TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1312/14-Mar-2016

Take Control スプリングセールが始まり、セール期間中は Take Control 電子ブックがすべて 50 パーセント割引になる! また、今週の DealBITS 抽選では BeLight Software の Get Backup Pro (通常価格 $19.99) が賞品となる。Michael Cohen は Google Docs が EPUB フォーマットの電子ブックを作成できるようになっていることに気付いたが、この機能はまだ完成の域に達していないようだ。Julio Ojeda-Zapata は USB-C アクセサリーの海に踏み入って、いくつかの注意点と推薦点を引き出す。Adam Engst と Josh Centers は再び Preview のパワーを探り、今回は OS X に必ずあるこのビューワーを駆使して画像や PDF を表示する際のヒントを紹介する。あともう一つ大切なことを: Glenn Fleishman の近刊書 "Take Control of Slack Basics" を TidBITS に連載することになった! Slack は人気のグループメッセージングおよび共同作業用サービスで、どなたでも Glenn のこの本の最初の二つの章を読んで、私たちの新しい公開 SlackBITS グループに参加して頂くことができる。今週注目すべきソフトウェアリリースは、BBEdit 11.5.1、Airfoil 5.0.2、それに ChronoSync 4.6.6 と ChronoAgent 1.6.0 だ。

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Take Control 本が 3 月のスプリングセールですべて 50% 引き

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今年はここ Take Control 本部には本当の意味での冬は結局訪れなかったが、それでも春の明るい日差しと気温の上昇のお陰でクロッカスが一斉に咲き始めているので、私たちも春のセールでお祝いしたい! 2016 年 3 月 21 日までの間、すべての本の価格が 50 パーセント割引になる。そう、今こそあなたの Take Control 参考書ライブラリを増強するチャンスだ。

私たちの本はすべて DRM フリーであり、PDF、EPUB、Mobipocket (Kindle) の各フォーマットで入手できるので、いつでも、どこでも、あなたのお好きなどんなデバイス上でも読むことができる。忘れないで頂きたいが、Take Control 本は最初から最後まで順に読む必要はない。そうではなくて、どの本にも初めのところに Quick Start セクションがあるので、あなたが必要とする情報へ直ちにジャンプすることができる。

とりわけここ数ヵ月間、私たちはさまざまのタイトルをアップデートするために努力を注いできた。テクノロジーの世界は決してじっと止まっていることはないので、もしもあなたがそれらのアプリやサービスのどれかをお使いならば、情報のアップデートされたアドバイスやヒントを読むことで恩恵を受けられるだろう。次のようなタイトルがある:

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これらの本以外にも El Capitan、iOS 9、Apple Mail、Audio Hijack、iWork (Pages、Numbers、Keynote)、PDFpen、Scrivener、TextExpander、Terminal、その他もっともっと多くの本が揃っている。どうぞ、あなたの Take Control ライブラリに、以前から読みたいと思っておられた本や、将来役立つと思われる本を、この機会にぜひ加えて頂きたい

長年にわたる皆さんのサポートに、また数多くの有用な質問や、親切なコメントに、心から感謝します。どうか、このセールのことをお友達や同僚の方々にも知らせて頂ければ嬉しい。このシリーズのことを誰かに紹介するためにも、またはあなたの両親が 1Password for Families を使い始めるきっかけにするためにも、最適の道になるのではないかと思う。

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DealBITS 抽選: Get Backup Pro 3 が当たる

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

バックアップ、バックアップ、バックアップ。そう、ここで三回も言ったのにはちゃんと理由がある。諺にも言う通り、二つは一つと同じ、一つは無いのと同じだ。でも三つあるに越したことはない。すべての Mac ユーザーは、まず個別のファイルの復旧のために Time Machine (またはバージョン履歴バックアップのできる他のアプリ) を使い、盗難や災害に備えてオフサイトのバックアップも作り、それに加えてブート可能な複製(クローンとも呼ばれるもの)も定期的に作成しておくべきだ。

いったいなぜディスクのクローンを作るのかって? 例えばメインの Mac を修理に出して、数日間使えなくなったとしよう。その間、ブート可能な複製を他の Mac に(古いマシンや、友だちから借りたマシンなどに)繋ぐだけで仕事に戻れる。私もブート可能な複製に何度も助けられた。

ブート可能な複製を作成するユーティリティは他にもたくさんあるが、もしも現在何も使っていないならば、あるいは現在使っているものに不満があるならば、BeLight SoftwareGet Backup Pro を試してみよう。これはクローンをきちんと作成し、その上に他の機能もたくさんある。

実際のところ、ブート可能な複製の作成は Get Backup Pro の機能の中で最も単純なものと言えるかもしれない。これを使って差分バックアップを作ったり、特定のフォルダを圧縮して暗号化したアーカイブを作ったりもできる。特定のアプリのデータに対するテンプレートも備えているので、例えば iTunes でお気に入りの音楽を、Mail で重要なメッセージを、Photos で大切な思い出の写真を、それぞれバックアップできる。Get Backup Pro はディスクとディスクの間で、あるいは Mac 同士の間でさえも、一方向または双方向でのフォルダ同期ができる。クローン、バックアップ、アーカイブ、同期、いずれの機能もスケジュール化して自動的に走らせることができるのでうっかり忘れることもない。私は毎晩、システムのクローンを更新させている。

BeLight Software はこれらすべてを素敵なパッケージにまとめて、$19.99 という魅力的な価格で販売している。競合する他の多くの製品より安い。でも、もしも興味を持ったなら、今すぐ買ってはいけない。BeLight Software が、私たちの最新の DealBITS 抽選のために 5 本の Get Backup Pro を提供してくれたからだ。Get Backup Pro が当たることを願って、どうぞ 2016 年 3 月 20 日までに DealBITS ページで応募 して頂きたい。[訳者注: 応募期間は 20 March 2016 まで、日本時間で 3 月 21 日(月曜日)の午後 4 時ごろまでです。]寄せられた情報はすべて TidBITS の包括的プライバシー規約 の下で扱われる。

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Google Docs が EPUB を書き出し、ただしあまり良くない

  文: Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

その昔には、電子ブックを EPUB フォーマットで作成するにはいくつかのハイエンドのツールと XHTML および XML のコーディングの知識が必要であった。けれども今日、EPUB を作成するアプリはますます誰でも入手できるようになってきている。私の Mac には、タグに触れる必要などなしに魅力的な EPUB を作れるアプリがたくさんある。それらのアプリはもはやハイエンドのプロフェッショナル専用のものでもなくて、いわゆる「普通の」人々が使うようにデザインされている。例えば、PagesNisus Writer Pro は一般的なユーザーを狙ったものだし、iBooks Author は教師向け、Scrivener はライター向けに作られている。まあ、この最後の人たちを「普通」と呼ぶのは無理があるかもしれないが、でも言いたいことは分かって頂けると思う。

