TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1244/13-Oct-2014

Apple は携帯電話の盗難を阻止する目的で iOS 7 において Activation Lock 機能をデビューさせたが、今回同社は指定したデバイスがロックされているかどうかを判定できるオンラインツールをスタートさせた。Josh Centers が、この新しい Activation Lock チェッカーの使い方を解説するとともに、中古の iPhone を購入する場合にこれを使うべきである理由を説明する。Apple と Google はデバイスをさらにセキュアなものとするためにそれぞれ対策を講じつつあるが、それに対する非難の声を上げる捜査官たちもいる。セキュリティ担当編集者の Rich Mogull が、この論争の双方の側を分析する。今週号ではまた、Josh が iOS 8 で新たに登場した他社製キーボードの世界に飛び込み、FunBITS 記事ではカメラアプリ Manual を試してみる。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Backblaze 3.0、GraphicConverter 9.4、OmniFocus 2.0.3、ChronoSync 4.5.3 および ChronoAgent 1.4.7、Carbon Copy Cloner 4.0、1Password 4.4.3、それに DEVONthink/DEVONnote 2.8 だ。

記事:

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Activation Lock について知っておくべき事

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

新しい iPhone が市場に出て、アップグレードする人達が旧モデルを売ろうとするので、中古の iPhone を探すには絶好の季節である。中古 iPhone はお買い得ではあるが (iPhone 5 は今でも人気がある!)、中古品を買うのは気疲れするものである。と言うのも、知らない人とやり取りしなければならないし、支払い方法も合意しなければならいし、そしてその iPhone には隠れた問題がないかどうかの心配もしなければならないからである。しかしながら、Apple からの新しいツールのお陰で、少なくとも、その iPhone は盗まれたものではないことを確かめる事が出来る。

iOS 7 の時に、Apple は Activation Lock を導入した。これは Settings > iCloud で Find My iPhone をオンにした時に有効になる。(これは iPad や iPod touch でも同じ様に働くが、ここでは iPhone に焦点を当てる。) Activation Lock が有効化されると、次のことが出来なくなる:

これらの機能の狙いは泥棒のやる気をそぐことである。何故ならば、Activation Lock が一旦有効化されてしまうと、盗まれた iPhone は泥棒にとっては価値がなくなってしまうからである。或いは、少なくとも、買い手側が Activation Lock がオフにされているかどうかを確かめる術を知っている限りは、そうと言える。

Activation Lock を不能にするやり方は二つあるが、これが必要となるのは、サービスのためにそれを送る前、或いは、別のアカウントでそれを再有効化する必要がある人に売る前である。そのやり方は、Find My iPhone を Settings > iCloud でオフにするか、或いは、Settings > General > Reset > Erase All Content and Settings でその機器を完全に消去してしまうかである。どちらの場合でも、最初にあなたの iCloud パスワードを入力するよう促される - これは泥棒が知るはずのない鍵となる情報である。

勿論、あなたの iPhone が盗まれたと分かっていれば、Find My iPhone を使ってそれを Lost Mode にするか、或いは、あなたのデータが見られないようにそれを遠隔で抹消してしまうことも出来る。Activation Lock は、抹消された iPhone 上でも生き続けるので、泥棒がそれを再有効化することは出来ない - そうされてしまった時点でそれは単なる見かけの良い文鎮の役しか果たさなくなる。(盗まれた iPhone が帰ってきたら、それをバックアップから復元でき、Activation Lock を通り過ぎる時、促された時点であなたの iCloud パスワードを入力する。)

では、中古 iPhone を買おうとしているあなたはどうすれば良いのか? 前述したように、Apple は Check Activation Lock Status ツールを導入した (これはモバイルブラウザーでは働かないので注意が必要)。これを使うには、その機器の IMEI (international mobile equipment identifier) 或いはシリアル番号が必要となる。これは Settings > General > About で見ることが出来る。この IMEI 或いはシリアル番号は機器の背面パネル上にもあるが、これを見るにはよほど視力が良いか、或いは拡大鏡が必要である。

機器の Activation Lock の状態を調べるには、IMEI 或いはシリアル番号を入力し、それから CAPTCHA (ゆがんだ文字を読み取るテスト) を入力する。私はこの CAPTCHA を読み取るのに苦労した経験があるので、あなたも何回かの繰り返しが必要になるかもしれない。代替策として、Vision Impaired をクリックすれば、音声 CAPTCHA が得られる。

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そうすると、その Web ページで Activation Lock がオンかオフかが見られる。もしそれがオンであれば、Apple は次の情報につながるリンクを提供する。

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Apple の Check Activation Lock Status ツールを最大限に使う方法として、私は、買うことに同意する前に、売り手にシリアル番号或いは IMEI を要求することをお薦めする。こうすれば、時間のムダではないこと、或いは好ましくない状況に陥ってしまうのではないことを確かめられる。

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Apple と Google、公民権論争の口火を切る

  文: Rich Mogull: rich@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iOS 8 の中にある一つの小さな機能が、Apple の Worldwide Developer Conference のキーノートではほとんど触れられもしなかったにもかかわらず、公民権に関する大きな論争を生んだ。Apple は次のように述べた。iOS 8 以降、Apple が提供するすべてのアプリは Data Protection で暗号化される。この暗号化はあなたのパスコードとあなたのデバイスに埋め込まれた特殊な ID とを組み込むことによって Apple でさえ回復できないものとなる。[訳者注: 日本では「公民権」という用語は被選挙権・選挙権のみに限った意味に使われることもありますが、この記事に言う「公民権 (civil rights)」は、憲法によって保証された個人の権利すべてを指します。]

その意味するところは何ヵ月もの間明らかであったが、これが広く意識されるようになったのは、プライバシーに対する Apple の姿勢を述べた公開書簡を Tim Cook が発表した後のことであった。この公開書簡の中で彼は、あなたのデバイス上のデータに Apple がアクセスする可能性がテクノロジーのお陰でほぼなくなり、法的機関または政府が Apple にそれを強制しようとしても実行が不可能になることを強調した。(2014 年 9 月 24 日の記事“Apple、プライバシーについて声明”参照。)これを受けて FBI 長官の James Comey は素早く反応し,、「人々が法律の手の届かないところに自らを置くことができるようにするという明確な意図を持って会社が何かをマーケティングすることに、私は懸念を抱かざるを得ない」と述べた。

他の法的機関の当局者たちも、それぞれの非難の言葉でこれに続いた。シカゴ市の刑事局長に至っては「Apple は小児性愛者どものための電話機となるだろう」とまで言い切った。あ痛っ。

