TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#333/17-Jun-96

今週の TidBITS は、通信品位法に対する新たな仮停止命令や、新バージョン の LaserWriter ドライバ、そして新製品 ― Claris Home Page のニュー スをお届けする。また、テクニカルな書籍における良い索引の重要性や、 Web ページのテキストやバックグラウンドに色を付ける HTML を生成する ユーティリティについての記事、そして最後に、Internet 初心者から見 た大規模な Web サーチエンジンについての記事をお届けする。

今回の TidBITS のスポンサーは:

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目次:


MailBITS/17-Jun-96

(翻訳::村上 浩  <murasan@yk.rim.or.jp>)

Buster が PowerBook への失望感を拭い去る -- 7.5.3 Update Revision 2.0(コードネーム Buster)に関する記事に対し、Zac Imboden 氏 <zac@mactemps.com> から、こんなハッピーエンドの話が寄せられた。 “520 を 5300 100MHz ドーターカードでアップグレードしたのですが、生 まれてこの方、これほど失望したことはなかったと言ってよいでしょう。 おかげで、お気に入りだった地元の Mac 修理店と言い争いをするはめに なったのですが、結局、けんか別れしてしまいました。その情けない処理 能力にもかかわらず、修理店はカードを引き取ろうとしなかったのです。 ところが最近、その店の技術者のひとりから電話があって、System 7.5.3 Revision 2.0 のリリースが間近であることを知りました。総合的なパ フォーマンスもそうですが、特に私達の 4D クライアント/サーバ構成での アクセス速度が著しく向上しているのです。すばらしい! ”

PowerPC Performa 用の Apple 社製テスタ - 5200, 5300, 6200, 6300 シリーズの Macintosh Performa と LC モデルのための Repair Extension Program( TidBITS-331 を参照)の一環として、Apple 社は、既知のロ ジックボード問題を抱えたマシンを判別するユーティリティをリリースし た。これまで, これらマシンのロジックボード問題は、頻繁に発生するシ ステムのフリーズから確認するしかなかったのだが、Apple 社には責任の ない原因でフリーズすることも大いに在りうるのである。このユーティリ ティにより、問題のあるマシンの所有者は、正確に既知の問題を確認する ことができるはずである。そして、必要ならば Apple ディーラーに連絡 し、無償で修理をすることができるのだ。このユーティリティが提供する 情報は、特定の Mac にとってのみ意味のあるものなので注意してほしい。 詳しくは、Apple 社の概要説明を参照のこと。[GD]

<http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1996/q3/ 960510.pr.rel.repair.html> <ftp://ftp.support.apple.com/pub/apple_sw_updates/US/mac/utils/ 5xxx-6xxx_Tester_1.0.hqx>

LaserWriter 8.3.4 解き放たれる -- 先週、Apple 社は LaserWriter 8.3.4 をリリースした。印刷開始時のクラッシュ問題に悩まされてきた多 くの PCI Power Mac ユーザーが、首を長くして待っていたバージョンであ る。特にプリントスプーラや GCC 社 XL 808 などのサードパーティ製プリ ンタを使った際にクラッシュは発生していた。このドライバで、これら全 ての問題が解決するのかどうかはまだ分からないが、これまで私が目にし てきた初期のリポートによれば、期待は持てそうである。Apple 社は、PCI Power Mac もしくは System 7.5.3 を使用している人すべてに、この新バー ジョンのドライバを推奨しているが、旧型の Macintoshや旧バージョンの システムを使用している人についてはアップグレードすべきではないとも 語っている。

LaserWriter 8.3.4 をダウンロードして展開すると、ディスクイメージが できあがる。これは、DiskCopy や ShrinkWrap などのユーティリティの助 けを借りれば使用することができる。ダウンロードには約 450K のディス ク容量が必要である。[TJE]

<ftp://ftp.info.apple.com/Apple.Support.Area/Apple.Software.Updates/US/ Macintosh/Printing/LaserWriter/LW_8.3.4.sea.hqx>
<ftp://mirror.aol.com/pub/info-mac/disk/shrink-wrap-201.hqx>

