TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1376/10-Jul-2017

今週号の TidBITS では、Mac 用のワードプロセッサについて、皆さんからのフィードバックをお願いする。ただ、人によって何をワードプロセッサと考えるかは何を好むかと同じくらいに異論の多い点だと分かったので、私たちが今回のアンケートでワードプロセッサをどう定義したかについてお読みになった上で、皆さんがお使いのワードプロセッサに関する意見を寄せて頂きたい。今週号ではまた、Adam Engst が Mac 上に美しい画像を表示させるためのいくつかの方法を紹介し、Josh Centers が iOS 11 になって HomeKit に登場する新機能について語る。今週注目すべきソフトウェアリリースは、BusyCal 3.1.9 と BusyContacts 1.1.9、Parallels Desktop 12.2.1、DEVONthink/DEVONnote 2.9.13、それに Bookends 12.8.2 だ。

記事:

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好みの Mac のワード・プロセッサに投票を

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst, Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

ワード・プロセッシングのアプリは、パーソナル・コンピュータと同じくらい昔からあるが、何を「ワード・プロセッサ」として見なすかについては、「最良の」ワード・プロセッサを決めるのとほとんど同じくらい議論百出となる。TidBITS の読者に対するこの調査においては、私たちの目的は、ある特定のアプリに栄誉を与えることではなく、皆さんが使ってきたワード・プロセッサについて、皆さんの意見を集めるということだ。

とは言うものの、何がワード・プロセッサとして見なされるのであろうか?プレイン・テキストのエディタはずっと昔からあるが、WordStar が 1978 年に登場した時、 ワード・プロセッサ 、すなわち、テキストの編集が可能なだけでなく、印刷されたページの上で、それがどんな風に見えるかがコントロールできるアプリ、というコンセプトが世に広まった。WordStarはもう長いこと使われていないが、なかには、いまだにこれに頼っている職業作家もいる。最も有名なのは、George R.R. Martin、すなわち、「ゲーム・オブ・スローンズ」の作者だ。

初期の Mac では、MacWrite, WriteNow, FullWrite Professional, Nisus Writer、そして、WordPerfect を含む多くの立派なワード・プロセッサがあったが、最終的には、Microsoft Word が市場を支配するに至った。Word は、Mac と Windows の両者で走るというのも理由の一つだ。Word の .doc フォーマットは、いろいろな意味で、たとえ、プレイン・テキスト以上のものである必要がない時でさえ、編集可能なテキスト文書を交換する際のデファクト・スタンダードである。簡単に言えば、Mac とWindows を使っている何百万人もの人たちにとって、Microsoft Word は、言葉を紙に書き記したいと思った時に考慮する唯一のアプリなのだ。

近年、Mac で、Word の最も手強い競合相手は、Apple の Pages だ。Pagesは、波乱の歴史を経験している。Apple が、macOS と iOS の間でシームレスに切り換え可能なワークフローを強調した iCloud ベースの戦略に向かって動いたので、Pages の Mac と iOS バージョンには対立が生じた。一方のバージョンで文書を作成し、別のバージョンに移動させることは、できないことではないのだが、このプロセスでは、しばしば何かが壊れたのだ。これを解決するために、Apple は Pages を一新し、Mac では Pages 5.0 をスタートさせた。これによって、互換性問題の多くは取り除かれたが、それは、Mac の多くの機能を失うことと引き換えであった。4 年経って、今になってようやく、半ば統合された Pages アプリは、Pages 4.3 の機能にほぼ肩を並べた。Pages 4.3 は、今なお、うまく動作しており、そして、広く所有されている (容易に入手できないにせよ) ので、私たちは、この調査において、二つのバージョンを分けた。

もちろん、たとえ、Word や Pages が強力だとしても、それだけでは、話の全体からは程遠い。認知度は低いものの、多くのワード・プロセッサが、異なるアプローチを提供している。Take Control は、Word と共に始まり、Pages に切り換え、今では Nisus Writer Pro を使っている。なぜなら、Nisus Writer Pro は、執筆および文書レイアウト・ツール、しっかりして頼りになるコラボレーション機能、そして最も重要なことだが、他のワード・プロセッサがこれまでできなかったことを可能にする完全なプログラム言語という堅牢な一揃いを提供してくれるからだ。だが、こうした機能満載のプログラムは、行き過ぎになりかねない。時には、Bean, Growly Write、あるいは、Nisus Writer Express のような、小型で焦点を絞ったアプリの方が、よりふさわしいこともある。そして、オープン・ソースの世界で活動している人たち向けには、Open Office とその変種がある。

