TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#421/23-Mar-98

長く Macintosh の機能の最良のものとされてきたものが、Windows 98 で 登場する予定だって?マルチモニタのサポート。これは Mac 上で生産性を 上げられる最も意義ある方法かもしれない。今週は、Adam があなたに 2 つのモニタが必要なわけを説明し、一組のスクリーンを効率的に使うため の Tips を提案する。また、今週号には、John Shinnick 氏の Hitachi MPEG Cam のレビュー、Apple 社の 300 MHz G3 ベースの Power Mac 出荷 と Connectix 社の Virtual PC 2.0 市場投入のニュースを掲載。

目次:

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MailBITS/23-Mar-98

(翻訳:秋山 晃子 <nobineko@club.udn.ne.jp>)

Apple が 300 MHz G3 Mac を出荷、ほとんどの PowerBook が製造終了 -- TidBITS が最近の記事“昨今の Mac ハード市場、今は買い時?” TidBITS-419 で述べたように、Apple 社が 300 MHz 版 PowerPC G3 プロ セッサを初めて搭載した Power Macintosh を発表した。この新しいデスク トップモデルの価格は 2,499 ドルからで、32 MB RAM、4 GB ハードディス クを搭載している。オンライン Apple Store から、工場組み立て仕様、あ るいはカスタムビルト仕様で購入することができる。これは先週 Seybold Seminar において Steve Jobs 氏が行った基調講演のなかで発表されたの だが、そこで Jobs 氏は 5 月に発売予定の 1,999 ドルのフラットパネル モニタ「Apple Studio Display」を披露し、400 MHz 版 G3 プロセッサを 搭載したプロトタイプ Power Mac のデモンストレーションも行った。この 400 MHz 版 G3 プロセッサには IBM 社が新開発した銅配線技術が用いられ ている。製造終了になったばかりの PowerBook G3、PowerBook 2400、20th Anniversary Macintosh そして 3400c/240 以外の全 PowerBook 3400 など が今までに、Apple Store の仮想商品棚から消えてしまっている。これら 製造終了モデルに替わって 5 月までには新 G3 ベースの PowerBook が出 揃うはずだ。 [JLC]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04754>
<http://store.apple.com/>
<http://www.apple.com/displays/studio/>

Virtual PC 2.0 の高速化とデータ交換機能の強化 -- Connectix 社が Virtual PC 2.0 を近々発売する。この Pentium のソフトウェアエミュレー タは、Windows や MS-DOS、NeXTstep のような Intel アーキテクチャを ベースにしたオペレーティングシステムやアプリケーションを走らせるこ とができる。Connectix 社によると、Virtual PC 2.0 が Virtual PC 1.0 に対して改良されている点は、40 % のパフォーマンス向上(“Virtual PC: 遅いが待つ甲斐あり” TidBITS-397 を参照)、ドラッグ & ドロップによ るファイル転送機能の追加、Mac と PC 両アプリケーション間でのコピー ペーストを可能にしていることなどである。また Virtual PC は Microsoft 社の DirectX 技術をサポートしているので、PC ゲーマーが高 速の Mac( G3 が推奨されている)を使えば、グラフィック、ステレオサ ウンド、ジョイスティックをサポートする DirectX 技術を利用することが できる。Virtual PC 2.0 の Windows 95 バージョンは 145 ドル、PC-DOS バージョンは 49 ドルで販売される見込みだ。Virtual PC 1.0 から 2.0 へのアップグレードはおよそ 35 ドルになる。 [JLC]

<http://www.connectix.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04121>
<http://www.connectix.com/html/connectix_virtualpc.html>


Hitachi MPEG Cam 旋風

by John Shinnick <john@media-wave.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)

昨年登場した Hitachi MPEG Cam は Web 出版者の間で話題になった。テキ ストと写真が主流の現在の Web ページに音声と動画が浸透していく日を思 い描いている者もいるだろう。実際、Web やその他のマルチメディアアプ リケーションに JPEGの静止画だけでなく MPEG の映像や音も簡単かつ迅速 に取り込むことのできる道具の出現だった。

