TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1385/11-Sep-2017

明日に迫った Apple の 2017 年 9 月スペシャルイベントを意識しつつ、Adam Engst がコンサルタント、IT 管理者、あるいは内部の動作の詳細を知りたい人たちにとって非常に重要な macOS 10.13 High Sierra での変更点を議論する。Jefferey Battersby が寄稿記事で Mac 用ドラッグ&ドロップ・ユーティリティ Yoink をレビューし、Josh Centers は Touch Bar をもう一度見直していくつかの興味深い応用法を紹介する。CrashPlan がコンシューマ向けバックアップを廃止したことを受けて、Backblaze を私たちの長期スポンサーとして心から歓迎する。それから、Julio Ojeda-Zapata が自宅のセキュリティのために HomeKit デバイスを使う方法を調べる。今週注目すべきソフトウェアリリースは一つだけ、Retrospect 14.5 だ。

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Backblaze が TidBITS のスポンサーに

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は Backblaze を我々の最新の長期スポンサーとして歓迎出来ることを心から喜んでいる。Backblaze は、ここ数年にわたり私の使っているオンラインバックアップサービスであり、他の方にも喜んで同社を推薦したいと思っているが、CrashPlan に対する代替サービスをお探しの方には特にお薦めしたい ("CrashPlan、コンシューマ向けバックアップを廃止" 22 August 2017 参照)。

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私は CrashPlan を1年間使ったが、このサービスに満足した事は一度もなかった。私の経験からすれば、その Java ベースのクライアントは遅くそして反応が乏しく、バックアップ速度は期待ほどではなく、そして最悪なのは、これは私のシステム全体の性能に悪影響を及ぼしている様に見えた事である。Backblaze を1週間試した所で、私は乗り換え者となり、それ以降有料購読者であり続けている。

これは私だけの話ではない。私は最初 Backblaze のことを Marco Arment から聞いたのだが、彼は CrashPlan よりも高速で信頼性に勝ると言っていた。同様に、Glenn Fleishman も、彼自身は CrashPlan に支払済であるにも拘らず、しばしば Backblaze に頼ることがあるという。その理由は Backblaze の方が遥かに良いからだと言う。そして、長いこと CrashPlan を推していた Joe Kissell すらも、今やはっきりと Backblaze を薦めている

しかし、ひょっとすると、皆さんは CrashPlan など全く使ったこともない? どんなオンラインバックアップも使っていないかもしれない! 或いは、同様に悪いのだが、オンラインバックアップしか使っていないかもしれない! この習慣は変える必要がある! 我々はバックアップを3つの違った形で持つことを Mac ユーザーにはお薦めしている:

もし外部ドライブにそこにしかないデータを保存しているのであれば、それらのバックアップを取ることも忘れないように! 幸いに、Backblaze は外部ドライブもまたバックアップ出来る。(但し Backblaze は、ネットワークドライブ、遠隔マウントされたドライブ、或いは共有ドライブはバックアップ出来ない。)

私は何故他のものに比べて Backblaze が好きか?

Backblaze はオンラインバックアップのあるべき姿そのものである:簡単、安全、そして手頃な値段。今すぐ 15 日間無料のお試しを試して、同意するか自分で判断して欲しい。Backblaze をそのまま使い続けるのであれば、あなたの外部ドライブを含めて、容量制限なしで、コンピュータ1台1年当たり $50 である。

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Yoink、Mac のドラッグ&ドロップを次の段階に

  文: Jeffery Battersby: jeff@reyespoint.com, @reyespoint
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Eternal Storms Software の Yoink は Mac 上での標準のドラッグ&ドロップ経験を大幅に改善してくれるが、その必要性はこれを数時間使ってみないと分からないかもしれない。でも、その後はもっと前から使っていれば良かったのにと思われるであろう。

簡単に言うと、Yoink は Finder や他のアプリからドラッグ&ドロップする項目の一時的な置き場所の役目をし、後で他のアプリケーションでも使えるようそれらを保存させてくれる。

要は、Yoink はあなたの Mac に対する仮想の棚だと思えば良い。ファイルや他の項目をそこにドラッグすれば、次に他のアプリやフォルダにそれらをドラッグして引っ張り出す時が来る迄、直ぐに手の届く所に留まる。

初めて Yoink を開くと、アプリがどの様に働き、そしてどの様な種類のファイルが受け入れられるかを説明して簡単な指導をしてくれる。この指導画面を閉じてしまった後は、Yoink が走っていることを示す唯一のものはメニューバーにあるアイコンだけとなる。このメニューバーのメニューを使って設定を変更することも出来るが、Yoink アプリを使うためにこれが必要となることはない。そうではなくて、Yoink は、あなたが Mac 上で何かをドラッグし始めると直ちに有効化され、ドラッグしたいものを入れる小さな引き出しが表示される。

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Yoink は、あなたがそこにドラッグするもの殆ど何でも扱える。私は、文書作成ソフトからテキストを、Web ページから画像を、Photos から写真を、Web ページ全体を、そして Finder からファイルを入れてみたが、Yoink が受け入れられないものには何一つ出会わなかった。

デフォルトでは、Yoink はあなたがドロップした最新の項目3つしか表示しない。メニューバーか、このアプリの歯車ボタンをクリックした時に現れるポップアップメニューを使うことで、Yoink をカスタマイズする事が出来、追加した項目を表示出来るようそのウィンドウを画面の上下端に届く迄拡大させられる。ウィンドウの大きさによらず、項目は好きなだけ追加出来るが、必要なものを見つけるにはその引き出しの中を上下にスクロールしなければならない。

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残念ながら、Yoink はウィンドウの中に見えているもの以上のファイルがあることを示す方法を持っていない。その一因は macOS がデフォルトではスクロールバーを表示しないことにもあるが、Yoink には引き出しの中に見えているもの以上のものがあることを示す何らかのものが望まれる。

Yoink の引き出しは、そこに何かが入っている限り見える状態を保ち、表示する場所は画面の左端か右端のどちらか、そして上端、中央、或いは下端の位置合わせを選択出来る。

