TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1223/12-May-2014

私たちの最新のストリーミング本、IT 専門家の Charles Edge による "Take Control of OS X Server" がスタートすることを発表させていただきたい。この本の内容の紹介と、最初の二つの章へのリンクがある。それ以後の章については今後一つずつ TidBITS 会員のみが読めるようにして行く予定だ。会員の話といえば、Netflix がストリーミングビデオのアカウントの利用料金を月額 $1 ずつ値上げするが、既存の会員は二年間値上げが猶予される。プライバシーのニュースとしては、六ヵ月以上古い電子メールに法執行機関が令状なくアクセスできるように Electronic Communications Privacy Act (電子通信プライバシー法) を修正することをホワイトハウスから新たに出た報告書が勧告した。Geoff Duncan がその状況を解説するとともに、実際には何も変わらないかもしれない理由を述べる。自分のファイルが覗き見されないようにしたい人のために、Nick Mediati が Hider 2 をレビューする。これを使えばファイルやメモを手軽にセキュアにできるというものだ。それ以外のノート取りの目的のためには、Julio Ojeda-Zapata が新たに出た Mac 版の Microsoft OneNote を人気ある Evernote と比較する。最後にもう一つ、Amazon による ComiXology 買収を受けて、手持ちのデジタル漫画コレクションの将来を心配している漫画ファンも多いかもしれないので、Josh Centers が今週の FunBITS 記事で DRM フリーの漫画本について検討する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、LaunchBar 5.6.4 と、PDFpen と PDFpenPro 6.2.1 だ。

記事:

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Netflix、新会員に対して値上げ

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Netflix は、同社の Web サイトを見る限り変更は何も見られないが、既存の Netflix 会員に対してメールでそのストリーミングビデオサービスに対する値段を新会員に対して $1 - 月額 $7.99 から $8.99 へ - 値上げすると通知してきた。しかしながら、同社は、既存の顧客に対しては今後二年間は現行の $7.99 の値段を据え置くとしている。

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この値上げの理由は、主として Netflix がコンテンツのライセンス確保とコンテンツの自社制作のための出費を増やしているためだが、Netflix が最近 Comcast と Verizon の両社と結んだ乗り入れ契約と関係しているのかもしれない。これら二つの ISP は Netflix コンテンツに絞りをかけていると非難されていたが、両社ともその様な事実は無いと否定してきた。

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White House 報告書、電子メールに対する令状義務化を勧告

  文: Geoff Duncan: geoff@quibble.com
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Edward Snowden 等がきっかけとなって起こった大規模監視の暴露を受けて、President Obama は 1 月に彼の Council of Advisors on Science and Technology (科学技術諮問委員会) に対して、いわゆる "ビッグデータ" とプライバシーに関わる政策を 90 日間で見直すよう命じた。同委員会は、市場分析 (インターネットの周辺であなたを霊能力を持ったように追いかけ回す様に見えるあの広告の類い)、国の安全保障、そして生体認証 (顔や音声認識) から、暗号化、データマイニング、健康管理、教育、自動センサー、そして "モノのインターネット" まで検証してきた。

同委員会は 先週報告書を提出した。そしてプライバシーの擁護派は勧告の一つを賞賛している:1986 Electronic Communications Privacy Act (ECPA) の改革で、"オンライン、デジタルコンテンツに対する保護基準は、物理的社会で受け入れられているものと合致するようにする" べきであるとしている。

これが何故重要なのか? とりわけ、ECPA は 6 ヶ月以上読まれなかったか、或いはオンライン上に置かれた電子メールへのアクセスを、召喚状一枚で法執行機関に許している。しかも、召喚状は政府役人一人の署名さえあればよい。これに対して、捜索令状は、それ相当の理由と判事による承認を必要とする。召喚状は令状よりも遙かに取りやすい。

あなたが、Gmail, iCloud, Hotmail, Facebook, あなたの ISP, 或いはいくらでもあるその他の場所に 6 ヶ月以上オンラインのままにしてある電子メールの事を考えてみて欲しい。そして、現実には次のようなことが起こっている:2013 年の後半 6 ヶ月の間に、Google は 13,500 を超えるアカウントのユーザーデータに対する 7,700 以上の令状無しの要求を受けたと言っている。Facebook は同じ期間に、およそ 5,400 の同種の要求を受けたと言っている。どちらの会社も、大部分の案件についてデータを提供している。

明らかに、法執行機関は令状無しに電子メールやその他の通信を召還出来る自らの権力を行使している。

どうしてこうなってしまったのか -- ほぼ 30 年前、ECPA の令状何しに電子メールにアクセス出来る 6 ヶ月のウィンドウは、全く理不尽という訳ではなかった。当時 Ronald Reagan が大統領で、公衆インターネットは無かったし、ISP も無かった。思い起こせば、1986 年に ARPANET (時間と共にこれが発展して、今日のインターネットになる) 上の私の全オンラインストレージはたったの 512 KB (そう、キロバイト!) しかなかった。しかも、私は他の人よりも 遙かに 恵まれていた。180 日経ったメールメッセージを "放棄された" と見なすのは、当時としては気前のよい方であった。詰まるところ、電子メールは大企業や学問の世界の領域であり、殆どのユーザーがメールメッセージをすぐに削除したり、ダウンロードしたり、或いは (うわっ!) 印刷していた。何故ならば、これらを保存しておくスペースなど持ち合わせていなかったからである。

議会が ECPA を制定した時、立法者は、もし政府が古い電子メールを欲しければ、特定の場所や機器に対する捜索令状をまず間違いなく必要とするであろうと想定した - 1986 年当時 "機器" とは "コンピュータ" を意味した。普通のインターネットユーザーが、ギガバイトもの、何年分にも相当する電子メールを当たり前のようにオンライン上に溜めておくことを想像出来た人は殆どいなかった。

テック業界は長年にわたって ECPA 改革を求めてきた - 最近の例を挙げれば Digital Due Processがある。これは Twitter や Apple から Intel や AOL (皮肉にも、ここには地球上で最も古い消費者電子メールの幾つかが保存されている可能性がある) にまで至る皆から支持された同盟である。その主張の基本論点は、ユーザーのデジタルコンテンツは - それが個人の機器上にあるか、或いはインターネットベースのサービス上に保存されているかに拘わらず - 個人の財産と同じ法的保護の対象となるべきであるというものである。つまり、政府は、古さに関わりなくオンラインデータを要求するには、捜索令状を必要とすることを意味する。

