TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1226/09-Jun-2014

先週の Worldwide Developer Conference で Apple が発表した新しいテクノロジーの話題がまだまだ残っている。そこで Adam Engst と Josh Centers が協力して、Apple が iOS 8 と OS X Yosemite で対処しようとしている 10 件の苛立ちの元について概観する。さらに FunBITS 記事で、Josh が iOS 8 で登場予定のゲーマー向け新テクノロジーを概観するとともに、今年の Apple Design Award 受賞作品を紹介する。WWDC とは別の話題に進めば、Josh が数週間をかけて Amazon から新しく出た Fire TV を使ってみて Apple TV と比べてどうかを評価し、Julio Ojeda-Zapata が Google の新しい iOS 用生産性アプリ Google Docs と Google Sheets をレビューする。それから、TidBITS 会員は Charles Edge のストリーム本 "Take Control of OS X Server" で、頭をグラグラさせられることの多い Open Directory を扱った最新の章が読める。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Keyboard Maestro 6.4.3、Tinderbox 6.0、BBEdit 10.5.11 と TextWrangler 4.5.9、Fission 2.2.1、それに 1Password 4.4.1 だ。

記事:

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iOS 8 と OS X Yosemite で解消される 10 の苛立ち

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst, Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple CEO Tim Cook が今年の WWDC キーノートのためステージに上がった時の彼の第一声は、"我々は、衷心よりお詫び申し上げる" であってもよかった。

OS X Yosemite と iOS 8 で発表された新機能の多くは、長年に亘る苛立ちの元、明白な矛盾点、そして Apple がこれ迄無視してきた、そして他のプラットフォームでは - 具体的には Android で - 解決済みの問題に対処しようとしている。と言う事で、Apple のオペレーティングシステムでのあなたの毎日の経験を改善してくれるであろう修正のトップ 10 を挙げてみよう (Messages での変更全部を数えるとそれ以上にはなるが)。

家族共有 -- これ迄 Apple は、家族をキーノートでの可愛らしい写真の中にのみ存在するものと考えてきたらしい。あなたの iTunes コンテンツとアプリ、そしてあなたの配偶者が別の iTunes アカウントで購入したものとの間には、仮想的なカーテンが存在した。幸いにして、複数の iTunes アカウントにログインする事は可能であり、これはコンテンツやアプリを共有するための標準的な回避策になっていた。但し、これをするためにはパスワードの共有が必要であり、年長の子供とやるのには無理がある。

Family Sharing が iOS 8 及び Yosemite で発表になって、これらの厄介で不必要な障壁は低くなり、同じ家族の最大で 6 人までが、誰が買ったコンテンツやアプリにでもアクセス出来るようになる。条件は各個人の iTunes アカウントが同じクレジットカードにリンクされている事である。(このクレジットカード要件は、財布を別にしているカップルにとっては問題となるであろうが、Apple もどこかで線を引かざるを得ない。)

一人が "家族世話役" となり、最大 5 人までの他の家族を招待し、その人達はどの Mac や iOS 機器からでもその招待を受ける事が出来、その後は、世話役も招待者もお互いのコンテンツにアクセス出来る。

Family Sharing は家計のやりくりをし易くする、と言うのも家族世話役はこれらのリンクされたアカウントに対する課金全てに責任があるからである。ギフトカード残金を使うのはここには含まれない。では子供が何かを買いたい場合はどうなるのか? もし Ask to Buy が有効化されていれば、子供が何かを買おうとすると、通知が世話役の機器に送られ、世話役はその要請を許可することも或いは拒否することも出来る。アプリ内購入で $500 の請求書が来てビックリさせられることはもう無くなる!

Family Sharing が設定されると、共有カレンダーと一組のリマインダーが作成され、これらは自動的に全てのリンクされた機器上に現れる。これはまた、家族が他の人達がどこにいるかを自動的に Find My Friends や Find My iPhone 上で見えるようにしてくれる。勿論、居所共有は Family Sharing 設定で不能に出来る。この設定は Settings > iCloud にある。Family Sharing はまた自動的に Photos アプリの中で Family 共有写真ストリームを設定するので、家族は誰でも共有写真を追加出来る。

子供の一人が大学に行き Family Sharing を離れると、その子供は、他の家族のコンテンツ、アプリ、写真、カレンダー、居場所、そしてリマインダーへのアクセスを直ちに失う。

Messages の大幅な改善 -- Messages は iOS で最も使われるアプリかもしれないが、最も苛立つものでもある。そして Apple は重要な多くの改善をした。

今や、会話から離れたり、人々を追加したり、そして取り除いたりを何時でもする事が出来る。また、一つの会話に対して Do Not Disturb をオンにする事も出来るので、通知が現れてイライラさせられることも無く、人々が何を言っているのかに耳を傾ける事が出来る。

写真管理とストレージ -- ますます、我々の iPhone や iPad は主たるカメラになりつつあり、そしてこれらの写真の管理は維持困難になっている。機器の空き容量が不足する事態になった場合、写真やビデオのせいだという事になりかねないのだが、ある程度のアクセスを保持しつつこれらをよそにアーカイブする簡単な方法は存在しない。iCloud Photo Stream は写真用にはある程度機能するが (ビデオはダメ)、それでも写真を iPhone から削除するのは手動でやらねばならない。

Mac 上でも事情は余り変わらない。一例を挙げれば、Photo Stream はビデオを Mac に移動する事はしないので、これらは USB や、Dropbox の様なサードパーティの解を経由して同期するしかない。また、あなたの写真ライブラリは未だ分断されたままである;Mac 上でした編集は、写真を手動で同期しない限り、iPhone に反映される事は無いし、iOS 機器上の写真を事後に編集、タグ付け、そして整理して、その変更を Mac に反映させる事は出来ない。これではどうにもならない。

もっと良いやり方が提供されようとしている。iOS 8 では、写真を iCloud Photo Library に保存するオプションが与えられるので、かわいそうな 16 GB iPhone を無数のスナップショットの重さから解放してやる事が出来る。これらの写真はあなたの全ての iOS 機器からアクセス出来、そして 2015 年の早い時期に Photos for Mac をリリースすると Apple は約束している。これはまさに iOS Photos アプリの様で、あなたの全ての iCloud 写真にアクセス出来る。恐らく、Photos は iPhoto 全体を置き換えることになるのであろう。

悪い知らせは、iCloud ストレージの無料容量は 5 GB のままであり、これには iCloud バックアップに加えて、写真やビデオも計算されてしまう様に見える。要は、ストレージの問題を自分の機器からクラウドに移しただけなのである。(しかしながら、Macworld の Serenity Caldwell によると、手元のストレージと Photo Stream、或いはオンラインの iCloud Photo Library のどちらかを選択するオプションが与えられると言う。)

良い知らせは、Apple は iCloud ストレージ区分の上限をより大きく、そしてより割安にすることである。現在、iCloud ストレージの上限は 50 GB である - 128 GB iPad のバックアップにも足りない。間もなく、iCloud は上限を 1 TB に増やすが、この区分に対する料金はまだ発表されていない。Apple が明らかにしたのは、20 GB を月額 $0.99 に、200 GB を月額 $3.99 にすることである。これは Google Drive とほぼ同等で、こちらは 100 GB で月額 $1.99 であり、Dropbox よりも安い。Dropbox は個人向けには一つの区分しかなく 100 GB を月額 $9.99 で提供している。

iCloud へのウィンドウ -- 当初から iCloud 書類やデータには、控えめに言っても、問題があった。個々のアプリの中身はそのアプリ内に閉じ込められ、他のプラットフォーム上でそれにアクセスするのは、その特定のアプリでしか可能で無かった。また自分の iCloud アカウントの中に何があるのかを覗き見する事すら出来なかった。開発者達も、iCloud ストレージには同様に不透明で問題があることを思い知らされた。彼らの多くは代わりに、独自の代替方法を開発したり、或いは Dropbox を使ったりした。

Apple はこの問題に二つの方法で対処しようとしている。最初は iCloud Drive で、これは iCloud 書類に Finder からアクセス出来る様にするもので、我々の誰もが予測すらしなかったものである。しかし、その影響は重大である。もうすぐ、iCloud 書類に直接アクセス出来る様になり、しかも自分のドライブ上の他のファイルの様に、それらを操作することすら可能になる。これの意味するところは、かって Josh が Byword で経験した様な、書類が跡形も無く消えてしまう事態はもう起こらないことであると、我々は願っている。

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iCloud は、新しい顔をユーザーに対してだけでなく (Apple の Eddy Cue が最近 Walt Mossberg に "我々は iCloud に顔を与えようとしている訳ではない" と語ったけれども)、開発者に対しても持とうとしている。これは新しい CloudKit API のお陰である。これ迄、開発者達は iCloud を使おうとするのは悪夢であると言ってきた。何故ならば、iCloud インターフェースの多くを最初からコードにしていかなければならなかったからである。開発者は今や iCloud に対する API を持ち、そしてまたかなりの量の無料ストレージと帯域幅も与えられる。

iCloud に対するこれらの変更は、個人データをアプリと機器間で同期するために iCloud を魅力的なものにはするであろうが、どうも人々の間、或いはプラットフォーム間でのデータ同期は全く提供していない様にも見えるので、開発者の中には二の足を踏む人も出てくるかもしれない。

拡張性が iOS でのブラウザ機能拡張を約束 -- iOS において最も非難されてきた "機能" の一つは、セキュリティの理由でアプリがお互いにサンドボックス化 [ウィキペディア:外部から受け取ったプログラムを保護された領域で動作させることによってシステムが不正に操作されるのを防ぐセキュリティモデル] されるやり方であった。確かに安全だが、複数のアプリが共同して働き、個別よりも優れた全体を作り出すことが出来なかった。iOS 8 で Apple は、壁で囲まれた庭の壁を解体するわけではないが、より多くの扉を付け加える。そして、これが最初に採用される一例は、iOS の Safari に対する機能拡張としてで、Mac で採用されているものと同じ形態である。

壇上で例として、Apple は Bing Translate 機能拡張と Pinterest 機能拡張の両方を紹介した。前者は、日本語の Web ページを英語に翻訳し、後者では、共有インターフェースの画像部分をピンで貼り付けた。(また、この共有インターフェースで見えたものにドキュメントプロバイダーサービス Box と Microsoft OneDrive がある - Dropbox は見えなかったが、iOS 全般に亘る Dropbox 統合の可能性は大いにあり得る。)

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その効果は絶大である。正当な機能拡張をエミュレートしようとするその場しのぎの JavaScript ブックマークレットは何十も存在するが、これらはインストールするのも使うのも難しい。不愉快な宣伝をブロックする、アイテムを自分の Amazon Wish List に加える、或いは Web ページを Evernote に送ることが出来るようになることを考えてみて欲しい。無骨なブックマークレットや、コピペで苦労する必要はもうない。

また、アプリも基本的な機能を自らの Web ブラウザに作り込む必要も無くなる。良い例が 1Password で、これは Safari の中で、まさに Mac 上でと同じ様に、きちんと働く様になるであろう。

1Password ユーザーに嬉しいもう一つの機能がある...

