TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1153/10-Dec-2012

今週は Apple 製ハードウェアプラットフォームそれぞれのユーザーに向いた記事が集まった。まず Mac には、Glenn Fleishman が BBEdit 10.5 の新機能を概観し、Adam Engst は iTunes 11 において Apple が実際に削除した機能の一覧(および可能な場合にはそれに対する回避策)を述べる。iPad については、Michael Cohen が漫画を描くための彼のお気に入りのツールを紹介する。(長年の練習にもかかわらず彼には芸術的才能が備わっていないようだが。)それから Josh Centers の寄稿記事では、iPhone 付属のアプリで Apple が削除しても大多数のユーザーは気付きもしないだろうと思われるものが五つ挙がる。彼の意見に賛成の方も反対の方もおられるだろうが、きっと皆さんもそれぞれに、一度も使ったことのないデフォルト iPhone アプリのリストを作ることができるだろう。最後に、私たちの無料アプリ TidBITS News が iOS 6 用に間もなくアップデートされるので、このアプリを iOS 4.2 か iOS 5 で使いたいと思われるならば今すぐダウンロードしておいて頂きたい。今週注目すべきソフトウェアアップデートは、SOHO Organizer 9.3.1、OmniFocus 1.10.4、PopChar X 6.1、ChronoSync 4.3.6 と ChronoAgent 1.3.7、Final Cut Pro X 10.0.7、Mactracker 7.0、それに iWork 9.3 だ。

記事:

----------------- 本号の TidBITS のスポンサーは: ------------------

---- 皆さんのスポンサーへのサポートが TidBITS への力となります ----


OS 4.2 と iOS 5 用の TidBITS News アプリを今入手しよう

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst, Matt Neuburg: [email protected]
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

iOS のための無料の TidBITS News アプリは、わが Matt Neuburg によって書かれたもので、我々の Web サイトから現在のタイトル、宣伝、そして話題を標準の抄録と詳細のビューで提供し、そしてまた好きな時にオフラインでも読める様にその情報全てをあなたの iPad, iPhone, 又は iPod touch 上に保存する。更に、ポッドキャストが作られた話題に聞き入ることも出来るが、こちらはインターネット接続が必要である。

現行バージョンの TidBITS News (1.4) は January 2011 に iOS 4.2 のために作られ、iOS 5 の下でも問題なく働く。しかしながら、iOS 6 は iOS がテキストをレイアウトするやり方を根本的に変えたので、タイトルと宣伝の表示にバグが生じてしまう。このバグを潰すため、Matt はテキスト表示コードを iOS 6 の要件に沿って書き直さなければならなかった。これを機に、彼は _全ての_ コードベースを最初から書き直すことにした。これによりこれまでに積もり積もった色々な種類のゴミをきれいにし、そしてバージョン 1.4 を作った時には無かった iOS 5 や iOS 6 の機能を取り込むことが出来る。

これら全ては素晴らしいし、新しいバージョン 1.5 が入手可となったら何が新しくなったかについても話す積りである。それまでの間、我々はまだ TidBITS News アプリを持っていない人達、そしてより古い iPhone や 初代の iPad (現実には、iOS 4.2 か iOS 5 に限定される機器全て) 上で走らせたいと思う人達全員にバージョン 1.4 を、もしまだであれば、App Store からダウンロードするよう注意喚起し、お勧めしたい。その理由は:

我々の新しいアプリで iOS 4.2 と iOS 5 との後方互換性を何故排除してしまうのかって? どうか我々の方を見ないでほしい! 悪いのは Apple の方である。Apple は、後方互換性のあるコードを書くのを余りにも難しくしている。現行バージョンの Xcode、これはあなたのアプリを iOS 6 に対してリンクするのに必要、は ARMv6 に対するサポートを落としてしまった。つまり iOS 4.2 から iOS 5 にアップグレード出来ない機器がこれの影響を受ける。そして iOS 5 から iOS 6 への変更の多さを考えると、どちらのシステム下でも同じ様に良く働くコードを書く、iOS 6 の使える機能は取り込みたい、あなたがどちらのシステム上にいるかに応じて全く異なる二つの方法でテキストのレイアウトをする、等々は余りに時間がかかり過ぎそして余りに細か過ぎる。これをやるには複雑な条件付きのコードだらけになるし (元々書き換えようとする意味はコードを単純にすることであった)、そしてまたテストをするのも困難である。バージョン 1.4 は iOS 5 下では問題なく働くので、バージョン 1.5 では、一歩進めて iOS 6 を必要とするとする方がより意味があると思った。

ではバージョン 1.5 が出たら何故バージョン 1.4 は App Store から取り除かれなければならないのか? これは我々に聞かれてもしょうがない。咎は Apple にある。(一つの記事の中でこんなことを二度も言えるって素晴らしいではないか?) これは App Store の規則の一つのであり、_全ての_ iOS 開発者が直面しなければならない問題である。一方 Mac 開発者達は、新しいバージョンを出す時、古いバージョンの Mac OS X への後方互換性を落としてしまい、そして古いバージョンは古いシステムやハードウェアを持つユーザーによってダウンロード出来るようそのままにしておくというやり方が一般的である。しかしこのやり方は App Store では (或いは Mac App Store でも) 通用しない。いつもの様に、Apple はますます現在の製品だけを大事にする傾向にあることを実証している。これはユーザーや開発者がどれぐらいより古い機器を使いそしてサポートしていくことに満足しているかには関係なしに進んでいる。

という訳で、iOS 4.2 や iOS 5 が走る終末期を迎えた機器のユーザーは、もしまだであれば、TidBITS News アプリを今ダウンロードして欲しい。何故ならば Apple が新しいバージョンを承認し次第、この古いバージョンは入手出来なくなるからである。

コメントリンク13446 この記事について | Tweet リンク13446


BBEdit 10.5、バージョン機能を追加しウェブサイトをプロジェクトに統合

  文: Glenn Fleishman: [email protected], @glennf
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

BBEdit は年老いた古参の代物かもしれないが、今回リリースされたばかりのバージョン 10.5 をパッと見ただけではそんな感じは一切しない。BBEdit 10 のオーナーに対しては無料のアップデートだ。Bare Bones Software は同社のこの旗艦プログラムに定期的に若返り処置を施していて、悪い部分を剥ぎ取ったり新しい生命でこのプログラムに生気を蘇らせたりしてきた。今回の最新リリースでは、自動バージョン付け機能を追加し、Projects 機能にウェブサイトの管理を統合し、Go メニューを新設するなどの処置が施された。他にもたくさんのマイナーな改善点があり、さらにもっと多数のバグ修正もある。

BBEdit 10.5 は、Retina ディスプレイでくっきりと見えるようリフレッシュされるとともに、さまざまのシンプル化が図られている。ツールバーが占める縦方向のスペースが狭くなり、ツールバー上に描かれる個別のアイコンも減った(鉛筆アイコンよ、さようなら!)ただし機能的には以前と変わっていない。さらに、さまざまのコントロールの置き場所を変えて組み合わせ直すことにより、メニューやダイアログで重複する点を取り除いた。例えば Convert to ASCII 機能は Zap Gremlins 機能に組み込まれた。(バン! バン! 仕留めたぞ!)

