TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#375/14-Apr-97

Macintosh のソフトウェアセールスは上向き? それとも下向き? この重要 な質問にゲストライター Matt Deatherage 氏が詳細なレポート。そのほか 今週は Claris 社と Qualcomm 社が email クライアントをアップデート、 FreePPP 2.5v3 発表される、Info-Mac は引っ越し作業を継続中、Crack A Mac チャレンジ終了の顛末、そして Adam は TidBITS 誕生 7 周年にまつ わる感慨を述べる。

目次:

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TidBITS 日本語版は TidBITS 日本語版翻訳チーム メン バーのボランティアによって翻訳・発行されています。


今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/14-Apr-97

(翻訳:小川 浄 <HGB00351@niftyserve.or.jp>)

FreePPP 2.5v3 パッチ -- Steve Dagley 氏と FreePPP Group は FreePPP 2.5v2 を 2.5v3 へアップデートする容量 36K のパッチプログラムをリリー スした。これによりオリジナル MacPPP のコードに長い間潜んでいたひど いバグが解消される。このバグによって通信量が激しい場合 FreePPP がク ラッシュしたりハングしたりしていた。FreePPP2.5v2 を使用している読者 はアップデートを行なうべきである。 [ACE]

<ftp://ftp.tidbits.com/pub/tidbits/select/free-ppp-25v3-patch.hqx>

Info-Mac 復活の日は近し -- Info-Mac のカムバックについて不安をい だいている読者はいるだろうか? 心配ご無用、その日は近い - 運営者たち は重要なスクリプトや Unix の設定がもれなくきちんとセットアップされ るよう懸命の作業を続けている。ファイルは残らず sumex-aim から移動さ れており、新規のマシン(数年前に AOL から贈呈を受けたもの)は正式に マサチューセッツ工科大内で稼動している。うまくいけば Info-Mac は来 週中くらいにはオンラインに復帰する可能性もある。そのときまで新規ファ イルをアーカイブに送付するのは遠慮していただきたい。引っ越し最中に 到着したファイルは再送付が必要になる可能性がある。[ACE]

Emailer 2.0 リリース -- 先週 Claris 社は Emailer 2.0 をリリースし た。Emailer 2.0 は大幅に改良されたインターフェースと数々の画期的機 能の搭載をうたっている。もっとも重要な改良は、新 Emailer は(ばらば らのファイルではなく)データベース形式でメッセージを蓄積する点であ る。その結果ばらばらのファイルの場合に比べて消費される諸ディスクス ペースを大幅に節約する。新 Emailer の Mail Action は以前より強力で、 強化されたフィルタオプションを提供し、そしていまや階層 File Cabinet フォルダもサポートしている。初期バージョンからアップデートする場合 は、必ずインストール説明書を注意深く読んで既存のメールがきちんと変 換されたかどうか確認しよう。Claris 社では容量 4 MBの Emailer 2.0 試 用バージョンを用意している。 Claris -- 800/544-8554 [JLC]

<http://www.claris.com/products/claris/emailer/site/>
<ftp://ftp.claris.com/pub/USA-Macintosh/Trial_Software/ ClarisEmailer2.0Trial.bin>

Eudora 3.1 リリース -- Claris Emailer 2.0 にきびすを接して Qualcomm 社はバージョン 3.1の Eudora Light と Eudora Pro をリリース した。両バージョンの目玉は階層 Mailbox ウィンドウである。階層 Mailbox ウィンドウによってメッセージのドラッグ ドロップが可能とな り、メールボックスへのアクセスは素早くでき、メールボックス階層の操 作が簡単になっている。Eudora Pro 3.1 にはスタイルによって整形したテ キストをメッセージに付け加える作業を容易にするツールバーが採用され ている。さらにメッセージウィンドウでの添付グラフィックの表示と「パー ソナリティ」をサポートしている。パーソナリティとはインターネットの 複数の電子メールアカウントのメール送信/受信をひとつの Eudora Pro で 行なう機能で、たくさんの電子メールアカウントを所有しているユーザに ぴったりの機能である。それでも Eudora Pro を複数のユーザがそれぞれ 別個の Eudora フォルダに Eudora Setting ファイルを設定して運用して いる場合、現状の使用法のまま使いつづけたいと望むように思われた。 Eudora Pro のアップデートは無料で、一方 Eudora Light は依然として完 全にフリーである。Eudora Pro のアップデーターは容量 1.7 MB、Eudora Light 3.1 は容量 2 MBである。 [ACE]

