TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#11214/17-Mar-2014

今週 Josh Centers は忙しく働いた。まずはスパイ活動の情報に遅れずついて行くために、UFO について、NSA のアドバイザーについて、さらには重大な意味を持つ可能性のある CIA と上院との間の争いについて調べ上げた。NSA の最新の不正行為を追いかけていない間には、Josh は台所に立って、FunBITS 記事のために iPhone、iPad、および Mac 用のレシピ管理アプリ Paprika をテストしていた。今週はまた Julio Ojeda-Zapata が寄稿記事で Microsoft のタブレット市場への参入が気になる人たちのために Microsoft Surface を検討し、Adam Engst は繰り返すタスクを追跡する iPhone 用アプリ Recur をレビューするとともに来たるべき Macworld/iWorld カンファレンスの会場で TidBITS スタッフたちがどこにいるかを伝える。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Alfred 2.2、Default Folder X 4.6.4、1Password 4.2.1 だ。

記事:

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スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 4: 状況が変になるとき

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

スパイ活動の最新情報を調べてみると、かのスパイ村では何かが変になりつつあることに気付かされた。何が変かって? 一言で言えば UFO だ。いや、これは決して冗談ではない。

記者 Glenn Greenwald と億万長者の eBay 創設者 Pierre Omidyar が共同経営する新興メディア出版 The Intercept の記事によれば、GCHQ (Government Communications Headquarters、英国の組織で米国の NSA (国家安全保障局) に相当する) が犯罪に問われたことさえない対象者たちの信用を落とすために情報の改ざんを活発に行なってきたという。そのテクニックは Online Covert Action (OCA) と呼ばれ、対象者から被害を受けたと主張する偽のブログ記事を書いたり、対象者に近しい人たちにあてて電子メールやテキストメッセージを送信したり、ソーシャルメディアサイトにある対象者の写真を別のものと取り替えたり、ビジネス上の関係を壊したりといった行為を含む。OCA の基本となるのは四つの D、つまり Deny (否定する)、Disrupt (妨害する)、Degrade (おとしめる)、 Deceive (欺く) だ。NSA がこの種の活動に従事しているかどうかは分からないが、記事の中に示された GCHQ のスライドは NSA へのプレゼンテーションでも示されている。

"The Art of Deception" (欺きの技術) と名付けられたそのプレゼンテーションには、もっと奇妙な内容もあるようだ。説明文も何もなしに、UFO の写真が含まれているのだ。Haynes UFO Investigations Manual の著者 Nigel Watson は Yahoo News のインタビューに答えて、これらの画像は異星人の訪問の証明にはならないだろうが、むしろスパイ機関が一般大衆を怖がらせるために UFO への不安を利用していることの証拠となっていると述べた。(もちろん、これらのスライドは単に講演者が言いたかったことの参考として含められただけかもしれない。例えば、説明できない事実に直面した際に人々がどのようにして意味付けにすがろうとするかといった話だったのかもしれない。結局のところ、他のスライドには Whole Foods マーケットのセールのポスターの写真があるけれども、誰も Whole Foods が GHCQ の最前線だなどとは思わない。)

けれども事はさらに変な方に向かう。NSA が独自にアドバイス係をコラムニストとして持っていたのをご存じだろうか? "Ask Zelda!" というタイトルのそのコラムは、2010 年以来この機関の内部ネットワークで配布されてきた。奇妙な一ひねりの利いた皮肉のように思えるが、Zelda に宛てた一人の NSA 従業員からの投稿の中に、彼の上司が彼や同僚たちをスパイしているのではないか心配だというものがある。"Silenced in SID" と名乗るこの投稿者に対する Zelda のアドバイスは、そのような覗き見は不適切なので直接上司とその問題について話し合うべきだというものであった。

どうやら合衆国諜報機関の管理者らは Zelda のコラム記事を読んでいないらしく、Associated Press の記事によればこれらの諜報機関では従業員たちを継続的に監視してセキュリティを点検するシステムの実装を計画中とのことだ。そこではコンピュータ化されたシステムが「個人信用調査機関、警察のデータベースや危険人物リスト、軍や政府関係の記録、免許、データサービスおよび公記録保存庫」をスキャンするという。

法律的な側面については New York Times が、FISA court (外国諜報活動偵察法による合衆国外国情報活動監視裁判所) の秘密判決が大量監視活動への道を開いたと解説する記事を載せている。鍵となるのは 2002 年に出されたいわゆる "Raw Take" (生のまま取る) 命令で、これによって「フィルター分けされていない個人情報」を内国機関や外国政府と共有する際の制限が緩められた。

他方、The Intercept の記事にはまたもう一つの大きな問題が取り上げられた。NSA が何百万台ものコンピュータを TURBINE というコードネームのマルウェアに感染させて「業界規模の攻撃」をしようと計画していたというのだ。誰でも抱く疑問(業界規模のマルウェアって? 本当か? 制御不能になるなんて考えにくい)はさておき、フィンランドのセキュリティ会社 F-Secure の Mikko Hypponen は、TURBINE の影響を受けたシステムに新たな脆弱性が作り出される可能性があることにより第三者による攻撃を受けやすくなると警告している。

けれどもこれら諜報機関に関係した新情報のどれよりも、上院の Intelligence Committee (諜報特別委員会) と Central Intelligence Agency (CIA、中央情報局) との間に醸し出されつつある争いの方が、はるかに奇妙でありはるかに重大な結果を生む。

この激しい争いは、Bush 政権の下での CIA による拷問の使用について上院諜報特別委員会が出した 6,300 ページにわたる 4 千万ドルの報告書の中に満ち満ちている。CIA はこの書類を機密扱いにしたが、それはこの書類が CIA が拷問を用いたけれども効果がなかったと厳しく非難しているため公開することができなかったからだと言われている。この報告書にこれほど多くの費用が掛かった理由の一つは、上院の調査担当者たちが関係書類を CIA の承認を受けたコンピュータ上で閲覧するために特殊な CIA 施設まで旅行しなければならなかったからだ。

上院の調査担当者たちは何らかの方法で拷問の使用に関する CIA の内部資料のコピーを手に入れたが、CIA はその書類が諜報特別委員会の目に触れるべきものでないはずだったと主張する。その返礼として、CIA は上院に提供されたコンピュータを捜索するとともに、上院のスタッフの仕事ぶりや院内のメッセージを記録した独立のネットワークドライブも捜索した。結果として上院諜報特別委員会と CIA はお互いに相手の不正行為を非難することとなった。現在、両者の主張がそれぞれ司法省に付託されている。

上院議員 Dianne Feinstein は、過去には諜報機関コミュニティーの忠実な擁護者だったこともあるが、現在は CIA の行為に激怒している。2014 年 3 月 11 日に、Feinstein は 長い、厳しい批判口調の演説を行ない、CIA が上院の仕事に干渉したと非難した。

この論争において鍵となるのは、コンピュータを所有しているのが誰かという点を巡る問題だ。CIA は 自らがコンピュータを所有していると主張する。しかしながら、Feinstein はコンピュータは上院の所有物であると主張し、上院議員 Ron Wyden も彼女の主張を擁護しつつ、(詳細は明示しなかったが) 最近の裁判所への申請で CIA がそう認めたとさえ述べた。The Guardian の記事によれば、2009 年に取り交わされた上院諜報特別委員会と CIA との合意書には、同委員会のスタッフ記録と提供されたコンピュータは彼ら自身が所有するものだと書かれている。

より広い論点としては、上院の目に触れるべきでない拷問関係の書類がそもそもなぜ存在したのかという疑問がある。けれどももっと厄介なのは、このことが合衆国政府全般に対して及ぼすさらに広範な意味合いだ。

「これは共和国といった類いのものの、死といった類いのことを示すのではないでしょうか」と MSNBC のテレビ番組で Rachel Maddow は言った。彼女はこれまで何度も Obama 政権のチアリーダーの役割を果たしてきた。そしてそれはメディア関係の発言に止まらない。 上院議員 Feinstein は演説の中で「私はこの CIA による捜索が、合衆国憲法における権力分立の原則に違反したのではないかという深刻な懸念を持っています」と述べた。

