Apple 社の PowerBook はラップトップ業界を塗り替えてしまったばかり か、スタイル・最新技術・そしてプレステージといった、Apple が取り戻 そうと頑張っている要素の漠然としたコンビネーションを、具体的な形に したものである。今週号では、最新のヒット作 -- PowerBook 1400 と 3400 -- を、いくつかの角度から生々しくお伝えする。この PB 3400 は現在世 界最速のラップトップなる肩書きを持っている。また、Rhapsody から Open Transport をはずすという Apple の決定に対し、Adam がいくつかの興味 ある疑問を投げかけている。
目次:
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(翻訳:斎藤 徹 <taku@pobox.com>)
CDA 最高裁の場へ -- 合衆国最高裁判所は the Communications Decency Act(通信品位条令)に対する審問を開始した。ここでの冒頭弁 論の結果をあえて分析しようとは思わないが、その全文を読んでみるとこ れが実におもしろい。双方の法廷代理人に対して最高裁判事がどのように 質疑を進めたか、ご興味ある向きは下記の URL で!これはここ 2 年にわ たって問題にされてきたもので、ご存じない方のために申し添えると、the Communications Decency Act(1996 年の Telecommunications 条令の一部 として議会を通過)とは、それぞれの地域社会の基準に照らし合わせて 「明らかに不快」であると判断されたインターネット上の掲載内容を規制 しようとするものである( TidBITS-315 参照)。[ACE]
<http://www.aclu.org/issues/cyber/trial/sctran.html>
またまた研開費の数字について -- Apple社が流した研究開発費に関する 数字について数人の読者からも投書があった。Apple の経営陣によれば、 他の PC ベンダーがつぎ込んだ研開費は売り上げのほんの 1〜2 % にすぎ ないとのことであった。それ自体は間違ってはいないかも知れないが、他 のベンダーが Microsoft 社に対してライセンス料を支払っている事実や、 それが Microsoft 社の Windows 95 の研開費の一部となっている事を勘案 したものではないのである。加えて、Apple は ATG(Advanced Technology Group)向けの予算を、売り上げの 5 % にまで抑えようとしていると以前 に申し上げたが、Apple の心づもりでは総研開費を売上高の 5 % に削減す ることである、とすべきであった。ATG は Apple の全研究開発の取り組み の一部にしかすぎないのだから。[ACE]
Macromedia 社 Shockwave Director を修正 -- 97 年 3 月 19 日、 Macromedia 社は先週( TidBITS-370 で)お伝えしたセキュリティ上の欠 陥のあった Shockwave Director の修正版を出した。今のところ詳細は不 明だが、この修正版を手に入れるには Shockwave Essentials をパッケー ジごと全部ダウンロードしなければならないのでご注意を!ダウンロード サイズは 1.1 MB。 [ACE]
<http://www.webcomics.com/shockwave/>
<http://www.macromedia.com/shockwave/download/>
by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)
TidBITS-370 の私の記事をお読みになった方はご存じのように、Apple は Open Transport がメンテナンス・モードに入り、最終的に Rhapsody では Unix BSD (Berkeley Standard Distribution) のネットワーキング・コー ドで置き換えられることを宣言した。Open Transport は Rhapsody 上で動 作する現行の Mac OS アプリケーション用コンパチビリティ・レイヤーで ある“Blue Box”内で存在し続けることになる。
この発表に対するインターネット関連デベロッパーたちからの反応は混乱 から憤り、そして憤りからまた混乱へと行きつ戻りつしている。
たとえば、InterCon Systems 社(現在は Ascend 社の傘下)のために TCP/Connect と InterPPP II の開発に携わった Amanda Walker 氏は次の ように語った。「 Open Transport(実質的には最も高速で柔軟な Unix ネットワーキング・スタックである Mentat Portable Streams)を(優秀 だが低速で柔軟性にも劣る 4.3 BSD をベースにしたネットワークスタック を使用する)OpenStep に移植しないということ考えは馬鹿げているし、近 視的です。従来の Mac OS が Rhapsody よりも優れたサーバ用プラット フォームだということになったら面白いではないですか。」