<http://www.eudora.com/>

クラックせず -- 2ヵ月にわたってスウェーデンで開催された Crack a Mac チャレンジを TidBITS-365 で紹介した。標準的 Mac OS Web サーバ 上の Web ページの中身を変更できた者に現金をプレゼントするというチャ レンジである。賞金は最終的に 13,000 ドル以上にまで上昇したが、挑戦 は数々あったものの締切りの 4 月 10 日までに賞金を請求した者は皆無 だった。チャレンジ主催者は競技結果の要約と、競技用サーバに施された さまざまな試行錯誤についてポストしている。それには主催者自身に Web ページを変更させようとした、人間関係を利用した、賢い(そして愉快な) 目論見も含まれている。[GD]

<http://hacke.infinit.se/resumeng.html>


TidBITS 7.0

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

TidBITS は今週で創刊 7 年を迎え、我々もインターネットでは相当の古株 になってしまった。TidBITS のことをまだ余り御存じない(大多数の)方々 のために、今回の記念日を機に少しご説明しておこうと思う。1990 年の 4 月 に、Tonya と私が HyperCard 形式の TidBITS 創刊号をインターネッ トに登場させ(第 99 号までは HyperCard 形式で発行したが、その後は setext に変更した)、以来、週刊で発行し続けている。その間、Apple 社 の最高経営責任者が交代し(Sculley 氏、Spindler 氏そして Amelio 氏)、Apple 社の景気も目まぐるしく変り、数え切れないほどの Mac が登 場し、Macintosh クローンが生まれ、インターネットが勢いを増し続け、 World Wide Web が成長し、Java が台頭し、そして、WordPerfect 社、 Aldus 社、Borland 社、Ashton-Tate 社、Lotus 社のような業界の大物達 はそれぞれの盛衰をたどった。

TidBITS が創刊された頃とは世の中は全く変わってしまったのだとおっしゃ る方がいるだろうし、多くの点でそれは事実だろう。なんと、昔のエープ リルフールの冗談で、現実になってしまったものもある(例えば、 TidBITS-052 )。だが、あらゆるものが加速度的に変化し続けると同時 に、あらゆるものが昔とほとんど変わらずにあり続けているとも言うこと ができるのだ。Microsoft 社は、相変わらずコンピュータ業界で幅を利か せている。Apple 社は、未だに時としては不当なまでにマスコミからいじ められている。Mac OS は、今なお最も学び易くかつ使い易いオペレーティ ングシステムである。Macworld Expo は、あまりにも毎回変化が無いので、 どの回で何があったのかを思い出すことができないぐらいだ。

数字で表す TidBITS -- TidBITS にも、この二分法(時には辞書に手を 伸ばさなければならないような単語をあえて使うことがあるが、勉強にな ると思っていただきたい)が入り込んでいるのだ。HyperCard 形式から変 更して以来、私たちは一貫して今の形式を堅持し、各号の本文が 30K を越 えないという非公式の制限を(特別号若干を除いては)確実に守っている。 TidBITS の読者数は、今なお破竹の勢いで増え続けている。我々の英語版 のメーリングリストには(当初は Rice 大学の御好意により、LISTSERV を 用いた IBM のメインフレーム上で動いていたが、現在は Power Mac 7100 に StarNine 社の ListSTAR を載せて動かしている)、1995 年 4 月には 約 19,000 人、1996 年 4 月には約 37,000 人、現在は 46,000 人ほどの 購読者が登録されている。TidBITS は、1995 年 4 月、65 ヶ国に向けて発 信されたが、現在その数は、106 ヶ国にも上る。その中には、2 年前には インターネットに繋がってさえいなかっただろう国もある(また、国とし て存在さえしてなかったところもある)。この数字に貢献したいという方 は、<tidbits-on@tidbits.com> 宛にメールを送ると TidBITS を購読でき る(もちろん無償で)ということを知合に教えてあげて頂きたい。