さらにもっと恐ろしいのは、諜報機関の統率者たちが議会に働きかけて、政府から漏れ出た情報を出版したジャーナリストを犯罪者として罰する法律を作らせようとしていることだ。「私は楽観主義者です。メディア漏洩に関する立法で正しい段階を踏めば、サイバー立法はずっと楽になるでしょう」と、間もなく職を去る NSA 局長 Keith Alexander 陸軍大将は述べた。Obama 大統領は Alexander の後任として Michael Rogers 海軍中将を指名したが、Rogers には 彼に向いた大仕事が待ち受けている

さて、垣根の反対側では、Edward Snowden が欧州議会の Civil Liberties, Justice and Home Affairs 委員会 (市民的自由・司法・内務委員会) に 12 ページから成る宣誓書を提出した。大して目新しいことは書かれていないが、それでも読み物として魅力的だし、その中で Snowden は「10 人を超える数の当局者たち」に対して大量監視活動の問題に対処するよう求めたけれども上官たちは彼の言うことを無視したと述べて批判者たちに反論している。Snowden も、WikiLeaks の Julian Assange も、今年の SXSW Interactive カンファレンスのパネルに遠隔出演した。ここでも目新しいことは何も語られなかったが、それでも興味深く視聴できる。

カンファレンスのパネルと言えば、かく言うこの私も今年の Macworld/iWorld に招待されて "The NSA and You" と題したパネルの司会をすることになっている。このパネルには錚々たるゲストたちが出演する。Electronic Frontier Foundation の Parker Higgins、TidBITS の Joe Kissell ("Take Control of Your Online Privacy" の著者) と Rich Mogull (彼の本職は Securosis 社のセキュリティコンサルタントだ)、Wired の Kim Zetter、それからあの Quinn Norton だ。Norton は、過去には Occupy Wall Street (ウォール街を占拠せよ) や Anonymous (アノニマス) の活動に参加していたこともあり、最近には Director of National Intelligence (合衆国国家情報長官) のオフィスに招待されて講演をしたこともある人物だ。この "The NSA and You" パネルは、間違いなく活発な議論の場となる。だから、お近くにおられる方はぜひお立ち寄り頂きたい。また、このパネルで話題としたい質問をお持ちならば、まず私にそれを送って頂きたい! それから、私が MacVoices ポッドキャストに出演してホストの Chuck Joiner とこのパネルについて対談しているのでそちらもお聞きあれ!

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Macworld/iWorld 2014 での TidBITS イベント

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

恒例の Macworld/iWorld 展示カンファレンスは、今年は時期が通常の 1 月から 3 月下旬にずれて、Thursday, 27 March 2014 から Saturday, 29 March 2014 迄となる。場所は再度 San Francisco の Moscone Center であるが、近年の Moscone West ではなく Moscone North に移り、200 に近い展示が予定されている。開館時間は木曜と金曜が 11 AM から 6 PM で、土曜日は 10 AM から 6 PM となる。

いつもの様に、我々の多くも参加する。私と Tonya, Josh Centers, Michael Cohen, Joe Kissell, Jeff Carlson, そして Rich Mogull といった面々である。会場では、我々に声をかけて自己紹介をし、そして最近の我々の仕事のどれが最も役立ったと思ったかを話して欲しい。

また、多くの TidBITS スタッフが公のプレゼンテーションを行う。その概要を次に記すが、この行事は我々が公の TidBITS Events カレンダーを作成した理由の一つでもあるので ("TidBITS イベントカレンダーを購読しよう" 15 October 2012)、もし Macworld/iWorld に参加されるのであれば、間際の追加を知るためにもこれを購読するのをお忘れ無く。もしイベントに対するアラームも追加したいのであれば、これらを手元のカレンダーにまずコピーする。(Apple はこのカレンダーの公共アドレスを変えているかもしれないので、もし前に購読していても今年のイベントが見当たらないのであれば、再購読されたい。)

では、我々の出番のリストを。メインステージでの話は全ての人に公開されている;Tech Talks は Conference Pass が必要で、All Access Pass だと Tech Talks と MacIT プレゼンテーションの両方にアクセス出来る。

勿論、Tonya と私、それから Michael Cohen, Jeff, Joe, そして Josh も三日間とも会場にいる予定なので、もし見かけたら声をかけて欲しい!

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Recur iPhone アプリ、繰り返しタスクの管理を助ける

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

大抵の to-do アプリには同じ問題がある。それは、やれる - そしてやりたい - ことが一日の中で使える時間よりも遙かに多くあることである。私の場合、私の to-do リストの大多数が底の方にうろうろ固まっているだけで、いつも私にまたやらなかったと非難の目で訴えかけてくる。しかし、頭の中で仕事リストをやりくりしているからと言って私が無能だというわけではない - TidBITS は毎週出ているし、Take Control 本も出版されていて、業務は進行している - そして、私は何時も自分が望むほどには時間通りではないかもしれないが、私が怠惰であるが故に周りの人を失望させているとは思っていない。

前置きはこれぐらいにして、私はたまたまある iPhone to-do アプリに出会った - Grailr からの $1.99 の Recur - これは to-do リストの概念を、びっくりするそして納得感をもったやり方で一転させており、結果的には私の iPhone のホーム画面の貴重な一角を占めるに至った。 Recur は iPad 上でも働くが、これは真に iPhone アプリであり、iPad 画面に合わせて拡大しているだけである。尋ねられる前に答えておくと、このアプリのコピー間でのデータ同期はなされない。)

標準の to-do リストは向上心型である - そこにはやらねばならない事、やるべき事、出来ればやりたい事、そしてやりたくはないが忘れてはならないと思っている仕事も含まれている。Grailr は、そのような定まらない一連の将来の可能性など無視し、我々の日常生活を裏打ちする繰り返しのタスクや行動をサポートするべく Recur を設計した。(公平を期するため言うと、同社には他のアプリもあり、$1.99 CARROT To-Do で、こちらはより伝統的な to-do アプリであるが、加虐的な人格をもっており、仕事を完成させれば褒めてくれ、サボれば怒り出す。)

もっと具体的に言うと、Recur は、あなたが自分一人ではやりそうもない事、或いはカレンダーアプリでは扱い辛そうな事に焦点を当てる手助けをする。通常、夕食の準備をしたり、歯を磨いたりすることを思い起こさせて貰う必要は無いであろう。何故ならば、空腹感は食べる事を忘れるのを難しくし、そして歯を磨く事の様なものを一つの夜の習慣とするのは難しい事ではないからである。回収ゴミを水曜日の夜に出す事の様な日付に関するタスクは追跡が必要で、これらは Calendar や BusyCal の様なアプリが扱うべく意図されているものである。

では、鉢植えに水をやったりする様な、週に一回やるべき事、一日とか二日おきにやるべき理学療法をする、或いは週に数回運動をすると言った事はどうであろうか? これらの事全ては定期的に起こる必要があるが、だからといってこれらを伝統的な to-do リストに入れてしまうと、多くのやり取りと煩雑さが関わってきてしまう。そして、これらはある特定のスケジュールでやり終えなければならない様なものでもないので、カレンダープログラムに入れてしまうと邪魔くさくなってしまうであろう。そうではあるが、ある時点でこれらの活動のどれをなすべきなのかは知りたいものであり、少々のしつこさは有用で、そして短期的には達成感を、そして長期的には成果を得るのはとても良い事である。

私の場合はこんな具合である。私は October 2012 以来、重傷の足裏筋膜炎からの回復を図ってきた。私はようやく週に数日は走れる程度まで回復したが、これまでの 8 ヶ月間は、強さと柔軟性のための運動を毎日続けてきた。これは回復を助けるためとそしてもう一度本格的に走るようになった時に怪我をする可能性を低くするためであった。私は各種の運動日課をたてたが、どれも毎日やれねばならないというものはなかったが、順番に行うものであった。下記のスクリーンショット見ながら、Recur の何処が良いのか説明しよう。

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Recur は一つの主画面を持ち、そこにあなたのタスクが示される。新しいものを追加するには、+ ボタンをタップするか或いはリストを引き出す;新しいタスクが必要なのは名前だけである。項目が作成された後は、その名前の上を右にスワイプして実行したと印付けする;右側のスクリーンショットでは、私は足と足首の強化運動をした事を記録している。こうする事で、緑の丸の中の数字は一つ進みそのタスクをこれまで何回実行したかを知る事が出来、最後にやった日付を更新し、そしてその項目をリストの一番上に移動する。

