TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#318/11-Mar-96

今週のビックニュースは、Apple が よりよいパフォーマンス、Open Tranport 1.1、そしてとても多くの新機能を提供する System 7.5.3 をリ リースしたことだ。また、今週Apple は eWorld を終了することを発表し、 Adobe は PageMill 1.0.1 を回収、そして Macromedia が Shockwave for Direcotr のファイナルバージョンをリリースしている。最後になるが、 Adam によるパーソナル Web 出版についての追記と、さらについに 5 カ国 語を数えるまでになった各国語版 TidBITS の詳細について紹介しよう!

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TidBITS 日本語版は以下のメンバーのボランティアによって翻訳されています。
Kaz Yoshikawa <kaz@fact.com>
尾高 修一  <odaka@iprolink.ch>
小山 純一  <vb4j-oym@asahi-net.or.jp>
加藤 たけあき<oiso@wolfenet.com>
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齊藤 聡   <akkun@ca2.so-net.or.jp>
杉浦 雄一郎 <ysugiura@direct.ca>
西村 尚   <hisashin@st.rim.or.jp>
水木 潔   <HGH03125@niftyserve.or.jp>
村上 浩   <murasan@yk.rim.or.jp>
山浦 礼子  <raeko@aol.com>

目次:


MailBITS/11-Mar-96

(翻訳::山浦 礼子 <raeko@aol.com>)

熱心なボランティア達のおかげで、現在TidBITS はフランス語、スペイン 語、中国語(ビッグ5)が、日本語やドイツ語とともに入手可能となった。 そしてオランダ語、イタリア語、そしてポルトガル語も近々加わる予定だ。 私達のWeb サイトのホームページから該当するリンクを選択するだけで、 これらTidBITS の翻訳版にアクセスできる。 [ACE]

<http://www.tidbits.com/>

PageMill、登場を撤回 -- TidBITS-317 で Adobe が PageMill を1.0 から 1.0.1 へのアップデータをリリースしたことを紹介した。また、アッ プデートしたPageMillで、グラフィックを編集する際に勝手に色が変更さ れてしまったユーザー達についても記載した。Adobe は、こうした問題を たいへんシビアなものととらえてリコールを決定し、このアップデートを 回収した。Adobe は数週間以内に、修正を加えた1.0.2 をリリースする予 定だ。この問題は68K シリーズでしか起こらず(そのうえ、通常スクリー ンを256色よりも多くの色数を設定した場合にのみ起こりうるにもかかわら ず)、Adobe のエンジニア達はそれが PowerMac で起こりえないとは確信 できないとしている。もう 1 度いう、1.0.1 を使い、画像を開いたときに 色が変更されていることに気付いたら、 _絶対に_ そのファイルを保存し ないでほしい、さもなければその変更された色が画像に反映されてしまう のだ。 [TJE]

Shockwaveリリースされる -- Macromedia は Shokwave for Director 4.0 プラグインのファイナル版をリリースし、現在はShockwave Direcotr 5.0 に懸命に取り組んでいるということだ。同時に Macromedia は Shockwave for FreeHand のプラグインのベータ版をリリースした。これ は、グラフィックスのベジェ曲線を操作して拡大縮小したり、あるいはそ れを閲覧するためのものだ。前回のリリース同様、Shockwave プラグイン は多くのメモリを必要とし、安定性についてのレポートはまだ混沌とした 状況だ。 [GD]

<http://www.macromedia.com/Tools/Shockwave/>
<http://www.macromedia.com/Tools/FHShockwave/>

Fetch 3.0.1 -- Jim matthews 氏は、ポピュラーなFTP クラインアン トである Fetch の 3.0.1 をリリースした。これには、プリファレンスの 追加、Interenet Config のサポート、AppleScript 機能の向上、そして多 くの修正や拡張が含まれている。Fetch は 教育関係者や営利目的としない ユーザーには無料で配布され、ほかのユーザーは 25 ドルでオンラインで ラインセンスされる。Fetch 2.1 のライセンスを受けているのであれば、 無料でアップグレードできる。なお、ダウンロードするファイル容量は 1 MB ほどである。Fetch 3.0.1 は 68K、および Power Mac にそれぞれ最適 化されており、OpenTranportに対応している。 [GD]

