TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1393/06-Nov-2017

先週は忙しい一週間であった。Apple はそのすべてのオペレーティングシステムにアップデートを出し、また力強い Q4 業績発表をして今回も悲観論者たちが誤っていることを証明してみせた。そこにささやかなりとも影響を与えたのが iPhone X のリリースで、今週号では初期に出されたレビュー記事の中から注目すべき意見を集めて紹介するので、次の iPhone としてこれを買うべきかどうか判断するための参考にして頂きたい。それから、Adam が Jamf Nation User Conference からの報告記事をお届けし、Apple のデバイスが大企業にも少しずつ進出つつある様子を垣間見せる。今週注目すべきソフトウェアリリースは TextExpander 6.2.3、Evernote 6.13、Safari 11.0.1、セキュリティアップデート 2017-001 (Sierra) およびセキュリティアップデート 2017-004 (El Capitan)、それに Transmit 5.0.5 だ。

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iOS 11.1、バグ修正と新しい絵文字をもたらす

  文: Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

最初の幸運な購入者に対する iPhone X の出荷を目前にして、Apple は先週iOS 11.1 をリリースした。関連するリリースノートで、Apple は 70 を超える新しい絵文字の追加を強調したが、他にも、写真処理、アクセシビリティ、そして種々の他の問題に対する修正も盛り込まれている。

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加えて、このアップデートには 20 余のセキュリティ修正も含まれる。これらの中には、大きく取り上げられた KRACK Wi-Fi 攻撃に対するものも含まれる ("Wi-Fi セキュリティ欠陥 KRACK、言われる程悪くない" 17 October 2017 参照)。興味深いことに、Apple のノートによれば、これが必要となるのは iPhone 7 モデル及びそれ以降、そして iPad Pro 9.7-inch と以降の iPad Pro モデルだけであることが示唆されている。

新しい絵文字には、食べ物 (パイとブロッコリ)、動物 (キリンとハリネズミ!)、そして伝説上の生物 (人魚と吸血鬼!)、そして Apple が "より表現豊かなスマイリーフェイス" (つまり、漫画の吹き出しの付いたもの) と称しているものが含まれる。iOS 11.1 の絵文字にはまた、新しい性別不問のキャラクターや衣装も含まれる。

iOS の写真処理に関する改善には、写真よってはぼやけて見える問題、Live Photo 効果の再生が遅くなる問題、そして iCloud バックアップから復元した後、幾つかの画像が People アルバムに現れなくなってしまう問題に対する修正が含まれる。この最後の修正は、新しい iPhone X の購入者にはとりわけ実質的な価値があるかもしれない。と言うのも、これらの人は間違いなく自分の iPhone バックアップをピカピカの新しい機器に復元するのに時間をかけるであろうからである。

iOS 11.1 はまた、一連のアクセシビリティ改善ももたらしており、そこには Grade 2 入力に対する英語点字サポート、複数頁 PDF への VoiceOver アクセス、受信通知をする時のローターのアクションの改善、そしてアプリ切り替えからアプリを削除する時の VoiceOver のローターアクションの改善が含まれる。このアップデートではまたアクセシビリティバグも修正されている。それらは、タッチ入力モードで VoiceOver を使用している時、代替キーが表示されない問題、Mail で VoiceOver のローターが常にデフォルトのアクションに戻ってしまう問題、そして VoiceOver のローターがメッセージを削除しない問題が修正されている。

iOS 11.1 のその他の修正及び改善を挙げると: 消去した Mail 通知は最早 Lock 画面には現れない、画面端の 3D Touch を使ってのアプリ切り替えにアクセスする機能が回復、そして、サードパーティ GPS アクセサリも今やより正確な情報を提供するはずである。

Apple はまた watchOS 4.1 もリリースしているが、iOS 11.1 には Apple Watch 関連の修正も2つ程含まれる ("watchOS 4.1、約束の機能を提供" 31 October 2017 参照)。一つ目は、Heart Rate 通知に対する設定が第一世代 Apple Watch に対する Apple Watch アプリに現れてしまう問題を修正、そして二つ目は、 Apple Watch 上でアプリアイコンが通知に表示されない問題を修正している。iOS 11.1 に明らかに欠けているものは、約束されていた個人対個人の Apple Pay と AirPlay 2 で、両方とも Apple は iOS 11 に載せると約束していたものだが、未だ出荷していない。

iOS 11.1 アップデートは、Settings > General > Software Update で、或いは iTunes 経由で入手出来る。そのサイズは機器により大きく変わり、9.7-inch iPad Pro に対する 171 MB そして 10.5-inch iPad Pro に対する 207 MB、から iPhone 6 Plus に対する 250 MB そして iPhone 7 に対する 305 MB まで広がっている。

この様な中間的なアップデートの常で、我々はアップデートする時ある程度の慎重さをもって対処することをお勧めする。飛びつく前に数日待って、早期導入者が遭遇する予期しない問題がないかどうかを確かめるべきである。勿論、KRACK 攻撃が心配だ、或いは絵文字でブロッコリを定常的に使いたいというのであれば、どうしても待たなければならない本質的な理由はない。

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macOS 10.13.1 High Sierra、小さな修正と追加の絵文字を提供

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

iOS 11.1, watchOS 4.1, そして tvOS 11.1 へのアップデートと共に、Apple は macOS 10.13.1 High Sierra をリリースした。これは驚くほどマイナーなアップデートで、iOS 11.1 に歩調を合わせるための 70 の新しい絵文字を追加し ("iOS 11.1、バグ修正と新しい絵文字をもたらす" 31 October 2017 参照)、3つのバグを修正、そして9つのセキュリティ脆弱性に対応している。ダウンロードサイズは 2.11 GB である。

修正されたバグは、Apple Pay の支払い中に Bluetooth が使えなくなることがある問題、Mail で Microsoft Exchange メッセージを同期する時の問題、そして Spotlight が時折キーボード入力を受け入れられなくなる問題である。

恐らく 10.13.0 から 10.13.1 へのアップデートの主たる理由は KRACK 攻撃に対する修正を盛り込むことであったろうと思われる ("Wi-Fi セキュリティ欠陥 KRACK、言われる程悪くない" 17 October 2017 参照)。我々は、安全のために1日かそこら待ってからアップデートすることをお勧めする。アップデートする前にフルバックアップを取っておくのを忘れないように。何故ならば、我々のマシンの一つは、このアップデートの過程で、ログイン項目とその他色々な設定を失ってしまったように見えるからである。

では、以前のバージョンの macOS から High Sierra へアップグレードするにはアップデートが出た今が最適であろうか? 我々の結論は、10.13.1 は変更の内容が小さく、これ迄の結論を変えるには十分ではないということである - つまり 10.13.1 が出る前に High Sierra にアップグレードするのは気が進まないという立場であったならば、 10.13.1 で付け加えられたものは僅かである。見方を変えれば、これは Apple が High Sierra には余り問題がないと見ている証拠とも取れる。

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watchOS 4.1、約束の機能を提供

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は watchOS 4.1 をリリースした。これは watchOS 4 に約束されながら最初のリリースに間に合わなかった幾つかの機能を提供し、更に種々のバグ修正を行なっている。

