TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1288/07-Sep-2015

私たち TidBITS は今週から動き出す Apple アップグレードの季節に備えて準備万端だ。そしてあなたも、Joe Kissell の "Take Control of Upgrading to El Capitan" と、Scholle McFarland の "El Capitan: A Take Control Crash Course" を読んで準備を整えることができる。毎年毎年アップグレードがあるのは鬱陶しいとお思いだろうか? Adam Engst はあなたの痛みに同感しつつも、やはりアップグレードに歩調を合わせる必要があると説明する。大量のデジタルなお喋りにうんざりしている人のために、Josh Centers が Tweetbot クライアントを使って Twitter タイムラインをクリーンアップする方法を紹介する。一方、私たちのコンピュータ上に溜まりに溜まったデジタルな残骸については、Joe Kissell が CleanMyMac 3 を使って Mac をリフレッシュする方法を示す。Glenn Fleishman は Google の OnHub ルーターに対する初期レビュー記事を読み比べたが、評判はあまり良くないようだ。高価な Apple Watch に代わるものを探している人のために、Julio Ojeda-Zapata の寄稿記事が手頃な価格の Pebble Time スマートウォッチをレビューする。今週注目すべきソフトウェアリリースは、TextExpander 5.1.1、Alfred 2.7.2、それに Carbon Copy Cloner 4.1.4 だ。

記事:

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今すぐ Take Control ブックで El Capitan に備えよう

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

さあ、今回もまた始まる! Apple は OS X 10.11 El Capitan をこの秋にリリースする予定で、パフォーマンスを向上させバグを解消するための内部的な改善とともに、Finder や、中心的な Apple 製アプリにも変更を施すことになる。(詳細は 2015 年 6 月 8 日の記事“Yosemite に雪が: Apple、OS X 10.11 El Capitan を発表”を参照。)あなたの Mac が El Capitan へのアップグレードをしつこく求めてくるのも時間の問題なので、私たちは事前リリースの形で二冊の本を出すことにした。Joe Kissell の "Take Control of Upgrading to El Capitan" は現在入手可能で、Scholle McFarland の "El Capitan: A Take Control Crash Course" は予約注文受付中だ。あらかじめ準備を整えておきたいという方のために、いずれの本も現在 20 パーセント割引で販売している。 両方を購入すれば 30 パーセント割引となる。El Capitan が出荷された時点で、これらの割引は終了する。

"Take Control of Upgrading to El Capitan" は、長年続いている私たちの "Upgrading" シリーズの九冊目にあたる。74 ページから成るこの事前リリース版の中で、Joe はハードウェアとソフトウェアの互換性、問題の予防、ドライブの準備、それから最良のインストール方法の選択について手助けをする。10.11 El Capitan の公開ベータ版からアップグレードするのであろうと、あるいはたとえ 10.4 Tiger からであろうと、それともその中間のどれかからのアップグレードであろうと、Joe はあなたがメインのドライブのブート可能な複製を作る手引きをし、デジタルなゴミを削除するための助言を示し、直前の準備を抜かりなく処理できるように導く。El Capitan が出荷されるまでの間、この電子ブックは 20 パーセント割引で、定価の $15 が $12 となる。

Apple が El Capitan をリリースした時点で、私たちはすぐにバージョン 1.1 アップデートを出版する。ここにはフルのインストール手順、インストール後に気を付けるべきことの助言、トラブルシューティングのヒントその他、盛り沢山の内容が加わる。無料の 1.1 アップデートを入手する方法は、電子ブックの "Meet Me Back Here on Upgrade Day" の章をご覧頂きたい。あるいは、直接ダウンロードリンクを記した電子メールが届くのをお待ち頂きたい。

"El Capitan: A Take Control Crash Course" は(出版された暁には)あなたが Finder の変更点や、Safari や Notes などいろいろなアプリの新機能を探訪する際の手引きとなり、通知、iMessage、Handoff、iCloud Drive、AirPlay、AirDrop、Family Sharing など Apple の主要テクノロジーに関するあなたのノウハウを新たなものにする助けとなるだろう。また、Finder タグや Finder ウィンドウのタブを使って作業するやり方の説明もあるし、特別の話題としてユーザーアカウントとトラブルシューティングを扱った章もある。他の Crash Course 本と同様、この本も手軽に開いて素早く読めるように作られているので興味ある話題だけ拾い読みできる。予約注文の期間のみ 20 パーセント割引となり、定価の $10 がたった $8 となる。

この電子ブックを予約注文すれば、1 ページのみの PDF をダウンロードできる。Apple が公式に El Capitan をリリースした後で、その PDF の中でボタンをクリックすれば、フルの電子ブックを (PDF、EPUB、および Mobipocket の各フォーマットで) 入手でき、直ちに El Capitan について学び始めることができる。また、ダウンロードリンクを記した電子メールもお送りする。

アップグレードの助けとするためにも、また El Capitan の新機能を知るためにも、両方の本が欲しい方は、30 パーセント割引のバンドル購入ができる。(このリンクを使えば二冊ともあなたのカートに入る。)この割引により定価の合計 $25 が $17.50 となる。

質の高い、掘り下げたコンテンツを皆さんにお届けするため懸命に働いている Joe と Scholle をサポートして下さり、ありがとうございます!

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Tweetbot で不要な tweet をミュートする方法

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Twitter のタイムラインがつまらない話題で一杯になるのに飽き飽きしていませんか? 他の面では興味深い人物が、たまたま何か変な話題に取り憑かれていて、それがあなたの気に障ったら、即座にその人物のフォローを解除したい誘惑に駆られるかもしれない。でも、さっさと戸口を閉じてしまう前に、まずはミュートを試してみてはいかがだろうか。ミュートは、他の面ではフォローしたい人たちからの、けれども面白くない、あるいは不快な tweet だけを、フィルター分けしてタイムラインに表示しないようにする機能だ。

Twitter 自身も独自のミュート機能を持っているけれども、同社が提供する他の多くのネイティブ機能とは違い、この機能は弱い。なぜなら、人をミュートすることしかできず、キーワードでミュートすることができないからだ。これはいつものことだが、他の Twitter アプリの方がはるかに優れた仕事をする。人気のあるクライアント、iOS 用の Twitterrific も、 ウェブ用Mac 用の TweetDeck も、この機能を提供しているが、ミュート機能で私が最高だと思うクライアントは、Tapbots の製品Tweetbot だ。Mac 用 ($12.99) と iPhone 用 ($4.99) のバージョンがあり、互いに完璧に同期する。そのミュート機能は高度にカスタマイズ可能で、その点は Twitter の流れの中から嫌なものをフィルター分けする際に非常に重要となる。

Mac 用 Tweetbot でのミュート -- Mac 用 Tweetbot でミュートを作成・管理するには、サイドバーで Mute Filters 画面(吹き出しの中に X 印のあるアイコン)をクリックして、既存のミュートを見たり、キーワードミュートを新たに追加したり、あるいは Twitter クライアントをミュートしたりする。

特定の単語をミュートして、その単語を含む tweet が決してタイムラインに現われないようにするには、Add Keyword をクリックする。見たくないと思うキーワードを入力し、継続期間を永遠、一ヵ月間、一週間、一日のうちから選ぶ。デフォルトでは、あなたに宛てた @-言及の tweet はたとえそのキーワードを含んでいても現われるが、Mute Mentions をチェックしておけばそのような tweet も現われなくなる。Matching Tweets のところに、現在ある tweet のうち何個がこのフィルターでブロックされるかを Tweetbot が表示してくれるのが、とても素敵だ。設定が終わったら、右上にある Save をクリックする。Tweetbot は新しいミュートフィルターに合致する tweet をタイムラインから削除してよいか確認してくるが、たぶんあなたはそうしたいだろう。

