TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1404/12-Feb-2018

待ちに待った Apple の HomePod がやっと(米国)市場に出た。そこで Adam Engst が、Apple がスマートスピーカー競争に参入したこの製品の第一印象を語る。冬季オリンピックがまた始まったので、いろいろな Apple デバイスでオリンピックを追いかける方法を Josh Centers が紹介する。悲しいニュースがある。インターネットの先駆者であり Electronic Frontier Foundation の共同創設者でもある John Perry Barlow が亡くなった。それから、オンラインバックアップ会社 Carbonite がこっそりと値上げしたことをお知らせし、Andy Affleck が寄稿記事で Rogue Amoeba の新しいサウンドボードアプリ Farrago をレビューする。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Carbon Copy Cloner 5.0.8、MarsEdit 4.0.7、VLC Media Player 3.0、BBEdit 12.1、ChronoSync 4.8.4、それに DEVONagent 3.10 だ。

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Internet のパイオニア John Perry Barlow、70 歳で死去

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

The Electronic Frontier Foundation (EFF, 電子フロンティア財団) は、共同創始者の一人である John Perry Barlow が、2018 年 2 月 7 日の朝、長期にわたる疾病の後、70 歳で、就寝中に亡くなったと発表した。組織の声明において、EFF Executive Director の Cindy Cohn は、以下のように述べた。

今日、私たちみんなが知っていて、そして、大好きな Internet の主要な部分は、Barlow のビジョンとリーダーシップのおかげで存在し、繁栄していると言っても、決して言い過ぎではありません。彼は、Internet を、根本的に自由な場所として常に見ていました。そこでは、長いこと沈黙していた声が聴衆を見出すことができ、人々は、物理的な距離に関わらず、他の人たちと繋がることができるのです。

Barlow の多くの業績のなかで、彼が最もよく知られているのは、たぶん、"A Declaration of the Independence of Cyberspace (訳者注: 日本では、「サイバースペース独立宣言」として知られている)" によってである。この文書は、Internet が、「全ての人が、人種、経済力、軍事力、ないし、生まれによる特権や偏見なしに入ることができる世界であって、そこでは、誰もがあらゆる場所で、自らの信念を、たとえ、それがいかに奇妙であったとしても、沈黙や服従を強制される恐れなく、表現することができる」と宣言した。

Barlow は、ある意味で古典的自由人であった。EFF に関する業績に加えて、彼は、牧場主であり、Grateful Dead の作詞家であった。Grateful Deadのために、彼は、"Black-Throated Wind"、"Cassidy"、"Heaven Help the Fool"、"Looks Like Rain"、そして、"Mexicali Blues"、その他多くの歌の歌詞の執筆を手伝った。

TidBITS では、EFF の設立を、はるかに遡ること、"Electronic Frontiersmen" (1990 年 7 月 9 日) で記事にした。Barlow と共に、EFF の共同創始者には、John GilmoreMitch Kapor がいる。Gilmore は、Sun Microsystems の初期の従業員であり、Cygnus Support の創始者であり、そして、GNU プロジェクトの主要な貢献者であった。彼はまた、Bootstrap Protocol を共同で著し、これは後に DHCP に発展した。Kapor は、最初のスプレッドシートである VisiCalc をプロモートしたことで最もよく知られており、それから、Lotus を設立した。EFF のための最初のファンドは、Kapor、Apple の共同創始者である Steve Wozniak、そして、匿名の篤志家からやって来た。

1990 年の私たちの記事で、みなさんが注目するかもしれないもう一人の名前は、Mike Godwin だ。そう、それは、Godwin の法則で有名な Mike Godwinだ。そして、彼もまた、Barlow の死亡記事を書いている。

Internet は今もなおフロンティアであろうか? あるいはまた、それはむしろ巨大都市であって、裕福な地区と怪しげな地区とが混在していると言うべきなのだろうか? Barlow がサイバースペースについて抱いた理想郷の夢は、今もなお生きているだろうか? (アラブの春や、抑圧された少数派のためのオンライン・コミュニティのことを考えてほしい) あるいはまた、その夢は、とっくに滅んでしまったのだろうか? (荒らし、晒し、そして、偽ニュースのせいで) あなたの考えをコメントで共有していただきたい。

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Carbonite、オンラインバックアップを値上げ

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

昨年 Code42 がどの様にバックアップサービスのための CrashPlan を終焉させると発表したかをご記憶であろうか ("CrashPlan、コンシューマ向けバックアップを廃止" 22 August 2017 参照)? これは 22 October 2018 迄起こらないが、Code 42 は最初の年に対し 50% 割り引くことで個人顧客に Carbonite への切り替えを売り込んでいる。

Carbonite は値段を静かに 12% から 20% 上げたので、Carbonite への新しい加入プランの料金は値上がりしたばかりである:

また Carbonite はプランの説明の表現も変え、年額表示から月額表示に変更しているが、請求は年毎に行われる。どう見ても値上げを隠そうとしている様に見える。

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同社の信用のために言っておくと、Carbonite は CrashPlan の割引金額は変えないので、最初の年に対しては 50% を超える割引となる。その後は、この新しいより高額の料金となる。

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Backblaze は TidBITS スポンサーでもあることから、皆さんは我々が Backblaze の方を推奨することを期待しているであろう。でもそれは彼らが我々のスポンサーになる前からそうであった。Josh は、長年にわたる Backblaze ユーザーで満足しており、そして我々が最初に CrashPlan が消費者市場から撤退することを記事にした時にも、Joe Kissell は Backblaze を彼の新しいオンラインバックアップサービスとして挙げ、"これは速く、信頼性があり、そして安全で、なおかつコンピュータ1台当たり月額 $5 である" と言った。そして、勿論、Backblaze は外付けドライブもどんな種類のファイルでも追加料金なしでバックアップする。