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最も目につくものは、Apple Watch Series 3 が今や音楽を Apple Music 或いは iCloud Music Library からストリーム出来ることである。Series 3 ユーザーはまた、新しい Radio アプリを使って、Beats 1、カスタム局、そして専門家が集成した局からのライブラジオを聴くことも出来る。加えて、Apple のリリースノートによれば、全ての Apple Watch ユーザーは Siri を使って曲、プレイリスト、そしてアルバムを探して再生出来ると記されているが、これはもう既に watchOS 4.0 でも働いていた様に見える。

また報じられている所によれば、watchOS 4.1 で新しく登場したものに、約束されていた能力でフィットネスデータを GymKit 対応のトレッドミル、エリプティカル、階段昇降機、そして屋内自転車と同期するものがある。得られるものは、より正確な距離、ペース、そして燃焼カロリーのデータである。

watchOS 4.1 の最後の新機能は、Apple Watch Series 3 セルラーユーザーが Control Center を使って Wi-Fi ネットワークから切断する能力である。これは、Series 3 に Wi-Fi ではなくセルラー経由で通信するよう強制したい場合には有用であるように見える。

watchOS 4.1 では、以下のバグも修正されている:

その他にも幾つかセキュリティ修正があり、そこには Apple Watch Series 1 及び Series 2 に対する最近の KRACK 攻撃も含まれる ("幾つかセキュリティ修正" 17 October 2017 参照)。

他のアップデートでも同じだが、watchOS 4.1 にアップデートするのは1日かそこら待った方が賢明である。その理由は、ユーザーによっては問題を抱えることになったり、Apple が取り下げたり、置き換えたりする場合があるからである。

watchOS 4.1 は 117 MB のアップデートで、iPhone 上の Watch アプリ経由でインストールする (Watch > Settings > General > Software Update で)。注意すべきは、Apple Watch は充電器に接続されており、少なくとも 50% は充電されており、そして iPhone の到達範囲にあり、かつ iPhone 自身は Wi-Fi 上になければならないことである。もし時計を1時間かそこらで使いたい場合はインストール作業を始めないように - watchOS アップデートはインストールするのにびっくりする程長時間を要する。

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tvOS 11.1、Apple TV を KRACK に対してパッチする

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は tvOS 11.1 を第四世代 Apple TV と Apple TV 4K に対してリリースした。これは TV アプリを Norway と Sweden でも使えるようにするものである。Apple TV をアップデートするには Settings > System > Software Updates と辿る。

tvOS 11.1 にはまた5つのセキュリティ修正も含まれる - 最も目につくものは "Wi-Fi セキュリティ欠陥 KRACK、言われる程悪くない" (17 October 2017) でも取り上げた KRACK Wi-Fi 脆弱性を修正するためのものである。

我々は tvOS 11.1 アップデートに関する問題はこれ迄のところ何も聞いていないが、何も出てこないことを確かめる意味でも1日かそこら待ってみるのは悪い考えでは全くない。

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Apple、好調な Q4 2017 業績を報告

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst, Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

2017 年第4四半期の業績報告で、Apple は純利益 $10.71 billion (希薄化後1株当たり $2.07)、売上げ $52.6 billion を発表した。同社の売上げは前年同期比で 12% 増加した ("$9 Billion の利益を計上したが、Apple の売上げは Q4 2016 で再び減少" 25 October 2016 参照)。また、売上げは Apple のこれ迄の記録である Q4 2015 を上回った。この時の売上げは $51.5 billion であったが、$11.1 billion の利益は今年の数字よりも更に良かった。今回も、Apple は株主に対して1株当たり $0.63 の配当金を支払う。

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iPhone の販売成長は持続したが、ロケット推進のそりの様ではなかった。販売台数は前年比で 3% しか伸びず、iPhone の販売台数はこの四半期が 46.7 百万台で、前年同期は 45.5 百万台であった。iPhone の売上げは $28.8 billion で、新しい iPhone 8 モデルの投入と中国での回復が寄与した。

Apple はモデル別の販売数字を決して明らかにはしないが、CEO Tim Cook は、iPhone 8 はこれ迄の新型 iPhone の中では一番人気があり、そして iPhone 8 Plus はこれ迄の Plus モデルの中で最速のスタートを切ったと言った。インターネットメディアでは酷評を受けた iPhone X を遅れて出したことによる影響も Apple の iPhone の数字には余り悪影響を与えなかった様に見える。次の四半期には、この iPhone X が Apple の売上げを更に加速させると我々は見ている。

iPad も売上げ成長への回帰を継続し、10.3 百万台を販売、前年同期の数字を 11% 更新した。しかし、この数字は前四半期の 11.4 百万台を下回っている。この時、Apple は iPad Pro の新しいモデルを導入していた。いずれにしろ、iPad は Apple の売上げの内 $4.8 billion を占める。

iPad の回復は見られたが、Mac は、販売成長でも Apple の利益に対する寄与でも iPad を上回った。MacBook Pro の貢献が大きい。Q4 2017 に Apple は 5.4 百万台の Mac を売り、$7.2 billion を売り上げた。前年比で販売台数は 10% 伸びた。Apple はまたその粗利も改善しているに違いない。その理由は、関連する売上げ増は、前年比で驚異の 25% であり、前四半期比でも 28% となっているからである。Cook は 2017 年は Mac にとってこれ迄で最高の年となったと言った。

Services とソフトウェアは Apple の世界で引き続き明るく輝いている。四半期売上げは記録となる $8.5 billion となり、昨年の売上げに対し目も眩む 34% も増加した。CFO Luca Maestri によれば、Apple の音楽事業は "危機を脱し"、iCloud 売上げは2桁の成長を遂げた。

最後に、種々雑多の Other Products 部門は、この四半期に $3.2 billion を売り上げ、前年比で 36% 増となった。Other Products には、AirPods, Apple Watch, Apple TV, iPod touch, Beats ヘッドフォン、そしてその他全ての Apple ブランド及びサードパーティのアクセサリが含まれる。我々は、この増加は主として、人気の AirPods と新しい Apple Watch Series 3 から来ていると想像している。Cook によれば、Apple Watch は販売台数で3四半期連続で 50% を超える成長を記録した。

Apple の販売の凡そ 2/3 が、具体的には 62% が、米国以外から来ている。前年比で最も成長が大きかったのは Europe で、販売は 20% 増えた。販売は、Greater China で 12%、Asia Pacific で 5% 増えた。しかしながら、日本での販売は 11% の減となった。

一言で言えば、Apple は、驚くには当たらないが好調な四半期を閉じ、そして、その富は来るべきホリデー四半期に向けて順調に転がり続ける様に見える - Cook 曰く、Apple の "史上最良のホリデーシーズン" となるであろう。

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JNUC 2017: Apple Enterprise の世界を垣間見る

