TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#380/19-May-97

3 月に検索エンジン決定戦のことをお伝えした。今週はまだ決闘後の煙も 消え去ってはいないが、最後まで勝ち残った者を発表する。そのほかの記 事としては、Apple 社の新しいカスタマーサポートのオプション、 Microsoft Internet Explorer の最新バージョン、Newton Connection Utilities 1.0 のリリース、CompuServe での TidBITS の配布を取り上げ ている。

目次:

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MailBITS/19-May-97

(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

新 Internet Explorer -- 先週 Microsoft 社は、嬉しい機能を幾つか備 えた Microsoft Internet Explorer 3.0.1 をリリースした。その中で特筆 すべきものは、Web サイトに変更があったかどうかを監視する機能、 AutoComplete と呼ばれる以前訪れたことのある URL を途中から代わって タイプしてくれる機能、クッキー、ユーザー名、パスワードを覚えておく サイトパスワード管理機能、ようやくメインのブラウザウインドウではな くダウンロードウインドウでファイルをダウンロードしてくれるようになっ た Download Manager といったところだ。また Internet Explorer 3.0.1 は、スクリプト言語である Netscape の JavaScript をサポートし、クッ キーを受け取るかどうか指定することができ、さらには、“go”または “?”に続けて検索語を入力すれば Address バーから直接検索できる AutoSearch が付いている。PowerPC と 68K Mac のそれぞれに対応したも のが用意されており、ダウンロードサイズは 3.3 MB から 12.3 MB であ る。 [ACE]

<http://www.microsoft.com/msdownload/ieplatform/iemac.htm>

CompuServe での配布縮小 -- TidBITS を CompuServe のフォーラムから ダウンロードするのが習慣になっている方は、その習慣を変える日がやっ てきた。TidBITS を CompuServe に直接ポストすることを中止しようかと 検討していたのだが、それは CompuServe のアカウントに直接メールで受 け取る方式の購読申し込み数が順調に増える一方で、CompuServe でのダウ ンロード数が落ちてきていることと、CompuServe Navigator が古く不細工 なうえに自動化を行うのが難しいということが理由であった。しかし、結 論が出たのは数週間前、ZiffNet/Mac 経由の我々の CompuServe のアカウ ントがパスワードを受け付けなくなった時である。TidBITS を CompuServe フォーラムに載せるのはまったく支障のないことなのだが、今後は私たち の手ではポストを行わないことにした。もし MACCLUB フォーラムにアップ ロードをしたいという方がいらっしゃったら、どうぞご自由に行っていた だきたい。CompuServe のアカウントをお持ちの場合は、 <tidbits-on@tidbits.com> 宛にメールを送って、我々のインターネットの メーリングリストに購読申し込みを行うのが便利だろう(CompuServe から の購読申し込みは現在 800 人を超えてる)。 [ACE]

Newton Connection Utilities 1.0 -- TidBITS-379 で David Gewirtz 氏が MessagePad 2000(および eMate 300)に付属している Newton Connection Utilities のベータ版に対する不満を漏らしていた。折しも Apple 社は、Newton Connection Utilities 1.0 へのアップデータをリリー スした。これは NCU 1.0b6 を 1.0 にアップデートするものである。Apple 社は、PDA とデスクトップマシンの同期を行うのにこのベータ版を使って いる人は、NCU をアップデートする直前に一度同期化を実行することを薦 めている。ダウンロードサイズは、4.8 MB である。 [ACE]

<ftp://ftp.info.apple.com/Apple.Support.Area/Apple.Software.Updates/US/ Newton/For_MacOS/Other_Newton_Updates/NCU_1.0_Updater.img.hqx>


Apple 社、サポート体制を改める

by Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
(翻訳:米谷 仁志 <comet@kk.iij4u.or.jp>)