別の調査のためのアプリ -- もっと多くのワード・プロセッサを調査に加えられれば、私たちは嬉しいが、いろいろなやり方がある中で、ワード・プロセッサのリストを管理可能なサイズに留めるために、私たちは自制しなければならなかった。これを受けて、私たちは、オンラインのワード・プロセッサ、Markdown ベースの執筆ツール、プレイン・テキストのエディタ、デスクトップ・パブリッシング・アプリ、また、iOS だけのアプリは含めていない。もし、十分な関心があれば、私たちは、これらのカテゴリーについて、別の調査を行っても良いと思っている。以下、なぜ私たちが、これらをこの調査から除外したかについて述べる。

こうした全てを念頭に置いて、TidBITS の読者である皆さんの方を向いて、皆さんが Mac で使ってきたワード・プロセッサについて、皆さんの意見の共有をお願いする時が来た。私たちは、個人情報管理アプリ ("読者のお好みの個人用情報管理アプリは" 2016 年 1 月 18 日) や個人財務アプリ("あなたの好みの Mac 個人財務アプリ" 2016 年 2 月 29 日) について行ったように、結果を収集して要約するつもりだ。この調査は、私たちのWeb サイト上で、この記事の一番下に埋め込まれているし、あるいは、直接そこに進むこともできる。

評価に関する注意点 -- 皆さんが回答をクリックし始める前に、いくつかの重要な注意点がある。

私たちは、この結果について、来週報告するつもりだ。そして、最も多くの票を集め、最高の評価を得たアプリを発表する。ご協力に感謝する!

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Mac のデスクトップ、スクリーンセーバー、ブラウザタブを飾る

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

初代の Mac の Desktop は単なる灰色で、Mac OS 8 が Desktop Pictures コントロールパネルを導入し、ユーザーが Desktop の背景として写真を設定出来るようになったのは 1997 年の半ばになってからであった。

勿論、手元の豊かな開発者達はその様な機能をずっと前から提供していた。遡ること 1991 年には、私は Now Utilities にバンドルされていた DeskPicture ユーティリティについて書いていたが、同時に、何枚もの写真を一度に保存するに十分なディスク容量が無いことを嘆いていた ("Wallpaper Your Mac" 16 December 1991 参照)。

多くの Web サイトで、目を奪う写真がいつでも手に入る今日からすると、その様な窮乏状態は想像すら出来ないであろう。今日ではソフトウェアを正しく選択しさえすれば、画像の収集を自らすることすら必要なく、自らの Desktop のみならずスクリーンセーバーや新しいブラウザタブまでをも飾ることが出来る。

Irvue、デスクトップを飾る -- macOS のリリースの度に、Apple は一連の素晴らしい写真を Desktop 写真として提供してきた。でも、容量はやはり制限要因であることには変わりはない様で、Apple は約 160 の画像しか提供していないが、ほぼ 575 MB もの空間を占めている。そこからの選択は System Preferences > Desktop & Screen Saver > Desktop から出来、そのファイルは /Library/Desktop Pictures にある。そして、勿論だが、Desktop & Screen Saver 設定ペーンからは、定期的に画像を循環させることも、無作為に画像を選び出す様にも設定出来る。

私は、画像を切り替えるのは好きだが、何時も同じ写真が繰り返されると飽きてくる。160 枚の画像では、すぐ飽きてしまう - 又繰り返されたなと思わせなくするに必要な枚数は、思うに、10,000 とか言う数ではなかろうか。私の Photos ライブラリにはそのぐらいの数の写真があるが、背景写真には相応しくないもの、或いはそもそも画像品質が良くないものも過剰なほどある。

これ迄にも、この問題を解決することを約束したユーティリティは数多く出されてきたが、目を奪う画像を十分に大きな源から引き出し、そして複数モニターをもサポートするものに行き当たったことがない。しかしながら、今回 Igor Savelev の Irvue を見つけた。これは無料のアプリで、画像を Unsplash からダウンロードする。ここは 40,000 を超える写真家が寄贈した 200,000 を超える高解像度写真を掲示している Web サイトである。