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

最近、私は、口語的に JNUC として知られている Jamf Nation User Conference に参加した。あなたが IT 管理者か Appleコンサルタントでなければ、おそらくこれまで JNUC について耳にしたことはないだろうが、これは、Apple の IT に焦点を絞った、この分野で最大の会議である。世界中から 1,500 名の参加者が、Jamf の本拠地であるMinneapolis に集まるのだ。MacTech Conference のような、もっと一般的なイベントとは異なり、JNUC では、ほぼ完全に単一の製品、すなわち、Jamf Pro に焦点が絞られる。Jamf Pro は、ホストされた、あるいは、自社運用のデバイス・デプロイメントならびにマネジメントに関する Mac、iOS デバイス、そして、Apple TV 専用の ソリューションである。Jamf は Jamf Now も作っており、これは、あまり専門的ではない技術管理者向けの、安価で、必要最小限の機能を有するデバイス・マネジメント・ソリューションだ。Jamf Now は、かつて Bushel と呼ばれていて、Julio Ojeda-Zapata が、"ITbits: Bushel が小さな会社の Apple デバイス管理を援助" (2015 年 3 月 31 日) で、このレビューを行った。

全てを明かすと、Jamf は過去に、TidBITS のスポンサーになったことがあり、会議に出席するよう、私を招待してくれた。そして、私の航空券代とホテル代を支払ってくれた。私は、Jamf Pro はもちろん、Jamf Now すら使っていないが、TidBITS の読者の多くが気付いていないかもしれないApple の世界の一面を見て、報告することに興味があった。他の会議は、MacTech ConferenceMacAdmins、そして、MacSysAdmin のように、Apple のIT 空間をカバーしているとは言え、もっと一般的な観点からであり、そして、もっと少数の人たち向けだ。(Apple に関する会議の全リストについては、"2017 年の Mac および iOS のプロ向けカンファレンス 27 選"2017 年 5 月 15 日を見ていただきたい。) そういうわけで、単一の製品に焦点を絞った会議が、3 日間のセッションで 1,500 人もの参加者を、いかにして集めたのであろうか?

Jamf Pro について、そしてそれ故、この会議について、理解する必要がある最初のことは、Jamf Pro が、多くのユーザーが考えもしないような、Apple体験の異なるレイヤーを占めているということだ。私たちの多くは、人々が自分たちの Apple デバイス上で、何を する かについて考える。例えば、人々が走らせるアプリ、使用する Web サービス、採用している周辺機器などだ。

対照的に、Jamf Pro は、デバイスがどのように使用されるかについては、あまり気にしない。Jamf Pro のエージェント・ソフトウェアは、Mac の一つ下層に常駐し、Apple のモバイル・デバイス・マネジメント (MDM) フレームワークを頼りにして、Apple の他の 3 つのサービス、すなわち、Device Enrollment Program (DEP)、Volume Purchase Program (VPP)、そして、Apple School Manager を活用する。加えて、Jamf Pro は、他の多くの企業システム、例えば、会社の名簿、患者情報システム、そして、BackblazeCode42 のような企業専用データバックアップならびに保護サービスといったものと統合される。Jamf Pro のようなものが無ければ、大きな組織は、極めて多くの Apple デバイスを購入しようとは決して考えないであろう。以下、なぜかを述べる。

あなたが大きな組織の IT 管理者であると想像していただきたい。あなたは、自分のユーザーのために、1,000 台の Mac を購入したいと思っているものの、単に、地元の Apple Store から入手してユーザーに配布し、全員が、Wi-Fi ネットワークにアクセスするために、あなたの設定マニュアルに従い、電子メールを設定し、強力なパスワードを使用し、FireVault を有効化し、等々、を行うと願うことはできない。大勢がそうしないであろうし、そして、そうした人たちは、助けを求めてあなたのところに戻ってくるであろう。このことで、あなたのサポート・スタッフは、おそらく大いに悩まされ、結果として、ユーザーは、自分たちの仕事が片付かずに不幸になるであろう。

1,000 台の Mac を購入する場合、代わりにあなたは、Apple、または、Device Enrollment Program (DEP) をサポートする公認の再販業者を通じて購入するのだ。DEP を通じて、そうした Mac は全て、それを所有する組織に関連付けられる。その時、Jamf Pro を使うと、あなたは、必要な全ての設定が入っているプロファイルを作成することになる。ユーザーが Mac を箱から取り出してスイッチを入れると、DEP の一部であることから、Mac は、Jamf Pro でのあなたの作業で定められたように、自動的に自らを設定することを知っている。これが、全く手をわずらわせることのないデプロイメントだ。Jamf Pro は、指定されたアプリ (Apple の Volume Purchase Program を通じてバルク買いしたもの) をインストールすることに始まり、オペレーティング・システムやアプリのアップデートをインストールすること、あなたが管理する全てのデバイスの状態が分かるようにインベントリ情報の詳細を収集すること、その他多数に至るまで、稼動状態でのマネジメントも可能にする。

これはとてつもなくクールであって、Jamf Pro が可能にするソリューションの種類について耳にすれば、Jamf Pro は、よりいっそうクールになる。例えば、いくつかの病院では、患者に情報やエンタテイメントを供給するため、iPad や Apple TV に頼り始めている。UC San Diego Health のJacobs Medical Center では、患者全員に iPad が渡され、iPad によって、個別の医療記録や、患者のケア・チームの詳細へのアクセスが提供される。それと共に、Crestron で部屋の照明や室温のコントロールを行うことも可能になる。各部屋の Apple TV では、エンタテイメントのオプションが提供され、AirPlay の画面のミラーリングによって、家族全員が iPad 上で患者の情報を見ることができる。DEP、VPP、そして、Jamf Pro のおかげで、患者が支払いを終えると、ただちに、iPad は自動的にデータが一掃され、そして、次の患者と病室のために、自動的に再設定される。

これはほんの一例だ。ゲーム制作会社 Bungie の慈善部門であるThe Bungie Foundation は、子供たちの病院で、もっと単純なことを行っている。すなわち、年齢に見合ったアプリが入った iPad を患者に提供し、病院にいることから大いに気を紛らせるのを助けている。Seattle Children's Hospital、ここは、遡ること 2000 年に、息子のTristan が 2歳だった時、不幸にも呼吸疾患で Tristan が運び込まれた素晴らしい施設だが、そこでは、Bungie Foundation の iPads for Kidsプログラムが、123,000 人もの子供たちの役に立ってきた。Bungie Foundation は、来年には、さらに 8 つの病院に拡大し、さらに126,000 人もの子供の患者を助けたいと考えている。

Healthcare と K-12 教育、これらは、管理されたデバイス向け市場の中で、最大なものの二つである。だが、これらは、最近、いかにして、大きな会社がしばしば、結局は管理された Apple デバイスを使うことになるのかということとは異なっている。遡ること 2005 年あたりで、BYOD (Bring Your OwnDevice) というトレンドがはじまり、ユーザーは、自分個人のデバイスを仕事に持ち込むようになった。こうした傾向は、iPhone や iPad の発表とともに急増し、IT スタッフにとって大きな頭痛の種となった。ユーザーが、自分たちで使っているデバイスを所有していた場合、IT が、最小限のセキュリティ標準を確保すること、会社の秘密データを保護すること、ソフトウェア・ライセンスが守られているのを確認すること、テストされていないオペレーティング・システムやアプリのバージョンに伴う問題を避けること、そして、問題に対してトラブルシューティングを行うことが難しくなった。(訳者注: K-12 とは、幼稚園 (Kindergarten) から12 年生、すなわち、高校 3 年生までを指す。)

