Apple は Q3 2017 業績発表でもう一度何十億ドルもの利益を報告し、iPad の売上高対前年比が久しぶりに増加を見せた。Adam Engst は iMac 用のいろいろの Fusion Drive に搭載された SSD のサイズについてちょっとしたデータを披露し (1 TB 版は避けよう!)、Josh Centers は MacBook Pro に搭載された Touch Bar への批判を展開する。それから、Glenn Fleishman が iOS 上のファクス用アプリの包括的概観をお届けする。今週注目すべきソフトウェアリリースは ScreenFlow 7.0、OmniOutliner Essentials および Pro 5.1.1、Fission 2.3.2、それに Airfoil 5.6.2 だ。
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文: Josh Centers: [email protected], @jcenters, Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>
Q3 2017 業績の報告で、Apple は純利益 $8.7 billion (希薄化後1株当たり $1.67) 及び売上げ $45.4 billion を発表した。同社の売上げは前年同期に比べ 7% 増加し、1株当たり利益は 17% 増加した ("Apple、Q3 2016 で予想を上回るも、スランプは続く" 26 July 2016 参照)。Apple の現在の保有現金は $261.5 billion にも及ぶ - 分かり易く言えば、同社の手持ち現金を持ってすれば California 州の全予算を賄っても更に $80 billion 以上も残る計算となる。
Apple は全部の事業で成長を記録したが、特筆すべきは Other Products 部門で、前年比 23% の増加で、$2.7 billion 以上を稼ぎ出した。この部門には AirPods, Apple TV, Apple Watch, Beats 製品, iPod, そして各種の付属品が含まれる。
Apple Watch の販売はこの四半期で 50% 増加した。有識者の間ではこの製品群は失望だとする見方が一般的だが、Apple CEO Tim Cook は、これは世界で頭抜けて最もよく売れているスマートウォッチだと言った。更に、ワイヤレスの AirPods も顧客にはとても人気な様で、98% の顧客満足度を得ている - Apple は顧客の需要に見合う生産が出来ていない。
同社の Services 事業は、この四半期でとりわけ輝きを増し、$7.3 billion 近くを稼ぎ出し、この部門ではこれ迄で最高となる四半期売上げを記録した。これは前年比 22% の増加に当たる。Services は今や "Fortune 100 の会社の規模" となったと Cook は言及した。CFO Luca Maestri は、App Store が Services 事業では最大の部門で、"支払い口座数は大幅に増え続けている" と語った。
Maestri が言うには、この成長の一つの原動力は新しい支払いオプションで、例えば Apple Pay の様な、そのお陰で世界中の顧客に買ってもらうのが日に日に易しくなっていると言う。彼はまた、Apple Music と iCloud ストレージの両方の購読者が増え続けており、今や 185 百万の有料定期購読者がおり、ここ 90 日間で、凡そ 20 百万人増えたとも言っていた。Services 事業のうち実店舗部門に関して言えば、Apple は今や世界中で 497 の Apple Store を展開しており、500 番目の店は何処に開かれるのだろうかが興味の的となっている。
iPad 販売はようやく変換点を迎え、販売台数で前年比 15% の成長を記録し、凡そ $5 billion の売上げを計上した。この製品群の売上げの前年比 2% の成長は印象的とは言えないが、これ迄の長く続いた iPad 売上数字の下落からの反転を意味し、そして前四半期と比べれば売上でも販売台数でも 28% の跳躍となる。
iPad は $200 超のタブレット市場では、販売の 89% を占めており、教育市場では販売台数で 32% の成長を見た。販売台数と売上げの成長の違いから見ると、iPad の売上増は安価な $329 の第五世代 iPad から来ているもので、より高価な iPad Pro ラインからのものではないことがうかがえる。
Mac の販売は堅調で、売上げでは前年比 7% 増を記録し、そして Apple に $5.6 billion の売上げをもたらした。この製品群は、販売台数では前年同期比で 1% の成長しかしていないが、全世界での PC 市場の縮小を考慮すれば、Mac 販売は 実際に 成長したと言える。平均販売価格の上昇で Apple は Mac の縮小する成長率を補っている様に見える。
最後に付け加えると、iPhone 製品群は同社の全事業部門の中で最低の成長を経験し、前年比で販売台数では 2%、売上げでは 3% の成長に留まった。何れにしても、iPhone は Apple のかけ離れて最大の事業であることに変わりはなく、この四半期でも $24.8 billion を稼ぎ出した。Apple によれば、この製品群の中で最も需要が強かったのは高級機であったと言う。
Apple は1株当たり $0.63 の配当を発表した - 10.5% 増 - そしてこれは 14 August 2017 の業務終了時の株主に対して 17 August 2017 に支払われる。Apple はまた、その資本還元プログラムに対して $50 billion の積み増しを発表し、株買い戻しプログラムも $175 から $210 billion に増額した。今日まで、この資本還元プログラムで株主に返還された金額は $211 billion を超える。
Apple はもはや数年前の様な成長ロケットではないが、売上げと利益の両面で着実な伸びを維持出来ることを証明している。苦悩の Q4 2016 の後 ("$9 Billion の利益を計上したが、Apple の売上げは Q4 2016 で再び減少" 25 October 2016 参照)、同社は 2017 会計年度を通しての成長に戻った、しかも、ホリデーシーズンをとっくに過ぎた後でも。