Yoink は複数スクリーンにも対応出来るが、実際にどの様に働くかは System Preferences > Mission Control にある "Displays have separate Spaces" チェックボックスによる。もしこのチェックボックスが選択されていなければ、Yoink の引き出しは主画面にしか現れず、場合によっては、面倒な長距離のドラッグが必要になることもある。しかしながら、もしこのチェックボックスを選択すると、Yoink はその引き出しをどの画面上にも6つの位置の何処にでも置ける。これを実現する鍵は、希望するスクリーン上 にあるメニューバーから必要とする Window Position メニューにアクセスすることにある。

何れにしても、大きな Desktops を持つ人は、ドラッグを始める時ポインタの直下に引き出しを表示する Yoink のオプションを使うのを好まれるかもしれない。

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また、Yoink は Desktop 上で全てのものの一番上に位置するので、邪魔だと感じた場合は F5 (このキーは変更出来る) を押すことで、隠したり、再表示させたりすることが出来る。もし Yoink にポインタの位置で表示するよう設定しているのであれば、F5 を1回か2回押すことでポインタの位置に表示させられるので、項目を Yoink にドラッグする時に引き出しを探す必要がなく便利である。

Yoink に加えた項目を使うのは簡単である。やる事は、それらを Yoink の引き出しから、アプリ、フォルダ、或いは書類の使いたい所にドラッグするだけである。デフォルトでは、何かを Yoink から取り出すと、それは Yoink の引き出しからは消える。しかし、項目をロックすることも出来、その場合、それらはドラッグして出した後でも Yoink の中に残る。これは頻繁に使うテキストや画像に対しては便利な機能である。

Yoink は引き出しの中でファイルアイコンか Quick Look プレビューを表示出来、また引き出しの中のどの項目でも目玉ボタンを押せば中身を垣間見られる。更に、Yoink の中のどの項目でも利用可能なアプリへ共有出来る。

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Yoink からドラッグして出されたファイルは、相手がアプリであれ、或いは Finder フォルダであれ、仲介役の Yoink 無しで通常にドラッグするのと同じ様に振る舞うことを理解しておくのは大事である。従って、書類を Yoink から Apple Mail へとドラッグすれば、Mail はオリジナルのコピーを現在のメッセージに添付する。Yoink の引き出しの中のファイルを Finder の中のフォルダにドラッグすれば、その項目は元々の Finder の場所からドラッグした先へと移動する。同じ項目をサーバーや外部ドライブへとドラッグすれば、それは新しい場所にコピーされる。

Yoink の引き出しの箒ボタンをクリックすれば、その中の項目は全て空にされるが、間違って Yoink を空にしてしまっても、Yoink のメニューには "Bring back last removed files" オプションがあり、ドラッグした項目を復元出来る。

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Yoink サポートサイトでは、Eternal Storms は幾つかの指導ビデオと Yoink を使いこなす方法についての各種のブログ記事を提供している。私のお気に入りは、スクリーンショットを Yoink に自動的に送る macOS Service を Automator を使って作成するものである。キーボードショートカットを使ってファイルを Yoink に追加するものもある。

Mac 上で、しょっちゅう色々なものをドラッグすることがあるのであれば、そして、とりわけこの作業が面倒だとか間違い易いと感じているのであれば、Yoink はあなたの日常の Mac 経験を改善出来る可能性を持つ。私は、今すぐ使ってみられることをお勧めする。Yoink の値段は Mac App Store で $6.99 で、そして Mac App Store はデモを許さないので、同社は別にデモを提供している。これは Mac OS X 10.7.3 Lion かそれ以降を必要とする。

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Touch Bar をもっと上手く活用する

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

Touch Bar の何がいけないのか」 (2017 年 8 月 4 日) で、私はデリケートな問題に触ってしまったようだ。この記事は、多くのブログの投稿や、解説の火付け役となった。例えば、Chuq Von Rospach の「The Life and Death of the Touch Bar」や「More Thoughts on the Future of the Touch Bar and Apple ID」などである。全般的に見て、みなさんは私の分析に同意してくれたが、数人の方が、私が見逃していた Touch Bar の素晴らしい使い方について指摘してくれた。

見落としていた Touch Bar の使用法 -- Final Cut Pro X やLogic Pro X のユーザーの多くが、メディアの編集に Touch Bar が如何に有用であるか、直ちに指摘した。例えば、Chuck Joiner は、二人で MacVoices で Touch Bar について議論した際、そうした指摘を行った。Final Cut Pro X が 300 ドル、Logic Pro X が 200 ドルで、そして、ユーザーのみなさんが Touch Bar に約 300 ドルのプレミアムを払ったことを考えると、私は、みなさんが払ったお金に見合う価値のあるものを得ていると願いたい!

だが、その他の人たちのために、私は、組み込まれているいくつかの機能で、本当に有用なものを見出した、ないしは、気付かされた。

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私は、合法的に考え方を一変させるかもしれない、Touch Bar の一つの機能を見出した。選択された画面のある部分のスクリーンショットを取るためには、Command-Shift-4 を押すが、Touch Bar を使うと、どのタイプのスクリーンショットを取るか、選ぶことができる。すなわち、Selected Portion、Window、または、Entire Screen である。さらに良いことに、そのスクリーンショットを どこに 保存するか選ぶことができるのだ! デフォルトでは、macOS の場合、スクリーンショットは Desktop に保存される。だが、Touch Bar を使うと、代わりに、Documents フォルダを選んだり、スクリーンショットをクリップボードに送ったり、あるいは、スクリーンショットを Preview、Mail、または、Messages で開いたりすることができる。

面白いのは、選択されたスクリーンショットの行き先が、以降の全てのスクリーンショットにとって、デフォルトになるということだ。つまり、これは、単なる 1 回だけの選択ではないのだ。もちろん、これは、Touch Barでいつでも変えることができる。私が知る限り、これは、Terminal を使わずに、スクリーンショットの行き先を macOS が変更できるようにした初めての例だ。(Command-Shift-3 または Command-Shift-4 に Control キーを加えることによって、クリップボードにコピーすることは別として)

だが、私が共有したいと思う大物は、私が、以前は可能だとは思わなかったものだ。すなわち、Touch Bar による Keyboard Maestro マクロの起動である。