買い物リストに RAM を加えよう -- 4 ヶ月前のバレンタインデーの頃に 32 MB DIMM を買おうとしたら、おそらく 900 ドル近く支払うことになっ ていたであろう。その同じ DIMM が、先週なら 320 ドル前後で入手できた し、注意深く探せば、もっと安いものもあったのかもしれないのだ。メモ リの価格は全体に急落してきている。この記事が TidBITS に掲載されるこ ろには、さらに値下がりしているはずだが、これ以上大幅に下落すること はないとか、いまの価格のまま推移するのもそれほど長くはないだろうと の情報も流れている。興味があったら、DealBITS で RAM 取引やハードウェ ア・ベンダーへのリンクをチェック願いたい。[TJE]

<http://www.tidbits.com/dealbits/>


通信品位法に待った

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

1996 年のテレコミュニケーション法は、アメリカのテレコミュニケーショ ン法に大幅な変化をもたらした。同法の一部である通信品位法 (Communications Decency Act、CDA)は、大まかにしか定義されていない インターネットでの「品位を損なう行い」を具体的に禁止する措置を盛り 込んでいる。(テレコミュニケーション法の詳細については TidBITS-315 を参照。)

クリントン大統領は 1996 年 2 月 8 日にテレコミュニケーション法に署 名したが、その 5 分後には早くも ACLU(アメリカ自由市民連合)をはじ めとする組織や企業が、通信品位法は言論の自由を侵害するため憲法違反 であり、正しく適用されるには曖昧すぎるとしてこのテレコミュニケーショ ン法の CDA の部分に異議を申し立てた。

1996 年 2 月 15 日には、部分的かつ一時的な規制命令が CDA に対して出 された。つい先週、1996 年 6 月 12 日には、フィラデルフィアの連邦地 方裁判所の 3 人の判事がこの件についての判決を下し、CDA の品位条項に ついて仮停止命令を出した。このことは、上位の裁判所が停止命令を覆さ ない限り、執行ができないことになる。

TidBITS は政治的なニュースを不偏不党に報道しようなどとは思っていな いし(誰だって中立ではありえないからだ)、この場合も例外ではない。 実際、私はこの判決に歓喜している。ただ単に ACLU が勝ったからではな く、その内容についても嬉しく思っている。

地方裁判所の判決には、インターネットがどのように機能し、誰がイン ターネットを使い、どのようなサービスがあるか、などといったインター ネットに関する事実関係について詳しく述べているセクションがある。こ のセクションはインターネットについて学ぼうと考えているすべての人に とって興味深いものだろう。インターネットについての立法や議論に関与 している人には必読というべきだ。

<http://www.eff.org/Alerts/HTML/960612_aclu_v_reno_decision.html>

判決によると、裁判所はポルノグラフィーや猥褻物に関する現行法そのも のには問題はないが、CDA は行きすぎだというのだ。裁判所は、CDA が曖 昧で、品位を損ねると考えられるサイトから未成年を遠ざけるために払わ れなければならない犠牲が大きすぎ、言論の自由を制限するのに十分な理 由を提示していないとして批判している。この判決では、(サイトの評価 ・成人指定などを行う)PICS 提案や、SurfWatch や CyberPatrol といっ た締め出しソフトウエアなど、インターネット上の不適切な情報から未成 年を遮断するためのほかの方法を多数提示している。

<http://www.w3.org/pub/WWW/PICS/> <http://www.surfwatch.com/>
<http://www.cyberpatrol.com/>

Stewart Dalzell 判事の意見書は広範に引用されており、私もここで彼の コメントの一部を掲載したい。私たちの司法システムからこのような言葉 が出てくるということに、インターネットが大企業に支配された放送メディ アとは異なり、多くの人々が簡単に情報を与えたり受け取ったりすること ができる開放されたフォーラムとして扱われる可能性を期待させてくれる。

「もし政府が神聖な憲法を侵し、市民が言論の自由を行使したら投獄され る可能性があるというのであれば、このような罰則を課す法令は違反者と なるべき人だけでなく、法の執行者となるべき人のためにも、違法となる 種類の言論を明確に定義しなければならない。インターネットはこれまで にないほど市民の参加を得た大衆による言論の場であるため、政府による 干渉から最大限に保護されなければならない。」

「インターネット上に流通している言論を不愉快と感じる人が多いのは事 実であり、サイバースペースの喧騒の中には品位を損ねると感じられる発 言を聞き取る人は多い。インターネットのコンテンツに対する政府による 規制が無かったことにより、一種の混乱が生じているのは疑う余地がない が、公聴会で一人の専門家が高々と述べたように、『インターネットを成 功に導いたのはまさにその混乱だった。混乱こそがインターネットの強み なのだ。』インターネットの強みが混乱であるのと同様に、我々の自由も 憲法が保証する自由な言論による混乱と不協和音に依存しているのだ。」

