう長年 Nuance 製の素晴らしい Dragon Naturally Speaking を利用してきた。Mac においては、ここ二年くらいでこのソフトウェアがやっとまともな状態になってきた。MacSpeech 社が Naturally Speaking エンジンのライセンス供与を受けて、その後 Nuance 社に買収され、それから MacSpeech アプリは Dragon Dictate と改名された。[訳者注: この記事は、すべて英語システムに関するものです。OS X 10.8 Mountain Lion の音声入力機能は日本語にも対応していますが、この記事での説明が日本語の音声入力にも当てはまるかどうか、訳者は知りません。また、Dragon Dictate の iOS 版は日本語に対応しているようですが、日本語対応 Dragon Dictate の Mac 版が存在するのかどうか、訳者は知りません。]

けれども、音声認識ソフトウェアに何ができて何ができないかを理解しておくのは重要なことだ。私たちはまだ、普通にしゃべっただけで魔法のように言葉が文字に変換されるという段階には達していないからだ。私は過去 15 年以上にわたり、ディクタフォンで口述筆記をし 音声認識ソフトウェアを使ってきた。私にとって口述筆記をするのは手でタイプするよりも決して速くはないけれど、口述筆記の方がリラックスしてできることが多いと思う。でも、素早くタイプすることができない人たちにとっては口述筆記の方が速いかもしれないし、何か身体的な障害のある人たちや、けがのために手が使えない人たちにとっては、これは不可欠なテクノロジーとなる。

iPhone 4S と第三世代 iPad のリリースに伴い、Apple はシンプルな音声入力機能を何百万人もの iOS ユーザーたちの手にもたらした。そして OS X 10.8 Mountain Lion のリリースに伴い、Mac ユーザーたちもまた、Dragon Dictate を購入する必要なしに音声入力を使える人たちの仲間入りを果たすことができた。Apple が内蔵した音声入力機能で満足できるか、それとも Dragon Dictate のフル機能が必要となるかは、あなたがそのソフトウェアをどのように使うつもりであるかに依存する。

(ここで一つ注意しておくべきことがある。音声入力(ディクテーション)はしゃべったものが文字に(まるでタイプしたかのように)変換されることを意味し、一方音声制御(ボイスコントロール)はコマンドをしゃべるとコンピュータあるいは iOS デバイスがそれに反応することを意味する。iPhone 4S 上では、前者は音声入力機能で、後者が Siri だ。Mountain Lion の走る Mac の上では、前者が新しい音声入力(ディクテーション)機能でシステム環境設定の Dictation & Speech パネルにあり、後者はずっと以前から存在している Speakable Items (音声認識) 機能で今は Accessibility システム環境設定パネルにある。)

音声認識について理解しておくべき第一は、私たちが話すことをコンピュータが理解している訳ではないという点だ。コンピュータは私たちの口から発する単語を把握することはできるかもしれないが、その意味や文脈を理解はしない。だからこそ、ディクテーションをする際には特殊なテクニックを用いてあなたが意味するところを伝達しなければならない。

それに加えて、音声認識ソフトウェアは静かな環境で初めてその力を発揮する。余計な雑音のせいで、シュールリアリズムの詩のような文章ができあがることもあり得る。幸いにも、ノイズキャンセル機能付きマイクロフォンというテクノロジーが背景の雑音をフィルター分けして、より純粋なオーディオの流れをあなたの Mac に届けることができる。そのお陰で、活気あるオフィスの中でも口述筆記が可能となるのだ。

しゃべり始める -- あなたがこれまで一度もディクテーションのソフトウェアを使ったことがなくても、iOS と Mountain Lion に Apple が実装した方法の基本は極めて易しいものだと分かるだろう。

iOS では、テキストをディクテーションするには、まずタイプ可能などこででもタップしてオンスクリーンのキーボードを出す。スペースバーの左にあるマイクボタンをタップしてからしゃべり始め、終わればもう一度マイクボタンをタップする。あるいは、マイクボタンをタップしてそのまま押さえ続け、しゃべり終えれば指を離すということもできる。口述筆記されたテキストは挿入ポイントのところに現われる。

