TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1321/16-May-2016

Apple がそのすべてのオペレーションシステム、つまり OS X、iOS、tvOS、および watchOS にアップデートを出したので、Josh Centers が新機能を(あまりないが)紹介する。また、Josh は Gboard をレビューする。これは Google の新しい iOS 用キーボードで、Google 検索やその他の便利な機能をキーボードに統合している。私たちスタッフの中の「下手な漫画家」Michael Cohen は、iPad Pro と Apple Pencil を使ってお絵描きアプリ Procreate を試してみる。それから Julio Ojeda-Zapata が、新しい iPhone SE を大型の iPhone 6s と比較する。最後にもう一つ、Glenn Fleishman が連載中の "Take Control of Slack Basics" が今週で最終回となり、Slack を生産的に使いこなすコツを述べる TidBITS 会員専用の章と、自分で Slack チームを始める方法を説明した誰でも読める章がある。今週注目すべきソフトウェアリリースは iTunes 12.4、Microsoft Office 2016 15.22、Fantastical 2.2.2、Default Folder X 5.0.4、Art Text 3.0、Mac 用 Pages 5.6.2, Numbers 3.6.2, Keynote 6.6.2、それに Gemini 2 だ。

記事:

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Apple、OS X 10.11.5, iOS 9.3.2, tvOS 9.2.1, watchOS 2.2.1をリリース

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

Apple は、新しい機能追加はないものの、バグフィックスやセキュリティの改善も含めて、すべての OS をアップデートした。リリースされたこれら全てのアップデートにおいて、セキュリティに関する詳細な説明を見るためには、Apple Security Updates のウェブサイトをチェックすること。すべてのコードが異なる OS 間で共有されていることを考えると当然ではあるが、セキュリティ問題の解決についても、その多くが共有されている。

何か問題があるとはまだ聞いていないが、新し物好きのユーザーが、予期せぬ問題について報告してくる機会を持つまで、一週間かそこら、これらのアップデートは控えることをお勧めする。とは言え、主要な障害が何も顕在化しないのであれば、その後は、これらのアップデートをすぐにインストールしたくなるだろう。なぜなら、これらセキュリティ問題の解決は、悪意のあるアプリでユーザーが集団感染するのを防ぐのに、いずれも重要だからだ。

OS X 10.11.5 -- El Capitan の最新バージョンに対するリリースノートは、全くあいまいなものだ。「OS X El Capitan 10.11.5 は、あなたの Macの安定性、互換性、セキュリティを改善し、すべての El Capitan ユーザーにお勧めします。」このアップデートは、管理者が喜ぶであろういくつかの企業向けバグフィックスも提供している。OS X 10.11.5 アップデート (758MB) については、間もなく Apple のダウンロードサポートページに、スタンドアロンでのダウンロードが現れるものと期待しているが、目下のところは、Software Update を通じてのみ入手可能である。

iOS 9.3.2 -- 幸いなことに、iOS 9.3.2 のリリースノートは、OS X10.11.5 よりも、多少内容がある。それでも、iOS 9.3 の主要アップデート("iOS 9.3、Night Shift を採用、Notes を保護、等々" 2016 年 3 月 21日) の後ということもあり、今回はただのバグフィックスである。Apple によると、iOS 9.3.2 では、iPhone SE の Bluetooth オーディオ品質の問題、辞書検索のための単語指定ができない問題、メールおよびメッセージで、日本語かなキーボードを使う場合に、メールアドレスが入力できない問題、読み上げ機能で、声に Alex を使うと、句読点やスペースを読み上げる時に、違う声になってしまう問題、MDM (モバイルデバイスマネジメント) サーバーで、カスタムメイドの B2B アプリがインストールできないというバグに取組んだとのことだ。iOS 9.3.2 は、設定 > 一般 > ソフトウェアアップデート、もしくは、iTunes から入手可能だ。iPhone 6 で、WiFi 経由でアップデートしたところ、89.4 MBだった。

tvOS 9.2.1 -- Apple は、tvOS 9.2 に多くの機能を加えた ("tvOS 9.2 で、第四世代 Apple TV はようやく一人前に" 2016 年 3 月 23 日) が、tvOS9.2.1 は、バグフィックスと性能向上に専ら注力しているように思われる。確実にそうだとは言えないが、Apple は、tvOS のリリースノートを出していないからだ。アップデートが自動的に提供されない場合は、設定 > システムソフトウェア・アップデート > ソフトウェアをアップデートする、で入手できる。

watchOS 2.2.1 -- 最後に、Apple は、watchOS を 2.2.1 にアップデートした。これは、「バグフィックスとセキュリティのアップデートを含む。」アップデートは 26.9 MB あるが、これは、iPhone の Watch アプリで、マイウォッチ > 一般 > ソフトウェアアップデート で見つけることができる。アップデートを行うためには、Apple Watch は、iPhone のそばにあって、充電器に接続された状態で、少なくとも 50% 充電されている必要がある。アップデートの完了には、全体で 30〜45 分かかるので、時間があるのを確認すること。

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"Take Control of Slack Basics" の連載が完結

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst, Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

連載中の "Take Control of Slack Basics" は、最後の二つの章が今週加わって完結する。一つの章は TidBITS 会員専用だが、もう一つの章は誰でも無料で読める。

Slack[訳者注: 気が緩んでいる状態というような意味]というのはちょっと皮肉なほど誤った名前だ。パワフルな生産性ツールとして売り出されているけれども、その機能を十分に使いこなさないでいると、大いなる時間の無駄に陥る可能性もある。それでは以前よりもっと "slack" になりかねない! でも、Slack 独特の「うるさい」面が役に立つこともある。特にサードパーティとの統合機能を使ってオンラインのコマンドセンターを作っておけば便利だ。