興味深いことに、判決文の註に、ACLU がインターネットでの中絶の議論を 規制する CDU の措置に対する異議申し立てを取り下げたことが示されてい る。ALCU は、クリントン大統領と Janet Reno 司法長官の両方が「中絶関 連の措置によってはなんびとも告発されることはない ... この『永年にわ たる政策』により、政府は摘発の現実的な恐れはないと述べているため、 したがって、衡平法上の救済は必要無い』と判断したようだ。

政府が最高裁判所へ上告するかどうかはまだわからない。仮にそうなった 場合には、最高裁判所が仮停止命令の判決において提示された事実や意見 を真剣に検討してもらいたいと思う。

この件についてのさらなる情報やコメントについては、以下の URL を チェックされたい。

<http://www.cnet.com/Content/News/Files/0,16,1541,00.html> <http://www.hotwired.com/special/indecent/>
<http://www.eff.org/pub/Alerts/960612_eff_cda_decision.statement>


とっても大事な索引

by David Holzgang <cheshire@halcyon.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

索引は、よく売れるコンピュータ関連書籍には欠かすことのできないもの である。たが TidBITS-332 号に掲載されていた「出版の手順」では完全 に話題から漏れていた。良くできた索引が本に欠かせないのには様々な理 由があるのだが、ある本の購入を考えている人が本屋で実際にその本を手 にしたとき、目次と索引が買うかどうかを決める目安になるというのも主 な理由の一つである。

私は今まで PostScript をはじめとしてハイエンド・グラフィック関連の ことを中心に 14 冊の本を書いた。その経験からすると、出版社には索引 を用意するのに 3 通りのやり方がある。出版社の中には、専門家に外注し て著者の印税からその費用を差し引くという方法を取っているところがあ る。索引を準備する(または準備してもらう)ことを著者に任してくれ る、あるいは強いる出版社もある。また、出版社によっては、索引を作成 してくれる専門家を著者に決めさせてくれるところもある。この場合、費 用は折半することがある。[著者に費用を一切負担させることなく索引を作 成してくれる出版社もあるが、著者はほとんど口を挟むことができない。 これは Hayden Books 社にあてはまる。-Adam]

本にとって索引というのは、本の機能の中で最も重要なものの一つである。 良い索引が付いた本を使うのは楽しいし、あまり良くない索引の場合は、 何かを見つけるのが骨の折れる作業になるということを読者の立場から理 解している。だから、私は常に索引の専門家を自分に選ばさせてくれるよ うに出版社に頼んで、その索引にかかる費用を私の印税から負担するよう にしている。こうすれば、索引の品質に口を出すことができるし、役に立 つ索引の付いた本を完成させることができるのだ。さらに、自分で索引担 当者を選ぶことによって、どのくらい費用がかかるかも事前に知ることが できるのだ。残念ながら、いつもこの通りになるわけではない、出版社に よっては、作家に全く関与させてくれないところもある。

私の経験からすると、一般的には、著者が自分で作成した索引は最悪であ る。索引作成というのは特殊な技術であり、尊敬に値する。(締め切りに 追われる作家の仕事のことをお思いになるかもしれないが、索引作成者に は、作業を完成させるのにほんの 2 〜 3 日しか残されていないのが普通 なのだということも考えていただきたい。)プロの索引作成者の協会とい うものがあり、ここの連中は非常にすばらしい仕事をしてくれる。駆け出 しの作家へ大事なことを 2 つお教えしよう。一つは、あなたの著書の索引 作成は、必ず誰かが行わなければならない作業なのだが、その支払を当て にされるということはよいチャンスなのだ - 印税から差し引かれるとして も実際それはあなたのお金である。もう一つは、自分で索引を作成しない こと - プロの方が上手に作るし、そうした方があなたの本もよく売れるだ ろう。

[ プロの索引作成に関してもっと知りたい方は、American Society of Indexers の Web サイトを見ていただきたい。-Adam]

<http://www.well.com/user/asi/>


Loma Prieta、Claris に Home を見つける

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:齊藤 聡 <akkun@ca2.so-net.or.jp>)