Touch Bar が付いた Keyboard Maestro -- 「Touch Bar の何がいけないのか」で、私は、以下のように述べた。

もし、バックグラウンドのアプリが、Touch Bar 上にアイコンを表示するようになれば、Keyboard Maestro のような自動化ユーティリティによって、ユーザーは、不明瞭になりやすいキーの組み合わせを必要とすることなく、自分であつらえたマクロのトリガーに、Touch Bar を使うことができる。

さて、これは、実際そのようにできることが明らかになった。とは言え、それを行うための「公式な」やり方はないのだが。けれども、私は、それを可能にするハッキングを偶然見出した。

BetterTouchTool は、長いこと、私のお気に入りの Mac パワーユーザー・アプリの一つである。なぜなら、このアプリによって、キーボード、マウス、そして、トラックパッドのショートカットの振る舞いを、全て設定できるようになるからだ。このアプリでは、カスタマイズした Touch Bar ボタンやマクロを作成することができるが、Keyboard Maestro の先進性には到底及ばない。だが、このアプリは、Keyboard Maestro と Touch Bar の架け橋として機能することができる。

  1. BetterTouchTool Preferences を開いて、Basic Settings をクリックする。Enable Touch Bar Support が使用可能になっていることを確認すること。

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  2. Gestures の画面に戻り、Touch Bar ボタンが現れてほしいアプリを、Select Application カラム内で選択する。もし、アプリが見えないのであれば、+ ボタンをクリックして、アプリを追加すること。Global を選ぶと、全てのアプリで、そのバーチャル・キーが表示される。これが最も普通の選択かもしれない。

  3. + TouchBar Button をクリックし、カスタマイズされた Touch Barボタンを作成する。名前を入力し、そして、お望みであれば、アイコンを選択する。

  4. ここで技がある。つまり、TouchBar Button を作成する際に、カスタマイズされたキーボード・ショートカットを入力することもできるのだ。なので、起動したいと思うマクロ用のキーの組み合わせを押すこと。

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  5. カスタマイズされた新しいボタンを試してみて、思った通りに動作することを確認すること。

BetterTouchTool では、あらかじめ定められた動作を起動可能にする機能も提供されている。これは、Keyboard Maestro ほどには強力ではないので、私はここで、Keyboard Maestro のマクロを起動する方法を示すことだけに焦点を絞っている。

いったん設定されたら、Touch Bar の Control Strip に表示されているBetterTouchTool のボタンで、カスタマイズしたボタンを隠したり、表示したりすることができる。マクロのアクティベートは、Touch Barのボタンをタップするだけで、いとも簡単にできる。

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たとえ、BetterTouchTool のマクロの詳細に立ち入らなくても、キーボード・ショートカットから起動可能な macOS の任意の動作を引き起こすために、この技は使用可能だ。

私は、これらの技によって、Touch Bar が、みなさんにとって、もう少し便利になることを願う。

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IT 管理者にとって重要な High Sierra の変更点

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

大多数の個人ユーザーにとって、macOS 10.13 High Sierra へのアップグレード作業は Joe Kissell の "Take Control of Upgrading to High Sierra" に書かれた手順に従って進みさえすれば済む程度のものだ。けれども組織の中で Mac の管理業務をしている人たちにとっては(または単に内部でどんなことが起こっているかに興味あるだけの人にとっても)今回の High Sierra アップグレードには知っておくべき重要な変更点がいくつかある。

まず第一に、以前から言っていることの繰り返しになるが、日常的 Mac ユーザーの大多数は High Sierra に 今すぐはアップグレードしないで待つ ことをお勧めしたい。その後のアップデート版 10.13.1、あるいは 10.13.2 まで待つ方が良いかもしれない。重大なソフトウェア互換性の問題はまだ何も聞こえて来ていないけれども、APFS への移行というのは非常に大きなことだし、Apple が予想しなかった、または公開ベータ版によるテストでは顕われなかったような問題状況が、これから浮上して来ないとも限らないからだ。注意深くしていても損はない。また、いったん Apple が初期バグを修正した版を出せば、まずは絶対確実な Mac のバックアップが作ってあることを確認した後で、それからアップグレードをするようにしよう。

クラウド経由のファームウェアアップデート -- High Sierra において、Apple は Mac がファームウェアアップデートをインターネット経由で入手することを繰り返し強調している。Apple によれば、macOS をアップグレードする際にはインターネットに接続する必要があり、macOS Installer が Mac のモデル番号を使ってその Mac 特定のファームウェアアップデートを識別しダウンロードすることを通じて、その Mac が APFS を認識できるようにするのだという。この要件を必須としたことで、いくつか重要な点が従う:

High Sierra のインストールは macOS Installer から、ブート可能インストーラを作成してそこから、macOS Recovery の中から、または (macOS Server で使える) System Image Utility が作成した NetInstall イメージからできる。

一般的に言って、今回ファームウェアアップデートの方法が新しくなったことで、モノリシック("一枚岩")システムイメージを使って Mac を新しいバージョンの macOS にアップグレードすることができなくなった。そのやり方では、ファームウェアアップデートがインストールされないからだ。

単体システムイメージの変更点 -- 歴史的に言って、新たな Mac のセットアップ目的で多くの組織がイメージ作成に依存してきた。もっと厳密に言えば単体のモノリシック("一枚岩")システムイメージを利用してきた。つまり、基準となる Mac のディスクイメージを一つ作成しておいて、そこにあらかじめその組織のための各種設定やアプリを組み込んでおき、そのイメージを新しい Mac の起動ドライブに復元する、という方法を使ってきた。定期的にそのモノリシックシステムイメージは新バージョンの macOS やアプリを入れたものにアップデートされ、それが新規の Mac へのインストールにも、クリーンな再インストールにも使われてきた。

ところが今回 Apple ははっきりと、macOS High Sierra へのアップグレードにもそのアップデートにもモノリシックシステムイメージを使うべきでないと警告する。インストールの際に必要なファームウェアアップデートを macOS Installer が適切にダウンロードしなければ、どんな Mac でもサポート外の不安定な状態で作動することになりかねない。

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そうは言っても、一つの Mac モデルに同一のバージョンの macOS を再インストールする場合には、今後もモノリシックシステムイメージが使えるだろう。例えば、全く同じ 27 インチ iMac がずらりと並んだ実習室を管理している人は、ワークショップが終わる度にモノリシックシステムイメージを使って部屋中の iMac をクリーンな状態に戻しても何も問題ない。