Touch ID がサードパーティアプリに -- iOS 8 では、Apple 以外の開発者にも本人認証のために Touch ID へのアクセスがようやく与えられる。意味するところは、お気に入りのアプリに対して指を当てるだけでログインすることが可能になるはずである... iPhone 5S を持っていればの話だが。今後は iPhone 及び iPad ライン全てで Touch ID が採用されると思われ、我々も、窮屈な iOS キーボードで何文字ものパスワードを打ち込む必要がなくなる日を楽しみにしている。

Autocorrect で身をかわす -- Autocorrect は、タッチスクリーンタイピングを可能にする手助けをしているが、同時に際限の無い冗談の的でもあった。Apple は明らかに皆さんのあざけりにはうんざりしている様である。何故ならば、同社は二つの機能を - 予測テキストとサードパーティキーボード - Android からそのまま採用したからである。これは皆さんの苦情を止めたいからに他ならない。

iOS 8 のデフォルトキーボードは Android のものにかなり似たものになって、タイプするのに応じて推奨単語や表現が上部の横棒に現れる。最適の言葉をタップして挿入する。これは、多くの人にとってより早くそしてより正確にタイプする手助けとなるであろう。

もっと驚きだったのは、Swype, Fleksy, そして SwiftKey と言ったサードパーティキーボードをついに iOS 8 のシステムレベルで許可すると言う発表であった。間もなく、キーボード上に手書きする事で言葉をタイプしたり、カスタムマクロを使ったりが出来るようになるであろう。これは聴衆の中のパワーユーザーを満足させるであろう。

通知とやり取りする -- iOS 7 やそれ以前では、ロック画面で、或いは通知警報として友人からメッセージを受け取った場合、それをスワイプするか或いはタップして Messages アプリを開かないと返信出来なかった。ここでも、Android 教本から一頁を採用し、Apple は iOS 8 で通知から直接メッセージに返信させてくれる。

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幸いにして、これらの通知アクションは Apple の内蔵アプリに限定されない。例えば、Facebook 通知に対して、Facebook アプリを起動する (そして、他の投稿に引き込まれてしまう可能性も大) こと無しに 、好き或いはコメントを直接実行することが可能になる。

あの馬鹿げた Mail 作成ウィンドウ -- iPad 上の Mail でメッセージを作成している時、その作成ウィンドウがどの様に残りのメールを見る邪魔をするかは、よくご存じですよね? これは、他の何かを探したり、他のメッセージからテキストをコピーしたりしたい場合、どうしようもなく苛立たしい。今や、その作成ウィンドウをドックし - 単に画面の下に向かってスライドさせる - Mail の他のメッセージで必要な作業をし、終わったら下書きに戻ることが可能になる。

Hotspot より簡単に -- iOS 4.3 以来、Personal Hotspot 機能は、Mac や Wi-Fi だけの iPad を iPhone データ通信にテザーするのを可能にしてきた - 勿論、あなたのキャリアがそれを許可し、そしてそのサービスに加入していればの話だが。しかし、これをするには、最初に機器上で Personal Hotspot をオンにして、それから無作為に生成されたパスワードを Mac 或いは iPad 上で手動で入力する必要があった。

iOS 8 及び OS X Yosemite で、Apple は iPhone にさわる事無く Personal Hotspot を有効化出来る事を約束している。Mac 或いは iPad 上の Wi-Fi 機器リストから自分の iPhone を選び、一つのアクションで接続することが可能になる。たとえ iPhone がポケットに入っていたり、或いは部屋のどこかに置いてあってもである。

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これはあっと驚くようなものではないが、この有用な機能をより使い易くする。

新しい Apple -- ある程度ではあるが、今年の WWDC は全く新しい Apple の始まりとなった。Tim Cook は CEO として脂がのってきて、Apple のオペレーティングシステムに対しても新しい、より開かれた方向を示した。また Apple がユーザーの苦情に耳を傾けてきたのも明白で、解をリリースする前に何かを認めるというのは Apple の流儀でないのはそのままだが、これらの解が長年に亘って準備されてきたのは明らかである。

Apple の発表や、Beats の買収を皆さんがどう思おうとも、一つだけ確かな事がある:この会社はもはや昔ほど予測可能ではない。

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"Take Control of OS X Server" の Chapter 4、入手可に

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

もし Charles Edge のストリーミング本 "Take Control of OS X Server" を追いかけて来たならば、OS X Server をインストールし、基本レベルで走らせるところ迄来ているはずである。Chapter 4, "Directory Services" では、Charles は、ディレクトリサービスに目を向けるので、他のサービスを生かす前に、ユーザーとグループを設定出来る。

私は文句を言っているわけではないが、正直言って、この章の編集には Take Control の歴史上まず他では経験した事がない程手こずった。何故ならば、Open Directory について読者は何を知っておかなければいけないかを理解するのは至難の業であった。そもそもこの課題はしばしば 3 日間のワークショップで取り上げられるものであり、それだけで一冊の本にもなり得る。幸いにして、小規模な家庭や事務所での単一サーバーを設定するレベルでは、Open Directory はそれ程困難ではなく、我々も草むらで道に迷うことのないようこの本をコースの上に置くべく細心の注意を払った。具体的には、Charles は Open Directory マスターを設定し、それからユーザーとグループを作成することに焦点を当てている。

これ迄と同様、Chapter 1, "Introducing OS X Server" と Chapter 2, "Choosing Server Hardware" は、この本の行く先を見て貰うために誰にでも見て貰えるが、Chapter 3, "Preparation and Installation" と、この新しい章は TidBITS 会員限定である - もし既に TidBITS 会員であるならば、参加した時のメールアドレスを使って TidBITS ログインして欲しい。"Take Control of OS X Server" 電子本の完成版は、完了時点に PDF, EPUB, そして Mobipocket (Kindle) フォーマットで一般向けに売り出される。

この本を執筆進行に合わせてその全容を TidBITS 会員に対して出版していくのは、我々が TidBITS 会員に対し彼らの支援に感謝の意を表す一つの方法に過ぎない。我々はまた TidBITS を長年無料で読んでこられた方々に対しても、これがきっかけで、毎週読み慣れた専門的に書かれそして編集された記事を引き続きお届け出来る手助けをする気になって頂けたらと願っている。会員プログラムが我々にとっては何を意味するかの更なる詳細については、"2014 年の TidBITS を TidBITS 会員プログラムを通して支援して" (9 December 2013)) を読んで欲しい。

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新しい Google の Docs と Sheets アプリがモバイル共同作業を助ける

  文: Julio Ojeda-Zapata: julio@ojezap.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私がデスクトップのワードプロセッサやスプレッドシートのプログラムを本格的に使うようになってから、もう十年近くの年月が経った。私は、とうの昔に Microsoft の Word および Excel ソフトウェアを見限り、Google による無料のウェブ上の代替製品に自分の運命を託した。

Google Docs は、当初はいくつものアプリがまとめてそう呼ばれていたが、その頃はまだ粗削りで機能も少なかった。それでも私は、自分の書類がクラウドに置かれ、インターネットに接続されたどんなコンピュータからでも扱え、離れたところにいる編集者たちや共著者たちと共同作業ができるという考え方に夢中になった。その後も他の数多くの生産性アプリも試したけれど、結局私はいつも Google のものに戻ってきたのだった。

ただ、初期のうちには一つだけ大きな問題に苦しめられた。モバイルデバイス上では、Google Docs の動作がひどいものだったのだ。iPad の Safari ブラウザ上で自分の書類を編集することはできたけれども、Google Docs のモバイル編集モードはとてつもなく原始的で、そのワードプロセッサのフルウェブ版もまともに機能しようとしなかった。

けれども近年になって状況は好転した。Google はネイティブアプリの方式に移行して、ワードプロセッサ機能とスプレッドシート編集機能を無料の iOS 用 Google Drive アプリに統合した。名前の通り、このアプリは Google の Dropbox 風のクラウドストレージサービスに保存されたすべてのファイルへのアクセスも提供できた。

そして今、Google はまたもう一つの大きな(混乱を招くかもしれない)移行をしようとしている。先月になって、Google は Google Drive アプリから編集関係の機能を取り去り、それらの機能を新しい二つの別のアプリ、Google Docs Google Sheets に移し、両方とも無料のままとした。そう、これからは、"Google Docs"という名前は Google のワードプロセッサの名前となる。この記事においては、簡単のために名前から Google という接頭辞を省略して単に Docs アプリや Sheets アプリなどと呼ぶことにしたい。

Drive アプリも消え去った訳ではない。このアプリは、Dropbox アプリや、Microsoft の OneDrive と同様に、大体においてファイルを一覧したり整理したりするためだけのものとなる。

Google は Android の領域においても全く同じ移行をして、そちらのプラットフォームでも Drive アプリから Docs アプリと Sheets アプリを派生させた。

多くの人たちと同様、私もこのようなバラバラ状況に戸惑ってしまった。いったいなぜ、一つに統合させておかず、複数のアプリのアイコンで Home 画面を散らからせるようなことをするのだろうか? Drive アプリにはこれまでプレゼンテーションを作成する Slides 機能もあったが、今回その機能も取り去られてしまった。Google によれば Slides アプリもいずれは登場するとのことだが。この状況にさらにもう一つ混沌を加えるのが、Google の Quickoffice だ。これは、Microsoft Office ファイルを開いたり編集したりするためのアプリだ。(これについてはあとで述べる。)

