TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1378/24-Jul-2017

Apple は同社のすべてのオペレーティングシステムにポイント・リリースを出して、いくつかのバグやセキュリティ脆弱性に対処した。とりわけ、攻撃者がデバイス搭載の Wi-Fi チップを乗っ取ることのできる BroadPwn 欠陥を修正した。Adam Engst は、今週ニューヨークで開催される MacTech Pro でご一緒しませんかと Apple コンサルタントたちに呼びかける。TidBITS 読者向けの特別割引もある。前回ワードプロセッサについてアンケートを集めたが、多くの読者が Markdown 対応のテキストエディタで物書きをしているとのことだったので、今週は皆さんがどんな Markdown エディタを気に入って使っているかについて新たなアンケートをする。今週号の特別記事としては、Josh Centers が電力線 Ethernet アダプタの魔法を探求し、Marc Zeedar が App Store の中でますます多くなる打ち捨てられたアプリの問題点を検討する。今週注目すべきソフトウェアリリースは Moneydance 2017.4、Logic Pro X 10.3.2、1Password 6.8、Transmit 5.0、Safari 10.1.2、iTunes 12.6.2、セキュリティアップデート 2017-003 (Yosemite および El Capitan) だ。

記事:

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Apple、macOS 10.12.6, iOS 10.3.3, watchOS 3.2.3, tvOS 10.2.2 を発表

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

Apple は、同社のオペレーティング・システム全てについて、バグ・フィックスとセキュリティ・アップデートを発表した。同社は、リリース・ノートで、新機能を何らリストに挙げなかった。これらのアップデートによって、BroadPwn 脆弱性が解決される ("iOS 10.3.3、注目の BroadPwn 脆弱性にパッチを当てる" 2017 年 7 月 21 日参照)。したがって、できるだけ早くアップデートすることを、私たちはお勧めする。いつものように、まず、自分のデータをバックアップすること!

macOS 10.12.6 -- macOS 10.12.6 Sierra は、Software Update 経由で入手可能だ。そこで、819 MB のダウンロードとなる。あるいは、代わりに、10.12 の任意のバージョンからアップデートするために、1.98 GB のコンボ・アップデータをダウンロードしてもよい。

明記されていないバグ・フィックスに加えて、10.12.6 には、企業に焦点を当てた以下の改変が含まれる。

macOS 10.12.6 には、24 個のセキュリティ問題の解決が含まれている。

iOS 10.3.3 -- iOS 10.3.3 のアップデートは、Settings > General > Software Update か、あるいは、iTunes を通じてインストールすることができる。これも、24 個のセキュリティ問題の解決をうたっており、サイズは、80 MB から 140 MB の範囲にある。

watchOS 3.2.3 -- watchOS 3.2.3 は、iPhone 上の Watch アプリから(Watch > Settings > General > Software Update で) インストールする26.1 MB のアップデートだ。Apple Watch が充電器上にあり、少なくとも50% 充電されていて、そして、iPhone (これ自身、Wi-Finに接続されていなければならない) が側にあることが必須であることを忘れないように。Apple Watch を 1 時間かそこらでまた使いたいのであれば、インストールを始めないこと。watchOS のアップデートは、ロードに驚くほど長い時間がかかるのだ。watchOS 3.2.3 には、10 個のセキュリティ問題の解決が含まれている。

tvOS 10.2.2 -- 最後に、Apple は、tvOS 10.2.2 を発表した。これには、15 個のセキュリティ問題の解決が含まれる。もし、第 4 世代のApple TV で、自動的にアップデートされるように設定されていないのであれば、Settings > System > Software Updates > Update Software 経由で、tvOS 10.2.2 を入手することができる。

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iOS 10.3.3、注目の BroadPwn 脆弱性にパッチを当てる

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

Apple が最近リリースした iOS 10.3.3 は、BroadPwn として知られ、注目を浴びている脆弱性にパッチを当てるという事実が、ThreatPost のブログで明らかになった。BroadPwn 脆弱性 (Broadcom の Wi-Fi チップのうち、BCM43xx シリーズに問題がある) によって、Wi-Fi 圏内にいる攻撃者は、問題を有するデバイスの Wi-Fi チップ上で、コードの実行が可能となる。攻撃者が、Wi-Fi 圏内から実際に何を実行できるかについては不明であるが、コードは、オペレーティング・システムよりも下部で動作するであろうと言われている。

(私たちが調べてきたことは全て、BroadPwn について、iOS ならびに Androidの文脈においてのみ語っているが、最近の Apple のオペレーティング・システムのアップデートは、すべて、この同じバグを修正すると言っている。そして、Apple は、問題の Broadcom BCM43xx Wi-Fi チップを、同社のハードウェア製品ライン全てにわたって使用しているのだ。したがって、全ての Apple のプラットフォームは、オペレーティング・システムの最新バージョンを走らせているのでなければ、おそらく、脆弱であると思われる。("Apple、macOS 10.12.6, iOS 10.3.3, watchOS 3.2.3, tvOS 10.2.2 を発表" 2017 年 7 月 19 日参照) しかしながら、OS X 10.11.6 El Capitan と10.10.5 Yosemite のセキュリティ・アップデートは、BroadPwn バグについては言及していない。)

現実的な結論を言うなら、すぐに iOS 10.3.3 にアップデートすべきだということだ。セキュリティに関する脆弱性の多くは、脆弱性が何を引き起こす可能性があるか、あるいは、攻撃者が、脆弱性をどのように利用するかという点において、限界がある。だが、私たちのセキュリティ関連編集者である Rich Mogull は、BroadPwn は、彼がここ最近見た中で最悪の脆弱性の一つだと思われると述べた。そこで、ほら、ちょっとSettings > General > Software Update に行って、iOS 10 デバイスを直ちにアップデートしてほしい。

どうすれば、問題のあるデバイスだと分かるのだろうか? Nitay Artenstein(BroadPwn を発見した Exodus Intelligence の研究者) によれば、この脆弱性は、「並外れて広範囲のモバイル・デバイス、すなわち、iPhone の各機種から、HTC, LG, Nexus、そして、事実上、Samsung の旗艦デバイスの全ての機種に至るまで見出される。」Artenstein は、Black Hat USA 2017 Conference において、BroadPwn に関するセッションの司会をすることになっている。

iOS 10.3.3 に関するセキュリティ・ノートで、Apple は、このアップデートは、iPhone 5 以降の機種、第 4 世代以降の iPad、そして、第 6 世代のiPod touch 上の脆弱性にパッチを当てると述べている。だが、それは、これらだけが iOS 10 を走らせることができるデバイスであるからに過ぎない。

