TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1317/18-Apr-2016

今週号の TidBITS で私たちは 26 周年の記念日を祝い、これを機会に Adam Engst は Apple が Tim Cook の時代になってどう変わってきたかを考える。Smile 社は購読ベースの TextExpander の計画を変更して、購読料金を下げるとともに独立バージョンの開発も継続すると約束した。第四世代 Apple TV に付属の Siri Remote はなかなか素晴らしいテクノロジーの塊だが、落とすと壊れやすい上に持ちにくいので、"Take Control of Apple TV" の著者 Josh Centers が Siri Remote をもう少し扱いやすくするための製品やいくつかのヒントを紹介する。ギタリストの方々のために、録音が得意なミュージシャンの Geoff Duncan が寄稿記事で IK Multimedia の iRig Acoustic をレビューする。アコースティック・ギターを iOS デバイスに接続するためのものだ。ぜひ、Geoff の記事のオーディオ版をお聴き頂きたい! そして TidBITS 会員向けに、Glenn Fleishman が連載中の本 "Take Control of Slack Basics" の新しい章が出て、今回はダイレクトメッセージによる会話に焦点を当てる。今週注目すべきソフトウェアリリースは Fantastical 2.2.1、Retrospect 13.01、LaunchBar 6.6.2、それに Delicious Library 3.5.1 だ。

記事:

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Smile、独立版の TextExpander を回復、購読料金を値下げ

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週一杯 Apple 世界で続いていた大きな論争は、Smile 社が同社のテキスト展開ユーティリティ TextExpander にクラウドベースのスニペット共有機能を追加するとともに TextExpander を購読モデルに切り替えたことに端を発したものであった。(2016 年 4 月 6 日の記事“TextExpander 6 Adds Teams and Subscription Billing”参照。)Smile 社は、購読モデルを嫌う人々、スニペット共有に興味のない人々、クラウドベースのソフトウェアを使いたくない人々、これでは全体の価格が高くなり過ぎると思った人々から、激しい非難を浴びた。(情報全面開示のため: Smile 社は長年の TidBITS スポンサーだ。)

そして今、Smile 社はその決定の一部を考え直すことにして、大きく二つの点で変更を加えた。

スニペット共有でビジネス向けの市場へと拡大したいという Smile の望みが、個人顧客の必要ともつれ合ってしまったのは残念なことだ。今回の改訂されたやり方は、当初の計画への批判に応えられるものであると同時に、従来通りの働きの TextExpander が好きな人たちと、新しい機能の恩恵を受けたいと思う人たちとの、双方を満足させるものとなるはずだ。

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TidBITS 26 歳に:Apple の進化に関する考え

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

TidBITS の 26 回目の記念日が忍び寄ってきた。というのも、大きな理由はここ4日間ほどタチの悪いインフルエンザに似た病気で寝込んでいたせいでもある ("プリンセス ブライド" に倣って、私はこれを Dread Virus Roberts と呼んでいる)。今日私は、立ってはいられないかもしれないが、少なくとも意識ははっきりしている。こういう時こそ MacBook Air の出番である。では、少しの間、私の熱っぽい思考にお付き合いを。

TidBITS の歴史を多くの方はご存知なので、ここでは繰り返さないようにしようと思うが、興味のある方は SIMM ストリート (つまり、メモリーレーン) を散策して、我々が長年記念日を祝って書いてきた記事集を読んでみて欲しい。これらは、とてつもなく多くの人々、製品、そして会社を思い出させてくれる。

(日本語) | MailBITS/15-Apr-96 | TidBITS 7.0 | あなたにふさわしいバッジをつけて | TidBITS Talk 登場 | TidBITS 創刊 9 周年を達成 | TidBITS 10 年の教訓 | TidBITS、11 年を経て | TidBITS が満12歳に | TidBITS も 13 歳: 目標を持とう | TidBITS 14 周年を記念して Take Control 50% 割引セール | TidBITS の誕生日: Macintosh の 15 年間を振り返って | TidBITS 16 周年記念休暇 | TidBITS が 17 歳に | TidBITS の 18 年間を振り返る | TidBITS の 19 年間を振り返って思ったこと | TidBITS がインターネット出版 20 周年を祝う | TidBITS スタッフがそれぞれのスタート時を回顧 | TidBITS の友人たちから寄せられた 20 年分の思い出 | TidBITS が 22 歳に: あなたは TidBITS 会員ですか? | TidBITS の 23 年間: 私たちの過去・現在・未来を思う | TidBITS は 24 年を経てますます逞しく | TidBITS がインターネット出版四半世紀の節目に到達 | TidBITS 26 歳に:Apple の進化に関する考え

しかしながら、我々の歴史に想いを馳せると、一番大きな変化は Apple 側にあった。当時 Apple は基本的に競争で定義されていた - Microsoft Windows が走る PC コンパチのハードウェアに対して。Apple の Intel-based CPU への切り替えと仮想化ソフトウェアの登場がこの時代の終わりの始まりであった。しかし、Apple を空前絶後の卓越した会社の一つに変身させたのは iPod、更に iPhone、そして iPad へと続くの創出の流れであった。これら三つの製品全てが Steve Jobs の指揮下に誕生した。そして Tim Cook が CEO として Jobs に置き換わった時、Apple がその魔法のタッチを失ってしまうのではないかと危ぶむ人もいた。そして、実際のところ、Apple Watch も、第四世代 Apple TV も明らかなヒットとは言えない。

しかし、それは本質を捉えていない。Apple の尺度では、iPhone が iPod に置き換わったのと同じ意味で iPhone に置き換わるような製品でない限り、iPhone の成功と比較出来るものとは考え難いのであろう。Tim Cook の下での Apple の製品に関して興味深いのは、それらは高度に統合されたプラットフォームで、それを元に他の人も構築出来る事である。これらは世界を変革する話ではなく、あなたの手首からあなたの部屋の壁まで、広く世界の隅々まで Apple の手を届かせようという話なのだ。もし広く噂されている Apple Car が万が一にも量産されるような事になれば、それは同様の意味で Apple の製品エコシステムにはまり込むものと見るべきであって、市場を混乱させるものにはならないであろう。

