TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1363/03-Apr-2017

Apple が重要なセキュリティ修正を施した iOS 10.3.1 をリリースした。現在 10.3 を走らせている人は、必ずアップデートすべきだ。修正といえば、macOS 10.12.4 は Sierra の PDF レンダリングの問題に対処したかもしれないが、新たな PDF 関係のバグも導入してしまった。米国議会の共和党は Obama 時代のプライバシー規定を無効にする投票をしたが、Josh Centers が実際には大した変化は起こらないと説明する。Michael Cohen は最新の iWork アップデートでの多数の変更点を紹介する。Jeff Carlson は Macphun の Luminar をレビューする。Adobe Photoshop の代替品として使えるこのアプリケーションは Macphun の独立動作のアプリをすべて一つにまとめたものだ。最後にもう一つ、2017 年 4 月 9 日まですべての Take Control タイトルが 50 パーセント割引となる! 今週注目すべきソフトウェアリリースは Tinderbox 7.0.2、Apple Configurator 2.4、macOS Server 5.3、Skype 7.49、BBEdit 11.6.5、DEVONthink 2.9.11/DEVONnote 2.9.11、Safari 10.1、セキュリティアップデート 2017-001 (Yosemite および El Capitan) だ。

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Take Control 本がスプリングセールですべて 50% 引き

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週は大規模な Take Control セールをするのに良いタイミングに思えたが、私たちは適切な口実を思い付けなかった。確かに 3 月 31 日は World Backup Day だった[訳者注: エイプリルフールの前日にバックアップしようという運動のようです]し、Joe Kissell の素晴らしい著書 "Backing Up Your Mac: A Joe On Tech Guide" は私たちの本の中で最も人気あるものの一つであった "Take Control of Backing Up Your Mac" の最新の生まれ変わりだ。でもやはり、もはやこれ以上私たちが TidBITS 読者の皆さんにバックアップを勧めて回る必要のないことを願いたい。

ともあれ、何の裏仕掛けもない、単純に 50% 引きになるだけのセールがすべての Take Control ブックを対象に 2017 年 4 月 9 日(米国時間)まで続く。

特筆に値するタイトルをいくつか紹介しておこう:

もちろん、ここに挙げたタイトルは私たちの全コレクションの中でほんの上っ面を引っ掻いたに過ぎない。だから、すべて 50 パーセント引きで販売中の他の本もどうぞ一つ一つ検討してみて頂きたい。とりわけ、Joe がアップデートしたばかりの "Take Control of Your Paperless Office" と、Joe の新刊書 "Take Control of Your Digital Legacy" は、あなたがこの世を去った後であなたのデジタル資産に何が起こるかという、重要だけれどもあまり議論されてこなかった話題を扱っている。

思い出して頂きたいが、私たちの本はすべて DRM フリーであり、PDF、EPUB、Mobipocket (Kindle) の各フォーマットで入手できるので、いつでも、どこでも、あなたのお好きなどんなデバイス上でも読むことができる。それに、Take Control 本は最初から最後まで順に読む必要はない。その代わりに、どの本にも初めのところに目次と Quick Start セクションがあるので、あなたが必要とする情報へと直ちにジャンプすることができる。

仕事熱心な著者たちへの皆さんのサポートに感謝します。どうか、このセールのことをお友達や同僚の方々にも知らせて頂ければと願います。

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iOS 10.3.1、重要なセキュリティ問題の解決を提供

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

iOS 10.3 のアップデートに引き続いて ("iOS 10.3、新しいファイルシステム、Find My AirPods、その他が加わる" 2017 年 3 月 27 日参照)、「iOS 10.3.1 にはバグ・フィックスが含まれ、iPhone と iPad のセキュリティが改善されます。」という、ほんの最小限のリリース・ノートと共に、Apple は、iOS 10.3.1 を公開した。約 30 MB のインストールは、Settings > General > Software Update、もしくは、iTunes 経由で可能だ。

Apple は、たった一つのセキュリティ問題の解決しかリストに挙げていないが、これは、とりわけ重要なもので、そのことが、10.3.1 を、Apple がなぜこんなに素早く出してきたかについて、疑う余地なく説明している。このアップデートは、Wi-Fi 電波の範囲内において、iOS デバイスのWi-Fi チップ上で、攻撃者が任意のコードを実行することが可能であったかもしれないというセキュリティ上の弱点に対処している。私たちは、このバグが、iOS 10.3にのみ存在していたということを願う。

もし、あなたが既に iOS 10.3 にアップデート済みということであれば、このセキュリティ問題の解決を入手するために、10.3.1 のインストールをお勧めする。もし、まだ iOS 10.2.1 を走らせているのであれば、もう一週間かそこら、引き続き 10.2.1 のままでいて、10.3.1 が何らかの新たな問題をもたらさないか、確認する方がよい。

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PDF 問題は 10.12.4 でも続くが、影響を受けるのは主として開発者

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

数多くの読者が、我々が "Sierra の PDF 問題、10.12.2 で悪化" (2 January 2017) で報告した PDF 問題の多くは先週の macOS 10.12.4 アップデートで解決しているかどうかを私に尋ねてきた。前回の 10.12.3 アップデートは、最も深刻なバグに対応していた。そのバグとは Preview で編集された PDF がその OCR テキストレイヤーを失うというものであった ("Apple、macOS Sierra 10.12.3, iOS 10.2.1, tvOS 10.1.1, watchOS 3.1.1 リリース" 23 January 2017 参照)。

先週、私の最初の記事のこの話題にコメントしてくれた開発者達にアンケートしてみた。総意といえるものは、Apple の Sierra 用に書き直された PDFKit フレームワークは引き続き改善しているが、同時に新しいバグも持ち込んでいるというものであった。