<ftp://mirror.aol.com/pub/info-mac/comm/tcp/fetch-301.hqx>
<http://www.dartmouth.edu/pages/softdev/fetch.license.form.html>


軽んじられた人々へのレクイエム

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:齊藤 聡 <akira@cs-lab.mmc.co.jp>)

Gil Amelio は、会社経営の核心をなすプロジェクトに Apple の精力を集 中することに時間を無駄にしなかった。1996 年 3 月 31 日に Apple はみ ずからのオンラインサービス eWorld を廃止し、America Online に援助を 求めることとする予定だ。AOL は北米の Performa 販売におけるオンライ ンサービスに選ばれる予定であり(特別な教育部門に特化したマシン、 Power Mac スモールビジネスソリューション、コンシューマー向け PowerBook、そして少なくとも一部の欧州の Mac も同様)、Apple は AOL にそのオンライン番組にかかる労力を移動する予定である。Apple の公式 なテクニカルサポートが AOL に移動する予定かどうかはまだ不明である - プレスリリースには次のようなことが表明されている。Apple は “Internet と同じように AOL において新しいインタラクティブ番組を開 始するのと同時に、法人サポートサービスとテクニカルサポートサービス を拡張する予定である”。

1996 年 3 月 31 日で eWorld を閉鎖したあと、Apple と AOL は特別な移 転のためのフォーラムの提供、電子メールの転送、AOL における 15 時間 の無料アクセス権により eWorld の顧客を AOL へ移す予定である。最終的 に AOL は“新しく洗練されたクライアントソフトウェアと完全な World Wide Web への統合を有する Macintosh プラットフォームへの開発と革新 のための責任を新たにした”。我々は知ることになるだろう - AOLのクラ イアントソフトウェアと Web ブラウザを経由して Internet へアクセスす ることで生じるフラストレーションが AOL から Internet ダイアルアップ アカウントへ変更する人々から私が聞く主要な理由の一つであることに。 関連したニュースでは、AOL と CompuServe の両方が自分たちの Web ブラ ウザとして Netscape Navigator を使用することに関する Netscape との 取り引きに調印した、という。

Apple が最終的に eWorld のプラグを抜く決定をしたことには驚かない。 そのサービスは伝え聞くところによればたった約 150,000 人の加入者を有 していただけだ。これは AOL の 500 万人(CompuServe は現在約 400 万 人を誇る)と比較するとバケツにたらした水滴のようなものだ。ほとんど オンラインサービスの全盛期は終わっており、最強の者だけが生き残り、 堅調な成長を見せる Internet に対応していくだろう。AOLは極めて健全に 見えるが、GEnie や Delphi はだいたい視界から消えつつある。Prodigy (150万人のユーザーを持つ)は伝えるところでは売りに出ているというこ とだし、HR Block は CompuServe を株式上場企業にする。あるいはもっ と言うと、Microsoft はオンラインサービスとしての Microsoft Network を放棄し、Web に MSN の内容を移動している。

eWorld は開始時から多くの選択肢を過ってきた。長い間、Apple は eWorld で正式なテクニカルサポートを提供しなかった。もし eWorld の開始時に 正しく行っていれば効果があっただろう。部分的には AOL ソフトウェアに 依存しながらも Apple 自身の変更を加えていたため、Internet を採用し たのは AOL よりも eWorld の方が遅かった。その間に Internet は急速に 多くの人々がネットサーフィンを採用することとなったのである。数々の 理由のため、Apple は AOL が自らのサービスを押しつけたのと同じくらい 頑固に eWorld を押しつけようとはしなかった。これは多くの場合 eWorld 以上に AOL をMacユーザーが選ぶ結果となった。eWorld が存在しているう ちに 100 万人のユーザーを獲得していれば、もっと勝ち目があったかもし れない。

皮肉なことに、AOLはその初期には“Personal AppleLink”を目指していた が、 Apple は半年後に eWorld 開始を前にして協定を取り消した。たぶん もっと皮肉なことに、まるで由緒ある AppleLink が eWorld よりも長生き するようであり、もしそれが長さによらないとすれば、一時的な後任者の ようである。