Joe は Carbonite を Mac ユーザーには推奨していない。何故ならば、これはバージョニングも (マジで?) 個人暗号化キーを使うオプションも提供しないし、更に、彼はそれが人為的に上りの帯域を制限し、結果として他のサービスよりも遅いことを見つけたからである。そして、私が付け加えたいのは、Carbonite は今や最初の年以降は Backblaze よりも高額となることである。

勿論、オンラインバックアップに対する選択肢は他にも沢山あるし、もし好むなら、自分のオンラインバックアップ解を走らせることも出来る。Joe の記事は色々なパッケージに対するリンクを示しているし、Glenn Fleishman はクラウドバックアップを実行するために ChronoSync を使うことについて書いている ("クラウドバックアップ用 ChronoSync 4.7 を検討する" 22 December 2016 参照)。

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2018 年冬のオリンピックをあなたの Apple デバイスで見る方法

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

冬のオリンピックがまたやって来た。今回は、韓国の平昌だ。私たちは、ナイジェリア初のボブスレーチームのメダル争いを見ることが期待できるし、もしかしたら、ジャマイカのボブスレーチームに関する 1993 年の映画"Cool Runnings" (邦題: クール・ランニング) に対する続編の呼水になるかもしれない。また、私たちは、オリンピックの実況中継がもっとたくさん見られることを期待している。と言うのは、大いに酷評された録画放送は、大部分無くなってしまったからだ。とは言え、イベントのうち、あるものについては、NBC がプライムタイムに放映できるように、依然として録画で放送されることになるであろうが。

アメリカの場合 -- そこで、あなたの Apple デバイスで、どうやってチャンネルを合わせるようにすればよいのだろうか? アメリカでは、NBCUniversal が放映権を持っている。なので、昔ながらの TV の場合、視聴を楽しむには、NBC、NBCSN、CNBC、USA、そして、Olympic Channel を頼みにすること。だが、2400 時間を超える放送があり、それらは、14 時間遅れで行われることになる。そこで、試合を見る別の手段が、これまでよりもずっと重要となる。

2014 年と同様に、NBCOlympics.com が Mac で見るための場所だ。そして、NBC から、完全なストリーミング予定表が公開されている。iOS と tvOSでは、NBC Sports アプリが試合へのポータルだ。

残念ながら、NBC Olympics Web サイトやアプリ (全てのリストを下記に示す)を利用するには、ケーブルテレビ、衛星放送、あるいは、通信プロバイダへの申し込みが必要となる。NBC が、オリンピックに対しては、各種の特定のスポーツについて行っているように、NBC Sports Gold パスを販売しないというのは、私たちにとって引き続き驚きである。

良いニュースは、今では、多くのストリーミング TV サービスがあるということだ。こうしたサービスは、手頃な価格であり、長期の契約義務も必要とせず、NBC Sports アプリを認証してくれるし、そして、Apple TV アプリを提供してくれる。そうしたアプリの一つに申し込めば、そのサービスを一ヶ月間テストすることと、認証情報を使って NBC Sports アプリでのライブ・ストリーミングを可能にすることの両者が可能となる。こうしたサービスは、月 40 ドル未満で、良い掘り出し物だ。

以下のリストにおいて、私は、各サービスの月間最小料金について (料金は、地域によってわずかに変わるかもしれない)、どのサービスが Apple のSingle Sign-on 機能をサポートしているか、そして、私たちがレビューしたサービスについて付記しておいた。

どのサービスを選ぶかは、あなた次第だ。違いは主として価格設定とインターフェースということになる。そして、あなたが、NBC Sports アプリの認証のためだけに、こうしたサービスのうち、どれか一つを使っているのであれば、インターフェースはさほど重要ではない。私は、以前からPlayStation Vue を贔屓にしており、YouTube TV のインターフェースも好きだが、DirecTV Now は、期間限定で、3 ヶ月分のサービスを前払いすれば、Apple TV 4K が無料で手に入るプランを提供している。したがって、たとえあなたが DirecTV Now が好きではないとしても、179 ドルのApple TV が、税金と手数料を引いて、およそ 115 ドルで手に入ることになる。

もしあなたが、TV には一銭も払いたくないとしても、幸運から完全に見放された訳ではない。Apple News には、人目を引くセクションがあり、そこで、試合を追うことができる。単にアプリを開くだけであり、見逃しようがない。Snapchat は、ライブ・ストリーミングの重要な機会であるが、それはつまり Snapchat を使うということを意味し、そのインターフェースは、「残忍な」という表現がもっともふさわしい。また、徹底的にシンプルなオリンピック公式アプリがある。だが、これは、ビデオは何ら提供しないようだ。最後に、Team USA App をダウンロードしよう。このアプリでは、アメリカの選手に関する情報が提供されるばかりか、国中を一掃するほど人気のカーリング (すみません、冗談です) のスポーツ感覚を体験できるミニゲームまで含まれている。

海外の場合 -- アメリカ以外では、iOS と tvOS 向けに、以下のアプリを試すことができる。

みなさんは、オリンピックを見るのに、他の代替アプリに出会っていないだろうか? コメントで私たちに教えていただければ、この記事を適切にアップデートするつもりだ。

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Farrago:Mac 用の楽しく有用なサウンドボード

  文: Andy Affleck: [email protected]
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Rogue Amoeba の新しい Farrago は Mac 用の強力なサウンドボードアプリケーションである。サウンドボードという概念に馴染みのない人のために説明すると、それは色々な音のファイルを碁盤目状に並んだボタンに付与させてくれるツールで、付与が完了した後は、キーを押したり、マウスをクリックすることでそれらを再生出来る。考え方は、ポッドキャストを録音したり、ライブ演奏をしたりする時、或いはただの楽しみのために、必要に応じて、何時でも、どんな順番ででも、一つ或いはそれ以上の音を駆動させられるというものである。

