TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1364/10-Apr-2017

先週、Apple は珍しく自らの失敗を認め、2013 年型 Mac Pro が誤りだったとあからさまに述べはしなかったものの、そのモデルの価格を $1000 引き下げ、数年以内には新型の Mac Pro を出すと約束した。もしも Verizon があなたの ISP なら注意しよう。同社が間もなく顧客向け電子メールサービスを廃止するからだ。Josh Centers が乗り換えの方法をいくつか紹介する。Michael Cohen は購読制度を開始してから一年経った TextExpander を検討し、当初は論争があったものの結局はうまく行っているようだと述べる。Adam Engst は macOS 10.12 Sierra の Finder の Go メニューからライブラリフォルダを見えるようにするために押すべきキーにまつわるミステリーを探る。それから、最新の DealBITS 抽選で Letter Opener for macOS Mail が当たるかもしれない。これは Windows ユーザーから届いたメールの中にある厄介な winmail.dat ファイルを自動的にデコードするツールだ。今週注目すべきソフトウェアリリースは、OmniOutliner Essentials および Pro 5.0.1 だ。

記事:

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DealBITS 抽選: Letter Opener for macOS Mail が当たる

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

winmail.dat という言葉を見て、あなたの心は乱れ始めるだろうか? 普段から Windows ユーザーとの間で電子メールをやり取りしている人なら、とっくにこの winmail.dat ファイルにはお馴染みだろう。これは、その電子メールコミュニケーションの重要な諸相を含むことができる、電子メールの添付ファイルだ。Windows 用 Outlook が生成した電子メールは、さまざまの理由から winmail.dat 添付ファイルを作成することがある。それは、ただ単にプレインテキストで見えているメッセージの RTF 版を含むためだけのものかもしれない。けれども winmail.dat ファイルには他にも重要な添付物が含まれていることがある。例えば画像、カレンダーの招待、アドレスブックの連絡先データ、あるいはネストされたメッセージといったものだ。

この winmail.dat ファイルをデコードするには特別のソフトウェアが必要で、そのための最も簡単なやり方が、Creative in Austria の製品 Letter Opener for macOS Mail だ。これをいったんインストールしておけば、macOS の Mail が自動的に winmail.dat ファイルをデコードし、その内容を Mail の内部でネイティブに表示する。ただそれだけの簡単なことだ。

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要するに、受け取る電子メールの中にしょっちゅう winmail.dat ファイルが見えるという人は Letter Opener があると良いということだ。それに該当するならば、賞品となる 5 本の Letter Opener for macOS Mail の一つ (定価 $39.99) が当たることを願って、どうぞ 2017 年 4 月 16 日の真夜中までに DealBITS ページで応募して頂きたい。[訳者注: 応募期間は日本時間では 4 月 17 日(月曜日)の午後 4 時ごろまでです。]寄せられた情報はすべて TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。

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Apple、円筒形 Mac Pro の価格を $1000 値下げ

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple が約束している新設計の Mac Pro が出るのは早くても 2018 年であるが ("Mac の過失です: Apple、Mac Pro の失敗を認め、さらなる透明性を約束" 4 April 2017 参照)、その間、円筒形の Mac Pro を必要とするなら、少々の良い知らせがある:Apple は、その構成に手を入れて、より高い性能をより低価格で提供する

(これらの変更は "スピードバンプ (高速化)" と呼ばれてきたが、我々の意見では、スピードバンプとは、以前にはなかったより高速の CPU の導入を意味する。技術仕様を較べてみると、Apple がここでやったこと全ては、既存の構成で単に価格を下げただけであることは明らかである。)

$2999 の新しい低価格構成は以前の高性能構成の仕様となったので、$1000 の値下げに相当する。変更点は、3.7 GHz quad-core Intel Xeon E5 CPU から 3.5 GHz 6-core Xeon E5 へ、そして dual AMD FirePro D300 グラフィックスプロセッサ 2 GB の VRAM から dual AMD FirePro D500 グラフィックスプロセッサ 3 GB の VRAM への変更である。

新しい $3999 の高性能構成は 3.5 GHz 6-core Intel Xeon E5 CPU から 3.0 GHz 8-core Xeon E5 へと変わった。グラフィックスプロセッサもより高性能となり、dual AMD FirePro D500 グラフィックスプロセッサ 3 GB の VRAM が dual AMD FirePro D700 グラフィックスプロセッサ 6 GB の VRAM に入れ替わった。これらは何も新しいオプションではないし、現行の価格から推定すると、こちらの構成もやはり $1000 の値下げとなっている。奇妙なことだが、これらは既存のオプションであるという事実にも拘わらず、Apple オンラインストアは、この構成は "現時点では入手不可" と報じている。