(何故か? 自動車はコンピュータ等よりも更新期間が長い、現在走っている車の平均年齢は 11 歳である。更に、販売される車の数もそれ程多くはない。米国で昨年最も売れた車 Toyota Camry でも 429,335 台に過ぎず、そして Tesla Model S に至ってはたった 26,400 台と見込まれている。このどちらも Apple が車を作るべきではないことを意味しないし、作ったとしても大した稼ぎにはならないことも意味してはいないが、Apple Car と言えども世界を直ちに変えることにはならないであろうことは示唆している。)

私が Tim Cook の Apple についてより興味深いと思ったことは、iPhone のロック解除に関する FBI との注目を集めている同社の論争である。これは勿論非常に難しい状況である。何故ならば、ロック解除出来ない iPhone が、凶悪な犯罪を解決する、或いはテロリストの攻撃を防ぐのを邪魔することなど誰も望まないであろうからである。しかし、政府の大多数とは違って、Apple は暗号化で譲歩することの危険性と無益さの両方を理解している。破り得る暗号化は偽物の安全の定義そのものである故に危険であり、そして、破れない暗号化を提供するアプリを作成したり、使ったりするのは極めて簡単な故に無益である。

要は Apple はプライバシーに対する我々の権利を全ての iPhone に埋め込んできた。勿論、それは完全と言うには程遠いが、諜報機関がその権利を大規模に侵害していることが見つかっている世界において、その保護が政府自身からよりも一企業から来ているのを見るのは、素晴らしい - そして少々悩ましい - ことである。ひょっとすると、これは Apple が今やこれ程豊かで、支配的である故に、殆ど政府のレベルで経営出来る故に、起こっているのかもしれない。暗黒の世界を描いた SF では、巨大企業は邪悪なものと決まっているが、フィクションの世界で、強力だが欠点もある企業が、理屈の上では民主主義の政府と対峙する中で原則を貫く側に立つ構図など見たこともない。いずれにしても、これは昔の "窮地に立った Apple Computer" からは程遠い話である。

或いは、これはただ Dread Virus Roberts に言わされているだけなのかもしれない。TidBITS が途切れることのなくインターネット出版の 26 年目に入るにあたって、我々が近い将来止める計画はないことだけは約束する、資金が続く限り。その様な話をするまでもなく、Tonya と私、そして残りの TidBITS スタッフ全員は、昨年末の読者調査で寄せられた皆さんからの声でとても元気付けられている ("TidBITS 2015 読者アンケートの結果" 7 December 2015 参照)。 どんなことを読みたいかをより良く分からせてくれてありがとう。今後も、どの記事がとりわけ有用だったか、面白かったかを引き続き知らせて欲しい、そして、勿論のことだが、未だ TidBITS 会員になっていないのであれば、会員になって頂くことが、皆さんが読みたいと思う限り我々が引き続き出版し続けられるのを可能にする最善の方法である。

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"Take Control of Slack Basics" の Chapter 7、入手可に

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Slack によるコミュニケーションの大部分は public なチャンネルで行き交うが、たった一人か二人の他の人たちとだけ話をしたい状況もよくある。そういう場合のために、Slack はダイレクトメッセージによる会話も提供する。これは一対一の会話にも、または最大 9 人までのグループ内での会話にも使える。チャンネルをどう扱えばよいかのコツさえ掴めば、会話するのは易しい。

Chapter 7 の "Conduct Direct Message Conversations" で、Glenn Fleishman はその内側も外側も手早く解説して、会話を開始し、継続し、終了する方法を説明する。その過程で、会話の参加者を変更する方法や(またそうすることが及ぼす影響についても)個人間でファイルを共有する方法についても学べる。

この "Take Control of Slack Basics" が初めての方のために言っておくと、最初の二つの章は誰でも読めるけれども、Chapter 3 とそれ以降は TidBITS 会員限定なので、まだ会員になっておられない方はどうぞこれを機会に参加して頂きたい! TidBITS 会員になった方には他にも多くの特典がある(例えば私たちの RSS フィードがフルテキストで読めるようになる!)けれども、何より大切なのは TidBITS 会員の力があったからこそ TidBITS を今日まで続けてこられたということだ。既に TidBITS 会員になっておられる方は会員登録の際の電子メールアドレスを使って TidBITS サイトにログインすれば、連載チャプティクルが読めるようになっている。

完成版の電子ブック "Take Control of Slack Basics" は、完成し次第 PDF、EPUB、Mobipocket (Kindle) の各フォーマットでどなたでも購入して頂ける。管理者向けの "Take Control of Slack Admin" も合わせて出版する予定だ。また、Slack チーム全体を対象に、完成版の電子ブックの値引きまとめ買いができるようにする予定なので、ご希望の方はご連絡頂きたい。

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Siri Remote を使いこなす

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

第四世代 Apple TV と同梱されている Siri Remote は、印象的な技術の塊である。それは動きとタッチを感知し、音声コマンドのためのマイクを内蔵し、そしてその内部電池は一回の充電で何ヶ月も持つ。私もこれを手に暮らすようになって数ヶ月になり、その間、出版されたばかりの "Take Control of Apple TV, Second Edition" のために、新しい Apple TV の全ての能力を記録し続けてきた。

しかしながら、Siri Remote は、言ってみれば、使うのが大変である。

それは驚くほど軽く、そして薄い。それはそれで良いのだが、しっかり握るのが難しかったり、ソファの隙間に入り込んでしまいがちである。これらの問題を悪化させているのは、Siri Remote の大部分がガラス製であることで、その結果、滑りやすく、そしてもし落とせば割れてしまう 危険性も持つ。

Siri Remote に関する問題の最後は、これが "ホッケーパック型マウス" の問題を抱えていることである:それは殆ど完璧に対称形で、暗闇の部屋でそれを手にしたら、どちら向きに握っているかを見極めるのは困難である。