項目の名前をタップすると、上記の Bodyweight Exercises の所で見られる様に四つのボタンが現れる。それぞれが何をするかは下記の通り:

Recur に関して私が好きなのは、朝一番でリストを眺めて、どの運動がリストの一番下に近づきつつあり、注意を払わねばならないことが分かる事である。そして、私のコーチや療法士と私がやっている事を話す時、私がやるように言われている運動をどれだけやったかについて推測する必要もない。

私はこれまで、この様な情報を記録するのに色々な方法を試してみた。紙から始まって Google Docs スプレッドシートまで、だがどれも長続きしたためしがない。理由は、手がかかりすぎる、面倒だ、或いは単に満足がいかないと色々であった。私は、Recur を使う事が大きな励みになっているなどと装うつもりはないが、一つのタスクをやったと記録し、それがリストの一番上に昇るのを見ると、ちょっとした達成感が得られるのは事実である。しなければならないのは分かっているが、なかなかやる気になれないこれらの決まり切った作業に関しては、どんなちょっとした後押しでも役立つものである。

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Microsoft Surface: 二つのコンピュータの物語

  文: Julio Ojeda-Zapata: julio@ojezap.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple ユーザーにとっての意外なハードウェア選択肢を検討しようとするこの形式張らないシリーズ記事の第一回と第二回で、私は iPad Air をモバイルライターにとって理想的なマシンと位置付けし (2014 年 2 月 17 日の記事“モバイルライターが持つべきは iPad か MacBook か”参照)、Chromebook を学生にとって素晴らしいものであると同時に Mac ユーザーがモバイルで使うための補助マシンとしても驚くほど良いものである(2014 年 2 月 24 日の記事“Google の Chromebook は立派な補助的ラップトップ”参照)と提案した。けれどもさらにもっと驚くべきことに、モバイルコンピューティングの立派な選択肢として私はまたもう一つ別のものを見つけた: Microsoft Surface だ。

これは私も予期していなかった。多くの Apple 支持者たちと同様に、私は長年 Windows の世界を異郷の地と見なしてきた。ちょっと観光する程度ならば興味をそそる、異国情緒の行き先だが、そこに住みたいと思うかと問われればあまりにも多くの問題点があり過ぎる、そんな場所に見えた。

Surface は Microsoft の出しているハイブリッドコンピュータのシリーズで、一部はタブレットで一部は Windows PC というものだが、私にこれまでの見方を考え直させるものとなった。これらのポータブルマシンを私のテクノロジージャーナリストとしての仕事の中で時たま試してみることはあったが、どうもピンと来なかった。けれども、偏見のない心で見てみようと思い直して、もう一度だけしばらくの間はぼ Surface デバイスのみを使ってみて、気乗りしなかった自分の考えが変わるかどうか見てみることにした。

この記事を書いている時点で、私は一ヵ月間にわたりほぼ連続的に Surface を使ってきたが、確かにフラストレーションの溜まる瞬間もいくつかあった。時には、壁に叩き付けて粉々のガラスの破片に砕いてしまいたいと思うこともあった。けれども、残りの大部分は、良い感じの体験となった。

Surface PC は、タブレットとノートブックコンピュータとデスクトップコンピュータをモバイルマシンにまとめ上げて、iPad とよく似たやり方で使えるようにしつつ、それでいてフル機能の Windows PC として挙動させることもできるというところが特徴だ。

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Surface の最大の利点は、そしてそれこそが私が乗り気になった主な理由でもあるが、多用途性にある。Surface PC と iPad 流にタッチスクリーンのみを使ってやり取りすることもできるし、超薄型の Microsoft キーボードを嵌め込んで組み込みのスタンドで立てればノートブック風に使えるし、また外付けモニタに接続すればデスクトップ PC にもなる。

このような柔軟性は Microsoft がずっと以前から Surface の売り文句にしていたところだが、これまで Surface の売れ行きがあまり良くなかったところを見れば、その言葉は多くの人たちに聞き流されてしまったのだろう。けれども私は、その表面 (surface) 下に大きな欠点がいくつもあるにもかかわらず、大体においてこれをとても気に入っている。

コンピューティングに対する三つのビジョン -- まずは少しばかり背景を述べておくのがよいだろう。タッチを使ったやり取りに重点を置いたこの最新の Windows 機は、Apple が iPad を使うやり方とも、Google が Chromebook を使うやり方とも大きく異なる角度からモバイルコンピューティングに向かう。

Apple と比べてみよう。Mac OS X と iOS はいくらかのローレベル基盤を共有するとはいえ、Apple はそれ以外で両者を完全に分離している。iOS はほとんど Mac OS X と似ているところがない。iOS はマウスやキーボードよりもタッチインターフェイスに依存し、また開発者たちはかなりの努力を注いで Mac と iOS のアプリが互いにうまく相互作用するようにしているものの、大多数のアプリは双方のプラットフォーム上で見栄えも挙動もずいぶん違っている。それと同時に、Apple はハードウェアの品揃えを最小限に抑えて、潜在的購入者たちを当惑させるほど選択肢が林立する状態にはならないようにしている。

一方 Google は、Chrome ウェブブラウザから派生した同社の Chrome OS モバイルオペレーティングシステムで、ウェブをベースにした方法を採用している。Chrome OS は従来型のオペレーティングシステムのルック&フィールを持つように拡張されてはいるものの、その基本はあくまでもウェブ中心の環境だ。あなたが Chromebook のリッドを開いて仕事に取り掛かるとき、あなたが使うのはウェブアプリであって、それは Windows や Mac OS の上で Chrome の中でするのと同じことだ。Chromebook のハードウェア生態系は Apple のものより幅広いとは言っても、それでもやはりそこでできることにはかなり制約がある。これはあくまでもウェブブラウザをラップトップにインスタンス化したものに過ぎないからだ。

驚くには当たらないことだが、Microsoft は Windows において全く異なるやり方をした。Windows の核心は保持しつつも、そこにモバイルインターフェイスを追加することによって iOS に対する(あるいはそのライバルの、Google の所有する Android に対する)実行可能な対抗製品となるようにした。新しい、タッチを生かしたインターフェイスは大きくてカラフルでタップできるタイルから作られ、従来の入力デバイスよりも指先の方が好ましいと思う人たちのためのものとなっている。この「スタート画面」環境は、フルスクリーンでタッチを生かした独自のタイプのアプリを持ち、それらのアプリは Apple の App Store に似た Windows Store を通じて入手可能だ。けれども従来そのままの Microsoft のやり方も残っていて、伝統的なマウスとキーボードでコントロールされる Windows デスクトップも消え去っていない。Microsoft がデスクトップオペレーティングシステムに何十年間も開発力を投資してきたこと、コンシューマたちも当分の間はそのシステムにネイティブなソフトウェアを走らせ続けるであろうことを考えれば、これは全くもって賢明なやり方と言える。

Window 8 とともに登場したのは、めまいがするほど多種多様なモバイルコンピュータたちだ。そこには iPad 風のタブレットもあれば、従来型のノートブックにたまたまタッチスクリーンが付いたようなものも、またタブレットをキーボードドックに差し込んで使うハイブリッドタイプのものもある。ちょっと種類が多過ぎるような気もする。それはまるで、PC ハードウェアベンダー各社がてんでんばらばらにテクノロジーを壁に投げ付け、何が残るか試してみたのかとさえ思える。けれどもその結果として、幅広い選択肢が提供されたとも言える。とりわけ、iPad と Chromebook がそれぞれかなり限定された生態系を持っているのと比較すれば印象的だ。

上っ面 (Surface) を引っ掻く -- Microsoft の Surface シリーズは、同社が Acer、Dell、HP、Lenovo といったサードパーティに依存することなく独自に Windows ハードウェアを製造しようとした初めての試みだ。

でも本当のところ、Surface とはいったい何だろうか? ここで用語をきちんと定めておこう。ここで言う Surface は一つの種類の PC ではなくて、いくつかの種類の PC の総称だ。その点がものごとを複雑化し混乱の種ともなるのだが、そこがまた Microsoft らしいところだ。

