TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1333/15-Aug-2016

Eye-Fi X2 ワイヤレスストレージカードを持っている人に良い知らせがある。同社がサポートを打ち切る 2016 年 9 月 15 日以後も旧型 Eye-Fi カードをセットアップして同期できる新しいユーティリティがリリースされた。今週はアクセシビリティ専門家 Steven Aquino が久しぶりの寄稿記事で、来たるべき macOS、iOS、watchOS、tvOS へのアップデートで Apple のエコシステムに登場する新しいアクセシビリティ機能について概観する。Julio Ojeda-Zapata は、Markdown がメインの Mac および iOS 用執筆アプリ Ulysses をレビューする。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Parallels Desktop 11.2.1、1Password 6.3.2、Storyspace 3.2、それに DEVONthink 2.9.2 だ。

記事:

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Eye-Fi、X2 カード所有者に一時的救済を提供

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Glenn Fleishman がおよそ1ヶ月前に報告した様に、Eye-Fi は 15 September 2016 をもって多くの旧型製品に対するサポートを打ち切る ("Eye-Fi、クラウドに依存するハードウェアの危険を実証" 30 June 2016 参照)。Eye-Fi は、新規に撮られた写真を自動的にクラウドに転送出来る SD カードを作っている。これらのカードのためのソフトウェアはクラウドベースなので、サポートの打ち切りは実質的にカードを使えなくすることにつながると思われた。

幸いにして、Eye-Fi は今やユーザーに無料の X2 Utility の形で短期的な解を提供している。これは新しい Mac アプリで Eye-Fi X2 及びそれ以前のカード用である。X2 Utility は、影響を受けるカードから写真をクラウド接続無しに転送出来、更にこれらのカードを有効化したり、設定したりも出来る。

この X2 Utility サイトは、上にリンクを示しているが、設定 (インストールする前に以前の Eye-Fi Center ソフトウェアをアンインストールすることをお忘れなく) 及びその使い方を示している。しかし Eye-Fi は、これ以上このアプリをサポートも、開発もしない。これの Mac バージョンは今すぐ入手可であるが、Windows バージョンは検討中だという - Eye-Fi が使っている具体的な言い回しは "やる機会があれば" である。

自社製品のユーザーに対する暫定解決策を開発した Eye-Fi に対しては賛辞を述べたいとは思うが、同社は旧型カードに対するサポートを打ち切ることを発表する前に、ユーザーが被る不都合を事前に予測し X2 Utility を作成しているべきであった。

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Apple の生態系にやってくるアクセシビリティの新機能

  文: Steven Aquino: [email protected], @steven_aquino
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

WWDC で、Apple は、4 つのソフトウェア・プラットフォーム、すなわち、macOS、iOS、watchOS、そして、tvOS に対する多くの機能強化について紹介した。(「WWDC 2016 キーノートを要約する」、2016 年 6 月 13 日参照)基調講演では何も言及されなかったが、Apple は、広範囲のニーズに対応するため、アクセシビリティにも新機能を追加している。

以下、アクセシビリティの新機能について、Apple のオペレーティング・システムにまたがって概要を述べる。

macOS 10.12 Sierra -- macOS Sierra の呼び物である機能は、Siri 音声アシスタントだ。これは、全てのユーザーにとって便利であるだけでなく、Mac のユーザー・インターフェースの操作に四苦八苦している人たちでも、Mac を操作できるようになるだろう。そして、Dwell Control、これは、MacOS をヘッド・トラッキング・デバイスに接続するものだが、この機能によって、運動機能に制限があるユーザーは、Mac を操作するもっと多くの方法が得られることになる。

iOS 10 -- iOS 10 について、Apple は、重要な二つのアクセシビリティ機能を追加した。すなわち、Magnifier と Software TTY である。どちらの機能も視覚や聴覚に障害を持つユーザーにとって有用な機能追加となるだろう。iOS 10 は、他にも、新しく強化されたアクセシビリティ機能を多数誇っており、それらの中には、色覚異常の人たちのためのフィルターや、VoiceOver発音エディター、その他諸々が含まれている。

watchOS 3 -- watchOS 3 のアクセシビリティ機能で大きなものは、Activity アプリのスタンド・リマインダーが、車椅子のユーザー向けにカスタマイズできるようになったことだ。そうすることで、車椅子ユーザーは、アラートを受け取って、代わりにロールする (体を揺らす) ことになる。Taptic による時間の通知と、特大のウォッチ・フェース用のコンプリケーションは、視覚障害者にとっても好評だろう。

tvOS 10 -- tvOS 10 の新しいアクセシビリティ機能を使うと、TV を見るのがより簡単に、そして、より眼にやさしくなるはずだ。

当然のことながら、Apple の四つのオペレーティング・システムにおけるアクセシビリティの新機能には多くの重複がある。だが、これは良いことだ。と言うのは、このことによって、複数の Apple デバイスにまたがって、従来よりも整合性の取れた体験が可能になるからだ。