幸いにも、私は当惑した状態からすぐに回復することができた。実際にはほとんど変わっていないことが分かったからだ。別々のアプリをそれぞれ起動しなければならない点を除けば、Google 書類やスプレッドシートを作成したり、既存のものを編集したりするのは、以前とほとんど同じにできたからだ。

取り揃えられた機能が質素だという点で Docs アプリや Sheets アプリに不満を述べる人たちもいる。Microsoft が新たに iPad 用に出した Word アプリや Excel アプリ(2014 年 4 月 3 日の記事“iPad 用 Office: 詳しく見てみよう”参照)とこれらを比較すれば、確かに足りないところはある。

でも、それは昔からそうだ。Google のテキスト編集およびスプレッドシート編集機能は、代替の商用製品の多くと比べれば、当初からずっとモバイルデバイス上での最小主義を念頭に置いたものであった。つまるところ、モバイルプラットフォーム上の Docs アプリや Sheets アプリは、主要な生産性ツールとなるためのものではない。大多数のユーザーにとって、書類やスプレッドシートはフルのウェブブラウザ版の中で作成され編集されることが圧倒的に多く、モバイル版は既存のそのような書類に補助的にアクセスするために使うものと言えるだろう。

私の場合も、使い方の流儀はおおむねそのようなものだ。私は主として Mac 上のウェブブラウザの中の Google Docs で作業をするけれども、時にはモバイルデバイス上で非常に生産的になることもある。例えば、私がこの記事を執筆したのは大体において iPad 上の Docs アプリを使って、追加のワイヤレスキーボードで作業した。

引き締まった執筆マシン -- Google の新しい Docs アプリは、今述べた通りデスクトップ版よりもシンプルだけれども、見栄えも機能も十分よく似ているので、長年の Google ユーザーにとってはまさに慣れ親しんだものに感じられる。

最初に書類インデックスが開くが、デスクトップ版と同じように、リスト表示とグリッド表示がある。ここにはファイルのみが表示されるので、書類をフォルダに分けて整理するのに慣れ親しんだ人にとっては、フォルダも表示してくれる Drive アプリよりも分かりにくいだろう。

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項目の一つをクリックすれば、または右上にあるプラス印をクリックして新規の書類を作成すれば、編集用のインターフェイスが開く。大体において何もないウィンドウに、ほんの少数のフォーマッティング用、共同作業用および管理用の機能がシンプルなツールバーの中に並ぶ。このアプリはテキストに焦点を置いている。その点が他のアプリ、例えば iPad 用 Word や Apple の Pages がグラフィックスやページレイアウトにも力を入れているのと対照的だ。

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Docs アプリは、フォント、文字サイズ、文字カラー、インデント、行揃え、およびリストの制御を提供するけれども、他にはほとんど何もない。作成した書類に画像を追加する方法を探してみたが、どこにも見当たらなかった。ただし、既存の書類が画像を含んでいる場合には問題なく表示される。

書類の内部でのシンプルな検索・置換ができる。書類インデックスの中にある汎用の検索フィールドを使えば複数の書類にわたっての検索もできる。

Google アプリは、当初からずっと共同作業を強調してきた。そして Docs アプリもまた、その点抜かりない。私は自分の Pioneer Press 記事をすべて Google のワードプロセッサアプリを使って書いている。ついこの間も私はそういう記事を一つ iPad 上で書き上げ、それをいつも通りに私の編集者と共有した。iOS 用の Docs アプリでこれをしようとすると、少々具合が悪い。まず青いチェックマークアイコンをタップして書類を保存してから、次に i ボタンをタップして Details 枠を開き、その中で私の編集者を共同制作者に加えなければならなかった。

この Details 枠では、書類を削除したり、改名したり、スター付きにしたり、あるいは印刷(Google の Cloud Print または Apple の AirPrint 経由で)したり、それから他の人たちと共有するためのその書類のウェブリンクを得たりできる。

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また、"Keep on device" つまりオフラインのトグルもあって、これをオンに設定しておけばインターネット接続がなくてもその書類を開いたり編集したりできるようになる。

iOS 用 Docs アプリにもウェブベースのものと同様にコメント付けが組み込まれているが、コメントの整理のしかたは違っていて、集中型のドロップダウンメニューにまとめて表示される。ここで一般的なコメントを作成したり、あるいは特定の単語や一節に対するコメントを作成したりできる。後者の場合は、まず対象となるテキストを選択してから、右上に並んだアイコンの中から会話吹き出しアイコンをタップし、それから鉛筆アイコンをタップしてコメントを書き込むことになる。

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奇妙なことに Docs アプリには、ルーラ、リアルタイムのスペルチェック、単語数カウント(ジャーナリストにとってはとても大切な機能)のオプションがない。また、Docs アプリの中から書類を Drive フォルダに保存することができず、これはとても困ったことだ。そうするには、Docs アプリを離れて Drive アプリの中でその書類を検索し、それを移動させるという手間をかけなければならない。この操作は Drive アプリの中のその書類の Details 枠でするのだから、いったいなぜ Docs アプリの中の Details 枠でできないのだろうか?

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Drive アプリの Details 枠には興味深い機能がもう一つある。書類を他のアプリ(例えば Evernote など)に渡すための、Open In ボタンだ。この機能が Docs アプリの中でできないのも困ったことだ。

まとめると、Docs アプリはその目的に合ったユーザーのためにはとても優れたワードプロセッサだが、細かな欠陥や、大きく欠け落ちた機能もいくつかある。将来、ウェブ版にある機能のいくつかがこのアプリにも盛り込まれれば、とても素敵なことだろう。けれども、さきほども述べた通り、大多数のユーザーはこれを主たる編集ツールとは考えず、ほんの少しの作業をする必要があるけれども手の届くところに iPad か iPhone しかないような場合に、手早く使うためのものと見なしているのだろう。その意味では、Docs アプリはこのままでも結構使えるのではなかろうか。

Sheets もまたシンプルだ -- 新しい iOS 用の Google Sheets アプリも、おおよそ同じようなタイプに分類できる。これも、ウェブベースの Sheets に比べてはるかに少ない機能しかなく、溢れるほどに機能満載のアプリ、つまり Microsoft の iPad 用 Excel を使い慣れた人にとってはあまりにも原始的に見えるだろう。けれども、ここでもやはり、Google ははっきりと最小主義と共同作業に重点を置いていて、機能が同等であることを目指してはいない。

私は、スプレッドシートについてはごく軽い作業しかしないので、Excel とか Apple の Numbers とかいったものは宝の持ち腐れとなる。ウェブ版の Google Sheets も私のささやかな必要には十分のパワーと柔軟性があるし、モバイルで使う必要がある際にはもっと機能を削ぎ落としたものでも十分間に合う。

Sheets アプリの基本的デザインは Docs アプリのものと似ている。一つかそれ以上のセルを選択する前には空の長方形がグリッドを成して並んでいるだけだが、セルを選択すればすっきりしたツールバーが現われる。

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Docs アプリと同様にシンプルなテキスト・フォーマッティング関係の制御が並ぶのに加えて、Sheets アプリには簡単なセル・フォーマッティングの制御もいくつかある。境界線を付け足し、テキストを折り返し、セルを合併し、セルの内容を横方向または縦方向に調整し、標準的なテキストや数のフォーマットを適用できる。その書類の中の別のワークシートにアクセスするためのタブが一番下のところにある。

数式を入力して適用することもできるが、Sheets アプリがヒント、ポップアップ、自動補完などを何も提供しないので、使うにはかなりの知識をあらかじめ知っていることが必要となる。補助が欲しい人や、その他より高度なスプレッドシート機能が必要な人は、このアプリでは成果が得られないので iPad 用の Numbers や Excel を使った方が良い。

Sheets アプリは Docs アプリにあるものと同じ共同作業と書類管理の諸機能を備えていて、印刷、改名、スター付け、削除、リンク、オフラインアクセス用のスプレッドシート保存などもある。Docs アプリと同じく、スプレッドシートを移動させたり Polaris Office など別のアプリで開いたりするにはいったん Sheets アプリを出て Drive アプリに切り替えなければならない。Open In の選択肢には、奇妙なことに Microsoft の Excel も Apple の Numbers も登場しない。

Google アプリがいたる所に -- 最小主義のやり方はほとんど欠点とも言えるかもしれないが、Google のこれらのモバイル生産性アプリには一つ大きな利点がある。それは、幅広いモバイル対応だ。

これらのアプリは iOS と Android の双方で基本的に同じで、しかもスマートフォンでもタブレットでも問題なく働く。(Windows Phone 用のバージョンはない。)Apple は、Pages と Numbers を Android 用には提供していない。また Microsoft にも Android 版の Office アプリはないが、同社は現在それらを開発中だと言っている。

Android 版の Docs アプリと Sheets アプリには(美的な面を除けば)iOS 版とそれほど大きな違いはない。だから、iOS デバイスと Android デバイスの混じったビジネスにおいては Docs と Sheets を採用するのが道理にかなっている。Mac と Windows PC も混じっていればなおさらだ。なぜなら、Google アプリのウェブ版はプラットフォームに全く依存しないからだ。

共同作業もまた、Google の強みだ。このことはデスクトップ上ではずっと以前から言えたが、モバイル上にもうまく移行している。例えば私が iPad 上の Docs アプリで書類に作業をしながら、その同じ書類を Mac や Windows PC に表示させても、私の施した編集がほとんど即座にすべてのスクリーン上に反映され、その上私がタブレット上でカーソルを動かせばそれがデスクトップコンピュータ上でも幽霊のごとくに再現される。編集アクセス権を持つ他の人たちも、同時に同じ書類に作業ができ、彼らのカーソルもまたすべてのスクリーン上に(それぞれ異なる色で)現われて魔法のように動き回る。

ある夜、私が Android タブレット上で Docs 書類を開いてみると、その同じ書類を妻も並行して編集している最中なのに気付いた。彼女は Windows ノートブックで作業をしていた。そこには、夫婦間の衝突など起こらず、私たちは一緒に作業を進めて、時々チャット機能を使って優しい言葉を交わしたりしながら、その書類を完成させた。

それがこんなにうまく行ったのは、Google が基本的にウェブベースのやり方で共同作業を処理しているからだ。Microsoft も Apple も、共同作業にはかなりの困難を抱えているが、それは両者ともデスクトップのルーツを完全にはかなぐり捨てることができないからだ。