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Mountain Lion では、口述筆記のテキストを入れたい個所に挿入ポイントを置いてから、Fn (Function) キーを二度押しすればディクテーションが始まるので、しゃべり始めればよい。(挿入ポイントがなければ、Mountain Lion はあなたが Fn キーを二度押しするとビープ音を鳴らす。)iOS と同様、Fn キーをもう一度押せば Mountain Lion にあなたがしゃべり終えたことを伝えられるし、あるいは呼び出す際に二度目の Fn キーをそのまま押さえ続けていた場合はしゃべり終えた時点で指を離せばよい。あるいはまた、画面に登場するディクテーションバルーンの中の Done ボタンをクリックしてもよいが、手がキーボード上にあればこの動きはあまり便利ではないだろう。最後に、Return キーを押せば、それがあなたの Mac に対してあなたがしゃべったことを処理せよという指令になる。(二度押しするキーは、システム環境設定の Dictation & Speech パネルで変更できる。)

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ベスト 10 テクニック -- より効率的かつ正しくディクテーションができるようにするためのテクニックはたくさんある。iOS や Mountain Lion における Apple のディクテーション機能については、なおさらそれらのテクニックが重要となる。Dragon Dictate などのソフトウェアとは違い、Apple の機能は音声入力した内容から学習することはないからだ。ベストな結果を得るには、次のようなルールに従うとよい:

  1. しゃべるときはゆっくりと、むらなく、明瞭に話そう。テレビでニュースを読むニュースキャスターになった気持ちになろう。

  2. 口に出す前に、何を話そうとしているのかを考えよう。話しながら口ごもれば口ごもるほど、ソフトウェアがあなたの話す言葉を把握するのが難しくなる。

  3. 口述筆記はできるだけ 短い 文や表現に区切って話すべきだが、同時にそれらの文や表現は一つ一つ 完結したものになるようにすべきだ。このことは Apple の音声入力機能では特に重要となる。Apple の音声入力機能は長い文章を処理するようにはデザインされておらず、一度に 30 秒から 40 秒程度ずつしか聞かないようにできているからだ。そうなった理由は、あなたがタップしたり Done ボタンをクリックしたりあるいは時間切れになったりすると、録音されたオーディオが遠隔サーバに送信され、そちらで処理され、それからテキストとして戻ってくるからだ。これとは対照的に、Dragon Dictate ではすべての処理があなたの Mac 上で行なわれるので、あなたがちょっと言葉を止めると、テキストに処理され、それがタイプされ、それからあなたが続いてしゃべるのを待つ、という風にできる。

  4. 大量に口述筆記をするつもりである場合、あるいは周囲に雑音の多い環境にいる場合は、独立のマイクロフォンを使う方が良い。iOS デバイスでも Mac でも内蔵のマイクロフォンはごく簡単な使用には十分だろうが、ノイズキャンセル機能がないので周囲に雑音が多ければうまく働かないかもしれない。ただし、iPhone 4S や第三世代 iPad では、内蔵マイクがあなたの口の近くに来るようにデバイスを持てば認識の精度は飛躍的に高まる。

  5. 句読点などは言葉にして読む。例えば "comma"、"period"、"dollar sign"、"percent sign"、"degree sign" などという風に言う。[訳者注: 日本語の音声入力では「点」「感嘆符」などと言うようです。]改行を入れるには "new line" と言い、改行を二つ入れて空白行を作るには "new paragraph" と言う。

  6. 所有を表わすアポストロフィは "apostrophe" という言葉にして読む。例えば、"I am going to Ahab apostrophe s cabin period" と言えば "I am going to Ahab's cabin." となる。

  7. 単語の綴りを言ったり、略語を言ったりする場合は、文字を一つ一つ個別に、ゆっくりと言おう。Apple の音声入力機能はすべてを大文字にしたがる傾向がある。また、余計な空白が入らないようにするためには、すべての文字を同じ調子で読むとうまく行くかもしれない。Dragon Dictate を使っている場合は、プログラムがスペリングモードを備えているので、そのモードを有効にすればプログラムに文字単位で聞かせることができる。

