TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1354/30-Jan-2017

今週号の TidBITS は Joe Kissell の最新の本 "Take Control of Your Digital Legacy" と同時に出た。これは誰にとっても重要な題材で、あなたのデジタル写真、ビデオ、電子メール、その他書類が、きちんとあなたの家族に遺産として引き継がれるようにするためのヒントが書かれている。Joe は(仮想上の)Agatha 伯母さんとお喋りしながら、なぜデジタル遺産を気にしなければならないか、まずどこに目をつければよいかの基本的なことを説明する。先週号の ExtraBITS で、Apple が LG UltraFine 5K Display のレビューを勝手に削除しているという、誤った Reddit の記事を紹介した。その批判を取り下げつつ、Adam Engst が TidBITS としてはどうすべきだったかを述べるとともに、正当な問題報告も紹介する。Slack がリクエストの多かったスレッド機能を同社のグループメッセージングサービス Slack に導入したが、Slack に詳しい Glenn Fleishman が説明する通り、この機能はまだ取って付けただけの感じを免れない。Josh Centers は“大草原の HomeKit のお伴”シリーズの最新記事として、ホームオートメーションの準備のための HomeKit の最初のセットアップを説明する。最後に、Adam Engst が Setapp をレビューする。これは MacPaw の新しい購読サービスで、月額 $9.99 を払えば 60 個以上の独立の Mac 用アプリにフルにアクセスできるようになるというものだ。今週注目すべきソフトウェアリリースは、DEVONthink 2.9.10/DEVONnote 2.9.9、Quicken 2017 for Mac 4.4.3、Art Text 3.2、ChronoSync 4.7.3、Safari 10.0.3、それに iTunes 12.5.5 だ。

記事:

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LG UltraFine 5K Display レビュー削除への批判を取り下げ

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TidBITS は最近、ExtraBITS リンクとして Reddit のスレッドを紹介し、そのスレッドに Apple が LG UltraFine 5K Display の Apple Store ページからレビューを削除したと書かれていることを紹介した。(2017 年 1 月 23 日の記事“Apple Pulls LG UltraFine 5K Display Reviews”参照。[訳者注: 日本語版の先週号では既にその部分の記述を ExtraBITS から削除しました。])その後、私たちは Apple がこの製品に対してはもともとレビューをオンにしていなかったことを知った。(おそらく出荷前しばらくの間は予約注文のみの製品であったからだろう。)実際、Apple は現在 LG UltraFine 5K Display のユーザー評価やレビューをオンにしており、平均の星の数は 3.0 で、79 人のユーザーがレビューにさまざまの評価を書いている。

だから、Apple が否定的なユーザーレビューを恣意的に削除したという Reddit の主張は真実ではあり得ない。(もともとの投稿者は自分が誤っていたことを既に認めている。ただし、このディスプレイに対する批判は取り下げるつもりがないという。)確認する方法はある。そして、私たち TidBITS としても記事にする前にこの方法で確認をしておくべきであった。Internet Archive の Wayback Machine を見てみればよいのだ。そうすれば、この LG UltraFine 5K Display ページが 2016 年 1 月 5 日に出てから今週に至るまで、一度もユーザーレビューがなかったことが確認できる。その上、Apple Store の他の製品でユーザーレビューのあるものは Wayback Machine で見えていることも確認できたので、Apple Store の単なる異常挙動だったという訳でもない。

言い替えれば、私たちはこれを決して ExtraBITS リンクとして出版してはならなかった。この誤りについても、それをもとに Apple の挙動が疑わしいなどと書いたことについても、私たちは深く反省している。私たちが何かを批判する際にきちんとその裏付けを取れると読者の皆さんに信頼して頂けることは、非常に重要だ。この Reddit スレッドを公表した報道機関が私たち以外にもあったのは確かだが、私たちは信じ込むのでなくもっと慎重に確認すべきだった。

そうは言うものの、LG UltraFine 5K Display が本当に予期せぬ数の問題点に苦しんでいるのか否かは、依然として正当な疑問だ。 Apple Communities 討論ボードには多数の質問が出ている。その大多数は互換性に関する問い合わせだし、LG UltraFine 5K Display を何のトラブルもなく使っているユーザーの数を知ることは不可能だが、問題点の報告で未解決のものはかなり多い:

きちんとテストもせず私たちが LG UltraFine 5K Display を推奨したり非推奨と言ったりするのは適切でないだろう。これは新製品であり、比類のないものとは言わないまでも普通ではない製品で、現在 Apple からしか入手できないものなのだから、きちんと働くことを請け合うのはすべて Apple の責任だ。これを買おうと思っている方は、ぜひ iMore のレビューを(とりわけ互換性情報の中で 5K が得られるのは Thunderbolt 3 搭載 2016 MacBook Pro のみだと書かれているところを)まず読んだ上で、早期導入者には問題に遭遇するリスクがあることを自覚して行動して頂きたい。

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Slack、インターフェースにメッセージのスレッド化を取り込む

  文: Glenn Fleishman: glenn@glennf.com, @glennf
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

グループメッセージングと共同作業サービスの Slack は、ようやくスレッドされたメッセージを追加した。Slack は、企業、グループ、そして個人に無料又は有料のチームを設定させてくれる。このチームは、非公開の通信ハブとして機能する。チーム内の会話はチャネルを軸として展開されるが、チャネルは理論上特定の主題やサブグループに相当する。

(昨年、私は Slack を記述する本を二冊書いた: "Take Control of Slack Basics" と "Take Control of Slack Admin" である。)

しかし、チャネルはあっという間に手に負えなくなる。その理由は、話したがり屋だったり、論じられる話題の幅に対してメンバーが多すぎるためだったり、或は、プロジェクトが重なり合っているためだったりする。場合によっては、メッセージはチャネルをあふれさせてしまい、あなたは流れについていくために一日中スクロールし読んでいかなければならないことすらある。或は、関係のない会話や返信が混じり込んでいるため、そのチャネルに属する誰にとってもある特定の討議を辿るのが難しくなったりする。

これまでの Slack の一般的な進言は - そして私のも - 余りに多忙な、或は入り組んでしまっているチャネルを、より厳格な焦点を持った新しい別のチャネルへと分割することであった。しかし、これは別の負担を強いることとなる。何故ならば、それは遅れずについて行くために人々に複数のチャネル間での切り替えを強要するからである。文脈に沿った切り替えは神経的にきついし、また、誰かが彼ら宛に具体的に明示されていない価値ある情報を見逃してしまうことも起こりやすくなる。

Slack は、スレッドする新しい機能で、この難問を解決しようとした。同社はスレッドをチャネルの中に組み込む選択をした。他のやり方には、例えば、掲示板やメールプログラムではよく見られる機能であるインデントと折り畳みをする方法がある。スレッドの中でやり取りしたいと思う場合は、自分の "サイドバー" 討論を文字通りのインターフェースサイドバーに入れるか、或は新しいチーム全体の Threads ビューを使う。