いずれにしても、議会は長年の間 ECPA 改革を頓挫させてきた。そして、信じないかもしれないが、現行法の改革に反対している人達もいる。例えば、FBI の様な刑事法執行機関は比較的容易に捜索令状を手に出来るかもしれないが、民法執行機関はそう簡単にはいかない可能性がある。最も分かりやすい例は、Securities and Exchange Commission (SEC - 証券取引委員会) であろうが (何と言ったって、これは そもそも 一つの法執行機関である)、他の例を挙げれば、Federal Communications Commission (FCC - 連邦通信委員会) それに Federal Aviation Administration (FAA - 連邦航空局) すらも含まれるであろう。ECPA 改革は、これら機関が悪者を追いかける能力を制限することにもなりかねない、という趣旨である。

現状は? -- ビッグデータに関する White House 報告の公開には、立法上の重みは何も無い:これは単なる書類であり、議会はこれに対して行動を起こす何らの義務もないし、それを読む事すら義務づけられていない。(この報告書作成の座長を務めた大統領顧問弁護士 - John Podesta - が 昔 ECPA の共同執筆者であった というのは、運命のいたずらであろうか。) しかしながら、ECPA 改革を求める合唱に自ら参加する事で、White House は、少なくとも、消費者 (そして、有権者) が簡単に理解出来るオンラインプライバシー保護に賛成する一般大衆向けの活動をしていると言える。NSA 大規模監視が引き起こした問題が次から次と明らかになっている事を思えば、これは賢明な政治的動きと言えるかもしれない。

残念ながら、議会が近い将来 ECPA 改革を法制化する可能性は殆ど無い。上院と下院は、今や殆ど全ての重要案件で党路線で動きがとれなくなっているのに加えて、議会は中間選挙に向けての待機状態に入ってしまった。

理屈の上では、President Obama は電子メールや他の電子データの開示に対して捜索令状を義務づける大統領命令を出す事は可能である。ある意味で、これは確率の高いやり方である:米国大統領制の歴史の中で、覆された大統領命令は二つしか無い。しかしながら、法律とは違い、大統領命令は大統領によって何時でも取り消されられ、次の政府が ECPA についてどう思うかは知るべくもない。

現時点では、電子メール、テキストメッセージ、そして他の通信物で、6 ヶ月以上経ったものは、法執行機関によってインターネット会社経由で何時でも要求出来る - そして、それは国法として無期限に存続する可能性が高い。

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"Take Control of OS X Server" を TidBITS でストリーミング

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

ネットワークサーバーを運用するのは大変である。適切なハードウェアを選択、ネットワークの細部を正しく設定し、提供出来るサービスを理解し、それらのサービスを設定、ユーザーの接続を手助け、当然発生する問題を解決、等々やる事は山程ある。TidBITS においても、長年に亘り Apple の OS X Server を解説する Take Control 本を出すよう求める数百に上るリクエストを受けてきた。我々は、漸くこれはという著者 Charles Edge を見つけ出せたと発表出来る事を嬉しく思い、そして、彼の "Take Control of OS X Server" を TidBITS で、章毎に今後数ヶ月に亘ってストリームしていく積もりである。

Apple は Mac OS X のサーバーバージョンを長年に亘って提供してきたが、10.6 Snow Leopard から 10.7 Lion への移行の中で、OS X Server は。オペレーティングシステムの独立した $495 バージョンから標準バージョンの Mac OS X に対する $19.99 のアプリアドオンへと変わった。Lion と Mountain Lion バージョンの OS X Server は両方とも繰り返し問題があり、お薦めするのは難しかったが、Mavericks バージョンの OS X Server は信頼性がより高まり、そしてより使いやすくなった。OS X Server はより大規模な組織のニーズにも対応して構成出来るが、Charles はこの本の中ではより小さな形態での利用に焦点を当てている。個人サーバーを設定しようとしている家庭ユーザーや、或いはファイル共有やカレンダーサービスを探している小規模ビジネスと言ったものが対象である。

我々は Charles と仕事が出来る事をとても嬉しく思う。彼は現在 318 における最高技術責任者で、この会社は Apple プラットフォームに焦点を当てた全国的なコンサルタント業務を提供、そしてマネージドサービスプロバイダーでもある。Charles は IT 業界では良く知られており、多くの Mac やセキュリティカンファレンスで話をし、書いた本も 9 冊にのぼるが、その多くは以前のバージョンの OS X Server についてである。彼はまた 3,000 を超えるブログ記事を載せているが - 彼の Krypted ブログを見て欲しい! - 焦点は大規模システムとサーバー管理に当てられている。

これ迄の二冊の Take Control 電子本の様に - Jeff Carlson の "Take Control of Your Digital Photos on a Mac" と Josh Centers の "Take Control of Apple TV" - 我々はこの本も、進行に歩調を合わせて "ストリームする" 事にした。理由は、これ程複雑な話題に関する本を構成、編集、そして検査するのには時間がかかるからであり、章毎に出版していくので TidBITS 会員は情報をより早く手にする事が出来るしまた内容についてのフィードバックも提供出来る。

そこが鍵である。と言うのも、我々はどれ程深く入り込むか難しい判断をしているからである。OS X Server を設定する難しい部分は、Apple のインターフェースをクリックしていく部分ではなく、あなたがしている事は何で、何のためにやっているのかを理解する事である。それはかなりの量の背景情報を必要とする。これは、インターネット上の誰もがアクセス出来るようにするか、或いはあなたのローカルネットワークに限定するかに拘わらない。

正直言うと、あなたが、静的 IP アドレスとは何か良く知らない、或いは DNS と聞いただけで目眩がするのであれば、この本はあなたが知らなければならない全てのものを教えるようにはなっていない - サーバー管理はギーク級の仕事である。一方で、略語にも、時折ならコマンドラインに入り込まなければならないような状況にも怯む事は無いと言うのであれば、我々はあなたが成功するするために知らなければならない事は全部この本の中で説明したい。従って、読み進むにつれて、理解がこんがらかってきたとか、知りたい事が抜け落ちてしまっていると感じた場合は、我々にコメントを通じて手助けを求めて欲しい!