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Twitter クライアントをここでブロックすることもできる。Add Client をクリックして、リストの中からクライアントを選べばよい。奇妙な機能だと思えるかもしれないが、一部のアプリ、例えば Foursquare は、役にも立たない自動化された tweet でタイムラインを埋め尽くすことがあるので、この機能でそれらを一挙にブロックすることができる。Woz よ、私は Foursquare チェックイン以外のあなたの言葉も聞きたいと思うのだが。

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もしも気が変わってどれかのミュートを外したいと思えば、右上隅の Edit をクリックして、項目の左側にある赤い削除ボタンをクリックすればよい。

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奇妙なことに、ユーザーやハッシュタグのミュートはこの Mute Filters 画面からはできない。ユーザーをミュートするには、その人のプロフィールに行き、アバターの左にある歯車アイコンをクリックして、ポップオーバーから Mute を選べばよい。すると、そのユーザーをどれだけの期間ミュートするか尋ねられるので、永遠、一ヵ月間、一週間、一日のうちから選ぶ。あるいは、タイムラインの中でその人のアバターを Control-クリックするか、または tweet の中の @-言及を Control-クリックしてから Mute を選んでもよい。

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いったいなぜフォローを外す代わりにそのユーザーをミュートするのか? おそらくあなたはその人を個人的に知っていて、気を悪くされるのを望まないのかもしれない。あるいは、普段はその人をフォローしていて楽しいのだが、その人が何かの大騒ぎに巻き込まれているので、一時的にタイムラインから外れていて欲しいと思うこともあるかもしれない。

同じように、ハッシュタグをミュートするには、タイムラインの中でそのハッシュタグを Control-クリックして Mute を選べばよい。ユーザーによっては tweet にハッシュタグを付けていて、そういう場合にはハッシュタグでフィルター分けすることで簡単にその話題を丸ごと除外できる。

iPhone 用 Tweetbot でのミュート -- モバイルの側へ移って、iPhone 用の Tweetbot でも、ミュートする手順は同様だ。

まず第一に、Mute Filters タブを見つける必要がある。右の二つのタブは、アイコンの横の矢印が暗示しているように、異なるものに設定し直すことができる。どちらかのボタンを長押しして、Mute Filters ボタンを選ぼう。(Mac でと同様、吹き出しの中に X 印のあるアイコンだ。)

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既に Mac 用クライアントでミュートのフィルターを設定してあれば、ここでもそれが示される。編集用のコントロールが見えなければ右上の Edit をタップする。Mac でと同様に、既存のフィルターを削除するには赤い削除ボタンをタップし、キーワードやクライアントに新たなフィルターを追加するには左上隅の + をタップする。

キーワードをミュートする手順は Mac 上とほとんど同じだ。キーワードを入力し、継続期間を選び、言及もミュートするか否かを決めれば、Tweetbot は何個の tweet がそのフィルターにマッチするかを表示する。また、クライアントをミュートする手順も Mac 上と同じだ。単にリストからクライアントを選べばそれがミュートされる。

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ユーザーをミュートするには、その人のプロフィールに行き、歯車アイコンをタップし、Mute をタップし、継続期間を永遠、一ヵ月間、一週間、一日から選ぶ。ハッシュタグをミュートするには、ハッシュタグを長押ししてメニューが出るまで待ち、それから Mute をタップする。

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もちろん、iPhone 上の Tweetbot で作成したミュートフィルターは、Mac 上の Tweetbot へも同期される。

ここで解説したことが、あなたの Twitter フィードで信号対雑音比を良くする助けになれば嬉しい。Twitter サービスについて行くのはまるで消防ホースから水を飲むようなものかもしれないが、少なくとも悪い後味を残す不純物を濾し取ることはできるだろう。

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Google の OnHub ルーター、初期レビューで手荒な扱い受ける

  文: Glenn Fleishman: [email protected], @glennf
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Google は、ほんの数週間前に独自の OnHub Wi-Fi, Bluetooth, そしてスマートルーターを発表した。そして、何人かの評価者達に評価機器を提供していて、丁度その記事が出てきたところである。内容は必ずしも素晴らしいものではない。(Google は OnHub は予約受付中であると言っているが、自らのサイトでは "在庫なし" としており、Amazon は第三者販売者以外に対しての購入選択肢は提供していないが、彼らとて機器を手にする可能性はない。)

殆どの評価者は設定の容易さを褒めているが、ほぼ一致した意見は、多くの OnHub の機能はまだ生煮えであるか、或いは中途半端に実装されているということである。ファームウェアアップデートで改善はされるであろうが、一部の問題はハードウェアの実装に関係しているかもしれない。(その機能の更なる詳細については、私のプレビュー "Google OnHub ルーター、万人向けに Wi-Fi の簡素化を目指す" 19 August 2015 を参照されたし。)

具体的には、

到達範囲や機能の評価にあまり時間を割かなかった評価者達は OnHub について良いことを言っている様に見えた;より広範囲なテストをした人達は印象づけられなかった。

評価まちまち、様子見がお勧め -- The Wirecutter が 最も率直なそして徹底したレビュー をしていた。これは、その無線ルーターの購入ガイドのアップデートのために開発した試験に OnHub がタイミングよく間に合ったためである。(開示:私はその編集に携わったが、OnHub レビューには関わっていない。)

とりわけ、The Wirecutter はその設定の容易さ、そして誰かがそれを遠隔で設定するのを許す能力、これは家族や技術に堪能な友人の手助けを得るのに便利である、を評価した。彼らの OnHub についての記述:

この AC1900 [600 Mbps プラス 1.3 Gbps] ルーターは、距離が離れるとこの半値のルーターの半分の速度しか出ない、そしてその機能は現時点では競合に比べて極めて限定的である - Google が宣伝している内容に比べても。Google の Chromecast の様に、Google が将来 OnHub をアップデートし驚異の機能を盛り込む余地は沢山ある。今は待つべきであるが、もし待てないなら、今は買うべきではない。

他の評価者の感想:

まだチャネルを切り替えないで! -- さて、今度は私が干渉回避について語る番だ。私が Google の発表から理解しなかったのは、OnHub の 13 番目のアンテナとソフトウェアがネットワークや信号の混雑を調べ、そして再起動することなしに OnHub を新しいチャネルへと動的に切り替えるということであった。この方法には、大きな問題がある。基本の Wi-Fi 仕様は、ベースステーションがクライアントアダプターにチャネルを切り替えるように告げさせない。

これをやる仕組みは 802.11h 標準の一部として存在し、遠く遡る 2004 年に採用され 5 GHz 帯の中頃の部分を使うことを許した。この標準には、もしレーダー信号が検出されたら、これを積極的に使わないようにする幾つかの方法も採り入れられた。これは米国政府が国内の一部地区でこの帯域のある部分を使うからである。軍と FCC の間の妥協として、一般大衆や企業に、ベースステーションが干渉を避ける方法がある場合に限って、重複利用を許した。(そもそも、低出力レベルにあるベースステーションが本当に干渉 出来る のかという議論もあるが、この取り決めは何年も前になされた。)

この標準の一部 - Dynamic Frequency Selection (DFS) - は、アクセスポイントがクライアントにチャネルを切り替えるよう伝えることを許し、そしてどの様にタイミングを合わせるかを連携する。この標準は、クライアントやアクセスポイントに使われている全ての標準の Wi-Fi チップセットに組み込まれている。しかしながら、私は DFS が 2.4 GHz 帯でも使われているかどうか、或いは、5 GHz 帯の特別なチャネル、52 から 64 そして 100 から 140 の番号の、以外でも使われているかどうかについての記述をどこにも見つけられない。殆どの消費者むけベースステーションはこれらのチャネルへのアクセスを提供すらしていない。他のチャネルに対するこのサポートを持たない如何なるオペレーティングシステムも Wi-Fi チップセットも単純に接続を断たれるだけであろう。(詳細を調べてくれた Andrew von Nagy に謝意を表する!)