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Slack のデスクトップ、或は Web アプリでは、スレッドをどのメッセージに対しても追加出来る。そのやり方は、対象となるメッセージの上に行き、新しい Start a Thread ボタンをクリックする。こうすると、デスクトップや Web アプリでは Thread サイドバーが開き、モバイルアプリでは Thread ビューへと移行する。

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この Thread ビューは、そのスレッドにある全てのメッセージを表示し、返信をタイプさせてくれ、そしてオプションとして Also Send to #channelname チェックボックスを選択出来る。そのボックスにチェックを入れると、Slack は最初のメッセージとあなたが今投稿したばかりのものを表示する。

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チャネルの中にスレッドが現れ始めると、メッセージの下のアバターと "5 返信" の様な数字、これはリンクでもある、が見えてくる。そのリンクをタップすると、その Thread ビューへと導かれる。スレッドを見ている時に、元々のチャネルの討論の何処にいるか分からなくなったら、そのスレッドの最初のメッセージか、或はそのチャネルの中の返事のどれかの上に行き、Open in Channel ボタンをクリックする。これでチャネルの中の元の位置に戻れ、そしてそのスレッドされたメッセージはハイライトされる。そのチャネルに送り返されたメッセージをクリック、又はタップすれば、手早くそのスレッドを開くことが出来る。

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残念ながら、一つのメッセージが一つのスレッドの起点となると言う事実は見逃されやすい。スレッドを見つけやすくするため、Slack はチームサイドバーの一番上に All Threads リンクを付け加えた。そのラベルは、あなたが参加しているスレッドに新しい返事が投ぜられると New Threads に変わる。All Threads をクリックするかタップすれば、自分のスレッドを順次見ていける - しかし、Slack の他の部分と違って、他の部分ではより古いメッセージは一番下から上へとスクロールし、そしてビューから外れるが、この Threads ビューは最新の返事が一番上に表示される。この整列の切り替えと、チャネルと All Threads の間の分離はあまり心地よいものではない。

スレッドについての通知を受け取りたくないならば、並んでいるメッセージの最初のものの上に行き、Show Message Actions (...) ボタンをクリックするか (モバイルではメッセージを押下する)、そして Unfollow This Thread を選択する。

スレッドは逸脱を防止し、プロジェクトベースの討論を纏め、そしてあるチャネル内の全員が関わる必要のないものを、興味のある人には入手可の状態にしておきながら隔離する手助けとなり得る。もし過負荷状態にある Slack チームに属しているのであれば、他の人に関連する会話はスレッドに分流するよう促すのも一つの解決策かもしれない。もし用途を目に見える様にした方が分かりやすいと言うのであれば、スレッドをスレッドというよりは一時的なサブチャネルと考えた方が良いかもしれない。

スレッドの使い方で私が一番良いと思ったものは、私の同僚の一人が "話題の降霊術" と表現したものである。スレッド以前には、チャネルの中のかなり前のメッセージを参照したいと思ったら、Share コマンドを使わなければならなかった。これは、メッセージを投稿し、そして, それには引用された、そして参照されたメッセージを含めることを可能にする。(ここで言う降霊術とは、チャネルの "死んだ" 部分からメッセージを生き返らせることを指す。)

しかしながら、スレッドを使えば Start a Thread で古いメッセージに返信することが出来、そして、新しいスレッドはその人とあなたが返信の中で @-mention した他の人達への参照を形成する。このやり方は、その古いメッセージは元の場所に残すが、Slack は参加者にこの新しいスレッドについて通知する。この古い話題についての討論は十分になされたと感じた時は、もしそれが意味を持つならば当該チャネルに対してそれを共有し戻す返信を投稿出来る。

このやり方の方がスレッドするよりも好きかと聞かれれば、今の所は、そうではない。私はスレッドを使うやり方にようやく慣れてきているところではあるが、チャネルの中で手早く行ったり来たりするやり方に無意識に戻ってしまうことがある。ユーザーが自らの習慣を変えられるかどうかも見守りたい。そうではあるが、Slack は、スレッドを線形のチャットインターフェースに組み込むことと、ユーザーが再訓練を必要とする程目新しいものにしてしまうことの間で妥協を強いられたであろうことは理解出来る。

これは Slack を討論フォーラムのやり方により近いものとするが、そちらは永久にスクロールし続けるチャットではなく全てがスレッドである、その紛れもない個性と形式ばらない雰囲気は保持している。我々としても Slack のチームが時と共にこれをどの様に改善して行くか見守りたい。

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大草原の HomeKit のお伴: Accessory と Room を設定する

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

"大草原の HomeKit のお伴: 中心となる概念" (3 November 2016) で、私は HomeKit オートメーションの一般原則、つまり Accessory, Room, そして Scene といったものについて解説し、そして HomeKit の概要を述べた。今回は、そのソフトウェアを設定する際の幾つかの詳細を検証するが、全てのことについては "?iOS 10: A Take Control Crash Course" (16 January 2017) に纏める積りである。もし、そんな悠長な話には付き合えないというのであれば、私の書いた手短な HomeKit へのガイド "iOS 10: A Take Control Crash Course" を見て欲しい。

一般的助言 -- 始める前に、少なくとも一つの HomeKit 機器が必要である。"大草原の HomeKit のお伴: 中心となる概念" (3 November 2016) で、私は二つの分野の HomeKit 機器をお奨めした:

これらの機器をお奨めしたのは二つの理由からである:便利さが分かるし、怖さもない。スマート鍵や温調器は、プロに設置してもらう必要がある場合もあり大きな投資だが、電球やプラグの設置なら誰にでも出来る。加えて、電球のプログラムを間違えても、とんでもない時間にオンオフされたりして嫌な思いをするだけの話で済むが、スマート鍵や温調器で間違えると、寒い家から締め出されてしまうことだってあり得る。

注意すべきは、全てのホームオートメーション機器が HomeKit 対応ではないことである - 全ての HomeKit 機器は Apple の承認が必要で、これは製造者にとっては高価で時間がかかるプロセスである。Apple は全てのものを載せたリストを出しているが、もし心配なら、箱に "Works with Apple HomeKit" のバッジがあるかどうか見てみること。

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最後に、初めて Home アプリを立ち上げると、Home を作成し、名前を付け、そして背景の写真を選ぶよう促される。ここではあまり思い悩まないように。何故ならば、後で簡単に変更出来るからである。"Home" という名前とデフォルトの背景写真でも十分と言える。複数の Home を設定することも出来るが、面倒にしない為にも、ここは一つだけにしておきたい。

Accessory を設定する -- Home は iOS 10 に組み込まれた HomeKit 制御アプリで、これを使うには HomeKit Accessory をこれに追加しなければならない。"大草原の HomeKit のお伴: 中心となる概念" で解説したように、Accessory は実際のホームオートメーション機器である。

