TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#387/07-Jul-97

創立 20 周年記念 Macintosh が自分のものになるのはどんな気分だろう か? Tonya が一日オーナー体験談を語ってくれる。そのほか、バージョン が新しくなった Disinfectant、LetterRip 2.0 のお買得価格の情報、Power Computing 社が Intel ベースのマシンを販売しようとしている理由、イン ターネットのセキュリティに関心のある方へのハイライト情報をお伝えす る。また、Broderbund 社の Family Tree Maker と GoLive Systems 社の CyberStudio のレビューも掲載している。

目次:

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MailBITS/07-Jul-97

(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

Disinfectant 3.7 -- John Norstad 氏はかのウイルスワクチン・ユー ティリティ Disinfectant の新バージョン 3.7 をリリースした。これで今 まで Disinfectant のアプリケーションの方では見つけ出すことのできな かった MBDF B ウイルスの一種を駆除することができるようになった。こ れは Disinfectant INIT では見つけ出すことができていたウイルスであ る。さらに、バージョン 3.7 はロックされたディスクやネットワーク・ボ リュームへの対応が強化された。また、すぐに気がつくような Disinfectant はマクロウイルス( TidBITS-385 を参照)の検出を行わな いという警告が加わった。 [GD]

<ftp://ftp.acns.nwu.edu/pub/disinfectant/disinfectant37.sea.hqx>

LetterRip 2.0、今なら 95 ドル -- 先週号( TidBITS-386 )で Fog City Software 社製 LetterRip 2.0 の記事を書いた時点では公表されてい なかった発売記念価格情報を。LetterRip 2.0 は、今年の 8 月 15 日まで の期間限定で 95 ドルで販売される。295 ドルの定価からするとものすご くお買得である。 [ACE]

<http://www.fogcity.com/>

Power 社上場へ -- 先週 Power Computing 社が米国の証券取引委員会に 提出した書類によると、同社は約 300 万株を公開して上場企業になるつも りらしい。また、同資料によると Power Computing 社は充実した Mac 互 換機ラインナップに加え、Intel ベースのマシンの製造にも乗り出す計画 だ。

よくあることではあるが、証券取引委員会に提出された書類には Power Computing 社が Macintosh 事業に重点を置いていると書かれているにもか かわらず、主流のメディアは同社が Intel に“鞍替え”したものだと解釈 した。そのほかこの証券取引委員会の書類から分かったことには、今まで は極秘扱いになっていた Mac OS のライセンスや Apple との契約事項など の全文、同社が Apple 社からのものよりも制限のある Mac OS のライセン スを IBM から取得したことがある。おそらくこれは Apple との交渉が決 裂した時のためのことを考えて行った措置であろう。Power Computing 社 が Intel マシンの製造を考えるのはさほど驚くようなことではない。Mac 使っている企業の中には、大概のことは Mac でやっているもののサーバだ けは NT を使っているというところが多いのが現状である。同社はこの両 方の需要に応じた商売を行おうと考えたのである。証券取引委員会からこ の書類の全文(835K)をダウンロードすることができる。 [GD]

<ftp://ftp.sec.gov/edgar/data/1040478/0000950134-97-005019.txt>

セキュリティに対して TidBITS-385 に Macintosh セキュリティ・コン テストの記事を書いた後で、John D. Howard 博士の論文のことを知った。 この論文は 1989 年から 1995 年にわたり Computer Emergency Response Team Coordination Center(コンピュータ緊急対策連絡会)に寄せられた 約 4,300 件の事例をもとに、インターネット上のセキュリティの傾向を分 析したものである。第 1 章と第 14 章(序文、および政策に及ぼす影響と 政策提言)は専門的な話ではなく、裏付けになる内容も豊富である。全体 としてこの調査では、(サーバのサービスを停止してしまうような攻撃を 除くと)インターネットの規模の拡大に比べるとセキュリティに関する事 例は減少しているとしている。