当然ながら、High Sierra では新しい APFS ファイルシステムも導入されるので、APFS コンテナのイメージ作成には Disk Utility、System Image Utility、または diskutil コマンドのいずれかのみを使うことを Apple は推奨する。また、macOS Server を使ってフラッシュストレージを持つクライアントのコンピュータを復元するための NetRestore イメージを作成する場合は、イメージを macOS Installer から作成せず High Sierra の走る別の Mac を Target Disk Mode で接続してそれをイメージソースとすることを Apple は推奨する。

High Sierra で新規の Mac を配置したりアップデート処理したりするために推奨されるやり方は、Jamf ProJamf Now など Mobile Device Management (MDM) ソリューションを使う方法だ。管理された Mac に対して管理者が MDM コマンドを使えばアップデートがダウンロードされインストールされる。

Jamf Pro の話のついでに言っておくと、Jamf が私に連絡してくれたところによれば、リリースされたばかりのバージョン 9.101 は High Sierra、iOS 11、tvOS 11 とフル互換 (ここまでは Jamf Now も同様) で、Apple による次のような Mac 上の最新の MDM 機能も装備しているという:

APFS 関係の変更点 -- Apple の新しい APFS ファイルシステムは Mac にとっては大きな変更だが、何百万台もの iOS デバイス (iOS 10.3 以降)、Apple Watch、Apple TV に既にインストールされ働いてきたという事実は、Apple が変換処理をきちんと掌握していることを示唆しているだろう。そうは言っても Mac の世界にはずっと変化要因が多いものであり、IT 管理者が知っておくべきことがらがいくつかある

Jamf が、管理者向けに APFS 関係の変更点の多くをまとめた便利なホワイトペーパーを出している。

カーネル機能拡張の変更点 -- セキュリティ向上のため、High Sierra のインストール時またはインストール後にインストールされたカーネル機能拡張のロードにはユーザーによる承認が必要となる。Apple はこのシステムを User Approved Kernel Extension Loading と呼んでいる。(High Sierra にアップグレードする前にその Mac に備わっていたものや、過去に承認されたカーネル機能拡張を置き換えるものにはユーザーの承認は必要ない。)

すべてのユーザーがカーネル機能拡張を承認でき、管理者権限を持つか否かは関係しない。ただ、その結果としてテクノロジーに詳しくないユーザーに混乱をもたらすかもしれない。

User Approved Kernel Extension Loading を無効にしたい場合は、まず macOS Recovery から起動して、Terminal を起動し、spctl コマンドを使えばよい。(コマンド自体を走らせれば使用方法の説明が表示される。) この設定は NVRAM に保存されるので、NVRAM をリセットすればデフォルトの設定に戻って承認のプロンプトが出るようになる。

また、Mac を Jamf Pro などの MDM ソリューションに登録すれば、自動的に User Approved Kernel Extension Loading が無効になる。Apple によれば将来の High Sierra のアップデートで、MDM を利用してこの設定を切り替えたり、ユーザーの承認なしで読み込むことが許されるカーネル機能拡張のリストを管理したりできるようになる予定だという。

コンテンツキャッシュの変更点 -- 従来、キャッシュサービスを使うには macOS Server が必要であった。キャッシュサービスは、ソフトウェアアップデートその他の Apple が提供したコンテンツをローカルなサーバから提供できるようにして、個々のデバイスごと別々にインターネット経由で Apple のサーバへ取りに行く必要がないようにするものだ。High Sierra で Apple はコンテンツキャッシュをシステム機能拡張の Sharing 枠へ移動させたので、あなたは好きな Mac をキャッシュサーバに指定することができ、他のデバイスではその Mac からアップデートを取り寄せることができるようになる。この新しい Content Caching は USB ハブを使用して一度に複数の iOS デバイスにコンテンツを供給することが可能で、教室でカートにホストされた多数のデバイスに使うこともできる。

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High Sierra が出荷されれば、IT コミュニティーにとって興味ある変更点が間違いなくさらにもっと見つかることだろうが、あなたが管理を担当する組織の High Sierra アップグレードに対する方針を検討する際には、この記事に挙げた変更点だけでも十分たくさんの考慮材料となるはずだ。

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大草原の HomeKit のお伴: HomeKit のセキュリティで心の平安を

  文: Julio Ojeda-Zapata: julio@ojezap.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は何事にも気にし過ぎな傾向にあって、特に旅行中はその性質が普段以上に突出してしまう。実際に空き巣に入られたりした経験はないけれども、遅かれ早かれ侵入者が家中のものを持ち去ってしまうに違いないと私は思っている。

だから、最近旅行に出かけたその前に、湧き上がる不安な気持ちを落ち着かせるためにも、私はしっかりした予防策を施した。インターネット接続のビデオカメラと、運動センサーと、スマートコンセントを設置して、遠隔からわが家をコントロールしモニターできるようにした。

それはまさに Apple の HomeKit テクノロジーを試してみる絶好の機会であった。iOS デバイスを使って、さまざまの他社製ホームオートメーション製品を管理するのだ。(ぜひとも“大草原の HomeKit のお伴”シリーズ記事のこれまでの記事をお読み頂きたい。私はいわゆる Lake Wobegon の土地柄、つまりはミネソタ州に住んでいるので、このシリーズ記事タイトルが大好きだ。)

(日本語)スマート電球 Philips Hue を使ってみる | 大草原の HomeKit のお伴: 中心となる概念 | 大草原の HomeKit のお伴: Accessory と Room を設定する | 大草原の HomeKit のお伴: Accessory をコントロール | 大草原の HomeKit のお伴: あなたの家を自動化する | 大草原の HomeKit のお伴: 他の "Home" アプリで微調整する | Philips Hue 照明をハリケーンや竜巻警報に使う | 大草原の HomeKit のお伴: スマートコンセント2つ | 大草原の HomeKit のお伴: Elgato の Eve Room | 大草原の HomeKit のお伴: iOS 11 で登場するものは | 大草原の HomeKit のお伴: HomeKit のセキュリティで心の平安を