今回のリリースは Mac OS X 10.7 Lion および 10.8 Mountain Lion のバージョン機能に、Apple のインターフェイスを借りることなく結び付いている。ローカルに保存されたすべてのファイルは期待通りに、ユーザーが保存する度に新しいバージョンとして記録される。けれども、これらのバージョンにアクセスする手段として、BBEdit 10.5 は新たに Search > Compare Against Previous Versions というメニュー項目を設けて日付と時刻によってバージョンを選択できるようにし、その上で BBEdit でお馴染みの比較エンジンを利用して内容の比較も管理できる。その書類の最も新しいバージョンの日付と時刻はステータスバー上に表示され、ロックアイコンを使って変更からの保護をするかどうかも切り替えられる。Apple のバージョン機能を一切使いたくなければ、提供されたコマンドを Terminal で走らせることでこの機能を丸ごとオフにすることもできる。

image

BBEdit がずっと以前から対応している Subversion (SVN) や Perforce (P4) などのバージョンコントロールシステムに加えて、今回新たに素敵な機能が備わったと言える。Apple のバージョン機能は SVN や P4 など開発者向けのシステムに比べればパワフルさではとうてい及ばないが、自動的に毎回の保存が管理されることにより多くの頭痛の種が取り除かれ、現在作業中のファイルの古いバージョンに手軽に戻れるのがありがたい。BBEdit はそもそもの初めから「ジャーナル機能」に手腕を見せてきた。つまり、キーを一つ押すごとにそのファイルへの変更が記録され、プログラムまたはシステムがクラッシュしたり突然電源が切れたりしても自動的にファイルがその直前の状態に復帰できていた。今回の新機能も、まさにその延長線上にぴったり嵌まるものだ。(バージョンコントロールシステムの話のついでに、BBEdit 10.5 ではもはや古びた CVS システムへの対応が削除された。CVS がスタートしたのは 1980 年代の中頃で、その後 CVS は大体において Subversion、Perforce、git などに取って代わられている。BBEdit はまだ git をサポートしていない。)

従来のバージョンの BBEdit では、ウェブサイトに付随した多数のファイルを管理するために別途のパレットが必要で、その後さらに Finder に移ってフォルダをリンクする作業をする必要があった。それでもちゃんと使えたと私は思うが、セットアップしたり変更を管理したりするのは面倒だった。どうやら Bare Bones も同じ思いだったようで、BBEdit 10.5 では Sites パレットがなくなり、サイト関係の機能は直接 Project ウィンドウの中に登場するようになった。

BBEdit の Project 機能は以前から、ローカルなフォルダやファイルに加えて遠隔に保存されたものも (FTP や SFTP を用いて) 参照することができた。だから、ウェブサイトのパラメータ(例えばログインの身元情報やファイルのパス名など)を整理できるよう進化するのも自然なことだった。パラメータには雨雲アイコンをクリックすればアクセスできる。(いったいなぜ雨雲のアイコンを使ったのか、問い合わせているところだ。)Sites ダイアログにはまた、アップロードの前にシンタックスをチェックしたりその他の操作を施すための自動化された出発前機能も備わっている。従来、BBEdit の出発前機能は別途に設けられていて手動で選択する必要があった。

image

Go メニューは、コードを書いている人なら(JavaScript も含まれる)誰でも大歓迎するだろう。コード関数や行番号、"jump point" などにジャンプして進む道を見つける助けとなる、さまざまのナビゲーションの選択肢を統合して機能拡張するものだ。メニュー項目 Go > Named Symbol では、BBEdit がファイルの中で識別できるあらゆる種類の要素、例えば関数名やグローバル変数などが表示される。

image

新たに追加されたプレビューウィンドウが便利だと感じるユーザーもいるだろう。BBEdit では以前から CSS や HTML のテンプレートを作成して書類に適用し、それがウェブサイトでどのように見えるかをプレビューすることができた。今回は、BBEdit ファイルを AppleScript スクリプト、バイナリ実行ファイル、あるいはシェルスクリプトに通してからプレビューウィンドウに表示させることができるようになった。TidBITS での用途としては、データベースやテンプレートのコンポーネントを私たちのバックエンドシステムに接続させることで、私たちの記事が TidBITS サイト上でどのように見えるかを BBEdit の中でプレビューできることになる。従来、そのようなことは記事をサイトに実際に載せなければできなかった。

今回のリリースで導入されてしまった問題点が一つある。Project ウィンドウの左側にあるファイルリストが、マウスを使ってスクロールバーでスクロールすることが(スクロールバー上でクリックしても、スクロールサムをドラッグしても)できなくなってしまったのだ。その代わりに、マウスに付いたスクロールホイールを使ってスクロールしなければならない。会社の技術サポートに問い合わせたところ、これは既知の問題で今後のメンテナンスリリースで修正するとのことだった。実際、私がテスト中のベータ版ではちゃんと修正されていることを確認できた。

以上述べてきたことがらが主要な点ではあるが、今回のアップデートにはもっとずっと多くのことが盛り込まれている。例えば Fortran コードのフォーマットに関するバグも修正されている。いつもと同じく、 リリースノートに載ったフルの変更点リストは読んでいて楽しい。とりわけ長年のユーザーにとってはニヤリとする個所がたくさんある。鉛筆アイコンがロックアイコンに変わったことで、あわや殺人事件が起こるところだったという。幸い悲劇は避けられたらしい。よかった!