Siri Remote を壊したり、無くしたりするのは痛みを伴う。何故ならば、それを置き換えるには $79 もするからである - 第四世代 Apple TV の値段の半分以上である! 幸いにして、これらの問題全てに対応するやり方は幾つかある。そして、もしそのどれも気に入らないというのであれば、Siri Remote を置き換える色々な選択肢についても "Take Control of Apple TV, Second Edition" で取り上げている。

Siri Remote を身につける -- Siri Remote を使いこなす最も簡単な方法の一つは Apple の $12.99 の Remote Loop で、これはこのリモコンの Lightning ポートに差し込んで、自分の手首にぶら下げられるように出来る。更にボーナスとして、これを付ければどちらが先端かは悩まなくて済む。

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Siri Remote の Lighting ポートは、Remote Loop の Lightning コネクタをしっかりと固定出来るように意図された二つの爪に合うように特別に設計されている。従って、この Remote Loop を iPhone, iPad, 或いは Lightning ポートを持つ他の機器に使うことは出来ない。

少々の紐 (私の好みを言えば 550 パラコードが使い心地と耐久性の点から良い) とある程度の結び方の基礎を知っていれば (もし、復習が必要なら "FunBITS: 結び目を iPhone で学ぼう" 22 August 2014 参照)、Remote Loop を使って Siri Remote 用のネックストラップを作ることも出来る。Remote Loop に紐を通して、その紐を結んで輪にするだけで、万事 OK! 首にかけてもいいし、フックやドアの取っ手に引っ掛けてもいい。もう Siri Remote を探し回る必要はない。

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ケース -- Siri Remote の問題の殆どを同時に解決する解がある:ケースである。これはグリップを加え、ガラス面を保護し、そしてこのリモコンの対称性を少しだけ崩してくれる。

主流派の選択肢は Griffin Survivor Play で $19.99 で売られている。これは一番安くもないし、一番見かけの良いものでもないが、Griffin は評判のいい会社であり、この品物も Amazon レビューでは高い評価を受けている。

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より興味深い選択肢は $16.99 の elago R1 Intelli Case である。Intelli Case は Survivor Play よりも安く、そして見かけもいいだけでなく、リストストラップが付いていて、更にケースには磁石も内蔵されているので、テレビ、冷蔵庫、等々の磁石がくっつく表面を持つものにくっつけておける。

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もし暗闇でリモコンを探すのに苦労しているのであれば、暗闇で光る Sikai のケースのラインナップが良いかもしれない。これらにはリストストラップも付いて $14 である。Amazon レビュワーの一人は、Sikai のケースに入れた Siri Remote を階段の上から放り投げる動画を投稿していた - リモコンは無傷であった。

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どっちが先端? -- 上記の解全ては、向きの問題の解決にもなるが、より簡単な、そして議論の余地はあるであろうが、よりエレガントな解は、小さな輪ゴムをリモコンの下部に嵌めてやることである。この輪ゴムは、リモコンの向きを教えてくれるだけでなく、滑りにくくもしてくれる。

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Daring Fireball の John Gruber は、Siri Remote の下部に黒の粘着テープを巻いて グリップの強化と向きの目印を達成している。

もし、もう少しハイテックなものがいい、そしてリモコンをよく失くすというのであれば、$25 の Tile は如何であろうか? これはほぼどんなものにでも付けられる。1.5 インチ (38 mm) の正方形で、Siri Remote とは全く同じ幅で、ぴったりである。Macworld の Jared Newman は、これをとても良い解だと評している

Tile は iPhone に Bluetooth 経由で接続し、最大 100 フィートまでのレンジがある。Tile アプリはその場所を地図上にも示せるが、リモコンを探すためにもっと有効と思われるのは、ソファの奥底から Tile に音を鳴らさせてやることであろう。逆に Tile 上のボタンを押して iPhone の場所探すことも出来る。

Tile の弱点は電池の交換が出来ないことである。電池は約1年持つが、その後はユニットそのものを新しい Tile と $12 で交換する。望むらくは、将来の Apple リモコンには Tile の必要はなくなり、iMore の Serenity Caldwell が提案している様に、ある種の Find My Siri Remote 機能を組み込んでくれることである。

これまで Siri Remote を失くしもしない、壊しもしないでやってこれた人のためには、それを使うためのヒントを少し提供したい!

Siri Remote ヒント -- 多くの Siri Remote の機能は直感的であるが、一見しては分からない様な有用な使い方も幾つかある。

皆さんは恐らく、Play/Pause ボタンかタッチパッドを押して一時停止した後、タッチパッドをスワイプすることでメディアの場所出しが出来ることをご存知であろう。しかし、場所出しの動作自体、困難で、思う様にならない。代わりに、ビデオを見ている最中にタッチパッドのどちら側かを押すことで 10 秒スキップが実現出来る:左なら戻り、右なら先に跳ぶ。もしタッチパッドのどちら側かを押し続けると、昔ながらの巻き戻しと早送りになる。

また、ビデオを見ている最中にタッチパッドをタップすると、この場合一時停止する必要なく、時間軸を表示出来る。これは、映画を見終えるか或いはもう寝るかを決めたい時には、残り時間がどれくらいかやどこまで見たかを知ることが出来るので便利な機能である。

Home 画面固有の Siri Remote ヒントも幾つかある。Menu を一度押すと、Home 画面上の最初の (左上) アプリに行く。これは沢山のアプリがある場合に便利である。最初の Home 画面アプリがハイライトされている間に、Menu を再度押すとスクリーンセーバーが始まる。

もう一つの Home 画面ヒントは Play/Pause ボタンがらみである。皆さんはもう既に、アプリをハイライトしタッチパッドを押し続けることで移動出来ることはご存知であろうが、アプリが震えている間に Play/Pause を押せば、メニューが現れてそのアプリをフォルダに入れたり、出したり、或いは削除したり出来るようになる。この方法の方が、狭っ苦しいタッチパッドを使ってアプリをドラッグして回るよりも、フォルダ管理はし易い。

