TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1324/13-Jun-2016

今日 6 月 13 日は Apple の Worldwide Developer Conference (WWDC) 基調講演があり、OS X、iOS、tvOS、watchOS、それに Swift プログラミング言語それぞれの未来について大きな発表があった。Adam Engst は WWDC 基調講演を要約し、macOS と名称変更されることになった OS X の新機能にも踏み込む。さらに、Josh Centers が iOS 10 の新機能を紹介し、Julio Ojeda-Zapata が tvOS 10 に予定されている変更点を紹介し、Tonya Engst が watchOS 3 の可能性を探る。最後に Michael Cohen が、iOS の上でするアプリ開発に向けた Apple の最初の第一歩、Swift Playgrounds のクールなところを説明する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Default Folder X 5.0.5、Lightroom CC 2015.6 と Lightroom 6.6、iTunes 12.4.1、Audio Hijack 3.3、それに DEVONthink/DEVONnote 2.8.11 だ。

記事:

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WWDC 2016 キーノートを要約する

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Steve Jobs 後の時代になってさえ、Apple のキーノート(基調講演)が期待を裏切ることはまずなかったし、今年のプレゼンテーションも例外でなかった。けれどもこの会社がテクノロジー業界の外の世界と関わりを持とうとする継続的な努力の一環として、CEO の Tim Cook は講演の初めに Orlando で起きた恐ろしい銃撃事件に触れ、これを「無意味で非良心的なテロとヘイトの行為であり、分断と破壊を狙うもの」と呼んだ。それから彼は聴衆に向かって、立って共に黙祷しようと呼びかけた。それは良識ある言葉であり、心動かすものであった。

その後で、Cook はいくつか数字を挙げてみせた。今や Apple プラットフォームのために書いている開発者が 1 千 3 百万人もいる。iOS App Store は今や 2 百万個のアプリを誇り、Apple は開発者たちに 5 百億ドルを支払ったという。製品一覧の反対の端を見ても、今や Apple TV 用のアプリが 6000 個以上あることに Apple は満足している。

キーノート(基調講演)のライブ中継の間、私たちは SlackBITS の #events チャンネル上で 60 人以上の人たちとずっとお喋りしていたが、その 5 百億ドルはいったいどれくらい広く分配されたのやら、という不機嫌そうな意見も出ていた。(話は多少ちぐはぐに聞こえていたかもしれない。何しろ、ビデオを観ながらそれと同時にスクロールして議論を読むというのがどんなものか、試してみて頂きたい。SlackBITS には今や 600 人近くのメンバーがいるので、あなたにもどうぞ参加して頂きたい!

ハードウェアは何も発表されず、キーノートの残りは Apple の四つのオペレーティングシステム、つまり OS X、iOS、watchOS、tvOS の来たるべきアップデートに集中した。いやちょっと待って、私は今 OS X と言っただろうか? その名前はなくなる。次のリリースをもって、Apple はこれを macOS と改名して他の三つの兄弟たちと合わせるようにする。もちろん、誰もがしばらくは名前の変更に慣れない思いをするだろうが、私たちはこの変更に賛成だ。一貫性があるからでもあるし、また私たちは Apple が Lion の時代に "Mac OS X" の名前から "Mac" を外したことが大いに不満だったからでもある。これは Mac のオペレーティングシステムなのだから、名前に Mac が入っているべきだ。macOS は引き続きバージョン番号 (10.12) を持つが、Apple はカリフォルニア関係の名前を使うという最近の慣行も続けるので、macOS 10.12 Sierra が新しいフルネームだ。短縮形を使うのは、名前が十分浸透してからにしたい。

macOS 10.12 Sierra の話については記事macOS 10.12 Sierra、OS X 10.11 El Capitan を引き継ぐ”(2016 年 6 月 13 日) に書いたが、最も注目すべきは Siri 対応が追加されること、Photos が自動認識機能で強化されること、Apple Pay がウェブに進出して Safari で支払いができるようになることだ。また、Mac を Apple のエコシステムの中により深く統合させるため、Apple Watch を身に着けていれば Mac のロックが自動的に外れるように (やっと!) なり、自分のすべての Apple デバイスの間でコピーとペーストができるようになり、Desktop と Documents フォルダの内容に iCloud Drive 経由でどのデバイスからでもアクセスできるようになる。もっとローレベルの機能としては、Mac 上のめったに使わないファイルをクラウドにアップロードして自動的に空き容量を増やす Optimized Storage、すべてのアプリで使えるタブ対応、仕事中もビデオを観ていたい人のための Picture in Picture 対応などがある。

たくさんあるように聞こえた方は、どうぞ落ち着いて座って頂きたい。なぜなら、iOS 10 はさらにもっと多くの変更点を約束するからだ。バージョン番号に合わせて、Apple は 10 個の主要な変更点を誇示してみせた。内容は Josh Centers が記事“iOS 10、新しいロック画面、開かれた Siri、その他を約束”(2016 年 6 月 13 日) で紹介しているが、簡単にまとめると iOS 10 は:

  1. ロック画面の使用体験を劇的に改善する
  2. Siri を開発者に開放する
  3. より良いタイプ入力予測を提供する
  4. Photos を強化する
  5. Maps に大幅な機能追加をする
  6. Music アプリのデザインを刷新する
  7. 再設計された News アプリに有料購読を追加する
  8. ホームオートメーション用の HomeKit 機能を拡大する
  9. 電話に留守番電話のテキスト化を追加する
  10. Messages にさまざまの装飾的な効果を構築する

ある意味、最も魅力的なアップデートは watchOS 3 だろう。Tonya Engst が記事“watchOS 3 が速く、巧みであろう理由”(2016 年 6 月 13 日) で説明したように、大幅に高速化し、多くのコンプリケーションを備えた新たな時計盤面を追加し、メッセージへの応答を単純化する。iOS で馴染みのあるやり方に変更されたことが二点あって、一つは横ボタンで Dock 画面が表示され、ここでよく使うアプリを設定できること、もう一つはスクリーンの下から上へスワイプすれば Control Center が表示されることだ。横ボタンを長押しすれば SOS 画面が開いて緊急通話ができる。Apple は人気ある Timer アプリを改良し、また Activity アプリは活動データの共有を提供するとともに車椅子利用者の活動も認識するようになる。Breathe と呼ばれる新しいアプリは、深呼吸でリラックスすることを教えてくれる。

さて、プラットフォームのアップデートの最後として、tvOS 10 は Siri 対応を強化し、ケーブルテレビや衛星テレビの購読を必要とするアプリにシングルサインオン機能をもたらし、インターフェイスの見栄えが明る過ぎて嫌だと思う人のためにダークモードを追加する。Julio Ojeda-Zapata がこれらの変更点を記事“tvOS 10、強化 Siri、シングルサインオン、iOS Remote アプリを手に”(2016 年 6 月 13 日) で紹介した。新しい iOS 用 Remote アプリを使えば Siri Remote で可能なすべてのことができ、Siri を使ったり、インターフェイスをナビゲートしたり、ゲームコントローラとして使ったりもできる。最後にもう一つ、Apple TV 版を持つ iOS 用アプリを入手すれば、Apple TV 版が自動的にダウンロードされるので Apple TV App Store を検索する手間が要らなくなる。

これらの新しいオペレーティングシステムはそれぞれ、開発者向けプレビュー版が既に入手可能で、正式版は「今秋」に一般向け無料リリースとなる。今秋とは、おそらく 9 月か 10 月のどこかの時点になると思われ、これらのシステムが互いに統合されることを考えれば、四つのオペレーティングシステムのアップデートがたぶん同時にリリースされるのだろう。(Take Control の著者たちよ、キーボードの用意を整えよう!) macOS 10.12 Sierra と iOS 10 はそれぞれ公開ベータ が 7 月に始まるので、試してみる気があるのならどうぞ。

