TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#435/22-Jun-98

HFS Plus にフォーマットしたディスクの断片化を解消したいと思っている? Alsoft 社の PlusOptimizer と、Norton Speed Disk の公開ベータ版が役 に立つはずだ。また今週は、Jeff Carlson が PalmPilot の Palm 2 MB アップグレードカードを早くから使い始めた Macintosh ユーザーの災難に ついて、そして Adam が包括的なバックアップのシリーズをいくつかの厄 介な問題に答えて締めくくる。ニュースでは、UserLand 社が Frontier 5.1 の高価な契約金額を発表したこと、Connectix 社による Surf Express 1.1.5 のリリースなどについてお知らせする。

目次:

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MailBITS/22-Jun-98

(翻訳:秋山 晃子 <nobineko@club.udn.ne.jp>)

無料 Frontier の終焉 -- UserLand Software 社は、Frontier の登録 ユーザーに送った短い報告のなかで、Frontier 5.1 の初期出荷限定の価格 構成を発表した。Frontier 5.1 は、まもなくリリースされる予定で、同社 のクロスプラットフォーム・スクリプティングおよび Web コントロール ツール Frontier の新バージョンである。(“Frontier 5.0 が出荷” TidBITS-415 を参照。)98 年 9 月 8 日まで、個人ユーザーは 1 年間の ライセンスを 300 ドルで、コマーシャルユーザーは公式サポートオプショ ンが付いた 1 年間のライセンスを 900 ドルで購入でき、パートナーは 1ヶ月_ につき 500 ドルでライセンスを入手できる。これらのライセン スにはその有効期間内にリリースされる新しい機能の追加やアップデート の権利を含んでいる。UserLand 社によると、Frontier 5.0.1 は引き続き 無料で入手できるとのことだ。

<http://betty.userland.com/5.1/default.wsf>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04686>

UserLand 社は、Frontier をバージョン 4.0(“Frontier Justice” TidBITS-279 を参照)から無料にしていたが、Frontier を有料化し市販 商品に戻そうとするもくろみを秘密にはしてこなかった。にもかかわらず、 UserLand 社の処置が Frontier コミュニティ内に激しい議論をまき起こ し、ユーザーの多くが、新しい価格構成は Frontier の現ユーザーを減少 させ新ユーザーの障害となるだろうと懸念を表している。一方 Frontier 5.1 は、XML 構文解析およびストレージシステム、分散型コンピューティ ングに対応した RPC(Remote Procedure Calling)ユーティリティ、イン ターネット経由の統合アップデート機能、共同製作機能の向上を図った Web オーサリングツールなど、多くのハイエンド Web パブリッシングを保証し ている。 [GD]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=01471>
<http://www.scripting.com/frontier5/frontier51features.html>

Surf Express のアップデートで加速 -- Connectix 社が Surf Express の無料アップデートをリリースした。これは同社の Web アクセラレーショ ンソフトウェアであり、ほとんどのブラウザに採用されているキャッシュ の方法より処理能力の高い方法を採用することで動作を向上させている。 Surf Express 1.1.5 へのアップデートは 1.8 MB のダウンロードで、 Connectix 社によると、Surf Express 1.1.5 は初めて訪れるページのロー ドにかかる時間を前バージョンに比べて 20 % 短縮するという。Surf Express の無料デモ版が 1.9 MB のダウンロードで入手可能。 [ACE]

<http://www.connectix.com/html/surfexpress.html>
<http://www.connectix.com/html/surfexpress_update.html>


HFS Plus ディスクをめぐって

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

Apple が Mac OS Extended Format(HFS Plus の名で知られている新ディ スクフォーマット)を導入したことのために、Macintosh コミュニティの 中には愕然とした人が少なくなかった。このフォーマットが既存のディス クユーティリティの多くと非互換だからだ( TidBITS-414 の「Macintosh Extended Format(HFS Plus)のすべて」参照)。ディスク修復ツールや最 適化ユーティリティが完全に揃った環境を楽しむことができるようになる までにはもうしばらくかかりそうだ。だが、先週は多少明るい兆しが見え た。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04668>

