TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1286/24-Aug-2015

特集記事満載の今週号では、Adam Engst が一部の iPhone 6 Plus の iSight カメラを Apple が交換している理由(あなたのも交換対象かもしれない)を説明し、Wi-Fi の達人 Glenn Fleishman は Google が新しく出した高品質のルータ OnHub の詳細を語り、Julio Ojeda-Zapata は Apple が盗むべき 6 つの Windows 10 機能を挙げる。最後に、読者の Dave Kitabjian が寄稿記事で、Photos になってなくなってしまった iPhoto の機能のいくつかについて論じる。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Simon 4.1、Evernote 6.1、それに Parallels Desktop 11 だ。

記事:

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Apple、一部の iPhone 6 Plus iSight カメラを交換

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は、iPhone 6 Plus の製造ランの一つで iSight カメラに欠陥部品を使ってしまい、それが写真がボケる原因となることを発見した。(iSight カメラとは背面に付いているカメラである。) September 2014 から January 2015 の間に販売されたごくわずかの割合のものが影響を受けたが、もしあなたの iPhone 6 Plus でぼやけた写真の問題に遭遇しているのであれば、Apple が無償でそのカメラを交換するかを、iPhone 6 Plus iSight カメラ交換プログラム ページでそのシリアル番号を調べてみるべきである。このシリアル番号を調べる最も簡単な方法は Settings > General > About である;その番号をコピーするにはそれをタップしホールドする。

もしあなたの iPhone がこの交換プログラムの対象ならば、それを Apple Retail StoreApple Authorized Service Provider で修理して貰える;どちらも適さないならば、Apple Technical Support に連絡を取る。あなたのワイヤレスキャリアでやって貰おうとは思わないこと;彼らは Apple に連絡するよう告げるだけである。

修理に出す前に (持ち込むにせよ、送るにせよ)、iPhone を iTunes か iCloud にバックアップすることを忘れないように。そして、もしあなたの iPhone が、カメラ交換を妨害する損傷、例えば亀裂の入ったスクリーンの様な、を抱えているのであれば、そちらを先に直して貰わなければならず、場合によっては、修繕費が発生することもある。

この交換プログラムは、影響を受けた iPhone 6 Plus 機器に対して、最初の購入日から 3 年間有効であるので、今はその問題が表面化していなくとも、その期間内に写真がボケ始めたら、Apple はそのカメラを交換する。

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Google OnHub ルーター、万人向けに Wi-Fi の簡素化を目指す

  文: Glenn Fleishman: [email protected], @glennf
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Google は、ハードウェア事業を営む決定を徐々にしてきており、これは別子会社にするという組織変更を発表する前に遡る ("Google は死んだ、Google 永遠なれ!" 11 August 2015 参照)。そして同社は今や、一連の Wi-Fi ルーターと表現されるものの最初のものを OnHub と言う名前で披露した。Apple の AirPort ベースステーションと同様、OnHub は市場にある他の多くのルーターとは一線を画す外観と動作が意図されている。最初のモデルは、TP-Link との協業で設計されたもので、$199 の値段で大手の小売店から "数週間以内" に売り出される。

行け、On! -- Google のデザインはしゃれており、Apple のものよりスタイルが良いかもしれない。濃い色調で、Apple の明るい白の AirPort Extreme や Time Capsule タワーよりもしゃれたステレオ機器に近い印象すら与える。

初期の OnHub の技術仕様は、AirPort Extreme Base Station のものと結構近い。OnHub は 2.4 GHz と 5 GHz ネットワークの同時デュアルバンドを搭載し、全ての 802.11 標準をサポートし、そこには最新の 802.11ac も勿論含まれる。生の最高データレートは 2.4 GHz では 600 Mbps (802.11n 経由) そして 5 GHz では 1.3 Gbps (802.11ac 経由) に達するが、勿論対向側でも適切な機器とのペアがとられていることを前提としての話である。Apple はこれを最高 1.3 Gbps と宣伝している; Google は二つ合わせた時最高で 1.9 Gbps と宣伝している。

Google は OnHub には 13 のアンテナが付いていると言っているが、アンテナ 6 つの Apple の AirPort Extreme や Time Capsule よりも 7 つも多い様に見えるかもしれない。しかし、だからといってデータ処理が 2 倍優れていることを意味するわけではない - "我々のは 13 だ!" - でも Google は誇大広告しているのではない。Apple の高級ベースステーションでは、6 つのアンテナは 3 つずつの 2 組に分割されている:それぞれの組が一つずつの周波数帯を担っている。それぞれのアンテナは、送信と受信の二つの任務を担う。

Google は 7 つのアンテナ要素を持つ選択をした。一つは特別のもので干渉検知用で、無線設定を自動的に微調整する目的を持つ。残りの 6 つの要素は、送信と受信を別個に受け持つ 2 つのアンテナを併せ持っており、3 要素のセットが 2 つに分けられ、それぞれが違う周波数帯を受け持つ。これらは円にそって交互 60 度オフセットされた形で配置されていて、それぞれのバンドの 3 つがお互いに 120 度離れる位置関係となる。

OnHub はギガビット Ethernet を、ブロードバンドモデムに接続するための WAN (wide area network) ポート - これはギガビットブロードバンドが段々使える様になっているので意味がある - そして一つの LAN (local area network) ポートの両方に適用している。AirPort Extreme と Time Capsule には 3 つの LAN ポートがある;Google は、LAN ポートが 1 つで足りない人は安価なギガビットスイッチをつなぐであろうと思っている様に見える。

しかしながら、Google は Wi-Fi と Ethernet を超えて更に一連のホームオートメーション関連の無線サポートを含めており、Bluetooth と一見はっきりしない IEEE 802.15.4 標準を備えている。後者は ZigBeeThread の根底となっていて、ZigBee は昔からある低電力、短距離のセンサーや同様の通信用の業界仕様である;Thread はこれに対抗するプロトコルで、一年前に Google の Nest 部門、チップメーカー ARM, Samsung 等によって作られた。

ZigBee と Thread グループは April 2015 に平和的な相互運用のための方法を発表し、そして Google がどちらの商標も明示してサポートを表明したのは緊張緩和の良い印に見える。Apple の HomeKit は、ホームオートメーション機器間の通信用のもう一つの標準を提供するもので、独立した HomeKit ハブはサードパーティから出されているが、Apple も次世代 Apple TV にハードウェアを付け加えると見込まれており、その発表は早ければ来月にもあると思われ、そうすればこれが本格的な HomeKit ハブとなる。(現在の Apple TV モデルでも一部の HomeKit のやり取りは扱えるが、全部ではない。)

OnHub には一つの USB 3.0 ポートが含まれているが、その有用性を説明する Google の記述は何もない。これが他のルーターのようであれば、ネットワーク上の何処からでもアクセスするための USB ドライブやプリンターを接続出来るはずであるが、場合によっては OnHub に対してアップデートが必要となるのかもしれない。Apple の AirPort Express はプリンター 1 台の接続を許す。一方で AirPort Extreme と Time Capsule の両方共 1 台のハードドライブかプリンター、或いは USB ハブ経由の複数のドライブとプリンターをサポートする。Apple のルーターは未だ USB 2.0 しかサポートしない。

OnHub ルーターはまた quality-of-service (QoS) 優先順位付けを提供するので、例えば Roku メディアストリーミングボックスを使って映画を見ている時、それが他の機器よりも優先権を持つように出来る。Google の表現を借りれば、"機器を優先化して、一番大事な事に最速の Wi-Fi を" となる。Wi-Fi の QoS 標準は、何年も前に作成されたものだが、異なる種類のデータが - 動画ストリーミング、通話、そして通常のデータ - 機器かルーター構成を通じてタグ付けされる事に依存する。OnHub はこれを使っているかもしれないし、或いはまた Google は別な考え方に辿り着いた可能性もある。

目的に沿う -- OnHub のセールスポイントの幾つかは、Apple の戦略書から抜き取ったようなものだが、これは何も珍しい話ではない:殆どの Wi-Fi ルーターはアンテナが異様な角度で突き出ており、不格好であるか或いは本当に醜い - 見てみてよ! Google は、Apple の様に、性能をよりよく発揮させるために、ルーターを真ん中に置いて欲しいと願っている。本棚に、キャビネットに隠れて、或いは机の後ろに置かれると、Wi-Fi 信号はルーターの周りの材料によって反射されたり、部分的に吸収されたりする。