古いデバイスは、引き続き問題だ。例えば、その他の機種のうち、iPhone 4や 4S も、脆弱性のある Broadcom Wi-Fi チップを使っている。そして、これらの機種では、iOS 10.3.3 を走らせることができないので、おそらくBroadPwn に対して脆弱であろう。

私の記憶にある限り、Apple が iOS の過去のバージョンに対して、セキュリティ・アップデートをリリースしたことは一度もない。残念ながら、約 8% の iOS デバイスが、いまだに以前のバージョンを走らせていて、10 億台を優に超える iOS デバイスが使用中なので、Apple のそうした方針は、何百万人もの人たちを危険に晒すことになる。私たちは、Apple がmacOS で見せた (ここでは、オペレーティング・システムの過去二つのバージョンが、セキュリティ・アップデートを受けている) のと、同じ方針に従うところを見たいと思う。Apple が、なぜ、Yosemite と El Capitan向けには、BroadPwn について言及しなかったのか、私たちには分からない。ひょっとしたら、これらの OS は脆弱でない、何か別の理由があるのかもしれない。

もちろん、リスクは相対的なものだ。自分のデバイス上で日常的なデータを扱う人の多くは、特に、攻撃者が Wi-Fi 圏内にいなければならないBroadPwn については、ほとんど心配無用だ。だが、もし、扱いに注意を要する政府、会社、あるいは、医療関係の話題についてやり取りするのに、古くて BroadPwn 脆弱性を有する iOS (あるいは Android) デバイスを使っているのであれば、今が、新しいデバイスに乗り換える良い時期であろう。

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Adam Engst も参加する MacTech Pro New York で勉強しませんか

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は New York City で 26 July 2017 に開催される MacTech Pro イベントに参加し、参加者とのネットワーク作りをし、そして TidBITS Content Network についても話し合う積りである。もしあなたも New York メトロ地区に住む Apple に焦点を当てた専門家で、自分のコンサルティングやサポート知識を更に上の段階に引き上げる技術的なセミナーを探しているのであれば、これは検討に値する。TidBITS 読者として $200 の割引が受けられ、値段はたったの $299 ですむ。

MacTech New York での講師には、Watchman Monitoring の Allen Hancock, Strong Solutions の Jack-Daniyel, Mac Observer の Jeff Gamet, Call Andy! Macintosh Consulting の Derek Braunschweiger, BestMacs の James Taylor, VF Corporation の Leon Lincoln, そして Google の Ed Marczak が含まれる。

New York でのセッションには、そして他の全ての MacTech Pro イベントも同じだが、次のものが含まれる:

私は今年の他の MacTech Pro イベントには参加出来ないが、残りのイベントは下記の通り:

MacTech Pro イベントは通常 $499 であるが、TidBITS の読者はたったの $299 で登録出来、そして MacTech Magazine も無料で購読出来る。教育と非営利に関わる人に対する価格は $199 である。全ての登録には昼食が含まれる。

MacTech Conference での追加行事と同様、もし Watchman Monitoring Proactive Support Professional Certification に興味があるのであれば、そのコースは毎回の MacTech Pro イベントの前夜に開かれ、料金は追加で $249 が必要となる。

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好みの Mac 用 Markdown エディタに投票を

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちは最近、TidBITS 読者の皆さんにお願いして、お気に入りのワード・プロセッサに投票してもらった。(2017 年 7 月 10 日の記事“好みの Mac のワード・プロセッサに投票を”参照。)役に立つ結果が得られたけれども、調査に対して自分は伝統的な意味でのワード・プロセッサをもう使っていない、その代わりにテキストマークアップ言語 Markdown に対応したアプリを使っている、と明確に述べた人たちが大勢いた。Markdown は元々 Daring Fireball で有名な John Gruber によってデザインされたものだ。

25 年前に Adam Engst も手伝って Ian Feldman が開発したマークアップ言語 setext (1992 年 1 月 6 日の記事“TidBITS in new format”参照) からもデザインのヒントを得て作られた Markdown は、ここ十年間のうちに人気を得た。これはプレインテキストなので、ファイルのサイズは小さく、扱いも楽で、あらゆるコンピューティングプラットフォーム上のいくつものアプリで使える。Markdown 言語は比較的単純で、標準化されているので、Markdown ファイルを他のフォーマット、例えばウェブサイトで使うための HTML や、ワード・プロセッサに読み込ませるための RTF あるいは Word の .doc、さらには科学技術用の著述のための LaTeX にさえ、簡単に変換できる。

熟練の Mac 開発者たちは、Markdown で執筆したり編集したりする作業を助けるため、基本レベルを超えるさまざまの機能を備えたエディタを数多く作り出した。今回私たちはここに目を向け、今週のアンケートを実施したい。いつも通りに対象をきちんと絞る必要があるので、今回のアンケートでは以下の基準を満たしたアプリのみを扱うことにする:

ワード・プロセッサの世界では Microsoft Word が 800 ポンドのゴリラとして突出していることに疑いの余地はなかったが、今回扱う Markdown エディタの中で突出するものがあるかどうか、私たちには分からない。BBEdit はおそらく Mac で最もよく知られたテキストエディタであり、Markdown フォーマットのテキストファイルをカラーリングしたりプレビューしたりできるが、このアプリはむしろ、プログラマーやウェブ開発者の間で一般的に使われていると言うべきなのかもしれない。

BywordiA Writer は Apple コミュニティーで長らく愛されてきたが、最近では BearUlysses に押され気味のようだ。これら四つのアプリはいずれも iOS 版を持っていて、そのことが人気を後押ししている。

Unix 主流から Mac に移植したもの二つ、Emacs for Mac OS XMacVim も含めることにした。MacVim を含めるにあたってはルールを少しだけ曲げた。Emacs の方は Markdown プレビューを追加するプラグインを持っているけれども、MacVim のプラグインは Markdown の構文強調表示を追加するのみだ。