注意深い MacWEEK の読者なら、Adobe 社の PageMill の強力な競争相手と なる位置にある有望な Web オーサリングツール Loma Prieta についての 何週間か前の記事に注目したかもしれない。San Andreas Systems 社によ りつくられた Loma Prieta はパブリックベータ版ではなく、ベータテス ターはこの製品に対して堅く口を閉ざしている。

先週、一般向けの追加情報がプレスリリースの形で与えられた。これによ ると、Claris 社は Loma Prieta を買い取り、Claris Home Page という形 でリリースする計画であるという。そのプレスリリースによると、Claris Home Page は Mac OS、Windows 95 および Windows NT に対応するクロス プラットフォーム製品になる予定ということだ。この製品は HTML テキス ト表示やビジュアル表示のどちらにおいても、表やフレームを含む数々の 高度な要素をユーザーに作成しやすくする。重宝なことに、Claris Home Page はライブラリも提供している。ユーザーはいつも使用する HTML 文を とっておくことができる。そのプレスリリースには、使いやすいソフトウェ アをつくることに重点を置いていることで Claris 社を賛美したり、Claris Home Page が高度な Web ページをつくりやすくすることを強調している多 くの文章の引用があった。驚くことではないが、そのプレスリリースには、 ClarisWorks の貧弱な HTML 変換機能( TidBITS-295 参照)については まったく触れられていない。私はまともなプレイヤーとして Web オーサリ ング競技場で活躍する Claris 社を見ることによろこびを感じる。

Claris 社は Claris Home Page の価格をまだ決めていないが、パブリック ベータを配布することは決めており、Home Page のベータ版は今月末まで には Claris 社の Web サイトからダウンロードできるようになるだろう。 最終製品が出る前の新製品について深く批評するのをできるだけ避けるた め、TidBITS では実際に出荷されるまで Claris Home Page をたぶんレ ビューしないだろう。Adobe 社がパブリックベータ版を出すことを決める であろう PageMill 2.0 のプレリリース版を評価しないのと同じように。

<http://www.claris.com/press/hotnews/rel-homepage.html>
<http://www.zdnet.com/macweek/mw_1018/news_loma.html>


16 進数と現実の留め金

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:山浦礼子 <raeko@bnn.co.jp>)

HTML 書類のコード化を少しでもやったことがあれば、色指定のタグに 6 桁の 16 進数を入力しなくてはいけない場面に出くわしたことがあるだろ う。それは、バックグランドだったかもしれないし、文字の一部だったか もしれない。

何を話しているのかぼんやりとは理解できるが、正確な HTML をご存じな いという人のために、それがどんな仕組みになっているのかを説明しよう。 ある書類のバックグラウンドや文字を全部,たとえば虹のようなカラフル な色に指定する場合は、冒頭の <body> タグに下の HTML を使用するだろ う。

<BODY BGCOLOR="#FFFF05" TEXT="#00FF00" LINK="#0000FF" ALINK="#FF00FF" VLINK="#FF0000">

この <body> タグでは、バックグランドを黄、リンク以外の文字はライト ・グリーン、たどられていないリンクは青、以前にたどったことのあるリ ンクは赤、そしてクリックしている最中のリンクは紫と指定している。こ の HTML を理解しない(あるいは訪問先のページの色指定を無視して、ユー ザー側の色指定を優先するように指定した)ブラウザでは、バックグラウ ンドと文字はデフォルトのままである。

文字の色指定についてさらに詳細を知りたい場合は、HTML 3.2 の仕様書の インターネット草案(“Internet draft”)をチェックしよう、ただしそ の草案の中で色指定オプションとして追加する提案がなされているものは、 まだ多くのブラウザがサポートしていないことに注意していほしい。(そ うした試行錯誤は、進取の気性に富んだ読者の裁量にお任せする。)

<http://www.w3.org/pub/WWW/MarkUp/Wilbur/features.html>

人間の脳は、紫が 16 進数では 9717FF といった数字で表わされることを すぐに理解するようにはできていないから、私は色をこうした数字に変換 する簡単な方法がわかりやすく書かれているものをいまだに参照しなくて はならない。ただし、色を 16 進数に変換するツールの世界というものを 発見したので、私は数種類のそうした異なるコンバータの機能についての 概要を伝えたいと思う。Web オーサリングプログラムの中にはこれらの機 能を提供するものもあるが、もしもあなたの使用しているプログラムがそ うでない(あるいは限定された機能しか持たない)場合は、これから紹介 するプログラムのどれかを使用したいと考えるだろう。