我々が毎週の実際の読者数をはじき出すことができないのは、再発信して いるリストがあったり、comp.sys.mac.digest ニュースグループのような とても追跡調査のできない人の出入りの多い場があるからだ。それでもな お、必要だと思われる限り多くの方法で発行するように常に本気で取組ん でおり、電子メール、FTP、Usenet ニュース、そしてもちろん Web 経由の 発行を今後も行っていくつもりである。TidBITS の最新号および既刊の各 号へのリンクについては、我々の Web ページで確認していただきたい。

<http://www.tidbits.com/>

トップ 7 -- 英語版の国別購読者数の上位は、米国、カナダ、日本、オー ストラリア、英国、ドイツ、スウェーデンである。我々のリストに登録さ れているインターネットプロバイダのトップ 7 は、AOL、EarthLink、 CompuServe、Netcom、MindSpring、Northwest Nexus、ATT WorldNet。リ ストにあるプロバイダ以外の会社のトップ 7 は、Apple 社、Motorola 社、 Hughes Aircraft 社、Microsoft 社、DuPont 社、McDonnell Douglas 社、 Schlumberger 社。教育関係のトップ 7 は、Minnesota 大学、Stanford 大学、Michigan 大学、Cornell 大学、Washington 大学、Texas 大学、 Harvard 大学である。

数年にわたる我々の業績の中で最も誇れることは、全期間を通してきちん と毎週発行し続けていることだと個人的に思っている。当初、紙の出版物 と比べタイムラグが短い情報を週刊で流していたので、情報の速いコン ピュータ関連報道誌の中でも群を抜いていた。近ごろは、文章がなってい ない調査不足のニュースが日々押し寄せて来るようになり(Matt Deatherage 氏の MDJ と Ric Ford 氏の MacInTouch は、例外中の例外で ある)、避けるのも難しいぐらいである。我々は、ただ単にニュースを報 じるだけとういう行為を避け、その代わりに、読者の方々が全貌をもっと ちゃんと理解できるように、状況説明や分析も伝えるようにしている。そ して、役に立たない情報で読者の頭をかき乱したくないということを理由 に、時には取り上げない事柄もある。それが、情報の垂れ流しではない、 出版物のあるべき姿だと思っているのだ。

<http://www.gcsf.com/>
<http://www.macintouch.com/>

財政 -- 今まで TidBITS を無償で発行し続けていることは、喜ばしい限 りである。TidBITS のお陰で金持ちになったということはないが、損失は まだ一度も出していない(収益報告をお知りになりたい方のための情報: 我々の昨年の純益は Apple よりも 9 億ドル多かった)。TidBITS はおお むねスポンサー収益で成り立っており、これにより、Technical Editor の Geoff Duncan と Managing Editor の Jeff Carlson を雇うことができて いるのだ。彼らの協力が無かったら、我々が重視している質を保ったまま 発行日を守り続けるということは無理であろう。TidBITS は理想の高い事 業である一方、ビジネスとしても成り立たなければならない。

我々がスポンサーを持つようになった 1992 年の 7 月は、まだ Web が登 場しておらず、インターネットでの広告に至っては、今日のように当たり 前のものになるどころか受け入れられさえもしなかった時代だったという のはなかなか興味深い。初期の頃我々のスポンサーになってくれたところ には、買収されてしまったり、跡形も無くなってしまっているところも少々 あるが、現在のスポンサーおよびかつてのスポンサーの大方が、熱烈な Macintosh および インターネット支持者ということで知られている。Nisus Software 社、Dantz Development 社、APS Technologies 社、Northwest Nexus 社、PowerCity Online 社、Hayden Books 社、InfoSeek 社、Power Computing 社、America Online 社、EarthLink Network 社、Aladdin Systems 社、Small Dog Electronics 社、そして最も新しいスポンサー StarNine Technologies 社が、そういったスポンサー達だ(登場順)。