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文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>
最近の New York City での MacTech Pro で、私は参加者の一人のコンサルタントと立ち話をしていて面白い事実を学んだ。2017 iMac を買う時 - 21.5-inch モデルでも 27-inch モデルでも構わない - ストレージとして 1 TB Fusion Drive を載せて構成出来るが、この特定のドライブのハードウェア仕様を聞くと二の足を踏むことになるかも知れない。
Apple の Fusion Drive は、ハードディスクと SSD ストレージを組み合わせて、オペレーティングシステムに対しては一つのボリュームに見える様にしている。ハードディスクはギガバイト当たりのコストを抑えて豊富なストレージを提供するが、相対的には動作が遅い。SSD - solid-state drive - は、ずっと高速だがギガバイト当たりの価格が5倍以上もする。ハードディスクと SSD を一つのボリュームに融合することで、Fusion Drive は SSD よりも遥かに大きな容量をハードディスクよりも遥かに優れた性能で提供出来る。macOS は、オペレーティングシステムファイル、何時も使うアプリ、そしてあなたのよく使うデータをこの SSD 上に保存することで、その性能を実現させている。データ保存場所の調整は舞台裏で行われており、どのデータが何処に保存されているかは分からない (そして知ることも出来ない) - ファイルによっては両方の場所に保存されることすらあるかも知れない。
個人的には、私はそれ程のストレージは必要としないので、私の Mac には SSD を搭載しているが、Fusion Drive は多くの iMac 購入者にとって良い妥協策である。
私も Apple がある時点で SSD ストレージの容量を 1 TB Fusion Drive で減らしていると言う噂を耳にしたことはあるが、それを何処で確かめられるかを MacTech Pro で聞くまでは知らなかった。奇妙なことに、Apple は Fusion Drive のハードディスクと SSD の大きさをオプションとして搭載する Mac に対する Tech Specs ページに載せていない (対象は iMac と Mac mini)。代わりに、その情報は Mac を購入するために構成することによってのみ得られる。やり方は、ストレージオプションの上にある "あなたにぴったりの容量は?" のリンクをクリックする。そうするとポップアップに詳細が表示される。
そこで明らかにされているのは、Mac mini にある 1 TB Fusion Drive には 1 TB ハードディスクと 128 GB SSD が含まれており、そして初代の iMac の 1 TB Fusion Drive もそうだが、現在の iMac モデルと共に購入出来る 1 TB Fusion Drive にはたったの 32 GB SSD しか付いてこないことである。しかしながら、27-inch iMac Retina ディスプレイモデルに対して選択可能な 2 TB 及び 3 TB Fusion Drive には、どちらにも 128 GB SSD が含まれる。Apple は iMac で 32 GB の RAM の場合少なくとも 2 TB Fusion Drive で構成するよう推奨すらしている;私の勝手な想像だが、これはオペレーティングシステムの一時ファイルが、例えば仮想メモリスワップファイルや Mac がスリープする時のメモリ内容を保存するファイルの様な、SSD 容量の余りに多くの部分を取り過ぎるせいなのかも知れない。
この件を調べ始める迄気がつかなかったことがある。それは、現在の 1 TB Fusion Drive の 32 GB SSD が実際には改善だと言うことである。何故ならば 2015 年に Apple は 1 TB Fusion Drive の SSD 容量を 元々の 128 GB からたったの 24 GB に減らしていたのである。
いずれにしろ、この情報からの現実的な結論として、iMac を買おうと思っている人は 1 TB Fusion Drive を避けるべきだと私は思う。代わりに、余分に $100-$200 出して 256 GB SSD を選び、大量のデータ用には安価な外付けハードディスクを買うのはどうであろうか。或いは、余分に $200 か $300 出して、2 TB か 3 TB Fusion Drive を選ぶ手もある。
何をするにせよ、避けるべきは iMac に 1 TB ハードディスクだけを搭載したものを買うことである。私は、今日では如何なる Mac でもハードディスクだけを付けて構成するのは間違いだと思っている。その理由は、Fusion Drive、そして、とりわけ SSD は圧倒的に速いからである。SSD 或いは Fusion Drive は、あなたの投資に対して最大の性能向上を提供する。
最後に、Apple よ、何故 Fusion Drives のこれらの鍵となる詳細情報をこれらのマシンに対する実際の Tech Specs ページに載せられないのか? それを購入ページのポップアップの背後に隠しておくのは欺瞞行為寸前である。
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文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>
昨年 10 月、Apple が新たに設計した MacBook Pro を発表した時、私は直ちに欲しいと思った。("新 MacBook Pro、状況に応じて変わる Touch Bar を搭載" 2016 年 10 月 27 日参照) 実際問題として、私はもう一台の Macを必要としていて、それについては、ポータブルなものが必要だったのだ。だが、私は主として、Touch Bar に魅了されていた。一つには、新規性という要因で、もう一つは、テクノロジーに関わるライターとして、私たちの記事に載せるために、個々のユニークな Apple デバイスを体験したいという理由からだ。
