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TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#429/11-May-98

Jobs 氏は語った。そして私たちは Apple 社のハードウェアとソフトウェ アの新戦略を伝える。ハードウェアに関しては新 PowerBook G3 と非常に 魅力的な iMac を取り上げ、ソフトウェアに関しては Mac OS X を考察す る。また、Adam が InformINIT のレビューと複数モニタについて最後の一 言を届ける。Claris Organizer の再生、新 Apple Store、Disinfectant の引退、Quicken Macintosh 版の再登場、などのニュースもお送りする。

目次：

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今回の TidBITS のスポンサーは：

MailBITS/11-May-98

（翻訳：秋山　晃子 <nobineko@club.udn.ne.jp>）

Claris Organizer、PalmPilot MacPac として蘇る -- 3Com 社の Palm Computing 部門が、PalmPilot とハンドヘルド Palm III 用の次期バージョ ン Macintosh デスクトップソフトウェアの計画を発表した。次期バージョ ンは、売買金額は公表されてないが、3Com 社が Apple 社から買い取った Claris Organizer をベースに構築されるという。（PalmPilot の詳しい情 報は Jeff Carlson の最近のシリーズを参照のこと。）またこのまもなく 発表される Palm MacPac には拡張性のある Macintosh HotSync コンジッ ト（本質的には、Palm デバイスから Mac にデータを輸送するためのリン ク）が含まれる予定だ。開発者はコンジットを開発することで、各々のア プリケーションに Palm ベースのデータをサポートする機能を加えること ができる。MacPac 1.0 の登録ユーザーはソフトウェアを数ヶ月以内に無料 ダウンロードできるだろう（リリースから 60 日間オンラインで入手可 能）。新 Palm デバイスの購入者には 14.95 ドルで MacPac（Macintosh ADB ポート接続用のケーブルアダプタを含む）が販売される予定。 [JLC]

<http://www.palmpilot.com/newspromo/mac_index.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1030>

Apple Store の新店舗と売れ行き -- 先週、ハードウェアの発表の陰に 隠れてあまり注目されなかったが、Apple Store for Education と Apple Store UK が設置された。Apple Store UK の設置は、スウェーデンやオラ ンダ、フランス、ドイツ、オーストラリア、日本などのユーザーに向けて Apple Store を展開するための第一歩である。Apple 社がついに教育現場 や海外の Macintosh ユーザーのためのオンラインオーダーを開設したのは 素晴らしいことである。Apple Store for Education は早々と良い成果を 出し、最初の 24 時間で 100 万ドルを超える注文を受けた。また Apple 社は、メインの Apple Store でも新 PowerBook G3 が好調なので、24 時 間の受注としては新記録の 190 万ドルの注文があったと発表した。 [ACE]

<http://www.apple.com/pr/library/1998/may/6store.html>
<http://www.apple.com/education/store/>
<http://www.apple.com/ukstore/>
<http://www.apple.com/pr/library/1998/may/8sales.html>
<http://www.apple.com/store/>

John Norstad 氏 Disinfectant の引退を決める -- John Norstad 氏が 先週、フリーウェアのウイルス検出ユーティリティである Disinfectant の引退を発表した。John は最近発見された Autostart-9805 ワーム（「Mac ウイルスの静寂を破る“自動起動”ワーム」 TidBITS-428 を参照）と戦 うために、このユーティリティをアップデートすることも考えたが、長年 変わらず彼のソフトを使い続けてきたユーザーに、Dr.Solomon 社の Anti-Virus Toolkit、Virex や、Symantec AntiVirus for Macintosh など の商品ユーティリティへの切り替えを勧めることに決めた。彼は次のよう に述べている。「私がこのような決断を下したのは、新たに現れた Autostart-9805 のせいではなく、むしろ広範囲に広がり危険度の大きな Microsoft マクロウイルスの問題を考慮してのことです。」（TidBITS の マクロウイルスの連載記事を参照のこと。）「このところ十分な防御機能 を提供できなくなっている Disinfectant をアップデートすることは、ユー ザーに間違った安全感覚を与える結果になりかねない、」と彼は感じたよ うだ。John が Disinfectant に取りかかったのは 1988 の春で、 Northwestern University が初版を公開したのが 1989 年の 3 月であっ た。 [MHA]