一つの種類の Surface は "Surface Pro" と呼ばれ、あらゆる意味においてフル機能の Windows PC であるようなコンピュータから成っている。Windows 8 がフルにインストールされている。この分類に属するコンピュータとしては、2012 年 2 月にリリースされた第一世代の Surface Pro と、最近リリースされた後継機種の Surface Pro 2 (64 GB のストレージで $899 から) がある。少なくとも Microsoft によれば現在市場にあるのはこの新しいモデルの方のみだが、この記事を書いている時点でサードパーティの小売業者はまだ古い方のモデルを在庫に抱えている。

Surface Pro デバイスは普通の PC と全く同じに標準の Windows デスクトップアプリケーションを走らせることができるのに加えて、タブレットモードで使うために作られたタッチ中心の新しいアプリも走らせることができる。

このタブレットモードはさきほど述べたスタート画面のインターフェイス(下の写真を参照)とタイル化されたアプリに、ほぼ完全に依存する。技術ライター David Pogue はこれを "TileWorld" と名付けている。このインターフェイスは当初私には目障りで異質なものに思えたが、時間の経過とともにだんだん好きになってきた。これはユーザーインターフェイスへの大胆なアプローチであり、多くの批判にさらされたが、今の私はこれが大好きだ。

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もう一つの種類の Surface は、名前に "Pro" が付かない一連のコンピュータで、クラシックな Windows 環境を限定的な意味のみで提供するものたちだ。馴染みのあるデスクトップは存在しているし、Microsoft は Office をインストールしてくれているけれども、それ以外の従来のデスクトップアプリケーションをユーザーがインストールすることはできない。その理由は、Pro の付かないこれらの Surface デバイスには Intel プロセッサでなく ARM プロセッサが搭載されていて、使っている Windows も Windows RT 変種なので従来からの Windows ソフトウェアと互換でないからだ。Microsoft の意図はこれをほぼスタート画面専用のものとして、タイル化されたアプリのみを使うようにし、Surface Pro よりも直接に iPad と競合できるようにしようという考え方だ。

この種類に属するコンピュータには、初期の 2012 年型 Surface RT (32 GB で Touch Cover なしの $299 から 64 GB で Touch Cover 付きの $349 まで) と、最近リリースされた Surface 2 と呼ばれるその後継機種 (32 GB が $449、64 GB が $549) がある。いずれもこの記事を書いている時点で正式に市場にあるが、Surface RT は名前から RT が取れて単なる Surface となっている。

Pro の方も Pro でない方も Surface PC の見かけはよく似ているが、後者の方がかさばった感じが少ない。次の写真の一つ目がより分厚い Surface Pro で、二つ目がより薄い Surface 2 だ。

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私は Surface Pro マシンの方が好みだ。より重くかさ高いけれども、パワーと多用途性が優れているからだ。Pro でないマシンは Windows 8 の代わりに Windows RT が走るので、私にとってはほとんど使い物にならない。Windows ベースのコンピュータであるにもかかわらず、Windows ソフトウェアが走らないからだ。全く意味を成さない。どうやら Microsoft もこの意見に同意しているらしく、Windows RT ベースの PC はもうそれほど長くこの世にはいないだろうと最近示唆している。

Surface Pro は決して安くなく、64 GB の $899 から 512 GB の $1,799 までという価格帯だ。けれども第一世代の Surface Pro モデルは大幅な値引で売られており、$500 という掘り出し物が見つかることもある。これならちょうど、入門レベルの iPad Air と同等だろう。一方入門レベルの MacBook Air の価格はその二倍だ。

Microsoft は、良いアイデアがぎっしり詰まったコンピュータのカテゴリーを思い付いたことに対して称賛されるべきだ。ただ、それらのアイデアのいくつかは実装に大失敗している。以下に、カテゴリーごとに分けて、それらのアイデアを一つ一つ見て行こう。

滑らかで輝く表面 (Surface) -- Pro であろうとそうでなかろうと、どの Surface デバイスでも、ひとたび手に取って見れば、Toto ちゃんもうここは Cupertino じゃないのよ、という言葉が自然と口をついて出る。

これらのコンピュータは見るからに長方形で 16×9 の縦横比を持ち、より正方形に近い 4×3 の縦横比を持つ iPad とは対照的だ。Surface の材質は特殊なマグネシウム合金 VaporMg で、Microsoft によれば重量がアルミニウムの三分の一だという。Surface のモデルにより色は薄いグレイか濃いめのグレイだ。見栄えは素晴らしいが、私は尖った角が好きになれない。持った際の快適さが iPad より劣るからだ。

どのモデルでも、Surfaces に特徴的な機能が二つあって、まさにそれが私がこれらのデバイスを気に入った理由の上位に並ぶ。

第一に、デバイスの背面にしっかりしたフリップアウト式のスタンドが付いている。これは断然素晴らしい。多くの人にとって、iPad を使うには何らかのスタンドに立てるか、あるいはスタンド付きのケースの中に入れるかする必要がある。その点、Surface の方がそのまますぐに使えるので使い勝手が良い。第一世代の Surface のスタンドは一ポジションのみだったが第二世代のスタンドはデュアルポジションで2段階に角度が可変となり快適さが増した。私が借りて使っているいくつもの Surface デバイスはすべて、何ヵ月も使ってもスタンドはちゃんと持ちこたえている。

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第二に、Surface タブレットを別売のカバーと組み合わせれば、作業のためにカバーを開くとカバーに内蔵されたキーボードが使える。

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超薄型のそのようなカバーは二種類ある。一つは Touch Cover と呼ばれ、タッチセンサー式のボタンが圧力センサーにより指のタップを感知する。もう一つは Type Cover と呼ばれ、メカニカルキーを持つ。写真で比べて頂きたい。

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Type Cover の方が断然優れた選択肢だ。実際、これは私が使った中で最も優れたモバイルキーボードだと言える。非常に薄いけれども、正方形型のボタンは大きさも十分で(iPad 用のキーボードカバーやキーボードケースのキーは小さ過ぎることが多い)感触も素晴らしい。キーの押し込みの移動量もまさに理想的だ。キーボード上に組み込まれたトラックパッドはそれほど良くないが、大体において Surface のタッチスクリーンを使うとすれば影響は少ないだろう。また、Bluetooth または USB のマウスを使うこともできる。

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Surface にキーボードを付ければ十分ラップトップ機の代わりにもなる。ただし、膝の上に置いて使うには従来型の二つ折り式ノートブックほど快適でない。

Microsoft は、アクセサリのヒット商品を手にしたことを感じて、Surface カバーを小さな生態系へと転化させた。今ではバックライト付きのモデルもある。Bluetooth 取り付け具を使えば Surface キーボードを磁石でデバイスの下辺に繋ぐのでなくコンピュータから離して使うこともできる。また、バッテリを内蔵したカバーは Surface が AC アダプタなしで動作できる時間を拡張してくれる。さまざまなカラーのものも選べるようになったが、最も人気があるのは黒の Type Cover (バックライト付き) のようで、Microsoft ストアでいつも在庫切れとなっている。

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この二つ、スタンドとキーボードカバーとが、Surface を生産性のために理想的なコンピュータへと変えている。

これに対して iPad には膨大な種類のサードパーティのアドオンカバーやケースでキーボードを内蔵したものがあり、それを取り付ければ同じような位置取りになる。私は iPad Air に Logitech の素敵な FabricSkin Keyboard Folio を組み合わせて使うのが好きだ。けれども Surface は iPad よりも幅が広いのでその分使い勝手が良く、より拡張性のある、従ってより効率的なキーボードが使用可能だ。

Microsoft の Surface シリーズには、もう一つ注目すべきハードウェアが含まれている。デスクトップドックだ。これは見事な、最小主義的アクセサリで Surface Pro の側面どちら側にも取り付けることができ、左側では USB ポートに、右側では Mini DisplayPort に、それぞれ接続するようになっている。するとこの Surface とドックの組み合わせは外部ディスプレイにリンクさせつつ 4 基の USB 2.0 ポートと電源、オーディオ、Ethernet それぞれのポートを備えるようになる。こうして Surface Pro はモバイルコンピュータからデスクトップ PC へとシームレスな変身を遂げる。他の種類のコンピュータとモニタの組み合わせと同様、この二つのスクリーンもミラーリングでの使用と拡張使用とのどちらでも選べる。(私はより広い作業領域を得るために後者を選ぶことが多い。)