いくつかの疑問 -- ほかのデベロッパーたちも同じような不安を訴えて いたが、かれらに共通していたのは、数多くの疑問を抱えていたというこ とだ。Open Transport を BSD ネットワーキング(以下 BSD)で置き換え るというのは瑣末な問題ではなく、Mac に非常にハードウェアに近いレベ ルで、またユーザー管理の面で影響を及ぼすものだ。あまりにも技術的な 問題は避けるが、答えによっては Macのネットワーキングの将来に大きな 影響がある疑問を以下に挙げてみた。この疑問に対する答えはまだないか もしれないが、Open Transport に大きく依存している Mac ユーザーにとっ ては、Apple が発表と同時に答えを用意していなかったことは気がかりだ。
ここで、私はどういう答えが出るかという憶測を聞きたいわけではないと いうことをご理解いただいたい。以下の疑問に答えられるのは、Rhapsody に向けたネットワーキングの移行の作業に従事している Apple のエンジニ アだけなのだ。
Open Transport は複数の TCP/IP 環境設定をうまく扱うことができるた め、Macintosh ユーザーが複数の ISP や、複数の接続方式(モデム、ネッ トワークなど)を切り替えて(しかも再起動の必要もなく)接続すること が簡単にできるようになっている。BSD は持ち運びができず、毎日何度も ネットワーク環境設定を変える必要のない Unix ワークステーション用に 作られている。Open Transport が楽々と扱うことのできる(友人の言葉を 借りれば)「多様なぐちゃぐちゃさのネットワーク環境」を BSD はどう扱 うのだろうか?
Open Transport は完璧にシンプルなインターフェースを持っているとは言 えないが、比較的簡単だ。BSD も初心者がセットアップし、必要とあれば 設定し直すことができるほど簡単になるだろうか? Rhapsody には個人向け Unix 導師をバンドルして出荷しなければならないだろうか?
数多くの Macintosh デベロッパーが Open Transport 向けに多大な時間と 労力とコードを投資した。全員が Macintosh 向けの開発を続けたいと思っ ているこうしたデベロッパーを、ほとんどが Mac 向けの開発をしたいなど とは思っていない Unix や Windows デベロッパー(BSD は Unix 伝来だ し、Windows の WinSock は BSD をベースにしている)と“トレード”す るのは得策なのだろうか? Ascend 社の Amanda Walker 氏はこう述べてい る。「もし私がマイナーな Unix マシン向けの開発をしたかったのであれ ば、NeXT 向けの開発を行っていたはずです。」
Open Transport は(当然ながら)AppleTalk をサポートしている。BSD に は AppleTalk サポートは内蔵されていない。どのようにして Apple は BSD に AppleTalk サポートを追加するつもりなのだろうか? Rhapsody 用の AppleTalk スタックをよそから購入するなんて皮肉な事態ではないだろう
BSD ではプラグ & プレイネットワーキングはどうなるのだろう? Ethernet カードを挿したらすぐに動くだろうか? たとえば、これは Mac では冗談に しか聞こえないが、PC では Ethernet カードをある PCI スロットから別 のスロットに移しただけでドライバをインストールし直さなければならな い。それに LocalTalk サポートはどうなるのだろう? 膨大な数の Mac が ファイル共有や印刷のためにシンプルな LocalTalk ネットワークに依存し ているのだ。
次世代のインターネットアドレッシング方式(インターネットの IP アド レスは不足気味なのだ)を含む IPv6 は Open Transport 上でデモされて いた。IPv6 は 大学などを結んでいる超高速回線である Internet II に関 与している機関では最重視されている。BSD 上の IPv6 はどうなのか?
<http://playground.sun.com/pub/ipng/html/ipng-PS.txt>
<http://www.mentat.com/ipv6.html>
Blue Box 内の Open Transport と Yellow Box 内の BSD はどのようにし てモデムや Ethernet カードといったネットワーク資源を共有するのだろ うか? たとえば、Blue Box 内で FreePPP を使って PPP 接続をしたとしよ う。同じ接続を使って、いわゆる Yellow Box(ネイティブ Rhapsody アプ リケーションが動作するレイヤー)内でしか動作しないインターネットア プリケーションを使うことはできるのだろうか ?