ここ数年来、もしあなたの Mac にトラブルが発生したなら、フリーダイヤ ルの 800/SOS-APPL に電話すればよかった。しかし、先週になって Apple 社は電話による顧客サポートを複線化してきた。それは、Apple 社のサポー ト体制を業界の水準に合わせ、技術的なサポートにかかる高いコストを埋 め合わせようという意図からである。この変更は、突如行われたわけでも ないし、驚くべきことでもない。しかしそれでも、Apple 社がこの新しい 方針をどのように実行するのかどうか、という点ははっきりしない。ここ に示したのは、何か問題が生じて Apple 社に連絡する必要があるとして、 そのとき何を Apple 社に期待できるのか、についての簡単な報告である。 [この文章のほとんどは、アメリカのユーザーに対してのみ当てはまるもの である。これらの問題について疑問を持つ他の国の人に対して、この点を 謝らざるを得ない。- Tonya]

曲がりくねった筋道 -- この 2 月に、Apple 社は、Performa ユーザー に対する無料で、週 7 日間をカバーしていた 24 時間電話サービスを、 一日 12 時間、週 5 日に減らした。それにより、電話の本数がもっとも多 いこれらの時間帯に経営資源を集中させるためである。

そしてこの 3 月、Apple 社は当面の計画の基本的な部分を発表した。すな わち 96 年 4 月 1 日以降に Apple 社の製品を購入した顧客に対しては、 90 日間の無料の電話サポートが提供されること。この期間を過ぎて援助を 求める人は、別のサポートプログラムに導かれることになる。このサポー トプログラムには Technical Support Online と新たに設けられた有料の Apple Support Line(下の URL を参照)がある。しかし 97 年 5 月 15 日までは、この 90 日の期限について無理やりには適用してこなかったの である。

<http://www.info.apple.com/>

しかし、Apple 社は今、以下の 3 つの例外を除いて、3 月に示した方針に 固執している。その 3 つの例外は次の通り。一つは、教育関係者に対して は 800/SOS-APPL の電話番号による永久の技術サポートが提供される。そ して 93 年 4 月 1 日から 96 年 4 月 1 日までの間に購入された Apple 社製品、さらに 92 年 9 月 1 日から 96 年 4 月 1 日までの間に購入さ れた Performa 製品は例外となる。あとの 2 つのケースについては Apple 社製品のもともとの所有者が対象となる。

Apple 社の新しいサポート体勢は、4 つの主たる分野として組織される。 つまり、

AppleAssurance -- AppleAssurance はすべてのApple 社製品を保証の範 囲とし、一年間の、そして全世界で有効なハードウエアに対する保証と 90 日間の無料電話サポート(800/500-7078)がある。(サービスを受ける 場合には)製品に含まれる Support Access Number を提示しなくてはな らない。

<http://support.info.apple.com/support/supportoptions/appleassurance.html>

Apple Support Line - Level I -- 年会費 69.95 ドルで、新たに設けら れた Apple Support Line - Level I に申し込むことができる。(Level II があるようには思えないのだが)このサポートは、アメリカ国内の一台 の CPU とそれに取り付けられた周辺機器をカバーし、それを一年間または 10 回の問合せを上限としている。(一回の問合せとは、一つの特定の装置 に関係した、一つの原因へと制限することによって答えることのできる 質問を意味する。)電話サポートは、太平洋時間で月曜日から金曜日まで の午前 6 時から午後 6 時まで行われる。たとえ本意でなくともお金を支 払ったユーザーは、無料の Macintosh: Beyond the Basics CD-ROM を受け 取ることができる。Apple を通じての申込はフリーダイヤルの 888/APL-VALU(888/275-8258) 、または最寄りの販売店まで。

<http://support.info.apple.com/support/supportoptions/suptline/aplsupline.html>

AppleCare -- Apple 社の、より充実したサービスプログラムであり、同 じように一年間有効のハードウエアについての保証である。価格は、製品 やどのようなサービスを選択するかによって、例えば持ち込み修理か、出 張修理、あるいは mail-in サービスのうちどれを選ぶかによって異なる。 (例えば、私の PowerBook 5300cs の場合、持込修理で一年間に 240 ドル になる)