両モデル共 16 GB の RAM が標準で、低価格モデルでは 12 GB から増えている、アップグレードも 32 GB ($400) と 64 GB ($1200) が用意されている。ストレージはどちらも 256 GB のフラッシュストレージが標準で、512 GB ($200) か 1 TB ($600) へと増やすことも出来る。究極の性能を求めて、2.7 GHz 12-core Xeon E5 CPU ($2000) へとアップグレードする道も残されている。飾り立てられた Mac Pro は依然として驚愕の $6999 のままである!

他の仕様変更は無い。目につくものを挙げれば、Mac Pro は依然として Thunderbolt 2 に依存しているので、LG UltraFine 5K Display の様な新しい周辺機器に接続することは出来ない。6つの Thunderbolt 2 ポート以外には、4つの USB 3.0 ポート、2つの Gigabit Ethernet ポート、そして、1つの HDMI 1.4 ポートの構成は変わっていない。そして、その通り、光学デジタル出力付きの 3.5mm ヘッドフォンジャックも残っている。ワイヤレス側では、Bluetooth 4.0 と 802.11ac Wi-Fi が搭載されている。

これらの改良では、誰も Mac Pro 列車に飛び乗る人はいないであろうが、近いうちに仕事のために追加のユニットを買う必要があるのであれば、同じ金額でより高い性能を入手出来る。多くのデスクワークの職業人向けには、27-inch iMac Retina 5K ディスプレイモデルの方がより賢い選択で、ここ TidBITS でも殆どの人がこのマシンを現在使っている。

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Mac の過失です: Apple、Mac Pro の失敗を認め、さらなる透明性を約束

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

前例のない動きだったが、Apple は業界の著名なジャーナリストを五人招いて、最高幹部の Phil Schiller、Craig Federighi、それに (Hardware Engineering 担当副社長) John Ternus との(公表を前提とした)ミーティングを開催した。招待された五人は、Daring Fireball の John Gruber、TechCrunch の Matthew Panzarino、Mashable の Lance Ulanoff、Axios の Ina Fried と、BuzzFeed の John Paczkowski であった。

議論の話題は何だったか? それは Mac Pro だ。なぜ Apple が Mac Pro のアップデートにこれほど長い時間をかけているのか、はたして Apple はプロフェッショナル市場に力を入れているのか否かが語られた。以下で内容の要約をお伝えするが、その前にまず、上記にリンクした五つの記事のうち少なくとも最初の二つを、つまり Panzarino と Gruber の記事を読むことをお勧めしたい。特にこの二人は、ミーティングで何が語られたかについても、それらの声明が何を意味するかについても、見事な技量を発揮して描き出しているからだ。

一言で言えば、Apple はこれまで決してしなかったことをしてみせた。つまり、公開前提のミーティングの場に記者たちを呼び集め、現行の Mac Pro の設計ミスや失敗点を認めた上で、今年中にはまだ出荷できない新型の pro ディスプレイを伴った新しい Mac Pro について予告するとともに、今後は pro ユーザーたちともっと交流する必要があると言明したのだ。

いいえ、これは決してエイプリルフールの冗談などではなかった。

本質的にこれは、私が記事“Apple が Mac を過小評価していることの理解”(2016 年 11 月 21 日) の中で今や Apple では iOS プラットフォームのみが君臨していると主張したことに対して Apple が反論し、Josh Centers が記事“Apple が Airwalk から学ぶことができるもの”(2017 年 2 月 6 日) の中で pro 顧客を失えばたちまち転落への道を辿るのではないかと指摘したことに対して Apple が素直にそれを認めたことになる。

Apple にとって Mac が今も重要であることを示すために、Phil Schiller は Mac のユーザー基盤がユーザー数 1 億人に近づきつつあり、250 億ドルのビジネスとなっていると述べた。それだけでも Fortune 100 リストに載る資格のある会社とさえ言えるくらいだ。(語られた統計数字の中には興味深いものもあって、Mac の売上げの 80 パーセントがノートブック機、残りの 20 パーセントがデスクトップ機だという。Mac Pro と Mac mini が停滞していることを考えれば驚くには当たらない。)

