TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1374/26-Jun-2017

毎年恒例の SummerFest セールで、15 個の素晴らしい Mac アプリとすべての Take Control ブックが 2017 年 6 月 29 日まで 25 パーセント割引になる。Virgin Mobile USA は iPhone 専用のキャリアとなり、最初の一年間のサービスが $1 というほとんど信じられないような契約を提供するが、この Apple と Virgin Mobile の提携は何を意味するのだろうか? 実用的な話題に戻って、Josh Centers があなたをドライブにお誘いして奇妙な形の iPhone 用カーマウント TechMatte MagGrip CD Slot の使い勝手をお見せする。また、Josh は新居を購入する際にブロードバンドアクセスを確保する方法を説明する。今週注目すべきソフトウェアリリースは LaunchBar 6.9、Aeon Timeline 2.2.3、それに Airfoil 5.6.1 だ。

記事:

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SummerFest セール、Take Control 本と 15 の Mac アプリが 25% 引き

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Take Control をコントロールしているのは Joe Kissell かもしれないが ("Take Control Books、Joe Kissell が買収" 1 May 2017 参照)、我々としても TidBITS 読者が現在行われている SummerFest セールのことを知らないでいることなどない様にしておきたい。このセールでは、全ての Take Control タイトルと数多くの独立系開発者からのアプリが 25% 引きとなる。この SummerFest を取り上げるタイミングが遅くなってしまったので、参加する開発者達は、その SUMMERFEST2017 クーポンを Thursday, 29 June 2017 迄有効とすることに合意してくれた。

Joe が先月肩代わりして以来、彼と Take Control チームは3冊の新しい本をリリースした:

SummerFest に関して私が最も好きなのは、広告宣伝費をあまりかけられないソフトウェアメーカーによる協業である。一緒にやることで、個々の寄与の合計を上回るものが達成出来る。SummerFest セールで 25% 節約出来るソフトウェアを挙げると:

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Virgin Mobile、Apple と提携、iPhone のみで 1ドルのサービス

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

契約無しの携帯電話会社である Virgin Mobile USA からビッグ・ニュースだ。同社は Apple と提携し、初めての iPhone だけの通信事業者となった。そして、同社は、ほとんど話がうま過ぎるとしか思えないような取引を提供している。

iPhone を購入して、Virgin Mobile の Inner Circle サービスに申込むと、6 ヶ月間のサービスが、たったの 1 ドルで手に入る。これを 2017 年 7 月31 日までに行なうと、まるまる 12 ヶ月間のサービスが 1 ドルで手に入る。一つ条件がある。自分の電話番号を、Virgin Mobile に移さなければならないのだ。現行の Virgin Mobile ユーザーで、iPhone にアップグレードする人も、このオファーを利用することができる。

プロモーション期間後は、AutoPay を申し込めば、サービス料金は、月 50ドルとなる。これには、無制限の通話、ショート・メッセージ、および、4G LTE データ通信が含まれる。だが、データ通信の使用量が 23 GB に達した後は、通信速度が絞られるかもしれない。しかしながら、Virgin Mobile は、動画のストリーミングは、480p までの解像度に、音楽は 500 Kbps に、そして、「ストリーミング・クラウド・ゲーム」は 2 Mbps までに「最適化」されていると述べている。2 年後、もし、新しい iPhone を買えば、月 50ドルのサービス料金は、6 ヶ月間、1 ドルに戻る。同社は、国際通話プランを月 5 ドルおよび 10 ドルで提供している。どちらにも、データ通信は付いていないようだ。

Virgin Mobile は、現行 iPhone のフル・ラインナップを提供している。だが、一台分の料金を最初に支払う必要がある。残念ながら、Apple のiPhone Upgrade Program は、Virgin Mobile には適用されない。少なくとも、今のところは。しかしながら、iPhone を所有するための安上がりな入口を探しているのであれば、Virgin Mobile から、iPhone SE を、たったの 279.99 ドル (Apple 価格から 120 ドルの割引) で、あるいは、iPhone 6を 319.99 ドル (Virgin Mobile のカタログ価格から 130 ドルの割引。Apple はもはや iPhone 6 を販売していない。) で買うことができる。だが、Apple から iPhone の現行機種を買うことも、もしそうしたければできるということを、Virgin は明らかにしている。