Farrago は新しく作られたもので、Mac 用のこれ迄のサウンドボードツールである Ambrosia の瀕死の状態にある様に見える Soundboard, Podcast Soundboard, そして Black Cat Systems の Sound Byteの様なものよりも、個々の音に対するより幅広い制御とより多くのオプションを付け加えている。Farrago は OS X 10.10 Yosemite かそれ以降を必要とし、値段は $39 である。全機能を備えた無料の試行バージョンがあり、アプリケーションの起動毎に 20 の音を駆動させてくれる。

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Farrago を使い始めるには、まず新しい音のセットを作る。一つのセットは最大 80 のタイルを含むことが出来る。一つのタイルは一つの音声ファイルと再生のための関連した制御子で構成される。次に、音のファイルを Farrago の主ウィンドウにドラッグすることでインポートする。これでその音はその時点で選択されているセットに追加される。Farrago はよく使われるフォーマットである MP3, AAC, Apple Lossless, そして WAV だけでなく、Ogg Vorbis や Real Audi といったそれ程一般的でないものもサポートする。つまり、音のファイルはあなたが投入するどんなものでも扱えるはずである。

Farrago はあなたの音のファイルのコピーを自らも保存するので、元のファイルを他の Mac に移動させたり、友人と共有したりしても、それを失うことはない。整理のために音をカラーコードしたり、それぞれの音をキーボード上の 80 の駆動キーの1つに割り当てることも出来る (キー自身で 40 キー、そして Option キーと組み合わせで更に 40 キー)。こうすることで、自分の音を文字、数字、或いは句読点を単にタイプすることで駆動出来る。Farrago はセットを好きな数だけ保持させてくれるので、演劇のための音響効果を管理するのに Farrago を使うのであれば、それぞれの幕毎に異なるセットを作成しておくことも可能である。

それぞれの音は固有の設定を持っており、そこには切り替え可能な二つの音量レベル、フェードインとフェードアウトの時間、そして大きなクリップの中の一部分だけを使いたい場合のための音の開始点と終了点が含まれる。可能な設定には、音を止めるまでループさせるかどうか、一時停止させた音を停止点から再開するか、或いは初めから再開するか、そして、駆動キーを押した時、他の再生中の音全てを止めて、その音だけを再生するどうかがある。最後に、駆動キーを押している間だけ音が再生される様にも設定出来る。

碁盤目状の配置の他に、Farrago はリストビューも提供しているので、これは音声クリップを順番に再生する時には便利であろう。これによりアプリケーションが動作する仕方は変わることはないが、それぞれの音を順番に再生するのはやり易くなる。これは演劇の進行に合わせる場合必要になるかもしれない。

Farrago には小さなセットの面白いサンプル音が付いてくる。自分自身の音を録音することも、或いは FreeSound.orgZapSplat の様な公開のオンラインライブラリから音を追加することも出来る。何れにしても、公開したり、公演する音声で使う音に対してはライセンスを持っているか、或いは不要であることを確かめておく必要がある。

Rogue Amoeba は Farrago はポッドキャスターやライブ公演をする人向けだと言っているし、私もそのどちらに対する有用性も理解出来る。私は市民劇団に所属し、舞台に出ていない時には、劇のために音を流すと言った種々の技術的な仕事をするのが好きである。従って、音響効果を Farrago を使って操作すればどうなるかすぐに想像出来る。これはキーの押し下げに瞬時に反応する。それは、例えば舞台上の役者の動きに合わせて銃声を流すといった場面では必須のことである。

ポッドキャストについて言えば、Farrago は自由制作型のポッドキャストを可能にする。イントロ/アウトロの音楽や音響効果の挿入、そして自分でライブで話しているのを録音しながら、その場でインタビュークリップを挿入すると言ったことも可能である。ここ迄到達するには、ある程度の熟練が必要と思えるが、GarageBand の様な音声編集アプリで注意深く全てを準備していくよりも速いし、簡単であろう。

私は Farrago を他のことに使うユーザーのことも想像がつく。Dungeons and Dragons の様なロールプレーイングゲームにムードと緊張感を与えるために周辺音や音楽を流すために使うとか、或いは、次の Halloween で、お菓子を求めて近づいてくる子供達に、タイミングを見て手動で適度に不気味な音響効果を流して恐怖感を増すとかである。或いは、バーでの余興大会の幹事を務める時 (Geeks Who Drink の様な)、これを使えば、ゲームの最中におかしいそして馬鹿げた音響効果を好きなだけ使える。

Farrago は私が知る限り最高のサウンドボードアプリであり、音響効果で自分の世界を豊かにするためにどの様に使えるかを考えてみられることをお勧めしたい。

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HomePod の第一印象: 音楽を (Apple Music を) 奏でよ

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私の HomePod が到着したのは 2 月 9 日の火曜日だった。私は一秒も無駄にしたくないという勢いで、その Apple らしいエレガントな、ほとんど芸術的とさえ言えるような梱包を開けて、その中に驚くほどぴっちりと詰め込まれていた HomePod を取り出し、ダイニングルームのテーブルの上に設置した。私は下の写真を「HomePod のある静物画」と呼んでいる。

