TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#316/26-Feb-96

Webの流行最先端を行きたいと思う人々にとって Java の機能を組み込んだ Netscape や、Netscape の Acrobat プラグイン Amber のベータリリース を楽しんで読んでもらえるだろう。また、私達はカリフォルニアの NetDay、Mac を安く購入する方法、Open Transort 1.1b16、そしてQC 1.2 試用版のニュースもお届けしよう。そして、FileMaker 3.0 の有益なレ ビュー、InterNIC によってドメインネームが管理されるようになったこと に関して起こる問題について簡単に触れ、パーソナルな Web 出版について のエッセイを用意した。

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目次:


MailBITS/26-Feb-96

(翻訳::山浦 礼子 <raeko@aol.com>
(  :加藤たけあき<oiso@wolfenet.com>)

NetDay 96 -- 96 年 3月 9 日、カリフォルニア在住の何万人にものボラ ンティア達は、地域の学校に出向き、協力して Internet へ接続を手伝う。 各学校には、5 クラスと図書館、あるいはコンピュータ室から中央集中ク ロゼットまで CAT 第5種ツイステッド・ペアケーブルを引く。ハードウェ アベンダーが、ワイア、ジャック、コネクタのほかパッチパネルの費用 (約350ドルから500ドル)を負担し、スポンサーとして他の企業、ならび に個人が特定の学校にハードウェア代金を支払う。MCI、Netcom、ATT や America Online を含む Internet 接続会社は、カリフォルニアにおける全 学校に対して無料で Internet のダイアルアップを提供することを約束し ている。正直なところ、あることを達成するために皆でお金と時間をつぎ 込むというのは、本当に夢のような話である。もしもあなたがカリフォル ニアの教育をサポートしたいと望むのなら、下記の Web ページでその詳細 と地域の学校を参照するとよい。カリファルニアに住んでいるのでなけれ ば、多くの読者がそうだろうが、あなたの地域における似たようなプロジェ クトに注目すればよい。NetDay の仲間達は、もしあなたが本当にそうした いと望むのであれば、あなたが自分の地域で同じようにするためにはどう したらよいかといった情報を喜んで提供してくれる思う。[ACE]

<http://www.netday96.com/>

Open Transport 1.1b16 公開ベータ -- Apple 社は、Open Transport 1.1 の公開ベータをリリースした。このベータは、多くの問題を解決しており、 また 68Kおよび PowerMacingtosh の両方で動作する。ベータ版についての サポートは行われいない(したがって、Apple に質問することはできな い)、したがって、ネットワーク・コンフィグレーションに知識のあるユー ザーのみ使用が推奨される。しかしながら、PCI Power Mac ユーザーは特 にこのリリースに興味を示すに違いない。ベータ版は、 Macintosh IIviも 含み、Performa 5200、5300、6200と6300では機能しない、また、Apple で は PowerBook 190、2300、そして5300上、あるいはSystem 7.5.2 を動作さ せている540シリーズでの使用することを薦めていない。インストールにあ たっては、 ReadMe ファイルを確実にチェックするようにしよう。これま でに私が目にしたレポートによれば、そのベータはうまく機能しているそ うだ。インストールには 2 種類の方法があり、1つはフロッピ・ディスク イメージを使用する方法、もう1つはNet Installを使用して1度で設定を完 了する方法だ。いずれにせよ 2.5MB をちょっと超えるサイズだ。 [GD]

<ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/mac/Unsupported/>

[なお、3 月 1 日現在、下記のサイトにて OpenTransport 1.1J が入手可 能となっている。ダウンロードの前には、必ず該当機種を確認していただ きたい -TBJW]

<http://www2.apple.co.jp/FTP-database/reference/OpenTransportJ1-1.1.HTML> <ftp://ftp3.apple.co.jp/pub/AppleJapan/Macintosh/Xtra-MultiUserLicense/OpenTransportJ1-1.1-1.sit.Hqx> <ftp://ftp3.apple.co.jp/pub/AppleJapan/Macintosh/Xtra-MultiUserLicense/OpenTransportJ1-1.1-2.sit.Hqx> <ftp://ftp3.apple.co.jp/pub/AppleJapan/Macintosh/Xtra-MultiUserLicense/OpenTransportJ1-1.1-3.sit.Hqx>

