TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#412/12-Jan-98

San Francisco での Macworld Expo で 4 日間過ごした後、今度は我々が 見たものを検証する番だ。Steve Jobs 氏が Apple 社の 45 百万ドルの利 益を報告したが、その他はほとんどなし。Contributing Editor の Matt Neuburg がリームーバブル蓄積装置を探索、Adam は今年のショーでのトレ ンドを探り、編集長の Jeff Carlson はグラフィックツールをカバー。そ して今年の 際立ちモノ賞 記事はこんな質問付きで、「ラテックスのボディ スーツから連想するものは?」

目次:

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MailBITS/12-Jan-98

(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

Jobs 氏 45 百万ドルの利益を報告 -- Steve Jobs 氏による San Francisco での Macworld Expo の基調講演では、トレードマークのショー マンシップもあまりなかったし - また現在も継続されている Apple 社の 新 CEO 探しについてのニュースもなかったが - 一つの意外な報告で締め くくった:Apple 社は四半期に 1,575 百万ドルの売上げに対して 45 百万 ドルの利益を計上できる見込みである。Apple 社の発表によればこの数字 は、単なる創造的な数字操作によるものではなく真の事業利益をあらわし ていると言う。これらは一部には新 Power Macintosh G3 システムの好調 な売れ行き(1997 年中に13 万台以上)と Mac 専用の売場を設けた CompUSA を通しての売上げが寄与している。さらに Apple 社は同社のオン ラインストアと Build-to-Order(注文組立)の生産方式も役に立ったとし ている。Apple 社が 1998 年を通してこの黒字基調を保てるかどうかは 論議の残る所ではあるが、今利益を計上できるという事は、確かに Apple 社のパートナー、株主、そして消費者に何より必要とされていたやる気を 与えてくれる。 [GD]

<http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1998/q2/ 980106.pr.rel.q1profits.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04252>
<http://info.compusa.com/apple/default.asp>

蓄積装置戦争 -- バックアップやファイル蓄積にギガバイトサイズのリ ムーバブル蓄積装置を探している?TidBITS の Contributing Editor、Matt Neuburg 氏がそうでした。そこで我々は Macworld Expo で時間をとって見 て回り Iomega 社の Jaz (1 GB 現行ですぐ 2 GB ドライブがでる)、 SyQuest 社の SyJet 1.5 GB ドライブと、新規参入会社である Castlewood Systems 社からまもなく出される 2.1 GB Orb ドライブを較べてみた。そ れぞれの会社の人たちの話を聞いて回った結果、もちろん - 潜在的には - スピードと信頼性もだが、詰まるところは値段と名声に落ちつくと言う 結論に達した。SyJet 1.5 が現在では最も安い、とりわけショー期間中の 特別価格、カートリッジ 2 つ付いて 249 ドルは最安値である。1 GB Jaz ドライブは最もポピュラーであり、すでに 100 万台以上売れている事も あって、互換性やファイルの交換のためには最適の選択である。そして、 新規製品である Orb ドライブは(出荷されれば)最安価、最速、そして最 大容量であり、さらにその簡素なメカニズムのために最良の信頼性をも示 すかもしれない(リムーバブルドライブの出荷初期の製品はとかく故障し がちではあるけれども)。

と言うわけで、個人のバックアップ用には SyJet 1.5 GB がベストで、1 GB Jaz ドライブはサービス部門の人には最適のように思える。Orb ドライ ブは、もし公約通りの出来ならば、個人用途の分野で SyJet 1.5 と十分競 争出来るだろう(とりわけ Orb の 30 ドルカートリッジは他 2 社のもの より格段に安い)、しかしサービスビューローでポピュラーになるまでに は時間がかかるかもしれない。[ACE]

<http://www.iomega.com/product/jaz/>
<http://www.syquest.com/products/m_syjet.html>
<http://www.castlewoodsystems.com/>


Macworld Expo S.F. 1998: 静かだが前向き

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

私は不安を抱いて今年の Macworld Expo San Francisco を迎えた。1997 年は Macintosh コミュニティにとって波乱の一年間だった。私たちは Macintosh クローンの終わりの始まりを、Microsoft の Macintosh プラッ トフォームに対する再度の傾注、CEO Gil Amelio 氏をはじめとする何人か の経営陣の辞任、それに肩書だけはないものの Steve Jobs の Apple への CEO としての帰還を目撃した。