PlusOptimizer、HFS Plus ボリュームを最適化 -- ディスク最適化ツー ル、DiskExpress Pro で有名な Alsoft 社は、Mac OS 8.1 と HFS Plus ボ リュームのユーザーのためのシンプルなユーティリティ、PlusOptimizer 1.0.1 をリリースした。PlusOptimizer は断片化したファイルや未使用ス ペースを結合することによってパフォーマンスの向上をはかるとともに新 たなファイルの断片化を予防するものだ。PlusOptimizer は DiskExpress Pro とは異なり、ファイルの利用状況に応じてディスクを最適化したり、 バックグラウンドで最適化を行ったり、メディアを検証したり、未使用ス ペースを消去したり、ディレクトリのエラーログを作成したり、最適化の スケジュールを指定したり、開いているファイルのあるディスクを最適化 するといったハイエンドな機能は持っていない。DiskExpress Pro は今の ところ Mac OS 8.1 と HFS Plus との互換性がないが、PlusOptimizer の 到来まで Mac OS 8.1 と HFS Plus をサポートしたユーティリティが存在 しなかったのも事実だ。PlusOptimizer の価格は 29.95 ドルで、Alsoft 社から 504 K のダウンロードで入手するのが唯一の方法だ。

<http://www.alsoft.com/plusoptimizer.html>
<http://www.alsoft.com/DXPinfo.html>

DiskExpress Pro ユーザーの中には、もう 6 ヶ月も前から約束されてきた Mac OS 8.1 対応の DiskExpress Pro のリリースを待ち続けてきたことか ら、Alsoft が PlusOptimizer を割引価格で提供していないことに不満を 抱いている人もいる。PlusOptimizer が DiskExpress Pro ほどの能力を備 えていないということは問題ではない。PlusOptimizer が Mac OS 8.1 と HFS Plus の両方をサポートした唯一のユーティリティであることから、こ うしたユーザーが PlusOptimizer を購入せざるをえないという状況に追い 込まれるからだ。

Disk First Aid 8.2 が救助へ -- Apple は Mac OS 8 に同梱されている 無料のディスク修復ユーティリティの最新バージョン、Disk First Aid 8.2 をリリースした。Disk First Aid が商用ディスク修復ユーティリティほど 高度な能力を持っていたことはなかったのだが、従来のディスク修復ユー ティリティたちがHFS Plus の導入とともに機能しなくなっただけでなく、 ディスクを破損することにもなったのだ。Disk First Aid 8.2 は主として ディレクトリの損傷に関する一部の問題を解決することができるとともに、 HFS Plus 非互換のディスク修復ユーティリティを使ったことによって生じ た問題を解決することもできる。おまけに Disk First Aid 8.2 は起動ボ リュームを修復することができ、診断にどの程度の時間がかかるかを推定 して表示してくれるという余禄もある。Apple は Disk First Aid 8.2 を Mac OS 8.1 を使用しているコンピュータ専用としており、英語版の Mac OS 8.1 でしかテストしていないことに注意されたい。Disk First Aid 8.2 は 339 K のダウンロードで自動マウントディスクイメージ形式でしか配付 されていない。

<ftp://ftp.info.apple.com/Apple_Support_Area/Apple_Software_Updates/US/ Macintosh/Utilities/Disk_First_Aid/>

Norton Utilities 4.0 公開ベータ -- Apple が HFS Plus を導入した 時、Symantec 社は Norton Utilities 3.5.2 をリリースして対応した。こ れは以前のバージョンが HFS Plus ボリュームを損傷する恐れがあったか らだが、バージョン 3.5.2 は単に HFS Plus ボリュームの診断、最適化、 修復を全く行なおうとしないというだけのものだった。つい最近まで Symantec 社は Norton Utilities の HFS Plus 対応アップグレードの予定 については口を閉ざしてきていたため、MicroMat 社がこの機をとらえて HFS Plus をサポートした TechTool Pro 2.0 をリリースした。だが今度は Symantec が HFS Plus をサポートした Norton Utilities 4.0 を 半年後 にリリースすると言っている。「やれやれ、ようやくか」と感じるのは私 だけだろうか?