<ftp://ftp.nwu.edu/pub/disinfectant/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04864>
<http://www.drsolomon.com/products/avtk/ps_mac.html>
<http://www.drsolomon.com/products/virex/>
<http://www.symantec.com/sam/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1000>

Quicken が Mac に早くも復帰 -- Intuit 社が Quicken Macintosh 版の 開発打ちきりを公にしてから、まだ 3 週間も経たないが（“財務と競争?” TidBITS-427 を参照）、Apple 社と Intuit 社の両社は、この人気の高い 財務管理ソフトの新バージョンの開発を再開すると約束した。共同発表に よると、Apple 社がコンシューマ向けの市場戦略を明らかにしたことで、 Intuit 社は考えを改めるにいたった。最近の数ヶ月間というもの Apple 社がハイエンド Power Mac G3 マシーンに戦略を絞りこんでいたため、コ ンシューマ向け市場は停滞していた。実際に Quicken 98 Deluxe が、今度 のコンシューマー向け iMac と共に出荷される予定である。Intuit 社は Quicken 98 の改良を続け、1999 年に Quicken の新バージョンを出荷する 計画である。加えて Intuit 社は Mac ユーザーに向けた Web 経由の財務 サービスも開発を続けるようである。 [JLC]

<http://www.quicken.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04851>
<http://biz.yahoo.com/prnews/980505/ca_apple_i_1.html>

複数モニタについて最後の一言

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
（翻訳：高島　均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>）

もし Mac の複数モニタサポートがお気に入りの自慢の種の一つでなかった なら、私は一連の記事をとっくに止めていたことだろう。しかしながら、 TidBITS Talk におけるものを中心として、有益な情報がまだまだ寄せられ てきており、それはここで紹介するに十分に興味深いものでもあるのだ。

<http://www.tidbits.com/about/tidbits-talk.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1033>

まず、Tarik Sivonen <sivonen@pop3.cybertours.com> 氏が、PC Computing 誌 1998 年 5 月号における Chris O'Mally 氏の記事に 17 インチモニタ と 19 インチモニタについてのレビューがあり、またさらに重要なことに は、その記事で有用性テストの実施結果と投資効果に関する分析が述べら れているとコメントしてくれた。その結論？ 15 インチのモニタと比較し て、19 インチモニタは 2 ヶ月のうちにその代金の元を取れるそうだ。ス プレッドシート作業、ワードプロセッシング、Web ブラウズにおける総合 的な生産性の増進は、19 インチモニタユーザーで 12 パーセントから 27 パーセントも向上する（15 インチモニタユーザーとの比較であるが）。17 インチモニタは、ワードプロセッシングや Web ブラウズならほぼ遜色ない ものの、スプレッドシート作業になると 19 インチモニタに及ばないとの ことだ。

<http://www.zdnet.com/pccomp/features/excl0598/monitor/roi.html>

次に、副モニタを接続しなかったときに見えなくなるウインドウやダイア ログボックスを回復するその他の方法が読者から寄せられた。

<http://www.montalcini.com/binhex/drag-any-window-43.hqx>

<http://olympe.netsurf.org/~pilp/VirtualF/>

<ftp://mirrors.aol.com/pub/info-mac/gui/virtual-desktop-192.hqx>

InformINIT: あなた個人の Macintosh 情報提供者

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
（翻訳：松岡　文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>）

私が両親を訪問すると、いつも父と私は彼らの Macintosh の前に座り、私 が最後に訪問した時からシステムフォルダの中身に何が起こったのかを眺 める事となる。私は多くのファイルが何であるかある程度の知識を有して いるが、ここ何年かはそうともいえなくなり始めている。私の父はこれら のセッションの間は無情だが、幸いに、私は、不確かなときでも、機能拡 張書類やコントロールパネルが必要かどうかだいたい推測できるのだ。 「あれは何だ？」と、奇妙な名前の機能拡張書類を指さしながら、父は質 問する。「確かではないけど、それはモニタとプリンタの色を同調させる のに関係していると思う。」と私は答える。「必要だろうか？」と父は答 を要求する。「いや、そうは思わない。」「なら捨ててしまおう。」