これらは大きさも殆ど同じである! Apple の AirPort Extreme は、高さが 6.6 インチで、底面は 3.85 インチ角 (168 mm x 98 mm) であるが、OnHub は高さが 7.5 インチで、底面は直径 4.6 インチの円 (191 mm x 117 mm) となっている。

それから設定の作業がある。ルーターのメーカーはこの問題を改善しようと試みてきたが、新しいベースステーションに対する最もサクサクした設定ですら、殆どの場合 Web ブラウザを使い、ある特定のネットワークアドレスに接続し、そして果てしないタブやポップアップメニューをクリックしていかなければならない。

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Apple の AirPort Utility は、同じ一連の基本的なデータに対して、簡素さと技術サポートを容易にするよりすっきりしたインターフェースを提供している。AirPort Utility 6.0 は、見慣れないのと以前のモデルにはまだ残っているある種の機能を設定する能力を取り除いてしまったためユーザーを嘆かせた。しかし、ネットワークの接続形態の画像的な概観と、簡素化された表現は救いであった。Apple はその後 iOS バージョンの AirPort Utility を追加し、そして両者とも設定のイラスト付きの順を追った説明を提供している。

Google は Apple の足跡を追っているが、Android と iOS (少なくとも今は) の両方に焦点を当てているので OnHub は遙かに大きなユーザーベースが対象となる。Apple は何年も前に AirPort 機器を Windows から設定するサポートを止めてしまっているが、今や Google がその裂け目に入り込もうとしている。そのアプリは、単純に On と呼ばれ - それ程紛らわしくはない! - 何がどの様に接続されているかのもっと良い情報を提供している様に見える。(OnHub の上にあるスピーカーは音声ベースの情報転送のコンテキストの中でしか触れられていない:このルーターは設定のためデータを Android アプリに音声の形で送ることが出来る!)

同様に、ネットワークの試験とトラブルシュートは OS X の Network Setup Assistant, Network Diagnostics, そして Wireless Diagnostics を連想させるが、同様のものは iOS には無い。

Google はその心地よい多色 LED すらも宣伝している - 多くのルーターにある明滅、発光する光とは対照的だ。Google のやり方は心和む。Apple の最新のタワー型ベースステーションの単一のドリル穴開けされた針先の様な LED はより目立たず、部屋を明るく照らしたり或いは邪魔をしたりしないしないように意図されている。(Apple は何年も前にベースステーションでの "動くと光る" オプションを不能にした。)

Google のアプリとシステムは、遠隔アクセスの観点でも現在の Apple のものを凌駕するであろう。Apple ベースステーションを iCloud アカウントにリンクさせ、Back to My Mac を使ってある種のアクセスを得ることは可能だが、やれることは限られている。Google のアプリはもっと高度な遠隔監視とトラブルシュートを許し、更にネットワークの所有者を誰かが遠隔で手助けする事も可能にする。

Apple の OS X アプリは、インストールすべきアップデートがあると教えてくれることで知られている。押しつけがましい、の方がより適切な言葉かもしれない、とりわけ、一つのベースステーションを設定するのに複数のコンピュータを持っている場合は特に。対照的に、OnHub は自動的に再起動無しに自分でアップデートする。とても良い機能である。私は、Apple が全システム再初期設定の代わりにコンポーネントの部分再起動を可能にすべきかどうかしばらく考えたことがある。しかし、一方では、あなたの必要な機能を不能にしたり或いは間違ってあなたのネットワークを落としたりしてしまわないアップデートを Google が送ってくることを信用することでもある。(勿論 AirPort ファームウェアアップデートをインストールしても悪影響はない事を事前に知ることが出来るなどと言っているわけではないが、必要ならば以前のバージョンのファームウェアアップデートに簡単に戻れる - ただ Mac 上の AirPort Utility でベースステーションのバージョン番号を Option クリックすればいいだけである。)

この二つの間で違いが大きいのは、ネットワーク共有である。OnHub はどうもゲストネットワークを提供していないように見える。これは Apple の主力機能の一つで、自分自身のトラフィックを客人に貸したものと分離するものである。しかしながら、Google は あなたのネットワークのパスワードを "テキスト、メール、等々" 経由で送らせてくれる - 等々が何を意味するかは記述されていない。

Microsoft は最近 Windows 10 機能、Wi-Fi Sense で不要な騒動を起こした。これは、ネットワークに Wi-Fi パスワードを使って接続することを許された人なら誰にでも、そのネットワークの所有者の知ることも或いは許可も無しに、Facebook, Skype,等々にある連絡先を共有させてしまうのである。(ネットワーク所有者は、テキストを追加することでネットワークの名前を変更することでしか、これを止められない。) Google は同じ轍は踏んでいない、何故ならば、On アプリは、ネットワークの設定許可を持つ人によってしか使えないからである。

より良い新製品か? -- この OnHub が Apple ユーザーにとって AirPort Extreme に対して価値ある選択肢となり得るかどうかは色々な要素に依存する。実使用での到達距離や性能に関する初期レビューは参考になるであろう。私の家での最新の 802.11ac AirPort Extreme には全般的には満足しているが、全体をカバーするためには Ethernet バックボーンに 3 台のベースステーションをぶら下げなければならなかった。OnHub だったら、1 台で全部をカバー出来るであろうか?

Apple はかって沢山の Mac 固有の機能をそのベースステーションに埋め込んだものだが、その一部は今でも残っている。AirPort Express は AirPlay オーディオを受信出来る - しかし、何故他のベースステーションでは出来ないのか? AirPort Extreme と Time Capsule は、共有のために AFP や Samba ボリュームとしてハードドライブを接続出来る。どのモデルでも差し込まれたプリンターは AirPrint 経由で共有出来る。

信頼性もまた鍵である。TidBITS 編集者の何人かは、彼らの旧型の AirPort Extreme ベースステーションを週に何回かは、時によっては一日に何回も、電源の切り入りをしてやらなければならない事について不平たらたらである。"Take Control of Your Apple Wi-Fi Network" の著者として (24 August 2015 迄は半額!)、私は Apple ベースステーションの所有者から謎めいた安定性と設定の問題に関するメールを絶え間なく受け取る。もし OnHub がその様な対応を必要とせずに働くなら、不安定な Apple 機器に置き換わることになるかもしれない。

なかには、Google が OnHub 経由で Web ブラウズのデータを集めるのではないかとの懸念を口にする人もいる。Google 曰く、"重要なことだが、Google On アプリとあなたの OnHub は、あなたの訪問するウェブサイトを追跡しないし、あなたのネットワーク上の如何なるトラフィックのコンテンツも収集しない。" 勿論、このことを確認する術は、機器が出荷されて技術の人間がそれを徹底的に調べるまではないことも確かである。しかし、Google サポート書類には、この機器が実際に収集するものが明記されている - 主に、性能と信頼性データである - そして、そのレベルのデータ収集も不能にする方法も説明されている。

OnHub が出荷されれば、それが iOS と OS X エコシステムの中にいる人にとっても良い選択肢なのか、或いはまた、それは主として Android, Chrome OS, Windows, そして Linux を使う人の興味を引くものなのかが我々にも分かるであろう。

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Apple が盗むべき 6 つの Windows 10 機能

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は「Windows、オエッ。OS X、美味い!」というタイプのユーザーではない。

私は Apple のデスクトップオペレーションシステムが他の何より好きだけれども、そんなことにはとらわれないでいたいという積極的な気持ちが強い。私は、他のいろいろなデスクトップオペレーションシステム、例えば Microsoft の Windows や Google の Chrome OS といったものに手を出してみるのも大好きだ。Mac ギークの友人たちから冷やかされることもあるが、気にしない。何より楽しいし、学ぶことも多いのだから。

だから、先月の Windows 10 リリースはちょっとしたお祝いの口実と言えた。私はそれまで数ヵ月間にわたって "Windows Insider" 公開ベータプログラム (Apple の公開ベータプログラムと似ている) に参加してこれを使っていた。

私は、OS X 10.11 El Capitan のいくつもの公開ベータも走らせていたし、そのお陰でオペレーションシステムをどのように比較するかについての知識もある程度得ていた。こうしたことすべてを通じて私の心に引っ掛かっていたのは、El Capitan の中に、あるいはもっと将来のバージョンの OS X の中に、どのような Windows 10 機能があったら嬉しいかということだった。

それは、あまりたくさんはない。OS X は成熟し洗練されたオペレーションシステムであり、独自の個性を備えているので、例えば Start メニューが大した理由もなく組み込まれるなどこれっぽっちも良いとは思えない。同じように、Mac 版の "TileWorld" などこれっぽっちも見たいとは思わない。これは技術ジャーナリストの David Pogue が冗談で使った言葉で、あの Windows 独特の正方形や長方形の並びを使って、ニュース更新、最近の tweet、その他の情報をウィジェット風に表示するやり方のことだ。

けれども Windows 10 が提供する機能のうち 6 つは、私を「おお、_これ_ なら Mac にあったら素敵なのに」という気持ちにさせる。実際にそうなる可能性があるかと言えば、ほとんど不可避のものからまずあり得ないものまでさまざまだが、夢見るだけなら自由ではないか、そうでしょう?