2017 年 9 月 30 日までに入会した Inner Circle の会員は、Virgin の他の事業からの特典も受けられる。

何が問題点だろうか? 大きなものは、Virgin Mobile USA を所有しているのがSprint なので、とりわけ二流の Sprint ネットワークに固定されてしまうということだ。加えて、割引のある年でも、政府が命じる税金と料金のために、支払いは 1 ドルを少々超えることになる。そして、最後に、Virgin MobileUSA の国際データ通信の話は、良く言っても不透明で、おそらく存在すらしていない。その他の点では、よくある但し書き以外に、主要な了解事項は何もなさそうだ。

だが、この取引には、当初表に現れている以上のものがあり、こちらの方が、年間 1 ドルの携帯電話サービスよりも大きなニュースになる可能性さえある。

通信事業者としての Apple? -- 噂によれば、Apple は、通信事業の競争に参入するであろうということが、長年示唆されてきた。Steve Jobs が、iPhone を自社の通信事業の上で走らせたいと思っていたのは有名な話だ。

私が Virgin Mobile のプレス・リリースを掘り下げたところ、Virgin Group創始者の Richard Branson からの、こんな引用が見つかった。

「Virgin Mobile は、自分たちのサービスを Apple ストアで販売する最新の携帯通信業者になるため、Apple と仕事をしてきた。そして、常に旋風を巻き起こし、私たちが参入するいかなるセクターにおいても、現状の体制に挑戦することを目指してきた。」と Branson は語った。「携帯も例外ではなく、Virgin Mobile USA について、私たちは今、新しい Inner Circleプランのための説得力あるオファーを創り上げるために、Apple と共に働いている。」

要するに、Virgin は、iPhone だけの携帯電話会社になるために、Apple と協業したのだ。Apple の Worldwide Marketing の Senior Vice Presidentである Phil Schiller も、プレス・リリースで、同様の趣旨を述べている。

「私たちは、Virgin Mobile が iPhone だけの最初の携帯電話会社になることに、ワクワクしている。そして、Virgin Mobile のサービスを Apple ストアで、私たちの顧客に直接提供できることにゾクゾクしている。」

つまり今では、Apple は、四大通信事業者に加えて、Virgin Mobile も、同社の店で、公式オプションとして提供しようとしているということだ。最終的には、これは iPhone Upgrade Program にまで拡張される可能性があり、そうなれば、iPhone を AppleCare+ 付きで Apple から直接リースで借りて、毎年アップグレードする資格が得られることになる。だが、iPhone Upgrade Program のユーザーにとって、Virgin Mobile は、まだ選択肢にはなっていない。

評論家は、Apple が通信事業者になる道には、二つの障害があるのではないかと長いこと考えてきた。すなわち、たとえ、もっと大きな通信事業者からリースで借りるとしても、インフラには途方もなく費用がかかること、そして、仮に Apple が主要な通信事業者と競合することになれば、Apple のiPhone 事業には制限が加わる可能性があるということだ。

だが、Apple は、実質的に通信事業者 (実際には、通信事業者所有の MVNO、すなわち、Mobile Virtual Network Operator) を取り込むことによって、通信事業者を買収することなく、こうした懸念を回避した。Apple は、Virgin Mobile を所有していないかもしれないが、Virgin Mobile は、今では Apple に完全に依存しており、Apple Store での販売促進を通じて利益を得るであろう。

私たちは、この取引について、あまりにも多くのことを読み取るべきではないが、控え目に言っても、Virgin Mobile のような会社が iPhone に全てを賭けるというのは滅多に見られないことだ。そして、Virgin Mobile は、Apple が MVNO 事業を試しにやってみるという方向を示しているのかもしれない。

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風変わりだが効果的な iPhone カーマウント

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

我々多くの者にとって iPhone は今や常に忠実な友であり、これは運転中でも変わらない。これには良くない点もある - 多くの運転者が道よりも iPhone に注意を払う羽目となる。(Apple は、次に予定されている Do Not Disturb While Driving 機能でこれを正そうとしている - "iOS 11、多くの細かな点で賢くなる" 5 June 2017 参照)。しかしながら、iPhone は車中でも、GPS ナビ、音楽、そしてポッドキャストには欠かせない役目を果たす。