<http://product.info.apple.com/productinfo/applecare/applecare.html>

Support Professional -- サポートマネージャーやスタッフ向けとして 用意されたもので、この Apple's Support Professional option は、年会 費 2400 ドルから 3400 ドルであり、このサービスにはさらに充実した Tech Info Library を含むプライベート Web サイトへのアクセスやソフト ウエアのアップデート、すべてのアップル・ソフトウエアのディスクイメー ジ、そして PDF フォーマットによるマニュアルが付属する。また、隔月で サポート CD-ROM、四半期ごとにサポートに関するテレ・カンファレンスの 機会を提供する。

<http://support.info.apple.com/sp/supportpro.html>

AppleClub はどうなるのか? Apple 社のサポートサービスの最初の一種 の分岐物として現れたにもかかわらず、AppleClub はたんなる付加的サー ビス以上のものになっている。年会費 19.95 ドルで、会員はハードウエア ・ソフトウエアに関する特別割引や、プライベートサーバーを通じてのソ フトのアップデート、無料の CD- ROM、そしておそろくは、この特別なク ラブの一員だという仲間意識をを得ることができる。

<http://club.apple.com/>

Apple 社は、そのオペレーティングシステムを無料で提供してきたときか らするとずいぶんと変わってしまった。そして、Apple 社が損益の発表を する際にもテクニカルサポートは赤字の大元であるとは思っていた。それ でも、かつてはむしろ理想の会社の一つであったことの証しの一つがこう して少々でもなくなってしまうことは、悲しいことである。とりわけ、何 台かの Mac を持つ中小の事業所にとって、この新価格体系は不満なもので あろう。そして顧客のマシンに関して Apple 社に問合せをせねばならない 立場のコンサルティング業者には頭痛の種になるだろう。それでも、お金 をこうしてもらう以上は、Apple 社に対しては一律にすばやく、適正で、 そして顧客に優しいサービスを期待したいものである。


勝敗の行方は

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

まず最初に訂正を。TidBITS 杯検索エンジン決定戦のため検索エンジン開 発中は、機器構成を変更したりテスト用のマシンとして通常とは違うサー バーを使用したりするために複数の URL を出してきた応募者がいた。たと えば先週記載しておいた Glen Stewart 氏の応募作 WarpSearch の URL は、決定戦の期間中だけに設置された一時的なものであった。WarpSearch は現在下記の URL で見ることができるようになっている。

<http://associate.com/innovative/Glen_Stewart/About_WarpSearch.html>

先週号 TidBITS-379 「TidBITS 牧場の決闘」 では、応募作品すべてを皆さんに紹介し、今週号で 結果発表を行うと約束した。11 の応募作はどれも優秀で、絞り込むのは大 変な作業であったが、結局下記の 4 のエンジンが残った。

<http://38.254.39.13/tidbits_archive/>

<http://anacardium.bio.pitt.edu:8080/>

<http://www.gilbert.org/searchBITs.fcgi>

<http://17.255.9.121:8080/TidBITS.acgi>

審査基準 -- 応募作品の中の一つが取り分け抜きんでいればよかったの だが、あいにく思い通りにはいかなかった。そこで 4 つの応募作を比較す るために下記のような厳正な審査基準を幾つか設けた。

Apple 社からまだ究極のテレパシー機能拡張が出荷されていないため、以 下に記したコメントの中にはデベロッパーが簡単に手直しできるものも含 まれてしまっているだろう。その辺りのことを加味しつつも、原則として 現在ある通りのもので審査を行った。

さらに、私たちが 一般的に 最も優れている検索エンジンを選んだので はないということを念頭に入れておいていただきたい。私たちが選んだの は、TidBITS にとって一番必要な検索エンジンなのだ。これは検索エンジ ンに何を望むかによって異なってくることなので、Mac OS で動く検索エン ジンを作ろうとお思いの方は、このようなテクノロジーをもっと詳しく研 究して(先週号の記事をご覧になって、自分の目的にあった作品をチェッ クして)いただきたい。