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惜しまれて世を去りし Duo Dock 以後、Apple は自社のモバイルコンピュータにドックを提供していない。サードパーティのハードウェアメーカーからは、いろいろな iPad 用ドックが出ているし、数は少ないものの Mac 用ドックもあるが、この Surface 用ドックはその種のアクセサリのうち私が近年見た中で最高のものだと言える。

このドックこそ、Surface Pro が私にとって最良となった理由だ。これのお陰で、私は Surface Pro をフルの Windows デスクトップ PC としても、またタブレットやノートブックのコンピュータとしても使えるようになる。机に向かって仕事をしようという際には、私は Surface をドックに入れ、その左右の側をタブレットに差し込んで電源、USB、および DisplayPort のコネクタを繋ぎ、私の大型ディスプレイを使って仕事に取り掛かる。

そして昼食の休憩をする際には、Surface をドックから取り出し、Flipboard を開いてスタンドで立て、サンドイッチにかぶりつきながらそれを見る。コーヒーショップで打ち合わせをする際には、Type Cover を取り付けて Surface をノートブックモードで使う。夜になってベッドに入ると、膝の上に Surface を置いて、iPad でするのと同じように "House of Cards" を鑑賞する。すぐに返事が必要な電子メールが届けば、再びキーボードを取り付けて返事をタイプし、それからまた番組に戻る。

お分かりだろうか? この多用途性が良いのだ。

バッテリ寿命もかなり良い。初代の Surface Pro はその点で具合が悪かったが、Surface Pro 2 になって新しい Intel プロセッサのお陰でバッテリ寿命は飛躍的に改善された。状況にもよるが(ビデオを視聴するのとただワードプロセッサを使うだけとは違うし、スクリーンの輝度の設定によっても違いが出る)私はたいてい 6 時間から 8 時間程度は問題なく使い続けられる。もちろん、RT ベースの Surface モデルのバッテリ寿命は素晴らしい。

Windows の見掛け (Surface) の裏には -- Surface Pro を使う機会と、より稀だが Pro でない Surface を使う機会とは、両者が劇的に異なるインターフェイスを持っていることの結果として支離滅裂な使用体験を生む。片方はクラシックな Windows のインターフェイスであり、もう片方は新しいスタート画面つまり "TileWorld" のインターフェイスだからだ。

Microsoft はスタート画面こそが Windows コンピューティングの将来だと示唆したことがあるが、極めて保守的なこの会社は伝統的な Windows 環境を捨て去るのを拒否してきた。よりシンプルな、Pro でない Surface コンピュータにおいてさえ、従来型の PC ソフトウェアを受け入れられないために新しい環境が最も適していると思えるにもかかわらず、捨て去ることができなかった。このようなためらいに対し、同社は大いに批判されてきた。

それでも、ここ数週間あちこちに Surface Pro 2 を持ち運びつつ、私はこれら二つのインターフェイスをそれぞれあるがままの状態で、それぞれが私にもたらしてくれることに対して、ありがたく思うようになった。

私が Surface Pro 2 をそのままの状態であちこち持ち運ぶとき、スタート画面とそのカラフルなタイルは、タッチによるやり取りを通じて素早くて滑らかな、しかも効果的な使い勝手を提供してくれる。もちろんマウスを取り付けたり Type Cover のトラックパッドを使ったりすることも可能だが、そういうものは机のような環境の下でのみ意味がある。他方、クラシックな Windows インターフェイスは、直接に、あるいは Surface Dock を通じて、マウスと外付けディスプレイを取り付けた状態でこそ不可欠のものとなる。言い替えれば、デスクトップ PC として挙動させる場合にということだ。

けれどもその逆もまた正しい。スタート画面のインターフェイスは大サイズのディスプレイ上では少々馬鹿げた感じになるし、Surface Pro の小ぶりのディスプレイでクラシックな Windows インターフェイスを快適に使うのは無理だ。クリックすべきターゲットが小さ過ぎて、指先ではどうにもならない。四角い穴に刺さった丸い杭をあざ笑うのは容易いが、私の用法に限って言えば、それぞれのインターフェイスをそれぞれに適した場所で使うようにし、そのことに逆らわないのが一番だ。

このようなデュアルインターフェイスの多用途性は、Mac も iPad も提供できない。Apple は Mac OS X と iOS とを別々のものとしているからだ。それはそれで問題ない。それは良いアプローチであり、この Cupertino の巨人に良い結果をもたらしてきたので、私としてもここでそれを批判しようなどとは夢にも思わない。また、Google も Chrome OS と、スマートフォンやタブレット用の Android オペレーティングシステムの双方を作ったけれども、現時点で両者は完全に別々のものだ。

だからと言って Microsoft のアプローチが悪いということにはならないし、私は実際好きになった。その魅力の一つは、ユーザーが一台のコンピュータをあらゆることに使えるようになる点だ。それはタブレットであり、ラップトップであり、デスクトップ PC でもある。すべてをこなすことができる。

その結果、ちょっとしたフランケン・コンピュータが生まれる。Surface は完璧なラップトップ機となるには小さ過ぎ、理想的なタブレット機となるには大き過ぎて重過ぎる。(とりわけ Surface Pro モデルでそのことが言える。)Microsoft が Surface を「妥協なし」のコンピュータだと宣伝しているのは言い過ぎだが、一つのデバイスを複数の必要を満たすためにうまく使えるのならば、妥協も悪くない。その意味で、Surface は役目を果たしている。

Microsoft のアプリを Surface の上で動かす -- TileWorld は、習得したセンスかもしれないが、独創性で知られることのなかった会社のものとしては大胆な、革新的なやり方だ。この環境の中のアプリは Windows Store 経由で見つけてインストールし、アプリのライブラリの中に加えることになる。するとあなたはそのアプリに対するタイルをスタート画面上に作ることができ、タイルは小さい正方形や中くらいの正方形から長方形や巨大サイズの正方形まで、あなたの選んだ大きさにすることができる。人によって、どれかのアプリを他のものよりよく使うということがあるだろう。だから、自分の好きなようにタイルのサイズを決めて、好きなように並べられるのは、似たようなアイコンが並ぶ画面に比べてずっと歓迎すべき改善だ。

タイルを一つタップすると、フルスクリーンのアプリが起動される。基本的に iPad 用のアプリと同じことだが、重要な違いは Surface 用アプリがマウスでも指先でも操作できることだ。例えば Microsoft は人気ある同社の情報整理アプリ OneNote のタッチ対応バージョンを作り上げて、デスクトップ版と同様の機能を与えつつ、そこにスタート画面の味付けを施した。出来映えは見事だ。Surface コンピュータにバンドルされている Mail アプリや Maps アプリにも、同じことが言える。

タイルの中には、インタラクティブで、有用な方法で常時変化し続けるものもある。Microsoft 自身の News タイルは、一連の見出しや写真を表示する。同じく同社の Weather タイルは一分刻みで最新の天気概況や天気予報を表示する。他にも同社の Travel、Food、Health、および Finance アプリはそれぞれに小さな Live Tile 情報コンソールを表示し、カスタマイズのための賢いオプションも提供して、どんな情報を見たいか調整できるようにしている。私はどれも大好きだ。

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ここまでのところは、素晴らしい。けれども Microsoft は、TileWorld の潜在能力をフルに引き出すために最も重要な一つの手順を踏み忘れてしまった。同社の Office 生産性アプリの、フルスクリーンのスタート画面バージョンを、リリースしなかったのだ。誰でもすぐに分かることじゃなかろうか? Apple が初めての iPad をお披露目した際、Apple はユーザーたちがすぐ仕事に取り掛かれるように、また開発者たちには開発を助ける概念実証ソフトウェアとなるように、合わせて iWork アプリもリリースしてくれた。30 年前に初めての Mac が登場した際にも、その中には MacWrite と MacPaint がちゃんとロードされていて、最初から Mac ユーザーたちが仕事ができるようになっていた。Microsoft ならば、Word のタイルの上に共同作業中の他の人たちが Word 書類に施した変更件数をビジュアルなヒントとして表示する Live Tile 機能を盛り込むことくらいできただろうに!