私は Hitachi 社がレビュー用に都合してくれた MP-EG1A カメラを常時手 元に置いて使ってみた。試用期間中毎週 6 本ほどの取材を行っていたのだ が、このカメラは行く先々で注目され話題になった。そのレンズとボディ の角度ゆえに(一般のカメラのように被写体と直角に対峙して構えるので はない)一部のスタートレックファンはトライコーダーのようだと評した。 だが架空のスタートレックグッズと比較されたことのあるほかのディバイ スとは違い、この MPEG Cam は文字通り トライコーダーであり 、静止 画像、音声、動画の 3 タイプの記録ができるのだ。

<http://www.mpegcam.com/>

ひねり技 -- MPEG Cam はよくあるタイプのカメラとはいろいろと異なっ ている。その代表は、180 度回転するレンズヘッド部分であろう。この回 転によりユーザーの左側、正面、真後ろを撮影することができる。撮像は 1/4 インチの Charge Coupled Device(CCD)チップが 39 万画素で取込 み、1.8 インチの液晶カラーディスプレイに表示される。すべての電源は 充電式のリチウムイオン電池でまかなわれるようになっている(電池 2 個 と充電器がパッケージに同梱されている)。記録メディアとして 260 MB Type III ハードディスク PC カード一枚がカメラ内部に収まる。このカー ドは動画で 20 分、静止画像で 3,000 枚、音声(モノラル)だと 4 時間 の記録ができる。

Hitachi MP-EG1A は、従来の 35 ミリカメラで取材をしている方にとって は慣れが必要になるだろう。カメラを目に近づけてファインダなどを見な がらフレーミングをするのではなく、写真のプリントのテレビ画像を目の 前に掲げる感じで持ち、画面上で構図を決めてボタンを押すとそれを取り 込むことができるのだ。回転式のヘッドも役に立ったりした。ある雑誌か ら私の顔写真を頼まれたので、カメラをとりだしてレンズを自分の方に向 け、腕を伸ばしてカメラを構え、画面に映る自分の顔を上手く納めた。撮 影した画像を PC カードから Mac に転送して、Photoshop でちょっと加工 してからメールに添付して北米大陸の反対側に送付した。この回転式ヘッ ドはインタビューを記録するのにも便利である。MPEG Cam を固定用ホル ダーに置いて、ヘッドを自分やインタビューの相手の方に向け、ズームを 使ったりしながら構図を決めたり、同梱のリモコン(テレビ用と似ている) を使って録音のスイッチをオン・オフしたりできる。

画素は万全にあらず -- 撮像素子は 39 万画素だが、画素はみな平等だ というわけにはいかない。たとえば、ズームは光学で 3 倍、デジタルで 2 倍になっており、拡大縮小された画素の一部はカメラがプロセッサを使っ て計算して生成するので画像が劣化してしまう。ズーム機能を使用した場 合小さな液晶モニタではそれなりに見えていた画像が、後から見てみたら 劣化のために使い物にならないということがいく度もあった。幸いこのカ メラは 3,000 枚の画像を保存できる(ので取材から戻っても使い物になる ものがないということはほとんどなかった)が、使い物にならない画像が あった時はがっかりした。もっとも、従来の光学ズームを使っても、短い レンズで寄って撮ったものにはかなわないのだ。

撮影した物の数が多くなってしまうことを考えていなかった。昔ながらの (デジタルでない)カメラではフィルム一本撮って、焼いたものから 1 〜 2 枚スキャンするところが、このカメラでは 100 コマ以上撮影し、すでに デジタルになっているものが 20 〜 30 枚ということになる。以前はこん なことにはならなかったのだが、「いくらでも撮れるぞ。撮ってしまえ。」 と思うようになってしまった。画像の取り扱いを覚えるのにはしばらくか かったが、別の出版プロジェクトで別の使い方ができると思いついたり、 仕事の時のビジュアル・オーディオ・ノートとして使ったりした。

よくあるデジタルカメラとは異なり MPEG Cam の静止画像は 72 ppi(一イ ンチあたりのピクセル数)で記録され、704 x 480 ピクセルサイズの画像 を作り、JPEG 方式で圧縮されて保存される。Web 出版にとって小さなファ イルサイズというものは宿命のようなものなのでこれで良いのだが、高解 像度(並の解像度でも)の印刷出力を求める写真家にとっては、もっと別 のデジカメが欲しくなるだろう。[TidBITS-407TidBITS-408 に連載 された Arthur Bleich 氏のデジカメ関連の記事で現在市場に出ているカメ ラ数台を比較してある -Jeff]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1022>