  8. iOS では、頭文字を大文字にしたい単語の前で "cap" と言えばそうなる。例えば、"I'm going to buy some clothes at cap the cap gap" と言えば文の終わりが "The Gap" となる。奇妙なことに、似たような遠隔サーバを使っている(認識コードは全く同じではないかもしれないが)にもかかわらず、この "cap" を付けるテクニックは Mountain Lion では働かない。Apple にはぜひバックエンドを調整してこの種のやり方で好きなところを大文字にできるようにして欲しいものだ。

  9. Dragon Dictate とは違い、iOS や Mountain Lion のディクテーション機能では間違いを音声で訂正することができない。だから、もしも一つの文に誤りがあれば、キーボードで訂正するか、あるいは単に削除してもう一度やり直すかしかない。

  10. こまめに水分を飲もう。口や喉が渇くと、あなたの声は違って聞こえるようになる。すると、ソフトウェアがあなたの言うことを正確に文字にするのが困難になってしまう。

  11. もう一つボーナスヒントがある。電子メールを口述筆記していて、何か顔文字を入れたいと思ったら、"smiley" と言えば :-) となり、"winky" と言えば ;-) となり、"frowny" と言えば :-( となる。また、それぞれの単語の後に "face" を追加しても同じ結果となる。興味深いことに、例えば Safari 6 のアドレスフィールドの中や、Finder の検索フィールドの中などにいる場合は、これらのショートカットは顔文字に変換されず、言った通りの単語が入力されてしまう。

音声入力はあなたの役に立つか? -- iOS や Mountain Lion に付いている Apple の音声入力(ディクテーション)機能に奇跡を期待してはいけない。練習を重ねれば、例えばインスタントメッセージ、短い電子メールメッセージ、tweet その他の短いテキストに便利に使えるようになるだろう。けれども、もしもあなたがもっと長い文章を口述筆記したいのならば、Dragon Dictate のような専用の音声認識ソフトウェアが必要となる。こちらならばあなたの話すパターンを学習するし、変換の間違いをしてもあなたが訂正できる。Nuance からは専門用語のボキャブラリーが組み込まれたソフトウェア、 MacSpeech Dictate LegalMacSpeech Dictate Medical も出されている。それを使えば弁護士や医者がずっと楽に口述筆記できるようになる。

音声認識は奇跡のように見えることもある。うまく使いこなせば、毎分 40 語から 50 語程度の速度でタイプできる文章を口述筆記なら同じ時間でその二倍の分量がこなせるかもしれない。でもそうなるまでには相当量の努力が双方の側で必要となる。つまり、あなたは最善の結果を生む口述筆記のテクニックを身に付けなければならないし、(Dragon Dictate を使っているならば)ソフトウェアの方も十分に訓練してあなた独自の話し方を学習し認識できるまでに育てることも必要となる。でも、ほとんどのテキストを音声で入力するという世界にちょっとだけ飛び込んでみたいと思っているあなたなら、まずは Apple の iOS や Mountain Lion のディクテーション機能を試してみてから、それで時間の節約になると分かったら Dragon Dictate を使ってみるのがよいだろう。

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Mountain Lion は AppleScript のルールをどう変更したか

  文: Shane Stanley: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

AppleScript はもう 20 年間近くも存在しており、プログラマーではない多くの人たちに働きかけて、彼らが自らスクリプトを書いていろいろなアプリケーションを自動化できるようにしてきたことは疑いないところだが、それでも AppleScript には AppleScript 独自の奇妙な点が多くある。中でも最も注目すべき奇妙さの一つは、他の大多数のスクリプト言語とは違い、AppleScript のスクリプトファイルが単なるテキストのみからは成っていないという点だ。AppleScript のスクリプトが保存されるためには、それをスクリプトファイルとして保存するにせよ独立動作のアプリケーションとして保存するにせよ、まず 最初に スクリプトをコンパイルしてからでなければ保存しない。(例えばシンタックスエラーなどが原因でコンパイルできない AppleScript スクリプトは、テキストとして書き出すことは可能だが、スクリプトファイルとして保存することはできない。)OS X 10.8 Mountain Lion においても従来と同じスクリプトファイルのフォーマットが使われるが、でもそれと同時に、ルールが完全に変わってしまった。スクリプトやアプリケーションが、未コンパイルの状態のままで保存 できる ようになったのだ。これは些細な変更だが、それと同時に極めて大きな変更だとも言える。