Macintosh またはインターネット関連会社で、TidBITS のような質の高い 無償の情報提供のスポンサーになり、毎週数十万人の読者の目に触れたい とお思いになるなら、Tonya <tonya@tidbits.com> まで連絡を取っていた だければ、詳細をお知らせする。Apple 社や Claris 社がそのうち我々の スポンサーにならないとも限らない。

翻訳 -- 1996 年は、各国語に翻訳された TidBITS が登場した年であっ た。日本語版チームは、 TidBITS-281 以来頑張ってくれているが(彼ら 独自のメーリングリストには 8,600 人以上の購読者が登録されている)、 それ以外の 5 つの言語の翻訳チーム(中国語、オランダ語、フランス語、 ドイツ語、スペイン語)は、基本的に 1996 年に登場した。様々な国の人々 にとってタイムリーな情報の数少ない発信地の一つとして我々が古くから 存在し、国際的な視野を持ち続けるようにしていることで、6 ヶ国語の翻 訳版を発行できるということは、光栄の至りである。例のごとく、時々記 事を翻訳して、ボランティアの翻訳チームに貢献したいという方は、我々 の Web サイトで、担当のコーディネーターの連絡先を確認していただきた い。翻訳作業に協力して下さる方をお待ちしている。

<http://www.tidbits.com/about/translations.html>

補足文献 -- TidBITS 史に関心を持って、今までの記念号を覗いてみよ うかと考えている方がいるかもしれない。その場合は、 TidBITS-001TidBITS-120TidBITS-173TidBITS-222 (一番詳しく書かれてい る)、 TidBITS-273TidBITS-324 をご覧頂きたい。TidBITS が各号 ごとにオンラインで入手可能になっていることは我々の自負するところで もある。これを実現するためには、2 度変換を行わなければならなかった。 最初は、私の妹の Jennifer Engst が 1992 年に行った、創刊号から 99 号までの HyperCard から setext への変換。2 度目は、1996 年末に TidBITS の寄稿ライターである Matt Neuburg が行った、275 号までの setext のものの HTML への変換だった。お陰で、我々の Web の存在を実 りあるものになった。我々の Web サイトからそれぞれ入手可能になってい るので、御利用頂きたい。

<http://www.tidbits.com/tb-issues/>

終わりに、TidBITS が、今年プライム(2 や 3 で割り切れない素数)の年 にプライム(全盛)を迎えているのだと実感している。4 年後に来る次の 素数の年に、まだ発行し続けているかどうかは分からないが、中止の計画 はない。


悲観論をよそに Mac ソフトウエア売り上げ上昇

by Matt Deatherage <mattd@gcsf.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)
(  :松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>)
(  :村上 浩 <murasan@yk.rim.or.jp>)

メディアは数字を持ち出すのが大好きだ。それが特に Apple 社のすみやか な没落を意味するような場合には。しかし、メディアが報道する数字は一 般に信じられているよりも不正確なことが多い。たとえば、Software Publishing Association(SPA)はソ フトウエアの売り上げを定期的に集 計しており、去年、1995 年における Macintosh 用ソフトウエアの売り上 げは約 14 % 落ち込んだと報告した。ところが、SPA は毎年集計結果を 2 回発表する。一回目は翌年に入ってから約 3 ヶ月後の暫定結果、2 回目は 1 年後の最終結果である。この 14 % の落ち込みは 1995 年の暫定結果の 数値で、1996 年が終わった今、SPA は1995 年の最終結果を発表したが、 それによると Macintosh 用ソフトウエアの売り上げは実は 24 % 伸びてい たのだ。あれ ? というわけで、SPA がどのようにして情報を集めており、 それがどういうことを意味するかについて見ていこう。

SPA とは? 最近発表された数字は SPA が継続して行っている売り上げ調 査に由来している。SPA は非営利団体で、ソフトウエア業界にとって重要 な問題に対し、政府や経済界が認識を深めるように働きかけることを目的 としている。過去に SPA が取り上げた問題には、広汎な違法コピー防止運 動、ソフトウエアに有利な法令の制定のための議会へのロビー活動(関税 や輸出管理への反対、暗号法の推進など)、生徒がインターネットについ て学べるようにする“Cybersurfari”コンテストなどの教育活動がある。