最後に一言、付け加えておきたい。今回のキーノートでは、かつてないほどに多様な講演者たちが壇上に立ったが、その大多数が Apple の白人男性の重役たちと同等またはそれ以上の働きをした。このような多様性の重視は、上映された Apple 開発者を紹介するビデオが世界中の開発者たちを紹介してみせたことでなおさら印象を強くした。それにまた、男女平等と言えば、watchOS 3 では Minnie Mouse の時計盤面が追加される。ほとんどのテクノロジー会社と同じく Apple の従業員も、とりわけエンジニアや重役については、会社の顧客たちほどには多様でないかもしれないが、女性たちやマイノリティーたちを目立つ場所に据えようと会社として努力しているのは素晴らしいことだ。

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macOS 10.12 Sierra、OS X 10.11 El Capitan を引き継ぐ

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今日の WWDC 2016 基調講演の中で、Apple は OS X 10.11 El Capitan の後継となるものを公表した。その最も技術的でない側面こそ、最も多くの人々に影響を与える変更点となる。すなわち、Apple は同社の Mac 用オペレーティングシステムの名前を、従来の OS X から macOS へと改名する。同社の他のオペレーティングシステム、つまり iOS、watchOS、tvOS と一貫性のある名前にするためだ。これは、賢明なことと言えるだろう。10.7 Lion の時代に Apple が名前の冒頭から "Mac" を削除して以来、名前として "OS X" は Mac と何の繋がりもなくなっていたからだ。その上、OS X の "X" は Mac OS 9 の続きという意味合いとともに新しい Unix 基盤をも示唆していたのであったが、今や Apple のオペレーティングシステムのすべてが Unix に基盤を置いている以上、もはや Mac の安定性が今よりずっと低かった時代ほどセールスポイントにはなり得ない。

Apple は従来からのバージョン番号を引き継ぐとともに、オペレーティングシステムバージョンにカリフォルニアの名所の名前を付けるという最近の慣行も続けている。こうして、私たちは今後 18ヵ月間にわたり macOS 10.12 Sierra についての記事を書くこととなる。Sierra という名前で、Apple はもう一度岩場の名前を指し示している。けれども今回は Yosemite 国立公園の中にある El Capitan というたった一つの岩山よりずっとスケールが大きく、カリフォルニア州東部を縦貫する Sierra Nevada 山脈の名前を持ち出している。

Apple のエコシステムを一つに結び付ける -- macOS Sierra での変更点の中で最も目立つのは、Mac がより深く Apple のハードウェアエコシステムの中に統合されることだ。例えば、新しい Auto Unlock 機能では、対応付けをした Apple Watch を身に着けていれば Mac にログインパスワードを入力する必要がなくなる。他にどのような改良が watchOS 3 でなされているかにかかわらず、Auto Unlock 機能のお陰で Apple Watch の売上げにはおのずと拍車がかかるだろう。私は自分のログインパスワードを何度も何度もタイプするのに飽き飽きしているし、入力する回数が減るならもっと強力なパスワードを使いたいものだとも思う。Apple は他の認証機能については触れなかったけれども、ただ Apple Watch を着用しているだけで Apple ID の入力要求があらゆるデバイスですべてなくなるのだとすれば、こんなに素晴らしいことはないではないか? それならお金を払う価値は十分あると思う。

私たちはつい最近、クリップボードについての長い記事を書いた。(2016 年 6 月 11 日の記事“OS X Hidden Treasures: Copy and Paste”参照。)でもこの記事は macOS Sierra が出荷され次第書き直さなければならない。それは、Universal Clipboard のお陰だ。これは、クリップボードという概念をあなたのすべてのデバイスに広げるものだ。Mac で何かのテキストをコピーしたら、iPhone の上でタイプせずにそれをペーストできる! この機能の残念な側面はたった一つ、既にさまざまのサードパーティのアプリがこの機能を提供しているけれども、彼らが Apple の Universal Clipboard と競争して行くのは追加の機能を提供でもしない限り難しい。

Apple は iCloud Drive を興味深い方向に拡張しようとしている。依然として Dropbox、Google Drive、Box といったものに比べれば共同作業の役には立たないけれども、macOS Sierra はあなたの Desktop と Documents フォルダの内容を、iCloud Drive 経由であなたの他のどのデバイスからでも利用できるようにする。おそらく、そのためには追加のストレージ容量のため Apple に料金を払うことになるのだろう。あなたがどうかは知らないが、私のフォルダには 26 GB を超える量のデータが含まれている。米国における iCloud の月額料金が 50 GB で $0.99、200 GB で $2.99、1 TB で $9.99 に過ぎないことを考えれば、その価値はあると言えるかもしれない。

最後にもう一つ、Apple Pay がウェブに進出し、Safari が Apple Pay に対応するので、オンライン購入が簡単にできるようになる。iPhone の Touch ID を使うか、または Apple Watch のサイドボタンをダブルクリックするかしてクレジットカード情報を認証すればよい。Apple Pay を使うことで、もはやあなたのクレジットカード情報がベンダーに知られることは一切なくなり、店員にカード番号を知られてセキュリティ侵害が起こる可能性もなくなる。Chrome や Firefox にも Apple Pay 対応が許されるのかどうか、注目したい。

macOS Sierra か、はたまた macOS Siri か? -- これらの統合機能は多くの人たちにとって魅力的なものとなるだろうが、macOS Sierra の一番の呼び物の追加機能は Siri だ。実演を見た限りでは、どうやらキーを押すか Dock 上のアイコンをクリックするかして Siri を呼び出さなければならないようだ。もちろん、仕事場が相部屋でない人ならば "Hey, Siri" と呼びかけることができるようになって欲しいと思うだろう。

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Siri は、iOS でできることの多くを macOS でも同じようにできる。例えばメッセージを送信したり、ファイルを探し出したり、インターネットを検索したり、といったことだ。ファイルを探す際には、最初の検索で結果の数が多過ぎれば続けてさらに細かな検索もできる。Siri の返す結果は一時的にしか存在しないので、検索結果を Notification Center にピン留めしてあとで参照することもできる。また、Siri の検索結果をドラッグ&ドロップで他のアプリに転送することも、Mac で当然予想される通りに可能だ。

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Apple が例として示した Siri コマンドをいくつか挙げておこう:

El Capitan には現在既に音声口述機能が備わっているので、macOS Sierra にもその機能はあるだろう。Apple がどのような機能拡張を施してくれるのか、今から楽しみだ。

基調講演の iOS 部分で、Apple は Siri を開発者向けに開放すると述べた。その際に macOS における Siri については何も語られなかったが、API が双方のプラットフォーム用に提供されることを期待したい。

写真、そして思い出 -- Apple はかなり多くの時間をかけて Photos の新機能を実演したが、正直言って、ちょっとごちゃごちゃし過ぎだと私は思った。数多くの自動認識機能が Photos に加わったので、写真に写っているのが誰か、写真に写っているものや風景がどこにあるか、といったことがすべて手動で教え込む手間なしに自動認識される。何が写っているかによって写真を検索することもでき、また日付や場所で検索することもできる。

内蔵の People アルバムは、あなたの知り合いの人たちが写っている写真をすべて自動的に一ヵ所にまとめる。これは、進化した顔認識テクノロジーのお陰だ。iPhoto からの復活を果たした Places アルバムは、世界地図の上にすべての写真を表示する。