Apple が行った 10 Mbps Ethernet ネットワークでのテストでは、Open Transport は 9.6 Mbps のスループットを維持することができた。一方、 BSD は7 Mbps しか達成できなかった(古式ゆかしい MacTCP はたったの 2.3 Mbps)。これはたいした違いには見えないかもしれないが、100 Mbps ネットワークではどうなるだろう? Open Transport は 40 Mbps の転送レー トを実現できることがわかっているが、BSD はどうだろう? もし Blue Box 内で動いている現行のアプリケーションが Yellow Box の BSD 上で動いて いる未来のアプリケーションより高速だということになったら? (インター ネットではこのことは問題にならない。というのは、インターネットでの スループットは Ethernet ネットワークと比べてあまりにも悪いので、イ ンターネットに T1 接続しているユーザーすら気にはならないだろう。)
Open Transport はユーザーが“好ましくない”のサイトを見ることを防ぐ SurfWatch などのフィルタをサポートしている。どういうサイトが“好ま しくない”かの定義はさておいて、BSD はどういうフィルタを利用できる のだろうか?
by Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)
(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>)
Apple 社製ラップトップコンピュータの 最初の シリーズが登場した時、 その PowerBook 100、140、170 は、有能で機能盛沢山のマシンとして歓迎 された。それに、魅力的で使い勝手の良いものでもあった。この 100 シ リーズに続き、PowerBook ファミリーには Duo シリーズや 500 シリーズ が登場し、Apple 社は面目を保ってはいたが、ここ数年パッとしない時代 が続いていた。そして、PowerBook 1400 のリリースでようやく Apple は 当たりを出したのだ。
<http://product.info.apple.com/productinfo/datasheets/pt/pb1400.html>
概観 -- PowerBook 1400 シリーズは、PowerPC をベースにした Apple 社製ラップトップとしては 2 代目になる。ものすごく大きなディスプレイ と、さっぱりとしたデザイン、Apple の PowerBook としては初めて内蔵 CD-ROM ドライブ実現したことが特徴である。昨年登場した 603e 搭載の 1400 は、117 MHz で動作するもので、当時のデスクトップ型 Macintosh や PC のラップトップと比較して、ちょっと遅いと言われていた。Apple 社がこの 2 月にリリースした 133 MHz のモデルは、充実した性能は欲し いものの、べらぼうに速い PowerBook 3400(今週号の Marc Bizer 氏の記 事を参照)は必要ない(または、とても手がでない)という人達のちょう ど良い解決策になる。
見た目と印象 -- Apple 社製 PowerBook の初代モデルは、視覚に訴える ものではなかった。当時は、コンピュータというものが美術品としての要 素を持ち合わせていない時代だったのだ。500 シリーズは、その魅力のあ るデザインを重視して作成されたことが一目瞭然の磨かれたマシンだった。 それだけに、PowerBook 5300 シリーズのデザインが、情けなくなっていた のには殊のほか失望した。そして、地元のディーラーのショールームで初 めて 1400 に対面した時は、視覚にアピールするものになっていたのに喜 び、その一ヶ月後にはオーナーになっていた。そして今でもその PowerBook のデザインを楽しんでいる。
使い易い設計というものは、美的感覚同様にとにかく重要なものなのだ。 Apple は、使い勝手の良いマシンを製造することに再度成功したのだ。ディ スプレイは、明るさやコントラストを調整し易くなっており(調整つまみ は、右側に付いているのだが、左手でも届くようになっている)、 PowerBook を開いたり、バッテリや CD-ROM ドライブ、フロッピドライブ をはずしたりする留め具は、最初は“逆”に感じられたが(私が昔使って いた PowerBook 100 とは反対の方向へ押す必要があるのだ)、すぐに慣れ た。バッテリやドライブは留め具をはずした手でそのまま取り出せる。こ れは、もう一方の手で PowerBook をつかんでいる時や、ともかく片手しか 使えない状況にある場合にありがたい。