<http://www.cert.org/research/JHThesis/>

Macintosh セキュリティ・コンテストを探している方へ。スウェーデンの Infinit Information AB 社が 97 年 7 月 4 日に 第 2 回 Crack-A-Mac コンテストを開催する。(第一回のコンテストの詳細は TidBITS-378 を 参照いただきたい。)今回のコンテストでは、一般的な Mac Web サーバを 買ってきてそのまま使用するのではなく、作り物ではない世界を舞台にし て現実に使われている最先端のシステムを用いる。Crack-A-Mac のサーバ のセットアップには、WebSTAR および Mac OS 8 の最終候補版、SiteEdit Pro、ClearlyHome を使ったマルチドメインサービス、Lasso および FileMaker Pro を用いたデーターベースアクセスが含まれる。コンテスト の決まりを読んだ上でサーバーのホームページの内容に手を加えることが できたら、賞金の 100,000 スウェーデン・クローナ(約 13,000 米ドル) を請求できる。 [GD]

<http://hacke.inifit.se/>

ネット法、ドイツの場合 -- Helmut Kohl 首相率いるドイツ政府は、今 年 8 月 1 日付けで発効するインターネットを取り締まる法律を通過させ た。この法律は電子商取引および電子署名の使用の基準を指定するもので あるが、ポルノ、ナチの宣伝活動、その他ドイツで不法とされるインター ネットの使用を取り締まるためのものでもある。プロバイダーはこのよう な法に触れる内容のものを承知の上で扱うと、その防止が“技術的に可能 でありかつ適切な”場合には罰せられる。これは、プロバイダーが内容を 直接コントロールしていない場合や、その内容がドイツ国外で発生したも のである場合も同様である。 [MHA]

<http://www.washingtonpost.com/wp-srv/WAPO/19970704/V000749-070497-idx.html>


パーティーに呼ばれた創立 20 周年記念 Mac

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

先週、Seattle にある Westwind Computing 社のオーナー Michael Koidahl 氏が、Adam と私が主催する夏の大パーティーをいつにするかという悩みを 解決してくれた。週末に Apple 社の 20th Anniversary Macintosh の試作 品が手に入るので、バーベキューパーティーに人を大勢呼んでこの記念モ デルに触れる機会を与えてあげたらと提案してくれたのだ。

<http://www.westwind.com/>
<http://powermacintosh.apple.com/products/20thann_mac.html>
<http://20thanniversary.apple.com/>

バーベキューはうまくいったのだが、私は紫色の Apple T シャツにサルサ をはね飛ばしてしまった。TidBITS の編集長である Jeff Carlson は、料 理の腕を振るって Mac OS のロゴの切り込み模様入りアップルパイを焼い てくれた。

20th Anniversary Macintosh は、今までの伝統を受け継いで、初代 PowerBook の活きのよいエンジニアリングに初期のスタイルと 128K Mac の親しみやすさを織り混ぜたものである。ロジックボードの入っている本 体は厚さ 7 センチほどで、800 x 600 ピクセルを表示できる豪華な 12.1 インチのバックライト付き液晶カラースクリーンが付いている。この新型 Mac はフロッピードライブが側面に置かれており、スクリーンの真下のフ ロントパネルには、縦型 CD-ROM ドライブと各種タッチ式ボタンが並んで いる。

この 20 周年記念モデルは、普通の Macintosh の機能(250 MHz の PowerPC 603e プロセッサ、32 MB の RAM、256K の 2 次キャッシュメモ リ)にハイエンドな家電オプションとエレガントで未来的なデザインを掛 け合わせたものである。システムは Acoustimass Bose 社特製のサウンド システムを搭載しており、本体に付属されているスピーカーと低音用の別 ユニットに出力音を振り分けるようになっている。この別ユニットの方は、 一見小型の宇宙サイロのようで、マシン全体用の電源部を内蔵している。 今回見た試作品には付いていなかったのだが、“リスニング角度”や音の バランスレベルを操作することのできるソフトが付属することになっている。