ショーの初日はやや心配だった。Jobs の基調講演、特に1998 年度第 1 四 半期の 4,500 万ドルの黒字の報告は概して好評だったものの、新 CEO の 発表もなかったし、基調講演では過去と現在が主に語られただけで、Apple の将来計画についてはあまり言及されなかった。ショーのフロアはがらん としていたとは言わないが、初日には楽に通行することができた。これは おそらく講演の方に出席していた人が多かったためだろう。

初日はこうして心配したものの、人ごみが増えるにつれて動きが取りにく くなってきた。ほとんどの出展者は客の出足には満足していたし、展示即 売の品は飛ぶように売れていた。ある出展者は、Macworld の方がより規模 の大きな Comdex よりも売上が多いと述べていたし、最終日には Connectix 社の製品を買うために常時 30 〜 40 人が行列を作っていた。

というわけで、例年よりもショーの規模がやや小さく、ややおとなしくなっ ていたのは確かだが、明らかに下り坂というわけでも最後のあがきという わけでもなかったのだ。

クローン不在 -- ショーの規模が小さく、静かに感じられたのは実際に 10 % ほど規模が縮小していたからだ。小さいということは色々な意味で歓 迎すべきことだった。というのも、値段の張る会場内の食べ物を口に運ぶ スペースもあったし、Macworld では常にありがたい座るという活動をする ための場所もより多く用意されていたからだ。

この10 % の縮小から悲観論を導き出すのは容易だが、MacTech Magazine 誌の Neil Ticktin 氏によると、前年にはクローンメーカーが 10 % ほど のスペースを占有していたと主催者が述べていたらしい。去年は Power Computing 社だけをとっても巨大なブースを構えていたので ( TidBITS-361 に掲載した去年のショーのレポートを参照)、ショーが 小さくなっていたというのも頷ける。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00769>

今年は UMAX 社と Mactell 社が Macintosh クローン市場の生き残りを代 表していたが、昨年までの Power Computing のような派手さはなかった。 クローンが目立たないことの理由に、よりおとなしい企業風土、少なくなっ たマーケティング予算、それに Apple の目に留まらないようにという配慮 があるのだろう。1998 年を生き抜くことができるクローンメーカーがどれ だけいるか興味深いところだ。

<http://www.supermac.com/>
<http://www.mactell.com/>

やはり Microsoft -- 多くの意味で、ビッグニュースは Macworld Boston の時と同様に Microsoft 社にまつわるものだった。今回は PR 面でのテコ 入れと名目程度の投資などではなかった。Microsoft は Internet Explorer 4.0 と Microsoft Office 98 の Macintosh 版を出展した。Office 98 は Mac にとって最も重要な製品の一つ、特に Mac と Windows マシンが混在 したオフィスでは必須だ。Internet Explorer 4.0 のプレビューレリース は数ヶ月前から配布されていたが、多くの人が今回初めて Office 98 を目 にした。私の耳に入った限りでは、ほとんど全員が好感を持ったようだ。 基調講演の Office 98 のデモの時に報道席に座っていた友人によると、デ モが進行するにつれて客席でささやかれていた反応は反感からいやいやな がらの感心へと変化したそうだ。これほどの手強い聴衆が相手であること を考えると悪い出来ではない。私の Office 98 への印象は主として Word 98 に関するもので、ハードコアな Word 5.1 ユーザーは当面様子を見るか もしれないが、不評の Word 6 ユーザーは即座にアップグレードして新機 能(たとえばスペルミスをアンダーラインしてくれるインタラクティブな スペルチェック)と大幅に改善された Mac ライクなインターフェースを享 受することになるだろう。

基調講演での Internet Explorer に対するブーイングやショーを通じて耳 にしたコメントに見られるように、このソフトウェアの巨人に対する敵意 は依然として残っていた。Parroty Interactive 社の Windblows という辛 辣なパロディ CD-ROM が人気アイテムにもなっていた(同社は Myst のパ ロディである PYST という製品も出している)。しかし、Apple は常時 Microsoft とのより緊密な関係を強調していたし、Steve Jobs 氏も Internet Explorer と Office 98 の Apple/Microsoft 合同パーティで挨 拶した。Apple 側の立場を最も良く表しているのは、Microsoft のブース の前を通りながら私の友人が冗談交じりに放ったこの一言だろう。「けっ、 Microsoft か。いや、でも今は味方なんだっけ。」