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執筆アプリ Ulysses、パワーとシンプルさを両立

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

テクノロジー寄りのライターとして、私は以前から執筆アプリに入れ込んできた。私の言う執筆アプリとは、今書いているこの記事のような文章を、あるいはブログ記事やその他の文章を、執筆する際に自分自身が使いたいと思うようなソフトウェアという意味だ。

Apple ユーザーのための執筆アプリは非常に多く存在し、そのタイプも多種多様で目眩を起こすほどなので、私としては自分なりに選んだものだけを試してみることにした。私が試した中には複雑なもの(例えば Microsoft Word や、Literature & Latte の Scrivener など)から、最小主義を掲げたもの(例えば BywordiA Writer など)までいろいろある。

それら両極端の間に位置する、中間的な執筆アプリもいくつかある。Apple の PagesGoogle Docs などはそれぞれ独自の意味で機能が豊かだが、極端なまでに複雑な Word ほどの不条理には到達していない。

そしてまた、Ulysses というものもある。これは Mac 用および iOS 用の執筆アプリで、シンプルでありながらしっかりしたパワーも備えるというバランスを目指す。ただしそのために従来の馴染みあるやり方からは多少逸脱する結果となっている。

このアプリを出版しているのは Soulmen と呼ばれるドイツのチームだが、彼らは 2016 年 3 月に Mac 版をアップデートして、その後 WWDC 2016 の中で Apple Design Award を見事に受賞した。それから iPad 版のアップデートを出して iPhone 対応を追加した。双方の Ulysses アプリとも、先週それぞれに小さなアップグレードを受けて、ブログ出版その他少数の追加機能を得た。

この記事では Mac 版を中心に扱うが、iOS 版アプリの特徴についても重要なものは紹介するつもりだ。

これは何であるか... そして、何でないか -- 細かな内容に入る前に、まずは一般的な用語で、Ulysses が何であるのか、そして何ではないのかを、はっきりさせておかなければならない。

Ulysses は、Word や Pages とは似ていない。Word や Pages は、ワードプロセッシングとデスクトップ出版とを混ぜ合わせて、あらゆる種類の画像や印字デザインを駆使した入り組んだレイアウトを組み込む複雑な書類を形作るためのものだ。また、Ulysses は Scrivener とも似ていない。Scrivener は、物語の筋書きや、登場人物のリスト、ストーリーのアークなどに取り組む小説家たちに代表されるような、長文を書く人を対象とした、整理目的の機能を満載している。そしてもちろん、Ulysses には Google Docs にあるような共同作業での編集のための機能もない。

その中核において、Ulysses はプレインテキストに焦点を当てる。その点では、さきほど触れた最小主義のアプリにむしろ似ている。この種のアプリは多くの場合 Markdown を扱うことができる。Markdown はプレインテキストのマークアップ言語で、文章を書き上げてからそれを HTML やその他のフォーマットに変換することを意図したものだ。Ulysses も、Markdown を中心としている。デフォルトで、ユーザーはこのシンタックスを適用することになる。けれども Ulysses は整理目的の機能については他の Markdown エディタよりも野心的で、単純な執筆アプリが省略しているような機能(例えば画像の埋め込みなど)も追加している。

Ulysses のユーザーは必ずしも Markdown に熱中している人である必要はない。この言語がいったいなぜこれほどまでに一部の Apple ユーザーの間で人気を得ているのか、私は未だに理解できていないが、それでも私は Ulysses の良さが分かる。(この記事も Ulysses で書いた。)私は最小主義が好きだが、それと同時に私には細かいところまで整理が行き届くようにコントロールしたがる性質もある。Ulysses は、私のこの両面ともを素敵に満足させてくれる。

インターフェイス概観 -- 過度なまでに最小主義の人気の Markdown アプリ Byword をかつて使っていた私にとって、Ulysses の第一印象はこいつは少々手強いぞというものであった。けれどもしばらく使っているうちに、より複雑なそのインターフェイスデザインも、意外と楽に把握できるようになる。