Apple 従業員経由、安価なMac 達 -- 96 年 3 月 31 日まで、Apple 社 は自社の従業員に対して、4 台の Mac 、4台の Newton そして4 台のプリ ンタを実に安い価格で提供している。このプログラムは、Apple 社の従業 員が友人や親戚が簡単に Mac を購入できるようにという目的で企画された (従業員は製品もオーダーでき、また購入者に配送することもその人のク レジットカードにより支払うこともできる)。唯一禁止されていることは、 Apple の従業員が自分の利益のために製品を小売したり、ディーラーに対 して販売することができないことだ、そして彼等は1年の間はそれらの所在 を把握しておかなければならないのだ。だから、身近に喜んであなたの願 をかなえてくれる Apple の従業員がいるのならば、彼女にプライスリスト を送付してくれるように一筆送ってみるとよいだろう。どうか急かさない でほしい、というのもたぶん皆自分の持ち分をすでに消費しているかもし れず、あるいは時間がないかもしれず、もしかすると単にあなたのために 製品を購入するのが嫌なのかもれしない。もしもあなたが私の言うことを 信じられないという場合のために、下記のURL でエバンジェリストである ガイ川崎のオリジナルメッセージを紹介しよう(エバンジェリストについ てのより細かな情報は <macway-request@solutions.apple.com> へ)。 [ACE]

<http://wais.sensei.com.au/archives/macway/1996/0201.html>

Power Mac Netscape 2.0 Java β1 -- Netscape 社は、Macintosh 用 Netscape 2.0 の公式発表のすぐあとで、Java 機能対応型で最初のベータ 版になる Netscape Navigator 2.0 for Power Macs を公表した。この Java 機能は、先週 Sun社よりリリースされた Java Development Kit に対応し ており、(他の Java 対応バージョンの Navigator と異なり、)Netscape の初期設定によって使用不可能にもならない。このベータ版は96年3月 15 日まで有効で、ファイルは 2MB を少し越える程度のサイズである。 [GD]

<ftp://ftp.netscape.com/pub/MacJava/> <http://www.netscape.com/eng/mozilla/2.0Java/relnotes/mac-2.0JavaB1.html>

Acrobat プラグインα版登場 -- Adobe社は先週 Netscape Navigator 用の Acrobat Reader プラグインである Amber のα版(68K、Power Macintosh 用の両種)をリリースした。Amber は同社の、Acrobat Reader と Acrobat Exchange の最新版のコードネームで、Amber プラグインは Netscape のウィンドウ上で直接 Acrobat の PDF形式のファイルを見るこ とを可能にし、Netscape のナビゲーション・コマンドで、それらのファイ ルを統合することができる。Amber には Internet 上で使用するために、 いくつかの PDF ファイル圧縮のための最適化機能が含まれている(レン ダリング・スピードの改善(progressive rendering tech nologies)と、 PDF ファイル内のページ移動を含む。)が、これらは専用に最適化された PDF ファイルと、PDF ファイルの送受信時に使用される、 "bytes erver" 機能に対応できる Web サーバが必要になる。Adobe 社はすでに、Netscape 社 , Open Market 社、StarNine 社、そしてその他の企業と、これらの機 能の使用について交渉中である。それまでの間は、Amber についての情報 は、同社の Webサイトで得ることができる。私はこの 4MB におよぶリリー スのダウンロードに関するトラブルのレポートを読んだことがあるので、 (アメリカにおける)ピーク時間を避けて、ダウンロードすることをお薦 めする。 [GD]

<http://www.adobe.com/Amber/>

QC PowerPC ネイティブへ -- Onyx Technologies社は、待望されてい た Power PC ネイティブバージョンの QC (人気の高いソフトウェアのテ ストツール)をリリースした。このバージョン 1.2 は、Power Mac上での 性能が際立って向上し、以前モダンメモリマネージャでは使用できなかっ た追加ツールを使うことができる。登録ユーザーのバージョン更新は無料 で、オンラインでダウンロードすることができる。QC は通常 99ドルであ る。もしあなたが QC を使わずに、かなりまじめなプログラミングやソフ トウェアのテストをしているのであれば、デモ版をダウンロードして、Onyx 社からデモ用のシリアルナンバーを発行してもらってはいかがでしょうか。 [GD]

<http://www.std.com/onyxtech/>


InterNIC 番犬を雇う

by Glenn Fleishman <glenn@popco.com>
(翻訳:水木 潔 <HGH03125@niftyserve.or.jp>)

あなたは世界でもっとも偉大なコンピュータ・セキュリティの専門家の一 人であると New York Times 紙が引き合いに出す John Markoff 氏のよう な人が彼のドメインネームを破られると考えたことがなかったでしょうか?