DEVONtechnologies の Christian Grunenberg は、"1月以来、私は幾つかの回避策を追加し、そしてこれまでの回避策も改善してきた。10.12.4 リリースは、この内の一つの回避策しか不要にせず、更に新しいバグを一つ持ち込んだ" と言っていた。

数日後、彼はフォローアップとして次のように言ってきた、"ここ 24 時間の間に、私は 10.12.4 に関する色々なバグ報告を受けた。一つの例では、PDF 書類が DEVONthink と Preview の両方をフリーズさせる;他の例では、ページが真っ白に表示されてしまう (DEVONthink で、しかしまた Preview では時々、そして DEVONthink のそして Preview の両方のサイドバーには全く何も現れない);そして、最後の例では、PDF 書類がぼやけて表示される。"

C-Command Software の Michael Tsai は最初 Apple が 10.12.4 で修正した4つのバグとまだ閉じられていない4つのバグについて記述していたが、翌日になって、彼の顧客の一人が 10.12.4 で新たに経験したクラッシュを報告してきたと語った。

ユーザー向けの話は少しだけマシである。何故ならば、開発者達は、見つけたバグを回避しようとするか、或いは PDFKit がきちんと働くようになる迄静かに機能を取り除こうとするかのどちらかだからである。Michael Tsai はまた、回避することも避けることも出来ないディスプレイとスクロール不具合の中間地点みたいな問題もあると言っていた。

何れにしても、ユーザーは依然として問題に直面しており、とりわけ、大きな、或いは暗号化された PDF と、Preview や 他のアプリで PDF 関連の機能に対して PDFKit に依存しているものとの組み合わせでは問題は顕著である。10.12.3 で解決された OCR テキストレイヤーの削除ほど深刻なものはないが、もし Preview で問題を経験しているのであれば、別のアプリを試されたい。

PDF を見るだけならば、無料の Adobe Acrobat Reader DC を使うと良い。もし PDF をいじらなければならないならば、Smile の $74.95 PDFpen を検討されたし。これは PDFKit を使っていないので、これらの問題からは無縁である。同様に影響を受けないものに Adobe Acrobat DC があるが、こちらは購読が必要で、毎月請求の場合だと月額 $24.99 か、或は年払いの場合だと月当たり $14.99 (つまり、年額 $179.88 ) となる。 Acrobat DC はまた、月額 $49.99 の全幅の Creative Cloud 購読にも含まれる。

もう Sierra にアップグレードしても良いかと尋ねてきた人に答えると、本格的な PDF を見たり、いじったりするために PDFKit を基礎として作られたアプリに大きく依存しているのであれば、まだ待ったほうがいいと言わざるを得ない。もし大抵は PDF を Preview で見るだけというのであれば、大きな或は暗号化された PDF を扱うのでない限り、まず足元をすくわれることは無いであろう。

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共和党議員、FCC の ISP プライバシー規則を否決

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

米国下院ならびに上院の共和党多数派は、Obama 政権時代の ISP (訳者注:インターネット・サービス・プロバイダ) に関するプライバシー規則を撤廃するために、投票を行なった。今や、その法制化は Trump 大統領に委ねられているが、大統領は、これに署名すると表明している。

Federal Communications Commission (訳者注: 連邦通信委員会) によって制定された規則は、あなたの Internet サービス・プロバイダが、広告ネットワークを支援するために、あなたの Internet ブラウジングの履歴を収集し、販売することを禁じてきたであろうと思われるかもしれない。

だが、多くの捌け口で報じられていることとは異なり、この規則を撤廃しても、ほとんど何も変わらない。なぜならば、この規則は、そもそも最初の段階で、決して十分には施行されなかったからだ。FCC は、これらの規則を 2016 年 10 月に、最初に承認した。そして、その後、2017 年に施行されることとなった。だが、FCC の新任 Commissioner の Ajit Pai は、直ちに施行を延期したのだ。とは言え、今回の新たな法制化によって、ISP がつけあがり、現行のデータ収集プログラムを拡大させることになるかもしれない。

ISP はこの規則を嫌っていて、この規則によって、彼らは Facebook やGoogle のようなオンライン・サービスに対して、競争上、不利を被っていると主張してきた。AT&T の渉外ならびに法制担当の上級副社長である Bob Quinn は、ブログの投稿で、「位置データが慎重に扱うべきものであって、消費者に対するもっと明示的な開示と、消費者からの許可が必要だと政府が信じているのであれば、そうした保護は、ISP であろうが、エッジ・プレイヤー (訳者注: エッジ・プロバイダーの意。エッジ・プロバイダーについては後述) であろうが、あるいはまたサーチ・エンジンであろうが、位置データにアクセスできる全てのプレイヤーに対して適用されるべきだ。」と述べた。American Cable Association は、とある声明で、「是認されておらず、かつ、重荷となるFCCのブロードバンド・プライバシー規制に伴う損失を無くすために議会が行なった介入について、ACA は強力に支持を行なった。この規制は、ISP を対象にしていたが、一方で、巨大な Internet エッジ・プロバイダーは免除されていた。こうしたエッジ・プロバイダーは、ISP 以上とは言わないまでも、ISP と同程度に、同様の消費者データにアクセス可能なのである。」と述べた。(訳者注:「エッジ・プロバイダー」とは、「任意のコンテンツ、アプリケーション、ないし、サービスを Internet 上で提供する任意の個人または事業体、ならびに、インターネット上の任意のコンテンツ、アプリケーション、ないし、サービスにアクセスするために用いるデバイスを提供する任意の個人または事業体」と FCC によって定義されている。)