Jeff の、そして Josh の本と同じ様に、各章は、本全体が出版される前に、個別の記事として入手可となる - 我々はこれを "chapticle (章記事)" と呼んでいる。希望としては (約束ではない)、毎週新しい章をリリースしたいと思っているが、以下の章はもう誰もが読み始めて頂ける、"Take Control of OS X Server, Chapter 1: Introducing OS X Server" 及び "Take Control of OS X Server, Chapter 2: Choosing Server Hardware"。

今後の章記事では、以下のような話題を取り上げるつもりである:極めて重要な、インスタレーション手順、ディレクトリサービス、DNS と DHCP、ファイルサービス、カレンダーと連絡先サービス、モバイル機器管理、メールサービス、Web と wiki サービス、全ネットワークを対象としたソフトウェアアップデートの提供、そしてバックアップサーバーの運用。

勿論、この電子本も完成時には、他の Take Control 本と同様、一般向けに PDF, EPUB, そして Mobipocket フォーマットで売り出されるが、TidBITS 内でリリース前の章を読み、そして質問をするには、TidBITS 会員プログラムに加入していて、TidBITS Web サイトにログインしている必要がある。これは、TidBITS を支援し、そして OS X Server について学ぶには絶好の方法である。TidBITS 会員の他の特典には、全 Take Control 本に対する 30% の割引、主要な Mac アプリに対する割引、全テキストの RSS フィード、そしてバナー広告無しの TidBITS Web サイトがある。

TidBITS 会員はまた、我々が載せる個々の記事を、これらの章記事も含んで、出版と同時にメール経由で受け取る選択も出来る。会員専用のバージョンの Your Subscriptions ページで、Receive All Articles チェックボックスを選択するだけである。

では、最初の幾つかの章記事に目を通して、OS X Server に関するあなたの疑問を共有しよう!

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Hider 2、一般大衆向けにファイルのプライバシーを約束

  文: Nick Mediati: nmediati@gmail.com, @dtnick
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

OS X 上のファイルを暗号化して覗き見されないよう安全に保つことについては、二つの内蔵オプションがある。FileVault 2 を使うのは確かに一つの方法だが、これはむしろ盗まれた場合にあなたのデータを保護するためのものと言える。なぜなら、FileVault 2 はあなたがログインした途端にデータのロックを外してしまうからだ。では、あなたの Mac とアカウントを配偶者やルームメイト、あるいは子供に使わせる際に、いくつかのファイルを彼らの目に触れないようにしておきたい場合はどうだろうか?

その問題に対する昔からの解決法は、暗号化されたディスクイメージを作成してファイルをその中に保存し、パスワードを知っている人だけがそのディスクイメージをマウントしてファイルを読めるようにするというやり方だが、これは面倒なものになりがちだ。手順自体は特に難しくないものの、テクノロジーに疎い私の母に習熟してもらえるような類いのことではない。結局のところ、ディスクイメージというコンセプト自体が必ずしも分かりやすいものではない。(「ねえおまえ、はっきり言って欲しいんだけれど、見た目も挙動もディスクに似ていても、ディスクじゃないって、どういうこと?」)その上、いずれはあなたのディスクのまわりにたくさんの暗号化ディスクイメージがやたら散らかることになるだろう。

MacPaw の Hider 2 ($19.99) は、違ったやり方でこの問題に取り組む。暗号化ディスクイメージに依存する代わりに、暗号化されたあなたのファイルをすべて一つの暗号化された「ヴォールト」に保存し、あなたがそのヴォールトの中身を好きなように整理したりグループ分けしたりできるようにする。ヴォールトとは隠されたフォルダであって、その中に暗号化されたファイルを含む。基本的に、Hider を使ってファイルを「隠す」という動作は、そのファイルをヴォールトに中へコピーしてから、元の場所にあったファイルをセキュアに消去することを意味している。

Hider は、あなたの重要なファイルと情報のための耐火金庫だと考えるのが最も良いだろう。金庫をテーマにしたログイン画面も備えている。Hider パスワードを入力すると、画面上のダイヤル錠が回転して、まるで現実の金庫のロックを解除しているかのような気持ちにさせる。このような大袈裟な異素材模倣は邪魔になるかもしれないが、あくまでもちょっとしたお洒落であってそれほど Hider の使い勝手を損なうようなものではない。別に機能性などないが、それでもこのアプリの目的を明確に伝える役割を果たしているし、Hider を親しみやすいものとしていると思う。つまりこれは「ねえ、大切なものは私を信用してお任せなさい」というメッセージをあなたに伝えているのであり、私は結構楽しい気持ちになる。

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あなたのパスワードは強力で、しかも覚えやすいものであるべきだ。そのパスワードを Mac OS X のキーチェーンの中にバックアップすることも可能だが、その場合、あなたのキーチェーンパスワード(多くの場合それはログインパスワードと同じものだろう)を知っている人なら誰でもあなたの Hider ヴォールトにフルにアクセスできてしまう。

Hider のメインウィンドウは、お馴染みの2カラム表示になっていて、左側にソースリストがあり、右側にメインのコンテンツ枠があってそこにファイルがリストされる。

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ソースリストで + ボタンをクリックすれば、ファイルを含めるためのグループを作成できる。これらのグループは iTunes のプレイリストよりも Finder のフォルダに似ている。一つのファイルがたった一つのグループにしか属することができないからだ。

MacPaw によればこれは意図したデザイン決定であって、同社はこの方がファイル管理のための便利なやり方だと見ている。けれども私としては、もっと柔軟性のあるプレイリスト風の整理メカニズムのオプションをこのアプリの将来のバージョンで提供するようにして欲しいと思う。

暗号化された Hider ヴォールトにファイルを追加するのはそれを Hider ウィンドウの中へドラッグするだけの単純な作業だ。ただし Hider は書類が現在開いているかどうかを気にし過ぎる。以前にそのファイルを開いたことがあって、それを開いたアプリがまだ動作中の場合、そのファイルを隠そうとする度に毎回、そのファイルが現在開いていないか確認するようにというメッセージが出る。この種の警告を無効にするよう設定することはできるが、本来 Hider は書類が開いているかどうかについてもっと賢くあるべきだ。また、ヴォールト枠の左下隅にある + ボタンをクリックすれば、ダイアログからファイルを選択できる。

ファイルまたはフォルダを隠す際に、Hider はまずそれをあなたのヴォールトへコピーしてから、AES-256 暗号標準を用いて暗号化し、それからドライブ上の元のファイルをセキュアに消去して誰もそれを復旧できないようにする。あなたがそのファイルまたはフォルダをもう一度見えるようにする際は、Hider はまずその暗号を復号化してから、元の場所へコピーして戻す。