Apple の重役たちはまた、単刀直入に Mac と pro 顧客こそが重要だと述べた。Schiller は語った。「Mac には Apple の中で重要な、長く続く未来があります。Apple は Mac に深い関心を持っており、Mac を推進し投資を続ける強い意図を持っております。アップグレードやアップデートの中断期間があったとしたら、申し訳なく思います。Mac Pro に起こったことについてもそうです。私たちはこれを置き換えるべく素晴らしいものをお届けできるつもりです。」

Craig Federighi もそれに同調して述べた。「何度も何度も言っていることですが、Mac は私たちの未来に大きな部分を占めています。Mac に大きな投資もしています。」

けれどもこのミーティングの本来の目的は、Apple がこれまで pro ユーザーたちに向けて具体的な行動で示すこともなく何の発表もしてこなかったことに対する pro ユーザーからの反応に応じることであった。Gruber は、いったいどれだけの数の本格的 Mac ユーザーが Mac に対する Apple の全般的姿勢に疑問を持ち始めたかを、とりわけプロフェッショナルの Mac ユーザーたちが何を必要としているのかを、Apple は認識しているのかと質問し、Schiller から次のような返答を引き出した:

それは筋の通った質問ですし、それだからこそ私たちは今日ここに集まったのです。つまり、その疑問にお答えすることが他の何よりこのミーティングの目的です。私たちは、Mac に力を注いでいます。ハードウェアにおいてもソフトウェアにおいても、Mac のために素晴らしい才能を揃えています。未来のために計画中の素晴らしい製品もありますし、地平線に見える限りにおいて、Mac は Apple がお届けするものの中で中核的構成要素です。そこには pro 顧客の皆さんのためのものもあります。

現時点では、Apple には pro ユーザーを安心させるための言葉を届けることしかできない。重役たちによれば、完全に新しく設計された Mac Pro と pro ディスプレイは登場予定だが、今年中には登場しないからだ。だから最短でもあと八ヵ月間 pro たちを Mac プラットフォームに留めておけるためには、コミュニケーションこそが不可欠だ。けれどもオープンであることは Apple の流儀ではないので、今後もこの会社が詳しい情報を明かしてくれるのかどうか、私たちとしても見守って行きたい。

透明性に向けたこの言葉を、明るい兆しだとコミュニティーが受け取ったように見えることで、Apple は心強く感じたはずだ。私たちが非公式に Twitter 上で実施したアンケートの結果によれば、回答者の 75 パーセントはこれが良い知らせだと感じ、少な過ぎる、遅過ぎるとは感じなかったという。(次回にはもう少しアンケート期間を長く取って、もっと多くの人が投票できるようにしたい。)

今回のミーティングで語られた他の意味ある声明をいくつか挙げておこう:

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Verizon、メールサービスから撤退

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

もしあなたの ISP が Verizon で、そして verizon.net メールアドレスをお使いならば、悪い知らせがある:Verizon は、そのメールサービス事業を閉じる予定だと発表した。この動きに影響を受ける TidBITS 及び Take Control 読者は 1100 人以上に達する。(Joe Kissell は Verizon の動きによってもたらされる数多くの問題について "FlippedBITS: 電子メールアドレス変更にまつわる誤解" 4 March 2014 に書いている。)

Verizon は閉じる時期については明らかにしていないが、良い知らせとしては、あなたの verizon.net メールアドレスは使い続けられるであろうということである。

でも、悪い知らせとなる可能性も秘めている:もし Verizon メールアドレスを使い続けるとすると、それは無料の AOL Mail サービスと共に使われなければならない。Verizon は AOL を 2015 年に買収したが、当初はコンテンツを手にいれるだけの話と思われていた。しかし、Verizon は他の使い道も考えていたように見える ("Verizon が AOL を買収" 12 May 2015 参照)。こちらの特典は、Verizon はあなたのメールアドレス、連絡先、そしてカレンダーを自動的に移行してくれるであろうことである。

もし、他のメールホストに乗り換えるのであれば、メールや他のデータを新しいアドレスへ移行する期間は閉鎖までとなる。Verizon は、webmail.verizon.com にログインすると、"Email service notice" が見られ、更なる情報や指示が得られると言っている。Verizon はまた、閉鎖日もそこに掲示すると言っている。