次の機会に、私は Dan Frakes 氏の 15 ドルのシェアウェア InformINIT 8.1 を持参する予定だ。それは、Apple やサードパーティ製の機能拡張書 類、コントロールパネル、共有ライブラリ、ならびにシステムフォルダ内 部に生息するその他諸々に関する記述とメモそして情報の膨大な大要であ る。Dan は何年間も InformINIT を制作しており、最新バージョンには、 Mac OS 8.1、Microsoft Office 98 等々が含まれている。

InformINIT の中の "How to use InformINIT" という節には必ず目を通す ように。さもないと色付けされた文字や簡略化された注釈にまごつくこと になる。Dan は、Mac OS 8 や Mac OS 8.1 に固有のアイテム、そのどちら でも共通のアイテム、68K 限定のアイテム等々と判りやすいようにマーク を施している。さらに、彼は InformINIT のいたる所に URL をちりばめて おり、URL の隣の小さな NN または IE ボタンを押すと、Netscape Navigator か Internet Explorer で関連する Web サイトを開けるように なっている。

これらの情報を調査し、編集や分類のために Dan が投じた努力に私は感銘 を受けている。それは大変な作業であり、伝えられるところによれば、 Apple のテクニカルサポートの人達さえも InformINIT を使用しているそ うだ（Mac をサポートする人間なら誰でもそうするべきであろう）。Dan は 7.5.3 以降のシステムソフトウェアについてもかなりの情報をカバーし ており、個々のシステムバージョンがサポートする Mac のモデルや、判明 している問題と非互換性についてのリストも含まれている。システムの入 れ替えを考えているのなら、InformINIT の中の関連する部分に目を通すだ けで重要な情報が判るかもしれない。

InformINIT に関する私の主な不満は、それが Green Mountain Software 社の DOCMaker によるスタンドアローンの文書であるという事に関係して いる。DOCMaker は、検索、複数のナビゲーション方法、書体スタイル、グ ラフィックス、そして URL 起動等、InformINIT のような巨大な文書に必 要な機能をそろえてはいるが、それら機能の多くは十分といえるレベルに 達していない。例えば、検索のダイアログボックスはシステム標準のそれ であり、検索ダイアログが開いたままでは InformINIT で他の事をするこ とができないばかりか、別のアプリケーションに切り替えて作業をするこ ともできないのだ。URL 起動は良いが、もし DOCMaker が Internet Config をサポートしていたならば、InformINIT には Netscape Navigator と Internet Explorer 両方のボタンは必要でなかったはずだ。そして最後に、 フォントサイズの変更ができれば有り難かった。InformINIT の Geneva 9 ポイントは私には小さすぎるし、DOCMaker にはズーミングやフォント変更 機能がないのだ。Dan は InformINIT のもっと書体の大きいバージョンの リリースを考えていると語っている。

<http://www.hsv.tis.net/~greenmtn/docm1.html>

だから、今度、"jgdw.ppc" とは何だろう、削除しても大丈夫だろうか、と 思うことがあれば、InformINIT をダウンロードし、検索してみることだ。 コピーは必ず登録するように。InformINIT は、コードというよりは目次の 集まりのような物だが、それでも 15 ドルのシェアウェアであり、Dan が InformINIT を編集し、Macintosh コミュニティに対して行ったサービスは 対価に値するものである。InformINIT は以下の InformINIT Web ページに リストされたミラーサイトから 467K のダウンロードである。

<http://cafe.AmbrosiaSW.com/DEF/InformINIT.html>

Apple ハードウェア戦略 : 魅惑の PowerBook と iMac

by TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
（翻訳：尾高　里華子 <odaka@iprolink.ch>）

先週 Steve Jobs 氏は Macintosh 界に活性剤を注いでくれた。つまり Mac ユーザーおよびプレス関係者達の心を奪うような新マシンを発表したのだ。 そのうちの一つは新 PowerBooks G3 シリーズ（3400 の筐体を利用した短 命 PowerBook G3 とは別物である）で、ここ数か月熱烈な Mac ファン達が その機能や形態を噂しながら待ち続けていたものだ。もう一つは、誰もが 驚いた iMac の発表だった。これは10 ヶ月もの間ひた隠しにされていたお しゃれな一体型インターネットコンピュータで、Apple のコンシューマー 市場への復帰を高らかに宣言する製品である。