BBEdit 10.5 の価格は $49.99 で、バージョン 10 よりも前のものからのアップグレード料金は $39.99、BBEdit 10 からのアップデートは無料だ。無料の試用版も 13.2 MB のダウンロードで入手できる。BBEdit 10.5 は Mac OS X 10.6 Snow Leopard かそれ以降を要し、10.8 Mountain Lion ともフル互換だ。

コメントリンク13433 この記事について | Tweet リンク13433


iTunes 11: Apple が削除した機能と、代替製品と

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iTunes 11 にはあまりにも大きなインターフェイス変更が施されたので、ユーザーたちの間では二つの話題がいたる所で行き交った。あれやこれが「新」機能だと叫ぶ人たちは多かったが、実際にはその機能が iTunes 10 にもずっと存在しており、その人たちはただその機能に気付かなかっただけだったりした。別の人たちは慣れ親しんだ機能がなくなったと嘆き交わしたが、その機能は単に別の場所に移動しただけだったり、または特定の状況化でしか使えなかっただけだったりした。(新機能の詳細については、2012 年 11 月 30 日の記事“改装 iTunes 11、iCloud ストリーミングと新しい MiniPlayer をもたらす”参照。)

けれども、ちゃんとした場所を見なかったからだとか、必要な修飾キーを押さなかったからだとかいう指摘を浴びることを覚悟した上で言えば、Apple が iTunes 11 で実際に削除してしまった機能もたくさんある。一部のユーザーたちはそのせいで非常に困っている。そうした機能がなくなってしまって困った場合はどうすべきだろうか? あまりありそうもないことだが、将来のバージョンの iTunes 11 でそれらの機能が復活するかもしれないと希望を持つことはできるだろう。けれどもより現実的には、次のような対処法がある:

行方不明になったものたち -- 上記の選択肢についてはあとでもう少し詳しく述べるが、ここではまず、どんな機能が iTunes 11 に欠けているか、牛乳パックの裏を見るようにして調べてみよう。注意して頂きたいが、実際には存在しているけれどもアクセスが以前より難しくなったものとか、iTunes 11 で以前と違ったやり方で表示されるようになったものとかは、ここに含めていない。(例えば、アルバムの表紙写真はサイドバーの下には表示されなくなったけれども、ウィンドウの上の方にある曲の情報表示領域の中や、その曲の情報表示ウィンドウの Artwork 表示の中へ画像をドラッグすれば追加できる。)

iTunes 10 にダウングレードする -- もしも今述べた機能のどれかがあなたにとって iTunes を使う上で欠くことのできないものだった場合、少なくとも理論的には iTunes 10 にダウングレードすることも可能だ。ただ、それは言うほど簡単なことではない。当初は見えてこなくても、いろいろな問題が潜んでいることもあり得る。問題は、今や iTunes は OS X の本質的な一部分となっているので、iTunes 10 に戻ることは単にそのアプリケーションをインストールすること以上の意味を持っているという点だ。ダウンロードの方法については Apple Support Communities のスレッドに何人かの人たちが手順の説明を投稿している。一つの方法は必要なフレームワークのファイルを Time Machine 経由で取り出すというもの、また別の方法は Pacifist ユーティリティを使って古いファイルを新しいファイルの上にインストールするというものだ。

正直言って、私はこの種のやり方には手を出したくないと思っている。理由は二つある。一つは、思ったように動作しないかもしれないという懸念があるからだ。もう一つの理由の方が重大で、このやり方はただ避け得ない結末を先延ばしにしているだけだからだ。Apple はいつまでも iTunes 10 をサポートし続けるはずもなく、新しい iPhone か何かを買ってその上では iTunes 11 が必須となるのも時間の問題だからだ。

iTunes に代わる製品 -- もっと良い方法は、iOS デバイスに関する作業にはそのまま iTunes 11 を使っておき、音楽の再生のためには iTunes でなく何か他のアプリケーションを使うことかもしれない。そのための選択肢はあまり多くないが、私は iTunes の機能の多くを再現できるものを二つ見つけた。(でも残念ながら、別ウィンドウで複数のプレイリストを開けるものは見つからなかった。)これらがあなたの必要を満たせるかどうかはあなた次第だが、二つとも無料のアプリケーションなので簡単に試してみることができる。

一つ目は Songbird だ。これは、iTunes からあなたのすべてのメディアを読み込むことができ(プレイリストも読み込むが、スマートプレイリストは読み込まれないので作り直さなければならない)Songbird で追加した新しいメディアを iTunes へ書き出すこともできるので、両者の内容の同期が崩れることはない。ファイルの複製は作らず、ただ既存のファイルに指差しするだけなので、ディスク容量が大きく無駄遣いされる心配もない。私が少し使ってみた限りでは、Songbird はフル機能の音楽プレイヤーとしてかなり満足できるものに見え、iTunes にできることの多くを真似ている(スクリーンショットで3ペインのカラムブラウザをご覧頂きたい)けれども、iTunes ほどの深みはない。これはクロスプラットフォームのアプリなので、とりたてて Mac 流に見えるわけでもない。ただしテーマ ("feather" と呼ばれている) をダウンロードしてインストールすることはできる。また、アプリの内部にフル機能のウェブブラウザ (たぶん Firefox の一つのバージョンだろうと思う) を内蔵していて、複数のタブを開いてそれぞれに異なるページやそのインターフェイス側面を載せることもできる。私は Songbird サイトを見て、同社のウェブ、Android 版、iOS アプリのみに焦点が当てられていることにちょっと不安を覚えた。デスクトップ版にはあまり力が注がれていないのではないかという気もするが、これはあくまでも現時点における私の印象に過ぎない。

image

二つ目の doubleTwist は、Songbird よりもずっと Mac 流に見えるけれども、オプションは少なくなる。こちらもあなたの iTunes ライブラリの内容を基に音楽ライブラリを構築することができ(iTunes からもあなたの Movies フォルダからもビデオを一覧したり、iPhoto からもあなたの Pictures フォルダからも写真を一覧したりできる)その際にファイルが複製されることもない。手動で定義するプレイリストやスマートプレイリスト、3ペインのカラムブラウザ、アルバムのサムネイル表示などにも対応している。また doubleTwist は物理的に接続中の iOS デバイスの内容をブラウズすることもできる(ただし私のデバイスの場合は写真しかブラウズできなかった)が、このアプリで何と言っても素晴らしいのは音楽や写真やビデオを Android デバイスとの間で同期できる機能だ。そのため、Android Market (現在は Google Play と呼ばれている) や Amazon MP3 ストア (doubleTwist for Android アプリに合わせるため、トップレベルのもう一つの項目 Podcasts Search はあまり使えないようになっている) にアクセスできる。Songbird と同様、私は doubleTwist を作っている人たちが Mac より Android の方に重点を置いているという印象を受けた。