Ajit Pai は、Internet のプライバシー規制に、完全に反対しているわけではない。彼は、ISP を含む全てのオンライン・サービス・プロバイダーが、Federal Trade Commission (訳者注: 連邦取引委員会) によって制定された平等なルールに従うべきだと、これまで首尾一貫して述べてきた。だが、Tech Insider の Jeff Dunn が説明しているように、今や、ISP は「通常の通信事業者」であると見なされるという事実が、この問題を複雑にしている。と言うのは、FTC は、こうした会社に対して、限定的な力しか持っていないからだ。たとえ、共和党議員が、ISP を通常の通信事業者に分類する2015 Open Internet Order を、仮に撤廃するつもりだとしても、例えば、AT&T や Verizon のように、電話サービスも提供する企業は、引き続き、通常の通信事業者の地位にあることになる。

FCC の規則には、一つの小さな希望が残されている。それは、Trump 大統領に直接請願することだ。Reddit (訳者注: アメリカ最大級のソーシャル・ニュース・サイト) 上での Trump 大統領に対する最も急進的な支持者の多くは、この法制化に腹を立てていて、Trump がそれに対して拒否権を発動する可能性に期待を残している。だが、それがすぐに実現すると期待してはいけない。

州が独自のプライバシー規則を制定する可能性もある。例えば、Minnesota 州では、独自の基準を検討している。もし、十分多くの州がこうした規制を通過させるなら、そうした規制が国の政策として機能することになるかもしれない。

この規則の撤廃が、現実に何かを変えようと変えまいとに関わらず、オンラインにおける自分のプライバシーを守るために、いったい何をすることができるだろうか? 長年 Internet のアクティビストである John Perry Barlowかつて書いたように、「あなたのプライバシーを守るために政府に頼るのは、窓のブラインドの設置を覗き魔に依頼するようなものだ。」

最良の選択肢は、もしそれがあなたにとって利用可能であるなら、強力なプライバシー・ポリシーを有する ISP を使うことだ。アメリカでは、Sonic と XMission が、ユーザー・プライバシーに熱心に取り組んでいるという点で、広く知られている。残念ながら、アメリカのブロードバンド市場は、あまり競争的ではないので、あなたには、ISP の選択の余地さえないかもしれない。もし、選択肢があるのなら、地域の小さな ISP は、競合上の利点としてプライバシーにフォーカスを当てている可能性が高い。そして、ほぼ確実に、データを何らかの方法で価値あるものとするほど十分な数の顧客は持っていない。

あなたが実行できるもう一つの容易なことは、可能であれば、Web サイトへの接続に、暗号化された HTTPS を使うことだ。あなたが HTTPS でブラウジングしている時、あなたの ISP は、あなたがどのサイトを訪れているかを見ることができるが、あなたがそこで何を見たり、したりしているかは見ることができない。Electronic Frontier Foundation (訳者注:電子フロンティア財団) は、Chrome, Firefox, および Opera 向けに、HTTPS Everywhere と呼ばれるブラウザーの拡張機能を提供している。この機能によって、HTTPS 接続が可能であれば、常に強制的に HTTPS 接続となる。

(Take Control の Web サイトは、Adam が "なぜ Take Control は一時的に "Not Secure" とされたか" (2017 年 3 月 23 日) で書いたように、デフォルトで HTTPS になっている。TidBITS のサイトは、URL を変えるだけで HTTPS 経由で使うことができるが、現時点では、私たちは HTTPS をデフォルトとして設定してはいない。それは、そうすると、例えば、印刷ビューで画像を表示することに関してなど、いくつかの問題が起きるからだ。私たちは、この問題を解決しようと、検討しているところだ。)

別の選択肢は、バーチャル・プライベート・ネットワーク (VPN) だ。VPN によって、あなたの全てのブラウジングは、機密が確保された通信トンネルを通じた接続によって行われる。VPNプロバイダーは、まさに ISP と同様に、あなたのブラウジングをこそこそ嗅ぎまわることは、やろうと思えばできるであろうが、なので、あなたが VPN プロバイダーを信用するかどうか決めるのは、あなた次第だ。

もし、とるに足りないほど容易に設定できる無料の VPN を試してみたいのなら、Opera Web ブラウザーが、今では組み込み VPN を特徴の一つにしている。Quincy Larson が、Medium に寄稿して、どのようにしてそれが可能となっているか、そして、Opera における他のプライバシー機能について説明している。私は Opera を試しに使ってみて、その速度と機能にうれしい驚きを感じている。Opera の組み込み VPN を使う場合、保護されるのは、あなたの Web ブラウジングだけであって、他の Internet アクセスは保護されないことに注意してほしい。

Internet 匿名化サービスの Tor は、典型的な VPN よりもさらに信頼できるが、これは遅く、おそらく、NSA のような諜報機関の注意を惹くだろう。そして、これを使うと、他の意図せぬ結果を招く可能性がある ("私が WATCH ABC と Hulu を見られなくなった理由" 2014 年 3 月 13 日参照)。

その他の情報として、Joe Kissell の "Take Control of Your Online Privacy" を読めば、あなたの Internet プライバシーを守ることについて、あなたが知る必要がある全てのことがわかるだろう。Joe は、ただいま第三版を執筆中で、これには、VPN サービスに関する最新のおすすめが含まれるであろう。そして、今第二版を買った人は、誰でも、第三版が 2, 3 週間後に発売されたら、無料で第三版にアップグレードすることができる。

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iWork アップデート、新機能を加え、復活もある

  文: Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

3月末の Apple の怒涛のアップデートの中には新しいバージョンの iWork アプリも含まれていた - Pages, Keynote, そして Numbers - 対象は Mac, iOS, そして iCloud である (オペレーティングシステムのアップデートの詳細については "iOS 10.3、新しいファイルシステム、Find My AirPods、その他が加わる" 27 March 2017 そして "Apple、macOS 10.12.4, watchOS 3.2, そして tvOS 10.2 をリリース" 27 March 2017 を参照のこと)。

