TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1325/20-Jun-2016

親戚や同僚の間でパスワードを共有するには、どんな方法が最良だろうか? 普通の電子メールやテキストメッセージでパスワードを送るのは安全でないので、よりセキュアな方法を提供するウェブアプリの One-Time Secret を Adam Engst がレビューする。Adam はまた、macOS Sierra に関する読者の不満の声に応えて、この秋になるまでは出ないのだしそれまで楽観的に待ってもよいのではないかと意見する。Julio Ojeda-Zapata の今週の寄稿記事は、iPhone 上での仮想現実 (VR) の現状を議論しつつ、仮想現実体験の核心として iPhone と共に使えるアクセサリーやアプリを紹介する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Carbon Copy Cloner 4.1.9、Microsoft Office 2016 15.23 と Office 2011 14.6.5、それに LaunchBar 6.7 だ。

記事:

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パスワードを One-Time Secret を使って安全に共有

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

これまで誰かにパスワードを送る必要が出たことがありませんか? ひょっとすると、あなたのクラブの Web サイトをアップデートするのを新しいボランティアが手助けしてくれるとか、或いは、あなたの組織の Twitter アカウントに対するアクセスを誰かに与えなければならないとか。これをやるのに、必要なログイン情報全てを載せたメールメッセージを送るのは、考え得る限り最悪の方法である。何故ならば、アカウントのユーザー名とパスワードの両方が便利なパッケージに入れられているだけでなく、それは途中で傍受されたり、ロックされていない Mac 上で見られたり、或いはうっかり間違った連絡先に転送されてしまう危険性をはらんでいるからである。安全が図られた送達機構を持つ Messages を使うことですら理想的だとは言い難い。何故ならば、受取人以外の人が後であなたの会話履歴に目を通し、そしてそのアカウント認証情報を見ることは可能だからである。

これよりましな方法は、ユーザー名 (そしてログイン URL) をメールで送り、それからパスワードは別に Messages で送ることだが、これらいずれでも自分の意図を説明しないことが肝要である。その様にすれば、受取人のコンピュータにアクセス出来る他の人がこの二つの情報を関連付けるのはより困難であろう。この方法とて完璧とは言えず、そして必要なログイン情報全てが色々なアクセス出来る場所に存在し続けていることに変わりはない。

私が最近出くわしたもっと良い方法は、One-Time Secret と呼ばれる無料の Web サイトが提供しているものである。概念的には、One-Time Secret は単純である。パスワードの様な秘密コンテンツを入れ、ボタンをクリックすると、そのサイトはあなたの秘密のコンテンツを回収するために一回だけ使えるリンクを返してくる。もしそのリンクが 7 日以内に使われなければ、それは期限切れとなる。リンクは次の様なものである:

https://onetimesecret.com/secret/azlfhb73410b2pl648epu5ajywxx9bs

One-Time Secret を使うには、その Web サイトを訪問し、あなたのパスワード管理帳から必要なパスワードをその "Secret content goes here" フィールドに貼り付け、そして Create A Secret Link ボタンを押す。

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その生成されたリンクをコピーし、それをあなたの受取人に送る。

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どの様なやり方を選ぶかは、そのアカウントの重要度に依存する。多くの場合、ハッカーはあなたを直接標的にはしておらず、当該のアカウントも秘匿データを保護していないという場合であり、ユーザー名とパスワードへのリンクを簡単には関連づけされないよう別々に送れば、恐らく問題はないであろう。もっと安全な方法としては、ユーザー名はメールで、パスワードリンクは Messages 経由で送る (或いは、逆でも)。どんな方法を取ろうが、パスワードの回収とパスワード管理帳への保存が出来たか否かを受取人に連絡して確認することは必要である。

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このフォローアップは鍵である。と言うのも、One-Time Secret パスワードリンクは一度しか使えないので、その受取人がそこへアクセス出来ないのであれば、他の誰かがアクセスした確証だからである。そうなってしまった場合、そのパスワードは直ちに変更すること!

パスワードを転送するこれらのやり方には一つ大きな心配事がある - 万が一誰かがあなたとあなたの受け手の間の全てのトラフィックを傍受していたらどうする? もっと悪い事態で、受け手のコンピュータが感染していて、攻撃者が全てのメールとテキストメッセージングのトラフィックを読めるとしたら? 確かにその可能性は低いが、この可能性に対応するため One-Time Secret でセキュリティを強化することは可能である。それは、あなたのパスワードをもう一つのパスワードで保護するのである。

これをするためには、あなたのパスワードリンクを作成する時、Passphrase フィールドに単語か語句を入力する (それはタイプしやすいものにすること。何故ならば、それをテキストとしては伝えないからである)。それから受信者に電話をする - 電話、Skype, FaceTime Audio, Google Hangouts, Slack, 等々何でも良い - そして、そのパスフレーズを音声として伝える。彼らがこの One-Time Secret リンクを使う時、そのパスフレーズを求められるが、これは全く違う方法で伝えられたものであり、彼らしか知りえないものである。セキュリティを極限まで高めたい場合、このパスフレーズをあなた方二人にしか分からない情報として間接的に伝えるのも一法である ("主任開発者のニックネーム" のように)。ええ、スパイ映画のように。