悲しいかな、もうじき 1 年になろうとしているのだが、私は、Touch Bar をあまり使っていないということに気付いた。Adam が、Touch Bar の面白い使い方について記事を書くよう勧めてくれた時、私は、この不幸な事実に否応なく向き合わされた。ちょっと検討した後、私たちは、そこには、記事を書くだけの十分な材料がないということで同意した。Touch Bar の登場後、開発者による魅力的なプロジェクトが立て続けにあったにもかかわらず、これまで大したものは何も出荷されていない。
私は、Touch Bar が役に立たないと言っているわけではない。なぜなら、それは真実ではないからだ。少なくとも理論的には、Touch Bar は、物理的なキーの列よりも、有能で、柔軟性が高い。そして、Touch ID は、私のMacBook Pro へのログインや、1Password の認証にとって最高だ。だが、もし、Touch Bar 付きの MacBook Pro に、さらに 300 ドルから 400 ドル支払うべきかと、私が今日尋ねられたとしたら、私は、二つの理由から、ノーと言うだろう。
Apple 自身の Human Interface Guidelines によると、いかなる機能性も、Touch Bar 専用であってはならない。これは理にかなっている。なぜなら、Touch Bar を搭載した Mac は、少数派だからだ。だが、反面、Touch Barは、Touch ID 以外に、追加の機能性を何ら提供しないことになる。もし、Touch Bar を使う方が、他のインターフェース要素を使うよりも速いのであれば、これは、それほどひどいことにはならないであろう。だが、第二の理由により、そうではないのだ。
Touch Bar は、触覚的なフィードバックを何ら返さない。そして、ファンクション・キーでやるように、見ないで Touch Bar を使うことは不可能だ。私の iMac の場合、私が選んだキーボードは、Apple WirelessKeyboard だ。ボリュームの調整や、オーディオ再生の一時停止が必要なら、私は、適当なキーをタップするだけだ。普通は、見たりしない。MacBook Proでは、私は、画面から視線を外して、Touch Bar 上の正しいボタンを見つけなければならないし、ボリュームの場合 (macOS 10.13 High Sierraの時点で) には、スライダーをしかるべく調整しなければならない。
これら二つの要因だけでも、Touch Bar は大いに意味がなくなってしまう。ここに、単純な例がある。Microsoft Word では、Touch Bar によって、ツールバーのアイテムへのショートカットが提供される。例えば、選択したあるテキストを太字にしたいとしよう。Touch Bar を搭載した MacBook Proでは、これを行うのに、3 つの主要なやり方 (他にもあるが、むしろずっと遅い) がある。
キーボードで、Command-B を押す。この場合、手はキーボード上に、視線は画面上に保持される。
Word のツールバーで、Bold ボタンをクリックする。この場合、手はキーボードから離れるが、視線は画面上に保持される。
Touch Bar 上の Bold ボタンをタップする。この場合、視線が画面から離れ、そして 手がキーボードから離れる。
多くの場合、Touch Bar は、行動を起こすのに、最も遅い やり方なのだ。Touch Bar は、格好いい、レーシングカーの装飾のような帯だが、多くの場合、操作は遅くなり、さらに悪いことには、Esc のように、おそらくみなさんが反射的に手を伸ばす便利な物理的キーを排除している。
これで全てではない。Touch Bar の画面は、小さすぎて、場合によっては役に立たない。例えば、Safari では、タブを切り替えるのに Touch Bar を使うことができ、格好いいように思われるが、それぞれのタブに何があるのか、ほとんど見分けられないのだ。
もうすぐやって来る macOS 10.13 High Sierra は、Touch Bar にはそれほど貢献していない。Touch Bar のボリューム・ボタンをダブル・タップして、Mac のオーディオをミュートしたり、スワイプして、ボリュームとディスプレイの明るさの両方を調整したりすることができる。また、Night Shift をアクティベートするボタンと、Airplay の受信機 (最も可能性が高いのは Apple TV だ) に、オーディオとビデオを送るボタンが加わっている。
Apple は、Touch Bar のコンセプトを捨て去るべきであろうか? 私は、そこまでするつもりはないが、Touch Bar を有用にするつもりがあるのなら、Apple は何らかの仕事をする必要がある。
Touch Bar を有用にすること -- 潜在的に有用な、一握りの Touch Barの活用法はあるが、それは、Apple の制限によって阻まれている。私が知る限り、そして、これは、Keyboard Maestro の Peter Lewis によって裏付けられたのだが、アプリがフォアグラウンドに現れることなく、Touch Bar にアクションを加えるために、Apple が承認したやり方はない。この制限を取り除けば、Touch Bar をもっと実用的にするのに、大いに役立つであろう。
もし、バックグラウンドのアプリが、Touch Bar 上にアイコンを表示するようになれば、Keyboard Maestro のような自動化ユーティリティによって、ユーザーは、Command-Shift-Option-M、あるいは、Control-Shift-Option-Mだったか、不明瞭になりやすいキーの組み合わせを必要とすることなく、自分であつらえたマクロのトリガーに、Touch Bar を使うことができる。
私は、いつもこれで苦労している。なぜなら、既に存在しているショートカットとコンフリクトを起こさずに、覚えやすいキーボード・ショートカットを作り出すのは、難しいからだ。ここ TidBITS では、巻毛でない引用符のようなものを修正するために、全てのアプリに、BBEdit text factory を走らせる Keyboard Maestro のマクロを入れている。私たちが使っている別のマクロでは、iPhone のスクリーンショットを組み合わせている。だが私は、キーの組み合わせ、特に二番目のを思い出すのに、しばしば苦労する。私は、これを滅多に使わないのだ。そうしたマクロを Touch Bar からアクティベートできれば、私にとって、Touch Barは直ちに有用となるであろう。