このテクノロジーを利用して、新バージョンの Photos は Memories を作成する。これは Photos に新たに加わったトップレベルのタブの名前でもあり、ここであなたの最高の写真を集めたスライドショーや共有可能コレクションが自動的に作成され、思い出の再発見ができるという。どの程度うまく働くのかは出荷されてから確かめてみるしかないが、たくさんの写真を手で集めてスライドショーを作るのが相当に時間のかかる仕事であることを考えれば、その価値はあるかもしれない。

他にも Sierra の峰々が -- Apple は他にも macOS Sierra での魅力的に聞こえる変更点を多数約束した。

例えば、小さな MacBook Air のフラッシュストレージにデータを収めようと悪戦苦闘している人たちには、Optimized Storage が役に立つかもしれない。その最も突出した機能は、ほとんど使われない古くなったファイルを自動的に iCloud へ移動させるというものだ。これも、iCloud ストレージ料金をもっと払う理由の一つとなるかもしれないが。また、使用済みのアプリインストーラを削除するように促したり、重複したダウンロード、キャッシュ、ログなどを勝手に消去したりもする。さらには、ゴミ箱に 30 日間以上置かれた項目を自動的に消去するが、これは Windows に大昔からあった機能だ。Apple によれば、空き容量が 20 GB のシステムで実際に試したところ Optimized Storage は新たに 130 GB の空き容量を作り出したという。それでもなお、Optimized Storage にはさまざまの疑問が付いて回る。

macOS Sierra の Messages アプリは、Apple が iOS 10 の Messages アプリに加えようとしている機能のすべてを受ける訳ではないけれども、すべてを表示することはできる。同じように、iOS 10 の Music アプリにおけるデザイン変更の一部は iTunes にも実現されるが、それで iTunes が再び使い物になるのかどうかはまだ分からない。

かなり以前に、Apple は Finder にタブ対応を追加した。Safari をはじめ、この地上のありとあらゆるウェブブラウザが持つタブ機能に見倣ったのだった。macOS Sierra では、現時点で独自のウィンドウの中に書類を開くことのできるすべてのアプリが、それぞれの書類をタブに収めることができるようになる。Adobe の InDesign や Photoshop のようなアプリが既にしているようなやり方で、と考えればよいだろう。

最後にもう一つ、何らかのビデオを常時バックグラウンドで動かしておきたい人たちのために、macOS Sierra は iPad 上の iOS 9 に見習って Picture in Picture 機能を追加した。Safari または iTunes からビデオをリサイズ可能なウィンドウの中にフロートさせて切り取って、スクリーンのどのコーナーにでも置いておくことができる。あなたが仕事を済ませるふりをしている間ずっと、ビデオはそこで動き続ける。

互換性と入手方法 -- ハードウェア互換性に関して言えば、macOS Sierra は late 2009 かそれ以降にリリースされた MacBook および iMac モデルと、2010 年かそれ以降にリリースされた MacBook Air、MacBook Pro、Mac mini、Mac Pro の各モデルで走る。これは、10.8 Mountain Lion、10.9 Mavericks、10.10 Yosemite、10.11 El Capitan における互換性チャートが対応するマシンを 2007 年にまで遡って記載していたのとは大きな違いだ。

古くなった Mac がこんな風に打ち捨てられて行くのはフラストレーションの種かもしれないが、それでもまだ 6 年か 7 年の後方互換性が保たれているし、ハードウェアが少しでも新しくて一貫性のあるものとなれば、あれやこれやの細かな問題点もおそらく消えて行くことだろう。

macOS Sierra は、開発者向けには既に入手可能となっており、早く体験してみたいと思う人たちのために来月には Apple が 公開ベータプログラムを開始するはずだ。公式リリースは「今秋」の予定とされているが、過去の例に倣えばおそらく 9 月か 10 月あたりだろう。最近のリリースのすべてと同様に、無料で提供されることになる。

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iOS 10、新しいロック画面、開かれた Siri、その他を約束

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が iOS 10 を発表した。出荷は今秋だ。7 月に公開ベータが始まり、今すぐベータ版へのサインアップができる。そうは言っても、毎日使うデバイスの上にベータ版のソフトウェアをインストールすることはお勧めできない。

iOS 10 は多くの歓迎すべき改良をもたらす。新しいロック画面、サードパーティによる Siri 統合、新たなデザインとなった Music アプリと News アプリ、興味深い Messages の新機能もある。

新しいロック画面 -- おそらく iOS 10 の見た目に最も際立った変更点は、新しいロック画面だろう。通知の見栄えが新しくなっている。背景から際立たせるためだろうか、通知が明るいグレイの吹出しの中に現われるようになった。

機能的にもっと魅力的なのは、Apple Watch と同じように、iPhone を持ち上げれば目覚めるようにできることだ。この変更により、Touch ID センサーの反応が早過ぎて通知を読む前に iPhone のロックが外れてしまうという問題も解決される。

iOS 10 のロック画面では、ウィジェットやカメラへのアクセスも今より楽になる。左側からスワイプすればウィジェットが並んだ Dashboard 風の画面にアクセスでき、右側からスワイプすればカメラにアクセスできる。

Control Center も、デザインが一新された。見栄えが新しくなるとともに、右へスワイプすれば大きな音楽コントロールやアルバムアートが出る。残念ながら、ユーザーがカスタマイズすることはまだできないようだ。

3D Touch が iOS 10 で便利になる。通知を押し込めば iPhone のロックを外さずにアプリのデータが表示される。例えば、iMessage の通知を押し込んでその会話を見ることができる。また、3D Touch ですべての通知をクリアすることもできる。

Home 画面にも同様に、3D Touch の改良が施される。例えば、Weather アプリの 3D Touch で天気予報が見られる。

Siri の改良 -- iOS ユーザーたちは長年、Siri を使ってサードパーティのアプリをコントロールしたいと願ってきた。iOS 10 で、その願いがようやく叶う。Apple が Siri を開発者たちに開放したので、いずれ Siri 対応が広く行き渡るだろう。

例えば Siri を使って、Uber や Lyft の車を呼び出したり、Slack や WeChat でメッセージを送信したり、Pinterest 上で写真を検索したり、Skype で通話をしたり、Square Cash で送金したり、といったことができる。これらは単に iOS 10 のスタート時点での実現が期待できる Siri 統合の一部に過ぎないし、他にも多くのものが準備中であることは間違いない。

思う存分絵文字を -- Facebook、Google、Snapchat その他からヒントを得て、iOS 10 ではキーボードと Messages アプリがこれまでよりずっと表現力豊かなものとなる。

Apple は Messages を iOS の「最もよく使われるアプリ」と呼び、このアプリはその評価に相応した注目を得ている。単なる絵文字をはるかに凌駕して、手書きのノート、メッセージ吹出しのカスタマイズ、コンテクスト対応のアニメーション、Slack 風の反応やリンクプレビュー、それから "invisible ink" でメッセージを飾る機能が組み込まれる。この最後の機能を施したメッセージは受け取った時点では不可視で、受け取った人がそれをスワイプして初めて見えるようになる。また、短いビデオを撮影することもでき、そのビデオの上に書き込みもできる。

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Messages もサードパーティの開発者たちに開放され、Messages で共有される写真にステッカーを貼ったりするような機能を開発者が追加できるようになる。その通り、あなたの「テキスト」メッセージを飾り立てるアプリが何千も林立する事態を覚悟すべきだろう。