<http://www.microsoft.com/>
<http://www.parroty.com/>

弱点 -- ここ数年間、Macworld Expo ではインターネットが中心になっ ていたが、今年は明らかに重心がインターネットから離れていたことは意 外だった。StarNine、Blue World Communications、Stalker、Qualcomm、 Maxum、ClearWay、Web Broadcasting、EveryWare Development、それに Rockstar Studios など、私が出展しているだろうと思っていたインター ネット関連会社はほとんど揃っていたが、期待以上のものは何も無かった。 Developer Central エリアでは数社のインターネット関連会社が小さなブー スを構えていたので、こちらで Bare Bones Software、Tenon Intersystems、Qdea、Hotline Communications、それに Rhapsody 用の Web ブラウザ、OmniWeb を見せていた新参のOmni Development の各社を見つけ ることができた。

<http://www.starnine.com/>
<http://www.blueworld.com/>
<http://www.stalker.com/>
<http://www.eudora.com/>
<http://www.maxum.com/>
<http://www.clearway.com/>
<http://www.webfm.com/>
<http://www.everyware.com/>
<http://www.rockstar.com/>
<http://www.barebones.com/>
<http://www.tenon.com/>
<http://www.qdea.com/>
<http://www.hotlinesw.com/>
<http://www.omnigroup.com/Software/OmniWeb/3/>

このインターネット離れには 3 つの理由があると思う。第一に、多くのイ ンターネット技術はもう何年も前から普及しており、成熟しつつあるとい うことだ。StarNine 社は WebSTAR 3.0 の公開ベータを発表し、Maxum 社 も Rumpus FTP サーバを展示していたし、Stalker 社も Rhapsody 版の CommuniGate メールサーバを展示していた。こういった製品群は決して悪 いものではないのだが、はっきり言って既存のインターネットサーバの新 バージョンがものすごくエキサイティングであるとは言い難いのだ。

<http://www.starnine.com/webstarbeta/webstarbeta.html>
<http://www.maxum.com/Rumpus/>
<http://www.stalker.com/>

第二に、Apple にインターネットを強調する姿勢が全く見えなくなったと いうことがある。Apple Internet Server Solution バンドルにはお目にか かることができなかったし、Apple 社内から聞こえてくる情報では 1997 年にはぎりぎりまで予算がカットされたらしい。こういった予算削減がイ ンターネットマーケティングとエバンジェリズム部門に響いたことは間違 いない。また、まだ陽の目を見ていなかった開発プロジェクトにも悪影響 を与えたことだろう。Apple が 1997 年の経営難を乗り切るために大幅に 支出を削減しなければならなかったのは確かだが、その結果 Rhapsody に しわ寄せが来る可能性もある。Rhapsody はサーバ用 OS として育て上げら れているようだが、もし Web マスターやネットワーク管理者が Apple は Mac OS サーバを提供してくれないと感じていたら、Apple がこういった ユーザーたちに Rhapsody サーバを受け入れてくれるように説得するのは 難しくなるかもしれない。

最後に、クライアント側では、世間を賑わせている Netscape 社と Microsoft 社によるブラウザ戦争がインターネット市場全体にダメージを 与えている。Web ブラウザが改良を重ね、機能を拡大するにつれ、Fetch や Anarchie といった FTP クライアントや Emailer や Eudora といった メールソフトなどの単機能ソフトウェアが生き残ることが困難になってく るのだ。たとえこういった単機能ソフトウェアがどれだけ優れているとし ても。(にもかかわらず、Bare Bones Software 社は新製品のメールクラ イアント、Mailsmith のプレレリース版を展示していた。)

<http://web.barebones.com/products/msmith/msmith.html>

さらに気がかりなのは、このような展開がどんな結果を導き出すかという ことだ。ソフトウェアを無料で配るようなビジネスモデルでは、儲けるよ りもシェアを拡大する方が簡単だからだ。Netscape Communications 社は 最近の四半期で赤字を出した。Microsoft は半永久的に Internet Explorer に投資し続けることができるだろうが、Microsoft だって他の企業と同様 に採算を重視しているのだし、いずれは明快な形で恩恵が得られることを 示さなければならないのだ。