使い易さ -- 検索エンジンが使い易いものでなければならないというこ とは当然のことであるし、そうでなければ誰も使おうとしないだろう。こ の基準は、次に登場する検索能力という基準と反目しあうことが多い。検 索能力のオプション数が増えるにつれてインターフェースや検索結果の表 示が複雑になってしまうのだから。Ethan の Phantom を使った作品は、ほ かの応募作品よりも多くのオプションがメインの検索ページについており、 使い易さが少々落ちる。AltaVista のインターフェースが好きで Web に精 通している人は、簡潔かつ上級の検索フォームを備えている Frontier と FileMaker を用いた Ole と David の作品に高得点をつけるだろう。Curt の Apple e.g. を用いた作品と Scott の WebServer 4D を用いた作品に は、ものすごく簡潔なインターフェースが付いていて素晴らしい。

応募作品はすべて記事単位で結果を出すものであった(Ethan は MailBITS もさらに細かく切り分けるようにしてあるのでポイントが上がる)が、Curt は、個々の記事にきり分けたファイルではなく、その記事を含んでいる号 の該当部分にリンクを張るようにしてある。このため、毎回 TidBITS 一号 分をまるごとダウンロードしなければならないのだが、その反面、対象に なっている記事の背景がつかめ、同じ号に入っている別の記事を簡単に見 ることができる。Ole と David の作品は、記事を切り分けている上に、私 たちの Web サイトにある既刊号も表示するようになっているが、これは、 独立した検索エンジンとしてはよいことかも知れないが、私たち自身で運 営するものとしてはあまり重要ではない。

使い易さの点での最後は、検索結果のページである。結果は、魅力があり、 目を通し易く、かつうまく分類されたものでなくてはならない。Ole と David の作品は AltaVista を意識した仕上がりでポイントが高いが、検索 結果が新しい順に表示されてしまう。Ethan や Curt は、関連度が高い順 に表示されるようにしてある。残念ながら Ethan の作品の結果のページに は、序文のナビゲーションバーにある文まで表示されてしまうが、これを 直すのは簡単だろう。Scott の作品は新しい順に結果が現れ(次期リリー スでは関連度による表示もできるようになる)、簡単なテーブルを使って 刊の号数と記事とタイトルが表示されるが、冒頭の部分は表示されない。 このため探している記事を特定するのが難しい。個人的には、これは修正 可能だと思っている。

Ethan と Curt は二人とも、検索結果のページに新たな検索のフィールド を設けてくれている。さらに、Ethan の方は、そのフィールドに検索した 語が入るようになっている。類似の書類を探すオプションに関しては、 Phantom よりも Apple e.g. の方が柔軟性に富んでいる。Apple e.g. は More のチェックボックスをクリックしていけば複数の記事を選択できるの に対し、Phantom の方は検索結果の中の一つのものに対してしか類似書類 を見つけることができないようになっているのだ。

4 つの作品はどれも使い易いものなので、綿密な検討を行った結果、簡潔 なインターフェースと魅力的な検索結果の組み合わせを評価して、使い易 さの点では Curt Stevens 氏と Apple e.g. に軍配を上げた。

    使い易さ: Curt Stevens 氏と Apple e.g

検索能力 -- 一語や 2 語程度では言い表せない情報を探したい時がある だろう。その様な時こそ検索エンジンの柔軟性と能力が試されるのだ。記 事になった時のことをぼんやり覚えているだけとか、語の始まりとか音は 覚えているが、正確なスペルは分からないときがあるだろう。Ethan の Phantom を用いた応募作は、検索能力の点においては圧倒的な勝利を収め る。これは Phantom がインターフェースの簡潔さと引き換えに備えた機能 で、論理式を使った検索、音や語幹による検索、HTML タグ内の検索、日付 の制限を設けた検索ができる。また、Ole と David の Frontier/FileMaker を用いた応募作は、論理式を使った検索、タイトル検索、号数指定や、日 付指定を行った検索といった高度な検索が行えるようになっており、非常 に有用である。Curt の Apple e.g と Scott の WebServer 4D は、検索能 力の柔軟性に欠けているが、(西暦の最後の 2 桁などの)日付の一部を検 索語に加えると検索結果の精度が上がる。