Chapter 11 の "Be Productive" で、Glenn Fleishman は最大限の生産性を得つつ仕事と生活とのバランスを取れるように Slack を調整するための実際的なアドバイスを提供し、気を散らすものを遮断してあなたが仕事に集中できるようにしつつ、それでいて外部の世界から完全に遮断されることがないようにするためのテクニックや方策を提案する。また、Slack チームの中であなたが他の人たちの気を散らすことにならないようにするためのアドバイスも述べる。要するに、Slack の音量をちょっと下げておくということだ。

続けて Glenn は方向をくるりと転換し、Pingdom、RSS、Trello、Twitter、Zendesk などあらゆるところからやって来るコミュニケーションを一つの中心的な Slack ベースのコミュニケーションチャンネルにまとめることで生産性を上げるやり方を説明する。ネットワーク管理者をしている Glenn の同僚の一人は、Slack を使って 50 もの異なる会社のシステムをまとめて監視しているという! 私たち TidBITS でも、Trello と Twitter を一つの #ops チャンネルにまとめることで重要な活動を追跡するために役立てている。

さて、これで Slack の基本がマスターできたなら、次は自分で Slack チームを作る方法を学ぶとよい! Chapter 12 の "Start a Slack Team" は、実際にはこれと対になる Glenn の本 "Take Control of Slack Admin" の最初の章でもある。無料で読めるこの Chapter 12 では、Slack チームを設立するために何が必要かを学べる。Slack チームの設立は無料でできる。

現在の連載形式での "Take Control of Slack Basics" の、最初の二つの章と Chapter 12 とは誰でも読めるけれども、Chapter 3 から 11 までは TidBITS 会員限定なので、まだ会員になっていない方はどうぞこれを機会に参加して頂きたい! TidBITS 会員になった方には他にも多くの特典がある(例えば私たちの RSS フィードがフルテキストで読めるようになる)けれども、何より大切なのは TidBITS 会員の力があったからこそ TidBITS を毎週皆さんの受信箱にお届けできているということだ。既に TidBITS 会員になっておられる方は、会員登録の際の電子メールアドレスを使って TidBITS サイトにログインして、これらの章をお読み頂きたい。

"Take Control of Slack Basics" の連載が終わったので、これからは "Take Control of Slack Admin" 執筆の仕上げと、"Take Control of Slack Basics" の出版に向けた磨き上げとに注意を向けたい。これら二冊の本の両方とも、数週間以内に PDF、EPUB、Mobipocket (Kindle) の各フォーマットでどなたでも購入して頂けるようにするつもりだ。また、"Take Control of Slack Basics" は Slack チーム全体を対象に大幅な値引きのまとめ買いができるようにする予定なので、ご希望の方はご連絡頂きたい。

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Google、素晴らしい iPhone 用キーボード Gboard を発表

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

iOS には、かなり前からサードパーティ製を組み込む機能がある (この背景とインストールのやり方については、"iOS 8 用他社製キーボード、説明とレビュー" 2014 年 10 月 2 日を参照) が、これまで素晴らしいものは何もなかった。私は、新しいものを定期的に試しているし、古いものを再度試すことさえある。だが、結局、便利というより、苛立たしくなるのが落ちだ。私がこれまで試したものはいずれも遅く、重要な機能が欠けていて、あるいは、単に奇妙なだけだったりする。なので、今にいたるまで、私は完全にあきらめていた。

Gboardd を紹介しよう。これは、Google が作った新しい無料キーボードだ。Gboard が際立っているのは、Google 検索とキーボードが完全に統合されている点だ。例えば、昼食で友達に会おうとしていて、レストランの住所をメールで知らせる必要があるとしよう。Siri に住所を尋ねたり、詳細を調べるために地図をタップしたり、もっと情報を得るためにレストランのラベルをタップしたり、コピーボタンが現れるまで住所の上でタップ & ホールドしたり、コピーボタンをタップしたり、メッセージアプリに戻って住所をペーストしたりする代わりに、キーボード上の Google ボタンをタップしてレストランを検索し、検索結果のカードをタップするだけで、レストランの完全なリンク付きの住所がメッセージに挿入される。Google のプロモーションビデオはこうした操作を上手にまとめている。

Gboard では、素敵なことがたくさんできるが、まずは、基本から始めよう。Gboard が非常に優秀なキーボードであることは、何度言ってもよいくらいだ。キーは、そこにあるだろうと思う場所にあり、期待通りに反応し、キーを長押しすると、小さな吹き出し (popover) が現れる。入力は高速で、遅延もない。Apple 標準のキーボードと同様に、QuickType のような単語候補も示してくれる。

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実際には、大きな Google のボタン以外、一見したところ、Gboard と Appleのキーボードを見分けるのには苦労するだろう。とは言え、Gboard には、いくつか不十分な点がある。一つには、音声入力がないことだ。したがって、タイピングはまったくせずに、この機能を頻繁に使うのであれば、Gboard は不向きかもしれない。これは残念なことだ。なぜなら、Google の音声認識機能は、しばしば Apple よりも優れているからだ。Google の音声入力機能強化が待たれるところである。

iPad, iPhone 6s, 6s Plus では、トラックパッドスタイルのテキスト選択機能もない。それほど多くの人がこの機能を使い込んでいるとは聞いていないが、これも残念なことだ。

また、Gboard のタイプフェースは、Apple のものとはわずかに異なっている。Apple の San Francisco の代わりに、Google の Roboto を使っているのだ。この二つは似ているが、Google が Gboard に 実装した Roboto は、どちらかと言えば、少々線が細い。Daring Fireball の John Gruber が指摘したように、Gboard のピリオドキーは見にくい。ユーザー補助機能の観点からは、Gboard は改善の余地があると言える。