でも、私が持ち合わせていた HomeKit デバイスだけでは私の監視の目的のすべては達成できなかったので、他のホームセキュリティ用デバイスで Apple デバイスでも使えるものを、HomeKit エコシステムの外にあるものも含めて、もっと手広く探すことにした。

そうして私はさまざまのセキュリティ用機器や関係するアプリをごちゃ混ぜにたくさん集めたが、いったんすべてをセットアップし終えれば、とても素敵に私の必要に応えてくれた。私の機器コレクションは旅先のイライラを和らげるために大いに役立ってくれたし、その上使っていてとても楽しかった。

もちろん、私はこれらすべてを自分一人でしなければならなかった。それは、セキュリティ会社を雇って同等なシステムを設置させ、自分はミルクコーヒーでも飲みながらゆっくりするのとはわけが違う。

確かにその後者の方法も魅力的だ。私は Comcast 購読者なので Xfinity Home Security を利用して経費をケーブル・インターネット・電話の料金と一緒に請求させることもできる。私は AT&T ワイヤレスの購読者でもあるので AT&T の Digital Life セキュリティサービスにサインアップするのも簡単にできる。他にも料金を払って利用できるホームセキュリティサービス業者は数多くある。

でも、私は細々した作業が大好きなマニアだし、できれば毎月の支払額を抑えたいと思うけちん坊でもある。必要なセットアップ作業はそれほど面倒なものに見えなかったので、私ほどのけちん坊オタクでない人でも自分でする方法は考慮に値するだろう。

援助の用意をして控えている会社もいろいろある。例えば Verizon Wireless は、AT&T その他のようなホームセキュリティサービスは提供していないが、一連のサードパーティのセキュリティ製品を取り揃えて販売している。私が今回レビューした Belkin や Canary の製品は Verizon からレンタルで取り寄せたものだ。

セキュリティの目標 -- HomeKit にはルール作成機能やその他の自動化機能がある。けれども旅行の準備に忙しい私にはそんな機能をゆっくり試す時間も忍耐力もなかった。なので、私の目標は次のような単純なものばかりだった:

まずは HomeKit を -- 私は当初、HomeKit 互換なデバイスだけを使って目的に適うセキュリティシステムが作れるだろうと思っていた。やってみると、完璧にではなかったが、大体においてその希望は達成された。

これまでさまざまのメーカーの HomeKit 製品を試してみた経験から、Elgato 製品が最もうまく行くだろうという感じを持っていた。別に驚くほどのことではない。Elgato 製のデバイスで私の期待を大きく裏切ったものはなかった。

Elgato は、ますます増えつつある HomeKit デバイスを Eve というブランド名にまとめている。例えば環境センサー、スマートコンセント、照明スイッチ、動作感知装置などがある。Elgato は新たにもっと Eve 機器を出すと発表していて、スマートドア錠、煙感知器、窓の運動センサー、さらには注水制御器やサーモスタット連動の放熱器弁なども予定している。

私の特定の目的のセキュリティシステムのために、私は Eve Energy スマートコンセントと Eve Motion センサーを使うことにした。価格はそれぞれ $49.95 だ。いずれも、インストールにそれほど時間を費やさずに設置可能なところがありがたい。セットアップのために訓練などを要する類いのデバイスは、私のテクノロジー反対論者の妻を説得するのが難しい。彼女にしてみればピカピカの装置類が次々と壁に取り付けられることさえ嫌なのだ。

これら二つの Elgato 製品はいずれも、アプリにそれらの機器上の数字コードをスキャンさせるだけで簡単に私の HomeKit ネットワークに組み込まれた。(2017 年 1 月 16 日の記事“大草原の HomeKit のお伴: Accessory と Room を設定する”参照。)

私は Eve Energy デバイスを家中の壁のコンセントに差し込み、それぞれに照明器具を接続して照明器具のスイッチを入れた。

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それから、電池駆動の Eve Motion センサーを家の中の重要な場所に置いた。ガレージは空き巣の侵入口になりやすいのでガレージのドアの横に、二階に侵入されることに備えて階段を上がってすぐのところに、それから私の仕事部屋 Fortress of Solitude (孤独の要塞)、いや、Marvel コミックスのファンならば Sanctum Sanctorum (至聖所) と呼ぶべき部屋、にも置いた。

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Apple の Home アプリを iPhone 上で少しいじくるだけで、個々のデバイスごとに一つずつ、メイン画面上のお気に入りアクセサリーとして対応するボタンをセットアップできた。(2017 年 1 月 16 日の記事“大草原の HomeKit のお伴: Accessory と Room を設定する”参照。) これには二つ目的があった。

Eve Energy のボタンは、Home アプリの中で部屋の照明を点灯・消灯する手軽な手段となった。自宅にいる時には Wi-Fi 経由で使えた。これらの機器類はすべて同じワイヤレスネットワークを使っていたからだ。また、外出先からも使えた。これは Apple TV を遠隔アクセス用 HomeKit ハブとしてセットアップしてあるからだ。(2017 年 2 月 10 日の記事“大草原の HomeKit のお伴: あなたの家を自動化する”参照。)

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同じように Elgato の Eve アプリを使ってセットアップをすることもできるが (2017 年 6 月 19 日の記事“大草原の HomeKit のお伴: Elgato の Eve Room”参照)、私は Home アプリの方が好みだ。こちらの方が表示がクリーンでエレガントだからだ。

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Home アプリに作った Eve Motion ボタンの方は別の目的、つまり何か動きが探知された場合に私に警告するために使う。もちろん、常時 Home アプリを見詰めている訳ではないので、視覚的な合図だけでは見逃してしまう。だから、アラートも有効に設定した。そのためには Home アプリで個々のセンサーごとにソフトウェアトグルをオンに切替えてから、Settings > Notifications で Home アプリの通知のチェックを入れるだけでよかった。

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いったんこれらすべてが済めば、センサーたちが私の iPhone に、そして拡張経由で私の Apple Watch にも、アラートを送り始めた。まだ空き巣がアラートを引き起こしたことは一度もないが、私が頼んでおいた二・三の用事をするために隣人が二度ほど立ち寄った際に、アラートがきちんと働くのを確かめることができた。