<http://www.symantec.com/nu/fs_num.html>
<http://www.micromat.com/micromat/TTP/TTP2/ttp2.html>

ディスクを危険にさらしても構わないという怖いもの知らずの方は、Mac OS 8.1 と HFS Plus をサポートしたディスク最適化ツール、Speed Disk 4.0 の公開ベータ版をダウンロードして試してみることもできる。Norton Speed Disk 4.0 をテストする際には、大切なディスクを使わないことと、 きちんとバックアップを取っておくことを強くお薦めする。ディスク最適 化ツールのバグはあっさりとデータをすべて破壊してしまうかもしれない からだ。

<http://www.symantec.com/cgi-bin/Core/Core.pl?REGION=na&] LANGUAGE=english&PFT=897671280>

Drive Setup 1.5 リリース -- 最後に、これは厳密に言えば HFS Plus 関連ではないが(HFS Plus サポートは Drive Setup 1.4 で見られた)、 Apple が Drive Setup 1.5 をリリースしたこともお知らせしておこう。 バージョン 1.5 は Power Macintosh G3 コンピュータのサポートと、再起 動時に一部の ATA ドライブの書き込みキャッシュがオフになるというバグ のフィックスを盛り込んだものだ。Drive Setup 1.5 は 米国版の Mac OS 7.6 以降を必要とする。が、特に問題を経験しているのでなければ急いで アップグレードをする必要はない。Mac OS 7.6 以降をインストールする機 会があれば Drive Setup 1.5 を使ってハードディスクのドライバをインス トールした方が良いだろう。Drive Setup 1.5 は自動マウントイメージファ イルとして配付されており、ダウンロードサイズは 476 K となっている。 重要な情報が収められている Read Me ファイルに目を通すことをお忘れな く。

<ftp://ftp.info.apple.com/Apple_Support_Area/Apple_Software_Updates/US/ Macintosh/Utilities/Drive_Setup/>


PalmPilot Upgrade カード、Mac ユーザーに問題

by Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
(翻訳:西村 尚 <hisashin@axes.co.jp>)

新しい Palm 2 MB Upgrade カードを使って PalmPilot オーガナイザをアッ プグレードした Macintosh ユーザたちは、データのシンクロ時に一連のト ラブルが発生する可能性に気づき始めている。ユーザー側でインストール 可能なこのアップグレードカードは、PalmPilot のオーナーに 2 MB の RAM と Palm OS バージョン 3.0 へのアップグレードを可能にするが、ソフト ウェアの欠陥を一つ含んでいる。これが、現行の Mac Conduit Manager ソ フトウェアに関連して、内蔵 Palm アプリケーション(たとえば Date Book や Address Book)用以外のあらゆるデータのシンクロを妨げるのだ。その 結果として、他のプログラムを Macintosh ソフトウェアを使って Palm Pilot にインストールすることができない。(PalmPilot に関する詳細は 下記 URL の TidBITS の一連の記事を参照。)

<http://palm.3com.com/catalog/upgrade.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1030>

問題の原因は本質的に小さなものだ。内部的なライブラリファイルに対す るバックアップのためのマークが不正確で、そのファイルがユーザーの Backup ディレクトリにコピーされるとき、これがバックアップ処理を横 取りし、HotSync を失敗させる。残念ながら、このソフトウェアの問題は アップグレードカードのフラッシュ ROM に存在し、現時点では、フラッ シュ ROM をアップグレードする方法はない。つまり、このトラブルをか かえている Mac のオーナーはアップグレードカードを元に戻さなくては ならないわけだ。情報筋によると、修正を含む新しいアップグレードカー ドが 7 月のどこかで出荷されるということである。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04915>

このアップグレードの Mac オーナーは、Palm 社の Customer Relations 部門(888/619-7488)に電話して、新しいカードが利用できるようになっ たときにそれを受け取れるユーザーのリストに加えてもらうとよい。ある いは、Connectix 社の Virtual PC を使って Windows 95 の下で Palm Desktop 3.0 ソフトウェア(現在、Palm 社の Web サイトから 9.3 MB の ダウンロードとして無料で入手可能)を走らせるのはどうかと提案した何 人かのユーザーもいる。

<http://www.connectix.com/html/connectix_virtualpc.html>
<http://www.palmpilot.com/custsupp/downloads/dt30.html>

この問題は Palm 社のサポートページにまだ現れてはいないが、他のシン クロ時のトラブルを(特に G3 マシンと Tanzania マザーボードデザイン を基礎とする Mac で)かかえている Mac ユーザーは下記 URL で Palm 社 の HotSync ヘルプノートを調べてみるとよい。