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Irvue は、メニューバーからアクセスし、基本的なことは何でも出来る。もし一つ以上のモニターがあれば、個別に違う写真を置くことも出来るし、Desktop の背景を定期的に、30分間隔から月毎まで、変えることも出来る。もし出てきた写真が気に入らなければ、Irvue に新しいものに変えさせることも簡単に出来るし (そして、その写真、又はその写真家をブラックリストに載せることも)、そして、特定の写真が好きであれば、それを手元に保存することも出来る。

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設定やショートカットも豊富で、そして Irvue にあなたの好みは横置きか縦位置の画像かも言える。

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Irvue を使う最も簡単な方法は、それを Unsplash の Featured と New "チャネル" に指定しておくことである - こうしておけば、広範囲なすごい画像を見逃さずに確保出来る。別に、3つの追加チャネルを加えることも出来る。チャネルは、特定の検索条件、写真家、或いは Unsplash コレクションに指定出来る。(ヒント:検索条件を入力した後で、+ ボタンをクリック、或いは Tab を押して検索結果を見ること;もしこれをする前に Add をクリックすると、何も起こらない。) もし3つ以上のチャネルが欲しければ、アプリ内購入があり、この制限を解除することが出来る。もし、1つ以上のチャネルからの写真を一堂に会させるためのチャネル管理をしたければ、Combined タブを使う。

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Irvue 及び Google+ Featured Photos はスクリーンセーバー用 -- Desktop 写真と同様、Apple は、標準の macOS スクリーンセーバー用の画像を少々提供しているが、スクリーンセーバーを新鮮なものにしておくには、もっと沢山の写真が欲しい。

Irvue にこれは組み込まれていないが、その理由はきっと Mac App Store の方針のせいと思われる、Igor Savelev は昨年末以来 Irvue のスクリーンセーバー版に取り組んできた。

Irvue Screensaver はメニューバー版の Irvue と同じ様に働くが、オプションは遥かに少ない。それは、写真を Unsplash の Featured チャネルから、特定の Unsplash コレクションや写真家から、或いは検索条件に応じたものから引き出させてくれる。複数ディスプレイに対しては、個別に異なった写真を表示する。

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一つ大事なことがある。もし Apple の Gatekeeper がダブルクリックで Irvue Screensaver をインストールさせてくれない場合は、それを Control-クリックして、Open With > System Preferences を選択する。これで Gatekeeper のチェックを迂回出来る。

Irvue Screensaver のインストールに対する邪魔に嫌気がさしている、或いは Unsplash の画像は余り好きでないと言う場合は、Google+ Featured Photos スクリーンセーバーを試されてはいかがであろうか。これはその画像を Google+ Featured Photos コレクションから入手する。Google 編集者はこれらの写真を Google+ 上で公に共有されている要件に合う画像から選んでいる。

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敢えて総括すれば、Unsplash Featured チャネルには印象的な画像があるが、Google の編集者は、スクリーンセーバー用に更に息を飲む画像を収集している。残念なのは、Google+ スクリーンセーバーには自分で制御出来るものは何もない、何れくらいの頻度で画像を切り替えるかすらも (現状は約 5 分だと思う)。

背景画像でブラウザタブを飾る -- ちょっと前になるが、私は Momentum ブラウザ機能拡張について書いたことがある。これは写真を 500px 写真サイトから取ってきて新しい Chrome ブラウザタブ全ての背景とし使用するものであった ("Momentum、ブラウザの新規タブに目の保養をもたらす" 16 December 2015 参照)。

Momentum はまた、時計、挨拶を表示し、そしてその日のあなたの焦点を当てるものは何かをも尋ねてきた。それはまた、その他にも色々な情報を画面の周りに散らばせた。私は、間も無く素晴らしい画像に時計や挨拶が重複されるのに嫌気がさしてきたし、一日中同じ写真を見せられるのにも飽きてきた。この記事の中で、私はまた Flickr Tab Chrome 機能拡張、Firefox に対する Flickr NewTab、そして Safari に対する Flume New Tab も紹介した。