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私がこの HomePod を単数形で呼んだのは、今後間違いなく何個もの HomePod が家の中の共有部分に置かれるに違いないけれども、iOS 11 風の Quick Start 手順を踏んだ私にとってこれは基本的に「私の」HomePod となったからだ。もちろん Tonya がこれを使うのは大歓迎だけれども、どの音楽を再生するかはすべて私の Apple Music コレクションから選ばれるのだし、テキストの送信はすべて私の Apple ID からされるのだし、Siri を使って追加するリマインダーはすべて私のデフォルトの Reminders リストの中に集められるのだから。

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当然ながら、このシングルユーザーの制約を逃れるためのマイナーな回避策はいくつかある。例えば Reminders の共有リストを作って (あるいはファミリー共有を使っている場合は Family Reminders リストを使って) 新しいタスクを明示的にそのリストに向ければよいし、いずれはもっと他の方法も見つかるに違いないと思う。けれども、HomePod に複数個のアカウントを接続するという技術的に難しい問題を Apple が諦めてしまったのではないかというのが私の第一印象で、当面は Tonya がテキストを送信したり、彼女の Reminders リストに何か追加したり、彼女の Apple Music プレイリストや個人設定にアクセスしたりといった望みは棚上げ状態のようだ。

注意しておくべきは、HomePod が再生できるのは Apple Music の音楽、iTunes Store から購入した楽曲、または iTunes Match 経由で iCloud Music Library に保存された楽曲に限られるという点だ。とりわけ、iTunes ライブラリ内のトラックを Home Sharing 経由で再生することは、少なくとも HomePod 単独ではできない。そうは言っても、HomePod を AirPlay スピーカーとして使うことは何の問題もなくできるので、Mac や iPhone や iPad で再生中のものをストリーミングで HomePod から聴くことは可能だ。いずれは Apple が Home Sharing 対応を組み込んでくれるのではないかと思うが、当面 Apple はそのエネルギーを有料クラウドサービスに集中させているように見える。

オーディオ品質 -- 文句を言うのはこのくらいにして、HomePod はスピーカーなので、まずは音楽に耳を傾けよう! ここで私自身が時代遅れなことを認めなければならない。Tonya と私がこの HomePod で最初に聴いた楽曲は "The Man's Too Strong"、Dire Straits が 1985 年に出したアルバム "Brothers in Arms" の中の曲だった。このアルバムは、Sony 24-track デジタルテープマシンで録音された最初のものの一つであり、当時主流となりつつあった CD 市場に向けて初めて出たものの一つだった。HomePod で聴く Dire Straits のサウンドは素晴らしい。iPhone から直接聴くより、iPhone を Mangobeat 増幅器に挿して聴くより、格段に優れた音が楽しめた。(2016 年 12 月 9 日の記事“Mangobeat は iPhone のボリュームを、自然に、サステイナブルに増幅する”参照。悲しいことに、Mangobeat はもう作られていないようだ。)

1984 年に建ったわが家は壁の中にスピーカー配線が埋め込まれていて、台所の壁の高いところに一対の Realistic ブックシェルフ型スピーカーがマウントされている。リビングルームには 1990 年製のなかなか良い Mission スピーカーの一対がもう少し新しい Yamaha 受信器に接続され、AirPort Express から AirPlay 経由で音楽を受信する。HomePod の音質は Realistic スピーカーよりも良く、低音にはっきり差が出る。けれどもずっと大型の Mission スピーカーと比べても HomePod の音質は引けを取らない。ただしもちろん、HomePod がステレオでないことは否定しようもない。公平を期して言うなら、ビーム形成ツイーターが並ぶことである種の空間的分離が提供されるので、ステレオを提供できない一台の HomePod であっても、単独のスピーカーとは響きが違う。

この HomePod は部屋中をサウンドで満たすことができる。パワーはたっぷりある。わが家の1階は大体においてオープンで、約 24 フィート× 48 フィート (7 m × 14 m)、天井の高さは 8-10 フィート (2.5-3 m) だが、HomePod を 75 パーセントの音量で流せば1階のどこにいてもはっきり聞こえる。最大音量にすれば、6 フィート (2 m) 離れた場所で HomePod の音が 80 デシベル、快適レベルを大きく超えたうるさい音だ。私たちは普段 15 から 40 パーセントくらいで使っている。

幸いにも、アイドル時に 30 ワット、使用時には 40 ワットも消費する私たちのステレオシステムならば使わない時に電源を切っておきたくなるのに、この HomePod の消費電力は少なく、再生中でも 4 から 7 ワット、停止中だが最近使った場合には 2.5 から 3 ワット、そして静かな部屋にそっと置かれている場合には通常 0 ワットで、時々 1.5 ワットに急上昇する、という程度だ。

私は決してオーディオファンではないし、HomePod のサウンドについて客観的な助言を述べられる能力もない。他を当たって頂ければ、そういう面からの意見を述べている人たちが大勢いる。音楽に熱心な Kirk McElhearn は HomePod の低音があまりにも強過ぎると思っていて、それはおそらくデジタル信号処理の結果だろうけれども、音楽のタイプによってはうまく働くが、他のタイプの音楽ではあまり良くないという意見だ。HomePod を他のスピーカーと比較する際にも、結果はその部屋の環境、接続や伝達に使われるテクノロジー、その他多くの要素に依存することだろう。