リストに載ったアプリのいくつかは、私たちを驚かせたと同様に皆さんを驚かせるかもしれない。Microsoft の Visual Studio Code一流の Markdown エディタへと変身させることが可能らしい。また、CodaEspresso を私たちは主としてウェブ開発ツールと見なしているが、これら二つはそれぞれ独自に有能な Markdown エディタとして働くこともできるようだ。

さて、ここで TidBITS 読者の皆さんにお願いがある。皆さんが Mac で使ってこられた Markdown 対応テキストエディタについて、皆さんの意見を寄せて頂きたい。以前の“あなたの好みのアプリ”シリーズ記事と同様に、アンケート結果を後日集計して要約するつもりだ。アンケートはこの記事の末尾にも埋め込まれているし、私たちのウェブサイトから直接アンケートへナビゲートして頂くこともできる。

(日本語)好みの個人情報管理アプリへ投票を | 読者のお好みの個人用情報管理アプリは | 好みの Mac 個人財務アプリへ投票を | あなたの好みの Mac 個人財務アプリ | 好みの Mac のワード・プロセッサに投票を | あなたの好みの Mac 用ワード・プロセッサ

格付けに関する注意 -- アンケートの回答をクリックし始める前に、重要な注意点がいくつかあるのでご留意いただきたい:

アンケートのすぐ下に現時点での結果が表示される。結果は来週の記事で報告し、最多の票数を集めたアプリと、高い格付けを得たアプリを紹介する予定だ。皆さんのご協力に感謝します!


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電力線 Ethernet アダプタは日常の魔法

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

我々は常にその事実に気づいていないかもしれないが、我々は日常が魔法に満ちた時代に生きている。お笑い芸人の Louis C.K. はそれを次の様に表現している、"全てが素晴らしいが、誰も幸せではない"。ブロードバンド Internet はほぼ何処でも使え、しかも多くの場合ネットワークにつなぎ込む必要すらない。これは、先進国の隅々までカバーする Wi-Fi の普及のお陰である。更に、4G LTE セルラー Internet アクセスが広範囲に行き渡ったお陰で、ブロードバンドや Wi-Fi すら必要ないと言える時代となっている。

これらのありふれた魔法の何れもが、もっと目につかない配電網の魔法無しでは存在し得ない。しかし、これら二つを組み合わせることで、皆さんの家庭の電気コンセントを Ethernet 接続口とすることが出来ることをご存知でしたか? それは、ネットワークの世界では良くある選択肢の一つである。

Ethernet を電力線に重畳して走らせるのは、どの様な見方をしても新しい技術ではない。私は 2000 年代当初に Slashdot で電力線ブロードバンドについてしばしば読んだことを覚えているし、Kevin van Haaren の概論もここで 10 年前に取り上げられている ("家庭内 Wi-Fi に代わって電力線搬送通信を使う" 9 July 2007 参照)。これは当時最終1マイル向けブロードバンド接続に対する 本命の 解であると売り込まれていたが、同時にハム無線愛好家からは、その RF 干渉により彼らの趣味は出来なくなるであろうと嘲られていた。

結果的には、どちらの言い分も誇張であった。電力線ネットワークは静かに進化したが、Wi-Fi, セルラーブロードバンド、そして光ファイバーネットワークにより影を薄くした。電力線ネットワークが第一線にまで上り詰めることはなかったが、消え去ることもなかった。むしろ、それは信頼性があり、すぐにも利用可能で、そしてびっくりする程安いものとなった。

Wi-Fi が機能しない時 -- "新居購入の際に高速インターネットアクセスを確保する方法" (18 May 2017) で書いた様に、我が家の TV サービスは IPTV 経由で動作している。つまり、伝統的な同軸接続ではなく、我々の "ケーブルボックス" は TV 信号に対しても Ethernet ポートを利用している。

問題は、我々の光ファイバ接続は2階に引き込まれており、Ethernet ケーブルを地下の TV 部屋まで通すのは結構お金のかかる話である。そこで、私は線は引かず、ISP の工事屋から IPTV 用に作られた1対の AirSonics Wi-Fi ブリッジをリースした。

私の初期テストでは、全てが正常に動作している様に見えた - 魔法の音楽の出番だ。しかし、夜間になると TV 信号は数分おきにフリーズすることもあり、野球試合の実況中継を見るのはイライラが募るものとなった。

ある夜、試合を決定するホームランを見逃してしまった後、私はこの問題の原因を探ることとした。最初に、私は iPhone 上で繰り返し Speedtest を走らせた。TV 信号が途切れる度に、Internet 接続は遅くなり殆ど地を這う様な状態になることに気づいた。これは重症だ。

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私は最初 AirSonics Wi-Fi ブリッジボックスが問題かと思ったが、それは私の妻が言う私の頭の中で光る電球の様なものであった:"こんなことは、あなたがこの部屋に居る時にしか起こらないのよ。" 結果的には、彼女の言い分が正しかった。

現在市販されているルーターの多くは2つの Wi-Fi ネットワークを提供している:2.4 GHz と 5 GHz である。5 GHz の方がより高速で干渉にも強いが、2.4 GHz の方が到達範囲が広い。

私は AirSonics ボックスは 5 GHz Wi-Fi 信号経由で通信していることを知っていた。そこで試験的に、TV 部屋の全ての iOS 機器をルーター上の 2.4 GHz ネットワークに接続するよう強制した。そうしたら、この中断はほぼ即座に止まった! 私は 30 分程待って、iPhone 7 Plus を 5 GHz ネットワークにつないで見た。ほぼ瞬時に、TV 信号は正常に動作しなくなった。これだ!

常識的な対処法は TV 部屋の全ての機器を 2.4 GHz にしたままにすることであろう。しかし、iOS はネットワークに無作為に接続する様に見えることを考えれば、これは現実的な解ではない。それに、これはその他の機器が部屋に入ることも想定していない。例えば、お客さんが来ている場合である。"いらっしゃい。大試合を楽しみましょう! 所で、あなたの iPhone を 2.4 GHz Wi-Fi ネットワークに接続するよう設定して貰えませんか?"