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パスフレーズを用いるもう一つの利点は、One-Time Secret がそれを秘密コンテンツを暗号化するために使うことである。パスフレーズの使用なしでも One-Time Secret はあなたの秘密コンテンツをそれが回収されるまで預からなければならないが、可能性としてはこのサイトがハックされ得る 7 日間のウィンドウを生成することとなる。当然だが、パスワードだけで、ユーザー名やその他のログイン情報無しでは、このパスワードが正しいアカウントに関連付けられる可能性はほとんどゼロに等しいであろう。しかし、もし心配ならば、あなたのコンテンツを暗号化するパスフレーズを使い、それを直接本人に伝えるべきである。

アカウント無しで使う場合、あなたの秘密は 7 日間で期限切れとなり、最大 25 KB のテキストを含むことが出来る。もし無料のアカウントに申し込むと、この期限切れの時間は 14 日間に延び、そして最大 50 KB 迄のテキストを伝えることが出来る。この最大サイズを考えれば、One-Time Secret をパスワード以外のメッセージにも使えることを意味するが、覚えておくべきは、受け手は常にテキストのコピーを作成出来ることである。アカウントに申し込むもう一つの利点は、One-Time Secret がそのリンクをあなたに代わってメールで送出出来ることである。このメールはあたかもあなたから来たように見える。これは、そのリンクを手動でコピペすることよりも遥かに優れているとは言い難いが、これが有用になる場面もあるであろう。

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もし誰かに秘密を送った後、すぐにしまったと思うような場合は、その確認用画面には Burn It ボタンがある。これはあなたの秘密を削除してしまうので、そのリンクをたどる受け手はその秘密が何であったかを知る由は無い。

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パスワードはリセット出来るが、新しいパスワードなど知りたくないと言うシステム管理者に対して、One-Time Secret は "Or Generate A Random Password" ボタンを提供する。その意図は、パスワードを生成し共有する過程を単一ステップとすることで簡素化することである。

One-Time Secret のコードはオープンソースであり、それをローカルにインストールすることも出来、そして API もクライアントライブラリも持っていることは、システム管理者や開発者にとっても嬉しいのではなかろうか。これはプログラマーでない人にとっては無意味に思えるかもしれないが、現実問題として、インターネットサービスを使うことを心配な人はこれをセキュアサーバー上にホスト出来るし、それに One-Time Secret に不快なバックドアやその他の問題があれば、誰かがもう既に発見している可能性が高い。

(この記事が我々の Web サイトに初めて出た後、私は d-note と呼ばれる競合する Web アプリのことを知らされた。このアプリはより良いセキュリティを有していると言う。こちらもまたオープンソースで、自分のサーバー上にインストールするための指示書も付いている。d-note はシステム管理者のために無作為のパスワードは生成できないが、代わりに QR コードを生成出来、それを受け手に送ることが出来る。受け手は、リンクを追うのではなく、それをスキャンすることで秘密コンテンツを手に出来る。)

最後の余談を一つ。One-Time Secret を使って解決する問題は、技術設定については殆ど知らない相手との、そう度々あるわけではない一度限りのパスワード共有である。パスワードをもっと定常的に共有したいのであれば、1PasswordLastPass と言ったより良いパスワード管理アプリの方が共有をもっと単純にする。但し、全員が同じアプリを使っている必要がある。理想を言えば、1Password や LastPass が One-Time Secret や d-note からのコードを統合して、将来のバージョンでは一時的なパスワード共有も提供して欲しい。

私は One-Time Secret を定常的に使っているとは言えないが、好きにはなった。とりわけ、パスワードを技術に詳しくない友人と共有する時には。何故ならば、それはストロングパスワードの使用と、それらを安全が確保されない状態でやり取りしたり保存したりしない必要性を強調するからである。次にパスワードを共有する必要が出た時には、是非お試しあれ!

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macOS Sierra に関する神話と誤解

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

Apple が WWDC で macOS Sierra に関して行ったアナウンスについて書き、様々なオンライン討論の場でのコメントを見た後で、私はちょっと落ち込み、そして、がっかりした。("macOS 10.12 Sierra、OS X 10.11 El Capitan を引き継ぐ", 2016 年 6 月 13 日参照) macOS Sierra それ自身のせいではなく、多くの人がこの発表に対してどのように反応しているかということのためだ。誰であれ、macOS Sierra について、今、正確に言えることは、Appleが伝えたことだけだ。デベロッパーのプレビュー発表ですらあまりにも時期尚早で、存在するかもしれない問題について批判するのは不当というものだろう。

しかしながら、だからといって、強情な連中が、あの基調講演を「悲惨」と呼んだり、macOS Sierra に加えられた変更について「くだらない」と言ったり、挙句の果てに、アップグレードを強制されたと不平を言うのをやめることはなかった。