Microsoft がタッチ対応バージョンの Microsoft Office を第一世代 Surface デバイスと同時に提供しなかったという事実は、不可解極まりない。どうやらようやくそれは準備中と言われているようだが、Microsoft Office タッチ版スイートがもしもリリース初日から付いていれば Surface がどれだけ大成功を収めただろうかというのは、今はもう想像するしかない。

Microsoft は確かに Pro でない方の Surface タブレットにもクラシック版の Office をあらかじめ組み込んで、それがなければまるきり無意味であったろうこのデバイスの Windows デスクトップに含めているが、それだけでは大してセールスポイントにならなかったことが実証済みだ。その理由は私にもすぐに分かる。モバイルタッチモードで Surface Pro を使っている時に、クラシック版の Microsoft Word を使うのはどうにも具合が悪いからだ。

サードパーティのアプリで Surface の下に切り込む -- Microsoft が Surface で犯した重大な不手際の一つは、大手のサードパーティの開発者たちを Windows 8 のタッチスクリーンプラットフォームへと誘い込むことにうまく成功できなかった点だ。そのことが、Surface デバイスを大いに損なった。なぜなら、人々がタブレットを購入する際には、アプリが入手可能かどうかが極めて大きな判断基準となるからだ。これこそ、iPad が大ヒットした一方で Surface が失敗に直面した、主たる原因だ。

とりわけ初代の Surface RT は、Microsoft にとってそれまでの素晴らしき均衡を一気に崩すものとなった。去年の夏、同社はこのコンピュータの在庫が店にうずたかく積み上げられたのを見て製品の価格を 30 パーセント引き下げた。その際、値下げによる損失と売れない在庫とを合わせておよそ 9 億ドルを損金処理 している。Surface Pro も、決して 2013 年に記録的な売り上げを達成した訳ではなかった。Microsoft は Surface の売り上げ数を公表していないが、RT バージョンがリリースされた 2012 年 10 月から 2013 年の前半までに小売店に出荷された Surface タブレットは 全部合わせても 210 万台程度に過ぎない と言われている。一方 Apple はその同じ期間に 5,700 万台の iPad を出荷している。

これではサードパーティのアプリ開発者たちも Surface プラットフォームに努力を投じることに及び腰になっても不思議ではない。

Facebook、Twitter、Flipboard、Evernote、Netflix、500px、それに Hulu といったところは、それぞれのアプリにタッチ対応のスタート画面バージョンを出しているけれども、Instagram、Feedly、Pocket、Amazon Instant Video、Rdio や Spotify、Xfinity TV Remote や TV Go といったところは全く出していない。Google アプリも、このソフトウェアの巨人のウェブページへのリンクを提供する検索アプリのみだ。それらのアプリの多くに対して非公式の代替アプリはあるけれども(例えば Nextgen Reader はとても素晴らしい Feedly 対応のニュースリーダーだし、サードパーティの Instagram および YouTube アプリも多数あるが)公式バージョンのタップ対応アプリがあってこそそのコンピューティングプラットフォームに信憑性が備わるというものだろう。

一人のライターとして、私は執筆関係のアプリがほとんどないことがとりわけ困る。Microsoft の Windows Store の中にはごく基本的な Markdown エディタがほんの少数と、その他にライター向けの並み以下のアプリがいくつかあるが、この分野で素晴らしいと思えるものに私はまだ出会ったことがない。私にとってスタート画面バージョンの Office があったとしても大して嬉しくないが、文章で生計を立てている私たちにとって Office もないしサードパーティの代替製品もないというのは大問題だ。

これを iOS の生態系と比べると対照的で興味深い。Microsoft は iPad 用にもフルバージョンの Office をリリースしていないが、誰もそんなことは気にしない。ライターたちの前には、膨大な、豊かなアプリの選択肢があってほとんどどんな必要も満たしてくれる。Apple の Pages もあるし、独立系の代替製品もたくさんある。

また、Live Tile 環境の選択肢も少ない。私はニュースのタイプの Live Tile をたくさん並べて常時更新し続けるニュースの壁を作ろうとしてみたが、画面を埋め尽くすだけのものを見つけるのに苦労した。有名どころのニュース組織で一流の Live Tile を提供しているのは USA Today、Wall Street Journal、New York Times、Associated Press、それに CNET など少数しかない。

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場合によっては、スタート画面アプリが破滅的なまでにバグだらけのこともある。私が Surface 2 上で Evernote Touch を使うのを止めたのは、クラウドとの情報の同期に信頼性がなく、アプリがクラッシュして私の一日分の仕事のデータが飛んでしまったからだ。

Live Tile はとても楽しいので、こうしたことすべてが残念でならない。私は何時間も費やして自分のスタート画面を整理し、テーマによってタイルをいくつかの群れに分けた。iOS のフォルダと似ているが、重要な情報が一目ですべて分かるのでフォルダよりもずっと便利だ。

大体において、私の Surface の救いの手となったのはウェブブラウザだった。Google Chrome は Surface Pro の上でうまく働くけれども、Surface にインストールすることはできない。ただ、Microsoft の Internet Explorer のスタート画面バージョンがいちおう使えるので大きな問題ではない。それを使って、Gmail や Google Calendar にも手が届く。また、Google 検索アプリから Google の世界にも手が届く。さきほど述べたように、このアプリから Google のウェブアプリにアクセスできるからだ。

Surface を評価する -- Microsoft Windows がパーソナルコンピューティングを支配していた時代には、大衆に迎合するよりも生産性と柔軟性を優先させたい人たちのために魅力ある Mac が代替製品となった。その当時、Microsoft を買って解雇される人など一人もいなかったし、Apple は幸運にも一桁台の市場シェアを切り開くことができた。

けれども今日、両者の役割は大体において入れ替わった。iPhone と iPad の売り上げを Mac の売り上げに加えれば、Apple は Windows ベースの PC すべての合計よりも多くのデバイスを販売している。(明らかにこれは異なる条件の下で (apples-to-oranges) の比較だが、それでも Apple がどんなに多くのことを成し遂げたかが見て取れる。)今では Apple がパーソナルコンピューティングの本位基準と見なされ、Cupertino の巨人に戦いを挑もうとする者たちは新たなテクノロジーを夢見つつ夜昼なく働いている。

それらすべてが、私たちにとって良いことだ。私たちはパーソナルコンピューティングの黄金時代の中に生きている。素晴らしいことに、私たちは Mac を、iPhone を、そして iPad を持っているけれども、Surface もまた、Apple が提供する以外のものを探している人たちには非常に魅力的な代替製品となる。

Google は、一つでなく二つもコンピューティングの生態系を生み出した。低価格でウェブ中心の一連の新しいコンピュータのための Chrome OS と、タブレットやスマートフォンのための Android だ。いずれも、粗削りなところはあるものの、勢いと将来性を秘めている。

Microsoft は、今や 40 年近くの歴史の中のどの時点よりも追い詰められた結果、そのデスクトップオペレーティングシステムとモバイル Windows Phone オペレーティングシステムとを大急ぎで考え直した。両者のいずれも大成功を収めた訳ではないものの、いずれも完璧に使い道がある。

Surface において、Microsoft は新しい、革新的な、胸を躍らせる種類のコンピュータを作り出しつつ、同時に過去を捨て去ることもしなかった。Apple は後戻りできない状況を何度も作ってきた。けれども Microsoft は絶えず落後者の手を引いて共に進む。いずれのやり方も、正しいとも誤りとも言えない。Apple は新しくて斬新なものを常に望む人たちの方を向き、Microsoft は新しいアイデアを試みつつも「壊れていないものをかき回すな」という人たちのことも尊重しようとする。

Microsoft はこのコンピューティング生態系の根本的様相のいくつかでしくじったけれども、自らの誤りを正そうと試みつつ、噂によれば、さらなる Surface デバイスを用意しているという。そう、次こそまさに三度目の正直かもしれない。Microsoft には、忍耐を重ねて三度目の試みでやっときちんとした製品を出してきた歴史がある。

私は自分が思っていた以上に Surface Pro 2 が好きになったけれども、やはりこれは私の第一希望の選択肢ではない。今でも私は Apple ファンだ。$500 を払うなら、私は iPad Air を買うだろう。$1,000 以上出せるなら、私は MacBook Air を手に入れる。それに、$500 も出せない場合は、Chromebook を検討するだろう。そう、私は Microsoft の対象とする顧客層にいない。

でも、自らあえて Surface を再検討してみて、私は自分が昔却下したものの良さに感嘆するようになり、また Apple 生態系に代わる製品がコンシューマ向けのコンピューティングを私がこれまでほとんど考えてもみなかったようなやり方で前進させていることに気付くようになった。