Microsoft の Office 365 購読サービスには共同作業が統合されており、複数の Mac、Windows PC、iOS デバイスが一つの Office 365 アイデンティティーを共有することができる。けれどもこれは Google のものほどエレガントではない。私が一つのマシンで Word 書類を編集すれば、変更点は他のところにも現われるが、それは即座と言うにはほど遠く、手動で画面を更新しなければならないこともある。また、Mac または PC のデスクトップで作成した Word 書類は忘れずに Microsoft の OneNote クラウドロッカーに入れておかなければ他の場所に現われない。つまり、Mac や PC のデスクトップにある Word ファイルはそのままでは共有されない。

Apple と同社の iCloud のやり方は、それに比べれば少しはましだ。私は Mac と iOS デバイスの間で Pages、Numbers、Keynote アプリのコンテンツが常に同期されるのがとてもありがたいと思うが、Windows PC 上ではブラウザベースの iCloud 用 iWork を使わざるを得ない。(それも悪くはないが、ネイティブアプリを完全に置き換えられるものではない。)Android ハードウェア上の Chrome ブラウザでは「あなたのブラウザは現在サポートされていません」というメッセージが出るだけだ。その上、他の人との共同作業では Google のアプリの流麗さに及びもつかない。

Quickoffice はどうなる? -- Drive アプリから(近日中に Slides アプリが出ると仮定して)三つのアプリを分離させてもまだ困惑の度が足りないと言わんばかりに、Google には Quickoffice というアプリもある。これも書類の編集とスプレッドシートの作業に対応しているが、上記とは違ったやり方で対応する。Quickoffice は基本的に、Microsoft Office の代替となるものだ。つまり、Polaris Office Documents To Go と並ぶべきものだ。これは主として Office ファイルを開いたり変更したりするための存在だ。

それはそれで良いが、平均的なユーザーならばきっと、Drive、Docs、Sheets、Quickoffice と並んでいるのを見て、どのアプリが何をするのかと戸惑ってしまっても不思議はないだろう。

Quickoffice が Google Drive の内容を表示できても別に役に立たない。それは Drive アプリの中に見えるものと同じファイルであり、従って Sheets アプリと Docs アプリで見えるものとも同じだ。(実際の Office 書類ではなく)Google で生成した Docs または Sheets ファイルを Quickoffice でタップすれば、それは Drive アプリに中継され、Drive アプリはそれを Docs アプリか Sheets アプリに中継する。

要約すれば、少なくとも現時点においては、Drive アプリはファイルとウェブベースの書類の双方をリストし、Docs アプリと Sheets アプリはそれぞれのウェブベースの書類を作成および編集できるようにし、Quickoffice アプリは Google Drive に保存された Office ファイルを処理する目的で残っている。

ちょっとややこしいが、いずれどこかの時点で Google が何らかの決断を下して、結局モバイル生産性ツールの最も賢い統合のしかたはこれだと示してくれるのではないかと思う。けれども今のところ、これらのアプリはどれも完全に機能しており、Google ファンにとって馴染みがあり快適に使えるものであることも言うまでもない。

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Fire を一緒に観よう: Amazon Fire TV 対 Apple TV

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

"Take Control of Apple TV," の著者である私は、朝起きて Fire TV のニュースを読み(2014 年 4 月 2 日の記事“Amazon Fire TV、Apple TV との競争を激化させる”参照)慌てふためいてベッドから飛び出した。この Amazon の新しいセットトップボックスには、より強力なパワー、音声検索、アプリストア、その上ビデオゲームまで、Apple TV の欲しい物リストに並ぶあらゆるものが備わっていた。(2014 年 2 月 21 日の記事“Apple TV の未来”参照。)

その後少し落ち着きを取り戻して状況を見直す余裕ができると、私は Amazon に何ができるのか見てみたくなった。そこで私は同社に頼み込んで、$99 の Fire TV と $39.99 の Fire Game Controller 双方のレビュー用ユニットを手に入れた。自宅のリビングルームのテレビから Apple TV への接続を外して、代わりに Fire TV を繋ぎ、その状態で二週間使ってみた。

情報の完全開示のために、他にも Amazon が提供してくれた素敵ないくつかのものにも触れておかねばならない。まず第一に、そのゲームコントローラには 1,000 Amazon Coins ($16.99 相当、このことについてはまた後で述べる) と、Amazon が制作したゲーム Sev Zero の無料のコピーが付いていた。両方ともコントローラの購入価格に含まれるものだ。

第二に、Amazon はこのデバイス用のコンテンツを注文できるようにと、気前良く $50 のクレジットを私にくれた。ただしこれは理論的は Amazon で売られている何にでも使うことができた。おそらく他のレビューワーたちも同じものをもらったのだろう。Adam と私は、どうするのが倫理的に相応しいかを考えて、このお金を Fire TV 用の映画レンタルとアプリ購入のみに使うことにしたが、映画 Brewster's Millions 風の悩みに行き着いた。つまり、たくさんのお金を一銭残らず使い切るのはなかなか難しかった。結果として私はそのクレジットを以下のものに充てた。(金額は消費税を含む)

合計は $54.61 で、割り当てられた額をほんの少し超えた。デバイス特定のアプリいくつかを除き、Amazon が提供してくれたものを私は何も手許に残さない。もちろん Fire TV もコントローラも、できる限り早く送り返すつもりだ。(ただし、まだ Amazon の PR 会社と連絡が取れないのでその予定が組めていない。)また、レビューを書く者として、私は Prime Instant Video にもアクセスできたはずだが、理由は分からないが、一度も接続できなかった。

前置きはそのくらいにして、Apple TV についての本を執筆したことのある者として、以下に私が Fire TV に感じた印象を、私の本の章と同じ順序で書き綴ってみよう。[訳者注: この記事の内容は、すべて米国におけるものです。日本における状況は異なるかもしれません。]

Fire TV をセットアップ -- 物理的に、Apple TV と Fire TV にはたくさんの共通点がある。どちらも小さな、正方形の黒い箱だ。Fire TV は長さと幅が Apple TV よりも 0.7 インチ (1.8 cm) 大きいが厚さが 0.2 インチ (0.5 cm) 薄い。Apple TV と同様、Fire TV も HDMI、Ethernet、USB、光オーディオの各ポートを持つ。なので、テレビに接続するやり方は Apple TV の場合と同じだ。つまり、HDMI ケーブルを差し込み (私のユニットにはケーブルが付属していた)、電源コードを差し込み、必要ならば光オーディオケーブルを差し込むだけで、いつでもスタートできる。

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ここでちょっと脇道に逸れて、私が Fire TV に初めて感じた大きな苛立ちについて書いておこう。電源アダプタがあまりにも大きく、私のサージ保護装置の上でプラグ二つ分の場所を占めてしまう。その結果として、私はサージ保護装置から Apple TV だけでなく Playstation 3 の電源コードも外さなければならない羽目になった。それに比べて、Apple TV の電源コネクタは薄型で、他のどんなものともうまくやって行ける。下の写真は、Apple TV のプラグを Fire TV のプラグの上に乗せている。違いがお分かりになるだろう。

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セットアップの手順についてはとりたてて言うべきこともないが、始めた途端に Fire TV が Apple TV に比べてどれほど高速かが実感できる。必要ならば Wi-Fi パスワードを入力する。(リモコンではひどく遅い。)デフォルトで、Fire TV は(Amazon の Kindle 機器と同様)あなたのアカウントに関連付けられているはずだが、もしそうなっていなければ、あなたの Amazon アカウントにログインするか、または新規のアカウントを作成することになる。幸いにも、オンスクリーンのキーボードから一般的な電子メールサービスの多く、例えば Gmail、Yahoo、Outlook、AOL へのショートカットが使える。

次に私が出会った苛立ちの元は、Fire TV の機能を一人の男が解説してくれる長々とした漫画をずっと最後まで見なければならないことだ。$99 という大金を出す前にこのことを知っていたら、という気がしたくらいだ。この漫画をスキップすることはできず、一つ前のセットアップ画面に戻ったならまた一からこの漫画を見なければならない。それからまた、何らかの理由でこのデバイスをリセットして一からやり直す場合にも、やっぱりこのビデオを初めから見ることを強制される。私にしてみれば、コーヒーをいれるのにちょうど良いと言うべきだろうか。このビデオも、他のヘルプ用ビデオも、いつでも Settings メニューから呼び出して見直すことができるので、スキップできるようになったとしてもそれほど大きな損失ではないだろうにと思うのだが。

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漫画の男性が偉そうに Fire TV を解説するのが終わったら、Amazon Prime にサインアップするよう促され、それからペアレンタルコントロールを設定するよう促される。

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Amazon と Apple は明らかに優先順位が異なるようだ。Apple TV の最初のセットアップ画面は視力に問題がある人のために VoiceOver を設定できるオプションを提供しているが、Fire TV にはそれに相当するオプションがない。また、ペアレンタルコントロールの内容は Apple TV でもよく似ているが、Apple TV ではあなたが自分で Settings から呼び出す必要がある。

Amazon のペアレンタルコントロールは Apple のものと同様に PIN に基づくもので、ビデオの購入、Amazon Instant Video、およびある種のタイプのコンテンツのブロックにおいて PIN が要求されるように設定することができる。

Fire TV をコントロール -- Apple TV では四種類のリモコンが使える。内蔵の Apple Remote、サードパーティの赤外線リモコン、Bluetooth キーボード、それから iOS の Remote アプリだ。ところが Amazon が提供するのは内蔵の Amazon Fire TV Remote のみだ。交換用は $27.99 で購入できる。

Fire TV Remote のレイアウトは Apple Remote と似ている。いずれにも円形のリングがあってこれをナビゲーションに使い、その中央の Select ボタンと、Play/Pause ボタン、それに Menu ボタンを使う。

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けれども Fire TV Remote の方が機能がいくつか多い。専用の巻き戻しおよび早送りボタン、前のメニューに戻る Back ボタン、ホーム画面に戻る Home ボタンもある。そしてもちろん、呼び物の音声検索機能の Voice Search ボタンがある。

そのボタンを押して押さえ続け、あなたが何を見たいかをリモコンに向かってしゃべると、Fire TV があなたの言ったことにマッチすると判断した番組や映画のリストがスクリーンに現われる。見たいものを選べば、Fire TV がそのコンテンツを Amazon ストアの中で検索する。