いかなる類の変更も落ち着かないと、多くの人が思うことは疑いないが、私は、いくぶんかの冷静さと理解をお勧めしたい。もっと先に進むために、私たちは、将来に対して楽観的でいられるだろうか? 私たち Appleユーザーとしての体験が向上する唯一の道は、Apple と Apple デベロッパーのコミュニティが、ワクワクしながら物事を改善するかどうかだ。全ての改変が肯定的な違いをもたらすわけではないが、まさに進化と同様に、成功の恩恵を受ける前には、多くの改変が試みられなければならない。

このことを心に留めたうえで、よくある 3 つの神話と誤解について述べさせてほしい。

#1: Apple は、私にアップグレードを強制している。 -- これは真実ではない。Apple の黒いヘリコプターが前庭に降りて、精強なアップグレードチームを吐き出し、macOS Sierra をインストールするまで、あなたに銃口を突きつけたりするようなことはない。

アップデートするのに、好きなだけ待つことだってできるのだ。ちょうど先週末に、私は、叔母が、Mac OS X 10.6 Snow Leopard を走らせている 13インチの MacBook Pro から、10.11 El Capitan で動作する Retina ディスプレイ付きの新しい 13 インチ MacBook Pro に引っ越すのを手伝った。叔母は、Snow Leopard を 2009 年あたりからずっと使ってきており、10.7Lion、10.8 Mountain Lion、10.9 Mavericks、そして、10.10 Yosemite をスキップしてきたが、何も悪影響はなかった。叔母は、使っていたウェブブラウザーでオンラインバンキングができなくなったので、El Capitan にアップグレードする心づもりはあったのだが、6, 7 年経って、新しい MacBook Pro を買う価値があると決断したのだ。

アップグレードしなければならないわけではないが、全くアップデートしないと誓うのも馬鹿げていると思う。というわけで、私は、"何故アップグレードすべきか (自らの基準で)" (2015 年 9 月 4 日) を書いた。とは言え、初期の不具合が解決されて、都合が良くなるまで、アップグレードを先延ばししてもよいのは確かだ。

#2: 新機能は役に立たない。(自分が使いたくないという理由で)-- macOS Sierra の新機能リストを見ても、自分がそうした新機能を使うことなど想像できないという理由で、小馬鹿にしてしまいがちだ。

「Mac で Siri? iPhone でもそんなにうまく動いているようには思えないのに。デバイス間でデスクトップや書類フォルダを共有? どうして私がiPad にそんなものを欲しいと思うかね? ユニバーサル・クリップボード?年に 1 回か 2 回、必要になるかもしれないが、たぶん、使い方を覚えることすらないだろう。自動アンロック? Apple Watch は、オモチャにしては値段が高過ぎる。大きな絵文字? 見えないインクメッセージ? Apple のデベロッパーは、いったい何を吸ってるんだ?」

ここで、私たちみんなが覚えておかなければならないことがある。私たちの誰一人として、Apple がターゲットにしているユーザーではないということだ。あなたでもなく、私でもなく、誰でもない。Apple は、ハードウェア、すなわち、iPhone、iPad、Mac、Apple Watch、そして、Apple TV を、できるだけ大勢の人に売りたいと思っているグローバルな会社だ。然り。Appleは、そうした個々のハードウェアの少なくとも一つをあなたに売りたいと強く思っているし、Apple 生態系を全域にわたって支持することを促す機能を創造する。それ以外に何かすることは、(Star Trek の) Spock を引用するなら、非論理的だ。

加えて、Apple は、広範囲に訴えかけるものを探し求めている。例えば、Appleが、絵文字修飾機能をメッセージに搭載したと強調したところで、長年の Mac ユーザーの多くにとっては閉口するばかりかもしれないが、そうした類の機能は、他のメッセージングアプリには既に存在しており、アジアでは、特に若いユーザーの間で大きな存在となっている。そうしたユーザーを惹きつけることは、Apple にとって重要なポイントなのだ。

なので、こうした機能は無用ではない。これらは、あなたにとっては有用でないかもしれないが、中国の十代の女の子にとっては、心をつかんで離さないものなのかもしれない。Apple は、まさに、あなたのお金と同様、この女の子のお金を得ることで幸せになるのだ。そして、Apple が、過去10 年間に 1 兆ドルを超える売上をあげたと公表している以上、この戦略に異議を差し挟むのは難しい。

新しい機能は、Apple が Microsoft や Google と競争するのを助けてもいる。デスクトップ市場のシェアについては、Windows が引き続き、約90% であり、モバイルでは、Android スマートフォンが市場の 80% を支配している。Apple は、世界で最も価値のある会社の一つかもしれないが、もし、乗り換える人たちを惹きつけることができれば、拡大の余地は大いにある。

#3: Apple は、プロを見捨てつつある。 -- この神話は、欲しくもない機能に関する不満について、先に述べたことに関連しているが、それが誤りであると証明するためには、異なる視点が必要だ。プロは、オペレーティング・システムの中で仕事をするわけではない。プロは、アプリの中で仕事をするのであって、アプリの多くは、Apple が供給しているわけではない。Apple は、実際に、Pages、Numbers、Keynote、LogicPro、そして、Final Cut Pro を作っているが、仕事を効率化するためのアプリで、Apple が唯一のサプライヤーであるようなカテゴリーは、私は何一つ思いつくことができない。