まず最初に、その Accessory の電源を入れる。次の手順は、その機器に依存する。Hue 照明の場合、まずそれを Hue アプリ自身の中で設定し、それからそのアプリの中でそれらを HomeKit に追加しなければならない。この手順は "スマート電球 Philips Hue を使ってみる" でも説明した。しかしながら、Elgato や iHome プラグの様な単独の機器の多くは Home アプリの中で設定出来る。その手順は以下の通り:

  1. Home 又は Room 画面で、右上にあるプラスボタンをタップ。

  2. Add Accessory をタップ。

  3. 全てが正常に働いていれば、あなたの Accessory は Add Accessory 画面に現れるはずである。それをタップ。

  4. 次に、その機器の HomeKit コードをタイプ入力するか、スキャンするよう促される。そのコードは機器上か、箱の上で見つけられる。機器によっては、例えば Elgato の様な、このコードは便利なカードの形で提供されるものもある。このコード失くさないように。理想を言えば、1Password の様な安全な場所に保管したい。何故ならば、その機器を設定する度にそれは必要となるからである。

最後の画面は、様々なオプションを提供する:

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Room を設定する -- 次に Room を見てみよう。"大草原の HomeKit のお伴: 中心となる概念" でも取り上げた様に、Room は HomeKit 階層の二つ目のレベルで、Home の下にある。当然のことながら HomeKit Room は Accessory がある実際の部屋に対応すべきである。私の場合、Room には Bedroom, Living Room, そして Laundry Room などがある。お分かりいただけると思う。

Room には Home アプリの Room 画面でアクセスする。その画面でハンバーガーボタン (三本線のボタン) をタップすれば、あなたの Room を見たり、切り替えたり出来る。Room を追加するには、ハンバーガーボタンをタップ、Room Settings を選択、そして Add Room をタップする。

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Accessory は常に Room の中にある、例えそれが一般的な Default Room であっても。設定を進めるうちに、ある Accessory を一つの Room から他へと移したいと思うこともあるであろう。そうするには、その Accessory をタップそして保持 (或いは、3D Touch が iPhone で使える人は、それを使う)、その Details ボタンをタップ、そして、Location を選択し、リストから新しい Room を選択する。

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では、Room は何故それほど重要なのか?二つの理由がある:あなたの Accessory を論理的な方法で整理し、そして Siri に対応する。Siri に Living Room の照明をオンにするよう言えば、その Room の全ての照明はオンとなる。

一旦、一つかそれ以上の Accessory と Room を設定し、その Accessory を対応する Room に置けば、あなたの家や事務所を自動化する第一歩を踏み出したことになる。

Accessory が Room に紐付けされた様に、Scene も同様で、こちらはあなたの Accessory に対する動作の集合体である。このシリーズの次回では ("A Prairie HomeKit Companion: Controlling Accessories" 16 January 2017 参照)、更なる Accessory オプション、Accessory を制御する、そして Scenes を作成し、使用するを取り上げる。

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Setapp、一つの月額料金で数多くの Mac アプリを提供

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

購読というやり方がどうしても好きになれない人がいることは承知している。気持ちは分かる。でも、時には呈示される価値が非常に魅力的なこともある。(私も含めて)多くの人たちは、$9.99 を払って一ヵ月間 Netflix を見られる方が、同じ $9.99 (かそれ以上) を払って映画を一本だけ iTunes から購入するよりずっと良いと思っている。Spotify や Apple Music でも同じことだ。iTunes でアルバムを一つ購入するのと同じ価格で、一ヵ月間たくさんの音楽が聴ける。

ユーザーにとっての Setapp -- その点が Setapp の売り文句の一つだ。これは MacPaw が始めた新しい購読サービスで、現時点では 60 個、将来はもっと多くの、注意深く集められたアプリに Mac ユーザーがアクセスできるようにする。月額 $9.99 を払えば(ただし最初の一ヵ月は無料)取り揃えられたアプリの中からいくつでも、追加料金なしに使える。利用できるアプリの数が増えても料金は値上がりしない。アプリがリストから削除されることはあまりないと思われる。開発者たちが 12ヵ月間の包括的契約に署名するからだ。

Setapp は自動的にそのすべてのアプリを最新の状態に保つので、あなたがアップデートのインストールについて心配する必要がなくなる。メジャーなアップグレードがあっても同じだ。アプリはデモ版ではないし、機能の制限もないし、旧バージョンでもない。また、もはや広告などは一切ない。二台目の Mac で Setapp を使いたければ、その Mac でサインインするだけでよい。

当然ながら、結局のところ問題は購読料金の元が取れる程度に含まれているアプリを十分多く使えるかどうかだ。例えば、あなたが Ulysses ($44.99) で執筆作業をして、RapidWeaver ($99) でウェブページを作成し、Capto ($29.99) でスクリーンショットを撮影して、iStat Menus ($18) で Mac のパフォーマンスを追跡し、Simon ($99) でサーバを監視したかったとしよう。これだけソフトウェアを購入するには $300 近くかかるが、同じ価格で 30ヵ月間 Setapp を購読できる。

今挙げたのはすべて素敵なアプリだし、私も Setapp に含まれている他のすべてのアプリを知っている訳ではないが、私が知っているものはどれもしっかりしたアプリだ。MacPaw は Setapp に含めるアプリを選ぶ際に、圧倒的大勢のユーザーが同じようなアプリに集中することがないようにしている。現在使えるアプリのフルリストをブラウズすることができ、さきほども述べたように新たなアプリも今後登場する。

もう一つ、考えておくべきことがある。Setapp には、時には使いたいけれどもそれがあまりにも稀なので買おうという気が起こらない、そういうアプリも含まれる。例えば MacPaw 自身の重複ファイル発見ユーティリティ Gemini がある。Gemini の価格は $19.95 で、私ならば年に二回ほどしか使わないのにわざわざ買おうとは思わないけれども、Setapp の中でアクセスできるなら喜んで使いたいと思う。また、時々 Setapp を購読していろいろアプリをテストし、あとで購入するかどうか決めたいと考える人たちもいるだろう。

もう一つ、購読による方法の利点になり得ることがある。Setapp に含まれているアプリ Aeon Timeline の開発者 Matthew Tobin は、Setapp のモデルが通常のバージョンに基づくライセンス方法の欠陥を克服するものだと気付いてワクワクしたと述べている。

  バージョンに基づくライセンス方法は、創造性を抑圧する。開発者たちは、機能のリリースを遅らせる有料アップグレードか、アプリの改良への投資意欲を削ぐ無料アップデートかの、いずれかを選ぶよう強要される。もしもユーザーたちが購読モデルを受け入れれば、両方の側が幸せになれる。開発者たちが長期にわたってアプリの改良に報酬を受けられる一方で、新機能がより早くユーザーたちの手に届き、人工的な節目のリリースを待つ必要がなくなるからだ。