詳しいことを検討する前に、Mountain Lion がなぜこんな変更をするのかと考えてみるのも意味あることだろう。あるいは、今なぜこの変更をするのかという方が適切な問かもしれない。その答は、Mac OS X の内部にある。実際には 10.7 Lion で導入された機能、オートセーブだ。Lion ではまだそうなっていなかったが、Mountain Lion 版の AppleScript Editor はオートセーブ機能とバージョン機能をサポートするようになった。

オートセーブ機能について考えてみれば、ユーザー以外の何かが保存の命令をするようになるということは、そのアイデア自体、旧来のモデル、すなわちスクリプトを最初にコンパイルしてからでなければ保存できないという方式とは合わないことが明らかだろう。この難問に対処するために、Apple としてはいくつか選択肢があった。書類がコンパイルされた際にのみオートセーブを始めるか、何か新たなスクリプト保存フォーマットを作り出すか、あるいは既存のファイルと後方互換な新しい方法を編み出すかだ。Apple のエンジニアたちは、この第三の選択肢を選んだ。

AppleScript Editor は、スクリプトを四つのフォーマットで保存できる:

まず .app フォーマットについて見てみよう。これは標準的な Cocoa アプリケーションだ。これは一つのファイルであるかのように見えるフォルダであって、その中に一連のサブフォルダとファイルを特定の決まりに従って含む。AppleScript アプリケーションはコンパイル済みのスクリプトを main.scpt という名前のファイルに、Contents/Resources/Scripts/ の中に保存する。このアプリケーションをユーザーが起動すると、そのファイルがロードされ、そのハンドラが呼び出され、動作が済めばそのコンテンツが同じファイルにまた保存される。

明らかに、もしもこの main.scpt ファイルがコンパイル済みのコードでなければ、このアプリケーションは走ることができない。この問題を回避するため、Apple はちょっとしたデジタルな手品を使うことにした。AppleScript Editor で作業中に変更を保存するとなった際、もしもスクリプトがコンパイル可能ならば、コンパイルしたものが従来と同様に main.scpt ファイルに保存される。もしもシンタックスエラーやその他の問題が起こってコンパイルができなければ、たった一行の文がコンパイル結果として代わりに main.scpt に保存される。その文とは、次のようなものだ:

error "This script contains uncompiled changes and cannot be run."

もしもあなたがそのような .app ベースのスクリプトを走らせようとすれば、上記のエラーを含んだコンパイル済みスクリプトが実行されるので、そのエラーが発生し、ダイアログにそのエラーが表示される。だから、少なくともそのアプリケーションは走るし、適切なフィードバックを開発者に提供する。

でも、そのスクリプトの本当のコードはどうなったのか? コンパイルはできないので、AppleScript Editor はその代わりにそのコードを .rtf フォーマットで別のファイルに保存する。そのファイルは main.rtf という名前で、これは main.scpt があるのと同じフォルダに置かれる。これは、その書類がコンパイルできない場合にのみ保存される。だから、Mountain Lion の AppleScript Editor が .app ファイルを編集しようと開いた場合、まず最初に main.rtf ファイルが存在しているかどうかをチェックする。もしもそのファイルが存在すれば AppleScript Editor は main.rtf の内容をソースコードとしてロードし、もしも存在しなければ従来通りに main.scpt のコンパイルを解く。