現状では、Gboard のユーザー補助機能には、いくつか欠点があるが、Gboardは、それを補う多くの有用な機能を提供している。一例として、キーボードから指を離さずに入力する機能 (glide typing) が挙げられる。この機能を使うと、キー上でスワイプすれば単語入力ができる。その際、Gboard は、何を入力しようとしているのか推測する。他の多くのキーボードも、同様に、この機能を提供しているが、Gboard がとりわけスムーズで、推測が正確であるように思われる。Gboard が知らない単語をマニュアルで入力すると、Gboardはそれを学習し、次回はそれが候補として示されるようになる。加えて、ある単語で Gboard が推測を間違えた場合、その単語を消去するには、デリートキーを 1 回タップするだけで十分だ。バックスペースで一文字ずつ消去する必要はない。

Gboard には、組み込みの絵文字キーボードがあるので、絵文字を入力するのに Apple のキーボードに戻る必要はない。Gboard は、入力に応じて絵文字も候補に示してくれる。例えば、"lol" とか、"dinner" と打ち込めば、適切な絵文字を示してくれる。加えて、Gboard の絵文字キーボードに切り替えれば、何百もの小さなアイコンをスワイプしなくとも、絵文字の検索が可能だ。

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絵文字キーボードの下にある GIF ボタンをタップすれば、アニメーションGIF も入力することが可能だ。これは、いろいろなことに対応するための、楽しい (そしてとても現代的な) 手法である。Gboard は、アニメーションGIF のコレクションを、トピックごとにまとめている。ハイタッチ、肩をすくめる、マイクを落とす (決め台詞) 、乾杯、ありがとう等。あるいは、自分の好きな GIF ファイルを検索することもできる。Gboard は、NSFW(Not Safe for Work ... 職場にふさわしくないもの) に相当する GIF ファイルは表示しないので、出てきたものでびっくりするようなことはない。

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Gboard の「売り」は、Google 検索機能が組み込まれていることだ。カラフルな Google ボタンをタップすると、直前の 3 つの検索結果とともに Google検索ボックスが現れる。通常の Google 検索と同じように、検索したい内容を入力すると、検索結果が示され、タイプミスも自動的に修正される。検索結果は、スクリーンの下にカードとして出てくるので、スワイプして見ることができる。カードをタップすると、テキスト入力フィールドに、その URL が挿入される。個々のカードの下部左側には、そのカードがどこから来たかを示すドメインが表示され、下部右側にあるアイコンをタップすると、その URL をSafari で開くことができる。

Gboard は何を検索できるのだろう? 通常の検索は大部分可能だ。例えば、TidBITS で検索すると、私たちのウェブサイトが他の検索結果と共に、最初にヒットする。もちろんレストランも探すことができる。例えば、"rodizionashville" と打てば、私のお気に入りのブラジルステーキハウスが見つかる。場所を示すリストには、電話をかけるボタンがあり、Google Maps でそこにどうやって行けばよいかも示される。Gboard の検索では、重大ニュースや YouTube ビデオも見つけることができる。"site:tidbits.com preview"のように、特定のサイトを検索することすら可能だ。

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Gboard は、位置情報へのアクセスを許可するかどうか聞いてくるが、それを許可すると、より詳しいローカル情報検索ができるようになるし、"weather"で検索すると、その地域の天気予報も見ることができる。気が利いているのは、テキスト入力フィールドに天気を入力すると、Google はそれに関連する絵文字を加えることだ。少々物好きだとも言えるが、こうしたちょっとしたディテールは、普通、私たちが Google よりも、むしろ Apple に期待するものだ。

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Gboard で検索すると、スクリーン下部に、検索の種類別に 3 つのタブが現れる。

検索結果がいくつ得られるかは予測できないが、私が見た中では 15 が最大だ。スペースに制約があることを考えると、これは不合理とは言えないが、望みの結果を得るためには、検索ワードの追加が必要かもしれない。画像検索と GIF 検索は、どちらも、NSFW、すなわち、職場にふさわしくないイメージを除くように検索結果にフィルターがかけられているが、通常の検索はそうではない。

これらはすべて素晴らしく、時間の節約になる機能だが、私が Gboard で最も気に入っているのは、これまで私が試した他の iOS 向けキーボードとは違って、基本機能を犠牲にすることなく、こうした追加機能が得られる点だ。とは言え、Gboard はまだ完璧ではない。音声入力ができないことや、か細いフォントは別にしても、時々クラッシュするので、私はシステムキーボードに戻る羽目に陥る。

読者の方は、「プライバシーはどうなっているのだろう? Google は、Gboardのユーザー全員をスパイしているのだろうか?」と、考えておられるのかもしれないが、Gboard は、みなさんがもしかしたら考えているほど悪くはない。ほぼ全ての iOS キーボードと同様に、設定 > 一般 > キーボード > Gboardで、Gboard には「完全なアクセス」を許可しなければならないが、Google へのログインは不要だ。したがって、Gboard が Google アカウントに、何かを関連付けすることはない。App Store の Gboaard のページで、Google は、どんな情報を収集するかについて透明性高く公表している。集める情報は、検索クエリーと匿名の統計データだけで、他には何もない。

過去数年間、私は、あまり Google を頼りにはしてこなかった。私は、検索には DuckDuckGo を使い (しばしば Google に戻ることになるが)、メールにはFastMail、連絡先とカレンダーの同期には、iCloud を使う。とは言うものの、私は Gboard がとても気に入ったので、私は、iPhone で、他のキーボードはすべて使うのをやめた。後で悔やむことになるかもしれないが、多かれ少なかれ、私は Google を信頼しており、Gboard の便利さは、少々のプライバシーと引き換えにする価値がある。

Gboard は、iPad でも利用可能で、分割キーボード機能はないものの、私のiPad Air でとてもよく動いている。しかしながら、伝えられているところによれば、Gboard は、12.9 インチの iPad Pro 上ではひどいものらしいので、注意してほしい。Google の Rajan Patel は、Gboard の iPad バージョンはまだ十分なレベルには達しておらず、改良中であることを Twitter で認めた。目下のところ、Gboard は、アメリカで、英語版のみ利用可能であり、今後、他の国や他の言語でも利用可能になる予定だ。とても不思議なことに、Gboardは、今のところ、iOS だけで利用可能であり、Google の Android では利用できない。