Setapp を使う -- Setapp の中にあるアプリの使い方は単純そのものだ。なぜなら、OS X 10.10 Yosemite またはそれ以降の Finder にそのまま統合されるからだ。MacPaw が概観ビデオを出している。

いったん Setapp をインストールしてサインインを済ませれば、Applications フォルダの中に Setapp フォルダが現われ、Dock にも、Finder ウィンドウのサイドバーにもツールバーにも追加される。(いずれの場所からも消したければ消せる。)

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また、メニューバーに Setapp メニューができる。このメニューからいくつかの環境設定にアクセスできる。Dock に含めるか否かも設定できる。私はここで検索ショートカットを変更しなければならなかった。LaunchBar のショートカット Control-Space と競合していたからだ。

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Setapp フォルダの中にはすべてのアプリの「ティーザー」がある。ティーザーはサイズがほんの 2-3 MB ほどで、ダブルクリックすればそのアプリ自体を起動する代わりに、そのアプリを詳しく説明するウィンドウが開く。スクリーンショットもある。そのウィンドウの Open ボタンをクリックすれば、アプリがダウンロードされて起動する。その時点から、それは普通通りのそのアプリだ。

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ティーザーを使ったこのやり方はなかなか賢明だ。追加のインターフェイスが一切不要だし、容量も節約できるからだ。Setapp 自体はおよそ 110 MB を占め、それと別に 300 MB のスタブも必要だが、例えば RapidWeaver のようなアプリはそれだけで 90 MB 近くを占める。インストールしたアプリを使いたくないと思えば削除できる。その後は Setapp がそのアプリをティーザー状態に戻す。ティーザーを削除することも可能で、Setapp メニューから Restore Hidden Applications を選べば元に戻せる。

ウェブ上の Setapp アプリリストの方が、ブラウズしつつ聞いたこともないアプリをいろいろ見て行くために適していると私は思う。ウェブ上のリストでは、個々のアプリのアイコンの上にマウスをかざせば手早い説明が出るからだ。

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Setapp の Dock アイコンが時々変わって別のアプリに焦点を当てることを覚えておこう。お陰で、私は見たこともないアイコンを持ついくつかのアプリでティーザーを開いてみようかという気にさせられた。

開発者にとっての Setapp -- Setapp についての次なる疑問は、開発者たちにとってこれが良い取引になるかどうかだ。私たちユーザーとしても、Setapp を購読することで開発者たちの収入が減るのだとすれば、開発者を支援したいと思う私たちの気持ちに逆行するのではないか?

その答は、まだ誰も知らない。ただ、開発者たちにとって Setapp は次のように働く。まず、全収入の 70 パーセントを開発者たちが得る。残りの 30 パーセントは MacPaw が取る。収入のうち開発者の取り分は、一ヵ月間に個々のユーザーが起動したアプリの個数に基づいて分配され、実際の金額はそのアプリの定価のパーセンテージとして計算される。

では、さきほど名前を挙げたいくつかのアプリで考えてみよう。(金額はすべて切りのいい数字にして示す。)一人のユーザーが支払った $10 のうち、$7 が開発者へ、$3 が MacPaw へ行く。その $7 が五つのアプリで分配される。五つの定価の合計 $291 の中で個々のアプリの価格に比例した分配となるが、実際には 17 段階の価格設定がなされ、それを基準とした計算となる。MacPaw の説明書を私が正しく理解できていたらの話だが、この例で挙げたアプリはその一人のユーザーからそれぞれ定価の 30 パーセント程度を一年間に得ることになる。ただし、ユーザーが多数のアプリを使えば使うほど、個々の開発者の取り分は減る。

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ユーザー母体を増やし、アプリケーション収益への開発者の依存度を減らすため、MacPaw は上記に加えて 20 パーセントを(自らの取り分 30 パーセントの中から)提携料金として支払う。つまり、個々のユーザーが特定の一人の開発者に特化した Setapp にサインアップすれば、その開発者はそのユーザーが購読を続ける限りそのユーザーが支払った料金の 20 パーセント ($2) を提携料金として受け取るのだ。これにより開発者の収入が大幅に増えるかもしれず、そのため開発者たちが通常のライセンス売上げと併せて顧客を Setapp へと導こうとする誘因になり得るかもしれない。

開発者たちの意見 -- 私は Setapp に参加している何人かの開発者たちに話を聞いてみた。どの人も、新しい手法、とりわけ気軽に使うユーザーを獲得できる手法を実験してみることに興味があると答えてくれた。さきほど紹介した Matthew Tobin は、こう述べた:

私の Setapp に対する立場はある程度実験的なものだ。Setapp に参加して顧客に選択肢を提供し、私たちにとってどんな具合に事が進むかを見てみようと思ったのだ。もちろん、これを顧客との唯一の結び付き方にするつもりはない。今後も直接のライセンス販売が私たちの主要なチャネルだ。

Dejal の David Sinclair も同じ意見だった:

私はこれが良いマーケティング手法となり、追加の収入源ともなると考えた。スタートしてワクワクしているし、どれくらいうまく行くものかと楽しみにしている。これは非常に有用なサービスでありエレガントな実装がなされていると思うので、Mac ユーザーの間で人気を得ればと願っているし、より多くの人たちに Dejal Simon を知ってもらえたなら嬉しい。

Econ Technologies の Joe Japes は、個人的にはソフトウェアを購入する方が好きだけれども Setapp には大きな将来性があると思うと述べた:

これまで私たちの力では届かなかった多くの新規ユーザーを届ける力になれるものだと思うので、全体的に見てきっと金銭的利益になるだろう。

Econ Technologies の ChronoSync Express の開発者 Duilio Proni は、将来 Setapp はさらにもっと価値あるものになるだろうと考える:

この Setapp モデルは(多数派ではないとしても)多くの人々にとって完璧に納得できるものだ。見逃している人たちもいるかもしれないが、ソフトウェアのコレクションは固定されているのではない。現状の少なくとも二倍か三倍には成長することを視野に入れている。現状でもなかなか良いものだが、時間をかけて埋められるべき欠落部もある。

Matthew Tobin はさらに、開発者の観点から見た参加の利点と欠点を次のように考察してくれた:

私から見て最も大きな利点は、気軽に使うユーザーからの新たな収入の可能性が広がることだ。つまり、特定の作業をするためにそのアプリを年に何回かは使う必要があるが、何度も使う訳ではないので $50 出してライセンスを購入する気にはならないというタイプのユーザーだ。

その意味で、このプラットフォームが成功するか否かは Setapp がどの程度うまく個々のアプリをマーケティングしユーザーたちが提供されているアプリのすべてを試してみるように働きかけることができるかにかかっている。もしもユーザーたちが自分が何にお金を払っているのかを知ることがなければ(とりわけ、このプラットフォームがあまりにも大きな規模になってしまえば)私たちのアプリが役に立てるような状況においても、それを見つけて使うことにユーザーたちが気付かないかもしれない。そうなれば、このざっくばらんな収益の流れも干上がってしまうだろう。