より最近では、ビジネスは、「自分自身のデバイスを選ぶ」モデルに移行しつつある。これは、ここしばらく、高等教育のもっと流動的な環境において、ずっと普通のこととなってきたものである。こうしたユーザー選択型のプログラムでは、従業員は自分が使いたいコンピュータを選ぶことができる。これは、自分たちが好きなハードウェアを使う時に、ユーザーはもっとも生産性が高くなるであろうという考え方に基づくものだ。これは、Apple にとって大きな恵みであることが分かってきた。というのは、調査や過去のユーザー選択プログラムによって、選択肢が与えられた場合には、ユーザーのうち、50% ないし 75% あたりが、Windows PC よりも Mac を選ぶであろうということが示されているからだ。

ユーザー選択プログラム故の成長について、具体的なイメージを持っていただくために、数字を挙げよう。Jamf は 2015 年以来、顧客の数を2 倍以上にしてきた。ほぼ 6,000 弱から、今日の 13,000 にまで増やしたのだ。こうした数字は、これらの顧客が、Jamf Pro やJamf Now を使って、900 万台を超える Apple デバイスを管理していることに気付いて初めて、評価できるようになる。顧客あたり、平均、ほぼ 700 台のデバイスであるが、顧客によっては、もっと多くのデバイスを管理しているところもある。

ユーザー選択プログラムのおかげで、ドイツのソフトウェア会社である SAPは、13,000 台の Mac を有しており、金融サービス企業である Capital Oneは、12,000 台の Mac を有している。(そして、ユーザー選択プログラムを以前始めた人物が、Expedia と Nike に、ユーザー選択プログラムを紹介し、Expedia と Nike におけるインストール・ベースの Mac の台数は、それぞれ、6,000 台ならびに 14,000 台となっている。) Walmart には、ユーザー選択プログラムはないが、7,000 台の Mac がある。もし、同社がこの計画されたプログラムを立ち上げ、他社と同様の移行比率があるとするなら、同社は、100,000 台の Mac を持つことになる可能性がある。これらは、驚異的に大きな数字だ。そして、注目の多くが個々の消費者に集まっている時代においては、ただ、どれだけ多くの Mac、そして、iPhone、iPad、Apple TV が、巨大な組織が使うためにバルクで購入されるかが気に留めるに値する。

なぜこうしたことが起こりつつあるかということに対するありふれた常套句は、所有のトータルコスト、すなわち、TCO (Total Cost of Ownership) に帰着する。誰も、Apple の機器は、同等の Windows PC、Androidスマートフォンやタブレット、そして、他のストリーミング・ビデオ・ボックスよりも高価であると異議をとなえたりしない。だが、私が話をしたほぼ全員が、ステージに上がったパネリスト以上に、Apple デバイスを所有するトータルコストは、サポートを求める電話の少なさ、メンテナンスの軽減、そして、高い再販売価値を一度でも考慮すれば、競合よりも低いと言った。

「いかにして」とか、「なぜ」とかには関わらず、平均的な個人ユーザーとは関心が非常に異なっている参加者の間で、こうした大きくて賑やかな会議の真っただ中にいることは魅力的なことであった。例えば、私の友人である Technolutionary の Tom Bridge は、Anthem (Washington D.C. の主要コンサート会場の一つ) で Wi-Fi ネットワークのインストールをちょうど終えたところであった。現実世界におけるその最初のテストの一つで、彼のネットワークは、3,300 もの同時アクセスユーザーの役に立つよう対処した。これは、広く開いた下部の床で、30度の円錐形サービスエリアを提供するための、スポットライトのように実装可能なギガビット Ethernet帰還路とアクセスポイントのおかげであった。(まさに、Bob Dylan のようなものを聞きながら、Wi-Fi が必要となった場合に備えて。) これは、アパートの一室で、古びた AirPort Extreme を置き換えるために、最良のWi-Fi ルータについてあれこれ考えることとは似ても似つかない。そして、これは、ただ単に、私たちがどれだけ遠くに来たかを思い出させてくれる素晴らしいものである。

私は、最後にいくつかの考えと共に、お暇したいと思う。初めに、私はここで、明白な理由から Jamf Pro と Jamf Now について語ってきたが、これらの製品は、デバイス管理分野において、孤立とは程遠い。Apple デバイス向けの同様のソリューションを有する他の会社には、AddigyFilewaveSimpleMDM、そして、Solarwinds が含まれ、さらに、他の会社も、代わりに許容できるかもしれない。

第二に、JNUC 2017 iOS アプリは、私が経験した中で、なみはずれて最良の会議アプリであった。これは、Cvent の CrowdCompass アプリをベースにしており、きわめて有用であった。このアプリにより、セッションのスケジュール、発表者のリスト、会場のマップ、セッションの検索、その他、が提供された。これまで私が見た他の会議アプリとは異なり、これは単にWeb ページを集めたものではなかった。いったんログインしたら、参加したいセッションを追跡することができ、スケジュールをチェックしたらいつでも、アプリは次のプレゼンテーションを表示してくれたものであった。会議を開催する人であれば誰でも、これは試してみるに値する。

第三に、そして最後に、会議の基調講演において、同社は、Jamf Pro 10 を2017 年の前半に出すと約束したものの、2017 年 10 月 31 日までに出荷できなかったことを認めたが故に、Jamf は賞賛に値する。(そうだ。会議の後だ。というのは、非常に多くの従業員が JNUC にいたからだ。) 謝罪として、Jamf は、以下の愉快なビデオを作製した。これは、Adele の「Hello」ビデオの愉快な物真似だ。(比較のため、必ずオリジナルも見てほしい。) 一見したところ、普通の人が口パクするのは、当初 Jamf のマーケティング・チームが期待していたよりもずっと困難なようである。Take Control の著者である Charles Edge の姿さえも、ビデオの3 分 48 秒で、ちらっと見ることさえできる。

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iPhone X 初期レビューがスクリーンと Face ID を称賛

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今年、Apple は二回分の iPhone を私たちに提供した。9 月に iPhone 8 および 8 Plus をリリースした後で、続いて今度は iPhone X が私たちの手許に届いた。(2017 年 9 月 26 日の記事“Apple の 2017 年後期コレクション:レビューの総括”参照。) この iPhone X は、$999 という高額の値札にもかかわらず供給不足の状態にある。

レビューの総まとめに入る前に、物議を醸したメディア戦略について触れておかない訳には行かない。Apple は今回、伝統的なルートに対してはレビュー用ユニットに厳しい制限を課したので、私たちを含む大多数の者は Apple がメディア規制を解く直前のたった 24 時間しか iPhone X を手にすることができなかった。その代わりに、Apple はある程度人気ある YouTuber たちに優先権を与えた。米国在住のライターで出版前に丸々一週間 iPhone X を持つことができた者は、以下のようなほんの数人しかいなかった:

Apple の外部で iPhone X を実際に操作した体験を最も多く重ねた者はまさに彼らなので、ここでは彼らが書いた記事のみに集中することにしたい。ただしもちろん、このまとめを書く前に私は他にもたくさんの記事を読んだ。そのどの記事も、大体においては iPhone X の良い点と悪い点について彼らの記事と同意見であった。

さらにもう一言付け加えると、この記事ではレビューの筆者ごとにまとめるのでなく個々の機能ごとにそれぞれの意見をまとめるようにした。iPhone X は iPhone 8 や 8 Plus と共通するところも多いが、重要な違いがいくつかある。Home ボタンがなくなり、“Retina を超えた”OLED ディスプレイを装備し、認証方法として指紋認証の代わりに顔認証を使うようになり、デュアルカメラシステムが若干改良され、ディスプレイに独特の「切り欠き」があってここに iPhone X が必要とする各種のセンサーが収められる。以下ではこれらの違いのみに集中して、それぞれのレビュー筆者の意見をまとめてみたい。

学習曲線 -- iPhone X での最大の変更点は、あの象徴的な Home ボタンがなくなって、Face ID と一連の新しいジェスチャーを使うようになったことだ。つまり、そこには学習曲線が伴う。レビュー筆者たちは、このことをどう感じただろうか?

Nguyen は「私は丸々一週間 iPhone X を使ってきたので、意見ははっきりしている。このスマートフォンは万人向きとは言えない」と述べた。「指の動きをいったんものにしてしまいさえすれば、この新しい xOS は問題なく使える。でも最初の一日か二日の間は、スワイプぐちゃぐちゃのひどい状態だった。」

Matthew Panzarino はこう述べた。「iPhone X を使い始めた最初の一日は、いろんな意味でとてつもなく奇妙で面倒だった。長年 Home ボタンをぶっ叩くのに慣れた身には、その習慣を二時間でたたき壊せと言われてもできるものではない。従来慣れ親しんだボタンのタップ、ダブルタップ、ダブルタップしてからスワイプの代わりに、それぞれ上へスワイプ、横へスワイプ、下へスワイプしてから続いて上へスワイプ、という動作に慣れなければならない。」

Lance Ulanoff も苦しんだという。「今までどれだけ多くの機能が Home ボタンに依存してきたかは、ボタンを失ってみなければ分からない。iPhone X は大好きだが、最初の数日間はまるでビックリハウスの歪んだ鏡を通して見つつ使っているような気分にさせられた。ものごとがどう変わったかは学んでいたけれども、自分の頭と心を強制的に再教育しながらもたびたび鏡にぶち当たる体験をした。」

でも、その具合の悪さはいつまでも続く訳ではない。Panzarino はこう付け加えた。「振り返って考えれば、私は月曜日にこのスマートフォンを初めて手にして、土曜日まではまだホーム画面に返ろうとボタンを突く動作を何度もしていた。でも、今日になって、ちょうど一週間目にこの記事を書きながら、私は iPhone 7 の Home ボタンを上へスワイプしてロックを外そうとしている自分に気付いた。なので、まあ一週間くらいは慣れる時間が必要なのだろう。」

Steven Levy も Panzarino と同じ見解だった。「iPad 上でそのジェスチャーをしようとしているのに気付いた時、自分がジェスチャーをマスターしたことを覚った。おっと、iPad じゃあ使えないのに、私の指は iPad の Home ボタンに向かわず、哀れにも上向きにスワイプするが、何も起こらない。それに、カメラが私の顔を向けば iPad のロックが勝手に外れることを期待する自分に気付くという、気恥ずかしい瞬間もある。」

私たち自身はこれでもう数日間 iPhone X を使ってきたことになるが、確かに従来の iPhone モデルに比べればかなりの学習曲線はあるけれども、実際手に取る動作が素早くなったと実感している。Adam Engst は、今回よりも Apple が Sleep/Wake ボタンを iPhone 5 の上辺から iPhone 6 のサイド側へ移動させた時の方が厄介だったと言っている。

そうは言っても、経験の少ないユーザーや知識に自信のないユーザーにとっては、これらのジェスチャーに困難を感じることもあるかもしれない。私の母や、4 歳になる私の息子に iPhone X を渡しても、スムーズに使えるようになるとは考えにくい。目に見えるボタンを押し込む方が、スクリーン上のどこをスワイプするか覚えるよりも、ずっと直感的だからだ。Apple もこの懸念には気付いており、iPhone X を購入した人には無料のオンライントレーニングが提供される。

切り欠き -- iPhone X について大いに議論されてきたのが、あの悪名高き「切り欠き」だ。Apple は iPhone X が「全面スクリーン」だと好んで言い張るようだが、それはスクリーン上端に 1.5×0.25 インチ (3.8×0.6 cm) の入れ込み部分があるのを除いてという意味だ。この部分には、フロントカメラ、Face ID センサー、スピーカー、マイクなどが収められている。これは騒ぎになっているけれども、レビュー筆者たちは別に何の問題もないと述べた。

Panzarino は単刀直入に言った。「使ってみて、この切り欠きは私にとって全く何の問題もないと言わざるを得ない。これっぽっちも気にならない。きっと非難の声が寄せられるだろうとは思うが、ここで私は Apple のちょうちん持ちをしているのではない。もちろんこれが妥協の産物であるのは間違いないが、Face ID を使い、True Depth カメラを他のことにも使ってみた私は、喜んでこれに対処できる。」

けれども彼は次のように注意した。「けれども、もしも iPhone を横長に置いてデータ入力やデータ一覧などに使うのならば、True Depth カメラの切り欠きが邪魔になるだろう。特に切り欠きが左側にある場合は問題だ。回避策はない。それが問題になるならば、iPhone X を使わない方が良い。でも、たとえあなたがそれが問題になると思っていたとしても、実際に数日間使ってみればその気持ちが続くかどうか私は疑問だと思う。」

Ulanoff の意見はもう少し悲観的だった。「切り欠きに全く気付かなかったと言えば、嘘になる。フルスクリーンのアプリ、映画、写真などには食い込むけれども、しばらく使っていれば気にならなくなった。この切り欠きが大嫌いで非難の声を上げる人たちがいるだろうことは間違いないし、Apple の Chief Design Officer たるあのストイックな Jony Ive が初めてこの切り欠きを見た際にどんな風に冷静さを無くしたかと想像するのは楽しいが、それでも私が思うに、ほとんどの苦情は iPhone X を持っておらず使ってもいない人たちの声ではないだろうか。」

Nguyen は切り欠きよりもスマートフォン画面の反対側の端の方が気になったという。「どうでもいいこと。いずれにしても私はこの切り欠きに対して何か強く感じることなどない。それよりも、もっと具合が悪い感じがするのはスクリーンの反対側だ。どんなアプリの中でも、オンスクリーンのキーボードが出ている状態で (私にとってそれはほとんど常時だ)、一番下のところにデッドスペースがある。Apple はここに一般的な句読点や、よく使う絵文字、あるいは文字通り何でも入れることができたはずだ。なのに、ここが空白のままになっている。他のスマートフォンで他のフルスクリーンアプリを使うと、この領域をナビゲーションのために使ったり、その他のデザイン要素を入れたりしているのが見受けられるが、ごちゃごちゃしたとか詰め込み過ぎとかいった感じは全く無い。見た目もちゃんとしている。いったいなぜ Apple がこの一番下の部分に何か有用なものを置こうとしなかったのか、あるいは数字や絵文字などを並べてキーボードに親指だけでアクセスしやすいように工夫しなかったのか、私にはさっぱり分からない。」