このような追加の表現力は Messages 以外でも使える。iOS 10 の QuickType キーボードはあなたがタイプしている最中に絵文字を予測して示し、さらには単語をタップしてその単語を適切な絵文字で置き換えることさえできる。(私たちとしては逆に絵文字を単語に翻訳する機能が欲しいと思う。絵文字だらけのメッセージって、どういう意味かさっぱり分からないこともあるからだ。)

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これらの QuickType の変更点は、単なるおふざけではない。Apple は Siri の AI を組み込むことで、より賢い予測入力を提供しようとしているのだ。例えば、あなたが "John's number is..." とタイプし始めれば、QuickType バーにその人に関係した電話番号が候補として並び、そこから選んで入力できる。また、Apple は複数の言語をキーボードを切り替えずにタイプできるようになると言っている。実際にどんな風に動作するのか、早く見てみたい。

Music の News -- iOS 10 の Music アプリと News アプリ双方で、Apple は大きな太字のテキストと大きな画像を使った新しいデザイン言語を実験しているように見える。いずれも、最近の iOS リリースで極細の文字に苦闘してきた多くのユーザーたちにとって嬉しいニュースだろう。

iOS 10 の Music アプリは一からデザインし直されて明瞭でシンプルなものとなり、新しい Search タブが見つけ易さを高める。iOS 10 の Apple Music は曲の歌詞を表示することもできる。Apple Music Connect は iOS 10 で消えてしまったようで、失敗に終わった Apple のソーシャルメディア実験の生まれ変わりとして、その従兄弟たる Ping と合流する。奇妙なことだが、Apple はグループでの共同作業という概念を理解できないのと全く同じく、ソーシャルメディアを分かっていない。Apple にとって、個人がすべてなのだろう。

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デザインの刷新以外では、News アプリが新聞や雑誌の有料購読に対応するのも大きなニュースだ。ただし、それらのコンテンツの出版者がどのように課金できるのかについて Apple は詳しいことを何も明かさなかった。

Photos -- Photos アプリには、iOS 10 で数多くの改善が加わる。とりわけ、iCloud Photo Library のブラウズに関する新機能が多い。現状では、膨大な数の写真が iCloud Photo Library に集まって中身を選り分けることすら不可能になりがちだが、iOS 10 で Apple はその状況を変えたいと意図している。

まず第一に、iOS 用 Photos アプリには、昔から iPhoto を使ってきた人にお馴染みの機能が二つ追加される。写真に埋め込まれた GPS 情報に基づいてすべての写真を地図上で一覧できるオプションと、顔認識を通じて写真を自動的に並べ替える機能だ。

けれども Apple は単なる顔認識よりもさらに一歩先を行く。iOS 10 の Photos アプリは馬、湖水、山などさまざまの物体も認識できるようになり、写真一枚あたり 110 億回の計算をして特徴を識別し、分類に役立てる。

そして Photos はそれらの情報をもとに、あなたの写真を自動的に、Apple が Memories と呼ぶものにカテゴリー分けする。日付、撮影地、写っている人々や物体に基づいて自動生成のアルバムが作られる。理論的には、祝日や休暇、その他のイベントごとに、それぞれの写真を集めた Memories のアルバムが Photos によって自動的に生成されるはずだ。

また、TimeHop アプリからアイデアを得て、iOS 10 の Photos は Memories をあなたが再訪できるようにリマインダーを出してくれる。例えば、一年前に休暇旅行を楽しんだのであれば、その写真を見てみたらとあなたに促してくれるかもしれない。

Memories はビデオも組み入れており、再生時間の長さを調節したり、サウンドトラックを追加したりといったことも自動的にする。いくつかのシンプルなコントロールを使ってビデオの「雰囲気」や再生時間の長さを調節できる。

これらの機能は Mac 上の macOS Sierra にも登場するはずだし、Apple TV 上ではアップデートされた tvOS 10 で Memories を観ることもできる。

Maps -- Maps の先回りする新機能として、スクリーンの下からスワイプすればコンテクスト対応のお薦め目的地が出るようになる。例えば、面会予約の時刻が近づけば Maps がその場所への道順を示してくれる。また、例えばレストランなど、特定の種類の場所をブラウズして探すこともできる。

Maps の道案内表示も改良され、ズームレベルを自動的に調整するとともに、手動でズームアウトしてこの先の渋滞状況を見たりすることも可能となる。

おそらく最も重要な点は、Apple が Maps も開発者たちに開放して、このアプリにある種の位置情報のハブのような役割を与えることだろう。例えば、Maps アプリの中にいながらにして OpenTable でレストランの予約をしたり、Uber で車を呼び出したりもできるようになるだろう。

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その他 -- Phone アプリも開発者による拡張ができるようになるので、ようやく Skype や Vonage などサードパーティの VoIP アプリと Phone アプリとの統合が可能となる。また、迷惑メールフィルターを利用して迷惑な勧誘電話と思われるものを識別できる! この機能がうまく働いてくれるよう願いたい。私たちは皆、迷惑電話にうんざりしているからだ。

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HomeKit も拡張され、新たに Home というアプリも加わる。このアプリで、あなたのすべての HomeKit 対応家電を集中管理できる。大体においてホームオートメーションはまだまだ解決のために問題を探し求めているような段階にあるが、HomeKit こそがごく単純なレベルを超えた革新を促進するために必要となる標準なのかもしれない。

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iPad 上の Safari が独自の分割スクリーンモードを備え、二つのウェブページを同時に見ることができるようになる。ウェブアプリのパワーの強力さと、複数のアプリで同時に作業することの必要を考えれば、非常に重要な機能だ。

一つだけ共同作業向けの新機能として、Apple は新バージョンの Notes アプリで複数のユーザーたちが同じメモで同時に作業できるようになると述べた。リアルタイムの共同作業を提供する場として Notes アプリはちょっと場違いのようにも思えるが、Apple がまずはこれで試しにやってみて、将来はもっと汎用の共同作業機能を開発者たちに提供することを計画しているのだと願いたい。少なくとも、私たちは夢を見たっていいじゃないか?(Apple に言っておきたい: どうか、変更追跡機能をきちんと付けて欲しい!)

全体的に見て、9 月か 10 月になって iOS 10 の正式版が公式に登場すれば、きっと歓迎すべきリリースとなると思う。大きな目玉機能を提供するというのではないが、iOS 10 にはあまりにも多くの小さな改善点が一つに束ねられていて、全部を寄せ集めればはっきりと向上した体験ができるはずだ。私たちが問いたいことは一つ、これらの新機能を毎日の使用に取り込むことがどの程度易しいのかという疑問だ。その点については "iOS 10: A Take Control Crash Course" を執筆しながらしっかりと確かめようと思っている。

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tvOS 10、強化 Siri、シングルサインオン、iOS Remote アプリを手に

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

WWDC 2016 キーノートで ("WWDC 2016 キーノートを要約する" 13 June 2016 参照), Apple は tvOS 10 に対する大幅な機能アップデートを発表した。tvOS 10 は iOS に基づくオペレーティングシステムで第四世代 Apple TV を動かす。鍵となる変更には、Siri の強化、そしてケーブルと衛星契約者に対するサインインの改善である - それから同社は iOS Remote アプリもアップグレードし Apple TV の Siri Remote をより密接に真似るようにしている。

Siri の強化 -- Siri 音声制御アシスタントは Apple TV 聴視者に対して、September 2015 の第四世代 Apple TV のリリースと同時に提供されており、これまで有用ではあるが、出来ることは限られたツールであった。

最新のアップデートは Siri の能力の上に構築されており、650,000 の映画やテレビ番組のライブラリ全体にわたってトピックやテーマで検索するオプションが含まれる。Apple が示した検索の例は、"野球に関する映画を見せて"、"自動車に関するドキュメンタリを探して" そして "'80 年代の高校コメディを探して" であった。このキーノートで最後の検索に対する答えは、当然のことながら、"Ferris Bueller's Day Off" であった。