誰の目にも明らかな潜在的難点は、プラットフォームに参加することで基本的なライセンス売上が浸食される可能性があることだ。ただ、私としては市場が十分に異なるのでその心配は少ないと期待したい。あるいは、継続的に購読するユーザーたちからの報酬がライセンス売上とそれほど違わない程度まで成長するならばそれも良しだと思う。(この点はユーザーたちが通常どの程度数多くのアプリを起動するかにもよるだろうが。)

MacPaw は現在主として招待を通じて製品を Setapp に追加している。だから、あなたが開発者なら、参加するための最良の方法はおそらく、誰か既に参加している開発者に頼んで、あなたが招待されるよう働きかけてもらうことだろう。また、MacPaw に連絡してあなたの製品を彼らに知ってもらうこともできる。

勇んで切り開く新アプリストア (Brave New App Store) -- Setapp は最初の一ヵ月は無料で提供しているので、サインアップして試してみても損にはならない。使ってみて自分が十分な数のアプリを使っていないと気付けば、いつでも簡単に購読をキャンセルできる。

ともあれ、新しいものに挑戦する度胸を発揮した MacPaw を称賛したい。とりわけこれは、Apple の Mac App Store が既に存在する世界に対する挑戦なのだから。でも、Mac App Store が必ずしもすべてのユーザーと開発者を満足させた訳でないことを考えれば、Setapp が活躍できる余地もあるのではないか。

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Agatha 伯母さん、デジタル遺産について思案する

  文: Joe Kissell: jk@alt.cc, @joekissell
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

今月初旬、私は 50 歳になった。お祝いするため、私は髪を紫に染め、56 冊目の Take Control Book である "Take Control of Your Digital Legacy" を書いた。このタイトルは、私が近年、TidBITS や Take Control の読者と交わした多くの会話によって触発されたものだ。そうした会話は、しばしば、データの寿命に関する話になった。みんな、写真、ビデオ、メール、文書、そして、他の重要なデータが自分たちよりも長生きすることを、どうやって確実にすればよいか、私に尋ねてきた。そして、この本には、この問題に関する私の研究と考察の結果が含まれている。

この本をあなた方に紹介するため、私は、本を想起させる多くの質問とその回答を、完全に想像上の Agatha 伯母さんとの会話として構成した。

Agatha 伯母さん: 遅ればせながら、誕生日おめでとう、Joey!

Joe: アグ伯母さん、僕ももう 50 なんだから、Joey って呼ぶのをやめてくれると、本当にありがたいんですが。

Agatha 伯母さん: ごめんなさい。昔の癖ね。私のピーチ・コブラー(訳者注: コブラーとは、季節のフルーツを焼き上げたビスケット生地のフルーツ・パイのこと。)でもないのに、あなたはどうして今日、ここに来たの?

Joe: 冗談は止してくださいよ。僕がここに来たのは、アイスクリームのためでもあるんですから。それに、僕の新しい本について、伯母さんとおしゃべりしたかったんです。

Agatha 伯母さん: もう、本はたくさんよ! 今度は、何のコントロールをしなきゃいけないのかしら?

Joe: 伯母さんは、こいつが気に入ると思いますよ。と言うのは、伯母さんのことを念頭に置いて書いたんですから。タイトルは、"Take Control of Your Digital Legacy" って言うんです。伯母さんのデジタル資産の相続計画みたいなものですね。

Agatha 伯母さん: お前さんは、私が年寄りだって言ってるのかい?

Joe: とんでもない。68 歳は、新たに 55 歳になるわけですから。とにかく、人は何歳であろうと、突然死ぬ可能性があるわけです。だけど ...(ジャジャーン) データは永遠に生き続けることができる。

Agatha 伯母さん: そして、それはいい事なの?

Joe: もちろんですとも! 将来、どのデータをどんな形で残すか決めることで、みんなが伯母さんのことをどんな風に忘れないでいるかを具体的な形にすることができるんですよ。だけど、何もしなかったら、箱いっぱいの子供時代の思い出の品が、地下室でダメになっているのを見つけたように、伯母さんのコンピュータや iPad 上のデータだって、同じ運命に遭うことになるかもしれないんですよ。伯母さんが譲りたいと思っている物じゃなくて。言っている意味わかりますよね。

Agatha 伯母さん: うわ! 一理あるわね。

Joe: いいですね〜。それで、伯母さんに興味を持ってもらったところで、伯母さんは、自分のデジタル遺産について、どんなことを知りたい?何でも聞いてください。

Agatha 伯母さん: えー、まず第一に、あなたが 「デジタル遺産」って言ってる時、それって正確にはどういう意味なの?

Joe: 遺産って言うのは、伯母さんが将来に残すもの全てです。伯母さんの所有物だけじゃなくて、伯母さんの物語、伯母さんが成し遂げたこと、そして、伯母さんの世界に対する貢献もです。これから長年にわたって、伯母さんがどんな風に記憶されるかの総体です。伯母さんのデジタル遺産は、デジタル・データが関与するそうしたものの一部です。例えば、デジタル写真、文書、メール、そして、その他諸々。これは、おじいちゃんやおばあちゃんは、考えなくても良かったことなんだけど、将来の世代は、スクラップブックや写真のアルバムよりも重要だと思うようになることなんです。

なので、この本の出発点は、伯母さんが亡くなった後、そして、遠い将来に、伯母さんのデジタル・データに何が起きるか、それを、今、決めるようにすることなんです。

Agatha 伯母さん: そうしたものは、みんな、私の遺言でカバーされるはずなんじゃないの?

Joe: そうかもしれませんが、従来の遺言状は、デジタル資産についてはほとんど、少なくとも、十分に詳しくは言及しませんからね。それに、ファイル、写真、オンライン・アカウント、パスワードなんかは、しょっちゅう変わりますから、常に最新の状態であることを確実なものとするために、遺言状を修正し続けるのは面倒なことでしょう。そのうえ、遺言の執行人は、伯母さんのデータ全てを適切に扱うための技術的な専門知識を持っていないかもしれません。

Agatha 伯母さん: オーケー、遺言状が最適な場所じゃないとしたら、このデジタル資産に対する私の願いは、どこに記録するの?

Joe: 僕は、遺言状を デジタル遺言状 で補足することをお勧めします。これに全て詳しく説明しておくんです。これには、伯母さんのデジタル資産や、データを保存したり配布したりする場合に、どうしてほしいかについて概要を示したリストや、伯母さんのアカウントの取り扱いなんかも含まれます。そして、こうした指示を実行するデジタル遺言執行人を選任するんです。

Agatha 伯母さん: オーケー、だんだん分かってきたわ。だけど、困ったわね。私には、途方もない数の写真、ファイル、それにアカウントがあるのよ。そのうちいくつかは大事なもので、多くはそうでもないの。実際問題として、そういったものを全部、どうやって文書にすればいいの?