この問題を迂回する虚しい試みの一つとして、私は干渉を減らすべくルーター上のチャネルも変えて見た。これは助けにはなっているかもしれないが、ほんの少々であり、TV のフリーズ問題は継続した。

私は、有線接続しかないと思った。

TP-Link AV200 の出番 -- 私は、天井に貫通口を開けるのは極力避けたいと思ったので、電力線 Ethernet は今でも選択肢となり得るのか調べて見た - 結果はイエスであった! Amazon でさっと検索して見たら、一番売れていると言う TP-Link AV200 が目についた - $25 のキットで、1対の 200 Mbps 電力線 Ethernet アダプタから構成されている。

もし、もっと速いものが欲しければ、少し足して AV500 ($35), AV600 ($50), AV1000 ($40), 或いは AV1200 ($60) の選択肢がある。型番の数字は最速のスループットを示しているので、AV1200 は最大 1200 Mbps で、これだとギガビット Ethernet にも十分であろう。しかし、私の IPTV 用には、200 Mbps AV200 は十分過ぎるといえるし、それに我家の Internet 接続は現時点では 100 Mbps しかない。

これらのアダプタを手にしたら、正しく設置することが絶対に不可欠である。以下の高度に技術的な手順に細心の注意を払うように:

  1. アダプタの一つを壁コンセントに差し込む。
  2. もう一つのアダプタを別の壁コンセントに差し込む。
  3. ルーター又はネットワーク周辺機器から Ethernet ケーブルをそれぞれのアダプタにつなぐ。

これは文字通りプラグ&プレイである。

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注意点が3つある:

またアダプタをペア付し 128-bit AES を使って暗号化することも出来る。私の場合は、TV を転送しているだけなので、この機能を使う必要は無いと思ったが、やり方は簡単で、一つのアダプタでボタンを押し、次にもう一つの方でボタンを押すだけである。

もし追加の Ethernet ドロップが家の中で必要になった場合、アダプタを買い増しそれを必要な場所で差し込むだけである。もしオプションのペア付け機能を使っているのであれば、それも既存のアダプタに対してペア付しなければならないが、そうで無い場合は、プラグ&プレイのままである。

総じて、私は TP-Link AV200 アダプタを使っての Ethernet ネットワークに満足している。それは AirSonics ボックスよりも遥かに信頼性があり、それに私の ISP からの月額 $6 のリース料よりも遥かに安い。

しかし、それでも完全とは言えない。私の TV 信号は、前よりも遥かに少なくなったが、未だ時折フリーズする。私はその原因を未だ突き止めていないが、AV200 のせいでは無いかもしれない。更に、およそ週に一度、両方のアダプタを引き抜いて再度差し込むことによるリセットをしなければならない。面倒ではあるが、Internet 問題を回避するために長年やってきた Wi-Fi ルーターの電源を切って入れ直す作業よりもマシである。

Wi-Fi は正常に動作している限りは本当に魔法の様だが - そして、殆どの時間そうである! - 機器間を直接つなぐ Ethernet 接続ほどの信頼性はない。しかし、壁や床を貫通させて電線を引くのは難しいか高価であり、この TP-Link からの様な電力線 Ethernet アダプタは試してみる価値がある。

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打ち捨てられたアプリの問題

  文: Marc Zeedar: zmarc@designwrite.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

2008 年に App Store が初めて開店して以来、私は iOS アプリを使ってきた。私はソフトウェア開発者なので、この市場は魅力的だった。当初は単純なアプリばかりが溢れていたが、その後次第にもっと高度なアプリも出てくるようになった。そして、iPad が登場すると、より大きな画面が使えるようになってさらにパワフルなアプリも現われた。アプリの未来は、輝いて見えた。

けれども今日では、状況が甚だしく複雑になっている。複数のデバイスが、異なるスクリーンサイズ、異なるハードウェア機能、オペレーティングシステムの異なるバージョン、さまざまな種類のソフトウェア API、等々を備えるようになった。(それもこれも、iOS の中だけでの話だ。)

ここに至るまでに、ビジネスモデルの変化も私たちは目にしてきた。当初、ほとんどのアプリが前払いの料金を課した。その後、広告モデルを試すアプリがいくつか登場し、また無料の "light" 版と有料の "pro" 版の両方を出すアプリも現われた。それから、Apple がアプリ内購入を導入すると、フリーミアムのモデルが一般的になった。つまり、アプリは無料でダウンロードできるが、一部の機能は料金を支払わなければ使えないというものだ。

初期の日々はまさにゴールド・ラッシュであった。一人で仕事をする開発者が一夜のうちに億万長者になったという話も聞こえてきた。けれども開発者たちが先を争って低価格競争をするうちに、あっという間に金鉱は底をついた。今日では、App Store で行き来する金額は増えているけれども、金額の大部分は少数の大きなソフトウェア会社へと流れている。

十年間近く存在してきたその歴史を通じて、App Store は波乱に満ちた成長過程を経てきた。インターネット時間の流れの中で App Store は高齢者だと言えるかもしれないが、市場としてはまだおむつが取れていない段階だ。でも今や、App Store が本当の意味で役に立つ何物かになるのか、それとも一時的な流行として消え去るかの分岐点に私たちは立っているのではないかと思う。

私は決して App Store 自体が消えると言っているのではない、消えたりはしないだろう。けれども、大多数の開発者たちにとってのビジネスの機会という意味合いがなくなる可能性があると言いたいのだ。そんな暗黒の未来において収益力あるアプリとして残るのは、巨大企業の作ったごく少数の娯楽用アプリと、銀行やニュース会社が顧客用に作った「ビジネス基本アプリ」の類いのみになるのだろう。

その迫り来る脅威として私の目に映るのが、打ち捨てられたアプリだ。ずっと以前からある程度はそのようなアプリが App Store のそこここに散らかっていたのは事実だけれども、最近になって打ち捨てられたアプリの数が急増しているのには三つの理由がある:

これらのことは、それぞれ単独に見れば過度の警鐘とはならないだろう。けれども三つ全部が合わされば、小規模の開発者にとって壊滅的な意味を持つ。

善き意図の下に深刻な結末が -- Apple の意図は良い。何年間もアップデートされていないアプリをダウンロードした顧客はきっとあまり良くない体験をするだろうし、開発者からのサポートがなければ間違いなく Apple に対する苦情を生むからだ。

また、32-bit コードの排除も分別あることだ。アプリのサイズが小さくなり、iOS は古い API や 32-bit 専用コードを捨て去ることができ、新しいものすべてがよりスムーズに、より良く動作する。それはまた、もっと新しいハードウェアにアップグレードするようにと顧客たちを「促す」良い手段ともなる。(古い 32-bit 専用のデバイスでは iOS 11 が走らないからだ。)

しかしながら、これらの問題点に対する Apple による解決法は、いくつかの深刻な問題を生む。

その中でも最大の問題は、iOS 9 以来、iTunes を使ってバックアップしてもアプリがコンピュータにコピーされなくなったことだ。アプリをリストアするには、App Store からダウンロードし直さなければならない。でも、Apple がもしもそのアプリが古過ぎる、あるいは 64-bit でないという理由で削除してしまったとしたら、そのアプリはもう手に入らない。どこからもダウンロードできなくなってしまう!