MacPaw によれば、Hider はいつもすべてのファイルの一つのインスタンスを、それが暗号化されたものであれ復号化されたものであれ、常に保持し続けているので、運送中にデータが失われる心配は全く無いという。卵を全部一つのバスケットに入れるのは気が引けるという人のために言い添えれば、その心配は要らない。Hider のヴォールトをバックアップしておけばよいからだ。ただし、忘れずにユーザーアカウントの Library フォルダをバックアップしておこう。このヴォールト自体は、~/Library/Containers/com.macpaw.Hider2 の奥深くにある隠されたフォルダの中にある。

外付けドライブ上のファイルやフォルダを隠そうとすると、Hider はヴォールトをそのドライブ上に作成しなければならないという警告を出して、アクセス権を認めるよう求めてくる。追加のヴォールトは Hider のサイドバーに現われるが、見えるのはそのドライブがマウントされている間のみだ。私としては、それらのファイルが常時 Hider のインターフェイスの中に見えていて、必要に応じて Hider が外付けドライブのマウントを試み、必要ならば接続するようあなたに求めてくればよいのにと思う。外付けドライブ上のヴォールトは、メインドライブ上のものとは違い、隠されていない。ドライブのトップレベルにある、ただの普通のパッケージだ。

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Hider は隠されたファイルのリストを表示はするけれども、あなたが Hider の中からファイルを開くことはできない。その代わりに、あなたはまずそれを隠れた状態から元に戻し、その後で Finder から開かなければならない。あなたが Hider のヴォールトに追加したフォルダについても同じことだ。私としては、Hider がこのあたりのことをもっとスムーズに処理できるようになってくれればと思う。ダブルクリックするだけでこのアプリが自動的にファイルを隠れた状態から元に戻してから開いてくれるという風にはできないだろうか?(現在は Hider の中でファイルをダブルクリックしても何も起こらない。)この小さな変更を施すだけで、Hider をずっとスムーズに、よりシームレスに使うことができるようになるだろうと思う。とりあえず、Hider には隠れた状態から元に戻したファイルを Finder で表示させるオプションがあり、Hider の中で見えているファイル名の隣にある拡大鏡をクリックすればそのファイルが Finder で表示される。

ファイルを隠れた状態から元に戻してから開く手順は少々ぎくしゃくしているが、いったん見えるようになったファイルを編集したくなった場合はどうだろうか? 実は、そこにもっと大きな問題がある。Hider は基本的に同じファイルの二つのコピー、つまりヴォールト内部にある暗号化されたコピーと、復号化された後の Finder の中にあるコピーとを操る、離れ業をしているからだ。暗号化されていないコピーにあなたが変更を加えて保存すると、Hider はそれに気付いて、紛らわしいダイアログを表示する。要するに、そのダイアログはあなたが再度、手でそのファイルを隠す(つまりヴォールトに追加する)必要があると言っているのだ。私としては、少なくとも Hider がそのファイルを自動的に再び隠すというオプションをユーザーに提供して欲しいと思う。

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ファイルだけでなく、セキュアなメモを Hider のヴォールト内部に保存しておくこともできる。メモはどんなものでもかまわない。スイスの銀行の口座番号でも、あなたの諜報活動の情報源の電話番号でも、罪の証拠となる電子メールでも、さらには White House がマスコミへの漏洩を望まない自撮り写真であってもよい。(でも、ウィンドウにフィットするよう画像を拡大縮小はしない。)好きなだけの数のメモを保存できるし、ファイルと全く同様にそれらをグループに分けて整理することもできる。

Hider のセキュアメモは言われている通りに動作はするけれども、使えるのは Hider の中のみだ。メモを書き出したり、Finder のファイルに変換したりもできない。できるのは、メモをコピーして別の書類にペーストすることだけだ。

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Hider には、その機能に手早くアクセスするための手段が二つある。まず第一に、グローバルなキーボードショートカットが二つあって、Hider をロックしたり、見えている項目をすべて隠したりできる。Command-Control-H を押せば見えている項目がすべて隠され、Command-Control-L を押せば Hider がロックされる。第二に、メニューバー項目から、Hider を開かずに既存のヴォールトファイルに手早くアクセスできる。ただし Hider がロックされている場合にはパスワードを入力しなければ動作しない。(あらかじめ指定した時間が経てば Hider が自動的にロックされるようにすることもできる。)

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このメニューバー項目はデフォルトでオフになっているが、これは Hider の Preferences ウィンドウで簡単にオンに切り替えることができる。けれども、このメニューバーアイコンから Hider ヴォールトの中に既に保存済みのファイルを隠したり戻したりはできるけれども、ヴォールトの中へ何かを追加したりすることはできない。そのためにはやはり Hider のメインウィンドウを開くしかない。また、メニューバー上のこのアシスタントを使ってセキュアメモを読んだりすることもできない。でもそれはもっともなことだ。ここにあまり多くの機能性を持たせれば手に負えないほど扱いにくくなってしまうだろう。

私が Hider を使ってみた間には特に大きな問題に遭遇することはなかったけれども、App Store にはデータ喪失が起こったというレビュー投稿者からの報告がいくつか見られる。

MacPaw によれば、データ喪失の原因は二つの問題点にあるという。一つはカスタムアクセス権の問題で、これは Hider 2.0.2 アップデートで修正された。もう一つは Hider が大量のデータを保存する際に内在する問題で、MacPaw によればこの問題は Hider 2 で「部分的に修正された」けれども同社はデータストレージシステムをさらに改良すべく現在開発作業中だという。なので今のところ数ギガバイトにものぼるデータを Hider に任せるのは避けた方がよいかもしれないが、きちんとバージョン化されたバックアップを保持している限り、何らかのデータ破損が起こったとしてもその前に遡った Hider のヴォールトに復帰できるはずだ。

けれども全体として、Hider 2 は洗練された、信頼できる暗号化ツールであって、暗号化ディスクイメージなどいじくり回したくない人たちが、いくつかのファイルを内密にしておきたいと思うような場合に適している。Hider はとてもシンプルで理解しやすく使いやすいが、私としては MacPaw がファイルを隠れた状態から元に戻す際、ファイルを編集する際、また外付けディスクで作業をする際の粗削りな点に、将来のアップデートで対処してくれれば嬉しい。