けれども彼女は、まだ iPhone X 用にアップデートされていないアプリがたくさんあって、そういうアプリでは iPhone 8 と同じスクリーン領域になってしまうという点を正しく指摘する。「開発者たちがアプリに X 互換性アップデートを施すにつれて、いずれ状況は変わると思う。でも現状では、いつも使っているアプリを開いても、この X が“スマートフォンの未来”だという気はしない。過去十年間見続けてきたと同じガラス板を見ている感じしかしない。」

全体的に見て、レビュー筆者たちは切り欠きにそれだけの価値があるという点で意見が一致しているようだ。なぜなら、これがなければ Face ID が使えないからだ。私たちもやはり同意見だ。私たちの中でこの切り欠きが必要以上に厄介だと思った者はおらず、時刻や状況アイコンをそのどちらかの側に置いておくことのできるアプリなら、切り欠きが自然に背景に溶け込むものだ。

Face ID -- iPhone X で Touch ID の代わりとして登場した顔認証システムの Face ID が信じられないほど素晴らしいという点で、レビュー筆者全員が同意見だった。「一言で言えば、Face ID は really f-- --ng impressive」という Nguyen の声がそれを代弁している。けれどもその理由は目に見えないところにある。まぶたが腫れた状態でセットアップした Face ID が、その腫れが引くに従い彼女の顔の変化に適応してちゃんと認識できたという話を彼女は伝えてくれた。

Panzarino はセットアップの容易さとセキュリティを称賛した。「Face ID は本当にうまく働く。第一に、セットアップが信じられないほど簡単だ。機能を有効にしてから、時計のまわりに鼻を二周分回転させるだけで、もう終わりだ。第二に、私が試したうちの圧倒的大多数で正しく働いた。私の写真や他の人の顔でロックが外れたことは一度もなく、失敗の確率は Touch ID とほとんど同じ、つまり失敗は皆無に近い。期待通り、第一世代の Touch ID に比べれば動作は断然速い。ただし、第二世代に比べればわずかに遅いかもしれない。」

彼は、Face ID の順応性の高さも称賛した。「頭に何も冠らなくても、帽子を冠っても、他の種類の帽子を冠っても、眼鏡をかけてもかけなくても、眼鏡と帽子の両方でも、いろいろな組み合わせで試してみたが、Face ID が動作しなかったのはたった一回だけ、鼻と口の両方を覆った場合のみだった。これは最初から Apple がうまく行かないと言っていたものだ。寒い地域に住んでいて顔を覆っている人は、スカーフをちょっと下にずり下げてから Face ID を使う習慣をつけるとよい。とても素敵な事実は、ロックを外す際に手袋をはめているかどうか気にする必要が全くないことだ。」

でも、サングラスについてはものによって Face ID が働かないことがあると彼は注意する。「私は結局、持っているサングラスのうち一つを Face ID が突破できないことに気付いた。Apple によれば Face ID が機能するためには赤外線スペクトルの 940nm あたりが重要とのことで、そこを遮るサングラスは問題だ。肝心なのは使われる光スペクトルが裸眼には全く見えない部分だということで、だからこそ真っ暗闇でもロックを外す機能が完璧に動作するのだが、人間の目には iPhone X の発する光は見えていないのだ。念のために書き添えておいた。」

Ulanoff は Face ID の速度を称賛した。「私がスマートフォンを取り上げて、スクリーンの下端から上に向けて指でスワイプすると、それだけのことをする間に iPhone X の Face ID システムは既に私の顔を読み取っていて、登録された人物だともう認めている。iPhone 8 のロックを外すのとどちらが速いかって? ほとんど違いはなくて、あったとしてもその違いはミリ秒単位だ。けれども、Home ボタンを押してから押し続けるのとは違い、iPhone X にアクセスする動作はたった一つのジェスチャーに感じられる。もちろん、PIN コードを従来通りに使うこともできて、電源を入れる際にはこちらの方法が必要だ。なぜなら、Face ID は電源が入っていない状態では働かないからだ。」

そして大丈夫、Face ID を欺くのは困難だと Ulanoff は気付いた。「私は何とかして Face ID を欺こうと試してみた。iPhone 8 で自分の顔の写真を撮って、それを iPhone X の TrueDepth カメラの前に示してみたが、何の反応もなかった。短いビデオでも試してみたが、やはり何も起こらなかった。」

私たちはまだ Face ID でいろいろ実験をしてみる時間を見つけられないでいるが、これまでのところ十分うまく動作している。Adam Engst が見つけた注意点は、Face ID では iPhone X を顔から少なくとも 6 インチ (15 cm) 離して使う必要があることだ。彼は近眼なので、眼鏡をかけていない時、あるいは夜中に使う時には、iPhone X をかなり顔に近づけないと文字が読めず、その状態では Face ID が働かないらしい。彼の回避策は、いったん iPhone X をロックしてから、顔から離して、もう一度ロックを外せば Face ID が動作を始められるというものだ。

画面 -- この iPhone X は、OLED スクリーンを初めて搭載した iPhone であり、従来のどのスクリーンに比べても iPhone 表面の大きな部分を占める。また、これは Apple が "Super Retina" スクリーンと呼ぶものの初めての登場となる。私たちの推測では、458 ピクセル/インチ (ppi) という高解像度を持つという意味で Apple はこの用語を使っているのだと思う。これに比べて従来は iPhone 6/7/8 Plus のスクリーンでの 401 ppi が最高記録であった。OLED ディスプレイは優れたカラーと豊かな黒を持ち、LCD よりも電力効率が良いことで知られているが、その反面、焼き付きがあることや、軸を外して見ると色ズレが起こることが問題になりがちだ。レビュー筆者たちは、他のどの機能よりもこのスクリーンに強い印象を受けたようだった。

Levy が次のようにまとめて述べた。「最大の変化は、あなたの目の前であなたを見つめる。そう、あのスクリーンだ。私は iPhone Plus シリーズや、また Google の Pixel 2 XL などの Android ユニットのような大型のディスプレイが好みだが、これらのスマートフォンはあまりにも大き過ぎる。ポケットの中で嵩張るし、電話をするとまるでフライパンを頬に押し当てているみたいだ。その点、iPhone X はコンパクトなフォームファクターの中に大きなスクリーンが収まる。公衆電話ボックスの中でシネラマ映画を観るようなものだ。デバイス自体の大きさは標準の iPhone 8 をほんの少し大きくした程度だが、スクリーンの大きさは iPhone 8 Plus のものに近い。それにこのスクリーンの "Super Retina" 機能 (これもまた Apple のマーケティング担当が巧みにひねり出した Barnum 風の名称だ) が加われば、大枚をはたいて iPhone X を買ったのが愚かな行為でなかったという安心感を購入者たちに与え続けることができるだろう。私の印象では、このディスプレイは私の「古い」iPhone 7 に比べてはっきりと進化しており、映画 "The Big Sick" を観ていても、フットボールの試合のライブ中継をストリーミングで楽しんでも、あるいはただ単に Instagram であちこちスワイプして回っても、素晴らしく心地良い具合になっているのが感じられる。」