<http://www.netscape.com/newsref/pr/newsrelease556.html>

可能な限りのキャッシュ -- ショーで面白いインターネット製品が無かっ たというわけではない。この点では Connectix 社が文句なしに Surf Express で 賞をさらった。これはキャッシュに入った Web ページを高性 能データベースに移し、遅い Mac OS のファイルシステムを回避すること によって Web ブラウザのキャッシングを大幅に改善するとともに、キャッ シングされた Web ページの検索を行うことができるというものだ。Maxum と Clearway の両社は合同で専用プロキシサーバ、WebDoubler を展示して いた。これはリクエストした Web ページを取りに行き、ネットワーク上の 他のユーザーが再度遅いインターネットからではなくローカルキャッシュ から素早くページを表示するものだ。改善されたブラウザのパフォーマン スとコンテンツのフィルタリングを実現するので、学校や小規模なオフィ スなどに最適だろう。Tenon 社の WebTen は Unix でポピュラーな Apache Web サーバの Mac 版で、Squid はこれまで唯一のキャッシング機能付きプ ロキシサーバだった(WebSTAR 3.0 もこの機能を搭載する予定だ)。

<http://www.connectix.com/html/surfexpress.html>
<http://press.clearway.com/articles/art-971230-119.html>
<http://www.tenon.com/products/webten/>

オランダの Neuron Data Systems 社は 価格 139 ドルの MacCoach を展示 していた。これは賢い ADB デバイスで、サーバのコントロールパネルと通 信し、サーバが動作していることを確認するものだ。クラッシュによって 通信が途切れると、MacCoach は Control + Command + パワーのキースト ロークをシミュレートして Mac を再起動する。MacCoach は Server Restart Option が付いた Sophisticated Circuits 社の PowerKey Pro ほ どの柔軟性はないが、MacCoach はより小さくてシンプルだ(が、価格はほ ぼ同じ)。正直なところ、PowerKey Pro なしで Macintosh インターネッ トサーバを運営する気にはならないが、MacCoach を試してみることはある かもしれない。

<http://www.neuronsys.com/>
<http://www.sophisticated.com/products/powerkey.html>

最後に、ClearWay 社の Web Archer のデモを見た。このユーティリティ は複数の Web 検索エンジンや特定のタイプの情報の検索を容易にする。私 は以前にも Web Archer のデモを試してみたことはあったが、実行した検 索のタイプに連動したインターフェースの裏に隠された気の利いた小技を 発見するには至っていなかった。再検討に値しよう。

<http://www.clearway.com/webarcher/info.html>

Tonya によると、Web オーサリングでも今年は見るべきものがあまりなかっ たようだ。Macromedia 社は主に JavaScript/HTML 4 サポートを売りにし た Dreamweaver 1.0 を大々的に喧伝していた。これによってユーザーはス クリプトを書くことなく Web ページ上でスクリプトベースのエフェクトを 作成することができる。SoftPress 社は Freeway を展示し、レイアウト機 能と QuarXPress に似たインターフェースを強調していた。最後に、Claris 社は Web ページを FileMaker データベースに手早く連動させる機能を組 み込んだ HomePage 3.0 をデモしていたが、Claris ブースは主として FileMaker Pro 4.0 のインターネット機能を強調していた。

<http://www.macromedia.com/software/dreamweaver/>
<http://www.softpress.com/>
<http://www.clarishomepage.com/>
<http://www.filemaker.com/>

ニューヨーク、ニューヨーク! このショーと何万人もの来場者が示した ように、Macintosh 業界は死んだという状態からはほど遠い。Apple は黒 字経営に戻りつつあるとしている。同社が上昇基調を維持し、1997 年の苦 い思いを消し去ることができるかは予断を許さない。再び業界の全体像を 見るには、7 月 6 日から 10 日まで開催される Macworld Expo New York まで待たねばなるまい。次のショーはクリアで、焦点が定まり、誰もが笑 顔であることを期待しよう。


Macworld San Francisco 1998 際立ちモノ賞

by TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

恒例の Macworld Expo 際立ちモノ(良きも悪きも変なものも)を皆さんに ご紹介しようと思う。

やられたで賞 -- Olympus 社は偽パトローネを擁して“やられたで賞” を獲得した。少し出たフィルムの頭のところに“引く”と書いてある以外 は、本物さながらであった。そこを引っ張ってみると、「Olympus 社はフィ ルムの製造は行なっておりません。当社のブースにお越し頂き、当社のデ ジタルカメラをご覧くださるようお願いいたします。」と書かれていた。 一本とられた。