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Microsoft の OneNote が Evernote に挑む

  文: Julio Ojeda-Zapata: julio@ojezap.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Microsoft が最近リリースした Macintosh 用 OneNote は、二つの意味で注目すべきだ。第一に、Mac 用 OneNote は Microsoft の OneNote ラインアップにおける最後に残った穴であった。このノート取りアプリには既に Windows、Windows Phone、Android、iPad およびiPhone 用のものが提供されていたからだ。第二に、OneNote は現在どのプラットフォーム上でも無料となっている。以前の Microsoft は、Windows 用デスクトップ版に対して $80 も課していた。

Microsoft は、とてつもなく人気のあるノート取りサービス Evernote が長年誇ってきた「どこでも使える」という長所を、ようやく自らも掲げることができるようになった。主流のコンピューティングプラットフォームすべてにそれぞれのバージョンの OneNote があり、加えてウェブ版も(もちろん Evernote にもウェブ版がある)提供することで、OneNote ユーザーがいつでもどこでも自分の情報にアクセスできるということを Microsoft も説得力をもって語れるようになった。

これは、Windows と Mac の双方を使う個人や企業で、あるいは Android 系と Apple 系双方を使うような状況において、非常にありがたい知らせだ。大企業でも中小企業でも BYOD (bring your own device、個人所有の機器持込可) が普通となったこの時代、そのような状況はますます一般的になりつつある。

私はずっと以前から自宅でも仕事場でも Mac ならびに Windows ユーザーとして Evernote を使ってきた。いつも自分の情報から切り離されないでいたいからだ。Evernote の中に、私は記者としての日常の業務に関係する重要な書類、ウェブクリッピング、インタビューメモなどを保存するとともに、さまざまの個人的なメモなども置いている。なので常時アクセス可能であることが必須だ。

だからこそ、これまで OneNote は一度も選択肢とはならなかった。けれども今は、Mac 用のバージョンが出たので、少なくとも選択肢となる可能性はできた。私はこれをいくつかの Mac にインストールし、Evernote と並べて比べながら数週間にわたって使ってみた。

使い始めてすぐに、これら二つのアプリの間にあまりにも多くの違いがあることに気付かされて大いに驚いた。それとともに、新参者の Mac 版 OneNote が全体的な機能で古い Evernote より大きく劣っていることにも気付いた。もちろん OneNote もなかなか良いアプリで、特に目立った機能欠落を直した最近のアップデート(この点についてはあとでまた述べる)ではとりわけ良くなったけれども、Evernote の方が現時点でそれをはっきり上回っている。

OneNote は、その Windows 版に似てカラフルなタブ付きインターフェイスと非常に大きなコントロールリボンを持ち、コンテンツをアプリ内部で作成することに集中してデザインされているように見える。テキストをフォーマットしたり整理したりするためのツールがふんだんにあるので、to-do リスト、表、ページに埋め込まれた画像、その他を含んだ複雑なノートを作ることができる。これが、長年 OneNote が誇ってきたところだ。

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Evernote も、to-do リスト、表、ページに埋め込まれた画像その他を含んだ複雑かつ魅力的に整理されたノートを作ることができる。けれどもこちらには OneNote にない他の便利な機能、例えばウェブ画像のスナップショット、オーディオスニペットの録音、ファイルの添付、それから(一部のユーザー向けには)PDF 注釈機能などもある。

Mac 用 OneNote は、アプリの外部からいろいろと読み込んで使いたい人にはあまり向いていない。とりわけウェブクリッピングはどう見てもあとから付け足した機能だ。Microsoft のウェブクリッパーは、どのブラウザのブックマークバーからでも手軽にインストールできるけれども、クリック一つで使うのみのごく基本的な働きしかできず、クリッピングを OneNote の中へどのように、どんな形で追加するかを制御できるオプションは何もない。クリッピングはただ巨大なスクリーンショットとして OneNote の中へ取り込まれるだけで、それ以上のことは何もできない。

これに比べて、Evernote のウェブクリッピング機能は非常に優れている。ウェブページの全体または一部分を Evernote Web Clipper で取り込めば、ユーザーの眼前に一連のオプションが呈示される。ページ全体を HTML で保存するか、メインページのテキストのみを(元のフォーマッティング付きでもそうでなくても)保存するか、スクリーンショットを保存するか、あるいはウェブブックマークを作成するかが選べる。

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Evernote ではさらに、ハイライト表示、コメント付け、切り取り、その他のオプションを使ってクリッピングにマーク付けすることさえできる。下のスクリーンショットをご覧頂きたい。この機能は Evernote が買収したアプリ、書類や画像ファイルに注釈付けをする独立動作の Skitch アプリから来たものだ。OneNote の方はウェブクリッピングにそのような機能を組み込んでいない。

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OneNote と Evernote はいずれも情報をノートブックの中に整理するが、これは仕事場のことと個人的なことを別々の場所にはっきりと切り分けることができる素晴らしい機能だ。けれども現時点で比べる限り、両者は重要な点で大きく違っている。

OneNote のノートブックでは、ユーザーはアプリの上のところに並んだ一連の色分けされたタブによって情報をいくつかのセクションに分割することができる。それらのセクション自体もまたいくつかのページに分割され、それぞれのページはアプリ内で作成されたノートや、ウェブクリッピング、その他のものから成る。

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一方 Evernote では、タブで分かれたセクションではなく、タグに依存して分類をする。この点は OS X 10.9 Mavericks と似ている。タグとは基本的に、ノートをグループ分けするためのキーワードだ。一つのノートが数多くのタグを持つこともでき、多くのノートが一つのタグを共有することもできる。これによって柔軟性の高い組織化システムができる。

Evernote では、ノートに一つまたは複数のタグを割り当てて、情報がプロジェクトごとに、あるいはテーマごとにグループ分けできるようにする。私は新たな Pioneer Press の記事を執筆し始めるごとに、その記事の題材に関係する一つまたは複数のタグを割り当てている。その記事に関係するすべてのノートは Evernote の "Pioneer Press" フォルダに入れられ、それに関係する記事タグが付けられる。

私は現在使用中のタグを Evernote のアプリウィンドウの左上のところに置いているし、古くなったタグはこのアプリのきちんと整理されたタグセクションの中で見つけることができる。