Elgato のデバイスはいずれも、あらゆる意味で完璧に動作した。ここでこれを強調するのは、他の HomeKit デバイスではそううまく行かなかったものがいくつかあったからだ。スマートコンセントでも、運動センサーでも、他社製ではそういうものがあった。具体的には、セットアップの失敗や、テストの際の致命的な不具合なども経験した。

それらのメーカーの名前をここで挙げるつもりはない。なぜなら、私は旅行の準備に忙しくて技術的な問題の解決のために十分な取り組みをする時間がなかったからだ。(そうは言っても、いくつかの場合には何時間もかけて何が問題なのか調べようとしたのだが。) それと同時に、わが王国の守りに任じた機器にはそれなりの信頼性が望ましく、それを私に提供できたのは Elgato のデバイスのみであった。

もう一つのスマートコンセント -- 面白半分で、まだ(少なくとも今のところ)HomeKit 対応でないけれどもある程度の Apple 互換性は持っているスマートコンセントを試してみた。Belkin から $49.99 で出ている Insight Smart Plug は同社の Wemo ホームオートメーション製品シリーズの一つで、これは Eve Energy とかなりよく似た働きをする。

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セットアップは簡単で、まずスマートコンセントの発する Wi-Fi 信号を探知してから、あとは iOS 上の Wemo アプリで手順を踏めばよい。それが済めば、この Insight Smart Plug は申し分なく動作した。

Wemo アプリの中にはスマートコンセントの画像の横に丸い電源ボタンがあり、それをタップすればベッド横の照明が間違いなく点灯・消灯した。これは自宅内でも外出先から Wi-Fi 経由でも動作し、Apple TV のようなハブ用デバイスは不要だった。

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現在、この Insight Smart Plug は二つのホームコントロール・エコシステムの中で機能する。Amazon Echo の中では Alexa アシスタントを使って、また Google Home の中では Google Assistant を使って働く。さらにまた、IFTTT (If This, Then That) 自動化サービスに連携させることもできる。

では、HomeKit はどうなのか? Belkin はもう二年間も Apple テクノロジーについていろいろ言ってきたものの何の実行も伴ってこなかったが、2017 年 5 月になってようやく、Wemo デバイスを HomeKit の枠組みに入れるための Wemo Bridge をリリースすると発表した。既存の Wemo デバイスで HomeKit 経由のアクセスを得るために追加のハードウェアを置かなければならないというのは少々不格好なやり方だが、まあ無いよりマシだ。Wemo Bridge は今年中に出るはずで、Belkin はまだ価格を発表していない。

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監視カメラを追加する -- 私のホームセキュリティのチェックリストでもう一つ欠かせないものが、インターネットからアクセス可能な監視カメラだった。そしてここが、HomeKit エコシステムの範囲内だけでは困難に行き当たる点だ。

そもそも、HomeKit 互換なビデオカメラはあまり多く出回っていない。実際、Apple の HomeKit アクセサリーページを見ても、載っているビデオカメラはたった一つ、D-Link から $149.95 で出ている Omna 180 Cam HD だけだ。私は Omna のレビュー用ユニットを手に入れようと何度も試みたがうまく行かなかったので、ここでその信頼性を論じることはできない。

そこで私は HomeKit 世界の外へ踏み出して監視カメラを探さなければならなかった。選択肢はものすごくたくさんあるが、私は Canary 製と Netgear 製のカメラだけに絞ることにした。いずれも、ある程度の Apple 互換性を持つ。つまり、それぞれの会社が iOS 用アプリを出している。Canary の場合は、Apple Watch 用のアプリまで出している。

Netgear は同社の Arlo Pro 監視カメラを二台送ってくれたが、どちらもうまく働いた。これらのカメラは小型でコードレス、充電可能な電池で動く。防水なので屋内でも戸外でも使える。屋外に設置する手間と、そのせいで妻を苛立たせるのを避けるため、私は室内だけで試すことにした。

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私の設定は単純の極みであった。二つある階段のそれぞれに一台ずつ設置し、片方のカメラは裏口のドアに向けて、もう片方のカメラは表のドアに向けて置いた。誰かが入ってきたら必ずどちらかのカメラの運動センサーを始動させるように(誰もカメラを素通りすることがないように)必ずビデオ録画が始まって出来事を記録することができるようにと私は願った。

運動センサーが何かを感知してからビデオの録画を続ける時間は 10 秒間から 5 分間まで設定できるし、運動が感知されている間のみ録画するように設定することもできる。Netgear は無料のクラウドストレージに最近の録画(一週間前の分まで)を保存してくれるが、他のカメラメーカーはオンライン保存に別料金を取るところが多い。

このカメラには、侵入者を驚かすためのサイレンも装備されている。この機能のテストには注意が必要だった。100 デシベル以上なので、聴力を損なう可能性があるほど音が大きい。

付属の Arlo アプリのデザインは素敵で、ライブフィードのページ (タップすればライブ映像が出る)、運動を感知した出来事を新しいものから順にリストするライブラリ、それからカメラの装備・解除の手動切替え、スケジュール設定、認証ユーザーの現在位置に応じて挙動を切替える地理フェンス設定などができる「モード選択」セクションもある。私はこれらの機能をあまり試してみなかった。私はただ、運動を感知すれば私の Apple Watch にアラートを出してミニ録画を実行してくれさえすれば満足で、それはちゃんと実行された。

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Arlo カメラにはいくつか苛立たしい特性がある。登場予定の Wemo Bridge と同様、かなり大型のハブ風デバイスをブロードバンドルーターに直接接続させて使わなければならない。まあ、大したことではないとも言えるが、既に混雑気味のルーターのまわりにさらなるごちゃごちゃを加えるのは嬉しくない。

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(Netgear が Arlo カメラをキットの形で販売していることを言っておこう。一台のハブに、二台またはそれ以上のカメラを組み合わせたキットだ。私はハブに二台のカメラを組み合わせた $419.99 のキットをテストした。)

もっと苛立たしいのが、Arlo カメラの充電(付属の Micro-USB ポートを通じてする)が Netgear 製の電源アダプタを使わなければできないことだ。一度など私は充電器が見当たらなかったのでいろいろ他の充電器を試してみたが、すべて即座に却下された。Netgear よ、これはクールじゃない。