以上のことはすべて、スクリプトを走らせたい人たちが自分が目にしたエラーメッセージの意味を理解し、かつ、コンパイルを解かれたスクリプトを編集したい人々の誰もが Mountain Lion の下で AppleScript Editor を走らせている限り、問題なく働く。けれども、もしもあなたが Mountain Lion よりも前の Mac OS X を走らせていれば、あるいはコマンドラインで osadecompile を使っていれば、状況はちょっと複雑なことになる。たくさんのコードが並んでいるのを期待しつつファイルを開いたらたった一行のエラー文しかなくて驚かされるかもしれない。それに、前バージョンのソースを AppleScript Editor にコピーすれば、一つの .app ファイルの内部に二つのバージョンのコードがあるように見えるかもしれない。どのスクリプトエディタを使ってそれを開いたか、それをどのバージョンの Mac OS X の下で開いたかによってどちらが見えるかが変わってくるだろう。

幸いにも、あなたがこの問題について知っている限り、回避できる方法はある。例えば、Finder の中で .app パッケージを Control-クリックして「パッケージの内容を表示」を選び、階層を下がって main.rtf を見つけ、それをテキストエディタで開いてから、コードをコピーして AppleScript Editor の中にペーストすることができる。

スクリプトパッケージ、つまり .scptd ファイルも、同じ手順を用いていて、解決策も同じだ。もしも何か問題が起これば、main.rtf ファイルさえ開けば本当のコードはそこにある。

重要なのは、もしもあなたがスクリプトパッケージの中の main.rtf ファイルを直接開いて、そのソースをコピーして Mountain Lion より前のバージョンの AppleScript Editor の中へ持ち込んだなら、忘れずに main.rtf ファイルを削除しておかなければならないということだ。そうしなければ、そのファイルを Mountain Lion の AppleScript Editor で開いた際にファイルが違ったコードを表示することになり、いずれは破滅的な結果になりかねない。

通常のスクリプトファイル、つまり .scpt という拡張子の付いたファイルは、パッケージではなく単一のファイルなので、Apple はちょっと違ったやり方で問題を回避しなければならなかった。この場合、スクリプトがコンパイル不可能ならば .scpt ファイルは同じエラー文を含むことになり、実際のソースはリソースフォークに RTF リソースとして含まれている。(古参のスクリプト使いなら、AppleScript の最初のスクリプトファイルのフォーマットがリソースフォークに依存していたことを覚えているだろう。当時データフォークのみと呼ばれたものが主流となるにつれてリソースフォークは影が薄くなったが、今日でも Finder の "Compiled OSA Script (data-fork)" という表示にその名残りが残っている。そうしたファイルにリソースフォークが含まれている可能性があることはさておいての話だが。)

ここでも、その RTF リソースは保存時にスクリプトがコンパイルできなかった場合にのみ作成され、Mountain Lion の AppleScript Editor は .scpt ファイルを開く際最初にそのリソースを探す。同じように、古いバージョンの AppleScript Editor や他のエディタはこのリソースを探すべきだということを知らないので、一行のエラー文だけを表示する。けれどもここでは、解決策はパッケージの中でファイルを探すという単純なものではない。リソースフォーク(Mac OS X では実際には別個の不可視ファイルだ)からリソースを読み出すのはもっと複雑だからだ。幸いにも簡単な解決策があって、すぐ後で述べる。

古いバージョンのスクリプトエディタ以外にも、リソースフォークを削除するユーティリティとか、異質なフォーマットのファイルサーバでリソースフォークを正しく扱えないものとかに注意する必要がある。コンパイルされていないスクリプトファイルについては、リソースフォークを削除するのはそのファイルをゴミ箱に放り込んでゴミ箱を空にするのと実質的に同じだからだ。

では、このような変更を受けた以上、問題の発生を最小限に抑えるためにスクリプト使いたちは何をすべきだろうか? もしもあなたが Mountain Lion で AppleScript Editor を使っているなら、まずはこの問題の存在をしっかり頭に入れておく必要がある。もしもあなたがただ既存のスクリプトをいろいろ試してみて、それが変更されてしまうことが心配なだけなら、常にコードのコピーで作業を始めるようにし、何度も使って問題なく動作していることに確信が持てた場合にのみ元のファイルを置き換えて保存するようにすればよい。