image

結びに一言。私は決して Apple が iTunes 11 にした仕事が駄目だったと思うと言っているのではない。iTunes 11 は、たくさんの異なることができる筋骨たくましいプログラムであり、iTunes 10 からのジャンプを果たせなかった機能の中には iTunes 11 の新しいインターフェイスの中でもはや意味を失ったものもある。それに、時間の経過に伴って一つのアプリケーションの機能のいくつかが取り除かれるのも必ずしも悪いことではない。時には新しいものが古いものを払拭することもあるものだ。それでも、もしもあなたがその失われた機能のどれかにこれまで依存してきたのならば、そういった説明をいくら言ってもあなたの気持ちが晴れるわけではないし、あなたの仕事の生産性が上がるわけでもない。この記事で私が提案したことのどれかが、あなたの必要を満たすことができれば嬉しい。

コメントリンク13432 この記事について | Tweet リンク13432


下手な漫画家のための iPad ツール(上手な人にも)

  文: Michael E. Cohen: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は生涯の大部分の期間にわたって漫画を描き続けてきた。それだけの期間をかけて私は「練習すれば完璧になる (practice makes perfect)」[訳者注: 「習うより慣れろ」に近い意味]という諺が誤りであることを実証した。つまり、何十年と練習を重ねても、私の描く絵はちっとも上達しなかったのだ。芸術的努力を私と分け合ってくれた友人たちは証言してくれるだろうが、私が描いた漫画は、時には面白いものもあるけれど(友人たちはそう言ってくれる)技術的に見てまともなレベルに達したものはほとんどないし、見て美しいとはとうてい言えない。それでも、私は漫画を描く趣味をずっと続けてきた。それは、描いていると楽しいし、集中してものを考え続ける日々の仕事からの気分転換になるからだ。

けれども、もしもお絵描きソフトウェアやグラフィックス・タブレットなどの現代的奇跡がなければ、私はとうの昔にこの趣味をあきらめていたに違いない。それらの現代的ツールのお陰で、こんな私でもある程度の漫画が描けて、人がそれを見ても業務用の漂白剤で目を洗浄する羽目に陥らずに済んでいるのだ。長年にわたって、私自身の肉体的描画能力は良くなっていないけれども、私の描いた漫画は以前より意欲的な、技術的にも洗練されたものになった。それは、私がお絵描きアプリケーションを別のものに乗り換えたり、グラフィックス・タブレットを別のものにしたりした結果だ。2011 年の中頃までに、私の漫画用ツールは Photoshop CS1 と、素晴らしく大きな Wacom Intuos 2 タブレットになっていた。このソフトウェアもハードウェアも、それぞれもっと新しくパワフルなバージョンに何度か入れ替えていて、私の初歩的な必要のためには既に十分以上のものとなっていた。これらの助けを得て、私の描いた漫画を見た人が即座に吐き気を催すようなことはなくなった。

その後、私は Mac OS X 10.6 Snow Leopard から 10.7 Lion へと移行し、座って使った古いデスクを立って使うデスクに取り替えた。そのため、私の漫画描きの趣味は行き詰まった。私の持っていた Photoshop CS は PowerPC アプリケーションで、私たち皆が知っている通り、その種のアプリケーションは最近の二つのバージョンの Mac OS X と互換でない。そして、私が Lion への移行を果たした時には既に Photoshop CS1 から新しい Intel 互換バージョンへのアップグレードの道は閉ざされていた。さらに、私の新しい立って使うデスクにはスペースの余裕がなく、巨大な Intuos タブレットは置けなかった。

もちろん、私が漫画を描くのに Photoshop の全機能一式は必要でない。価格の安いグラフィックスアプリ、例えば AcornPixelmatorのようなものでも、十分私が必要とする機能性は提供できるだろう。けれども、新しいデスクで私のタブレットが使えないことは、対処しにくい問題だった。(その通り、デスクを購入した際に、自分のお絵描き趣味について考慮するべきだった... でも私はそれをしなかった。)

そこで、結果的に、その時点以後、世界は芸術性のない私の作品の新たな実例を目にする機会から免れることとなった。

ただしそれは、一人の友人が私の誕生日に iPad 用のスタイラスペンをプレゼントしてくれるまでの話だった。

ヘタクソな漫画家に必要なもの -- さきほど述べたように、私が漫画を描くためにグラフィックスアプリに必要とする機能はとても少なく、簡単に満たされるものばかりだ。

まず、レイヤーが必要だ。もの凄く多くのレイヤーは要らないが、数個は必要だ。たいてい、スケッチ自体のために一つか二つのレイヤーを使う。カラー付けのためにあと二つ、それからトレーシングのためにさらに一つか二つ要る。その通り、私の図を描く能力はあまりにも未熟なので、一つのレイヤーに写真を貼り付けて、もう一つ別のレイヤーをそれに重ねてそちらに写真を基にしたスケッチを描く、ということも時々している。必ずしも写真を忠実にコピーする必要はない。ただ写真をガイドとして使うだけだ。(Pablo Picasso が言ったかどうか知らないが、良いアーティストはコピーし、偉大なアーティストは盗む。悪い漫画家はトレース(敷き写し)するのだ。)

image

それからブラシが必要だ。これもたくさん必要なわけではない。ほんの少し、直径を調整したりソフトさを増したりするのに使うだけだ。

不透明度を制御するツールも必要だ。カラー付けのためにも、レイヤーのためにも必要となる。

そしてもちろん、複数レベルの取り消し (undo) 機能が必須だ。(「ヘタクソな漫画家」と言った意味がお分かりでしょう?)