私がお勧めするのは、verizon.net メールアドレスを AOL Mail に移行しておくことで、それを使う積もりがない場合でもお勧めする。こうしておけば、たとえプロバイダーを切り替えた場合でも、AOL Mail に落ちこぼれてしまったメールをあなたの新しいアドレスに転送させることが出来る。これをやるには二つのやり方がある:Techwalla は AOL から転送するやり方を解説しているし、Houston Chronicle は Gmail の POP3 インポートを利用してメールを AOL から直接ダウンロードする方法を記している。後者のやり方は、大抵の他のプロバイダーとも使えるはずである。

もし新しいメールサービスをお探しなら、我々も多少の進言なら出来る。Google の Gmail は自然な選択で、それは TidBITS 出版者 Adam Engst の好みでもある。Gmail は無料で、革新的な機能も提供しているが、Web インターフェースかネイティブの iOS アプリ経由で使うよう意図されている。勿論、Adam の様に、Mailplane を使う手もある。これは Gmail Web インターフェースをネイティブの Mac アプリに包み込んだものである ("禅と Gmail 技術、第四部: Mailplane" 16 March 2011 参照)。もし Gmail に Apple Mail や他の標準の IMAP クライアントからアクセスしようとすると、使っていて予測のつかない経験をするかもしれない。これは、Google が Gmail の IMAP サポートを後になって追加したからである。

Apple の iCloud メールももう一つの自然な選択であるが、Gmail 程機能豊富なわけではない。加えて、iCloud に溜めておくメールが、無料で得られる 5 GB のストレージ容量を超えると、Apple にお金を払ってそれを増やす必要が出てくる。しかしながら、iCloud メールは、Apple 機器との統合の観点からすると他に肩を並べるものはないし、他のプラットフォーム上でも使える。我々自身の Michael Cohen はこれを彼の主メールアカウントとして iTools の時代から使っている。

他の数人の TidBITS 寄稿者と私が使っているのは FastMail, で、これは有料サービスではあるが、Apple Mail との相性も良く、顧客サービスは秀悦で、それに自分固有のドメイン名も使わせてくれる。FastMail は、私の知る限り、iOS 上で IMAP プッシュメールを提供する唯一の non-Apple メールプロバイダーである。FastMail のスパムフィルタリングは Gmail のもの程良くないが、C-Command Software の SpamSieve は素晴らしい仕事をするという。(SpamSieve に対しては、TidBITS 会員には 20% の割引が適用される。)

メール移行につきものの苦労は、既存のメッセージを古いアカウントから新しいものへと移す作業である。GmailFastMail の両方共、このやり方の手順を提供している。Apple Mail を使って、一つの IMAP アカウントの一つのメールボックスから他の IMAP アカウント内の別のメールボックスへとメッセージを手動でコピーする方法で転送することも出来る。我々の経験からすると、この様な転送は通常比較的少数のメッセージの場合は上手くいくが、この様な方法で完全な移行を試みるには、山ほどの世話と、再起動と、そして確認作業を覚悟しなければならない。

メールは複雑な話題であるので、もし将来の記事で我々にもっと掘り下げて扱って欲しい質問をお持ちなら、コメントを通じて知らせて欲しい!

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TextExpander の購読制開始から一年経って

  文: Michael E. Cohen: mcohen@tidbits.com, @lymond
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

この記事を書いている今日で、Smile が Mac 用 TextExpander 6 と iPhone および iPad 用 TextExpander 4 とを導入しつつこれらの新バージョンは無料で入手できるが textexpander.com での有料購読が必要だという爆弾発表をしてからちょうど一年目となる。(2016 年 4 月 6 日の記事“TextExpander 6 Adds Teams and Subscription Billing”参照。)このように購読を強制するモデルは多くのユーザーからの非難の叫びを誘発し、それから数日後に Smile は私たちが記事“Smile、独立版の TextExpander を回復、購読料金を値下げ”(2016 年 4 月 13 日) で説明したような対応を余儀なくされた。全面情報開示: Smile は長年の TidBITS スポンサーであり、私は過去のバージョンの TextExpander にも、また Smile の PDFpen にも解説書を書いたことがある。

TextExpander や PDFpen の解説書を執筆しながら私は Smile と緊密に連絡を取っていたが、この購読モデルについて、また TextExpander をクラウド供給のスニペットライブラリに結び付けることについて、初めて聞いた時には普通の人と同じように驚いた。当時、私は Smile が自らを苦しい立場に追い込んだのではないかと思った。TextExpander クラウドサービスを運営するコストを払うために購読料金を課金しなければならないが、サービスの導入に際して Smile が顧客に提供できるものと言えばアプリを以前より頻繁にアップデートすると約束したり新機能をそれとなくほのめかしたりするくらいではないかと思えたからだ。プランにサインアップしてくれる人たちが、はたして大勢いるだろうか? 文字入力のショートカットを共有することに、はたしてそれほどの需要があるのだろうか?