新 PowerBook G3 と iMac は Apple の新ハードウェア戦略の対象 4 分野 のうちの 2 つに向けられたものだ。Apple はコンシューマー市場およびプ ロフェッショナル市場向けにそれぞれデスクトップ機とポータブル機を販 売するつもりなのだ。Power Mac G3 および PowerBook G3 シリーズはプロ フェッショナル市場に対するものであり、iMac はデスクトップマシンが欲 しいコンシューマー向けである。コンシューマー向けポータブル Mac がま だであるが、Jobs 氏は今日 WWDC で Apple は 1999 年中に今は亡き eMate を基にした後継機を出すつもりであると語った。

未来へ -- Volkswagen 社が同社の新型 Beetle は UFO からのリバース エンジニアリングにより造り出されたという広告を流しているが、Apple の新 PowerBook G3 を目の前に出されてはその主張も引っ込めざるをえな くなるかもしれない。このおしゃれなポータブルマシンは様々な価格と構 成で用意されており、Apple のオンラインショップや TidBITS のスポン サー、Cyberian Outpost や Small Dog Electronics（詳細は冒頭のスポン サー欄のところを参照のこと）のようなオンライン販売をしているところ で販売される。いずれも同社の PowerBook のなかでは最速を誇り、クロッ ク周波数が 250 MHz または 292 MHz の PowerPC 750 を搭載したもの、ク ロック周波数が 233 MHz の PowerPC 740 を搭載したもの（この 740 チッ プは 750 からレベル 2 のバックサイドキャッシュをはずしたもので、性 能および価格が下がる）がある。ディスプレイも以下の 3 種類から選択で きるようになっている。DSTN 方式の 12.1 インチスクリーンで 3 万 2000 色の表示が可能なもの、TFT 方式の 13.3 インチまたは 14.1 インチスク リーンで 1670 万色の表示が可能なもの。また、外部モニタも 20 インチ 以下であれば、1670 万色の表示ができるが、残念ながらマルチモニタはビ デオのミラーリングにしか利用できない。

<http://www.vw.com/cars/newbeetle/>
<http://www.apple.com/powerbook/>

TFT 方式スクリーンのモデルには S ビデオ出力端子が付属している。ま た、この新 PowerBook G3 シリーズには内蔵 10Base-T Ethernet と 2 基 の拡張ベイが搭載されており、このベイにはフロッピードライブ、バッテ リー（両方のベイへのバッテリー装着も可能）、CD-ROM や DVD-ROM ドラ イブを装着できるようになっている。（最も廉価なモデルではフロッピー ドライブはオプションになっている。）そのほか大きくかわったものとし てキーボードがある。“fn”と書かれるようになった新ファンクションキー が付きキーが総勢で 105 個になり、矢印キーは PowerBook 2400 と同じ逆 T 字型の配置が採用されている。また予想されていなかったものでは、動 作中の ADB ディバイス即時切り換えへの完全対応などがある（これは大切 なマシンの中身をおしゃかにしてしまうことにもつながった Macintosh 界 のたたりのようなものだったのだ）。

<http://gemma.apple.com/techpubs/hardware/Developer_Notes/ Macintosh_CPUs-PPC_Portable/PowerBookG3Series.pdf>

そして Apple は、この機能とパワーを美しい曲線でデザインされた筐体で 包んでいる。奥行きと長さが 3400 よりもわずかに増えてはいるが（重さ は 7.7 ポンドとかわっていない）、高さは閉じた状態で 約 50 ミリほど になった。残念なことに PowerBook 1400 のように脚が付いておらず、キー ボード面を傾けようと奥側を少し高くすることができなくなった。こんな 言い方をお許しいただければ、この新 PowerBook はのっぺりとした長方形 の世界の中においてはなかなかセクシーなヤツだ。