開発者の中には、Control Strip をハッキングして、その中にボタンを追加する方法を解明したものもいる。Control Strip は、デフォルトで Touch Barの右側に常に表示されている一握りのコントロールだ。BetterTouchTool, Mute Me、そして、TouchSwitcher、これらは全て、Control Strip に、第五のボタンを付け加える。だが、それは、醜いハッキングだ。そうしたボタンは、System Preferences > Keyboard > Customize Control Strip では設定できないし、そして、こうしたアプリを 2 個以上走らせたら、それらは、どのアプリが 5 番目の場所を得るかで競合することになる。
Touch Bar をサポートしている多くの正規のアプリでさえ、ユーザーに、Touch Bar にどんなコマンドを表示するか選択させるよりも、むしろ今では、Touch Bar において、単に基本的な機能を再現するようにしている。Command-B は、Bold ボタンをタップするよりも速いが、もし、ワード・プロセッサを使っていて、カスタマイズした文字スタイルを定義しているのであれば、Touch Bar からそれにアクセスする方が、コンテキスト・メニューや、常に画面に現れているわけではないパレットでそれを見つけるよりも、速いかもしれない。ここで、Apple は範を垂れて、同社のアプリに、自明でない Touch Bar の使用法を、いくつか実装すべきだ。
Touch Bar に、あるレベルの触覚的なフィードバックを与えることも、役に立つであろう。伝説に近い Optimus Maximus のキーボードは、各キーに、小さな OLED ディスプレイを置くことで、これを行った。私は、Apple がそこまでするとは思えないが、スライダーに沿って指を滑らせる時には、引き続きスライダーをスムーズにしておきながら、ボタンとボタンの間の溝をシミュレーションするのに、Apple は、同社の Taptic Engineテクノロジーを使うことができるかもしれない。iPhone 7 のソフトウェアHome ボタンが、どれだけ説得力があるかを考えると、私は、これが有効な解決策になる可能性があると思う。
今この場で、あなたが新型 MacBook Pro を見ていて、Touch Bar を欲しいかどうか決められないのであれば、Touch Bar は、それだけではお金をかける価値はないと、私は思う。もちろん、買うかどうか決めるのは、決してそれほど簡単ではない。なぜなら、Touch Bar 搭載モデルには、さらに二つの Thunderbolt 3 ポート、より高速な CPU オプション、そして、より高速な Wi-Fi といった、細かい差が、他にいくつかある。そうした差は、新型 MacBook Pro をお金をかける価値があるものとするかもしれない。そして、Touch ID は素晴らしい。だが、Apple が、Touch Barを開発者にオープンにするまでは、これがあなたの生産性を高めると思ってはいけない。
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文: Glenn Fleishman: [email protected], @glennf
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
ファクスは、今ではもう時の砂に埋もれてしまったはずだが、もしもあなたが契約書とか、不動産書類とか、医学関係とか、1980 年代以来進化の止まっている業種に関係しているのならば、たぶんまだまだファクスを送信したり受信したりしなければならないだろう。でも、たいていの人には専用のファクス機やファクス番号など必要なく、ほんの時折数ページだけ送信したり、ファクスを受信したりする必要があるだけだ。そうする方が、印刷物が郵便で届くのを待つより速いからだ。
ウェブサイトや Mac 用アプリを使ったファクスサービスをご存じの方も多いかもしれないが、実は iPad や iPhone のアプリを使ってアクセスするファクスサービスもたくさんある。確かに iOS は生産的な作業のためには具合が悪いこともあるけれども、ファクス用のアプリについてはアプリ内共有、クラウドサービス、Photos ライブラリ、内蔵カメラといったものを駆使することでそのような具合悪さを避けられる。すべてのものが一ヵ所にまとまることで、摩擦が経る。これらのアプリの多くはクレジットベースのシステムにより単発のファクスを扱うようになっているが、中には非常に高くつくものもある。
去年、安価なファクスサービスの MaxEmail が eFax に買収されたのを受けて、それに代わって使える macOS およびウェブベースの代替手段を Randy Singer が調べた。(2016 年 10 月 7 日の記事“MaxEmail を代替する SRFax や他のインターネット・ファックス”参照。) 私も長年 MaxEmail を使ってきたが、他のものを探そうという段になって、私は Mac でなく iOS を使えないかという観点から調べてみることにした。
そういうわけで、この記事では iOS 用のファクスアプリを調べる。App Store を眺めると、似たような機能を提供するファクスアプリがあまりにもたくさんあって圧倒される気がするかもしれない。その大きな理由は、そこにある大多数のアプリが自らファクス処理の基盤構造を開発することをせず、ClickSend などのサービスに頼って動作しているからだ。そうすることにより、どうにも薄っぺらなアプリやサービスが出来上がってしまう。私は App Store のランク付けと、ユーザーからのレビュー、それに型通りのテストを通じて、注目に値すると思えるものをいくつか選び出した。
一つだけ注意しておこう。アプリの中には、機能は弱く価格は高いにもかかわらず、App Store のランク付けの結果を上げるために好意的なレビューを買い取っているものがある。App Store のランク付けが人工的に押し上げられているかどうかを判断するには、Fakespot サービスを使ってみるとよい。
無料のファクスの選択肢二つ、ただし主として受信のみ -- 今回の旅の出発点は FaxBurner サービスだ。これは、一つの iOS アプリと、少々複雑な電子メールの手順によってすべての機能を提供する。FaxBurner は方式もビジネスモデルも単純で、気前の良い無料レベルがあり、そこから月額払いの有料レベルへとステップアップすることができる。(この会社はあまり評判の良くない Android 用アプリも出しているが、サイト上にそのリンクはない。)