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Fire TV の Voice Search 機能は Vevo のミュージックビデオも検索できる。残念ながらそれ以外のサービス、例えば Netflix や Hulu などはまだ検索できない。けれども、その二つ、あるいは Crackle や Showtime Anytime などへの Voice Search 対応も、今年のうちにはお目見えするはずだ。

初期の他のレビュー記事のいくつかでは、この機能に対してさまざまな意見が述べられている。けれども私の経験の範囲内では、いつも見事に動作した。もしもこれがすべてのアプリにわたって検索できるようになれば、本当に素晴らしい機能となるだろう。

さて、リモコン自体に戻れば、厚みが Apple Remote の三倍もあるが、Amazon サイトの製品写真から受ける巨大なチーズの塊といった印象ほどではない。手に持った感触も良く、表面がゴム加工してあるので掴みやすい。

Apple Remote のほとんど平らなボタンとは違って、Fire TV Remote のボタンはリモコンの表面から飛び出ている。なのでこちらの方がクリックしやすいけれども、それと同時に誤ってボタンをクリックしてしまいがちだ。

Amazon のリモコンのもう一つの重要な機能は、赤外線でなく Bluetooth を使っている点だ。なので、リモコンを Fire TV の方に向ける必要はない。これは、私にとって思いがけなく嬉しいことだった。でも、リモコンをソファのクッションの隙間に落としてしまったりすると困ったことになりかねない。ソファの上で Apple Remote を見失えば、ただ働かなくなるだけで、あとでゆっくりリモコンを探すまでの間は代わりに Remote アプリを使えばよいだけのことだ。けれども Fire TV Remote がソファの中に滑り込んでしまうと、とたんにわが家の居間は Chevy Chase のコメディ映画みたいになる。ソファのクッションを持ち上げたりする度に、スクリーンにいろんなことが起こるからだ。

Apple Remote は CR2032 ボタン電池を使うが、Fire TV Remote は標準の AAA (単4) 電池2個を使う。Bluetooth を使うということは、Fire TV Remote のバッテリ寿命が Apple Remote ほど長くないのではないかと予想せざるを得ない。私の最初の Apple Remote バッテリは、使い切るまでに二年かかった。

何が観られるか -- Fire TV のメインメニューは、Apple TV のものと大きく異なる。Apple TV のメインメニューには iOS 風のグリッドに沿ってアイコンが並ぶが、Fire TV のインターフェイスはいくつかのセクションに分かれており、左側のサイドバーにセクション名がリストされ、個々のセクションのオプションが右側に来る。

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Apple TV では、映画、テレビ番組、音楽それぞれのアイコンが固定されていて無視することはできないが、Amazon は Fire TV のインターフェイスを全く新たなレベルの「ここから購入して下さい!」と訴えかけるものにした。つまり、あなたはあらかじめ Amazon コンテンツの川の流れを横切った後でなければ Netflix にも、Hulu にも、あるいはどんなゲームにも、文字通り辿り着くことすらできない。ただし、Home の下に Recent というセクションがあって、ここには最近開いたアプリやビデオが表示される。結局、Fire TV は Amazon のデジタルコンテンツを勧めるための手段であることを隠そうともしない。

Amazon のコンテンツを中心に据えてはいるけれども、Prime Instant Video コンテンツのカテゴリーというものはない。Movies と TV のセクションにそれぞれ "Recently Added to Prime" というカテゴリーはあるけれども、せっかく $99 の会費を払って Prime 購読をしているのにそこで観られるすべてをブラウズすることはできない。Amazon によれば、将来のアップデートでその機能を含める予定はあるとのことだ。

幸いにも、インターフェイスの応答性は Apple TV よりずっと軽快だ。内蔵されたクアッドコアのプロセッサと 2 GB の RAM のお陰だろう。(Apple TV の内蔵 RAM は 512 MB だ。比べてみれば、Apple TV の方がはっきり応答が遅いのが分かる。

Fire TV にはあって Apple TV には困ったことに欠けているものの一つが、アプリストアだ。Fire TV のアプリストアから、Netflix、YouTube、Hulu、ESPN などの大手のところや、また Huffington Post Live、Pandora、TWiT、iHeart Radio など Apple TV では使えないいくつかのチャンネルもインストールできる。私が数えてみたところ、使えるチャンネルはゲームを数えずに 50 以上もあった。将来はもっとその数が増える予定とのことだ。他方、Apple TV で使えるチャンネルは現在 40 ほどだ。

もちろん、Fire TV には大きなものが一つ欠けていて、それが HBO GO だ。妻も私もテスト期間中 HBO GO が観られないのを心から残念に思った。けれども Amazon はいずれこれも使えるようになると約束しているし、その上に Prime Instant Video には "The Sopranos" や "The Wire" など有名どころの HBO 旧番組の独占ストリーミング権を獲得しつつあり、実現すれば Netflix にとって大きな打撃となることだろう。

Netflix といえば、ここの Fire TV アプリはひどく出来が悪い。Fire TV の方が全体的にパフォーマンスが良いにもかかわらず、この Netflix アプリは痛々しいほど動作が遅く、Apple TV のものより遅いくらいだ。ブラウジングのインターフェイスも助けにならない。コンテンツ説明部分と上部にある無駄に大きなバー部分のせいでスクリーン面積がやたらに浪費されてしまい、肝心のナビゲーションが窮屈だ。また、コンテンツのロードも Apple TV ほどにはスムーズでない。これは Netflix が Apple TV デバイス専用に独立のストリームを提供してもらう特別の契約を結んでいるからだ。けれども、他のすべての Netflix アプリにあって Apple TV にはない一つの機能が、テレビ番組のエピソードを自動再生する機能だ。Fire TV ではこの機能が使えてとても快適だったので、Apple にもぜひこれを追加して欲しいと私は思う。

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Apple TV はそのすべてのアプリにテンプレートを使っているので、どのアプリも見栄えが同じで動作も同じだ。Apple TV についての本を執筆しながら毎日 8 時間も見つめ続けていれば飽き飽きしてくるけれども、普通のユーザーにとっては一貫性はとても良いことだ。Roku でもそうだが、Fire TV のアプリはテンプレートを使っていないので、アプリごとにインターフェイスが異なり、使っているキーボードさえまちまちという混乱状態になる。だからと言って私が使う妨げにはならなかったが、普通の視聴者がイライラさせられるのももっともなことだと思う。

Apple TV にあって Fire TV にない一つのことが、ローカルネットワーク上のメディアへのアクセスが内蔵機能でできることだ。ただし、有料のオプションを使えば Fire TV でも可能となるので、そのことについてはあとで触れる。

Fire TV と映画 -- 映画やテレビ番組を視聴することについては、Fire TV はとても快適だ。Amazon のコンテンツは素早くロードし、画面もオーディオも、ともに素晴らしい。

私が非常に気に入った機能の一つが、ナビゲーションリングの左側と右側を押せば後方または前方に 10 秒間の分スキップできることだ。だから、Matthew McConaughey が強い南部訛りで何かつぶやいても、ボタンをクリックするだけで彼が何を言ったか聞き返せる。Apple TV で Apple Remote か Remote アプリを使って同じことをしようとしても、私はやり損なうことが多い。(実際 Apple TV にはこの機能が備わっているが、それを使うにはサードパーティのリモコンをプログラムする必要がある。)

Apple TV と同様に、ビデオを観ながらナビゲーションリングの上下を押せばタイムラインが見られる。けれども Apple TV と違って、Fire TV にはチャプターをスキップしたり、ビデオを観ながらプログラムの情報を表示させたりする機能はない。また、反対側を押してタイムラインの表示を手軽に消すこともできない。タイムラインが勝手に消えるまで待たなくてはならず、これがとてもイライラさせられる。

Amazon のビデオを観ている最中に Menu ボタンを押せばサブタイトル(字幕)のオプションが出る。Apple TV ほど細かな選択肢はないが、使うには十分だろう。プリセットは四つある。黒い背景に白い文字、透明の背景に白い文字、黒い背景に黄色い文字、それと透明な背景に黒い文字だ。フォントは五つの選択肢から選べる。Fire TV の提供するオプションは Apple TV ほど多くないけれども、サブタイトルを有効にする方法が見つけやすいし、少ないクリック数で済む。

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ただしそれは、Amazon ビデオについての話だ。他のアプリでは、アプリごとに違う。Netflix ビデオを観ている間は、Menu ボタンを押しても何も起こらない。サブタイトルはビデオを再生し始める前に有効にしておかなければならない。Crackle ビデオを観ながら Menu を押すとサブタイトルのオプションが出るが、それは Amazon のビデオが提供するものとは全く違ったものだ。

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私が Amazon のストアで iTunes に比べて大いに気に入っているのは、レンタル期間がたった 24 時間でなく 48 時間続くものが多いことだ。週末の間ずっと借りて最後まで観られるようになれば、私ももっと多くの映画を iTunes でレンタルするようになると思うのだが。

Fire TV でロックを楽しむ (か否か) -- Fire TV のコンテンツのラインアップには、大きな大きな欠落が一つある。Amazon MP3 がないのだ。その通り、Amazon の提供するコンテンツをフィードするために作られたこの機器が、何と Amazon 自身のクラウドベースの音楽サービスに対応していないのだ。これにはびっくり仰天だ。

この記事を書いている時点で、音楽を楽しむ選択肢は、Pandora のストリーミングラジオ、iHeartRadio、Vevo ミュージックビデオ、それに Qello コンサートビデオ、それだけだ。

推測するに、おそらく Amazon MP3 は急いで市場に出すてんやわんやの中で脇に置かれてしまったのだろう。Fire TV がいつになればこれに対応するのかは知らないが(きっと近日中にそうなるとは思うが)そうなればこれはとてもパワフルなミュージックボックスとなることだろう。とりわけ、光オーディオポートがあるので、どんなオーディオレシーバにも簡単に接続できるのだから。

それからまた、もう一つがっかりしたこともある。ワイヤレススピーカーに接続する選択肢がないのだ。Bluetooth ヘッドフォンも、(もちろん) AirPlay スピーカーも使えない。その点、Apple TV は AirPlay 出力に対応しているし、一部の Roku モデルはリモコンにヘッドフォンジャックまで付いている。これはどう見ても Fire TV がしくじった個所だ。