結局のところ、そういう人たちは大勢いて、十分な需要があった。Smile によれば、TextExpander 顧客ベースのおよそ三分の一が購読サービスに移行したといい、それは Smile がアプリのアップデートを続けられ、サーバを走らせ続けられるだけの収入をもたらした。そして、頻繁にアプリをアップデートする約束は果たされた。Smile はこのアプリの macOS 版に昨年一年間で 17 回のアップデートを供給したが、その前の一年間はたった 7 回だった。

スニペットの共有も、活発になり始めた。チームにも組織にも属していない TextExpander ユーザー用に、現在 textexpander.com ではほとんど 30 個近くのスニペットグループを提供している。中には、変わったテキストショートカットを集めたものもある。例えば、ルネサンスの作曲家たちの名前と誕生日、Apple の登録商標、Keyboard Maestro クリップボード履歴スクリプト、セルフホストされた WordPress サイトの各パートにアクセスするためのものまである。頻繁に更新される TextExpander ブログが新しい共有グループについての情報やヒントをユーザー向けに提供している。

もっと興味深いのが、そしてこれは TextExpander の未来にとって幸先が良いと思われるが、この TextExpander サービスが企業や組織の中でスニペットを共有するチームを作るための管理機能も提供することだ。そのようなチームはよく使うスニペットのライブラリを共有し、TextExpander サービスを一種の安直なコンテンツ管理システムへと転化する。それを使うことにより、例えば顧客サポートチームの全員が textexpander.com にホストされたサポート書類にアクセスでき、文字通り指先でたちまちリンクできる。Smile の報告書によれば、典型的なチームは 12 人程度から成るが、そのようなチームが 1000 人近いメンバーを持つ別のチームをホストできる。Smile の TextExpander サービスの企業利用の魅力は、Windows 版 TextExpander の導入が成功したことによりさらに増している。

そうしたことすべてが、TextExpander の実用性によって駆動される。Smile は、企業内チームのメンバーがこのサービスを使うことで一般的に毎月 4 時間程度節約できていると予想する。積極的に TextExpander を使うユーザーならば節約できる時間がその倍を超えることも珍しくない。つまり、丸々一就業日相当が毎月節約できることになる。

その一方で、シングルユーザー、非購読版の TextExpander も引き続き販売され、ホストされたスニペット共有サービスに興味のない人たちの必要をも満たせるようになっている。ただ単純にそんな機能は行き過ぎだと思う人もいるし、クラウドにコンテンツを保存するのは主義として嫌だ、あるいは機密上の理由から無理だという人もいる。

導入時に障害が多かったことは紛れもない事実だが、どうやら Smile はすると決めたことを成し遂げたようだ。購読ベースのソフトウェアユーティリティを適正な価格で提供し、基盤構造とホストされたコンテンツを開発することを通じてそれを個人にも企業にも魅力的なものへと成長させた。

そしてまた、各種生産性アプリの購読サービスが確かに定着しつつあるように見える。TextExpander は、Adobe Creative Cloud、Microsoft の Office 365、AgileBits の 1Password Teams/Families、それから MacPaw から新しく出たマルチアプリサービス SetApp、といったものたちの列に加わった。購読は必ずしもあらゆる状況で相応しいやり方とは言えないが、新規売上げと(ほんの時々の)有料アップグレードのみに依存するモデルに特徴的な収入の急激な増減から逃れて、ソフトウェア会社が毎月継続的に収入を得られることの有用性を示していることは確かだ。

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Library の犯人は Shift キーだ!

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

私は上質なミステリーが大好きだ... 謎が解決される限りは。Library が修飾キー (訳者注: キーの入力や機能を変えるために併用するキー) を変えてしまった事件によって、私はしばらく途方に暮れていたが、ありがたいことに、私たちの親友である Rob Griffiths が、この問題を解決してくれた。

OS X 10.7 Lion から、Apple は、ユーザーが Library に余計な手出しをしたり、問題を引き起こしたりしないようにするために、ホーム・フォルダの Library フォルダ (~/Library) を隠してしまった ("Lion の隠れた Library に対処" 2011 年 7 月 20 日参照)。これがよい手立てであったかどうかに関する疑問については、私たちは、差し当たり、無視することとする。このフォルダにアクセスするには、Option キーを押下したまま、Finder で、Go > Library を選択しなければならなくなった。私たちの多くがそうであったように、もしあなたが、こうしなければならないために、十分イラついていたのであれば、Finder のウィンドウ内で、~/Libraryフォルダが、ずっと現れたままになるようにするための Terminal コマンドがあり、あなたは、それを実行することができた。