MPEG と JPEG の未来へ -- MPEG Cam の将来性と欠点をしっかりと検討 し、以下の要望リストを作った。

まず、フラッシュが欲しい。暗いところでの撮影はある面では良いのだが、 光が十分でない室内で撮ることがあまりにも多いのだ。光の少ない時でも それなりに写ったが、もっと細かに移すことができればさらに良かっただ ろう。

次に欲しいものは、レンズキャップである。レンズにこすり傷がついたり 何かの拍子で損傷したりするのではないかといつも心配で、以前使ってい た頑丈な Pentax よりもずっと慎重に扱わなければならなかった。1,500 〜 2,000 ドルもするような機材にレンズキャップが付いていないのは驚き でもあった。

それから、コンピュータへのインターフェースをもっと良くして欲しい。 カメラからラップトップマシンへの転送に関しては、カメラから抜いた PC カードを PowerBook に差せばすむので楽だった。だが、Type III の PC カードに対応していないマシンを使用する場合は別に 299 ドルの Macintosh SCSI インターフェースキットが必要になる。これは、デスク トップマシンなど用のケーブル沢山のアダプタである。また、付属ソフト の PreStage は遅いし扱いにくい。デスクトップマシンへ画像を移すのは 大きな問題だった。

最後に、ショルダーストラップや持ち運び用のケースを付属しておくべき である。約 540 グラムと比較的軽いものの、カクテルパーティでオードブ ルの皿やノートと格闘している時などは使いづらかった。カメラについて いるリストストラップはなかなか便利だったが、肩にかけることができれ ばなお便利だろう。Hitachi MP-EG1A はブリーフケースにもウエストバッ クにも納まるのだが、どちらも入れておく場所としてはあまり良いところ ではない。

仕事によってはこの小振りのカメラを性能の限界まで使ったことを言って おかなければなるまい。2 ヶ月間私の傍らで、動画、音声、静止画像の一 台三役の魅力を私に説いてくれた。高解像度志向の写真家は失望するかも しれないが、Web やマルチメディアの出版者は便利なツールが加わったと 感じるだろう。

[John Shinnick 氏はバンクーバー(カナダ)を拠点にした Media West ニュースレターを作成している New Wave Publishers 社の編集者兼発行者 である]

<http://www.media-wave.com/>


複数モニタで楽しさ 2 倍

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>
(  :尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

Tonya と私が 2 〜 3 ヶ月前里帰りしていたとき、Geoff Duncan が TidBITS 司令部において悲劇的なハードウェアの故障に遭遇しパニックに 陥ったことを知った。壊れたハードウェアはコンピュータでもなくハード ディスクでもなく、彼の 2 つのモニタのうちの一つで、それは一吹きの煙 とともに眠りについたのだった。事態は急を要するとわかり、私たちは、 すぐさま Geoff に不在の間私たちのマシンから一台持ち出すよう話したの だが、幸いなことに彼はすでに別の友人から 17 インチモニタを借りる算 段を取り付けていた。

さて、読者はこう思っているだろう。“モニタは一台で足りるはずなのに!” と。とにかく、これが大多数の人々が所有し、必要とし、また使用可能と 考えているものに違いない。ところが、私は Macintosh に 2 台目のモニ タを加えることが(十分な RAM を積んだほどほどに速い Mac があれば) 生産性を向上させる最も重要なことの一つではないかと主張してきたので ある。

どうして 2 台? これは、Mac でハードワークを行うあらゆる人々が何故 2 台のモニタを必要とするのかについての、必要最小限の議論である。大 多数のユーザーにとって、Macintosh のインターフェースはグラフィカル である。インターフェースにおける重要な情報はスクリーン上に見えるも のであって、通常外付けのポインティング・デバイスを通じて常に目に見 えるものとやりとりしている。グラフィカル・インターフェースにモニタ が必須とすれば、小さなモニタより大きなモニタのほうがベターであるこ とにすぐ同意できるはずだ。640 x 480 ピクセルの 13 インチモニタより も SE/30 の小さな内蔵モニタを選ぶ人などほとんどいないだろう。同様 に、机に十分なスペースがありさえすれば、13 インチモニタは簡単に 832 x 624 ピクセルを実現する 17 インチモニタに取って替わられるに違いな い。17 インチモニタのほとんどは異なる解像度が使えるので、視力の良い 人なら 1,024 x 768 ピクセルが使える。実際、ほとんどの人が、より多く のものがスクリーンに見えるという単純な理由で、直ちにモニタをその可 能な最大解像度に設定するのだ。