話を続ける前に、私について皆さんに知っておいて欲しいことが三つある:

視点を明確にすることは重要だ。ライターとして、私たちは常に自分の経験による先入観にとらわれた見方をしているものだ。とりわけ、私たちの公民権を私たち自身や他の人たちの持つ根源的な恐れと戦わせるような、感情的な問題についてはなおさらだ。私たちを保護するという任務のために私たちの電話機へのアクセスが重要であると見る法的機関の当局者たちを、私たちが非難すべきとは言えないけれども、それと同時に、どれだけ感情的効果の大きいものであったとしても、統計的に頻度の低い出来事のためにそれよりもっと重大かつもっと一般化されたリスクを生み出すべきではない。

iPhone はずっと以前から法的機関の苛立ちの種であった -- iPhone が初めて出現した時、私は企業による採用は避けるべきだと助言したアナリストたちの一人だった。それは主としてセキュリティの懸念からだ。初代の iPhone には事実上何のセキュリティもなかったが、アプリも、事実上何もなかった。その後 Apple はこのプラットフォームが攻撃を跳ね返す力を劇的に高め、誰かが物理的にデバイスを手にしたとしても、攻撃に耐えられるようにした。

それだけのレベルのセキュリティが得られたのは、Apple が Data Protection を iOS に実装した方法のお陰だ。あなたの iPhone は常に暗号化されているが、それは容易く回避できる手法によるものだ。けれども Data Protection は、パスコード(ただしあなたがそれを設定している場合)と、そのデバイスのハードウェアに焼き付けられた固有の識別番号とを絡み合わせることにより基本的な暗号化を拡張した。このコードをデバイスから取り出す手段はないので、暗号鍵を保護する「トータルな」パスコードの長さが劇的に長くなる。

電話機の暗号化を破るためのかなり有効なテクニックの一つは、情報源のデバイスからデータを取り出して、もっと大きな、もっとパワフルなコンピュータから力づくの攻撃を仕掛けるやり方だ。そこで Apple はデバイス固有コードを戦略に組み込むことによって、iOS の暗号化されたデータをたとえ世界最大のコンピュータでさえも、またデバイスからデータのイメージを丸ごと取り出せたとしても、事実上クラックできないようにした。法的機関(および犯罪者たち)が使っている科学捜査ツールの大多数は、iPhone (や iPad) 自体の上で、その中に埋め込まれたプロセッサにデバイス固有コードを混ぜ込ませつつ暗号化をクラックしなければならない。しかしながら、そのハードウェアでは速度に限界があるので、パスコードが 6 文字程度に達するやいなや力づくで破るには長い年数が(ひょっとすると何世紀も)かかり得るようになる。

Data Protection は iOS デバイスの少なくとも最近三回の改訂にわたって存在していたけれども、その間ほんの少しの範囲にしか保護の働きをしてこなかった。すなわち電子メール(これは警察がサーバから手に入れることができる)と、Data Protection API をオンに切り替えたアプリのみだ。_Apple は、誰のためであっても、このデータに一度もアクセスできていない_。けれどもそれ以外のデータ、例えばテキストメッセージ、写真、Data Protection をオンにしていないアプリのデータ、連絡先、その他多くのものが暴露されてきた。

iOS データのセキュリティに関する論文の中で、私はこれらの限界について詳しく分析した。私の企業クライアントたちにとってはこれがセキュリティ上の大きな頭痛の種だったからだ。あなたが本気で iOS デバイス上のデータをセキュアにしたいのなら、極めて注意深い姿勢を崩さず、あらゆる種類の追加セキュリティコントロールを駆使する必要がある。だからこそ私は中国に旅行した際に、私の普段のアカウントやデータに一切アクセスしない「クリーン」なデバイスのみを持って行ったのだ。

iOS 7 は Data Protection をあらゆるサードパーティのアプリへと(API を使わずに)拡張した。そして、iOS 8 においては、ただ単にそれを Apple の提供するアプリすべて、Messages、Camera、その他に広げただけだ。

Apple は、小児性愛者を保護するために故意に法的機関を締め出した訳ではない。Apple は、私たちすべてを一般的な犯罪者たちから保護するために、切望されていたセキュリティコントロールを追加したのだ。

バックドアの悩みの種 -- 法的機関の当局者の中に私たちの電話機にアクセスするのが自分たちの権利だと考える人がいるのは驚くに当たらない。非軍人の法的機関が生まれて以来、私たちは警察の捜査権を認めてきた。つまり、私たちの頭の中にあるもの以外にはすべて、適切な裁判所命令があればアクセスできる権利だ。

相当な理由があれば、警察は私たちの郵便物を読んだり、私たちの家に立ち入ったり、私たちの電話を聴いたりなどができる。警察官の多くは、世界をそのように見ている。全体主義的な悪意を持ってではなく、社会を守るために彼らに委ねられた法的特権としてだ。令状を得て、命令を得て、情報を得る。それらはすべて、法的手続きの一部だ。

けれどもテクノロジーの進歩により、現代社会は昔ほどクリーンなものではなくなった。防衛の世界には「二重用途 (dual use)」という用語がある。これは、善にも悪にも利用できるテクノロジーを意味する。スキーでパトロールをしていた頃の私は、爆薬を使って雪崩を引き起こしていた。それと同じ爆薬が、建築現場でも、また軍需物資の中でも使われている。

法的機関は、とりわけ連邦捜査当局は、テクノロジーにバックドアを要求し、無理強いしてきた歴史を持つ。1994 年の法律 Communications Assistance for Law Enforcement Act (CALEA) は、すべての電気通信設備メーカーに対して法的機関のための遠隔盗聴をハードウェアの中で可能にするよう義務付けている。けれどもこの CALEA のバックドアは、犯罪者たちからも、また諜報機関からも悪用されてきた

去年、 New York Times は Obama 政権が CALEA-II を後押ししようとしていることを暴露した。CALEA-II は あらゆるインターネットコミュニケーションサービス に対して、法的機関による直接の盗聴のためのバックドアを含めるよう要求する。すべてのチャットプログラム、ソーシャルネットワーク、さらにはテレビ電話のツールに至るまで、法的機関のための秘密の入り口を提供しなければならなくなるというものだ。

さらにもっと強い懸念が NSA (国家安全保障局) の監視活動にある。技術的に言って、その種のバックドアを築けば、必ずアタッカーによる悪用の可能性が伴う。あらゆる盗聴インターフェイスは二重用途 (dual use) であり、悪用に晒される。アタックや乱用の心配のない監視テクノロジーを作るのに成功した人は誰もいない。