そのユーティリティについて話す前に、それらのなかにはバックグラウン ドの属性も <body> タグで指定できるものがあることに触れておきたい。 この属性は、バックグラウンドのタイル表示に使用するグラフィックを指 定するというものだ。(バックグラウンドがタイル表示されている Web ページでは、たとえば大理石の塊のような薄い色のついた画像の上に文字 をのっけておくことが多いようだ。Web ページをかっこよくするための賢 いさまざまな方法としてバックグラウンドをタイル表示することがあるが、 その場合、グラフィックのファイルサイズをできるだけ小さくしておくと モデムの利用者にたいへん感謝される。)

もしもあなたがフリーウェアで何かを求めたいのであれば、HTML ColorMeister 1.3.5 をチェックしよう。ParticleFlux Software 社の John Cope 氏が作成したこのユーティリティは、色指定やタイルの属性を冒頭の <body> タグに入力してくれる。属性を選択したあとに Generate ボタンを クリックすれば完成したタグが確認できる。そしてそのタグ(あるいはそ の一部)をHTML 書類にコピー ペーストするか、あるいは Output Page ボタンをクリックすれば、ColorMeister はその <doby> タグを含めた必要 最小限の HTML 書類を作成してくれる。

<http://wizlink.iserver.com/conner/ParticleFlux/index.html>

シェアウェアであればもう 2 〜 3 の選択の余地がある。Web Color 2.0、 Patrick Bores 氏作の 5 ドルのプログラムは、機能的には HTML ColorMeister とたいへんよく似ているのだが、より洗練された体裁を備え ている。

<http://users.aol.com/wcolorinfo/>

5 ドルの HTML ColorPicker 2.0.3 は、Vector Development 社の David Christiansen 氏により作成されたものだ。HTML ColorPicker は、数値を 入力するとそれに関連した色を表示してくれる(数値で色を判断できる頭 を持っているか、特別そういった理由があるのであれば)。そして、視覚 的に選んだ色を数値で表示するこも可能だ。ただ、HTML ColorPicker の場 合は 16 進数の値をコピーすることはできても、実際の <body> タグ生成 は行なわない。

<ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/text/html/html-color-picker-203.hqx>

Janice Arakaki 氏の 5 ドルの HTML ColorSelect 1.3 は、ちょっと違っ た方法でそれらの機能を実現する。色を選択してそれに相当する 16 進数 を確認することは可能だが、残念ながらコピーすることはできない。した がって、あなたはそれを HTML 書類にタイプし直すことになる。ただ、あ る PICT 画像を開き、その画像の中の 1 つのピクセルをクリックしてそれ に相当する 16 進数を得るといったことが可能なのだ。

<ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/text/html/html-color-select-13.hqx>

HTML ColoruTools は 10 ドルで、選択した色がどのように相互に影響する かを確認するためのプレビュー機能を備えている。プログラムは、現在の <body> タグを表示しており、色を選択するとその属性が追加されて完成と なる。ただし、バックグラウンドのタイル表示に使用する画像を指定する ための属性は備えていない − これは、もしもプレビューすることがで きれば、画像と文字の相互の関係を見るのにとくに便利な機能である。こ のプログラムが気に入り 10 ドルのシェアウェア代金を払えば、<body> タ グをコピーしてそれを HTML 書類にペーストできるようになる。払いたく ない場合は、そのタグをタイプし直さなくてはならない。HTML ColourTool は、Finger In The Eye Productins 社の Brock Gunter-Smith 氏によって 開発されたものである。

<ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/text/html/html-colour-tool-201.hqx>

私はこの記事で、こうしたユーティリティがどのような機能を備えている のかといったこと、そして、あなたにとってどのユーティリティが有効な のかといったことについて何かしらのアイディアを与えることを願う。も しもあなたが文字やバックグラウンドの色指定を行なう Web オーサリング プログラムを使用していたとしても、HTML ColorSelect にあるようなカ ラーピッカーは備えていないだろうし、HTML ColourTool に見られるよう な色の表示機能も持ってはいないだろう。


あなたは見られている

Kirk McElhearn <kirk@lenet.fr>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