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基本的に三つのカラムからなり、右側のカラムで文章を書く。左側のカラムは整理のためのサイドバーすなわち「ライブラリ」として使い、右側のカラムは書類すなわち「シート」のリストだ。シートはグループに分けて整理され、このグループが左側のライブラリに現われる。例えば、今書いているこのストーリーのシートは TidBITS グループに属する。グループの中にサブグループを含める機能もあり、期待通りのネスト挙動をする。

概念的には、グループがフォルダにあたり、シートがファイルにあたるのだが、Ulysses が他のプレインテキストエディタと違うのはそのコンテンツをアプリ外で容易に見つけることができない点だ。このアプリはたった一つだけのライブラリを持ち、そのコンテンツはすべてアプリ内部にある。この点は Apple の Notes アプリや Photos アプリと似ている。

ただしこのルールには一つ例外がある。Ulysses は「外部フォルダ」にも対応するのだ。つまり、このアプリを Mac の一つのフォルダに振り向けて、そのフォルダ内部にあるテキストファイルにこのアプリがアクセスしそれを編集するようにできる。けれども、このオプションには難点がある。Ulysses の機能のいくつか(例えば画像の埋め込み)が、この外部からロードされたファイルには適用できないのだ。

さあ書いてみよう -- Ulysses で文章を書くのは単純明快だ。ここでも、Markdown に精通している必要などない。フォーマッティングは大体において自動化されているからだ。単語を選択して、Command-B を押せば、そのテキストがボールド体になる。ただしボールド体と言っても、Markdown のルールに従い、その部分のテキストの前後に 2 個連続のアスタリスク ("**") が付けられるだけだ。さらにあなたを手引きするために、フォーマッティングのコマンドは Markup ポップアップメニューにも、また参照のためスクリーンの片側に置いておくポップオーバーウィンドウの中にも現われる。

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もしあなたも私と同じように、Markdown にはそれほど興味がないという気持ちでいるなら、奇妙な Markdown の見栄えに何らかの折り合いをつける必要があるだろう。(Byword 流のリッチテキストで書くオプションはない。)そこで、Ulysses は複雑な構文を色付き図形すなわち「テキストオブジェクト」で置き換えることにより、マークアップ言語のシンタックスの代わりにそのテキストオブジェクトがウェブアドレス、埋め込み画像、脚注、注釈などを表示するようにできる。

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実際には Ulysses は自社独自の Markdown 変種 を使ってそれを Markdown XL と呼んでいる。これは、Daring Fireball で有名な John Gruber が元々生み出した通常の Markdown から逸脱したところを持つ。けれどもその差異を理解するのは難しくないし、その気になればいつでも通常の Markdown に切り替えることもできる。

Ulysses にはいくつかの便利な追加機能がある。例えば、さきほど触れた画像埋め込みだ。画像を書類の中へドラッグすれば、IMG タグで示される。それをダブルクリックすれば画像が現われる。さきほども述べたように、この機能は外部フォルダの中にある書類には使えない。

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同期と書き出し -- Ulysses のコンテンツは三つの種類に分けられ、それぞれライブラリの中に示される。その一つは iCloud への保存で、この場合コンテンツはユーザーの Mac や iOS デバイスの間で同期される。たいていのユーザーはこのやり方をデフォルトに選ぶだろうが、これとは別に第二の選択肢として On My Mac オプションもある。こちらのコンテンツはその Mac の上のみにあり、他の場所へ同期されることはない。

第三の選択肢はさきほども「外部フォルダ」として述べたものだが、このやり方は iOS 用 Ulysses の最近のアップデートで以前より重視された扱いを受けるようになった。そのバージョンから Dropbox 同期に対応するようになったので、iOS 用の他の執筆アプリと肩を並べる機能を持った。iOS 用と Mac 用双方のバージョンの Ulysses を使っていれば、Dropbox フォルダを Ulysses の主たるコンテンツ保存場所として指定することでコンテンツがどのデバイスからも利用できるようになる。

また、書類を Dropbox に置いておくようにすることで、シンプルながら共同作業の環境も作れる。つまり、二人以上の Ulysses ユーザーが共有フォルダの中の書類で作業できるようになる。

現在作業中のシートがどこに保存されていようと、それをいくつかの方法で書き出すことができる。選択可能なフォーマットにはプレインテキスト、HTML、EPUB、PDF、また Word の DOCX もある。出力されたものがどのようにフォーマットされるか、どのフォントを使うかといったことにこだわりのある人は、書類を書き出す際にいろいろの書式パラメータを指定することさえできる。

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本や、その他の複雑な書類を執筆していて、複数のシートに跨がるコンテンツを集約したい場合には、複数のシートを一度に書き出すこともできる。