<http://www.palmpilot.com/custsupp/helpnotes/hotsync/indexhs.html>


今日のバックアップはお済ですか? 第四部

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <odaka@iprolink.ch>)
(  :高島 均 <hitak@kk.iij4u.or.jp>)

このシリーズを第三部まで進めるうちに、例によって TidBITS の読者から バックアップ戦略関連の役に立ちそうな情報やおもしろそうな質問が寄せ られてきた。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1041>

私のバックアップ戦略 -- 私のバックアップ戦略の根拠となっているも のを知り、自分のバックアップの指標にしたいという要望を受け、ここで 細かく説明することにした。今では Apple の LaserWriter Bridge の専用 機にしてしまっている Centris 660AV に繋いでいる古い APS HyperDAT ド ライブを利用して Retrospect 4.0 で DAT テープにバックしている。660AV の前は SE/30 を使っていたが、SCSI バスがずっと遅かったうえに、ほか のアプリケーションもいろいろと走らせていたのだ。Retrospect はほとん どすべてのアプリケーションと上手くやっていけるのだが、メールサーバー だけは例外である。それは、Retrospect が CPU を独占している間にデー タを失う可能性があるからだ。

マシンを 2 種類に分類している。一つは、ほぼ常時ネットワーク上にあっ て、毎晩バックアップを取るように Retrospect でスクリプト設定してあ るもの。もう一つは、たまにしかネットワーク上に登場しない PowerBook や PC のようなもので、Retrospect Backup Server スクリプトで、ネット ワークに繋がったときだけバックアップ取るようになっている。夜毎のバッ クアップは最小限の手間で済むようにしてあるので、ほとんど手を出さな くて済んでいる。しかし、この夜毎バックアップがハードディスク全体を ファイル一つと言えども失わずに済む高水準の保険となっているのだ。

トラブルに見舞われる危険を分散できるよう、バックアップテープを 3 セット用意してある(それぞれに Hades、Poseidon、Zeus と命名したが、 古典文学の学位を取ったのだから名前拝借も許容されるであろう)。一セッ トを一週間使い、毎週月曜の朝に別のセットに交換している。回転はアル ファベット順だ。最初は“Nightly Backup A”のようなデフォルトの名前 を使っていたのだが、各セットに複数のテープがあるためテープの名前が “Nightly Backup A 2”などとなりややこしくなったのと、Retrospect の New バックアップを行うと事態はさらに悪化し、“Nightly Backup A [001] 2”となってしまった。そこで、名前らしい名前を付けたほうがと思い、ギ リシャ神話の神々の名前を拝借した。

Retrospect の EasyScript 機能を使うと金曜日にテープを交換するように なっている。だが、TidBITS を発行日でもある月曜日が私にとって九分九 厘“仕事をする”日なので、テープ交換日を月曜日に変更した(正しいテー プが入っていないがためにバックアップが行われないということになった らいけないので、各自都合の良い日に設定することだ)。ゆえに、月曜の 朝の私の一番最初の仕事はバックテープの交換である。また、それまで使っ ていたセットを離れた場所に置き、同様にそこにあるバックアップも回転 するように検討しているところだ。

テープがいっぱいになってしまうところが私のバックアップで一番ややこ しい部分である。Retrospect は(既存の中身を消してから実行する)Full バックアップまたは(中身を残したまま行う)New バックアップを行うよ うに設定できるのだが、このふたつを上手く使ってバックアップをとる方 法を思いつくことができなかった。さらに、スペースのムダ遣いをしたく ないので、手持ちのテープにどれだけの余裕があろうとも New バックアッ プをしようとは夢にも思わない。New バックアップはただのお飾りに過ぎ ない。そこで、少々手を加えてあげなければならないもの、自分に一番マッ チした方法をとることにした。