(macOS には、複数の Library フォルダがあることを覚えておいてほしい。~/Library は、ホーム・フォルダにある Library フォルダである。奇妙なことに、Apple は、/Library/System/Library は、ユーザーから見えるようにしている。ユーザーがこれらのフォルダをいじりまわすことは、まず無いにも関わらず。)

OS X 10.11 El Capitan では、Apple は、私たちユーザーが ~/Library で、あえて、十分に作業できないようにすることは少々手控えた。そして、ホーム・フォルダ用の View Options ウィンドウに、Show Library Folderというチェックボックスを加えた。このチェックボックスは、ホーム・フォルダが、最前面にある Finder のウィンドウに表示されている時にのみ 現れる。そして、カラム・ビューになっている場合には、ホーム・フォルダ内で、あるフォルダを選択する必要があるかもしれない。このチェックボックスを選択すると、~/Library が Finder のウィンドウに現れるが、Option キーも押下しない限り、Library は Go メニューには現れない。macOS 10.12 Sierra では、Apple は、チェックボックスを選択すると、Library が Go メニューにも現れるようにしたし、10.12.3 では、キーボード・ショートカット、すなわち、Command-Shift-L も加えた。

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だが、Sierra は、物事が型破りになり始めた場所でもある。私を含む多くの人にとって、昔の Option キーの技が、Sierra では動作しなくなってしまったのだ。これは、私にとっては問題ではなかった。なぜならば、私はずっと前に、自分の ~/Library フォルダについては、常に現れるようにしてしまっていたし、Finder の Go メニューは滅多に使っていなかったからだ。だが、私は、Option キーを押しても、Library メニュー・アイテムが現れなくなったということに実際に気付いた。そして、Kirk McElhearn がブログの投稿で、Sierra のマイナー・アップデートの一つで、このキーが、いかにして Shift キーに変わったかについて書いてくれた時、私は、その投稿を見つけて嬉しく思った。実に、Shift キーが、今や、Library フォルダを Finder の Go メニューに示すために機能するようになったのである。

私はこれ以上探求しなかった。なぜなら、Kirk の解決策は私にとって有効であったし、Option キーの技が無くなったために、Tonya は混乱していたが、それも同様に解決されたからだ。私は、この小洒落た技を共有しようと思って、Take Control の読者に、電子メールで、この事を簡潔に述べた。まさか、私が厄介な問題の詰まった缶の蓋を開けていたとは、ほとんど気付きもしなかった。

何人かから、彼らの場合、Shift キーは動作せず、Option キーが引き続き有効だと言う返事が返って来た。Lauri Reinhardt、彼女は、Take Control のサポート業務をしてくれているのだが、その彼女が、そうしたメッセージを私に伝える前に、テストを行ってくれた。彼女は、最初はShift キーが機能するものの、View Options ウィンドウで Show Library Folder チェックボックスを有効にすると、Shift キーを押しても、Library が Go メニューに現れなくなり、Option キーが再び有効になることを見出した。その後は、何をやっても、Shift キーを再び有効にするために、彼女ができることはなさそうであった。私は、自分の iMac と MacBook Air のどちらも、Shift キーが依然として有効であることを確認し、iMac でチェックボックスを有効にした。そして、まさに Lauriが見出したことを私も目の当たりにした。テストした新しい環境では、Option キーが、やはり実際に正しいキーであることが示されていたが、なぜ、最初のうちは Shift キーが正しいキーだったのだろうか? これはおかしい!