つまり、ピクセル数は多ければ多いほど良いのだ。640 x 480 の解像度は 307,200 ピクセルであり、832 x 624 の解像度なら 519,168 ピクセルと なって、1024 x 768 になると合計 786,432 ピクセルに及ぶ。明らかに、 ピクセル数を増やすためには、より大きなモニタを購入するかもしくは今 あるモニタをさらに高解像度で動かすしかない(どこまでできるかは Monitors & Sound コントロールパネルで確認して欲しい、全部がうまく行 かなくても試す価値はある)。まさにこれが PC ユーザーたちがやってい ることなのだ。

だがしかし、我々は PC ユーザーではなく、PC を使っているわけでもない。

Mac にビデオカードを装着し(ほとんどの Mac は一台目のモニタ用に内蔵 ビデオを備えている)、そのビデオカードにもう一台のモニタを接続する ことで、Macintosh は正しく二つのモニタを一つの大きなデスクトップ・ スペースとして取り扱うようになる。これは目新しいことではない。適切 なシステム・ソフトウェアとモニタ・アダプタがあれば、Mac Plus や SE でさえ複数モニタをサポートすると思う(必要なハードウェアとソフトウェ アを探し出すのが今となっては一苦労だろうが)。1,024 x 768 で動かし ている 17 インチモニタに 640 x 480 の安価な 13 インチモニタを加えれ ば、突如として 786,432 ピクセルから何と 1,075,632 ピクセルに跳ね上 がるのだ。

拡張作戦 -- これまでのところ、私のプラットホームはピクセルは多い 程良いというただ一つの綱領に立脚してきた。これは自明のことのように 思えるかもしれないが、ほとんどの人は付加したスクリーンの利点を最大 限に引き出す術を理解していないのだ。より大きなモニタを取り入れたの は、デスクトップ・パブリッシングに関わる人々が最初だった。スクロー ルすることなしにページ全体、時には 2 ページ見開きを見渡したかったか らだ。その理由は今なおもっと共通のものとして生きている。すなわち、 みんなワードプロセッサ書類であれ、Web ページであれ、スプレッドシー トであれ、あらゆるものをもっとスクリーン上で見渡したいのだ。Eudora に関する本の執筆を、私は出来合いのテンプレートファイルを使って QuarkXPress で行わなければならなかった。そのフォントのサイズは小さ 過ぎて 150 パーセントに拡大してやっとスクリーン上で労なく読むことが できたのだ。ところが、そうすると大きなモニタであっても 2 ページ見開 きを一つのスクリーンに広げることができなくなってしまった。そんなわ けで、私は書類を開く度にそのウィンドウを 2 つのスクリーンにまたがる ように配置し直して(QuarkXPress はウィンドウのサイズと位置を憶えて いてくれるのだが、それは単独モニタの場合のみなのだ)、これでそれぞ れのモニタに 1 ページずつ見えるようにしたのだ。退廃的かもしれない が、絶えず左右にスクロールするような事態を避けることによって、大幅 な時間とフラストレーションを節約できたのだった。

<http://www.tidbits.com/eudora/>

実際のところ、両方のモニタにまたがった一つのウィンドウで作業するこ とは極めて稀である。普段、執筆をするときには Nisus Writer 書類を一 方のモニタに配置し、他方のモニタで執筆目的のプログラムを起動したま まにしている。出版社によっては画面全体のスクリーンショットを要求す ることがあるので、これで異なるアプリケーションを隠したり表示させた りしなくても簡単にスクリーンショットが撮れるのだ。複数プラットフォー ムを対象としたインターネットに関する本を書いていたときには、PC を操 作する Timbuktu Pro のウィンドウを開いてこれを副モニタに配置するこ とで、マシン間を行ったり来たりすることなしに執筆ができたのだった。