安全に使うためには、iPhone が見やすくかつ動き回らないよう固定する場所が必要である。私も、これまで幾つかの異なるマウントを試してきたが、気に入ったものには出会えなかった。

私は最近 "新しい" トラックを買ったので、これに電話用マウントを取り付けることとした。この様なものを見つける時、私は通常 Wirecutter に依存する。何故ならば、彼らは通常全ての選択肢を総合的に比較してくれるからである。しかし、スマートフォン用のカーマウントに対する彼らの選んだ選択肢には多少懐疑的であった。それは TechMatte MagGrip CD Slot というもので、現在 Amazon では、凡そ $11 で売られている。

その詳細については、引き続きこの記事を読み進めるか、或いは、私の TechMatte MagGrip CD Slot ビデオ概要を見るかして欲しい。

TechMatte MagGrip CD Slot -- 率直に言って、TechMatte MagGrip CD Slot は、風変わりなスマートフォンカーマウントである。多くのカーマウントは、ウィンドシールドやダッシュボードに固定するために吸盤を使ったり、空気吹き出し口にクリップで取り付けたりする。TechMatte は MagGrip の空気吹き出し口版も出している。しかしながら、MagGrip CD Slot は、その名が示す通り、車のステレオ用の CD スロットを使って固定する。勿論、あなたの車にはそれが付いているとしての話ではあるが。MagGrip CD Slot のブラケットをスロットに挿入し、ノブを締めて固定する。もし、CD を聞きたければ、そのノブを緩めて MagGrip を取り外せばよい。

この MagGrip のもう一つの風変わりな点は、iPhone のそれへの固定方法である。受台を使う代わりに、MagGrip は強力な磁石に依存する。これには2枚の小さな金属板が付いてきて、それを電話の裏側に貼り付けるか、可能であれば、電話とカバーの間に滑り込ませる。私は1枚を私の iPhone のケースの内側に入れ、そしてもう1つを妻にやった。

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誤解の無い様に言っておくと、MagGrip のために、あなたの iPhone に磁石を取り付ける必要はない。磁石はマウント自身に埋め込まれており、iPhone かケースにはそれにくっつくための金属板があれば良い。磁石を iPhone に近づけて置くことによる悪影響について私は何も経験していないが、オンライン上では、方位計、NFC 通信、或いは光学式画像安定機構に影響を及ぼす可能性が言及されている。もし皆さんで何か問題に気づかれた人は、同じことが MagGrip の金属板無しでも起こるのかどうか確かめて見て欲しい。

CD スロットを使って固定することで、MagGrip は iPhone 画面をほぼ最適の場所に位置させることになる - 見やすいが、あまり気をそらさない。

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方法はかなり風変わりだが、MagGrip は驚く程よく機能する。CD スロットに固定するためのノブの他に、もう一つのノブが磁石の位置を固定するためにある。それを弛めにしておいて iPhone 画面の角度を変えやすくして置くことも出来るし、或いは、私の様に緩衝器がへたった車で悪路を運転するのであれば、しっかり締めて固定して置くことも出来る。

実際に、私はこの磁気マウント方式にすっかり惚れ込んでしまった。自分の iPhone をその上にポンと置くだけで出発進行となる。今や私の Toyota に取り付けてある今まで使っていた受台に嵌めるのはイライラが募る。私は MagGrip をもっと買い足したいと思っている。

欠点 -- 不幸にして、もしあなたの車にスロットのある CD プレーヤーが付いていなければ、MagGrip は使えない。そして、CD プレーヤーは自動車の世界では、比較的短い寿命しか持たなかった:mid-1990 から数年前迄で、それ以降は補助入力と Bluetooth 接続に置き換えられた。

TechMatte は TechMatte MagGrip Air Vent も出しているが、私は使ったことがない。しかしながら、私は通常吹き出し口マウントはお勧めしない。それは貴重な空気の吹き出し口を塞ぐし、それに冬季には、吹き出し口を完全に閉じられない限り、熱い空気があなたの iPhone の電池を直撃するので、電池寿命を短くしたり、過熱状態に導くことになりかねない。

そして、もし iPhone にケースを用いていないならば、そもそも磁気マウントをお勧めするかは定かでない。私は私の iPhone ケースに金属板を滑り込ませるのは厭わないが、背面に金属スティッカーをペタッと貼るのは気が進まない。とりわけ、私の場合、電話機は Apple から iPhone Upgrade Program を通じてリースしているせいでもある。