関連文書を探し出す能力は、検索を限定するのに有用である。Ethan と Curt のどちらの作品もこの点では優れている。総合的に見ると、関連文書 を探すためのインターフェースは Apple e.g. の方が優れているようだが、 Phantom の検索の柔軟性にはかなわない。

    検索能力: Ethan Benatan 氏と Frontier と Phantom

セットアップとメンテナンス -- このカテゴリは判断が難しい。という のは、私たち自身で応募作のセットアップや管理を行おうとしたことはな いからだ。しかし、各作品で利用されていたツールや現在 TidBITS で使っ ているツールからある程度の推測は可能だ。

Ole と David と Ethan は Frontier を使って新しく発行された TidBITS を取り込み、記事単位に(Ethan の場合は MailBITS も)分割し、結果を データベースエンジン(それぞれ FileMaker Pro と Phantom)に渡す。Ole と David はWeb サーバと FileMaker Pro を媒介する CGI にも Frontier を使っている一方、Phantom はインデックス作成と Web サーバの二役をこ なす。Frontier を使うことによって極めて柔軟なシステムとすることがで きるが、その分セットアップが難しくなりやすい。スクリプティング環境 が良いデザインのグラフィカルインターフェースを伴っていることは少な いからだ。同様に、柔軟性ではあっても、手直しにはプログラミングが必 要で、Geoff Duncan と Matt Neuberg にはできても、他の TidBITS メン バーには無理だ。私たちは小さな組織なので、必要な際には誰でも他の人 の穴を埋められるようにしておきたい。

Scott と Curt の場合は新しい TidBITS がドロップフォルダに入ってくる のを見張ってインデックスする。この方法だと、既存の自動配布システム を修正して最新号を特定のフォルダに入れるようにするだけで済むので、 私たちには理想的な方法だ。この点で多分最も優れているのは Curt の Apple e.g. を使った作品で、既にある TidBITS の各号をまとめたフォル ダをドロップフォルダに指定するだけで済みそうだ。一方、Scott の WebServer 4D を使った作品は、インポートが終わった段階でドロップフォ ルダからファイルを削除してしまう。これは必要なら簡単に修正できるこ とだろう。

    セットアップとメンテナンス: Curt Stevens 氏と Apple e.g.

スピード -- 全体的に、特に遅いという応募作は見当たらなかった。 Scott Ribe 氏の WebServer 4D を使った作品がなければ、私たちの意識の 中でスピードが重要な地位を占めることもなかっただろう。他の応募作は 大体同じ程度のスピードだったが、(Web でなにかがどれだけ速く動作す るかということには多くの要因が作用するので、多少の差は無視すること にした)Scott の応募作は圧倒的に速かった。あまりにも速くて確実に最 も速く結果を出してくれることがわかっていたので、ここ数週間の間に私 は Scott の作品を何度か実際に利用した。この項目についてこれ以上述べ ることはない。それにしてもすごい!

    スピード: Scott Ribe 氏と WebServer 4D

コスト -- ここでも、私たちは既に必要なハードウエアとソフトウエア を一部持っているので、作品の導入コストを推定することは難しい。小さ なサーバをゼロから始めてセットアップしようと考えている方のために、 大まかな価格を提示しよう。

<http://www.mdg.com/>

<http://www.maxum.com/Phantom/>
<http://www.scripting.com/Frontier/>

<http://www.scripting.com/Frontier/>
<http://www.socialeng.com/>
<http://www.claris.com/products/claris/filemakerpro/filemakerpro.html>

<http://cybertech.apple.com/apple_eg.html>

    コスト: Curt Stevens 氏と Apple e.g.