お絵描き用のタブレットについて言えば、ある程度使いやすい何らかのスタイラスペンと、適度な面積のあるお絵描き領域があれば十分だ。速記用のノート程度のサイズでよい。筆圧を認識する機能があれば素敵だが、絶対に必要というわけではない。いずれにしても、その種の機能を本当に使いこなせるほど私の手先は器用でない。

私が試したこと -- 私の iPad 用にスタイラスペンが手に入るという考えが浮かぶよりも以前から、私はたくさんの iPad 用お絵描きアプリを試していた。無料のものも、安価なものもいろいろあったが、本当に私の興味を惹いたものは一つもなかった。例えば Paper はちゃんとしたお絵描きアプリで、高度なペイント機能もたくさんあり、熱狂的なユーザーも大勢いるけれども、レイヤーが必要だという私の条件を満たしていなかった。本物のアーティストならレイヤーなどなくても素晴らしい作品を簡単に描くことができるだろうが、細かな指先の技術もなく芸術的能力の初歩さえない者(つまり私)にとっては、レイヤーがないとじりじりとしたフラストレーションが溜まるばかりだ。私が試した他のお絵描きアプリも似たようなものだった。本物のスキルを備えた人には適しているだろうけれども、専門技能の欠けた者にとってはほとんど使い物にならない。

その上、私は指先だけで絵を描くことがどうしてもできない。幼稚園にいた頃でさえ、私の絵はいつも壁の一番下、ハムスターのかごの裏の、人の目にはつかずハムスターに齧られやすい場所に貼られていた。

スタイラスペンを選ぶのは簡単だった。友人が同程度の価格のスタイラスペンのリストにレビュー記事へのリンクまで付けて送ってくれたので、私は定評あるものを選ぶことができた。$29.95 の、Wacom Bamboo Stylus Solo だ。あまりたくさんの機能はないけれども、汎用のスタイラスペンとして優れていたし、当時の私はこれを何に使うことになるのかあまり確信がなかったので「汎用」というところが最も魅力的だった。

他方、Wacom の Bamboo Paper アプリには私が試した他のお絵描きアプリと同じ難点があった。つまり、スキルのあるアーティストには使いこなせるけれども、私が必要とする下手なアーティスト向けの機能がなかった。(ここでも、レイヤーがないのが決定的だった。)

そうこうするうちに、私は Autodesk の SketchBook Pro アプリに出会った。

SketchBook アプリ -- SketchBook Pro には、私が必要とする機能が備わっていた。複数のブラシと、それらを調整できるパワフルなコントロールがあり、私にも簡単に使えるカラーピッカーがあり、複数の取り消し (undo) とやり直し (redo) があり、そして不透明度のコントロールの付いたレイヤーがある。

image

このアプリでジェスチャーによるコントロールができる点が私の気持ちを動かした。三本指で左へスワイプすれば取り消し (undo)、三本指で右へスワイプすればやり直し (redo)、三本指で下へスワイプすればカラーピッカーとブラシのコントロールが呼び出され、三本指で上へスワイプすればレイヤーパレットが呼び出される。ズームも楽だ。iPad 標準のつまむ (pinch) ジェスチャーでズームができ、このアプリでは _非常に_ 深くまでズームインできる。

この機能は、私にとっていくつかの意味で本当の利点だった。まず第一に、さまざまの書き損じを細かく取り除く作業が、深くズームインしてあればずっと簡単になる。第二に、スタイラスペンのコントロールがずっと容易になる。どういうことかというと、この Bamboo スタイラスペンは(私が見たことのある他の多くのスタイラスペンも同じだが)先端があまり細くなっていない。むしろ、細い指先で触るような感じだ。つまり、iPad のスクリーン上で正確にどの点を指しているのかがよく見えない。先の細いブラシを使って線を太くしたり何かの色で小さな点を打ったりしたい(例えば漫画の登場人物の目に瞳を書き入れたい)ような場合、ブラシが正確にどこに書き入れようとしているのかが見にくいのだ。けれども、十分深くズームインしておけば、ブラシの先端はもはや私の選んだスケールではそれほど細くなっていないので、ずっと簡単にブラシで書き入れる場所を決めることができるようになる。

それからもう一つ、このアプリには便利な機能がある。ハンドガードだ。このツールは透明な丸い円板の形をしていて、スクリーン上であちこち動かすことができ、その下にある画像を意図せず触って変更してしまうことから保護する。つまり、タッチが認識されてしまう心配をせずに、画像の一部に手を置いておくことができる。あの Intuos タブレットで、物理的な画用紙か何かの上に手を置いておくことができたのと同じように。スタイラスペンを使いながら手を画面の上に置いておけることで、スタイラスペンをずっとうまくコントロールして使うことができるようになる。

image

最後にもう一つ、SketchBook アプリには iTunes、Dropbox、あるいは iCloud などさまざまの場所にスケッチを保存できる機能がある。Photoshop 互換なレイヤーを含んだ形でも、あるいは平板化したバージョンでの保存もできる。そのお陰で、自分が描いた漫画を別のプログラムに持ち込んで、例えば Comic Life で吹き出しの台詞を入れたり、Mac 上の Pixelmator で仕上げの処理を施したりできる。

image

ヘタクソな漫画もまだまだ健在 -- iPad にお絵描きアプリがたくさんあることはずっと以前から知っていたというのに、自分の下手な漫画描きの趣味をもっと早く iPad へ移行させようとしなかったことは、本当に言い訳のしようもない。ただ、私は自分の Mac での自分の古くからのワークフローにあまりにも目が行っていて、別のデバイス上で別のワークフローを採用することなどちっとも頭に浮かばなかっただけだ。ちゃんとそうするべきだった。

私は自分の体験から、次のことだけははっきりと言うことができる。Bamboo スタイラスペンと SketchBook アプリの組み合わせが、私のようなヘタクソな漫画家でさえもまともな絵を描ける助けになるとしたら、実際にもっと才能があり描画能力も持つアーティストたちの手にかかれば(例えば親愛なる読者の皆さんもそうかもしれない)これらのツールが Apple 製のタブレットの上に素晴らしく優美な驚くべき作品を生み出す力となるであろうことを私は少しも疑わない。そうした高みに私自身が登り詰めることがあるかどうかはともかく(それはないという方に賭けてもよいが)昔は大スクリーンの iMac と巨大な Wacom タブレットでしていたのと同じことを、今は当時と同じくらい手軽に、同じくらいヘタクソに、自分の iPad ですることができるようになったというだけで、今の私は幸せだ。

ちゃんと警告しましたよ。目を洗浄する漂白剤を用意しておくのをお忘れなく!