そして今、この EPUB 作成用アプリのリストに Google のワードプロセッシング用ウェブアプリ、Google Docs が加わった。最近になって、Google Docs の File > Download As サブメニューに EPUB Publication という新たなオプションが登場した。これを選べば、たちまちその書類が EPUB の電子ブックとしてあなたのコンピュータにダウンロードされ、iBooks でも、他の EPUB リーダーアプリでも開けるようになる。何の面倒もない、ほんの数秒で出来上がりだ。

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素晴らしい、よね? でもちょっと待った。確かにこのメニューコマンドは言っている通り EPUB を作成するけれども、あなたの書類がごく単純なテキストで特殊なフォーマッティングなどほとんどないようなものでない限り、出来映えを見てあなたはがっかりするかもしれない。

例えば、ある友人が Google Docs に入れていた学位論文から作った EPUB を見ると、学位論文に要求されている厳格なマージン要件がこのウェブアプリには処理し切れなかったようで、EPUB の中ではどの行も右端が切り落とされてしまっている。

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まあ、学位論文とかそのひどくうるさいフォーマッティング要件とかは、この書き出し機能にとっては想定外かもしれない。それなら、単純なテキスト書類でところどころに画像がある、例えば学校からのお知らせや、営業の報告書などによくあるものでは、どうだろうか? 実は、そういうものでさえ問題は起こる。例として、iTunes を題材にした TidBITS 記事でシンプルにフォーマッティングされたものを試してみると、Google Docs からダウンロードして作られた EPUB は、テキストは切り落とされていないものの、画像で破綻していた。記事の中の画像のほとんどすべてが、横幅がマージンよりも広くなっていた。テキストのマージンだけでなくページマージンさえ超えて、はみ出した画像が次のページに食い込んでしまっていた。

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たぶん、グラフィックスを一切含んでいない単純な書類なら Google Docs の EPUB 書き出し工場をうまく通り抜けられるのかもしれない、と私は思った。それをテストするために、私が最近書いた小説の中の一ページを試してみた。この小説には画像は一つもないし、特殊なフォーマッティングなどもほとんどない。でも、こんな単純なものでさえ、書き出しがイタリック体のテキストに遭遇した途端におかしくなった。イタリック体の部分のすぐ後に、変な空白が追加されていたのだ。

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要するに、現時点での Google Docs が Take Control ブックのような複雑なものを書き出せる可能性は、ゼロだ。書体付きのテキスト、多数のグラフィックス、たくさんの内部リンクや外部リンクがあるのだから。

書類を EPUB として書き出す機能には、確かに使い道がある。とりわけ、その書類を共有している人たちがモバイルデバイスでそれを見ていて PDF では扱い辛過ぎるような場合にそれが言える。(忘れないで頂きたいが、PDF は印刷されたページの画像を提供するものなので、小さなスクリーンの上では読めないほど小さくなってしまう。)けれども、現時点で Google Docs が提供している EPUB 書き出し機能は、ほとんどの人にとって満足できる結果を与えてくれるものとは言い難い。もちろん、時間が経てばいずれ Google も書き出しを改善してくれることだろう。でもこの EPUB 書き出しがもっと賢くなるまでの間は、単なる気晴らし以外の目的にこの機能をお薦めすることはできない。

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"Take Control of Slack Basics" を TidBITS に連載

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今回、また新たな Take Control ブックの連載を始めることにした。Glenn Fleishman が執筆中の "Take Control of Slack Basics" だ。Chapter 1 の "Introducing Slack," と Chapter 2 の "Getting Started with Slack" はどなたでも今すぐ読んで頂けるが、それ以後の章の連載分は TidBITS 会員のみが読める。

Slack は、インタラクティブなグループメッセージングサービスだ。グループチャットの強化版と思えばよい。Mac でも、iOS、Windows、Android、Linux でも、またどんなウェブブラウザでも動作する。かなり気前の良い無料レベルと、魅力的な有料プランの双方があるお陰で、Slack は信じられないほど人気を集め、有料アカウントの数は 570,000 以上、毎日のアクティブなユーザー数は 200 万人を大きく超えている。多くの団体や組織の中では目的を絞った Slack チャンネルが従来の制御し難い電子メールスレッドの地位を奪い、即座のコミュニケーションを提供しつつ電子メールの持続性と検索可能性を引き継いでいる。さらに便利なのが Slack の通知設定で、圧倒される感覚なく最新情報に通じていられるように調整できる。けれども多くの団体や組織にとって最も魅力的な機能は、何百ものサードパーティのサービスが Slack との間でデータをやり取りできるようになる Slack の連携機能と、ユーザーに直接働きかけることのできる "bot" だろう。

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私たちが初めて Slack のことを聞いたのは、最後の Macworld Expo の会場で Smile にいる友人たち、Greg Scown と Philip Goward が熱心に薦めてくれた時であった。それで間もなく Slack を試してみたのだったが、Slack のパワーを理解するに十分なほど掘り下げて使ってみたのは、これについての本を書くのはどうかと Glenn が提案してくれてからのことであった。それ以来、Slack のお陰で TidBITS スタッフの間で行き交う電子メールの量は大幅に減り、メッセージのやり取りが遅いために時間を浪費することも少なくなった。確かに、私たちがチャットに費やす時間はかなり増えたけれども、特に私たちのような分散的な組織においては一人一人が自分も参加しているという実感を持つことが重要だ。とりわけ本を制作するプロジェクトにおいては Slack が効果的であることが分かった。すべてのメンバーが議論を共有することが簡単にできるからだ。

Slack があまりにも素早く進化を遂げた(同社が音声通話機能を追加したのはほんの数週間前のことだ)ので、その説明書の内容は必ずしも完備していない。まさにその点が、"Take Control of Slack Basics" を作ることになったきっかけであった。チームに参加したばかりで途方に暮れている新規ユーザーに助けの手を差し伸べたい、既存の Slack ユーザーがたくさんの隠れたトリックやテクニックを見つけ出してもっと効率的に使えるようにする手助けをしたい、と私たちは考えた。無料の Slack チームをスタートさせることは誰でもできるので、Glenn はもう一つの本、"Take Control of Slack Admin" も準備中だ。こちらはあなたが自分で Slack チームを作ってそれをビジネス用に、非営利団体用に、学術用に、クラブでの使用に、あるいは家族での使用に、それぞれ目的に合った設定と構成の方法を手引きするためのものだ。(Slack の基本的有料レベルは条件を満たす非営利団体ならば無料となり、また教育目的のユーザーにはすべての有料レベルが大幅に値引きされる。)