これ迄の iWork アップデートと同様、全てのアプリが幾つかのほぼ共通する新たな能力を手にし、そして同時に個別の改善もなされている。Mac アプリが一番豊富な新機能を手にし、iOS アプリもここからかなりの数を引き継いだが、iCloud アプリは限定的なものしか受けていないけれども、より鮮麗された兄弟分との互換性は維持している。暫く前からこの様な状況になったのだが、最新バージョンの Mac 及び iOS アプリは現行バージョンのオペレーティングシステムを必要とする - macOS 10.12 Sierra 及び iOS 10 - それぞれ該当するプラットフォーム上で。

Mac 上での iWork -- アップデートされた Mac アプリ - Pages 6.1, Numbers 4.1,そして Keynote 7.1 - は以下の新しい機能を共有している:

加えて、個々のアプリには固有の改善がなされている:

全ての経過を追うには、個々のアプリの累積アップデートノートを参照されたい:Pages, Numbers, そしてKeynote の分がある。

iOS での iWork -- この 3.1 バージョンの3つの iOS アプリは、その Mac 兄弟分にある新しいそして強化された能力の多くを受け継いでいるが、いつもの iOS 仕立てとなっている。

Browser での iWork -- icloud.com で入手出来る iWork アップデートは、ブラウザー技術の伝統と制限に沿って新機能のほんの一部しか提供しない。

いずれにしろ、ブラウザーアプリで編集された書類は、iOS 及び Mac アプリとも完全に互換性を保っている。例えば、Pages for iCloud ではブックマークを追加したり、いや、見ることすら出来ないが、Mac 上で追加したブックマークはその書類をブラウザー上で編集しても害を受けることはない (勿論、ブックマークしたテキストそのものを削除してしまえば話は別である)。既存のパイチャートの引き出し線はブラウザーアプリでも見えるが、そこで作成したり、編集したりは出来ない。

全てのブラウザーアプリはユーザーインターフェースに模様替えを受け、そしてそのツールバーは iOS アプリの配色に合わせてカラーコード化された:Pages に対してはオレンジ、Numbers は緑、そして Keynote は青である。より興味深いのは、個々のブラウザーアプリのツールバーには、今やクリックすると現在の書類を Mac 上のそのネイティブアプリで開くことが出来るボタンが追加されたことである。しかしながら、この機能は中途半端なままである。何故ならば、ボタンをタップしてもブラウザー上の書類は閉じられないからである。何を意味するかというと、最初に手動でブラウザーアプリ上の書類を閉じないで、Mac アプリから変更を加えると、衝突警告を受けることになる。

結言 -- Apple は iWork アプリを、ここ数年の間ゆっくりとした速度でアップデートしてきたし、アップデート毎の改善も抑えたものであった。いずれにしろ、この控えめなやり方は、結果的にアプリは安定しており、プラットフォーム間での相互運用の衝突も殆どないことを意味してきた。

更に、iWork '09 が置き換えられた時に失われた機能 (例をあげれば、多く悔やまれた Pages でのリンク付きテキストの消滅) の全てが戻ってきたわけではないが、今回のアップデートはこれらアプリの能力を祖先に近づけてはいる。

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Luminar 一つだけで写真の編集を

  文: Jeff Carlson: [email protected], @jeffcarlson
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

その昔、写真家の大多数が Adobe Photoshop を使って自分たちの写真を編集していた時代、開発者たちの多くは個別の作業に特化したツールを提供しようとして、プラグインを作ったり独立動作のアプリを作ったりしていた。例えば Nik Software の Silver Efex Pro プラグインは白黒画像の作成に特化していたし、Macphun の Tonality アプリケーションも同じ目的のものであった。デジタルノイズの除去により細かな制御をしたい場合や、出来合いの効果を多数施したい場合にも、たいていはその目的に使えるツールを別途購入することができた。

けれども最近になって、写真の編集作業が再びオール・イン・ワン(一体型)のツールへと回帰しつつある。Google は Nik Software を買収して同社のテクノロジーを SnapseedGoogle Photos に組み込もうと開発を進めている。(ただし Nik のツールは引き続き無料で入手可能だ。2016 年 3 月 31 日の記事“Google が Nik Collection 写真編集アプリを無償提供”参照。)また Macphun は新しいアプリケーション LLuminar をリリースして、同社のさまざまの独立アプリを一つのマスターツールの中に組み合わせている。(ここでもやはり、Tonality やその他のユーティリティは引き続き個別販売か、または Macphun's Creative Kit のバンドル販売のいずれかで入手できる。)

Luminar は、(今もまだプロフェッショナルや熱狂的ファンたちのためジャングルに棲む最大のゴリラたる) Photoshop と競争することを意図した、大胆な賭けだ。また、Apple がずっと前に開発を中止した Aperture から未だに移行できていない人たちをも招き寄せようとしている。それと同時に Luminar は Apple の Photos アプリが提供するものを超える画像編集機能を欲しいと思う気軽な写真家たちにもアピールしようと努めている。それに加えて $69 という価格を通じて、Luminar は Adobe が Photoshop の使用に課す月額・年額の購読料金を払いたくないと思う人々の心をも掴もうとしている。

けれども詳しい内容に踏み込む前に、その中核機能について一言述べさせて頂きたい。画像エディタとしての Luminar は、並々ならぬ能力を備えている。色調やカラーを意図する通りに扱えるだけの調整コントロールがすべて揃っている。それらの機能の数々を全部この記事で説明しようとすれば、書く私も読む皆さんも退屈するだけだろう。私がテストした限り、Luminar の編集機能で他のアプリケーションにある機能の働きと食い違う感じがするものは一つもなかった。ツールはすべて揃っている。違いを生むのは、あなたがそれを使って何をするかだ。Aperture、Lightroom、Creative Kit と機能比較をしたい人のために、Macphun が便利なチャートを出している。