コメントリンク13416 この記事について | Tweet リンク13416


Apple が iPhone から削れる 5つのアプリ

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

バンドルされたアプリ。Mac OS X にしても iOS にしても、これは絶対必要というものも確かにある。 Safari? 勿論。Mail? まあいいでしょう。しかし、Mac OS X に Apple がバンドルしている有用性のより低いアプリの多くは Utilities フォルダに入れられており、目につかないし、邪魔もしない一方で (Grapher や Audio MIDI Setup といったものを最後に使ったり、或いはそこのあることに気付いたりしたのは何時でしたか?)、iPhone のお粗末なデフォルトのアプリを避けるのはずっと難しい。これらは初代の iPhone が出荷された時にはそれなりの価値は - 或いは、少なくとも新しみは - あったかもしれないが、今ではこれらのものは多くの iPhone 上に使われないまま居座っており、大事なスペースを占めている。私は残念ながらこれらのアプリを削除する手助けは出来ないが (削除は不可能で、出来ることと言えば、これらを "フジツボ" とでも名付けたフォルダに入れて最後のホームスクリーンに隠しておく程度の事である)、これらはどうすれば使える様になるか、或いはより有益なものに置き換えられるかに関する多少の進言は出来る。

image

Compass -- Compass が iPhone 3GS に最初に現れた時、これは iPhone の当時は新しかったセンサーに対する格好のデモンストレーションであったが、我々の多くが方位磁石を必要とするのは六分儀を必要とする程度でしかない。もし単に北はどちらかを知りたいだけなら、Maps には内蔵の方位磁石がある:左下隅にある矢印を二度タップすればよい。

役に立たせる: もしあなたは CATV の契約はしない主義というのであれば、この Compass アプリが役に立つかもしれない:テレビアンテナの向きを最適化するためである。 AntennaWeb からのデータとこのアプリからの緯度経度の読み取り値を使えば、実際の方位磁石を買うまでもなくテレビ受信の最適化を容易に行える。ただ、iPhone を屋根から落とさないよう、気をつけられたし。

image

Weather -- Weather は簡素で与えられた仕事はするアプリではあるが、その機能の殆ど全部が iOS 5 の Notification Center で導入された Weather ウィジェットによって取って代わられた。時たましか使わないユーザーにとっては、このウィジェットは知るべきこと全てを語ってくれる:現在の気温と今後五日間の予報である。そして天気にもっと関心のある人達 - 屋外スポーツ愛好家、授業から授業へと渡り歩く学生、農家、そして建設労働者、等々 - にとっては Weather は素っ気なく、退屈で、そして満足感が得られない。

image

入れ替える: iOS のためのお天気アプリはごまんとあり、そして Adam Engst が好きなのは WeatherBug であるが ("WeatherBug Elite 1.0" 4 March 2010 参照)、私は $1.99 の Check the Weather をお勧めしたい。これにはお天気アプリに欲しいものは何でも揃っている。そのデザインは簡素でかつ華麗であり、Idlewild, Futura, Helvetica, そして Avenir Next の様な書体使いも素晴らしい。場所を取るツールバーボタンの代わりに、Check the Weather はジェスチャーに依存している:右にスワイプすれば時間毎の予報、左にスワイプすれば 12 日間の予報、そして上にスワイプすると同様に驚愕の Dark Skyによって提供される降水短時間予報といった具合である。

image

Stocks -- Weather の様に、Stocks は初代 iPhone の立ち上げ時からの遺物である。これもまた簡素で与えられた仕事はするアプリではあるが、如何せん時代遅れである (デフォルトの株は今日だったら何であろうか?)。南カリフォルニア以外の住人ならほぼ全員が天気について知りたいと思うであろうが、自分の株から目を離さないようにしたいと言う人はずっと少ないであろう。Stocks で満足する人は誰もいない。株の売買人や株を沢山持っている人達はもっとしっかりしたものを欲しがるであろうし、iPhone ユーザーの大多数は - 恐らく株など持っていないか或いは個別の株を追ったりしないであろう - Stocks などどこかのフォルダに入れて、もう二度とお目にかかることも無いのであろう。そして Stocks ウィジェットの方は有用であると言うよりもっと邪魔くさい。Notification Center にある他のものと違って、これは株価を四六時中更新して並べ立て、ただ天気をチェックしたり最新のメッセージを見たいだけな時には、目障りである。もしあなたが本格的な売買人であるならば、市場の変化を実際に教えてくれる何かに変えた方が良いであろう。

image

入れ替える: 多くの投資家は 401K や IRA の中で投資信託に投資している。もしそれがあなたなら、あなたの金融機関公認のアプリを使うのが最善と思われる。それは恐らく無料で、Stocks よりも有用で、それに売買や調整もさせてくれるであろう。しかしながら、もし持ち株ポートフォリオをしっかり見守りたいのであれば、$1.99 の StockWatch は間違いのない投資である。これは詳細な統計、プッシュ通知を提供し、そして PIN を使ってのロックも可能である。加えて、株価を 15 秒毎に更新し、そして手数料の計算まで出来る。もし試して見たければ、広告付きだがプッシュ通知なしの 無料バージョンがある。

image

Voice Memos -- ボイスメモを録音する必要がある時、Apple の Voice Memos アプリはそれをやってくれる。これは Apple の模倣現実化デザイン (skeuomorphic design) の上手い例の一つですらある (アプリは実世界のものに見えるという意味で)。問題は、最後にボイスメモを取らなければならなかったのは何時だったかである。何かを録音しなければならない時、どの iPhone にも Voice Memos が標準で付いていることを、或いは最後にあなたのホームスクリーンを整頓した時にそれを何処にしまったかを覚えていますか? ホームスクリーン上にそれ用の場所を設定しておくことはもちろん可能だが、正直言って、貴重な場所に一年に一回使うかどうかのものを置いておきたいとは思わないであろう。もっと悪いことに、もしあなたがこれをしょっちゅう使う立場にいたとすると、Voice Memos はあなたをいらいらさせることになるであろう。Memos は録音するのは易しいが、動かすのが大変なのである。ノートをエクスポートするためのオプションは三つしかない:メール、テキストメッセージ、そして iTunes 同期である。もし録音が大きすぎれば、唯一のオプションは iTunes しかない。