FaxBurner の無料アカウントは、無料通話の電話番号を通じて毎月 25 ページまで受信できる。アプリの中で、またはウェブ上で、その電話番号が生成される。けれども、有料レベルにアップグレードしない限りその電話番号はたった 24 時間しか有効でない。なので、あなたにファクス送信したい人に電話番号を教える際にはかなり注意深く時間を計算する必要がある。無料で使える代償としては妥当なところだろう。
また、そのアカウントで通算最大 5 ページまでならば送信することもできる。これは実質的に、有料レベルで送信がどんな風に働くかの実演という意味合いなのだろう。その際、送り出したページには FaxBurner のロゴと URL が書き込まれる。
FaxBurner と同様、eFax サービスにも無料レベルがある。ただしこちらではファクス送信はできず、受信も毎月たった 10 ページまでだ。また、eFax は月額 $17 または $20 のレベルを売りつけようと頻繁にうるさく言ってくる。時折ファクスを受信するだけならば、FaxBurner を選ぶ方が良いだろう。
しかしながら、数週間にわたって大量のファクスを受け取ることが分かっている場合には、eFax が提供する 30 日間無料の試用を使えば最大 150 ページの受信と 150 ページの送信ができる。この試用では、同社のスマートフォン用アプリも、あるいは他の選択肢も使える。
時折ファクス送信したい場合に使える安価な選択肢 -- 主としてファクス送信のみをしたい場合には、量の多少にかかわらず、ページの枚数に応じて支払うタイプのアプリか、またはクレジットを購入してページ数と引き換えて使うタイプのものを選ぶのが良いだろう。その方が定期的に課金されるより柔軟だ。
その種のアプリの間の違いは主として価格だが、共通して言えるのは次のような点だ:
ファクスの転送にどれだけ時間がかかったかに関係なく、ページ数に応じて料金がかかる。(昔は、所要時間に応じて課金するサービスが多かった。) 米国国内またはカナダへ送信する際の一枚あたりの価格は、まとめて多額のクレジットを購入する場合には $0.20 から $0.25 程度、1 から 10 枚単位で購入する場合は $0.60 から $0.99 程度だ。
画質は一般的に十分良いが、サービスによってある程度の差はあり、特にグラフィックスをレンダリングする際に差が目立つ。同じページをいくつかのアプリを使って FaxBurner へ送信してテストして、結果の PDF を Zip アーカイブに入れておいたので比較してみて頂きたい。
ファクスは世界中どこへでも送信できる。国による制限はない。
画像や PDF を書き出しできる iOS 用アプリを使っていれば、Share ボタンを使って書類を直接ファクスアプリへ転送できる。
多くは Dropbox などクラウドサービスに直接統合される。
この種のアプリの多くは、カメラで写真を撮影したり(多くは撮影した画像のトリミングや編集もできる)カメラロール内にある画像にアクセスしたりできる。
多くは、本当に煩わしいレビュー要求を押し付けてくる。中には、レビューの際に低いランク付けをしようとすると App Store レビュー手順そのものからあなたを押しのけようとするものさえある。この種の活動は iOS 11 で Apple に禁止される。
いろいろな機能をテストし比較した結果、皆さんが時間を費やす値打ちがあると思われるアプリを四つ見つけた。私が最も良いと思うものから順番に、以下に紹介してみよう。
iFax (無料アプリ、アカウント必要) -- 私がテストしたアプリの中で断然安価だったのが iFax だ。開始時価格はページあたり $0.30 ほどだ。米国では、iFax の料金は 84 クレジットで $2.99、1672 クレジットで $49.99、そして送信した一ページごとに 8 クレジットが引き落とされるが、表紙ページは無料でこれに加算されない。半ページを送信できないことを考慮に入れて割り算すれば、10 ページならページあたり $0.30、209 ページならページあたり $0.24 という計算になる。
iFax のインターフェイスとワークフローはうまくデザインされている。作成済みの表紙ページがいくつかのデザインで用意されていて、それらの中から選べる。表紙ページはカスタマイズでき、たくさんのテキストを入力したり、さらには指で署名を書き込んだりすることさえできる。他のアプリで表紙ページをカスタマイズできるものはない。
iFax の画像キャプチャ手順は、私がテストしたアプリの中では平均以上だ。視野内のオブジェクトを自動的に枠取りし、あとからトリミングしたりコントラストや輝度を調整したりでき、さらには画像を回転することさえできる。ただし、他のいくつかのアプリにあるような歪み補正オプションはない。
いくつかのソースから書類を iFax へ追加することもできるが、Dropbox セレクタの使い勝手は非常に悪く、でたらめな順番に並んだフォルダの下にファイルが並んでいるように見えるところをスクロールして行く羽目になり、検索のオプションもない。対照的に、iCloud ファイルピッカーはもっと堅牢で、検索フィールドもある。iFax の書類選択インターフェイスを使わずに済まそうと思えば、他のアプリから、例えば Dropbox アプリから、書類の共有を使うことができる。
状況によっては、ファクスを送信した証明が必要なこともあるかもしれない。これをうまくできるアプリはあまり多くないが、その点 iFax は最も優れている。ページ型のフォーマットにそのファクスに関するさまざまの情報を表示でき、タイムスタンプや、送信 ID も示され、さらには大きな赤い _SENT_ のスタンプも押される。
iFax からのファクス送信はうまく行ったが、いくつか摩擦を感じるところもあった。まず第一に、このアプリがクレジットの購入ページに表示する計算が合っていない。ページあたりの価格が数セント安く表示される。例えば、84 クレジットを購入すると $2.99 だと表示するのに、ページあたり 8 クレジットで "$0.22/page" と表示する。$0.30 のはずではないか。(また、クレジットの購入をキャンセルしたところ、アプリがハングして、強制終了しなければならなかった。)