Apple の新しい PowerBook 用キーボードは、以前のものを格段に改良して ある。( F1 から F12 までの)12 個のファンクションキーは小さいが便 利だし、これまで、それ以上のファンクションキーの必要性を感じたこと もない。(私は、Microsoft の Word のワードカウント機能を F15 から F12 に割り当て直した。それに、私には二重下線を引く必要性はない。) ラップトップのキーボードの中には、いつもの超高速タイピングができな いものもあるが、これは違う。今までは、まれに間違ったキーを打ってし まうこともあったが、デスクトップ用キーボードと全く同じようにタイピ ングできるようになった。唯一の望みといえば、右手用の Command キーが あればということぐらいだろう。そうすれば、長年愛用している SignatureQuote の FKEY である Command キー + Shift キー + 9 を片手 で 打つことができるようになる。もっとも、両手を使ってそのキーを押す ことに慣れるか、Rick Holzgrafe 氏作の貴重なシェアウェアツールを使う ために別の FKEY ナンバーを使うかのどちらかになるだろうと思っている。 (今のところほとんど全てのメールを PowerBook 経由で送っているし、ま た SignatureQuote を諦めることは できない 。)
<http://www.opendoor.com/Rick/SQ.html>
トラックパッドは、クリック用ボタンが付いているが、今までほとんど使っ たことがない。Apple が早い段階で採用したトラックパッド用のタップ、 ダブルタップ、ドラッグの機能をがその代りを務めてくれるのだ。この手 の機能は変更可能なので、物理的なボタンを使ってクリックするほうが良 いという人はオフにすればいいし、パッドでのドラッグは行いたくないが、 タップ機能は欲しいという人も大丈夫だ。
使い易さ -- PowerBook 1400 の前面にある二組のベイは、最近ではお 馴染みのリストレストの下にある。一方にはバッテリが、もう一方には、 取り替え可能な CD-ROM かフロッピーのドライブが入っている。フロッピー や CD-ROM のドライブがリスタートしなくてもいつでも交換できるように すべきだと苦情を言わなければならないのではと思っていたが、その必要 はなかった。この二つのドライブは“即時交換可能”で、マシンがついて いようが、消えていようが、寝ていようが、いつでも入れたり、交換した りできるのだ。(ドライブをはずした時点で CD やフロッピーがマウント されていたら、マシンは、もう一度ドライブを元に戻して、アンマウント してからやり直すように指示してくれる。)
この先、PowerBook 1400 用の他のモジュール(DAT ドライブや DVD ドラ イブの類の記録用のデバイス)が登場しても驚かないだろう。相当遅れて いる Zip ドライブモジュールも“1997 年第 2 四半期”に VST Technologies 社がリリースする予定になっている。
一方、コンピュータ左側面の Type II PC Card 用ツイン・スロット(旧 PCMCIA スロット)は、33.6 Kbps モデムと 10baseT Ethernet の両方の能 力を提供する Global Village 社の PowerPort Platinum Pro や Dayna 社 の CoomuniCard Plus と問題なく動作し、私の通信ニーズを満足させてい る。これ等のスロットはハードディスク用ストーレジとしても使用でき、 モデムまたは Ethernet のタスクはコンピュータの内蔵拡張スロットにあ てることができる。
当該拡張スロットは、コンピュータの後部でスピーカー・グリルの下に位 置し、アクセスや使用が信じられないほど容易となっている。私は、左に スライドさせるとスピーカー・グリルが取り外せることがわかるのに、私 のビデオカードについてきた説明書を読む必要があったが、残るインストー ル手順は全く自明なものであった。小さなプラスのねじ回しが必要なだけ で、私の専門的な T-8 と T-10 ねじ回しを時代遅れのものにしてしまっ た。(それらは初期 PowerBook モデルの中に入り込むのに必要であった。 そして出る時にはちょっとした運も。)
私はビデオ出力と Ethernet が共にオプションである事に驚いた。しかし、 全てのユーザーが使うわけではない機能で PowerBook をぎゅう詰めにする のを避けたいという Apple の考えは理解できる。もし両機能が PC Card を使用せず内部に追加する事ができたのであれば、私はそうしたであろう。 だが、私は内蔵ビデオと Ethernet 用 PC Card を有する事で良しとしよう。
私の唯一の使い易さの面での苦情は、PowerBook 1400 が、スリープ解除ま で、20 秒から 1 分、平均すると約 30 秒と、私の好みに合うにはちょっ と時間がかかりすぎることである。これはゼロから起動するよりはずっと 速いが、ほぼ瞬時であるべきだ。最近のコンピュータが、最も初期の PowerBook より、スリープ解除までにもっと多くの事を行う必要がしばし ばあるが、それ等のタスクをもっと速く、又は、逐次にではなく多分同時 に実行できるべきである。