本の執筆に 2 つのモニタを使う効用でも十分だが、違いが際立つのは日常 使用においてである。私はいつも 4 つのアプリケーションを必須として使 用している。Web ブラウザ(現在は Internet Explorer 4.0)、メールプ ログラム(Eudora Pro 4.0)、ワードプロセッサ(Nisus Writer 5.1)、 そしてカレンダープログラム(Now Up-to-Date 3.5)である。これら 4 つ のプログラムに The Tilery(アプリケーションランチャー)、FTP クライ アントである Anarchie、Webster's Electoronic dictionary などいくつ かのものを加えて、これらをシステムのスタートアップ時に起動している。 ウィンドウを開くプログラムは、ウィンドウを予め定めておいた位置に毎 回正確に配置してくれるので、ほとんどそれらのウィンドウを移動すると いうことがない。最後の仕上げは Binary Software 社の KeyQuencer で、 キーボード上に並んだファンクションキーでアプリケーションを切り替え るのに使っている。

結果どうなるかというと、一回のマウスクリックまたはキー押下でアプリ ケーションを切り替えたところとしよう。と同時に私の視線はデスクトッ プの適切な位置に移動するのだ。例えば、昼食を一緒に食べないかという 友人からのメールを読んでいるとすると、いつが良いか F15 を押して副モ ニタの左上をのぞき込んで確認できる。そこには常に Now Up-to-Date の 月間カレンダーと行動予定リストのウィンドウがある。主モニタ上のメー ルメッセージにクリックして戻り、カレンダーを見ながら返事を書くこと ができるのだ。同様に、記事を書いていて URL を確認する必要が生じたと すると、F12 で副モニタ上に Internet Explorer を前面に出し、その URL を入力する。そしてページがロードされる間、主モニタの Nisus Writer 書類に戻ってタイプを続ける。副モニタの Web ブラウザウィンドウの動き が止まったとわかると、必要な情報があるかどうか視線を戻して眺めたり、 あるいは Web と作業中書類との間を行ったり来たりするのだ。

私のやり方が通用する人はごく少数だろうが、しかし多くの人が複数アプ リケーションを使い小さ過ぎるデスクトップ上でウィンドウが散乱するの にくじけてしまっているはずだ。

複数モニタのセオリー -- 複数モニタを効果的に使いこなすいくつかの 考えを紹介しよう。私はこれらのセオリーを Tonya で試してみた。彼女は 人にあれこれ指図されるのを嫌うのだが、その彼女でさえこれらのテクニッ クが有効であると認めたのだ。

まず最初に、一つのモニタを主とし、もう一方を副にする。もしモニタの サイズが異なるのなら、大きいほうを主モニタにすべきだ。これを Monitors Sound コントロールパネルを開いて行う。上部にある Arrange ボタンをクリックして、小さなモニタ見本にあるメニューバーを大きなス クリーンの方へドラッグするのだ。Monitors Sound コントロールパネル を閉じる前に、解像度を選択し好きなようにモニタを配置し直して欲しい。 System 7.5 以前なら、Monitors コントロールパネルで同様のことができる。

モニタの配置はどんな風にでもできるのだが、私は必ず主モニタを右側の モニタにしている。何故なら、デスクトップ上でのドライブ、ゴミ箱、新 規ファイルのデフォルトの位置は右側のスクリーンの右辺であって、これ らをほとんど常に見えるようにできるからだ。もし左側のモニタを主スク リーンとしたならば、これらのアイコンはなお右辺に現れてはいるのだが、 この場合は作業スペースの中央となってしまい、作業中に隠れてしまいや すいだろう。ここでの目標は最大限の可視性にある。ウィンドウの移動や アプリケーションを隠すのは時間の無駄だからだ。加えて、ほとんどのア プリケーションが新規ウィンドウを主モニタの左手に作成してくれるので、 主たる作業ウィンドウを仮想デスクトップの中央付近に置いておくのは、 左側のモニタの左手に置くのよりもずっと良いと思うのだ。