あなたのニーズは、明らかに、私のとは異なっている。だが、私は、仕事では、BBEdit、Nisus Write Pro、Adobe InDesign、Google Chrome、Mailplane、Preview、Slack、Trello、そして、Automator を、頼りにしている。そうしたアプリと、そのアプリの周辺で私が構築してきたワークフローがうまく機能し続ける限り、私は、macOS Sierra のあらゆる改変を文字通り無視することができる。

ここが重要な点だ。誰もあなたに macOS Sierra の新しい機能を使うよう強制したりはしない。もし、Siri、自動アンロック、ユニバーサル・クリップボード、そしてデスクトップならびに書類フォルダの同期が、あなたに仕事の効率化をもたらさないのであれば、こうした機能には注意を払わないことだ。私は、Launchpad、Handoff、AirDrop、あるいは NotificationCenter が、自分の仕事で有用だと思ったことはない。なので、私は、こうした機能を使うことはないし、こうした機能が私の邪魔をすることもない。

Apple は、固有のオペレーティング・システムや、使い勝手の向上にもっと注力すべきだと言う人もいる。それについては悪い点は何もないが、もし、あなたが何らかの提案をしたいのであれば、2 つの理由から、その提案を明確なものにしてほしい。第一の理由は、あいまいな批判は無意味だからだ。そして、第二の理由は、進取の気性に富む Mac のデベロッパーは、すでに解決手段を提供している可能性が高いからだ。例えば、KeyboardMaestro、LaunchBar、TextExpander、そして、その他多数に、出番の合図を出してみては? Apple が、仕事効率化アプリのすべてを提供しているわけではないのとまさに同じように、Apple が、思いつく限り全てのインターフェースやワークフローの微調整を提供してくれるものと当てにするべきではない。

より一般的には、オペレーティング・システムの役割は、安定な基盤と一連の枠組みを提供することだ。これらの上で、デベロッパーは、開発が可能となる。デベロッパーが自分たちでは実装できない能力を提供することに、Apple は、オペレーティング・システムの多くの改変の狙いを定めてきた。それが、結果として、より高性能のアプリやアップグレードが、より早く登場することにつながり、回り回って、プロの仕事の効率をより高めることになる。新機能を活用するには、アップデートが必要になるかもしれないが、時は金なりであって、もし、最新のアプリが、あなたの仕事をもっと速くかたづけるのであれば、アップデートは行う価値がある。

前進、そして、高みへ。 -- 私は、すべての改変が良いと装うつもりはない。ましてや、macOS Sierra のすべての改変が、おそらく良い結果になるだろうと言うつもりもない。"macOS 10.12 Sierra、OS X 10.11 ElCapitan を引き継ぐ" で述べたように、多くの疑問が Optimized Storage機能を取り巻いている。これは、めったに使われないデータを iCloud に移動させるのだと思われる。個人的には、私はこれを信用しないだろうし、本当に確実なバックアップ戦略がない限り、これを使うよう誰かに勧めたりしないと思う。その時でも、私は、十分多くの人がそれを徹底的に検証して、何の害もないとわかるまで待ちたいと思う。

健全な警戒は、常に当然のことであるが、結局のところ、こうしたすべての改変が、Apple ユーザーとしての私たちの技術的体験を、実際に前進させるということを理解するのが不可欠だ。そうしたことは、時々、思い出したようにしか起こらないかもしれないが、過去 26 年以上にわたって、仕事をする日のすべてを Mac 上で過ごしてきた者として言わせてもらえるなら、近頃の Mac ハードウェアで、Apple の現行オペレーティング・システムの中のお気に入りのアプリで仕事をしながら、私は、今日ほど効率が高く有能であったことは決してなかった。

私は、与えられたアップグレードが、いずれも、あなたや他の誰かの仕事の効率を高めるとは保証できない。だが、結局は、仕事の効率が上がるメリットは必ずある。Mac が一度にたった一つのアプリしか走らせられなかった時のこと、Mac の画面があまりにも狭いため、スクロールに多くの時間を無駄にした時のこと、機能拡張コンフリクトで、常に再起動が必要だったりした時のこと、ハードディスクドライブを装着するのに、SCSI ターミネーターというおまじないが必要だった時のこと、あるいは ... だった時のことを、あなたは覚えてますか? ご理解していただけるとよいのですが。

私たちは、長い道のりをやってきた。そして、これからどれだけ遠くまで行けるかは、私たち、そして、私たちのツールを提供してくれるデベロッパーの想像力にかかっている。だから、今後数か月間はリリースされることすらないオペレーティング・システムに関するささいな批判には、こだわらないようにしよう。

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iPhone 上の仮想現実は非公式ながらもはや現実のものに

  文: Julio Ojeda-Zapata: julio@ojezap.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

一般的に「仮想現実 (virtual reality, VR)」の概念は単純なものだ。未来的なゴーグルを着用して、シミュレーションされた、しかしながら超現実的な、世界の中を旅するのだ。でも、そのような仮想現実はSF小説や映画の中では不可欠のものとなっているけれども、実際の生活の中で実現することは容易ではなかった。