不慮の事故 -- 先程述べたように TidBITS は小さな組織なので、小さな 組織の例に漏れず、メンバーの誰かに大変な災難(たとえば交通事故)が 降りかかってきた時のことを心配している。したがって、重要な任務を遂 行することができる人が一人だけしかいないという状況は避けるようにし ている。もしその一人が庭いじりの最中にとんでもない事故で死亡するこ とがあったら、その重要な任務を続けることは難しくなる。というわけで、 どの検索エンジンを採用するかを考える際、不慮の事故に遭遇した場合の インパクトを検討することにした。

ここでは一見 Curt の Apple e.g. の楽勝に見えるが、小さな問題が一つ だけある。これは今のところ特注品なのだ。つまり、Curt は Apple 社で Apple e.g. 関係の仕事をしているので、TidBITS には複数の記事があると いうことを Apple e.g. が認識できるように手直しをしたのだ。したがっ て、Curt が加えた修正が Apple e.g. の公式バージョンに取り込まれてメ ンテナンスされない限り(そうなる予定ではあるが)、Curt が私たちのア キレス腱になってしまう。それに、最近の多難な Apple では、Apple e.g. の未来そのものも確かではない。

Scott の応募作も、大部分は自作のテキストインデックス用エクステンショ ンに依存しているという点である程度は同じような問題を抱えている。私 たちが TidBITS のフォーマットを変えようと思った時に Scott が宇宙人 にさらわれてしまっていたら、これは問題だ。また、WebServer 4D の性能 は明らかに優秀だが、MDG は小さな会社として激戦区というべきマーケッ トに参戦している。

面白いことに、Ethan の作品と Ole と David の作品は大部分を Frontier に依存しているためにセットアップの点でやや辛い点をもらったが、同じ 理由のためにこの項目では高得点を得ることになった。Frontier は人に よってはとても手に負える代物ではないが、Frontier をよく知っていて、 いざという時には助けてくれるという人も多い。Ethan は Phantom も使っ ているが、Maxum はしっかりした会社で消滅したり Phantom を捨てること もなさそうだ。Ole と David は FileMaker Pro に依存しており、これが Macintosh 用では最もポピュラーなデータベースであることから、 FileMaker Pro が半永久的に存在し続け、使い方を知っている人も存在し 続けると考えて良いだろう。

この項目ではわずかな差で Ethan が Ole と David をかわしたが、それは Ethan の Frontier への依存度がやや低いため、問題があった時になんと かしてくれる人を見つけるのがわずかながら容易であるだろうことによる。

    不慮の事故: Ethan Benatan 氏と Frontier と Phantom

精度 -- 検索エンジンの不具合のせいで絶対にあるとわかっているもの が見つけられないことほど頭に来ることはない。Geoff Duncan は前世では ソフトウエアテスターをやっていたので、すべての応募作に対して故意に 負荷のかかる検索や通常は行わないような検索をかける厳しいテストを実 施した。どの作品が優秀な成績を収めたかは Geoff に報告してもらおう。

幸いにして、最終選考まで勝ち残った応募作は基本的には正しく、実用に なる検索結果を表示してくれる。確実に存在していることがわかっている 語(たとえば今まで TidBITS に一度しか登場していない“emporia”とい う単語)を探すシンプルなテストにくわえ、論理式や号数や日付による制 限を加えた検索はうまくいっているようだった。巨大な検索結果リストに つながるような高負荷テストや同時に複数の検索を行うような場合も正し く処理された。しかし、より複雑な(またはあまりにも単純な)検索では ヒットとミスが混在したり、予期せぬ結果が表示されることもあった。各 検索エンジンの態度を見極めた上で、それぞれの不具合が実際のユーザー にどんな影響を与えるかを探ってみた。