モニタの配置を決めたら、今度は最も使用頻度の高いアプリケーションを 思い浮かべて“能動的”“受動的”の 2 種類に分類しよう。能動的なアプ リケーションとは文字を入力したり絵を描いたり、つまり通常作業に使う もので、受動的なアプリケーションとはほとんど読むことしかしないもの だ。私の場合、Eudora や Nisus Writer は能動的アプリケーションという ことになる。メールや文章を書きながら常に意識の中心にあるのだ。一方、 Internet Explorer と Now Up-to-Date は受動的アプリケーション。 Internet Explorer で URL を入力したり Now Up-to-Date でイベントを作 ることはあるが、Eudora や Nisus Writer で作業をしながら参照するとい う使い方が多い。ファイル操作の頻度に合わせて、Finder のウインドウも このように分類することもできるだろう。

RAM がふんだんにある場合には、よく使うアプリケーションのエイリアス を起動項目フォルダに入れてシステムの起動時に立ち上げておく。(Tonya はアプリケーションがシステム起動直後ではなく少し経ってから起動する ように Delayed Startup Items というシェアウエアユーティリティを使っ ている。こうすればアプリケーションが次々と起動するのを待たなくても すぐに作業に取りかかることができるからだ。)ほとんどのプログラムに は 1 つか 2 つしか主なウインドウやパレットがなく、これも使い方いか んによって一種の受動的アプリケーションと見なすこともできるので、少 し時間をかけてウインドウをデスクトップ上に配置していこう。能動的な アプリケーションを主モニタに、受動的アプリケーションを副モニタに置 いていくのだ。そもそもの目的は最大限の可視性にあることを忘れないよ うにしよう。私の場合、副モニタにある Internet Explorer のウインドウ が画面の下端までは届かないようにする。というのは、ここに Finder の ポップアップウインドウ(これは Mac OS 8 の機能)を 4 つ並べているか らだ。ポップアップウインドウは Finder のものだが、他のアプリケーショ ンからもクリック一つで開くことができる。

<ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/cfg/delayed-startup-items.hqx>

Finder に関して言えば、ドラッグ ドロップ を多用する方には StuffIt Expander、DropStuff、それにデスクトッププリンタのコピーを副モニタの 右下部に置いておくと良いだろう。ここなら他のウインドウに覆われるこ とが少ないからだ。私は Rick Holzgrafe 氏作の The Tilery を使ってア クティブなアプリケーションなどのタイルを作っている。通常はタイルが 副モニタの右端に縦に並ぶようにしていて、作業空間の中央にアクティブ なアプリケーションがビジュアルに表示されるようになっている。もし何 かのウインドウの下に隠れてしまっても、アプリケーションを切り替える 方法がいくつもあるのでたいした問題ではない。

<http://www2.semicolon.com/Rick/Tilery.html>

ウインドウを配置したら 1 日か 2 日使ってみながら、副モニタでアプリ ケーションを使いにくい場合やアプリケーションを隠して別のアプリケー ションに切り替えなければならないような場合を記録しておく。こうして 標準的なウインドウの位置が決まったら、もう動かさないように! マルチ モニタでの効率アップは、たとえばカレンダーのウインドウが常に同じ場 所にあるという保証があって達成されるものなのだ。自動車のドアにある カギ穴が時々移動したらどれだけ煩わしいことになるか想像していただき たい。

マイナス面 -- 2 つのモニタを使うことに全く問題がないわけではない。 まずコストの問題がある。ビデオカードを購入しなければならない(初期 の NuBus Power Mac も含め、一部の Mac には 内蔵ビデオポートに加えて ビデオカードが装着されていたものがあったが)。新品のビデオカードの 価格は 200 ドル程度から 500 ドル程度だ。同様に、モニタももう一台必 要になる。こちらは 200 ドル程度から 2,000 ドル程度までと幅がある。 特に裕福な方は別として、ビデオカードとモニタは中古品を物色すること をお薦めしたい。モニタを 2 台使っていた人で最近新しいコンピュータに 買い替えたという人がいたら、ビデオカードが余っている可能性が高い。 私が以前使っていたデスクトップ Mac、Centris 660AV は今ではバックアッ プ用マシンとなっているので 2 台ものモニタは必要ない。そこでこれに 使っていた NuBus ビデオカードは(PCI バスを採用した Power Mac 8500 では使えないので)Power Mac 7100 を使っている友人に貸し出すことにし た。モニタの方は比較的入手しやすい。ほとんどの人は比較的小さなモニ タから出発するし、より大きなものに買い替える際には小さい方は喜んで 手放すからだ。こういった中古品を探すには地元のユーザーグループが一 番だろう。