真のオーディオファンならば、おそらく多大な時間と資金と努力を注いで既により良いサウンドを生み出すステレオシステムを構築していることだろう。そういう人たちにとって HomePod は、プロの写真家がお手軽カメラを見るのと同じような感じに映るのだろう。音質はぐっと落ちるけれども、気軽に使うにはぴったり、ということだ。他方、若い世代の、モバイル志向の人たちならば HomePod の音質を気に入るかもしれない。彼らはヘッドフォンで育った世代であって、不格好なステレオシステムなんか持っていないからだ。それに、長年にわたって何となく不満を感じるオーディオシステムと格闘してきた人たちにとっては、HomePod が新時代へと飛び込む絶好の機会に映るかもしれない。とりわけ、Apple が HomePod のソフトウェアをアップデートして二台を組み合わせたステレオモードで使えるようになったならばなおさらだ。今年中にはそれも、またマルチルームのオーディオへの対応も、きっと実現されるはずだ。

スピーカーのスマートさ -- iOS デバイスや Mac から AirPlay 経由で音楽を HomePod へストリーミングすることは可能だし、また Apple が最近追加した新しいコントロール (2018 年 2 月 2 日の記事“iOS 11.2.5 や iTunes 12.7.3 で Apple TV を制御する新しい方法”参照) もあるが、HomePod をコントロールするには通常 Siri を通じて直接することが多いだろう。例えば "Hey Siri, play some soft jazz" や "Hey Siri, play the Yardbirds radio" と言えば、期待通りに Siri が Apple Music からジャズのプレイリストを呼び出したり、Yardbirds の音楽に似たトラックを取り出したりしてくれる。

けれども、私が「Yardbirds で聴けるのと同じような音楽が聴きたい」などと思うことはめったにないので、実際問題として途方に暮れることがよくあった。これも私が時代遅れだからなのかもしれないが、たいてい私は開かれた心で音楽を聴くようにして、使えるアルバムやアーティストの曲目一覧を眺めてから曲を選んでいる。その昔なら LP や CD の並んだ棚を眺めていたところを、今はその代わりに自分の Apple Music ライブラリに目を通しているということだ。HomePod の Siri にそれをさせるのは無理なので、具体的な曲名を指定するか、あるいは完全に選択を任せつつ "Hey Siri, play music I'll like" と言って Apple Music の中の個人ステーションを取り込ませるかしかない。もちろん、あらかじめ iPhone か Mac でトラックを選んでそのオーディオを新しいコントロール経由で HomePod へ送ればその問題は回避できる。

音量の調整は Siri に音量のパーセンテージを告げればできる。例えば "Hey Siri, set the volume to 20 percent" と言えばよい。その他 pause, play, skip などの標準的コントロールも、Siri を使ってできる。さらには、Siri を使って指定の秒数だけ早送りや巻戻しさえできる。Siri を使いたくなければ、HomePod 本体上面にある音量ボタンをタップして音量を変えたり、上面中央にあるボタンをタップして再生を停止したりできる。

特に注目したいのは、かなり大きな音量で音楽を再生している最中でさえ、HomePod がちゃんとあなたの命令を聞いてくれることだ。去年私は少しの間だけ Google Home を使っていたが、問題だと思った点の一つがこれであった。つまり、Google Home が大量のサウンドを吐き出している間、Google Home は私の話すコマンドを聞いてくれなかった。

音楽のコントロールも、それについての情報を語ることについても、Siri は良い仕事をする。知らない曲が流れているのを聞きながら "Hey Siri, what's playing?" と言えるのは素敵だ。けれども、それ以外の一般的な内容の質問に対してはそれほど良い答が得られない。確かに、天気予報や交通情報については何となくまずい言い方ではあるがちゃんと答えてくれる (でも、この田舎町 Ithaca では交通情報と言っても大して意味のあるものではない) けれども、そういう作業には他の方法を使った方がずっと良い。(天気予報なら Dark Sky、リアルタイムの交通情報なら Google Maps がお薦めだ。)

HomePod の Siri は、ある程度の雑学知識なら披露できる。例えば地球と火星の距離とか、"Catcher in the Rye" の著者とかいったことなら答えられる。けれども実際の生活の中で、本物の質問を HomePod に問いかけてまともな答が返ってきたことは一度もなかった。その点は、私がテストしていた Google Home でも、他の人の家で少し試させてもらったさまざまのモデルの Amazon Echo でも全く同じことだった。なので、私の感じ方が人と違うのかもしれないが、この種の使用事例は例えてみればパーソナルコンピュータが料理レシピの保存庫として理想的だと言うのと同じレベルだと言える。つまり、名目上は真実だけれども、実際に多くの人が利用するようなものではないということだ。

私は HomeKit デバイスを一つも持っていないので、Siri 経由で家庭内デバイスをコントロールできるという HomePod の機能をテストすることはできなかった。たぶんそういう機能はちゃんと働くのだろうと思う。コマンドはごく単純なものだし、働かない理由は想像しにくい。正直言って、HomePod の Siri を使って HomeKit スイッチ類を制御できるのならばそういう自動化を設置することを考えてもよいような気はするが、でももちろん、以前から Apple Watch の Siri を使って同じことができていたのだから。

それよりもっとうまく行ったのは、タイマーをセットしたり ("Hey Siri, set a timer for 20 minutes") とかテキストメッセージを送信したり ("Hey Siri, text Tonya 'Dinner will be ready in 15 minutes'") などの単純なことだった。届いたテキストメッセージを HomePod に読み上げさせる方は、もう少し手間がかかった。というのも、HomePod はただ大声を上げて返信が届いたと知らせるだけだったので、それを聞いて "Hey Siri, read my messages" と言ってやらなければならなかったからだ。

Hey Siri の優先度 -- HomePod の Siri は、呼び出しの言葉 "Hey Siri" に常に聞き耳を立てている。けれども、あなたが持っている他の Apple デバイスも、やはり同じことをしている。HomePod がある部屋の中で、iPad Pro に文章をタイプしていて、すぐ横の椅子の上には iPhone X があって、手首には Apple Watch Series 2 がある、そんな状況で私が "Hey Siri" と言ったら、どれが答えてくれるのか?