それ以降も、Chrome に対する他のタブ画像機能拡張にも行き当たったことはある。正直言って、それらは皆似た様なものなので、一つインストールしてみて、何か満足の行かないことがあったら、別のを試してみることに何ら支障はない。現時点では、Unsplash Instant 機能拡張 (下に絵を示す) と Pixabay Tab Background Images 機能拡張のどちらかが選択対象である。どちらも、素晴らしい写真を用意しており、追加のテキストは最小限である。どちらも、あなたが特に気に入った画像をダウンロードさせてくれる。私の評価が低かったのは Exposure New Tab 機能拡張で、これは画像の上に色々なテキストを付け加え、そして毎回違う画像を生成する様には見えないからである。

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Safari ユーザーに対しては、Flume New Tab 機能拡張が機能拡張の主たる選択肢の様に見えるが、私は好かない。確かに色々な写真サイトからの写真にアクセスは出来るが、まず最初に認証しなければならず、それが面倒である。写真を取り込むのも遅く、映像は最初はぼんやりしており、それからはっきりしてくるのだが、私はこれに不快感を覚える。もっと悪いのは、ページの中に横長の写真をタブ全体を埋めることをせずに、フレームに収めて表示することである。その写真をクリックすればタブを埋めてくれるが、これは不必要な手順である。

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もっと良い選択肢がある。Georgia Institute of Technology の大学院生である Payam Siyari が 18 行の HTML ファイルを書き上げた。これは Unsplash から写真を無作為に取り込んでくるものである。このファイルを Safari のホームページに設定しておくと、新しいウィンドウかタブを開く度に、素晴らしい新しい写真を取り込んでくれる。次の手順を踏む:

  1. この HTML コードを上記のリンクのページからコピーする。
  2. それを TextEdit や同様のテキストエディターに作られた新しいプレインテキストファイルに貼り付ける。
  3. それを unsplash.html の名前で Documents フォルダに保存する。
  4. Safari で、File > Open File を選び、そして unsplash.html を選択する。
  5. Safari > Preferences > General を選び、そして Set to Current Page を選択する。
  6. New Windows Open With と New Tabs Open With ポップアップメニューの両方が Homepage に設定されていることを確認する。

それだけである! それ以降は、新しいウィンドウ又はタブを開く度に unsplash.html ファイルが起動され、それが自動的に新しい写真を Unsplash から取り込む。

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他の目の保養? -- あなたの Mac をインターネットから取り込んだ眩いばかりの画像で飾る他の方法をご存知なら、コメント経由で教えて欲しい!

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大草原の HomeKit のお伴: iOS 11 で登場するものは

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iOS 11 は今年の後半に登場するが、それに伴って HomeKit にも大幅な拡張が加えられる。変更点としては HomeKit デバイスのメーカーに関係することが最も重要だが、熱心な HomeKit ユーザーなら知っておくべき重要なインターフェイスやオートメーション細部の変更点もある。

HomeKit エコシステムが拡張する -- Apple のエコシステムに間もなく施される変更は、HomeKit の全体的な状況を大きく変えるものとなるかもしれない。iOS 8 で HomeKit がデビューして以来ずっと、デバイスのメーカー各社には厳格な認定手続きを踏む必要があった。自社の製品の販売が許されるためには Apple による承認があらかじめ必須で、特別のチップをデバイスに搭載する義務もあり、デバイスは特別の実験室で Apple によるテストに合格しなければならなかった。

Apple がそのようにしているのにはセキュリティとプライバシーのための確固とした理由があるのだが、それでもこれは多くのメーカーにとってあまりにも厄介な要求であった。結果として、これまでのところ HomeKit ハードウェアの物語はどうひいき目に見ても短編小説規模であった。

このエコシステムを成長させるため、Apple は方針を変更して、コストと複雑度の原因となっていた特別の HomeKit 専用チップを強制することを止めようとしている。代わりに、メーカー各社はソフトウェアを通じて HomeKit 認証を実装できるようになる。

このことはつまり、市場に現存しているデバイス上にメーカー各社が HomeKit 対応を追加できるようになることを意味しており、その際にはハードウェアを更新する必要もないということだ。だからこそ、Belkin は Wemo シリーズのホームオートメーション製品に HomeKit 対応を追加すると発表した (2017 年 5 月 18 日の記事“Belkin、Wemo に HomeKit 対応を追加”参照) し、Google が所有する Nest も HomeKit 対応を考慮中なのだ。