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Luminar で最も興味深いのは、それら数多くのツールを使いこなすための手法だ。他の Macphun 製アプリケーションと同様に、Luminar もプリセットを使ったクリック一つでの編集を前面に押し出している。また、個別のツールについて Luminar はすべてを「フィルター」と呼び、それらを「ワークスペース」の中に置く。他の編集アプリケーションもそのような用語を使っているが、Luminar の実行方法は独特だ。

まず初めに免責声明を述べておきたい。2016 年の初めごろ、私は Macphun のために同社の Aurora HDR アプリケーションの短いガイドを書いた。同社は今もこのガイドを購入バンドルに添付して配っている。また、私は Adobe とも契約してチュートリアルやその他の教材資料を制作している。

プリセット -- 私は普段プリセットを軽く見るか、あるいは完全に無視する傾向が強い。これは、私が他のアプリケーションで慣れ親しんだ写真編集のやり方によるところが大きい。画像の見栄えを劇的に変えてしまうプリセットを適用するよりも、自分が撮影した際に見えたものの記憶を頼りに、写真の見栄えをそれに少しずつ近づけて行こうと調整コントロールを手で動かす方が私は好きだ。

けれども Luminar が 60 個ほども取り揃えるプリセットの中には、私の好みに合う微調整の役に立つものもある。例えば Image Enhancer は汎用の「より良くする」ボタンとして働き、Sky Enhancer と Detailed は具体的な目的や修正に対処する。(前者は上部ののっぺりした領域からドラマを引き出し、後者はソフトな画像をシャープにする。)

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しかしながら、自分の写真に定型化された見栄えを適用したいと写真家たちが思う状況はますます一般的になりつつある。Instagram に写真を載せる人たちが自分の写真に統一した独特の見栄えを与えているのもよく見かける。必ずしも実際に撮影したものを忠実に反映する必要はなく、それよりも雰囲気をかもし出すこと、例えばすべての写真をアースカラーの色合いを加えるといったことの方が重要だという考え方だ。Luminar のプリセットはそれぞれに、元の画像にその効果を加えた結果のプレビューを表示するので、どれを施すか選択する前に写真にどんな効果が加わるかの感じを掴むことができる。

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Luminar のプリセットを適用すれば、個々の画像に同じ設定で調整を施す際に大いに時間の節約になる。このアプリはプリセットを六つのカテゴリーに分けている: Basic、Street、Outdoor、Portrait、Travel、Dramatic だ。これらは出発点としては十分だが、自分の既存の設定に基づいて自分用にカテゴリー分けをし直す方が良い。新規のプリセットを作成したり、他の Luminar ユーザーたちとそれを共有したり、他の人が作ったプリセットをインストールしたりするのも簡単にできる。

フィルターで編集 -- 私が Luminar で気に入っている点の一つは、これが執拗なまでに非破壊的なことだ。写真を編集する際に、元の画像のピクセルを実際に変更したいとは思わない。けれども古いソフトウェアで実際に変更をしていたものもあるし、Photoshop に古くからあるコントロールは今でもそれをしている。非破壊的な編集ならば、いつでも手軽に元の状態に戻すことができ、一からやり直してそれまでに施したものとは違った変更を施すこともできる。例えば、色温度を増してから彩度を上げれば、暖か過ぎる写真になってしまうかもしれない。その場合、元に戻って色温度を下げれば、望みの彩度を得つつ暖かさのバランスを保つことができる。

Luminar がこのような柔軟性を達成できたのは、Tone のような基本的コントロールから Adjustable Gradient のような特殊化したものまで、ほとんどあらゆる調整をフィルターという形にしたからだ。(Adjustable Gradient はフレームの上部と下部において露出・コントラスト・活気・暖かみなど複数のタイプの編集を施す。)一つの編集効果を使うには、フィルターを一つ追加する。そのインターフェイス自体の中に個々の効果が何をするかの説明がある。また、Macphun の説明書で個々のフィルターについてもっと詳しい情報を読むこともできる。

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このやり方は他に存在しない訳ではない。Lightroom の編集パネルではいろいろな調整を個別にオン・オフできるし、Photos には(当初 Adjustments パネルで見えていないので)多くの人たちが気付きもしないような追加の調整が備わっている。Luminar はこの考え方をさらに押し進めて、ほとんどあらゆるものをフィルターにした。

このことで、いくつか興味深いオプションが生まれる。例えば一つのフィルターを複製することで一つの効果を複数回積み重ねることができる。あるいは同じ効果を二つ作ってそれぞれ異なる色合いを加えることもできる。また、フィルターがそれぞれ独自のブレンドモードを持つことも可能だが、これは通常レイヤーにしかできないことだ。ブレンドモードはそのフィルターの効果を特定の領域の色または色合いにのみ適用する。例えば、Multiply ブレンドモードは風景からホワイトを取り去ることで、露出の調整をする必要なしに写真を劇的に暗くできる。

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あったらよいのにと私が思うものの一つが、手軽な Auto (自動) オプション、つまり写真の見栄えが良くなるように施せる最良の調整を自動算出してくれる機能だ。これは、私が怠け者であるとかそういうことではなくて(と言っても時にはそれが真実だが)このソフトウェアが何をもって画像の見栄えが良いと判断するのかを私が知りたいと思うからだ。