<http://www.bose.com/new/new_apple.shtml>

FM ラジオとテレビチューナが内蔵されているほか、S ビデオ端子とコンポ ジットビデオアダプタケーブルが付いており、レーザーディスク(私たち は、午後中ずっとブレード・ランナーをかけていた)やビデオデッキ、衛 星放送用のパラボラアンテナのようなものをつなぐことができる。

そのほかとしては、リモコン、2 GB の内蔵ハードディスク、外付けの 33.6 Kbps GeoPort モデム、Ethernet カード用コミュニケーションスロット、 AV スロット、7 インチ PCI スロット、革製のパームレストと取り外しの できるトラックパッド付きの特製キーボードが付いている。この麗人を購 入すると配達および設置をしてもらえる。ハードウェアは 3 年間保証に なっており、保証期間中は電話による無料サポートも受けることができる。

この 20 周年記念モデルは、dBUG(Seattle の Macintosh Users Group) の会合で一度目にしていたのだが、自分の家のダイニング・テーブルの上 に置かれると感慨もひとしおであったし、室内装飾とも非常にマッチして いた。Bose のサウンドシステムが奏でる音は非常に素晴らしかったし、ス クリーンの方は台所においてある PowerBook 5300c よりも間違いなく上 だった(画面を認識できる角度も広かった)。

ほとんどの人達が帰宅してしまってから、もっと触ってみようということ になり、Ricochet モデム( TidBITS-366 を参照)経由でインターネット に繋いでみた。Metricom 社の Seattle 地区のサービスエリア外にいたに もかかわらず、うまくいった。どうやら Ricochet モデムは元々思われて いたよりもずっと広い範囲で通信可能らしい。通常受信機は 800 メートル から 3 キロ間隔で設置されているが、計算してみたところ家から受信機ま での距離は 25 〜 30 キロぐらいあった。我が家が山の斜面に建っており Renton や Seattle に設置されている受信機への見通し線を確保できたと いうことが、これに大いに影響していると思われる。

<http://www.ricochet.net/>

皆さんと同様、この記念モデルを手に入れたいのは山々なのだが、夜もふ けたことだしこの試作品を置いていってはどうかという見え見えの言葉で Westwind 社の人を説得することができなかった。Apple が値段と性能の 点を検討してくれたら、もっと多くの人が購入することができるだろう (一台当たり 7,500 ドルという価格だというのに Westwind 社はすでに 7 台も注文を受けている)。私はこつこつとお金を貯めて 1988 年に私の 最初の SE を学割価格で手に入れたものだったが。正直なところ、この Mac は少々エリート過ぎて、屋外のバーベキューパーティーよりはしゃれたお 茶会にふさわしいマシンに思えた。それでも、この Mac の来訪は嬉しかっ たし、T シャツについたサルサも洗い落とすことができた。


系図に想いをはせる: Family Tree Maker

by Douglas Tallman <dtallman@crosslink.net>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

親類縁者の選択は出来なくとも、系図ソフトは選べる。

今年の初めに Broderbund 社が系図記録ソフトでは DOS 及び Windows 版 のベストセラーと目されている Family Tree Maker (FTM) の Mac 版を出 した。このソフトであなたの家系に関する情報を管理し、見栄えの良いレ ポート、チャート、家系図を作成出来る。このソフトにはすぐに系図調べ に着手出来るよう意図された CD-ROM がバンドルされておりさらにこの社 の Web サイトからは各種の専門的なサービスが得られる。 

<http://www.familytreemaker.com/>

家族との出会い -- FTM の主画面は Family 頁で、ここには親と子供の ための名前、生年月日、出生地のフィールドがある。この画面の右手には タブがついており、個々の親の家族、個々の子供の結婚へと導く様になっ ている。