Siri よ、Cortana を紹介しよう -- Mac ユーザーは今もまだ Apple の音声制御による個人用アシスタントが iOS と watchOS から OS X への移行を果たすのを待ち続けているところだが、Windows 10 ユーザーはその点ずっと先行している。

Microsoft で Siri に相当するものは Cortana と呼ばれ、Windows Phone プラットフォームから PC へのジャンプを果たした。Cortana (人気あるテレビゲーム Halo に登場する有名な人工知能の女性の名前だ) は、Windows 10 の目玉機能の一つだ。

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明確化のために言えば、Cortana はキーボード駆動と音声制御の両方を備えた Windows アシスタントだ。Siri と Spotlight を一つに統合したもの、と考えてもよい。それだけでなく、Cortana の音声機能は設定で明示的に有効化する必要があり、オプションとして一人のユーザーの声でカスタマイズすることもできる。音声プロンプトの "Hey, Cortana" ですらオプトイン機能だ。

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けれどもいったん有効化すれば、Cortana は信じられないほど便利だ。天気予報、料理の分量、ファイルのタイプ (スプレッドシートなのか書類なのか)、運転の道案内、飛行機の便の最新情報、タイムゾーンの換算、その他さまざまの質問を尋ねることができる。

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Bing を起動させて(でも、どうやら Google はないらしい)あらゆる種類の情報を検索させることもできる。Bing は、近所にあるレストランを示し、特定の単語や語句 (例えば "Amy Schumer") に関係した写真やビデオを探し出し、エッフェル塔の高さや、ニカラグアの人口を教えてくれる。

私は Cortana に "Beam me up, Scotty" と言ってみた。するとスコットランド訛りの声が "Sorry, Captain, I need more power" と答えた。(Cortana は、ふざけた質問には複数通りの答を用意していることがあるので、違う答になることもあるかもしれない。)

Cortana は、いったん私の名前を覚えれば、私を名前で呼んでくれる。

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これらすべてが、Mac にも Siri が欲しいという気持ちにさせる。OS X 用の Siri はきっともうじき登場するだろう。とりわけ、Redmond が今回この点で Cupertino より一歩先んじたのだから。

ウィンドウのスナップ -- 他の誰よりも以前から、Windows ユーザーは二つのウィンドウをディスプレイ上に隣り合わせてぴたりと並べることができた。一つを右側、もう一つを左側にドラッグして、それらが「パチンとスナップ」して並ぶようにするのだ。

Mac ユーザーがこの機能を再現するには、サードパーティのユーティリティが必要であった。例えば MagnetHyperDock のようなユーティリティだ。

ようやく Apple も、スクリーン分割のオプションを OS X に内蔵させるようになった。Split View と呼ばれ、El Capitan のリリースに伴って登場する。Split View の方が Microsoft による実装に比べてほんの少し操作が複雑だが、最後の結果は同じだ。

ああ、でも、Windows 10 は既にもう一歩先に進んでいる。Windows は今回、四つのウィンドウをグリッド状にスナップさせられるようになった。大サイズのモニタならば、ある種のダッシュボートのように使える。Windows 10 ではまた、画面半分のウィンドウの横に画面四分の一のウィンドウ二つを縦に並べた配置もできる。

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この機能は、27 インチ iMac 上の OS X にあればもの凄く便利だろう。けれどもやはり、Apple が Split View 機能を拡張してくれるまでの間は、Magnet その他のユーティリティをインストールすればよいだけだ。

さらにまた、Windows 10 にはウィンドウを画面半分や画面四分の一にスナップさせるための便利な一連のキーボードショートカットがある。El Capitan にはそのようなキーボードショートカットはない。

Apple と Microsoft が肩を並べている機能が一つある。一つのウィンドウをディスプレイの片側にスナップさせれば、まだ空いている領域に残りのウィンドウのうちどれをスナップさせるかを尋ねるプロンプトが出る。

Mission Control よ、Task View を紹介しよう -- Apple と Microsoft は何年間も互いに相手の模倣をしてきたし、今もまだそれをしている。すぐ上で述べた Split View は、OS X が Windows を模倣した例だ。それと同様に、いくつかの Windows 10 機能は OS X の機能に非常によく似ている。

例えば、Windows 10 には独自の OS X 風 Notification Center があって、これを Action Center と呼んでいる。両者は全く同じではない。Action Center には Notification Center 風のウィジェットはないが、System Preferences 風の機能を備えている。ただ、両者ともその核心的機能として、右側からスライドインするパネルの上に通知を提供するようになっている。

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同じように、Windows 10 の新しい Task View は単純化された El Capitan 版の Mission Control とほとんど同一と言ってもよい。ボタンを一つタップすれば、両者とも現在アクティブなアプリとそれぞれのウィンドウとのサムネイルを放り上げる。これらのサムネイル表示の内部で、複数個のデスクトップを設定することができる。OS X では "spaces"、Windows 10 では "desktops" と呼ばれるものだ。

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これらのソフトウェア機能はかなり似ていて、使い勝手もほぼ同等だ。

けれども Task View には私が Mission Control にあって欲しいと思う機能が一つある。個々の PC サムネイルに小さな "x" 印があって、これをクリックすればその場ですぐにそれが閉じる。多数のアプリやウィンドウを閉じたいと思う場合に便利だ。Mission Control では、開いたアプリの間で切り替えることはできるけれど、マウスクリック一つで終了させることはできない。

ニュースアプリ (その他) -- Apple が iOS デバイス用に提供することを試みてきたニュースアプリが二つある。Newsstand は失敗に終わったが、今はその後継として iOS 9 用に Flipboard 風の News アプリを出そうとしている。

けれども、Apple は Mac 用にそれに相当するものを何も発表していない。ただし、遅れてリリースされるということも考えられる。今は Mac 版の Maps アプリと iBooks アプリがあるが、いずれも元々 iOS のみで始まったものだ。

他方、Windows 10 で、Microsoft は私がこれまでに見た中で最高の独立動作ニュースアプリを提供している。これも単純に News という名前だが、私があまり好きでなかった以前のアプリを改訂して登場したものだ。この新バージョンは、見栄えも機能性も大幅に進歩している。

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ニュースの各項目はカードとして示され(特にオリジナルなアイデアではなく、Apple の News アプリも、Google の iOS 用と Android 用の Newsstand アプリも同じことをする)カスタマイズ可能なカテゴリーが上の縁に沿って表示される。上下にスワイプすれば同一のカテゴリーに属する他のカードが見られ、左右にスワイプすれば別のカテゴリーへ移れる。革命的なデザインとは言えないが、動作は完璧だ。私はもうこれに夢中だ。

その上、Microsoft は最近アップデートされたばかりの経済、スポーツ、天気の各アプリも出していて、いずれも素晴らしい。ただ、理由は分からないが、やはり素晴らしかった旅行、食べ物・飲み物、健康・フィットネスの各アプリはなくなってしまった。(ただし Microsoft はそれらの話題に特化したウェブサイトは引き続き維持する。)

さらに、Flipboard からは fab 誌風のニュースアプリの独立動作 Windows 版が出ている(iOS 版と Android 版もある)が、Mac 用にはまだ何も出ていない。デスクトップ形式でどんなウェブブラウザからも使える Flipboard はあるが、私の経験から言えばスワイプとタップで使えるネイティブなアプリとは大きな違いがある。