Ulysses の書き出し機能には、ブロガー向けの出版オプションもある。コンテンツを Medium に投稿することは以前からできたが、最近のアップグレードになって第二の投稿先として WordPress (PDF リンクあり) が追加された。この機能を Soulmen は巧みに実装したので、WordPress.com への投稿と、セルフホストによる WordPress ブログへの投稿が双方とも可能だ。書き出しの際の選択肢としては HTML と Markdown が選べ、さらにはカテゴリー、抄録、タグ、フォーマット書式、目玉の画像、投稿日時などを設定するオプションもある。

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これが WordPress ユーザーにとってどんなに素晴らしいことかは、どれだけ誇張してもまだ言い足りない。私は自分の個人ブログに記事を何の問題もなく投稿でき、埋め込んだ画像も完璧だった、ブログの更新のために私は Byword や、また WordPress の Mac 用アプリも使ったことがあるが、今では Ulysses が私の最もお気に入りの WordPress クライアントとなりつつある。

その他の機能 -- Ulysses は深みのあるアプリケーションで、隅々までくまなく探してみればきっと嬉しい発見があるだろう。Mac 用アプリの中で、私が素晴らしいと思った機能をいくつか紹介しよう:

まとめ -- Ulysses は、強烈なパンチ力を持つけれども機能過多に苦しみはしない個人用執筆アプリという、重要な隙間市場を埋める。とりわけ、何台もの Mac や iOS デバイスの間を頻繁に行き来しながら仕事をする状況でも一貫した仕事の環境が得られ、iOS 側で大幅な妥協を強いられることもないようにと願うライターたちには、大きな魅力があるだろう。

一方、Markdown のファンたちにとっての Ulysses は、シンプルなテキストエディタに比べれば大幅な進歩でありつつ、さらにもっと高度なやり方で書式やグラフィックスを処理する完全機能のワードプロセッサほどには行き過ぎて欲しくない、そんな願いを実現するものとなる。Ulysses は、必ずしもすべての人にとっての究極の Markdown エディタとは言えないかもしれないが(誰しも好みはある)一見の価値があることは確かだろう。

私は Ulysses が大好きになったが、これをデフォルトの執筆環境にすることは事情が許さないという事実を嘆いている。私は Windows PC を使うことも多いのだが、(Scrivener と違って) Ulysses には Windows 版がない。その上、私の本業の雇い主のところでの仕事や、私のフリーランスの仕事のいくつかでは、Google Docs が中心的な位置を占めている。共同作業のための機能が重要となるからだ。

けれども、画面上に文章を書き込むのがすべて私だけのためだったとすれば、Ulysses こそが私の第一番の執筆アプリになったに違いないだろうと思う。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2016 年 8 月 15 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Parallels Desktop 11.2.1 -- Parallels が Parallels Desktop のバージョン 11.2.1 (build 32626) をリリースして、この仮想化ソフトウェアにバグ修正を施した。今回のアップデートでは、Windows 10 Insider Preview の Start メニューが Coherence で表示されなかった問題を解消し、OS X 10.9 Mavericks 仮想マシンを 10.11 El Capitan にアップグレードする際に起こったカーネルパニックを修正し、ホスト OS を macOS 10.12 Sierra の公開ベータ版にアップグレードした後に Space キーが働かなくなったバグを解消している。(標準版の新規購入 $79.99、Pro/Business Edition は年額 $99.99 購読、無料アップデート、294 MB、リリースノート、10.9.5+)

Parallels Desktop 11.2.1 へのコメントリンク:

1Password 6.3.2 -- AgileBits が 1Password 6.3.2 をリリースして、書類を 1Password アカウント間でコピーできる機能を追加した。(AgileBits は最近導入した 1Password の個人購読に付随するものとしてアカウントを導入した。2016 年 8 月 4 日の記事“1Password、個人購読を導入”参照。)このパスワード・マネージャはまた、Mac App Store アップデートの最中における 1Password mini の挙動を改善し、特定の状況下での起動を高速化し、Mac App Store 版で作成されたカスタムアイコンが 1Password アカウントにアップロードされなかったバグを修正し、サイドバー表示状態での VoiceOver ナビゲーションを改良し、1Password.com アカウントのための認証リクエストが過剰に出されていたバグを解消している。(AgileBits からもMac App Store からも新規購入 $49.99、TidBITS 会員が AgileBits から購入すれば 25 パーセント割引、無料アップデート、47.6 MB、 リリースノート、10.10+)

1Password 6.3.2 へのコメントリンク:

Storyspace 3.2 -- Eastgate Systems がグラフィックス機能豊かなハイパーテキスト物語執筆ツール Storyspace のバージョン 3.2 をリリースした。今回のアップデートでは Storyspace Reader を追加した。これは再配布可能な無料のアプリケーションで、Storyspace ファイルを編集者、レビュー執筆者、あるいは読者と共有するために使う。Storyspace はまた、地図機能を改良し、リンクを動かすだけでそのリンクがガードフィールド(書類の中で動かしたリンクを有効化したり無効化したりするもの)を持つか否かがすぐに分かるようにしている。さらに、地図をきちんと配列するために役立つスマートガイドも新設された。(新規購入 $149、無料アップデート、188 MB、10.10+)

Storyspace 3.2 へのコメントリンク:

DEVONthink 2.9.2 -- DEVONtechnologies が、DEVONthink の三つの版 (Personal、Pro、Pro Office) をバージョン 2.9.2 にアップデートして、バージョン 2.9 (2016 年 7 月 22 日の記事“DEVONthink/DEVONnote 2.9”参照) で追加された新しい同期機能にさらなる調整を加えた。ツールバーに新たに Synchronize All 項目が追加され、待機中の項目をスマートグループや高度な検索で素早く見つけられるようにしている。三つの版のいずれも、索引付けされた項目のうち iOS 用 DEVONthink To Go アプリ (バージョン 2.0.1 にアップデートされている) に追加されたものへ即座に Finder タグを設定するようになり、同期ストアとの間のアップロードやダウンロードの信頼性を高め、新規の WebDAV ロケーションが無効な HTTPS 証明書を受け付けなかったバグを修正し、また同期ストアのマルチ・スレッディングを改良している。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office は新規購入 $149.95、リリースノート。DEVONthink Professional は新規購入 $79.95、リリースノート。DEVONthink Personal は新規購入 $49.95、リリースノートTidBITS 会員にはいずれの版の DEVONthink もそれぞれ 25 パーセント割引。10.9+)

DEVONthink 2.9.2 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2016 年 8 月 15 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Tim Cook が Washington Post のインタビューでいつになく個人的なことを語り、CVS が独自のモバイル決済システムを開始し、Microsoft の Project Murphy があなたの説明に応じて合成した人物画を作成する。

Apple のトップにいるのは孤独だ -- Apple CEO の Tim Cook が、Apple のトップに就任しての五周年を記念して Washington Post の Jena McGregor のインタビューを受けた。話題は多岐にわたったが、いつもは個人的なことを語らない Cook が今回は、自分の犯した誤りについて、誰に助言を求めるのか、もし Steve Jobs が生きていたら何をすると思うか、などと打ち明けた。Cook はこの仕事が孤独なこともあると口にしたが、すぐに「何も同情を求めているのではありません。CEO は同情など必要としません」と付け加えた。

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CVS、Apple Pay に競合するサービスを開始 -- 薬局チェーンの CVS は、Apple Pay に競合しようとして失敗した CurrentC の背後にあった Merchant Customer Exchange 企業連合の一員だが、今回 CVS 独自のモバイル決済プラットフォーム CVS Pay を打ち出した。これは iOS 用の CVS Pharmacy アプリの一部として働き、あなたのデビットカード、クレジットカード、ExtraCare リワードカード、あるいは Health Savings や Flexible Spending アカウントへのアクセスを組み込むものだ。CurrentC や Walmart Pay と同様、CVS Pay もバーコードを使って情報を伝える。興味深いことに、CVS は Target の薬局を管理しているので、今年の後半になって Target が Apple Pay 対応を実装してもその薬局では Apple Pay を使えるようにならない。

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Project Murphy、命令通りに顔を加工 -- Microsoft が新しい実験的チャットボットを作った。その名を Project Murphy という。Facebook Messenger、Skype、あるいは Telegram を使ってこれに語りかけるように作られている。Project Murphy の基盤となる画像モーフィングのテクノロジーは素晴らしいものだが、出来上がる画像は驚くほど馬鹿げたものになり得る。このボットは、二つの画像の顔を合成することにより、あなたの説明に従った仮想的な人物画を作成するからだ。例えば「もしも Oprah が Miss Piggy だったら?」「もしも Tim Cook が Superman だったら?」あるいは「もしも Steve Jobs が非常に高齢になったら?」といった命令を試してみるとよい。その "What if" 疑問文のために利用する写真を 10 分間のみアップロードすることもできる。とりわけ (私たちのように) Photoshop などの画像処理アプリに慣れていない者にとって、Project Murphy はとても楽しい。

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日本語版最終更新: 2016年 8月 19日 金曜日 , S. HOSOKAWA