Netgear が HomeKit 対応を開発中という噂もあるが、現時点では何も発表されていない。

さて、Canary の方はもっと違ったやり方でビデオによるホームセキュリティに取り組んでいる。同社の旗艦製品、$149 の Canary は、スタイリッシュな、すべてを内蔵した円筒形で、本棚などの平らな面の上に置いて、家の中を広く見渡すように撮影できる。(一方、Arlo Pro の視野はちょっと狭い。)

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Arlo と同様に、この Canary も動作を感知してビデオを撮影する。デフォルトでは、撮影時間はたった 10 秒間、たった一日しか保存されない。けれども月額 $10 を払えばもっと長時間のビデオに 30 日前の分までアクセスできる。この Canary にも 90 デシベル以上のサイレンが付く。Arlo と違って Canary は空気の環境、湿度、温度も監視できるので、例えば洪水や火事があった場合にもアラートが出せる。

Canary の iOS 用アプリは素晴らしい。カメラの画像はうまい具合にぼかされていてその上に Watch Live ボタンが描かれ、このボタンを押せば画像の焦点が合う。複数台のカメラがあれば、左右にスワイプすることで次のカメラの画像に移れる。下の方に並んだボタンで、認証ユーザーの現在位置や寝ているかどうかに応じてモード (Away, Home, Night) を設定しそれに応じて挙動を変えることができる。認証ユーザーを追加することも簡単にできる。

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Canary の Apple Watch 用アプリには主要な目的が一つあって、それがモードの切替えだ。プライバシーモードに切替えれば一定の時間監視を中止する。この Apple Watch 用アプリは魅力的で、一つの大きなボタンが現在のモードを示す。(強押しすれば 4 ボタンのグリッドになりモードの切替えができる。) また、下へスクロールすれば最近の動作感知記録がサムネイル表示で見える。

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Canary にはなかなか良く出来た Apple TV アプリもあるが、当然ながら旅行中の私には何の役にも立たなかった。

もちろん、屋内の監視に Arlo と Canary を両方使うのは単なる重複だ。もしも全部やり直すなら、戸外では Arlos を使って一台を家の表側に、もう一台を裏のテラスに設置し、屋内の監視には Canary を使うのが良いと思う。

Canary には Arlo とよく似た $179 の Canary Flex もあって、これは屋内でも戸外でも使える。私はテスト用に Flex ユニットも一台手に入れたのでこれをリビングルームに置き、メインの Canary ユニットをキッチンに置いた。後から考え直せば、この Flex も二台の Arlo と共に戸外に設置してもっと包括的な屋外監視を狙った方が良かったかもしれない。

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HomeKit 統合に関しては、Canary は計画中だが既存の製品では対応しないと述べた。同社は HomeKit 対応の Canary Plus が基本的に現行の Canary 製品の後継となると発表している。しかしながら Canary によれば、いったん少なくとも一台 Canary Plus を配置した後は、それと同じネットワーク上にある古い Canary デバイスは拡張を使って HomeKit 対応になるのだという。

結論は -- ホームセキュリティに向けた私の壮大なる実験は、留守宅に空き巣が入ったらどうしようという不安に苛まれていた過去の旅行中には感じられなかったほどの心の平安をもたらしてくれたという意味で、成功だった。

実際のところ、私はセキュリティデバイスの配置と使用があまりにも楽しくて、誰か留守宅に住居侵入を試みてくれないだろうか、そうしたら遠隔から反応できるのに、ともう少しで思うところだった。もしもそうなったら、間違いなくドラマチックな記事が書けただろうに。

ほんの少しの間、空想に耽らせて頂きたい。もしも空き巣が入ったなら、私はどう反応しただろうか? まず手始めに、Canary と Arlo のカメラにとんでもない大音量のサイレンを鳴らせて、愉快な気分になっただろう。それだけでも侵入者を追い払えたかもしれない。別の方法として、カメラ内蔵のスピーカーを通して私が厳しい小言を怒鳴りつけることもできただろう。それに加えて、Canary のカメラには警察・救急・消防を呼び出すオプションもあって、警官をわが家に派遣するのも朝飯前だったろう。

でも現実的には、おそらくその体験全体が相当に恐ろしいことになっただろうし、後から心配すべきこともいろいろあったに違いない。だから、そんなことが起こらなくて幸いだったのは確かだ。

今回のホームセキュリティ実験で非常に残念だったことが一つある。それは、当初意図した通りに HomeKit の内部のみに留まることができなかった点だ。

でも、もしも今から一年後にこの記事の別バージョンを書き直すとしたならば、きっと違った内容の記事になることだろう。その頃にはホームオートメーション製品のメーカー各社がゆっくりとだが確実に HomeKit に向けて進みつつあるだろうから。

そして、まさにぴったりのタイミングだが、私がこの記事に最後の仕上げを施していたちょうどその時に、Logitech が同社の小型で有線接続の屋内および屋外用カメラ Circle 2 に、ファームウェアアップデートを通じて HomeKit 対応を追加すると発表した。Logitech は私にレビュー用のユニットを送ってくれたので、私はこれから試してみるつもりだ。

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時を同じくして、デバイスメーカー各社が HomeKit 互換性を以前より容易に追加できるように Apple が対策を施すという報道も届いた。(2017 年 7 月 7 日の記事“大草原の HomeKit のお伴: iOS 11 で登場するものは”参照。) これは本当に素晴らしい知らせだ。これから Apple はホームオートメーションの世界で Amazon や Google に立ち向かって行くのだから。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2017 年 9 月 11 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Retrospect 14.5 -- Retrospect, Inc. が Retrospect 14.5 をリリースして、スクリプト・フックによる MySQL、PostgreSQL、MongoDB のデータベース保護に対応した。このバックアップソフトウェアはまた、macOS 10.13 High Sierra および APFS への対応を追加し、Backup Report を毎日届く電子メールメッセージとして受け取れるようにし、クラウドストレージ・ソリューション Wasabi との統合を正式に組み込み、Configuration Import で長い名前や特殊な文字がアプリケーションをクラッシュさせた問題を解消し、エンジンの再起動後にクライアントの History タブが伝わらなかったバグを修正している。45 日間有効の無料試用版の Retrospect もダウンロードでき、また同社は最近 CrashPlan for Home 廃止が発表されたこと(2017 年 8 月 22 日の記事“CrashPlan、コンシューマ向けバックアップを廃止”参照)を受けて価格の 15 パーセント割引を提供中だ。(新規購入 $119、178 MB、リリースノート、10.6.8+)