バッテリ -- Apple の 500 シリーズの PowerBook は、巧みに 2 つの バッテリを同時に使用することを可能としていた。一つのバッテリはオプ ションの PC Card ケージで置き換えることができた。CD-ROM とフロッピ ・ドライブ用に設計されたベイにスペア・バッテリを収納できるのだが、 驚くべきことに、そのバッテリを使用することはできない。
直列配置した 2 個のバッテリは、順番に 2 個のバッテリを使用するより も長持するので、このベイにバッテリ接点を設けていれば有用であったろ うに。1 個のニッケル水素バッテリで 2〜4 時間とされているが、CD また はフロッピーへの時々のアクセスおよび快適なレベルでのカラー・ディス プレイ・バックライティング、といった標準的な使用では 1 時間半まで持 つようである。勿論、ディスプレイの明るさを落としたりといった省電力 でバッテリは長持ちし、多分、2 時間さえ越すであろう。
サウンドとディスプレイ -- 1400c の明るく、魅力的な、11.3 インチの アクティブ・マトリクスのカラーディスプレイを考慮すると、短いバッテ リ持続時間はそれほど悪いトレードオフではないかもしれない。その 800 x 600 ディスプレイ(解像度は変更できない)は 16 インチ・カラーモニ タのディスプレイより若干小さいが、全く非快適となるほど小さくはない。 そして、画像は、目に見えるような分断線もなく、ディスプレイ全体にわ たってシャープである。
Apple の従来のビデオ出力可能な PowerBook で必要としたものと同じア ダプタ・ケーブルが付属するオプションのビデオ出力カードは、様々なモ ニタと 3 万 2 千色(16-bit color)までの表示をサポートしている。
サウンドは PowerBook 1400 の主要な特徴ではないが、能力的には妥当な ものである。マシンにはディスプレイに内蔵されたモノラルのマイクロホ ンと、オーディオ CD には適切でない小さなモノラルのスピーカが組み込 まれている。しかし、コンピュータ背面のオーディオ・ジャックはステレ オ・ヘッドホン、電池仕様の外部スピーカ、又はスピーカ装備のモニタを サポートしている。
評決 -- Apple の PowerBook 1400 は兄貴分にあたる、3400 のようなパ ワー・ハウスではないが、3400 の値札もつけてはいない。117〜133 MHz のスピード、ストーレジ、ビデオと拡張オプションの幅、及び十分な標準 装備で、Macラップトップをリーズナブルな価格(構成により 2,500 〜 4,000 ドル)で必要とする人たちにとって良い選択である。1400 に関する 更なる情報は、 TidBITS-350 の Geoff Duncan の概観記事を参照のこと。
DealBITS -- Cyberian Outpost では、PowerBook 1400 か 3400 を購入 すると、TidBITS の読者に、Aladdin 社の Spring Cleaning 1.0 と FWB Software 社の HSM Toolkit 1.0 を無償で提供している。
<http://www.tidbits.com/products/power-books.html>
by Marc Bizer <mlbizer@mail.utexas.edu>
(翻訳:高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)
新しい PowerBook を試せるシードされたサイトに選ばれたのは、過分なる 喜びであった。これは、コードネーム Hooper の名で待望されていたマシ ンで、Apple 社はこれを PowerBook 3400 として 97 年 2 月 17 日に出荷 を開始した。どうして Hooper と命名されていたのかについてはわからな いが、それは、これまで他のどんなポータブルコンピュータもそうではな かったのに比べ、このラップトップはあらゆる命令に従うのだ、という意 味なのだろうか? 私にわかっていたことといえば、とにかく Apple の最速 ポータブルを試してみたかった、ということだ。
<http://product.info.apple.com/productinfo/datasheets/pt/pb3400.html>
総合的な印象 -- 箱から本体をを取り出し、そのディスプレイを開いて みて、12.1 インチの黒いスクリーンが、PowerBook 540c の 9.5 インチに 比べ、なんと大きいことかと驚いた。体で感じた最初の印象は良いもので あった。すなわち、アクティブマトリクスのスクリーンはとても明るく鮮 明であって、800 x 600 の解像度で 16 ビットカラーを表現でき、またキー ボードはちょうど良い感触だ。3400 は大きくした 5300 のようだが、その 本体はもっと頑強に感じられる。それに触れ眺めるのが心地良いのだ。マ イクロフォンジャックとサウンド出力ジャックが本体の左側面に配置され たのはとても便利である。一方、ADB ポートが左側背面に配置されたのは、 右利きのユーザーがマウスやテンキーをつなぐには不便そうで、それで良 いとは言い難いものだ。PowerBook 3400 は敏速なマシンであることがわ かって、これはビデオ周りを除いてほぼ 8500/150 クラスと言える。本体 備え付けの 6 倍速 CD-ROM からスピーディーにソフトウェアがインストー ルされる。批評家たちは PowerBook 3400 が 7 ポンド以上の重量があると 不満を述べているが、しかし私にはキャリーケースに入れた状態で PowerBook 540c よりも軽く感じられて、これは恐らく電源アダプタが 540c のそれよりも軽いためだろう。