少なくとも 1990 年代以来、真剣な取り組みがなされてきた。映画館や、ビデオゲームのアーケードにはさまざまの形で VR が登場した。けれどもそうした試みは結局行き詰まった。Kill Screen の記事がそのあたりを解説している。

けれども今や、VR 革命が現実への道を進みつつあるように見える。その潮流の核心にあるのが、iPhone やその他のスマートフォンだ。

想像してみよう。Manhattan 上空を飛ぶヘリコプターから撮影したビデオを、あなたの iPhone を使って観ているところを。ただし、iPhone は手で持っているのではなく、ゴーグル風のマウントの中に iPhone を据え付けて、言わばジャンボサイズの View-Master (その昔の立体写真眼鏡) のようにして観ているところを。

そのビデオ自体が、普通と違っている。片方の目のために一つずつ、二つの微妙に違った映像が映っている。でもそれをあなたの目のすぐ前に iPhone をマウントした状態で観ると、二つの画像が融合して一つの立体的な映像となり、現実世界を模倣することができる。これは 360 度のビデオだ。右や左、上や下に顔を向けたり、ぐるりと回りながら観ることもできる。あなたの顔の向きが変われば、まるであなたがそこにいるかのように、風景もそれにつれて動く。そう、1 World Trade Center の上を飛びながら、あなたは目眩を感じるかもしれない。

要するに、それが仮想現実だ。そして最近になって、コンピュータやスマートフォンの世界の中で、この仮想現実が大流行している。一時流行しても結局立ち消えになってしまった 3D TV のようなテクノロジーとは違い、仮想現実のテクノロジートレンドは確実に根付きつつあるようだ。

ここ二年間くらい、次々と VR ハードウェア製品が出続けている。コンピュータやゲームコントローラで使う高性能の VR ゴーグルから、スマートフォンで使うためのシンプルで安価な器具類まで、種類もさまざまだ。

VR ソフトウェアやコンテンツもまた、爆発的発展を遂げた。超現実的なゲームが PC 用に数多く出ているし、コンソールに接続する VR 機器や、iOS 用や Android 用の VR アプリもたくさんある。YouTube や Facebook などビデオのポータルとなるところも最近になって VR コンテンツを豊富に追加しつつあり、その多くは VR ゴーグルで観るように作られている。

Google、Facebook、Samsung といった競合各社が積極的に VR へと突き進んでいる今は、Apple にとっては微妙な時期と言える。最近 CEO の Tim Cook がアナリストから VR について問われて「いや、私はニッチだとは思わない。これは本当にクールな分野だし、興味深い応用もある」と発言したことを除けば、Apple はこの主題について沈黙を保ってきた。けれども舞台裏では、同社も間違いなく研究開発のリソースに投資して、テクノロジーのライバル各社に遅れまいとしているに違いない。実際に行動に出るのがいつになるかは予測困難だ。

Apple は VR の トレンド仕掛人か? -- このように表面上は何もしていないように見えるにもかかわらず、Apple は既に、ある意味で VR の開拓者だと言える。

長年の Apple ファンならきっと覚えているだろうが、かつては QuickTime VR と呼ばれる QuickTime フォーマットが存在していて、これが初歩的でありながら静止画像を使った一種の仮想現実を提供していた。(1995 年 7 月 17 日の記事“QuickTime VRが現実のものに”参照。)

QuickTime VR のコンテンツを作成する人たちは、専用のカメラ設定を用いて全方向の写真を撮影し、それから Mac 上でそれらを継ぎ合わせて球状または円筒状の環境を作り出した。

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その結果は、ユーザーの観点からは、建物の内装や戸外の風景の仮想的ツアーとなって、コンピュータの画面上であらゆる方向を(左へ右へ、場合によっては上や下も)マウスをスワイプするナビゲーションで見回せるものであった。

Apple はずっと以前に QuickTime VR について語るのを止め、今やこれは死んでしまったように見えるが、そのやり方は他の写真ツールに生き続け、同様の仮想的ツアーを作り出す働きをしている。例えば Google は、アマチュアでもプロでも同じく Street View アプリを駆使して「写真球面」を作成し、それをアップロードして Google Maps 上の 360 度表示として一般公開できるようにしている。

特記すべきこととして、この写真球面テクノロジーはつい先ごろ歌手 Prince が亡くなった際に Twin Cities の二つの場所彼の死を悼むファンが集まった様子を映し出した。

Facebook は最近、同様の 360 Photos 機能を発表した。ユーザーがパノラマ写真 (iPhone の Camera アプリや Google の Street View アプリで撮影したもの) をアップロードすれば、それが 360 度環境に変換されるというものだ。

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iPhone ユーザー用の VR -- Apple ユーザーで VR を試してみたいという人は、iPhone を使って手軽にそれができる。ただしそのやり方は最新鋭の VR テクノロジーには遠く及ばない。

まず第一に、iPhone を顔の前にマウントする手段が必要となる。2014 年に、Google が "Cardboard" を生み出した。これは、厚紙 (cardboard)、発泡スチロール、プラスチックなど安価な材料を使って作るスマートフォン用ホルダーの仕様書だ。