以前に "Take Control of Your Digital Photos on a Mac"、"Take Control of Apple TV"、"Take Control of OS X Server"、"Take Control of Security for Mac Users" の四つの本でしたように、これから数週間にわたって "Take Control of Slack Basics" を章ごとに分けて TidBITS 会員のために TidBITS に連載したい。毎週一つか二つの新しい "チャプティクル" をリリースして行くつもりだが、最初の二つの章、つまり Chapter 1 の "Introducing Slack," と Chapter 2 の "Getting Started with Slack" だけは既に出ていて誰でも読めるようになっている。

自ら製品を使うという素晴らしき伝統に従って、私たちは公開 Slack グループを始めて、誰でも参加できるようにした。SlackBITS が今後どのように進化するかを予見することは不可能だが、"Take Control of Slack Basics" について、あるいは Slack 自体について、何か質問があればどうぞ適切なチャンネルに書き込んで頂きたい。また、Mac、iOS、Apple TV についての質問のためにもそれぞれチャンネルを作っておいたし、今後 #general で面白い話題が出れば必要に応じて新たなチャンネルも作りたいと思っている。参加の仕方の説明は、Chapter 1, "Introducing Slack" に書いてある。

本としての "Take Control of Slack Basics" は、完成し次第、他の Take Control タイトルと同様に PDF、EPUB、Mobipocket の各フォーマットで販売され、どなたでも購入して頂ける。ただ、リリース前の連載チャプティクルを TidBITS で読むには TidBITS 会員プログラム に参加して TidBITS ウェブサイトに会員としてログインする必要がある。これは、TidBITS を支えつつ、同時に Slack について詳しく学べる、素晴らしい機会となるではないか! その他の TidBITS 会員特典としては、すべての Take Control ブックの 30 パーセント割引、数多くの Mac アプリの値引、フルテキストの RSS フィード、新たな記事が出るごとに即座の電子メール配送、それからバナー広告なしバージョンの TidBITS ウェブサイトなどがある。

全目次は次の通り:

そういう訳で、まずは最初のいくつかのチャプティクルを読んで、感想をチャプティクル末尾のコメントで、または SlackBITS 経由で知らせて頂きたい!

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MacBook アクセサリ、単一 USB-C ポートの不便さを和らげる

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple が USB-C 接続技術を 2015 MacBook に加えた時、この手段を採用した有名企業は同社だけではなかった。Google も USB-C をその第二世代 Chromebook Pixel に搭載したが、そのリリース時期は MacBook とほぼ同じで、昨年の 3 月であった。

しかし Chromebook Pixel とは異なり - こちらは USB-C ポートを両側に持ち、更に一対の通常の USB-A ポートも持つ - MacBook は単一の USB-C ポートを持つだけである。これは、多くの人にとって問題である。

確かに、USB-C は驚くほど多才である。このちっぽけなポートが、ノートブックを充電する受電口として、電話を充電する出力口として、加えてデータ転送、ビデオ出力、そして有線でのネットワーキングにと使える。しかし、MacBook 上での 2 番目ポートの欠如ゆえに、ユーザーはしばしば厄介な切替えを強いられることとなる - 例えば、プロジェクタにつなぐため、或いは外部ドライブを接続するために充電をやめなければならないとかである。

Apple はこの MacBook USB-C の制限に対応するため、ある程度までだが、幾つかのアクセサリを出した。通常の USB 機器を使えるようにする $19 の USB-C to USB-A Adapter、そして $79 の Digital AV Multiport Adapter で、こちらは HDMI ポートと USB-A ポート、そして パススルーの USB-C ポートを持つ。

これらのアクセサリは少々高価であり、そしてその真っ白な色は MacBook のゴールド、シルバー、或いはスペースグレイの色とは合わない。

独立のメーカーが、ポート拡張、給電、ストレージ、等々に対するより多くの選択肢を持って参入して来ている。私は、そのうちの幾つかをテストしてきて、お勧めできるものもいくつか見つけた。しかし、まず警告を二つほど。

USB-C に関する二つの警告 -- 最初の問題は単純で、直すのは簡単である。Apple は最近 MacBook に同梱された USB-C ケーブルの中には不良品が混じっていることを公表した。June 2015 までに販売された MacBook に含まれたケーブルの中には、充電出来なかったり、或いは断続的にしか出来ないものがあると Apple は言っている。

製品登録時に、或いは Apple オンラインストアでの購入の中で住所を提供した MacBook の購入者には、代替ケーブルが送られてくる。その他の人は、Apple Authorized Service Provider 経由か、Apple サポートに連絡を取ることで、Apple の販売店で代替ケーブルを入手出来る。いずれにしても、新しいケーブルを手にできる期限は 8 June 2018 である。

この記事を書いている時点で、私もその様な USB-C ケーブルを思いがけなく受け取った。"思いがけなく” と言ったのは、私は MacBook の所有者ではないからだが、どうも私の様にレビュー機を受け取ったテックジャーナリストもその配布リストに載っていると思われる。

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二つ目の USB-C 問題は、もっと複雑で、そして皆さんの方でも少し調査をする必要がある。

Google エンジニアの Benson Leung は USB-C ケーブルの中には、場合によっては過剰な電力を通すことでラップトップ、タブレット、或いはハンドセットを損傷してしまう可能性を持つものがあると警告している。彼はこれを身を以て経験してしまい、彼自身の Chromebook Pixel を設計が悪い USB A-to-C ケーブルのせいで壊してしまった

USB-C は、以前のタイプの USB よりもより大きな電力を扱えるので、状況に応じたその場での対応を必要とする。例えば、ノートブックから電力を引き出す時は、壁コンセントからの時よりも少々ではあるが配慮が必要である。さもないと、そのコンピュータは損傷されてしまう可能性がある (それが Leung の Chromebook Pixel に起こったことである)。正しく設計された USB-C コードはこれを制御できるが、設計の悪いケーブルはこの大事な仕事をファンブルして機器を焦がしてしまう危険性を持つ。