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Siri 音声検索は YouTube も検索するので、かわいい犬のビデオ見つけるのも - キーノートのデモの様に - Steph Curry の 3 点シュートを探すのも容易になる。

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もう一つの Siri 機能は、これまでも存在はしていたが公になったのは今で、ユーザーをライブのビデオへこの機能をサポートするアプリの中で直接誘う。ライブビデオへの直接アクセスはスポーツファンにはたまらないであろう。何故ならば、"CBS News を見せて" 或いは "ESPN 2 を見る" と言うだけで、これらのアプリでやっている生のゲームが何であれ表示されるからである。この機能を提供するチャネルには Disney, CBS, ESPN, そして FX が含まれる。

この Siri アップデートはまた Apple TV の HomeKit 互換性の上にも構築されており、これには今や住宅における HomeKit 対応のアクセサリに対する直接の制御も含まれる。例えば、ユーザーは Siri に明かりをつけたり、室温を変えたりするよう命じることができる。Apple TV をハックして "すみません、Dave、それは出来ません" と言わせた最初の開発者にボーナス点をあげよう。

シングルサインオン -- アプリやゲームの存在はあるが、Apple TV を持つ一番の理由はビデオストリーミングであろう。Apple は現世代の Apple TV を立ち上げた時、ビデオチャネルは 80 であったが、今やそれは 1300 に達すると言った。

ビデオストリーミングにはしばしば ABC, ESPN, そして HBO と言った大手の放送やケーブルネットワークにアクセスすることを意味するが、それぞれにあなたのケーブルや衛星契約の認証を使って Apple TV 上でサインインするのは結構時間が掛かる面倒な手続きである。

Apple はこの問題をシングルサインオン機能で解決したと言った。これはユーザーに即座のアクセスを与える。その前提となるのは、これらのビデオソースを持つテレビサービスに対して契約パッケージの一部として既に支払い済みであることである。また、そのコンテンツプロバイダーが彼らの tvOS アプリの中でこの機能をサポートすることも必要である。

シングルサインオンの過程の中では、この機能をサポートするビデオストリーミングアプリのリストが提示され、そしてその一部或いは全部をダウンロードするオプションが与えられる。

コンテンツプロバイダーがその Apple TV アプリでシングルサインオンをサポートすれば、正当なケーブル又は衛星契約を持つユーザーはまたそのビデオソースに対して iOS 機器上でも同様のシングルサインオン手続きでアクセス出来るようになる。

新しい iOS Remote アプリ -- Apple TV ユーザーで同梱の Siri Remote は避けて Apple の iOS 用 Remote アプリの方を好む人は、このアプリにも相応の改善がなされ Siri Remote により近く似た様なものになることを知って嬉しく思うであろう。

この Remote アプリは、iPhone の組み込みジャイロのお陰でゲームコントローラーとしても紐付け出来るようになり、そしてまた iPhone 画面上のタッチパッド部分が Siri Remote のタッチパッドに相応するようにもなる。このアプリはまた Siri を使って Apple TV の音声コマンドにもアクセス出来、そして再生制御のついた新しい Now Playing 画面を表示出来る。

その他の tvOS アップデート -- Apple はまたより小さい tvOS 変更も披露した。次のものが含まれる:

tvOS 10 は開発者に対して直ちに入手可で、一般向けには "この秋" 無料でリリースされる。恐らく、iOS 10, macOS Sierra, そして watchOS 3 と同時であろう。Mac や iOS アップデートと違い、公開ベータは無い。

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watchOS 3 が速く、巧みであろう理由

  文: Tonya Engst: [email protected], @tonyaengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

何故スマートウォッチなどで頭を悩ます? それは、天気を調べられるし、地図も見られ、母にメッセージを送れ、そして電話にも出られるからである。これら全ては裸の腕からでは出来ない。一方 Apple Watch はこれらの事全てが出来る - そして出来ることはもっともっとある - しかし、控えめに言っても、それは遅い。アプリは起動に時間がかかり過ぎ、そしてタイマーを設定したり、或いは友人にメッセージを送るためにタップし回るのも結構時間がかかる。これらの動作はあまりに非効率で、多くの Apple Watch ユーザーは Siri を使うのが上手くなったが、Siri でさえ何時も反応が良いわけではない。

我々の様に世界を自分の腕から制御したい人々にとって、良い知らせは、発表になったばかりの watchOS 3 での Apple の大きな目標は性能の改善であることである。watchOS 3 は現在入手可の全ての Apple Watch モデル上で働くので、全てのユーザーが今年後半に予定されている無料アップグレードを楽しみに待てる。

watchOS 3 はお好みのアプリをメモリに保持し、そしてそのデータを最新に保つことで、より高速となる。もし全てが Apple の VP of Technology Kevin Lynch が Apple WWDC キーノートでの彼の出番で話した様に行けば、体感速度としてはアプリはすぐに立ち上がり - そして、天気や地図上の居場所の様なデータも直ちに表示される様になるはずである。これらの改善は、Apple アプリ及びサードパーティアプリの両方で働く。

Apple Watch ユーザーに対するもう一つの性能強化は Apple の発表されたばかりの macOS 10.12 Sierra が走る Mac に対してログイン出来る能力である ("macOS 10.12 Sierra、OS X 10.11 El Capitan を引き継ぐ" 13 June 2016 参照)。やり方は時計を Mac に近づけるだけである。

より多彩な画面 -- watchOS 3 では、基本画面とその画面上での配列も改善される。Glances 画面は消えるが、代わりに時計盤面上を上にスワイプすることで Control Center 画面が出てくる。これは現在の Settings グランスの外観によく似ている。

Glances 画面は新しい Dock 画面に置き換わり、そしてそこには好みのアプリを入れておける。アクセスは横のボタンを押すことでなされる。Dock にあるアプリは生きているので、watchOS 2 での様にアプリクラウドの中で欲しいものを探し出す面倒無しに、Dock の中から直ぐに使える。アプリ間の切り替えは Dock 画面上でスワイプすることでなされる。風変わりな横のボタンを押すことでアクセス出来る友人と話す画面は何処に行くのかについて Apple は触れなかった;ひょっとすると、無くなるのかも。

もう一つの新しい画面は SOS 画面である。この画面を出すには、横ボタンをしばらくの間押し続ける必要がある。 (我々としては、間違ってこれが起動される事例が多すぎないことを願うのみである!) この SOS 画面はしょっちゅう使うものではないが、その存在は知っておきたいであろうし、設定は iPhone 上の Health アプリの中で行う。一旦それを開けば SOS 画面はカウントダウンを始め (Apple のキーノートからすると 3 秒のカウントダウンである)、そして Apple Watch は 911 (或いは、あなたの居場所、海外も含む、での緊急電話番号) へ電話をかける。この発信は iPhone 上のセルラー接続経由で、或いは "Wi-Fi に接続されている場合は、あなたの時計から直接" なされる。Apple はこの Wi-Fi 通話がどのように働くのかについて詳しい説明はしなかった。一旦発信がなされると、時計はまた iPhone 上の Health アプリにあるあなたの Medical ID 画面で指定されたあなたの緊急連絡先にも通知し、そしてあなたの現在位置の地図を彼らに送る。次に、それは Health アプリの中であなたが記入した Medical ID 情報、アレルギーとかペースメーカーを使っているとかの、を表示する。これは iPhone の Medical ID 画面上に現れる。アクセスは Passcode 画面上の Emergency をタップし次に Medical ID をタップしてなされるのと同じ情報である。