いずれにしても、全ての近代的なオペレーティングシステムは、不意に接続が断となっても、同じネットワーク名を持つネットワークに自動的に再接続する。OnHub が新しいチャネルに切り替える時、それはまず全ての現在接続されている機器を切断し、それから新しい一連の周波数に火を入れる。この後、Wi-Fi 機器はスキャンしそしてネットワークに再接続する - 或いは、少なくともそのはずである。

動画をストリーミング中に、ダウンロードの最中に、或いは他のセッションベースのインターネットプロトコルを使っている時に、ベースステーションがチャネル切り替えを実行したらどうなるかについては明らかでない。OnHub はアドレス予約を許すので、DHCP 付与のネットワークアドレスは、機器が切断しそして再接続しても、変更されないが、もしこれが無い場合、全ての機器は突然新しいローカルアドレスを持つことになり、その結果多くの "処理状態を把握している"や、永続的なインターネット接続を破壊する可能性がある。

もし Google が賢いなら、OnHub はネットワークトラフィックを監視し、そして混雑切り替えは、極端な悪化が続いた場合、或いはトラフィックは非常に軽くそしてストリーミングメディアは何も含まれていない時にだけなされるようにするであろう。(他のやり方として、混雑が激しい場合、認定ユーザーに通知し、そしてこの種の変更を提案することもあり得るであろう。) しかし、どうだろう? 私が見たどのレビューでも、徹底的にテストされてはいない。

当座の購入助言 -- 私は未だ評価機に手を触れる機会に恵まれていないので、経験から語るわけにはいかない。しかしながら、明らかな事実関係と、そして他の評価者達からの一貫性のある詳細からして、Google は問題を整理し、ファームウェアをアップデートし、そしてこのルーターの特別な無線及びハードウェア機能を使えるようにする必要があるであろう。それ迄は、 Apple AirPort Extreme (定価 $199;現在 Amazon では $180) や Time Capsule ($299/$399)、或いはより低価格の競合するルーター、例えば評判の高い (不格好かもしれないが) TP-Link Archer C7 (定価 $139.99、現在 Amazon では $94) の様な、の代わりとして推奨することは出来ない。

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CleanMyMac 3 で容量の節約とアプリのアンインストール

  文: Joe Kissell: [email protected], @joekissell
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X の初期の頃には、ほとんどのアプリケーションが自己完結したものであることを Apple は大きく強調していた。インストールするにはただそれを Applications フォルダの中へドラッグするだけでよく、アンインストールしたければ Applications フォルダからゴミ箱へドラッグするだけでよかった。それだけ! 必要なものはすべてそのアプリケーションのパッケージ(実際にはフォルダであるが見掛けも挙動も単一のファイルのように思えるもの)の中に含まれていた。少なくとも、理論上はそうであった。

もちろん、アプリが自己完結だというのは 本当には 正しくなかった。たとえアプリをドラッグのみで単純にインストールできても、いくつかの他の項目が別の場所に保存された。そして、Mac OS X が進化するにつれて、ますます多くのアプリが、ますます多くのファイルを、ますます多くの場所に保存しなければならなくなった。インストーラを走らせたり、あるいはアプリを初めて起動したりすると、さまざまの場所にたくさんのファイルがまき散らされるかもしれない。特に /Library~/Library のさまざまのサブフォルダ、具体的には Application Support、Caches、Frameworks、LaunchAgents といったサブフォルダの中だ。また、ログイン項目、起動項目、システム環境設定枠、Dock アイコン、メニューバー上の飾り物仕掛け、あるいはさまざまのバックグラウンドプロセスなどを、アプリが追加することもある。そうしてあっという間に、一つのアプリを使うのを止めようと思った際にこれら各種の追加物をどうすれば取り除けるのかという問題は、深刻な懸念となる。

2010 年に、私は Macworld からアンインストーラについての記事を書いてくれと頼まれた。その際私に課された任務は「アンインストーラは安全か?」と「アンインストーラはちゃんと働くのか?」という二つの質問に答えることであった。手短に言えばその答は両方とも「イエス」だったが、そこにはさまざまのただし書きが付いた。(記事 " Mac utilities: Do uninstallers work?" を参照。)私はその当時使えた最も人気ある四つのアプリのアンインストーラをテストして、四つともいくつかファイルを削除し損ねており、他よりも使い易いものはあったが、削除すべきでないものを削除したことはめったになく、たとえそれがあったとしても深刻な問題であったことはまずなかった。

それ以来、アンインストーラの全体状況は変わったが、今もアンインストーラの重要性はますます増しつつある。大多数の Mac 開発者たちは(私にはその理由を推し量ることはできないけれども)自分でアンインストーラを提供することをしていないが、持っていて便利なサードパーティのアンインストーラ・ユーティリティがある。私は、 CleanMyMac 3 こそまさにそのようなものだと思う。開発者の MacPaw は、これを汎用のクリーニングおよびメンテナンスのためのアプリだと位置付けているけれども。私はこれを、Mac 上で必要のないものを見つけ出して除去するためにまさにぴったりの手段だと思っている。とりわけ、私の MacBook Pro では SSD の容量があまりにも少なく、いつも満杯にならないかと心配しなければならないのだから。

現実の把握 -- 私が CleanMyMac を気に入っている具体的な点に入る前に、ほとんどすべての Mac メンテナンスアプリがマーケティングの根幹としている前提、特に「ファイルを削除すれば Mac の問題点は魔法のように消える」という主張に反論しておきたい。確かに、ディスクの空き容量が完全になくなれば(あるいは非常にそれに近い状態になれば)Mac の動作ははっきりと遅くなり、あらゆる種類の異常な挙動を示すようになり得る。けれども、空き容量が 1 TB の人も、パフォーマンスの意味においては、空き容量が 100 GB の人と特に何も変わるはずがない。たとえディスクにたっぷり空き容量があったとしても不要なものを削除すべき立派な理由はある(例えばソフトウェアの非互換性の問題を予防あるいは解消するためや、バックアップのために必要となる時間とディスク容量を節約するためなど)けれども、既にたっぷりと空き容量がある状態でパフォーマンスを上げたいと思っているだけなら、不要なものを削除しても単なる時間の無駄に過ぎない。

同じように、メンテナンスユーティリティが削除するいわゆる「ゴミ」の多くは、実は使い道がある。(だからと言って非常に重要という訳ではないが。)例えば、何ギガバイトもあるさまざまのキャッシュファイルは、無用のものに見えるかもしれないけれども、実際には Mac が素早く効率的に動作するためさまざまのプロセスの助けとなっている。キャッシュファイルを削除すれば、Mac は高速化するどころか速度が遅くなるかもしれない。それに、いずれにしても Mac OS X がキャッシュファイルを再構築するので、削除することで得られた容量の節約はすぐに消え去ってしまう。

それからまた、メンテナンスアプリがいかに徹底的な働きをしたとしても、Mac に最良の動作をさせるためにあなた自身が定期的に施すべき予防的メンテナンスの作業を、すべてそれ自身で処理できるアプリなどあり得ない。このことも、さらにそれ以外のもっと多くのことも、私の新刊書 "Maintaining Your Mac: A Joe On Tech Guide" に記してある。他の多くのメンテナンスアプリのこともこの本で扱っている。

そういう訳で、CleanMyMac にせよ、他の同種のアプリのどれであるにせよ、使う際には必ず正しい期待を持って(加えて十分な慎重さも持って)すべきだ。こうしたアプリは、あなたが必要としないファイルを見つけて削除する助けとなり、不要なアプリを(あちこちにまき散らされたたくさんの厄介なファイルと共に)アンインストールし、その他便利なメンテナンスの作業を実行してくれるだろう。ただ、それをしてもあなたの Mac の速度はいっこうに向上しないかもしれないし、最良の安全な結果を得たいのならばアプリが呈示した候補の削除に同意を与える前に必ず注意深く検討してみるべきだ。