Gboard は、当面、Google のもっともワクワクする製品の一つだ。アクセス可能な iOS の最下層に Google 検索を組み込み、同時に、優れたキーボードを提供している。Gboard は、私が見てきた他のいかなる iOS キーボードよりも優れていて、そうしたサードパーティーのキーボードが約束したことを実現している。サードパーティーのキーボードの場合、たったひとつの優れたアイデアがあっても、それ以外の機能については全然大したことがないので、せっかくの優れたアイデアが邪魔されることになるのが通例なのだが。

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iPad Pro で漫画を描くために Procreate

  文: Michael E. Cohen: mcohen@tidbits.com, @lymond
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

TidBITS お抱えの下手な漫画家として ("下手な漫画家のための iPad ツール(上手な人にも)" 29 November 2012 参照)、プロ品質の描画ツールを私の様に芸術的才能も技術も持ち合わせないが、スケッチや線画を描くのが好きな人に向けて何か提供出来るものを持ち合わせていないか調べてみるよう時折お呼びがかかる。そんなことで、私は最近貯金をはたいて 9.7-inch iPad ProApple Pencil を買い、そしてこの強力な組み合わせを生かした新しいアプリが出ていないか探してみることとなった。見つけたのは、Savage Interactive からの Procreate という見るからに圧倒されそうな名前で出ている高価でない ($5.99) アプリであった。

Procreate は、私の iPad 芸術家武器庫にある Photoshop 難民が望む広範囲な機能を提供しようとするグラフィックスアプリとは違い、画を描くということだけに鋭く焦点を当てている。グラディエントフィル、ワープツール、レイヤースタイル、或いはシェイプパレットといった機能は、疎らな、そして邪魔をしてくれるな的な Procreate インターフェースには見つからない。そうではなく、これは粗い鉛筆スケッチから陰影豊かな絵まで何でも作成出来る描画ツールが詰まったジェスチャーベースのアプリである。Procreate のツールは画面上部にある細いツールバーに収められており、そしてプラシの太さと不透明度を決める一連のスライダーが画面の横に配置されている (どちら側かは選択出来る)。しかし、この最小限度のユーザーインターフェースでも場所を取り過ぎるというのであれば、それらは画面を4本指でタップすれば視界から消え、再度4本指タップをすればよみがえる。

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Procreate はブラシが全てである。ブラシで絵を描き、消すのもブラシ、色を塗るのも、ぼかすのもブラシである。このアプリに付いてくるブラシの範囲は広範で深く、そしてカスタマイズ化制御の数も、素人絵描きは言うに及ばず、プロの芸術家でも満足の行くものである。Procreate が提供するブラシはカスタマイズするための設定を個別に持ち、ブラシの筆致、形、粗さ、強弱、等々が制御出来る。

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このアプリは 16 セットのブラシを提供し、それぞれのセットには 8 つのブラシが含まれる。これらのセット自体の中に簡単なスケッチツールが含まれ、色々な種類の鉛筆、異なった形と風合いを持つ伝統的なペイントブラシ、発光するきらびやかな飾りを描く蛍光ブラシ、そして波型鉄板やコンクリートブロックの風合いも与えられる工業ブラシの機能までをも実現させる。それでも足りなければ、既存のセットや新しいセットに加えて独自のブラシを作り出すことも出来る。そして、それでも 足りなければ、他の Procreate ユーザーが作ったブラシをインポートすることも出来る;ブラシファイルは簡単にインポート、エクスポート出来る。

しかし、このアプリを使って描くというのはどんな感じなのか? びっくりする程簡単で自然な感じである。ただブラシを選んで描くだけである。Procreate は速くそして応答性が良い - とりわけ iPad Pro と Apple Pencil の組み合わせでは。尤も、私の第一世代 iPad Air で私の指を使って描いた時でも、気になる遅れはなく優雅に動作した。このアプリは (仮想的な) 箱から出したままの Apple Pencil で働くが、更に Adonit Jot, Pencil by 53, Pogo Connect, そして Wacom Intuos Creative Stylus もサポートする - そして、言うまでもないが、あなたの指も。

デフォルトで Procreate は数段階のパームサポートを提供しているので、画面上に手を置いて描いても意図しない印を残すようなことにはならない。更に、これには Apple Pencil 設定があり、このアプリにあなたの指は無視して Pencil を使った時だけ描き、消し、そしてぼかすことが出来るようにも調整出来る。 同様に、指のタッチはジェスチャーや特定のツールだけに限定し、意図しない指のタッチで絵をダメにしてしまうようなことを起こり難くも出来る。

下手くそな漫画家として、私はレイヤーにとても依存する。例を挙げると、写真をモデル或いはトレーシングガイドとして一つのレイヤーに置き、別のレイヤーを使って大まかなスケッチを描き、そして必要があれば、もう一つのレイヤーを使って色付けと影付けをするといった感じである。Procreate には十分なレイヤーが提供されている。レイヤーの数は作成するカンバスの大きさに依存する。9.7-inch iPad Pro ディスプレイのピクセル寸法と同じカンバスサイズの場合は 60 レイヤーとなり、A4 の紙を埋め尽くせるに十分な 2480 x 3508 ピクセル寸法のカンバスの場合は 19 レイヤーとなる。これは私には十分すぎるぐらいである;私の下手な漫画が 6 レイヤーを超えることはまずない。

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描画と同様、Procreate のレイヤーインターフェースはジェスチャー型で、色々な種類の一本指、そして複数本指のタップやスワイプの組み合わせで制御する。例えば:

それだけではない:レイヤーを二本指で右方向へスライドすれば参照レイヤーが作成される。これは他のグラフィックアプリに見られる伝統的なフィルツールに対する Procreate の答えである ColorDrop 機能に役立つ。ColorDrop を使って、絵の上にツールバーから色インジケーターをドラッグして現在色を持っている部分をフィルする。参照レイヤーを使うと、色インジケーターをどのレイヤーに置いても、あたかも参照レイヤーの同じ場所に置いたかのようにそのレイヤーをフィル出来る。

Procreate は現在のレイヤー上で働く色々な補正機能も提供している。不透明度に加えて、Adjustment パレットを使って Gaussian ぼかし、手振れ、遠近ぼかし、鮮明化、そしてノイズを適用出来る。補正を加えるには、欲しいものをタップしそしてカンバスを横切るようドラッグする。更に、色バランスに加えて、色相、彩度、そして明るさも補正出来るし、そしてレイヤーに対する色彩曲線も定義出来るし、そのレイヤー上の特定の色を塗り直すことすら出来る。

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Procreate の色選択は強力である。その色選択インターフェースには、色相環、色スライダー、事前に設定した色でカスタマイズ出来るパレット、そして 10 進法又は 16 進法での RGB 値による色指定が提供されている。

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マスクはどうであろうか? 他のアプリに見られるようマスクレイヤーを提供する代わりに、Procreate で作られた選択肢は何でもマスクとなる。選択をして、ブラシ、にじみ、或いは消去ツールをタップする、それで現在のレイヤーはあなたの選択に対してマスクされる。或いは、一つのレイヤーのコンテンツを選択しそして他のレイヤーに切り替えると、選択した部分は追従し、一つのレイヤーを他のレイヤーに塗られたどんな形に対してもマスクされる。このマスクの表示は目立たなくアニメ化され、描ける所と描けない所を表す薄く描かれた斜めの編み掛けとなっている。

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私のささやかな制作に必要なツールで Procreate に無い唯一のものは、吹き出しのためのテキストツールである。しかし、それも iOS 9 の Split View 機能を使えば大した問題とはならない。この機能を使って、私は Procreate と Pixelmator の両方を同時に画面上に持てる。私はただ Pixelmator 上で吹き出しを作り、そしてそれを Procreate へコピペするだけである - コピーされたテキストは独自のレイヤーに現れるが、タイプフェースやスタイルは保たれたままである、それはテキストの姿をしたペイントとなり、Procreate レイヤー上で他のペイントと同様移動、変形、塗りつぶし、そして変更することが出来る。

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Savage Interactive は Procreate のためのヘルプを内蔵の形ではあまり提供していないが、代わりに無料の Multi-Touch 本を出版している。Procreate Artists' Handbook で iBooks Store からダウンロード出来る。この本はあなたが必要とする殆ど全てのヘルプを提供している - 少なくとも、私が必要とするものは。もし、それでも不十分ならば、同社のサイトでそのコミュニティフォーラムを訪れることが出来、機能や使い方に関するディスカッションだけでなく、有用なチュートリアルも見つけられる。

私の様な芸術家のなりそこないにとっては、今は黄金の時代である。iPad Pro, Apple Pencil, そして Procreate の様なツールを手にすれば、私の様な者でも、プロの漫画家でも恥じる必要のないレベルの作品を成功裏に作れる。Procreate は - 文字通り - 指先に置いておきたいツールである。

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iPhone SE: 古典的筐体に入った現代的 iPhone

  文: Julio Ojeda-Zapata: julio@ojezap.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

昔の私は小さいスマートフォンが好きで、絶対「ファブレット」なんか使わないぞと思っていた。言葉の響きが不快な上に、タブレット風のフォームファクターなんて恐ろしい以外の何物でもない、と当時の私は考えていた。いったい誰が、片手で使えないスマートフォンなんか欲しいと思うだろうか?

でも、二年前に Apple が iPhone 6 Plus をリリースした際に(2014 年 9 月 9 日の記事“Apple、大型画面搭載の iPhone 6 と iPhone 6 Plus を発表”参照)私は気持ちを変えた。この 5.5 インチ iPhone の、見事に美しく、とてつもなく大きいスクリーンで、読書をしたり、ビデオを観たり、写真を編集したりが狭苦しさを感じることなくできることに、私は心惹かれた。

私は自分の 4 インチ iPhone 5s も、そのフォームファクターに合わせて作られたアクセサリーも、すべて処分して、この小型の製品のカテゴリーを過去のテクノロジーの歴史の中へと追いやった。

ところが今や、ちょっと驚くことに、それが戻って来た。

今から二ヵ月前、Apple は iPhone SE を発表した。(2016 年 3 月 21 日の記事“Apple の 3 月イベントが顧客への反応の強化を反映”参照。)この新機種は、外から見れば iPhone 5 や 5s とほとんど同一だ。ただしその中身のコンポーネント、例えば A9 プロセッサなどは、iPhone 6s や 6s の方に近い。つまりこれは、現代の iPhone に古典的な見栄えを与えたものであり、以前の iPhone 5s 用のアクセサリーともすべて互換で、処分してしまったことを私は大いに悔やんだ。

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我ながら驚いたが、私は iPhone SE を気に入った。ジーンズの前ポケットに差し込んでも、これまでのように巨大な iPhone 6s Plus を狭いところに押し込もうと苦労する必要がなくてほっとする。大好きだった iPhone 6s Plus の広々としたスクリーンと引き換えに、大きな重荷が取り除かれた。

小さな iPhone、大きな市場 -- 小さくなった iPhone の感触を気に入っているのは、決して私だけではない。

Apple CEO の Tim Cook は今年になって、iPhone 6 よりも前の機種を購入した iPhone ユーザーの約 60 パーセントはまだ大型スクリーンの機種にアップグレードしていないと述べたことがある。その上、Apple によれば 2015 年だけで 3 千万台の 4 インチ機種の iPhone が売れたとのことで、これはやはり小型版の iPhone に対する需要が持続していることを示すものだろう。