SPA の会員がビジネス上の目的を達成するために業界団体である SPA を使 おうとするのは自然なことだ。というわけで、SPA 会員を対象にしたソフ トウエア調査はソフトウエア業界が繁栄しており、投資や就職に適した場 であることを世界に示すために存在しているということもできる。そうで はあっても、SPA は不景気な結果を発表することをためらったりはしない。 たとえば、12 月に発表された最新の調査結果では、1996 年の 第 3 四半 期にソフトウエアの売り上げが全体的に落ち込んだことが示されていた。 だが、前年の売り上げは Windows 95 の発表と関連ソフトウエアのために 異常に高かったことを指摘して、できるだけ体裁を繕う努力をしていた。

SPA の調査に参加している会社は、OS ごとに 17 に分けられたカテゴリに ついて売り上げ合計を報告する。締め切りは各四半期が終わって約 6 週間 後となっている。SPA は結果を集計し、約 3 週間後に大きくて詳細なス プレッドシートとして調査に参加した会社に送り返す。その 3 〜 4 週間 後、SPA は調査結果をメディアに発表するが、調査に協力した会社に対す るよりははるかに情報は少ない。

<http://www.spa.org/research/default.htm>

調査の欠陥 -- この調査方式は一見妥当に見えるが、実は欠陥がある。

速いが不正確 -- しかし、最大の問題点は調査結果の精度にある。この ことは過去何年もの間、SPA 自身によって示されてきた。会社によっては SPA が必要とするデータを締め切りまでに用意できないため、提出しない。 1 〜 2 ヶ月後にそのデータが揃ったら、その時点で SPA に提出し、SPA は調査結果に取り込む。で、同期間における数値が必要になったら、改訂 されてより正確になったとされる数値が使用される。

可能な限り正確な情報を使うのは理に適っていると SPA は言う。しかし、 ここ数年の間、暫定結果と最終結果にはとてつもなく大きな開きが見られ るのだ。ここで SPA はつりあいの取れないことをしてしまう。速いが不完 全な結果(私の言う“暫定”結果)を一年前の、はるかに正確な数値(私 の言う“最終”結果)と比較するのだ。

一部の例外を除いて、Macintosh ソフトウエアの売り上げは暫定結果より も最終結果の方が高い数値になっている。しかも多くの場合は大幅に高い。 暫定結果と最終結果を比較するということは、そもそも比較の対象になら ないものを持ち出してきて比べているということになり、その結果 SPA は 不正確かつ大きな誤解の元になる数値をはじき出すのだ。

1995:良い年 -- それが、我々が、1995 年のソフトウェア販売結果から 見てとることである。SPA は数字を 2 度公表することを思い出して欲しい - 年が明けて約 3 ヶ月後の暫定数値と、比較のベースになる一年後の最終 数値である。今、我々の手元に、1996 年度の暫定数値との違いを見るため のベースとして、SPA が使用している 1995 年度の最終数値がある。

SPA の 17 のカテゴリーの幾つかでは、暫定結果と最終結果の間にほとん どまたは全く違いがなく、当初の報告が相対的に正確であったことを示し ている - ワープロ、表計算、データベース、統合ソフトおよびプレゼン テーション用グラフィックスは全て、4 % またはそれ以下の修正であった。 しかし、ほかのカテゴリーでは大きな訂正があった。Macintosh 用ユーティ リティの販売は SPA が一年前に報告したものの倍で、ドローとペイント、 個人情報管理、および家庭教育のカテゴリーでも同様の増加があったと、 信じられている。全体では、Macintosh 用ソフトウェアの販売は、1995 年 度として当初報告されたものより 44.2 % 高かったと、現在、SPA は信じ ている。

一年前、SPA が 1995 年度の暫定結果を公表したとき、Macintosh 用ソフ トウェアの販売は 1994 年度の最終数値より 13.9 % 落ちたと報じ、 Macintosh 用ソフトウェアの市場シェアが 1994 年度の 18 % から 14 % に下落したことを示唆した。1995 年度の最終数値が明らかとなった今、 1995 年度の Macintosh 用ソフトウェアの販売は実際には 24 % 増えたこ ととなった。