多くのサードパーティ安売りケーブルは怪しい。と言うのも、Leung によれば、これらのものは USB-C 仕様に完全には適合していないからである。彼はケーブルを試験してきており、手厳しい評価が多い レビューを載せている。彼のレビューを整理してスプレッドシートにしてくれた人たちもいる。

ここで問題になっているケーブルの種類は、USB-C コネクタが一端に付きもう片端には通常の USB-A コネクタが付いたものである。両端に USB-C ポートが付いたコードは、Leung によれば、問題ないという。彼は、USB-C ユーザーに対して、Belkin の様な信頼できるサードパーティメーカーから、もっと良いのは Apple や Google から直接、ケーブルを買うよう進言している。

Laptop Magazine は、USB-C ケーブル上の良いコネクタと悪いコネクタを MacBook ユーザーが識別する手助けとなる明確な物理的特性を載せている。ケーブルのコードの部分は見分けるのがより難しいが、そのケーブルが USB Implementer's Forum に認証されているかどうか は調べられる。

結論を言えば、USB A-to-C ケーブルを買う時は十分気を付けて欲しい!

USB-C ポート拡張アクセサリ -- 私が評価のために選んだ MacBook 機能拡張アクセサリは、皆さんの生活をよりストレスのないものにするべく意図されていて - そして、単一 USB-C ポートで用を足そうと思った時に感じたのはストレス以外の何物でもない - 勿論不可欠の追加機能も提供する。

最初でそして最も重要な能力は、勿論ではあるが、ポート拡張である。この目的のためには数多くの小型のハブが存在するが、私は、Anker 製品一つと Satechi からのハブを 2 つ試してみた。これらのものには詳細を調べてみるのに十分な違いがあり、皆さんは自分に合うものを購入してほしい。

Anker の $59.99 の Premium USB-C Hub with HDMI and Power Delivery は、2 つの USB-A ポート、HDMI ポート、USB-C パススルーポートを提供している。これは、MacBook をディスプレイやテレビに接続して使い、更に自由に使える USB-C と伝統的なアクセサリのための USB-A ポートを必要とする人には良い選択肢である。

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私は MacBook を HDTV にこの Anker ハブを経由してつないでみたが、全ては文句なしに働いた。

この機器は光沢のあるシルバーの棒状の箱で (ゴールドやスペースグレイの MacBook ユーザーにはお気の毒だが、マッチする色のものはない)、短い USB-C コードが組み込まれている。USB-A ポートは長辺の側面に並んでおり、反対側の側面には HDMI ポートが、そして USB-C ポートは短側面に配置されている (コードの反対側)

Anker のハブは Apple の Digital AV Multiport Adapter の同等品だが、USB-A ポートが 1 つ余分に付いており、外観もより魅力的で、値段は格段に安い。Apple の機器を買うべき理由を見出すのは難しい。

Satechi の $34.99 の Type-C USB 3.0 3 in 1 Combo Hub は、Anker ハブにちょっと似ているが、写真家のようにフラッシュストレージカードを頻繁に使う人向きである。このハブには、SD カードスロットと Micro SD カードスロット、そして 3 つの USB-A ポートが付いている。

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このハブはまた洗練された場所をとらない設計で、USB-C の突起が丁度 MacBook に刺さる分だけ出ており、ノートブックの側面にぴったりと収まるように意図されている。もしハブをラップトップの側面から付き出た恰好で使いたいというのであれば、これはぴったりである。

この Satechi ハブには明らかな限界がある:パススルーの USB-C ポートがない。心配はいらない:Satechi ハブにはより新しい $44.99 の Type-C Pass Through USB Hub with USB-C Charging Port があり、USB-A ポートのうちの一つを USB-C ポートで置き換えている。このモデルは見た目には Satechi の旧ハブと瓜二つだが、横幅が少々広い。

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MacBook 美観派もまた喜べる。何故ならば、どちらの Satechi ハブもゴールド、シルバー、スペースグレイの色が選べるからである。

TWiT の Leo Laporte は似たような $49.95 の Pass Through Charging 付きの HyperDrive USB Type-C 5-in-1 Hub, が気に入っていると、MacBreak Weekly ポッドキャストの最近の回で言っていた (TidBITS の Adam Engst もパネリストの一人)。このハブもまた MacBook の 3 色に合う 3 つの色で入手できる。

他の USB-C アクセサリ -- ポート拡張の問題をやっつけた後は、MacBook の柔軟性と多用途性を最大化するアクセサリにまで範囲を広げて探す番である。私は、まずケーブルから探すことにした。Leung の忠告を頭に置き、名無しのケーブルは、厄病神のように避けた。

Belkin の $29.99 の USB-C to USB-A ケーブル は必須のものである。何故ならば、これを使えば Apple の USB-C 充電器だけに頼らずに USB-A ポートも使えるようにしてくれる。例えば、私は Griffin の $59.99 の WatchStand Powered Charging Station をもっと活用したかった。これは、Apple Watch の充電スタンドであると同時に、USB-A ハブで 2 つのポートを持っている。私のホームオフィスでは、これらの USB-A ポートのうち一つを MacBook の充電に使い 、Apple の公式のケーブルと充電器は他で使えるようにしている。

この Belkin ケーブルは Apple のものよりも太いが, 太すぎることはなく、その頑丈さを私は気に入っている。Benson Leung はこのケーブルを試験していないように見えるが、Belkin は、 同社の USB-C ケーブルは “市場で最も信頼性のある、最高級の、そして最も安全なケーブル” であると言っている。同社はその Web サイトを USB-C 情報の宝庫,としており、Belkin は私が長年にわたって信用してきたブランドでもある。

もう一つすっきりしたアクセサリを:SanDisk の Dual USB Drive Type-C サムドライブである。これは小さいが、USB-C と USB-A の両方の接続点を持ち、回転機構と裏表無しの設計を提供している。どちら側の接続点でも一発動作で使えるように出来る。

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これは MacBook と通常の USB ポートを持つコンピュータとの間で、何ギガバイトものデータを動かしたいという人にとってはうってつけのものである。私がテストしたのは 32 GB モデルである。

この Dual USB Drive はとても小さく無くしてしまわないか心配になるが、細いチェーンやストラップを取り付けられるループが付いている。大部分がプラスチック製だが、頑丈さは心配いらないように見える。