Apple は iPhone SE の売れ行き状況をまだ発表していないが、iPhone 5c よりも良い売れ行きであることは間違いないと思う。あの 2013 年のモデルは、今や「悪びれもせずプラスチック製」と位置付けられ、標準的でないフォームファクターと時代遅れの内部もあって、大失敗だったと見なされている。

今回の iPhone SE で、Apple はどうやら自らの誤りに学んだようだ。小型の iPhone に投資しようとする人たちも、もはや機器の構成・機能・馬力において大きな犠牲を払うよう強制されていない。iPhone SE は決して iPhone 6s や 6s Plus と 100 パーセント同等ではないけれども、かなり近い。レビュー用ユニットの iPhone SE を二ヵ月間近く持ち歩いてみて、自分が大きな妥協をしていると感じたことはほとんどなかった。

熱烈な iPhone 写真家である私も、iPhone 6s Plus で撮影したものと品質の面で見分けのつかない写真を撮影できた。Live Photos、4K 撮影、スローモーション、安定化機能付きタイムラプス撮影、Retina Flash なども、すべて備わっている。その上、小型の iPhone SE の方が、その素晴らしい 12 メガピクセルのセンサーの能力を活かすためにずっと扱い易い筐体だと言える。

面取りをした縁を持つ古典的なデザインは、つや消しとなったこともあって、古典的な印象のデザインで私は大好きだ。側面が平らなのでテーブルの上に立てて置いても安定しているし、大きさも形も小振りなので片手で楽に扱える。

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その上、iPhone SE の価格が安いことも大きな利点だ。16 GB モデルの価格が $399 からとなっており、$649 からの iPhone 6s との違いは明白だ。

いくつかの犠牲は必要 -- Apple には、デバイスの機能セットを調節して、一流どころにはいくらかの良いものを残し、低い階層の者どもには穏やかな顔の下で不当な扱いをしてきた、長い歴史がある。

そう、この iPhone SE も決して例外でない。確かにこれは一流の iPhone だが、いくつか機能が欠けている。問題は、それらの機能がないことであなたがどの程度困るかだ。

私の大きな最終決断 -- 数週間にわたって iPhone SE を使ってみて、そろそろ私の iPhone 6S Plus に戻る日が近づいた。さて、私はうろたえるだろうか? それともホッとするだろうか?

結局のところ、私は両方とも少しずつ感じた。

ジーンズの前のポケットにスマートフォンを入れたまま楽に動けるのは良かったな、と思った。iPhone 6s Plus ではそれが難しいからだ。特に私は小柄なプエルトリコ人で、ジーンズのポケットは女性用のジーンズと変わらない大きさだからなおさらだ。でも、尻ポケットに iPhone 6s Plus を差し込む習慣にすぐに戻ることができた。過去二年間、問題なくやって来られた入れ場所だ。

座った状態のまま iPhone 6s Plus を前ポケットに入れておくのは不可能だが、iPhone SE ではそんな問題はない。けれども私にとってこれは仮定上の話に過ぎない。たいてい、私は腰を下ろすと同時にスマートフォンを取り出すからだ。

それにまた、iPhone SE を片手で持って親指のジェスチャーで使えるのも良かったと少し思った。でも、私は順応性の高い人間なので、大型のスマートフォンを iPad と同じような感覚で使うのも苦にならない。左手で持って、右手の人指し指で突ついて使うのだ。少なくとも私の場合、片手でスマートフォンを使う必要のある状況はめったに発生しない。

テスト期間中に iPhone SE の小さなスクリーンに慣れるのは大して辛くなかったけれども、テストが終わって iPhone 6s Plus の大きなスクリーンに戻るといろいろな意味でホッとさせられた。ディスプレイが広いのは、ありとあらゆる理由でありがたいことだ。

仕事のために iPhone を使うこともある。時にはワイヤレスキーボードとペアリングさせて使う。(2014 年 10 月 25 日の記事“iPhone 6 Plus 用物理的キーボード”参照。)iPad ほど頻繁には使わないが、それでも実際使うことがあって、そういう際には狭苦しいディスプレイが生産性を下げてしまう。

また、写真の仕事をする際にも小さなスクリーンは妨げになる。ファインダーは広ければ広いほど良いし、写真を選り分けたり編集したりする際にはディスプレイの大きさがさらに重要となる。私はデスクトップ Mac でするよりモバイルデバイスで写真の処理作業をすることが多いので、iPhone SE のちっぽけなディスプレイではあまりうまく行かない。

一息ついてリラックスしたい時には、電子ブックを読んだりビデオを鑑賞したりするために大きなスクリーンの方がありがたい。もちろん iPhone SE でも可能ではあるが、あまりにも窮屈で本当の意味では楽しめないと思う。

だから、iPhone SE を買おうと思っている人は、お金を出す前に、いくつかの厳しい質問を問うてみるべきだ。

もしも小さくて軽いスマートフォンを入手することが最重要の点であるなら、いくら機能に欠落があっても iPhone SE を選ぶ方が良いかもしれない。あらゆる点で兄弟機と同じではないが、それでも立派な良い iPhone だから。

でも、仕事のためにせよ楽しみのためにせよ、長時間 iPhone を使って過ごす人は、iPhone SE の小さなスクリーンが窮屈過ぎないかどうか、真剣に考えるべきだろう。この携帯電話機を生産性かエンターテインメントのための拠点と捉えるのならば、目の疲れを避けるためにも、あるいはデジタルな閉所恐怖症に陥らないためにも、大きなスクリーンが必要かもしれない。