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最後に、もし Apple TV が手に負えなくなったり、或いは言うことを聞かなくなったりしたら、Apple TV の明かりが明滅するまで Menu と Home ボタンを押し続けることで手早く再起動出来る。ボタンを離せば Apple TV が再起動される。

これらのヒントが皆さんをより幸せな Apple TV ユーザーにしてくれることを願うものだが、もし有用だとお思いなら "Take Control of Apple TV, Second Edition" にはもっともっと沢山のものが載っている。

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IK Multimedia iRig Acoustic: 同じ値段でもっといい音を

  文: Geoff Duncan: geoff@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhone、iPad、そして(その通り!)あのちっぽけな iPod でさえも、モバイルデバイスはミュージシャンが音楽を作って録音するやり方を変えた。それは、あまりにも多くの他の人たちの仕事のやり方がモバイルデバイスによって変貌を遂げたのと同じことだ。でも、電気楽器(と電子楽器)のプレイヤーならば自分のサウンドを操り管理するのに適したアプリやツールをさまざまな選択肢の中から選べるだろうけれど、アコースティック音楽のミュージシャンは大体において蚊帳の外に置かれてきた。アコースティックな楽器をモバイルテクノロジーの世界へ持ち込むには、依然としてマイクロフォンに関係したさまざまな手間と厄介事が必要となる。ケーブル、スタンド、プリアンプ、ウィンドスクリーン、スネークケーブル、ファンタム電源といったこまごまとしたものが、たいていは持ち運びし易く便利に使えるようにしてくれる。

いったいなぜそんな大げさな物言いをするのか? ただ単にマイクロフォンをモバイルデバイスに繋いで使えばいいだけじゃないか、という声が聞こえてきそうだが、確かにそれで録音することは可能ではあるけれども、どんなミュージシャンにでも尋ねてみるとよい。そこらにあるような普通のモバイルマイクを使って楽器に 良い サウンドを奏でさせようとしてもきっと徒労に終わるだけだという答が返ってくることだろう。大多数のモバイルマイクは、近接音(非常に近くからの音)が明瞭に聞こえることを目指して作られている。それは楽器の奏でる音を正確に記録するのと同じことではない。iPhone のヘッドセットを使って友だちと FaceTime カラオケを歌うのは楽しいかもしれないけれども、同じヘッドセットを使ってバイオリン、トランペット、コントラバス、ハーモニカといったアコースティック楽器の音楽を録音しようとしてもうまく行かない。

IK Multimedia は、この問題を解決することを狙っている。少なくともアコースティック・ギターやそれに似た楽器を対象にして取り組んでいる。同社の iRig Acoustic は装着式の、有線接続のマイクロフォンで、Apple の iPhone、iPad、iPod touch (または多くの Mac) と直接接続するように作られている。iRig Acoustic は IK Multimedia が出している一連のモバイルアプリと共に働いて、幅広い種類のライブサウンド操作やレコーディングの機能を提供し、同社の説明によれば「スタジオマイク級の音質を、より良く」提供するという。ここで言う「より良く」とは「持ち運びし易い」という意味だが、それに加えてより安価だということもある。$50 という iRig Acoustic の価格は、どのスタジオ用マイクロフォンよりも断然安い。

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では、本当のところ、この iRig Acoustic はどうなのか? これは真の意味で、アコースティック・ギターをモバイルな演奏とレコーディングの世界へと誘うことのできるマイクなのか?

iRig Acoustic をセットアップ -- iRig Acoustic ハードウェアは単純明快だ。マイクは柔軟でゴム引きされたプラスチック製のクリップに取り付けられ、このクリップを一般的なフラットトップのアコースティック・ギターに、響孔の縁のところに嵌め込むようになっている。(同様のデザインの楽器、例えばウクレレなどにも使える。)iRig Acoustic は他のタイプのアコースティック楽器、例えばバンジョー、上面が盛り上がったタイプのギター、マンドリン、バイオリンなどで使うためには作られていないが、平らな上面に丸い響孔のある楽器ならば iRig Acoustic が使えるはずだ。

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細い 6.5 フィート (2 m) のケーブルが iRig Acoustic のマイクから伸びていて、ミニプラグジャックを iOS デバイスまたは(全部ではないが)一部の Mac のヘッドフォンジャックに差し込める。また、ケーブルの端の近くに出力ジャックもあるのでそこからヘッドセットに繋いだり他のデバイスへのライン出力として使ったりもできる。iRig を楽器に取り付けて、iRig をデバイスに繋ぎ、さらにヘッドフォンを iRig の出力ジャックに差し込めば、ギターの奏でるサウンドを聴くことも、録音したものを聴くことも、あるいはデバイスが再生する音楽に合わせて演奏することもできるというのが狙いだ。また、出力ジャックからサウンドをアンプやミキサーなどのオーディオ機器に送れば、パフォーマンスやレコーディングにも使える。

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IK Multimedia は、iRig のマイクが MEMS (micro-electrical mechanical systems) テクノロジーを使っている点を大きく宣伝している。これはちょっと奇妙な頭字語だ。通常、MEMS は「マイクロマシン技術」の意味に使われ、極小(たいてい 100 ミクロン以下)の部品を意味するのであって、その品質やオーディオ機能には関係ない用語だからだ。ここでの MEMS の主たる魅力は耐久性だろう。これは基本的にスマートフォンのマイクと同じテクノロジーだからだ。iRig Acoustic はマイクを落としても壊れたりしない。