まず初めに知っておくべき原則は、通常、もしもあなたが主たるユーザーならば、たった一つのデバイスのみが反応するということだ。そうは言っても私の iPad Pro と iPhone X はいつでも即座に目覚めて、聞いているよという反応を見せるが、他のデバイスに優先権があると分かるとそれ以上何もしない。

どのデバイスに優先権があるかは興味深い。iPhone X のロックが外れている場合、それから Apple Watch を腕を上げて見ている場合、それが最優先となる。私に最も近いデバイスであるからだ。実際、試しに iPhone X と Apple Watch を同時にその状態にしてみると、両者ともが "Hey Siri" に反応し、その間 HomePod は無頓着に音楽の再生を続けていた。

けれども、両者ともそうでなければ、HomePod が優先権を得る。つまり、たいてい私は iPhone X と Apple Watch のどちらも見ていないので、HomePod が反応することが多いということだ。その点 iPad Pro は仲間外れであって、私が HomePod の到達範囲にもおらず iPhone X と Apple Watch のどちらも見ていない場合にのみ優先権を得る。私が iPad Pro に文章をタイプし続けている間もそのことは変わらない。

もちろん、"Hey Siri" と言う代わりにどれかのデバイスでボタンを一つ押して手動で Siri を呼び出せば、好きなデバイス上の Siri が使える。HomePod の主ユーザーでない人にとってはこれが必須のやり方だ。今述べた優先度の話は主たるユーザーにのみ適用されるからだ。Tonya が手首を持ち上げて彼女の Apple Watch に向かって "Hey Siri" と言えば、Apple Watch と HomePod の両方ともが反応する。これは嬉しくない。

HomePod と Apple TV -- Apple TV から HomePod へオーディオを送ることもできる。Apple TV 上で、Settings > Video and Audio > Audio Output から設定できる。あるいはそのショートカットとして、メインの Apple TV 画面にいる間に Siri Remote の Play/Pause ボタンを押して押さえ続けてもできる。また、いろいろなアプリの中で、番組を観ている最中に下へのスワイプでオーディオコントロールを出して HomePod に切り替えることもできる。

HomePod が Apple TV と同じ部屋にある場合、これはとても便利だ。私の初期テストでは新しい番組が始まった直後にオーディオが切れてしまうことが何度かあったが、数秒後に自然に直り、オーディオとビデオの同期にも何の問題もなかった。別のデバイスでビデオを再生しながら AirPlay 経由でオーディオを HomePod へ送ってみても、オーディオとビデオの同期は完璧だった。これは、AirPlay 受信器の世界ではそうそうあることではない。

Apple TV との統合に関していくつか注意点がある:

受話器としての HomePod -- HomePod に受話器としての機能があることを忘れるところだった。つまり、iPhone で通話を始めてから、Audio ボタンをタップして HomePod を選べば通話が HomePod に転送される。正直言って、これは本当に素晴らしい。私がこれまで使ってみたものの中で、HomePod こそ最高のスピーカーフォンであることに何の疑いもない。サウンド品質は信じられないほど良いし、部屋の中で動き回っても気にせず会話を続けられる。

Phone アプリや FaceTime Audio を使った通話を転送することはできるが、Skype や Google Hangouts、あるいは Slack など他の voice-over-IP アプリの通話には使えない。将来 Apple が API を提供してサードパーティのアプリがアップデートすれば HomePod を利用できるようになるのはあり得ると思う。もしも実現されれば素晴らしいことだ。

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不幸にも、Siri に命じて HomePod から電話をかけることはできない。とても残念なことだ。いずれは Apple もこの機能を盛り込んでくれるだろうと期待したい。Mac や iPad にできるのだから、HomePod に Wi-Fi 通話をさせるのもそれほど困難なこととは思えない。あるいはただ単に、ペアリングされている iPhone に電話をかけさせるだけでもよいではないか。

競争市場の勢力図は -- 現在のところ、HomePod は $349 という価格なので何となく居心地の悪い位置を占めている。Amazon は現在 6 種類の Echo 製品を出している。Echo Dot が $39.99、Echo が $84.99、Echo Plus が $149.99、スクリーンの小さな Echo Spot が $119.99、大きなスクリーンの Echo Show が $179.99、カメラ搭載の Echo Look が $199.99 だ。一方 Google では、Google Home Mini が現在たった $39 で、中級の Google Home が $99、そして Google Home Max (おそらくこれがオーディオ品質の面で最も同等に近いと思われる) が $399 だ。

ならば、より成熟した、比べ物にならないほど安価なデバイスが Amazon や Google から出ているというのに、いったい誰が HomePod を買うというのだろうか? オーディオ品質が理由になるのかもしれない。でも、それよりもっと大きな理由は、Apple エコシステムとの全面的な統合だ。Amazon や Google のデバイスで Apple Music は使えず、使えるのは Spotify だけなので、もしあなたが Spotify アカウントを持っていなければ、HomePod の方に直ちに魅力を感じるだろう。(逆に、もしあなたが Spotify を使っているなら HomePod への興味はぐっと減るだろう。) どんな iOS デバイスでも Apple TV でもオーディオ出力デバイスとして HomePod が使える点も、やはり大きいだろう。

同じように、あなたのタスクリストやテキストメッセージングその他とのやり取りに音声制御を使いたいなら、HomePod が必要となる。対応範囲は今後もっと広がるかもしれない (例えば、カレンダーや連絡先にはまだ HomePod からアクセスできない) が、iCloud にアクセスできない競合他社のデバイス上でそれが可能になる日が来るとは思えない。