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Evernote のタグは、ウェブページのクリッピングをする際にもとても便利だ。ページをクリッピングしつつあるその瞬間、私はノートブックを選択して、そのノートブックの中に居ながらにして一つまたは複数のタグを割り当てることができる。こうすることで、望み通りの場所にクリッピングが置かれるようになる。OneNote にはそこまでの柔軟性はなく、ウェブクリッピングのデフォルトの置き場所が提供されるのみだ。ユーザーはその後で、読み込んだばかりのコンテンツを適切と思える場所に手で整理し直さなければならない。

私は、Evernote のタグの方が OneNote のセクションよりも優れていると思う。OneNote ではすぐにノートブックがごちゃごちゃになって、ナビゲーションが難しくなってしまいがちだ。

OneNote にも別の種類のものだがタグはある。実際にはアイコンや絵文字を使うのだが、これらを使ってリストに装飾を施し、項目のテーマが一目で分かるようにして参照を容易にできる。

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Evernote も時々私を苛立たせることがある。Mac 用アプリが肥大化し過ぎて動作が重たく、クラウドからデータを同期する必要がある際も時々長く待たされることがあるからだ。その点 OneNote は高速な感じがするが、現時点では扱っているデータが私が Evernote に保存している分量のごく一部に相当する程度に過ぎないので、この感覚の違いは見掛けだけのものなのかもしれない。OneNote に何百何千というノートを詰め込めばどうなるのか、私には何とも言えない。(現在私は Evernote に 2,623 個のノートを入れている。)

今月初めに OneNote は数回アップデートされた。(そのうちいくつかは目立った欠落を埋めるためのものだった。)新機能の主なものは、印刷機能、ハイパーリンク、画像をページの中へドラッグ&ドロップ、フォーマット付けされたテキストのコピー&ペースト、ノートの PDF での保存と電子メールでの送信 (標準的な OS X の制御を経由しても、また OneNote 独自の "Email Page as PDF" オプションを使っても)、それから他の Office アプリの Format Painter 機能でノートの中のテキストのフォーマットをコピーして別のテキストにフォーマットを適用できるようになったことなどだ。

これらの機能はすべて大体言われている通りに働くようだが、ページを PDF として保存すると時折その一部が欠落することがあるようだ。

OneNote は数多くのサードパーティのアプリやサービスと互換で、この点はずっと以前から Evernote が誇っていたところだ。OneNote には十数個のそのような相手があり、Feedly や Weave のようなニュースリーダーアプリや、IFTTT や Zapier のようなインターネット自動化サービス(2013 年 12 月 20 日の記事“今は IFTTT がインターネットを自動化、でも次はどうなる?”参照)まで含まれている。

けれども Evernote は)もっとずっと多くのアプリやサービスと協力して動作する。(iPad 用iPhone 用のものだけでも数十個ある。)Microsoft は開発者用 API をリリース済みなので、将来は OneNote にももっと多くの選択肢が登場することだろう。

OneNote も Evernote も、ともにいろいろな書類スキャナに組み込まれていて、記録されたばかりの画像をコンピュータを一切介在させることなくアーカイブ保存できる。ペーパーレスのオフィスのための拠点としてそのようなツールを使いたいと思う人にはとても好都合だ。この方面については Joe Kissell が "Take Control of Your Paperless Office, Second Edition" の中で総合的に解説している。

Mac アプリで OneNote をサポートしているものは全く見当たらない。これに対して、Evernote をサポートしている Mac アプリとしては、Pocket ブックマーキングサービス、Smile の PDFpen、ランチャーの Alfred、電子メールクライアントの Postbox などがある。さらには Mac OS X の Print ダイアログから直接 Evernote へ「プリント」 することさえできる。

Mac ユーザーが新しいデスクトップ用の OneNote を使おうとすれば、必ずや自分のデータを iOS デバイス上にも、またウェブ上にも置きたいと願うようになるだろう。その面では嬉しい知らせがある。Microsoft の iOS 用アプリは魅力的で高機能だ。(ルック&フィールは最近リリースされた Microsoft Word、Excel、PowerPoint の各アプリと似ている。2014 年 4 月 3 日の記事“iPad 用 Office: 詳しく見てみよう”参照。)OneNote のウェブ版は、ほぼ個々の機能すべてにわたって Mac 用や Windows 用のデスクトップアプリと(良い意味で)そっくりだ。

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iPhone 版の OneNote は今月初めになって、iPad 版や Windows Phone 8 版が既に持っていた一つの機能、Office Lens を取り入れた。ホワイトボードに書かれたメモや仕事上の領収書などをこの機能を使って写真に撮影すれば、編集を施して読みやすさを増すことができるので便利だ。その上、写真の中のテキストは光学式文字認識 (OCR) で読み取られるので、あとでキーワード検索に利用することもできる。

Evernote の iOS 用アプリは、長く市場にあるだけあって、さらにもっと洗練されていて機能も豊かだ。私は Evernote のウェブアプリは見栄えが醜いと思う(おそらくこれは好みの問題だろう)が、ノートブックやタグその他に信頼性をもってアクセスできる便利なものではある。

OneNote と Evernote のいずれも、Windows 8 (デスクトップ版も、タッチ中心の Start Screen 版も)、Windows Phone、Android 用にそれぞれ素晴らしいアプリを提供している。

言い替えれば、OneNote と Evernote は今やクロスプラットフォームの分野においては実質上互角の戦いを繰り広げている。

Evernote のみが有料レベル (月額 $5 または年額 $45) を提供していて、購読すればオフラインからのノートブックへのアクセス、古いノートへのバージョニング、ノートその他の共同編集、モバイルデバイス上の Passcode Lock、ストレージ容量の増量、PDF 注釈 (無料版では画像のみに注釈が付けられ、PDF には付けられない)、スキャン、画像、および PDF 内のテキストの OCR 索引付けなどの機能が使えるようになる。

では、あなたはどちらのアプリを選ぶべきか? もしもあなたが既に別のところで、例えば仕事場の Microsoft Office 環境で OneNote を使っているのならば、Mac 版をあなたのツールキットに加えれば快適に使えるだろう。一方もしもあなたが既に Evernote を使っているのならば、OneNote が出現したからといって乗り換える動機となるには弱過ぎるだろう。そして、もしもあなたがこれからノート取りアプリを使い始めようと思っているのならば、私としては Evernote をお薦めせざるを得ない。