次の画面では住所、病歴、注記を記録できる。そしてもう一つの画面から は個人の両親との関係、例えば生みの親なのか、育ての親なのかを記入す るフィールドある。Facts 画面には 16 の日付と 16 のテキストフィール ドがあり、使用者が自分のニーズに応じたラベルをつける事が出来る。私 の場合は、次のような事を記録するために使っている;墓地の場所、どこ に住んでいたか、どのような職業に就いていたか、宗派は何だったかそし ていつどこで洗礼を受けたか。

場所と名前の大部分のフィールドは Quicken の QuickFill の様に作動す る「ファーストフィールド」と呼ばれる機能を有している。最初の数文字 をタイプしていくと FTM が以前の入力の中からマッチするものを表示して くれるので正しい言葉になるまでタイプしていけばよい。これは大変便利 である。単にタイプする手間を省けるだけでなく、データ入力がより確実 になる。

FTM ではいろいろな形でこれらのデータを印刷出来る、もちろん個々の先 祖または子孫を示すツリーチャートも含んで。チャートの形を決めるデザ イン、フォントと大きさ、そしてどのデータを入れるかが選択できる。

いくつかのレポート生成がソフトに組み込まれている、例えば、生存して いる親戚の誕生日、記念日を示すカレンダー、ある人とデータベース内に あるその他全部の人との関係を示すリストとか。これを使えば Cousin Tilly があなたの又従兄弟の子供なのか、あるいはあなたの従兄弟の子供 の子供なのかを知ることが出来る。さらに系図学者が一族の情報を表すの に使う標準形の二つのタイプの Family Group Sheets がつくれる。一つは いわゆる「中身だけです」式の両親と子供と日付だけのもので、もう一方 はそれにあなたが Facts 画面で入力した情報も含んで選択した情報をつけ 加えたものである。

もしこれらのレポートが気に入らなければ、自分固有のものをつくるため の柔軟性も持ち合わせている。例えば、家系の中の故人の死因別のレポー トをつくろうと思えばた易いことであろう。そしてそれを印刷もできるし またワープロにコピーアンドペーストする事もできる。

FTM ファイルが大きくなるにつれて、そこの情報はことさらに大事なもの となる。幸いなことに、FTM はそのプログラムを終了する度に自動的にバッ クアップしてくれるし、それに Mac 版も Windows 版も同じファイルフォー マットをつかっているので、親族大集合の時のデータ交換も一発である。

FTM からのデータ入出力は、この種の仕事を簡易化するためにつくられた GEDCOM (Genealogical Data Communications) と呼ばれるデータ交換プロ トコルを使用している。それはとても簡単にいく - Facts フィールドの情 報でさえも - ただし一つ PC の伝統を強く引いていて、ファイルネームは “.ged”で終わっていないとインポートしてくれない。

その他二三の特異な点が見受けられるが、それはどうも二つの OS の混生 児のせいであるように思える。もし Finder 上で FTM のファイルをダブル クリックすると、FTM はクリックしたファイルではなく最後に走っていた ファイルを開いてしまう。ファイルウィンドウ上のクローズボックスはファ イルを閉じるのではなくプログラムそのものを終了してしまうし、ほとん どコマンドキーを使わずにキーボード上列のファンクションキー全部に頼っ ている。Mac ユーザーであれば、ヘルプをさがすとき、Help キーではなく F1 を押す人はほとんどいないであろう。

Mac 版には Windows 版にはあるデータベースとともに写真をストアする Scrapbook の機能がついていない。会社の説明では、この機能は最後の最 後の所で落されてしまったらしい - これでなぜこの機能のことが外箱に書 いてあり、オンラインドキュメントでもそのことに言及しているのかの説 明になるかもしれない。とは言っても、Mac 版は Windows 版のファイルを 読めるので、自分の写真は保存できなくとも、PC 従兄弟のファイルにある 写真は少なくとも見ることが出来る。