パーソナル Web 出版再び

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

何人かの方から TidBITS-316 に掲載されたパーソナル Web 出版について コメントをいただいた。Scott Dickson 氏 <scott@ontek.com> と John Kawakami 氏 <online@mactech.com> からは、私が指摘した Web フォル ダをシンクロさせるユーティリティについて、より現実的かつ有効な案を 寄せていただいた。

地元のプロバイダを通じて、または AOL や CompuServe といった商用ネッ トを利用して Internet にアクセスする人の多くは、プロバイダの Web サーバ上のある程度のスペースを利用することができる。何人かの人には このスペースを利用することがなぜ私の主張するパーソナル Web 出版用ソ フトウェアに該当しないかが解らなかったようだが、私の感覚では、ファ イルを FTP でアップロードし、普通は Unix マシンであるサーバー上にあ るファイル一式を管理するのはあまりにも難しすぎる。私はかなり多くの 人から Anarchie 1.5 を使ってアップロードをする方法がわからないとい うメールをもらうのだ(これは単にドラッグ ドロップするだけの話なの だが。Anarchie 1.6 ではよりわかりやすいように Put というコマンドが メニューに表示されるようになった。)。

それでは、Web サーバ上にある FTP によるアクセスが可能なディレクトリ と、Mac 上にある特定のフォルダを簡単にシンクロさせるユーティリティ があるとしよう。私がここで「シンクロ」という言葉を使うのは、Web フォ ルダのファイルが削除されたらサーバにあるファイルも削除されるべきだ からだ。フォルダがどの程度のスペースを占めているかを見るのは簡単な ので、この方法にはプロバイダが定めるディスクスペースの制限内に収ま るようにすることが比較的簡単にできるという効果もある。あるいはユー ザーが設定した一定値を超えたら警告を発するようにするのもよいだろう。

Web シンクロフォルダは柔軟に操作できなければならない。つまり、オフ ラインの時は好きなだけフォルダ内のファイルで作業することができ、オ ンラインになった時にだけこのソフトウェアが登場してシンクロ作業を行 うべきだ。さらに理想をいえば、このユーティリティはテキストから HTML、PICT から GIF または JPEG などという自動変換もやってくれるか もしれないが、このような機能は必須ではないし、後で追加してもよいだ ろう。

しかしこれをもう少し進めて考えれば、この Web シンクロユーティリティ は FTP を難しいと感じる個人だけでなく、Macintosh を使って Web サイ トのメンテナンスをしている人すべてに役立つだろう。私達の www.tidbits.com サーバは今私たちのネットワークから離れているので、 FTP でしかアクセスすることができない。特に Tonya、Geoff、私の 3 人 が全員変更を加えることができるため、すべてのファイルをローカルファ イルと同じバージョンにアップデートすることは苦痛になっている。一つ や二つのファイルを更新するのならどのファイルをアップロードすべきか 憶えておくのは大変ではないが、あるサイトについての本格的な HTML オー サリングをする場合、10 から 20 のファイルを更新するかもしれない。こ の変更を全部やった後で Internet に接続し、Web シンクロソフトが変更 のあったファイルをマージし、同時に他の人が変更したファイルをダウン ロードするようになれば素晴しい。

この機能そのものは決して新しいものではない。Frontier の Aretha リ リースには AutoWeb というユーティリティが含まれていた。AutoWeb は一 定のファイル名とフォーマットされたテキストファイルから完全な Web サ イトを構築することができるというものだった。AutoWeb とともに、 Anarchie を使って特定の「アップロードフォルダ」にあるすべてのファイ ルをアップロードするスクリプトも付属していた。

<http://www.hotwired.com/staff/userland/aretha/specialfolders_234.html>

AppleScript の世界では、a.h.s.boy 氏 <spud@nothingness.org> がほぼ 同じ働きをする WebLoader というスクリプトを書いている。