更に watchOS 3 で登場するのは追加の時計盤面 - そしてその盤面に対してコンプリケーションを追加する更なる柔軟性である。例えば、私はアニメ化した花の盤面が好きだが、watchOS 2 では多くのコンプリケーション、私のカレンダーへの入口とか活動リングの様な、を扱えない。今度はこれらのコンプリケーションを付け加え、なおかつ私の陽気な花も同時に保てる。活動リングが好きな人に対しては、全画面がこれらを中心にしたものまであり、その盤面から運動を始めることも出来る。watchOS 3 ではまた、新しい優雅な Numerals 盤面、そして Minnie Mouse 盤面が付け加えられた。Minnie の衣装は色をカスタマイズ出来、その色を Apple のバンドの色と合わせることも出来る。Apple は Mickey もまた衣装オプションを持てるかどうかまでは言及しなかった。更に良いのは、盤面を一つ以上設定したら、スワイプ一発でそれらの間での切り替えが可能になることである。

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アプリの変更 -- 個別のアプリに関して言えば、Apple の Reminders と Find My Friends が watchOS 3 が変わる。更に Apple は幾つかのアプリに対して新機能を加えて強化しようとしている。示された新機能は千差万別だが、Apple は watchOS 3 が導入される時に焦点を当てているのはユーザーが動き回るのをより早くすることだと、とりわけ共通の機能へアクセスする時に、強調していた。例を挙げると、改善された Timer アプリでは 1-, 3-, 5-, そして 10-分タイマー用のボタンを前面真ん中に配置するので、これらのスタートさせるのにいじくりまわしたり、或いはそのために Siri 呼び出したりする必要は無くなる。

Messages アプリにも幾つかの変更が加えられる。メッセージに応答するのに Reply をタップする必要はもう無くなる。代わりに、すぐにスマート応答ボタンをタップするか、或いは口述を始められる。また、Scribble と呼ばれる新機能を使って応答することも可能で、これは指先を使って英語か中国語で文字を手書きさせてくれる - 一文字毎に全画面を使って書く。つまり "Singapore" と書く場合、S を書きそしてその S があった所に今度は I を書くのである。文字は解釈され、表示され、そして通常のテキストとして、画像情報としてではなく、送出される。iOS 10 と同様、Messages はまたユーザーにステッカー、特大絵文字、そして不可視インク効果の様な飾り物の付いた iMessages を送受するのも許す。

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Apple が watchOS 3 のためにアップグレードしたもう一つのアプリは Activity である。Activity は未だ極限のフィットネスアプリのレベルには到達していない (ソーシャルネットワーキングやワークアウト分析も含んだ Strava の様なものには太刀打ち出来ない)。しかしながら、カロリー、ワークアウト、そして起立を記録する病みつきになる運動リングを持つ Activity アプリは、何時もあなたの側におり、毎日リングを満たすべく応援してくれるデジタル友人のように振る舞う。Apple Watch を使っていない人はこれらのリングを理解出来ないと思うかもしれないし、また運動家は概してこれらは馬鹿げていると思っているが、3 人の Apple Watch ユーザーを一つの部屋に入れれば、そのうちの少なくとも 1 人はこれらのリングが如何に人生を変えるものであるかについて話し始めるのを耳にするであろう。(私自身の話をすれば、もし私が青のリングが閉じればその日は腰痛には悩まされない。これまで、私は私の起立の休憩は短かすぎそして回数も少なすぎたことに気づいていなかった!) watchOS 3 では、Activity は追加のソーシャル機能 Activity Sharing でより仲間付き合いしやすくなるであろう。この機能を使えば、あなたのリングと心拍数を友人と共有出来、そして予め用意されたメッセージを使って激励やからかいの言葉の送ることも出来る。

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Apple によると、多くの車椅子利用者が Apple Watch を好んでいるという。その理由は、iPhone は安全にしまっておいてもそれを使えるからである。Activity アプリの機能セットの中で彼らにより良く対応するため、Apple は車椅子モードを加え、そこでは青リングは、起立ではなく車輪を回すことを記録し、そして時計はユーザーに "起立する時間" の代わりに "回す時間" だと伝えてくる。車輪を回す動作をより良く理解するため、Apple は車椅子の使い方を勉強し、そして watchOS 3 に、半円形、アーク、そして単一ループオーバーといった色々な車輪を回す手の動きを watchOS 3 に教えた。Apple はまた Workout アプリに二つの車椅子に関連したセッションを付け加える。

興味をそそられる新しいアプリは Breathe と呼ばれもので、時計ユーザーがフィットネスをするのに呼吸の観点から手助けする。これは、呼吸休憩を取る手助けをし、そしてガイド付きの呼吸エクササイズまで提供する。

勿論、多くのサードパーティフィットネスアプリが Apple Watch 上で走るが、watchOS 3 の登場でこれらのアプリも劇的に改善するはずである。と言うのも、Apple はこれらのアプリがバックグラウンドでネイティブに走るのを許すので、開発者たちはこれを利用出来るからである。watchOS 3 はフィットネスアプリをユーザーのために大幅に便利なものとするであろうし、そして実時間の心拍数データ、及び時計のジャイロと加速度計へのアクセスを提供する。

Apple は、舞台裏で開発者のために幾つかの変更を加えた。Apple サイトでの記述によると、そこには Apple Pay 統合と新しい HomeKit API も含まれるので、これから先、アプリ内 Apple Pay や、明かりを消したりドアをロックしたりするホームオートメーションを提供する時計アプリをより多く見るようになるであろう。

watchOS 3 に注目 -- Apple が watchOS 3 のために計画している変更は、勿論だが、ソフトウェアの中でなので、腕にセルラー接続をもたらしたり GPS チップを付け加えたりする訳ではない。watchOS 3 が約束していることは、Apple Watch を 1.0 製品の様に感じさせている遅さと不便さに対応することであり、私は今年後半により滑らかなそしてより楽しい経験を私の腕で可能になる日を楽しみにしている。 Apple Watch の早期購入者の一人として、より速いそしてより巧みな時計を待ち望めることを嬉しく思う - しかも、新しいハードウェアに投資することなしに。

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iPad の上で、Swift を使って遊ぶ

  文: Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

「コーディング(プログラミング)がすべての学校で必修言語となるべきだと私たちは考えています」と述べつつ、Apple CEO の Tim Cook は今年の WWDC キーノートの中で Apple が今年の後半に iPad 用の Swift Playgrounds アプリを出すと発表した。Swift Playgrounds は、開発者がコードを手早く試してみられるように作られた環境で、多数のレッスン教材が付属している。その上、すべて無料だ。

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二年前の WWDC でデビューして以来、プログラミング言語 Swift はますます人気を得つつある。(2014 年 6 月 12 日の記事“Swift: Apple の新しいプログラミング言語は誰のためか?”参照。)少なからず、これが長年 OS X と iOS の開発で事実上標準のプログラミング言語であった Objective-C に比べてずっと明瞭でありシンプルであることが理由だと言える。最初のバージョンの Swift は、Playgrounds と呼ばれる Xcode 機能を伴ってデビューした。開発者は Playgrounds を使ってサンプルコードを素早く書いて実行でき、言語を学ぶためにも、またコードのプロトタイプとするためにも、非常に便利なものであった。

iPad 用の Swift Playgrounds は、Mac 版と同じ学習用機能とプロトタイプ機能の多くを提供しつつ、手で持って操作できるデバイスの上にそれを実現する。それだけでも既に大きなことだ。iPad の上で一連の Swift コードを組み上げてすぐにテストでき、実行の様子を目で見て確かめられるというのは、開発者にとって非常にありがたい。開発者というものは、自分の家のキーボードから遠く離れた場所にいる時にプログラムのインスピレーションが閃くこともよくあるからだ。それに、よく考えてみて欲しいが、Mac 上で iOS シミュレータを走らせてからテストする必要がないのが、どんなにありがたいことか!