<http://www.apple.com/powerbook/specifications.html>

熱烈歓迎 iMac! Steve Jobs 氏は久々に人を魅了できる新 Macintosh、 コンシューマー指向かつインターネット指向の iMac の発表も行った。こ の iMac の特徴は、ハードウェア機能、低価格、斬新な半透明工業デザイ ンである。構成は、CPU がクロック周波数 233 MHz の PowerPC G3 で、66 MHz のバス、512K のレベル 2 バックサイドキャッシュ、32 MB の RAM （128 MB まで拡張可能）4 GB の IDE ハードディスク、24 倍速 CD-ROM、 最高解像度 1024 x 768 ピクセルの15 インチ内蔵モニタ、内蔵 10/100Base-T Ethernet、33.6 Kbps 内蔵モデム、12 Mbps Universal Serial Bus （USB）ポート 2 基、4 Mbps の赤外線インターフェース （IrDA）、内蔵ステレオスピーカー、Apple USB キーボード、Apple USB マウスとなっている。フロッピードライブ、SCSI ポート、LocalTalk ポー ト、ADB ポート、PCI スロットは搭載されていない。価格は 8 月の出荷時 点で 1,299 ドルになると予定されている。バンドルソフトは Mac OS 8.1、 Quicken 98 Deluxe、AppleWorks（かつての ClarisWorks）、FileMaker Pro、Microsoft Internet Explorer 4 が既に予定されており、ゲームを中 心にもっと増えるだろうというのが Jobs 氏の談である。

<http://www.apple.com/imac/>
<http://www.apple.com/pr/photos/iMac/iMacphotos.html>

SCSI ポートや LocalTalk ポート、さらにはフロッピードライブがないと いうことで、バックアップをどうやってとるのか TidBITS Talk でも既に 論議を呼んでいる。ネットワーク上で作業している者なら、ネットワーク を利用したバックアップも当然考えられるだろうし、インターネットを利 用したバックアップも存在しており少量でかつ重要なデータに対しては利 用できるであろう。しかしながら、本当の意味でのバックアップやファイ ルの交換は、iMac の Universal Serial Bus（USB）コネクターを用いた新 ディバイス形式でなければ実現できない。ストレージディバイス用に 12 Mbps というのは十二分なスピードであるし、Imation と Panasonic の 2 社はすでに USB ベースの SuperDisk を発表している。これは、1.4 MB と 720K のフロッピーディスクおよび独自仕様の 120 MB のディスクをサポー トしている。また Iomega 社や SyQuest 社が自社の普及しているリムーバ ブルドライブに USB バージョンを用意することも予想される。

<http://www.imation.com/cgi-shl/imation/pr/getrelease.pl?375+05/ 11/1998+superdisk>

我々が最近の工業デザインに関心を示すということはほとんどない。20 周 年記念 Mac が新鮮だったぐらいだ。この新しい iMac はほかのどんなマシ ンとも似ておらず、価格とイメージを大切にするコンシューマー市場に対 する Apple の新たな態度を予感させるものである。始めからインターネッ トへの接続を考えて設計された安く小粋なマシンである。半透明な部分の 色指定ができるかなどについては今現在まだ言及されていないが、Jobs 氏 が今週の WWDC で Macintosh の“ファッション性”を説いていたことから すると、インテリアにマッチするようにするオプションが用意されること も考えられる。実際に使ってみるまでは意見が変わる可能性はあるが、現 状では iMac は大ヒット間違いないと言って良いだろう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02216>

Jobs 氏、WWDC で Mac OS 戦略を披露

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
（翻訳：尾高　修一 <odaka@iprolink.ch>）

今日 Apple のWorld Wide Developers Conference（WWDC）の基調講演で、 Steve Jobs 氏は QuickTime、Java、それに Mac OS といった主要なソフト ウェアテクノロジーの将来像を披露した。

QuickTime -- 最初のデモは長年 QuickTime の設計に携わってきた Peter Hoddie 氏が RTP（Real Time Protocol）規格を使用して QuickTime のス トリーミング技術を披露するというものだった。Steve Jobs 氏がステージ 上の Mac に繋がれたビデオカメラに向かってポーズを決めるのと同時に、 Peter は別のマシンにある既存の QuickTime 対応アプリケーションが全く 手を加えなくてもライブのビデオストリームを受け取って表示することが できることを見せていた。Real Networks 社の Real Player を使ったこと のある人は誰でも、インターネットでは帯域幅の制約のためストリーミン グメディアはあまり実用的ではないことを良く知っている。しかし、実績 のある QuickTime なら、オンラインでリアルタイムのメディアを供給する 方法として Real Networks や Microsoft 社の“universal player”と対 抗できるようになるかもしれない。Apple 社によると QuickTime のスト リーミング技術は今年第 3 四半期に出荷される予定だ。