最後に、Amazon のコメントでも言われ、TechMatte も認めている一つの潜在的に重大な欠点がる:焼けつく様に暑い日には、CD スロットの中でプラスチックが融ける可能性がある。しかしながら、ここ Tennessee でも結構暑くなることがあるが、私はこの現象に遭遇したことはない。この夏は、安全を考えて、使っていない時はこれを取り外しておく様にしようとは思っている。

しかし、私はこの風変わりなカーマウントをとても気に入っているので、多少の危険は承知で使い続けたい。磁石一個で iPhone をきちんと保持できるか心配だ? 私が悪路を運転するビデオを見て、ご自身で判断して欲しい。

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新居購入の際に高速インターネットアクセスを確保する方法

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

結婚してからずっと、妻と私はテネシー州の小さな町の小さな家に住んでいた。数年前に Macworld/iWorld でサンフランシスコを訪れて以来、私たち二人はもっと良い環境に引っ越したいものだと真剣に考え始めた。(2014 年 4 月 9 日の記事“初めての Macworld 体験記... 2014 年版”参照。)けれども少し調べただけで、テクノロジーの本拠地に引っ越すのは到底実現不可能だという現実が見えてきた。私たちの仕事のこともあるし、西海岸のべらぼうに高い不動産価格のこともある。

それでもやはり、小さ過ぎる家に住み続ける訳には行かなかった。そこで私たちは、大都市に引っ越すのが無理ならちゃんとした田舎に引っ越そうと決めた。これまで住んでいた小さな町は段々制約が多くなっていた。ニワトリを飼うことさえできないって、何てこった! それに、私たちの小さな息子には森の中でのびのびと遊べる環境が欲しい。何年も探し回った結果、私たちはついに自分たちの予算で手の届く、しかも感じの良い不動産を見つけた。ただ、大きな疑問の一つは、果たしてここで適切なブロードバンドアクセスが得られるのか否かという問題だった。21 世紀に住む多くの人たちにとって高速のインターネットアクセスはますます電気や水道と同等に必須なものとなりつつあるし、そもそも私の TidBITS での仕事のためには絶対的に必要だ。インターネットがなければ、この家を買うことはできない。

不明確なブロードバンドアクセスの危険 -- 皆さんも、引越ししようという際には、ブロードバンドへのアクセスがあるかないかが重要な検討事項になるだろう。でも、不動産業者が紹介する家のリストには往々にしてその情報が抜け落ちている。大都市に住む人たちはいったいなぜそんな大騒ぎをするのかと首を傾げるかもしれないが、私の記事“ネット中立性が米国ブロードバンドの苦悩に影を落とす”(2015 年 2 月 19 日) にも書いたように、米国におけるブロードバンド普及の現状は特に田舎では悲惨な状況にある。

家を購入する前に高速インターネットアクセスがあるかどうかを確認するのは時として難しい問題となる。Seth Morabito の有名な体験談をご存じだろうか。彼は、ワシントン州 Kitsap 郡で家を購入しようとして、購入の交渉に入る前から、あらかじめ Comcast に問い合わせてサービスが通じているかどうか尋ねた。Comcast はアクセスがあると答えたが、これが真っ赤な嘘だった。家にケーブルを敷いてもらう工事に $60,000 払わなくてはならない事態に直面した彼は、CenturyLink に問い合わせて DSL が使えるかどうか尋ねたが、その地域は「恒久的不毛地帯」だ、DSL を実現しても顧客が増える見込みがないから、というそっけない答しか返ってこなかった。また、近隣の誰かとワイヤレスかネットワークで固定二地点間通信をセットアップすることもできなかった。

Morabito の体験談は広く報道されたが、その後彼がハッピーエンドを迎えたことを伝えたメディアは少なかったようだ。彼は、Kitsap Public Utility Commission に相談し、後になってそこから光ファイバー接続を良心的な価格で使わせてもらえるようになった

ブロードバンドアクセスを確実にする手段 -- Morabito の物語が良い結末を迎えたのは素晴らしいけれども、この話は新居にブロードバンドサービスがあるか否かを確認するのがどれほど難しいかを示している。具体的な確認の方法をいくつか例示しておこう:

残念なことに、私が購入しようとしていた家は 2011 年以来空き屋になっていた転売住宅だったので現在の家主に尋ねても意味がなく、ISP の答は正しかったのだけれども(私は引越しの前に近所の人たちに会う機会がなかった)結局私は自分で接続性の検証をすることに決めた。

新居の接続性を確認するには -- まずは足を使って歩いて見回ろう。一戸建ての家の場合は、ぐるりを歩いて一周して、家に取り付けられた箱がないか探してみよう。電話や光ファイバーの箱には、通常はっきりとそう書いてある。光ファイバーの箱があれば嬉しい予兆だが、電話の箱だけならば単に固定電話線があるだけかもしれず、DSL が使えるとは限らない。ましてや高速 DSL を期待しない方が良い。

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私の経験では、Comcast の箱にはラベルが付いていない。ただのグレーの箱だ。でも、たいていは簡単に開けられる(私の場合、閉じる際に粘着テープで止めなければならなかった)ので、中に同軸ケーブルの接続があるかどうか分かる。

同軸ケーブルがあっても、必ずしもそれはケーブル接続があることを意味しない。屋根のテレビアンテナあるいは衛星放送のアンテナから線を繋いでいるだけかもしれない。なので、まずはケーブルを辿ってそれがどこに繋がっているかを見よう。ケーブルが地下へ、あるいは電柱へ行っていれば、それは良い予兆だ。けれども、地下ケーブルがその昔の C-Band 衛星放送アンテナに繋がっている(あるいは過去に繋がっていてそのまま残っているだけの)こともあるので安心はできない。現代の衛星放送アンテナが地上マウントされている可能性さえある。(下に示したのは私の古い家の写真で、同軸ケーブルは箱から出て電柱に繋がるワイヤーに絡まって伸びている。)

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家のまわりを見終わったら、さらに足を伸ばそう。表の道路のところまで歩くと、私は光ファイバーのルートを見つけた。ラベルにはっきりそう書いてある。「大当たり!」と私は思った。もう一つ嬉しい発見は、家から少し行ったところに電話会社の支局を見つけたことだった。DSL では距離が重要な要素なので、ごく近くに支局があれば、それは望みが大きいということだ。

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でも、実際にサービスに繋いで速度テストを実行してみるまでは確実なことは言えない。ここで頼りになるのが、良い不動産業者だ。何日もかけて私からしつこく訴えた結果、実際的な取引を交わすことができた。インターネットアクセスをその家に接続する料金を私が支払う代わりに、その家の 10 日間の下見期間中に私が速度テストをすることが許されるというものだ。私を担当した業者は、契約の中の下見条項のすぐ後に、次の一行を書き加えてくれた。「購入者は NCTC インターネット速度が仕事に適したものであるかどうかを検査できる。」(North Central Telephone Cooperative は、私が住む地域の電話会社および ISP だ。)

その物件の入札は非常に競争の激しいものだったので、その条項を入れるための交渉はストレスに満ちたものであった。インターネット速度の保証を入れるという複雑化要因のせいで、家が手に入らなくなる可能性もあった。けれどもこれは重要なことなので、私はリスクを冒すことにした。幸いにも、交渉はうまく行き、インターネット速度を検証するための緊急作業が始まった。

家の検査の準備を終えると、二度目の電話を NCTC にかけて、できる限り早くインターネットアクセスをセットアップして欲しいと申し込んだ。返ってきたのは悪い知らせで、光ファイバーはまだ使えず、数ヵ月以内にオンラインになる予定だという返事だった。それまでの間は最大 12 Mbps だという。理想的とは言えないが、それなら少なくとも使い物にはなるだろう。

しかしながら、またもう一つの壁が待ち受けていた。私が住所を伝えると、そこへ電話線を繋ぐのに二週間かかると言われた。でも、私は当然の配慮として、既に電話の箱があることを調べておいたので、二週間かかるなどあり得ないと知っていた。残念なことに、電話の相手の女性にいくらそう言っても聞き入れてもらえなかった。

ここでも、ありがたいことに良い不動産業者が頼りになった。パニック状態の私からの電話を受けて、彼女はいろいろ調べた上で、リストに載っている住所が間違っていたことを見つけてくれた。そして、私がもう一度 NCTC の女性に電話をかけ直して正しい住所を告げたところ、一週間後にサービスが接続される予約を取ることができた。