そう、あなたは 必ずや これを(他のものも)床に落とすだろう。レコーディングをするミュージシャンとして私は大量のケーブル類を使った作業に慣れているが、iRig Acoustic のように細くて軽量の、貧弱なケーブルを扱うのには慣れていない。私はしょっちゅう iRig Acoustic のケーブルをそこいらにある物、スタンド、スツール、ケース、ギターのネック、ブリッジピン、靴ひも、カフスその他に引っ掛けてしまう。サウンドをモニターすべく iRig Acoustic の出力ジャックにイヤーバッドを差し込むと、問題は一段と悪化した。この状態では、私の頭か腕かどちらかをある程度以上動かす度に、例えばギターを取り上げたり下に置いたりしただけでも、50/50 の確率で iPhone か iPad が床に滑り落ちるかまたはイヤーバッドが耳から飛び出すかする。iRig Acoustic はそれでも一切知らん振りなので、私はすぐに iOS デバイスが落ちそうな場所に枕とジャケットを置くようになった。そう、デバイスはその上にどんどん落ちた。

iRig Acoustic での作業 -- iRig を使えば、Apple の GarageBand など標準的なオーディオプログラムで直接録音ができる。けれども、IK Multimedia はサウンドを録音し編集するための一連のアプリ(無料のものも有料のものもあり、すべてにアプリ内購入がある)を提供している。iOS では、AmpliTube Acoustic がメインのアプリで、これはもともとエレクトリック・ギターのために作られた IK Multimedia の AmpliTube アプリシリーズの一つであった。AmpliTube Acoustic には、二つのバージョンがある。基本的機能を持つ無料バージョンと、より多くの処理機能を備えた $9.99 のバージョンだ。いずれもアプリ内購入で機能を強化できる。AmpliTube という名前が付いているのは少し残念(アコースティック楽器の演奏家は普通ごつい真空管アンプ (Ampli Tube) なんか使わない)だが、それはしょうがない。AmpliTube Acoustic の機能は同社のエレクトリック・ギター用のアプリを焼き直しただけのツールでは ない。ただ、Mac 用の AmpliTube アプリにはアコースティック用の機能が(まだ?)ないので、今のところ iOS 用が唯一の選択肢だ

iRig と AmpliTube Acoustic を初めて使う際には、キャリブレーション処理が走り出し、あなたの楽器に合わせたプロフィールが作成される。基本的に、iRig をセットアップしてから、開放弦を数秒間かき鳴らせば、それで完了だ。iRig Acoustic をいくつかの楽器で使いたい場合には、複数個のプロフィールを作って保存しておくこともできる。ただし、私がテストした限りでは、このアプリは時々キャリブレーションのプロフィールを見失うことがあるようだ。幸いにも、新たなプロフィールを素早く作成できる。

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さきほども触れたように、互換なアプリならどんなものでも iRig Acoustic からの録音ができる。また AmpliTube Acoustic をプリプロセッサとして使って、iOS 用 Inter-App Audio あるいは Audiobus (2013 年 8 月 9 日の記事“FunBITS: Audiobus と iPad 音楽アプリの世界”参照) 経由で GarageBand など他の iOS 用録音アプリに送ることもできる。AmpliTube Acoustic アプリを少なくともプリプロセッサかプリアンプとして使うことには二つの主たる利点がある。一つは AmpliTube Acoustic のキャリブレーションプロフィールで、これのお陰で真の意味でより良い録音サウンドが得られるようだ。もう一つは AmpliTube Acoustic アプリの中でさまざまのアンプモデル、エフェクト、イコライザなどの機能が利用できることだ。これらの機能はただ単にギターのサウンドをより良いものに(あるいは少なくとも違ったものに)するだけでなく、iRig ケーブル上の出力ジャックから供給される信号にも適用されるので、それをヘッドフォンで聴くことも、あるいはミキサーやコンピュータやその他のオーディオシステムに送ることもできる。

では、どのようなオプションが使えるのか? ここから、AmpliTube Acoustic は信じられないほど分かりにくいものになる。あまりにも分かりにくいので、IK Multimedia のウェブサイトには三つのメニューを使ってオプションの詳しい説明を切り分けているくらいだ。そんな複雑な切り分けをしても、登録すればロックが外れる機能であるか否かを見分けることすら簡単でない。簡単にまとめておくと、$9.99 を払って有料バージョンを手に入れれば、三つのアンプモデル (そのうち二つはアコースティック重視のソリッドステートアンプ)、使って試してみられるドラムグルーブ一つ、それから便利に使えるかもしれないいろいろの処理ツール、例えばコンプレッサ、12 ストリングス・エフェクト、ベース・オクターバー (低音強調用)、ギターのサウンドを主要な五つのギター本体形状のいずれかのサウンドに近いものに変えようと試みるデジタル「本体モデラー」 なども使える。無料バージョンには、ソリッドステートアンプモデル一つ、コンプレッサ (アプリ登録が必要) と、パラメトリック EQ (iRig Acoustic 登録必要) が付く。無料バージョンでも問題なく動作するが、どこかをちょっとタップしただけでもアプリ内購入の勧誘が出ることが多い。

いずれのバージョンも、フィードバック停止機能 (ステージ上のパフォーマンスで便利) と、演奏中に自分で録音できるシングルトラック録音機能が付く。複数のトラック (例えば 2 パートのギター) を録音したければ、$26.99 のアプリ内購入で 8 トラック録音機能 (追加のミキシングエフェクト付き) を追加できる。大きくて見やすいチューナーが欲しければ、それは $9.99 だ。複数のパートをレイヤー化して自分で合奏を楽しめるルーパー、これも $9.99 だ。もっとドラムグルーブを増やしていろいろ楽しみたければ、"pack" 一つあたり $3.99、ポップ、メタル、カントリー、ファンク、ブルース、ラテン、レゲエなどのジャンルを含むすべてのセットならば $24.99 だ。単品のままならこの iRig Acoustic ハードウェアの価格は $50 ほどだが、アプリの価格と、それに IK Multimedia が iRig Acoustic の重要機能として宣伝している機能のためのアプリ内購入を合わせれば、合計は $150 近くになり得る。