Retrospect 14.5 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2017 年 9 月 11 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、ストリーミングサービスが音楽業界の力になっていることが判明し、Siri の過去の課題と来たるべき改善を概観し、T-Mobile が購読者に無料で Netflix を提供し、新しい Steve Jobs Theater の秘密をいくつか知り、Tim Cook が Apple は DACA 従業員を支えると誓い、Pixelmator がプロフェッショナル版を計画し、Apple が 10 年間続けてきた Apple Music Festival のコンサートを終える。

ストリーミングサービスは決して音楽業界を壊す訳ではない -- Apple が Warner Music Group に対して Apple Music ストリーミング権の再交渉中という Bloomberg 記事の中に埋もれて、興味深い情報が書かれていた。ストリーミングサービスは、ここ 20 年近く衰退傾向にある音楽業界を壊しつつあるのではなく、実際それを復活させる力となっているというのだ。全世界での音楽の売上は 2016 年に 157 億ドルとなって、前年より 5.9 パーセントの増加をみた。もう一つ興味深い情報は、Apple が交渉の中で以前より低い支払率を呈示したという事実で、推測では 55 パーセント (購読者数が増えればもっと低率)、従来は 58 パーセントであった。Apple が Apple Music を開始した時点では、アーティストの取り分が Spotify よりも高率であることが大きく取り沙汰された。けれどもこの記事によれば、これらの金額はアーティストの支援という観点よりむしろ購読者数に基づくものと言えるようだ。

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Siri が調子を取り戻す -- Siri は、デビュー時点では画期的なものだったが、その後 Amazon や Google から登場したライバルたちによって影が薄くなった。Wired が Apple の Siri 担当重役 Alex Acero と Apple の製品マーケティング担当副社長 Greg "Joz" Joswiak に取材した記事で、彼らは Siri の過去の課題と来たるべき改善点のいくつかを説明した。音声認識の改良や、iOS 11 でより自然な音声になることなども語られた。興味深いのは、この重役たちが Apple は Siri に仕事を実行させたい、単なる実演用の豆知識を答えるだけで現実の用途には向かないものに終わらせたくないと当初から考えていたと強調したことだ。Joswiak は「中身のない気晴らしのためにこれを作った訳ではない!」と述べた。そして今、Apple はユーザーたちの Siri 使用習慣を変えるという困難な課題に立ち向かう必要がある。過去に Siri がしくじったなら、たとえ Siri が今ではうまくこなせるようになっていたとしても、人は同じコマンドをもう一度試そうという気にならないものだから。

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T-Mobile、Family Plan に無料で Netflix を追加 -- T-Mobile の発表によれば、2017 年 9 月 12 日以降、2 回線以上を持つ顧客は Netflix Standard (通常定価は月額 $9.99) を無料で得られるようになる。Netflix Standard プランでは同時に 2 台までのデバイスに HD 解像度のストリーミングが提供される。T-Mobile のこの果敢な価格設定には、何か上限設定が含まれているのだろうか? いずれにしても、CEO の John Legere がモバイル市場に持ち込もうとしている熾烈な争いを、今後も興味深く見守りたい。

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Steve Jobs Theater の秘密 -- Apple の新社屋にある Steve Jobs Theater での最初のイベントが 2017 年 9 月 12 日に開催されるが、Bloomberg の記事がこのホールの驚嘆すべき装備類を紹介している。この劇場には 2 台のエレベーターがあるが、これらは訪問者たちが同じ側からエレベーターに出入りできるように、途中で半回転するようになっている。また、折り畳み式の壁に隠された向こう側にはデモ用の部屋があって、プレゼンテーションが終わればジャーナリストたちが Apple の最新の製品を試してみられるようになっている。欠けているものといえば、ステージの下に James Bond の敵役の隠れ家となるサメの水槽がないくらいだ。このステージで、Tim Cook がボタンを押しながら「申し訳ないが Mr. Nadella、Microsoft Office はもはや私たちには必要ない」と厳かに語るところを想像してみよう。

コメントリンク: 17449

Tim Cook、Apple の DACA 従業員を支えると約束 -- Trump 大統領が Obama 時代の Deferred Action for Childhood Arrivals (DACA、不法移民子弟強制送還猶予措置) を打ち切ると発表したのを受けて、Tim Cook は Apple 従業員にあてた電子メールの中で非難を表明した。Cook はそれに続けて、Apple は議会の場でも裁判所でも同社の 250 人の DACA 従業員のために働いて、彼らが国外追放とならないように努力すると付け加えた。Trump は DACA 終了までに六ヵ月間の猶予を設け、議会に対して代替法律を制定するよう求めている。

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Pixelmator が Pro 版を計画 -- 人気の画像編集アプリ Pixelmator の開発者たちが、今年中に続編のアプリを出すと発表した。Pixelmator Pro は従来の Pixelmator と並んで Mac App Store で販売され、最新式の単ウィンドウのインターフェイスと、高度なレイアウトツール、完全に作り直されたペイントシステム、機械学習、その他の機能を備える。TidBITS スタッフの多くも長年 Pixelmator のファンだったが、その大きな理由はこれが Photoshop の機能のうち私たちが必要とするものの大多数を備え、しかもずっと低価格であることだ。なので、私たちとしても Pixelmator Pro の新機能を試してみられる日を楽しみに待ちたい。

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Apple、Apple Music Festival を終了 -- Apple が 10 年間続けてきた Apple Music Festival (以前は iTunes Music Festival と呼ばれていた) を終了する。ロンドン開催のこのイベントでは長年の間に Adele、Beck、Elton John、Lady Gaga、Paul Simon、Soundgarden など数多くの大物アーティストたちが演奏してきた。毎年恒例のコンサートがなくなるのは寂しいが、Apple はきっと Apple Music Festival に出演した人たちを "Carpool Karaoke" にも出演させたいと願っていることだろう。

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日本語版最終更新: 2017年 09月 15日 金曜日 , S. HOSOKAWA