既存の捜査能力を保持するための近視眼的試みとして、FBI (連邦捜査局) はコミュニケーションにおけるセキュリティをインターネット全体にわたって減らす方向に押し進めている。それは、それらの会社の世界的競争力をも破壊する方向へと進むだろう。そしてまた、現在 Microsoft はアイルランド在住の顧客からの個人的な電子メールメッセージをアイルランドのデータセンターから米国の法的機関に提供しなかったかどで法廷侮辱罪の追求を受けているところだ。そんなことをすれば、アイルランドの法律に違反するというのに。裁判所内でのこの事件は、米国に本拠を置くすべてのクラウドコンピューティングプロバイダに世界的な市場を失わせる結果となる可能性を秘めている。

錆び付いた鍵 -- 2014 年 10 月 3 日、Washington Post Editorial Board は、 Apple と Google に対して "Golden Key" (黄金の鍵) を作って 法的機関に提供し、法的機関が裁判所命令を持って要求した場合にのみ電話機へのアクセスを許すようにすることを提案した。私も、概念としてはそういうアイデアに反対する訳ではない。ただ、技術的に不可能だと言いたいだけだ。

どんなセキュリティ専門家であろうと、暗号作成者であろうと、セキュアな黄金の鍵が可能だと思っている人など私は一人も知らない。とりわけ、広範囲の法的機関当局者たちに、長期間にわたって、さまざまな事件のためにアクセスできるようなものなど、到底あり得ない。これに最も近いと考えられるものは、 Internet DNS 署名鍵の 14 人の所有者(と 7 人のバックアップ)だが、これは彼らが地理的に互いに大きく離れた場所にいてめったに会うことがないからこそ働くシステムだ。同様のことを法的機関で作ろうとしても、現実の法的機関で進行中の必要を到底捌き切れないだろう。

しかもそれは、_すべての_ 電話機にバックドアを設置することの国際的な意味合いを全く無視しての話だ。バックドアはどこの国の政府によっても悪用されるかもしれないからだ。

Apple は明らかに、セキュリティを自らの競争上の優位性と見ている。 それは私も、Tim Cook のメッセージの何ヵ月も前から指摘してきたことだ。とりわけ Google は、最近のいくつかの失敗事例にもかかわらずいかにセキュリティ機能を強化したとしても、そのビジネスモデルの本質の帰結として Apple ほど高いレベルではプライバシーを保つことができないのだから。(プライバシーとセキュリティが別物であるのをお忘れなく!)けれども、積極的にマーケティングをしているからといって、Apple がまず長年知られていたセキュリティ欠陥を閉じ、その後でマーケティングにてこ入れしたという事実は消えない。

司法長官 Eric Holder は、Apple と Google が児童虐待を止めるための法的機関の力を「妨害している」と主張した。私は児童虐待の現場を目撃したことがある。もちろん FBI 係官とはそもそも規模が違うのかもしれないが、それでも私はこの世界に恐怖が潜んでいることを知っているし、その結果を直接目にしたこともある。その種のことを、実際その場にいた当時の同僚たちとの間でない限り、私は語らないようにしている。どれほど統計的に稀なことであろうと(そして虐待の大多数は家族によるものだ)多くの親たちと同じように私も自分の子供たちのために危惧を抱いている。まだ生まれて間もない子供たちが死なないよう 24 時間週 7 日見守り続け、SIDS (乳幼児突然死症候群) や、食べられない物の誤飲、電源からの感電、その他幼児にとってのさまざまの危険を心配した日々を、私は今でもはっきりと思い出す。万一子供たちに何かが起これば、どんな法律や社会的規範が彼らを保護する私の能力を邪魔しようと、私はものともしないだろうし、誰か他の人の子供を救いたくてその方法も能力もない場合の、どうしようもない無力感を私はよく知っている。それはとても強い、感情に支配された力だ。

法的機関のコミュニティーが私たちのデバイスへのアクセスを確保したいと思う動機や意欲は私も十分に理解している。そのようなアクセスがあれば、さまざまの事件の捜査がスピードアップし、解決することもあるだろう。時には、警察が私たちを守って世にある最悪のものへと落ちるのを防いでくれることもあるだろう。その任務の途上で、法的にアクセスを認められたデータを収集しようとする際に、Apple や Google が邪魔をしていると彼らが考えるのも理解できる。それは、時には、命を救うこともあるデータだ。

けれども法的機関は、テクノロジー会社が悪い連中を保護しようとしているのではなく、止めようとしているのだということを理解する必要がある。iOS 8 より前に私が企業や個人のデータの保護を困難にする iOS のセキュリティの抜け穴について、クライアントたちを手引きして詳しく説明しなければならなかったことを理解する必要がある。その種のバックドアが既に世界中で言論の自由を抑圧する目的で使われ、時には命にかかわる結果を生んでいるということを理解する必要がある。この暗号化がなければ、私たちは皆セキュアでない状態に陥るということを、理解する必要がある。

社会は、テクノロジーの力に押されて甚だしい激変のただ中にある。私たちのソーシャルおよびコミュニケーションの構造が根本的に変わりつつある中で、プライバシーと、公民権と、そして政府の役割との向く道筋が、転換しようとしているのだ。この変化に際して、私たちのすべての情報への広範なアクセスを私たちの政府に提供してよいのか、それと同時に、自らを犯罪者たちから守る私たちの能力を減らすことになってよいのか、私たちは決断する必要がある。そして、もしもより強力な内在的セキュリティを支持する側から私たちが逸れてしまえば、犯罪者たちが、その中でも最悪の者たちが、時には逃れて行ってしまうこともあるということに、私たちは気付く必要がある。

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iOS 8 用他社製キーボード、説明とレビュー

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iOS 8 の最も興味深い機能の一つは、Apple が他社製キーボードに iOS を開放したことだ。Google の Android モバイルオペレーティングシステムはもう何年も前から開発者たちがカスタムシステムキーボードを作ることを許しており、その結果として例えばキーボード上に指で描いて単語を入力できる Swype のような興味深い実験も登場している。

その Swype のようなキーボードが、ようやく iOS でも使えるようになった。ただ、それらのキーボードを有効にして使うやり方は必ずしも一目で分かるものではない。また、それら他社製キーボードの中にはインターネットに接続するものもあるので、それがあなたのプライバシーにどのように影響を与えるかという懸念もある。

他社製キーボードのセットアップ -- そういうわけで、あなたが(ひょっとしたらこの記事を読んでのことかもしれないが)何らかのキーボードについて知り、それをインストールしたいと思ったとしよう。まず初めに知っておくべきなのは、キーボードが本質的にアプリに付随しているということだ。つまり、 Fleksy キーボードが欲しければ App Store から Fleksy アプリをダウンロードしてインストールしなければならない。では、その次には何をするのか?