InterNIC は、Tsutomu Shimomura 氏と Markoff 氏が『Takedown』、ハッ カーの Kevin Mitnick の追跡について書いた彼等の本に書いた多くの力に 免疫がなかったことが明らかになった。ある未知のハッカーが社会工学を − それは、プログラム解析やコンピューターの道具を使うよりもむしろ、 誰かに何かを説くことだが − Internet 上のすべてのドメインの登録を管 理している当局を takedown.com というドメインの情報が変更されたと納 得させるのに使用した。InterNIC は情報を正しく更新し、“屈辱”は高 慢な鼻をへし折ったとして多くの人が笑った。

InterNIC はこれを愉快だとは考えておらず、現在の多くのドメインネーム の管理者でもない。当局は規則に反したドメインの変更の頻度は低いと言っ ているが、彼等は社会工学を打ち破るある方法を公開鍵暗号化法とパスワー ド保護の組み合わせを使って導入した。InterNIC は、各ドメインネームの 代表者が関連した保護情報を持つことのできる Guardian Object 構造を提 案した。パスワード、認証、もしくは公開鍵を署名したメッセージ(ある いはそれらのある組み合わせ)なしには、ドメインの情報は変更されない。

現在のところ、InterNIC は、ドメインに現在関連している誰かから来た メッセージでない限りドメインネームの情報を変更しない。しかしながら、 偽電子メールの簡単さはこの方法を非常に疑わしくしている。「社会工学」 と対になって、現在比較的犯罪癖のある個人からわずかの保護しかない。

Guardian モデルはドメインネームの転送をより整然と安定にするはずであ り、それらのドメインを所有する人々を保護するはずである。もしあなた があなたのいつわりのドメインネームを登録しているなら、 常に あな たの会社(あるいはいはあなた自身)とあなたの実際の住所に登録しなさ い;この方法で、あなたはドメイン自身の所有権を、その技術情報と切り 離して、保護できる。そう、もしあなたが Flan Corporation なら、 flan.com に“Bill's Internet Shack”へ登録させることを許すな − そ れらは技術目的だけの連絡先としてリストされるべきだ。

Guardian モデルのより多くの情報はオンラインで手に入る;履行に関する 時間表は現在ない。

<ftp://rs.internic.net/policy/internic/internic-gen-1.txt>

[NIC(the Network Information)とは、ドメイン名を管理する組織であ り、 InterNIC とはアメリカのドメイン名を管理する組織の名称。日本で は、 APNIC と呼ばれるアジア・太平洋地域を管理するNIC の下部組織であ る JPNIC がこれにあたる。 -西村]


FileMaker Pro 3.0とお料理ブック

by Charles Wheeler <charlesw16@aol.com>
(翻訳:杉浦 雄一郎 <ysugiura@direct.ca>

Claris 社のデータベースソフトウェア、FileMaker Pro の最新リリースの レビューを読んだ人なら次の2点にお気づきのことだと思う。まず、これが リレーショナルだということ、そして Power Mac 最適化されているという ことだ。FIleMaker の用途が、4年来使用している Mac 上でミリーおばさ んの料理ブックを管理するだけという人には、アップグレードの必要性が あるかどうか迷うところであろう。ここではこういった人達のことを念頭 に、リレーショナル機能や Power Mac 最適化のことは置いといて、 FileMaker によるデータベースの作成とデータ変換に関する個人的な経験 を紹介したいと思う。なお、筆者はすべての作業を PowerBook 520c、 SE/20、 Quadra 610のいずれかで行った。

<http://www.claris.com/>

出足重たく、動作は快速 -- まず気がついたのが、FileMaker Pro 3.0 の目に見える高速化だ。起動、ソート、検索、画面の再描画のどれをとっ ても改善が見られる。FileMaker の今までのバージョンは明らか Pascal で書かれていたようだが、新バージョンはゼロから書き直してある。残念 なことにオペレーションによっては初めの実行時の動作がかなり遅いもの がある。たとえば、インストール後の最初の起動時は、フォントリストや 初期設定ファイルを構築するのにある程度の時間がかかる。その後の起動 は素早く、作業可能状態になる前に現われるスプラッシュ画面の表示も一 瞬だ。またフィールドの索引作成がオプションで選択できるようになった ため、あるフィールドに対して初めて検索や並べ変えを実行する際は、 フィールドの索引作成作業の間多少待たされることになるだろう。