補足: ルーターは買うべきか、借りるべきか? -- この時点で、私はもう一つ決断しなければならないことがあった。自分でルーターを用意するか、それとも電話会社のルーターを月額 $3 のレンタルで使うかという決断だ。

私はずっと以前から、ルーターとモデムは自分自身の持ち物を使う方が良いと、事あるごとに言ってきた。長い目で見ればお金の節約になるし、ISP が提供するものに比べてより良い装備を使うことで、より良い接続が得られるからだ。

しかしながら、今回だけは自分の助言に反する選択をした。それにはいくつか理由がある:

実際に接続をする -- 次に控えていたストレスだらけの手順は、実際の接続を得ることだった。私は NCTC の女性にこの家の住所と説明を電話で伝えたが、この家には番地もなく、このあたりは携帯電話の電波も届かない。インストール担当者がその朝私に電話をかけて、そちらに向かっているところだと言ってきた時、私は彼にそのことを伝えるのを忘れていた。

私が新居の玄関の鍵を開けていたちょうどその時、NCTC のトラックが家の前を猛スピードで通り過ぎた。突然の恐怖感が私を包んだ。ひょっとするとあれが彼だったのか? 彼は引き返して来るだろうか? 彼が私に電話しようとしていたらどうしよう? 私には電話する術がないのに。

ありがたいことに、ささやかな奇跡が起こった。私の義理の弟がたまたまこの町に来ていて、思いがけなく家の前に車を停めた。彼は、NCTC の支局の前で NCTC のトラックを見かけたよ、と言ってくれた。この新居に来るには必ずその支局の前を通るのだ。彼は、支局まで車を飛ばして、そのトラックを止め、私たちがどこにいるか知らせてくれた。

そうしてすべてがうまく行った。ただしインストール担当者は一度支局へ戻って何かのスイッチを入れてこなければならなかったが。ここでの教訓を一つ挙げるなら、関係する詳細情報をあらかじめすべて相手に知らせておくべきだ!

インストールの作業はスムーズに運び、私の iPhone の Speedtest アプリで二・三度素早くテストしてみた結果、下りの速度でおよそ 12 Mbps が出ていると分かった。けれども、あとでもっといろいろテストして現実的な使用でもその程度の速度を実現できているかどうか確かめようと決めた。

私の息子は Power Rangers のようなスーパーヒーローものが大好きなので、手始めにすべきテストは私の iPhone でエピソードを Netflix から取り寄せることだった。これはうまく行ったので、義弟もエピソードを一つ取り寄せ、二人で同時に再生させてみたところ、切れ切れになることも、見て分かるほど画質が落ちることもなかった。ここまでは順調だ。あとになって私は YouTube ビデオの再生をテストし、四つを同時に再生するところまでは何とかできたが、そのうち一つでも画質を 720p より上にしようとすると途端にガクガクし始めた。まあこれなら、ファイバーが繋がるまでの辛抱だと思えば我慢できる。

さて、もう一つ、私が必要とする高バンド幅での利用法がビデオ通話だ。Adam に頼んで、FaceTime で手早くテスト通話をしてもらった。結果は成功だったばかりでなく、母屋から 120 ヤード (110 m) ほども離れた金属張りの離れにいてもビデオ通話を続けられた。レンタルのルーターを選んだのは、良い判断だったということだ!

引越しの後: 後日談 -- 下り 12 Mbps という速度は、思った通り、最小限に足りる程度であった。2017 年の WWDC キーノートはまあまあうまく再生でき、Netflix や Hulu など高度に最適化されたサービスからのビデオは問題なく再生できた。

もっと厄介だったのは 1 Mbps 未満のアップロード速度だ。日々の TidBITS での仕事にはあまり支障がなかったけれども、iCloud Photo Library の同期や Backblaze のバックアップは困難だった。皆さんにも、ダウンロード速度だけでなくアップロード速度にも気を配ることを強くお勧めしたい。

嬉しい知らせは近所のファイバーネットワークが稼動し始めたことで、今ではわが家も接続している。さらに嬉しいことに、NCTC の速度が、料金は何も変わらないのに以前のおよそ十倍に高速化された。友人たちは、30 Mbps のサービスに払っていたのと同じ料金のままで間もなく 300 Mbps を得られるようになる。私自身は“たった”100 Mbps のサービスで満足できるだろうと思うが、もしも必要となれば 1 Gbps のサービスも利用できるようになるはずだ。