Mac 上ならば、あなたが使っているアプリがその開発者から見捨てられても、あなたは簡単にバックアップのコピーを作っておいて、必要に応じてそこから再インストールできる。たとえ新バージョンの macOS でそのアプリが走らなくなったとしても、理論的には古いバージョンの macOS でブートして仮想マシンの中でアプリを走らせることができる。最悪の場合でも、少なくともデータだけは別のアプリに移行させる方法がたいてい見つかるだろう。

けれども iOS では状況が違う。どのアプリが走ることを許されるか、どのようにしてアプリを入手してインストールするかについて、全管理を Apple が掌握しているので、見捨てられたアプリを走らせる方法はない。(もちろん jailbreak をすれば可能だろうが、それはそれでいろいろな問題を生む。)

その上、iOS はユーザーにファイルシステムへのアクセスを認めず、それぞれのアプリ自体がサンドボックス化されている(つまり、一つのアプリが別のアプリのデータにアクセスすることはできない)ので、見捨てられたアプリの中にあなたのデータがあっても、そのデータにアクセスできない可能性が高い。

あなたがデータを取り戻せるためには、次のようなことが必要だ:

たとえこれらの前提がすべて満たされていたとしても、ほとんどの場合に書き出しの手順は簡単でない。

例えば、古い iOS 用のお絵描きアプリを私は持っていて、長年かけて自分で描いた 50 枚ほどの絵が入っている。それらの絵を取り出すには、個々の絵を開いてそれを自分自身に電子メールで送り、その際にいくつかの書き出しオプションを毎回設定しなければならない。全部の絵を書き出すには 何時間も かかるだろうし、その過程でデータの属性のいくつかが失われるだろう。例えばテキストが編集可能でなくなったり、レイヤーが結合されたり、絵の一部分が別のアプリの中で異なるレンダリングを受けたりするだろう。

もう一つ別の種類の問題として、多くの iOS 用アプリがデータの作成をせずその代わりにサービスとして走ってクラウドからデータをダウンロードしているという現状がある。その完璧な実例の一つが Check The Weather アプリだ。これはインターネットサービスに依存して働き、あなたのいる地域の現在の天気状況と天気予報とを表示する。残念なことに、Check The Weather の開発者は最近、費用が掛かり過ぎるという理由で自らの天気ネットワークを閉鎖した。結果として、私がちゃんと料金を払ってこれまで何年間も見事な具合に使えてきたアプリが、何の予告もなしに突然働かなくなった。

もちろん、Check The Weather の開発者が天気予報ネットワークの料金を支払えなくなったのは本質的に Apple のせいではない。けれども間接的には、そこに Apple の方針が役割を果たしている。最も注目すべきは Apple がユーザーに対してすべてのアプリのアップデートをいつも無料でできると約束している点で、その結果として継続的な開発や運用のための資金源となり得る一般的な収入源が消えてしまったことだ。その上、App Store は開発者が自分の顧客に連絡する手段を提供していないので、開発者が困った状況を知らせることも、代替用のアプリを教えることもできない。

私が Check The Weather に何が起こっているのかを知ったのは、動かなくなったのを見てその開発者に連絡してみた後になってからだった。彼は私に、その時の一ヵ月も前に、彼のウェブサイト上のブログ記事でその問題について説明したと言ってくれた。でも、私はいったいどうやってそれを知ることができただろうか? 私は自分の iPad 上に 600 個近くのアプリを持っている。それらの開発者のブログを、全部チェックせよとでも言うのか?

プロフェッショナルな環境と言えるか? -- Apple は iOS がプロフェッショナルな仕事にも応えられると好んで宣伝しているようだ。とりわけ、Apple は仕事をする多くの人たちに iPad Pro をラップトップ機に代わるものと見てもらいたがっている。議論の目的のため (それだけならいいのだが)、仮にその Apple の論点が正しいとして話を進めよう。

でも、再インストールの手段が何もないままアプリが消え去ってしまいかねず、長年かけて集めたデータも失ってしまう可能性があるとしたら、それはいったいどんな種類のプロフェッショナルな環境だというのか?

気軽な家庭ユーザーならば、見捨てられたアプリのせいでデータを失っても、苛立たしいだけで実害はないのかもしれない。けれどもビジネスやプロフェッショナルの仕事の世界では、そんな事態は途方もない損害を与えかねない。

企業は変化について行くのが遅く(壊れていないなら直すなと考えるからだ)特に移行の際に問題がある場合は変えたがらない。いったいどれだけの会社が未だに Windows XP を使っているか、見てみるとよい!

アプリを見捨てることを 奨励 する Apple の方針は、多くの企業で iOS 11 へのアップグレードを遅らせるか、あるいは避けようとする傾向を生むだろう。なぜなら、アプリやデータへのアクセスを失う恐れがあるからだ。

今年は Apple が 64-bit への進撃を強制したことでこれまでになく多くのソフトウェアが脇に追いやられたので、その影響に苦しむ人たちがこれから数多く出るだろう。そんなことは大した問題でないという人も多いかもしれないが、そうでない人たちにとってこれは深刻な問題だ。

私の iPad と iPhone を見てみると、時代遅れとなった 32-bit のアプリが現在 iPad に 101 個、iPhone に 58 個ある。それは、私のデバイスにあるすべてのアプリのおよそ 25 パーセントにもなる!

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(皆さんの iOS デバイスでも少なくとも iOS 10.3.1 以上が走っていれば、Settings > General > About > Applications でこのリストが見られる。)

確かに、その多くは私が何年間も一度もプレイしたことがないような取るに足りないゲームだし、今は代わりに新バージョンが使えるアプリもいくつかある。(意図的にアップグレードしなかったものもあれば、別バージョンが新たに出ていることを私が知らなかったものもある。)

中には Zite や Bento のようにもう何年も前に打ち捨てられたものもあるが、打ち捨てられたアプリが今でも私の役に立つのなら、それを使うのを止めるか否かは 私が 判断すべきことではないのか?