Joe: 心配しないで。伯母さんは、僕が作ったテンプレートをダウンロードして、それに記入することから始めればいいんですよ。複雑ではありません。人生は短いですから、最後のファイルの度に思案したり、コンピュータ全体を再整理したりするのに何週間や、何ヶ月も費やすべきではありません。代わりに、僕がお勧めするのは、データについては、大括りで考えて、持っているファイルの種類や、どこに行けば見つかるか、そして、それをどうするかについて、簡潔な注釈を含むかなり短いリストを作ることです。どのくらい詳細について提供したいと思うかに応じて、テンプレートに記入するのにかかる時間は、数時間から、週末いっぱいとなる可能性があります。これは、伯母さんのデジタル遺産について計画を立てることの一部にすぎませんが、必須の要素なんです。

Agatha 伯母さん: まだちょっとどうしたらいいか分からないみたい。私が始められるように、ほんの一部だけでいいから、選び出してくれるかしら? 最初に扱わなきゃならない一番大事なものって何だと思う?

Joe: 間違いなく、パスワードですよ。もし、伯母さんが明日バスに轢かれたら、Aubrey 伯父さんは、伯母さんのデバイスをみんなロック解除したり、伯母さんのアカウント全てに入る方法が分かりますかね? 退屈なことかもしれないけれど、伯母さんのデジタル資産に全部目を通して、何をする必要があるか分かるようにするのは、他の誰かでも やってやれないことではありません 。だけど、パスワードがなかったら、行き詰まってしまって始める事すらできません。僕が言いたいのは、伯母さんはパスワードを孫に渡すことはないんだけど、そうしたパスワードで保護されている資産のいくつかを渡すことになるってことなんです。

本の中のたった一つのトピックに取り組むだけでも、伯母さん、Aubrey 伯父さん、Timothy と Felicia、そして彼らの子供達にとって、人生の道がずっと容易になるってことを強調した方が良さそうですね。もし、伯母さんに全てをやる時間とエネルギーがあれば、それはすごいことなんだけど、伯母さんにとって、一番重要な部分だけ選び出すというのでもいいんです。いつだって、少しでも、やらないよりはマシです。

Agatha 伯母さん: 家族の昔の写真を入れた箱があって、これをデジタル写真と一緒に渡すことができたら素敵なんだけど。こうした物とか、他のデジタルじゃないデータについてはどうすればいいのかしら?

Joe: 伯母さんも知ってるように、僕はアナログのものをデジタル化するのが大好きなんです。写真だけじゃなくて、オーディオ録音やホーム・ムービーみたいなものもです。ある人が、僕に MP3 ファイルをくれたんですが、それは、昔のオープンリールのテープからデジタル化したもので、遡ること 1963 年に、Uncle Bill が、テレビ番組の "To Tell the Truth" に出た時の音声だったんです。僕は、これは凄いことだと思うんです。そして、もし、テープがデジタル化されていなかったら、こんなに長く残ることはなかったでしょう。

とにかく、写真についてですね。そうですね、スキャナを入手して、美味しいお茶を淹れて、そして、スキャンを開始するんです。やりながら、それぞれの写真に誰が写っているか、そして、伯母さんが知っている何か他のことについて、メモしてください。伯母さんは、注釈付きの分類インデックスを次第に構築することになります。伯母さんは、毎週土曜日の午後、数時間、一度に少量の写真ずつ、この作業をするかもしれませんね。少々時間はかかるでしょうけど、それを仕事だとは思わないでくださいね。くつろいだ気分にさせてくれる、記憶の小道のそぞろ歩きだと思ってください。たとえ全部処理できなくても、伯母さんがスキャンした写真の一枚一枚が、オンラインで家族のみんなと簡単に共有できる、歴史の別の一コマ、そして、伯母さんのデジタル資産に加わる有用なものになるんです。

Agatha 伯母さん: どんなファイル・フォーマットを使うか、心配する必要はあるかしら? 今は主に写真のことを考えてるけど、同じことが、コンピュータ上の全てのファイルについて言えるわね。

Joe: 心配とは大げさですね。だけど、ええ、それについては考えた方がいいですね。何年も前に、AppleWorks で、伯母さんが作った文書のことを覚えてますか? そして、それを開くアプリを、今日見つけるのがどんなに大変かということも。これは極端な例かもしれないけど、ファイル・フォーマットは絶えず陳腐化するものなんです。これはややこしい話なので、本では、いろいろな種類のファイルについて、フォーマットの専門家がどんなフォーマットを推薦しているか解説しています。伯母さんは、今あるファイルを変換することに意味があるのか、あるいは、どのくらい意味があるか、決めることができるんですよ。

Agatha 伯母さん: 前に、メールについて話してたわよね。これは本当に私のデジタル遺産の一部なのかしら? 他人に読まれるなんて、ちょっと気持ち悪い気がするんだけど。

Joe: 伯母さんは、Publishers Clearing House から、毎日何通のメールを受け取るか、誰にも見られたくないんでしょ?

Agatha 伯母さん: あら、もう私が勝ったのかしら!

Joe: アグ伯母さん、伯母さんは、僕の本の中では、いつだって勝利者ですよ。だけど、メールについて考えてみましょう。もし、誰かが、僕のコンピュータ上の何十万ものメールを全部読み通すとするなら... えーと、まずはじめに、そいつは、言葉のどちらかの意味において、コミットしてもらう必要がありますね。つまり、傾倒していただくか、あるいは、献身的でいていただくかですが。メールの多くは耐えがたいほど退屈なものです。一方、僕のメールを読むことで、誰かが僕の詳細な伝記を書くことができるかもしれません。その人は、僕の人生の想像上の毎日に、僕がどこにいて、何をしていたか、そして、何を考えていたか正確に知りたいと思うでしょう。僕が有名になって、遠い子孫や歴史家にとって、僕が興味深い存在になると想像することもできます。(これは、次の 10 年における私の to-do リストに載っている。) おじいちゃんとおばあちゃんについて、そうした種類の情報があれば、僕は、ワクワクするだろうと思います。

もちろん、伯母さんのメールには、きまりの悪いものや、家族の記録には入れたくないと本当に思うような秘密も含まれているかもしれません。非難しているわけではないですよ。もし、伯母さんが、メールは渡したいけど、ある種のものは除きたいのなら、作業を始めて、そうしたメールを手作業で取り除かなきゃならないと思います。Tim や Felicia に、後でそうしたメールに出くわす羽目にさせるよりも、今、やっておいた方がいいですよ。

Agatha 伯母さん: 考えなきゃいけないことね。きまりの悪い思いをする可能性があるものと言えば、私が死んだら、私の Facebook のページはどうなるのかしら?