不幸なことに、それでも Mac OS 用ソフトウェアは市場シェア 15.5 % に 下がった。それは販売が落ちたからではなく、Windows 用ソフトウェアの 販売が急速に増えたことによる - その年に Windows 95 がリリースされた ことから容易に理解できる。

1996:あやふやな年 -- SPA の最新の発表は、1996 年度の暫定数値を最 新の 1995 年度最終数値と比較している。その比較は、みんなが読むであ ろう主要な出版雑誌の報道内容 - 1996 年度の販売は 24 % の落ち込み - を表している。しかし、次のことを考えてみよう。もし、1996 年度の過小 報告が 1995 年度に起きた過小報告に類似すると仮定すればどうだろうか? 多分、2 つの暫定数値を比較(同じもので比較)すれば、本当は物事がど のように変化しているかについて、もっと良い判断を見いだせるかもしれ ない。

このような比較では、24 % の下落でなく、約 11 % の年間成長となる。こ れはもっと納得のいくものである。私がした他の調査では、Mac OS の市場 シェアは実際には 1996 年度の最後の期間で上昇しており( TidBITS-369 を参照)、ソフトウェアの販売が落ちていたにも関わらず、コンピュータ の販売が順調だったとは信じがたい。従来、新しいコンピュータの販売は、 新しいソフトウェアの販売を支える大きな推進力であった。新しいソフト ウェア - 特に主要なソフトウェア - は、新しいコンピュータと共に、ま たは新しいバージョンがリリースされた時に、最も購入されている。

興味深い事に、SPA の 1994 年度の暫定数値と一年前の最終数値は相互に 似たものであった - 約 3 % の範囲。SPA の暫定数値がどれだけ離れたも のかを理解するために、1994 年度と 1995 年度の違いを平均すると、暫 定数値は最終数値より約 21 % 下回っているという考えに到達する。その 考えを押し進めると、1996 年度の Macintosh 用ソフトウェアの販売は、 21 % の誤差範囲が、SPA が 1996 年度の暫定数値で報告している 24 % の 下落と完全にマッチしない分、わずかな下落を示したということになる。 だが、この「平均誤差」手法を信頼しすぎてはいけない - 1994 年度およ び 1995 年度の二つの誤差範囲はとても異なり、それらの平均に基づいた 如何なる推測も余り意味をなさないことを良く示している。

SPA の数値との過去の経験、並びに Mac OS 市場への理解から、私は、1996 年の最終数値は結果的に小さな販売増加 - Windows ベースのソフトウェア の大幅な増加とは全く異なる - となるであろうと思っている。1996 年度 は Macintosh 用ソフトウェアおよびハードウェア開発業者に困難な年で あった。少ないが意義ある数の顧客達が結果的に Macintosh プラット フォームに戻ってきたが、20 % から 30 % の増加は非現実的であろうと私 は思う。その年の Macintosh プラットフォームは 8 % またはそれ以下の 成長であったであろう。1996 年度にハードウェア市場は同様の穏やかな伸 びを示し、前述の「同じもの」での暫定数値の比較もその範囲内であろう。 今から一年後、SPA が最終数値を公表するまで、確かな事として知る事は できないが。

SPA は何故そんなことをするか? 昨年秋、この件について SPA の広報部 門の責任者である David Phelps 氏といろいろ話し合った。同氏とリサー チ部門の責任者である Jim Sanders 氏は、この過程についての私の説明内 容に間違いのないことを認めた。SPA は反 Macintosh の組織ではなく、そ れどころか職場のほとんどは Mac OS を使っている、と Phelps 氏は力説 していた。数値が下がったのを、その時点での最も正確な情報として、彼 等はその通り伝えているだけなのだ。