願わくは、Apple もその iOS 9 ベースの News アプリの Mac を開発していて、いずれ出してくれるものと期待したい。

タッチ対応の OS -- Windows 10 は極めてタッチ中心のオペレーションシステムであり、私はそれが気に入っている。Windows は必ずしも常に指にフレンドリーであった訳ではないが、着実にその方向に向けて変化してきた。劇的な変化も、微妙な変化もあったが、タップとスワイプでより多くのことがコントロールできるようになった。

もちろん、それは Microsoft にとって平坦な道ではなかった。Windows 8 では TileWorld が導入され、これはタッチによるやり取りのためにデザインされたものであったが、少々やり過ぎたために古典的な機能のいくつかを切り捨てたり軽く見てしまったりした。例えば人気のあった Start メニューがなくなり、ユーザーは TileWorld の本拠であるフルスクリーンの「ホーム画面」を使うことを強要された。基本的に Windows は二つのオペレーションシステムを一つにまとめたものとなり、その点を広く酷評され、採用数の沈滞を引き起こした。

Windows 10 はそこを切り詰めたものとなり、復活し改訂された Start メニューの中にタッチタイルが統合されるようになった。そうしてオペレーションシステム全体が、新奇なる正方形や長方形も、また古典的なインターフェイス要素も、指先で操作し易いものとなった。

Windows 10 は、状況によってはさらにもっとタッチ対応の Tablet モード に切り替わる。例えば取り外し可能なキーボードを持つ PC で、物理的入力デバイスが取り外され指先での入力しかできなくなった場合がそうだ。

これこそ、家の玄関先で使うために iPad かそれともタッチ対応の Windows デバイスかの選択肢がある場合、最近の私が後者を選ぶことが多い理由だ。そちらの方が「本物の」オペレーションシステムであり、制約だらけのモバイル OS ではないからだ。

このような嗜好を示しているのは私だけでない。 TWiTPixel Corps のテクノロジー系パーソナリティ Alex Lindsey も、自分は iPad ではなく Windows ベースの Microsoft Surface Pro 3 を使っていると繰り返し言っている。絵を描いたり注釈を書いたりなどする際には大幅にタッチに依存するので Apple のタブレットより Windows PC の方がずっと使いやすいと Lindsey は言う。

OS X を指先で操作できるようになる日を、彼は夢見る。そして私も同じ夢を見る。当然ながら、そのためには Apple が Mac のオペレーションシステムをマウスへの依存度のより少ないものへと作り替えることが必要であるし、さらにもっと重要なことには、一部または全部の Mac にタッチスクリーンを追加することが必要となる。私としては、あまり期待はできないと思う。

ゲームのストリーミング -- 私は決してハードコアのゲーマーではないので、記事のこの部分は Xbox に夢中のティーンエイジャーの息子に関係している。

Windows 10 をもって、Microsoft は「ゲームストリーミング」機能を導入した。これにより、Xbox One のユーザーは Windows PC 上の Xbox アプリから家庭内 Wi-Fi ネットワークを通してコンソールに、またそれらのデバイスの機能の大部分にアクセスできるようになる。ただしゲーミングコントローラをコンピュータに挿しておく必要がある。

ここでは Ars Technica の記事をそのまま引用しておこう。言い回しが面白いからだ。「父さんがテレビを独り占めしてるって? それならラップトップをベッドルームへ持って行き、Xbox One コンソールと同じ Wi-Fi ネットワークにサインインすれば、これでエイリアンを撃ちまくることができる。」

ゲームストリーミングの動作は、少なくとも現時点ではまだ、完璧ではない。ビデオ品質が損なわれるし、他にも弱点があるからだ。それでもこの機能はわが家のティーンを夢中にさせるだろう... ただし彼が Windows PC を使うようになったらばの話だが。でも、もちろん、わが家は Mac 家庭なのだからね。

明白な回避策はある。例えば、わが家の Mac のどれかの上で Boot Camp パーティションに Windows 10 をインストールし、それを完全なる PC に代えておいて Xbox One と共に使うことはできるだろう。Boot Camp は最近アップデートされて Windows 10 と完全互換になっているからだ。

でも、ここでもう一回夢見ることにして、もしも Apple が何か似たようなものを提供してくれたらどうだろうか? Microsoft の方が仕事は楽だろう。なぜなら、Xbox One は Windows の一バージョンを使っているからだ。Apple が同様の妙技をやり遂げようとすればどんな技術的障害が待ち受けているのか、私にはただ想像することしかできない。けれども Apple は自社のコンピュータに Windows がインストールされていることを心から喜んでいるはずはないのだから、何か別の道を提供したとすればどうだろうか... 考えてみると、PlayStation 4 コンソールのメーカーたる Sony と提携するなんていうのは、いいんじゃないか?

もちろん、ここで私は完全に夢の中の世界にいる。でも、思案するのは楽しい。

偉大な芸術家は盗む -- Apple ユーザーの、時には過剰なほどの Mac への愛着を、私は十分に理解している。なぜなら私にも同じ熱情があるからだ。けれども私は、あまりにもしばしば言われている安心したいがためだけの価値観、"Mac rules, PC drools" (Mac は最高、PC はグダグダ) には同意できない。

その代わりに、私は他のオペレーションシステムをちょくちょく調べてみるのが好きだ。そして、その中の良いものをすべて褒めたたえ、Apple がそのライバルたちからどんな教訓を学べるかをよく考えるのだ。

ここ数ヵ月にわたり私が Windows 10 を使っていて、とても楽しくとても有益だったのは、まさにそれが理由だ。自分が Mac の方を好むことを再認識する一方で、私たちが今オペレーションシステムの黄金時代を生きており、数多くの魅力的な選択肢(その中には Google の Chrome OS もある、2014 年 2 月 24 日の記事“Google の Chromebook は立派な補助的ラップトップ”参照)があるのだという事実を実感することができた。

Microsoft は、かつてないほど多くの競争相手に直面しつつ、称賛すべき仕事を多くの面でしている。その努力が具現化したものが Windows 10 であり、私はこれからまだ何ヵ月にもわたってこれを使い続けたいと思う。Apple もまた、Microsoft の仕事に注目し続けていてもらいたい。なぜなら、Windows 10 でデビューした機能のいくつかには、Mac ユーザーにとっても恩恵を受けられるところがあるからだ。結局のところ「優れた芸術家は模倣する、偉大な芸術家は盗む」という言葉を(おそらく正しくないが Pablo Picasso の語った言葉として)好んで引用したのは、Steve Jobs その人であったのだから。

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Photos: ロールの完成まであともう数フレーム

  文: Dave Kitabjian: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac 用 Photos アプリはあなたの Mac とあなたの iOS デバイスの間で統一的な写真の管理をするために素晴らしい働きをし、Moments や Collections といった組織付けの枠組みを Mac にももたらす。その上に、長らく待ち望まれた iCloud Photo Library があり、バックグラウンドでシームレスに同期することによって、あなたのすべての Apple デバイスがあなたのすべての写真とビデオのライブラリにアクセスできるようにしてくれる。それからもう一つ、Photos は新しい iOS デバイスで撮影した映像に備わる Slo-Mo、Time-Lapse、Burst といった機能を保つ方法を知っている唯一の Mac 用アプリだ。

けれども Photos には制約もある。とりわけ iPhoto に慣れた人にとってその感じが強い。そこで、この記事では私が気付いた変更点のいくつかをまとめることで、同じ問題に遭遇して理解に苦しんでいる人たちの助けになれるようにしたいと思う。また、未だに iPhoto からアップグレードすべきかどうかためらっている人たちには、アップグレードしても安全かどうかの判断の材料にして頂ければと思う。

プロ向けのものではない -- まず何よりも、例の Aperture の疑問を片付けておこう。Photos は iPhoto と Aperture の双方を置き換えるものということになっているが、プロフェッショナルたちのコミュニティーから聞こえてくる多くの否定的なつぶやきを、皆さんも既にご存じかもしれない。プロたちにとっては、Aperture に存在していた高度な写真編集機能が消滅してしまったのはとても痛いからだ。

私はプロの写真家でもなければ Aperture ユーザーでもないので、両者をきちんと比較することはできない。けれどもこの話題についてはたくさんの議論がオンラインで読める。例えば定評ある Digital Photography Review にも記事がある