Java -- Jobs 氏はほぼ同時期に Mac OS 用の統一 Java 仮想マシン （VM）を実現することも約束した。この Java VM は Microsoft の Java インプリメンテーション互換で、Sun 社の Java Development Kit（JDK） 1.1.6 に加え、Java プログラムがプラットフォーム固有のインターフェー スにアクセスするためのインターフェースツールキット、“Swing”をサ ポートする。Jobs 氏はまた、Apple 社の統一 Java VM は大幅な性能向上 を計り、300 MHz の G3 マシンが 400 MHz の Pentium と同等の性能を発 揮するようになるとも宣言した。これは喜ばしいことだといえるだろう。 現在の Mac での Java インプリメンテーションだと、同等の PC の 4 〜 5 倍も遅くしか動作しないからだ。

<http://www.apple.com/macos/java/>

Mac OS 8 と Rhapsody -- Jobs 氏の WWDC 基調講演でもっとも重要なこ とは、Mac OS X（Mac OS“テン”）として結実する Apple のオペレーティ ングシステム戦略の大きな方向転換を描き出したことにある。

過去一年間、Apple は複線のオペレーティングシステム戦略を唱導してき た。一方の路線は 21 世紀初頭までリリースが続く既存の Mac OS だ。も う一方は Apple が NeXT 社から買収したテクノロジーに基づいた先進的オ ペレーティングシステム、Rhapsody を軸としたものだ。Rhapsody はプロ テクトメモリ、プリエンプティブ・マルチタスク、高速なネットワークや ファイルシステムなどを実現するほか、“Blue Box”を搭載する。Blue Box は早い話、ユーザーが Mac OS を起動して Mac OS プログラムを実行する ことのできるアプリケーションなのだが、その際には Rhapsody の先進機 能は利用できないことになる。徐々に Rhapsody は完全に Mac OS に取っ て代わることになっていた（Rhapsody と Blue Box の詳細については去年 の WWDC のレポートを参照）。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=02179>

Rhapsody が直面していた最大の問題は、すでに多くのデベロッパーが指摘 していた通り、Rhapsody の性能を活用するためにはアプリケーションを書 き直さなければならないということだった。既存の Mac OS アプリケーショ ンは Rhapsody の恩恵を全く受けることができず、多くのデベロッパーは プログラムを Mac OS と Rhapsody 用に別々のコードベースを維持管理し なければならないという状況にあったのだ。

Apple にしてみれば、Rhapsody は Mac OS ではない という点も問題だっ た。Mac OS は現在 2 千 200 万人のユーザーを誇り（かつ Apple はさら に 2 千万人が Mac OS を使用できる環境にあると述べている）、1 万 2 千のアプリケーションを抱えている。Rhapsody の方は対照的にユーザーも アプリケーションも事実上ゼロだ。しかも、Mac OS は Apple にとって大 きな収入源となっている。Mac OS 8 と 8.1 の売上は Apple の期待さえも 上回ったのだから、ユーザーが Mac OS や Mac OS アプリケーションを気 に入っており、もっと欲しがっていることは明らかだ。Apple は Mac OS を何かで置き換えなければならないものとして見る代わりに、Jobs 氏の言 葉を借りればソフトウェア戦略の“家宝”として位置づける必要があった のだ。Mac OS アプリケーションはなんらかの“ボックス”の中で動かすべ きものとするのではなく、Mac OS アプリケーションを新しい先進的オペ レーシングシステムの嫡流として扱う方法を考え出さなければならなかっ たのだ。

Carbon -- Apple は Mac OS の 8,000 以上もの API（アプリケーション ・プログラミング・インターフェース = アプリケーションが依存するオペ レーティングシステムのフックやサービス）を見直し、どれが Rhapsody のもとで直接サポートできるかを検討しだした。Apple の結論は、約 6,000 の Mac OS API はサポート可能で、古いものやあまり使われていないもの を含む約 2,000 はサポートできないということだった。次に、Apple は現 行の Macintosh アプリケーション 100 点のうち、このサポートできない 2,000 の API がどの頻度で使われているかを調べた。この結果、この100 のプログラムが Mac OS に送る API コールのうち平均 90 % は Rhapsody で直接サポートできることが判った。このアプリケーションたちが API コールのうちサポートすることのできない 10 % を書き換える（または “チューンアップする”）ことができれば、この Mac OS アプリケーショ ンたちは Rhapsody の恩恵を最大限に受けることができるのだ。加えて、 デベロッパーはほとんどのコード（と Mac OS プログラミングの経験）を 温存したまま、Rhapsody の恩恵を受けることができる。