枝を広げる -- このソフトには CD-ROM の社会保障局の死亡者台帳が付 属している。この中には、2 年以上前に死亡したすべての人の氏名、生年 月日、社会保障番号、そしてもっともらしい住所などの情報が入っている。 この情報を利用して、連邦政府にある人の SS-5(親の氏名・住所が記載さ れた社会保障カードを取得するための申し込み用紙)を提出することもで きる。

さらに、Broderbund 社の行っている World Family Tree プロジェクトの CD の初めの 2 枚が付属している。Broderbund 社の顧客が共有している自 分達の調査結果を使って系図調べを応援しようという意図なのである。そ こで、私の曾祖父の祖父にあたる Cornelison Tallman のことを調べてみ ようと思った。彼は自分に関する記録を子孫にほとんど残していないのだ。 彼の両親を探し出せば、私の家系図はさらにさかのぼってオランダにまで 広がるだろうと思ったのだ。

このシリーズの CD から彼の痕跡を見つけ出すことができていたら、この CD のことをもっと認めていたただろう。残念ながら彼のことは謎に包まれ たままだ。一方で、この CD は非常に役に立つとも思う。系図の中に自分 とのつながりのあるものを見つけ出すことができたら、ものすごい時間の 節約になるしデータを入力する手間も省ける。おまけに薄暗い図書館に出 向かなくとも、自宅にいながらにして調査が行えるのだ。Broderbund 社は 20 ドル少々で追加 CD の販売を行っている。家系図関係のニュースグルー プやメーリングリストで World Family Tree を批判している人が少々登場 しているが、彼らは調査を行った人の承諾なしに系譜が掲載されているこ とや情報の中に誤りがあることを訴えているのである。私の系図の中にも 個人的に持っている信頼できる情報と矛盾したことが書かれていた。そう いった意味でも、CD から得た情報は自分で確認してみることをお薦めする。

Family Tree Maker の Web サイトは、たいていの駆け出しの家系図作成者 にとって利用価値があるだろうし、情報のほとんどは無料になっている。 そのサイトの中でも、国立公文書館で調査を行ったり郡庁所在地や州都以 外で中枢になるような情報を入手したりするための Tip 集は貴重な情報で ある。Broderbund 社は最近 Internet FamilyFinder Agents サービスなる ものを始めた。これは自分が調査したい名前を入力すると、Web サイトに あるインデックスの中からそれに対応するものを探し出してくれる。そし て定期的に検索を行ってその結果を電子メールで送付してくれる仕組になっ ている。

FTM の顧客は Web サイトから、討論会や無料の小広告、簡単な自分の Web ページなどの特典を受けることができるようになっている。これらの特別 なサービスを受けるためには Netscape Navigator でアクセスしなければ ならず、現在のところその他のブラウザには対応していな。ただし、他の ブラウザにも対応して欲しいという要求はすでに Broderbund 社の耳に入っ ている。

系図作成ツール -- FTM 以外にも、広く受け入れられている Leister Productions 社の Reunion や Diana & David Eppstein 作の素晴らしい シェアウェア Gene などの Mac で使えるツールが幾つかある。

<http://www.leisterpro.com/>
<http://www.ics.uci.edu/~eppstein/gene/>

両方とも系図を書籍スタイルのレポートにまとめるという FTM にはない機 能が付いている。これのためだけにも Gene をダウンロードする価値は十 分あるし、FTM で作られる GEDCOM をインポートするのも簡単である。ま た、Broderbund 社は最近リリースされた Windows 版のアップデートで同 様の機能を追加している。もっとも Mac 版の方のアップデートが直に登場 するかどうかは分からないのだが。

家系図に関してはすでにスタートレック並に Web サイトやメーリングリス トが存在しているし、<alt.genealogy> のような Usenet のニュースグルー プもある。