この記事や、他の記事によれば、二つのことが見て取れる。

第一に、Aperture と違い、Photos はプロフェッショナル向けにデザインされていない。あなたがプロなら、写真の管理にはプロフェッショナル向けのソフトウェアパッケージを購入して、それを使うべきだろう。まず考慮すべき候補は Adobe Lightroom のようだ。

第二に、Photos に内蔵された編集用ツールは、大多数のユーザーの大多数のニーズに応えられるはずだ。なので、Aperture ユーザーたちが Photos にはプロ向けの機能がないと声高に叫んでも、日常的なユーザーが心配する必要はあまりない。とりわけ、Photos は新しいソフトウェアであり、いずれは進化するものなのでなおさらだ。

では、Photos にはアマチュアの写真家や家庭ユーザーが心配すべき欠点があるのか? 残念ながら、そういう欠点は確かにある。

公共図書館と違って、iCloud Photo Library は無料ではない -- あなたは長年 Apple の iPhoto と iCloud の My Photo Stream を使ってきたかもしれない。そこでは、あなたのメディアがすべてローカルに保存され、新たに撮影した写真はあなたのすべての Apple デバイスに無料で同期された。ただ、そこには重要な機能がいくつか欠けていた:

iCloud Photo Library はこれらの制約をすべて解決するために作られている。けれどもあなたが本当に使い始めたてのユーザーであって Photos ライブラリのサイズが Apple が無料で使わせてくれる 5 GB の iCloud ストレージ容量の中に収まるのでない限り、iCloud Photo Library をオンにするためだけにさえ、お金を払わなければならないことになる。

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私のライブラリの場合、一番大きい 1 TB の iCloud ストレージが必要なので、月額 $19.99 つまり毎年 $239.88 も払わなければならない。そんなに多くの容量は要らないとおっしゃるかもしれないが、いずれはあなたのライブラリもどんどん大きくなるだろう。

その一方で、Flickr は無料でテラバイトサイズの容量を提供しており、新登場の Google Photos は無制限の容量を提供して写真とビデオの双方を保存できるようにしている。公平を期して言えば、Flickr や Google が提供するものは同等ではない。ある面では iCloud Photo Library の方が優れているし、別の面では足りないところもある。これらのサービスをきちんと比較しようとすればそれだけでまたもう一つ記事が書けるだろう。けれどもここで言っておきたいのは、他の競合サービスに比べれば iCloud Photo Library の方がどちらかと言えば高くつくということだ。

地理位置情報データが変更できない -- 地理位置情報データ、つまりジオタグというのは、例えば iPhone など GPS 対応のカメラが作成する JPEG ファイルの中に書き込まれた、あなたのグローバル座標に関するメタデータのことだ。これにより、その写真が撮られた場所に関する永続的記録が提供される。iPhoto のようなアプリケーションの中では、そのようなメタデータはあなたがどこにいたかを調べたり、さらには地図の上にそれをプロットしたりするために使える。

残念ながら、ジオタグの付いていない状態で写真があなたのライブラリに入り込む方法がたくさんある:

iPhoto には、写真にジオタグを付ける手軽な方法があった。Assign a Place 機能を使えば、既存のジオタグデータを編集することも、位置情報のない写真に新たにジオタグデータを追加することもできた。

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けれども Photos には、悲しいことに、そんな機能はない。ただし、Apple は OS X 10.11 El Capitan と共に出荷される予定のバージョンの Photos でこの機能を復活させると約束している。

そうなるまでの間は、サードパーティのジオタグ付けアプリを使うことはできるけれども、そのタグ付け作業は必ず写真を Photos に読み込むよりも に施しておかなければならない。いったん写真が読み込まれれば、その後ではどうにもならない。

ジオタグ付け機能が Photos に復活するのを待つ一方で、スマートアルバムを作ってジオタグが付いていないのはどの写真かを識別しておくとよい。そうすればあとで手軽に修正できる。

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楽しい場所 (Places) がなくなった -- ジオタグ情報の話のついでに言えば、iPhoto で最もクールだったものの一つに Places 機能がある。サイドバーから手軽にアクセスでき、階層的インターフェイスを使って地図の上でどこにでもあなたが写真を撮った場所へと連れて行ってくれた。

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iPhoto にあったこの素晴らしい機能が、Photos ではなくなってしまった。ただし、Moments の一つの中で都市名をクリックしたり、一つかそれ以上の写真を選択してから Info ウィンドウを開いたりすれば、その機能の名残りが垣間見える。

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場所の名前で検索したければどうするのか? Photos にはシンプルな場所検索機能はあるが、iPhoto ではスマートアルバムを作ってあなたが指定した場所で撮影された写真をすべてまとめることができた。残念ながら、Place を使ってスマートアルバムを作ろうとしてもそれはもはや Photos での基準の選択肢にない。

幸いにも、状況によってはそれと同等の働きができる隠れた回避策がある。スマートアルバムで Text 基準を使えば、ジオタグの中の都市名を検索できる。名前の綴りに自信がなければ、まず Search フィールドを使って検索してみれば、Photos が場所の名前を提案してくれる。

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さようなら Events、こんにちは Moments、Collections、Years -- Photos は iPhoto の Events 機能の代わりに Moments、Collections、Years の諸機能を用意している。これらは iOS 版の Photos と似ているという面はあるが、必ずしも良いことばかりではない。

初期のバージョンの iPhoto には Events もなく、Film Rolls のみがあった。これは個々の読み込みに対応するものであった。その後 Apple は Film Rolls を分割したり統合したりする機能を追加した(何日かにわたって撮影した写真を一つにまとめたいこともあるからだ)けれども、そこではかなりの手作業が必要だった。

その処理を単純化するため、Apple は Events を導入した。これは写真が撮影された時刻が近いものを集めて写真のグループを自動的に作成するものであった。デフォルトの設定は「一日ごと」で、一度に読み込まれて同一の日に撮影されたものだけが一つのイベントとしてグループになった。この歓迎すべき機能のお陰で、ますます数が多くなり何とかしたいと思っていた写真ライブラリに待望の構造がもたらされた。ただ、写真を本来ある場所に置き直すためには依然として Events を分割したり統合したりすることが必要であった。とりわけ、家族の中で複数の人たちがそれぞれ異なる場所で同時刻に写真を撮ったりした場合、それらの写真がすべて一つのライブラリに統合されてしまい、非常に具合が悪かった。

Events によっていろいろな改善がもたらされたにもかかわらず、Apple はさらなる合理化を望み、手動で整理する手間を除去しようとした。そこで、iOS に Photos を登場させた際に、同社は Events 機能を捨て去り、その代わりに iPhone を使って撮影した写真がすべて時刻と GPS のデータを含んでいるという事実を前面に押し出し、それを使って自動的に整理ができることを強調した。その結果として生まれたのが上記の Moments と Collections という概念で、これらは日付と場所の情報を使ってあなたの写真を自動的に整理するためのものだ。Mac 用の Photos は、今やこれと同じ概念を利用している。

時には、これがうまく働くし、それは賢い解決法でもある。けれども時には、とてもまずい結果になることもある。

地理位置情報こそが Moments と Collections を定義するために重要なものなので、ジオタグデータのない写真(ジオタグデータを修正する手段のないもの)は、結局 Moments と Collections においては全然無関係の写真たちと一緒のグループに入れられてしまう。時間的に同じ頃に撮影されたのかもしれないが、家族の中の別の人が全然別の場所で撮ったものかもしれないからだ。

もしもそれが唯一の問題だったなら、Apple が約束通りに iPhoto の Assign a Place 機能を Photos に復活させてくれるのを待てばよい、いずれは解決される話となることだろう。けれども残念なことに、Moments には何マイルも離れた場所で何時間も離れた時刻に撮られたと分かっている写真を同じグループに入れてしまうという、ひどく困惑させられる挙動を頻繁にする定評もある。

Events 機能の時代に戻れば、その種のグループ誤りは(面倒ではあるが)手作業で修正することが可能であった。イベントから別のイベントへと、写真を移動させればよいだけだからだ。けれども今は、Moments も Collections も、ジオタグデータと日付・時刻のデータをもとに自動的に構成されるものなので、手で整理し直す手段が何もない。なので、私たちは誤ったグループ分けとずっと付き合わされる羽目になる。結果として、いくつかの写真がなかなか見つからないことになる。