ちょっと紛らわしいが、そのアプリ自体からキーボードをアクティベートするのではない。アクティベートの方法を書いた説明書をアプリが示してくれることはあるかもしれないが。

その代わりに、キーボードは次のようにセットアップする。まず Settings > General > Keyboard > Keyboards > Add New Keyboard に行く。すると、見出しに Third-Party Keyboards と書かれたところがあるはずだ。その下で、追加したいキーボードをタップする。通常はそれでキーボードが追加されるが、場合によっては個別のオプションを選択しなければならないこともある。例えば Smile の TextExpander は五ヵ国語のキーボードを提供している。

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では、アプリを使ってキーボードを追加するのでないなら、何のためにアプリはあるのか? 私がテストしたキーボードの大多数では、そのコンテナアプリが追加の設定や、説明書を提供し、さらにはそのキーボードを使う練習をする場所を提供するものまであった。また、TextExpander のようにキーボードのデータや機能の一部をここで提供するものもある。そしてもちろん、キーボードが App Store に置かれるのはアプリを通してだ。

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Full Access とは何か? -- 私がテストしたキーボードの大多数は、あなたが Full Access 機能をオンにすることを要求する。Settings > General > Keyboard > Keyboards に行き、そのキーボードの名前をタップしてから Allow Full Access スイッチを入れておかなければならない。

すると、あなたが本当に Full Access を有効にしたいのかを確認する次のような厳しい警告が出る:

  フルアクセスは、あなたがタイプしたすべてのことが、このキーボードを使ってあなたが過去にタイプしたことも含め、このキーボードの開発者によって送信されることを許します。その中にはあなたのクレジットカード番号や住所など機密を要する情報も含まれるかもしれません。

何てこった! でも、Full Access をオンにしなければ使えないキーボードもある。例えば PopKey はアニメーション GIF でタイプできるようにするものだが、Full Access が有効でなければ絵文字しか示さない。また、SwiftKey は Full Access がオフならばその機能の大多数、例えば自動修正、単語提案、SwiftKey Flow などを無効にするばかりでなく、感じの悪い警告メッセージも表示する。

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しかしながら、たとえ Full Access がなくとも、たいていのキーボードは動作する。ただ、機能が減るだけだ。例えば Fleksy は問題なく働くけれども、設定を変更したり、新たな言語を追加したり、辞書に単語を登録したりができなくなり、その他いくつかのマイナーなこともできなくなる。

では、実際のところ Full Access は何をするのか? 最も簡潔に言うなら、これによってキーボードがそのホストアプリとコミュニケーションできるようになる。それ自体としては、何も悪いことではない。例えば TextExpander がテキストのスニペットを展開できるためには、そのスニペットを自らのデータベースで調べる必要がある。その反面、これによってアプリにできることならば何でもキーボードができるようになる。例えば、キーストロークその他の情報をインターネット上に送信したりもできるようになる。

残念なことに、これが意味するのは、他社製キーボードの動作の仕方を Apple がデザインし直さない限り、キーボードアクセスのより細かなオプション設定は将来にわたってできそうにないということだ。

けれども、Smile 創設者の Greg Scown がブログ記事の中で指摘しているように、アプリがあなたのキーストロークを保存したり送信したりするのはずっと以前から可能であった。今回違っているのは、そのような挙動を防止できる具体的なコントロールが存在するようになったことで、しかもその能力は大体においてシステム全体にわたって有効だ。

Apple は、ユーザーを保護するために、ある意味で他社製キーボードに制限をかけている。他社製キーボードは、マイクロフォンにアクセスしたり、セキュアな入力フィールド(理論的にはあらゆるパスワード入力フィールドがこれに含まれるはずだ)の中へタイプしたりすることができない。また、個々のアプリの開発者がそのアプリの中で他社製キーボードを使えなくすることもできる。これは機密性の高いデータを扱うアプリ、例えば銀行取引用アプリなどを念頭に置いたものだ。

Apple はまた App Store の審査ガイドラインに次のような条項を記している:

理論的には、もしも他社製キーボードがあなたのキーストロークに対してたちの悪いことをしようとしても、Apple がそもそもの初めからそれを App Store に入れず、たとえ何らかの方法でそこにまぎれ込んだとしても、Apple がそれを App Store から蹴り出すはずだ。でも、Apple が何かの行動をするためには、そもそもその前に何らかの情報漏洩が発生しなければ始まらないだろう。

開発者用マニュアルの中で、Apple はキーボードがする べき いくつかのことの概要を述べている。例えば自動修正や単語提案といったようなことで、まさにそれらのことのために SwiftKey は Full Access を要するのだ。けれども Apple は自らのマニュアルの中で、キーボードはネットワークアクセスがなくても機能しなければならないと書いている。いったい Apple の言う「機能する」とは正確には何を意味しているのだろうか?

現実には、キーボードが絶対に備えていなければならないのは、次のキーボードへ切り替える方法を提供することだけだ。

他社製キーボードを使う -- キーボードのセットアップが済んだら、あとはそれをどうやって使うかだ。テキストフィールドをタップしてキーボードを呼び出してから、左下にある Next Keyboard キー(地球の絵に見える)をタップする。あるいは、このボタンを押さえ続ければ、利用できるキーボードをリストしたポップオーバーが出るので、その中の一つをタップすれば切り替わる。

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もう少し複雑な疑問は、他社製キーボード同士の間でどのように切り替えるかだ。Apple はすべてのキーボードがキーボードを切り替えるスイッチを提供しなければならないと定めているけれども、残念ながらそのための具体的な一つの方法を指定している訳ではない。

その結果として、キーボードを切り替える方法は個々のキーボードによって見栄えも働きも少しずつ違い、混乱の状況を呈している。

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いくつものキーボードを有効にしていれば、それらの間で切り替える度に腹立たしい思いをさせられる。毎回やり方が違ったものになるばかりでなく、キーが置かれている場所も違ってくることが多い。Apple 自身の絵文字キーボードでさえ、ユーザーインターフェイスの無礼さに関して有罪だ。U.S. English システムキーボードと比べて、Next Keyboard キーが一つ左の場所にずれてしまっている。

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さらに悪いことに、開発者たちがキーボード選択ポップオーバーを組み込むことはできない。なので、他社製キーボードに切り替えれば、他のキーボードをぐるぐると一つずつ切り替える以外になくなる。