すべてを振り返って、最悪だったのは私の古い家で使っていたビジネス用インターネット回線の接続を Comcast に停止させる作業だった。丸々一週間にわたってこの会社と交渉し続けなければならず、カスタマーサポートへの電話や、Twitter アカウント @ComcastCares へのダイレクトメッセージを、何度も何度もする羽目になった。一度など、完全な絶望に陥って Comcast Business の社長に電子メールを送ったくらいだ。

私の 2 年契約が既に 2017 年 1 月に期限切れになっていたにもかかわらず、Comcast は当初、60 日間の停止前予告期間を守れと言い張った。それから、顧客保持担当者が私に 3 年間の契約延長に署名するよう丸め込もうと試みた。けれども結局はサービスを打ち切ることができ、アカウントにクレジットまで付けてもらえた。最後にはすべてうまく行ったものの、今回の経験で私はこの会社に幻滅を感じたので、今後他に妥当な選択肢がある場合には Comcast と取引しないつもりだ。

ファイバーが来た: さらなる後日談 -- 私がこれを書いているちょうど今、NCTC のインストール担当者が立ち去ったところで、100 Mbps の光ファイバー接続が使えるようになったばかりだ。下のスクリーンショットでお分かりの通り、相当大幅なアップグレードとなった!

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これらすべてが実現するのに二週間ほどかかった。まず、作業員たちがやって来て、道路のところの箱からわが家まで光ファイバーケーブルを埋設しなければならなかった。工事の跡はかなりひどいものだったが、ありがたいことにインストールの完了後に NCTC がきちんと修復してくれた。下の写真は彼らが庭を修復するのに使った機械だ。(農機具オタクのために言い添えると、これは Kubota のトラクターに FFC Preparator を取り付けたもので、基本的に巨大な耕運機といったところだ。)溝掘り機が残した跡を耕してから、麦わらで覆い、草の種を播いてくれた。

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次に、別の作業員たちが来て、回線の両側でいろいろなものを接続しなければならなかった。家の側にも、光ファイバーの箱が設置された。

そしてついに待ちに待った日が来た。第三の作業員たちが、家の中に光ファイバーを配線した。作業は単純で、ルーターの近くの壁に穴を開け、ファイバーケーブルを箱まで走らせ、壁の穴をシリコンで封印し、ケーブルを羽目板の下に隠す、というものだ。

インストール作業の一環として、彼らは無停電電源装置 (UPS) を設置してくれた。これで、停電になっても数時間は電話線が生き続ける。残念ながら、インターネット接続をオンラインに保つことはできない。

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インストール作業の中の最も厄介な部分は、地下にあるテレビ部屋に TV サービスを接続する作業だった。幸いにも、私には思い付けない解決法があった。AirSonics の製品に、一対の Wi-Fi ルーターでワイヤレスに IPTV 信号を送信するものがあるのだ。欠点として、そのレンタル料金として月額 $3 を余分に払わなければならないのだが、張り巡らすケーブルが少なくて済むばかりでなく、テレビをどこへでも好きなところに動かせるという利点もある。

この光ファイバーのサービスは、連邦政府からの補助金と、Rural Broadband Association による努力、それから NCTC に対して速度をブロードバンドレベルに上げるよう促す FCC からの圧力なしには実現しなかっただろう。これこそ、政府が実際にうまく機能し、自由市場が成し得なかったサービスを現実化する力となっていることを示す、素晴らしい実例と言えるだろう。

何はともあれ、私たちの新居でインターネットアクセスが得られ、今まで通りに TidBITS で仕事をすることができるという事実を確かめることは、今回の引越し作業の中で最も簡単な手順であった。今回の私の体験が、皆さんが今度大掛かりな引越しをされる際に何かの参考になれば嬉しいし、もしも皆さんの中で新居にブロードバンドを確保するために何か面白い体験をした方がおられたら、どうぞコメントに書き込んで頂きたい!