それでも、メーカー各社は今後も引き続きデバイスを Apple に提出してテストを受けなければならない。けれども Apple はその手続きを効率化するため、自動化された認定ツールを増やすとともに、世界中でより多くの実験室を開設しようとしている。

この変更の実際的な結末は、近いうちに今よりずっと多くの HomeKit 互換なセンサー、スイッチその他のホームオートメーション用デバイスが登場して、その中から好きなものを選べるようになるだろうということだ。その際には、Apple の第一級のセキュリティと品質管理が犠牲とならないことを願いたい。

それらの新しいデバイスの中には、これまで HomeKit のレパートリーに含まれていなかった二つのタイプ、つまりスプリンクラーと蛇口もあるだろう。スプリンクラーを自動化する利点は明らかだろうが、もっと興味深いのが蛇口への応用だ。Apple が示した実例は、庭の水まきや、シャワー室に入る前にシャワーを温めるといったものだ。私は以前からオートメーションに水と電気を組み合わせれば必ずや悲惨事が起こると思ってきたが、庭の園芸仕事を楽にしてくれるものは何でも歓迎したいと思う。

最後にもう一つ、ホームオートメーションのファンの多くは趣味のプログラマーでもあるという事実を考慮したのだろうか、Apple は Apple 開発者ライセンスを持つ人なら誰でも HomeKit Accessory Protocol Specification にアクセスできるようにする。言い替えれば、$99 を払って Apple 開発者になりさえすれば Arduino のようなプログラミング可能ウィジェットが手に入り、それをハックして HomeKit を使いこなすことができるようになる。何かクールなプロジェクトが出現することを期待したいものだ。

Control Center のデザインが変わる -- ソフトウェアの側では、iOS 11 はデザインを一新した Control Center を備え、これが今までと少し違ったやり方で HomeKit とやり取りする。iOS 10 では Control Center に三枚のページがあり、第三のページが HomeKit の Accessory や Scene に対するコントロールを提供する。

ところが iOS 11 で Apple は Control Center をたった一つのかなりゴチャゴチャしたページに押し込み、HomeKit のコントロールをたった一つのボタンに詰め込んだ。Home ボタンを タップ して Home アプリを開き、そこに見える Home ボタンを 押す ことで、iOS 10 以来お馴染みの Home 盤が開く。

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iOS 11 では、Settings > Control Center > Customize Controls を使って Control Center をカスタマイズできる。だから、HomeKit をよく使う人は、Control Center で配列を変えて Home ボタンをもっと使いやすい位置に置くこともできる。また、HomeKit なんか使わないという人は、Control Center からそのボタンを消し去ることもできる。

Accessory のセットアップが効率化 -- HomeKit のエコシステムが変化することにより、デバイスをセットアップする方法にも変更が必要となる。現在は、デバイスをアクティベートするにはメーカーが提供する HomeKit 認証コードをスキャンするか手で入力するかしなければならない。

将来は、メーカー側に二つの新しい選択肢が生まれる。QR コード(小型のデバイスにも収まる 10 mm × 10 mm のコード)と、Near Field Communication (NFC、近距離無線通信) タグだ。NFC を使えばワイヤレスでデバイスの認証ができ、カメラでコードをスキャンしたりする必要もない。

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それに加えて、iOS 11 では Home アプリの中で Accessory をセットアップする方法も変わる。iOS 10 では、新たにアクセサリーを追加したければ、まずそのアクセサリーの電源を入れ、そのデバイスがセットアップアシスタントの画面に現われるまで待ち、それからそれをタップして、その HomeKit コードをスキャンする必要がある。

iOS 11 では、Apple が "enhanced setup process" と呼ぶ手順が導入される。実質的に、これはまず最初に HomeKit をスキャンすることを意味する。小さいけれども重大なこの変更を Apple が採用したのには二つ理由がある:

* 多くの場合、HomeKit コードはデバイスの底面に書いてあるので、電源を入れてから見るのは難しい。メーカーはたいていこれとは別にコードを明記したカードなども添えているが、その種のカードをなくしたり捨ててしまったりする人は多い。