他の国へ送信する際に、iFax は分かりにくくなる。行き先の国ごとに別々にクレジットを購入する必要があるからだ。場合によっては同額のクレジットのこともあるが、送信先の国によってはページあたり 8 クレジットより多くかかることもある。iFax の設定画面にある価格の項目はさらにもっと分かりにくく、ドル額とも計算額とも合わない情報を表示するように見える。アプリの中にも、同社のウェブサイトにも、ヘルプ情報はない。会社宛に電子メールを送って問い合わせるしかない。
iFax は月額 $17.99 (7 日間無料試用) でファクス受信用の電話番号を提供している。でも、そのホーム画面には "Get a _FREE Unlimited_ Fax Number!" という宣伝文句があって、それをタップすると、国別の番号を(米国国内なら州と市外局番を)選択できる。一番下にはちゃんと無料試用と書いてあるのだが、そこで Continue をタップすると、購入を促される。やり方全体が人を惑わすマーケティングだ。
表紙ページのテンプレートは素晴らしいのだが、欠陥が一つある。いずれのデザインにも、iFax のロゴと URL がデフォルトで表示される。これらを削除することは可能だが、そのためにはファクス送信をする度に毎回手で削除しなければならない。有料サービスにしては理不尽なやり方だ。
最後にもう一つ、iFax を使うにはアカウントの作成が必要だが、人によってはそれが不安の種となるかもしれない。ファクスはさまざまの会社のサービスを通り抜けているので、電子メールアドレスにリンクされたアカウントを作ることを不安に思う人がいるのもうなずける。
多少の欠点と価格表示の奇妙さはあるけれども、iFax は機能と価格を全体的に見れば最良の選択肢ではないかと思う。この会社は、コストの表示と説明についてもっとしっかり行動する必要がある。
BPMobile Fax (\480 のアプリ、アカウント不要) -- 第二の選択肢として紹介したい BPMobile の Fax アプリは、カメラから画像を追加する際に優れたキャプチャコントロールを提供する。境界を自動的に認識し、四隅のどれでもドラッグするだけで画像を歪めることができ、輝度やコントラストの調整もできる。これらの機能のお陰で、税抜きで $3.99 という購入価格を払っても、写真を基にした書類をたくさんファクスで送る場合には最良の選択肢と言える。(この種のキャプチャコントロールを持たないファクスアプリを使っている場合は、例えば Smile の PDFpen Scan+ のようなスキャナアプリを別途購入してそちらを使って書類をスキャンし、その後で画像や PDF をファクスアプリに転送すればよい。ただ、ほんの時折ファクスする人にはそれで十分だろうが、何度も繰り返せばすぐ面倒に感じられることだろう。)
BPMobile Fax にはクラウドサービスとの統合機能はなく、画像の取り込みはフォトライブラリまたはカメラからしかできない。けれども、他のアプリの中で共有先として現われるので、その方法で他のアプリから画像や PDF を書き出すことはできる。
使ってみると、BPMobile Fax にかかる費用は iFax ほど安くはないが、料金はこちらの方が明確だ。250 クレジットが $9.99、600 クレジットが $19.99、2000 クレジットが $49.99 で購入できる。1 ページにかかるクレジット数は送信先の国によって違う。米国とカナダに送るには 1 ページ 10 クレジットで、三種のクレジットバンドルがそれぞれ 25 ページでページあたり $0.40、60 ページでページあたり $0.33、200 ページでページあたり $0.25 となる。
BPMobile Fax は 90ヵ国への送信に対応しているが、それぞれの国ごとのクレジット数はアプリの中にもウェブサイトにも公表されておらず、ファクスの送信を準備してから送信先の国を選んだ段階で初めて 1 ページあたりのクレジット数が分かる。1 ページをオーストラリア、英国、中国へファクスする場合はたった 10 クレジットだ。小さな国に送るともっとずっと高くなる。
BPMobile Fax が独特なのは、枚数無制限のファクス送信をかなり低価格で提供している点だ。米国とカナダへは月額 $9.99、全世界あては月額 $19.99 となる。もしも大量のファクスを送信する必要があるなら(けれども大量の受信をもっと高価なサービスに頼ってする必要はないなら)BPMobile Fax が他のたいていのアプリやウェブベースのファクスサービスより安くつくだろう。
多くの会社は「無制限」という言葉にいろいろ但し書きを付けるものだが、BPMobile はウェブサイトでもアプリの中でも、サービス利用規約の中に不正利用と見なされる枚数などの制限事項を何ら明記していない。ファクスによるスパムは今も存在する(本当だよ)けれども、このアプリではファクスの送信を一枚一枚個別にしなければならないので、どう見ても不正利用には向かない。普通の人がいったいどれだけの枚数のファクスを iOS デバイスから送りたいと思うだろうか?
BPMobile Fax には、ファクス受信サービスは付属していない。
Genius Fax (無料アプリ、アカウント必要) -- Grizzly Labs が出している Genius Fax は、なかなか良い機能を取り揃えているが、米国とカナダを含む多くの国にあてて送信する場合の料金が iFax や BPMobile Fax に比べて高い。ファイルの利用可能性を知らせるアプリ(例えば私の iPhone 上では Dropbox や Transmit)と統合していて、アプリを離れることなく直接ファイルを読み込めるさまざまのオプションを提供する。他のアプリと同様、他のアプリからの画像や PDF の共有先となる。カメラロールにもアクセスできる。
Genius Fax には追加料金なしの表紙ページを付けるオプションもあって、表紙にはタイトルと受取人の名前を表示できる。配送レシートを受け取れなかったという苦情をレビューに書き込んでいた人もいたが、私がテストした限りでは何が送られたかを何の問題もなく確認できた。
価格面を言えば、Genius Fax では 1 ページ ($0.99)、10 ページ ($6.99)、または 50 ページ ($19.99 つまりページあたり $0.40) という単位で支払いができる。ここでの大きな利点は定額料金であること、つまり送信先として対応している 40ヵ国のどこへ送信しても価格が同じだということだ。なお、その 40ヵ国のリストは App Store でならば読めるが、他にはどこにもない!