私自身は、自分が後者のグループに属すると判断した。さまざまの種類の本格的な活動で苦痛を軽減するために大きなディスプレイの方が好ましいと思った。

でも、ポケットに入る、あるいは片手に収まる、パワフルな iPhone が欲しいという人にはこの iPhone SE の方がぴったりで、人気の選択肢の一つとなることは間違いないと私は思う。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2016 年 5 月 16 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iTunes 12.4 -- Apple が iTunes 12.4 をリリースして、いくつかのデザイン変更によりこれまで酷かったインターフェイスを単純化した。最も目につく変更点は、サイドバーがデフォルトのスクリーン要素として目立つ位置に戻ったことだ。Apple はメディア種類ボタンをポップアップメニューに変え、これを Media Picker と呼んで、どのメディアタイプを表示するかを選べるようにした。また、View Options メニューを廃止して、その代わりに View > View Options を使うようにした。さらに、Back および Forward ボタンが iTunes Store のみでなくすべてのインターフェイスにわたって使えるようにした。詳しくは、Kirk McElhearn が Macworld に書いた記事や、マイナーな変更点をリストした彼の個人ブログを読んで頂きたい。(無料、直接ダウンロードでも Software Update 経由でも 233 MB、10.8.5+)

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Microsoft Office 2016 15.22 -- Microsoft が Office 2016 スイートのバージョン 15.22 をリリースして、PowerPoint のスライド資料集を Save As コマンドを使って PDF として保存する機能に対応させた。今回のリリースでは Outlook をアラビア語およびヘブライ語フル対応(右から左へ書くレイアウトと編集にも対応)とし、PowerPoint スライドショーの中で字幕付きのビデオや複数個のオーディオトラックを持つビデオを再生できるようにし、Outlook で黒丸付きリストや番号付きリストに新たなスタイルを追加している。また、Microsoft Auto Update for Mac のバージョン 3.5 を含めることにより、アップデートのダウンロード後にアプリがクラッシュした問題を修正するとともに Office Insider プログラムの提供する二種類のレベル (Slow と Fast) のアップデートにも対応させている。セキュリティの面では、Office 2016 15.22 と Office 2011 14.6.4 のいずれも Office 書類を通じて遠隔ユーザーがアクセスして任意のコードを実行できてしまう可能性のあったメモリ破壊の脆弱性をパッチしている。(一回限りの購入なら $149.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、10.10+)

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Fantastical 2.2.2 -- Flexibits が Fantastical 2.2.2 をリリースして、予定出席者を追加する際に Google Apps のルームとリソースのサポートを追加し、Exchange の Public Folders のサポートを追加した。このカレンダーアプリは Edit メニューからイベントをリマインダーとして複製するオプションを追加し、イベントの時間が重複している場合の Day および Week 表示のレイアウトを改良し、印刷する際にリマインダーを隠すオプションを追加し、Exchange での“返信不要”イベントの処理を向上させ、Exchange アカウントが OS X 10.10 Yosemite で同期しないことがあった問題を修正し、項目をリストにドラッグしてスケジュール変更できるようにしている。(Flexibits からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、13.3 MB、リリースノート、10.10+)

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Default Folder X 5.0.4 -- St. Clair Software が、Default Folder X 5.0.4 をリリースした。この Open および Save のダイアログを拡張するユーティリティのメンテナンスアップデートで、いくつかの調整とバグ修正を施している。今回のアップデートでは新規フォルダセットを Folder Set メニューから直接作成できるようにし、最近使ったフォルダのサブフォルダのメニューを日付順でなく名前順で並べるオプションを追加し、ツールバーをファイルダイアログの(中央でなく)一番上に揃えることもできるようにし、一つのアプリケーションで一度使ったデフォルトのフォルダセットが他のアプリでも引き続き使われることのないようにし、Magnet および HyperDock との互換性の問題を解消し、いくつかのクラッシュやハングの問題を取り除いている。(新規購入 $34.95、バージョン 4 からのアップグレード $14.95、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、8.7 MB、リリースノート、10.10+)

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Art Text 3.0 -- BeLight Software が Art Text 3.0 をリリースした。このグラフィックデザイン用アプリのメジャーな新バージョンで、テキストを使ったグラフィックス、見出し、ロゴ、アイコン、モックアップ、バッジその他を作成するために使える。今回の最新バージョンでは、3D テキストおよびロゴを作成するための 3D レンダリングエンジンを搭載し、2D のテキストや図形を 3D に変換する機能を追加した。今回のアップデートではまた、70 個以上のデザイン済みテンプレートを内蔵して手早く単語アートやロゴ、ボタンなどを作成できるようにし、750 個以上の手書き図形、絵の具の染み、水彩斑点、スポットなどを 2D アートに利用でき、テクスチャーやその他の効果を追加するためのさまざまのマスクを備え、さらには 140 個以上の 3D 素材もある。Art Text 3.0 はまた、レイヤー内容のプレビューを追加し、テクスチャーのパターンを変えずに 3D 素材の色を変更する Colorize 機能を新装備し、3D 素材の明度を調節するグロー制御機能を追加している。(Mac App Store から購入したものも含め) 従来のどのバージョンの Art Text からでも $29.99 でアップグレードできる。(新規購入 $49.99、アップグレード $29.99、611 MB、リリースノート、10.10+)

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Mac 用 Pages 5.6.2, Numbers 3.6.2, Keynote 6.6.2 -- Apple が Mac 用 iWork アプリ三つにメンテナンスアップデートをリリースした。Pages 5.6.2Numbers 3.6.2Keynote 6.6.2 だ。残念ながら、三つのいずれもリリースノートには以下の一行のみ、意味不明の定型文しか書かれていない:

このアップデートには、安定性の向上および問題の修正が含まれます。

読者の皆さんが何か変更点に気付かれたなら、どうぞコメントに書き込んで頂きたい。(新規購入 Pages $19.99、224 MB、Numbers $19.99、166 MB、Keynote $19.99、465 MB、三つのいずれも 10.10.4+ 必要)

Mac 用 Pages 5.6.2, Numbers 3.6.2, Keynote 6.6.2 へのコメントリンク:

Gemini 2 -- MacPaw が Gemini 2 をリリースした。重複したファイルを見つけるユーティリティの、メジャーな新バージョンだ。Mac 上にあるアプリ、画像、書類、ビデオ、およびオーディオファイルの正確な複製を検出するだけでなく、Gemini 2 では「類似ファイル」つまり 100 パーセント同一でなくても違いが重要でない程度というものを見つけることができる。例えば、少しだけ違った角度から撮った写真とか、同じ楽曲の異なるファイルフォーマットによる録音とかいったものだ。スキャンを終えれば、Gemini 2 が類似したファイルを表示するので、あなたはそれらを比較してから、どちらを残すか決めることができる。

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今回の新リリースでは Smart Selection アルゴリズムを適用して、これがファイル削除のルールを学習し、iTunes と Photos のライブラリで作業し、前回のスキャンのセッションを回復できる(つまり新たにセッションを一から作成する必要がない)ようにしている。通常価格は $19.95 だが、MacPaw は現在 Gemini 2 を (同社の他のソフトウェアタイトル CleanMyMac、CleanMyDrive、Hider、Encrypto も) 2016 年 5 月 18 日まで 50 パーセント割引でセール中だ。過去のライセンスからのアップグレード料金は $9.97 で、2016 年 5 月 18 日までにアップグレードを購入するともう一個ギフトライセンスが無料で付く。(MacPaw からも Mac App Store からも新規購入 $19.95、アップグレード $9.97、34.8 MB、リリースノート、10.10+)

Gemini 2 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2016 年 5 月 16 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、憲法修正第 2 条が暗号化にも適用されるべきか否かを考察し、Steve Jobs が Apple Watch の着想を与えたことを知り、App Store 検索が故障すると何が起こるかを目の当たりにし、Amazon が YouTube に対抗しようとする話を聞く。

暗号化を所持する権利? -- 合衆国憲法修正第 2 条は銃器所持論者がよく引き合いに出す条文だが、はたしてこれを暗号化の権利を支持する憲法上の根拠と見ることができるだろうか? いや、これは思ったほど突飛な解釈ではない。Motherboard の Susan McGregor が説明する通り、米国政府はずっと以前から暗号化を「軍需物資」と見なしている。そのことは、PGP 暗号ソフトウェアの開発者 Philip Zimmermann が 1994 年に Dulles 国際空港で拘束された事件を見れば分かる。でも、もし憲法修正第 2 条がアメリカ人に銃器を所有する権利を保証しているのだとすれば、私たちが暗号化を使う権利も保障していることになるかもしれない。しかしながら、この類いの論法は特大サイズのパンドラの箱を開けることに繋がる。例えば、既決重罪犯は暗号化の使用を禁じられるのか? さらに言えば、プライバシー擁護論者の多くは銃器擁護ロビイストたちと同じ側に見られることを嬉しく思わないかもしれない。

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いかにして Steve Jobs が Apple Watch の着想を与えたか -- Apple による Apple Watch の開発には、あらゆる種類の商業的な、または皮肉な、理由を結び付けることが可能だろう。けれども Apple 重役たちが口にしたことがある理由として、今は亡き CEO の Steve Jobs が、Apple の顧客がテクノロジーを通じてもっと健康になることを願って構想を呈示したのだという。Time の Tim Bajarin によれば、Jobs は 2004 年に膵臓ガンと診断された後、複雑極まりないアメリカの医療システムに不満をつのらせ、健康管理のデータにデジタルな秩序を持ち込むことに心を奪われたのだという。Jobs が直接にこのプロジェクトを知っていたか否かは明確でないが、健康管理を改善したいという彼の望みが Apple に Apple Watch を生み出させたのは事実のようで、それはまず健康管理のためのプラットフォームとして始まった。その後開発が進展するにつれて、同社は HealthKit、ResearchKit、CareKit といった構想を通じて健康管理の分野に実質的な進展を生み始めた。

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App Store 検索の重要性 -- 2016 年 5 月 5 日の午前中、ほんの数時間だけ、Apple の App Store の検索機能が誤った検索結果を返していた。けれどもその影響は膨大なものとなった。アプリ分析会社 Tune の報告によれば、全アプリのうち 65 パーセントがダウンロード数を 10 パーセント以上減らし、15 パーセントのアプリは通常の半分以下のダウンロード数となったという。これらの数字は、App Store のビジネスがどれほど大掛かりなものかを再認識させる。一流のアプリのいくつかは、たった数時間で 2500 名近くの新規顧客を失ったことになるからだ。今回の故障が検索結果にのみ影響し、Top Charts にも Featured リストにも影響しなかったことを考えれば、アプリを見つけるために使う検索機能の重要性が浮き彫りになるというものだろう。もし Apple が App Store での発見可能性をもっと改善していたならば、ユーザーたちもこれほどまでに検索機能に頼る必要がなく、あまり知られていないアプリも発見しやすくなっていたはずなのにと思われる。

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Amazon、YouTube に対抗する -- Amazon が Amazon Video Direct (AVD) を開始した。誰でもビデオを Amazon の Prime Video プラットフォームに提供できるというもので、これで Amazon は YouTube と直接競争することになる。AVD のコンテンツを作った人は、ビデオを貸出し用または販売用に提供でき、Prime Video 購読者専用にすることも、広告付きで無料で提供することもできる。Amazon はこれと合わせて AVD Stars プログラムも始めており、これは毎月 Prime Video の人気 AVD タイトルトップ 100 に百万ドルを山分けするというものだ。既に Amazon は AVD 提携社として Conde Nast Entertainment、Business Insider、The Guardian、HowStuffWorks、Mashable、Mattel、Samuel Goldwyn Films などメジャーどころをいくつか確保している。Amazon Video Direct が Google の YouTube を標的としているのは明らかだが、新たに加わる AVD コンテンツのお陰で Amazon の Prime Video は Apple の iTunes ビデオライブラリよりも魅力あるものとなるかもしれない。

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日本語版最終更新: 2016年 5月 20日 金曜日 , S. HOSOKAWA