Nguyen も、OLED スクリーンと効率的なフォームファクターの双方を称賛した。「結局、私にとってこのスマートフォンの最も魅力的な点は、Face ID でも、3D 顔認証スキャンテクノロジーでもなくて、新しい OLED ディスプレイだ。8 Plus と同等のスクリーンサイズを、二枚レンズのカメラまで加えた上で、小さな手と小さなポケットでもずっと具合の良いフォームファクターの中に収めている。もはや、大型のスマートフォンが最良ではない。Apple はこれまで大型で嵩張る "Plus" モデルのスマートフォンだけに最良の機能を盛り込む傾向があった。けれども今回の X はそれを変えた。(私のように) 手の小さい人や、どうしようもなく浅いポケットしかない女性用のパンツを着ている人には、この X のサイズそのものが 本当に 素晴らしい機能だ。」

Apple の OLED は素晴らしいが、Panzarino はやはり OLED によくある欠点もいくつか目立つと指摘した。「OLED で言われる一般的な不満点にこのディスプレイが苦しんでいると分かる一つの領域が軸外から見た際の問題だ。Apple は私に、伝統的に OLED スクリーンに影響する彩度低下と青へのズレへの対策作業を施してあると説明してくれた。私がはっきり言えるのは、他の OLED スクリーンと比較してこのスクリーンではより大きく軸を外して見なければ色ズレを実感しないということだ。スマートフォンを真っ正面から 30 度以上傾けなければ気にならない。でも、色ズレがあることは確かだ。」

そういう注意点があるにもかかわらず、それでも Panzarino はこのスクリーンを称賛した。「でも、大体正面から見れば、ワーオ、これはとても良い。輝度が 640 nit もあるので、直射日光の下でも見え方は素晴らしい。iPhone 8 の LCD よりもずっと、ずっと良い。その違いを写真に捉えるのは正直言って難しい (私たちは試したのだ) が、個人的印象を言えば直射日光の下でも非常に使いやすいことに誰もが感心するだろうと思う。そのことと、組み込まれた True Tone テクノロジーとの相乗作用で、iPhone X で見る画像は、他のどの Apple デバイスで見るよりも、iMac よりも、明るくて美しく見える!」

Ulanoff も称賛の声を上げた。「こんなに明るくてタッチ可能なカラーや、まるでインクのような鮮やかな黒を、iPhone のハンドセットの上で見たことはかつて一度もなかったし、この iPhone X ほどに事実上ベゼルなしで端や角まで抱え込みそうになるような iPhone のスクリーンも、見たことがなかった。スクリーンの四隅がすべてカーブになっているのも iPhone 史上初めてだ。Apple iPhone 8 のオーナーに、そのスクリーンを iPhone X と並べて置かせてはいけない。そんなことをすれば大人でも泣き出してしまうだろう。」

私たちも、iOS 11 で新設された Quick Start 機能を使って古い iPhone から iPhone X をセットアップする作業をしていた際に両者のスクリーンの違いに気付いた。でも、私自身が本当にこのスクリーンに圧倒される気持ちになったのは "Mad Max: Fury Road" を 4K HDR 画質で鑑賞した時だった。これは凄い。

カメラ -- 最後に、iPhone X のカメラは、iPhone 8 Plus のカメラに比べて大幅に良くなった訳ではないものの、レビュー筆者たちはそれでも好意的な印象を述べていた。

もしもあなたが写真マニアなら、Panzarino のレビューの全文を読むことを強くお勧めする。彼が Disneyland で撮影した素晴らしい写真もたくさんある。彼は、望遠レンズとフロントカメラを特に気に入って、こう語った。「この遊園地の中をあちこち歩きながら iPhone X をテストして、自分が 2x モードの方をデフォルトとして頻繁に使っていることに気付いた。これにより、遊園地の乗り物の中で素晴らしくシャープな写真がズームで撮れ、今までこんなことは絶対に不可能だったと思った。過去にもスマートフォンで運良く撮れたことも何度かあったけれども、望遠レンズでできたことは一度もなかった。暗闇を進む列車に乗っても、海賊のアトラクションでも、信じられないほど暗い中にドラマチックな光が輝く写真は、スマートフォンのズームレンズにとってこの上ないストレステストだ。結果の写真は、非常に印象的な仕上がりだった。」

彼は、iPhone X のカメラが iPhone 8 Plus より改善された興味深い点も指摘した。「iPhone X のカメラに加わったもう一つの大きな機能は、フロントにある TrueDepth カメラだ。セルフィー(自撮り)用にアップグレードを受けたお陰で Face ID が動作するようになったのだが、それと共にセルフィーで Portrait Mode が使えるようになった。得られる効果は背面にあるデュアルレンズのカメラと同じだが、この前面の TrueDepth カメラがドットプロジェクタの提供する正確な深度マップを利用することにより、Apple は「シングルカメラ」で Portrait Mode の効果を出すという離れ業を成し遂げた。」

Nguyen も、進化した望遠レンズを称賛した。「X での違いは、望遠レンズの開口部が f/2.4 になって (8 Plus では f/2.8)、より多くの光を取り込めるようになったことだ。また、光学式手ぶれ補正が組み込まれたお陰で、手ぶれによるぼやけが減った。(8 Plus では手ぶれ補正が広角レンズのみであったが、X では双方に組み込まれた。)」

Ulanoff も同様の感想を述べたが、良いスマートフォンカメラを作っているのは Apple だけでないと指摘した。「iPhone X 背面のデュアルカメラは私がスマートフォンで使った中で最高のカメラだ。広角と 2x 光学ズームの組み合わせで、多種多様な状況の下で素晴らしい写真が撮れる。けれども、Samsung がカラーの彩度をより広い現実世界に広め、Portrait Mode がより一般的になり、Google などの新興企業が他の者たちから学んで力強い最初の一歩を踏み出せることを実証するに従い、この活動の場はますます均等になりつつある。誰も、iPhone X の写真撮影機能でがっかりしたりはしないだろう、でも、どのスマートフォンが最高のカメラを持っているかという点に関しては複数の議論があるに違いないと知っておこう。私個人はまだ Apple のカメラが好きだが。」

私たちはまだ iPhone X のカメラを実地にテストする時間を見つけられないでいるので、この点についてのレビュー筆者たちの意見に何か付け加えることはしないでおこう。

まとめ -- 要するに、iPhone X の初期レビュー評価は飛び抜けて良いものであり、私たちの体験もかなりそれに沿っている。この iPhone X は驚くべきデバイスだが、それは最新のテクノロジーに対して最高の価格を支払ってもよいという人たちを狙ったものだ。よく引用されるのは $999 という価格だが、それは 64 GB モデルで AppleCare+ を付けない場合の話だ。256 GB モデルに AppleCare+ を付けて税金も加算すれば、出費は $1400 を超えるだろう。これは痛い。