あなたは抵抗を感じるかもしれないが、Apple がユーザーにこの選択肢を強いているのは完全に理に適ったことだ。なぜなら、Mac や iPhone や iPad を持っている人たちにとって、「どこでも Apple」こそが最も抵抗の少ない道だからだ。Apple にとってどんな形にしても Spotify に手を貸したいと思う動因は何もない。HomePod をオープンにしても現時点では Spotify に手を貸す以外の効果は何も起こらない。たとえ将来 Apple が HomePod をより広い世界へと開放する決断をしたとしても、やはりその際にはまず Apple エコシステムの内部でうまく行くことの方が重要なのだ。

Apple の最大の資源は、多くの意味で、自らのインストール基盤だ。現在の Apple が過去のどの時点にもまして劇的に大きな利益を Services カテゴリー (Apple Music、その他) と Other カテゴリー (AirPods や Apple Watch などのアクセサリーを含む) から得ているという事実は、現在いるユーザーたちにもっと Apple のサービスやアクセサリーを購入してもらうことで彼らの全体的な体験をもっと豊かにしてもらうこと、それこそが将来に向けた最善の策であると Apple が考えていることを示唆する。そして HomePod は、まさにこの戦略にぴったりと当てはまる。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2018 年 2 月 12 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Carbon Copy Cloner 5.0.8 -- Bombich Software が Carbon Copy Cloner 5.0.6 (CCC) を 2018 年 1 月末に出して、作業後に保存先ボリュームをアンマウントするオプションに改善を加え、スパースファイルを APFS ボリュームへコピーする際の効率を高めた。このドライブクローン作成およびバックアップ用アプリはまた、一時間ごとの動作制限時間を持つスケジュール化されたタスクが二・三秒早くスタートした際に起こったタイミングの問題を修正し、遠隔 Macintosh オプションを改良して IPv6 アドレスを正しく処理できるようにし、保存元または保存先が存在しないので再指定せよという通知が (再指定後の) タスクのスタート時に出ないようにしている。

2 月に入って Bombich Software は Carbon Copy Cloner をバージョン 5.0.8 にアップデートし、ユーザ名またはホスト名に特殊文字が含まれるネットワークボリュームのエンコーディングがエラーを起こしそのネットワークボリュームがマウントされなくなるというバグがバージョン 5.0.6 で導入されていたのを修正した。(新規購入 $39.99、CCC 3.5 や CCC 4 から有料アップグレード、バージョン 5 から無料アップデート、13.6 MB、リリースノート、10.10+)

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MarsEdit 4.0.7 -- Red Sweater Software が MarsEdit 4.0.7 をリリースした。最近アップデートしたこのブログ用エディタ (2017 年 12 月 9 日の記事“MarsEdit 4.0.1”参照) のメンテナンス・リリースだ。今回の新バージョンでは文字数カウントの方法を変更して空白文字も総文字数に数えられるようにし、プレインテキストのシンタックスハイライト機能で起こることのあったクラッシュを解消し、バージョン 4.0.6 で導入されたバグにより画像のアップロードでファイル名拡張子が二重に付いてしまったのを修正し、出版済の記事から Featured Image を削除できなくなっていたバグに対処している。

MarsEdit 4.0 にはフルに機能する 14 日間無料試用版があり、Red Sweater Software ウェブサイトからも Mac App Store からも入手できる。期間が過ぎればアプリの価格が $49.95 となる。MarsEdit 3 のライセンスを持っている人は $24.95 でバージョン 4 にアップグレードでき、2017 年 6 月 1 日以降に MarsEdit 3 を購入した場合には無料アップグレードを受けられる。(Red Sweater Software からも Mac App Store からも新規購入 $49.95、アップグレード $24.95、14.6 MB、リリースノート、10.12+)

MarsEdit 4.0.7 へのコメントリンク:

VLC Media Player 3.0 -- VideoLAN がオープンソースの VLC メディアプレイヤーをバージョン 3.0 (通称 "Vetinari") にアップデートした。HDR (High Dynamic Range、10-bit および 12-bit カラー) と 360 度ビデオの再生への対応を追加した、メジャーリリースだ。今回のアップデートではまた、ハードウェアデコーディングをデフォルトでオンにして 4K や 8K のビデオの再生を滑らかにし、HD audio コーデックでオーディオパススルーを許し、Chromecast デバイスへのストリーミングに対応し、AudioUnit モジュールを書き換えてより多くのコードを iOS と macOS で共有できるようにし、ローカルなネットワークボリュームや NAS 保存先をブラウズする機能への対応を追加している。また、VideoLAN は iOS 版の VLC もバージョン 3.0 にアップデートした。(無料、44.6 MB、リリースノート、10.7+)

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BBEdit 12.1 -- Bare Bones Software が BBEdit 12.1 をリリースして、この古参のテキストエディタを 64-bit アプリケーションへとアップデートするとともに、システム要件を OS X 10.11.6 El Capitan またはそれ以降とした。BBEdit 12.1 は今回から非常に大きなサイズのファイルを開いて大規模な操作を実行できるようになった。(従来は扱えるファイルサイズ上限を 1.5 GB としていた。) それ以外の変更点としては Touch Bar 装備の MacBook Pro モデルへの対応 (FTP/SFTP ブラウザウィンドウ、Text Factory ウィンドウ、編集ウィンドウそれぞれにオプションがある)、Go To Line 機能で特定の範囲の行を (メニューコマンドにより、またはカーソル位置表示のポップオーバーから) 指定できる機能への対応、Preview in BBEdit ウィンドウ内に新設された Open in Browser ボタンなどがある。