Joe: Facebook では、誰かを、遺産の窓口 (デジタル遺言執行人が、パーフェクトな選択であろう。) として設定できるようになってます。そうすることで、亡くなった時に、その人がアカウントをどうするか決めることができるわけです。つまり、友達への最後の一通のメッセージと共に、アカウントをオンラインで記念に残しておいてもいいし、全部消去しちゃってもいいってことかもしれませんね。他のソーシャル・メディア・サービスでは、同様のサービスを提供している場合もあるし、そうでない場合もあります。だけど、伯母さんが、願いをデジタル遺言書に詳細に記して、伯母さんのデジタル遺言執行人に、アカウントのアクセス権を与えてさえおけば、どんな方法であっても、伯母さんがベストだと思う方法で、伯母さんの投稿が扱われることを、遺言執行人が保証してくれます。

Agatha 伯母さん: ここで展開しているテーマが分かったわ。よろしい、パスワード、写真、メール、そしてソーシャル・メディアに加えて、何か他に私が考えた方がいいものってあるかしら?

Joe: えー、正直言うと、そいつは長いリストになりますよ。僕は、伯母さんがオンラインのアカウントをたくさん持ってるって知ってます。Dropbox, iCloud, そして、CrashPlan みたいなものですけど、こうしたものには、重要なデータが山のように入っている可能性があります。さらに、コンピュータには、伯母さんが書いた手紙、伯母さんが創ったイラストや音楽、カレンダー、連絡先、アプリ、そして、残り全てのように、種々雑多なファイルがあるわけです。主要なカテゴリーは、僕が作ったテンプレートに入ってます。全てのファイルが、長期の遺産計画を必要とするわけじゃないですが、少なくとも、そいつについてじっくり考えることは重要です。

Agatha 伯母さん: オーケー、ここに困りものがあるわ。私が iTunesから買った音楽、映画、テレビ番組は、みんなどうなの? これらは、あなたのいとこに残すことができるかしら?

Joe: 購入したメディアは、よく言われるように、頭痛の種なんですよ。購入したメディアの多くは、コピー・プロテクションを使っていて、ライセンスを受けた購入者以外には誰も使えないようになってる。そういうわけで、伯母さんは実際にはこいつを 所有している わけではないんです。伯母さんは、それを楽しむライセンスを購入しただけで、そのライセンスは伯母さんだけに与えられたものなんです。だから、これは、時には技術的な意味で、またある時は法律的な意味で扱いにくいものなんですよ。だけど、僕は本の中で、この問題について、すっかり説明してますよ。

Agatha 伯母さん: あなたが本に書いているように、私がすべて整理して文書化するとして、私のコンピュータは、遺言でデジタル執行人に残すだけでいいのかしら? これが、データが渡されるようにするやり方なの?

Joe: 伯母さんが亡くなった時に、デジタル遺言執行人が伯母さんのコンピュータにアクセスできれば、それは絶対役に立ちます。だけど、おばさんのコンピュータだって、永久に動作し続けるわけではありません。つまり、今から 100 年後の伯母さんの子孫は、写真を見るために、ひいひい Agathaおばあちゃんのアンティークな iMac の周りに集まるなんてことはないわけです。同じことが多くのストレージ・メディアについても言えます。ハード・ドライブや SSD は永久には保たないし、CD や DVD は時間と共に劣化します。いわゆる「アーカイバル」メディアを買うこともできるけど、遠い将来、まだそれを読むことができるデバイスを、誰かが見つけることができるかどうかはわかりません。もし誰かが伯母さんに30 年前に記録されたフロッピー・ディスクを手渡したらって考えてみてください。たとえデータはまだ無傷だとしても、基本的に伯母さんにとっては無意味ですよね。

この問題に対処する方法はたくさんあります。そして、完璧な解決法はないんだけど、2 種類以上のストレージ・メディアを使って、コピーを別々に保存しておいて、そして、相続人に、時々新しいメディアにデータをコピーするよう頼んでおくことが、正しい方向へのステップなんです。もし伯母さんが、Tim と Felicia に、伯母さんのデータを、彼ら自身のデータに統合してもらって、それが定期的にバックアップされて、彼らの 子供たちに贈られるのであれば、これは、伯母さんのファイルの寿命を著しく伸ばすことになるでしょう。

Agatha 伯母さん: ところで、デジタル遺産についてどうやって計画を立てればいいか、詳細について私が全部知りたいとしたら、あなたの本を買わなきゃならないって、あなたは言うのかしら?

Joe: 伯母さんに? いやいや、伯母さんはファミリー・ディスカウントで100% オフですよ。だけど、伯母さんの友達には、みんな買うように必ず言ってくださいね!

私の想像上の Agatha おばさん、"Take Control of Your Digital Legacy"について、的を得た質問を上手にしてくれてありがとう。この本 (価格は15$ だ) は、ここで述べた全ての話題や、その他もっと多くのことに関して、詳細を完全に説明している。この本は、どうやって、あなたのデジタル資産を棚卸するか、デジタル遺言を作成するか (テンプレート・ファイル付属)、パスワードを安全に共有するか、古い写真をスキャンするか、ソーシャル・メディアのアカウントについて意思決定するか、および、その他多数について示している。この本が、あなた自身のデジタル遺産について計画を立てるのに有用であることを願う。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2017 年 1 月 30 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

DEVONthink 2.9.10/DEVONnote 2.9.9 -- DEVONtechnologies が DEVONthink の三つの版 (Personal、Pro、Pro Office) と DEVONnote をバージョン 2.9.9 にアップデートして、ノートや添付ファイルを Apple Notes から三つの版の DEVONthink に読み込むオプションを追加した。Apple Notes (OS X 10.11 El Capitan かそれ以降が必要) からデータを読み込む際、DEVONthink はフォルダ階層を尊重し、ノートのフォーマッティングを保つ。

三つの版の DEVONthink はいずれも改善され、フルスクリーンモードでテキストを編集する際の応答性を良くし (ちらつきをなくし、置換機能に対応し)、macOS 10.12 Sierra で PDF 関係の数多くの問題点を修正し、暗号化 PDF のロックが再び外せるようになり、Apple Mail からドラッグしたメッセージにエンコーディング対応を追加し、MultiMarkdown 5 を使って Markdown 書類をレンダリングするようにし、数多くの同期が同時に進む際の処理を改善し、スキャンに関する複数の問題を修正している。DEVONthink Pro Office は UNIX メールボックスのアーカイブ保存を改善するとともに Apple Mail からのメッセージのロードを高速化し、DEVONnote は macOS Sierra 10.12.2 で不意に起こるクラッシュに回避策を施した。