Lightroom では、私はよく Basic 調整パネルの Auto ボタンをクリックしてそれを編集の出発点とする。時には、私の好みよりも露出オーバーになってしまうこともある。そんな場合、私は好みに合わせて設定を調節するか、あるいは Edit > Undo を選んで一から手でやり直す。

Luminar においてそれに最も近い回避策は、Image Enhancer のようなプリセットを選んで、そこから作業を進めることだ。アプリの名誉のために言っておくと、Tone フィルターにある Smart Tone スライダーを使ってもそれと類似の作業を実行できる。私が自分自身を再教育する必要があるというだけのことかもしれないが、それでも私は Tone に Auto ボタンがあったらいいのにと思う。さらに言えば、どのフィルターにもあればもっと素敵だろう。

ツールとレイヤー -- フィルターに加えて、Luminar には具体的なアクションを実行するツールがいくつか含まれている。Clone & Stamp ツール、Erase ツール (これは Photoshop のコンテンツ対応テクノロジーに似ている)、それに Denoise ツールも、すべて独立動作のモジュールのように働き、画面を占有してそれらのアクションについてのみコントロールを呈示する。

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編集が終われば、例えば Erase ツールを使って風景からオブジェクトを一つ取り除いた後には、Luminar がその編集を新規のレイヤーとして追加する。これもまた、元の画像を尊重して編集を非破壊的にするためだ。他のアプリケーションにおけるレイヤーと同じく、Luminar でもレイヤーを複数個重ねて効果を築き上げたり、編集を特定の領域のみに分離したりといったことができる。

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新たにレイヤーが作られれば、それがツールによるものであろうと手で追加したものであろうと、Luminar のすべてのフィルターをそこに施すことができる。例えば、画像全体でなく写真の一つの部分のみを明るくしたいと思ったとしよう。そのための一つの方法として、新規の調整レイヤーを作成して(これはその下にあるすべてのレイヤーに影響を与える)そこに Tone や Exposure などのフィルターを追加する。次に、Radial Mask ツールを使って強調したい領域の上に楕円状の領域をドラッグし、Invert をクリックすれば調整が丸の中の領域のみに適用されるようになる。そうしておいて、他のフィルターを適用して見栄えを変えることもできる。

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Luminar は 2016 年型 MacBook Pro の Touch Bar に対応している。例えば Clone & Stamp ツールを使っている場合、Touch Bar 上にブラシサイズ用の便利なスライダーが出る。これならいちいちマウスをオプションバーまで動かしてそこでサイズを変えるよりずっと手軽だ。(不等号キーを押してブラシサイズを大きくしたり小さくしたりもでき、これは操作も素早く他の多くの同種のアプリケーションにも見られる標準的なやり方だが、初心者ユーザーに一目瞭然という訳には行かない。)しかしながら、Brush Mask ツールを使っている場合はサイズのスライダーが出ない。こちらでも同等に便利だと思うのだが。なので、Touch Bar 対応はどうやら未完成と思われる。

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ワークスペース -- Luminar の編集体験の最後の要素が Workspaces 機能だ。これはフィルターのモジュラー性を利用して、よく使うフィルターの組み合わせや、特定の状況で使うフィルターの組み合わせを設定しておくものだ。

すべての写真がすべてのフィルターを必要とする訳ではない。例えば白黒画像を扱う場合には、色合いや彩度のコントロールは邪魔なだけだろう。Luminar は、四つの一般的な写真のタイプに合わせたワークスペースを提供し、それぞれの中にその種の画像に使えるフィルターを含めている。B & W、Landscape、Portrait、Street の四つだ。また、使い易さのためにワークスペースを設定することもできる。例えば、自分のお気に入りのコントロールを Filters パネルの一番上に集めることで不要なスクロール作業を減らすこともできる。

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Lightroom プラグインと Photos 拡張 -- Luminar があなたの写真ライブラリを管理しようとしないという事実には注目しておくべきだろう。Luminar はそもそも編集用のアプリケーションなので、私は普通ならそんなことを話題にする気もないのだが、Macphun は将来のアップデートでライブラリ管理の機能も追加したいと言っている。Lightroom や Photos で写真を管理しそこから開いて編集することに慣れている人には、画像ファイルをいちいち別のアプリで編集するなどほとんど古くさいやり方に感じられるだろう。

その一方で、Luminar には Lightroom の Edit In コマンドを使って画像のコピーを Luminar アプリケーションに送信できるプラグインが含まれている。Luminar で作業を終えれば、編集後のバージョンが Lightroom ライブラリに現われる。

写真コレクションの管理に Photos を使っている人は、Photos 拡張を通して Luminar の編集ツールが使える。これにより Photos のインターフェイスの内部に Luminar がロードされ、独立動作のアプリケーションにあるのと全く同じコントロールが提供される。変更を保存した際に、この拡張がその編集内容を Photos ライブラリの中にある画像に施す。

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注意すべきは、Lightroom 用の Luminar プラグインを使うにしても、また Photos の中で Luminar 編集拡張を使うにしても、あとでそこへ戻って設定を調整し直すことはできないという点だ。いずれのやり方でも、その写真に対する最終的な編集結果のみが作成される。Lightroom では、そのコピーがオリジナルと並べてスタック状に置かれる。(Lightroom 写真をグループ分けするためのやり方だ。)一方 Photos では、結果が気に入らなければオリジナルに復帰して最初からやり直すか、あるいは編集後のバージョンにさらに編集を加えるかだ。

それとの比較として、Finder から写真を開いて直接 Luminar アプリケーションの中で編集する場合を考えてみよう。この状況では、オプションとして編集履歴を保った Luminar ファイルの形で結果を保存することができる。こちらの方が編集上の柔軟性が高くなるが、写真を Lightroom や Photos で管理している場合はそれらの Luminar ファイル (ファイル名拡張子 .lmnr が付く) を別途に追跡する必要が生じる。