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2017 年 6 月 26 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

LaunchBar 6.9 -- Objective Development が LaunchBar 6.9 をリリースし、デフォルトテーマを新しくし、テーマを整理し直し、Index ウィンドウのデザインを現代化するなど見栄え上の改良を加えた。また、今回のアップデートではタスクマネージャ Things 3 (2017 年 5 月 21 日の記事“Things 3.0.2”参照) へのサポートを追加して、リストを開くアクションを付けたり、複数個の行に対応するように Add to Things を改善したりした。

このキーボードベースのランチャーは 1Password で索引付けとログインを開く動作を改善し (ただしバージョン 6.5 より古いバージョンの 1Password への対応を切り捨て)、各アプリケーションに付随したアクションをブラウズする際に無効設定のアクションを隠すようにし、絵文字の肌色への対応を拡張し、DuckDuckGo アクションが検索結果をデフォルトブラウザで開かなかったバグを修正し、カスタムアクションの結果の中での検索を改良している。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.1 MB、リリースノート、10.9+)

LaunchBar 6.9 へのコメントリンク:

Aeon Timeline 2.2.3 -- Aeon Timeline が、社名と同名の執筆・プロジェクト管理用ビジュアル・タイムラインアプリのバージョン 2.2.3 をリリースして、Mac App Store 版と Setapp 版が執筆アプリ Ulysses と同期できなかったバグを修正した。今回のアップデートではまた、ある種の CSV ファイルを読み込んだ際に起こることがあったクラッシュを解消し、改行を含まない非常に長いテキスト文字列 (例えば URL) が新たな行に切り分けられず途中で切れていた表示上の問題に対処し、Add Event ウィンドウの Parent ドロップダウンでタブを使う際のバグを修正している。(新規購入 $50、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、50.0 MB、リリースノート、10.11+)

Aeon Timeline 2.2.3 へのコメントリンク:

Airfoil 5.6.1 -- Rogue Amoeba が Airfoil 5.6.1 をリリースして、Instant On コンポーネントをバージョン 8.4.3 にアップデートすることにより VMWare Fusion、FaceTime、および Safari の中で走る Flash からのオーディオ転送を改善した。このワイヤレスオーディオ送信アプリはまた、iTunes からオーディオを Airfoil Satellite が受信する際に起こることがあったオーディオ同期の問題を解消し、不完全なネットワークパケットが RTSP 接続を切ってしまうという稀なバグを修正し、オーディオキャプチャの終端にさらなる改善を加えている。Rogue Amoeba はシステム要件を OS X 10.10 Yosemite 以上に引き上げた。まだ 10.9 Mavericks を使っている人は、Airfoil 5.6.0 を Rogue Amoeba の Legacy ページからダウンロードできる。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.3 MB、リリースノート、10.10+)

Airfoil 5.6.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2017 年 6 月 26 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週は iPhone の 10 周年記念に関係した二つの ExtraBITS がある。ベテランのテクノロジージャーナリストたちが集まって iPhone がどのように世界を変えたかを議論し、以前 Apple 重役であった Scott Forstall が Computer History Museum の壇上で iPhone の起源その他を語った。

iPhone が 10 歳に -- 信じられないような話だが、iPhone が市場に出てからもう 10 年になる! これを記念して、テクノロジージャーナリスト David Pogue が他の三人のジャーナリストたちと集まった。Steven Levy、Ed Baig、Walt Mossberg の三人はいずれも、リリース前にレビュー用 iPhone を Apple から受け取っていた人たちだ。iPhone は結局世界を変えるに至ったのだが、当初はそう見えなかった。Mossberg は冗談めかして「三日経つころにはガラスの上でタイプするのが我慢できなくなってこいつを窓の外へ放り投げようかと思ったよ」と語った。でも、iPhone のデビュー以後、Apple は失速しつつあるのか? Baig は Apple を擁護する意見を述べた。「そんなにしょっちゅう、世界を変えるものを思い付けるだろうか? つまり、そう、メディアは時として、フェアでない態度に一斉に傾くものだ。そりゃあ、最近の iPhone はヒットしていないさ。でも、他に誰が最近ヒットしたのか? 言うほど簡単なことじゃないよ。」

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Scott Forstall のインタビュー記事が Computer Museum に -- iPhone の 10 周年を記念して Apple の元 iOS Software 担当上席副社長 Scott Forstall が Computer History Museum においてジャーナリスト John Markoff と対談した。Forstall は iPhone の起源について、また Steve Jobs がいかに彼の命を救ったかについて語った。

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日本語版最終更新: 2017年 06月 30日 金曜日 , S. HOSOKAWA