ひとつ残念なことは、スリープを解除するのに要する時間である。170 の ときから、私は PowerBook のスリープ解除にはいらいらするほど長い時間 がかかると思っていたが、3400 も例外ではなかった。理想を言えば、解除 はほとんど瞬時に行われるべきだ。Apple のエンジニアたちはこの点で今 も努力しているとのことである。
モデル構成 -- PowerBook 3400 は 4 つのモデル構成となっていて、そ のうち 3 つはすでに出荷されている。まず最初に、180 MHz で作動する PowerPC 603e 搭載の 2 モデルがある。その 1 つは、4,500 ドルのベー シックモデルで、これには優れもののイーサネット/モデム両用カードと 3400 の拡張ベイに装着する 6 倍速 CD-ROM ドライブが付属しない。両モ デルとも 1.3 GB の IDE ハードディスクを内蔵する。2 つ目の 180 MHz モデルは、価格がほぼ 500 ドル高いもので、CD-ROM とイーサネット/モ デム両用カードが付属してくる。
およそ 5,500 ドルで、Apple は 200 MHz 603e 搭載、同じ CD-ROM とイー サネット/モデム両用カード付属、2 GB のハードディスク(180 MHz モデ ルの 1.3 GB のものよりいくらか高速)内蔵の 3400 を提供している。最 後に、Apple は 4 月に究極のハイエンド・ノートブック、12 倍速 CD-ROM ドライブ、3 GB ハードディスク搭載の 240 MHz 3400 をおよそ 6,500 ド ルの価格で出荷する予定である。換言すれば、これらのマシンは安くはな いのである。
これら全てのモデルには、マザーボード上に 16 MB の RAM がはんだ付け され、また重ね装着できないメモリ用スロットが 1 つ開けられている。こ のスロットには 128 MB までのメモリカードを装着することができ、これ により 3400 の最大メモリ搭載量は 144 MB となって、これは PowerBook 1400 の 2 倍以上である。
組み込みのイーサネット/モデム両用 PCI カード(ベーシック 180 MHz モデルを除く)が唯一の PCI スロットを占有することから、サードパー ティーの PCI ボードを装着したい人はモデムを取り外さなければならない だろう。ただ、いったいいくつのサードパーティーボードが 3400 のミニ チュアのような PCI スロット用に開発されるのか、と訝しがる向きもある だろう。何故なら、それは PCI ではあるものの、標準的なサイズではない からだ。
ハードウェアの特徴 -- PowerBook 3400 は、7500 / 8500 / 9500 デス クトップ PCI Power Mac の基本アーキテクチャーを使用している。すなわ ち、プロセッサとメモリ間に 64 ビットのデータバス(と 40 MHz のバス スピード)、256K の高速 2 次キャッシュを持ち、I/O には DMA(Direct Memory Access)が使われ、ただ 1 つのシリアルポートは GeoPort であ り、そして PowerBook では初めて Intel プラットフォームでは一般的と なっている高速 EDO(Extended Data Output)RAM が使われている。ハイ エンド PC ノートブックでよく使われている Chips & Technologies 社の ビデオチップは、特定操作の QuickDraw アクセラレーション(矩形のコ ピーとペースト)を提供する。下段 PC カードスロットは“ズーム”ビデ オカードに対応しており、このカードで 3400 のビデオハードウェアに直 接アクセスできるようになって、これによりフルモーション・フルスクリー ンのビデオが可能となる。
4 つの内蔵スピーカがもたらす音質は良くも悪くもない。音楽の再生には そのサウンドは安っぽくて、低音の響きというものがないが、一方、マル チメディアのプレゼンならばほどほどに良く、またヘッドフォンを使えば この欠点はほとんど気にならなくなる。
設計 -- その内部アークテクチャーは比較的古くなってしまった 5300 や 1400 のそれよりもはるかに進歩している一方で、3400 の工学的な設計 はいくつかの重要な点で 1400 のものに遅れをとっている。一例を挙げる と、1400 では Apple はトルクスドライバの使用をやめ、メモリ、拡張カー ド、そしてハードディスクに完全にかつ簡単に手が届くようにしている、 などだ。