Macphun が画像管理機能を追加したアップデートを出してくれた暁には(現時点ではただ約束に過ぎず、日程が決まっている訳ではない)少なくとも理論的にはライブラリの中のすべての写真の全編集履歴にアクセスすることができるようになることだろう。現時点での Lightroom で、その内蔵の編集ツールを使えば、まさにそういう使い方ができている。

全てが一体に、一つは全てのために -- 純粋に便利さのためには、すべての編集ツールが手近に揃っている方が、作業場の隅々へ行ってツールを探し回るよりも良い。けれどもあまりにも多くの場合、オール・イン・ワン(一体型)の製品を作ろうとメーカーが試みても、その結果は精彩を欠いたものになるか、あるいはゴチャゴチャし過ぎたものになるかしがちだ。

Luminar は、写真エディタに望まれるものをほとんどすべて含めつつ、ゴチャゴチャし過ぎないという、絶妙なバランスを実現する。Photos にある機能よりもっと多くを望みつつ、Photoshop ほどのフル機能(と高価格)に身を投じたくはないと思う、そんな写真家たちに断然お薦めのパワフルなアプリだ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2017 年 4 月 3 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Tinderbox 7.0.2 -- Eastgate Systems が Tinderbox 7.0.2 をリリースして、Bookends 12.8 や DEVONthink Pro からドラッグした複数個の項目が正しく読み込まれるようにするとともに、Move To Front と Send To Back コマンドを使った際に重なり合った装飾部分が正しく位置取りされるようにした。この個人用コンテンツアシスタントはまた、いくつかの使用事例でパフォーマンスを改善し、メインウィンドウを Command-ドラッグすることによりテキストウィンドウの幅を変えずにメインウィンドウのサイズを変えられるようにし、Note > Create Composites サブメニューに修正を加え、インスペクタを閉じた際にそれまでのインスペクタアクションが取り消せなくなることがないようにし、このアプリのテキスト描画能力を近代化し、macOS 10.12 Sierra の中でタブを復活させている。(新規購入 $249、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、アップグレード $98、30.4 MB、10.10+)

Tinderbox 7.0.2 へのコメントリンク:

Apple Configurator 2.4 -- Apple が Apple Configurator 2.4 をリリースした。学校や企業において複数の iOS および tvOS デバイス上にソフトウェアを配置したり管理したりするための、Mac 用ユーティリティだ。今回のアップデートでは iOS と tvOS で一貫した Prepare ワークフローを導入し、PDF、EPUB、および iBooks Author ブックを iBooks にインストールできるようにし、iOS デバイスを再起動したりシステム終了したりできるようにし、Wi-Fi ネットワークへの参加を制限できるようにし、また 2016 年型 MacBook Pro の Touch Bar への対応を追加している。今回のリリースではまた、tvOS 用にプロファイル・ペイロードと制限を新たに追加した。具体的には Conference Room Display、Single App Mode、Restrict Remote App Pairing、Restrict Incoming AirPlay だ。Apple Configurator 2.4 は今回から macOS 10.12.2 Sierra を要し、iOS 7 かそれ以降で動作する。ただし一部の機能は iOS 10.3 や tvOS 10.2 を要する。(無料、64.2 MB、リリースノート、10.12.2+)

Apple Configurator 2.4 へのコメントリンク:

macOS Server 5.3 -- Apple が macOS Server 5.3 をリリースして、新しい Configuration Profile のペイロード変更や、iOS 10.3 で導入されたコマンド(2017 年 3 月 27 日の記事“iOS 10.3、新しいファイルシステム、Find My AirPods、その他が加わる”参照)への対応を追加した。また、Dictation で制限を設定できるようにし、AirPlay や View Screen の権限設定の変更を制限できるようにし、Wi-Fi ネットワーク接続を管理対象ネットワークに限定し、デバイス上で再起動や、システム終了、Lost Mode サウンド再生ができるようにしている。

macOS 10.12.4 Sierra (2017 年 3 月 27 日の記事“Apple、macOS 10.12.4, watchOS 3.2, そして tvOS 10.2 をリリース”参照) の走る Mac を管理する際に、macOS Server 5.3 は管理者が iCloud Drive、iCloud Desktop と Documents、iCloud Keychain、および対応する Mac のロックを Touch ID を使って外せる機能を制限できるようにした。今回のリリースではまた、キャッシュサーバでキャッシュサイズの制御を強化し、登録時にデバイス名を設定する機能への対応を追加し、学生のデバイス上で AirPlay や View Screen の権限変更を許可できる新しい Classroom 設定オプションを組み込んでいる。

また、macOS Server 5.3 の Profile Manager が tvOS 10.2 で導入された新デバイス管理機能に対応するようになった。管理者は Device Enrollment Program の設定を構成し、エンタープライズ向けアプリをインストールし、Conference Room Display および Single App Mode プロファイル・ペイロードを新たに作成し、AirPlay や Remote アプリとのペアリングを無効にする制限を設定できる。Profile Manager はまた、Apple TV の名前を設定し、それらを再起動し、消去できるようになった。(新規購入 $19.99、無料アップデート、198 MB、リリースノートセキュリティコンテンツ、10.12.4+)

macOS Server 5.3 へのコメントリンク:

Skype 7.49 -- Microsoft が Skype 7.49 をリリースして、検索した連絡先とあなたとの共通の友だちの数を表示できるようにした。このインターネット電話およびメッセージングアプリはまた 2016 年型 MacBook Pro の Touch Bar 上の入力フィールドボタン Send Files、Send Video Message、Send Location、Send Contacts、Emoticon Picker への対応を追加している。(無料、44.4 MB、リリースノート、10.10+)