そのリリースが出て間もなく、DEVONthink がバージョン 2.9.10 にアップデートされて、Dropbox との同期が働かなくなったバグを修正した。DEVONnote にはアップデートの必要がないのでバージョン 2.9.9 のままだ。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office 新規購入 $149.95、リリースノート。DEVONthink Professional 新規購入 $79.95、リリースノート。DEVONthink Personal 新規購入 $49.95、リリースノート。DEVONnote 新規購入 $24.95、リリースノートTidBITS 会員には DEVONnote もいずれの版 の DEVONthink もそれぞれ 25 パーセント割引。10.9+)

DEVONthink 2.9.10/DEVONnote 2.9.9 へのコメントリンク:

Quicken 2017 for Mac 4.4.3 -- Quicken Inc. が財務管理用旗艦アプリ Quicken 2017 for Mac のバージョン 4.4.3 をリリースして、社債利息収入の取引が知らずに削除されてしまったバグを修正した。このバグは、バージョン 4.4.0 で Quicken が配当と購入取引を一つの再投資配当に統合した際に入り込んだもので、これらの取引は手動で追加する必要がある。今回のアップデートではまた、オンライン支払の受取人の名前に "&" が入っている場合に項目の説明やアドレスを変更すると何の知らせもなくその支払が拒否されていた問題も解消している。(Quicken ウェブサイトからも Mac App Store からも新規購入 $74.99、Quicken 2017 から無料アップデート、リリースノート、10.10+)

Quicken 2017 for Mac 4.4.3 へのコメントリンク:

Art Text 3.2 -- BeLight Software が Art Text 3.2 をリリースして、新型 MacBook Pro の Touch Bar への対応を追加し、ワークフローに影響を与えずに Inspector タブを切り替えられるようにし、またレイヤー、ズーム、書き出し、ファイルの共有にヘルプを付けた。このグラフィックデザイン用アプリはまた、Google Fonts に対応し、新しい Panorama テクスチャーを追加し、Environment Mapping を改良し、スタイルのコピーとペーストへの対応を追加している。(BeLight Software からも Mac App Store からも新規購入 $29.99、無料アップデート、634 MB、リリースノート、10.10+)

Art Text 3.2 へのコメントリンク:

ChronoSync 4.7.3 -- Econ Technologies が ChronoSync 4.7.3 をリリースして、AWS S3 コマンドの v4 認証に対応し、最新 v4 専用 region をすべて含む事前登録 AWS S3 エンドポイントのセットを更新した。(2016 年 12 月 22 日の記事“クラウドバックアップ用 ChronoSync 4.7 を検討する”参照。)この同期およびバックアップ用アプリはまた、括弧の中に region 識別子を指定できる機能を追加して将来の region に対応できるようにし、OS X 10.8 Mountain Lion のシステムコールのメモリリークを回避するロジックを追加し、Scheduled Items エディタで変更が保存できなかったバグを修正し、Choose Target ウィンドウの表示の問題二件を解消している。(無料アップデート、ChronoSync は新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、41.2 MB、リリースノート、10.8+)

ChronoSync 4.7.3 へのコメントリンク:

Safari 10.0.3 -- Apple が Safari 10.0.3 を OS X 10.10.5 Yosemite および 10.11.6 El Capitan 用にリリースして (macOS 10.12.3 Sierra には既に含まれている、2017 年 1 月 23 日の記事“Apple、macOS Sierra 10.12.3, iOS 10.2.1, tvOS 10.1.1, watchOS 3.1.1 リリース”参照) WebKit 関係のセキュリティ脆弱性にパッチを施した。今回のアップデートでは、悪意を持って作られたウェブコンテンツを処理した後に任意のコードを実行される可能性があったメモリ破損の問題複数個に対処し、アドレスバーの偽装に繋がる可能性があったステート管理の問題点にも対処している。Safari 10.0.3 は Software Update 経由でのみ入手できる。(無料、リリースノート、10.10+)

Safari 10.0.3 へのコメントリンク:

iTunes 12.5.5 -- Apple が iTunes 12.5.5 を、macOS 10.12.3 リリース (2017 年 1 月 23 日の記事“Apple、macOS Sierra 10.12.3, iOS 10.2.1, tvOS 10.1.1, watchOS 3.1.1 リリース”参照) とともにリリースした。残念ながら、Apple は意味不明の「マイナーなアプリおよびパフォーマンスの改善」というリリースノートしか出していない。パフォーマンスやユーザーインターフェイスの面で何か変化に気付かれたなら、どうぞコメントに書き込んで頂きたい。(無料、直接ダウンロードでも Software Update 経由でも 263 MB、リリースノート、10.9.5+)

iTunes 12.5.5 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2017 年 1 月 30 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、ホームオートメーションに対する Apple と Amazon の対照的な取り組み方を概観し、Apple が Partnership on AI に加わる。

Apple 対 Amazon、スマートホーム競争にて -- Reuters の Stephen Nellis が、Apple と Amazon のホームオートメーションへの取り組み方の違いを検討する記事を書いた。HomeKit デバイスを販売しようとするハードウェアメーカーは、特別なチップを埋め込み、自社のアクセサリを Apple に認証を受けた工場で製造しなければならない。その上で、メーカーはデバイスを Apple に送って長々しい承認プロセスを踏む必要がある。これとは対照的に、デバイスを Amazon のパーソナルアシスタント Alexa と共に働かせるには、ただ単にソフトウェアの審査を受ければよいだけだ。"Works with Alexa" ラベルを得るにはハードウェアのテストが必要となるが、それもサードパーティの実験室で行なうことができ、10 日間以内で済む。結果として Alexa は互換デバイスの数で HomeKit を圧倒しようとしているが、一方 Apple のやり方は手軽なセットアップ、より高いセキュリティ、より良い互換性などを生む。また、Apple の HomeKit デバイスはインターネット接続を必要とせず、これもまたセキュリティと反応時間の双方で利点となる。

コメントリンク:17025

Apple、AI に加わる -- Apple が "Partnership on AI" と呼ばれるグループに設立メンバーとして公式に加わった。Amazon、Facebook、Google、IBM、Microsoft といったメジャーなテクノロジー会社もこれに加わっている。また、American Civil Liberties Union、Association for the Advancement of Artificial Intelligence、MacArthur Foundation、OpenAI、Peterson Institute of International Economics、UC Berkeley など各種非営利団体の代表者たちも評議員会に加わっている。このグループの目標として掲げられているのは、人工知能 (AI) のベストプラクティスを支持し、理解を促進し、討論のためのオープンなプラットフォームを形作ることだ。Apple の秘密主義的傾向を考えれば、同社がこのグループの中でどのような役割を果たして行くのかが興味深い。いずれにしても、人工知能には有望さとリスクが伴っているので、テクノロジー界の巨人たちと非営利団体とがこのような形で協力するのは素晴らしいことだ。

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日本語版最終更新: 2017年 02月 03日 金曜日 , S. HOSOKAWA