RootsWeb には ROOTS-L という手始めにはちょうどいいメーリングリスト があるほか、数多くの苗字や地域を限定したメーリングリストおよび調査 を始めたばかりの人のためのリストを運営している。Cyndi の List of Genealogy Sites on the Internet は、21,000 以上のサイトが紹介されて おり情報の宝庫である。また soc.genealogy.* には種類別けされた 18 の ニュースグループがあり、その中には <soc.genealogy.computing> という ソフトやインターネットに係わるものを扱っているもところある。

<http://www.rootsweb.com/>
<http://www.oz.net/~cyndihow/sites.htm>

Family Tree Maker は CD 版のみで、動作条件は PowerPC ベースの Mac、 16 MB 以上の RAM(または 8 MB + 仮想メモリ)、System 7.1.2 以降と なっている。またディスクも大量に食い、ソフトだけで 7 MB、必要な Microsoft の機能拡張が 4.5 MB 消費する。

    Broderbund Software 社 -- 800/315-0672 -- 415/382-4419 (fax)

Web を編む Part 3:CyberStudio

by Tonya Engst <tonya@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)
(  :高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)

TidBITS-384 から始まったこの連載を読んでこられた方は、テキスト指向 の Web 出版ツールとシンプルなワープロ感覚で使えるローエンドのビジュ アルツールには既に精通されていることだろう。どちらも特定の目的には 十分だが、どちらも Web 出版の最先端というわけではない。今週はテキス ト系とビジュアル系の双方の利点を組み合わせたうえに、ハイエンドな機 能を盛り込んだ GoLive Systems 社の新リリース、CyberStudio 1.1 を検 討する。

<http://www.golive.com/>

一目惚れ -- 私たち TidBITS では、“デモ栄えがする”という言葉を使 うことがある。これはある製品が一見素晴らしそうに見えながら、買って 帰ると実は欠点が露見するということを意味する言葉だ。エレガントで魅 力的なインターフェースと充実した機能で、CyberStudio は間違いなくデ モ栄えがすると言うことができる。

CyberStudio の第一印象は実に良い。ReadMe ファイルには CyberStudio のどのコンポーネントがどこにインストールされるかが正確に記述してあ る。早期出荷が至上命題となっている昨今では珍しく、マニュアルは魅力 的できちんとできている。CyberStudio のカラーパレット(RGB、Apple、 CMYK、Web 向き 216 色、等々)について述べているページはカラーで光沢 紙に印刷されており、パッケージの中には主な不具合をまとめたカードが 入っている。(CyberStudio のテクニカルサポートを担当している Irv に よると、人によっては問題なく RAM Doubler を使えているが、人によって は RAM Doubler をオフにしないと CyberStudio が使えないそうだ。また、 Adobe Type Reunion を使用していると、CyberStudio のポップアップメ ニューにゴミが混ざって表示されてしまう。)

CyberStudio を起動すると、タブ付きの文書ウインドウが表示され、Layout タブが前面に現れる。右下の隅にはポップアップメニューがあり、一般的 なブラウザのウインドウ幅に合致するようにウインドウをリサイズするこ とができる。ほかのタブは、ウインドウを別のビューに切り替えるための ものだ。文書ウインドウの上には(閉じることもできる)基本的なツール バーがある。Palette という名前のタブ付きパレットには、テーブルや META タグのようにページやサイトに追加したいようなアイテムを表すアイ コンが入っている。Inspector パレットもあり、これは Palette からド ラッグしたアイテムをカスタマイズするためのものだ。

インターフェースには戸惑いの原因となりそうな点が 2 つほどある。 CyberStudio には膨大な数のウインドウやパレットがあり、私のようにモ ニタを 2 台駆使していても空間が余ることはない。パレットやウインドウ のオプションがあった方が滑らかに使うことができるだろう。2 つ目の点 として、CyberStudio はドラッグ & ドロップを極限まで多用しているた め、腱鞘炎の人にはつらいかもしれない。たとえば、Palette にあるアイ テムをクリックして挿入ポイントのところに入れることはできないし、キー ボードショートカットで入力することもできない。必ずページにドラッグ しなければならないのだ。