使用感 -- 2 か月の間、1 日に少なくとも 7 時間以上 PowerBook 3400 を使用してみたが、何の問題もなくほとんどクラッシュすることもなかっ た。これはハードウェアの強健さと System 7.6 の安定性の証明である。 バッテリの駆動時間(リチウムイオン・バッテリを使用する)は、比較的 厳しい条件(すなわち、RAM ディスクを使わず、PowerBook コントロール パネルでバックライトの減光を完全にオフにして“処理能力を優先”を最 大に設定し、イーサネット接続を行い、ただし CD は使用しない、という もの)の下であっても約 2 時間であり、これは優秀とまではいかなくても 十分なものだ。イーサネット/ 33.6 kbps モデム両用カードは、差し込ま れているのが普通の電話ケーブルなのかイーサネットケーブルなのかによっ て、モデム機能とイーサネット機能とを自動的に切り替える。また、3400 は、ドングル状のアダプタによって、モデム及びイーサネットの両方の接 続が同時にできるようになっているのだ。3400 に関する Cary Lu 氏の Macworld レビューによって、このマシンは冷却ファンを内蔵する Apple の最初の PowerBook なのだということを知った(Apple の仕様書には記載 されていない)。これは意外であった。何故なら、実際肌寒いパリの図書 館ではありがたいことだった(Apple はこのアイデアを Saab 社の車から 拝借したのだろうか?)が、トラックパッド左側のパームレスト部が非常に 加熱することがあったにも関わらず、使用した 2 か月の間中、冷却ファン は一度も作動しなかったと確信しているからだ。
<http://www.macworld.com/pages/april.97/Feature.3382.html>
<ftp://ftp.apple.com/devworld/Technical_Documentation/Developer_Notes/
Macintosh_CPUs_-_PPC_Portable/Macintosh_PowerBook_3400.sit.hqx>
機能についてもっと -- Rockwell 社の 288 チップをベースとする 3400 のモデムは、高い信頼性(インターネット接続中に 2 回不注意から電話の 受話器を上げてしまったが、接続が切れることはなかった)と良いパフォー マンスを提供している。モデムにはフラッシュ ROM がないため、今後の 56K テクノロジーへはアップグレードできないだろう。(バンドルされる) AppleFax か FaxSTF ソフトウェアのどちらででも使用可能である。
3400 は外部 SCSI バスにアクティブターミネーションを施した最初の PowerBook だと理解している。そしてこのことは、ユーザーが従来の PowerBook で SCSI 機器を不適切にターミネートしてしまうことで経験し てきたある種の“敏感さ”からの解放をもたらすのだ。私自身は、問題な く Iomega 社の Jaz や外付け用 Apple CD 600e CD-ROM を 3400 に接続で きた。
3400 はビデオミラーリング、つまり PowerBook のディスプレイを外部モ ニタや恐らくはオーバーヘッドプロジェクタを通した大きなスクリーン上 に映し出すことができる。3400 は外部モニタ上で 1024 x 768 ピクセルを 扱えるが、しかしこの場合 256 色までしか表示できない。これはこのよう なハイエンド・ラップトップを必要とする人々には容認し難い低さかもし れない。3400 にはもっと、少なくとも 2 MB の VRAM が必要で、これはハ イエンド PC ラップトップでは標準になりつつある搭載量だ。残念なこと に、3400 はミラーしないモードで 2 つのモニタを扱うことができず、こ れは多くの PowerBook 3400 所有者をきっと寂しがらせるだろう。
適切な考え -- ビデオサポートに顕著なように、いくつかの機能を欠い てはいるものの、3400 は“パワー”ということばで強調するに申し分ない PowerBook である。それは、私が今まで試したなかで、最も使い心地が良 くて使用に適したラップトップである。悪い知らせといえば、私がこれを 購入するには車を売らなければならないということだ。
DealBITS -- Cyberian Outpost 社は、TidBITS の読者に対し、 PowerBook 1400 か又は 3400 の購入に際して Aladdin 社の Spring Cleaning 1.0 と FWB Software 社の HSM Toolkit 1.0 のコピーを無料で 提供してくれている。
<http://www.tidbits.com/products/power-books.html>
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