OneNote にはノートを取って整理するための基本的機能はあるけれども、それとは比較にならないほど Evernote には充実した機能が揃っている。もちろん、私は記事の準備で電話インタビューをしながら OneNote でノートをタイプすることはできるし、スマートフォンで撮影した写真を後の参照用にノートに添付することもできるけれども、Evernote はそれらのシンプルな作業を楽々と処理できるばかりでなく、さらにもっとずっと多くのこともできる。とりわけウェブクリップやタグ付けが素晴らしい。

そういうわけで、週を通じた仕事の中でひっきりなしにウェブのコンテンツをクリップしている私にとって、そしてそれらのクリップをいつもきちんと整理しておきたい私にとって、Evernote を使うのを止めてそれよりも比較的機能の弱い OneNote に乗り換えるなんて想像することすらできない。

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FunBITS: DRM フリーのデジタル漫画の世界

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私も、他の多くのコミック本ファンと同様、たくさんのお金を業界随一の統合デジタルコミック書店 ComiXology に注ぎ込んできた。けれども Amazon が ComiXology を買収してアプリ内購入機能を削除して以来(2014 年 5 月 3 日の記事“ComiXology のアプリ内購入騒動を解説”参照)私ははたと考え込んでしまった。もしも、ComiXology が閉店したとすると、いったい何が起こるのだろうか? そうなれば、私がこれまでに「購入」したコミックはすべて失われ、ComiXology のデジタル著作権管理 (DRM) の門の内部に鍵を掛けて仕舞い込まれることになるのだろう。根本的に、それこそが DRM を負わされたコンテンツにおける大問題だ。あなたがそのコンテンツを本当の意味で購入することは決してない。それはむしろ、長期間にわたるレンタルと考えるべきだ。もしも、そのファイルを読むために使えるハードウェアまたはソフトウェアがその DRM と非互換になれば、その瞬間にあなたはそのコンテンツを読めなくなる。それに加えて、DRM はコミック本収集の精神と相容れない。コレクターとして、決して自分のものにならないものを集めて何の喜びがあるだろうか?

幸いにも、いくつかの進歩的な出版社が、あなたが所有することのできるデジタルコミックを提供する道を切り開いてくれている。そして、iPad にはそれらの漫画を楽しむのにぴったりのアプリがある。

フォーマットを理解する -- まず第一に、デジタルコミックで使われる二つの主要なフォーマットをおさらいしておこう。PDF と comic book archive だ。

PDF、すなわち Portable Document Format についてはたぶん既にお馴染みだろう。これは元々 Adobe によって作られたフォーマットだが、現在では国際的な標準となっている。ほとんどどこでも読めるという利点はあるが、PDF のコミック本は一般的に comic book archive に比べて少々遅く、ぎこちないところがある。また、歴史的に見て comic book archive を読めるアプリは PDF を扱えず、comic books archive の方が一般的にコミック特有のメタデータオプションをより多く提供している。

この "comic book archive" というのはそれ自身真の意味のフォーマットではない。正確に言えば、これはアーカイブとイメージングのフォーマットを混合したものだ。その「フォーマット」の名前がファイル作成の際に使われた圧縮形式を示していて、その名前がファイルのファイル名拡張子となる。例を挙げれば .cbr は RAR 圧縮されており、.cbz は zip 圧縮されている。稀な例としては .cbt や .cb7 の comic book archive もあって、それぞれ tar と 7z で圧縮されている。たいていの場合、あなたがそれらのことを気にする必要はない。細かいことはリーダーアプリが処理してくれるからだ。

PDF と comic book archive の両方を選べる場合には後者を選ぶことをお勧めする。その方が使用感が良いだろうからだ。ただし、あとでお薦めする iPad 用のリーダーアプリを使えば、両者の差はほとんどない。

EPUB フォーマットのコミックもいくつかあるけれども、そういうものは避けることをお勧めする。これは、コミック本に適したフォーマットではないし、私が使ってみてがっかりしなかったことがないからだ。

DRM フリーのコミックをどこで入手するか -- 悪い知らせは、コミック本の二大出版社、Marvel と DC が現在いずれも DRM フリーのコミックを提供していないので、この両社はキャラクターも筋立ても話にならない。良い知らせは、それら以外に良質の出版社で DRM フリー版も提供しているところがたくさんあることだ。そういう出版社を探索することで、あなたの視野も広がるだろう。私も、わざわざそうやって探索しなければきっと知りもしなかったであろうすばらしい新タイトルをいくつも発見することができた。

DRM フリーのコミック本を提供している小さな出版社は他にも数限りなくある。幸いにも、私のお気に入りのコミックビューワーアプリの開発者が、多くの出版社を指し示してくれている...

DRM フリーのコミックをどうやって読むか -- PDF や comic book archive を読めるアプリはどのプラットフォームにもたくさんあるが、私が気に入っているのは iPad 用の Chunky Reader だ。いくつか理由を挙げてみよう:

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けれども、私が一番気に入っている Chunky Reader の機能は、ページの一部をクリップしてそれを共有できることだ。そんなことができる他のリーダーを私は見たことがないし、コミックを読んでいる最中に何か面白いものを見つけて友人と、あるいは Twitter 上で共有したいと思った場合にとても便利だ。

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$2.99 の Pro Upgrade を購入すれば、ローカルな共有フォルダから、FTP または SFTP サーバから、あるいはアプリ内蔵のウェブサーバからさえもコミックをロードできる機能が手に入る。でも、これだけはぜひ言っておきたいが、Chunky Reader を気に入ったなら、とにかく何はなくともこのアップグレードを購入して開発者の Michael Ferenduros に対するサポートの意思を示したいものだと思う。私は、もちろん購入した。なぜなら、私は Chunky Reader がこれからも長い間生き続けて欲しいと思うからだ。

それから、コミック愛好家のあなたのために、クラウドストレージに関するヒントを一つだけ書いておこう。コミックを Dropbox に入れておきたい誘惑に駆られるかもしれないが、そんなことをするとあっという間に 2 GB の無料ストレージが一杯になってしまうだろう。私の場合は数年前に何かのプロモーションで Box から 50 GB の無料ストレージを得ていたのに一度も使ったことがなかったので、今はそこに私のコミック本を積み上げている。(現時点でも Box は気前良く 10 GB を無料で提供している。)私は Hazel のアクションを設定して、私の Downloads フォルダの中の .cbz ファイルや .cbr ファイルを自動的に私の Box フォルダに移動させている。