クリーニング機能 -- さて、具体的な点に移ろう。CleanMyMac はその機能を二つのグループに分けている。クリーニング(つまり余分なものの削除)と、ユーティリティ(ここにはアンインストーラや、その他多くのツールが含まれる)だ。このアプリを起動すると、まず Smart Cleanup 画面が開く。ここに、すべてのクリーニング作業を一挙に走らせるための手軽な方法が提供されている。あなたがすべき第一歩は、これ自体は非破壊的で安全なもので、Scan をクリックすることだ。すると CleanMyMac は削除してもよい候補を見つけ出す作業にかかる。

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まずは Scan をクリックして、結果が出るまで待とう。ただし、削除する候補をすべて調べ終えるまでは Clean をクリックしてはいけない。(調べるには、カテゴリーを選択して Review Files か Review Details をクリックする。)削除せず残したいものを選択から外して、その後で Clean をクリックする。

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CleanMyMac が考慮に入れるのは以下のようなカテゴリーだ:

CleanMyMac のクリーニング機能はいずれも万能の解決策ではないが、効果的であると同時に安全だと私は思う。でも、それらはこのアプリにできることのほんの一部でしかない。

アンインストーラ -- 私が CleanMyMac 3 で一番気に入っている (Utilities のところで最初にリストされている) 機能は、派手ではないが、効果的だ。それが、Uninstaller だ。まずディスクをスキャンしてから、すべてのアプリをリストする。アプリのどれかを選べば、それに関係していると CleanMyMac が判断したファイルがすべて表示される。そうしたら、アプリの名前の横にあるボックスをチェックしてそれに関係したファイルをすべて削除することも、残したいファイルを個別に選択したり選択から外したりすることもできる。選択したファイルを削除するには Uninstall をクリックする。(また Application Reset ボタンをクリックして環境設定や支援用のファイルのみを削除することもでき、その場合はそのアプリがインストール直後の元の状態に戻る。)

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複数のファイルを一度にアンインストールすることもでき、アプリを名前で検索することもできる。また、この Uninstaller はアプリをそのサイズ、名前、最後に起動した日付その他で並べ替えることができ、表示をフィルター分けして古いサポート外のアプリでいずれにしてもあなたの Mac ともはや互換でないようなものだけを表示することもできる。

その他のユーティリティ -- 残りのユーティリティはいずれも、一つの例外 (Extensions) だけを除き、私の目には単なる増量のためのものに見える。つまり大した働きはせず、しかも同じことができる他の(無料の)方法もある。

Dashboard とメニュー -- CleanMyMac 3 にはあと二つ、説明しておくべきコンポーネントがある。Dashboard は、CleanMyMac ウィンドウの Dashboard ボタンをクリックすると開き、ディスク容量、RAM、CPU 使用量、それに(適用可能ならば)バッテリ残量の、リアルタイム統計表示を提供する。グラフ上にポインタをかざせばさらに詳しい情報が示される。(最初から CleanMyMac が詳細情報を全部表示してくれればなおよいのにと思うのだが。)

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Memory ラベルの隣には Free Up ボタンがある。これをクリックすれば余分な RAM が「解放」される。MacPaw はこの機能の具体的動作内容を公開していない。確かに、このボタンをクリックすれば RAM の「空き」領域が増えるけれども、私の推測では単に RAM 内容をパージしているだけで、それは OS X 自体が必要に応じて自動的にしていること(コマンドラインツール purge と同じようなもの)だ。そういう訳で、おそらく RAM の空き領域の増加は大体において見せ掛けだけのものだろう。

それから、システムワイドの CleanMyMac メニューをインストールするオプションもあり、これはデフォルトで有効になっている。このメニューは Dashboard と同じデータを表示する。(Memory カテゴリーの上にポインタをかざせばやはり Free Up Memory ボタンが表示される。)けれども、要求に応じて統計情報を表示することに加えて、このメニューコンポーネントはバックグラウンドプロセスを走らせており、これがいくつかの特定の状況を監視して、それが起これば警告を出す。

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私が CleanMyMac 3 をまだ使い始めの頃、このメニューコンポーネントが過剰にお喋りで煩わしいと思った。例えば、クリーンアップを実行せよと促す通知が頻繁に出たが、私はそんな催促は欲しくもないし必要でもない。けれども、CleanMyMac 3 > Preferences > Scheduler でこのリマインダーの頻度を変更できるし、リマインダーを無効にすることもできる。同じように、ディスクの空き容量が少なくなった場合に現われる通知も変更したり無効にしたりできる(どれだけの容量が「少ない」のかは数字で指定できる)し、ゴミ箱の内容量が多くなった場合の通知も同様で、これらは CleanMyMac 3 > Preferences > CleanMyMac 3 Menu で設定する。それ以外の通知で(メニュー自体を無効にする以外は)無効に設定できないものとしては、ディスクの故障が差し迫っている警告 (ドライブの S.M.A.R.T. 監視システムからの情報による)、バッテリの故障 (これは OS X 自体が報告する)、それに過剰な RAM 使用がある。

このメニューはまた、あなたがアプリをゴミ箱にドラッグするとそれを探知して、CleanMyMac にそのアプリを完全にアンインストールさせたいかと尋ねてくる。不合理なことではない(無用なファイルが取り残されるのを防げる)が、もしもそのような挙動が気に入らなければ、CleanMyMac 3 > Preferences > CleanMyMac 3 Menu でオフにできる。この設定枠では他にも、アプリが反応しない場合に出る通知を無効にできるが、私はこれはぜひ無効にしておくべきだと思う。たとえあるアプリが数秒間反応しなかったとしても、それはそのアプリが明らかに何か重要な作業をしている最中だからということもあるからだ。そういう場合、CleanMyMac はそのアプリを強制終了するかどうかと尋ねてくるが、そんなことをすればその重要な作業をもう一度、私がそのアプリを起動し直した際にそのアプリが再開しなければならなくなる。もしもアプリが本当にフリーズしてしまえば、Command-Option-Esc で強制終了できる。ここで私は CleanMyMac の援助など欲しくもないし必要でもない。

結論 -- 「どうでもいい」機能はいくつかあるけれども、CleanMyMac 3 は有効であると同時に安全だと私は思う。初心者にも十分に使い易く、個々の機能の説明も有用で、Help も分かり易く、このアプリのほとんどのアクションに伴って出るちょっとしたアニメーションやサウンドさえ、私の気に入った。(気に入らなければオフにできる。)CleanMyMac 3 は OS X 10.8 Mountain Lion またはそれ以上で動作する。価格は 1 台の Mac なら $39.95、2 台なら $59.95、5 台なら $89.95 で、ダウンロードサイズは 31 MB だ。無料の試用版もあり、これは最大 500 MB までのデータの削除と 3 回までのメンテナンスユーティリティの使用ができる。

Mac の予防的メンテナンスの全体的戦略の中に CleanMyMac をどのように取り入れるべきかについては、ぜひとも "Maintaining Your Mac: A Joe On Tech Guide" をお読み頂きたい。

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何故アップグレードすべきか (自らの基準で)

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

我々は再び Apple の年次アップグレードの季節に向かっている。今年は、OS X 10.11 El Capitan, iOS 9, そして watchOS 2, 更に、沢山の関連したアプリのリリースが控えている。全てのアップグレードが、次の最善のものと称され、熱き新機能と、性能、信頼性、そしてセキュリティの改善を約束して、我々の心をくすぐってくる。