加えて、プログラミング専用にカスタマイズされたオンスクリーンのキーボードがプログラミングに必要なあらゆる特殊文字をメインのキーボード上に提供し、開発用に設計された QuickType 入力補助もあるので、Swift Playgrounds はますます魅力を増す。さらに、コードのスニペットを貯えたライブラリからドラッグするだけでコーディングができ、また内蔵のテンプレートがジャイロスコープや加速度計など iOS デバイス機能を活用するための実用的なコードを提供し、ジェスチャーによる編集(例えば、ドラッグして FOR ループのスコープを広げるなど)もできるので、本当の意味で興味深いものを手にできることになる。

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しかもその上に、Playground のコードを Mac 上の Xcode との間で簡単に読み込んだり書き出したりできるとなれば、これはもう開発者たちにもっともっと iPad を買いたい気持ちを起こさせる勝利の方程式と言う他はない。それにまた、熟練の Objective-C 開発者たちに Swift をかじってみようかという気にさせる、誘いの餌ともなる。

でも、既にコーディングのやり方を知っている開発者たちの話はさて置いて、子供たちはどうだろうか? 結局のところ、playground (遊び場) って子供たちのものじゃないか?

実際、その通りだ。WWDC キーノートの場での Apple による iPad 用 Swift Playgrounds の発表と実演の大部分は、Apple が Swift Playgrounds と共にリリースするレッスン教材を中心に進んだ。初めの方のレッスンはゆっくりとしていて、小学生の初心者プログラマーが取り組むことを念頭にデザインされている。レッスンの中で、Swift コードを書いて実行することによって、パズルを解いたり、アニメーションのキャラクターを動かしたりする。無料の本も付属している。Apple の新しい "Everyone Can Code" 構想の一部として出された、"App Development with Swift" という本だ。これとは別に、教師用のガイド本二冊、"Swift Playgrounds (Teacher Guide)" と "App Development with Swift (Teacher Guide)" も出ている。

Swift Playgrounds とその補助教材を組み合わせれば、多くの学校や、学齢期の子供を持つ家庭に、iPad を購入しようという気持ちを呼び起こす勝利の方程式となるのではなかろうか。忘れないようにしたいが、そのようにして得た資金こそ、Apple がこの種のプロジェクトを実行するための力となるのだ。

iPad 用 Swift Playgrounds によって、Apple は開発者たちに、そしてあらゆるレベルの開発者の卵たちに、同社のアプリのエコシステムを広げようと努めている。それと同じくらいに重要な点として、今や Google の Chrome OS の走る安価な Chromebook が教育市場に食い込み、多くの学校で iPad の地位を奪いつつある動きに対して、Swift Playgrounds とその付属の教材とが十分な反撃の力となれるかもしれない。

Swift Playgrounds は開発者向けには既に入手可能となっており、来月に公開ベータ版が出て、今秋までには App Store から公式に入手できるようになる。ただし、同じ時間枠で約束されている他のオペレーティングシステムのリリースと同時のリリースとはならないかもしれない。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2016 年 6 月 13 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Default Folder X 5.0.5 -- St. Clair Software が Default Folder X 5.0.5をリリースして、Geneious と最近リリースされた Alfred 3 (2016 年 6 月 4 日の記事“Alfred 3.0.1”参照) との互換性を追加した。この Open および Save のダイアログを拡張するユーティリティは、一部のマシンで(特に OS X 10.10 Yosemite が走っている場合)フォルダの切り替えが不安定になったバグを修正し、端末アプリケーションでフォルダを開く際に iTerm2 と Terminal を切り替えられるようにし、バックグラウンドにいるアプリがアクセシビリティのリクエストを適切に処理できない場合に起こったクラッシュを解消している。今回のアップデートではまた、隠れた Finder ウィンドウを無視するデフォルトオプションを追加している。これをオンにするには Terminal で次のコマンドを使えばよい:

defaults write com.stclairsoft.DefaultFolderX finderClickShowHiddenWindows 0

(新規購入 $34.95、バージョン 4 からのアップグレード $14.95、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、8.1 MB、リリースノート、10.10+)

Default Folder X 5.0.5 へのコメントリンク:

Lightroom CC 2015.6 と Lightroom 6.6 -- Adobe が Lightroom CC 2015.6 (Adobe の Creative Cloud Photography プランの一部として入手可能) をリリースして、Creative Cloud 会員のための新機能を一つ追加した。Guided Upright ツールによって、Lightroom CC 2015.6 は画像のひずみを除去したり、水平線を修正したり、建物の台形効果を減らしたり除去したり(Lightroom チームによる YouTube ビデオに簡潔なチュートリアルがある)することができる。

Lightroom CC 2015.6 と独立動作の Lightroom 6.6 は双方とも、Merge to Panorama と HDR が Smart Previews で正しく働くようにし、Lightroom Preferences の mobile セクションに Pending Sync Activity を追加し、また数多くのバグを修正している。60 以上のレンズに対するレンズプロファイルを新たに追加し、Canon PowerShot G7 X Mark II、Leica M-D (Typ 262)、Nikon Coolpix B700、Panasonic DMC-GX85 など新型カメラや、Canon EOS-1D X Mark II、Canon EOS 80D、Canon EOS 1300D/Canon Rebel T6 などテザー撮影用のカメラへの対応も追加している。(月額 $9.99 の購読、または $149 の独立動作アプリ、無料アップデート、リリースノート、Lightroom CC 2015.6 は 10.8+、独立動作の Lightroom 6.6 は 10.9+)

Lightroom CC 2015.6 と Lightroom 6.6 へのコメントリンク:

iTunes 12.4.1 -- Apple が iTunes 12.4.1 をリリースして、VoiceOver が正常に動作しなかった問題に対処した。今回のアップデートではまた、Reset Plays オプションを復活させ、複数の曲をまとめて追加すると Up Next の再生順序が正しくなくなったバグを修正し、曲と曲の間で iTunes がクロスフェードできなくなった問題を解消している。(無料、直接ダウンロードでも Software Update 経由でも 233 MB、10.8.5+)

iTunes 12.4.1 へのコメントリンク:

Audio Hijack 3.3 -- Rogue Amoeba が Audio Hijack 3.3 をリリースして、この人気のオーディオ録音ユーティリティにいくつかの重要な機能拡張を施した。今回のアップデートでは AAC および Apple Lossless フォーマットで録音をするやり方を変更して、録音の最後に終了操作を入れる必要をなくすとともに長時間の録音の最後に処理遅延が入るのを防いだ。またオーディオ処理時間を減らすための Latency スライダーを追加し、Audio Hijack は Slack の Calls 機能からオーディオをキャプチャする操作にフル対応した。(詳しくは Rogue Amoeba のブログ記事を参照。)

今回のリリースではまた、Instant On コンポーネントをバージョン 8.2.6 にアップデートし、MP3 および AAC 録音のデフォルトの音質レベルを上げ、数多くの点で Time Shift ブロックを拡張し、Home ウィンドウの Schedule 領域でタイマー同士のコンフリクトをビジュアルに表示し、AirPlay 出力デバイスの名前の変更をより良く認識できるようにし、いくつかのブロックのプリセット(例えば Recorder ブロックのアルバムアート)でさらなる設定を保存できるようにしている。これらの新機能を取り入れて、Kirk McElhearn は "Take Control of Audio Hijack" の改訂版を出した。(新規購入 $49、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、16 MB、リリースノート、10.9+)