他方、AmpliTube のやり方は、顧客が不要な機能にお金を払う必要なく自分の欲しい機能だけを自由に選べるという利点がある。(例えば私は、ドラムループに何の興味もないが、複数トラックの録音は酸素と同じくらいに必要不可欠と考えている。でも他の人たちは違った見方をする!)その一方で、少しずつ金を出させて破産させようとしているのではないかという感じも受ける。たった今 iRig Acoustic に $50 払ったところだというのに、今度はそれを使うためのアプリやアドオンにまた金を払えというのか? AmpliTube Acoustic の無料バージョンから始めたとしても、いずれフラストレーションが溜まることになるかもしれない。それに、iOS 用と OS X 用双方の GarageBand が無料だというのに、複数トラック録音機能だけのために $27 支払う気持ちになれというのは少々厳しいかもしれない。(GarageBand の大量のループや機能を収容できるだけのストレージ容量があればの話だが。)

iRig Acoustic のサウンドはどうか? -- では、iRig Acoustic のサウンド品質はどうだろうか? 悪くはない。でも、レコーディングスタジオや従来型のマイクロフォンを脅かす存在にはならない。

iRig Acoustic を試してみるために、私は自宅の仕事場に単純なテスト用セットアップを組んで、三種類の違ったやり方で自分で録音してみた。

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私は六弦のドレッドノート型アコースティック・ギターを演奏して、すべての音源を同時に、私の Mac に接続した MOTU 828x Thunderbolt オーディオインターフェイスを使って録音した。オンラインで使うために MP3 に変換したこと以外、圧縮・リバーブ・リミッタなど追加の処理は一切加えなかった。つまり、Mac に入って来たままのデータを記録した。

ここに紹介する三つのサンプル録音で、それぞれのセットアップの長所と短所がはっきり分かる。一つ目は比較的力強いつま弾き音で比較したもの、二つ目はもっと繊細なアルペジオでの比較、三つ目はちょっとふざけてぞんさいに、でも活発に演奏してみた。もともと音量レベルを変えて比較するためのテストを意図したのだが、なかなか示唆に富む結果が得られた。

まず、piezo システム、これはピックアップ端子をギターに取り付ける、いわゆるアコースティック・エレクトリック・ギターとして使うものだが、サウンドは特徴的にモワモワして薄く聞こえ、アタックがうるさくてベースが少ない。ほとんど常に piezo の音色はこんな感じだ。素晴らしいサウンドには聞こえない(それを取り付けたギターの音とも違って聞こえる)が、ステージ上で使うには便利だ。フィードバックが入らず、また演奏者がマイクロフォンの人質にならずに自由に歩き回れるからだ。

従来型のマイク(一台を近くに、もう一台を 4 フィートほど離して置いた)のサウンドはずっと自然に聞こえるが、ギターの音をマイクで拾うのは厄介だ。今回の場合、近い方のマイクは指や弦のサウンドの細かい所を拾うと同時に、低音を強調したミッドレンジとして働く。遠い方のマイクはもっと自然なギター音を拾うと同時に、たくさんの「ルーム音」つまりギターの音が私の仕事部屋に反響する音も取り込む。もしもその部屋の音響が良ければ、ルーム音はレコーディングのサウンドを素晴らしいものにしてくれる! でも私の部屋の音響が良く ない ことは、サンプル録音を聴いて頂ければすぐにお分かりだろう。(だからこそ私はこの録音を保存しておいたのだ。)残念ながら、ルーム音はいったん録音されてしまえばどんなオーディオ編集の技を駆使しても取り除くことはできない。アコースティック・ギターをプロフェッショナルが録音する際には、音響の良い部屋で、あるいは発泡パネルや吸音パネルを使った消音により反響を消した部屋で、近いマイクロフォンと遠いマイクロフォンを混ぜることが多い。今回のテスト録音では二台のマイクをほぼ同等に扱った。

iRig Acoustic では、piezo システムのようなモワモワ感やうるささは出ない。それは良いことだ! また、ルーム音もほとんど拾わない。つまり、音響の悪い部屋でもそれに影響されずに結果を出すはずで、これも良いことだ! でも残念ながら、こもったようなサウンドに聞こえる。ギターの低音が鈍い感じで、楽器の中音域の音を抑え込んでしまう。iRig Acoustic は細かな音までキャプチャするけれども、それと同時に非常に高い音の一部を奇妙な具合に強調する。繊細なアルペジオの録音を聴いて頂ければ、従来型のマイクに比べて iRig が弦の雑音を拾うのがお分かりだろう。iRig の方は苛立たしいカシャカシャ音を記録し、対して従来型のマイクは通常のフレット雑音を書き込んでしまう。また、iRig Acoustic は従来型のマイクに比べても piezo システムに比べてもダイナミックレンジが低く、二つ目と三つ目の録音では出力レベルも非常に低かった。それぞれの録音について新しいキャリブレーションプロフィールを作成してみたところ若干の改善は得られ、AmpliTube Acoustic で音量レベルを調整したりもしてみたが、結局 iRig Acoustic の信号強度に満足できるには至らなかった。

この記事のオーディオ版[訳者注: 英語版のみ]にはもっと他の実例もあり、他の楽器を iRig Acoustic で録音したトラックもある。ぜひお聴きあれ!

結論 -- 子供のころ、私はアコースティック・ギターの響孔からギターの中へテープレコーダーのコンデンサーマイクロフォンを放り込んで、最高の結果をと念じつつギターを弾いて録音したものだ。iRig Acoustic は、あの時の録音を思い出させる。もちろんそれは自然なことだ。何しろ、文字通りマイクロフォンをギターの中へ入れているのだから。けれども iRig Acoustic の方がずっと良い結果が得られるのは、これがギターのため専用に作られ、楽器に合わせた(さらにパフォーマンスに合わせた)キャリブレーションが AmpliTube アプリを通じて施され、録音の前にエフェクターやイコライザーによる調整が加えられるからだ。私が iRig Acoustic で経験した中音域が低音にかき消される問題は、AmpliTube Acoustic のパラメトリック EQ (無料バージョンでも iRig Acoustic 登録さえすれば使える) で簡単に補正できる。iRig Acoustic は楽器やパフォーマンスの趣きをかなりうまくキャプチャできるし、迫力たっぷりの演奏や歩き回る演奏者などによるドシンドシンガタガタといった音にも影響されないように思える。