もしもあなたが音楽ファンなら、今のところ Fire TV に手を出すのは控えた方が良い。

写真やホームビデオを観る -- Fire TV は音楽に関してはお粗末だが、写真やホームビデオに関しては素晴らしい。Mac や iOS デバイスからも写真やビデオをアップロードできる Amazon Cloud Drive と、統合されているからだ。

私は Amazon Cloud Drive が大好きだ。Mac の上で、これは Dropbox と同じように動作し、伝統的なフォルダ構造の中にファイルを保持できる。無料の Amazon Cloud Drive Photosアプリが写真やビデオを自動的にアップロードでき、きちんとサブフォルダに分けて置いてくれる。5 GB のストレージは無料で、20 GB なら年額 $10、50 GB なら年額 $25、100 GB なら年額 $50、最大では丸々 1,000 GB が年額 $500 で使える。価格は Dropbox よりも安く、しかも Amazon はあなたの写真を何か独自仕様のスキームに囲い込んだりもしない。私は写真のクラウド保存にはこれを使うようにしたいと思っているが、それはまた別の記事で扱うべき話題だ。

Fire TV で写真を観るためのインターフェイスはどこかお馴染みのものに感じられるかもしれないが、それは Apple TV の iCloud Photos アプリとほとんど同一のインターフェイスを使っているからだ。Apple TV で観る写真と同じく、アルバムごとに長方形のボタンがあって写真をスライドショーで表示でき、フォトアルバムをスクリーンセーバに設定することもできる。

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スクリーンセーバの設定を変更するには、Settings > System > Screen Saver に行く。そこから、ソースとなる写真や、スクリーンセーバがスタートするまでの待ち時間、その他の設定を変更できる。スクリーンセーバのスタイルの種類は Apple TV ほど多くなく、たった三つしかない。Pan & Zoom、Dissolve、それに Mosaic だ。

デフォルトのスクリーンセーバは Amazon Collection と呼ばれ、100 枚以上のアウトドアの写真が入っている。Apple TV の National Geographic 写真ほど素敵ではないけれども、それでもとても美しい。

Fire で遊ぶ -- Fire TV が Apple TV をはるかに引き離している分野が、ゲーミングだ。Apple TV 上でゲームを「プレイ」するとは、iOS でプレイするゲームを AirPlay で Apple TV に映し出すことに過ぎないが、Fire TV にはちゃんとアプリストアがあり、そこにはまぎれもない本物のゲームがあってそれをテレビ画面でコントローラを使ってプレイできる。

では、Fire TV でどんなゲームをプレイできるのだろうか? 驚いたことに、相当多くのゲームができる。Kindle Fire タブレットと同様、Fire TV はその基盤に Android を走らせているので、既存のゲームを Fire TV に移植するのは開発者にとって簡単なことだ。実際、Fire TV ゲームの大多数はクロスプラットフォームなので、Fire TV 上でゲームを一つ購入すれば、それを Amazon からダウンロードして Nexus 7 でプレイできる可能性はかなり高い。

Fire TV スタート時のタイトルの中でおそらく最も注目すべきは Minecraft: Pocket Edition だろう。これは、信じられないほど人気を高めつつあるサンドボックスゲームを移植したものだが、正直言って、私ならこれはやらない。確かに、Pocket Edition の移植としては、素晴らしい。でも、フルのゲームは Earth 自体に比べて8倍も長いけれど、ポケット版の Minecraft の世界は、起伏の多い地形を選んだとしても、二分もかからず踏破できてしまう。

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幸いにも、もっと良いものにお金を使うことができる。Fire TV には Sega の製品がたくさんあって、Sonic、Virtua Tennis、Crazy Taxi など古典的な作品もある。また、以前 FunBITS で紹介された Badland (2013 年 6 月 21 日の記事“FunBITS: iOS 用 Badland”参照) もあり、これは iPhone よりずっと大きなスクリーンではなおさら美しい。開発者 Gameloft も参加していて、無料でプレイできる Asphalt 8: Airborne もあり、これがとても楽しい。その他にも、Telltale の The Walking Dead、Ski Safari、Deus Ex: The Fall、Terraria、Prince of Persia: The Shadow and the Flame、Double Dragon Trilogy、Cannabalt といった素晴らしいゲームの数々がある。言い替えれば、あなたのお気に入りのモバイルゲームの多くが、テレビ画面で楽しめるのだ。

Fire TV でのゲーミングをこき下ろした批評家たちも多い。でもそれに対して私の口をついて出るのは「なぜだ?」の一言だ。つまり、現実的に、彼らは何を期待したというのか? これはたった $99 のボックスで、たまたま Android ゲームをプレイでき、主としてゲーミングデバイスとして作られた Ouya などとは違い、ゲームコントローラが手の中でバラバラになったりはしない。私は気楽にちょっとプレイできるゲームが好きで、Fire TV ユーザーたちの間でもそういうものは間違いなく人気を得て行くだろう。それにボーナスとして、ディスクを出し入れしたりする手間が一切要らない。

でも、そうそう、ゲームはどのようにコントロールするのか? 驚くほど多くの数のタイトルが、付属の Fire TV Remote だけでもプレイ可能だ。ただしそれは、あなたがマゾヒストだという仮定の下でだが。ナビゲーションリングと Select ボタンは、あまりにも硬過ぎて Badland のようなシンプルなゲームでさえもコントロールが難しいし、やり過ぎればきっと RSI (反復性ストレス障害) に陥ってしまうことだろう。

それを防ぐために、Amazon は $39.99 で Amazon Fire Game Controllerを提供している。そして何と、このコントローラは悪くない。思ったよりもずっと良い出来だ。作りはしっかりしていて、反応も良く、快適だ。Xbox のコントローラのデザインにかなり大きく基づいていて、Microsoft の製品ほど洗練されてはいないけれども、気軽にゲームをするには十分以上だ。

Microsoft の Xbox One コントローラの価格が $50 ほどであることを考えれば、Amazon のコントローラはちょっと価格が高い気がするかもしれないが、そこに付加価値を付けるためだろうか、コントローラを購入すれば 1,000 Amazon Coins と、$6.99 相当の Amazon 製 Sev Zero が付いてくる。

Sev Zero はとても楽しい。これは、タワー防衛ゲームと、三人称視点シューターゲームを混ぜたようなものだ。個々のレベルは迷路になっていて、あなたが守るべき対象は中央にある。いくつかの場所が決まっていてそこにあなたは砲塔を購入して設置でき、その砲塔は自動的に敵を銃撃する。いったんゲームが始まれば、敵が両側から押し寄せ、あなたの迷路を通り抜けて、中央にいるあなたのマクガフィンを破壊しようとする。

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それが、タワー防衛ゲームのお決まりだ。けれどもこのゲームが面白いのは、あなたがテレポートできる(テレポート先にたまたま悪者がいればそいつを押し潰せる)こと、そこから直接敵と戦えることだ。

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この Sev Zero を Halo と比較してかなりこき下ろした批評家たちもいる。けれどもそれは的外れだ。Halo ゲームの価格は $60 もするのであって、敵を打ち倒すには数時間もかかり、複雑なマルチプレイヤーの要素も織り込まれている。それに対して Sev Zero は一回に 10 分から 15 分程度だけ遊ぶような類いのゲームで、その意味でとても楽しい。

では、コントローラを購入すれば付いてくる Amazon Coins とは何か、それをどう使えばよいのか? これは、アプリやゲームを購入するのに使えるが、映画やテレビ番組の購入には使えない。基本的に、これは Amazon のクレジットだが、その使用を奨励するために、Amazon は特定のものの購入についてはいろいろな枚数のコインを払い戻してくれる。もちろん、それでも実際のお金を払うことはできるけれども、同じお金でより多くの支払いができるようになる。Amazon からゲームを購入する際には、Coins を使うのがよい。そして、コントローラに付いてくる 1,000 コインがあれば、相当たくさんの購入ができる。より多くを購入するために $1 をおよそ 100 コインに交換できるけれども、実際に Amazon がそれを販売する際には多少の割引が付く。

全体的に見て、私は Fire TV でのゲーミングを大いに楽しんでいる。明らかにこれは本筋を逸れた呼び物だが、それはそれで良い。映画を観ながら妻が眠ってしまった場合など、ちょっとゲームをプレイするのに最適だ。そう、これこそまさに、Apple TV に組み込んで欲しいと私が Apple に願っていることではないか。

Fire TV でもっと多くのことを -- "Take Control of Apple TV" の最後の章で、私は Apple TV でできる三つの素敵な「ハック」を紹介した:

  1. Plex を使ってより多くのコンテンツオプションにアクセスを得る。
  2. Unblockus. でリージョン規制を回避する。
  3. Elgato Eye TV HD でビデオを録画して Apple TV で再生する。

一つ目の「ハック」について言えば、Fire TV 上ではハックでも何でもなくなる。Plex はアプリストアで $4.99 (または 499 Amazon Coins) で入手できる。私は Plex 自体に関することだけで一冊の本が書けるほどだが、とにかくこれを使えば Fire TV に多くの機能が追加される。とりわけローカルなコンピュータからのビデオ、音楽、写真にアクセスできるようになる。

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Plex を使うには、まずあなたの Mac 上に Plex Media Server をインストールしてセットアップしておかなければならない。Fire TV の Plex インターフェイスについて言えば、きちんと働くけれども、サーバがあなたのライブラリをスキャンしている最中に HD ムービーで動作が行き詰まる可能性はある。

何も変なハックなどせずに Plex が Fire TV で使えるというのは素敵だが、Amazon が内蔵すべきであった機能を Plex に頼ってしまう傾向があるのではないかと私は感じざるを得ない。例えば音楽の再生やローカルな再生でそれが言える。そういうことをするためにユーザーたちが $4.99 を支払いサーバを運営しなければならないというのはどうかと思う。

二つ目のハックについて言えば、Unblockus はあなたが DNS サーバを変更することを要求するけれども、Fire TV ではそれができない。その代わりに、あなたがルータ自体の上で DNS サーバを変更する必要がある。ただしそれをするとあなたのネットワーク上にあるすべてのデバイスに影響が及ぶので、望ましくない結果が生じるかもしれない。