今では、何十種類もの Cardboard が購入できる。それぞれ見栄えもさまざまだが、高価過ぎるものは一つもないし、スマートフォンを仮想現実ビューワーに変えるという点での機能は全く同じだ。

私はほんのいくつかの Cardboard 変種を試してみた。入門レベルで $15 の Google Cardboard は折り畳んだ厚紙を開いて Velcro で固定するタイプのもの、また $30 の Powis ViewR はスマートフォンをクッションで支え、より良いレンズも付いている。

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Cardboard でないものもある。Speck がリリースした Pocket-VR ゴーグルは iPhone 6 または iPhone 6s で使うように作られているが、対応する Speck ケースを持っていることが必要となる。

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さらに、Merge という会社が出している Merge VR は、より柔軟性のあるフォーム材で作られたデザインで、過去二年間に出たどの機種のスマートフォンでも使えるようになっている。

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VR アプリを起動せよ -- VR マウントを購入してその中に iPhone を滑り込ませたら、次は VR アプリを試してみる番だ。そういうアプリはたくさんあって、警告しておくが、中にはガラクタもたくさんある。

VR ベースのゲームの多くは粗雑な作りで、見たところ単に VR なしバージョンの iOS ゲームを宣伝するためだけに存在しているようだ。たとえ、誠実に VR 体験を提供しようと努めているアプリであっても、コンテンツの貧弱さや画質の粗さのせいで残念なデザインになっていることが多い。

私は App Store をくまなく調べて、いくつか素敵な VR アプリを探し出した。主なものを挙げてみよう:

VR のビデオ・ストリーミング -- アプリという限定された世界の外を見れば、普通のビデオと全く同じにストリーミングできる VR ビデオも何千とある。ただ、追加の機能が付いているだけだ。VR ビデオを観ながら、コンピュータ上でマウスを使って、あるいはスマートフォン上で指を使って、ぐるぐる回して見ることによりあらゆる方向が見られる。また、スマートフォン上で VR を観ながら、手に持ったデバイスを傾けることにより 360 度環境の中にいながら視野を変えることができる。

けれども、VR ビデオのストリーミングが本当に素晴らしいのは VR ゴーグルを使って観た場合だ。各種の Cardboard もこの目的に使える。この点では、上で述べた VR アプリの Cardboard 互換コンテンツと何ら変わらない。実際、アプリのコンテンツの多くが、例えばアニメーション短編映画 "Pearl" も、ストリーミングビデオとしても入手できるようになっている。

でも、ストリーミングで利用できる VR ビデオは本当に数限りなくある。その多くが YouTube で見つかる。異論もあろうが、YouTube こそが VR ストリーミングの入手場所として傑出していると私は思う。残念ながら、VR アプリと同様に、VR のガラクタもここにはたくさんある。iPhone を使って 360 度の YouTube 映像を観る場合には、Safari や Chrome で YouTube サイトを開くのではなく、必ず YouTube アプリを使うようにしよう。

手始めに試してみるべきお薦めは、Google 自身が出している 360 degrees Videos チャンネルだ。ここに、たくさんの VR シーケンスがある。ただしここでも画質は本当にさまざまだ。

私は自分が気に入ったものをプレイリストにまとめてみた。次のようなものを集めてある:

もう一つの注目すべき 360 度ビデオの入手源が Facebook だ。ただ、奇妙なことに、現時点ではこのサイトにある VR シーケンスはどれも、スマートフォンを入れたゴーグルとは非互換で、手に持ったスマートフォンを指先でパンしたり傾けて操作したりすることでしか使えない。現状では、Facebook 自身の 360 Photos 映像のみがゴーグルに対応している。

VR コンテンツを作成する -- Apple ユーザーの大多数は VR ビデオを観るだけで満足だろう。けれども、VR コンテンツの作成に飛び込みたい人たちにも嬉しい知らせがある。その種のプロジェクトの費用と複雑度が、最近になって劇的に低下しているのだ。

つい最近になるまで、VR ビデオを作成したいと思えば、複数台の GoPro カメラを特殊なマウントに設置しておいて、それらを同時に動かして撮影する必要があった。そうして GoPro で撮影した映像を、パワフルなコンピュータ上で、特殊なソフトウェアを使って繋ぎ合わせなければならなかった。そのような機器構成には、何万ドルもの費用がかかることもあった。

最高の画質のビデオを作成するためには今でもその種のプロ用機器が必要であるけれども、倹約家のアマチュア用の選択肢も登場し始めている。良い実例の一つが、360fly ブランドのコンシューマ向け VR カメラだ。カメラの一つ一つが小さなボール状で、その中にパノラマレンズが組み込まれていて 360 度撮影ができる。

私は $399.99 の 360fly HD モデルで実験してみた。ビデオの画質はあまり良くないし、提供される編集ツール (Mac 用と iOS 用のアプリが付く) も初歩的なものだ。それでも、このカメラで VR コンテンツを撮影するのに何の苦労も要らず、私は St. Paul のウィンターカーニバルのパレード で、また 近所のブログ作成者カンファレンスで、これを使って撮影した。360fly にはさまざまな種類のマウントが用意されていて、三脚に、スキー用ヘルメットに、自転車のハンドルバーに、さらにはサーフボードにさえ、このカメラを取り付けて使うことができる。