image

入れ替える: ボイスメモだけでなくもっと多くのものを提供するオプションの一つとして、無料の Evernote を考えてみてはいかが? このクラウドベースのノートサービスの新しく再設計された iOS アプリ は、ボイスだけでなく、テキストも写真も扱うことが出来る。更に画像に対する OCR すらサポートするので、名刺の写真を撮っておいて、後でそのコンテンツを検索することで探し出すことも可能である。あなたのノートには Evernote の Web サイトか、或いは最近再設計された Mac アプリ経由でほぼ瞬時にアクセス出来る。その数多いノート取りの能力を考慮すれば、Evernote をあなたのホームスクリーンに置いておくのは気にならないであろう。しかしながら、有料アカウントに年額 $44.95 を支払わない限り、何らかの制限に行き当たることになる。支払いをするまで、個々のノートには 25 MB の制限があり、使用上限は月に 60 MB で、これはボイスノートを沢山取る人にはあっという間に到達する。

image

もしあなたの録音をクラウドに置いておくのは気持ち悪い、或いは Evernote のコストに不満であるというのであれば、$0.99 の Audio Memos はしっかりしたボイスレコーダーであり、同期はローカルの Wi-Fi と USB 経由で行う。加えて多数の先進的機能がアプリ内購入として入手可である (他に無料バージョン、そして $9.99 の Pro バージョンも有りこちらには全ての機能が最初から付いている)。一方、録音をより簡単に自分の Mac に移したいというのであれば、$1.99 の DropVox はあなたの録音を Dropbox に保存する極めて簡単なアプリである。このアプリを立ち上げた時録音するように設定することも出来、しかもスクリーンがロックされていても録音出来る。残念ながら、これは録音しか出来ない。自分のノートを iPhone で聞くには無料の Dropbox アプリ を使う必要がある。

image

Game Center -- iOS 4.1 で鳴り物入りで導入され (そして Mac バージョンは OS X 10.8 Mountain Lion で)、Game Center は Xbox Live スタイルの経験を iOS にもたらし、そして相手探し、成績、そしてリーダーボードも提供すると約束していた。現実には、これは使うのもコードするのもジャガイモの皮を串一本で剥く程度に面白いだけである。開発者達は、成績以外の所で Game Center を発展させることに力を注いでこなかった。このアプリ自身が混乱の極みの緑のフェルトであることも助けにはなっていない (こちらは Apple による模倣現実化デザインの最悪事例の一つ)。私がこれをどうしても開かねばならない唯一の理由は友達を追加することであり、それが終わり次第速やかに退去することにしている。幸いにして、Game Center を使う数少ないアプリでは、全ての要件はゲーム内でアクセス出来る。働けばの話ではあるが。

役に立たせるには: 無料の Letterpress をインストールする。これは私が見た中では Game Center を一番よく使っている。 Game Center を相手探しとゲームをするために使うのである。事実、Letterpress の人気は Apple をびっくりさせたようで、Game Center は Letterpress のリリース以来しょっちゅう落ちることがあった。幸いにして、これらの問題は、サーバーエラーに強くなった Letterpress 1.1 がリリースされてから、大部分が解決された。残念ながら、友達を追加するためには今でも Game Center を起動しなければならい。基本の Letterpress アプリは無料だが、同時に遊べるゲーム数は二つに限られ、テーマ色としてデフォルトの赤、白、そして青しか使えない。たったの $0.99 を払えば、同時に幾つのゲームでも遊べ、そして更に 6 色のテーマ色を使える様になる。たとえあなたが私の様で他の色など興味がなくても、$0.99 は何時間もゲームを楽しむにはバーゲンと言える。

image

勿論、これらデフォルトのアプリに実際不具合があるわけではないが - あなたの iPhone をクラッシュさせるわけでもないし、あなたの犬を蹴るわけでもない - デザインが良いわけでもないし、多くの iPhone ユーザーにとりわけ有用でもない。要は、Apple がこれらを特別扱いせず、そして我々に削除させてくれないことを止めてくれさえすれば、我々に文句はない。勿論、Settings, Phone, Safari, Mail, 等々は保護されなければならないが、Compass, Weather, Stocks, Voice Memos, 或いは Game Center が無くなって悲しむ人は極めて少数であろう。その理由は興味の無さ、或いはもっと良い代替品があることである。数億人の iPhone ユーザーを考えれば、我々の意見に反対する人達がいることは避けがたいが、我々がお勧めした代替品を是非考慮してみて欲しい。そしてもしあなた自身使わない Apple アプリがあれば (Newsstand, 手を挙げる人は?)、コメント欄で知らせて欲しい。

コメントリンク13437 この記事について | Tweet リンク13437


TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2012 年 12 月 10 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

SOHO Organizer 9.3.1 -- Chronos が SOHO Organizer 9.3.1 をリリースした。連絡先およびカレンダーを管理するスイートの、マイナーアップデートだ。この最新バージョンでは、繰り返すタスクを iCloud または OS X Server の CalDAV アカウントに作成しようとした場合に(いずれのサーバもその機能に対応していないので)警告を出すようになり、Day および Week 画面で重なったイベントの表示を改善し、OS X 10.8 Mountain Lion や 10.7 Lion の下で誤った "your accounts aren't configured" メッセージが出ていたのを修正し、10.5 Leopard の下でイベントが消えてしまった問題を修正し、オフラインモードで CalDAV アカウントに変更を加えてもサーバに同期されないことのあった問題も修正している。(新規購入 $99.99、無料アップデート、78 MB、リリースノート)

SOHO Organizer 9.3.1 へのコメントリンク:

OmniFocus 1.10.4 -- The Omni Group が OmniFocus 1.10.4 をリリースし、GTD に発想を得たこのタスク管理ユーティリティの OS X 10.8 Mountain Lion との具体的な互換性の問題点をいくつか修正した。今回のアップデートでは Calendar に出版された Due リマインダーにアラームが含まれなくなっていたバグを修正し、項目に付随したメモの上でコンテクストメニューを使った場合のクラッシュを修正し、ツールバーで小アイコンを使っている際に同期ボタンがちらついて見えた問題を回避している。また、OmniFocus を OS X 10.7 から 10.7.2 までで使った場合に Dock アイコンが正しくないサイズにレンダリングされてしまった問題にも、今回のリリースで対処が施された。(新規購入 $79.99、無料アップデート、22.6 MB、 リリースノート)