インデックス作成といえば、索引メニューにある「特殊ペースト」を使用 したことがある人なら、個々の単語("egg"、"whites")またはフィールド 内容の一行目("egg whites")が選べるようになったことに気がついただ ろう。これによりオリジナルの機能を犠牲にすることなくメニュー項目の 使い勝手が向上している。

その他の変更 今回のアップグレードの素晴しい点は、さまざまな変更 を加えつつも、以前との共通点を数多く残していることだ。インターフェ イスにも改善が施されているが、いらいらするような変更の仕方はされて いない。ただ、一つ気になるのは以前はレイアウトモード時にフィールド をダブルクリックするとフィールド属性ウィンドウが表示され、オプショ ンを押しながらダブルクリックするとフィールド選択パレットが表示され たのだが、新バージョンではそれが逆になってしまったことだ。File Maker のベテランユーザーは、この変更に慣れるまでに何度も舌打ち(あるいは もっとひどいリアクション)をすることになるだろう。もしその度に10 セ ントずつ筆者が貰えるなら、宝くじから足を洗えそうな気がする。

ほとんどのユーザーがアップグレード後にまずすることは、File Maker 2.X で作られたデータベースの変換であろう。データベースファイルのアイコ ンを FileMaker 3.0 のアイコンにドラッグするか、FileMaker からファイ ルを開くと FileMaker はまずオリジナルファイルのバックアップが行なわ れ、それから 3.0 形式の変換ファイルが作成される。筆者は多数のファイ ルを変換してみたが、小さな問題が 2 度生じただけで、いずれの問題も データを失うような結果にはならなかった。一つはスクリプト内のリスト ア検索で、何を検索するべきかが忘れられてしまったということに過ぎな いが、もう一つの問題はもう少し込み入っている。変換後、計算フィール ドが計算をしなくなってしまったのだ。変換前に入力されたレコードには 計算結果のデータが含まれていたのだが、変換後に入力したレコードは計 算を行ってくれず、致命的エラーではないが「メモリ不足」のメッセージ が返ってくる。計算式を変えることはできなかったが、計算フィールドの 内容をコピーして、フィールドを一度数値フィールドに変更してから、ま た計算フィールドに戻し、コピーしておいた元の計算式を貼り付けること はできた。この時点で FileMaker はバージョン 2.1 ではおとがめなしだっ た計算式の文法エラーを指摘してきたが、文法を訂正したらすべて OK と なった。

グラフィックを扱う人にとっても朗報は、グラッフィックのコンテナフィー ルドへの割り付けと、グラッフィクファイルへの参照のみの保存の両方が できるようになったことだ。筆者は数千もの画像を収録したグラフィック カタログを作成したのだが、グラフィックファイルを取り込んだ場合に比 べごくわずかのサイズで済んでしまった。グラフィックは表示、操作、印 刷が可能で、あたかもデータベース自身の中にあるかのように扱える。こ れらの画像は今まではグラフィックカタログのプログラムで管理していた のだが、ファイルサイズは 60MB もあった。それが FileMaker Pro で作成 することにより16MB に満たないサイズになってしまった(ミリーおばさん のお料理ブックにスキャナで取り込んだ料理の画像を盛り込んでみること を想像してほしい)。

ドラッグ&ドロップ対応、電話ダイアル機能、スピーチ機能、ApppleScript の埋め込み、そして大幅に強化された ScriptMaker など、ここではカバー しきれないほどの機能アップが山ほどあり、FileMaker のデベロッパーの 主なリクエストのほとんどに応えているといっていいだろう。私は 1995 年の秋にリリースされたベータ版からバージョン 3.0 を使用しているのだ が、今だに興味深い新機能が見つかる。