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撮影したビデオは、例えば私の友人が複数台の GoPro カメラの組み合わせでカーニバルのパレードを撮影したような種類のプロフェッショナルな VR ビデオには到底及ばないけれども、気軽に VR コンテンツを作りたい人たちに実現されようとしているものを垣間見せることはできる。現在は既に、$499.99 の 4K バージョン 360fly が出ており、メーカーが提供するソフトウェアも改良されつつある。

現在提供されているシンプルなビデオ編集ツールでは満足できないという人たちには、Final Cut Pro を使ってより高度な VR ビデオをひねり出すことも、ほんの少々練習しさえすれば可能だ。私は一日か二日でコツを掴んだ。

入門レベルの VR カメラを使って Google の Photo Spheres または Facebook の 360 Photos を撮影する方法もある。Ricoh から $349 で出ている Theta S ならば Google や Facebook で使うのに適しているし、またこのデバイスには Mac 用と Windows 用双方のソフトウェアが付属している。360fly カメラでもこのやり方で使えるはずだが、私はまだ試していない。(この記事を書いている時点で、私のレビュー用ユニットの 360fly HD カメラは故障していた。)

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Apple は VR で不利か? -- VR と Apple デバイスを巡ってたくさんのことが起こっているけれども、Apple が最前線にいて欲しいと思う人たちには心配すべきことがある。

Apple がこの話題について大体において沈黙を保っている一方で、Samsung など競合各社は積極的にこの市場に打って出ようとしている。Samsung は同社の VR ゴーグル Gear を Galaxy S7 や Galaxy S7 Edge など互換なハンドセットを購入した人全員に無料で提供しているくらいだ。

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Samsung は $361 の Gear 360 カメラ をもうすぐリリースするが、このデバイスはどうやら Windows PC のみで動作するようだ。

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一方 Google はと言えば、同社の Android プラットフォームにおける VR の未来を Daydream に賭けているようだ。これは最近発表されたばかりの一連のソフトウェア拡張とハードウェア仕様で、VR フレンドリーな新世代 Android 機器のためのものとなる。それらの機器にはスマートフォン、ゴーグル、手持ちコントローラなどが含まれ、Google はそのいくつかを自社で生産しようと計画している。

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デスクトップコンピュータの領域でも状況はほぼ同じで、例えば Oculus RiftHTC Vive など新世代の高性能 VR ゴーグルが、VR 体験を提供するためパワフルな PC への物理的テザリングを必要とする。どうやら、現在最もパワフルな Mac でさえパワフルさが足りないようだ。

2016 年 3 月に、Oculus VR 創設者の Palmer Luckey は Mac を非難する有名な発言をした。Oculus VR ハードウェアを Mac 互換にするつもりはないのかと問われて、彼は「それは Apple 次第だ。もしも彼らが良いコンピュータをリリースすれば、私たちとしてもそれをするだろう」と答えた。

Microsoft と Sony もまた、それぞれ独自のやり方で、VR の分野に進出している。Microsoft は HoloLens ヘッドセットに磨きをかけて、VR と「拡張現実」を組み合わせようとしている。(2015 年 10 月 14 日の記事“Microsoft の新しいハードウェアが Apple に挑戦”参照。)Sony は、PlayStation 4 のゲームコンソールとともに使う VR ヘッドセットやそれに関連する機器を使ってより純粋な VR への取り組みをしようとしている。

Apple よ、君の番だ -- VR の世界におけるこれらの際立った発展を見れば、Apple はどこにいるのか、という質問が自然と浮かぶ。

Apple は、新たな市場にはいつも注意深く参入する。無謀に時流に乗るような会社ではない。たとえ、それをせよというプレッシャーを感じていたとしても。

「ネットブック」という名前で知られた安価なラップトップ機を覚えておられるだろうか? 一時は大流行したし、多くの専門家は Apple がこの種のラップトップ機を提供しないのは愚かだと酷評した。Apple はその助言を無視したが、後になってiPad をリリースしてネットブックを公開の場で追放した。

Apple が VR の発展をしっかりと見守っているのは間違いない。おそらくは、極秘の研究室の中で、試作品のハードウェアやソフトウェアを作り出していることだろう。その昔の MP3 プレイヤーと同じように、同社は好機を待ちつつ、他の各社が最初の一手を繰り出し初期の間違いを犯すところを見守ってから、自分の手の内を見せるのだろう。そう、結局は iPod を出したように。

それに、未来は誰にも分からない。VR が単なる一時的流行に終わり、専門家たちがまたもや間違っていたと分かることだってあり得る。けれども VR が生き続ける兆候は確かにあり、もしもそうなら、Apple はどこかの時点で市場に参入しなければならないだろう。