がらくた賞 -- この賞は、近日登場予定の Clik! ドライブ(モノはよさ そうだ)の宣伝用にとんでもなく悪趣味なクリッカーを配った Iomega 社 に送ろう。私たちの知る限り、Expo 期間中誰かがこれをクリックしている のを目にした人は口を揃えてものすごく不快になったと言っていた。Clik! のデモ中同社のブースではイナゴの大発生よろしくの感があった。Iomega のライバル SyQuest 社が鎮静剤を付けた矢が入った吹き矢でも配ってくれ ればと思った。実際私たちには Iomega の配った相当な数の景品とブース の飾り付けの総攻撃を理解することはできなかった。クリッカーだけでな く、ほとんど無意味な言葉の書かれた黄色いバッジ(これは数年前に初め て登場したときはおもしろかったのだが)、刺青シール、合成ゴムスーツ を着たモデル(下記参照)で注目を集めようとしていた。

ベスト衣装 -- ComicBase Encyclopedia of Comics CD-ROM ( TidBITS-266 のレビュー参照)を製造している Human Computing 社は この賞を手に入れるのに高層ビルを飛び越える必要はなかったものの、ブー スには(衣装が少々大きすぎたような)バットマンやバットガール、スー パーガールなどのスーパーヒーローの格好をしたスタッフが数人いた。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=01596>
<http://www.human-computing.com/>

意味のない最低衣装 -- Iomega 社は肌にフィットする合成ゴム製ボ ディースーツを身にまとった Kate Moss 並に痩せたモデル(そのほかに黒 髪のウイッグと黒い眼鏡とヒールの高いブーツを身に着けていた)でこの 賞を射止めた。Tonya が Iomega 社員 2 人に、これはどの製品に関連した ものかと尋ねたところ、単に“注目を集めるための”モデルだという答え だった。くだらない。実にくだらない。

ベストパフォーマンス賞 -- ATI のブースの Day-Glo Green Perky 嬢の 上をいくのは容易ではことではないが、ベストパフォーマンス賞は人ごみ の中に入って行き、QuickTime VR ムービーを撮っていた Ullanta パフォー マンスロボット 2 台に贈ろう。Ullanta Performance Robotics のディレ クターである Barry Brian Werger 氏に連れられ、Apple パビリオンで 2 台のロボットに対面した。一台のロボットは身長約 6 フィートで頭にデジ タルカメラをつけていた。このカメラはワイヤレスモデムとも繋がってる Newton MessagePad 2000 に繋がっていた。くるくると回ってはチョコチョ コと写真を撮り Newton に送り、その写真は QuickTime VR ムービーにな り Web サイトにアップロードされていた。もう一台のほうは少し小さく、 大きいほうのロボットの後を追いかけてはお供として愛敬を振りまき、Expo を訪れている人にお行儀良く挨拶をしていた。

<http://www-robotics.usc.edu/~barry/ullanta.html>

クールなローテクデバイス賞 -- この賞を取ったのは、安く(250 ド ル)、耐久性に富み(子供向けに設計されている)、128K のメモリ内に 64 ページ分のテキストを入れておくことのできる AlphaSmart 社製エレク トロニック・キーボードだ。Mac、PC を問わず接続できるポートがついて おり、ダウンロードしたテキストもアプリケーションを問わずキーストロー クとして送ることができる。液晶画面は(40 文字 4 行と)小さいが、2 ポンドで子供用としてまたはジャーナリストのメモ用としては素晴らしい 製品である。“ファイル”は 8 つまで入れておくことができ、どのファイ ルに対してもテキスト検索がかけられて、基本的なスペルチェック機能も 搭載している。単三の電池 3 本で 300 時間使用でき、背面書かれた使用 説明だけで十分に事足りる。

<http://www.alphasmart.com/>

もうすぐ Expo 最優秀賞 -- Mac OS 8.1 のプレリリース版を持っている デベロッパーの友人達が Alsoft 社製 PlusMaker ユーティリティをべた賞 めしていた。これは既存のハードディスクをブロックサイズを小さくして スペースを有効に使うことのできる Apple の新しいディスクフォーマット HFS+ に変換してくれるものである。Mac OS 8.1 が登場していないのに、 “Expo 最優秀賞”を PlusMaker に授けるのは時機未だ早しの感があるか もしれない。Alsoft 社製の別のユーティリティ PlusMaximizer 同様 HFS+ と PlusMaker の登場も心待ちにしている。PlusMaximizer は、Mac OS 8.1 のデフォルトブロックサイズをを 4K から 512 バイトに変更し、多少の断 片化と引き換えにスペースを増やしてくれるものである。