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FunBITS: iPhone、iPad、および Mac 用 Paprika Recipe Manager

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

妻も私も料理が大好きだが、キッチンの管理については二人とも駄目だ。レシピの管理、食材の買い物、食事の計画、そういったことがらは私たちの得意とするところではない。そんな私たちなので、夕食時になってからどんな料理をするか全く考えていなかったし食料庫にも大して何もないことに気付いて結局外食する羽目になることもよくある。ああ、今夜もまた。

そこで登場するのが Paprika だ。iPhone 用 ($4.99)、iPad 用 ($4.99)、および Mac 用 ($19.99) がそれぞれ別々にある。レシピを巧みに保存し、買い物リストを管理し、食事の計画の助けにもなる。実際に夕食を調理してくれる訳ではないけれども、Paprika はわが家の重要な一員となった。

Paprika で真っ先に気付くのは、デザインが素晴らしいところだ。iOS 7 のスタイルが見事に息づいている。美しいデザインの文字がたっぷりした白い余白に囲まれ、クリーンかつ読みやすいインターフェイスを生み出している。サイドバーには、四つのセクションをあらわすボタンが並ぶ。レシピを表示する Recipes、オンラインでレシピを見つける Browser、買い物リストを作るための Groceries、それにメニューの予定を考えるための Meals だ。

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オンラインにあるレシピを基にしてたくさん料理する人にも、Paprika が素早く手軽に使える。ウェブブラウザをタップし、検索バーに用語を入力する。Paprika の開発者 Hindsight Labs は About.comAllRecipesBon AppetitCook's IllustratedFood Network など数多くの料理サイトをうまく使えるように Paprika をデザインした。レシピを探すために、Paprika は対応しているサイトのみに限定するようカスタマイズされた Google 検索を走らせる。レシピをタップすればその内容が表示され、そこで Save Recipe をタップすればそれが保存済みレシピに加えられる。Paprika はレシピの食材、調理手順、メタデータなどをきちんと配列する作業をしてくれるけれども、細かい部分をあなたが編集できる機会も提供してくれる。出来上がりに満足したら、Create Recipe をタップする。

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Paprika が対応しているレシピサイトのどれかをブラウズしている最中に気に入ったレシピを見つけたら、まずその URL をコピーしてから Paprika に切り替えれば、自動的にその URL を探知してそれを保存済みレシピに加えるかどうか尋ねてくる。

でも、あなたの欲しいレシピが互換ウェブサイトのどれにもなかったり、あるいはオンラインのどこにもなかったらどうするのか? 例えば TidBITS 出版者 Adam Engst のように行き当たりばったりにそこらの紙に書き付けたものや紙に印刷されたものなどをバインダーに綴じただけで持っていた場合、さらには多くの人々と同様、普通の料理本の書籍を何十冊と持っていて、いつもそれを見ながら料理している場合にはどうするのか?

その場合は、基本的に二つの選択肢がある。iPhone 版か iPad 版の Paprika を持っていて Bluetooth キーボードがあれば、手でレシピをタイプ入力できる。Mac 版ではもっと簡単にでき、多くのデータ入力をしたい場合は Mac 版でするのがよいだろう。入力にどれだけ時間がかかるかは、どの程度に詳しいデータが必要か、あなたがどれほど速くタイプできるかに依存する。ほんの少数のレシピなら数分で入力できるだろうが、何十個ものレシピを入力したいならば、第二の方法として BigOven のレシピ文字起こしサービス RecipeScan を試してみるとよい。レシピ 3 個は無料でデジタルデータにしてくれる。その結果に満足できたら、年額 $19.99 の BigOven Pro サービスを購読すればあと 25 個のレシピをスキャンしてくれ、それ以上のスキャンは 1 個あたり $0.99、または大量に注文すれば 1 個あたり $0.59 まで料金が下がる。

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Paprika に保存済みのレシピを見るには、サイドバーで Recipes をタップする。ここで、保存されているレシピを一覧したり並べ替えたりできる。レシピ名をタップすれば材料と調理法が表示される。ありがたいことに、Paprika はレシピを見ている間はスクリーンがスリープしないようにしてくれるので、料理をしながらひっきりなしにデバイスの目を覚まさせる手間が要らない。また、Paprika には調理の際に役に立つ便利なツール、例えば複数個のタイマーや計量オプションもあるし、複数のレシピをピン留めして手早くそれらの間で切り替えることもできる。

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そのレシピを初めて調理する場合には、あらかじめ iPad の大きなスクリーンに表示してじっくりと見ておきたいと思うだろう。その後いったん調理に入れば、次に何をするかを思い出すだけなので iPhone 上でちらりと Paprika を見るだけで十分だ。調理カウンターの上に iPad を乗せたままにするよりも、iPhone をポケットに入れておく方がダメージを受ける危険が少ない。ただしどうしても iPad が必要な場合には、わが家ではキッチンの真ん中にある別の準備台の上に置いておくようにしている。いつも iPad を使いたいという人は、その目的に合いつつデリケートな機器を汚れや水しぶきから守れる安価なタブレットスタンドが多くの店で手に入るのでそれを使うのがよいだろう。あるいは、アクリルガラス製の料理本ホルダーが使えるかもしれない。

レシピを Paprika を保存しておけば、ただ料理が楽になるだけではなくて、買い物も楽になる。レシピが一つ開いている状態で、ショッピングカートのアイコンをタップして、そのレシピの食材を買い物リストに追加することができる。その際、既に持っている食材は選択から外せばよい。

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わが家では、この買い物リスト機能だけでも購読料金を払った価値に十分見合う。私たち夫婦はそれぞれ違った時間に買い物に出かけるし、一人が料理に必要とする食材をもう一人が買い忘れるということがよくあるからだ。この問題に対処するため、Paprika には独自の同期サービスが付いていて、一つのアカウントを家族や同居人と共有できるようになっている。買い物リストに項目を追加すれば、同じアカウントを持つ他のすべてのデバイスにそれが即座に現われるので、パートナーが店にいる間に何かをリストに追加するのも簡単だ。また、店の中で iPad や iPhone をいじり回したくないと思えば、どのアプリからでも買い物リストをあらかじめ印刷しておくことができる。ただしその場合は買い物から帰った後で買ったものを Paprika のリストから外しておく必要がある。

Paprika の買い物リストは、私が iOS 上で見たことのある同種のものたちの中で最高のものの一つだ。項目のデータベースを基盤としているので、ほんの数文字を入力するだけで欲しいものが選べるし、また Paprika はスーパーマーケットの陳列順序に応じて賢く項目を並べ替えてくれる。あなたが順序を編集することはできないし、あなたが買い物をする店の陳列順序と多少違うかもしれないが、それでもこのグループ分けはとても役に立つ機能だと私は思う。気に入らなければ、このグループ分け機能をオフに設定することもできる。

買い物リストのインターフェイスは、All、Bought、To Buy の三つのセクションに分かれている。最初のうち、私はこの区分が気に入らなかった。既に買ったものをどうして見る必要があるのか、と私は思った。けれども使っているうちに、過去の Bought リストを見ながら項目のチェックを外したり、必要な項目を To Buy リストに移したりすると便利なことが分かってきた。たいていの人は毎週同じものを買うことが多いので、リストがこのようになっていれば毎週 "milk" とタイプする必要がなくなる。単に、前のリストに戻って、不要な項目だけチェックを外せばよい。

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主要な食材については、Paprika は食料庫に常駐すべき項目のリストを保持できる。買い物リストの一番下に見える Pantry をタップすれば、項目をあなたの食料庫に追加できる。ただしここでの欠点は、開発者があらかじめ定義した項目のみしか食料庫で追跡できないことだ。また、数量は追跡できず、しかもすべて手動で管理しなければならない。おそらくここが Paprika の最大の弱点だろう。けれどもこの機能の利点は、レシピやメニューを買い物リストへ追加する際に食料庫にある項目のチェックを Paprika が自動的に外してくれるお陰で、余計な買い物をせずに済むことだ。