欠点も少々 -- 筆者は FileMaker 3.0には惚れこんでいるのだが、 Claris 社はいくつかのヘマもやらかしている。マニュアル類のできは、 サードパーティにとっては仕事を得る好機といえるようなしろものだ。た とえば、FileMaker でデータベースを作成した人なら、“Today”関数に対 して愛憎入り混じった感情を持っているのではないかと思う。この関数は ファイルが新しい日付で開かれる度に計算を更新するものだが、残念なこ とに更新はファイルを開く際にすべてのレコードに対して行うため、大量 のレコードを扱っている場合、一足先に昼食をとる時間ができてしまうく らい処理に時間がかかってしまう。FileMaker Pro 3.0 には “Status(CurrentDate)”という新しい関数が用意されている。Claris 社 の人達はこれを“Today”関数哀歌の特効薬として宣伝しているが、彼らは 使い方を教えてくれないのだ。マニュアル類にもスクリプトの一部として 現われる以外は記述がない。大幅な機能改善が行われたにも関わらず、マ ニュアルにもオンラインヘルプにも説明がないのだ(読者のために使用方 法を説明すると、計算式の中の“Today”の部分を“Status(CurrentDate)” に置き換えるだけである)。これら2つの関数についてはお互いクロスリ ファレンスとともに説明を載せるべきであろう。

幸い、FileMaker Pro 3.0 の CD-ROM 版にはサンプルとテンプレートがたっ ぷりと用意されており、ユーザーはそのまま、あるいは必要に応じてカス タマイズして使用することができる。さらに Claris 社はオンラインリソー スも提供している。それらは主要オンラインサービスにアップロードされ ており、Jeff Gagne 氏や Bruce Robertson 氏といった FileMaker グル (GURU)による素晴しいできのサンプルを利用することができる。Matt Petrowsky 氏の FileMaker による FileMaker のための無料オンライン誌 である ISO を読者の皆さんにお勧めしたい。[ISOは Interactive Support Online の略。Mattの連絡先は <isoezine@aol.com>. -Geoff]

<http://www.kudosnet.com/ISO/ISOmain.html>

今回のリリースに対して Claris 社の犯した最大の失敗は Windows 3.X 版 をださなかったことであろう。Claris 社は Microsoft 社の誇大宣伝に翻 弄され、FileMaker Pro 3.0 の発売開始の頃にはすべての Intel 機に Windows 95 が搭載されるようになると信じてしまったようである。誰もが 知っているように、実際にはそうはならなかった。Claris 社では現在この 誤算による失敗をリカバーしようと努力していると伝えられているが、そ の間にも困っている人達はおり、現に私の顧客にも FileMaker ファイルを Apple Talk ネットワーク上で2機の Windows 機と共有しているために、 40 台の Mac 上の FileMaker をアップグレードできないという人もいる。

結論 -- アップグレードに踏み切るべきか? Windows 3.X ユーザー とファイルを共有している場合を除いて、絶対にするべきであろう。スピー ド、柔軟性、新機能のすべてがわずかなコストと労力で得られるのだから。 もしリレーショナルに移行や Power Mac にアップグレードする決心をして いたならなお良しだ。ミリーおばさんのお料理ブックは十分その価値があ るはずだから。

[Claris 社は FileMaker Pro 3.0v2 アップデーターを先日リリースした。 USバージョンの FileMaker Pro 用のものが入手可能だ。 -Geoff]

<http://www.claris.com/TS/products/FileMaker/updater-mac.html>


パーソナル Web 出版

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:Kaz Yoshikawa <kaz@fact.com>)
( :村上 浩 <murasan@yk.rim.or.jp>)

私は「パーソナル Web 出版(personal Web publishing)」という言葉を 最近何度か耳にするのだが、どうも考えるところがある。「Mr. WebS TAR」 とも言われる Chuck Shotton 氏がインターネットの将来における方向性を 語った時に、私は彼がこの言葉を耳にしたことを覚えている。しかしなが らChuckの考えによると、Web サーバーは現在受動的にぼちぼちと情報を引 き出されているに過ぎないが、将来は利用者のためにインターネット上で 情報を集めてくるといった能動的な働きをするものになるというものだ。 この状況において、あなたのパーソナル Web サーバーは基本的に “knowbot”に代表されるエージェントとして役目を果たすのである。これ はあなたの興味、仕事、優先度を理解していて、自動的に情報を探し出し、 選び出し、関連する情報をあなたに提供するのである。とはいえ、この壮 大な構想に比べ、現時点で我々が手にできるエージェントソフトの水準は、 基本的なフィルタ処理に毛の生えた程度に過ぎない。