給電のためには、Anker の $59.99 の PowerCore+ 20100 USB-C Premium Ultra-High-Capacity Portable Charger, を購入した。これは、携帯型のバッテリパックで、2 つの USB-A ポートと USB-C ポートを 1 つ持つ。魅力的ではあるが、重量のある馬車馬で黒色の金属製で角は丸めてある。その重さは、バックパックやメッセンジャーバッグに合うものだが、これは MacBook とスマホやタブレットを同時に充電するに十分なだけの容量を持っているからである。

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この PowerCore+ には一連の小さな白色 LED が付いた丸いボタンがあり、電池にはどれだけの電力が残っているかを一見で分かるようになっている。LED の輪が閉じていれば満杯であることを示している。

PowerCore+ を満杯にした時には、空になった MacBook を満杯にし、iPad Pro を部分的に戻せた所で PowerCore+ の電池は空になった。これは、すごいことである。

PowerCore+ を使って MacBook を充電するのには、二通りある。同梱された USB-C to USB-A ケーブルを使って、MacBook をこれの USB-A ポートの一つにつないで、充電する。または MacBook の USB-C to USB-C 充電ケーブルを使うのだが、これにはカラクリがある。この接続をした初期状態では、PowerCore+ を MacBook から充電していることになる。反対ではない。この流れの向きを変えるには、この充電器のボタンを押す。

PowerCore+ 自身を充電するには、USB-A か USB-C を使う壁コンセント型充電器に接続する。USB-C 技術の双方向性を考えると、これは少々こんがらかる話ではある (別の PowerCore モデルには micro USB ポートがあり、こちらは一方向なのでこれの充電専用となる。)

Anker の PowerCore+ は現在入手できる充電器のうちの一つでしかない。TidBITS の Glenn Fleishman は Macworld の方の帽子をかぶり、 最近これらのもの幾つかを比較した。Anker のモデルは彼の推薦リストにも入って、私のお勧めとも重なった。

ある時点では、これらの USB-C アクセサリは共同して美しいハーモニーを奏でた。私は、USB-C パススルーを持つ Satechi 拡張ハブを MacBook に差し込み、それから Anker パワーパックをハブの USB-A ポートにノートブックを充電するために差し込んだが、十分に充電されパワーパックが取り除かれた後だったらハブの USB-C ポートに行くことも無論可能であった。

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今後の USB-C 機器 -- MacBook 対応の USB-C アクセサリは他にも沢山あり、更なる動きも見えてきている。

例えば、Belkin, Anker, そして Satechi は、目も眩むような種類のハブ、ケーブル、充電器、アダプタ等々を MacBook ユーザーのニーズに、いろいろな場面で応えられるよう、Ethernet ネットワーキング、そして Micro USB ポートを持ったモバイル機器に接続するといったような、品揃えしている。

先月の Las Vegas での Consumer Electronics Show では、USB-C 関連の発表が相次いだ。多くのものは、ここで紹介したものに対する me-too アクセサリであったが、目新しいものも幾つかあった。

Acer, Asus, Lenovo, そして LG は、内臓の USB-C ポート経由でドライブ出来るディスプレイを発表した。つまり、MacBook ユーザーは別のアダプタを用意する必要がないということを意味する。Asus の 15.6-inch MB169C+ ディスプレイ はとりわけ興味を引く。何故ならば、それはモバイルモニターで、折り畳める設計を持ち、MacBook にも USB-C 経由で接続し自らの電源コード無しで補助画面として使えるからである。

MacBook ユーザーの中の Apple の昔の MagSafe 技術を惜しむ人は、Griffin の BreakSafe Magnetic USB-C Power Cable. を気にいるかもしれない。その名前が示す通り、もしコードが災難にあったら、USB-C ポートには小片のドングルだけを残し、アクセサリの残りの部分はラップトップに損害を与えることなく切り離される。少なくとも、それが言い分である;信じるには、現物を見るしかない。

コードのまとめ -- MacBook は私の気に入りのポータブル Mac である。その主な理由は、Retina ディスプレイが超ポータブルなパッケージに組み込まれ、見掛けもいいし、色まで選べることである。少々非力だが、我慢できる範囲である。

しかしながら、単一 USB-C ポートは頂けない。これは、Apple がミニマリズムで度を越した典型的な例である。これは、第二世代 Chromebook Pixel をテストしてみてストレスなしで使うには少なくとも 2 つの USB-C ポートが必要なことを実感した後では、とりわけ失望させられる。

もし MacBook を買うことを考えているとしたら、私ならば、待って、第二世代モデルでは USB-C ポートがもう一つ付け加えられるかどうかを見極めるであろう。それが、大雑把に言って、MacBook Air ラップトップの後期モデル起こったことである。こちらでは、最初のモデルでの単一 USB-A ポートでは制限が多すぎることが分かって、二つ目の USB-A ポートが付け加えられた。

しかし、現行の MacBook を使っている人にとっては、ここで取り上げたアクセサリは何らかの救済策となりうるであろう。Anker バッテリパック以外は、全て極めて小型でもある。これは、サードパーティアクセサリが Apple 製品での不備を見つけ出し、それを賢くも補うというもう一つの例と言えるであろう。

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Preview のパワー: 画像や PDF を表示する

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst, Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

前回の記事“Preview のパワー: Preview にファイルを取り込む”(2016 年 2 月 25 日) の中で、書類や画像を Preview の中に取り込むためのいろいろなヒントを紹介した。OS X に内蔵の Preview は、書類や画像を表示するための、驚くほどパワフルなアプリだ。今回の記事では、Preview の主たる方向性、すなわち画像や書類(主として PDF だが、前回にも触れたように Preview は iWork 書類や Microsoft Office 書類も開くことができる)を表示することに焦点を当てよう。

ツールバーを使い、カスタマイズする -- 以下のセクションでは Preview のメニューから利用できる数々の機能を紹介するが、その多くはこのアプリのツールバーから手軽にアクセスするようにもできる。あなたが画像を見ていようと書類を見ていようと、ツールバーは Preview ウィンドウの一番上に見えているはずだ。見えていない場合は View > Show Toolbar を選ぶか、または Command-| (これは大文字の I ではなくて pipe 文字であり[訳者注: US 配列キーボードの]Return の上にある Shift-バックスラッシュ) を押すかすればよい。これとは別に Markup Toolbar というものもあるが、これについては別の記事で述べる。

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善き Mac アプリである Preview では、ツールバー上にどのコントロールを置くかのカスタマイズができる。多くのコントロールが利用可能で、そのすべてがメニューコマンドの複製となっている。まず、View > Customize Toolbar を選ぼう。デフォルトのセットに追加できる選択肢として、次のようなボタンがある:

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サイドバー上のサムネイルと目次 -- 複数の画像や PDF ページの間をナビゲートする際には、Preview のサイドバーが役に立つ。Preview はできるだけ賢くサイドバーを表示しようと努めるので、例えば複数の画像を開けばサイドバーが自動的に開く。複数ページの PDF に自動的にサイドバーを表示したり単一ページで自動的にサイドバーを隠したりできるほどには Preview は賢くないが、あなたの前回の選択は覚えていようとして、全般的にも、また特定の書類についても、前回のサイドバーの状態を復元しようと試みる。たいていの場合、複数ページの書類ではサイドバーを表示しておく方が良いだろう。

サイドバーを隠すには、View > Hide Sidebar を選ぶ。このコマンドは片方向きのトグルだ。つまり、Preview のサイドバーが表示されている場合は、Hide Sidebar でサイドバーが隠れ、そのメニューコマンドにチェックマークが付く。続けてそのコマンドを選んでも何も起きない。サイドバーを表示させるには、もう一つ別のサイドバー関係コマンドを選ばなければならない。サイドバーが表示されていれば、ウィンドウを水平方向に縮めたり拡げたりするとサイドバーが隠れたり現われたりする。

複数ページの書類や複数枚の画像をサイドバーで見るには、二つのやり方がある。View > Thumbnails (Command-Option-2) と View > Table of Contents (Command-Option-3) だ。前者は画像や書類ページのグラフィカルなプレビューを表示し、後者は画像のファイル名や PDF のブックマークをテキストのリストとして表示する。いずれの場合も、サイドバー上の項目をクリックすればそれに対応するページにナビゲートする。サイドバーの分離線を右方向へドラッグすればサイドバー上で画像やページが大きくなったりテキストがたくさん見えるようになったりするのを覚えておこう。分離線を左方向へドラッグすれば現在の画像やページの部分が広がる。

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サイドバー上に目次を表示している場合、キーボードを使って目次の項目をナビゲートできる。上下の矢印キーは期待通りの働きをし、右矢印キーは階層的目次レベルを展開し、左矢印キーはアウトラインを再び折り畳む。

また、View > Contact Sheet を選べば一つのウィンドウグリッドの中に画像やページのサムネイルを並べて一覧することができる。サムネイルのどれかをダブルクリックすればそれに集中することになる。これらの機能については今後の記事で詳しく扱いたいと思うが、まず覚えておきたいのはページをドラッグして PDF の中での順序を入れ替えられること、さらには一つまたは複数のページを選択して Delete を押せば削除できるということだ。(サイドバーの Thumbnail 表示でも同じことが言える。)

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ファイルを開くことについて説明した前回の記事で触れておくべきだったことだが、例えばいくつかの画像を一つのウィンドウに開いている場合、その同じウィンドウにもっと他の画像も開きたかったとしよう。それには、Finder から画像をサイドバーの Thumbnail 表示の中へ、あるいは Contact Sheet 表示の中へドラッグするだけでよい。

それからまた、多数の画像を評価している最中にそのいくつかを削除したかったとしよう。Preview の中からそれができる。削除したい画像を選択した状態で、Edit > Move Selected Item to Trash を選ぶか、Command-Delete を押すかすればよい。不要な画像を選別して取り除くにはとても便利な方法だ。

ハイライト、メモ、サイドバー上のブックマーク -- View メニュー上の次のオプションは Highlights and Notes (Command-Option-4) だが、これは少し説明を必要とする。PDF を読んでいる最中に文章の一部をハイライトしたりメモを添えたりして、あとでサイドバーからそれにアクセスできるようにするためのものだ。

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テキストをハイライトするには、まず View > Annotate > Highlight Text を選ぶか、あるいはもっと手軽な方法としてツールバー上の Highlight ボタンを使う。ボタンをクリックするとボタンが青く変わり、デフォルトでは黄色のハイライトが有効になる。ボタンの右にある矢印をクリックすれば、ハイライト色をいくつかの色から選んだり、下線や取り消し線に設定したりもできる。

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Highlight が有効になっている状態で、PDF の中のテキストを選択すればそれがハイライトされる。ハイライト部分を Control-クリックすればメモを添付したり、ハイライトのスタイルを変更したり、ハイライトを丸ごと削除したりできる。

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Add Note を選べば、ボックスが現われ、その中にテキストを入力することができる。入力が終われば、ボックスの外をクリックすると、ボックスが縮んでハイライト部分に添えられた小さなボックスに変わる。その小さなボックスをクリックすれば再びメモが広がる。これらの機能を組み合わせれば、PDF を読みながらノートを取ったりあとでそのノートを見返したりできるので便利だ。

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PDF の中でページをブックマークすることもできる。Tools > Add Bookmark を選ぶか、Command-D を押すかすればよい。するとページの右上隅に小さな赤いしおりが表示されて、そのページがブックマークされていることを示す。

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サイドバー上でブックマークを一覧するには、View > Bookmarks (Command-Option-5) を選ぶ。不要になったブックマークを削除するには、サイドバー上でそれを選択して Delete を押す。

注意しておくべきことがある。Adobe Acrobat Pro や Adobe Reader が使っている "bookmark" という用語は、Preview が "table of contents" (目次) と呼んでいるものに相当する。Preview が "bookmark" と呼んでいるものは、私の知る限り Preview 独特のものなので、Adobe のプログラムを使ってあなたの PDF を読んでいる人の目にも見えると期待してはいけない。

ズームイン・ズームアウト -- View メニューには Zoom In と Zoom Out のオプションもある。これらのコマンドの働きは読んで分かる通りだが、これらが Contact Sheet 表示でも働くことに注意しよう。ただし、メニューコマンドにこだわってはいけない。もっと効率的なズームイン・ズームアウトの方法があるからだ。[訳者注: US 配列キーボードでは]Command-= (Shift キーの要らない Command-+ と覚えればよい) と Command-- でズームイン・ズームアウトできる。トラックパッド上でつまんだり押し広げたりしてもできる。

View メニューには他にも書類をズームする選択肢がある。ウィンドウ一杯に書類や画像を表示する Zoom to Fit (Command-9) と、書類や画像をウィンドウの大きさとは関係なしに元のサイズに戻す Actual Size (Command-0) だ。たいていの場合、PDF を読むには大きなウィンドウで Zoom to Fit を使うのが最適な方法だろう。

さらにもっと細かな制御がしたければ、画像や PDF の中でマーキー選択をして (Tools > Rectangular Selection を選んで長方形にドラッグする) その後で View > Zoom to Selection を選べばよい。