Apple が改善すべき点 -- 他社製キーボードの使用はまだ始まったばかりだが、使い勝手を改善するために Apple にできることはたくさんある。

まず第一に、キーボードの切り替えをもっとスムーズにできるようにする必要がある。Apple は開発者たちに対してキーボード選択ポップオーバーへのアクセスを認め、ユーザーが素早くキーボードを切り替えられるようにすべきだし、キーボードを切り替えるキーの位置、名称、アイコンを仕様に定めるべきだ。現在のルールの下では、ジェスチャーを使ってキーボードを切り替えることすら技術的には可能となっていて、そんなことになればユーザーが現状をはるかに超える程度に推量に推量を重ねなければならなくなる。

第二に、iOS 8 の自動修正やテキスト予測のメカニズムのように、Apple が開発者たちに開放すべきキーボードのリソースは他にもたくさんある。現状では、開発者たちがあらゆるキーボード機能を一から再作成しなければならず、結果としてキーボードの見栄えも動作も標準の iOS 8 キーボードとは大きく違ったものとなり、必要以上にユーザー体験を損なっている。理想的には、開発者が一から始めるのでなく、アプリが標準的なキーボードを出発点として利用し、望みの機能性の部分だけ変更するようになれば良いのではなかろうか。

第三に、より良いプライバシーコントロールをキーボードに望みたい。自分のキーストロークが記録されるという可能性にまだ馴染みがないので私がそう思うだけなのかもしれないが、現時点では、開発者に何でも好きなことをさせるか、それとも部分的にしか機能しないキーボードで我慢するかの二者択一しかない。私としては、キーボードのコンテナとなるアプリにもっと細かなプライバシー設定が提供されるようになって欲しい。

私がお薦めするキーボード -- 以下では簡単のため、キーボードを二つのカテゴリー、代替用キーボードとユーティリティキーボードに分けて話をしたい。ここで代替用キーボードというのは、テキスト入力の方法を全般的に作り直そうとするキーボードという意味だ。Fleksy、SwiftKey、Swype といったアプリがこれに属する。

それとは対照的に、ユーティリティキーボードというのは標準的なキーボードでは利用できない機能を提供するものだ。PopKey が完璧な実例となる。これはテキストをタイプするものではなくて、アニメーション GIF をタイプするものだからだ。また、TextExpander のようなキーボードもここに含めたい。これは iOS 全般にわたってあなたのスニペットにアクセスするのに便利なように作られていて、必ずしもあらゆるアプリでメインのキーボードとして使いたいと思うようなものではないからだ。

私がこのようなカテゴリー分けをした理由は、ここでまず最初にお薦めしたいのがメインのキーボードとして使うもの(システムキーボードか、または代替用キーボード)を一つ選び、それから必要に応じてそれを補助するためにユーティリティキーボードを一つか二つ選ぶというやり方だからだ。一度にあまりたくさんのキーボードを有効にしない方が良い。そんなことをすると、それらの間で切り替えようとしてすぐにイライラが溜まるからだ。選び方の例を二つ挙げてみよう:

メインのキーボードについては、私はまだ Apple のシステムキーボードに匹敵できるほどの他のものを見つけていない。システムキーボードは正確で、信頼でき、何よりも無料で既に馴染みがある。その上 iOS 8 では QuickType の単語提案機能もあるので、以前よりもっと高速にタイプできる。

けれども、もしも Apple のキーボードの代替となるものが欲しいということなら、現在のところ Swype ($0.99) がベストだろう。これが最も洗練された選択肢でもある。指でなぞってタイプするというこの革新的なやり方を発明したのは Cliff Kushler で、彼は従来型の携帯電話用の T9 テキスト入力も開発した。個人的に私はキーボードの上でなぞって入力するやり方を好きではないが、そういうやり方を試してみようという方には Swype こそがオリジナルかつベストだろう。

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それ以外の興味深い代替用キーボードとしては、ジェスチャーを中心にした Fleksy ($0.99) や、極めて圧縮されたキーボードを使う Minuum ($1.99) などがある。圧縮されたキーボードでも、賢いテキスト予測によって正しい文章が打てるようになる。いずれも、日常的に使うにはちょっと奇妙過ぎると私は思ったが、人によってはうまく使いこなせるかもしれない。

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代替用キーボードにおける問題は、その多くが時間の節約になると約束しているけれども、いずれも私たちが慣れ親しんだものとはかなり違っているので、順応するまでに時間がかかることだ。長い目で見れば時間の節約になるのかもしれないが、そこに達するまでに必要な習熟曲線に見合うだけのものになるかどうかには疑問の余地がある。また、あらゆる状況下で他社製キーボードが使える訳ではないので、そのキーボードに慣れても時々はまた Apple のキーボードに戻らなければならないとなれば、混乱は避けられないだろう。

SwiftKey についても少しだけ触れておこう。SwiftKey は Android 用の他社製キーボードとしては人気あるものの一つで、何でもこなす多才なキーボードと言える。賢いテキスト予測、Swype 風の指でなぞる単語入力、その他多くの機能を提供する。

けれども私はこれを信用しない。私はこれまで Android を信用したことがないし、そういうものが iOS にやって来ても信用できない。具体的な理由もいくつかある:

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開発した会社はこれらの懸念にブログ記事で答えているが、SwiftKey が高度な機能のために Full Access を必要とすると説明して「しかしながら、ここではっきりとさせておきたいのは、あなたが SwiftKey Cloud サービスでそれらの便宜を得るようオプトインしない限り、いかなる言語情報もあなたのデバイスから外へ出ることはないという点です」と述べている。

私はまだ納得できない。けれども SwiftKey は無料で試すことができるので、皆さんはどうぞご自分の判断に従われるのがよいと思う。

ユーティリティキーボードについては、私はもっとずっと楽観的だ。私が現在最も気に入っているのは PopKey (無料) だ。これはアニメーション GIF を集めたデータベースを提供し、あなたが表明した共感度の順にそれらを並べる。私は、これをある種の高度な絵文字だと考えている。ウィンクしている顔の絵文字も良いが、有名な俳優がゆっくりと眉を上げるアニメーションははるかに多くを語る。