最近私は Alta Vista というまたもや登場した Web 上をうろつくクモに注 意を引かれた。Web をはじめとするインターネットの大きな問題は探して いるものを見つけることなので、ほかのものより大きくて速い検索エンジ ンを見つけることは常にプラスになる。Alta Vista は Yahoo や Lycos、 Excite やその他もろもろと同様の検索エンジンである。Alta Vista の違 うところはその強力なパワーと、3 千万もの Web ページをカバーしている という謳い文句だ。そこで試してみることにした。

<http://www.altavista.digital.com/>

その頃、私はまだインターネットをうろつき始めてから 2 ヶ月ほどしか 経っていなかった。私は自分のホームページを持っていたし、ほかのサイ トでも作品を一部公開していた。私は自分がどの程度の痕跡を残している かということに興味があったが、インターネット上に私と同じ名前の人が いるかどうかということにも興味があった。結果は驚くべきものだった。 私の親戚縁者の数は少ないし、McElhearn という姓は比較的珍しい。そこ で自分の名前を Alta Vista の検索フォームに入力することから始め、30 秒ほど待とうという体勢に入った。

最初の驚きは、30 秒どころか、5 秒ほどで結果が返ってきたことだ。

次の驚きは、私の名前が 32 件発見されたことだ。確かにもう何年も Web に足跡を残してきたような人には、32 件はたいした数ではないだろう。私 がこのことに関するメッセージを Future Culture メーリングリストにポ ストしたところ、リストに参加しているほかの何人かが同じ実験をして、 はるかに大きな数字が返ってきたという。何百、何千ということもあった そうだ。とはいえ、インターネット初心者には 32 件というのは予期しな い値だった。

<http://futurec.xtc.net/>

さて、この 32 件のうち、30 件は私に関するものだった。あとの 2 件は 同姓の他人(もしかしたら従兄弟かもしれない)に関するもので、そのう ち一人は砲丸投げの高校チャンピオンだった。残りは Wired 第 2 号に掲 載された手紙から Info-Mac digest への投稿、私のホームページ、24 Hours of Democracy project のために書いたエッセイに至るまで、間違い なく全部私に関するものだった。

最初、これはなかなか素晴らしいと思った。とやかく言っても、私たちの 遺伝子は何らかの形でこの地球上に存在の証しを残そうとするものではな いだろうか? しかし、このことについて考えれば考えるほど、私にはパン ドラの箱が開けられているように感じられるようになった。Alta Vista に ついて説明するには、それを運営している会社の言葉を引用するのがベス トだろう:

「Alta Vista は 1995 年夏にカリフォルニア州 Palo Alto にある Digital 社の研究所で始められたプロジェクトの成果です。高速な Web crawler と スケーラブルなインデックス・ソフトウエアの組み合わせにより、チーム は 1995 年秋までには大規模な Web インデックスを構築することができま した。」

「2 ヶ月の社内テストの後、1600 万ページものフルテキストからなるさら に大きなインデックスを作成しました。私たちは 1995 年 12 月 15 日に はこのサイトを一般公開しました。それから 3 週間にも満たないうちに、 毎日 200 万件もの HTTP リクエストを受け付けるようになりました。」

このシステムの最も強力な部分である Web Indexer は AlphaServer 8400/300 で、6 GB のメモリと 10 個のプロセッサを搭載している。この サーバーは Digital 社によればほとんどのコマンドを 1 秒以下で処理で きるほど強力だという。

これは全体像の一部でしかない。ヒットやリクエストを処理するのは別の サーバーで、ダイナミックにニュースグループの記事をアップデートする News Indexer のために最新のスプールファイルを管理するのはまた別の ニュースサーバーだ。そういうわけで、Alta Vista は Web と Usenet に 現れるものをほとんどすべて格納しているといって良い。ということは、 メールも大量に保管されていることになる ― アーカイブ化されたメーリ ングリストもインデックスの対象になっているからだ。

以上すべてはすばらしく強力だ。インターネットの拡大と現在の処理能力 を考えたら、当分の間はトラフィックを処理し、このサービスを提供し続 けることができるだろう。

「大きなお世話だ」と言いたい。

私の実験の後、Mac ユーザーグループの仲間にこの話をした。そのうちの 一人、ポケットプロテクタをした技術屋は、しきりにそのパワーに感心し ていた。もう一人は、このマシンのおせっかいぶり、つまりプライバシー が尊重されていないということに驚嘆していた。プライバシー?