まず第一の Hades セットのテープは 3 本構成だ。その 3 本が一杯になる と、Retrospect は 4 本目のテープを入れるように言ってくるが、それを キャンセルし、Hades セットの中身をリセットするために手動で Full バッ クアップを行う。Poseidon セットでもほぼ同じようなことをやっているの だが、このセットのテープは 4 本で、Retrospect が 5 本目を要求した時 にリセットを行う。そうしなければ Hades セットと Poseidon セットのス ペースが無くなるのがほぼ同タイミングになってしまうのだ。そうなると、 結局 2 週間前の Zeus セットを取りだしてリセットされる直前に消された ファイルを取り戻さざるを得なくなるかもしれないのだ。最後に、Zeus セットは 5 本のテープ構成になっており、Retrospect に 6 本目のテープ を要求されると、キャンセルしてその Zeus セットの 5 本のテープは保管 用にまわす。そして、全く新しいテープ 5 本 を Zeus セットにして、手 動で New バックアップを実行する。一杯になった Zeus の保存用テープは 外部委託用として利用する。

Hades や Poseidon で行っている Full バックアップが 2 〜 3 日分のバッ クアップを消してしまうことになる場合は、もう一本テープを追加して Full バックアップを実行する。再度その追加した臨時用テープの順番が やってきた時点で、そのテープをローテーションから外す。これはあくま で一時しのぎのものに過ぎないのだ。

このやり方は私に適している。セットの内の一つ(または 2 つ)が駄目に なったときの用心として、夜毎のバックアップで全ファイルを 3 種類の異 なるテープのセットにバックアップしており、離れたところに保管する用 のテープの 1 セット、同じく離れたところにおいておけるアーカイブの セットがあるのだ。また、内 2 セットが一杯になった時にリセットを行う ということで、DAT テープを購入する量が減るという利点があるのだ。当 然 Hades と Poseidon のセット用のテープは一年ぐらいで新しいものに変 えるようにしているが、これはたいした負担ではない。

DAT の寿命 -- DAT の耐久使用回数に関しては諸説入り乱れており、数 人から質問を受けた。そこで、Dantz Development 社の Craig Isaacs 氏 と APS 社の Paul McGraw 氏に意見を求めてみた。Craig は Dantz では製 造元の推奨期間を守るようにとアドバイスしながらも、現実問題としてバッ クアップ一般の戦略と同じ原理が適用でき、どこにどれだけお金をつぎ込 むか次第だと言うことだった。たとえば、メディアの再使用などは絶対に せずに、毎日完全なバックアップを取り、それを離れた場所に永久保存す るという大企業もあるだろう。こういったところは、何百万ドルもするよ うなデータはバックアップメディアに数千ドル掛けるに値すると考えてい るのだ。普通の人はこういったことはしないだろうが、常用している DAT テープがいつまでも大丈夫だと考えてもいけない。

Paul McGraw 氏はもっと具体的なコメントをくれた。彼自身は DAT テープ を問題なく何百セッションも使ったことがあるが、普通は 30 〜 50 セッ ションの使用というのがだいたい妥当な数字であるとしながらも、90 日間 使用したテープはともかく引退させるのが望ましいという条件も付け加え た。また、メディアの製造元によると、新しいテープはテープドライブの ヘッドに残留物をたくさん残してしまうので、新しいテープを下ろして使っ た後はクリーニングテープをかけるようにとのことだった。最後に Paul はメディアの問題に頻繁にぶつかる場合は、違う製造元のメディアを使っ てみる。それが上手く行かない場合はドライブまわりを、それでも駄目な らメディアのタイプを変えるようにとのアドバイスをくれた。

私からは、特にコスト削減を望んでいる人へアドバイスを送ろう。テープ というものは(またはほかのリムーバブルメディアであれ)、いずれどれ かが駄目になるものなのでそれを小さな被害で食い止めることが大切であ る。そのためには、複数のバックアップセットをこまめに回転させると良 い。たとえば、3 セットのバックアップテープを毎日回転させているとし よう。その内の一つが駄目になっても、それよりも一日前のバックアップ は手元にあることになる。さらに、定期的にテープを引退させることは保 管用のバックアップを作ることにも繋がるのだ。何百回も使用したテープ は信用できないかもしれないが、使えるうちに引退させておけば数年内は アクセス可能であるし、そこからファイルを取り戻すこともできるであろ う。