Audio Hijack 3.3 へのコメントリンク:

DEVONthink/DEVONnote 2.8.11 -- DEVONtechnologies が DEVONthink の三つの版 (Personal、Pro、Pro Office) と DEVONnote をバージョン 2.8.11 にアップデートして、view/edit 枠の中で表示できない書類にアイコンを表示するようにし、また OS X 10.11 El Capitan ではフォント詰めを無効にした。DEVONthink の三つの版のいずれも、ビデオのサムネイルを JPEG ファイルとして圧縮してファイルサイズを 75 パーセント減らし、メモリ使用を改善し、OS X の挿入する余分なフルスクリーンメニュー項目を取り除き、自動的に開かれたパネルをデフォルトでアクティベートしないようにしている。Pro 版と Pro Office 版では RSS 1.0 ニュースフィードとの互換性を高めている。

Pro Office 版ではまた、OCR メタデータ入力パネルを書き直して、リサイズ可能にするとともに PDF のすべてのページをブラウズできるようにしている。この中で、テキストを選択してコピーでき、コンテクストメニューを使ってさらなるオプションを使ったりもできる。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office 新規購入 $149.95、 リリースノート。DEVONthink Professional 新規購入 $79.95、リリースノート。DEVONthink Personal 新規購入 $49.95、リリースノート。DEVONnote 新規購入 $24.95、リリースノートTidBITS 会員には DEVONnote もいずれの版の DEVONthink もそれぞれ 25 パーセント割引。10.7.5+)

DEVONthink/DEVONnote 2.8.11 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2016 年 6 月 13 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Microsoft が 262 億ドルの巨費を投じてプロフェッショナル向けネットワーク LinkedIn を買収しようとし、Glenn Fleishman が二要素認証の弱点を明かし、ウェブリンクを Facebook Messenger 経由で共有すべきでない理由が明らかとなり、Apple が App Store に予定する大変革を知らせ、AgileBits が 1Password Teams をスタートさせ、Siri を使うことが恥ずかしい状況を考察する。

Microsoft、262 億ドルで LinkedIn を買収 -- Microsoft が、プロフェッショナル向けネットワーキングサービス LinkedIn を 262 億ドルで買収すると発表した。この買収には、LinkedIn が昨年買収したトレーニング用ウェブサイト Lynda.com も含まれる。Microsoft によれば、4 億人以上のユーザーを誇る LinkedIn は現在の指導陣と独立性を維持するという。ただ、はっきりしていないのは、Microsoft が LinkedIn を Office 365 その他の同社のサービスとどのように結び付けるのか、それとも LinkedIn は大体において別個のサービスのままとなるのかという点だ。

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二要素認証の弱点 -- 二要素認証は、ログインの際にパスワードに加えてあともう一つ何かを要求することで、アカウントをよりセキュアなものにする。しかしながら、最近になってその弱点が明るみに出て、Black Lives Matter の活動家 DeRay Mckesson の Twitter アカウントが、二要素認証を使っていたにもかかわらずアタッカーにアクセスされてしまった。二要素システムの多くは SMS テキストメッセージングで送られるコードに依存するが、残念ながらセルラーキャリア各社はソーシャルエンジニアリングの標的となりやすいものだ。Macworld の記事で、Glenn Fleishman がこの脆弱性について、セルラーアカウントをよりセキュアにして厄介者の手から守る方法について解説する。

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Facebook Messenger 経由でリンクを共有すべきでない理由 -- Medium の記事で、セキュリティ研究者 Inti De Ceukelaire が、あなたがプライベートな Facebook メッセージで共有した URL をどんな開発者でも見ることができてしまうと説明する。たとえあなたが猫の写真へのリンクしかしていなくても、時として URL にはあなたの気付かないうちに重要な情報が含まれていることもある。例えばあなたの名前、位置情報、さらには隠された鍵などもあり得る。De Ceukelaire がこのことを Facebook に通報したところ、同社はこれが「公開の書類に記され、意図された挙動」だと答えた。要するにこれは、Facebook Messenger を使うならば注意深くしよう、とりわけ慎重に扱うべき話題の場合には、ということだ。

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大変革が App Store に来る -- Apple が、数人のジャーナリストたちに、App Store に予定されている大幅な変更について知らせた。Daring Fireball の John Gruber が要約した記事によれば、アプリの審査期間が短くなり、すべてのアプリで購読ベースの価格設定が可能となり、アプリが見つけ易くなるという。アプリを見つけ易くするために、Apple は Featured タブを賢くしてインストール済みのアプリは表示しないようにすること、Categories タブを復活させること、有料の検索広告を入れること、を約束する。これらの変更点の中には議論を呼ぶものもあろうが、Apple が App Store の使用体験を改善するための努力をしているのは嬉しいことだ。購読版でないアプリにデモ版や有料アップグレードが可能となるか否かについては触れられなかったが、新規のアプリ購読に試用期間が提供されることを考えれば、Apple がこれらの変更で十分だと考えていることもあり得るだろう。

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AgileBits、1Password Teams を開始 -- AgileBits が公式に、1Password Teams サービスをスタートさせた。これは 2015 年 11 月以来ベータ版として運用されてきた。これを使えば、プロフェッショナルたちのチームが手軽にパスワードを同期し共有することが可能となる。価格プランは二つあって、ユーザーあたり月額 $3.99 の Standard プランと、ユーザーあたり月額 $11.99 の Pro プランだ。Pro プランではユーザーごとに追加のストレージが加わり、電子メールの優先サポート、無制限の項目履歴、カスタムグループ、その他の追加機能もある。2016 年 7 月 31 日までに限り、Pro アカウントにサインアップすればいつまでも Standard 価格で使え、将来チームに新たなメンバーを加えてもその価格が適用される。

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公共の場で Siri に恥をかかされたか? -- iPhone 4S で Siri がデビューして以来、音声アシスタントが大流行だ。Amazon、Google、Microsoft がそれぞれの製品で参戦している。Apple は Apple Watch と第四世代 Apple TV に Siri を載せたが、macOS 10.12 Sierra になれば Mac にも載せる。調査会社 Creative Strategies が 500 人の消費者を対象に実施した調査によれば、たいていの人は少なくとも Siri を使ってみたことがあり、この Apple のデジタルアシスタントを一度も使ったことがない iPhone ユーザーはたった 2 パーセントに過ぎなかった。

では、実際にどの程度 Siri は使われているのか、どんな状況で使われているのか? この調査によれば、iPhone オーナーの 70 パーセントはほんのたまにしか Siri を使わないという。ちょっと悲しいことだ。けれども判明した統計数字でもっと興味深かったのは、公共の場で Siri に話しかけるのが恥ずかしいと答えた iPhone ユーザーが多かったことで、公共の場でそうしていると答えた iPhone ユーザーはあまりにも少数、たった 3 パーセントだった。この点こそ、リビングルームで使うために作られた Amazon Echo が非常に良い結果を出している理由の一つかもしれない。スマートフォンを使う消費者の 39 パーセントは、音声アシスタントを自宅で使っていると答えた。では、人々が最も多くこのテクノロジーに話しかけている場所はどこなのか? 51 パーセントの人たちが、自動車の中で音声アシスタントを使っていると答えた。ハンズフリーで制御できることが何より重要だからだ。そしてまた、他の人たちに声を聞かれる心配がない場所だからだ。

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日本語版最終更新: 2016年 6月 17日 金曜日 , S. HOSOKAWA