Skype 7.49 へのコメントリンク:

BBEdit 11.6.5 -- Bare Bones Software が BBEdit 11.6.5 をリリースして、Menus & Shortcuts 環境設定枠に (“高度な”メニューコマンドを隠したり表示したりする) Simple Menus と Full Menus の二つのボタンを追加した。この古参のテキストエディタはまた、TextWrangler からアップグレードする際に BBEdit 専用のメニューコマンドが正しく変換されなかったバグを修正し、検索置換の際に Grep の大文字小文字転換が非 ASCII 文字で正しく働かなかった問題を解消し、一部のシステム上で BBEdit の特権的ヘルパーをインストールする際に問題があったのを修正し、小さなメモリリークをパッチしている。($49.99、無料アップデート、14.0 MB、リリースノート、10.9.5+)

BBEdit 11.6.5 へのコメントリンク:

DEVONthink 2.9.11/DEVONnote 2.9.11 -- DEVONtechnologies が DEVONthink の三つの版 (Personal、Pro、Pro Office) と DEVONnote をバージョン 2.9.11 にアップデートして、クリップされたウェブページや記事を Markdownifier ウェブサービスを利用して片付けるようにした。(これによりサードパーティの Instapaper サービスに依存しなくなった。最近 Instapaper は公開 API をログイン済みのユーザーのみが使えるものにしている。)

三つの版の DEVONthink はいずれも、Evernote や Apple の Notes からのノートの共有を改良し、タブを作成したり閉じたりするコンテクストメニュー項目を追加し、メニューやパネルの中で最近行った先を展開できるようにし、ウェブ表示の中のリンクを Shift-クリックすればそれをキャプチャできるようにし、HTML および Markdown 書類でローカルなリソースの相対リンクを使うようにし、PDF のマークアップ注釈を手軽に追加・削除できるようにし、また macOS 10.12 Sierra での PDF 関係の数多くの問題点を修正している。Pro 版と Pro Office 版ではコンテクストメニューとアクションメニューの Move、Replicate、Duplicate 各項目にお気に入りを追加している。

また、DEVONthink と DEVONnote は著者名を (プレースホルダー %author% により) テンプレートで利用できるようにし、Google Chrome ブックマークの読み込みを改善し、ドイツ語ローカライズ版を更新している。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office 新規購入 $149.95、リリースノート。DEVONthink Professional 新規購入 $79.95、リリースノート。DEVONthink Personal 新規購入 $49.95、リリースノート。DEVONnote 新規購入 $24.95、リリースノートTidBITS 会員には DEVONnote もいずれの版 の DEVONthink もそれぞれ 25 パーセント割引。10.9+)

DEVONthink 2.9.11/DEVONnote 2.9.11 へのコメントリンク:

Safari 10.1 -- Apple が Safari 10.1 を OS X 10.10.5 Yosemite および 10.11.6 El Capitan 用にリリースした。(macOS 10.12.4 Sierra にはこれが既に含まれている、2017 年 3 月 27 日の記事“Apple、macOS 10.12.4, watchOS 3.2, そして tvOS 10.2 をリリース”参照。)今回のアップデートでは Show Downloads リストを独立のウィンドウにドラッグできる機能を追加し、Safari の Smart Search フィールドのコンテクストメニューに Paste と Go を組み込み、裏にあったタブが突然表に出てくることのあったバグを解消している。また、数多くのセキュリティ脆弱性にも対処しており、複数のメモリ破壊の問題や WebKit に関係する検証の問題、HTTP 認証の処理に存在していたなりすましやサービス運用妨害、アドレスバーの偽装などに対処が施された。Safari 10.1 は Software Update 経由でのみ入手できる。(無料、10.10+)

Safari 10.1 へのコメントリンク:

セキュリティアップデート 2017-001 (Yosemite および El Capitan) -- Apple がセキュリティアップデート 2017-001 を OS X 10.10 Yosemite 用と 10.11 El Capitan 用にそれぞれリリースして、macOS 10.12.4 Sierra リリースで施されたセキュリティパッチのいくつかをこれら二つの旧オペレーティングシステムにももたらした。(2017 年 3 月 27 日の記事“Apple、macOS 10.12.4, watchOS 3.2, そして tvOS 10.2 をリリース”参照。)今回のセキュリティアップデートは、悪意を持って作られた JPEG ファイルが任意のコードを実行できてしまう双方のシステムでのメモリ破壊の問題と、ユーザーの機密情報が漏洩する可能性のある El Capitan でのタイミング・サイド・チャネル攻撃問題に対処している。(無料、10.10.5 Yosemite 用は 495.2 MB、10.11.6 El Capitan 用は 700.6 MB、セキュリティコンテンツリリースノート)

セキュリティアップデート 2017-001 (Yosemite および El Capitan) へのコメントリンク:


ExtraBITS、2017 年 4 月 3 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBIT は一件だけだ。Rogue Amoeba の Airfoil ユーティリティを Apple TV で使っている人は、当面 tvOS 10.2 にアップグレードすべきでない。

Airfoil ユーザーは tvOS 10.2 に触るべからず -- Rogue Amoeba の発表によれば、どんなアプリからでも AirPlay 経由でオーディオを送信できる同社のユーティリティ Airfoil は、tvOS 10.2 の走る Apple TV へオーディオを送信できないという。回避策が見つかるまでの間は tvOS 10.2 へのアップグレードをしないようにと同社は顧客たちに勧めている。アップデートをまだインストールしていない人は、Apple TV 上で Settings > System > Software Updates を開いて Automatically Update をオフにすれば自動アップデートを無効にできる。

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日本語版最終更新: 2017年 04月 08日 土曜日 , S. HOSOKAWA