また、保存用のファイルと配備用のファイルとを完全に切り分けて、ソースはすべて .applescript ファイルに保存するようにすることもできる。そういうファイルは AppleScript Editor の中では実行できるが他ではできない。このやり方は、長らく推奨されてこなかった。もっともあまり強くそう言われた訳でもなかったし、否定する根拠も主として理論的なものであった。また、Xcode で AppleScriptObjC を使う場合はこのやり方が普通の習慣であった。このやり方は、ソースコントロールシステムとの相性が良い。

おそらくその次のステップは、配備用には実行専用バージョンのスクリプトのみを使うようにすることだろう。Mountain Lion では、AppleScript Editor は今回から Export コマンドを持ち、ファイルを実行専用に保存するにはこのコマンドを使うのが唯一の方法となる。また、このコマンドはまずスクリプトのコンパイルを試みてから保存する。

もちろん、スクリプトをたくさん使う人ならば、AppleScript Editor を捨て去って、Late Night Software から $199 で出ている Script Debugger など本格的なツールを使った方が楽だろう。現在のところ Script Debugger 5.0 はオートセーブ機能に対応していない。また、対応していなくても別に問題ではないと論ずる人たちもいる。ただ、コンパイルされていないファイルを正しく認識し開くことのできるバージョンが間もなく登場する予定だ。

私の作った AppleScriptObjC Explorer を使っている人たちは、必ずその最新バージョンを使うようにして頂きたい。最新バージョンならば隠れたソースも正しく扱うことができる。

古いバージョンの Mac OS X を走らせている人たち、あるいは他のスクリプトエディタを使っている人たちで、Mountain Lion ユーザーからファイルを受け取る可能性がある人たちのために、私は Read My Scripts という無料のユーティリティを書いた。これは、コンパイルされていないスクリプトファイルからコードを抽出するためのものだ。これはシンプルなドラッグ&ドロップのアプリケーションで、正しいソースをコメントアウトした状態で含み、main.rtf ファイルや RTF リソースを削除した状態で、新たなスクリプトファイルを保存する。10.5 Leopard まで遡ったシステムで動作するはずだ。

[Shane Stanley は長年来の AppleScript ユーザーであり、コンサルタントかつトレーナーでもある。彼はまた "AppleScriptObjC Explored" の著者でもあり、AppleScript 関係のユーティリティ AppleScriptObjC ExplorerASObjC RunnerRead My Scripts の開発者でもある。]

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2012 年 8 月 6 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

MacBook Pro Retina SMC Update 1.0 -- Apple が Retina ディスプレイモデルの MacBook Pro 用に System Management Controller (SMC) アップデートを出した。Mac OS X 10.7.4 Lion を走らせているユーザーのために、スリープやスリープ解除に関するいくつかの問題点を解決している。さらに、最近 MacBook Air 機種に対して出された SMC アップデートと同様(2012 年 7 月 27 日の記事“MacBook Air SMC Update 1.5 および 1.6”参照)今回の SMC アップデートも 10.8 Mountain Lion を走らせている際の Power Nap をサポートできるようにしている。(無料、530 KB)

MacBook Pro Retina SMC Update 1.0 へのコメントリンク:

Coda 2.0.2 -- Panic がウェブサイト開発ツールCodaのバージョン 2.0.2 をリリースした。その修正点と改善点のリストの長さはドストエフスキー級だ。注目すべきものをいくつか挙げると、今回のアップデートでシンタックスハイライトツールの速度と挙動が「大幅に」改善され、Preview でのコンテクストメニューに Jump to Style 項目が追加され、Find in File を使ってより手軽に開いたフォルダを検索できるようになり、Coda のスペルチェッカーの動作が信頼性を増した。さらに、Mac App Store から入手したバージョンで新設の Unlock Coda メニュー項目を使って Direct バージョンのロックを外すことができるようになった。(ただしこの記事の執筆時点で Mac App Storeはまだバージョン 2.0.2 に追い付いていない。)Coda 2.0.2 における 100 件以上の変更点の完全なリストは、ぜひリリースノートでお読み頂きたい。(新規購入 $99、1.0 からのアップグレードは $75、無料アップデート、48.8 MB)

Coda 2.0.2 へのコメントリンク:

Audio Hijack Pro 2.10.5 -- Rogue Amoeba が Audio Hijack Pro 2.10.5 をリリースした。OS X 10.8 Mountain Lion の Safari、QuickTime Player、FaceTime、それに Messages で、Instant On コンポーネント(これもバージョン 6.0.1 にアップデートされた)を使う必要なしにオーディオのキャプチャができるようになった。さらに、今回のアップデートでは libFLAC ライブラリのカスタムインストールに関係したクラッシュが修正され、Factory Reset 機能が Mountain Lion の下でも正しく働くようになり、Gatekeeper との互換性も追加された。(新規購入 $32、TidBITS 会員には 15 パーセント割引、無料アップデート、5.5 MB、リリースノート)

Audio Hijack Pro 2.10.5 へのコメントリンク:

Airfoil 4.7.2 -- 最近リリースされた Audio Hijack Pro 2.10.5 と同様、Rogue Amoeba の Airfoil 4.7.2 も OS X 10.8 Mountain Lion の Safari、QuickTime Player、FaceTime、Messages で Instant On コンポーネントを使う必要なくオーディオのキャプチャができるようにアップデートされた。このアップデートではまた一部のサードパーティ AirPlay ハードウェアで音量コントロールが働かなかった問題点を修正し、Airfoil Video Player のメニュー項目 Enter Full Screen が 10.7 Lion でも正しく動作するようにし、Retina ディスプレイモデル MacBook Pro に関するいくつかの修正(例えば、Netflix のフルスクリーンモードが動作するようになり、Welcome ウィンドウのサイズが直った)を施している。さらに、このリリースでは Source リストにアプリケーションが二度登場することをなくし、また Gatekeeper と互換になった。(新規購入 $25、 TidBITS 会員には 15 パーセント割引、無料アップデート、9.6 MB、リリースノート)

Airfoil 4.7.2 へのコメントリンク:

TinkerTool 4.9 -- Marcel Bresink が TinkerTool 4.9 をリリースし、システム内部の設定をカスタマイズできるようにするこのユーティリティを OS X 10.8 Mountain Lion に対応するようアップデートした。この新リリースではまた Mountain Lion と 10.7 Lion の双方でスクロールが表示の端を超えた場合に起こる rubber band effect (輪ゴム効果) を無効にする設定を追加し、Mountain Lion と Lion で使われていないアプリケーションが自動的に終了させられるのを防ぐ設定(Matt Neuburg の記事“Mountain Lion は (依然として) Quitter”(2012 年 8 月 2 日) に詳しい解説がある)を追加し、Finder を使って TinkerTool のアイコンを取り替えることができるようにした。(無料、1.8 MB、 リリースノート)

TinkerTool 4.9 へのコメントリンク:

PDFpen と PDFpenPro 5.8.5 -- Smile が PDFpenPDFpenPro の双方をバージョン 5.8.5 にアップデートし、OS X 10.8 Mountain Lion との互換性を追加した。また、いずれのリリースも 10.7 Lion を走らせている場合のスキャンの問題点を修正するとともに、低解像度で再サンプリングした際に保存するファイルが大きくなってしまう問題点も修正している。いずれのアップデートにも、詳細は不明だが多数のマイナーな修正や改善が施されている。(新規購入 $59.95/$99.95、 TidBITS 会員,には 20 パーセント割引、無料アップデート、40.7/41 MB)

PDFpen と PDFpenPro 5.8.5 へのコメントリンク:

Voila 3.2 と Boom 1.5 -- Global Delight が、同社のスクリーンキャプチャ用アプリ Voila と音量ブースターアプリ Boom にマイナーなアップデートをリリースし、OS X 10.8 Mountain Lion との互換性を追加した。. Voila 3.2 には Mountain Lion でログイン時に起動するオプションが追加され、また種々のスクリーンキャプチャタイプやファイル共有に関係したバグ修正もいくつか施された。同様に、 Boom 1.5 にもログイン時起動のオプションが追加され、また通知センターにも対応してファイルのブースト化通知を表示できるようにした。Global Delight のブログ記事によれば、いずれのアプリも「Retina 対応」はまだで、その作業は同社の to-do リスト上にあるという。また、 VoilaBoom はいずれも Mac App Store から入手できるけれども、この記事の執筆時点ではまだ現行バージョンになっておらず、近日中にそうなると思われる。(Voila は $24.99、Boom は $5.99、無料アップデート、5.1/8.3 MB)