私が PopKey で気に入らない点の一つは、サインアップ時に電子メールアドレスを登録し、その上アクティベーションコードを受け取るために電話番号まで教えることを要求する点だ。私はアクティベーションコードを受け取っていないが、それでもキーボードはとにかく動作する。PopKey の開発社 WorkshopX Inc. の共同創設者 Adrian Salamunovic は私の質問に答えて、登録が必要なのは自分の GIF をアップロードしてそれらをデバイス間で転送するためであり、電話番号によるアクティベーションはただ単に登録作業を早めるためだけのものだと述べた。Salamunovic はまた、そのようにすることで不快なコンテンツや違法なコンテンツがアップロードされるのを妨げる役に立つとも述べた。

PopKey よりも侵入の度合いが少ないのが Riffsy (無料) だ。ただ、私が見るところ Riffsy の方が信頼性が低いようで、提供される画像はサイズ的にあちこち散らかってしまう傾向にある。それとは対照的に PopKey は画像のサイズが一貫している。どちらのキーボードも機能するために Full Access が必要となる。しかしながらこの場合私はあまり気にならない。私がどんなアニメーション GIF を挿入したかによって、誰かが何かを見つけ出すことがあるとは思えないからだ。

私はまた新しい TextExpander($4.99) のファンでもある。TextExpander に、他社製キーボードが付属するようになった。iOS のどこにいても私のスニペットにいつでもアクセスできるというのは、流れを大きく変える大事件だ。特に、Apple の iCloud 同期にある独自のテキストショートカット実装があまり信頼できないのだからなおさらだ。けれども、TextExpander をメインのキーボードとして推薦することはまだできない。まだまだ粗削りなところが見られるからだ。単語提案の機能はないし、iPhone 6 と iPhone 6 Plus ではバグのせいでキーボードが何となくランダムに広がったり縮まったりする。(聞くところによればバグ修正が既に Apple に提出されていて現在認可待ちとのことだ。)TextExpander も Full Access を必要とするが、開発社の Smile は(長年の TidBITS スポンサーでもあり)素晴らしい評判を得ており、現実的なビジネスモデルも持っているので、私はここになら喜んで Full Access を与えることができる。

iOS における他社製キーボードはまだまだ先が長いし、今はまだ始まったばかりだ。時間が経てば、全体的な状況が間違いなく好転するだろう。今は他社製キーボードなんか使いたくないと思っている人も多いだろうが、これは完全に自由選択のオプションだ。私自身の不安はさておき、Apple が iOS におけるテキスト入力の重大問題に対処しようとこの道を開発者たちとユーザーたちのために開放してくれたこと自体に、私はワクワクした気持ちでいる。

iOS 8 の持つパワーについてもっとお知りになりたいならば、どうか間もなく出る予定の私の本 "iOS 8: A Take Control Crash Course" を予約注文して頂きたい。この本には、他社製キーボードをはじめ他にも多くの新機能がカバーされており、それらの機能を生かせばあなたが iOS デバイスを使うやり方も大きく変わることだろう。

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FunBITS: Manual で iPhone カメラの全制御が可能に

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

"これはすごいカメラだが、時として禁止表現を口にしたくなる程馬鹿になることがある" と開発者 William Wilkinson は Manual の紹介ビデオで言っている。Manual は iOS 8 に対する新しいカメラアプリで、あなたの iPhone のカメラに対してほぼ完全な制御をさせてくれる。

Wilkinson は的を射ている。私は iPhone のカメラになすべきことをちゃんと伝えるのに始終苦労している、とりわけ、光景の中のどの被写体に焦点を当てたいのかを伝えたい時がそうである。しかし、たったの $1.99 で、あなたの iPhone カメラを完全に制御出来るようになる。

少々の免責宣言:私の技術は、時折登場の TidBITS 著者 Charles Maurer や、我々の Jeff Carlson の様な写真家からはほど遠い。私は大学の写真学のクラスでは、苦しみ抜いたあげくようやく C で単位を貰えた程度である。しかし、"Canon EOS M、低価格で品質と簡便さを提供" (23 August 2013) でも書いた様に、そこそこの赤ちゃん写真を撮れるまでにはなった。

写真学の基本に余り馴染みのない人達のために言うと (そして今では、その必要もあまりなくなっている)、全ては、画像の中で捉える光の量をどの様に制御するかにかかっていて、その決定要素は、絞り、ISO、そしてシャッター速度である。

昔は、これらの基本全てに明るくなければ - そしてそれらを自分のカメラでどう調整するかも - 良い写真は撮れなかった。しかし、今日の多くのバカチョンカメラを使う場合であっても、これらの基礎を理解していれば、幾つかの巧妙な手を使えるようになる。例えば、余り明るくない部屋で、動き回る赤ちゃんの写真を撮ろうとする時は、シャッター速度を最大にし、絞りを全開に、そして ISO を上げる必要がある。もし被写体ぶれの効果を出したければ、シャッター速度を落とすが、そうすることでより多くの光が取り込まれるので、絞りをもっと絞り、そして ISO を減らす必要があることは私にも分かる。

iOS 8 になる前、Apple は iPhone のカメラに対して、その種の制御は許さなかった。 iPhone のプロセッサは (そして最近の iPhone モデルでは専用の画像プロセッサが) 可能な限り最善の画像とするべく、設定を自動的に選択しており、通常はそれで十分である。しかし、今や iOS 8 では、これらの要素を制御する自由度がより多く開発者に与えられているため、Manual の様なアプリが実現可能となった。

しかし Manual は本格的な iPhonographer に、全面的な、一眼レフの様な制御を提供するという興味をそそる約束を果たせるのであろうか? 答えは、イエスでもありノーでもある。

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Manual は数多くの設定を変えさせてくれる。これらの多くは iOS 8 以前ではアクセス出来なかったものである:

皆さんは大事なものが欠けていることにもうお気づきであろう:絞りである! 残念ながら、iPhone のカメラは固定絞りとなっている: 私の iPhone 6 上では f/2.2 である。絞りの調整が露出を制御する鍵となる方法なので、私の Canon EOS-M では出来る多くのことが、私の iPhone 上では出来ない。

試験のために使う簡単なカメラ手法がある。被写体ぶれの効果を捉えるため、私はシャッター速度を落とし、必要に応じて絞りと ISO を調整し、そして写真を撮りながらカメラの前で腕を振るのである。

EOS-M では、これは簡単にやれる。しかしながら、私の iPhone 6 と Manual でこれをやるのは、ずっと大変である。絞りを制御出来ないので、たやすく光が入りすぎて絵がとんでしまい、絵というよりもただ真っ白な四角になってしまう。最終的には、同じ様な効果をどちらのカメラでも出せたが、Manual を使っては試行錯誤をかなり繰り返さなければならなかった。