<http://www.nothingness.org/dt/scripting/Webloader.sit.hqx>

こういったスクリプトはまだ可能性の一部でしかない。数ある PowerBook 用のファイルシンクロユーティリティの中にも Internet を介して動作す るように改造できるものがあるかもしれない。明らかに、このことをやっ てのけるテクノロジーは今日すでに存在しているのだ。もし問題が AppleScript か Frontier のスクリプティングなら、賢いプログラミング とインターフェイス・デザインがあれば、きっと誰かがもう一歩先へ進ん で便利で好評な Web ユーティリティを作ることができるだろう。指定され た Web フォルダを監視し、ディスクスペースについての警告を発し、 Anarchie や Fetch や Allegiant 社 の Marionet と連携する WebSync コ ントロールパネルやバックグラウンドアプリケーションを想像することが できる。このようなユーティリティはパーソナル Web 出版市場と、Mac を 使って Web サイトを構築してメンテナンスしている多数の人々すべての役 に立つだろう。


Apple 社 System 7.5.3 をリリース

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:水木 潔 <k_mizuki@nsknet.or.jp>)
(翻訳:Kaz Yoshikawa <kaz@fact.com>)

噂と推測の月日の後、Apple 社は一般に向けてSystem 7.5.3 をついにリ リースした。System 7.5.3 は Plus 以降のどの Mac 上でも走る統一的な システムリリースで、ここ数ヵ月の Apple 社からの無数のアップデートに ついていこうとしていた人には歓迎の救済であるはずだ。バグ修正と追加 機能に加え、System 7.5.3 は以前のシステムソフトへの追加(たとえば、 System 7.5.2 の印刷の修正および PowerBook 5300 System Update)を取 り入れ、狭い範囲の機械だけに用意されていた Open Transport のような 追加技術の有用性を拡張する。

System 7.5.3 には二つの形態がある。一つは、どの Macintosh 上にでも きれいで完全なセットのシステムソフトをインストールするのに使用する 古典的なシステムディスクのセットだ。第二の形態は、System 7.5 Update 2.0 で、これは System 7.5、7.5.1、あるいは 7.5.2 のバージョンが走っ ているどの Macintosh コンピューターをも System 7.5.3 に更新するが、 これ自体では完全なシステムをインストールするのには使えない。以前の アップデートと同様に、Apple 社は System 7.5 Update 2.0 をオンライン 上に準備したが、7.5.3 の完全なバージョンは、選ばれた新しい Macs お よび Apple 社からの別の商品としてのみ用意される。また以前のリリース と整合性を保つため、Apple 社は各バージョンをフロッピーディスクイメー ジのセットおよびオール・イン・ワン型のネットワーク・インストールの 両方の形で用意している。

どこで手に入れるか -- 警告: System 7.5 Update 2.0 は大きさは 20MB 余りで、フロッピーディスクで 14 枚である。あなたに見通しの感じだけ を与えると、それは 28.8 kbps のモデムで最高の条件下において約 100 分のダウンロード時間で、現実には多分相当より長くかかる。さらに、 Apple 社のサーバーは数日間過負荷状態になるだろう、そうあなたはこの リリースをダウンロードしようと試みる前にしばらく待って時間を節約し、 欲求不満から逃れるとよいでしょう。

よりよい別の方法は Apple 社 − あるいはむしろ、Claris 社からのアッ プデートを注文することかもしれない。合衆国内の顧客は CD-ROM あるい はフロッピーディスクのアップデートを 800/293-6617 内線 984 に電話を かけて 13 ドル(別に当該物品税がかかる)で注文できる。Claris 社は アップデートを「それらが用意でき次第」出荷すると現在いっている。

それはそうとして、System 7.5 Update 2.0 は特に以下の場所で見つける ことができる:

<ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/mac/system_sw/System_7.5_Update_2.0/> <ftp://ftp.info.apple.com/Apple.Support.Area/Apple.Software.Updates/US/Macintosh/System/System_7.5_Update_2.0/> <http://www.info.apple.com/Apple.Support.Area/Apple.Software.Updates/US/Macintosh/System/System_7.5_Update_2.0/> <http://www.support.apple.com/pub/Apple%20SW%20Updates/US/mac/system_sw/System_7.5_Update_2.0/>

Apple 社はまた AOL、CompuServe および eWorld を含む主なオンライン・ サービスでアップデートを用意した。それに加えて、アップデートは MacUser および多分ほかの Macintosh のソフトウェアのサイトからも手に 入れることができるはずだ。