Apple はサポート可能な API（といくつかの新しいもの）を集め、Carbon という名（炭素、つまり“あらゆる生命体の基礎”）の中核パッケージと してまとめ、Adobe、Microsoft、Macromedia などの主要デベロッパーに こっそり見せた。反響は非常に良かったようで、Adobe 社は数人のエンジ ニアが（多少 Apple の助けも借りて）一通り Carbon に移植した Photoshop 5.0 を披露した。この移植作業はわずか一週間強で完了したが、 その間にエンジニアたちはバーベキューをしたり親戚の家に遊びに行った り、Photoshop 5.0 の最終版を出荷するなどの時間もあったのだ。Apple はまた WWDC で、デベロッパー向けに Carbon の暫定仕様と、デベロッパー がアプリケーションを移植するためにどの程度の作業が必要かの目安を示 す“Carbon Dater”ユーティリティを用意した。

Mac OS X -- Jobs 氏によると、Carbon は Mac OS と Rhapsody が統合 された Mac OS X の鍵となるコンポーネントとなる。Mac OS X は完全に PowerPC ネイティブで、Rhapsody の先進機能（恐らくは NeXT の技術に基 づき、Mach カーネル上で動作する）を提供する。だが、Mac OS X は Carbon API に基づいて書かれた Mac OS アプリケーションも Mac OS X の 恩恵をすべて受けることのできる一級市民として扱ってくれる。また、 Apple は Carbon を Mac OS 8 システムのアドオンとしても提供する計画 なので、Carbon API 用に書かれた（または書き直された）アプリケーショ ンも現行バージョンの Mac OS で動作することができる。Jobs 氏によれ ば、Carbon API 用に改訂されていない Mac OS アプリケーションも、オペ レーティングシステムの新機能を利用することはできないものの、ほとん どが Mac OS X 上で動作することができるようになる。（これが Blue Box 内で動作するということを意味するかどうかは定かではない。）

Apple は 1999 年初頭には Mac OS X をデベロッパーに配布し始め、G3 ク ラスのシステムに最適化された最終版を 1999 年第 3 四半期にリリースす る予定だ。それまでの間に、Apple は Mac OS 8.5 を 9 月に、Mac OS 8.6 を 1999 年の第 1 四半期にリリースする計画だ。Rhapsody も Mac OS X より早くリリースされる予定で、Mac OS X へ橋渡しの役目を果たすものに なる。Rhapsody DR2 は現在入手可能だ（ WWDC でデベロッパーに配布され た）。Apple は今年中に Rhapsody 1.0 をリリースする予定だと述べている。

不透明部分 -- Apple は Mac OS X で Macintosh コンピューティングの 究極の理想である先進のオペレーティングシステムの最も優れた機能と、 現行のアプリケーションとの高度な互換性を実現することを約束した。こ れは今日に至るまで誰も実現することができなかったことだ。NeXT にもで きなかったし、Be にもできなかったし、もちろん Apple にもできなかっ た。Apple が示した Carbon と Mac OS X の計画は有望だし、シアトルで WWDC の基調講演の衛星中継を見ていたデベロッパーたちの反応をバロメー ターとした限りでは、デベロッパーは既存のアプリケーションを Rhapsody 用にゼロから書き換えるよりも Mac OS X 用に手直しする方が 好ましいと 感じているようだ。しかし、すべてのプログラムが使用している Mac OS API の 90 % が Carbon でサポートされるわけではない。特にシステム機 能拡張やユーティリティ、ローレベルツールなど一部のアプリケーション は、Carbon がサポートできない Mac OS の部分を最大限に利用している可 能性がある。確かに Mac OS X のもとではこういったユーティリティの一 部が無意味になることもあるだろうが、多くの Mac OS ユーザーにとって 不可欠のものもあるかもしれない。

私はまだ目を通していないが、Apple は今日 Carbon に関する暫定的なデ ベロッパー向け情報をリリースした。Apple が Mac OS デベロッパーから のフィードバックに耳を傾け、Mac OS X アーキテクチャを詰めていくこと を期待してやまない。

<http://developer.apple.com/macosx/>

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