最後に、EyeTV HD でコンテンツを録画する件については、Plex があるお陰で問題なく動作する。録画したものは、iTunes へ書き出す代わりに必要な Plex フォルダへ書き出しておく。私の経験では、第三世代 Apple TV で動作するようコード変換されたビデオは Fire TV 上でも問題なく再生できている。

AirPlay、あるいはその欠如 -- 本の中で、私は AirPlay の使い方についても書いた。これは、iOS デバイスから Apple TV へコンテンツを送信できるようにする、Apple のテクノロジーだ。Fire TV にはその機能はないが、もしも Fire HDX タブレットを持っていれば、そこからディスプレイをミラーリングすることはできる。

その機能をテストすることはできなかったが、私が思うに、おそらく AirPlay で通常できるようなことはすべてできるのだろう。例えば、Android アプリ経由でプレゼンテーションをテレビ画面に表示させたりといったことだ。残念ながら、iOS ユーザーがその答を知ることはできない。

Apple TV を Fire と比べれば -- こうして徹底的に比較してきて、私は依然として当初の概観で感じたものと同じ意見を Fire TV に対して持っている。もしもあなたにとって iTunes Store のコンテンツと AirPlay がとても重要なら、Apple TV を別のものに変える理由は何もない。でも、もしもあなたが Amazon Prime 購読者なら、Fire TV はぜひ試してみるべきデバイスだ。

悲しいことに、今日のテクノロジー業界の風景の中では、購買の選択は機能やスペックといったことよりむしろエコシステムによって決められることが多い。より端的に言えば、あなたがどのエコシステムに囲い込まれているかによって決まる。Apple も、Google も、Amazon も、それぞれにあなたを所有することを望んでいる。つまり、あなたがその会社のストアに魂を売ることを目指している。だから、たった一つの製品をあなたに買わせようとしても十分ではない。彼らは、あなたに自社の製品を すべて 買わせ、自社のコンテンツシステムからものを購入させ、あなたが決して競合他社のエコシステムへ迷い出ないようにしたいと思っているのだ。

Fire TV の実験期間が終わったと私が妻に告げた時、彼女は「神様ありがとう」と叫んだ。確かに Fire TV は完璧に素敵なリビングルーム用デバイスではあったけれども、私たちは二人とも、どこでも使える AirPlay が使えなくなって残念だと思っていた。ただし妻は、Pandora がテレビに内蔵されなくなるのは心残りだけど、と付け加えた。

AirPlay、HBO GO、iTunes、Netflix があるだけでも、私たちは Apple TV に戻れたのが嬉しいと思った。けれども私は Fire TV を使ってしばらく過ごしたことで、意識していなかった真実を知ることとなった。Tim Cook も述べている通り Apple TV は数十億ドルのビジネスとなっているけれども、Apple が今後もこれが市場に残って成長し続けるようにしたいと思うのなら、Apple TV には次のようなことがぜひとも必要だ:

Fire TV にもいくつか苛立ちの元はあるが、そのほとんどはソフトウェアアップデートで修正可能な種類のものだ。だから、Apple が競争に勝とうと思うのならば新しいハードウェアが必要だし、それもできるだけ早くに出して欲しい。

けれどもそれと同時に、ここには Apple にとって本物の好機が存在していると思う。Amazon は、パックがある方に向けてスケートを進めるという古典的な誤りをした。確かに Fire TV には現行の Apple TV に比べて優れたところがいくつかあるけれども、それはすなわち Apple に Apple TV を次のレベルへと進める明らかな道が開かれたということでもある。

そうは言っても、Amazon も現在の栄光に満足している訳ではない。当然ながら、リビングルームの覇者を目指して競争しようとしている。例えば、Amazon は今、ローン契約で Fire TV を提供中だ。チェックアウト時に 20 パーセントを支払い、残りを四ヵ月の分割払いにする、というものだ。明らかに同社はアメリカのあらゆるリビングルームに Fire TV を置くことを目指している。

私が "Take Control of Apple TV" の読者でまだ Apple TV を購入していない人たちからよく聞くのは、現行のモデルを買うべきか、それとも次期モデルを待つべきかという質問だ。これまでの私は、現行のモデルがあなたの必要を満たすのならすぐに買う方がいい、とたいてい答えていた。

けれども今の私は、待つことをお勧めしたいと思う。Fire TV があなたに合うかどうか私には分からないが、現行の Apple TV は古びた感じがするし、どう考えても私には Apple が間もなくアップデートを出すとしか思えない。遅くとも、今年のクリスマス前の購買シーズンに間に合うようには出すだろう。

もしもあなたが既に Apple TV を持っているのなら、今すぐ急いで Fire TV を買うべき理由があるとは思えない。ただし、Amazon のコンテンツに手軽にアクセスしたいという欲求があるのならば別だが。当然ながら、Fire TV と Apple TV を両方持っていていけない理由は何もない。ただし、それがあなたの予算の範囲内にあって、テレビやレシーバの入力が十分に確保されていればの話だが。

結びに、Fire TV について知っておくべき最も重要なことは、そしてこれはたいていのレビュー記事で見逃されている点だと思うのだが、Fire TV では単に Amazon が一斉射撃の口火を切ったに過ぎないという事実だ。これは今後ますます進化するに違いないし、それもかなりの速度で進むだろう。おそらく近い将来に Amazon は、ソフトウェアを微調整するとともにコンテンツのチャンネルをさらに増やしてくるだろう。そして、Fire TV を Amazon での買い物をますます手軽にできるようにするための道具として押し出してくるだろう。それはきっと、物理的な品物と、デジタルなメディアの双方について言える。結局のところ、それこそが Amazon の最重要の目標なのだから。

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FunBITS: WWDC 2014 の新テクノロジーと Apple Design Awards

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

いつものように、Apple の Worldwide Developer Conference ではゲーム開発者向けの新しいテクノロジーが導入され、Apple は毎年恒例の Apple Design Awards においていくつかの素晴らしいゲームやその他楽しいものを評価して賞を与えた。まずは、今年の呼び物をいくつか見て行こう。

ゲーマー向けの新テクノロジー -- Apple は WWDC にて新しいゲーム開発用テクノロジーをいくつか導入した。それらは決して Apple ゲーミングの体験を一夜にして変えてしまうようなものではないが、ゲーム開発者たちにパワフルな新しいツールを与えるものとなっている。

まず一つ目は Metal だ。これはゲーム開発用の新しい API で、OpenGL を完全に迂回して A7 プロセッサの「地金」にアクセスできるようにする。Apple によれば、Metal によって draw call のレートが 10 倍に増え、iOS 上でより精緻なグラフィックスを持つゲームが可能となるという。

Apple は、Battlefield ゲームを動かす Frostbite エンジンを作っている EA や、人気の Unreal エンジンを作っている Epic Games などのゲームエンジン開発者たちと協力してきた。EA は、近日発売予定の "Plants vs. Zombies: Garden Warfare" で Metal を使ったバージョンの Frostbite を実演し、驚くべき 130 万個の三角形を同時にスクリーン上に表示してみせた。次に、Epic は "Zen Garden" と呼ばれるものの実演をして、スクリーン上で同時に 3,500 の蝶々を独立に動かすなど、多くの驚くべき効果を示してみせた。(iOS 8 のリリース後、Zen Garden は App Store から無料で入手できるようになる。)

Cult of Mac のライターでもあるゲーム開発者 Brianna Wu は、 ワクワクした気持ちを記事に記した。いわく、Metal のおかげで、これまで不可能であったようなコンソール級の多数のグラフィック機能が iOS にもたらされるだろう。例えば specular map (光沢の輝く岩などの効果を作り出せる)、透明性効果、スクリーン上の大勢の敵なども可能となるだろう。

Apple はまた、開発者ツール SceneKit も iOS にもたらそうとしている。SceneKit を使えば、開発者が自分のゲームの中に 3D 要素を置くのが簡単にできるようになり、SpriteKit と共に使えば 3D 要素を持つ 2D ゲームを作成することもできる。

でも、開発者たちにとっておそらく最も興味深かった新しいオプションは、Controller Forwarding と呼ばれるものだろう。これは、ゲームコントローラのケース(例えば Logitech PowerShell など)の内部に iPhone をはめ込むことにより、それを使って iPad や Mac 上のゲームがプレイできるようになるというものだ。コントローラのボタンも、iPhone のタッチスクリーンやセンサーも、すべて使ってゲームがプレイできる。

Controller Forwarding により、いくつか興味深い可能性が生まれる。ただ、開発者たちがこれに本気で取り組むのかどうかは疑わしいと私は思っている。実装するにはあまりにも多くの変数が関係してくるからだ。

余談だが、私は Apple TV のファンなので、Metal が Apple TV 上のゲーミングにもたらす可能性にワクワクしている。もっともそれはもしも Apple TV 上にゲームが到来すればの話だが。

Apple Design Awards -- 今年、Apple はあの有名な Apple Design Awards を 12 個の Mac 用や iOS 用のアプリに授与した。そのうち 2 つは以前この FunBITS 記事で取り上げたことがある。興味深いことに、受賞作品の大多数は娯楽志向のアプリで、生産性に向けた意味のあるものはほとんどなかった。では、以下にすべてリストしてみよう:

Sky Guide: Star Walk (2013 年 7 月 5 日の記事“FunBITS: iPhone、iPad 用 Star Walk”参照) を思わせるところのある天文アプリ Sky Guide は、天文アプリの分野にさらなる磨きをかけるものとなっている。($1.99、104 MB、iOS 6+)

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Cinemagraph Pro: 「リビングフォト」を作成するための Mac 用ツールだが、Cinemagraph Pro: は普通の静止画写真の一部を、ビデオをもとに、動く部分に変えることができる。例えばドレスの裾をはためかせたりできる。(実演ビデオをご覧あれ)($199.99、ただし現在 $24.99 でセール中,、5.9 MB、10.9+)

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Storehouse: Storehouse は iPad 用のビジュアル物語ツールで、写真やビデオとテキストを組み合わせてストーリーを作り、それを友人たちと共有できる。(無料、35.5 MB、iOS 7+)

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Monument Valley: 以前 FunBITS で取り上げた通り(2014 年 4 月 25 日の記事“FunBITS: iPhone および iPad 用 Monument Valley”参照)Monument Valley は短いけれどもスタイリッシュなパズルゲームだ。($3.99、147 MB、iOS 6+)