今回のリリースではまた、非常に長い書類をウィンドウ幅でソフト改行する際のパフォーマンスを大幅に改善し、Text-to-HTML 変換がダイアログボックスにより指定された設定を守らなかったバグを修正し、コンピュータのディスプレイ設定が変更された際に起こることのあったクラッシュを予防し、最近のバージョンの Microsoft Office にあるバグのせいで特定の文字が正しく UTF-8 にエンコードされず BBEdit に誤ってペーストされた問題を回避している。

BBEdit 11 からは $29.99 でアップグレードでき、それより古いバージョンからのアップグレード料金は $39.99 だ。(2017 年 3 月 1 日以後に購入した人は無料でアップグレードできる。) Mac App Store から購入した場合にも同じアップグレード価格が適用される。($49.99、アップグレード $29.99 または $39.99、バージョン 12 からは無料アップデート、13.6 MB、リリースノート、10.11.6+)

BBEdit 12.1 へのコメントリンク:

ChronoSync 4.8.4 -- Econ Technologies が ChronoSync 4.8.4 をリリースして、パッケージファイルを集約するための別方法を実装することで APFS ファイルシステムでの作業が素早く進むようにするとともに、APFS のブート可能バックアップの初回起動の信頼性が高まるようにした。この同期およびバックアップ用アプリはまた、Analyze Panel の知能を高めて不必要なリフレッシュを削減し、Analyze Panel で多数のファイルを一度にリストアまたは削除している間はシステムがスリープしないようにし、スケジュール化された同期で保存先のファイルマネージャへの接続処理を効率化し、Validator に関係する多数のバグを修正している。(新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、48.7 MB、リリースノート、10.10+)

ChronoSync 4.8.4 へのコメントリンク:

DEVONagent 3.10 -- DEVONtechnologies が、同社のリサーチ用ソフトウェア DEVONagentの三つの版すべて (Lite、Express および Pro) をバージョン 3.10 にアップデートして、既存の Lexis、FindLaw、および EUR-Lex 対応に Google Scholar プラグインを追加して判例法や意見を検索できるようにした。三つの版のいずれも、今回から OS X 10.10 Yosemite またはそれ以降を要する。Express および Pro 版ではウェブカメラやビデオスキャナからのライブストリームを認識する機能に対応し、いくつかのプラグイン (Google Patent Search、BBC News、British Library) をアップデートし、また macOS 10.13 High Sierra においてはシステムワイドのソーシャルアカウントへのアクセスができなくなったので Twitter プラグインを無効にした。DEVONagent Pro では DuckDuckgo Bangs への対応も追加している。(いずれもアップデートは無料。DEVONagent Lite は無料、リリースノート。DEVONagent Express は新規購入 $4.95、リリースノート。DEVONagent Pro は新規購入 $49.95、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、リリースノート。10.10+)

DEVONagent 3.10 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2018 年 2 月 12 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Apple が iOS の新機能を減らし安定性に重点を置くつもりだと伝えられ、あなたの家のスマートホームデバイスが思ったより多くの情報を漏らしているかもしれず、悪意ある暗号通貨採掘機が MacUpdate から誤って配布されてしまった。

iOS 12 は iPhone の Snow Leopard となるか? -- 時には目眩がするほどさまざまな新機能を盛り込んで毎年 iOS のリリースを出すというスケジュールを Apple は長年続けてきた。けれども Bloomberg の Mark Gurman の記事が、(全般的に信頼できる情報源からのものとして) iOS 12 で Apple はより野心的な機能のいくつかを差し控え、その代わりに洗練と信頼性に重点を置くつもりだと伝える。新しい計画の下ではメジャーな機能が二年周期で計画され、エンジニアたちにはより多くの開発作業を必要とする機能の実装を延期できる余裕が与えられる。だからと言って iOS 12 に新機能が全く無い訳ではない。Gurman によれば、最も興味深い新機能として、macOS と iOS の双方で動作するアプリを開発者たちが作成できるようになるという。もしそれが実現すれば、多くの Apple ユーザーたちに重大な影響があるだろう。

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あなたのスマートホームがあなたをスパイしているかも? -- Gizmodo の Kashmir Hill と Surya Mattu が協力して、ホームオートメーション用デバイスがどの程度の個人情報をデバイスのメーカーに報告し漏らしているかを調査した。Hill は自宅の中に、Amazon Echo、照明、コーヒーメーカー、テレビ、さらにはベッドまで、さまざまのスマートデバイスを設置した。そして彼女は Surya に依頼してそれらのデバイスからどれだけのデータが外へ送信されているか監視してもらった。結果は皆さんにとってショッキングなものかもしれない。当然予想されたことだろうが、最悪の結果が出たのは Amazon Echo で、数分間に一回程度の頻度で Amazon のサーバに連絡していた。呼び出しの単語 "Alexa" をオフにしていても、マイクがオフになっている状態でさえ、サーバへの通信があった。

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MacUpdate、ハッキングで悪意ある暗号通貨採掘機を配布 -- MacUpdate サイトが 2018 年 2 月 1 日にハッキングされ、攻撃者たちは Firefox、OnyX、Deeper のアップデートの中に悪意あるコードを滑り込ませた。このコードは、感染したマシンで CPU サイクルを使って暗号通貨を採掘しようとする。このマルウェアを除去する方法の説明を Malwarebytes が公表している。改変を受けたアップデートは MacUpdate が素早く削除したが、今回のことの教訓は、アプリのアップデートを入手する際には必ずそのアプリ自体の内部から、またはその開発者のウェブサイトからすべきだということだ。

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日本語版最終更新: 2018年 02月 17日 土曜日 , S. HOSOKAWA