私は次にいつパーソナル Web 出版という言葉を耳にしたかを覚えていない どころか、誰がその言葉を口にしたのかさえもさだかではない。それでも、 その内容は Web 出版を皆が求めるものであり、しかるに Apple 社(また は別の会社)が単純な構造で、簡単に使える低価格 Web サーバソフトを当 然提供するべきであるといった内容であったことを記憶している。コント ロールパネルの共有設定でスイッチを単に切り替えるだけで、特定のフォ ルダをインターネット上から利用できるようにするソフトを想像していた だきたい。

パーソナル Web 出版の考えは強力であり、Tonya と私の2人はこれを利用 し、また押し進めている。とくに我々は各地に点在する友人や親類ととも に QuickTake で撮られた写真を共有するためにインターネットを使い始め たのである。この方法でならハロウィンの人面かぼちゃやサンクスギビン グ祭の写真を、これまで限られた時間で写真を郵送していたよりもずっと 多くの人々にただちに見せることができるのである。写真のアルバムから 抜き出したページは不特定多数の人を対象としたものではないが、不特定 多数の人が見たからといって大きな問題にはならない。(以下の URL に WebCrawler や InfoSeek といった個人のページから情報を引き出しイン デックス付けをするプログラムに関する情報がある。)

<http://info.webcrawler.com/mak/projects/robots/robots.html>

我々の経験とともに、我々は書籍「Internet Starter Kit for Macintosh」 の第 3 版にパーソナルWeb出版を推進するための HTM Lの基本についての 章を設けるよう試みた。そして後に、そのことが Tonya の著書『Create Your Own Home Page(自分のホームページを作ろう)』へとつながるので ある。しかし、HTML の基本を教え、我々の教えている内容を練習すること だけが現状なのである。誰に対しても真のインターネット接続とともにパー ソナル Web 出版が実現ために Apple 社や他の企業がどう課題を解決する か見届けたいものだ。

第一にパーソナル Web サーバのソフトウェアは小さく手頃な価格でなくて はならない。WebSTAR はまるで辞書のそれのごとくよいのだが、非常に大 量の RAM を消費し、また手頃な価格とはいえない。InterCon 社の InterServer Publisher も同様であり、ほかのほとんどの商用の Web server もまたしかりである。Peter Lewis 氏の NetPresenz は 10 ドルと 十分魅力的な価格設定であるが、いろいろな意味でパーソナル Web サーバ としては重すぎる。パーソナル Web サーバのソフトは RAM を 500K 以上 占有してはならず、また価格は25 ドルから50 ドルの間で設定されるべき であると私は考える。これらの壁は決して高くないのであり、また個人を 対象にしたものであれば、我々 RAM の使用量を最小限に抑えてあることを 前提とし、価格が低くおさえてあるものと願うのである。

第二に、パーソナル Web サーバのソフトは簡単でなくてはならない。コン トロールパネルの共有設定のスイッチを切り替え、そしてデスクトップ上 の Web 用フォルダにファイルを落とし込むだけのパーソナル Web サーバー を作るというコンセプトを私は気に入っている。たとえば、特定のフォル ダにファイルを投げ込むことでそのファイルは自動翻訳されるといった可 能性も考えられる。自動翻訳は XTND といった技術に加え賢明なプログラ ミングを必要とするであろが、基本的なページと図形に対しては可能であ るに違いない。一度ページが変換されると、PageMill のようなツール(し かし多様な HTML 引数をある程度特化させないことに努めたもの)はユー ザーが望んでいるいかなる編集においてもおそらく最良なのであろう。

第三に、しかしおそらくもっとも重要なことは、我々は平均的なユーザー の Mac intosh がインターネットへ専用線で直結されているという事を前 提にできないことである。さらに悪いことに、モデムによる接続はしばし 動的に割り当てられたアドレスのアカウントを通して行われ、これらの人 は接続する度ごとにIPアドレスが変わるのだ。その瞬間に、その時の彼等 のIPアドレスが特定できるまで、我々は彼等のパーソナル Web サーバに接 続することは不可能になるのである。そこで、我々は IP アドレスが簡単 に変わるパーソナル Web サーバを恒久的に特定できる方法を考えなくては ならない。一つの解決案は、Electric Magic 社の NetPhone ソフトウェア であり、これは特別なサーバソフトを使ってロケーションを確定するもの で(NetPhoneの世界では NetPub と呼ばれる)、パーソナル Web サーバが オンライン時に IP アドレスを登録するものである。この方法では、毎回 IP アドレスを特定できないパーソナル Web サーバーでも、利用者が NetPub へ行って、そのサーバがその時点でインターネットに接続されてい るかを確認できるのである。