<http://www.alsoftinc.com/plusmaker.html>

ベスト名刺賞 -- この賞を取ったのは、Expo 中に偶然であった Fabian Ramirez 氏である。彼とは数年前から Info-Mac のメーリングリストを通 じで知り合った。当時、彼は SuperMac 社で働いていたが、その後警官に なるために退職した。そして現在は警察のバイクにまたがった公の彼の姿 がつき、裏に略歴が書かれた例の野球選手カードばりの名刺を所持してい る。いずれ Mac 業界名刺コレクション交換会を開こうかと思っている(私 の持っている Gil Amelio 4 枚、Ellen Hancock 1 枚、T-Maker 時代の Heidi Roizen を Henry Norr 1 枚、髭なしのSteve Jobs 1 枚と交換しよう。)

ご冗談で賞 -- Apple パビリオンの一角に設けられていた Apple リク ルートデスクにこの賞を送ることにした。社員をレイオフしてきた Apple の実績を考えると、デスクに掲げられていた“Work Different”のスロー ガンは、広告適正法にかなうように“Work Fast, Work Different, Work Elsewhere”と書き換えたほうがいいだろう。

ニューワード賞 -- 私たちが見落としの無いようにホールの片隅から見 始め、規則的に通路を折り返していく習性があることを Mark Kriegsman 氏が“ boustrophedon(犂耕)”という言葉で表現してくれた。さらに、 (前世で Adam の古典文学の師でもあった)TidBITS の Contributing Editor である Matt Neuburg がこの語についての説明をしてくれた。 “bou”はギリシャ語が語源で“雄牛”という意味を持ち、“strophe”は “転回する”という意味があるそうだ。最初はブースハンターか何かの造 語かと思った。


グラフィックスが目立った Expo

by Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
(翻訳:西村 尚 <hisashin@axes.co.jp>)

近年の Macworld Expo ではインターネットがほとんど本来のお株を奪って いるが、先週のサンフランシスコのショーでは、グラフィックスとデスク トップパブリッシングの分野が Macintosh 界で評判になることを示唆して いた。

今回、あちこちのブースのプレゼンターたちは、自社の製品のよさを証明 するために、インターネットや Web という言葉を声を張り上げて強調して いないことに気づいた。その代わり、ベンダー各社は自社製品をその中心 ユーザーに注力しているように思えた。恐らく Apple 社のコンテンツクリ エーターに対する新しい焦点が、他社に同じようにするよう影響を与えて いるのだろう。

いつものように、Macworld は、デスクトップパブリッシング関連製品の多 数のハードウェアメーカーが呼び物となっていた。例えば、Tektronix 社 は大判出力用 Phaser カラープリンターを数機種展示し、Linotype CPS 社 はスキャナー数種と LinoColor 技術を披露していた。

<http://www.tektronix.com/Color_Printers/>
<http://www.linocolor.com/>

展示場を歩き回り、Iomega 社のバッジをつけてクリッカーを振り回す悪ガ キどもをよけながら、私の目を引いたアイテムは次のようなものだ。

デンバーに遊ぶ時 -- 他のみんなと一緒に同じ砂場で遊ぶことが嫌いだ ということを証明するように、Quark 社はまた今年のショーにも姿を見せ 損なった。これはショーの常連には何ら驚くことではないが、Quark なら 少なくとも QuarkXPress 4.0 をデモしていただろうと思う。ここ 3 年以 上で彼らのページレイアウト・アプリケーションの最初のメジャーバージョ ンアップなのだから。恐らく、コロラドのスキーは今があまりによすぎる 時期なのだろう。

<http://www.quark.com/>

ビデオツールに興奮 -- デスクトップコンピュータの性能が上がるにつ れ、ビデオ編集の分野への障壁が低くなり、ほとんど誰でもが使えるビデ オツールの市場がつくられてきた。QuickTime 3.0 はこのショーの Apple 社コーナーの大きな呼び物だったが、2、3 の他の製品にも注目する価値の あるものがあった。