DAT テープ使用法 -- 以前の記事に寄せられた反響の一つから興味深い 事実が浮かび上がった。ある読者は、12 GB の Sony 社製 DAT ドライブに 加え、9 GB のハードディスクを購入するよう勧められたことがあるそう だ。その理由は、彼のところの 10 Mbps Ethernet ネットワークでは転送 速度がたぶん十分ではないことから Retrospect がテープを全部使い切れ ないので、そこでまず 9 GB ハードディスクにバックアップしたうえで、 その後 DAT テープにバックアップするようにすると、DAT テープ上に全く 無駄なスペースがなくなるということだった。このことは Retrospect が テープに書き込むのに十分な速度の連続データを得られない場合に、DAT ドライブの方で次のデータがやってくるまでの間“パディング・ブロック” と呼ばれるものを書き込んでいるからのようだ。もしそうでなければ、DAT ドライブが停止したり、巻き戻したり、Retrospect のバッファが空になる 度ごとに最後に書き込んだ場所を探したりすることによって、バックアッ プ作業にもっとたくさんの時間がかかることになる。

確かにその通りなのだが、しかし、DAT ドライブ技術者の一部がこうした 設計(スピードとテープ記録量とのトレードオフ)を採用したしても、途 方もなく遅いコンピュータ上かもしくは LocalTalk を使ったバックアップ でも行わない限り、恐らくほとんど影響を受けることはない。さらに、DAT テープは安価で再使用可能であるので、仮に見えないところでテープが無 駄になっているとしても、その無駄がシステムの中途にハードディスクを 加えるコストや労力をかけるほどに見合うことはないだろう。

DAT ドライブの値段 -- DAT ドライブに関わっては昔から不満が募って いる。つまり、どうして PC 用 DAT ドライブは Mac 用 DAT ドライブより 安いのか? である。APS 社の Paul McGraw 氏によれば、少なくとも公正で 正確な比較をする限りそうではないとのことだ。ソフトウェアを抜きにし て、PC 用外付型 DAT ドライブと、同性能の Mac 用ドライブ(同じメカニ ズムのモデルがほとんどの場合両方のプラットフォームで使える)を比較 すると、価格は実質的に変わらないのだ。Mac は一般的に内蔵型 DAT ドラ イブをサポートしていないことから、PC 用内蔵型 DAT と Mac 用外付型 DAT とではおよそ 100 ドルの差が生じている。価格に影響する 2 番目の 要因としては、ドライブにバンドルされるソフトウェアがある。PC の世界 におけるローエンド・ソフトウェアが、Mac の世界で DAT へのバックアッ プにもっともよく使われるハイエンドの Retrospect より安価なのはもっ ともである。ハイエンドの PC 用バックアッププログラムがバンドルされ ているときは、価格は同等なのである。そして、マーケットに投入される ユニットの販売数に関係するある種のスケールメリットの問題も疑いなく あるのだ。

つまり、答えは内蔵が困難もしくは不可能であることに関係しているし、 またどの程度のバックアップソフトウェアなら“満足される”のかという その価格の事実上の差とも関連しているのだ。同じ土俵で(つまりはハイ エンド・ソフトウェアがバンドルされた高性能の SCSI DAT ドライブで) 比較をするならば、価格は通常の場合全く同等なのである。

多くの人が テープドライブ 一般を DATドライブ_ と混同している。 多くの異なるテープ技術が存在していて、中には極めて安価(そして低性 能)な PC テープドライブを提供するものがある。Macintosh 用の QIC (1/4 インチカートリッジ)テープドライブが僅かに存在するが、それら は PC バージョンのように安価な IDE もしくはフロッピーのインター フェースではなく SCSI を使っているものだ。この場合においても、PC 用 テープドライブは大変数が多く、またかなり安価なのだ。

8mm テープ -- 8mm テープドライブを高価でハイエンドな解決法に過ぎ ないと主張したことに対して、何人かの読者からお叱りを受けた。このこ とはほとんどの 8mm ドライブには当てはまるものの、Exabyte 社の 8700LT なら一本のテープに 10 GB まで(圧縮時)記録でき価格は約 650 ドルで ある。(8mm ドライブは DAT ドライブに比べて探すのが容易ではないよう だ。私は Computer Discount Warehouse を紹介された。)伝えられるとこ ろでは信頼性とスピードは良好なようで、メディアの価格は安いものでテー プ当たり 6 ドルである。検討に値する。

<http://www.exabyte.com/products/8mm/8700lt/>
<http://www.cdw.com/product/default.asp?EDC=69081>