<ftp://ftp.zdnet.com/macuser/US_apple_sw_updates/>

新しい機能 -- 新しいシステムソフトについて誰もが最初に知りたいと 思うことはそれがどんな機能を提供するかだ、そう選択した要約をここに 挙げる。System 7.5.3 は新しい項目および特定の修正に関する詳細な情報 を載せた少なくとも _7_ つの ReadMe ファイルをインストールする(重要 なのはシステムの更新に関する 3 つと Open Transport に関する 1 つで ある)。コレラのファイルはシステムアップデートの最初のディスク(あ るいはネットワーク・インストールの最初のフォルダ)に見つけられる。

加えて、インストーラ・アプリケーションは、もしシステムの構成要素が 機能していなくても、それを更新するに関しては比較的知的だ。そう、も しあなたが Extentions Manager のようなものを使ってシステムソフトの 部分を機能しないようにしていても、インストーラは、それらを再び機能 するようにしなくても、それらを更新するだろう。

重要な修正 -- System 7.5.3 には多数のバグ修正とある種の人々の生活 をより快適にするパッチを含んでいる。特に、Apple 社は Power Mac と 68K マシンの両方で全体的にパフォーマンスの安定性を向上させることに 加えて、 Power Mac ででくわす悪名高いタイプ 11 エラーの発生度合いを 減らすことを徹底的に行った。また Apple 社は Retrospect、StuffIt SpaceSaver などのサードパーティ製ソフトウェアとの安定性を改良するた め、多数の変更も加えている。

System 7.5.3 には PowerPC ネーティブ版の Resource Manager と SCSI Manager という2つの低レベルの重要なシステムコンポーネントが含まれ る。また System 7.5.3 にはアプリケーションが起動時に Power Mac 上で 可想メモリを使う方法の変更も含まれる。これは PowerBook 5300 System Update で最初に世に出たものだ。Apple 社は主に Microsoft Office 製品 を助けて起動を速くするためにこの変更を行ったのだが、これが他のアプ リケーションも助けることとなり、少なくとも今や幅広いユーザが使用可 能になっている。他のパフォーマンス向上としては 68040 と PowerPC ベー ス Mac でのキャッシュの取り扱いがより知的になり、結果として Finder のパフォーマンス向上と非同期のファイルコピー(ファイルのコピー中他 のアプリケーションの反応がよくなる)が可能になった。さらに、Memory コントロールパネル内のディスクキャッシュの初期設定値が物理メモリ 1 MB につき 32K に引き上げられた。これで他のアプリケーションが使用で きる RAM が少なくなるが、パフォーマンスの向上はめざましいものになり うる。(必要に応じてマニュアルでいつでもキャッシュを低く設定できる)

繰り返すが、System 7.5.3 に付属する ReadMe ファイルはこのリリースに 含まれる修正箇所を詳述している。だからこれを一通り読めばさらに詳し い情報が得られるはずだ。

7.5.3で更新されるもの -- System 7.5. Update 2.0はこれまでにリリー スされた多くのシステムのアップデート(そしてこれらのアップデートに 含まれるコンポーネント)を組み合わせたものである。System7.5. Update 2.0 は以下に示すアップデートを含む以前に出荷されたすべてのアップデー トからでもシステムを更新可能である。

さらに、Sound Manager、Serial DMA、SCSI Manager、そして多岐にわたっ たマシン固有のイネーブラといった個別に別れていたファイルがシステム に組み込まれた。System 7.5.3ではイネーブラは二種類に統合され、一つ はPCI仕様 Power Mac 用、もう一つは他のすべての非 PCI 仕様 Macintosh 用である。次にApple社が新機種を発表た場合には、そのマシン用の System7.5.3 においては機種固有のイネーブラが付属することが予想される。