Voila 3.2 と Boom 1.5 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2012 年 8 月 6 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS には盗人たちの影が見え隠れする。David Pogue の iPhone が盗まれてその後取り戻され、何者かが Apple のカスタマーサービスを説き伏せて Gizmodo ライター Mat Honan の iCloud アカウント情報を手に入れてしまった。今週号ではまた、人気ある電子メールクライアント Sparrow を巡る予想収益額に関する記事や、電子ブックについて Michael Cohen にインタビューした TUAW の記事、それに Hulu Plus が Apple TV に登場するという話もある。

David Pogue の iPhone が盗まれて戻る -- New York Times のコラムニスト David Pogue の iPhone が、フィラデルフィアでのテレビ撮影からの帰途、Amtrak の列車の中でなくなってしまった。Find My iPhone 機能による位置の報告が始まり彼がなくしたことを tweet したとたん、この話はまるでウイルスのごとく広まり、Gizmodo は頻繁にアップデート情報とその iPhone がある家の写真を公開した。その日のうちに警察がその iPhone を確保したが、緊張高まる人質事件と盗人たちとの銃撃戦を期待していた人たちにはがっかりの結果となった。その iPhone は、裏庭の草の中に落ちているところを見つかったのだった。まあ、メジャーな大新聞に記事を書き 140 万人の Twitter フォロワーを持つような人物でなければ、こんなにうまく行く話ではないと思うが。

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Gizmodo ライターの iCloud アカウントがハックされる -- Gizmodo の Mat Honan はもう何年もの間 7 文字のパスワードを使っていたことを認めたが、ある悪漢が彼の iCloud アカウントにアクセスを得て、彼のすべての iOS デバイスと MacBook を遠隔ワイプ (消去) し、彼の Twitter アカウントを乗っ取ることができたのは、その弱点のせいではなかった。Honan によれば、そのハッカーはソーシャルエンジニアリングのテクニックを用いて Apple のカスタマーサービスの係員を騙し情報を明かさせたのだという。これは非常に気掛かりなレポートなので、もっと詳しいことが分かり次第アップデートをお知らせしたいと思う。

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炭鉱の中の Sparrow (スズメ) -- iOS アプリの開発者、App Cubby の David Barnard が、電子メールクライアント Sparrow の背後にある売上数予測について興味深い見解を述べ、App Store での価格が安過ぎることにより今日では開発を続けるために必要な資金を稼ぐことが極めて困難になってしまったと語る。もっと良いやり方は? 自分の会社を売ることだ。(2012 年 7 月 21 日の記事“Sparrow、Google に買収される”参照。)

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TUAW、Michael Cohen に iBooks Author についてインタビュー -- TUAW の Erica Sadun が、我らが Michael E. Cohen にインタビューし、電子ブックの世界における彼の長い履歴について、また iBooks Author に対する彼の意見について語り合う。このプログラムを題材に最近彼がリリースした電子ブック "Take Control of iBooks Author" が基になる。Michael には素晴らしい物語がたくさんあり、そのうちいくつかがこのインタビューに登場する。

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Hulu Plus が Apple TV に -- Apple TV の提供するビデオコンテンツの選択肢はつい最近広がったばかりだが、それは Hulu Plus 購読サービスが加わったお陰だ。月額 $7.99 で「何百社ものコンテンツパートナーによる現在およびクラシックのテレビ番組がオンデマンドで」ストリーミング受信できる。Apple TV の競合製品である Roku やスマート TV なども以前から Hulu に対応しているので、Apple TV としては出遅れ気味だが、それはおそらく Apple が iTunes Store の売上げを食われるのを望まなかったか、あるいは Hulu が購読料金の一部を Apple に持って行かれるのを望まなかったか、そういった理由からだろう。どうやら、今回 Apple と Hulu は、お互いに有益な合意に達することができたものと見受けられる。

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