Curt の Apple e.g. と Ethan の Phantom は関連度に応じて検索結果を ソートして表示する。これは利点でもある一方、弱点でもある。この 2 作 品はいずれも最も関連度の高い記事をリストの上部に表示し、それは間違 いなく便利なのだが、関連度の評価はユーザーがそうとは気づかないで実 行するような曖昧な検索に弱い傾向もある。Apple e.g. はヒットの幅を大 きめに取っており、“RAM Doubler review”のような単純な検索に対して 100 件以上合致する記事を見つけてくる。このうちの上位 10 件は問題な いのだが、それ以下は一見無関係に見えながら比較的高い関連度を与えら れている。一方 Phantom は無駄が一切無く、同じ検索で 3 件しかヒット しない。最上位の記事は図星だが、ほかの 2 つではすべての語が登場して いるものの関連度評価は一桁にとどまっている(この結果は正解だ)。同 様の一般的な句を使った検索でも、Phantom はうまく絞り込んだ結果を表 示してくれる。

Scott の作品も Ole と David の作品も関連度を表示するかわりに最も新 しい記事から順番に並べてくれる。しかし、(これは多分修正可能だろう が)Ole と David の作品は初期の号では重複したヒットを記録し、古いは ずの記事がリストの上の方に登場してまた下の方の正しい位置でも再度表 示されるということがあった。重複した記事にアクセスしようとすると、 エラーになる場合が多かった。Scott の作品では記事が重複することはな いが、URL を無視してしまう。URL の検索は TidBITS で受け取るメールか ら判断した限りでは需要の多いアイテムだ。

したがって、Apple e.g. は検索結果リストに現れた記事に似たものを再度 検索するという高度な機能を持っているものの、純粋な精度と結果の適切 さという点で Phantom に軍配が上がる。

    精度: Ethan Benton 氏、Frontier と Phantom

定量的評価 -- 最後の審査基準として、TidBITS のメンバー全員にこの 4 つの検索エンジンを全体的に気に入った順に並べてもらうことにした。 こうすれば今まで挙げた審査基準からは漏れてしまうような微妙な要素も 考慮することができると思ったからだ。次に、1 位には 1 点、2 位には 2 点、3 位には 3 点、4 位には 4 点という具合に順位をポイントで置き 換えた。各応募作についてポイントを合計して、4 つの作品を得点の順に 並べてみた(高校や大学の頃やっていたクロスカントリーみたいだ)。5 人が投票したため、スコアは 5 から 20 の間になる。以下がその結果だ。

    定量的評価: Curt Stevens 氏と Apple e.g.

最後に ... 優勝作品を一つだけ選ぶのはまさに断腸の思いだ。4 つの作 品がすべてすばらしい出来なのだ。Sott の検索エンジンのスピードは凄ま じかったし、商品版のテキストインデックス用エクステンションのリリー スにも注目されたい。Ethan はそれだけでも十分立派な Phantom を Frontier でさらに強力にできることを見せてくれた。Ethan は職も探して いるそうなので、ぜひ誰か雇っていただきたい ! Ole と David は Frontier がその実力に見合っただけの評価を受けることを目指し、すばら しいツールを作ってくれた。しかも、この 2 人は会ったこともなく、別々 の大陸に住んでいるのだ。彼らはインターネットのスピリットそのものだ。 Curt は無料の Apple e.g. でどんなことができるかを示したかった。はっ きり言って、今の Apple は優れた技術をアピールするあらゆる機会をとら える必要がある。

というわけで、私たちにしてみれば全員が優勝ということになる。しかし、 自分達で 4 つもの検索エンジンを並行して運営する必要はないので、まず 最初に Curt の Apple e.g. を利用したシステムを採用するつもりだ。こ れはほかのすべての点では甲乙つけがたいものの、既存のセットアップに 最も容易に組み込むことができそうだからだ。これがうまくいかないよう なら、次には Ethan の作品と Ole と David の作品をテストしたい。私た ちが現在使用している Web サーバに組み入れる必要がないため、Ethan の 作品の方が簡単にテストできるだろう。でも、Ole と David のシステムは Geoff が別途行っているキーワードによるインデックス作成の作業ともう まく補完し合いそうだ。WebServer 4D は最後になるが、これは単に新しい ソフトウェアを購入し、インストールし、覚えなければならないというこ とによる。それ自体は問題ではないのだが、新しいことを覚えるための時 間と余力の問題は現実としてあるからだ。

応募者のみなさんにあらためて感謝したい!


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