潜在的な問題 -- 我々は 7.5.3 を首を長くして待ちこがれていたにもか かわらず、人によってはあまり安心して使ってもいられないようである。

System 7.5.3 の3つ目の ReadMe にしまいこんである注意書きはネット ワーク管理者と MIS 管理者を恐怖でぞっとさせる可能性を暗示している。 System 7.5.3 になって TCP/IP アドレスが BootP、DHCP、RARP のいずれ かにより取得される時に誤ったTCP/IPアドレスを取得するバグを修正した ので、 PCI 仕様の Power Mac ではこのアップデートでのインストールに より物理的な Ethernet アドレスが変更されてしまう _可能性_ があるよ うだ。幸い Open Transport は物理的なイサーネットのアドレスを以前以 上に簡単に決定できるようにできている(AppleTalkか TCP/IP のコント ロールパネルのいずれかより“Get Info”を選ぶ)。とはいったものの、 コンピュータが物理的なアドレスに依存している以上、ネットワーク管理 者にとってネットワークの再設定は頭痛の種以外のなにものでもない。

旧式の Mac においては、旧型のディスクドライバに関連する問題にみまわ れる可能性も否定できない。System 7.5.3 は SCSI Manager 4.3 を直接シ ステムに取り込んだのである。もし現在使用中のハードディスクドライバ が Manager 4.3 に互換性がない場合には(一般に1994 年 10 月よりディ スクドライバを更新していなければこれに該当する)、このアップデート をインストールしても Macintosh が起動してくれないことに気がつくかも しれない。いつものように、アップデートのインストールを行う前には、 該当ドライブを完全にバックアップすることを忘れないことである。

かりにサードパーティのハードディスクユーティリティを使っていて (Hard Disk ToolKit、APS Power Tools、Drive7、Silverliningなど)、 SCSI Manager 4.3と互換性があるか否かよくわからない場合は System 7.5.3 のインストールを試みる _前_ に、そのソフトの配給元に確認をと ることである。Apple 社 の HD SC Setup を使ったのであれば、アップデー トディスクのユーテリティフォルダに最新版が入っている。

Novell NetWare network 上で PCI Power Mac を使っている場合は、 System 7.5.3 が Ethernet Compatibility 機能拡張のバージョン 1.0.3 を取り込んでいることを心得ている必要がある。これによってシステム終 了コードの問題は解決されるのだが、逆にコンピュータのシステム終了時 に 2 分余分にかかることになったのである。

最後に System 7.5.3 の問題点は、起動可能なネットワークインストール ディスクも、起動可能なディスクツールディスクさえも同梱されないこと である。今までの Mac では以前のバージョンのシステムディスクで起動で きたとしても(こんなことに頭を使いたくないのだが)、今後登場する機 種には個別に起動ディスクを用意するしかないのである。またまた複雑な 問題である。

Open Transport 1.1 -- System7.5.3 の登場でもっとも期待されていた コンポーネントの一つが Open Transport 1.1 であり、これは Apple 社が Macintosh のコアのネットワークソフトウェアを再調整したものである。 System7.5.3 へのバンドルにともない、 Open Transport はほとんどの Macintosh で AppleTalk と MacTCP を入れ替えるものである。Open Transport は、より簡単に設定でき、よりフレキシブルで、そしてよりよ いパフォーマンスをダイヤルアップ接続を含むほとんどのネットワークタ スクに提供するのである。

たとえ Open Transport 1.1 は簡単に設定でき、フレキシビリティ、パ フォーマンスがダイアル接続を含むほとんどのネットワークに対しても改 善されていて、しかも初期の PCI Power Mac に付属した 初期の1.0.x リ リースに比べて、大きな改善がみられいても、(Apple 社の報告では Open Transport 1.1b16 のパブリックベータは比較的肯定的であるとしている。 TidBITS-316 参照。)まだまだ、Open Transport を使うことは複雑であ り、すべての人に最適とはいかないかもしれない。