<http://www.apple.com/quicktime/>

Alien Skin Software 社の髪を多色染めした人々は、Eye Candy 3.0 for After Effects のデモをしていた。これは Adobe After Effects との併用 に適合、最適化された Photoshop プラグイン集である。これを使えば、 Fire、Smoke、Fur など、多数の Eye Candy フィルタをアニメーションと ビデオで使用できる。

<http://www.alienskin.com/ecae_product.htm>

恐らく最も興味深いビデオユーティリティは DigiEffects 社の CineLook であろう。最も基本的な特長は、この After Effects プラグインがビデオ テープに収めた映像を映画フィルムに収めたショットのように見せること だ。財政的な理由で撮影にビデオテープを使うようになった多くの独立系 映画制作者たちは、CineLook を歓迎するだろうと思う。あらかじめ用意さ れた 50 以上のフィルム形式の模擬ライブラリを使えば、まったく異なる 映画フィルムを作り出すことができる。そして、自分のフィルムがあまり にきれいに見えすぎると思ったら、Film Damage を適用できる。これは、 ビデオを引っかき傷と指紋と髪の毛だらけの傷んだフィルムのように見せ るものなのだ!

<http://www.digieffects.com/frames/cinelook.html>

カラーパープルなもの -- 最終的な印刷カラーに実際にマッチするカラー 素材を創ることを、完璧に把握しているグラフィックのプロにまだ会った ことがない。Mac はいまだにカラー処理のための最良のプラットフォーム であるが、これはその工程が簡単だということを意味しない。私の見た 2 つのプログラムは、カラー処理を頭痛知らずの工程にすることに大いに役 立つものだ。

Equilibrium 社の DeBabelizer 3 のスローガンは“It's about time”で ある。これは、この製品の時間を節約するグラフィック自動化機能を表わ すだけでなく、Macintosh 版の遅れをも表わしている。制作環境に置かれ た Web デザイナーはバッチ処理機能と Super Palette のせいで DeBabelizer を愛している。Super Palette は一群の画像から Web に最適 なカラーパレットを生成するものである。印刷界のデザイナーは、現存す るほぼすべのグラフィックファイル・フォーマットを開いて操作するため に DeBabelizer を使っている。バージョン 3 では、ColorSync サポート が追加され、伝統的に Mac OS 下で最も複雑なインターフェースとして知 られてきたものが改善された。

<http://www.debabelizer.com/>

印象深かったもう一つのカラー処理プログラムは Vivid Details 社の Test Strip 2.0 である。この Photoshop プラグインは、各種の補正を行ったと きに画像がどのように見えるかを表示するカラーテスト画像を作成する。 色相、明度、彩度、色の加算と減算という複数の補正をコントロールし、 プレビューすることができる。理想的な組み合わせを見つけたら、同じ設 定で画像のグループにバッチ処理することができる。Test Strip にはアク ションのセットが付いてくるので、Photoshop 4 を使ってあらかじめ組み 込まれた設定を自動的に適用することもできる。

<http://www.vividdetails.com/Test_Strip.html>

救いの手を -- Macromedia FreeHand の古くからの一ユーザーとして、 この偉大なドロープログラムに大きな期待を抱いている。たとえそうでも、 FreeHand 8 のデモで新しい透明レンズ効果を実行するのを見たときには驚 いた。PostScript は透明効果をサポートしていないが、Macromedia 社は 複雑な操作をすることなく透明オブジェクトを作成、編集、印刷するシス テムを実現したのだ。

また FreeHand 8 にはキーボードショートカットとツールバーのカスタマ イズ機能があり、このプログラムの使い方を選択させてくれる。Adobe Illustrator 6.0 ユーザーのためには、オプションの設定で FreeHand の コマンドキーを Illustrator のショートカットに割り当てることができる。

<http://www.macromedia.com/software/freehand/>

インターネットがすべてではない -- そう、インターネットはコミュニ ケーションを増進した。しかし、今日出版されるほとんどのコミュニケー ションが、いまだにグラフィックスやデスクトップパブリッシング、ビデ オをやっている人達によって世に出ているということは依然として事実な のだ。しかし、私が光を当てた製品の多くもインターネットと連携するこ とが一種の流行であり、この風潮を止めることは誰にも容易ではない。


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