不幸にして、これらの定常的なアップグレードは多くの人を恐怖で、もしそれが言い過ぎなら、うんざりする屈服感で満たす。格言にあるように、もし壊れていなければ直すな、と行きたいところだが、テック企業によって我々に押しつけられる変更の殆どは、もはやバグ修正や日常の使用を易しくすることを目指してはいない。もちろん、バグは修正され、そしてセキュリティ脆弱性は阻止されるが、これらの目に見えない改善は一部分で、Marketing 部門の生意気な 20 代の人からのチェックリスト機能や、Design 部門の流行に敏感な人によって今風だとされる見かけの修正が盛り込まれる。

皆さんの多くが、"バスを止めて! 降りたいんだよ!" と叫びたい衝動に駆られるのを私も承知している。そして、数年前にあの出来損ないの OS X 10.7 Lion が売りに出された時、多くの人がまさにそれを実行した - 今でも幸せに (或いは、少なくとも自己防衛的に) 10.6 Snow Leopard.を使い続けている主張の強い集団がある。恐らく、iOS 7 や iOS 8 のフラットな外観を嫌がって iOS 6 を使い続けている人達もいるであろう。あなたは、単にアップグレードの世界が害を及ぼすのを先延ばししているだけなのかもしれないが、間違ってはいない。

理由はこうで、そしてこれが Silicon Valley を現実世界から隔離する大きな亀裂なのである:違うことはより良いとは限らない。多くの人にとって、違うことは定義からしてより悪いことである。我々は有限の存在で、限りある命を生きている。我々は学ぶ機会を逃すべきでは無いが - それが永遠の若さへの秘密 - 宇宙における我々の役割についてもっと学ぶことと、以前ははっきりしていたインターフェースコントロールがどこに隠れてしまったのかを推測することとの間には違いがある。過去数年の間の iTunes アップデートだけでも、社会に何百万時間もの時間を浪費させた。

加えて、我々は生活の中で物に愛着を覚えるようになる。我々は関係を築く、人とだけでなく、我々の環境とも。私は心理学者ではないが、テック企業によってユーザーに強制された変更に対する私が通常見る感情は怒りである。もしあなたがある日自分の車に乗り込んだら、全てのボタンが違うレイアウトで、黒のラベル上に濃い灰色の表示になっていたとしたら、あなたはどの様に反応するであろうか? "それが新しい顔です" と言われ、さらに "気に入ると思いますよ。それに、燃費は 10% 改善し、そしてハッカー達はもはや遠隔であなたの車を制御出来ません。ところで、ハンドルは光沢アルミであるべきで、そしてブレーキペダルは少し左に移した方が見た目にも配置が良くなると思いました。きっと、好きになると思いますよ!" と続く。勿論、新しい車を買うのであれば、それもあり得るかもしれないが、この場合、決めるのはあなたである。望まない変更を受け入れる以外の選択が、殆ど、或いは全く、出来ない時には、怒りに駆られるは十分に理解出来る。

このようなこと全てが起こる原因は、あなたがいったん顧客になってしまえば、あなたの意見はもう関係ないことにある。テック企業の巨人達は純粋に _新_ 顧客を求めて戦っており、そうするために機能やインターフェースで "まあ、輝いているわ!" と言わせ、無愛想な PC や折り畳みの携帯から乗り換えさせようとする。しかし、本当の落とし穴は、それぞれがあなたを一つの閉じたエコシステムへと誘い込もうとしていることである、そして一度入ってしまえば、それが Apple, Microsoft, Google, 或いは Amazon かは関係なく、あなたは壁に囲まれた庭の囚人となる。そうなったら果実はおいしいであろうと願った方が良い、なぜならば、その壁をよじ登るのは難しく、それに、壁の向こう側にあるのは別の壁に囲まれた庭に過ぎないからである。

ええ、私にもあなたの失望の声が聞こえるし、そしてあなたの怒りも理解出来る。あなたは間違っていない。しかし、敢えて言わせてもらえば、あなたには恐らく逃げ道はない。あなたはアップグレードしなければならないし、そして、もし下記のいずれでもあなたに当てはまるなら、少なくとも準定期的にそうしなければならない。

私は何も、Software Update が最新の最高のものへと注意喚起してきた時すぐに、全てのものを中止してアップグレードすべきであると言っているわけではない。事実、後からするよりも早く入手した方が良いある種のセキュリティ関連のアップデートを除けば、アップグレードする前にある程度の時間待つというのは理にかなっていると私は思う。直ちにアップグレードするというのは、我々のように最新の詳細情報を追うのが仕事の連中のためのものである - 我々は氷盤から最初に飛び込むペンギンであり、後に続く皆さんがヒョウアザラシの心配をする必要なく飛び込めるようにするためである。大きなアップグレードの後は少し時間をおき、広範囲な一般公開の後でしか表に出てこないバグに対応するマイナーアップデートが一つか二つ出るまで待った方がよい。我々は、確かに現在 "Take Control of Upgrading to El Capitan" と "El Capitan: A Take Control Crash Course" の早朝版を出し、そして El Capitan のリリース日にアップデートを計画してはいるが、その後もこれらの本に磨きをかけ続ける。

と言うことで、待ちたいなら待つべきだが、あまり待ちすぎないように。コミュニティ知識はもはやそれ程昔まで戻らない - 知るべきことは多すぎ、そしてすぐに陳腐化してしまう事実も多すぎる。選択肢も消えてしまう - 重い腰を上げて、もう既に成熟した Yosemite に今アップグレードすべきである、遅くとも 1 ヶ月かそこらで。Apple はそれを El Capitan に置き換えるので、Yosemite のまっさらのコピーはダウンロード出来なくなる。現在、Mac App Store から Mavericks の新しいコピーはダウンロード出来ないのと同じ状況になる。(そして、ご推察の通り人々は未だ "Take Control of Upgrading to Yosemite" をこの理由のために入手している。)

要するに、深呼吸し、肩の力を抜き、そしてアップグレードに取り組むのである。しかし、意図的に、そして自らの基準でやるべきである。

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Pebble Time、Apple Watch に代わる低価格製品を提供

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple Watch の前に、 Pebble があった。

Pebble スマートウォッチは、 史上 3 番目に成功した Kickstarter クラウドファンディング募金から生まれたものだが、2013 年にリリースされて以来、iOS ユーザーにも Android ユーザーにも同じように気に入られた。

とりわけ iPhone ユーザーにとっては、これ以外の有名どころのスマートウォッチ(例えば Android Wear など)を Apple 製のハンドセットと連係して働かせることが簡単でなかったので、入手するならばこれしかなかった。そのことで、Pebble の旧式の白黒スクリーンと、機能の少なさも我慢できた。

そして今、Pebble スマートウォッチのアップグレード版が、Pebble Time という名前で登場した。確かにカラースクリーンは付いたが、もはや Pebble に iPhone オーナーを独占することは不可能だ。直接に Apple Watch と競合することになったのだが、Cupertino 発のあの高性能の手首上の機器には機能面でとうてい及ばない。Pebble Time と Apple Watch とは、テクノロジー製品の同じカテゴリーに入れることすら、はばかられるほどだ。

Apple Watch では高画質のディスプレイや、贅沢なバンドの幅広い選択肢、高度な金属加工、先進のソフトウェアなどが高級感を醸し出すが、Pebble Time には劣ったスクリーン、オモチャのようなプラスチック製筐体、パッとしないアプリ、少ない機能などが目立つ。

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両者とも Bluetooth 接続によるスマートフォンのお仲間という位置付けであり、通知の監視やオーディオの制御などの基本的な作業で手首の上からスマートフォンを操作できるものとして機能する。