私がメーリングリストの購読を始める時、私の書き込みがほかの目的に利 用されることを認めるかというようなことは誰も聞いてくれない。私が発 した言葉は公知のものにはなるが(ただし、リストの購読者たちだけに対 して、という意味で限定的なものだが)、そこらのロボットが勝手に扱っ て良いものと私が考えるとは限らない。いずれにせよ、Digital 社 は自社 のコンピュータを見せびらかすために(というのは、そもそもの目的は Digital 社が製造している強力なコンピュータの宣伝のためだから)私の 発言を使って良いかどうか聞いてくれたことはない。で、私の権利はどう なるのだ? ここフランスでは、誰もが自分に関する情報を収録したいかな るデータベースも検証して修正する法的な権利を持っている。もし私がデー タベースから自分の発言を削除してほしいと申し入れたら Digital 社はな んというだろうか? また、もし私が自分の発言の著作権を主張したら?

多くの人は電子化された情報と本を対照的なものと考えている。本は残る が、電子情報は残らない、と。私には Alta Vista が、電子情報がどれほ ど恒久的なものになりえるかを示す一つの例に思える。情報がインターネッ トの空間を漂っているだけでなく、誰かが簡単に取り出せるようにデータ ベース化されているのだ。

このことの危険性は明らかだろう。仮に私が alt.sex.minerals という ニュースグループに軽石でやるのがどんなに良いかというような投稿をし ていたとしよう。10 年後、もし私の妻が離婚したいと思ったら、誰かを 雇ってこの書き込みを探し出して、養育費とともに永遠に子供を奪い取っ てしまうだろう。

あるいは、若いハッカーが後になって選挙に出るような場合はどうだろう? 対抗している政党は、この議員が若い頃アナーキーな思想を喧伝していた ということを知ったらこの事実を利用しないだろうか。記憶にございませ ん、というような弁明は通用しない。

私たちの多くは、後になって昔の考えを否定する。しかし、言葉が活字や 電子になって定着してしまったら、当時と今の間に存在する距離を認識す るのは難しくなる。

それではどうしたら良いのだろうか?

この種の覗き見をコントロールするのは困難に思える。企業というものは、 今までずっとそうしてきたように、私たちの言葉を使って金を儲けるのだ。 そして、情報を探している人にとっては、検索エンジンは有用なものなの だ。しかし、危険は現実に、しかもすぐそこに存在している。私は暗黒時 代に戻ろうという復古主義者ではない。インターネットは私たちの未来が どういうものになるかを変えると思う。それでも危険は認識し、それに対 応した行動をとらなければならない。

最初に、私たちがもう公開したくないと思う情報は記録から抹消できるよ うにすることを要求することだ。私たちは何を公開するかを選択できるべ きだ。私たちの許可なく私たちの発言を利用する権利は誰にもない。Alta Vista は金銭を得ているわけではないが、これを使って宣伝をしているわ けだから、結果的には同じことだ。

[ 1 ヶ月以上前、私は Alta Vista にデータベースから削除するのにどう いう方針があるかを問い合わせたが、いまだに回答をもらっていない。 Kirk はこの記事の草稿を Digital 社に送ったが、そちらの方にも回答は 来ていない。Alta Vista は広範な免責条項を掲げている。以下一部引用す ると、「一般的に、Digital 社は World Wide Web またはニュースグルー プで情報を公開している人は、その情報が広く一般に公開されることを予 期していると信じています。Digital 社は、さらにこのサイトでニュース グループへの書き込みや一般に公開されている Web ページへのリンクを公 開することは、法的に許容され、Web や Usenet を使用する人々の期待に 沿っていると信じています。」-Tonya]

次に、誰かが常に聞き耳を立てていることを認識することだ。私たちがイ ンターネット上で言ったことはどこかに保存されるのだ。そして、プライ ベートなメールの場合でも、物好きな目から私たちのコミュニケーション を護るには暗号化が恐らく唯一の方法だろう。もちろん、この方法は世界 のどこでも可能なわけではない。イランやフランスといった国では、暗号 を使っただけで投獄される可能性があるのだ。

この言葉を忘れないでいただきたい。壁に耳あり。

PS. 私がこの記事を書いた 3 月には、私の名前は 32 回登場していた。最 後に調べた時点では、これは 78 件になっていた。


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