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買い物リストを作れる機能も素晴らしいが、Paprika にはもう一つ、さらにもっと自分で予定を立てたい人たちのための機能がある。サイドバーで Meals をタップすれば、カレンダーが開く。週の表示または月の表示ができる。プラスボタンをタップすれば、特定の日付に対するレシピ、メモ、またはメニューが追加でき、それぞれ朝食・昼食・夕食・間食のいずれかのラベルが付けられる。

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メニューとは何か? これは、現実世界と同じく、一つの食事のためにいくつかの料理のレシピを集めたものだ。Meals 表示の中で、一番下にある Menus をタップする。メニューに名前を付けてから、保存済みのレシピをいくつか選んでそこに追加する。だから、例えば eggplant parmesan[訳者注: ナスとトマトソースとチーズで作るイタリアン風のアメリカ家庭料理](スパゲッティソースのレシピも必要)にフェンネルのローストを添えて日曜日のディナーにしたいなら、それぞれのレシピを組み合わせたメニューを作る。それからもう一回タップすればカレンダーの日曜日のところの食事が決まる。

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食事プランまたはメニューを決めたら、それを買い物リストに追加できる。こうして、丸々一週間分(あるいは一ヵ月分)の食事の予定をあらかじめ立てて、自動的に全部の買い物リストを作成することもできる。ダイエットの予定を管理したい場合にどれほど助けになるか、想像してみよう! また、一ヵ月分の食事プランを印刷して冷蔵庫に貼っておくこともできる。Mac 版では、一週間分のみの食事プランを印刷することもできる。

Paprika は、私が使ったことのあるうちでは最高のキッチン用アプリだ。私は強くお薦めしたいと思っている。けれども iPhone 版と iPad 版と Mac 版が別々にあるので、どのバージョンを入手すべきかという問題はある。一つだけを入手するというのならば、私なら iPhone 版を選ぶだろう。iPhone はいつでもポケットの中にあるし、買い物リスト共有機能が素晴らしいからだ。でも、iPad 版の方が読みやすいし、料理をしながら Paprika をキッチンに置いて使う場合 iPad 版ならばハンズフリーで読める。折衷案としては、iPad mini を使うのも良いかもしれない。Mac 版だけは、はみ出し者だ。価格も高いし、買い物に持って行ったりキッチンに置いて使うのも考えにくい。Mac 版を使う主な状況は、レシピカードや料理本から大量のレシピを入力する必要がある場合だろう。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2014 年 3 月 17 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Alfred 2.2 -- Running with Crayons が Alfred 2.2 をリリースしていくつかの新機能を追加した。ワークフローのデバッグオプション、ワークフローの組織化オプションとフィルター分け、ワークフローから別のワークフローへのオブジェクトのコピー、連絡先の検索の際に Address Book API の代わりにメタデータを(単語ベースのマッチや付加記号のマッチの改善のため)使用できるオプションなどが追加された。このキーボード駆動のランチャーではまた AppleScript ワークフローアクションのエディタがスマートクォートを使わないようになり、再インデックス付けを改善し、ワークフローの分類や削除の際に複数選択が可能となった。拡張機能を盛り込んだ Powerpack を購入する人たちには、Alfred が電子メールクライアント Airmail で添付ファイルの付いた電子メールメッセージを作成する機能に対応し、fixed および unique のフィルター分け結果で Alfred による情報仕分けを改善し、1Password 3 および 1Password 4 用の高度な設定を明確化し、Dropbox Apps フォルダに新規の同期を作成する機能を削除(少数のユーザーたちに問題を起こしていたため)している。(無料、Powerpack は 15 ポンド、3.0 MB、リリースノート)

Alfred 2.2 へのコメントリンク:

Default Folder X 4.6.4 -- St. Clair Software が Default Folder X 4.6.4 をリリースし、Apple の Mail と Pages、Microsoft Word と Excel、Adobe InDesign と Photoshop などさまざまの人気あるアプリケーションのファイルダイアログにおいて初期フォルダを設定するやり方を改善した。今回のアップデートではまた Carbon アプリケーションの中でファイルダイアログがいったん Default Folder X が切り替えたフォルダから別のフォルダに切り替わってしまうことのあった問題を修正し、リバウンド機能で何も選択されなくなっていたバグに対処し、OmniOutliner 4 とのコンフリクトでその Export ダイアログがハングしたのを修正した。さらに、Save As ダイアログで Save ボタンが働かないことのあったバグを修正するとともに、Save ダイアログのファイル名フィールドの中にテキストを書き込むマクロユーティリティ (例えば Typinator、Keyboard Maestro、TypeIt4Me) とアプリに関係するコンフリクトを解消している。(新規購入 $34.95、 TidBITS 会員には $10 値引、無料アップデート、11.1 MB、リリースノート)

Default Folder X 4.6.4 へのコメントリンク:

1Password 4.2.1 -- AgileBits が 1Password 4.2 をリリースして、1Password mini、AutoSave、および項目の編集機能に改善を施した。今回アップデートされた 1Password mini ではこの付属のメニューバーアプリの中から直接項目を(例えば生成されたパスワードを)編集できるようになり、セキュアノートを表示できるようになり、ファジー検索(例えば "zon" とタイプして "Amazon" を検索できる)に対応し、複数の Chrome プロファイルへの対応を改善し、ウェブサイトのサブドメイン (Preferences > Browser で設定できる) 用のパスワードを補完しようとする際の URL 照合を大幅に改善している。

AutoSave ウィンドウがデフォルトであなたのメインのヴォールトの新規ログインを保存するよう促すようになり、また新規ログインを保存する際にはあらかじめすべてのヴォールトを検索するようになった。さらに、新規ログインを保存する際に使うヴォールトを指定できるようになった。今回のアップデートではまた項目の編集で Undo/Redo への対応を追加し、1Password が変更の最中にロックアップしたり終了したりした際に編集作業への復帰ができるようになり、サイドバーから直接タグを改名できるようになった。その他の変更点としては、外部のバックアップファイルをリストアする際に役立つ Find Backup ボタンの追加、初めて 1Password を起動した際にバックアップからリストアできる機能、CSV 読み込みの改善、カタロニア語およびデンマーク語のローカライズ版の追加などがある。

バージョン 4.2 をリリースして間もなく、AgileBits は 1Password 4.2.1 をリリースして OS X 10.8.5 Mountain Lion で同期を設定する際のクラッシュを修正し、通知機能を改善してメッセージが途中で切れてしまうのを防ぐとともに同期設定を変更するには 1Password のロックを外す必要があるという警告も出すようにした。この記事の執筆時点でMac App Store 版の 1Password はまだバージョン 4.1.2 のままだが、Apple が承認し次第最新版へのアップデートが登場するはずだ。(新規購入 $49.99、AgileBits から購入した場合 TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、38.6 MB、リリースノート)

1Password 4.2.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2014 年 3 月 17 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Google の検索覇権に挑もうとすると言われている新興企業に目を向け、Apple がなぜ iOS アップデートの度に Bluetooth をオンにするのかを推測し、Flappy Bird の作者がなぜ手を引いたのかを聞き出す。

あえて Google に挑戦しようとする新興企業 -- Fast Company の記事で、John Paul Titlow が DuckDuckGo の内幕を覗き込む。新手のこの検索エンジンはプライバシーに焦点を当てている。去年スパイ活動の話が漏れ出て以来、多くの新規ユーザーたちが DuckDuckGo に殺到している。けれども、急成長しているといっても、現在はまだ一日あたり 4 百万件ほどの検索を引き受けているのみであって、Google の 59 億件に比べれば三桁違う。

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なぜ Apple はあなたの Bluetooth をオンにし続けるか -- どうやら最近の iOS アップデートごとに、たとえあなたがその前にオフにしていたとしても毎回 Bluetooth がオンに切り替えられているようだ。いったいなぜ Apple はそんなことをするのか? Forbes の記事で、Kashmir Hill がその答は iBeacons に関係しているのではないかと説明する。

コメントリンク: 14591

Flappy Bird の盛衰 -- iOS 用のゲーム Flappy Bird は、App Store の片隅で鳴かず飛ばずの状態から一夜にして大評判となった。その後、作者の Dong Nguyen は同じくらい素早くこのゲームを App Store から削除する決心をした。Rolling Stone の記者 David Kushner が、ベトナムの Hanoi まで旅をして Nguyen を探し出し、彼がなぜそうしたのかを聞き出した。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2014 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2014年 3月 22日 土曜日, S. HOSOKAWA