けれどもその点、Apple Watch の方がそれ自身コンピュータでもあるのでより大きな潜在力を持つ。ハードウェアがよりパワフルで、間もなく出されるソフトウェアアップデートにより iPhone との繋がりも大幅に広がるだろうからだ。一方 Pebble Time はアラームなど自力でできる基本的なことはいくつかあるが、むしろより緊密にスマートフォンに束縛される。

それでもなお、私がこの記事を書いているのは Pebble Time を葬り去るためでなく、褒めたたえるためだ。

結局のところ、 Pebble Time は史上最高額の Kickstarter 募金を達成できる可能性がある。現時点の $20,338,986 という額は、初代の Pebble が集めた $10,266,845 の二倍近くに達している。

それに、貸与品のデバイスを短期間使っただけでも、私は Pebble Time を大いに楽しめるようになった。

購入すれば支払うことになる $199.99 は、入門レベルですら $349 の Apple Watch に比べればかなり利用価値が高いと言える。もちろんすべての人に向いている訳ではない。とりわけ、最高にパワフルで機能満載のウォッチが欲しい人ならばなおさらだ。けれどもシンプルな必要を充たせばよいという人には、きちんとそれに見合った働きができる手頃な価格の選択肢となる。

その上、Pebble は Pebble Time に切り札を持たせている。これは、拡張可能となるようにデザインされ、サードパーティのアクセサリで機能を追加できる可能性を持つのだ。

欠点を言えば、Pebble Time は iPhone ユーザーにはその能力のすべてを発揮できない。機能の中に、Android スマートフォンとの間でなければ使えないものがたくさんあるからだ。Apple が、競争相手を望まないのだ。

Pebble 対 Pebble Time -- 背景をはっきりさせるために、まずは第一世代の Pebble と、その後継たる Pebble Time とを比較しておこう。第一世代のものもまだ販売中で、$99.99 という格安だが、Pebble Time はいくつもの面でそれを改良している。

いずれもプラスチック製だが、Pebble Time の方が薄く、ほっそりして、形が正方形に近く、角が丸められている。かさばった感じの長方形の Pebble とはかなり印象が違う。Pebble Time には新たにスクリーン周囲に金属製のベゼルが付き、ウォッチを保護しつつ美しく見せている。物理的なスクリーン自体は大きさも形も同じだが、Pebble Time では耐久性のある Gorilla Glass 製だ。

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いずれの Pebble もゴム製のウォッチバンドが付くが、Pebble Time のバンドの方が快適で、しなやかで、ソフトな感触だ。Apple が入門レベルの Apple Watch Sport に付けている フルオロエラストマー製バンドにむしろ近い。

いずれの Pebble ウォッチも、タッチスクリーンは持たない。その代わりに、いずれも物理的なホームボタンを左側に、三つのナビゲーションボタンを右側に持つ。これらのボタンで、メニューをブラウズしたり、アプリや時計画面を呼び出したり、アラームやタイマーをセットしたりする。確かにあまり格好良いとは言えないけれども、私に言わせれば Apple Watch のデジタルクラウンとサイドボタンもそれほど大差はない。

Pebble ウォッチの方は E Ink スクリーン、電子ブックリーダーの多くが持っているものと同種のスクリーンだ。一方、Pebble Time はこのスクリーンテクノロジーのカラー版を使っていて、素敵な見た目だ。ただし、たった 64 色で、鮮明度もあまり良くなく、その昔の Game Boy のスクリーンと驚くほどよく似ている。とうてい最先端のものとは言えない。それでも E Ink にはバッテリを長持ちさせるというという大きな利点があるので、Pebble Time は充電なしで最大一週間も使える。

どちらの Pebble ディスプレイの方が読みやすいかは判断が難しい。明るい日光の下で玄関先の階段に二つのデバイスを並べて比べたが、見る角度によってどちらかの方が見やすく、全体として優劣は付け難かった。言わば引き分けだ。だから、第一世代の Pebble を使っている人は、画面が劇的に見やすくなると期待して Pebble Time に買い替えるべきではない。

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Pebble Time も第一世代の Pebble と同じく防水処理がしてあり、シャワーの中や、30 メートルまでの深さで水泳をする際に着けていても問題ない。それ以上の水深では、ダイバー用のウォッチにして水圧で凹まないようにすべきだ。

いずれも、充電ポートに磁石でくっつけて使う電源コードで充電する(Apple Watch とそれほど変わらない)が、第一世代の Pebble でポートが左側に露出しているのに比べて、Pebble Time はポートをウォッチの背面に隠している。

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Pebble のエコシステムは品揃え豊富なアプリライブラリを持つが、第一世代の Pebble はその利点を十分に活用できないでいた。同時に 8 個ほどのアプリしか搭載することができないからだ。そのためユーザーは App Locker にアプリを出し入れする手間を強いられた。Pebble Time ではこの問題を是正するため、何十個ものアプリを入れられる余地を確保している。余地がなくなれば、最も使用度の低かったアプリがロッカーに追いやられる。

Pebble 用アプリは対になるスマートフォン用アプリを通じてインストールするようになっているが、Pebble Time 用のものと第一世代の Pebble 用のものではそれぞれ別々の iPhone 用アプリが対になる。

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Pebble Time 用のソフトウェアは、第一世代用のものに比べて目に見えて改善されている。最もありがたい新機能はタイムラインだ。これは、面会予約、最新ニュース、天気予報、その他時刻に結び付いた情報を時刻順に、つまりタイムラインとして、直近の過去から現在へ、それから近未来へと並べて表示し、物理的な上下のボタンでアクセスできるようにするものだ。

第一世代の Pebble にはタイムラインはないが、メーカーによれば この夏のうちに備わる予定であったという。

全体として Pebble Time のソフトウェアは素晴らしいアップグレードになっており、あちこちに風変わりなアニメーションも見られる。例えば壁掛け時計のアイコンに揺れる振り子が付き、タイムライン上のニコニコ顔の太陽は晴れの天気予報の画面を素早く引き出す。また、時計画面が追加されると星のアニメーションが出たり、通知を閉じると小さな煙がパッと出たり、タイムライン項目を削除すると漫画のドクロがチラッと見えたりする。第一世代の Pebble の画面はシンプルで、こういった楽しげな動きが何もない。

要約すれば、Pebble Time は紛れもなく Pebble であるが、楽しく、かつ便利なやり方でそのデザインを進化させている。

Pebble Time をテストする -- 私は何週間か Pebble Time を使ってきて、事実上(価格が安いことを除いて)あらゆる意味で Apple Watch と比べれば明らかに劣っているにもかかわらず、全体的にはこれを楽しんでいる。

Pebble と Apple のプラットフォームによく通じた他のスマートウォッチ愛好家たちと同様に、私も Apple Watch に期待するもの(テクノロジー系ブログで私がレビューしている)と同等の期待を Pebble Time には元々持たないという立場で考えるようにしている。

けれども、その Apple Watch レビューにも書いた通り私は基本的に節約志向なので、カテゴリーの中で必ずしも最先端でなかったとしても、私の生活を目に見えて改善してくれつつ財布にも優しい、そんなテクノロジーを歓迎したいと思っている。

例えば iPhone から通知を受け取れるというだけの目的ならば、別に最高級のスマートウォッチは必要でない。Pebble Time も、ちゃんとすべきことはする。明瞭にフォーマットされた(風変わりなアニメーションも付いた)アラートを出し、アラートの際には力強いブザー音を鳴らし、画面の上にきちんと順序付けられた通知のそれぞれにアイコンが示されて、それが電子メールメッセージなのかソーシャルメディアのアップデートなのかといったことも分かる。