視力に不安のある人にとって便利なアクセシビリティのツールが Magnifier で、Tools > Show Magnifier を選べば使える。(Backtick (バッククォート) キー、つまり[訳者注: US 配列キーボードで]Tab キーのすぐ上にあるキーを押す方が簡単だろう。)これは、Preview の中でカーソルを拡大鏡に変えて、PDF の中の画像の一部分や小さな文字のテキストを読み易くする。Esc キーを押せばすぐ元に戻る。

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PDF のナビゲーション -- Adobe Reader と同じ機能を取り揃えている訳ではないけれども、Preview はしっかりした PDF リーダーだ。これまでに紹介した PDF 内部でのナビゲーション方法の他に、View メニューには PDF を表示するためのオプションが、あと三つ用意されている。Continuous Scroll、Single Page、Two Pages の三つだ。View > Continuous Scroll (Command-1) は、スクロールする際にページの終わりと次のページの初めが隣り合って続く。View > Single Page (Command-2) を選ぶと書類をページごとに見られるようになる。そして View > Two Pages (Command-3) は 2 ページを見開きにした状態のものをスクロールして見られる。どれが良いかは個人的な好みと、問題の書類、それからスクリーンのサイズに依存する。ありがたいことに、これらの中から好きなものを Preview の環境設定で指定しておくことができ、これについてはあとで説明する。

PDF をスクロールして読むための最も簡単な方法はトラックパッドやマウスでスクロールすることだが、それ以外にも矢印キーと、Page Up と Page Down、Home と End の各キーが使える。Go メニューには Up、Down、Previous Item、Next Item というコマンドがあるが、こういうところこそキーボードショートカットがこの上なく便利に使える。上下矢印キーだけならばその方向に移動し、Option-上矢印 (または Page Up) や Option-下矢印 (または Page Down) はそれぞれ Previous Item と Next Item のコマンドを呼び出す。

Up/Down コマンドと Previous/Next Item コマンドがどう違うかは状況による。例えば、書類枠が選択されていて PDF がズームインされページの一部分のみが表示されていれば、Up と Down は数行ずつスクロールし、Previous/Next Item はページ単位でスクロールする。けれども、Table of Contents (目次) のサイドバーが開いている状態では、Up/Down は目次の項目から項目へと移動し、Previous/Next Item がページの移動をする。

ちょっとややこしいと思うかもしれないが、基本原則として、もしも矢印キーが期待通りの働きをしなければ Option キーを押しながら矢印キーを押せばよいと覚えておこう。(このことは OS X の他の多くのコマンドでも言える。)あるいは、ページ単位のナビゲーションをしたければ常に Page Up と Page Down を使うようにしてもよい。

私たちの Take Control ブックのような善き PDF は、書類の中の他の部分へのリンクを使っているものだ。ここで、Go メニューにある Back と Forward のコマンドが便利になる。リンクへのジャンプ後に Go > Back (Command-[) を選べばさきほどクリックしたリンク部分に戻る。その後で、Go > Forward (Command-]) を選べばまたリンク先に戻る。

また、Go > Go to Page (Command-Option-G) を選べば特定のページへジャンプできる。現われたダイアログにページ番号を入力してから、Return を押すか OK をクリックするかすればよい。その際、期待したものとは違うページにジャンプしてしまったならば、あとで述べる Use Logical Page Numbers 設定の説明を読んで頂きたい。

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フルスクリーンとスライドショー -- PDF を読んでいて、気を散らすものを全部削ぎ落としたいと思うこともあるだろう。あるいは、人々の前でいくつかの写真を表示したり、PDF ベースのプレゼンテーションをしたり(そういうことの助けとなるために作られた Take Control ブックもいくつかある)することもあるだろう。Preview にはそういう場合のための便利なオプションが二つ、View メニューに容易されている。Enter Full Screen と Slideshow だ。

View > Enter Full Screen (Command-Control-F、あるいは緑のズームボタンをクリックしてもよい) は、ウィンドウを OS X 標準のフルスクリーンモードに切り替える。PDF を表示している場合には、さきほどと同様に Continuous Scroll、Single Page、Two Pages の三つを切り替えて使える。ただしここでの Continuous Scroll は、スクリーンの横幅にフィットするよう書類がズームされるのでちょっと奇妙だ。フルスクリーンモードでもさきほどと同じくトラックパッドやマウス、そしてキーボードによるナビゲーションのコントロールができる。

View > Slideshow (Command-Shift-F) を選ぶと、現在の書類や画像がフルスクリーンで表示され、5 秒ごとに次のスライドに進む。(画像はあらかじめすべてを一緒に開いて同じウィンドウに属するようにしておかなければならない。これに関しては後に説明がある。)スクリーンの一番下あたりにツールバーが表示され、これを使ってスライドからスライドへの移動、スライドショーの再生と一時停止、スライドショーの終了などをコントロールする。ツールバー上のボタンを使っても矢印キーを使っても手動でスライドの移動ができる。Esc キーを押せばスライドショーが終了する。

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検索 -- Preview がその書類をテキストを含むものと見なしている(すべての PDF でこれが言える訳ではない)限り、ツールバー上の Search フィールドに検索語句を入力してその書類の中を検索できる。ツールバーが見えていなければ Edit > Find > Find (Command-F) を選べば Search ダイアログが開く。

いずれにしても、Preview は見つかった単語をハイライトして示し、検索結果をサイドバー上に表示し、検索ツールバーには検索結果を検索ランク順またはページ順に並べ替えるボタンを表示する。私たちの見るところ Preview の検索ランク順は全く意味不明なので、いつもページ順を使うことをお勧めする。この検索ツールバーに、Preview は順々に結果を表示するための矢印ボタンと、検索モードを脱するための Done ボタンを表示する。(検索語句を入力したところの横に見える X ボタンをクリックしてもよい。)

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困ったことに、Preview の検索はデフォルトでは複数の単語をそれぞれ独立に検索する。そのため、たいていの場合あまりにも多くの結果が出てしまう。語句を検索するには、その語句を二重引用符「"」で囲んでおけばよい。

画像を表示している際には、検索はそれほど便利に見えないかもしれないが、多数の画像を同時に開いている場合は、ファイル名の中のテキストを検索してサイドバー上にそれにマッチするもののみを表示させることができる。

Preview の環境設定 -- Preview が画像や PDF を表示するためのオプションは、あまりにも多過ぎて圧倒されてしまうかもしれないが、たいていの人はたいていの場合決まったやり方の表示を好むもので、Preview > Preferences でそのための設定ができる。