私は途方に暮れて、それで、Kirk の投稿から Michael Tsai の最初のTwitter のスレッドまで遡って行き、それから、リンクを辿って、この状況を説明している Rob Griffiths の投稿にたどり着いた。

Rob の発見は、Finder を再起動する (Finder の Dock アイコンをControl-Option-クリックし、Relaunch を選択する) と、Shift キーがOption キーに取って代わるという奇妙な状況に Finder が陥るということであった。私も同様に、これを再現することができた。二重に奇妙なことに、この状況は、再起動した後でも変わらなかった! これはバグであって、Robはこれを報告した。なので、私たちは、これがmacOS のアップデートで、将来修正されることを願っている。

この奇妙な Finder の状況 (これは、Sierra のベータ版にまで遡るかもしれない) は、Finder を再起動するということ以外の方法でも引き起こされる可能性があるのではないかと私は疑っている。Finder を、Activity Monitor の中から終了する、あるいは、強制終了するといったことでは、この状況は引き起こされないようだ。だが、Finder を通常とは異なる状況に置くことになるかもしれない他のシナリオを、私は想像することができる。例えば、カーネル・パニックや、Mac の電源切れといったようなものだ。長年使っていれば、多くの人に、これに類したことが起こるのは、容易に分かるであろう。

ともあれ、この小さなミステリーの現実的な結末は、以下のようなものだ。

最後に、なぜ、~/Library で作業したいと思うのだろうか? 多くの理由があるが、2012 年に、Ted Landau は、Library フォルダを訪れる上位 6 つの理由について、Mac Observer に記事を書いた。この記事は古いが、本質的には今でも正しい。Ted が言うように、~/Library のファイルに関して、もし、あなたが、自分が何をやっているのか分からないのであれば、それをいじくり回したりしないことだ。そうすることによって、本当に問題を引き起こす可能性がある。まずは、バックアップしていると、常に確信を持つことだ!

(訳者注: この記事の原文タイトルは、"Colonel Mustard in the Librarywith the Shift Key" ですが、訳者は、これを、「Library の犯人は Shiftキーだ!」と訳しました。以下、その背景を説明したいと思います。Colonel Mustard (マスタード大佐) は実在の人物ではなく、Cluedo という推理ボードゲームに出てくる登場人物の一人です。詳細は、Wikipedia をご覧ください。このゲームでは、犯行舞台の屋敷の中を、プレーヤーが犯人を捜して回るのですが、途中、犯人が分かったら、例えば、"Colonel Mustard in the study with a candlestick!" のように、「Colonel Mustard + 犯行場所 + 凶器」を宣言するそうです。で、なぜだか分かりませんが、Cluedo には他にも様々なキャラクターがいるにも関わらず、Colonel Mustard が「お約束」になっていて、しかも、この台詞は人口に膾炙していて、映画やテレビドラマにも時折出てくるくらい有名なもののようです。)

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2017 年 4 月 10 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

OmniOutliner Essentials および Pro 5.0.1 -- The Omni Group が OmniOutliner 5 をリリースした。このアウトライン作成および情報整理アプリのメジャーなアップグレードで、二種類のバージョンに分割するとともに双方とも値下げするという新たなやり方を導入している。従来標準版と Pro 版があったが、OmniOutliner Pro 5 が Pro という名称を(またバージョン 4 のすべての機能も)引き継ぐ一方、OmniOutliner Essentials が従来の標準版に代わるものとなる。詳しくは Omni Group のブログ記事をご覧頂きたい。

スリム化された最小主義の OmniOutliner Essentials は、サイドバーやパネルをなくしたのでコンテンツそのものに注意を集中させることができる。また、フルスクリーンモードへ切り替えた際にツールバーを隠す Distraction-Free (気が散らない) モードもある。クリーンでモダンな一連のテーマが付き、単語数や文字数のカウントなど書類情報を表示し、HTML 書き出しフォーマットを改良し、2016 年型 MacBook Pro の Touch Bar への対応を追加している。さらに、Pro 版で作成された書類は Essentials でもフルに見ることが可能だ。(Pro コンテンツをすべて削除した形で読み込むオプションもある。)

OmniOutliner Pro 5 は Essentials 版の機能すべてを含むのに加えて、異なる基準(カラム値、ステータス、ノートのコンテンツなど)に基づくフィルターを保存でき、パスワードで暗号化した書類 (AES-256 暗号化を使用) に対応し、キーボードショートカットのカスタマイズ、Microsoft Excel と PowerPoint への書き出し対応などの機能も持つ。双方のバージョンとも、また iOS 用 OmniOutliner のバージョン 2.10 も、サードパーティのクラウド同期プラットフォームへの互換性を増した新しいファイルフォーマットを備えている。