<http://www.emagic.com/>

では、さらにその先を考えてみることにしよう。もし NetPub/Web サーバ が中心となって、パーソナル Web サーバと Web ブラウザとの仲介役がで きるとしたらどうだろうか。最初は電話に類似させてみよう。その方が分 かりやすいからである。Sam が NetPub に来て、Mary が NetPhone でオン ライン中か確認する。彼女はいない。それで、彼はメッセージを残してお く。Mary が来たとき、NetPhone はその存在を NetPub に登録する。する と、NetPub サーバは自動で Sam からのメッセージを伝える。

次は、もう一歩進んで Web サーバの場合を考えてみる。Mery はパーソナ ル Web サーバのフォルダに何枚か赤ん坊の写真を置いていて、Sam は標準 的な Web ブラウザを使ってその写真を見たいとしよう。Mary から Sam に URL は送ってある。だから、彼はどこに行けばいいのかは知っている。 (または、NetPub/Web サーバーが、利用可能な全パーソナル Web サーバ の URL を知っているかもしれない。ページの内容まではわからないとして も)。 Mary はオンライン中ではないので、彼女のパーソナル Web サーバ はそのファイルを提供できない。けれども、ちょうど電話メッセージの例 のように、NetPub/Web サーバは Sam の URL 要求を保管する。そして Mary がパーソナル Web サーバでオンラインになると、 NetPub/Web サーバはそ のファイルを要求して、Sam のために保管しておく。これで、Sam が戻っ て来たときには、このファイルを入手することができる。

いうまでもなく、Sam と Mary が専用線で Internet に繋いでいる場合に 比べれば、これは面倒な方法である。しかし、そんな恵まれた状況にいる 人はほとんどいない。面倒であろうとなかろうと、この手法は有効であり、 IP アドレスが変化する非専用線接続での問題を巧妙に回避してくれるのだ。

話を戻して、上記に概説したプロセスを考えてもらえれば、私が仮説した NetPub/Web サーバは、Chuck Shotton 氏が仮説したパーソナル Web サー バによく似た働きをしていることに気がつくだろう。いない時にもいるか のように振る舞い、集めておいた情報を後に提供してくれるのだ。そんな 訳で、おそらく、パーソナル Web 出版に関するこの 2 つのアイディアに は関連性があると思うし、またどちらも今の技術で実現することが可能だ と思う。私の感じでは、基本的な Web サーバを作るのに必要なコード( CGI のサポートとか他の装飾的なものはなし)は、ほんの少しである。 - Peter Lewis 氏の話では、FTPd に Web サーバを追加するのに要したのは、 ほんの数日だったということである。したがって、このコードを System 7 のファイル共有機能に組み込んだり、単体アプリケーションとして十分 使いやすいものにすることが、主な作業になるだろう。確かに、この NetPub/Web サーバはトリックでもある。しかし、proxy サーバと同様のも のなので、それほど大変な開発作業でもないはずである。

重要なのは、ソフトウェア会社が自社のオペレーティングシステムやアプ リケーションへの単なる拡張機能として Internet を考える傾向が強くなっ ていっても、結局それはパーソナル出版とネットワークサービスも統合す べきだという意識を生むということである。クロスプラットフォームとい う Web が生まれ持った性質の恩恵を受けて、このような製品は広く多様な 人々にとり、きわめて効果的かつ強力なソリューションとなりうるかも知 れない。また、正直いって、すべてのコンピュータ会社は個人消費者とい う聖杯を追い求めている。しかし、その個人を顧客へと変えるためには、 会社として始めなければならないことがある。Internet 製品を企画する際 には、個人が求め、必要とし、また現実的に購入できるものを考えなけれ ばならないのである。


Reviews/26-Feb-96

[私達は、このレビューコラムを継続するかどうかの調査を 96 年 2 月 29 日まで行っている。レビューコラムを継続してほしい人は <reviews-yes@tidbits.com> に、中止しても構わなければ <reviews-no@tidbits.com> に電子メールを送付していただきたい。 Web ページでの投票は下記の URLを参照のこと。 -Geoff]

<http://www.tidbits.com/surveys/reviews-list.html>


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