HTML を眺める -- どんな製品でも、欠点を明らかにするには実際に使っ てみるのが一番だ。予定しいる TidBITS Web サイトの化粧直しのために ページをインポートしてみたところ、大きな欠点が現れた。私たちのサイ トはパラグラフを <P> で始まり </P> で終わるようにフォーマットしてあ る。CyberStudio は最初の <P> タグしか使用しないので、インポートした HTML 文書を書き換えてしまい、時によっては縦方向の行間スペースをわず かに変えてしまうのだ。

CyberStudio の Source タブは、先週検討したソフトウェアの HTML ビュー に最も近いものだ。タグを色分けしてテキストと見分けやすくしており、 フォントとスタイルもある程度はカスタマイズ可能だ。これまでに見てき たビジュアル系エディタは HTML ビューではほとんどすべてのタグを手動 で入力しなければならないようになっているが、CyberStudio にはこの欠 点は無い。Layout タブで使用できるコマンドは Source タブでも使うこと ができる。たとえば、Source ビューで Submit ボタンを入れるには、 Palette から Submit Button アイテムをドラッグしてくると、 CyberStudio が適切な HTML を入力してくれる。残念ながら、Source ビューではテキストが行末で折り返さないため、長いパラグラフはウイン ドウの右端をはるかに通り過ぎてしまう。

Source タブでの作業が不満なら、Outline タブで作業することもできる。 ここでは HTML がアウトラインで表示され、タグはポップアップメニュー となるタイルとして表示される。このメニューを使えば、属性(たとえば テーブルの枠線の太さ)を追加することができ、その結果もタイルに表示 される。Outline タブはカスタマイズ可能なデータベースと連携して動作 するため、タグをデータベースに追加したり、属性をカスタマイズするこ ともできる。

CyberStudio にはシンタックスの色分けやスクリプトライブラリを搭載し た JavaScript エディタも内蔵されている。

ピクセルすべきか否か -- 一見、Layout タブはローエンドのビジュアル ツールの Edit ビューと同様な働きをする。テキストを入力してグラフィッ クやムービーを挿入することもできるが、アイテムを自由にドラッグする ことはできない。このおかげで人間にもわかりやすい HTML が出力される ことになる(この問題についてはこの連載の最初に触れた)。しかし、ピ クセル単位の位置指定が判読可能な HTML より大事なら、Palette からレ イアウト用のグリッドをドラッグしてくることもできる。このグリッドは ページの全体にも一部にも適用することができ、DTP プログラムのように アイテムもグリッド上で自由に配置することができる。DTP 風の作業をす るか否かをユーザーが選択することができるようにすることにより、 CyberStudio は幅広いユーザーとニーズに対応している。

グリッドによってピクセル単位での位置指定が可能になってはいるが、ペー ジによっては今までのようにテーブルを使った方が良い場合がある。たと えば、セルの大きさを指定して 5 x 5 のテーブルを作りたい場合には、グ リッドだとオブジェクトを配置していく際に位置情報が表示されないため、 テーブルを使った方が早い(グリッドがルーラーか座標を表示するステー タスバーを伴っていれば良いと思う)。これはテーブルセルの中にレイア ウトグリッドを配置することによってある程度解決することができる。テー ブルで一定のサイズの枠組みを作り、それからその中でレイアウトを決め ていくわけだ。

グリッドにはアイテムを配置する場所を正確には示すことができないとい う制約があるため、CyberStudio は残念ながらテーブル作成の点でローエ ンドの競合製品に及ばない。一方、セルの枠線を option + ドラッグして テーブルをリサイズすることができ、テーブル用のコマンドがモーダル ダイアログに埋め込まれているわけでもないため、テーブルのフォーマッ ティングは比較的速く行うことができる。だが、セルとその内部のテキス トは一つずつフォーマットしなければならない。本格的にテーブルを作る には、Symantec Visual Page の方が優れている。