そうは言っても、iRig Acoustic を使う際の器材については厄介なことがある。軽量のケーブルが私のギターと iOS デバイスを繋いでいるのはひいき目に見ても困ったことだし、それに加えてイヤーバッドも使えばとうてい我慢のならない状態になる。これを使って演奏会をしたいとは思わない。開始して一分も経たないうちに私の iOS デバイスはステージに叩き付けられてしまうだろう。

アコースティック・ギターで基本的なレコーディングをそれほど費用をかけずにしたいならば、iRig Acoustic が断然お薦めだ。旅先ではこれを使うに限ると言う演奏家を私は何人も知っている。また、学生や、まだ駆け出しのミュージシャンで、演奏やレコーディングを始めたばかりの人には、iRig Acoustic が素晴らしい解決法(あるいは最適の贈り物!)となるだろう。従来型マイクロフォンの最も安価なものでレコーディングしたものに比べてもサウンドは良いとは言えないが、iRig Acoustic の方がもっと安価な上に、持ち運びははるかに楽だ。演奏家によっては、そのことが 大きな 違いを生むだろう。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2016 年 4 月 18 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Fantastical 2.2.1 -- Flexibits が Fantastical 2.2.1 をリリースして、Exchange アカウント設定の信頼性を改善するとともに、一部の Exchange アカウントが "GetUserConfiguration (Categories)" エラーを表示していた問題点を解消した。このカレンダーアプリの今回の新バージョンではまた、イベントを終日と時間指定の間で切り替える際に「自然な」言い回しの警告を出すようにし、イベントキャンセルの通知が Ignore Alerts をオンにしても出ていた問題を修正し、企業ネットワーク内でない状態で企業用 Exchange アカウントを使った場合に表示される Exchange エラーの個数を減らし、OS X 10.10 Yosemite との互換性を高めている。(Flexibits からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、13.2 MB、リリースノート、10.10+)

Fantastical 2.2.1 へのコメントリンク:

Retrospect 13.01 -- Retrospect, Inc. が Retrospect 13.01 をリリースした。最近リリースされたメジャーアップグレード(2016 年 3 月 5 日の記事“Retrospect 13”参照)に対する、メンテナンスリリースだ。このバックアップソフトウェアは、使用されたグルーミングのタイプ(ストレージ最適化またはパフォーマンス最適化)のログ報告を改良し、ログアウトしてログインすると Mac クライアントがボリュームを表示しなくなったバグを修正し、バックアップ処理が終了した後のクリーンアップが正しく実行されなかった問題点を解消し、クラウドバックアップ用の Restore Bandwidth 上限が正しく守られるようにしている。Retrospect 13 Desktop for Mac の価格は $119 で、旧バージョンからは $69 でアップグレードできる。また、$249 (アップグレードは $179) の Annual Support and Maintenance (ASM) パッケージの一部としても購入できるが、このパッケージには電子メールと電話による一年間無制限の無料サポートと無料アップグレードが付く。(新規購入 $119、アップグレード $69、183 MB、リリースノート、10.6.8+)

Retrospect 13.01 へのコメントリンク:

LaunchBar 6.6.2 -- この 4 月の初めに Objective Development は LaunchBar 6.6.1 をリリースして、Command-V でクリップボードのデータを LaunchBar にペーストする挙動を復活させるとともに Drop From Clipboard アクション (Command-Option-V) を追加してクリップボードのデータを現在選択されている項目に適用する(例えばコピーしてあった URL を特定のアプリケーションに開かせる)ようにした。そのアップデートはまた、LaunchBar の入力ウィンドウが警告パネルを覆い隠してしまったバグを修正し、DuckDuckGo 検索で Shift-Return を使うと前回入力したテキストで再建策する機能を追加し、LaunchBar で選択されたフォルダにファイルをドラッグできなくなったバグを修正した。その後間もなく、Objective Development は LaunchBar 6.6.2 をリリースして、OS X 10.9 Mavericks や 10.10 Yosemite との互換性を改善するとともに、左右矢印キーでブラウズする際のフォルダ内容の並び順を改良した。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.1 MB、リリースノート、10.9+)

LaunchBar 6.6.2 へのコメントリンク:

Delicious Library 3.5.1 -- Delicious Monster が Delicious Library 3.5.1 をリリースして、OS X 10.11 El Capitan 対応にアップデートし (ただし 10.10 Yosemite でも引き続き動作する)、Apple の最新の iTunes アクセスフレームワーク (これによりクラウドにのみ保存された項目でも Delicious Library がその表紙を表示できるなどの改善がある) を使用するようにした。このメディアカタログ用アプリは数多くのバグも修正しており、Library of Congress での並べ替えおよび Dewey Decimal 数の問題点、表紙のない項目を表示する際に起こったハング、最初に平棚にダウンロードしたアルバムカバーがグレイに表示されたた問題などが修正された。(Delicious Monster からも Mac App Store からも新規購入 $25、無料アップデート、78.2 MB、リリースノート、10.10+)

Delicious Library 3.5.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2016 年 4 月 18 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、FBI が San Bernardino 事件の iPhone のためにハッカーたちを雇ったことが判明し、USB-C をより安全にするための新しい認証プロトコルが提案され、新しい HTC 10 スマートフォンで AirPlay が Android にも登場し、Amazon が新しいハイエンドの e-リーダー Kindle Oasis を発表し、Amazon Prime サービスに月額払いオプションを追加した。Apple 関係のニュースでは、同社が iTunes Allowances プログラムを終了し、同社の App Store 審査が Reddit クライアントの開発者たちと衝突を起こした。

Amazon、Prime 購読オプションを拡張して Netflix に対抗 -- これまでずっと Amazon Prime は年に一回の料金請求で、現在の価格は年額 $99 となっている。それだけの料金を払えば、たくさんの恩恵が得られる。最も重要なのが多くの商品の購入の際に無料で 2 日間以内配送の特典が付くことと、ますます充実しつつある Prime Instant Video セレクションだ。米国在住でこの年額払いに不満がある人たちのために、Amazon は今回、二種類の月額払い購読オプションの提供を開始する。料金は Amazon Prime Instant Video のみで月額 $8.99 (Netflix の最も人気あるプランに比べて $1 安い)、Amazon Prime フルサービスならば月額 $10.99 だ。ただし、これら二つのオプションはいずれも年額 $99 のサービスに比べれば割高だ。月額に換算すると $8.25 となるからだ。