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Threes!- これも FunBITS で取り上げたものだが(2014 年 2 月 21 日の記事“FunBITS: Threes は iPhone と iPad の良き友”参照)Threes は iPad と iPhone 用のスタイリッシュなタイルベースのパズルゲームだ。模造品には手を出さないようにしよう! ($1.99、48.8 MB、iOS 6+)

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DEVICE 6 - ユニークな、小説とゲームのシュールなブレンドだ。DEVICE 6 は 1960 年代風のスリラーだが、あなたは次々と推測を続けなければならない。($3.99、137 MB、iOS 5.1+)

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Blek- このゲームで、あなたは動く線を描き、色の付いたサークルを集める。ベストセラーの Blek は、書道の課題とも言える。($2.99、28 MB、iOS 6+)

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Leo's Fortune - iOS 用ゲームの中で、グラフィック的に最も印象的なものだ。Leo's Fortune はプラットフォーム型ゲームで、あなたは口ひげを蓄えた空気注入式の毛玉となり、全財産を盗んだ盗人を捜す。($2.99、97.6 MB、iOS 7+)

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Day One - iPhone、iPad、および Mac 用の日記アプリ Day One は、その日の天候や位置情報などを自動的に読み込むことができ、さらに日記をウェブページとして出版することもできる。(Mac 用:$9.99、13 MB、10.7.4+。iOS 用: $4.99、24.4 MB、iOS 7+)

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Yahoo News Digest - その日の主要ニュースの要約をあなたの iPhone に毎日二回ずつ配信する Yahoo News Digest は、さまざまの情報源からニュース情報や発言引用、写真などを集めて届けてくれる洗練されたニュースアプリだ。(無料、19.2 MB、iOS 7+)

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Teachley: Addimal Adventure - 学生がデザインした iPad 用の教育的ゲーム Addimal Adventure は、漫画の動物たちを使って初歩的な算数を教える。[訳者注: Addimal というのはもちろん animal (動物) と add (足し算する) を混ぜた造語で、作者は三人の教育学専攻女子大学院生です。](無料、129 MB、iOS 6+)

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PanoPerfect - これも学生による受賞作だが、PanoPerfect は iPhone の上でパノラマ写真を共有することを目的に作られた、ソーシャルネットワークだ。(無料、3.5 MB、iOS 7+)

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2014 年 6 月 9 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Keyboard Maestro 6.4.3 -- Stairways Software の Peter Lewis が Keyboard Maestro 6.4.3 をリリースした。マクロエディタが(特に Google Chrome アクションについて)過剰に CPU サイクルを食い尽くしてしまう問題点を解消した、小さなアップデートだ。今回のリリースではエディタウィンドウで目に見えるアクションのみをアップデートし、Quit/Hide Applications の非編集モード表示で誤ったテキストがあったのも修正している。(新規購入 $36、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、24.8 MB、リリースノート、10.8+)

Keyboard Maestro 6.4.3 へのコメントリンク:

Tinderbox 6.0 -- Eastgate Systems が Tinderbox 6.0 をリリースした。メモや予定、アイデアなどを保存し整理しておくために使う個人用コンテンツアシスタントの、メジャーなアップデートだ。(TidBITS で初めてレビューしたのは 2002 年であった。2002 年 10 月 14 日の記事“Tinderbox でハートに火を点けて”参照。)今回一から構想を練り直し書き直された Tinderbox には、一つの書類を(そのどのセクションでも、また全体的にも)複数の方法で調べられ、タブ付きウィンドウによって異なる表示を切り替えられ、新しいマッピング図形やバッジも付き、柔軟性のある Get Info ポップオーバーも備えた Attribute Browser が加わった。また Tinderbox は位置情報や書籍を扱う際に住所や ISBN によってあなたの必要を予測する機能にも対応し、各エージェントに独自のプロセッサを割り当てて素早く更新できるようにした。過去一年間に (2013 年 5 月 29 日かそれ以降に) Tinderbox を購入またはアップグレードした人は無料で Tinderbox 6.0 にアップグレードできる。それより以前にライセンスを購入した場合は $98 で Tinderbox 6.0 にアップグレードできる。(新規購入 $249、無料アップデート、37.5 MB、10.8+)

Tinderbox 6.0 へのコメントリンク:

BBEdit 10.5.11 と TextWrangler 4.5.9 -- Bare Bones Software が BBEdit 10.5.11TextWrangler 4.5.9 をリリースし、双方のアップデートともデリミターのバランス機能がクラッシュを起こすことがあったのを修正するとともに、起動時に時々起こることのあったクラッシュも解消している。これら二つのテキストエディタではまた、監視されたフォルダについて不正な変更通知が送られてしまった「捕らえどころのない」挙動を回避している。その挙動の結果として Scripts、Text Filters、Stationery、Clippings の各メニューに不必要な更新が起こっていた。BBEdit 10.5.11 では動作中のブラウザを探知する機能を妨げていた OS X 10.8 Mountain Lion のバグを直し、Dropbox の探知が (~/.dropbox/ のディスク上フォーマットを変更した後で) コンテンツへのアクセスの際にきちんと働くようにし、その他にも二件のクラッシュの問題を修正した。(BBEdit は $49.99、無料アップデート、13 MBリリースノート; TextWrangler は無料、9.5 MB、リリースノート)

BBEdit 10.5.11 と TextWrangler 4.5.9 へのコメントリンク:

Fission 2.2.1 -- Rogue Amoeba が Fission 2.2.1 をリリースし、Apple 以外のアプリケーション (例えば doubleTwist の AirPlay Recorder など) が生成した非互換な ALAC ファイルにおける問題点を修正した。このオーディオエディタではまた、着信音を保存する方法を改善して互換性を高めた。ただし Mac App Store ユーザーは iTunes の読み込み設定によってはファイルの重複を経験するかもしれない。Rogue Amoeba は今回から同社のすべてのアプリが同一のビットレートオプションを提供するようにして一貫性を高めた。また Fission は FLAC または ALAC ファイルに書き出す際にファイルの冒頭に不要な空白が入らないようにするとともに、GSM、MS IMA、QT IMA、CAF の各フォーマットを開くようになった。(Rogue Amoeba から新規購入 $32、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.5 MB、リリースノート、10.7+)

Fission 2.2.1 へのコメントリンク:

1Password 4.4.1 -- AgileBits が 1Password 4.4.1 をリリースした。今回から、1Password データベースから毎月一つのバックアップを作成しそれを最大二年間保存するようになった。このパスワードマネージャは引き続き毎日のバックアップも(データに変更があった場合は)作成するが、毎日のバックアップを 30 個作成した後は月に 1 個のバックアップに切り替わるということだ。また、 WhiteHat Aviatorにも対応した。WhiteHat Security が開発したこの無料のウェブブラウザは、プライベートブラウズ、広告ブロック、および Do Not Track 機能をデフォルトで有効にする。今回のアップデートではまた 1Password mini の Password Generator を改善して最大 50 文字までのパスワードを生成できるようにし、Watchtower を最後にアップデートした日を (Preferences > Watchtower で) 見られるようにし、mini の詳細表示ポップオーバーの表示の遅延時間を短くし、1Password mini との組み合わせで CPU 使用量を急増させていた同期の問題を修正し、ログファイルのサイズを(バージョン 4.4 で導入されたバグによりサイズが過大になっていたのを修正して)減らし、翻訳語版もアップデートしている。(新規購入 $49.99、TidBITS 会員 が AgileBits から購入した場合 25 パーセント割引、 Mac App Store からも購入可能、無料アップデート、38.9 MB、 リリースノート、10.8+)

1Password 4.4.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2014 年 6 月 9 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Josh Centers が The Tech Night Owl ポッドキャストで WWDC について語り、私たちスタッフの Tonya Engst、Michael Cohen、Glenn Fleishman がデジタル出版について討論し、HBO の John Oliver のせいで FCC のコメントシステムが壊れ、Apple は自己定量化の戦いにおける強力な協力者を得ようとしている。

Josh Centers、The Tech Night Owl で WWDC の発表について語る -- 編集主幹 Josh Centers が The Tech Night Owl ポッドキャストでホストの Gene Steinberg と対談し、今年の WWDC で Apple が発表した数多くの新製品や新機能、OS X Yosemite、iOS 8、iCloud Drive、Swift などについて語った。

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デジタル出版を裏から表から議論 -- デジタル出版者でありポッドキャスターでもある Glenn Fleishman が、The Periodicalist という新しいポッドキャストを始めた。その第二エピソードで(と言っても初めて録音されたのはこちらだが)私たちスタッフ Tonya Engst と Michael Cohen、それに Macworld の Serenity Caldwell が、今の時代にデジタル本を制作するにはどうすればよいかを議論する。e-出版者になるために知っているべきあらゆることを議論しつつ、さまざまの洞察や苦労話が語られる。

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John Oliver、ネット中立性の話題で FCC の機能を停止させる -- Daily Show[訳者注: 政治風刺ニュース風のコメディー番組]に出演していた John Oliver は現在 HBO の "Last Week Tonight" のホストをしているが、FCC が最新の「ネット中立性」提案書において ISP に料金を支払ったコンテンツプロバイダが「優先レーン」を獲得できるとした点についてこの委員会に意見を積極的に投稿しようと視聴者たちに呼びかけることにより、FCC のコメントシステムを機能停止させてしまった。FCC のコメントシステムは 2014 年 6 月 2 日のほぼ丸一日間ダウンしたままだったが、それでも提案された規則に関する 1,414 件のコメントを集めることができた。記事の中にあるリンクから、ネット中立性について Oliver が説明するとても愉快なビデオをぜひご覧あれ。(ただし露骨な言葉遣いに注意。結局のところこれは HBO なのだから。)

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Apple の新しい Health アプリは Epic かもしれない -- 今年の WWDC キーノートの中で、Apple は Fitbit などさまざまの健康管理ツールからのデータを一ヵ所に集める iOS 8 の新しいアプリ Health を発表した。けれども Apple が隠し持っている本当の秘策は Epic Systems との提携ではあるまいか。米国有数の電子的健康記録会社である同社は、米国内の健康管理記録の 40 パーセントほどを保有している。提携が実現すれば、Health アプリはこの Epic の健康記録に直接接続することができるかもしれない。

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