いくつかのアプリには、iOS 11 が登場して強制的に 64-bit で切り捨てられる前に新しいバージョンが出るかもしれない。でも、開発元の情報を一つ一つチェックする以外に、そうなるか否かを私が知り得る手段はない。

もっと大きな問題は、私の時代遅れとなったアプリのほぼ4分の1が中にデータを含んでいることだ。多くの執筆用アプリや描画アプリ、六つの写真編集アプリ、いくつかのニュースアプリ、さまざまの「コンテンツ」アプリ(例えば言語データベース、本を内蔵したアプリ、その他)もある。

それらは決して珍しいアプリでも普通でないアプリでもない。大手の開発会社や大企業が作ったアプリも多い。名前を挙げれば Fox、HGTV、Sci-Fi Channel (ここが新たに使い始めた馬鹿げた綴りを私は断固拒否する)、Adobe、他にもたくさんある。

私が自分でグリーティングカードを作るために使っている Martha Stewart's CraftStudio というアプリもある。Martha はもうかなり以前にこのアプリを打ち捨てた(彼女が Xcode を使っている様子を想像するのも楽しい)が、私が持っているバージョンは今でも何の問題もなく動作する。でも残念なことに、私が iOS 11 へアップグレードすればその瞬間にこのアプリは死に、長年作り溜めた自分のグリーティングカードを私はすべて失うことになる。

何より心を掻き乱されるのは、私がこれらのアプリの大多数にちゃんと料金を支払ったという事実だ。一つ一つのアプリに払った金額は大して高額ではないが、長く使えると期待して私が支払った金額を全部合計すれば、何百ドルあるいはそれ以上になるだろう。

一番困るのは、時代遅れとなったアプリの中に ハードウェア にリンクされたものがあることだ。例えば、何年も前に私は iPhone のアプリでコントロールするおもちゃの車を買った。このアプリは時代遅れリストの中にある。これが死ねば、おもちゃの車は使い物にならない。$1500 もするドローンでなかったことを感謝すべきだろうか!

もう一つ別の 32-bit アプリで、ごく小さなフラッシュメモリを「ハードドライブ」と見なしてワイヤレス接続し、iPad/iPhone 用の追加のストレージにすることができる。(旅行中、私は映画をここに保存して飛行機の席で観る。)けれども iOS 11 にアップデートすればこのドライブは使えなくなるし、これは平均的なアプリに比べてかなり高価だった。嬉しくない。

他にも、アプリが打ち捨てられれば使えなくなるハードウェアに関する悲惨な話をいろいろと聞いたことがある。でも、実際にそういう状況を体験すれば、アプリを必要とするデバイスの購入に躊躇するようになるのは無理からぬことだろう。セキュリティカメラにせよ、台所用の機器にせよ、おもちゃにせよ、何でも同じことだ。

こういったことすべての帰結として、これからの私はアプリにお金を使うことに対して以前よりずっと慎重になると思う。App Store が初めて世に出た頃には、私はデスクトップ用ソフトウェアの価格に慣れ切っていて、しかも私自身がプログラミングをするので、開発者たちに仕事への対価として数ドルずつ支払うのに何の躊躇もしなかった。けれども今や、あまりにも多くの開発者たちがアプリを捨て去りつつあり、残ったアプリには Apple が人為的に時代遅れのレッテルを貼りつつあるのを見れば、私が App Store で物を買う気持ちも薄れようというものだ。

私の記憶が正しければ、かつての私は毎月 $10 から $25 ずつくらいをアプリに支払っていただろう。2016 年にはおそらくその平均値が $5 以下に落ちたと思う。2017 年には、きっともっと減るに違いない。

次は Mac 用アプリかもしれない -- iOS から 32-bit の残り物を一掃することはある程度の意味を持つが、Mac の側ではそれほどまでにリソースに束縛がある訳ではない。その上、大多数のアプリは Mac App Store から入手したものでないので、何がインストールされるかについて Apple がコントロールできる度合も少ない。

それにもかかわらず、6 月の Apple の WWDC 開発者向けカンファレンスで次期バージョンの macOS となる High Sierra について発表した際に、Apple はまるで Mac 上の 32-bit 対応がもうすぐ消え去るかのような言い方をした。

Apple は、Mac App Store においては 64-bit が必須であるという点を明確に述べた。けれども Mac App Store 以外で配布されるアプリについては曖昧な言い方にとどめた。Apple は開発者たちが 64-bit へ行くことを「強く推奨」した上で、「macOS High Sierra は、32-bit アプリに妥協なしの対応をする最後の macOS リリースとなる」と結んだ。

それはつまり一部のアプリは動作するが一部のアプリには問題が起きるという意味だろうと思うが、それがどんな種類の問題なのか私には見当がつかない。仮にその「妥協」という言葉が (Intel プロセッサへの移行の際に PowerPC エミュレーションで起こったように) 古い 32-bit アプリの動作が遅くなることを意味するとしても、それでも全く動作しないのとは話が全然違うだろう。

High Sierra の後に続くバージョンの macOS がどんなものであれ、登場するのは一年以上先なので、解決策を見つけ出す時間はあるだろう。大多数のアプリでは 64-bit への移行とはただ単にコンパイルし直すだけのことだろうが、非常に古くてもはや開発中でないアプリにとっては何の助けにもならない。

解決策はあるのか? -- ここまで、私は問題点の話ばかりしてきた。では、解決策についてはどうか?