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勿論、このハードウェアの制約は Manual 開発者にはどうしようもない話である。しかし、問題は他にも多少ある。時として、タッチターゲットが反応しなくなるが、公平のために言うと、これは iPhone 6 のアプリに共通しているようで、iOS 8 の欠陥なのかもしれない。また、シャッター速度を下げていく時、ビューファインダーも同じ様に反応し、見ているものがぎくしゃくしたビデオとなって表示される。そうなって当たり前のようにも思えるが、私がこれ迄使ったカメラでは起こらなかったことなので、戸惑いを感ずる。最後に、Manual には ...マニュアルがない。簡単な FAQ だけである。思うに、多くの素人写真家は、少なくともそれぞれの機能が何をするのかの要約を欲しがるであろう。

もし iPhone 写真学に興味をお持ちなら、恐らくもう既に $1.99 を投じて Manual をいじり始めているであろう。無理もないことである。事実、私よりもずっと優れた写真家達がこれを使って目を見張るようなことを成し遂げるのではないかと期待している - 私は、これ迄の iPhone カメラからでも人々が絞り出してきたものに感銘を受けてきた。しかし、あまり期待値を高くしないように。iPhone は電話としては驚異的なカメラを搭載しているが、電話カメラには変わりない。

しかし、もしあなたが写真狂でなければ、Manual は必要ない。iPhone 6 のカメラと画像プロセッサは、私の iPhone 5 で撮れるよりも良い写真を撮れるよう組み合わされており、更に iOS 8 を使えば、ビューファインダー画面で被写体をタップすることで露出と焦点を調整できる。もしただ単に iPhone を取り出して見栄えの良い写真を、手動調整無しに、撮りたいだけというのであれば、内蔵の Camera アプリに勝るものを探すのは難しい。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2014 年 10 月 13 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Backblaze 3.0 -- Backblaze が、同名のバックアップソフトウェアをバージョン 3.0 にアップデートし、多数の内部的な改善を加えた。Backblaze 3.0 は(購読ベースの Backblaze オンラインデータバックアップサービスに結び付いている)データストレージの効率と処理能力を改善するとともに、保存されたデータの整合性チェックも改善し、初回および漸次のバックアップの際の重複排除プロセスの速度を倍増し、大きなサイズのファイルを分割および再構築する際の速度と効率を改善し、64-bit システムにおける 2 GB のメモリ使用への対応を追加している。現在の Backblaze 購読者に対する自動アップデートのプロセスは今後二週間以内に始まる予定だが、 Backblaze ウェブサイトから直接ダウンロードすることも、または Backblaze ソフトウェアの内部から Check for Update 機能を走らせることもできる。(Backblaze 購読があれば無料、9.1 MB、リリースノート、10.5.8+)

Backblaze 3.0 へのコメントリンク:

GraphicConverter 9.4 -- Lemkesoft が GraphicConverter 9.4 をリリースし、この古参のグラフィック変換および編集用ユーティリティにいくつかの改善と新機能を追加した。GraphicConverter は今回から 64-bit のみで走るアプリとなり、またこのアップデートでバッチ変換とフォルダ監視機能の付いた自動変換機能、魚眼効果を追加または削除する機能、TIFF および JPEG フォーマットに埋め込んだ Photoshop パス保存への対応、ブラウザでのフルスクリーンプレビューのオプション、ブラウザの検索でラベルによる検索ができる機能、GPS データのない画像にデフォルトの GPS 位置情報を設定できる機能が追加された。今回のリリースではまたスライドショーでのメモリリークの可能性、AppleScript の Convert File コマンドの実行中に起こることのあったクラッシュ、その他詳細は不明ながら OS X 10.10 Yosemite に関係した多数の問題点も修正している。この記事の執筆時点で Mac App Store 版がまだバージョン 9.3 のままであることに注意されたい。(新規購入 $39.95、無料アップデート、248 MB、 リリースノート、10.7+)

GraphicConverter 9.4 へのコメントリンク:

OmniFocus 2.0.3 -- The Omni Group が OmniFocus 2.0.3 をリリースした。OS X 10.10 Yosemite との互換性や、その他いくつかのバグを修正したメンテナンス・リリースだ。Getting Things Done に基づくこのタスク管理アプリの Clip-o-Tron ツールは今回 Yosemite の電子メールメッセージから件名、リンク、および選択されたテキストのみをキャプチャできるようになった。(さらに OmniFocus はアップデートされた Clip-o-Tron 1.0.1 を要するようになった。)Send to OmniFocus からの Mail メッセージへの新たにキャプチャされたリンクが Mac 版と iOS 版双方の OmniFocus で働くようになった。今回のアップデートではまた Yosemite でヘルプページを見る際の問題点を二つ修正し、クリップした電子メールからの元のメッセージリンクが二つのリンクに分割されてしまった Yosemite でのバグを解消し、コンパクトレイアウトモードでステータス円とフラッグがクリックできなくなった問題を修正している。この記事の執筆時点で Mac App Store 版の OmniFocus がまだバージョン 2.0.2 のままであることに注意されたい。(The Omni Group ウェブサイトからは Standard 版の新規購入 $39.99、Pro 版の新規購入 $79.99、Mac App Store からは Standard 版が $39.99、アプリ内購入で Pro 版にアップグレード可能、バージョン 2.0 のライセンスがあれば無料アップデート、44.2 MB、リリースノート、10.9.2+)

OmniFocus 2.0.3 へのコメントリンク:

ChronoSync 4.5.3 と ChronoAgent 1.4.7 -- Econ Technologies が ChronoSync 4.5.3ChronoAgent 1.4.7 をリリースし、OS X 10.10 Yosemite との互換性を改善した。また、自動化された同期およびバックアップ用アプリ ChronoSync は Yosemite で廃止予定のいくつかの API を使わないよう移行し、Trial Sync が実行中に多数の存在しないファイルを見つけた場合には遅延時間がずっと短くなるようにし、アップデートのチェックをセキュア接続を使ってするようにし、ブート可能なバックアップを実行する際にはボリュームの Ignore Ownership 状態を Off にするようにし、起動時に当初の Document Organizer 表示と自動アップデートチェックを干渉させていたバグを修正し、10.9 Mavericks が走っている際のアニメーションの不具合をいくつか修正している。ChronoAgent ユーティリティの方では Yosemite で走る際のインターフェイスにマイナーな調整を施すとともに、パフォーマンスとエラー処理を改善した。(いずれのアプリも無料アップデート。ChronoSync は新規購入 $40、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、41.7 MB、 リリースノート、10.6+。ChronoAgent は新規購入 $10、12.5 MB、リリースノート、10.5+)