Collections 機能について言えば、こちらは Moments と Years の中間的な段階のグループ分け方法という位置付けのものらしい。表面上は、捜している写真に向かって絞り込んで行く助けになるということのようだ。けれども残念ながら、Collections は既にあいまいなやり方で整理された Moments をもとにそれらを何の規則も脈絡もなく適当にグループ化させているだけのように見え、ひいき目に見ても理解しにくい、悪い言い方をすれば使い物にならない、概念と化しているように思える。

Events が消滅したことによる犠牲者がもう一つある。もしもあなたが、私と同じに、LAN 経由で写真を Apple TV に表示させる機能に大きく依存しているのならば、Apple TV の Computers チャンネルが依然として Photos の新しい Moments/Collections/Years 表示に対応していないことにお気付きだろう。その上、Apple TV 上で Events をブラウズするという従来からの解決策がもはや (Photos のお陰で) 使えなくなったからには、Apple TV の上では何万枚もある写真がたった一つの、巨大な、スクロールする混沌のリストとなるのみだ。将来の Apple TV では(また少なくとも第三世代モデルに対してはソフトウェアアップデートとしても)この問題が修正されることを願わずにいられない。

タイトルと説明のバッチ変更がなくなった -- 個々の写真に結び付いたデータを使って写真を整理する話についてもう一つ言えば、iPhoto と Photos はいずれも、写真にタイトルを付け、説明を書き込み、一つまたはそれ以上のキーワードでタグ付けできる。

キーワード(タグとも呼ばれる)は、写真などデジタルなオブジェクト同士を関連付けるための現代的なやり方だ。Twitter の #hashtag は、おそらくもうお馴染みだろう。これは基本的に tweet 同士をリンクさせる一種のキーワードで、StackExchange のようなサポートサイトでは類似した質問を収集するためにキーワードを大規模に使っている。Gmail のラベル機能さえ、キーワードの枠組みに基づいていて関連する電子メールメッセージをグループ分けする方法を提供しているし、Finder のカラフルなタグも、あなたの Mac 上のファイルに対して同様のことを実行している。

けれども、写真を書き出した際には必ずしもキーワードがそれと共に書き出されるとは限らない。そして Photos で欠けてしまった iPhoto の機能の一つが、一連の写真へのタイトルと説明のバッチ変更だ。何のための機能かって?

Mac を使っていない、さらには Photos を持っていないかもしれない人のために写真を書き出す際には、あるいはキーワードを認識しない写真共有サービスに同期する際には、複数の写真に一挙にタイトルや説明を付けられれば非常にありがたい。その上、自分自身で検索するような場合でさえ、二度と使わないであろうキーワードに頼るよりも、一連の写真のタイトルに共通の単語を追加するなどして印を付けられれば便利だろう。

Photos では、バッチ変更の機能がなくなってしまったので、写真を一枚一枚選んでコピーとペーストを繰り返し、手作業でタイトルや説明を変更するしかない。旅行で撮ってきた百枚以上の写真すべてになど、到底やっていられない。

アルバムカバーを擦る機能が擦り取られた -- Scrub (ごしごし擦る) 機能は、スキミングとも呼ばれたが、Event のアイコンを左から右へシュッと擦るだけでその Event のすべての写真をサッと一覧できる、iPhoto のクールな機能であった。クールなだけでなく、とても便利な機能だった。

Photos では Events がなくなったが、アルバムはまだある。Album View では、一つのアルバムは一枚の写真(使いたい写真を選んで Image > Make Key Photo を選ぶ)で代表される。けれども残念ながらそこを擦っても何も起こらないので、他にどんな写真があるかを見るにはいちいち個々のアルバムを開かなければならない。

Facebook 統合と Flickr 統合が骨抜きになった -- 私たちは長年、iPhoto を複数個の Facebook アカウントに対応させてくれるよう Apple に願い続けてきた。そうなれば一つの iPhoto ライブラリを共有している夫婦その他がそれぞれ自分の Facebook アカウントに写真を投稿できるようになるからだ。そしてついにその願いは叶い、私は自分自身のアカウントと、妻のアカウントと、私の父のアカウントの三つに投稿できるようになった。父は写真を Facebook 投稿できる自信がなかったからだ。すべてが、とてもうまく行っていた!

悲しいことに、その機能がなくなってしまった。Photos から消えたばかりでなく、10.10 Yosemite 自体からその機能がなくなったのだ。こうして私たちは、たった一つの Facebook アカウントにしか投稿できない状態に逆戻りした。この制約のお陰で、妻は今週、私たちの共有 Photos ライブラリにあった写真を誤って私の Facebook アカウントへ投稿してしまった。今や彼女は、非常に面倒な手間を掛けなければ自分の写真を Facebook に (Mac からは) 投稿できないという、暗黒の時代に逆戻りさせられたのだ。

ここでの全般的な問題は、家族の間でどのように写真が共有されるかを Apple は一度も理解したことがなく、その代わりにすべての人が自分自身の Photos ライブラリを持っていると勝手に決めつける道を選び、そのためたった一つの共有アルバムを Family Sharing が作ればそれで必要が満たされると思い込んでしまったことだ。

また、iPhoto ではその場で Facebook や Flickr の中にアルバムを作成することができ、iPhoto の中で顔認識によりタグ付けされていれば Facebook の中でもそのタグが付いた。そういう機能も今はすべて消え去り、既存のアルバムの中にしか投稿できなくなった。

今読み込んだばかりの写真はどこへ行った? -- Last Import (前回の読み込み) アルバムは、iPhoto にあったのと同様に残っている。

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けれども、今朝私が読み込んだものは、いったいどこへ行ったのか? それに、時には写真を一度に一枚ずつ Photos の中へドラッグしなければならないこともあるので、たとえたった 2 分前に読み込んだ写真であっても、Last Import (前回の読み込み) の中に見えなくなることがある。個々のドラッグ&ドロップ動作が別々の読み込みとして扱われるからだ。時には、不正な EXIF データの付いたソースから読み込まれたり、Facebook から直接ドラッグしたりした場合に、撮影日のデータを探しても見つからないことがある。そう、依然として 読み込み の日付で検索することはできない。

iPhoto では、最近作成された Events のスマートアルバムを作ることによって実質的に最近読み込まれたものを見つけ出せるという回避策があった。

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Photos には Events というものがないので、この便利な回避策も使えない。なので、最近読み込んだはずのあの写真は、膨大なライブラリのどこかに隠れてしまい、見つけ出す手段が全然見つからない。何てことだ!

レーティングはなくなったが、大きな問題ではない -- iPhoto にあった星一つから星五つまでのレーティングのシステムがなくなり、その代わりに単純なハート形のアイコンになったことはお気付きだろう。そう、好きか嫌いか、二者択一になってしまったのだ。もしもあなたが私と同じ感覚をお持ちなら、最高のショットから、平凡なショットまで、段階を付けて写真を評価したいとお思いにならないだろうか。

幸いにも、iPhoto から Photos へアップグレードする際に星の数によるレーティングを "5 Star" などのタグ付けに翻訳できるようにすることで、Apple は引き続き最高のショットのみのスマートアルバムを保持できるようにしてくれた。単に "5 Star" というキーワードを検索するだけでよい。他のレーティング段階のものも同様だ。つまり、写真のレーティングは、ただ単純にそれを示すキーワードを割り当てる作業となった。

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だから、ここでは何ら機能性が失われた訳ではない。単に、お気に入りの度合を示す複数のレベルを新たな方法で追跡するようになっただけだ。

顔認識機能は依然としてお粗末 -- iPhoto の Places 機能はまだ Photos に到達していないけれども、Faces 機能は既にある。でも残念ながら、写真の中に人の顔を見つけて識別するための Photos の知能は iPhoto と同じくらいにお粗末だ。

これは Photos へアップグレードしない理由には全くならないが、ここにあえて記すべきと私が思った理由を説明しよう。高価な iCloud Photo Library に代わるものを探しつつ、私は Google Photos を試してみた。皆さんも試してみられただろうか? もし試してみられたなら、顔認識がいかに驚くほど正確かに、気付かれただろうか? まるで、映画 "Minority Report" そのままだ。ほとんど真っ黒な写真からも人々を認識し、私の目で見てほとんど見分けられないようなものも、すべて正しく認識できた。そして、私が下の息子の写真だと思っていたのを Google Photos は私の上の息子だと判定したのだが、よく調べてみたところ、Google Photos が正しくて、私が見間違えていた。