もはやサポートされていないアプリを Apple が App Store から処分したがっているのは私にも分かるし、32-bit のアプリを一掃することがエンジニアリングの目標として適切なものであるという点に異論はないが、それに向けてこの会社が進めようとしている手段は厳し過ぎると言わざるを得ない。

古いアプリは、App Store の中に特別の "old" セクションを作ってそこに置けばよいのではないか? そこにあるアプリには Obsolete タグを付けて目立たせる。App Store 検索のデフォルト設定を、ユーザーが「古過ぎるアプリも検索結果に入れる」というオプションを特に選択しない限りそれらのアプリを無視するようにしておく。アプリをダウンロードする際に、そのアプリが時代遅れでサポート外だという警告を出す。やり方はいくらでもあるだろう。ただ、私が望むものはダウンロードして使えるようにして欲しい だけだ。

Apple が開発者たちに App Store を通じて自分の顧客たちと直接コミュニケーションできるようにしてくれるようになるとは考えにくいが、Apple が開発者の代理となってアプリのユーザーたちに連絡してくれるというのはあってもよいのではないか? もしも Apple がユーザーたちに時代遅れのアプリについて情報を伝えてくれたら、例えば新バージョンへのリンクとか、データ書き出しの手順の説明とか、代替品として使えるアプリの紹介とか、そういったことをユーザーに知らせてくれたら、非常に大きな助けとなることだろう。でもよく考えてみればやはり Apple がそんなことをするとも考えにくい。

けれども Apple は、私たちが購入したアプリが App Store から削除された際にそれを通知することならできるだろう。そうすれば、そのアプリを開発者が捨て去ろうとしているかもしれないという警告になるだろうし、ユーザーたちがさらなる情報をチェックできるきっかけにもなるだろう。

(例を挙げよう。私は新しい iPhone へ移行した際に、いくつかのアプリが消えてしまったことに気付いた。それらのアプリがもはや App Store になく、そのためリストアできなかったのだと後から知って、私はショックを受けた。そのことをあらかじめ知っていさえすればいろいろと準備もできたはずだが、でも私は警告を受けていなかった。)

また、Apple は大手の開発会社以外の開発者たちが金銭的に成功を収められるようにもっと手を貸すべきだ。アプリの発見性を高め、アプリの有料アップグレードを認め、いわゆる「クローン」やゴミのようなアプリを削除するなど、方法はいろいろある。金銭的に役に立たないからという理由でアプリが打ち捨てられているのだとすれば、Apple がどんな方法で対処してくれるにせよ必ずや役に立つだろう。

公平のために言えば、Apple は App Store に改善を加えている。とりわけ、レビュー審査が早く済むようになったのはありがたい。それからまた、長い間開発者と顧客の双方を苦しめてきた方針を Apple がようやく変更して、顧客が書いたレビューに開発者が返事を書けるようになったのも嬉しい。iOS 11 では App Store が見栄えを一新することになるが、それと共にアプリの発見性に改善が加わるのか、それとも単にタイタニック号の甲板の椅子の並べ替えに過ぎないものとなるのか、ぜひとも注目しつつ待ちたいと思う。

あなたにできることは -- 当然のことだが、走る列車の最後尾から Apple がアプリを次々に蹴り飛ばす様子を見て、どのように反応するかはあなた次第だ。最後にそれに対する私自身の態度を述べておこう。皆さんはご自分の必要に応じて、真似するなり変更を加えるなりご自由にして頂きたいと思う。

確かに iOS は非常に有能で、それを唯一のコンピュータとして使うことも可能だと私も思う。けれども、打ち捨てられたアプリで何度も痛い目にあったせいだろうか、私の中で用心深い気持ちが勝つようになった。今の私は、もはや iOS を“プロフェッショナルな環境”とは思っていない。

アプリがいつ消え去るかも分からないので、もはや私はアプリの購入に多額の費用を注ぎ込むつもりもないし、アプリを学んで使いこなすために多大な時間とエネルギーを投資することもしたくない。だから、そう、その及ぼす結果としてアプリの売上げは減り、開発者が「プロフェッショナル」なアプリを作りたいと思う動機も弱まるだろう。

自分が現実の仕事に使うために iOS 用アプリを調べて判断する際には、独自仕様のデータストレージを使っているアプリを私は避ける。クラウドに(できれば Dropbox に)データを保存可能なアプリを積極的に探し求め、標準的なデータフォーマットを使うアプリを優先する。

使うアプリを決める前に、それが書き出し機能を持っていることを必ずチェックする。その機能を直ちにテストして、実際に使えることを確認する。

次に私が取り掛かるプロジェクトは、私が持っている打ち捨てられたアプリのリストをくまなく検討して、重要なものについては代替品を探すことだ。でも、その多くはきっと、別の iOS アプリを探すだけでなく、Mac 上でも代替品を探すことになるだろう。気に入った iOS アプリをあまりにも多く失ったので、もはや私には App Store を信用することができないからだ。

(この記事は、もともと 2017 年 5 月に xDev Magazine に載せた記事に少し手を入れたものだ。)

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2017 年 7 月 24 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Moneydance 2017.4 -- The Infinite Kind が Moneydance 2017.4 をリリースして、同期フォルダでアップデートが 2000 件以上になった場合に Dropbox 同期が正しく働かなくなったバグを修正した。この個人用財務マネージャはまた、ダウンロードした取引の重複探知を改良し、ダウンロードした取引の確認インターフェイスに "best match" 表示を復活させ、Python スクリプティングのバグ一件を修正している。(The Infinite Kind から新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 40 パーセント割引、無料アップデート、96.8 MB、リリースノート、10.7+)

Moneydance 2017.4 へのコメントリンク:

Logic Pro X 10.3.2 -- Apple が Logic Pro X 10.3.2 をリリースして、Pop、Songwriter、Latin のスタイルでパーカッションを演奏する 3 人の新しい Drummer を追加した。このプロフェッショナル向けオーディオアプリはまた、新しい Drummer ループを曲に追加してそれらのループをパフォーマンスコントロールでカスタマイズできるようにし、オーディオリージョンのピッチをトランスポーズ・微調整できるようにし、Arpeggiator のパターングリッドで個々のステップの長さを調整できるようにし、フェードを削除するキーボードショートカットを追加している。(Mac App Store から新規購入 $199.99、無料アップデート、1.35 GB、リリースノート、10.11+)

Logic Pro X 10.3.2 へのコメントリンク:

1Password 6.8 -- AgileBits が 1Password 6.8 (通称 "The Picnic Edition") をリリースして、1Password.com アカウントに (1Password.com を訪れる必要なく) ヴォールトを作成する機能を追加し、一時的パスワードを持つ項目への入力の際にその一時的パスワードを自動的にクリップボードへコピーできるようにした。このパスワード管理ユーティリティはまた、One-Time Password 期限切れ時刻表示に残り秒数を表示するようになり、新しい Mac から 1Password.com アカウントへサインインする際の手順を改良し、日付の値を編集する際に起こったクラッシュを修正し、1Password と 1Password mini の双方を終了するキーボードショートカットを Command-Control-Option-Q に変更している。(AgileBits および Mac App Store から新規購入 $64.99 または無料入手で月額 $2.99 か $4.99 の購読、無料アップデート、48.2 MB、リリースノート、10.10+)