ChronoSync 4.5.3 と ChronoAgent 1.4.7 へのコメントリンク:

Carbon Copy Cloner 4.0 -- Bombich Software が Carbon Copy Cloner 4.0 をリリースした。人気のバックアップユーティリティへのメジャーなアップデートで、目前に迫った OS X 10.10 Yosemite のリリースにちょうど間に合った。インターフェイスとアーキテクチャをデザインし直した Carbon Copy Cloner (CCC) はユーザーからリクエストのあった機能を多数追加している。タスク構成とスケジュール化されたタスクを一ヵ所にまとめた統合ウィンドウや、バックアップタスクの手軽な設定、タスク情報に素早くアクセスできるメニューバーアプリケーション、タスクを連鎖させてより複雑なバックアップルーチンを作れる機能、スケジュール化されたタスクがいつどのようにして走るかについてのより詳細な制御などが加わった。

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現時点で CCC 4 は Yosemite への「暫定的」対応を提供している(ブログ記事に説明がある)が、フルに要件を満たす CCC 4 へのアップデートは App Store に Yosemite が登場するより以前にリリースされ、いくつかの見栄え上の問題に調整が加えられるはずだ。Carbon Copy Cloner 4 は 10.8 Mountain Lion またはそれ以降を要するようになったが、Bombich Software では 10.6 Snow Leopard や 10.7 Lion のユーザーのために引き続き CCC 3.5.7 も提供する。(CCC 4 への移行のさらなる詳細を記したブログ記事がある。)Carbon Copy Cloner 4 の価格は $39.99 で、バージョン 3.5 またはそれ以降の登録ユーザーは 50 パーセント割引でアップグレードできる。CCC 3.5 のライセンスを 2014 年 6 月 2 日以降に購入した人は、無料のアップグレードが受けられる。(新規購入 $39.99、バージョン 3.5.x からのアップデートは $19.99、11.0 MB、 リリースノート、10.8+)

Carbon Copy Cloner 4.0 へのコメントリンク:

1Password 4.4.3 -- AgileBits が 1Password 4.4.3 をリリースし、この人気のパスワードマネージャでいくつかバグを解消した。今回のアップデートではブラウザ拡張からの新規ログインがユーザ名とパスワードのフィールドのみしかコピーしなかった問題点を修正し、OS X 10.8 Mountain Lion でバックアップの実行やリストアができないことのあった問題に対処し、何も変更せず編集モードを出る際に保存かキャンセルかを問わないようにし、また稀に起こったクラッシュ二件を修正している。Mac 用アプリに加えて iOS 用の 1Password もバージョン 5.1 に アップデートされ、Touch ID 対応のデバイス上でも時折その代わりに Master Password が要求されることのあった問題が修正された。また、他社製キーボート用のタグを追加してそれをオンにする機能(2014 年 10 月 1 日の記事“1Password 5 が iOS 8 の新たな高みにタッチ”にレビューがある)に対応した。(新規購入 $49.99、 TidBITS 会員が AgileBits から購入した場合 25 パーセント割引、 Mac App Store からも購入可能、無料アップデート、38.8 MB、リリースノート、10.8+)

1Password 4.4.3 へのコメントリンク:

DEVONthink/DEVONnote 2.8 -- DEVONtechnologies がDEVONthink の三つの版 (Personal、Pro、Pro Office) すべてと DEVONnote をバージョン 2.8 に更新して、来たるべき OS X 10.10 Yosemite の登場に備えた。Yosemite 対応のインターフェイス要素にアップデートしたのに加えて、DEVONthink の三つの版いずれも共有拡張を追加して(ドラッグ&ドロップでなく)クリック一つでテキストやウェブアドレスをクリップできるようにした。DEVONthink はまた Safari のリーディングリスト(Dock および Import メニューから利用可)から使える Clip to DEVONthink 拡張を改良し、Markdown からリッチテキストへの変換を改善し、Yosemite または 10.9 Mavericks で走る際の Tags カラム内の自動補完を修正し、ウェブ表示の画像を書類のサムネイルに設定できる機能を追加している。DEVONthink Pro と Pro Office ではすべての開いたタブのブックマークを追加する Safari 用のスクリプトを装備し、DEVONthink Pro Office では ScanSnap Manager への対応をバージョン 6.x にアップデートした。DEVONthink と DEVONnote ではまたウェブ表示と PDF 表示のコンテクストメニューに Share サブメニューを追加している。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office は新規購入 $149.95、リリースノート。DEVONthink Professional は新規購入 $79.95、リリースノート。DEVONthink Personal は新規購入 $49.95、 リリースノート。DEVONnote は新規購入 $24.95、リリースノートTidBITS 会員には DEVONnote もいずれの版の DEVONthink もそれぞれ 25 パーセント割引。10.7.5+)

DEVONthink/DEVONnote 2.8 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2014 年 10 月 13 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Josh Centers が The Tech Night Owl で iOS 8 について語り、Adam Engst がテクノロジー界の有名人たちとスマートウォッチについて議論し、終了しようとする The Magazine からはいくつか教訓を学ぶ。

Josh Centers、The Tech Night Owl で iOS 8 を語る -- 編集主幹 Josh Centers が The Tech Night Owl ポッドキャストに出演し、新刊書 "iOS 8: A Take Control Crash Course" の出版に先立って iOS 8 を語った。iOS 8 の採択率がまだ低い理由、他社製キーボードを改善するために Apple がすべきこと、Apple の次回のイベントで何が期待できるか、といったことを Josh は議論する。

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Adam Engst、MacNotables で Pebbled パネルに参加 -- 来たるべき Apple Watch はウェアラブル業界から多くのものを吸い出してしまったかもしれないが、Adam Engst、Jason Snell、Andy Ihnatko の三人は全員 Pebble スマートウォッチを(Andy は他のモデルもたくさん)持っている。この MacNotables ポッドキャストで、彼らは Pebble には何が得意か、他のスマートウォッチは何をできる必要があるか、そういったことすべてが Apple の発表にどう関係しているか、といったことを議論する。

コメントリンク: 15130

The Magazine から九つの教訓 -- 二年間の運営を経て、Glenn Fleishman は彼の出版する The Magazine を閉じようとしている。Cult of Mac のインタビューで、Glenn は将来の出版者たちにぜひ読んでもらいたい九つの、彼が苦労して学んだ教訓を語った。The Magazine が直面した課題のいくつかは、その発足当時から変わらず存在していた。とりわけ、Apple の Newsstand 機能に依存したことで、iOS 7 になってその機能が悪い方に変更された結果として露出が減ってしまった。

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