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しかしながら、ディスプレイのテクノロジーが劣るので、アラートの内容を読む際には時々苦労させられる。E Ink は明るい日光の下では非常に読みやすい(Apple Watch のスクリーンよりずっと読みやすい)けれども、屋内の薄暗い状況では読みづらいので、ホームボタンを押して(大して明るくない)照明を点灯させなければならなかった。ただ、Pebble Time のカラーディスプレイが常時オンになっているのは嬉しい。Apple Watch では、とても素敵だがバッテリを消耗させるディスプレイが、ほんの数秒間触らずにいただけで勝手にオフになってしまうのだから。

アラートに到達するには何回もクリックしなければならずちょっと苦行だと思えたが、右側のナビゲーションボタンを長押しすれば通知画面が開くよう設定できることに気付いた後は不満が解消した。(もう一つのボタンは設定画面を出すようにした。)

タイムラインは素晴らしい機能だが、アクセスも簡単だ。右側の上ボタンを押せば過去へ旅することができ、下ボタンを押せば未来のカレンダー項目や天気予報その他が見られる。項目を一つ選べばさらなる情報を読んだり、その項目を削除したりできる。

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タイムラインをカスタマイズして、サードパーティのアプリから取り寄せた情報をこの時系列の流れの中に「ピン留め」することさえできる。例えば、最新のニュース見出しをニュースアプリから取り寄せれば、一日に数回、ピン留めしたタイムライン項目からニュースが読める。スポーツファンは ESPN アプリから最新のスポーツニュース見出しを取り込める。 デモのビデオを ご覧あれ。

何たることか、このタイムラインがあまりにも便利なので、どうやら Apple はこのアイデアを横取りして来たるべき watchOS の中にTime Travel という機能として盛り込むようだ。

アプリのためのプラットフォームとしては、Pebble Time は迫力に欠ける。私は Apple Watch についても同じ印象を持ったけれども、Apple には Pebble のものとは比べ物にならないほど多様かつ洗練されたアプリのエコシステムがある。確かに、Pebble アプリは数としてはたくさんあるが、品質はピンからキリまでさまざまで、必携のアプリはどれかと探すのが難しい。

定評ある有名どころのアプリとしては Evernote、Pandora、それに Foursquare の Swarm などがある。いずれも私の iPhone 上にある親アプリをうまく拡張しているが、それ自体としてはかなり機能が限られている。例えば Evernote は私のノートブックやその内容に一応のアクセスを与えてくれるが、こんなに小さなスクリーンの上では必ずしも生産的とは言えない。

その他の注目すべき Pebble アプリとしては、Domino's、Eventbrite、PayPal、TripAdvisor、Uber、Yelp、またフィットネス関連では Fitocracy、Jawbone、Misfit、RunKeeper などがある。

これらのフィットネス用アプリは Pebble Time を素敵なフィットネスのお伴としてくれるが、対応する iPhone アプリに非常に大きく依存して働く。例えば私は RunKeeper にモニターさせて速歩をしてみたが、Pebble Time とその RunKeeper アプリを基本的に iOS 上の RunKeeper アプリのリモコンとしてしか使わなかった。その点 Apple Watch は、組み込まれたセンサーのお陰でそれ自体ちょっとしたフィットネス・トラッカーとして働く。ただしこれも計時と歩数計測と心拍数計測以外のほとんどのことについては、やはり iPhone を必要とする。

アプリからアプリへのナビゲーションは分かりやすいが、少々扱いにくいところもある。個々のアプリはスクリーン全体を占めるカードとなり、ボタンを押して上下にスクロールすることで使いたいアプリへ移る。つまり、たくさんのアプリをロードしていれば結構時間がかかるし、繰り返し使っていると忍耐の限界が見え隠れすることもある。その点、Apple Watch の丸いアプリアイコンが雲のように並ぶやり方は手間が少なくて済む。ただし小さな玉を指先で拾い出すのは Pebble のアプリの大きなカードに比べてかなり難しいが。

Pebble の時計画面も、やはりピンからキリまである。その多くは依然として第一世代の Pebble を意識した白黒表示のままだが、私は Real Weather 時計画面が好きだ。時刻、日付、気温に加えて、現在の天候と時刻がクールなカラーアニメーションで示される。

Pebble の時計画面は、一般的な傾向として Apple のものに比べて単純だし、画面上の「コンプリケーション」のオプションも概して少ない。

Pebble Time のオモチャのような見栄えについて言えば、地味なブラックモデルであれば私は気にならない。Pebble が私に貸してくれたのはレッドモデルだったが、これはあまりにも派手な「おーいみんな見てくれ」と言わんばかりの感じがして着けているのがちょっと恥ずかしい。Pebble Time にはホワイトモデルもある。

Pebble Time はサイズが小さくなり、底面が僅かに曲面を成して、ゴム製のバンドもソフトになって非常に快適なので、私は一日中手首に着けていた。シャワーの中で着けているのはちょっと心配だったが、何ともなかったところを見ると、杞憂だったようだ。

Pebble がプラスチックに依存していることは、いずれコストとなる。私のレビュー用ユニットの物理的ボタンは、比較的短い間に凹んでしまった。ベゼルも二ヵ所ほど凹んだり傷付いたりした。

悲しいことに、私は Pebble Time の機能の多くをテストできなかった。少なくとも iPhone にリンクされた状態のテストはできなかった。Android ベースの Pebble Time ユーザーは届いた通知に対してさまざまのアクション、例えば Gmail メッセージをアーカイブ保存するなどを実行することができる。けれども iPhone ユーザーには通知を消すことしかできない。Pebble Time にはマイクロフォンが内蔵されて音声メモを取ったりテキストに音声で応えたりできるようになっているが、実際にそれができるのは Android ユーザーのみだ。また、Android ユーザーはあらかじめ保存された返事または絵文字でメッセージに応えることができるが、iOS ユーザーにはできない。

Pebble によれば、それらの欠点のうち少なくともいくつかは解消すべく現在開発中とのことだが、大体において原因はよりオープンな Android に存在しない iOS 独特の制約によるものだ。

Pebble Time には他の多くのスマートウォッチにある機能のいろいろ、例えば GPS、NFC、心拍数追跡などの機能も欠けている。

変化と革新 -- Pebble のテクノロジーにはさらなる変化形があって、そのいくつかは現在入手できるが、まだ出ていないものもいくつかある。

プラスチックが嫌いな人のために、金属製の選択肢がある。第一世代 Pebble の金属製バージョンは $149.99 で Pebble Steelと呼ばれ、高級な見栄えと耐久性を備えていた。今回も、Pebble は最近になって $249 の Pebble Time Steel をリリースした。私はいずれの Steel モデルも使ったことはないが、写真で見た限りでは Pebble Time Steel は金属製の筐体と金属製のボタンが三色から選べ、革製や金属製のバンドの選択肢もいくつかあって素晴らしい。

また、Pebble は Pebble Time Smartstrap プログラムを発表した。これは、サードパーティのアクセサリーメーカーが、ウォッチ底面の充電ポートに差し込んで使う専用のストラップを通じて、例えば GPS や、補助バッテリ、あるいはフォットネスモニターなど新たなウォッチ機能を追加できるようにするというものだ。実現すれば Pebble はもっと Apple と競争できるようになるだろう。ただしそれは、Smartstrap の開発者たちが Pebble Time を一段と強力にできる魅力的なアクセサリーを生み出せるかどうかにかかっている。

Pebble Time の交換用バンドは「スマート」である必要はない。Apple Watch や Android Wear モデルと同様、付属のバンドをさまざまの洒落たデザインでサードパーティのメーカーから出ているバンドに交換できる。Pebble Time には標準的な 22 mm ラグを含むクイックリリース機構が付いているので、他社製の多くのストラップと互換だ。だから、私も Pebble Time の赤いバンドを取り替えることはできるのだが、それをしても筐体部分は赤いままだ。

退出 (clock out) 時にもう一言 -- スマートウォッチを買う予算にたっぷり余裕のある人たちが Pebble Time を選ぶところは想像しにくい。iPhone を使っていて現金もたっぷりあるなら、値段なんかどうでもいいと Apple Watch を買い込むのが普通だ。