Genius Fax が私の気持ちに背を向けさせた点が二つある。第一に、私がサインアップした次の日、この会社の創設者の一人の署名の入った自動送信の電子メールが届いたが、それが私を何となく見張られているような気分にさせた。文面にはこうあった。「お客様は昨日サインアップして下さいましたのに、まだ一度もファクスを送信しておられないことに気付きました。何か不具合でも起こっていないかと心配になって、お便りさせて頂きました。」この文面に、非常に押しの強いレビュー要求のポップアップが相まって、私は非常にイライラした気分になった。
第二に、このアプリの New Fax メニューにある Scan ボタンは、この会社の Genius Scan アプリが既にインストールされている場合を除き、App Store の中のそのアプリのページへとリンクする。確かに Genius Scan アプリは無料だが (あまり必要らしくも見えない Genius Scan+ への $7.99 のアプリ内購入が付いている)、同じ会社の別のアプリにスキャン機能を質入れするなんて、どう見ても厚かましい。他のファクスアプリなら、単純にカメラへアクセスした上で、トリミングや歪み補正などスキャンを改善するためのさまざまのオプションまで提供しているのに。
Genius Fax はファクス受信サービスも提供しており、これについてはあとで述べる。
JotNot Fax (無料アプリ、アカウント不要) -- JotNot Fax は優れたカメラコントロールを提供して歪み補正もでき、無料で表紙ページも付けられ、レシート表示が他のものより優れている。Dropbox 対応が統合され、アプリを離れることなく Dropbox に保存されたファイルを正しく検索できる。分かりやすくてしっかりしたアプリだ。ファクス受信サービスは付属していない。
けれども JotNot Fax の料金体系はとても奇妙だ。ページ単位で課金する代わりに、実際に何ページ送信したかに関係なく、5 ページを 1 ユニットとして料金を課す。3 ユニットが $3.99 なので、1 ページあたりの料金は $1.33 から $0.27 までの間になる。10 ユニットのパックが $9.99 ($0.99 から $0.20 まで)、20 ユニットのパックが $17.99 ($0.90 から $0.18 まで)、100 ユニットのパックが $79.99 ($0.80 から $0.16 まで) だ。頭がクラクラする。
避けるべきアプリ -- これから挙げる二つのアプリは、App Store の売上げランキングで最上位に近いところに表示されたとしても、私としては使わないことをお勧めしたい。まず、Fax File は、比較的高額なファクス料金を課すけれども、本当の問題はこのアプリがあまりにも古くさくて、この記事で紹介してきたより良いアプリにあるような基本的機能さえ欠いていることだ。
また、Fax というアプリにも気を付けよう。どうやらこのアプリは App Store を食い物にしているようだ。リンクされている開発者ウェブサイトは Facebook ページに過ぎず、そのページには一通のポストしかない。そのポストに寄せられたコメントのほとんどすべてが、このアプリが全然動かないと苦情を述べ立てている。それなのに、なぜか App Store のページには 4000 通以上の顧客からのランク付けが寄せられ、そのほとんどすべてが星五つで好意的な意見だ。これは、近づかない方が良い。
安価にファクス受信する方法 -- 安価なファクス送信の裏側にあるべきは、安価なファクス受信だ。この記事の初めのところで FaxBurner と eFax について述べたし、iFax の月額払いでの受信についても述べた。ここで、これら三者の料金を比較するとともに、Genius Fax の独特のモデルも紹介しよう。
FaxBurner が、おそらく最もお買い得だ。月額 $9.97 で、受信と送信の合計 500 ページまで扱える。月額 $19.79 を払えばそれが 2000 ページに増える。ただし、送信先は米国とカナダに限られる。
eFax は二つのレベルを提供する。月額 $17 を払えば、150 ページまでの送信と 150 ページまでの受信ができる。月額 $20 ならそれぞれ 200 ページまでに増える。超過した場合にはページあたり $0.10 だ。他のどのアプリよりも高額だが、その代わりに書類への署名、ストレージオプション、その他いくつかの要素が価格を正当化するのかもしれない。eFax ははっきりと述べていないが、月額払いサービスは米国在住の人に限られているようだ。
iFax は月額 $17.99 を課金し、そのサービス利用規約にははっきりと受信および送信双方のファクスについて「無制限」は「無制限」という意味だと書いてある。米国およびさまざまの他の国で電話番号を提供し、ファクスはあなたが選んだ一ヵ国に限られる。
Genius Fax はずっと安価な「使った分だけ払う」やり方を提供していて、米国とカナダで月額 $3.99 から六ヵ月で $20.99 までを払ってファクスを受信できる電話番号を用意してもらえる。ただしファクス送信にはさきほど説明した通りにあらかじめクレジットを購入しておいて 1 ページ $0.99 から 50 ページ $19.99 (つまりページあたり $0.40) までという少し高めの料金が適用される。
ファクスはなくなるか? -- 数多くの先進国で「ファクス機」というものが未だに人々の生活の一部として使われ続けているという事実は衝撃的だ。エストニアをはじめとするいくつかの国では、できる限り電子化することを国是としており、ファクスの必要が(ファクスの使用可能性も)排除されている。他方、発展途上国においては有線の電話網が高コストのため利用できず、人々はあらゆることについてモバイルの情報転送に頼らざるを得ない。
けれども私たちについて言えば、住宅ローンの会社へファクスを送信したり、かかりつけ医の診療所からファクスを受信したりという非対称的な義務を負っている限りにおいて、やはりこれらのアプリやサービスが必要だと言わざるを得ない。
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文: TidBITS Staff: [email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
ScreenFlow 7.0 -- Telestream が ScreenFlow 7.0 をリリースした。この人気のスクリーンキャスト録画およびビデオ編集アプリへのメジャーなアップデートで、創造性のためのオプションを増やし、繰り返し作業を減らすための新機能を追加している。今回のアップデートでは MP4 ファイルの編集と書き出しのパフォーマンスを高め、よく使うファイルや資産を保存しておくための Global Library を追加し、2016 年型 MacBook Pro の Touch Bar への対応を装備し、より高いタイムラインのフレームレートに対応し (30 fps と 60 fps のモード切替可能)、ファイルを直接 Imgur や Box に書き出す機能を獲得し、テキストのアニメーション効果を追加した。また、ScreenFlow 7.0 は macOS の AutoSave 機能をオフにする。これが ScreenFlow 独自の書類回復システムと衝突して、ネットワークドライブやクラウドベースのストレージなど遠隔の場所に保存されたファイルを壊していたからだ。