1Password 6.8 へのコメントリンク:

Transmit 5.0 -- Panic が Transmit 5.0 をリリースした。2010 年にバージョン 4.0 を出して以後、この人気のファイル転送アプリの初めてのメジャーなアップデートだ。Transmit に無料の Panic Sync サービスが加わって自分のすべてのデバイスやアプリの間でファイルを同期できるようになり、マルチスレッドを改良して全体的な高速化を図り、新たに 10 個のクラウドサービス (Backblaze B2, Box, Google Drive, DreamObjects, Dropbox, Microsoft Azure, Rackspace Cloud Files など) に対応した。その他の変更点としては、新しい Get Info サイドバー、バッチ改名機能、お気に入りのフォルダに素早くジャンプできる Places Bar、また Transmit にいながらにしてセキュアな鍵を生成し管理できる機能などがある。(Transmit 5.0 については Glenn Fleishman が Macworld に詳しいレビュー記事を書いている。) アップグレード料金は設定されていないが (忘れないで頂きたいが、前回のメジャーアップデートからもう 7 年も経っている)、Panic は 2017 年 7 月 25 日までに限り Transmit 5.0 を $10 値引きの $35 で販売している。Transmit はもはや Mac App Store では販売されていない。(Panic から新規購入 $45、無料アップデート、30.2 MB、リリースノート、10.9+)

Transmit 5.0 へのコメントリンク:

Safari 10.1.2 -- Apple が Safari 10.1.2 を OS X 10.10.5 Yosemite および 10.11.6 El Capitan 用にリリースした。(macOS 10.12.6 Sierra にはこれが既に含まれている、2017 年 7 月 19 日の記事“Apple、macOS 10.12.6, iOS 10.3.3, watchOS 3.2.3, tvOS 10.2.2 を発表 ”参照。) 今回のアップデートはセキュリティ脆弱性をパッチするためだけのもので、悪意を持って作られたウェブコンテンツが無限個のプリントダイアログを表示するという問題を解決し、また WebKit で複数のメモリ破損の脆弱性に対処した。Safari 10.1.2 は Software Update 経由でのみ入手できる。(無料、10.10+)

Safari 10.1.2 へのコメントリンク:

iTunes 12.6.2 -- Apple が iTunes 12.6.2 をリリースしたが、今回もまた詳細不明の「アプリとパフォーマンスへのマイナーな改善」が施されているという。(この点は前回のバージョンと全く同じだ。2017 年 5 月 18 日の記事“iTunes 12.6.1”参照。) もしもユーザーインターフェイスや挙動で何か変化または奇妙なことに気付かれたら、コメントに書き込んで教えて下さるとありがたい。(無料、直接ダウンロードでも Software Update 経由でも 270 MB、リリースノート、10.9.5+)

iTunes 12.6.2 へのコメントリンク:

セキュリティアップデート 2017-003 (Yosemite および El Capitan) -- Apple がセキュリティアップデート 2017-003 を OS X 10.10 Yosemite 用と 10.11 El Capitan 用にそれぞれリリースして、同社が macOS 10.12.6 Sierra で対処したと同じセキュリティ脆弱性をパッチした。(2017 年 7 月 19 日の記事“)Apple、macOS 10.12.6, iOS 10.3.3, watchOS 3.2.3, tvOS 10.2.2 を発表”参照。)今回のセキュリティアップデートはカーネルとシステムのアクセス権に影響を与えたり任意のコードが実行される可能性のあったりしたメモリ破壊の問題点に対処している。また、境界チェックを改良して悪意を持って作られた XML 書類がユーザー情報を漏洩させることがないようにしている。しかしながら、BroadPwn バグ (2017 年 7 月 21 日の記事“iOS 10.3.3、注目の BroadPwn 脆弱性にパッチを当てる”参照) には対処していない。Apple はすべてのユーザーにこのアップデートを推奨している。(無料、10.10.5 Yosemite 用は 431.6 MB、10.11.6 El Capitan 用は 763.9 MB、セキュリティコンテンツリリースノート)

セキュリティアップデート 2017-003 (Yosemite および El Capitan) へのコメントリンク:


ExtraBITS、2017 年 7 月 24 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Apple が Dwayne "The Rock" Johnson と協力して Siri を宣伝し、Google Glass が(皆さんは Google Glass を覚えておられるだろうか?)工場の中に登場する。

The Rock X Siri: 家では真似しないように -- 有能なビデオ制作エディターたちが勢揃いして支援すれば Siri がどんなにうまく働くか、見てみたくはないだろうか? Apple が面白い「映画」を作った。Dwayne "The Rock" Johnson が Siri を何度も何度も使って、映画スターの架空の日常らしいことをやってのける。彼が使った Siri コマンドはすべて実際に働くのだろうとは思うが、その多くは iPhone のロックが外れている必要があるだろう。私たちも彼のコマンドを再現しようとやってみたが、たいていは Siri が私たちの言うことを理解しなかった。幸いにも、Siri が私の言葉 "read my last email" を聞き違えて "delete my email" を実行するところだったが、Siri には電子メールを削除する権限がないと分かった。これは良いことだ。

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Google Glass が復活... ただし工場や倉庫で -- Google Glass はかのテクノロジーの巨人が作った拡張現実用の眼鏡だが、バグの多い挙動やプライバシーの懸念から消費者への普及は大失敗に終わった。ところが、これがニッチ市場を見つけたかもしれない。農業機器のメーカー AGCO や、荷物輸送会社 DHL などが、製品組み立ての指示を必要としたり、倉庫で荷物を選び出したりする作業員の作業効率がアップグレード版の Glass を使うことで大幅に改善されると気付いたのだ。Wired に載った記事は言う:「企業の世界では、Glass は押し付けがましく気を散らすスマートフォンの派生製品でなく、仕事を成し遂げるためのツールであってそれ以外の何物でもない。」Apple が準備している新しい拡張現実用 ARKit テクノロジーがうまく行けば、この種の眼鏡の使用がもっと増えるかもしれない。デジタルなデータを現実世界の上に重ねて見るには、iPhone よりも眼鏡の方がずっと楽だから。

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日本語版最終更新: 2017年 07月 28日 金曜日 , S. HOSOKAWA