でも、今のところは、Apple フレンドリーな独立の VR 選択肢がたくさんあるので、テクノロジーファンたちとしても十分に楽しめることだろう。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2016 年 6 月 20 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Carbon Copy Cloner 4.1.9 -- Bombich Software が Carbon Copy Cloner 4.1.8 (CCC) をリリースして、このバックアップユーティリティに数多くの改良を施した。今回の新バージョンでは、元ボリュームが大文字と小文字を区別し行き先ボリュームが区別しない場合に予防措置としてコンフリクトの可能性を探るようになり、Internet Accounts データベースからの SMTP アカウントの読み込み (OS X 10.11 El Capitan のみ) を改善し、CCC のメニューバーアプリケーションメニューに Always Show Progress Window オプションを追加し、Gmail 認証に失敗した場合の説明を改善している。バージョン 4.1.8 のリリース後間もなく、Bombich Software はバージョン 4.1.9 を出して、USB デバイスの行き先が (2 GB でなく) 2 TB より大きい場合に構成の懸念を表示するプロンプトを変更し、バックアップタスクから除外されたシステムファイルに関係したクラッシュ一件を修正した。(新規購入 $39.99、12.4 MB、リリースノート、10.8+)

Carbon Copy Cloner 4.1.9 へのコメントリンク:

Microsoft Office 2016 15.23 と Office 2011 14.6.5 -- Microsoft が、Office 2016 アプリケーションスイートのバージョン 15.23 を出して、重大なセキュリティ脆弱性一件をパッチするとともに、いくつかの修正や改善を加えた。書類、プレゼンテーション、スプレッドシートを OpenDocument フォーマットに書き出すことができるようになり、Word、Excel、PowerPoint のリボンに好きなコマンドを追加できるようになり (Office 365 購読が必要)、また Quick Access Toolbar をカスタマイズできるようになっている。PowerPoint もプレゼンテーションを書き出してディスクに焼いたり電子メールで送信したりウェブにアップロードしたりできるようになった。Outlook アップデートはバージョン 15.22 で始まった CPU 使用量の急増を修正し、AutoCorrect 設定の問題点を解消し、Edit Message 機能を復活させている。

セキュリティの面では、この Office 2016 も、またバージョン 14.6.5 にアップデートされた Office 2011 も、遠隔の攻撃者が Office 書類を通じて任意のコードを実行できていたメモリ破壊の脆弱性を解消している。(一回限りの購入ならば $149.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、10.10+)

Microsoft Office 2016 15.23 と Office 2011 14.6.5 へのコメントリンク:

LaunchBar 6.7 -- Objective Development が LaunchBar 6.7 をリリースして、Emoji と Font Awesome アイコンに対応するとともに、Ulysses テキストエディタ(最近 2016 Apple Design Award を受賞した)にも対応した。このキーボードベースのランチャーはまた、AppleScript で書かれたハンギング・アクションのスクリプトの処理を改善し、Call with FaceTime Audio アクションが誤ってビデオ通話を開いていたバグを修正し、いくつかの Call アクションで電話番号の処理を更新し、Shift-Return が正しく現在のウィンドウの項目を開くようにし、1Password 統合を改良している。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.1 MB、リリースノート、10.9+)

LaunchBar 6.7 へのコメントリンク:


ExtraBITS for 20 June 2016

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、プライバシーを保護しつつデータを収集しようとする Apple の "differential privacy" について検討し、2016 Apple Design Awards の受賞者たちを一覧する。

Differential Privacy とは何か? -- Apple は今年の WWDC 基調講演の中で手短に "differential privacy" について発表したが、それが実際に何をするかについての詳細には触れなかった。暗号研究者の Matthew Green も、はっきりと Apple の意図を知っている訳ではないが、彼は differential privacy の概念に精通しているので、基本的なことを解説した上で、Apple がそれをどのように実装できるかについて説明する。

Spotlight や QuickType などの機能がより便利に使えるようにするために、Apple はあなたが iPhone を使用する際のデータを収集する必要がある。ただしその際、あなたのプライバシーを侵害することは望まない。残念ながら、たとえ Apple がデータを匿名で収集したとしても、あとでそれを解析すればあなたのデータだと割り出されてしまう可能性がある。そこで実際には、一定量の偽のデータを differential privacy がシステムの中に注入することで、多少の正確性は犠牲にしつつ、プライバシーを高めようとする。私たちもまた、これがどのように動作するのか、実際にはどの程度に効果的なのか、知りたいものだと思っている。

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Apple、2016 Apple Design Award 受賞者を発表 -- Apple が 2016 年の Apple Design Awards 受賞者として 10 個のアプリと 2 つの学生プロジェクトを発表した。受賞したのは教育用アプリ Complete Anatomy、ユーザーが良い習慣を持てるように助ける to-do リストアプリ Streaks、フィットネス・トレーニング用アプリで Apple TV でも働く Zova、ビデオ共同作業プラットフォーム Frame.io、マルチプラットフォーム用テキストエディタ Ulysses、iOS および Apple TV 用ランニングゲーム Chameleon Run、パズルゲームの Lara Croft GO、ピンボールへの興味深い取り組み INKS、そして Auxy Music Creation、それから 2011 年にも受賞した DJ アプリ djay Pro だ。学生プロジェクトはいずれもゲームで、パズルベースの Linum と、Swift で書かれた 2D アーケードゲームの Dividr だ。受賞者の皆さん、おめでとう!

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2016 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

日本語版最終更新: 2016年 6月 24日 金曜日 , S. HOSOKAWA