OmniOutliner Essentials の価格は $9.99 で、従来の標準版の $49.99 から大幅に値下げされた。過去のどのバージョンの OmniOutliner からでもたった $4.99 でアップグレードできる。OmniOutliner Pro も値下げされて、従来の価格 $99.99 が $59.99 になり、過去のバージョンからのアップグレードは $29.99 となった。OmniOutliner 5 は Mac App Store から無料でダウンロードでき (2 週間は無料で試用可能) Essentials と Pro の機能のロックをそれぞれ $9.99 と $59.99 で外すオプションがある。(Essentials の新規購入 $9.99、Pro の新規購入 $59.99、アップグレード $4.99/$29.99、26.6 MB、リリースノート、10.11+)

OmniOutliner Essentials および Pro 5.0.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2017 年 4 月 10 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、AT&T が HBO を人参のごとく利用して TV とセルラー双方の購読者を呼び込もうとし、YouTube が独自の TV サービスを展開し始め、Comcast がセルラー市場に参入することになり、開発会社 Panic がプロフェッショナル向けの iOS ソフトウェア市場に対する懸念を表明する。

AT&T、無制限データプランのボーナスに HBO を追加 -- 無制限データプランを巡る競争はますます激化する。AT&T が、同社の Unlimited Plus ワイヤレスプラン顧客が AT&T 所有の TV サービス、つまり DirecTV、DirecTV Now、U-Verse などを購読していれば、無料で HBO も利用できるようになると発表した。それに加えて、HBO のストリーミングは 22 GB のソフトバンド幅上限に算入されないという。さらに、Unlimited Plus の顧客は上記の TV サービスで毎月 $25 の返金が受けられるという。AT&T のサービス区域に住んでいる人にとっては、無制限モバイルインターネット、TV サービス、HBO をまとめて利用すればかなりお得だと言える。(HBO は通常それだけで月額 $15 ほどもかかる。)

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YouTube TV、一部の都市地域で展開 -- Google が約束していたストリーミングサービス YouTube TV が、少なくとも Chicago、Los Angeles、New York City、San Francisco Bay Area の各地域で実現された。月額 $35 払えば、メジャーなテレビネットワークのローカルチャンネルも、人気のケーブルネットワークも視聴可能となる。従来型のケーブルテレビと同様、たいていの番組に広告が入る。最初の一ヵ月は無料で、最初に料金を支払うと Google が無料で Chromecast を提供してくれる。YouTube TV には六つのアカウントが含まれるので、家族がそれぞれに自分のクラウド録画ライブラリを持つことができる。興味深いことに YouTube TV は主としてモバイル視聴を扱うようになっているが、Chromecast を使ってテレビ画面で視聴することもできる。私たちが非公式に Twitter 上で実施した TV ストリーミングサービスに関するアンケートの結果によれば、DirecTV Now、PlayStation Vue、Sling TV といったものよりも YouTube TV に興味を持つ人の方が多かった。

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Comcast、2017 年中にセルラーサービスを提供 -- 皆のお気に入りのケーブルテレビとインターネットのプロバイダ Comcast が、新しい Xfinity Mobile サービスで米国のセルラーキャリアに算入すると発表した。Xfinity Mobile は Verizon のネットワークを利用して、2017 年中ごろまでに月額 $65 で無制限のデータ、通話、テキストを提供する。Xfinity X1 の最上位パッケージの購読者は月額 $45 でこのサービスを利用できる。サインアップできるのは Comcast の現行のサービスを利用している顧客に限られ、当初は Xfinity ブロードバンドサービスの利用者に限られるという。私たちは当初、AT&T による買収を FTC に認められなかった T-Mobile からの競争が最近の無制限ワイヤレスプランの高まりの原因になったと述べたが、Comcast のプランを内部情報として知っていればまた別の説明がついたかもしれない。

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Panic が iOS のプロフェッショナル市場を語る -- ソフトウェア開発会社 Panic が同社の 2016 年報告書を公開した。同社の始めてのゲーム Firewatch のお陰でこの年の業績は素晴らしかったが、共同創設者 Cabel Sasser は「iOS は依然として私たちの悩みの種だ」と述べた。Panic は昨年 Status Board アプリの開発を打ち切ったが、iOS 上のプロ向けのアプリに大きく投資したにもかかわらず、今や同社は再び macOS に焦点を戻そうとしている。報告書の中で Sasser は次のように記している。「iOS 上で macOS と同程度の品質の仕事を仕上げようと努めても、多大な時間を費やした割には悲しいことに大して見返りがない。」これは Apple にとって厄介な知らせだろう。過去二年間、Apple はプロフェッショナル向けプラットフォームとして iPad を押し進めてきたのだから。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2017 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

日本語版最終更新: 2017年 04月 15日 土曜日 , S. HOSOKAWA