最後にもう一つ。「おいおい Josh、私の大のお気に入りの、あの DRM フリーコミック本出版社を忘れてもらっちゃ困るよ!」という皆さんの声が聞こえてきそうだが、もちろん、きっと私は忘れてしまったのだろう。でも、Chunky Readerホームページを見ると、そこにちょっとしたリストがある。そこにも載っていないお気に入りをお持ちなら、どうそコメントでお知らせ願いたい。

弱い者たちを支えよう -- 私も、多くのコミックファンと同様、ComiXology に裏切られたという気持ちでいる。でも結局のところこれはビジネスの問題だし、あの会社の首脳陣は Amazon への売却こそ正しい道だと判断したのだろう。コミックファンの私たちは、自分たちのお金を鍵の掛けられたシステムに投資し、それが一夜のうちに消え去って私たちのコレクションを持って行ってしまうリスクを冒したのは私たち自身の問題なのだと自覚すべきなのだ。

けれどもその上で、私はコミックが大好きだけれども、大きな出版社から出て来るあれにもこれにも、私はますます魅力を感じなくなってきているのに気付く。とりわけ Marvel にその感が強い。長年にわたり、Marvel のコミックは複数の世界にまたがって巨大イベントが起こるような作風に傾きつつあって、話について行くことがますます難しくなってきた。あの Andy Ihnatko でさえ、最近の The Ihnatko Almanac ポッドキャスト のエピソードの中で、そのことや、また他のいくつかの理由から、コミックへの興味を失いつつあると告白している。

Image や Valiant のような出版社からいろいろなタイトルが出ているのを発見するのは、一服の清涼剤のような感じだった。これらのコミックのストーリーはフレッシュなアイデアに満ちて、十分に練られたキャラクターたちや、首尾一貫したプロットラインがあり、私の知性を侮辱したりしない。そればかりでなく、これらの出版社の人たちは読者たる私を信頼して、コミックのデジタルコピーを私が所有することを許してくれている。そういう理由に基づいて、私はこれらの会社に喜んで私のお金を支払いたいと思う。

だからと言って私が Marvel を一切読まなくなった訳ではない。何と言っても Marvel Unlimited サービスは、定額の年払い料金で同社の膨大なバックカタログへの自由なアクセスを提供してくれるからだ。(Marvel からはいくつか良い新刊書も出ている。Matt Fraction の素晴らしい Hawkeye タイトルがその好例だ。)けれども私にはもはや、いつ消滅するかも分からない単独の号を「購入」したいという気が全く起こらない。少なくとも購読サービスならば、所有権条項について両当事者とも正直だと言えるだろう。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2014 年 5 月 12 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

LaunchBar 5.6.4 -- Objective Development が LaunchBar のバージョン 5.6.3 をリリースして、ウェブブラウザ用に使う Open Location 機能を改善し、URL スキームをセキュア (https) と非セキュア (http) で切り替えられるようにし、セキュアな URL を優先するオプションを作り、URL に自動的に接頭辞 "www" を付けるかどうかを指定できるようにした。このキーボードベースのランチャーではまた、スニペットのペースト機能や新規に作成されたスニペットの名称推薦機能を改善し、Clipboard History 機能での問題点を修正し、現在再生中の楽曲が iTunes Match のみで入手可能かどうかを探知する機能を改善した。その後で素早く出された 5.6.4 リリースでは、起動時に起こったクラッシュを修正した。(新規購入 $35、 TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、5.6 MB、リリースノート、10.6.8+)

LaunchBar 5.6.4 へのコメントリンク:

PDFpen と PDFpenPro 6.2.1 -- Smile が PDFpenPDFpenPro のバージョン 6.2.1 をリリースした。Adobe Acrobat X やそれ以降に実装された新形式の AES-256 暗号化に対するサポートをこれらの汎用 PDF 編集アプリに追加した、メンテナンス・アップデートだ。バージョン 6.2.1 ではまた、ズーム機能に Command-+ (プラス) と Command-- (マイナス) が使えるようにし、一部の書類でテキスト選択ができなくなっていたバグを解消し、複数ページの画像書類のパフォーマンスを改善し、メニュー項目 Open Scripts Folder を追加し、リンク注釈が正しく保存されなかった問題点を修正している。(新規購入 $59.95/$99.95、 TidBITS 会員には 20 パーセント割引、52.6/53.3 MB、 リリースノート、10.7+)

PDFpen と PDFpenPro 6.2.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2014 年 5 月 12 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Apple が流行に敏感な音楽会社 Beats Electronics を買収するのではないかという噂が渦巻く。また Google の共同創設者 Larry Page の詳細な人物紹介と、彼が検索の巨大企業のトップに返り咲いた事情が語られる。それからもう一つ、悲しいニュースとして、ソーシャルネットワークプラットフォームの App.net が従業員全員を解雇した。ただし創設者たちは同社が「期限を定めず」生き続けると述べている。

なぜ Apple は 32 億ドルも費やして Beats を買収しようとするのか? -- 報道によれば、Apple は最高級ファッション・ヘッドフォンのメーカーであり音楽ストリーミングサービス Beats Audio を提供する Beats Electronics 社を 32 億ドルで買収しようとしているという。Macworld の Dan Miller が、そのやむを得ない理由をいくつか提起する。例えば Beats の管理付き音楽サービスや、共同創設者 Dr. Dre と Jimmy Iovine の業界における信頼性などが挙げられる。

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Larry Page と彼の大いなる返り咲き -- これを返り咲きと呼ぶべきではないかもしれない。Larry Page は長年ずっとそこに居続けているのだから! Business Insider の記事で、Nicholas Carlson がこの Google 創設者の詳細なプロフィールを記し、その中で彼がこの検索の巨大企業の最高経営責任者の地位を一度去り、再び復帰した経緯に焦点を合わせる。総資産額が 15 億ドルを超えれば一つのことは確かだ: Page は、尊敬する Nikola Tesla のように極貧の中で死ぬことはないだろう。

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App.net、常勤従業員を全員解雇、それでも「自立して存続中」 -- 実験的な購読ベースのソーシャルネットワーク App.net が、閉鎖する予定はないけれどもリニューアルの第一段階が常勤従業員を雇い続けられるほどには十分でなかったので創設者 Dalton Caldwell と Bryan Berg を含む常勤従業員全員を解雇することになったと発表した。彼ら二人の発表によれば、もはや従業員を雇い続けられる余裕はないけれども「App.net は期限を定めず通常通り稼動し続ける」という。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2014 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

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