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Apple、iTunes Allowances を終了 -- Apple が iTunes Allowances プログラムを終了すると発表した。子供たちの iTunes アカウントに対して、毎月使える金額を親が設定できるというプログラムだ。新規の iTunes Allowances 設定は既に 2016 年 4 月 13 日に受付を終了しており、2016 年 5 月 25 日には既存の設定も解約となる。ただしその日以後も、未使用のアローアンスクレジットは使い切るまで受取り人のアカウントに残る。Apple は子供たちの iTunes での買い物を管理するには Family Sharing を、一回限りのギフトを贈るには iTunes Gifts を使うようにと勧めている。iTunes Allowances プログラムはもともとあまり知られていなかったので、今回の終了で困ったことになると感じる人たちはそれほど多くないだろう。ちょっと考えてしまうのだが、今回このサービスが終了する理由は、Family Sharing がその代わりになるからなのか、またはこれがあまり人々の役に立ってこなかったからなのか、それとも Apple が十分に後押しや宣伝をしてこなかったからなのだろうか?

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FBI、San Bernardino の iPhone ロック解除のためハッカーを雇う -- 多くのメディアが伝えるところでは San Bernardino テロ事件関連の iPhone 5c にアクセスを得るため FBI はイスラエルの会社 Cellebrite を使ったのだと言われていたが、The Washington Post の新しい記事が、実は FBI は一括払いの定額金を支払ってプロフェッショナルの "gray hat" ハッカーたちを雇ったのだと伝えている。そのハッカーたちがこれまで知られていなかったセキュリティ欠陥を発見し、それを利用して(十回の入力ミスの結果データを消去されることなく)iPhone のパスコードをクラックできるハードウェアを開発したのだという。他方、利用した脆弱性を公表すべきだという FBI への圧力は増しつつある。たとえ、その攻撃が iOS 9 の走る iPhone 5c にしか使えないものであったとしても。

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Amazon、Kindle Oasis を発表 -- Amazon が、同社の e-リーダー Kindle シリーズに上級機種、$289.99 の Kindle Oasis を発表した。まるでペーパーバック本のように片手で持てるようにデザインされており、くさび形のハンドグリップが初代の Kindle を思わせるが、Amazon はスクリーンが従来のどのモデルよりも 30 パーセント明るいと宣伝している。これは片手で持って読書するために作られているので、どちらの手で持っているかに応じて自動的にスクリーンが切り替わる。Amazon によれば、デバイスのレザーケースに内蔵されたバッテリーは(毎日半時間ずつ読書に使い、Wi-Fi はオフ、明るさ設定は 10 という前提で)充電後 8 週間保つという。$119.99 の Kindle Paperwhite や $199.99 の Kindle Voyage に比べてどの程度良くなっているかは未知だが、Kindle Oasis の構成によっては需要の多さのため 2016 年 4 月 27 日の予定よりも遅い出荷になるという。

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非準拠デバイスから保護する USB-C 認証プロトコル -- 以前の記事で、規格に準拠しない USB-C ケーブルやデバイスがそれに接続されたハードウェアにダメージを与えたり破壊することさえあるとお伝えした。この問題に対処するため、USB 3.0 Promoter Group が USB Type-C Authentication 仕様を発表した。これは、USB デバイスのための暗号認証規格だ。USB-C 認証を備えた電話機は、例えば未承認の充電器が必要な仕様に合致していないと認められた場合、接続を拒否することができる。しかしながら、この認証プロトコルは使い方によってはフルに規格に準拠したデバイスであっても何か他のビジネス上の要件を満たさなければ接続を拒否するように使われる可能性もある。つまり、一方ではデバイスのメーカーが検証済みの USB ストレージデバイスのみにアクセスを制限するためにも使えるけれども、それと同時にメーカーが承認したデバイスの独自仕様のエコシステムの内部のみにユーザーを囲い込む目的で使うこともできてしまう。要するに、予期せぬ結果を警戒すべしということだ!

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Apple、NSFW コントロール関係で他社製 Reddit クライアントを撤去 -- Apple は最近、人気のソーシャルニュースサイト Reddit のためのサードパーティのアプリの大多数を App Store から削除して、このサイトの大勢のユーザーの怒りを買った。とりわけ、リリースされたばかりの公式 Reddit アプリが削除を免れたのだからなおさらだ。どうやら、Apple はこれら多くのアプリ(中には一年以上前から App Store にあったものもある)の中に、コンテンツのうち NSFW (Not Safe for Work) とタグ付けされたものを表示するか否かのスイッチをユーザーが切り替えることのできるものが存在する点を、突然気に入らなくなったらしい。しかしながら、今回 Apple はそのスイッチを開発者が削除したアプリの多くを再び App Store に受け入れ始めている。つまり、ユーザーとしては、NSFW コンテンツへのアクセスのコントロールを Reddit ウェブサイト上の環境設定でせざるを得なくなった。どうやら Apple の目には、NSFW のスイッチでさえ "Not Safe for the App Store" だというのだろう。これはどう見ても行き過ぎた家父長的観点ではないか。

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HTC 10 スマートフォンで AirPlay が Android に登場 -- AirPlay はこれまで長年 iOS と OS X の標準機能であったが、オープン標準ではなかった。結果として、これまで Google の Android モバイルオペレーションシステムにおいては当てにならないことの多いサードパーティのアプリの中でのみ使えていた。けれども HTC から登場予定の HTC 10 スマートフォンは、出荷時点で既に AirPlay 対応を備えており、HTC Connect サービスに統合される。これはおそらく Apple の関与なしになされたことなので、HTC 10 がどの程度うまくオーディオやビデオを Apple TV やその他の AirPlay レシーバーに送ることができるのか、興味深く見守りたいところだ。

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