Redux Redux -- 知名度を増した昨年のバックアッププログラムの一つで あった Redux が間もなくカムバックを果たす。Redux を開発しサポートす るために Redux Software 社という新会社がすでに設立されたところであ る。同社では現在 Redux 2.6 を手掛けているところであり、これは現行の 2.5.1 のアップデートだが、その後同社ではバージョン 3.0 の開発を開始 するつもりだ。Redux 2.6 が出荷されたらお知らせすることにしよう。

<http://www.reduxsw.com/>

Retrospect Express の入手期限と機能 -- Dantz Development 社の Craig Isaacs 氏は、Retrospect Express は Dantz 社を通じてのみ 98 年 7 月 1 日まで入手できると念を押してくれた。期限は間近に迫っている が、メールオーダー・ベンダーがこのプログラムはもう出荷されていない と言ったことにより混乱が見られるようだ。それは出荷されているのだが、 単にディストリビューターにはもう出荷されていないだけのことだ。さら に、Retrospect Express は、例えば 2 台目のハードディスクへの複数ボ リュームのバックアップなど特定の機能を欠いていると思い込んでいる人々 からたくさんの意見をいただいたところである。もちろんそれは Retrospect にあるハイエンドな機能(テープドライブのサポート、セキュ リティ、Backup Server 能力、ネットワークバックアップ能力、そして最 も顕著には柔軟なファイル選択を可能にするカスタム Selectors など)を 欠いているものの、いずれの場合でもある程度要求される機能については 揃っているし、マニュアルに説明されている。

<http://www.dantz.com/dantz_products/express.html>
<http://www.dantz.com/store.html>

自動車バックアップ -- 数名の人から、自家用車のトランクをバックアッ プの外部保管場所にしてはとのお勧めがあった。これなら貸金庫よりも手 軽である。確かに手軽ではあるのだが、私なら自動車に磁気メディアを保 管するのは極めて用心するところだ。どこに住んでいるかに左右されるこ とだが、ここシアトルでは、冬になると車の内部はとても寒くそして湿気 を帯びるし、夏の日差しの下では極めて高温となる。CD-R ならばテープや リムーバブルカートリッジに比べ環境によるダメージの影響を受けにくい かもしれないが、率直に言って、危険を犯す価値はないと思う。外部バッ クアップについては、オフィスや理想的を言えば貸金庫のような室内環境 制御された場所に保管すべきだろう。

QuickBack -- この連載の前回分で、一つのフリーウェア・パックアップ プログラムを漏らしていた。Jacques Cornell <jacques@white.plala.or.jp> 氏は、PopChar の作者である Gunther Blaschek 氏作のフリーウェア QuickBack 1.9.3 を勧めている。これは本 物のバックアッププログラムのようであるが、どちらかといえば厄介なモー ダル・インターフェースを持つもので、2 年以上に渡ってアップデートが なされていないものである。

<http://infosoft.soft.uni-linz.ac.at/Info/ MacSoftware.html#QuickBack>

バックアップ本 -- Marc Shipman-Mueller <msmueller@arri.com> 氏は、 『The Complete Guide to Mac Backup Management』を勧めている。これは Tom Dell 氏と Dorian J. Cougias 氏共著による 34.95 ドルの書籍である。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ISBN=0121925625/ tidbitselectro00A/>

そのドアに鍵をかけよ! -- 最後になるが、Alastair Rankine <alastair@cia.com.au> 氏は、バックアップメディアやハードウェアの物 理的なセキュリティを考慮する重要性についてコメントしている。個人ユー ザーには主要な関心事ではないかもしれないが、ビジネスとなればバック アップを重要なデータとして扱うべきだし、適切な手の届きにくい場所に 保管すべきである。さらに、少なくとも Retrospect ならバックアップに セキュリティレベルを設定することができる。Password Only(暗号化な し)、SimpleCrypt(速度重視の暗号化)、または DES(強力だが時間を要 する暗号化)のいずれかを選択できる。Retrospect にはほかのセキュリ ティオプションもあって、例えば、パスワードによるプログラムへのアク セス防御や Retrospect Client からバックアップサーバにデータを転送す る際の暗号化などである。もしセキュリティが最重要課題であるのなら、 バックアップソフトウェアやトータルなバックアップ戦略が必要なセキュ リティを満たしているか確認すべきである。


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