* 複数の HomeKit Accessory を一度にスキャンしてセットアップできるので、デバイスを一つ一つ処理して行く面倒がなくなる。

これらの変更のお陰で、メーカーにとってもユーザーにとってもアクセサリーのセットアップが楽になるはずだ。現実世界に誤りが起きやすいのを Apple が考慮に入れていることも嬉しい。

パフォーマンスの強化 -- 多くの HomeKit Accessory は、Wi-Fi ではなく Bluetooth 経由でコミュニケーションをする。その難点の一つは、パフォーマンスが遅いことだ。私がスマートコンセントをオンに切り替えても、実際にその電源がオンになるまでには数秒ほどかかることが多い。

iOS 11 で、Apple は HomeKit が Bluetooth デバイスとコミュニケーションをする方法を根本から書き換えて、Secure Broadcast Sessions と呼ばれる新しいシステムを使うようにした。分かりやすい言葉で言い直せば、これで遅延時間が数秒程度から一秒程度へと削減される。

Apple によれば、iOS 11 と、更新されたデバイスのファームウェアさえあれば、それだけで速度が向上するという。私が今使っている iOS 11 のテスト用デバイスでも既に反応時間の改善が実感できている。これは単なる希望的観測かもしれないが。

オートメーションの改善 -- オートメーションのファンなら、iOS 11 で HomeKit に登場する新しいオートメーション機能のいくつかにワクワクした気持ちになるだろう。

iOS 10 では、あなたが家を出ると自動的に照明が消えるように設定できたけれども、他に誰かが家にいた場合、その人が暗闇に取り残されてしまう! ありがたいことに、iOS 11 では位置情報ベースのトリガーが賢くなり、一つのトリガーを複数の人たちが使うことができるようになる。

下のスクリーンショットで、iOS 10 での My Location Changes オプションが iOS 11 では People Arrive Home と People Leave Home という二つの項目に拡張されたことが見て取れるだろう。

残念ながら私の妻はまだ iOS 11 を走らせていないのでテストに参加できないが、いったん彼女がアップデートを済ませれば、少なくとも理論的には、私たち二人ともが外出しない限りトリガーが呼び出されない Automation をセットアップしてテストすることが可能なはずだ。

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iOS 11 で登場予定の他のオートメーション機能をいくつか紹介しておこう:

WWDC のプレゼンテーションで、Apple は一回限りのオートメーション、例えば 9 月 7 日の 9 PM といった特定の時刻に走るオートメーションを作るオプションにも言及した。けれども、私はまだ iOS 11 の Home アプリにそのような機能の兆候を見つけられていない。

Zone に立ち入る -- 最後にもう一つだけ、Home アプリに加わる大きな改善がある。Zone への対応だ。記事“大草原の HomeKit のお伴: 中心となる概念”(2016 年 11 月 3 日) で触れたように、Zone とは単にいくつかの Room を集めたものだ。

Zone を使う方法はいくつかあるが、最も明白な使い方は各階ごとに部屋をまとめることだ。すると、例えば Siri に「一階の照明を点けて」と言ったりできるようになる。

HomePod と AirPlay 2 はどうなった? -- 確かなことが一つある。HomePod は今後 Home 機能の拠点となり、Apple TV や iPad と並んで働くだろう。

しかしながら、Apple は HomePod が HomeKit のインターフェイスとなるということ以外、まだ何も言っていない。ただし同社は、iOS 11 と HomePod と共に AirPlay 2 も登場するとは述べた。AirPlay 2 は、Apple のメディアストリーミング用プロトコルのアップデート版だ。

AirPlay 2 についても Apple の口は堅い。現在分かっているのは次のようなことだ:

私は自分で試してみようと思い立って、tvOS 11 のベータ版をインストールした。ところが、AirPlay 2 はデフォルトでオンになっていなかったので、私はベータ版の Xcode をインストールしてそのオプションを有効にしなければならなかった。数時間後、やっと私は Apple TV で AirPlay 2 を有効にすることができたのだが... その動作は AirPlay と何も変わらず、私の iOS 11 上の Home アプリでそれをコントロールできそうな兆候は見当たらなかった。

だから、AirPlay 2 と HomeKit の協調について今の段階で言えることはまだほとんどない。今年の後半には、AirPlay 2、Apple TV、HomeKit、HomePod について、Apple がもっと多くのことを発表するのではないか、私にはそういう気がしてならない。Apple がこんな風に口をつぐんでいるのには、きっと何か理由があるはずだ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2017 年 7 月 10 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