値札は $199 と高いけれども、私たちは AppleCare+ を付けることをお勧めする。記事“iPhone X は修理さえも高価”(2017 年 10 月 30 日) でも触れた通りに、AppleCare+ がなければ iPhone X の修理費用は高いし、さまざまの新しいテクノロジーを使っている以上、iPhone 8 のように実績あるデザインに比べて何かがうまく行かなくなる可能性も高いだろう。その点を言うなら、全面ガラスの背面も良し悪しだ。アルミニウム背面の iPhone 6 や 7 に比べて iPhone X は手に持っていて滑りにくいが、いったん手から滑り落ちれば、硬い面の上にトンと落ちただけでも生き残れる確率は低い だろう。

iPhone X を欲しい人なら、既に注文している可能性が高いのではないか。でもまだ迷っているという人で、十分にお金があり、待つのが苦にならないのならば、たとえ iPhone 7 からであってもアップグレードする価値はある。他方、今年のうちは実績ある iPhone 8 を使って、Apple やサードパーティの開発者たちが問題点を解決するまで待つというのも、完璧に理にかなったやり方だ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2017 年 11 月 6 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TextExpander 6.2.3 -- Smile が TextExpander 6.2.3 をリリースして、Secure Input メッセージングを更新し、非常に長い一行のスニペットにおけるパフォーマンスの問題を解消した。このテキスト展開ユーティリティはまた、ダークモードで使う際の TextExpander を改良し (グループ名の表示の修正、インラインおよびメニューによる検索結果の選択部分のハイライト表示など)、削除確認ダイアログで Delete をデフォルトオプションでなくし、確認ダイアログを出さずに削除するための Command-Delete キーボードコマンドを追加している。TextExpander 6 は月額または年額払いの購読により利用できるが、独立動作の TextExpander 5 も Smile は引き続き $44.95 で販売している。(TidBITS 会員が 20 パーセントの割引を受けられるのはバージョン 5 の購入のみだ。)(購読料金年額 $40、6.4 MB、リリースノート、10.10+)

TextExpander 6.2.3 へのコメントリンク:

Evernote 6.13 -- Evernote が社名と同じ名前の情報管理アプリにバージョン 6.13 をリリースして、コンテンツの表示領域をより広くするためにツールバーの幅を狭めた。今回のアップデートではまた、Move Note ダイアログを改善してビジネスと個人の両方のアカウントのノートブックが一覧表示されるようにし、すべての共有オプションを Share ボタンに統合し、アップグレードの際にノートブックが重複することがあった問題を修正し、いくつかのクラッシュ (ノートの移動時、アプリの起動時、PDF に注釈を追加した際などに時折起こった問題) を修正している。

Evernote Mac フォーラムのリリースノートに対して寄せられたコメントを読むと、今回のバージョンでは同期で問題を経験しているユーザーが多い (同期周期の環境設定が消えてしまったというものから、同期の最中にアプリケーションがハングするというものまでさまざまある) ようなので、次のアップデートが出るまで待つ方が賢明かもしれない。(Evernote からも Mac App Store からも無料、55.2 MB、10.10+)

Evernote 6.13 へのコメントリンク:

Safari 11.0.1 -- Apple が Safari 11.0.1 を OS X El Capitan 10.11.6 および macOS Sierra 10.12.6 用にリリースした。(OS X High Sierra 10.13.1 にはこれが既に含まれている、2017 年 11 月 1 日の記事“macOS 10.13.1 High Sierra、小さな修正と追加の絵文字を提供”参照。) 今回のアップデートはセキュリティの懸念二件を修正する。一つは悪意のある Web サイトにアクセスするとアドレスバーを偽装される可能性があったユーザーインターフェイス不一致の脆弱性、もう一つは任意のコードを実行される可能性があった WebKit のメモり破損の脆弱性だ。Safari 11.0.1 は Software Update 経由でのみ入手できる。(無料、10.11.6+)

Safari 11.0.1 へのコメントリンク:

セキュリティアップデート 2017-001 (Sierra) およびセキュリティアップデート 2017-004 (El Capitan) -- Apple がセキュリティアップデート 2017-001 macOS Sierra およびセキュリティアップデート 2017-004 OS X v10.11.6 El Capitan をリリースして、同社が macOS 10.13.1 High Sierra で対処したと同じセキュリティ脆弱性をパッチし (2017 年 11 月 1 日の記事“macOS 10.13.1 High Sierra、小さな修正と追加の絵文字を提供”参照)、またこれら二つの旧版オペレーティングシステムで他にも数多くのセキュリティ欠陥を修正した。今回のセキュリティアップデートでは、KRACK 攻撃に対応する修正 (2017 年 10 月 17 日の記事“Wi-Fi セキュリティ欠陥 KRACK、言われる程悪くない”参照)、カーネルのアクセス権をもって任意のコードが実行される可能性のあった複数のメモリ破損の問題へのパッチ、アプリケーションが制限付きメモリを読むことを防ぐための入力サニタイズの改良、Apache におけるいくつかの問題点への対処、その他が施されている。Apple はすべてのユーザーにこのアップデートを推奨している。(無料、10.12.6 Sierra 用は 768.3 MB、10.11.6 El Capitan 用は 853.6 MB、セキュリティコンテンツリリースノート)

セキュリティアップデート 2017-001 (Sierra) およびセキュリティアップデート 2017-004 (El Capitan) へのコメントリンク:

Transmit 5.0.5 -- Panic は 10 月初めに Transmit 5.0.4 をリリースして、Transmit Disk に macOS 10.13 High Sierra 対応を追加し (その結果 Finder で Transmit サーバをディスクとして表示できるようになり)、Transmit のファイルブラウザをアイコン表示で使った場合に起こった High Sierra のバグを回避した。最近アップグレードされたこのファイル転送アプリ (2017 年 7 月 22 日の記事“Transmit 5.0”参照) はまた、Amazon S3 クラウドストレージサービス上の Dual Stack および Direct エンドポイントへの対応を追加し、小さなサイズで表示した際のサーバリスト切り捨てを改良し、パスバーからフォルダをドラッグする機能を追加し、検索をクリアしてもリスト表示の中のファイル選択が保たれるようにしている。

10 月の末になって、Panic はバージョン 5.0.5 をリリースして、最初に起動した際に開くウィンドウに Panic Sync 設定へのショートカットを追加し、遠隔フォルダを Quick Look で選択した際にビープ音が鳴ることがあったのを取り除いた。このアップデートではまた、Transmit が未登録の状態に戻ってしまうことがあったバグを修正し、ファイルバスバーのコントロールでアクセシビリティ対応を改良し、High Sierra でアクティビティキューのポップオーバーを開くと起こることのあった例外エラーを解消し、新規フォルダを改名した際にインスペクタウィンドウのタイトルも更新されるようにしている。(Panic から新規購入 $45、無料アップデート、67 MB、リリースノート、10.11+)

Transmit 5.0.5 へのコメントリンク:


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日本語版最終更新: 2017年 11月 11日 土曜日 , S. HOSOKAWA