Inspector でメタデータを見る -- 以上が Preview で画像や PDF を表示する際にできることのあらましだが、ではそれらのファイルに付随したメタデータについてはどうだろうか? そこで便利なのが Inspector だ。Tools > Show Inspector (Command-I) を選べば Inspector ウィンドウが開く。

書類を表示していようと画像を表示していようと、Inspector ウィンドウの最初の枠は General Info だ。ここにはファイルのサイズ、タイプ、クリエータの情報、ファイルの作成日時などが表示される。

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それ以外の枠は、画像を表示しているか PDF を表示しているかによって変わってくる:

以上が、Preview のパワーを扱ったシリーズ記事の二番目だが、これでもまだ Preview にできることのほんの表面をかじったに過ぎない。たとえここまでの二つの記事に書いたことだけしかできなかったとしても既に十分に価値のあるアプリとなったことだろう。けれども Preview にはまだまだたくさんのパワーが備わっている。今後の記事で、それらについても解説して行きたい!

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2016 年 3 月 14 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

BBEdit 11.5.1 -- Bare Bones Software が BBEdit 11.5.1 をリリースして、カラースキームに HSL (hue, saturation, lightness) 表記への対応を追加した。この古参のテキストエディタはまた、比較結果の中の selected ならびに sub-line 相違のコントラストと見易さを増すための調整を施し、新規の編集ウィンドウでサイドバーを表示させた後にスクロールするとグラフィックスの表示がおかしくなったバグを修正し、検索キーワード表を新規や変更後の環境設定を含めてアップデートするようにし、Page Up や Page Down キーで挿入ポイントを動かす際に挿入ポイントの位置を書類の最上行に相対的なものに保つようにし、不正な grep パターンに対するエラー報告を改善し、Scripts メニューから text factory を走らせ Choose ボタンを使って処理項目のリストを変更しようとした際に起こったクラッシュを修正している。($49.99、無料アップデート、11.8 MB、リリースノート、10.9.5+)

BBEdit 11.5.1 へのコメントリンク:

Airfoil 5.0.2 -- Rogue Amoeba が Airfoil 5.0.2 をリリースした。最近アップグレードされたこのワイヤレスオーディオ送信アプリ(2016 年 2 月 18 日の記事“Airfoil 5.0”参照)の、メンテナンスリリースだ。今回のアップデートでは Advanced Speaker Options ウィンドウの同期調整の処理を改善し (ただし今回これらの設定を一度だけ調整し直す必要があるかもしれない)、App Nap が引き起こしていたオーディオとネットワーキングの問題点を回避し、Computer 出力の同期調整が忘れられていたバグを修正し、もはや動作しない Airfoil Video Player アプリが旧バージョンで選択されたままになっていた場合その選択を外すようにし、アクティブな Bluetooth スピーカーへの接続が Mac から取り外された際に「不要な」警告の表示を止めるようにしている。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、アップグレード $15、13.9 MB、リリースノート、10.9+)

Airfoil 5.0.2 へのコメントリンク:

ChronoSync 4.6.6 と ChronoAgent 1.6.0 -- Econ Technologies が ChronoSync 4.6.6ChronoAgent 1.6.0 をリリースし、SmartScan 機能(ボリュームを解析して変更個所を探す高度なアルゴリズム)のパフォーマンスを(特に ChronoAgent と接続されている場合のパフォーマンスを)向上させた。ChronoSync と ChronoAgent の双方とも(また同社の ChronoSync Express、InterConneX、ChronoMonitor の各アプリも)互いの間でセキュアなデータのやり取りをする際に使われるセキュリティモデルをアップグレードするためのアップデートが施された。(詳しくは Econ Technologies Tech Note 参照。)

同期およびバックアップ用アプリ ChronoSync では、ネットワーク接続が壊れたり不良だったりした際の復旧を改善し、"Optimal host routing" ロジックの効率を高め、ボリュームの root レベルで自動除外機能が働かなかったのを修正し、バックグラウンドスケジューラを拡張してシステムのスリープサイクルへの対処を改善し、同期が完了してから 1-2 秒以内に同期書類を閉じた際にクラッシュが起こらないようにし、ローカルな iCloud Drive ストレージとの互換性を高めている。ChronoAgent ではセキュリティの改善の他に、ユーザーおよびグループの ID マッピングが一時的に無効になることのあったバグを修正し、ChronoSync の機能 "Attempt reconnect on drops" および "Optimal host routing" との互換性を拡張している。(いずれのアプリも無料アップデート。ChronoSync は新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、33.5 MB、リリースノート、10.8+。ChronoAgent は新規購入 $14.99、12.1 MB、リリースノート、10.8+)

ChronoSync 4.6.6 と ChronoAgent 1.6.0 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2016 年 3 月 14 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS は二件だけだ。Apple 対 FBI に関する記事はすべて単なる臆測か、またはどちらか片側に寄った意見ばかりだったからだ。確かなニュースとしては、Apple がイベントを 2016 年 3 月 21 日に開催すると発表し、アラバマ州で育ったことが Tim Cook の人物像をどう形作ったかが語られる。

Apple、2016 年 3 月 21 日にイベントを開催 -- Apple は、2016 年 3 月 21 日の 10 AM PDT に Apple の Infinite Loop キャンパスにてイベントを開催し、そこに記者たちを "loop" したいという。招待された loop の外にいる人も、Apple ウェブサイト上で(もちろん Apple TV 上でも)ライブのストリーミングを視聴できる。噂によれば、発表されるのは小型の iPhone SE、9.7 インチの iPad Pro、新しい Apple Watch 用バンド、それから OS X、iOS、tvOS、watchOS へのソフトウェアアップデートなどであろうという。私たちも忙しい月曜日になりそうだ。

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アラバマの田舎での青年時代が Tim Cook の行動主義を育んだ -- 今は亡き Apple CEO であった Steve Jobs は自らの仕事そのものを行動主義と見なしたが、その Jobs の後継者たる Tim Cook は市民的自由に関係する問題点について積極的に発言してきた。Washington Post の記事で、Todd Frankel は Cook の活動家的精神の根源がアラバマ州の田舎で育った青年時代にあると論じる。若いゲイの男として、Cook は差別と Ku Klux Klan に立ち向かった。Cook はたびたび故郷の町に帰るが、彼がそこで歓迎されることはまずない。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2016 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新: 2016年 3月 18日 金曜日 , S. HOSOKAWA