BusyCal 3.1.9 と BusyContacts 1.1.9 -- BusyMac が BusyCal 3.1.9BusyContacts 1.1.9 をリリースして、Exchange Delegate Access に関係するクラッシュ一件を修正し、Google へのログインが失敗しても 15 分後に必ず再試行するようにした。カレンダーアプリの BusyCal はまた、BusyContacts をバックグラウンドで起動する際に起こったウィンドウリサイズの問題を修正し、添付ファイルの付いた iCloud イベントの同期を改善し、Week 表示にシステム環境設定での設定に基づいて正しくスクロールバーを表示するようにし、Go to Date を選択した際のハングを修正している。(BusyCal は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、11.3 MB、リリースノート、10.11+。BusyContacts は BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、5.4 MB、リリースノート、10.9+)

BusyCal 3.1.9 と BusyContacts 1.1.9 へのコメントリンク:

Parallels Desktop 12.2.1 -- Parallels が Parallels Desktop のバージョン 12.2.1 (build 41615) をリリースして、Dock または Finder から起動した際に Windows やその他の共有アプリケーションがクラッシュした問題を解消した。この仮想化ソフトウェアはまた、Dock または Finder から Windows を起動した後に Windows やその他の仮想マシンアイコンが Dock から消えることのあったバグを修正し、Mac がスリープから覚めた後で Visual Studio がフリーズした問題に対処している。(Standard Edition の新規購入 $79.99、Pro/Business Edition は年額 $99.99 の購読、無料アップデート、256 MB、リリースノート、10.10.5+)

Parallels Desktop 12.2.1 へのコメントリンク:

DEVONthink/DEVONnote 2.9.13 -- DEVONtechnologies が DEVONthink の三つの版 (Personal、Pro、Pro Office) と DEVONnote をバージョン 2.9.13 にアップデートして、ウェブから記事をクリップして DEVONthink へ取り込む際の「片付ける」サービスを更新した。三つの版の DEVONthink はいずれも、同期を改良し (具体的には Bonjour 接続の暗号化をよりセキュアなものにし、索引付けられて保留中の項目の処理の信頼性を高め)、Google Chrome のブックマークや Bookends (下記の項目“Bookends 12.8.2”(2017 年 7 月 9 日) を参照) の参考文献データの読み込みを改善し、Markdown 書類が相対または絶対リンクを持つスクリプトを参照できるようにし、バージョン 2.9.12 以来 PDF のサムネイル機能が OS X 10.9 Mavericks から 10.11 El Capitan までで働かなくなっていた問題を修正している。

DEVONnote も三つの版の DEVONthink も、Roccat ウェブブラウザへの基本的対応を追加し、リンク・ピクチャ・フレームをタブの中に開く際の信頼性を改善し、データベースの検証を高速化し、サブメニュー項目 Link To および Insert Link To を改良している。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office 新規購入 $149.95、リリースノート。DEVONthink Professional 新規購入 $79.95、リリースノート。DEVONthink Personal 新規購入 $49.95、リリースノート。DEVONnote 新規購入 $24.95、リリースノートTidBITS 会員には DEVONnote もいずれの版の DEVONthink もそれぞれ 25 パーセント割引。10.9+)

DEVONthink/DEVONnote 2.9.13 へのコメントリンク:

Bookends 12.8.2 -- Sonny Software が Bookends 12.8.2 をリリースし、Inspector ウィンドウに Cited というトグルオプションを追加してこれが選択された文献データ (つまり parent 参照) が引用する作品を CrossRef を利用して見つけられるようにした。この文献参照ツールは今回から、ライブラリの中でマッチする文献データに PDF を自動的に添付するようにし、Google Scholar 検索を更新して Google が施した変更に対処できるようにし、Retina 画像への対応を改善し、読み込んだ文献データを選択された静的グループに追加するようにし、デフォルトの文献データ Type オプションが壊れることのあったバグを修正し、データベースを更新するとカラーラベルが消えた問題を解消している。(新規購入 $59.99、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、37.3 MB、リリースノート、10.7+)

Bookends 12.8.2 へのコメントリンク:


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日本語版最終更新: 2017年 07月 14日 金曜日 , S. HOSOKAWA