CyberStudio の Frame タブは使い易く、Palette には色々なフレームセッ トをドラッグするためのタブも用意されている。Visual Page と Adobe PageMill はフレーム部門では CyberStudio と互角だ。CyberStudio では できないフレームセット内でフレームを表示するということができるから だ。要するに、CyberStudio の場合( Claris Home Page も同様)、フレー ムセットの枠組みは見ることはできるものの、フレーム内に実際に表示さ れるページを見ることはできない。ブラウザプレビューに切り替えること によってフレームセットを見ることができる。これにはデフォルトのブラ ウザを指定するオプションもあるが、インストールしてあるどのブラウザ でもプレビューすることができる。

ライブ・メディア -- CyberStudio で作成したページには、どんなプラ グイン・ファイルでも含めることができて、CyberStudio の Plug-ins フォ ルダにそのプラグイン・アプリケーションを入れておけば、その場でプレ ビューすることができる(リリースノートでは、Shockwave プラグインを 使うことを薦めていないものの)。この点では、CyberStudio は、PageMill 2.0 に似ていて、このことはこのシリーズの前回記事で見落としていたこ とだ。CyberStudio は、Java アプレットを実行することも可能である。

たくさんの機能 -- ここまでで、すべての CyberStudio の機能を網羅し てきたわけでは決してない。そのほかで特に注目すべきものには、(印刷 されたマニュアルが揃っている)AppleScript のサポートと、WorldScript のサポートの 2 つが挙げられる。欠けている機能といえば、一つにはスペ ルチェッカがある。機能のチェックリストを作って比べてみれば、 CyberStudio は、全般に渡りこのシリーズでスポットを当ててきた他の製 品を凌駕するだろう。とはいうものの、CyberStudio は、実際にはこれら の製品と同列に並ぶものではない。68k Mac で動作しないし、何百ドルか 値段も高くつく。加えて、CyberStudio にはビジュアルベースの広範なサ イト管理機能があって、この点では(今や PageMill と同梱されている) Adobe SiteMill、NetObject Fusion、Microsoft FrontPage のようなサイ ト向けソフトウエアに分類されるものだ。テキストベースでサイト管理に 焦点を合わせたツールもあって、最も注目すべきは Userland Frontier だ ろう。このシリーズ記事の次の連載では、こうしたソフトウエアすべてや、 CyberStudio のサイト管理部分についてまず見ていくつもりだ。

<http://www.adobe.com/prodindex/pagemill/siteben.html>
<http://www.netobjects.com/html/macprod.html>
<http://www.microsoft.com/frontpage/>
<http://www.scripting.com/frontier/>

価格についてもう少し -- CyberStudio Pro の希望小売価格は 349 ドル だが、店頭価格は 300 ドルを切るくらいである(学割価格は 149 ドル だ)。97 年 6 月 17 日から 97 年 7 月 30 日までの間に購入した人は、 100 ドル分の乗り換え割引クーポンがもらえて、これは、Adobe PageMill もしくは SiteMill、NetObjects Fusion、Symantec Visual Page、Claris Home Page、Microsoft FrontPage のオーナーが利用できるものだ。golive Pro 1.x のユーザー登録をしている人なら、そのほかに 20 ドルの“優待” 割引の特典がある。

結論としては、いくつかの弱点を指摘したものの、CyberStudio は、快適 な作業環境の中にたくさんの頻繁に使う機能を組み込むというすばらしい ことを実現したもの、といえるだろう。試用してみたければ、GoLive 社の Web サイトから、3.7 MB の 30 日間使える評価版がダウンロードできる。

CyberStudio の必要環境は、System 7.5.5 以降で動作する PowerPC ベー スの Macintosh と 8 MB のアプリケーション RAM だが、推奨サイズは GoLive 社の注意書きによって異なっていて 12 MB もしくは 16 MB となっ ている。

    GoLive Systems -- 800/554-6638 -- 415/463-1580
      <info@golive.com>

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