ScreenFlow の価格は $129 (旧バージョンより $30 値上げ) で、以前にバージョン 4, 5, または 6 を購入した人の場合アップグレード価格は $39 となる。無料の試用版もあるが、ダウンロードの際には電子メールアドレスを登録する必要がある。(Telestream ウェブサイトからも Mac App Store からも新規購入 $129、アップグレード $39、48.9 MB、リリースノート、10.11+)
OmniOutliner Essentials および Pro 5.1.1 -- The Omni Group が OmniOutliner Essentials と OmniOutliner Pro のバージョン 5.1 をリリースして、10 個の言語(ドイツ語、スペイン語、フランス語、オランダ語、イタリア語など)のローカライズ版を追加し、またフィルター、ペーストその他に関する数多くのバグを修正した。このアウトライン作成および情報整理アプリの双方の版とも、.oo3 ファイルを .ooutline ファイルへ変換する処理を変更し (自動的に .oo3 ファイルをゴミ箱へ移動するようにし)、Essentials テンプレートを更新して Heading 4-6 の規定値を含め、Column Inspectors が常時見えているようにし、HTML 書き出しツール (Quick Look にも使われる) のパフォーマンスを改善し、OmniOutliner 書類の間で行をコピー・ペーストしても Status 値が保たれるようにしている。
バージョン 5.1 のリリース後間もなく、The Omni Group はバージョン 5.1.1 を出して、OmniOutliner が OS X 10.11 El Capitan の下で開かなかったバグを修正した。OmniOutliner 5 は Mac App Store から無料でダウンロードでき (2 週間は無料で試用可能) Essentials と Pro の機能のロックをそれぞれ $9.99 と $59.99 で外すオプションがある。(Essentials の新規購入 $9.99、Pro の新規購入 $59.99、アップグレード $4.99/$29.99、37.1 MB、リリースノート、10.11+)
OmniOutliner Essentials および Pro 5.1.1 へのコメントリンク:
Fission 2.3.2 -- Rogue Amoeba が Fission 2.3.2 をリリースし、32-bit AIFF および WAV ファイル (また 24-bit と 32-bit の CAFF ファイル) への対応を追加した。またこのオーディオエディタは詳細不明ながら問題ある USB オーディオデバイスを使っている場合にオーディオが素早く聞こえるようにし、高効率 AAC (HE-AAC) モードを改良し、数多くのバグを修正し、macOS 10.13 High Sierra との“極めて”予備的な互換性を提供する。この Fission 2.3.2 は 10.10 Yosemite かそれ以降を要するが、10.9 Mavericks やそれ以前用の旧バージョンも Rogue Amoeba の Legacy Software ページから引き続き入手可能だ。(Rogue Amoeba から新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、Mac App Store からも入手可能、無料アップデート、10.4 MB、リリースノート、10.10+)
Airfoil 5.6.2 -- Rogue Amoeba が Airfoil 5.6.2 をリリースして macOS 10.13 High Sierra との“極めて”予備的な互換性を提供し、Instant On コンポーネントをバージョン 8.4.4 にアップデートすることによりログ機能を改善するとともに High Sierra でのクラッシュを修正した。このワイヤレスオーディオ送信アプリはまた、Extras インストーラのウィンドウに見栄えと信頼性の改善を施している。(新規購入 $29、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.2 MB、リリースノート、10.10+)
文: TidBITS Staff: [email protected]
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
今週の ExtraBITS では、DirecTV Now が CBS Networks からコンテンツをストリーミングする合意に至り、AT&T と Verizon のネットワークが無制限データを提供し始めて以後いずれも速度が遅くなったことが判明する。
DirecTV Now に CBS Networks が登場 -- AT&T のライブ TV サービス DirecTV Now が、CBS Networks のコンテンツをライブでストリーミングする契約に合意した。対象にはローカルな CBS 局といくつかの市場での The CW、さらには (追加料金を支払ってのプレミアムレベルで) CBS Sports Network、Pop、Showtime も含まれる。CBS はストリーミングサービスへの参加に消極的なことで悪名高く、CBS All Access のような独自の手法を好んできた。
AT&T と Verizon のネットワーク、無制限プラン以後に速度低下 -- OpenSignal の報告によれば、Verizon と AT&T の 4G LTE ダウンロード速度が、双方のキャリアが無制限データプランを復活させて以後のここ数ヵ月、遅くなっているという。OpenSignal の February 2017 報告と August 2017 報告を比較すれば、AT&T の平均速度は 6.8 パーセント減って 12.92 Mbps となり、Verizon の平均速度は何と 11.7 パーセントも減って 14.91 Mbps となった。OpenSignal は何らかの不正が行われているとは示唆せず、需要の増加の結果として全体的な速度低下が起こっているのではないかと述べている。興味深いことに、(群を抜いて遅いキャリアである) Sprint も (最速のキャリアである) T-Mobile も、もう何年間も無制限データを提供しているが、今回同じ期間に平均速度が増加している。Sprint は 8.6 パーセント向上、T-Mobile は 4.8 パーセント向上だ。
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