OmniFocus 1.10.4 へのコメントリンク:

PopChar X 6.1 -- Ergonis Software が、フォント発見ユーティリティ PopChar X 6.1 にほんの少数の新機能を盛り込んだ。新設された Font Info 表示に、フォントのバージョン番号、対応する言語、文字や字形の個数、著作権情報、デザイナーに関する情報、その他の詳細情報が表示される。このアップデートではまた 600 以上のフォント (BeLight Font Kit や、いくつかの外国語フォントも含む) にカスタムチューニングが提供され、それによって標準でないある種のフォントにおける上下方向の位置取りを調整できるようになった。また、PopChar X は今回から選択したフォントを終了や再起動の際に記憶するようになり、あなたの Mac がしばらくの間アイドル状態であった場合にのみバックグラウンドのバージョンチェックを開始するようになった。(新規購入 29.99 ユーロ、無料アップデート、バージョン 5.x やそれ以前からのアップグレードは 14.99 ユーロ、3.2 MB、 リリースノート)

PopChar X 6.1 へのコメントリンク:

ChronoSync 4.3.6 と ChronoAgent 1.3.7 -- Econ Technologies が同期・バックアップ用アプリケーション ChronoSync をバージョン 4.3.6 にアップデートして、これが遠隔ヘルパーアプリ ChronoAgent により多くの情報を送り込むようにし、それによってモニタリングツール (例えば Econ の iOS アプリ ChronoMonitor など) の動作が改善された。今回の ChronoSync アップデートにはバグ修正もいくつかあり、書類が最後まで同期される前にエージェントがネットワークを去ったり加わったりした場合に起こり得たクラッシュも修正されている。ChronoAgent の方もバージョン 1.3.7 となり、自己診断機能の改善や、フランス語およびドイツ語のローカライズ版での誤訳の修正などが施された。 ChronoSyncChronoAgent の双方にフルのリリースノートがある。(新規購入は ChronoSync が $40、ChronoAgent が $10、無料アップデート、28.9 MB、8.3 MB)

ChronoSync 4.3.6 と ChronoAgent 1.3.7 へのコメントリンク:

Final Cut Pro X 10.0.7 -- Apple が Final Cut Pro X 10.0.7 をリリースし、安定性やパフォーマンスを改善するための少数ながらさまざまの種類の修正を盛り込んだ。変更点の主なものとして、このアップデートでは Letterbox 効果の "Offset" スライダーが復活し、1 GB より大きなクリップを Vimeo にアップロードする際の問題を修正し、隣り合う二つのクリップ上のフィルタが異なるピクセルアスペクト比を持っていた場合に正しくないフレームサイズが用いられた問題を修正している。また、いくつかのサードパーティの効果を使うとバックグラウンドでレンダリングをしている間アプリが応答しなくなる問題や、サードパーティのトランジションがソースのメディアの代わりに真っ黒の画面を使うことがあった問題にも対処している。(Mac App Store での新規購入 $299.99、無料アップデート、1.53 GB、リリースノート)

Final Cut Pro X 10.0.7 へのコメントリンク:

Mactracker 7.0 -- Ian Page が Mactracker 7.0 をリリースした。Apple 製品を網羅した、人気の百科事典だ。ここ二ヵ月間にリリースされた Apple のオペレーティングシステムやハードウェアの情報を入れてアップデートされている。具体的には iOS 6、iPhone 5、iPad mini、第四世代 iPad、13 インチ Retina ディスプレイモデル MacBook Pro、それに最新の iPod nano および iPod touch モデルだ。今回のリリースではまた、最近のハードウェアモデルにマーケティング用のキャッチコピーがあればそれも記載し、iPad および iPhone 各モデルには SIM 情報を別項目として追加し、サポート状況をアップデートして Vintage や Obsolete に分類された製品の情報を最新にした。この Mactracker アプリは今回から Cocoa フレームワークを用いてビルドされているので OS X 10.7 Lion かそれ以降を要するようになり、Retina ディスプレイ用に最適化されている。(無料、30.1 MB、 リリースノート)

Mactracker 7.0 へのコメントリンク:

iWork 9.3 -- iWork は Apple が長らく放置してきたオフィスアプリのスイートだが(最初にリリースされたのは 2009 年 1 月であった)今回デスクトップの側では何ら機能を追加することなくバージョン 9.3 にアップデートされた。今回のリリースは主に、iOS 用の三つの iWork アプリ (Pages、Numbers、Keynote) のバージョン 1.7 に対するサポートを追加するためのものだ。このスイートに属するアプリを個別に Mac App Store から購入した人には、既にそれぞれ Pages 4.3Numbers 2.3Keynote 5.3 にアップデートされている。この iWork 9.3 スイートは無料のアップデートで、(OS X 10.8 Mountain Lion の場合) Mac App Store 経由、(10.7 Lion の場合) ソフトウェア・アップデート経由、または直接ダウンロードで入手できる。(無料アップデート、380 MB)

iWork 9.3 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2012 年 12 月 10 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週は一つだけ、お知らせしたいニュースがある。Bloomberg Business が、Tim Cook に長時間のインタビューをした。

Tim Cook、初の長時間インタビューを受ける -- Apple 社の CEO になってから一年以上が経ち、ようやく Tim Cook は Bloomberg Business との長時間インタビューを受け入れて、個人的な情報も詳しく明かした。Cook がすべてをあからさまにしたのでないことは明らかだが(彼は Apple のマーケティングメッセージを強化することにかけては非常に巧みで、微妙な質問をかわす方法も心得ている)普段は人前に出たがらないこの男が Apple の CEO であることにより集まる途方もない注目にどうやって対処しているのかについて、従来よりもはっきりした感覚を掴むことができる。

コメントリンク:13444


tb_badge_trans-jp2

TidBITS は、タイムリーなニュース、洞察溢れる解説、奥の深いレビューを Macintosh とインターネット共同体にお届けする無料の週刊ニュースレターです。ご友人には自由にご転送ください。できれば購読をお薦めください。
非営利、非商用の出版物、Web サイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載または記事へのリンクができます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありません。
告示:書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。

TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2012 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2012年 12月 15日 土曜日, S. HOSOKAWA