Photos がその顔認識機能をもっと改善してくれれば素晴らしいのにと思う。

Burst 対応はバグだらけ -- Burst モードの写真に対応している新型の iPhone をお持ちなら、iOS の Photos アプリに特別のユーザーインターフェイスがあって、そのバーストの中に何枚の写真が含まれているかが示され、そのうちのどの写真を残したいかを選択できる(そして残りを削除できる)ようになっていることにお気付きだろう。

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ありがたいことに、Mac 用の Photos アプリもこの Burst インターフェイスに対応していて、表向きはそのバーストの中のどの写真を残すかの選択を保留してあとで Mac に戻ってからできることになっている。

けれども、時々、私が iPhone 上でバースト撮影したものの中から残したい写真を選び、それ以外は削除せよと指示しておくこともある。(これは iPhone を Mac に接続してビデオの取り込みをさせるよりも前に済ませている。)そうした後ならば、Mac に到着したバースト写真は、My Photo Stream で取り込んだものにせよ USB ケーブルで取り込んだものにせよ、私が残すべきものを選択済みで残りは削除したことを Photos アプリが認識しているべきであって、元々バースト撮影した数多くの写真を全部呈示すべきではないと思うのが自然ではないだろうか?

でも、時として、その手順の結果私の Mac 上の元々のバースト撮影の結果がそのまま全部表示されることもある。(さらに、それらに加えて、私が選んだ写真が別途表示されることもある。)その場合、私はもう一度写真を全部見比べてどれを残したいかを確認し、残りの不要な写真をもう一度削除する羽目になってしまう。

読み込みを削除しても、また読み込まれる -- 最近読み込まれて削除された写真はやはり File > Show Recently Deleted 表示にあるけれども、iPhone を Mac に接続する度に、それらの写真が New Photos に現われる。その状態で Photos に Import All New Photos を (Delete Items After Import 設定をオンにして) 実行させても重複の警告など一切出ず、この写真が以前に読み込まれたことがあるばかりでなく削除もされているという事実など完全に無視されたように見える。

たとえ双方のデバイスで My Photo Stream が無効になっていたとしても、何らかの「削除リスト」(大昔から POP ベースの電子メールアプリで使われてきたようなもの) を使って Photos はそのようなものの追跡ができるはずだ。けれども、My Photo Stream が双方で有効になっていれば、もはや言い訳の余地などない。実際、おそらくは My Photo Stream がこの問題を起こしているのではなかろうか。どうやら、その削除項目管理にバグが含まれているようだ。

明確化のために言っておくと、Photos から写真を削除する際は、その写真が My Photo Stream から削除されるという確認が示される。それは、My Photo Stream に接続された他のすべてのデバイスからもその写真が消えるという意味のはずだ。My Photo Stream 自体については、その部分は言っている通りに働く。けれども、もしもその写真が元々 iPhone で撮影されたものならば、それは私の Camera Roll の中にも存在しており(さきほど述べた Delete Items After Import の設定にかかわらず)決して削除されることはない。

私の推測では、Photos は My Photo Stream 経由で到着する写真と、直接接続で到着する写真との間で混乱をきたしていて、どれが削除されたのかについて正しく追跡できていないのではなかろうか。ただ、私としては Apple がこれをどのように動作させようと意図しているかが分からないので何とも判断がつかない。言えるのは、必ずしも言う通りに動作してはないということだけだ。

"Take Control of iCloud" と "Digital Sharing for Apple Users: A Take Control Crash Course" の著者 Joe Kissell は、My Photo Stream をオフにして iCloud Photo Library をオンにしておけば解決が見えるのではないかと言っている。私もそれで試してみようと思う。もしもこの問題に遭遇されたら、同じことを試してみられるとよい。

現状のスナップショットは -- 述べてきたようにさまざまな問題はあるが、全体的に見て私は Photos アプリに満足している。私の iPhone 6 で撮影した Slo-Mo や Time-Lapse のビデオを扱えるのが嬉しいし、Burst 対応に関する問題点も近いうちにきっと修正されるだろうと思う。

また、Moments と Collections の枠組みも全般的には気に入っているが、写真をどのようにグループ分けするかについてのルールが現状では実装がまずく、ここはきちんと作り直すべきところだ。そうでなければ、ユーザーがそのルールを覆すことができるようになるべきだ。

少なくとも Apple は次期アップデートにおいてはジオタグ対応を提供することに高い優先度を与えているようなので、ジオタグデータの付いていない写真にきちんとデータを与えることができるようになると期待している。また、私としては Places 機能の復活を望みたい。地図表示と、スマートアルバムでその情報をもっと分かりやすく選択基準として使えるようになることが望ましい。

もちろん、iCloud Photo Library の価格がもっと魅力的になれば嬉しい。

Scrub (ごしごし擦る) 機能については、クールな上に便利な機能であったのだから、やはり復活して欲しい。また、Facebook や Flickr との統合もより緊密にし、複数アカウントにも対応して欲しい。顔認識機能も、もっとニューロンを発達させて、私たちが Google をうらやましく思わずに済むようにして欲しい。それから、キーワードを使わざるを得ないのは別に構わないけれども、それでもやはりタイトルと説明のバッチ変更の機能は欲しい。

そして最後にもう一言、Events がなくなるのは構わないが、それには条件があって、ジオタグ管理ができるようになることと、Moments と Collections がきちんと作り直されること、それから読み込みの日付で検索ができるようになること、の三点が必要だ。

Photos 2.0 に期待したい!

[Dave Kitabjian は 25 年間にわたりソフトウェアについて、データベースのデザインについて、執筆を続けてきた。最近は NetCarrier Telecom のために書いている。彼のお気に入りの言語は SQL だが、Linux ベースのサービスやソリューション構築も、彼の楽しみの一つだ。1984 年以来の Mac オーナーの彼は、O'Reilly Media ブックの技術的編集を依頼されることもよくある。]

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 8 月 24 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Simon 4.1 -- Dejal が Simon 4.1 をリリースし、ウェブ (HTTP) 機能をデザインし直して Parameters、Headers、Cookies、および Other と分けたページのリストを使用するようになった。このサーバ管理ツールはまた、カスタムヘッダ対応を加えるとともに、動的なウェブコンテンツ(JavaScript の動的変更も含む)にも対応するようになった。今回のアップデートではまた、テストフィルター用の When ポップアップメニューが None に変わればフィルタープラグインのコントロールを削除するようになり、Preview ソースが完全にはロードされなかったバグを修正し、Delete メニュー項目を File メニューから Edit メニューに移し、中国語のローカライズ版を追加し、また一部のプラグインでドイツ語とフランス語のローカライズ版を更新している。(新規購入 $99、バージョン 4 のライセンスがあれば無料アップデート、バージョン 3 からのアップグレード $49、14.4 MB、リリースノート)

Simon 4.1 へのコメントリンク:

Evernote 6.1 -- Evernote が社名と同じ名前の情報管理アプリにバージョン 6.1 をリリースし、アプリのセクションを識別しやすいようにサイドバーの色を暗くした。Evernote Business ユーザーは今回からビジネス用と個人用のコンテンツを区別するため新しいノートブック表示を使う必要があり、タグの使用は自分にアクセス可能なノートのビジネスタグの表示のために限られるようになる。(従来は、すべてのビジネスタグが表示されていた。)Evernote はまた、コミュニケーションおよび共同作業のために使用する基盤テクノロジーを一新し (安定性の問題の恐れがある場合は警告を出し)、テキストがノートの右端で切れてしまった印刷のバグを修正し、プレゼンテーションモードのいくつかのバグを是正し、カード表示で添付ファイルが切り取られたように見えていた問題を解消している。今回のリリースが、Mac OS X 10.7 Lion と 10.8 Mountain Lion ユーザーのための互換リリースとしては最後のものになる。この記事の執筆時点で Evernote 6.1 がまだ Mac App Store に出ていないことにも注意したい。(Evernote からも Mac App Store からも無料、60.5 MB、 リリースノート、10.7.5+)

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Evernote 6.1 へのコメントリンク:

Parallels Desktop 11 -- 最大 50 パーセントの速度向上と Windows 10 および OS X 10.11 El Capitan 双方への対応を備えて、Parallels Desktop がバージョン 11 にアップデートされ、今回から二つの版に分かれた。家庭用および学生用の標準的な Parallels Desktop 版と、開発者向けにデザインされた Pro Edition だ。IT 管理者用機能を追加した第三の Business Edition も用意されている。三つの版のいずれも、Cortana 音声コントロール個人用アシスタントのため always-on 機能に対応し、バッテリ寿命を最大 25 パーセント延ばせる Travel Mode、Windows 用の Quick Look 機能、Force Touch ジェスチャー対応、印刷機能への対応の向上、Windows アプリケーションでの Mac 位置情報サービス対応などを盛り込んでいる。

Pro Edition は Docker、Visual Studio (plug-in)、Chef、Jenkins などの開発者用ツールを組み込み、Vagrant 対応を提供し、特定のテスト用シナリオにフィットさせるためのユーザープロファイルを追加するオプションを提供し、ユーザーインターフェイスなしにバックグラウンドのみで仮想マシンを走らせるヘッドレスモードも追加している。また、Parallels Access の購読も無料で含まれている。Business Edition (これまで Parallels Desktop for Mac Enterprise Edition と呼ばれていたもの) には上記のうち Parallels Access 以外の機能が含まれるとともに、大規模な配置における中央化された管理・運営ができるようになっている。Parallels は、三つの版の機能を比べた便利な比較チャートを提供している。

標準版の Parallels Desktop の価格は一回限りの購入時払いで $79.99 となっており、Pro および Business Edition は年額 $99.99 の購読でのみ利用できる。Parallels Desktop 9 または 10 のライセンスを持っていれば、バージョン 11 の標準版へは $49.99 でアップグレードでき、Pro Edition は購読料金が年額 $49.99 となる。(Ars Technica の記事 によれば年額 $49.99 の Pro Edition アップグレード価格は今後も毎年提供され、一方で新規の Parallels 顧客は今年も将来のアップグレードも $99.99 を払い続けなければならないという。)2015 年 7 月 29 日またはそれ以後に Parallels Desktop 10 のライセンスを購入しアクティベートした人は無料でアップグレードが受けられる無料で 14 日間使える標準版 Parallels Desktop の試用版もあるが、その入手には電子メールアドレスの提供が必要となる。(標準版の新規購入 $79.99、Pro/Business Edition は年額 $99.99 購読、アップグレード $49.99)

Parallels Desktop 11 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2015 年 8 月 24 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の盛り沢山の ExtraBITS では、Intuit が Quicken を厄介払いする道を探り、The Verge が Ashley Madison 漏洩の影響を考察し、Adam と Tonya Engst が MacVoices で新しい Take Control ウェブサイトを説明し、Adobe InDesign がフォントのインストール漏れに対して激しい批判を受け、Apple が重役の女性虐待の過去を認め、Comcast が高齢者のために安価なブロードバンドの提供を計画し、iTunes Music Festival が新たな名前で再登場する。

Intuit、Quicken 売却を予定 -- 財務ソフトウェアメーカー Intuit は赤字続きで、Quicken、QuickBase、Demandforce を売却する予定であることを発表した。けれども同社は QuickBooks は持ち続けるという。これは前の会計四半期中に 110,000 人もの購読者を獲得した。Quicken の運命について言えば、私たちとしてはこれがどこかもっと Mac ユーザーにフレンドリーな開発者に拾われることを願うばかりだ。

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Ashley Madison ハックの及ぼす悲惨な事態 -- The Verge の記事で、Casey Newton が AshleyMadison.com から盗み出された情報が明るみになればどんな恐ろしいことが起こるかを考察する。ここは、不倫したい人たちを結び付けるためのウェブサイトだ。他の大騒ぎになった情報漏洩は、主としてクレジットカード番号やその他の(財政的なトラブルを起こすことはあっても)比較的無害なデータに関するものであった。ところが Ashley Madison のデータはそれよりもっと個人的な情報を暴露する(あるいは暴露するよう解釈できる)ものであるので、言わばファミリーサイズの厄介事を引き起こすことになる。ここで学ぶべきは、最大で 3 千 6 百万人もの人たちにとってはもう手遅れかもしれないが、オンラインでどのような内密の情報を共有するかについては非常に、非常に注意深くいなければならないということだ。たとえ最高の善意に溢れたサイトであっても、断固たるアタッカーの前には犠牲になることもあるからだ。

コメントリンク: 15879

Adam と Tonya、MacVoices で新しい Take Control サイトを説明 -- 今回のエピソードの MacVoices では、Adam と Tonya Engst が Chuck Joiner とともに Take Control ウェブサイトの再デザインで取り組んだ難問の数々について語り合った。これらは皆、内部的なことがらでユーザーの目にはすぐには見えないもの(見えるべきでないもの)であり、すべてが複雑なビジネス上のロジックによるものであった。また、議論は電子商取引における複雑な現実にも及び、Take Control がいかにして顧客の機密情報を保護するかについての説明もなされた。要は、見掛けほど簡単ではないということだ!

コメントリンク: 15878

Adobe InDesign CC 2015、大多数のフォントのインストールを停止 -- InDesignSecrets サイトで、David Blatner と Anne-Marie Concepcion が、現行の Creative Cloud 版の Adobe InDesign がもはやデフォルトではさまざまのフォントをインストールしないことを報じている。Creative Cloud に含まれる Adobe TypeKit 購読のお陰で数多くのフォントが入手可能ではあるが、たった三つの基本的フォントしかインストールしない(Minion Pro のボールド体やイタリック体すらフルにはインストールしない)ことにより、Adobe は必ずしも自由にフォントをインストールできない学生たちや、クリーンインストールで使える書類を作成する必要のあるトレーナーたち、TypeKit をブロックするファイヤウォールの中にいる人たちやオフラインにいる人たち、それからフォントを一度に一つずつダウンロードして新規のインストールを構成しなければならないデザイナーたちに、つらい重いをさせている。クラウドサービスには多くの利点があるけれども、会社としてはその欠点もきちんと認識して欲しいものだ。

コメントリンク: 15877

Apple、Dr. Dre の女性虐待をようやく認める -- 映画 "Straight Outta Compton" のリリース以来、ラッパーの Dr. Dre は何十年も前から言われていた女嫌いと女性に対する暴力の疑いについて非難の的となっている。Dre は、Apple が去年 Beats Electronics を買収して以来 Apple の重役として働いているが、今回 The New York Times に公開謝罪文を載せた。「25 年前、私は酒を飲み過ぎる若い男で、何をしていいかも分からず、生活に何の組織的なものもなかった。けれどもそんなことは私がしたことの言い訳にもならない。私はこれまで 19 年間結婚生活を送ってきて、導きの手を求めつつ、家族のためにより良い男になろうと毎日努めてきた。私は二度と昔の自分に戻らないよう、できる限りのことをしたい」と Dre は述べた。Apple は Dre への支持を表明して「Dre は自分が過去に犯した誤りについて謝罪し、自分が 25 年前とは違う人間であると述べた。わが社は彼の誠意を信じ、一年半にわたって共に働いた経験から、彼が変わったことを信じられると判断している」と述べた。

コメントリンク: 15875

Comcast、高齢者向けの Internet Essentials プログラムをテスト中 -- Comcast は、San Francisco およびフロリダ州 Palm Beach County において高齢者向けに低価格プログラム Internet Essentials の拡張をテストしていると発表した。Internet Essentials は、低所得の世帯向けに月額 $9.95 でダウンロード速度最大 10 Mbps と Wi-Fi ルータを提供する。現在のところ、この Internet Essentials プログラムは National School Lunch Program の対象となる子供がいる世帯であることを条件としているが、Comcast は今回の高齢者向けプログラムの資格基準についてはまだ発表していない。

コメントリンク: 15872

iTunes Music Festival、Apple Music Festival として再登場 -- iTunes Music Festival は今後 Apple Music Festival と呼ばれるようになる。特に驚くほどのことではないだろう。今年のイベントは 2015 年 9 月 19 日から 2015 年 9 月 28 日まで開催される。現時点で決定している出演者は One Direction、Disclosure、Pharrell Williams、それに Florence + the Machine だ。英国在住の人は無料の入場券に応募できる。そうでない人は、iTunes で、あるいは iPhone、iPad、iPod touch、または Apple TV で、パフォーマンスを視聴できる。

コメントリンク: 15868


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