大きさの異なるモニタを 2 台持っている場合、Mac のデスクトップはきれ いな長方形にはならないが使えるようにはできる。私はモニタの上端が並 んでいるのが好きなので、小さいほうのモニタの下にはブロックを置いて 高さが合うようにしている。もちろん理想はまったく同じモニタが 2 台あ ることだ。

マルチモニタ環境のためにはモニタの重さを支えることができるだけの机 が必要だ。私は何年もの間中が空洞になったドアを机にしていたので、中 央部の強度が不足して初めて買った 21 インチモニタを何ヶ月もの間使え なかったということがあった。IKEA で新しい机を探した時( TidBITS-301TidBITS-302 の“引っ越し大作戦”と“再び、引っ越しについて”を 参照)、私はこっそり上に座ってみて強度を確認した。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=01277>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=01266>

物理的な位置も重要だ。主モニタがまっすぐ見えるように配置しよう。常 時首をねじ曲げていると間違いなく病気になる。私の場合は 2 台のモニタ の境目がちょうど正面に来るようにしてあり、どちらもやや内側に向けて いるのでほとんど頭を動かさなくても両方を見ることができる。

最後の問題は、デスクトップが広すぎて使いにくくなりやすいということ だ。私は Kensington TurboMouse のスピードをかなり速めに設定して、す ばやく動き回ることができるようにしているが、TurboMouse の機能である “スティッキー”スポットを設定してジャンプするという技にはどうも慣 れることができないでいる。大きなデスクトップにはトラックボールが向 いているということかもしれないが、Tonya も Geoff もマウスのほうが好 きなようだ。最後に、Mac OS 8 とともに Command + Delete で選択した ファイルをごみ箱に移動するショートカットが登場する前は、私はごみ箱 のエイリアスを作って副モニタに置き、ごみ箱までの距離を短くしていた ものだ。

<http://www.kensington.com/products/mice/mice3a.html>

生産性向上 -- Apple は今までほとんどの Mac のマルチモニタ機能を十 分に宣伝したということがない。ここで“ほとんどの Mac”というのは、 最近の PowerBook は“ビデオミラーリング”しかできないからだ。これは ややこしい言葉だが、モニタに写されている画面がもう一台のモニタにも 同じように映し出されるというものを指すものだ。私がこの点を重大な問 題として PowerBook の製品責任者たちと取り上げたところ、ビデオコント ローラのメーカーが開発コスト削減のために PC 用製品を流用したからだ との説明を受けた。Apple はこのメーカーと共同で完全なビデオのサポー トを PowerBook に復活させようとしているとも語っていたが、この話をし てくれた当人たちもその後別会社を設立するために Apple を辞めてしてし まった。

このような愚痴はともかく、マルチモニタのサポートは長年の間 Macintosh の独自性の代表的存在だったし、Mac コミュニティと Apple がもっと積極 的にユーザーに説明すべきものだ。何年もの間、PC は複数のモニタを使っ てより広いデスクトップを実現することはできなかったのだ。今では Matrox 社が Windows NT 下ではマルチモニタをサポートすることのできる ビデオカードを販売しているし、Windows 98 もマルチモニタをサポートす るということになっている。Apple はこの素晴らしい既存の技術を拡張・ 強化するだろうか? それともこれはまたもや Mac が始めて PC が普及させ る機能になるのだろうか?

<http://www.matrox.com/>

一説によると、マルチモニタは Rhapsody に“必須”の機能と考えられて いるそうで、正しいビデオカードさえあれば Intel マシンでも機能するこ とになるらしい。さらに、Rhapsody DR1 はすでにマルチモニタをサポート していることになっている。もし Rhapsody が出てきたときに私のモニタ たちをサポートしていなかったら、私が Rhapsody に移行することはない だろう。プロテクトメモリやプリエンプティブ・マルチタスク、それに完 全な Blue Box をもってしてもマルチモニタに代えることはできないのだ。


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