SPA が Macintosh に関してだけ事実を曲げようとしていないことは確かで あるが、奉仕すべきデベロッパーの利益よりも、調査した数字の方を重視 するという嘆かわしい傾向が明らかにこの組織にはある。上記の食い違い は、ほかの SPA カテゴリ、Windows(16 ビット版と 32 ビット版の両方) と DOS のカテゴリにもおよんでいる。ただし、これらの場合、違っている のは数値の大きさであって、正負の符号ではない。DOS 売り上げは暫定値 ・最終値ともにマイナス方向だが、暫定値ほど最終値の落ち込みは大きく ない。また、Windows の売り上げは暫定値・最終値ともにプラス方向だが、 最終値ほど暫定値の伸びは大きくない。Macintosh の売り上げだけは全く 正負が逆で、暫定報告では減少だったのに、最終報告では若干の増加になっ ているのだ。実際によくあるケースなのだが、SPA の最終報告での数値が 暫定報告した数値の 150 から 200 % ともなると、その暫定値によって深 刻な誤解が生じかねないのである。

したがって、これは SPA 側の問題なのだ。この組織は必ず決まった日程で 数値の発表を行っており、それが誤解を招く間違った報告に繋がっている。 報告をしてくる会員企業数の開示、報告をした企業が受け取る全ての調査 結果の開示、最初に発表した数値が無効である旨の宣言を SPA 側に求めた のだが、すべて拒否されてしまった。頑なな姿勢を崩さない SPA だが、泣 き所がひとつだけある。最新のプレスリリースで SPA は、アプリケーショ ンソフトウェアの全売り上げが初めて 100 億ドル(ただし、一年後の数値 はこれよりずっと大きいだろうと思う)を越えるに至った経緯を説明し、 1996 年の総売り上げは“訂正後の 1995 年の総売り上げ 98 億ドルから 8.3 % の伸びを示した”と語ったのだ(“訂正後の”というところに注目 して欲しい)。SPA は昨年のこの時期、1995 年の総売り上げを 75 億 3 千万ドルと発表していた。ここでも、25 % 近い誤差が生じているのであ る。

調査結果の数値が一年後に無意味になることを宣言すれば、ソフトウェア 産業界は健全だとする彼等の報告に報道機関や世間の人々は耳を貸さなく なるかもしれないと、この組織は心配しているようである。だが皮肉なこ とに、この同じ調査報告が Macintosh のソフトウェア市場に悪い影響を与 えているのだ。主な新聞・雑誌等でこの報告を読んだベンチャーキャピタ リストや投資家は、数値が訂正されていることも、“暫定”数値と“最終” 数値の違いについても全く知らないのである。数値は上り続けているのに、 売り上げは落ちているとしか SPA は発表しない。この矛盾点について宣言 すれば、年明けの 3ヶ月後では正確なデータは準備できないことも認める ことになる。彼等にそんな気は微塵もないようだ。

ただ、この状況が改善される見込みはある。Mac OS ハードウェアのマー ケットシェアは横ばいから上昇に向かっており、Apple Computer のマー ケットシェアとは別に Mac OS のマーケットシェアを調査する努力を大手 の調査会社は怠っていると MDJ が 1 月に報告( TidBITS-363 に転載) したところ、いくつかの調査会社が Mac OS マーケットシェアの調査に乗 り出した。結果、シェアが拡大していることが判明し、報道関係者を驚か したのである。この話に MDJ が一役買ったかどうかはともかくとして、一 度表に出た真実というのは自然と知れ渡るものである。その真実とは、不 幸に見舞われた年もあったが、Mac ソフトウェアのマーケットは SPA の暫 定数値が示すよりもずっと健全であり、またその状況が変わってしまう材 料もないということだ。科学的にサンプリング調査を行い、より正確にソ フトウェアの売り上げを割り出してくれる新しい組織が将来登場するかも 知れない。そうなれば、Mac OS テクノロジーへの投資の正当性をビジネス 界は正しく判断できるようになるだろう。

[この記事は、MDJ の許可を得て内容を更新、転載したものである。MDJ は Macintosh を対象とした日刊の出版物で、Macintosh 関連のニュースや製 品情報、イベント情報の記事を掲載している。洞察に満ちた Mac 関連の ニュースを入手したい方は、MDJ の体験購読に登録してみてはどうだろう か。97 年 4 月 1 日より前に体験用の無料購読をしていた TidBITS 読者 でも、再登録を受け付けているので、この出版物が去年のベータテスト期 間のものからどう変化したのかを確認することができる。詳細については、 MDJ の Web サイトを参照願いたい]

<http://www.gcsf.com/>


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