第一に、予想に反して、Open Transport 1.1 は 68030 以上のプロセッサ を搭載した全機種にデフォルトでインストールされる。しかし、Open Transport はシステムアップデートをインストールするまえに動作中であっ たときのみ動作中になるようである。7.5.3 による Open Transport のイ ンストーラは MacTCP やこれまでの“古典的”な AppleTalk の能力を拭い とるものではない。それらは見えないところで安全に連携しているのであ る。Apple 社は注意深く Network Software Selector と呼ばれるアプリ ケーションを Open Transport と従来のネットワークサービスを切り替え るために用意している。しかるに、少なくとも Open Transport のインス トールでは、MacTCP を現在利用している誰もが致命的な問題に遭遇するこ とはない。それでも Network Software Selector は PCI 仕様の Mac では 技術的な理由で Open Transport を必要とするため動作しないのである。 また、Open Transport がデスクトップ型の5200、5300、6200、6300 シリー ズの Macintosh では利用できないことに気をつけていただきたい。あなた がこれらの機種を利用しているのであれば、従来の AppleTalk や MacTCP と、しばらくの間付き合っていく必要が ある。

潜在的なマイナス面は、Open Transport に移行することで 400K から 1.5M までの RAM を Power Mac で必要とすることである。しかし利用しないサー ビスを切にすることで RAM の消費量を節約することができる(よって AppleTalk や TCP/IP サービスをまったく使わないのであれば、コントロー ルからそれらを“切”にすればメモリが節約できる)。また Power Mac で Open Transport の RAM の使用量を軽減させるする別の方法は、仮想メモ リ(または RAM Doubler)を使うことである。これにより使用されていな い Open Transport のパーツはシステムが起動しないようになる。

それでも、MacPPP や FreePPP を利用してインターネットに接続している 人にとって、仮想メモリを使用することは賢い選択とはいえない。どちら のPPP も仮想メモリと完全に互換性があるように作られていないからであ る。(一部の人からは問題ないと聞いているが、おおかたの人は何度でも すぐにクラッシュする)バージョン 2.5 の FreePPP - そろそろリリース されるはずであるが - は仮想メモリと完全に互換性がとれているはずであ る。もし Open Transport で PPP を使って問題を抱えている人には、仮想 メモリを切る、MacTCP に戻ってくる、別の(商用) PPP の利用を考慮す るのいづれかの道しか残されていないのである。詳細については、Mark Sproul 氏の一連のWebページに Open Transportに関する記述がある。

<http://msproul.rutgers.edu/macintosh/OpenTpt.html>

FreePPP を使っているのなら、 Open Transport は BootP を IPアドレス の決定のためにデフォルトで使うのである。多くのユーザーにとって、こ れは正しい設定とはいえないかもしれない、そして TCP/IP のコントロー ルパネルよりポップアップメニューより Using PPP Server を代わりに選 択すべきなのである。幸い、Open Transportはそのために再起動する必要 がないのである。また(多くの場合)再ダイアルさえも必要ないのである。

付加的な情報 -- Apple 社は System7.5.3 における改変点を網羅した テクニカルノートを Acrobat のフォーマットでリリースした。もっとも、 その内容は 7.5.3 に付属する RedaMe ファイルの内容がほとんどである が、このノートは開発者やテクニカルサポートにたづさわる人のために有 益な内容も含まれている。

<ftp://ftp.info.apple.com/Apple.Support.Area/Developer_Services/Technical_Documentation/Macintosh_Technical_Notes/New_Technotes_/System_7.5.3_Update-1017.sit.hqx>

結論 -- System 7.5.3 をインストールすることは正しい選択なのであろ うか? 多くのユーザーにとって、とりわけ Power Mac ユーザーにとって は正しい選択であるといえる。それでも、すべての人にいえることがある のだが、アップデートのサイズがサイズだけに、数日待って Apple 社の サーバーの負荷が軽減するのを待ったほうが無難であろう。もしくは、特 に急いでいないのであれば、CD-ROM やフロッピーディスク版のアップデー トを注文する方法もある。私の System 7.5.3 のファイナルリリースのテ スト(もっとも制限つきであるが)では肯定的であるが、私の機種(すべ て 68k)では 7.5.1 よりも安定しているとは言い切れないし、また私は新 たなる問題に直面することも時折ある(それがシステムに問題があるのか、 または個別のアプリケーションなのかシステムの拡張機能なのか現時点で 断定できたわけではない)。くどいようだが、インストールの前にはディ スクのバックアップを忘れないでいただきたい、また不測の事態に備えて、 起動可能なフロッピーまたは CD-ROM を持っているかインストールする前 に確認していだだきたい。

Reviews/11-Mar-96


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