けれども、すべての人の懐に金が有り余っている訳ではない。Apple Watch は入門レベルでさえ $350 もする。その点、Pebble Time は $200 という魅力的な代替品だ。機能的に Apple Watch と同等ではないが、値段に見合った働きは十分できる。そして Pebble の Smartstrap プログラムは、Pebble Time がテクノロジー革新のプラットフォームとして有望な未来を持つ可能性を開く。

第一世代の Pebble を愛用してきた人たちは、カラースクリーン、タイムライン、アプリ許容数増加など Pebble Time の改善点を嬉しく思うだろう。私としては、第一世代の Pebble を今の時点で購入することは、たとえ $100 と安くても、少なくともタイムライン機能が第一世代のハードウェアでも使えるようになる(ただしアニメーションは間違いなく減るだろうが)日が来るまではお勧めできない。

そうは言っても、第一世代の Pebble を持っている人たちが急いでアップグレードする必要もないだろう。なぜなら、機能性は Pebble Time になっても大体において同じだからだ。

プラスチック製が嫌いな人は、価格が上がっても Pebble Time Steel を選ぶのが良いだろう。それでもなお Apple Watch Sport より $100 安い。

要約すれば、Pebble Time は Apple Watch の標準から見れば初歩的かもしれないが、決して価値がないとか時代遅れとかいう訳ではない。その上これからもっと良くなる余地もたくさんある。予算に限りがあるけれども手首に通知を受けるようにしたいと思う人は、検討してみるとよい。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 9 月 7 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TextExpander 5.1.1 -- Smile が TextExpander 5.1 をリリースし、OS X 10.11 El Capitan でのバグを修正した。このテキスト展開アプリへの今回のアップデートは、サンドボックス化されたアプリのファイル名ポップオーバーやファイル保存ダイアログでのテキスト展開に失敗していた問題点を修正した。また、Keychain 上の URL ベースのグループに不正なパスワードを保存しないようになり、Inline Search のためのローカライズを更新し、DevMateKit をバージョン 1.2 に更新している。(新規購入 $44.95、 TidBITS 会員には 20 パーセント割引、バージョン 5.0 からは無料アップデート、17.0 MB、リリースノート、10.10+)

TextExpander 5.1.1 へのコメントリンク:

Alfred 2.7.2 -- Running with Crayons が Alfred 2.7.2 をリリースした。フォーカスの挙動を拡張したので、複数スクリーン構成でクリップボード履歴のペーストの動作、その他が改善しているはずだ。このキーボード駆動のランチャーはまた、Features > Default Results > Advanced 環境設定で UTI の追加や編集ができるようにし、1Password ブックマーク自動探知のロジックを改良し、Alfred を隠す Alfred ホットキーを Quick Look が表示されている状態で使った際のクラッシュを修正し、iTunes Mini Player から不適切な項目を除去し、Spell and Define で結果の表示順序をより良いものにしている。(無料、Powerpack は 17 ポンド、3.7 MB、 リリースノート、10.6+)

Alfred 2.7.2 へのコメントリンク:

Carbon Copy Cloner 4.1.4 -- Bombich Software が Carbon Copy Cloner 4.1.4 (CCC) をリリースし、OS X 10.11 El Capitan に対応した。このバックアップユーティリティはまた、特殊文字を含む SMTP ユーザー名を許容するようになり、メニューバーに CCC アイコンを表示する設定を変更した後にユーザーエージェントを再起動することがなくなり、読み取れないファイルで CCC が時々立ち往生することのあったバグを修正し、あるタイムゾーンで作成されたタスクが別のタイムゾーンにスケジュールされていた場合のタイムゾーン調整の問題に対処し、Task History ウィンドウのタスク状況画像に VoiceOver のカスタム説明を追加している。(新規購入 $39.99、12.0 MB、リリースノート、10.8+)

Carbon Copy Cloner 4.1.4 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2015 年 9 月 7 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Hulu がコマーシャルの(ほとんど)ないオプションを提供し、Apple が Apple Music にさらなる手直しが必要であることを認め、Amazon Prime Video が iOS デバイス上のオフライン視聴をデビューさせ、あなたが iPhone の脱獄 (jailbreak) をすべきでない理由がもう一つ明かされ、Apple がビデオコンテンツへの進出をテスト中との報道があり、NFL がさらにもう一歩 Apple TV に近づく。

Hulu、"Ad-Free" オプションの提供を開始 -- Hulu Plus で何度も何度もコマーシャルが出るのに飽き飽きしている? 良いニュースがある。このストリーミング TV サービスが、月額 $11.99 の広告なし版の提供を開始した。広告満載版も従来通り月額 $7.99 で提供される。しかしながら、ABC の "Marvel's Agents of S.H.I.E.L.D." など一部の番組は、広告付きのままだ。

コメントリンク: 15904

Apple、Apple Music に手直しの必要を認める -- The Guardian とのインタビューで、Apple の iTunes International 担当副社長 Oliver Schusser は Apple Music ストリーミングサービスの改善のため「まだまだ宿題が残っている」と語った。「この製品をより良いものとするため、多くの開発作業が進行中だ。編集に関することと、プレイリストに関することに焦点があり、もちろん世界中で多くのチームがそのために作業をしているが、それ以外にも機能の追加や、クリーンアップの作業も進行中だ」と Schusser は述べた。彼はまた、Android アプリや Sonos への対応もこの秋に出ると付け加えた。

コメントリンク: 15905

Amazon Prime Video、iOS デバイス用のオフライン視聴を提供 -- Amazon Prime 会員は、大きなボーナスを受け取った。iOS 用の Amazon Video アプリで、Amazon Prime Instant Video の番組や映画をデバイス上に保存してオフラインで視聴できるようになった。この機能は現在のところ、オーストラリア、ドイツ、英国と米国の Amazon Prime 会員のみが利用できる。これで Netflix にも、ストリーミングされた番組や映画のオフライン視聴について機能を競合させよという圧力がかかった訳だ。

コメントリンク: 15902

あなたの iPhone を脱獄させるべきでない理由 -- およそ 225,000 件と推定される Apple アカウントが、その大半は中国のものだが、脱獄 (jailbreak) された iPhone 上にインストールされるマルウェアによる攻撃を受けた。このマルウェアは KeyRaider と呼ばれ、iPhone から出る iTunes トラフィックを傍受してユーザ名、パスワード、UDID を盗み取る。これを機に思い出して頂きたいが、あなたの iPhone を脱獄 (jailbreak) させるのは、あなた自身を大きなセキュリティ脆弱性に晒すことになるのだ。

コメントリンク: 15901

Apple、独自のビデオコンテンツへの進出をテスト中 -- Variety の記事が、Apple が独自コンテンツ制作というアイデアを考慮中の可能性があると伝えている。何人ものメディア業界の重役たちが Variety の取材に対して Apple と話をしたことがあると答え、また Apple は Top Gear の前ホストによる新番組に入札した(最終的に Amazon が勝った)とも伝えられている。このような動きは、Netflix や Hulu といった主流との関係において Apple を Apple TV に関して困った立場に追い込むかもしれない。

コメントリンク: 15899

NFL Pass が Apple TV に -- Apple TV の NFL Now アプリがアップデートされ、新しい NFL Pass サービスへの対応が追加された。NFL Game Pass の年間購読の料金は毎年 $99.99 だが、すべての試合が放映後も無料でノーカットのビデオ視聴でき、また市場には出ないシーズン前の試合もライブでストリーミングされる。残念ながら、公式戦やプレーオフの試合はストリーミングでは提供されない。

コメントリンク: 15898


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2015年 9月 12日 土曜日, S. HOSOKAWA